1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年三月二十六日(木曜日)
午前十一時八分開会
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委員の異動
三月二十五日委員前田佳都男君及び井
野碩哉君辞任につき、その補欠として
苫米地義三君及び野本品吉君を議長に
おいて指名した。
本日委員苫米地義三君及び高瀬荘太郎
君辞任につき、その補欠として野村吉
三郎君及び田村文吉君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
理事
松岡 平市君
山本 利壽君
千葉 信君
委員
大谷藤之助君
木村篤太郎君
野村吉三郎君
野本 品吉君
堀木 鎌三君
松村 秀逸君
伊藤 顕道君
矢嶋 三義君
横川 正市君
吉田 法晴君
田村 文吉君
国務大臣
外 務 大 臣 藤山愛一郎君
国 務 大 臣 高碕達之助君
国 務 大 臣 世耕 弘一君
政府委員
人事院総裁 淺井 清君
人事院事務総局
給与局長 瀧本 忠男君
総理府総務副長
官 佐藤 朝生君
内閣総理大臣官
房公務員制度調
査室長 増子 正宏君
経済企画庁長官
官房長 宮川新一郎君
経済企画庁総合
開発局長 淺村 廉君
科学技術庁長官
官房長 原田 久君
科学技術庁企画
調整局長 鈴江 廉平君
科学技術庁調査
普及局長 久田 太郎君
外務大臣官房長 内田 藤雄君
大蔵省主計局長 石原 周夫君
大蔵省主計局給
与課長 岸本 普君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
説明員
科学技術庁原子
力局次長 法貴 四郎君
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本日の会議に付した案件
○外務省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○科学技術庁設置法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
○経済企画庁設置法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国家公務員共済組合法等の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○国家公務員等退職手当暫定措置法の
一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/0
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001・千葉信
○理事(千葉信君) それでは、これより内閣委員会を開会いたします。
委員の異動がございました。三月二十五日、前田佳都男君及び井野碩哉君が辞任され、その後任として、苫米地義三君及び野本品吉君が、それぞれ委員に選任されました。以上御報告いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/1
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002・千葉信
○理事(千葉信君) それでは、これより議事に入ります。
まず、衆議院から送付されました外務省設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/2
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003・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 外務省設措法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
アジア、中近東、中南米寺の諸国の経済的、社会的発展に資するため、これらの諸国に対し、経済上の協力を行うことは、わが国の経済外交の一環として、この数年来、とみに重要性を増しつつあります。外務省におけるこの関係の事務は、従来、アジア局、アメリカ局、欧亜局及び経済局で取り扱われてきたのでありますが、その最の急激な増加に応じて組織を整備し、経済協力に関する事務を総合的かつ能率的に遂行し得るようにするため、この際、経済局に経済協力部を設置し、部において関係事務を一括処理することといたしたいのであります。
なお、経済協力部を設置することは、外務省の権限を拡大するものではなく、また、同部は、他省庁の機構と何ら重複するものでもありません。すなわち、改正法律案には、所掌事務の規定を二項起す形式をとっておりますが、これは、新たな事務を追加するものでもなく、従来の経済局の所掌事務を整理した上、そのうちから経済協力関係事務を引き出して、これを新たな部に移すための措置にすぎないのであります。
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以上をもちまして、本法律案の提案理由を終ります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御採択あられんことをお願いいたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/3
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004・千葉信
○理事(千葉信君) 次に、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き、質疑を続行いたします。政府側御出席の方々は、高碕科学技術庁長官、原田官房長、久田調査普及局長及び法貴原子力局次長でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/4
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005・伊藤顕道
○伊藤顕道君 長官に二、三お伺いしたいと思いますが、原子力とか人工衛星、あるいはオートメーション、こういうふうに、最近における科学の進歩は、まことにめまぐるしいものがあるわけですが、これに対して政府としてもいろいろお考えになっていると思いますが、特にまあアメリカとかソ連は別として、他の先進国に比べても、非常におくれておるのが現状であろうと思いますが、そこで、よほど政府としては抜本的な対策を講じられない限り、ますますその較差がひどくなると思いますが、その点について長官としてはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/5
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006・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) お説のごとくどうも科学技術の進歩は、原子力といわず、オートメーションといわず、戦後われわれの想像以上の発達をしておるわけでございまして、考えようによりましては、今後の日本の経済のあり方、産業のあり方等も、根本においてこの科学技術の進歩によって変ってくるという非常に重要なる課題といたしまして、政府としてはこれを取り上げて、十分の施策を講じて、先進各国に劣らないで、のみならず、日本独得の方法をもちましてもこれに対処していきたい、こういう所信で進みたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/6
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007・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、昭和三十四年度において政府が実施すべき新政策の重点、こういう点をごくかいつまんで御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/7
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008・原田久
○政府委員(原田久君) 三十四年度で政府としてどういう科学技術の分野において展開していくかということでございますが、この件につきましては、むしろ大臣から御答弁があってしかるべきかと思いますが、かわりまして事務的な観点から申し上げさしていただきます。三十四年度におきまして、何と申しましても、ただいま問題となっております原子力関係につきましては、基礎研究の段階が終りまして、だんだん実用化の段階に入って参りました動力炉も、近く契約が結ばれるという段階になって参ります。一方、原子炉の設置に伴いまして、各般の予防措置と申しますか、いろいろ保障問題などもございますので、そういうような問題につきましても、海外に調査員を派遣しまして、保険制度その他について調査をして、原子炉の発展に備えて、万遺漏ないようにやって参りたい。一方、放射線の障害につきましては、放射線総合医学研究所という施設を、ただいま千葉県下に施設を作っております。これも三十三年度には大部分の施設を終りまして、三十四年度には病院その他の付帯設備を整備いたしまして、その方面におきましての万全を期したい、これは原子力関係でございます。
次に、その他の科学技術の面におきましては、航空関係でございますが、世界の航空機の発達に相呼応いたしまして、いわゆるジェット機時代が参りますので、それに呼応する体制といたしまして、かねてから航空技術研究所を科学技術庁の附属機関として設置して整備を進めて参りました。遷音速風洞の施設も、三十四年度には完成を見ました。その他の超音速の施設につきましても、設備を整備して研究に入りたい、こういうのが大きなねらいでございます。
それから第三は、金属材料関係でございますが、金属材料は、あらゆる工業、産業の基盤でございます。そういう意味で金属材料研究所を三十一年以来設置して整備して参りましたが、三十四年度におきましても、さらに強化をはかりたい。
それから情報センターでございますが、これは科学技術振興の基盤をなすところの科学技術の情報でございますて、これを有効に諸外国からも集め、国内の研究者にもこれを十分浸透するように措置して参りたい。そういうようなことが現在科学技術庁としては主として行われておることでございますが、そのほかに理化学研究所というのを特殊法人にいたしまして、本年から発足したわけでございます。三十四年度におきましては、さらにこれを充実して、総合的な研究が行われるような体制に持っていくと同時に、新技術開発部という組織を設けまして、研究はある段階まで完成しておるが、事業化という段階に入りますには、なおその間試験的な試みをしないと、うまくそれが実用化されるかどうか不明だというような面につきましては、新技術開発部で、これは理化学研究所の中の内の部組織でございますが、そこで、各般の研究の成果を実用化の方向へ持っていく努力を進めていきたい。あわせて基礎から応用に関連いたします研究につきましては、理化学研究所がその実施に当る、こういうような構想でございます。で、こういうような一連の構想が三十四年度に行われますが、そのほかに、過日国会を通過し、成立いたしました科学技術会議が設置されまして、科学技術会議におきましては、総合的な基本施策につきまして、科学技術の問題について御審議を願う組織でございますので、三十三年度に発足いたしますが、三十四年度には、その実際的な運行の段階になりますので、そこにおきまして国家として基本的に策定しなければならない最高施策及び重要研究の目標等につきまして御審議願いまして、わが国として長期的観点から見ましても、万遺漏ない科半技術振興方策を打ち立てていただき、それに基きまして、科学技術庁といたしましても、それに相呼応する諸施策を自後展開して参りたい、そんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/8
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009・伊藤顕道
○伊藤顕道君 日本の経済を拡大するためには、いわゆるこの科学技術の面は非常に使命も大きいと思うんですが、そういう立場から、ただいま新年度の分についての計画を承わったんですが、やはり事の性質上、当然長期計画というものが打ち立てられていると思うわけです。内容については長くなりますが、ごく概要を重点的に御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/9
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010・原田久
○政府委員(原田久君) 科学技術の長期振興方策という問題につきましては、わが国ではそういう見通し作業というものがかつて行われておりませんでございました。そのため、三十二年度以降長期見通し作業をする必要があるというので、科学技術庁内部で、長期計画委員会というものを設けまして、内々作業を続けて参りまして、三十三年度は、その本格的な作業の前提となる「経済発展と科学技術」という名題のもとに、科学技術庁の審議官であります安芸皎一博士を委員長といたしまして、内部の職員が頭脳を集中いたしまして、経済発展と科学技術の関連につきまして、鉱工業から農林水産、運輸、建設各般にわたりまして、それぞれ経済の発展と科学技術の関連性の問題につきまして、新しい考え方のもとに一つの作案をいたしまして、それをただいま各界にも御披露いたしまして、御意見をまとめておりまして、できるならば今回設置されました科学技術会議にそれを原案として提出いたしまして、科学技術会議の審議対象に掲げて、できるなら結論を得て、それを閣議にかけて決定を願いたいという気持を持っております。で、その内容につきましては、すでに各国会議員の方にも御配付申し上げてあると思いますが、詳細にわたりましては時間の関係もありますので省略させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/10
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011・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、科学技術庁の行政の対象として除外されるものがあると存じますが、そういうものを明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/11
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012・原田久
○政府委員(原田久君) 科学技術庁の設置法によりまして御指摘の除外されておるところを申し上げますが、除外と申します意味は、いろいろあるかと思いますが、設置法の第三条に「任務」とございまして、ちょっと朗読させていただきますが、「科学技術庁は、科学技術の振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、科学技術」、そこで除外の分としてカッコしてありますが、「(人文科学のみに係るもの及び大学における研究に係るものを除く。以下同じ。)に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」と、こういうふうに規定されております。先生の御指摘の除外しておるというのは、この点ではないかと思いますが、大学の研究にかかわる分、それから人文科学のみにかかわる、のみにかかわるという表現は、人文科学と自然科学と関連のあるものは取り扱うが、人文科学だけの問題であるというような問題は、これは除外するということになっておる。その科学技術を総合的に推進することを任務としておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/12
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013・伊藤顕道
○伊藤顕道君 科学技術庁は、三十一年五月に発足したわけですが、三十一年発足の当時から来年度までの分について、各年度別の科学技術振興費ですね、これは原子力関係を含めて、ごくその総額だけでけっこうですから、それをこの際はっきりさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/13
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014・原田久
○政府委員(原田久君) ただいま、三十一年度以降予算の歴年の計数表を手元に持ち合わせておりませんので、記憶で申し上げますが、発足当時の予算は、現金予算と債務負担行為が、合わせまして三十六億と記憶しております。三十六億のうち、十六億が債務負担行為であったと記憶いたします。それから、その間逐年増加いたしまして、三十四年度には、現金予算が百三億で、債務負担行為が三十五億六千七百万円ということになっております。その間、ただいま手元に毎年の予算を持っておりませんので、御答弁できませんが、持っている資料だけで申し上げますと、三十三年度は、現金予算が九十八幡、債務負担行為が五十一億と、こういう数字が手元にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/14
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015・伊藤顕道
○伊藤顕道君 各年度の分について、明確ではございませんが、大要知り得たわけですが、そこで、こういう科学振興について、先ほども申し上げたように、アメリカとか、ソ連、これは比較すべくもないと思いますが、他の先進国に比べても相当劣勢であるわけです。もちろん、日本の特殊の事情もございましょうが、そこで、こういうような現状では、なかなかに科学技術の振興など期しがたいと思うのですが、やはり先立つものは予算で、そういうような重大な使命感に立ったならば、長官としても相当かたい決意で今後予算のときには努力しなければならぬと思うのですが、現状をもってしては、なかなかに言うべくして科学技術の振興など期しがたいと思うのですが、この点長官としての御決意のほどを承わりたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/15
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016・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 何しろ、科学技術の振興というものは、非常に重要であるということはわかっておりますが、これに対しまして、黒十一年度に発足いたしまして以来、ほかの予算と比較いたしまして、急速に予算の比率はふえているわけでございますが、まず私は人間の養成をするということが非常に大事だと思うわけでございます。そういう点も考慮いたしまして、人の養成を持たないというと、いたずらに予算だけふえても人がないというふうなことになっても困る、こういうふうなことで、人の養成を非常に今重要視してやっているわけであります。しかし、欧米各国と比較いたしまして、現在の予算の百三億、あるいは三十五億という債務負担等におきましても、決して過大ということはありませんので、最近に参りましたドイツの原子力大臣等におきましても、ほぼドイツと日本とは同じような経済情勢でございまして、これに対しましては非常に劣っておるわけであります。大体原子力だけでドイツは四億ドルという大きな予算をこれに組んでおると、こういうような話を聞いておるわけでありまして、十分今後の予算等につきましては努力いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/16
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017・伊藤顕道
○伊藤顕道君 特に日本のように資源に乏しい日常下においては、どうしても科学技術の振興に待たなければならない。そうだとすれば、今お話もありましたが、科学技術の振興の面に重点的に、また優先的に予算のことも考えられなければならない。特に、今大陸間誘導弾というような軍事情勢の中で、私いつも考えることは、日本のほんとうの防衛は、自衛隊の強化でなくして、実に科学技術の振興に重点が置かれなければならない。この科学技術の振興こそ、ほんとうの日本の防衛に役立つのだと、そういうふうに確信しておるわけですが、この点についての御所見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/17
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018・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 防衛はもとよりでございますが、全体の日本の経済の運営にいたしましても、これはどうしても科学技術を振興しなければならぬということは、全く同感でございまして、いずれの方面から考えましても、科学技術の振興は等閑に付すことはできないというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/18
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019・伊藤顕道
○伊藤顕道君 日本の防衛のために科学技術の振興は非常に重点的にやるべきだという、そういう前提に立つならば、第二義的に考えられるいわゆる防衛費、これは年々増額の一途をたどっておる。科学技術振興費など比ぶべぐもない。非常に大幅な防衛費が組まれておるわけですね。そういう点を考えますと、非常に矛盾を感ずるわけですが、防衛のためには、まず科学技術の振興は重点的に大事であるという大前提に立つならば、年々増額する防衛費を削ってでも、科学技術振興の方に向けられるのが、至当ではないか、そういうふうに考えるのですが、この点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/19
