1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十四年三月十三日(金曜日)
午後二時二十九分開会
—————————————
委員の異動
本日委員迫水久常君、酒井利雄君及び
大和与一君辞任につき、その補欠とし
て重政庸徳君、仲原善一君及び安部キ
ミ子君を議長において指名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 秋山俊一郎君
理事
雨森 常夫君
堀本 宜実君
東 隆君
清澤 俊英君
北 勝太郎君
委員
関根 久藏君
田中 茂穂君
仲原 善一君
河合 義一君
棚橋 小虎君
千田 正君
北條 雋八君
衆議院議員
赤路 友藏君
松浦 定義君
政府委員
農林政務次官 高橋 衛君
農林省農林経済
局長 須賀 賢二君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
説明員
通商産業省軽工
業局化学肥料部
長 村田 豊三君
—————————————
本日の会議に付した案件
○水産業改良助長法案(衆議院送付、
予備審査)
○漁業協同組合整備特別措置法案(衆
議院送付、予備審査)
○てん菜生産振興臨時措置法の一部を
改正する法律案(衆議院送付、予備
審査)
○臨時肥料需給安定法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農林水産政策に関する調査の件
(硫安工業合理化及び硫安輸出調整
臨時措置法の一部を改正する法律案
に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/0
-
001・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
水産業改良助長法案、漁業協同組合整備特別措置法案及びてん菜生産振興臨時措置法の一部を改正する法律案(いずれも衆議院提出、予備審査)を一括して議題にいたします。
まず、提案理由の説明を求めます。赤路友藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/1
-
002・赤路友藏
○衆議院議員(赤路友藏君) ただいま議題となりました水産業改良助長法案について、その提案理由を御説明申し上げます。
わが国の水産業は、近年めざましい発展を遂げ、年間約五百万トン、二千五百億円に上る漁獲を上げ、国民経済の成長と安定の上に重要な役割を果しているのでありますが、一たび漁業生産の内部構造に目を転じまするならば、そこには企業形態の差による生産面の断層はきわだって著しく、資本漁業の漁獲は零細なる漁家漁業のそれを文字通り圧倒しており、多数の漁民を擁する沿岸漁業の悲運は日々に深刻の度を加えていることは、もはやおおうべからざる事実であります。
ここにおいて、このような現実の事態に対する反省の上に立って、ようやく水産政策の重点を沿岸漁業の振興対策に指向し、各般の施策をここに集中すべきであるとの機運が次第に醸成されて参っていることは各位の御承知の通りであります。しかしながら、これらの諸施策が真に実効をおさめまするには、漁業者の自主的な再建意欲を盛り上げ、その活動を助長するための裏づけとして、技術と経営に関し国と地方公共団体とが協力一致、指導と援助を行うことができる基本制度の確立がはかられなければならぬことは、言うをまたないところであります。
近年、沿岸漁村においては、青壮年による研究グループが続々と結成され、今日では三千八百の多きを数うるにいたり、沿岸漁業振興の推進力として実践活動を行い、その成果には見るべきものが少くないのであります。国及び都道府県における試験研究機関の相互の連絡を一そう緊密にし、能率的に試験研究を推進助長するとともに、漁民の要求に応じ、あるいはみずから進んで彼らに接触し、漁撈、養殖及び加工の各般にわたり技術の改良と経営の刷新に役立たしめるよう広くこれを提供し、あわせて生活改善の原理と技術を授け、もって、水産業の合理的な発展と漁民生活の安定に資することができる基本法制を整備いたしますることは、現下の最も重要、かつ、適切な施策と考えられる次第であります。
このことは、最近におけるわが国農業生産力の顕著な発展と安定が農業改良助長法に裏づけされた農業に関する試験研究及び普及事業の強力なる推進によることに徴しても明らかなところであります。水産業にあっても農業に劣らず、かねてよりその必要が痛感されつつも立法化がおくれ、辛うじて若干の行政措置により当面を糊塗して参ったというのが現状であります。三十四年度予算によってみましても、関係予算二千二百四十四万円であって、新たに設けられることになった改良普及員はわずかに四十八名を数うるに過ぎず、この人員をもってしては、一県一人、沿海市町村のみを対象としても二十五カ市町村に対し一人という割合であって、真に漁民の話し合い手となって、複雑な実態と取り組み、困難な問題を解決するには、これでは全く九牛の一毛、大海の一滴と云う外はないのであります。