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020・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 私は防衛は防衛庁としての考え方がありますから、これはこれでやはり進んでいくものは進まなければならぬと思っております。科学技術はやはりこれと並行いたしまして進んでいくべきものだとこう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/20
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021・伊藤顕道
○伊藤顕道君 大体防衛費については国民総所得の二%を目標に組まれておるわけですが、先ほど予算の一部は承わりましたが、科学技術振興については大体どのくらいの額を目標にしておるのか、ここをまず明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/21
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022・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 従前からの予算の状況から申しまして、防衛費が国民所得の二%以下ということに大体組まれておるようでございますが、科学技術の方は国民所得によってどうこうということでなくて、現在のところ私どもの考えておりますのは、世界の科学技術の進運と、これと相呼応していきたいということのために、今国民所得の何パーセントということでたくて、これはやはり世界の進運に向かってこれと並行的にいく。こういうふうなことで考えたいと思っておるわけでありまして、今から申しますというと、これは急速に、あるいはゼレコンマ何パーセントということでなくて、これは急速にふえますわけでありますから、場合によれば非常に大きな倍額の増額をするというふうになるかと存じます。今国民所得に対する何パーセントという考えは考えておらんわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/22
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023・伊藤顕道
○伊藤顕道君 先ほども申し上げたように、資源の乏しい日本の国の実情で日本の経済を増強するというためには、何といっても科学技術の振興に待たなければならぬ。これは申しあげるまでもないと思うのでありますが、そういう観で、さてこれがまた田のほんとうの意味の防衛に基本的に大事である、そういうことについては長官も御了承願ったのであります。そこでこれを数字の上で比較いたしますと、防衛費については、国民総所得のおよその二%という目途がはっきり明示されておる。この科学技術の面についてもそれに劣るようなことがあっては主客転倒すると思う、そういう観点からすれば。そういう意味合いからも、当然科学技術の振興については国の防衛費以上の面が考えられなければならない。もちろん、科学技術庁は三十一年五月発足して、日もまだ浅いので急激にいかないとしても、そういう構想、そういう理想をもって推進しない限りは、なかなかに所期の目的を達成することはできないと思うのです。そういう点についてはっきり一つ御決意のほどを承わっておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/23
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024・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 先刻申し上げました通りに、国民所得に対して何パーセントということは今ここで申し上げかねますが、御趣旨に沿うように防衛費に劣らないというほどの覚悟で、科学技術振興の予算を計上していきたいと考えております。それはすぐに明年度から、防衛費が一千四百億円出たからそれと同額だとか、そういうことは申し上げかねるのでございますが、できるだけこれは増額するということに努力していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/24
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025・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次に、方向を変えまして、研究公務員の処遇の改善については前々から強く要望してきているわけです。そういうような立場から、この科学技術振興ということになりますと、結局研究公務員の努力いかんによってくると思う。従って、研究公務員の処遇を改善するということは、当然に科学技術庁としても重点的に考えておられると思いますが、具体的にはどういうふうな努力をしてきたか、そういう点について承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/25
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026・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 本年度におきましては、どうも研究技術員が少い。これを十分養成しなければならない。特に科学技術庁といたしましては、研究の公務員の待遇が悪いというので、これは初任給を幾らかふやしましたことと、それから役付手当等が特にないわけでありますから、そういうふうなものにつきましては、役付手当に相当する給料をふやしてもらう。また、研究する場合に残業が多いわけでありますから、残業手当等につきましても考慮を加える、この三点につきまして今回新たに改正したわけであります。なお、詳細なことは政府委員から御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/26
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027・鈴江廉平
○政府委員(鈴江廉平君) 大臣の申し上げましたことを敷衍して申し上げますと、第一点は初任給の引き上げでございますが、これは六級職、大学を出まして就職いたしました場合に、研究者に対しましては千二百円の引き上げを行なったわけでございます。もっとも一般の公務員につきましても千円の上昇を見ましたので、その間の差額といたしましては二百円でございますけれども、しかし、これは同じ公務員の中でも研究職だけは特に土げたということでここに大きな差があるかと思います。
もう一点は、特別研究員制度というものの実施でございますが、これは研究者はどういたしましても、研究に専念いたすことが本務でございますので、いわゆる行政職のように課長とか、部長とかいったような役につかなくても、研究を一生懸命やっておれば、やはりそれと同じような待遇が受けられるという制度でございますが、これに対しましては、大体定員の五%程度の人が部課長にならなくても、そういった待遇が受けられるという制度にいたしております。
それからもう一点は、超過勤務手当の増額でございまして、従来一カ月大体八時間程度の超過勤務手当の支給がございましたのですが、それを一躍十五時間に引き上げて参つたわけでございます。総額にいたしまして大体二億円程度の増額を見ておると覚えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/27
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028・伊藤顕道
○伊藤顕道君 科学技術振興の観点から、研究公務員の処遇の改善がいかに大事であるかということについては、繰り返し申し上げてきたわけですが、これはただ単に科学技術関係だけを申し上げるのではございませんが、由来日本の悪い習慣の一つとして、どうしても技術者が事務系統公務員より軽視されがちである。非常に処遇面で悪かったことはいなめない事実である。そういう点も十分考えて、この際まず技術者優遇は科学技術庁からというような目標で努力すべきであるし、また、当然合法的な改善がなされてしかるべきだと思うのですけれども、この点について御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/28
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029・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 科学技術庁が中心となりまして、技術者の待遇改善をするということは、当然努力いたす方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/29
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030・千葉信
○理事(千葉信君) 高碕長官にお尋ねしたいと思いますが、ただいま技術者に対する待遇の問題で質疑応答がございましたが、東海村にある施設に勤務する職員の場合には、東京その他から転任をした場合に、当然、その暫定手当で一割ぐらいちょうど減給の格好に結果としてなるわけでありまして、この問題について何らかの方法がないかということで、東海村に勤務している人の方から要望がありましたが、これについて、科学技術庁としては何らかの方法を現在お考えになっておられるかどうか、そのお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/30
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031・法貴四郎
○説明員(法貴四郎君) ただいまの御質問にお答えいたしますが、その東海村の原子力研究所が創立、出発いたしましてから、しばらくの間は過渡期間といたしまして、暫定手当と申しますか、そういう手当を支給するという申し合せで措置がとられたはずでございます。それは、もともとある期間に限定されましたもので、その後の扱い方はまた別途考慮するという形で、それが理事者と研究従事者の間にいろいろ話し合いが進められまして、ある程度両者の間の話し合いがついておることだと考えておりまするが、そういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/31
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032・千葉信
○理事(千葉信君) 別途考慮するという意味は、暫定手当では支給の根拠がないけれども、その他の給与の関係で、適当にその点をカバーするという方法をとられるという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/32
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033・法貴四郎
○説明員(法貴四郎君) 従来までの期間に暫定手当的なものでカバーしてきたという事実があるわけでございますね。今後につきましては、今後の問題として考えるということでありまして、いつまでもその暫定手当式なものをそのまま延長していくということには無理があるというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/33
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034・伊藤顕道
○伊藤顕道君 最後に問題を変えて、行政審議会の答申に関連して一つお伺いしたいと思います。例の評価審査会ですか、これは任務の終了によって廃止を適当と認める、そういう意味の行政審議会の答申がなされているわけですけれども、これはすでに廃止されたのかどうか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/34
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035・鈴江廉平
○政府委員(鈴江廉平君) これはすでに廃止されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/35
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036・伊藤顕道
○伊藤顕道君 時間の関係で最後に一点お伺いいたします。同じく行政審議会から統合を適当と認めるという要望があった技術士の何についても、すでに統合がなされているのかどうか、なされていなければ早急に統合されるのかどうか、そういう点をはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/36
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037・原田久
○政府委員(原田久君) 技術士の審議会は技術士制度の重要事項を審議する機関として科学技術庁の附属機関として設置されております。また、技術士の資格試験を行います技術士試験委員というのがやはり設置法に基きまして置かれておりまして、現在試験委員は二百三十名ほどお願いをいたしております。で、この両者を一体的にすべきであろうという御答申を受けているわけでございまして、この点につきましては、本来技術士審議会の目標といたしますところが、技術士制度全般の重要事項についての審議機関であるということと、それから技術士試験委員は技術士試験の執行機関であるという点から、両者を一体とすべきかどうかという点につきましては、いささか問題もありますので、ただいま技術士審議会におきまして技術士審議会と技術士試験委員それ自身が合体したらいいかどうかということを目下審議中でありまして、そこで一応技術士制度の問題でありますので、技術士試験委員を技術士審議会の中に入れるという問題でありますのでそこで審議いたしておりますが、まだ結論が出ておりません。現段階ではそういう段階でございますが、答申の線は十分尊重して検討を続けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/37
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038・千葉信
○理事(千葉信君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/38
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039・千葉信
○理事(千葉信君) 速記を始めて。
他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認め、これにて本案の質疑を終局することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/39
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040・千葉信
○理事(千葉信君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御発言もなければ、これより直ちに採決に入ります。科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)全部を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/40
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041・千葉信
○理事(千葉信君) 全会一致と認めます。よって科学技術庁設置法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出する審査報告書の作成につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/41
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042・千葉信
○理事(千葉信君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/42
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043・千葉信
○理事(千葉信君) 次に、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引続き質疑を続行いたします。政府側より御出席の方は、世耕経済企画庁長官、宮川官房長、澤村総合開発局長、以上でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/43
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044・伊藤顕道
○伊藤顕道君 企画庁長官にニ、三お伺いしたいと思いますが、経済企画庁としては、地盤沈下対策として、従来どのような努力をしてこられたか、この点をまずもってお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/44
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045・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) 地盤沈下に関しまして、どういう対策をしているかというお尋ねでございますが、概要お答えいたします。
地盤沈下の問題として取り上げられている大きな地区といたしましては、新潟地区における地盤沈下の問題でございます。一昨年春ごろから沈下が著しくなりまして、最近六カ月間の最大沈下が、二十ないし二十五センチメートルを示しております。さらに加速される傾向が見られますのと、港湾、海岸、河川、都市下水等の公共施設の管理保全が、実はこういう事情から憂慮されておる次第であります。
政府といたしましては、まず地盤沈下の原因を早急に把握する必要がありますので、昨年三月、科学技術庁資源調査会に特別委員会を設けて、現地からの観測資料に基いて、目下鋭意検討を続けておるような次第であります。このために、予算措置といたしまして、国土開発調査費から千二百二十万円支出し、また、調査の完璧を期するために、予備費から四千九百五十万円を支出したような次第であります。
次に、港湾等公共施設の機能低下を防止することが、当面の非常な問題でございましたので、特にこの点については各省に計上された三十三年度予算の一億一千四十筆力円のほかに、国土総合開発事業費の調査費から二千万円、予備費から二千六十万円、それぞれ支出し応急対策を講じておるような次第であります。応急対策の事業の実施に関しましては、政府部内と連絡を緊密にするために、経済企画庁におきまして新潟地区の地盤沈下応急対策協議会を昨年正月設置したような次第であります。このほか新潟地区に限らず、他の方面におきましても地盤沈下が問題となっておる個所もありますので、この対策について目下検討、対策協議中であるということをお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/45
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046・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この地盤沈下の現象は去年、今年というふうに、急に始つたことではなく、以前からそういう現象が起きておったにもかかわらず、その当時から緊急に対策を講ずる必要のあったことだと思う。今の御説明によりますれば、その程度の対策しか講じなかったことは率直に申し上げて経済企画庁の怠慢ではないか、そういうことが言えると思いますが、長官としてどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/46
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047・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) 御指摘の通りだと私は思います。決して怠慢じゃなかったということは言えないと思います。それにつきまして、今後応急、永久の両方の、両対策が御趣旨に沿うように善処すべきであると、実は責任者の私といたしましてもさように考えておるような次第であります。
なお、私の意見をこの際申し上げますと、かような対策はむしろ敏速を必要とすると思います。往々にして役所の仕事は、調査研究にひまをつぶして、かえってその目的を果し得ない場合が大へんあると思いますが、おそらくそういうこともお考えにおかれて今御質問があったと私は考えますが、その欠陥はぜひ今後修正して御期待に沿うようにいたしたいと私はかように考えております。なお具体的な問題については、政府委員から必要に応じてお策えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/47
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048・伊藤顕道
○伊藤顕道君 責任のある経済企画庁が従来あまり努力をしないできて、そうして今回この法案によって審議会の審議に付そう、そういう段取りから、こういう法案が出てきたと思うのです。これはまことに考えると無責任きわまると思うのですが、経済企画庁自体として努力して足らざるを審議会に諮るということが考えられる、まず努力すべきであったのを、そういう点を手を抜いて、近ごろ問題が大きくなってきたので、あわてて審議会を作って審議会の審議に付そう、これはまことに無責任きわまると思う。長官として責任を感じておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/48
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049・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) 先ほどお答をいたしました通り、責任を追及されますれば申しわけないということを申し上げるより仕方ないと思います。それはなぜかというと、結果から見てこういう事態が起ってきた。それは今表向きの御返答を申し上げれば、そういう御返答を申し上げることになるのだが、実際を申しますれば、地盤沈下は自然の現象なんです。ただ単に地盤沈下と申しましても、中には隆起する場所もある。で、沈下がどの程度までで食いとめられるかということは、今のところ地球物理学者でも、はっきりとした結論を出し得ないような現状なんです。それと企画庁は取り組まなければならぬというむずかしさがある。なお、企画庁直属の仕事ならともかくも、各省に関係のある実は事業でございますから、だから特にこの際こういう法案を出して御審議を願うというのは、むしろ従来とってきたのになお不十分な点があるので、万全を期する意味においてこの法案を出しまして、さらに御期待に沿うように善処したいというのが法案の趣旨でございます。御指摘のように決して怠慢ではなかったのだが、全力を尽したのだが、今までの状況ではまだ全力を尽したという御報告ができない、こういうふうなことを率直に申し上げるような次第であります。で、今後御期待に沿うのには、なお企画庁が直接指導的立場に立ち得られるように、いろいろな面を是正してここに立案したような次第でありますから、どうぞ御了承を願っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/49
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050・伊藤顕道
○伊藤顕道君 対策としては、まず原因究明が徹底的になされなければならないと思うわけですが、現在の段階ではっきりしている点は、天然ガスの採取とか、あるいは工業用水、地下水の汲み上げ、こういう点から地盤沈下という現象が起きている、そういうことは、これは一応の結論だろうと思うわけですけれども、こういう原因の究明について徹底的な施策がなされてきたのか、それで現在はどの程度になっているのか、何といっても原因の究明が根本だろうと思います。その点を明確にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/50
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051・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) あとで担当の政府委員からお答えいたしたいと思いますが、応急対策と永久対策、恒久対策ということを私が申し上げましたことは、応急対策は二十センチないし二十五センチづつ沈下していきますから、どうしても沿岸地域は塩をかぶるような現状でありますから、これを調査研究していたのでは流されてしまうという被害が出てくるわけであります。これにつきましてはどうしても応急的な措置、たとえばむだな費用であっても一応応急な措置をされないと、人命、経済に大きな損害を来たすということが一つ、それからもう一つは、この沈下が永久に沈下の形勢をたどるのか、あるいは一定の期間を経れは沈下がとまるのかということの科学的な証明をする必要があります。これも急いでやらなければならないと思いますが、もしこれが悪い結論が出て沈下の停止が見込みない、逐次今のような状態で沈下するものとするなれば、これは大きな都市計画というものが考えられなければならぬのではないか、同時にまた、その沈下の原因がガスを採取する結果において出てきたとするなれば、これについても産業上の利益はとにかくとしても、国土対策として大きく考えなければならぬ、こういうふうなかなり込み入った事情が伏在しておると思うのであります。この点につきましては過去においてとってきた処置につきましては、担当局長から御説明申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/51
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052・淺村廉
○政府委員(淺村廉君) まず、今までにどういう措置をとってきたかということにつきまして特に御説明申し上げたいと思いますが、地盤沈下の問題は、お話がございましたように相当以前から取り上げられておったのであります。ただ、この仕事を企画庁といたしましては直接は実施いたしませんので、各省が各省予算において対策を進めて参っておりまして、地盤沈下地帯といたしましては、たとえば東京あるいは中京地区、あるいは大阪、尼崎といったような阪神地区、その他所所方方にこういうことがございまして、これに対しては運輸省、建設省、その他関係省におきまして種々な名目でその対策事業を実施して参っておったのであります。しかるに、最近新潟の地盤沈下という問題が特に大きな問題になって参ったというわけでありまして、これは沈下現象が最近非常に著しくなったということに端を発するのであります。従いまして、今大臣からお話がございましたように、昨年新潟地盤沈下応急対策協議会というものを企画庁の中に設置をいたしまして、この問題について関係の各省の局長程度の者が集まりまして、種々話し合いをするということにいたしたのであります。応急対策協議会というのは、別に法律とか政令に基いて設置したというようなかた苦しいものではございませんので、ただ私どもが世話役になりまして、各省の関係の方々に集まってもらって、必要のつどこの問題について話し合う、しかもそのねらいは協議会の名前にも表わしておりますように、応急対策をどうするかということを考えていくのだということに赴いたのであります。予算といたしましては、昨年予備費からも相当の額が支出いたされまして、応急対策事業を進めるということにもなりましたし、それと関連をもちましていろいろな検討を進めておったのであります。その結果、海岸の堤防のかさ上げであるとか、あるいは河川堤防のかさ上げであるとか、あるいは排水施設の整備であるとか、そういったような応急対策事業を相当なテンポで現在実施されている次第であります。一方原因の究明につきまして大きな問題がございますが、これは科学技術庁に資源調査会という付属機関がございまして、その中に新潟地盤沈下調査特別委員会というものが設置されております。その特別委員会が各省からデータを集めまして、調査の結果をまとめまして、最終的に何が原因であるかということを一応出す、そういうことになっております。従いましてこの企画庁でやっておりましたところの新潟地盤沈下応急対策協議会といたしましては、別にこの原因の問題には直接触れておりません。むしろ、早く原因を出していただきたいということをこの協議会で話し合っておったようなわけであります。科学技術庁の方のこの特別委員会における原因の探究はただいま着々進められておると聞いております。御承知のようにいろいろなことが話しに出ておりまして、まだ簡単に何が原因であるか、どういう対策をとるべきかというようなところまで至っておりません。いずれ近いうちにこの結論がまとまるというふうに私ども聞いておりますので、その結果によりまして、また企画庁といたしましても善処して参りたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/52
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053・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この原因の究明については科学技術庁がその衝に当ると、こういうことになっておるわけだそうですが、経済企画庁としては、これを科学技術庁に御一任申し上げたというような形で手をこまねいておったの、ではないか。ところが、最近地盤沈下の問題が非常に大きくなってきたので、ここでとりあえず審議会を作って審議会の審議に付そうと、そういうふうに私どもには受け取れるわけであります。この点を納得いくように御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/53
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054・淺村廉
○政府委員(淺村廉君) 原因の究明につきましては、ただいま申し上げましたように科学技術庁の関係の特別委員会でやっておられますが、その結論は私ども伺うところによりますと、近く出されるということであります。ただいままでの仕事の進め方は、そのようなことになっておったわけでございます。しかしながらこの地盤沈下の問題につきましては、原因の探求以外に、かりに原因がどうだというような結論が出た場合に、どういう対策を講じたらいいか、法制的に何か整備する必要があるんじゃないか、いろいろな問題がここに出てくることは当然予想されるわけであります。しかも、この地盤沈下という現象、特に新潟の場合につきましては、関係の各省が種々の行政を持っておりまして、その関係も相当錯綜いたしておりますので、そういう問題をすみやかに解決いたしまして、行政上の実施に移すためには、何か一つのまとまった審議会を設けまして、ここで学識経験者も十分加えまして忌揮なく意見を交換して結論を出すということが一番捷径だというふうに私どもは考えております。各省の行政がそれぞれ関係し合っておることでもありますので、審議会の世話役は、むしろ経済企画庁において行うということが、従来各種の事例に照らしましても最も適当であるというふうに考えられましたので、私どもはこの審議会が設置されましたならば、そのような状況をすべてここに反映いたしまして、仕事を進めて参りたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/54
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055・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この地盤沈下の対策について、科学技術庁と経済企画庁との責任分担はどのようになっておるか。たとえば地盤沈下の測定とか、あるいはその原因の究明、こういうのは科学者技術庁がやるのか、そしてその他の対策については、あげて経済企画庁が担当するのか、その責任分野を明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/55
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056・淺村廉
○政府委員(淺村廉君) これは先ほど申し上げました現在企画庁に設置されております新潟地盤沈下応急対策協議会で話し合いをいたしまして、各省との間に一つの了解事項というものを取りまとめておるのであります。それによりますと、たとえば運輸省あるいは通産省等におかれましてこの原因を探求するために、観測井、井戸を掘りまして、そうしてどのくらいの層においてどのくらい地盤が沈下するかということを調査する、その予算は、あるいは先ほど申し上げました予備費あるいはその他従来の一般予算からいろいろ出ておりますが、そういう仕事を各省においてそのように実施される、その結果を科学技術庁の資源調査会の中の特別委員会に提出いたしまして、そしてそのデータに基いて、果して原因は何であるかということを科学技術庁のその特別委員会がまず判定をする。そうして科学技術庁として原因は大体こういうことであるという結論を出される。私ども経済企画庁といたしましては、原因の究明については別に関与はいたしておりません。これはそういう話し合いで現在進められておりまして、私どもはむしろ今までのところは応急対策事業をどういうふうに円滑に実施するかということで各省といろいろ話し合って、そのお世話役をやっておるという格好でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/56
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057・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この地盤沈下対策については、私ども社会党としても重大な関心を持ち続けてきたわけです。現に具体的には現在衆議院の方に地盤沈下対策特別措置法という法案が出されているくらい、これは一つの具体化ですが、これについてごらんになればおわかりになるように、地盤沈下対策についての非常に至れり尽せりの方策が載っておるわけですが、これを長官はごらんになって、どういうふうにお感じになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/57
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058・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) 地盤対策の根本方針といたしまして、たとえば新潟地区を中心にとられておりますその沈下の原因が、天然ガスの採取に原因するものか、あるいは自然現象によるものかということの科学的な結論がまだ出ないのです。その科学的な結論が出れば、直ちに積極的な政策をとれるのでありますが、その結論が出ないような現状であります。目下それにつきましてすみやかに結論を出すように、実は督促をいたしておるような次第であります。往々にして学者の意見が対立した場合に、そのためにかえって対策がおくれるようなことがあってはならぬと思いますが、その点は十分考慮に入れまして、早急に結論を出して、直ちに積極対策をとるように企画庁としては善処いたしておるということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/58
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059・伊藤顕道
○伊藤顕道君 現在地盤沈下で問題になっておるのは、東京、大阪、長崎、新潟、四日市というほかにもあろうと思いますが、大体われわれはこのくらいを承知しておるのですが、これはいずれも工業地帯が多くして、工業の拡張の上から見ても、民生の安定の上から見てもゆゆしい問題だと思います。今にして抜本的な方策を講じないとゆゆしい問題になると思うのですが、こういう各地区によっても多少方策も違いましょうが根本的な抜本的な方策としてどのような手を打たれようとするのか、今後の対策、そういう点を明確にお伺いしたい。政府委員(淺村廉君) 地盤沈下の現象は、お話しのように各地にございまして、それに対して各省が現在まで対策を実施してきているわけでございます。しかしながら、全般的にこの問題を取り上げましてどのような手を打っていったらいいか、側々別々の問題として処理すべきものか、あるいは全般的に何か共通した措置が必要であるのか、その他まあいろいろ問題が考えられるわけでありまして、従いまして、この地盤沈下対策審議会等が設置されましたならば、そこにおきまして、そのような問題を十分論議いたしまして、そうして最もいい結論を早く出したい、こういうふうに考えている次第でございます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/59
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060・千葉信
○理事(千葉信君) 先ほど委員の異動があり、苫米地義三君が辞任されまして、その後任として野村吉三郎君が委員に選任されました。以上御報告をいたします。
午後一時半まで休憩し、午後、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案について質疑を続行することとし、休憩いたします。
午後零時二十四分休憩
―――――・―――――
午後一時五十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/60
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061・千葉信
○理事(千葉信君) 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き経済企画庁設置法の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/61
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062・伊藤顕道
○伊藤顕道君 午前に引き続き、二、三長官にお伺いいたしますが、午前における、長官並びに政府委員の御回答で、大体地盤沈下の原因については、現段階ではあまりまだ明確ではない。しかしながら、一面地盤そのものの性質ということが一番大きな問題であろう。また、天然ガスの採取とか、あるいはまた、地下水のくみ取り過ぎだとか、こういうふうなことは当然にあげられると思うのです。たとえばそのうちの一つをとってみて、地下水のくみ上げ過ぎ、こういう問題とその地下水を何のためにくみ上げるかということになると、これは工業用水ということになろうと思うのです。ほかにも原因はありましょうけれども、ほとんど工業用水ということになると、これを何とかして対策を講ずるとすれば、工業用水を地下水に求めないで、地下水以外のものに求めることによって、これは自然その面だけは解決すると思うのです。そういう点について企画庁としても何か手を打っておられると思うのですが、こういう点を一つ明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/62
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063・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) 具体的な問題でございますので、政府委員からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/63
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064・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 工業用水の点につきましては、経済企画庁としては通産省、大蔵省等と協議いたしまして、たとえば尼崎地帯あるいは九州地帯、四日市等の工業用水として地下水をたくさんくみ上げておる地域に地盤沈下を来たしておるような地帯につきましては、特別に財政補助を出すなり、あるいは開発銀行等から融資等をいたしまして上水道を敷設するというような対策をただいままで講じてきたのでございますが、今後地盤沈下対策審議会を設けました上は、さらにもう少し総合的に対策を考究していくようにして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/64
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065・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いろいろ原因についてはあげられておるのですが、今の地下水の問題ですね、これが明らかに地盤沈下の一つの大きな原因になっているということだけはもうはっきりしているわけです。あの戦争で工場が爆破された、で、終戦後しばらく工場の再起が不可能で、従って工場は運転していない、そういうことから、工業用水すなわち地下水を必要としないそういう地区では、地盤沈下がそのままストップした状態にあったという事例があげられているわけですね。そういうことからも、ほかに原因があるにしても、地下水が一つの有力な原因であると、特に東京、大阪、尼崎、こういう三大工業地区についてはそういうことが指摘されておるわけですね。従って、私のお伺いしたい点は、地下水をくみ上げなければ沈下がストップする、そういうことが明らかであるならば、先ほどもお伺いしたように、工業用水を地下水以外のものに求める以外には、どういうふうに考えても方策がないと思います。これはもうこの一点に尽きると思うのですよ。地下水を叫びくみ上げることによって沈下すると、そういう前提に立つならば、地下水をくみ上げない方策を講ずる以外にない。そういうことになると、工業用水を他に求めなければならない。そういうことになろうと思います。従って、工業用水を地下水以外の他に求めるのにはどういう方法があるか、そういう問題に集約されると思うのですが、その点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/65
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066・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 地下水をくみ上げることによりまして、地盤沈下が明らかに起っているという所に対しましては、通産大臣が地域を指定いたしまして工場に指示いたしまして、これ以上地下水をくみ上げるなというふうに指示いたしますとともに、それでは工場が成り立っていきませんので、このかわりの水といたしまして、たとえば上流にある川の水を引っぱってくるというような対策を今まで講じてきているわけでございます。ただ、それだけでは、その地方の一つの応急対策にはなりましょうけれども、全国的に考えました場合に、それだけの対策で果していいかどうかということは問題があろうかと思うのでありまして、たとえば全国総合開発計画をさらに促進いたしまして、工場の大都市集中を避けていかなければならぬということを考えるのも一つの対策ではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/66