以上申し述べました趣旨に即し、この際、農業改良助長法の例により、所要の法的措置を講じ、水産業改良普及事業の積極的発展の基礎を固めたいと存じ、ここにこの法案を提出いたした次第であります。
次に、この法律案の大要について御説明申し上げます。
第一に、試験研究に対する助長措置でありますが、水産業改良普及事業に関する試験研究を推進するため、都道府県その他の試験研究機関に対し、次の各号に定める経費を補助することといたしました。
(一) 水産改良研究員の設置について都道府県の要する経費の三分の二
(二) 改良普及事業に必要な試験研究を行うための試験研究施設の設置及び運用について都道府県の要する経費の二分の一
(三) 国及び地方の実情から見て、緊急と認められる都道府県及びその他の試験研究機関の行う特定の試験研究に要する経費の全部又は一部
(四) 都道府県の行う水面の総合利用をはかるため必要な調査並びに試験に要する経費の二分の一
第二に、農林省の試験研究機関の協力についてでありますが、都道府県水産試験場は、この法律の目的を達成するために行う試験研究に関し、農林省の試験研究機関に対して必要な助言と協力を求めることができることといたしました。
第三に、水産業改良普及事業に対する助成でありますが、国は都道府県に対し水産業改良普及事業に要する経費のうち、次の各号に定める経費を補助することといたしました。
(一) 水産専門技術員及び水産改良普及員の設置のために都道府県の要する経費の三分の二
(二) 水産専門技術員又は水産改良普
及員の巡回指導、出版物の配布、
講習会の開催、器材の利用その他
の手段による、漁民に対する水産
業又は漁民生活の改善に関する教
示及び実地展示のために都道府県
の要する経費の三分の二
(三) 水産改良普及員の養成及び研修
のために都道府県の要する経費の
二分の一
(四) 水産専門技術員又は水産改良普
及員に協力して水産業又は漁民生
活の改善を推進する漁民の育成の
ために都道府県の要する経費の二
分の一
(五) 漁村における研究団体の自主的
な活動を助長ずるために都道府県
の要する経費の二分の一
第四に、水産業改良普及事業実施等についてでありますが、これらの普及事業は、農林大臣と都道府県とが協議して定めた方針に従って実施せねばならないことといたし、農林大臣は、水産業改良普及事業の助成についての国の計画を定めることとし、これが策定に当っては水産業改良普及事業審議会の意見を聞かねばならないことといたしました。
第五に、改良研究員、専門技術員及び改良普及員の任務その他についてでありますが、改良研究員は最も高い資格を有する研究者を充てることといたしており、改良普及事業に必要な試験研究を行うことをその任務といたしております。
専門技術員は、試験研究機関及び水産改良研究員と密接な連絡を保ち、専門の事項について調査研究をするとともに、水産改良普及員を指導することが任務となっております。
改良普及員は、直接漁民に接して水産業又は漁民生活の改善に関する科学的技術及び経営上の知識の普及指導に当ることを任務といたしました、日常漁民に接し、技術、経営及び生活改善についての普及指導に当るのは主として改良普及員であり、その能力の如何は水産業の発展と漁民生活に大きく影響いたします関係から水産改良普及員の養成と研修を積極的に行うことにいたしております。
第六に、水産改良普及所についてでありますが、各都道府県の特性を勘案し、水産改良普及事務所を設置し水産改良普及員の行う水産業改良普及事業に関する事務の連絡調整その他水産業及び漁民生活の改善に関する科学的技術及び経営上の知識の総合的な普及指導に関する事務をとらせることといたしました。
以上が本案を提出いたしました理由及び法案のおもな内容であります。
次に、漁業協同組合整備特別措置法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
わが国漁業の生産力を維持増進するためには、漁業協同組合及び同連合会の育成助長をはかる必要があることは申すまでもないところであります。
これがため、昭和二十六年、農林漁業組合再建整備法を制定し、自力により再建整備の困難な組合に対して、増資奨励金、固定化資金利子補給等の財政支出を中心とする国の援助措置を講ずることとし、同法を運用して五百十九の漁業協同組合について再建整備をはかり、また、連合会については、昭和二十八年に、さらに農林漁業組合連合会整備促進法を制定し、自後各連合会は、十カ年間に固定した債務の全部と欠損金の全部を補てんする目標を樹立し、国は整備計画によって援助を行う金融機関に対し補助金を交付する等の措置を講じまして、その整備促進について援助を行うことといたし、目下十四の漁業協同組合連合会について鋭意整備をはかっている段階であるのであります。
このように、漁業協同組合、同連合会の経営内容を刷新強化するための施策は今日まで一応実施されてきたのでありますが、このような努力にもかかわらず今なお相当数の漁業協同組合は自己資本が寡少であって、借入金の占める割合が大きく、また資金面では固定資産の割合が大きいばかりでなく、回収不能と見込まれる不良債権を相当かかえている状態であり、その上さらに多額の欠損金を有し、これらの重圧のため経営不振に陥り組合本来の任務を十分に果し得ない実情にあると申しても過言ではないのであります。