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067・伊藤顕道
○伊藤顕道君 三十一年六月だったと思いまするが、工業用水法という法律が制定されて、地下水即工業用水の制限をしておるわけですね。これは、特に大阪、尼崎についてはその指定地区になっている。ただ東京の面については、工業用水を他に求められないという特殊事情があるので、まだ指定地域になっていない。そういうふうに承知をしておるわけですけれども、工業用水法が制定されてもう三年ほどになるのですが、その間における成果はやはり少しも上っていないということなんですが、その面についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/67
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068・淺村廉
○政府委員(淺村廉君) 工業用水法を制定されまして以来、お話がございましたように、通産省におきまして、主として大阪あるいは尼崎地区を対象に施策を進めておられるわけであります。この成果がどの程度にあがっておりますか、実はこれは所管が通産省であります関係もありまして、私、ただいま資料も持ち合しておりませんが、確かにこの水の問題は非常に大きな問題でございまして、官房長が先ほど申しましたように、国土総合開発計画といたしましては、種々の観点から、工場をあまり集中して作るというようなことも原因を作ることになりますので、そういったこともある程度防がなければならないというようなことから検討を加えているわけでございます。少し御質問からそれると思いますが、新潟の問題などはこれは相当大量のガスを採取いたしております。それに伴って水が噴出してくるというようなことが原因ではないか。他にいろいろ地殻の変動説、何説といろいろでございますが、特にやかましく言われているのは、ガス採取に伴う地下水の噴出、それによって生ずるのじゃないかということが言われております。で、ガスをとって水だけをもとに戻す方法はなかろうか、いろいろ学問的にも技術的にも研究はされているのでありますが、まだはっきりした、こうしたらいいという結論にまで至っていないのであります。そこで、われわれはだいぶいろいろな問題がすでに出ておりますので、そういう問題を対象にいたしまして各省とも十分意見を交換し合いながらすみやかに対策を立てて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/68
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069・伊藤顕道
○伊藤顕道君 東京都では、工業用水を地下水に求めることができない、そういう事情があるので、最近では下水処理の利用ということも考えている、そういうことを聞いているわけです。これはまだ具体化していないですか、ただ理論として成り立っているだけで具体的には進んでいないのかどうか。進んでいるとすればその実情、こういう点をお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/69
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070・淺村廉
○政府委員(淺村廉君) 東京都につきまして、具体的にこの問題をどう取り上げているかということにつきましては、これももう少し資料を用意いたしませんとちょっとお答えいたしかねるのでありますが、東京の地盤沈下の問題、これに対しましては確かにこの水の問題がございますので、相当久しくこれについては江東地区の堤防のかさ上げ等を行なって対策を講じております。なお大阪、尼崎等につきましても、地域を制限して工業用水道の設置というようなことについて相当の施策を通産省において進めております。私ども大体ただいま承知しておりますのはその程度でございます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/70
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071・千葉信
○理事(千葉信君) 先ほど委員の異動がございました。高瀬荘太郎君が辞任され、その後任として田村文吉君が委員に選任されました。以上御報告いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/71
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072・伊藤顕道
○伊藤顕道君 時間の関係で、最後に一点お伺いいたします。尼崎では全国に先がけて工業用水の専門の水道を敷設したようでございますが、その後尼崎の地盤沈下については、何らかの成果が上がっているのかどうか、こういう点を最後にお伺いして質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/72
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073・淺村廉
○政府委員(淺村廉君) 尼崎につきましては、私の聞いておりますところでは、そのような対策が講じられまして以来、地盤の沈下量が相当に減少いたしております。数字的にちょっとここに持ち合せがございませんので詳しく申し上げられないのは残念でございますが、結果は非常に良好であると聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/73
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074・横川正市
○横川正市君 大臣にお伺いしますが、この法律案の提案に当って、予算及び定員、それから審議の状況については提案書の中に書かれた通りで、予算九十六万円、それから委員会は年六回、幹事会は年十二回、本年度の予算が七億、それから明年度予算が十三億、定員は増強されないと、こういう趣旨で本法律案の提案がなされておりますが、地盤沈下という現象に対して、対策は政府としては緊急にしなければならないとお考えになっておるのでありますか、それとも相当慎重にかまえてでも調査だけは急ごうという程度のことでかまえていらっしゃるのか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/74
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075・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) 地盤沈下の問題につきましては、応急対策と恒急対策との二通り、両案をもって並行的に今進めておるような次第であります。応急対策は、御承知の通り緊急を要する浸水地帯に対する対策はそれぞれ講じておるのであります。なお恒久対策につきましては、これもできるだけすみやかに沈下の原因を明らかにして対策を講じたい、かように考えましてそれぞれの機関を督励いたしまして、促進いたしておりますということを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/75
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076・横川正市
○横川正市君 応急と恒久との二道を、かけているというのは、現実に国土に相当大きなひびが入って、しかもそのことによって一般住民の生活までに不安があるということでありますから、その二道をかけることは私は当然だと思うのです。しかし、この法律案はそれならば二道をかけて、必要として政府は提案されたのかどうか、その点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/76
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077・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/77
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078・横川正市
○横川正市君 そうすると大体地盤沈下関係で、関係省というのは建設省、経済企画庁、自治庁、科学技術庁というような各関係官庁がそれぞれその分掌に従って地盤沈下についての対策を立てられていると思うのです。これらの各省の機能と、それからこの審議会とはどういうふうに結びつけていくのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/78
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079・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) その点に関しましては、事務当局からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/79
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080・淺村廉
○政府委員(淺村廉君) 地盤沈下対策事業といたしまして、各省がどのような仕事をやっておるかということをまず簡単に申し上げます。現在は地盤沈下を防ぎますために、水が入ってくるのを防止する意味で、たとえば川で申しますれば川の護岸のかさ上げ工事というようなものを、あるいは堤防のかさ上げ工事といったようなものを建設省において所管をいたしております。あるいはまた水が入ってくる、その水を外へ吐き出す、排水の能力がだんだん悪くなりますので、ポンプ場を新設して排水を完全にするといったような工事が必要になって参ります。そういう事業も同じく建設省で所管をいたしております。それから海岸が直接沈下いたしますと、海水が浸入をして参るという事態が起りますので、海岸の護岸のかさ上げ、あるいは堤防のかさ上げということをやらなければならない場合が多いのでありまして、そういう仕事も建設省が所管をいたしております。しかしながら、そういう土木工事は建設省だけではないのでございまして、運輸省では港湾というものを対象に行政を所管しておりますので、港湾の防波堤のかさ上げであるとか、あるいは港湾地区の、これは海岸ではございますが、港湾地区として運輸省が所管をしております。その海岸の護岸のかさ上げであるとか、あるいは臨港埠頭のかさ上げであるとか、そういったような建設省で所管をしておりまする事業を実質的には、非常に類似の事業を運輸省においても所管をいたしておるわけであります。土木関係の事業といたしまして、そのような省がそのような事業を所管いたしておりますが、そのほかにただいま特に新潟において行なっておりますことは、たびたびお話も出ましたが、その原因を早く突きとめなければならぬということで、運輸省と通産省が、これは調査という名目で、予算をもちまして、観測のための井戸を設けまして、どのくらいの深さの地層がどのくらい沈むかということを、詳細に調査いたしております。すでに調査が出たところもありますし、現在まだ調査中のところもあります。非常に深い井戸を最近掘りましたので、そういう面でまだ結論の出ていないものもあります。そういうように通産省、運輸省において、調査をやっております。そのほかボーリングをやりまして、土質を調べなければならない、どんなふうな地下の状況になっているかということを調べなければならないというので、土質の調査、これを運輸省がまたやっております。で、そのようにして各省でやっておりますのを、私どもの方では総合いたしまして、企画庁といたしまして、午前中にも申し上げました地盤沈下対策協議会の議題にいたしまして、私どもで話し合いをいろいろいたしながら、各省がばらばらにならないように、一つの方向に総合的に仕事を進めるようにやっているわけであります。大体仕事の分担の関係を簡単に御説明申し上げれば、今申し上げたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/80
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081・横川正市
○横川正市君 そこで、大体この審議会のおもな目的が、これがまあ関係各省の少くともこの分掌的な取扱いを相当取りまとめて、大綱的にこの緊急とそれから恒久面を対処していきたいという性格を持っているのじゃないかと、私は思うのです。ただ、その性格を、側々の予算と、それから委員会を開かれる回数、それからこの人員、いろいろな点も総合してみると、私はこれは審議会の持っております機能だけでは、これだけの五つ六つの各省とりまとめて、そうして実際上対策を立てていくということは、相当これは困難ではないかというように思うのです。ことに、幾らかでも役所の悪く言えばセクト性、よく言えば熱心さといいますか、そういうものを取りまとめていくということになれば、私はこれは少くともどこかの省にしっかりとした一っの機構が設けられて、そうしてその機構が具体的な事務もそれから工事も一貫してやれる、こういうこの筋を通したものを作ってそれからやるためには、たとえば科学技術庁の応援を得るとか、自治庁との関係では資金の支出の具体的な問題等を打ち合せるとか、一本やはりこの地盤対策のための責任の持てるところを作ってやったらどうか、こういうふうに考えるわけなんであります。で、それには一週間ぐらい前に衆議院に地盤対策特別措置法案が議員立法で出されておりますが、何かこれは衆議院では継続審議になるようであります。継続審議になるということは、少くともこの審議会とこの処置とを併用するといいますか、あるいはこの関係を密にしながら緊急に対策を立て、さらに恒久的な施策を練る、こういう考え方のようでありますが、これはぜひ私は必要なものだと思うのです。この点について大臣は出された法律案との関連性から、どうお考えになっているかをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/81
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082・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) 今、局長から説明を申し上げましたごとく、地盤沈下の所管が各省にまたがっておる関係から、自然事務運営の上においても敏速を欠くというようなきらいのあることは、御指摘の通りでありますが、現段階においてはその内容を十分検討しないというと、どの省にどう所属さしてどうするというようなことは、まだそこまで見当がついていないのではないかというきらいもございまするので、とりあえず地盤沈下の根本対策として、地盤沈下の原因を追究し、ひいては緊急な分だけは緊急対策をやるという建前で、特に学術並びに経験者等の知恵をしぼって大まかなその結論を出すという段階で、今推進しているようなわけであります。なお、事務の推進をはかるために、総合的な意味において、企画庁が音頭取りしているというような実情であるということを申し上げたいと思うのであります。
なお、新たに議員提出の法案があるということも了承いたしておりますが、前段申し上げましたような、地盤対策の根本理念も明確に今なっておらないことが一つの問題であり、また、予算も自然大きい予算も伴わなければ、所期の目的が達せられないとも考えられますので、にわかにこの問題についてどう新しい法律を作ってどうするというようなことを、にわかに今御賛成ができないような実情にあるということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/82
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083・横川正市
○横川正市君 そうすると、事務当局にちょっとお伺いしたいのですが、四つの島で起りつつある地盤沈下の現象というのは、たとえば陥没地帯があって、それに影響されて、うちがひん曲ったら、うちの土台を直せばいいのだ、こういうようなことで、あまり起りつつある現象に対してはそう緊急にどうこうする必要はない。まあどういう現象なのか、とっくりと一つ考えて事情がございまして、その原因と対応する対策は、ぼつぼつ予算措置を講じ、実施してきつつあるわけであります。
なお、最近新潟を中心として起りました地盤沈下、これは今までに例を見ない度の強いものでございますが、特にこの原因の探究並びに応急対策並びに恒久対策をいかに講ずるかということを慎重に検討いたしたいために、審議会を設けたわけでございまして、審議会が非常に迂遠のことをやって、当然わかっていることをおろそかにするという趣旨のものでは決してないということを御了承願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/83
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084・横川正市
○横川正市君 それならこの法案を提出されたときに、私はもう少し筋道を立てるべきだと思うのです。予算が九十六万円で、委員会は年六回開かれて、幹事会が十二回開かれるというのが緊急、恒久合わせて、委員会の持っている性格が果してそれに対処する性格なのかどうか。ことに政府の提出する今度の設置法を見ると、ほとんどが年六回、幹事会十二回、大体二年の臨時立法と、こういうやつが十幾つも出てきているのですよ。私は一つ一つの問題に対しては、一つ一つ対処する内容は変わってこなければならぬ。それならば、回数にしても、内容にしても一つの設置法が全部変わってこなければならぬ。ところが、全部同じ形態で一年とか二年の臨時立法にしておく。これはどうもやはり私どもが聞いてみて、地盤沈下その他についてはあまり重要には考えておらない。ただ何か外部からわいわい言われるから、まあ審議会を持って研究していこうというような逃げ口上だととられても、どうも私は抗弁できないのじゃないか、こう思うのですが、この点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/84
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085・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 予算は査定の関係上、御指摘のような金額にとどまっておるのでございますが、私どもといたしましては、決して外部の要請に対して、一応見せかけの審議会を作っているというような感じで運用するのでなく、真剣に取り組みまして、要すれば、さらに回数の必要がございますれば、さらに回数を増加する。そのための予算の運用等については、大蔵省当局とも折衝いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/85
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086・横川正市
○横川正市君 大臣にお伺いしますが、閣議で、今度ずいぶんたくさんな設置法が出ておるわけなんですが、一様にこの内容は定員を伴わない、予算も非常に微々たるものである。しかも時限立法では皇居造営審議会が一年、あとは大体二年ぐらい、そうして委員も、私はまだ行管から資料はいただいておりませんが、大体あまり出席のできない、それから非常にたくさんな委員会に顔を並べている、こういうような人たちを充てて持たれているわけですが、そういうような設置法をずらっと並べることだけで、果して今のいろいろな緊急を要する問題等について対処すると、こう閣議で御決定になったのでしょうか、その点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/86
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087・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) 審議会等の委員についての問題は、学識経験者を中心にして、しかも慎重に審議するという目的のために組織されたのでございまして、もしこれが特に実績も上がらないという実情があれば、おのずから判断が変わると思いますが、現在のところは、学識経験者を中心にして、その問題をすみやかに取り上げて結論を出すという方針で進んでおるということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/87
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088・横川正市
○横川正市君 私はここで、たとえば、各省の分掌のやつを見ますと、建設省は当面起っております地上におけるいろいろな被害の状況に対して応急手当をする。それから、科学技術庁はいろいろな起ってくる現象に対して専門的な人を動員して調査をする。その二つの関係から、地盤沈下の現象というものを把握されまして、それぞれ経済企画庁に関係するもの、自治庁に関係するもの等、私は運用されていく建前で、各省の機構というものはできていると思う。そうしてなおかつ、そういう機構で間に合わないから、緊急を要する、あるいは恒久対策を練らなければいかぬ、こういうことで国会に対する要望や陳情があるわけですね。そうすると、筋道とするならば、やはり責任者が一つ持って、そこに基礎を置いて、地盤沈下に対する特別の課とか人員とかというものを備えて、そうしてそれによって動き出す。動き出したら、そのあとは各関係官庁に協力してもらうのだ。そのために審議会のようなものを持って、そうして取りまとめ、協力をしてもらう。こういう格好が機構上出てこないと、動いているというふうには実際には見れぬわけですよ。やはりこれは何といっても予算とか、定員とか、回数とか、人員とか、いろいろな点から見てみても、ちょっとこれは逃げ口上じゃないかと見られても仕方がないのじゃないか。この点で一つ大臣は、先ほどから原因その他についてはなかなか困難で、まだ調査の段階だ、だからこういう審議会を作ったのだと言われておりますが、それを一歩前進させて、地盤沈下による現象に対しては、緊急、恒久対策とも合せて、早急にこれに対して政府としては対処する石だ、こういう点を一つ明かにしてもらわないと、私どもはどうも審議会を作って、ただ法案を出されたからまあいいということで済まされない、こう思うのですが、その点の御回答をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/88
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089・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) お説ごもっともだと思います。応急対策並びに恒久対策について審議会を持っているのだが、その審議会がおざなりではないかというふうに御指摘のようでありましたが、先ほど来局長から御説明申し上げましたごとく、現在のところ所管が各省にまたがっておる。これは新潟以外の例をとりましても、もし沈下が繰り返されて、沈下がひどくなりますと、近所のたんぼに水が入ってくる。そうなると、今度は関係のなかった農林省が参加してこなければならん、こういうようなふうなのが、今日の地盤沈下の困難な一つの実情であると思うわけであります。そこでさような場合を一応予想いたしまして、各省を督励し、しかも各省の立場々々を十分発揮せしめて、そして総合的な促進をはかって、臨機並びに恒久対策を促進せしむるために、一応審議会を作り、その審議会もいわゆる学識経験者を充てる、充ててその実を上げるというのが政府の方針で、今日までやってきたような次第であります。もちろん国土総合開発の建前からいえば、国土保全ということも考えなくちゃならん、いろいろなことを想像いたしまして、産業経済の発展の面も一部考えなければならんということを申しまするが、なかなか端的にこの問題を早急に解決しにくい事情があるということもお含み願いたいと思いますが、新潟の点を取り上げて申しますと、私は近く結論が出るのではないかという見通しを持っておるわけであります。さような関係でありますから、これが長引くような、ただおざなりの審議会であれば、私も少し意見があるわけでありますが、近く結論が出そうだということが一応見通しがついておりますので、その結論がつきましたら、直ちにまたあらためて大蔵当局等とも関連を密にいたしまして解決をいたしたいというふうに考えております。そういう熱意をもって今推進しておるということを御了承願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/89
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090・横川正市
○横川正市君 まあ釈然としないのですが、法律案が衆議院に出ておりますので、専門の委員会でおそらく審議されるだろうと思いますので、その機会に関係各省、ことに審議会を持たれた大臣の協力といいますか、積極的な打開策を含めて協力するということを要望して質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/90
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091・田村文吉
○田村文吉君 ただいまの横川委員の発言に関連しておりまして、大体問題の盲点をつかれたと思うのでありますが、御承知のように、新潟の例を今お引きになったのでございますが、新潟は二十八年の年からはっきりと五センチずつ下っておる。最近に至りまして、昨年は四十センチ下ったという説と、五十センチ下ったという説がある。そのくらいに最近になって非常に加速度を早めておるのであります。そこで単なる産業だけの関係であればよろしいのでありますが、この問題はもうすでに信濃川を狭んで、左岸、右岸、両方面とも日々水が増してきて、しまいには縁の下に入るというような状態に相なっておるのでありますので、私はこういう機構の御改正も決して悪いとは申しません。ことに他にあるいはまだ原因があるかもしれないという場合、また他の都市においていろいろの点から御調査なさるというような点からいって、決して悪いとは思わないのでありますが、今の新潟の例等を見ますと、これは御承知のように、毎日々々新丸ビルの二倍の容積の水が、海中に汲み出されているのでありますから、たとえ地下六百メートルであろうと、七百メートルであろうということを問わず、従ってああいう砂礫地帯といいますか、土と砂の地盤でありますものであれば、当然、下るのは当りまえです。大部分今長官が言われたように、ガスのためであるということは、大体常識論でみなそう判断しておるわけです。しかし、そのほかにも原因がないかということについてお調べになるのはよろしいが、こういう機構ができたために、せっかくあすが日の迷惑をしないように、あすが日の水中に没するようなことにならないように手配をしようと、せっかくみな努力し、またお願いをしておる地方民の人たちの上からいくと、こんなものでまたニカ月、三カ月、四カ月引っぱられては、もう床の下へ入ったのを永久に抜けない。洪水ならばまた水がひけば差しつかえないのでありますが、洪水と違いまして、地盤沈下でありますから、入ったら最後末子末代まで抜けない、そういうような思い詰めた、せっぱ詰まった情勢下にありますときに、こういう審議会ができてそこに幾らか責任が転嫁されて、それで幾らかでも気安めになるというようなふうに問題が取り扱われていくということを私は非常に心配する。そこでこの問題は審議会は審議会でよろしいが、一方においてもうすでに下ってしまって、どんどん堤防は上げなければならず。ポンプは取りつけなければならない。こういうような措置が少しもこれがために、弱められることなしに進められなければならないと思うがどうか。この点については私は総理大臣になお確めたいと考えておったのでありますが、この間各省の大臣に予算委員会で御質問を申し上げまして、みな一生懸命でおやり下さるようなお話は伺ったのでありますが、しかしただおそれるのは、こういう審議会ができるために、せっかくすぐ対策を講じようというものがおくれはしないか。こういう心配を特に持つわけ、ですが、そこで長官は閣議におきまして、こういうものができたからすべて統合して企画庁の審議の経過を待って強制的に一つやってもらわなければ困るというようなことになると、事柄は非常におくれる。こういうふうに考えますのでありますので、少くもさしあたって応急対策としては、どんどん工事は進められていくということについて、少しも制約することのないような考え方をお持ちになっているかどうか。その点を一つはっきりと承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/91
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092・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) お説ごもっともだと思いますが、過般も地元の方から非常に具体的にしかも真剣な陳情を受けまして、非常に大事な問題だと実は私は考えたわけであります。そういう関係から、現在のあり方はどういう現状になっておるのか、実は事務当局から意見を聞いて資料もいただいたのです。そうして検討いたしました結果は、先ほど御質問がありましたが、審議会を作っていいかげんに官僚的な引き延ばしのような、ごくその場のがれの処置をやっているのではないか、実はそういうことも考えてそういうことを指摘したわけです。そういうことを指摘したところ、事務当局から、そうじゃないのだ、真剣に取り組んでいるのだ、それで一刻も早く実は対策の結論を出たい、それぞれ督励しているような実情であるという、実は報告を聞いていたわけであります。今御指摘になりましたように、非常に重大な案件であり、一方産業経済の面に関係が深いと同時に、もし天変地変等の起った場合の水害あるいは津波等を思い起せば、人命にも影響する重大な問題ではないかと、私はさように実は考えておる次第であります。さように考えておるわけでございまするから、決しておざなりにこの問題を扱っていくという考えはないということだけを御了解が願いたいと思うのであります。なお、具体的に対策等に関しましては、局長から御説明申し上げさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/92
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093・田村文吉
○田村文吉君 あとでまとめてやっていただいてもけっこうですが、私の心配するのは、こういう法律が出たために、肝心かなめの水におぼれようとしている家や産業や、あらゆるものが放置されることになりはせんか、こういう心配をするから、そこで長官は閣議において絶対にこれはこれで原因の恒久的の研究は大いにやっていただかなければならぬ。ならんが、今の恒久対策がこれがためにゆがめられては困るのだ、だからこれは農林省にも関係があるんですよ。たんぼにも塩水も何も入るわけですから、農林省も関係があるのですが、お話しの建設省、運輸省、それから通産省、これみんな関係があるのです。これに一つ仕事だけは進めてもらうということをあくまでも長官から保証してもらわんと困る。これが私の眼同なんです。これは仕事はお進めになってけっこうですけれども、原因の探究ということになると、いかにえらい人がそろっていても、半月、一カ月で結論を出すことはなかなか困難であると、こういうことになりがちでありますから、その点は長官は閣議において十分に主張して、総理をして決意してやってもらう、こういうところまでいかなければならぬ。その点についての御決意はどうだと、こういう点なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/93
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094・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) 御趣旨に沿うように努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/94
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095・矢嶋三義
○矢嶋三義君 国土は寸土といえども大切にしなければならぬということは申すまでもないと思います。このたびその立場から地盤沈下対策審議会を設けられることはけっこうだと思います。活発なる運用を期待いたすものであります。それでこの国土に関連して伺いますが、経済企画庁は延岡の方財島の侵食状況を承知しているか、していないか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/95
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096・淺村廉
○政府委員(淺村廉君) 九州のその地区の地盤沈下対策については、いまだ詳しく承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/96
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097・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この審議会はあるいは新潟、あるいは大阪の地盤沈下に対処しようというのですが、国土は寸土といえども大事ですから、延岡の方財島というのは、これも原因がまだわからないのですが、ものすごい勢いで島が浸食されている。人心は動揺いたしております。運輸省の港湾関係で対処しているようですが、運輸省あたりでは処置のできる問題ではないです。やはり経済企画庁が国土を守るという立場から科学的に、本格的に取り組まなければならぬ問題だと、かように考えますが、この審議会設置に関連して、大臣の所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/97
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098・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) さっそく調査をいたしまして善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/98
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099・矢嶋三義
○矢嶋三義君 こういう問題は海岸あるいは港湾関係だからといって、運輸省一省でやっているところに問題がある。行政が誤まつているのですね。経済企画庁と十分な連係の上にやらなければならぬ問題でありますから、特にこれは要望申し上げておきます。
次に申し上げたい点は、新たに審議会を一つ設けられるわけですが、審議会に関しましては、御承知のごとく、一月二十四日行政審議会から答申が行われている。その中には具体的にこういう審議会はもう廃止したがいいだろうということを答申している。現在行政管理庁においてこれを検討中だと聞いておりますが、私はこのような審議会はもうその任務が終ったら直ちにこれを廃止する、これが当然だと思います。仕事の終った開店休業のようなものをいつまでも置いておくことはよくないことだと思うのです。従ってあの答申の骨子は賛成でありますが、あの中にあなたの方の所管の離島振興審議会を廃止せよという答申が総理大臣に出されておるわけですね、島の多いわが国における離島の重大性は申すまでもないと思います。離島振興対策に対する所管大臣の基本的な見解は、先般予算委員会でお答えをいただきました。私がここで伺っておきたい点は、この離島振興審議会を廃止しよう、しかるべきであるというこの答申が今行政管理庁において検討されているわけですが、所管大臣としていかがお考えになっておられるか、確と承わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/99
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100・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) 審議会は私の考えとしては存続いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/100
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101・矢嶋三義
○矢嶋三義君 閣内において努力されますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/101
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102・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) 努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/102
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103・矢嶋三義
○矢嶋三義君 離島振興に対するあなたの基本的な考えは、先般参議院の予算委員会において披露されまして、きわめて積極的な意見で私は敬服いたした次第でございます。しかし、このたび経済企画庁の設置法改正を提案するに当って、多年にわたって国会で論じられ、立法の意思が相当に固まっておるのに、離島振興の課の設置の問題等についていまだ解決をしていないということは、まことに私は遺憾だと思うのです。立法の意思がそういうふうに表示されたことは御承知の通りであります。また、歴代の経済企画庁長官はそれに即応したところの答弁をしているが、さらに企画庁長官は先般参議院予算委員会で、あなた御記憶の通りの答弁をされている。それだけの答弁をしておるのに、何がゆえに離島振興課というものを設け、その行政機構の整備をはからないのか。この設置法を提案されることによって、そういう意思表示をしないということは、まことに遺憾とするものであります。あなたはどういうふうにお考えになっておるのか、いつこれを解決しようとするのかお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/103
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104・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) おしかりを受けて申しわけありませんが、私は就任まだ三カ月しかならないの、で、まだ十分手が回らなかったということもお許しを願いたいと思うのですが、矢嶋委員の御熱意と同じように、私は離島振興については相当熱意を傾けておる次第であります。なお、離島振興について課をなぜ設けなかったかということを事務当局に確かめたところ、予算の関係であと回しにされたというような現状でありますが、できれば御趣旨に沿うように今後努力いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/104
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105・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私はできれば努力するというようなことでは了承いたしません。それだったら歴代の長官はああいうことを国会で答弁すべきでない、あなたは参議院の予算委員会で私の質問に対してああいう答弁をすべきじゃない、私は経済企画庁の予算に対しては相当不満を持っております。予算編成の最終段階に、責任ある経済企画庁長官が辞職するとかなんとかいって、党内の紛争で職場放棄行為をやった、それが経済企画庁の予算が非常に芳ばしくないものになっておることの一番大きな原因だと思っている。それはここでは申しませんが、それと課の設置等ができなかったことは、これは不可分の関係にある。その点においては私は責任を追及したいのですね、しかし今すぐ課が設けられなければ、あの仕事をやるには十一人程度の人がどうしても必要だ、連絡がとりにくい。実地に視察して指導するといってもなかなか簡単にいかない、最小限度十一人程度が要るというのは、あなたの庁内における意向です。これを予算編成に当り要求したら通らなかった。しかし私は大臣がほんとうに言明されておる通りに、熱意と誠意があるなら、常勤職員給与という費用もあるわけですから、それらの操作によって、とりあえず仕事は重点的に十分なし得るところの行政運用は、大臣の誠意と熱意さえあれば私はできると思うのですが、それをいつからやっていただけるか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/105
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106・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) 御期待に沿うように努力いたしたいと思いますが、課の設置等に関しましては近く実現したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/106
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107・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 補足して御説明申し上げます。予算を要求いたしましたら通りませんでしたので、ただいま矢嶋委員の御指摘のように、いろいろ運用上の問題がありますから、内部の割り振りをいたしまして、できるだけ早い機会に課を作るように努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/107
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108・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ただいま大臣並びに政府委員の答弁を了といたします。よろしくお願いいたしておきます。そこで、地盤沈下対策審議会は、地盛沈下を防止して国土を守ろうとするのでありますが、これと逆に埋め立てることによって新たに国土を造成していこうという仕事が行われているわけですね、で、これは相当の国費を使ってやっているわけですが、ここで私は簡単でよろしいですが、予算委員会における私の質問に対する答弁があった、それに関連して簡単にお答え願っておきたいのですが、あの宮崎県の細島に数十億の富を投じてあの広大な土地造成をやって、一万トン級の船が十数はいも入れる状況になっておりながら、いまだに利用ができない。これは日本の産業経済の計画という点からいってまことに遺憾なことだと思うのですね、そうしてまた他の地方では、たとえば大分の鶴崎とか、全国至るところにありますが、国並びに地方公共団体が相当の予算をつぎ込んで海岸地帯に新しく土地造成をやっておる、無計画と言わざるを得ない。このために経済企画庁というのがあるのですから、そういう新たに作った土地に対しては活用できるようにしなければならぬと思うのですが、その後どういう努力をされ、どういう具体案を持っておるかお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/108
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109・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) 局長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/109
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110・淺村廉
○政府委員(淺村廉君) 鉱工業地帯の整備につきましては、私どもといたしましては、各省が集まって相談いたす協議会を企画庁の中に設けまして、特に全部についてとても手が回りませんので、ただいまのところでは、全国に五つの大きな鉱工業地帯を対象にいたしまして、毎年度の予算要求を総合的にやってもらうようにいたしております。私どもといたしましても、特に重要な問題については大蔵当局に側面的に説明をするといったようなことをやって、全体の総合調整をはかっておりますけれども、なおほかにたくさんの鉱工業地帯の問題がございまして、これらにつきましても、決して無統制にやらしておるわけではございません。やはり大きな国土総合開発の一環といたしまして私どもは常に相談を受けておるわけでございます。お尋ねのお話しのございました宮崎の細島の件は、私が聞いておりますところでは、県も非常に熱意を持ちまして、また国といたしましても、当然このような土地の造成に今後力を入れなければなりませんので、賛成しておるわけでありますが、工場用地その他の問題が若干予定よりもおくれまして、ただいま停滞をいたしておるような状態であろう思います。もちろん、私どもといたしましては大いにそういう点に応援をいたしまして、早く所期の目的を達成するように持っていかなければならないと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/110
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111・矢嶋三義
○矢嶋三義君 最後に、ああいう大きな問題になりますと、一都道府県のよくするところではないと思うのです。やはり経済企画庁が適切なる助言と指導をし、注意していただかなければ、なかなかちっぽけな県あるいは市のよくするところではないと思うのです。そのために経済企画庁というのがあるわけですからね。格段の一つ御配慮を願っておきたいと思うのです。
最後にお伺いしたい点は、実は私は予算委員会がありますから早く退席さしていただきますが、実は国務大臣、追っかけてきたわけなんですよ。それはあなたの予算委員会における人口問題に対する発言について、分科会で坂田厚生大臣と激論をしたので、あなたの見解をはっきり確かめる必要があるので、この法案と関係がないのですが、一分間でいいからはっきりしたいのです。おたくは経済企画庁ですから、すべてに企画性がなければならない。お伺いしたいのは、例の家族計画の推進についてあなたはどういう考えか、賛成なのか、反対なのか、この点について厚生省所管の審議をするときにあなたの見解を中心に坂田厚生大臣と激論して、意見が一致していないので、審議を終るまでにあなたの見解をはっきり承わる必要がありますので、これは企画庁の計画によく意味が通じますから、これだけ承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/111
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112・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) 大へん大きな問題ですから、いろいろ誤解を生ずるかもしれませんが、端的に結論だけ申しますと、企画庁だから計画に私は賛成なんです。ただ計画には賛成だけれども、人道に反するような計画をすることは慎まなければならぬ、こういうことを私は申し上げておるのです。御了解願えると思います。計画ということになるとすぐ産児制限、赤ん坊を減らす、こういうことになっている。それは人道に反する、だから私は計画はけっこうであるけれども、人道に反しない計画をして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/112
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113・矢嶋三義
○矢嶋三義君 どういうことなんですか、人道に反するというのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/113
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114・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) むぞうさに赤ん坊をふやしたり減らすということは、人道に反することであります。人間にその判断ができるか、私の持論はそれなんです。それ以外の経済計画は自由じゃないか、こういうことなんです。非常にデリケートな問題で大きな問題ですから、端的に意思表示をすることは誤解を生ずるかもしれませんが、結論だけ申し上げたら、さような結論だということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/114
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115・野本品吉
○野本品吉君 簡単に二、三分、私は従来大きな工業、大きな仕事が起って参りますと、その事業の発展と周辺の農漁民その他一般居住者と利害が競合すると申しますか、相反してくる場合があるので、今後といえどもこの問題は非常に大きな問題だと思う。この法案には直接の関係はないようでありますけれども、その点についてお伺いしたいのですが、これは今までの状況を見ておりますと、いろいろな紛争等が起ってからのみそういう問題について騒ぎ出している傾向が多いのですが、今としては大きな事業と、それから周辺の農漁民、一般居住者との利害関係の調整については、この企画庁の大きな仕事としてお考え願うべきじゃないか、こう考えておりますが、長官、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/115
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116・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) この問題も大きな問題で、論議の非常に多いことであり、また同時に、企画庁の仕事としても大きく考えなくちゃならない問題だと思いますが、私の考えていることを率直に申し上げますと、日本の産業を二つに分けて見たい。そうして大企業は主としてこれを貿易関係に持っていきたい。海外に発展させる基礎を作っていきたい。それで中小企業はむしろ内需に活躍するような方面に向けていったらどうだ。むろん大企業と中小企業をはっきり区別することはできない。連関関係がありますけれども、大体の目標をそういうふうに分けて産業経済対策を立てたらどうか、かように私は考えておるのです。その点についてどういうふうに今後持っていくかということは、さらに検討してみたいと、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/116
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117・野本品吉
○野本品吉君 今の問題、ちょっと私の質問からそれに御答弁のようにも思うのですが、時間を急ぎますから次へ移りますが、実は私の地方で明治初年以来大きな問題として取り上げられて解決せられないのが、例の田中正造先生の取り上げました渡良瀬川の鉱毒の問題。これは年々歳々その問題が起りまして、下流の農民の間にいろいろな騒ぎが起っております。そういう場合にどう対処するかにつきまして、先般公共用水域の水質の保全に関する法律というものができたわけでございます。ところが、この法律の成立過程を私はよく知っておるのでありますが、どうしたらいいかということになって、農林省から意見を出させると、農林省だけの立場から出てくる、通産省から意見を求めるというと、通産省だけの立場から意見が出てきて、なかなかこれはめんどうになって、しまいに持って行き場がないので企画庁に持ち込んで、企画庁が主としてこの法案の立案に当ったということを承知しておるわけです。そこで、そういう場合に、地方の者の考え方を聞き、声を聞きますというと、ともすれば、産業立国というようなこと、あるいは工業の開発というようなことに重点が置かれて、力の弱い農漁民というものは圧迫される傾向がある。私も事実足尾の銅山等の実情を見ておりますと、そういう傾向がないとも思われないので、そこでぜひこれらの利害関係の調整に当りましては、一方に偏しないように、どこまでも厳正公平な措置をすべきであると、こう思っておりますが、長官いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/117
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118・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) 非常にごもっともな御主張であり御意見でありますので、この水質の関係の法律を実施する以上、御期待に沿うようにいたしたいと思うのであります。ただ、私としてつけ加えて申し上げたいのは、工業ばかりじゃなしに、少くとも飲料水並びに田畑で農薬を使って流す水の水質なんかも、当然これは研究されなくちゃならぬ問題じゃないか、案外無雑作に扱っておるのじゃないかということも、この間の会議の席でもちょっと漏らしておきましたようなわけでございますが、御趣旨はよく了承いたしまして善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/118
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119・野本品吉
○野本品吉君 その法律に規定されておりますところの指定水域の問題でありますが、指定水域はすでにおきまりになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/119
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120・世耕弘一
○国務大臣(世耕弘一君) まだ決定しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/120
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121・野本品吉
○野本品吉君 大体、企画庁といたしましては、どの河川というようなことを内々予定しておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/121
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122・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 私も直接の所管局ではございませんので、正確なことは申し上げかねますが、おおむね予算を要求いたしましたときに、特定の河川六河川を調査区域にしたいということで要求しておりまして、その河川を一応原案にいたしまして審議会に諮りました上で水域として指定するような方向に持っていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/122
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123・野本品吉
○野本品吉君 渡良瀬川の流域の農民全部が、指定水域として御指定をいただきたい。そうして十分研究をしていただいて将来に禍根を残すことのないようにということの強い希望を持っておりますから、その点特に御考慮のほどをお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/123
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124・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 渡良瀬川も対象の一つに入っておりますが、われわれといたしましては、水域全体を指定しないで、ある川のA地点からB地点、また離れましてC地点からD地点というふうに指定する考えでおりますけれども、やはりその川に流れます汚水の量によりまして、あるいは川全体を指定することもあるかと考えますが、この辺のところは、今後の研究に待ちたいと思います。御要望のことはよく承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/124
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125・千葉信
○理事(千葉信君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認め、これにて本案の質疑を終局することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/125
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126・千葉信
○理事(千葉信君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御発言もなければ、これより直ちに採決に入ります。
経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)全部を問題に供します。本案を衆議院修正送付の原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/126
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127・千葉信
○理事(千葉信君) 全会一致と認めます。よって、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出する審査報告群の作成につきましては、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/127
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128・千葉信
○理事(千葉信君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/128
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129・千葉信
○理事(千葉信君) 次に、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案、国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。
前回に引き続き質疑を行います。ただいま政府側の御出席の方は、石原主計局長、岸本主計局給与課長、佐藤総理府総務副長官、増子公務員制度調査室長、瀧本人事院給与局長、以上の方々でございます。間もなく淺井人事院総裁もお見えになるはずでございます。大蔵省からも会議終了次第、追って大蔵大臣及び政務次官の出席があるはずでございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/129
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130・横川正市
○横川正市君 公務員制度調査室の方に質問をいたしますが、調査室として現在まで、この公務員制度に対して種種具体的な論議をされて今日に至っていることと思いますし、それからその内容についても、今国会に提出を約束されておったのでありまして、おそらく内容の大部分は具体化されているのではないかと思いますが、その制度調在室の、最近までの国家公務員制度に対する改正ないしは現行を認める場合、いずれにしても、公務員制度全般に対して新しい考え方を作ろうといたしておりましたその経緯を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/130
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131・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) 公務員制度の改正につきましては、公務員制度調査会の答申がございまして、それを中心にしまして公務員制度調査室で検討を続けて参った次第でございますが、いろいろ昨年からも検討いたしまして、この国会に提出すべく準備を進めておりましたが、その研究の内容は、いろいろな公務員制度の改正の全般にわたっておりまするので、まずさしあたって、公務員の範囲と人事行政機構の問題、この二つに限って深く研究いたしておりましたのですが、まだ結論を得ませんので、この国会には提出の運びができなかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/131
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132・横川正市
○横川正市君 もう少し具体的に御答弁いただきたいわけです。ことに、今国会に提出するという建前であったものが提出できなかった理由とするところは、どこにあるのか、その点も明らかにしていただきたい。さらに人事院の問題等に対しては、結論めいたものが出ているのかどうか。これは人事院という独立官庁を差しおいて調査室が設けられておる関係もありまするので、その点を一つ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/132
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133・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) ただいま申し上げました通り、人事行政機構の問題と公務員の範囲、この二つの問題に限りましていろいろ検討したわけでございまするが、人事行政機構の問題につきましては、公務員制度調査会の答申もございましたが、ことしに至りまして行政審議会の答申が出ましたので、これを大体原案として検討しておりましたが、この点いろいろ打ち合せができませんで、結論に達することができなかった次第でございます。また、公務員の範囲の問題につきましては、公務員制度調査会の答申のそのままのラインではなくて、いろいろ検討しまして、労務職員と労務職員外の職員との区別が非常にむずかしいので、労務職員というものを設けることを一応やめまして、日雇いのものでありますとか、季節的労務のような種類のものを一応特別職といたしまして、ほかのものを一般職とするようなラインで検討しておりましたが、人事行政機構の問題が結論を得ませんでしたので、公務員制度の改革は、人事行政機構だけ、また公務員の範囲だけというわけにいきませんので、あわせて検討することにいたしておりました関係上、この国会に提出することをやめた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/133
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134・横川正市
○横川正市君 問題をしぼって、関連のことでお伺いいたしますが、前回の委員会では、人事院の総裁の出席をいただきまして、マイヤーズ勧告を中心として、人事院が公務員の恩給制度に対して、これは百八条とそれから二十三条の関係で、意見の申し出が国会には出されているようであります。人事院では、この申し出は、当然この勧告と同じように政府は尊重されるであろうと考えておるようでありますし、今なおこの意見の申し出は生きているというふうに理解をいたしているようであります。公務員制度調査室では、私は、公務員全般の問題を審議するに至りましたきっかけというのは、やはりこの給与とか人事行政、まあ能事を含めまして、国の要請にこたえられるかどうか、同時に退職年金制度の制定、こういう任務が持たされて調査室の機構が作り上げられたと思うのです。そういたしますと、人事院の申し出に対して、調査室は、ことに調査会の答申もあることでありますから、これを具体的に検討したのではないか、こういうふうに私は思うのでありますが、検討したのかどうか、したとすればどういう結果になったのか、その点をお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/134
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135・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) ただいまお話しの通り、人事院から昭和二十八年に退職年金に関する勧告がございまして、そのあとお話しの通り公務員制度調査会におきましても、退職年金につきまして、昭和三十一年でございましたか答申があったわけでございます。公務員制度調査室で、総理府といたしましても、公務員の将来の退職年金をいかにすべきかということを慎重に研究いたしたわけでございますが、昨年、総務長官就任以来も慎重に検討いたしまして、いろいろ検討いたしました結果、今回大蔵省から提案になりましたような共済組合法の改正でいくのもやむを得ないだろうという結論に達しましたので、この案に賛成いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/135
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136・横川正市
○横川正市君 私は調査室がどういう性格のもので、あなたの方で出されたものがどれだけの拘束力を持つかということについては、まだ十分承知しておりません。もちろん結論が出れば国会で審議し、それが成果になるだろうと思いますが、あなた方の方で作られたそのもの自体についても、相当現在の政府機関は重く見て、その結論に対して対処するのじゃないかと思うのであります。そこで大体調査室としては、国が雇用する者とそれから国が雇用者としての立場、こういうものをとっている関係につきましては、どのように検討されて、一応の意見というものをお持ちになっているのじゃないかと思いますが、この点をお伺いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/136
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137・千葉信
○理事(千葉信君) 横川委員に申し上げておきますが、質問の順序、御都合等もあろうと思いますが、石原主計局長は午後四時になりますと、衆議院の方の委員会に出席する都合があるそうですから、その点をお含みの上御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/137
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138・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) ただいまの御質問の趣旨がちょっとよくわかりかねたのでありますが、おそらく国が雇用者の地位における退職年金に対する責任と、国家それ自身としての退職年金に対する責任、この二つの問題じゃないかと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/138
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139・横川正市
○横川正市君 その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/139
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140・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) その問題につきまして種々考慮いたしまして、国が雇用者の立場として共済組合に対してどういうような寄与をするかという問題と、それから福祉国家と申しますか、国家としての責任という点、この二つの点がもちろんあり得ると思います。この問題につきましてもいろいろ検討いたしまして、共済組合法の改正でも、その点も問題はなかろうと存じて賛成した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/140
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141・横川正市
○横川正市君 大体国家公務員の新しいあり方に対して、結論めいたものが明示されておりませんので、そういう関係から非常に私は現行法が、実はこれはもう全体的な公務員の問題を規制出すべき法律案であるにかかわらず、現行法がどうも少しぼけておって、それにかわるべき新しいものの考え方が依然として出ておらない。それでちょうど中間的な立場に立っているような雰囲気なんですね。こういうことからいろいろまあ危惧やら心配が生まれてきていると思うのです。それからことに答申の内容等を検討いたしますと、その点では非常に新しい考え方が入ってくるようでありまして、それは人事院が作られた当事、それから人事院が運用されてきた現在までのいきさつから考えてみると、どうも公務員制度全体が逆コースに戻るのではないだろうかという危惧が全体的にあるようであります。そういう建前もありますので、私どもは現状においては、やはり国家公務員法の法の建前から、これを公務員も、また雇用者である国も十分これをそんたくし、尊重し、その法の示すところに従って運用されていくということでなければならぬと思うのでありますが、公務員制度調査室の場合には、そういう当然の結果に対して非常にあいまいな立場をとっております。ですから少くとも要望にこたえてすみやかに結論を出して、今のあいまいさというものを一日も早くなくするよううに、これは結論から言うのではなしに、政府の考え方というものを明らかにして、そしてそれに対していわゆる賛否の意見は十分国会の場で戦えるようなそういう場を作る、こういうことでなければならぬと思うわけです。今度の退職年金法の問題をめぐっても、公務員関係の一般を所掌いたしております人事院と、それから政府の機関であります調査室と、それから政府と三者三様に非常に割り切れない状態にありますことは非常に残念なことでありますから、もちろん今回この法律案が成立するあるいは成立しなにかかわらず、私は調査室として機構を作られたその建前からも、一日も早く一つ結論めいたものを作っていただくように、この際ですからお願いしておきたいと思います。
〔理事千葉信君退席、理事山本利
壽君満席〕
で、大蔵省の方へ質問を中心にいたしますので、あとまた関連質問がありましたときに御質問いたしたいと思います。大蔵関係の提案者の方にお伺いいたしたいと思うのでありますが、さきに三公社五現業のそれぞれの立場というものは、違った立場に立って退職年金法それから暫定措置法が作られてきたと思います。ことに、三公社の場合には法律事項として当然これは作らなければならないのが、政府はこれを作るのに逡巡をいたしておりまして、三公社は積極的な防衛的立場からこの共済年金法をみずから作って、そして政府にこれを、実施してもらいたいという要望を出し、国会でこれを通すために努力をいたしたのであります。五現業の場合には当然同一職種、同一職務内容、あるいは同一待遇を受けておりました関係から、この三公社に付随いたしましてすみやかにこれの成立を期すと、こういうことでその努力をいたしたのでありまして、この三公社五現業の関係は、今度出された法律案との関係からいきますと、だいぶ性格的に私は主張する側が、立場を異にしておったように思うのであります。ただ、政府の考え方が一様に国家管掌から共済制度に変ってきた。初め五現業の場合にはあとに修正され、そして一般職の場合には今回提案されたと、こういうことになっておるわけでありますが、この提案の経緯について、私どもはやはりまあ時代といえば少し大げさでありますが、時の経緯というものは非常に違った形で現われていると思うのであります。そういうことから、第一点としては、現在この法律案を適用したいと思われております一般職の職員の構成については、一体大蔵省としてはどういうふうに把握をするか、ことにこの一般職の場合には、学歴、勤続年数それから職務内容ともに、五現三公社とはおのずとその性格を異にいたしております。たとえば公務員制度がきめられてくるといたしますと、その公務員の範囲の中には、いろいろ決定されるラインによって違って参ると思いますけれども、おそらく三公社五現業の場合と、一般職の場合の公務員に包括する数というのは、割合から見ますと、私は高くなるのではないかというふうに思われる。それはひいては、この五現や三公社が要望いたしましたように、任官年限が非常におそいとか、それから勤続年数が長いとか、給与が低いとか、いろいろ勤務地の状況が違うというそういうことよりも、内容は異にいたしまして、大体中央集中的な職場を持つようになります。それから職場も年令も職種内容も、違った形のものが出てくるのではないかというふうに思うのであります。そういう違ったものが出てくるのに、実は今度の退職年金法の内容を見てみますと、これは三公社五現業にならって今度の制度が作られようといたしております。そういたしますと、国鉄が最初これを実施するまでには、たとえば二、三申し上げますと、任官者と未任官者の男女別調書、それから任官者と未任官者の勤続年数別年令別調書、こういうようなものが二十項目ぐらい具体的に個別的に調査をされまして、そうして年金運営のための基礎を作られているわけであります。その基礎に基きまして、修正賦課方式による財源計算ができまして、そうしてこの給付率というものがきめられる、こういうふうに私はあったと思うのです。五現の場合には、それぞれ大体比較をいたしまして、男女別職場の比率であるとか、勤続年数であるとか、こういったものもある程度勘案いたしまして、五現と三公社の場合には、大体同じような立場をとって、これは作られてきた。ところが、一般職の場合には、これらのすべての条件が私は違ってくるのではないか、こういうふうに思われるのですが、どういうような基礎的な調査資料に基いて、今回のこの給付率、それから納付率、納付金、こういったものがきめられたのか、その点を一つ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/141
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142・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) ただいまのお尋ねの点の三公社五現業と、今回退職年金制度の発足をしようといたしまする一般職公務員との差異の問題でございまするが、これにつきましては、横川委員御指摘のような違いもございます。しかしながら、基本的に考えてみますると、現在の公務員の制度のもとにおきましては、官吏、雇傭人というような区別をなくしておりまして、これを一貫した制度として考える、御承知のように非現業の公務員につきましても、従来から雇傭人は共済年金制度の中に入っております。しかし官吏、雇傭人の間の通算であるとか、そういうような両者の交渉関係というものは、従来からもございます。それからこれは現業の一部におきましては、一般職公務員との間に相当異動のあるものでございまして、この間におきます調整の問題もあるわけであります。従いまして一般職の公務員が若干、三公社五現業と差異がありまする点は、仰せられる通りでありまするが、しかしながら、今ここに退職年金の制度を考えるということに相なりますると、これは実は昨年、沿革的にも御承知であろうかと思いますが、立案の経緯におきましては、この際現業非現業を問わず、一貫した制度として考えてみたらどうかというような案もございまして、先ほど総務副長官からお答えがございましたように、いろいろな議論、いろいろの検討をいたしまして、一年おくれまして今回提案の運びに相なったわけであります。従いまして、われわれとして考えておりまするところは、非現業の一般職につきましても、同様な共済制度を中心といたしまする退職年金の制度を採用すべきじゃないかという結論に到達をいたしたわけであります。
お尋ねの第二点と申しまするか、もう一つのいかなる基礎資料に基づいていろいろの計算をいたしておるかという点でございまするが、これは給与課長の方から詳細必要がございますれば、お答え申し上げます。私どもも三公社五現業の場合におきまして、基礎的に調査をせられましたような、今お示しの男女別あるいは年令別というような構成につきまして、将来の残存命数と申しまするか、長期にわたります保険給付として計算をいたしまして、保険料を出しておるわけであります。その点は私どもも十分なる資料を検討いたしました上での御提案をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/142
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143・横川正市
○横川正市君 具体的に一つの例をいうと、恩給局の毎年払い出しをいたしまする退職公務員に対する恩給支払いのこの計算は、私の聞くところでは、大体受給者の年額をこれをまず一本計算をいたしまして、そうしてこれを全公務員で割って、そして一人の掛金が出ますから、それを各省人員にかけて、その金額を恩給局へ納める。恩給局はそれを、どんぶりの中に入ってきた金をそのまま今度は人件費、物件費を差し引いて、そうして受給者にこれを配る、こういうことになっておるようです。それでいくと、たとえば郵政省の場合の最近の例をとりますと、十二、三億くらいの恩給納付金を恩給局へ納付をいたしまして、そうして実際上は今度郵政省から恩給を受給しているものの実態を調査して、これは警察官吏をやったとか、あるいは他官庁との関係があるとか、大体そういったものを全部総括をして調べて、結果的にどのくらい払えばいいかというのをやると、七億五千万円から、八億くらいの金で済む、こういう計算になるわけです。これは大蔵省でおそらく資料を持っておられると思いまするので、いささか数字が違いましても、納めた金と受給する額とは、その省の関係では非常に大きな違いがあるということが言えると思うのであります。それと同じように構成が違いますと、たとえば全司法のような構成の場合、あるいは大蔵省のような構成の場合、この構成が違いますと、納金とそれから給付率との関係というのは、私はこれは一律一様に計算のできない状況にあるのではなかろうか、ことに最終本俸が低い、勤続年数が長くても、最終学歴が短いために条件が悪い。その程度によって非常に差がある。あるいはその省間での等級格付その他が違う、こういうことが非常に特殊事情になって、基礎計算の場合には、非常に違った基礎計算の係数が出てくる。結論として給付率が全然変わってくる、こういうふうになるのが当然ではないかと思うのです。それを実は今度は三公社五現業、一般職等一律になべて同じ形の法律を適用しよう、こういうことでは、基礎数字は少し無理ではないかという気がするわけでありますから、その点をもし本日あれでしたら資料を御提示願って明らかにしていただきたい。ことに私の知っている限りでは、国鉄の場合には個別調査を行なっております。それから郵政の場合の、年金を決定いたしましたから個別調査を現在行なっておりますが、まだ資料は出ておりません。そういたしますと、たとえば、国鉄が調査を行なって、個別的に行なった調査の結論と郵政の場合は一体どう出てくるのか。これは男女別の数字の問題も関係しましょうし、いろいろなものが関係して違うものができると思う。ことにまた、一般職の場合はどうかというと、私はその点では、また全然別の形の内容になるのではないか、こういうふうに思うのであります。ただ私は、これを実は何で必要かといいますと、国庫負担金が一〇%でそのあとを半分ずつ負担をするのです。こういうシステムがこれはもう一様にとられていることに対して、まず一つの基礎になるかもしれませんが、それを今度は運用される運用の内容は、短期給付、長期給付、それからそれらの問題と合わせて運用部資金への金の入れ方、運用部資金の金の運用の仕方、最後には、今度は給付率、給付事も最終まで勤めまして全部を年金額としてもらっているものと、それから途中で遺族年金に変わるもの、あるいは今度は公務災害が入って参りますから、そういったものに関連をして、これは基礎的なものになるのではないか、この基礎が確立をしてから初めて計算をいたしまして、運用計画は立てられる。その運用の中から給付率がきめられてくるだろう、こういうふうになろうかと思いますので、その点で、この点を一つ明らかにしていただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/143
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144・岸本普
○政府委員(岸本普君) この問題はちょっと技術的な問題でございますので、私の方からお答えさしていただきますが、公務員の今度の共済年金制度は、御承知のように三公社五現業の場合も同様保険制度であります。一つのデータに基づきまして、厳密に保険計算を行いまして、掛金などを算定いたしておるわけでございます。これは過去の恩給の納金でございますとか、あるいは先ほど御指摘になりました特別会計からの恩給分担金の計算方法、これとはまた変わってくるわけでございます。問題はその保険計算のやり方というものも、公務員の場合には別になるのじゃないかというお考えもございましたが、これは一つの年金制度を前提にいたしますと、これに必要な保険料はどうなるか、これは一つのやはり共通な考え方でやはり計算して参らなければならんわけでございまして、これは被保険者の負担の公平という点から見て、当然そうなるのでありますが、ただ問題は、やはり御指摘になりました共通な考えでやりましても、人員構成が違っているとか、俸給の上昇本も違う、あるいは退職率も違う、あるいは死亡率も違う、廃疾率も違う、いろいろな保険上の基礎条件も変わって参るわけであります。そういう変わった条件といたしましても、同一の保険制度を適用いたしますと、もちろん保険給付率も変わって参ります。ただ非現業の場合に、一体どういうことをやって計算したかという御指摘でございますが、これにつきましては、やはり公社五現業の場合同様、非現業につきましては数年前からずっとカードによります人員移動調査、いろいろな死亡でございますとか、俸給の上がりとか、そういうことを継続的に年金の方でやっておりますので、そういう正確な個別調査に基づきまして、今回の保険料も算出する。そうしてそれがこの制度を前提とした場合に、公務員に負担能力があるかどうかということも検討いたすわけであります。この点は非現業について何もデータなしに、ただ一律に公社五現業に右へならえしたという結果には相なっておらないわけであります。ただ資料につきましては、御要求によりまして提出いたしまして説明させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/144
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145・横川正市
○横川正市君 それでは今の大体非現業の場合の、一般職の個別に大体調査された資料について、具体的に一つ備考欄等を説明を入れて御提示願いたいと思います。それから二番目の問題でありますが、今度のこの共済組合法は、私はこれは今給与課長さんの説明されていましたように、社会保険的な制度であって、いわば国も負担をするが個人も負担をして、そして共同で老後の安定やら、途中での不慮の災害に備えたい、こういう思想で作られたものであり、これはもう何といいますか当然のことだと思うのでありますが、その点はお答えは必要ないと思いますが、自後の質問に関係がありますのでお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/145
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146・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) さようにお考えいただいてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/146
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147・横川正市
○横川正市君 それでは、二番目の問題として御質問いたしたいと思うのですが、これは今度の共済法の適用の中の自衛官と警察官の取り扱いであります。恩給最終年限が一般職の場合には二十年というふうに規定されておりますが、自衛官とそれから警察官の場合には十五年、現行恩給は十二年でありますが、これを十五年といたしております。この考え方は先ほど私の言いましたような保険制度による共済組合の性格とはいささか私は相いれない取り扱いではないだろうか、ことにこの自衛官の場合には、一部では体力の消耗率が非常に激しいから、それで体力の消耗率に従って、当然老後の安定や途中の不慮の災害に備えなければならないのだという理由があるようであります。警察官の場合にはこれまた同じ理由によるものと、もう一つはあまり勤続年数が長くないというところにも原因があるようであります。ただ、警視庁の場合には国の恩給とは別個に警視庁の共済組合を作りまして、そして両者併用しながら現在まで老後の安定や何かをやっておったようでありますが、必要であるということについては私どもは自衛官、警察官の場合いずれを問わずこれは認めざるを得ないのでありますが、今度の一応の共済方式の中で二十年と十五年の差別取り扱いをした、こういうことはふに落ちかねるわけで、できればたとえば自衛官の防衛出動や、あるいは要請による災害その他の救助に向った場合等の問題等は、それは別途の形式による手当その他で解決すべきものであり、それから肉体の損耗率については退職一時金等の問題等で解決すべきものであって、法案の全体の中でこれは解決すべきものではないと、こう私は考えるのでありますが、暫定的なんていう言葉は入っておりますけれども、法成立の当初において、やはり私は合理と不合理の問題から言えば、できるだけ画していきたい、こういうのが当然ではないかと思いますが、この点ちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/147
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148・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 横川委員がおっしゃいまするように、新らしい制度を打ち立てまする考え方からいたしますると、例外的な取り扱いのものを設けることは、一般論といたしまして好ましくないという考え方をいたしております。しかしながら、今申されましたような自衛官、警察官等につきまして、どういう扱いをいたすことが適当であるかということにつきましては、なお根本的に検討する必要があると存じまするので、この問題は将来の一つの宿題として検討の対象といたしたいと考えております。ただ、取りあえず今お話しのございましたような暫定的な制度といたしまして期間を短縮いたしました経過的措置を考えましたのは、御承知のようにただいまもお話のございましたように、現在警察官と自衛官につきましては、恩給制度の期間が短期に相なっておるわけでございまするから、従いましてそれの調整の問題といたしまして、暫定的にある短い期間の制度を設ける。ただ保険経理全体といたしましては、もちろんそれに伴いまして保険料もそれに応じました料率によりまして徴収をいたすつもりでありまするから、従いましてそれが保険経理全体に悪影響を与えるようなことはもちろんいたすつもりはございません。しかしながら、制度そのものといたしましては、やはり過渡的に暫定的につなぎをつける必要があるのではないかというような見地から、今のような御提案を申し上げているわけでございまして、これは共済制度の審議会におきましても、そういうような御答申をいただきまして、今のような結論をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/148
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149・横川正市
○横川正市君 今の質問の問題には、それでは一つ資料を御提示願いたいと思いますが、国庫納付率と、それから個人の納付率に従って年限十五年の期間が短縮されたものが保険上実際上支障がないという意味のようにとりましたので、その資料をお願いしたいと思います。
それから三番目の問題はこれはこの船員年金は国庫負担が二〇%、それから厚生年金は一五%というふうになっておりまして、岡の負担率というのは私はそれほど大きな意味があるのではなしにやはり財政上の問題等が大きな原因になっているのではないかと思うのです。こういうような関係から実は地方公務員の内容を見てみますと、地方公共団体が全額負担ないしは相当程度負担をいたしまして退職年金を査定いたしておるという、こういう事例もあります。先ほど公務員制度調査室の方に御質問申し上げましたのは、国がこの雇用者であり、雇用された者の福祉関係の施策というのは、これはやはり相当国自体が責任をもってやらなければいけないという建前から、できる限り国で国庫の負担率を高めていく、こういうことが当然なことだと思う。ただ、前者三公社五現業の場合には、この提案の趣旨がいささか逆でありまして職員側から強く要望して、四五%負担というのはこれはやむを得ないという、いわば泣かされた形でこの率をのまざるを得なかったという事情も、私はあるのじゃないかと思う。今度の場合には明らかにその職員構成の内容から言いましても恩給公務員としての比率は非常に高いわけで、それからあとの年限もおそらく他官庁に比較して私は早いのじゃないかと思う。そういうことになりますと同一給付率を求めるということになりますと、アンバランスが当然出てくるのではないか、そういうことから私はこの際船員年金のようにできれば二〇%、最小限であってもこれは厚生年金のように一五%の国庫負担を行うのがその事情から言いましても当然なのではないか、こう考えておるのでございますが、この点について一つ御所見をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/149
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150・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 横川委員のお話しになりましたように、厚生年金におきましては国庫負担を一五%いたしておりまして残りを折半負担をいたしておるわけであります。それに対しまして三公社、昨年御提案をいたして議決をいただきました五現業、いずれも一〇%の国庫負担をいたしまして残りを折半負担をいたしておるのであります、これは沿革的な興もあるということでもございましょうが、大きな問題点は、給付の現実のレベルが違っておるということであります。御承知のように厚生年金はああいう沿革的な性格を持っておりましてまだ給付の率額が相当低いわけてあります。今回スタートをいたしまする非現業の年金にいたしましても、あるいは先に発足をいたしておりまする三公社五現業の年金にいたしましても、これは御承知のように現在のベースにおきましてやられている大体給付率額から見まして二倍ないし三倍くらいになるかと思います。そういうような非常に高率と申しまするか、総体的に見まして高率的な給付をいたしております関係もございまして、ある程度までむしろ率を変える方が実情に即し、また実質的な公平を期するゆえんではなかろうかというふうに考えております。もしこれを実額において計算をいただきますならば、むしろこの一割負担の方が率としては高いと見ていいのではないか、そこら辺を考えまして、実質的な負担の均衡、実質的に国家が負担をいたしまする部分につきましての均衡を得たいというところに、昨年五現業につきまして一割という負担率を御提案申し上げ、今日非現業につきまして同じ負担率を御提案申し上げておるというわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/150
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151・横川正市
○横川正市君 それではまあ、ただいま御質問申し上げました問題に関連して資料をお願いしたいと思いますが、これが一〇%の国庫納付金とそれから折半による納付金によりまして、第一には恩給公務員であった者の積立金の積立額が現在ゼロになっておりますが、この積立金のゼロになったものをおそらく修正賦課方式でこれを穴埋めしていこうとされるでありましょうが、それの将来の見通し等も入れた計算をやっていただきたい。
それからもう一つは運用について、短期運用、それから長期給付の当然必要財源として保留していくもの、その他のうち新しいものの三分の一ですか、今度は資金運用部へ預託をされることになるわけでありますが、これはこの部分的に摘出して運用するという運用している先を明らかにする、あるいは率を明らかにするということは、金一元化の問題でむずかしいかと思しますけれども、大体どういう方向で、どういう内容で運用されるのか、これは当然組合に対する還元に、福利施設その他への還元を当然要求する建前からこの点の一つ資料をいただきたいと思います。合せて、まだこれは運用されておりませんので、実際上運用された場合に、たとえば個人貸付、住宅貸付等、そういったものはどの程度見込んでおるのか、その点も一つ予定でよろしゅうございますから御提示願いたいと思います。
次の質問でありますが、今度のこの退職年金法の審査の事務が、今度の場合はこれは恩給局長の審理を経て行うのだというふうに五十七条の二できめられておるようであります。これは一説によりますと、やはり何といいますか、総理府と大蔵省との間で最終的に国家管掌か、それとも共済方式かということで意見の調節がとれなかったという、その意見の調節を最終的にとるため一つの妥協案だと言われておるようであります。しかし、一貫して郵政省とか、それから印刷局、造幣、林野、こういうところはそれぞれの団体がこれを行なっていますし、そうできない一般職の者だけが恩給局を経由して審査されるということは、いささか私はこれは行政機構の上からいきましても繁雑になるだけでありまして、あまり必要としないことではないか。もちろん、この妥協の所産だということはおっしゃられないまでも、何か理由はつけられるでありましょうけれども、私はこれは今まで通り、連合会が所掌するようにすることが妥当だと思うのでありますが、その点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/151
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152・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) ただいまのお脅ねにお答えをいたします前に、先ほど御要求のございました資料のうちで整理資源の処置をどうするかという点のお話がございましたが、これはまだ方針をきめておりませんので、その部分につきましての資料はこれは御容赦を願いたいと思います。それ以外のものにつきましては資料を整えます。
ただいまのお尋ねの審査事務の関係でございますが、これは法文で御承知に相なりますように、従来の恩給の既得権と申しますか、何年たった者は何、おのおの現在までに恩給法のもとにおきまして経過いたしましたものに継ぎ足しをいたすわけでございます。従いましてここ当分の間経過的な計算の起ります問題は、恩給面におきましてむしろ大きいわけでございます。従いましてその恩給の既得権分の計算と今後の新規共済制度によります退職年金の計算、その両者が継ぎ合わさるわけであります。むしろその関係におきましては、事務の手順からいたしましても、やはり恩給局にやっていただく方が、事務としてはかえって簡便であるという、ふうに考えておりますので、今御提案申し上げているような恩給局に審査事務をお願いいたすことは、行政事務の処理の上からいきまして、新規の分と既得権の分とをあわせてみまして、その方が事務機構上要領を得ているのじゃないかというような観点でございますので、今のような御提案を申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/152
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153・横川正市
○横川正市君 便利であるとか、能率が上るとか、現在までやっておったからといういろいろ意見があるのですが、現在は連合会がやっているわけですね。現在長期給付についての共済関係の審査事務は連合会が実施している。今度新しく切りかわって恩給局へ移そう、こういうことなんです。その移す大きな理由というのは、恩給局の機構、人員等の問題から、何といいますか、二十年とか三十年くらいまでは、たとえ審査事務がなくても十分やっていけるのだ、こういう統計になっていながら、なおかつ審査事務を恩給局へ持っていった、こういう事情もあるようであります。それから機構上の系列からいっても、これは私は今言われたようなことよりか、現行通りこれを実施する方が妥当ではないだろうか、こう思っているわけです。そこで、これも関連して資料をお願いいたしたいのでありますが、これは恩給局の現機構、現定員でもって、事実上これは国民年金の場合も、幾らか事務が恩給局の所掌になるのじゃないかと思いますが、いろいろな事務を所掌いたしまして現機構を維持していくとすれば、一体何年くらいできるのか、審査事務を入れないで。それから審査事務を入れた場合には一体どうなるのか。それから連合会の機構としてこの審査事務を行わない場合と行なった場合と、一体連合会の機構その他はどうなるのか、これを一つ資料でいただきたいと思います。
それから次は、これは私は社会保険制度による共済組合でありますから、建前としてはあくまでも自主経営を建前とすべきでありますし、健全経営のための大蔵省のいわば管理監督というものは権限を強化するということではなしに、別途監督機構その他でもっていくべきではないだろうか。しかし、各条項にわたって権限の強化が非常にたくさん羅列されているのであります。こういうことになりますと、国家管掌をきらって共済制度でいきたいのだという趣旨と反するような結果が、事実上出てきているようであります。そういうことでは私は、共済制度を幾らかくらい率が悪くても、ぜひ共済制度にしてほしいという一般職員の趣旨とは非常に違った形に法律案が構成されていると思うのであります。その個別に権限の問題をずっとやっていきますには、少し時間がありませんから、この権限問題で大幅に共済組合へ移譲する、そういう考え方があるのかどうか。同時に、これは運営審議会が諮問機関としての活動をされることになるのでありますが、自主経営の建前からいきますと、諮問機関では性格上非常に弱いので、運営機関を議決機関というような強い性格にして自主経営をさせたらどうか。そのかわり、監査事務その他は強化されるということに私はなると思いますが、そういう格好で経営していったらどうかと、こう思うのでありますが、その点について御所見を伺いたいと思うのであります。
〔理事山本利壽君退席、理事千葉信君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/153
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154・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) ただいまの資料につきまして、恩給局の方の資料は果してございますかどうか、これは私からお答えできかねるわけでございますが、その点はまた恩給局の方からお願いいたします。
お尋ねの点でございまするが、第一点が、大蔵大臣の許認可事項が多過ぎはせんだろうかというお尋ねでございますが、これは御承知でございまするように、社会保険、他の社会保険にしても、あるいは公社、現業におきまする共済の制度におきましても、いずれも相当の主務大臣の監督許認可というのはあるわけでございます。これは申すまでもなく、膨大な金額、積立金を運用いたしますことでございますし、また、組合の機構が現実に運営をせられます場合におきまする統一を確保する必要もございまするので、その必要の限度内におきまする規定を置いたものでございまして、やはり積立金の監理運用の万全を期するというような点、あるいは組合自身が健全な経営に持っていく、横川委員仰せられますように、監査というのも一つの方法でございまするが、しかしながら、やはり大づかみの事項は許認可事項として、監督事務として残しておくというのが、従来の行き方かと思います。大体、特に大蔵大臣の監督事務を強化いたしているという考え方ではございませんが、社会保険全部あるいは公社、現業におきまする共済制度の営営に当りまして、主務大臣の監督というものを保留せられまして、そういものとにらみ合せまして規定を置いているわけでありまして、特段に大蔵大臣がいわゆる官僚的監督を行うというつもりはないわけでありまして、そこら辺は運用の面におきましても十分考えて参りたいと思います。
次に、運営審議会の問題でございまするが、運営審議は諮問機関として作ってございまして、連合会単位におきましても、また組合単位におきましても、おのおの諮問機関ができているわけでございます。これを全体の社会保険の仕組みを見ますると、全然諮問機関が欠けておるものもございます。それに対しましては、各単位あるいは連合会のおのおのにおきまして諮問機関を置きまして、十分に組合員の意向というものが反映し得るような道を開いているわけでありまするが、ではこれを一歩進めて議決機関にいたしたらどうかというのが、お尋ねの趣旨でございます。これは組合健保におきまして議決機関があるのであります。しかしながら、この場合には逆に厚生大臣の取消権、非常に強い厚生大臣の権限が逆に保留せられておりまして、そういうような建前におきまして議決機関にいたすことが適当であるかどうか。むしろ、運営審議会のような諮問機関の形におきまして運用して参る方が、より制度としては円滑に運営せられるのじゃないかというふうに考えまして、諮問機関といたしましてはおのおのの段階におきましてこれは十分にそういうような発言のできる機会を作っておきたい。しかしながら、運営そのものは議決機関というようなところまでは持っていかなければ持っていかない方が、かえって制度としてうまく運営できるのじゃないかというような見地から、今回の運営審議会の機構を御提案申し上げている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/154
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155・佐藤朝生
○政府委員(佐藤朝生君) ただいま恩給局のこれからの問題につきまして何か資料を作れというお話しでございましたが、恩給局の、共済組合法が通りました場合のあとの恩給局がどういうふうになっていくかという資料でございますが、現在文官恩給にどのくらい携わっておるか、これはもちろんわかります。それから文官恩給が、本人が死亡いたしますれば扶助料に変りますし、それからどういうふうに編成していくかを、ちょっと資料を作るのはなかなかむずかしかろうと思いますが、なお研究してみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/155
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156・横川正市
○横川正市君 今の恩給局の問題は、これは審査事務をもらう、もらわないの論議の中では、幾らか資料めいたものが論議の中で出てきているのじゃないかと思います。だから、そういうむずかしいあれじゃなしに、簡単なものでけっこうですから、できるだけ作っていただくようにお願いをいたします。
最後に、これは国民年金の問題と関連して、三公社五現業のそれぞれの法律案の末尾には、国民年金の施行された暁には、これは統合することに、一項法律案の中に載っているわけです。法律案のこれは盲腸事項なのか。政府は各省国民年金施行の暁には、全部これを国民年金と統合するという、そういう趣旨に従って法律案を出されているのか、その点を一つお伺いいたしたいと思ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/156
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157・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 私もうかつでありまして、ただいま横川委員のお話しのように、国民年金に統合するという趣旨のものがうたってありましたかどうか記憶いたしていないものでございますから、今調べておりまするが、まあ三公社五現業の年金が提出せられたときは、国民年金の制度がまだ具体化していなかったわけでございます。今回国民年金の法案を提出いたしまして具体化をしたわけでございまするが、今の国民年金の筋道から申しますると、この中に統合せられるという、考え方よりは、国民年金との間に通算をされるという問題、この点につきましては拠出年金の発足いたしまする三十六年、それまでの間に拠出年金の制度をさらに具体的にまとめて参るわけでございます。その間におきまして各種の公的年金制度との間の通算関係、こういうものを十分明らかにしたいということをうたってございまして、この趣旨におきましては、今後厚生当局におきまして十分に御検討をいただき、各関係当局と御相談になって案を作られると思います。その意味におきまする通産の問題は、今御提案をいたしておりまする非現業の方面の退職年金におきましても同様でございまして、現在、ではどういうような通算を考えているかというところまでは具体化いたしておりませんが、これは当然対象にするように検討を続けて参るつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/157
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158・横川正市
○横川正市君 資料の早期提出を願いまして、自後の質問は次回に譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/158
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159・野本品吉
○野本品吉君 ただいままで横川委員から、私もほしいと思いますような資料の要求がありましたが、私はそれに、さらに次の二つを加えていただきたいと思います。委員長においてしかるべくお取り計らいを願います。その一つは、これはもう古い書棚を探せば出てくるのでありますが、公務員制度調査会の答申、それからもう一つは、公務員の退職後の処遇に対する諸外国の方式とその内容、この二つを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/159
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160・千葉信
○理事(千葉信君) お尋ねいたしますが、古い答申というのは、どことどこの答申ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/160
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161・野本品吉
○野本品吉君 公務員制度調査会が退職年金制度についての答申をしたことがあります。それです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/161
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162・千葉信
○理事(千葉信君) わかりました。
それでは本日の本案に対する質疑は、大体以上にとどめておきます。
次回は明日午後一時から開会することにして、散会いたします。
午後四時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103114889X01619590326/162
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