同様の状態にあった農業協同組合については、昭和三十一年農業協同組合整備特別措置法を制定し、さきに述べた連合会の整備促進法と相待って、国の援助の方途を講じたのでありますが、当時における各般の事情によって、漁業協同組合に対する同様の措置はしばらくこれを見送らざるを得ないことと相成ったのであります。
その後三カ年を経過した今日、いまだに積極的な施策がとられることもなく依然放任の状態にありますため、これらの不振組合は漁況不振等による欠損金等の累積のためその経営はますます困窮の度を加え、漁村経済及び漁民生活が危機に瀕している地域も少くないのであります。
よって、農業協同組合整備特別措置法の例により所要の措置を講じもって漁業協同組合の立ち直りの一日も早からんことを願って、この法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案のおもな内容について御説明申し上げます。
第一に、この法律により整備を行おうとする漁業協同組合は、都道府県に設置する漁業協同組合関係者等の組織する協議会等の指導を受けて整備計画を立て、昭和三十七年三月三十一日までに、都道府県知事の認定を受けることといたしております。
この整備計画においては、おおむね五カ年間に、固定した債務の全部と欠損金の全部の補てんを目標とすることにしております
第二に、役職員の強化等を必要とする漁業協同組合に対しましては、都道府県が設置する駐在指導員及び巡回指導員による指導を行うこととし、これが指導員の設置及び指導に要する経費について、国が補助することにいたしました。
第三に、累積された多額の欠損金を有する漁業協同組合に対しては、信用漁業協同組合連合会又は農林中央金庫がその組合に対し繰越欠損金に見合う債権の利息を減免する等積極的な援助を行うことを期待し、その援助を行なった信漁連又は農中に対して都道府県がその減免した利息にかかる元本債権の残高の五分に相当する額以上を補助する場合、国は五分の利子補給をすることにいたしたことであります。
第四に、経営規模の過小な漁業協同組合に対しましては、都道府県知事がその合併を勧告し、その勧告に従って合併した場合には奨励金を交付する措置を講ずることといたし、国は、都道府県がこれらの助成を行うに必要な経費について補助することにいたしたのであります
第五に、法人税法の特例を設けることとし、その整備計画が適当である旨認定を受けている漁業協同組合については、所得の計算上整備期間中欠損金の繰越を認めてその税負担を軽減することにいたしたことであります。
第六に、政府は、中小漁業融資保証法に基いて、整備組合に対して有している求償権のうち、違約金に相当する額を減免することができることといたしました。
第七に、信漁連及び農林中央金庫は、都道府県知事の指定の日から整備計画認定の日までの間に限って、その組合の組合員に対して直接貸の道を開いております。
以上申述べました一連の措置を講ずることにより、整備の目標達成を容易にいたし、漁業協同組合の健全な発展をはからんといたした次第であります。
以上が、この法律案の提案の趣旨並びにそのおもな内容であります。以上二法案、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/2
-
003・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) 次に、てん菜生産振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして提案理由の説明をお願いいたします。松浦定義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/3
-
004・松浦定義
○衆議院議員(松浦定義君) ただいま議題となりましたてん菜生産振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
てん菜生産振興臨時措置法は、昭和二十八年に制定されて以来、今日まで、テンサイの増産に必要な国費の支出、原料価格の政府決定、製品の政府買上げ等の諸措置を講ずることにより、寒冷地における最も安定した畑作物であるテンサイの生産振興と国内における砂糖の供給量の増大に寄与して参り、本法制定の効果には見るべきものがあったと存ぜられるのであります。
今日までのテンサイ及びテンサイ糖の生産実績の推移を見ますに、昭和二十五年に、作付面積はわずか一万五千五百四十二町歩、反当り収量一千九百四十二斤、産糖高一万九千百ミトンでありましたが、三十三年には、作付面積三万五千五百二十八町歩、反当り収量四千二百斤、産糖高十一万トンと著しく上昇し、また、製糖工場もこれに即応して増加し、現在北海道に七工場が操業中または建設中であり、また今後数工場の建設が予定されておるのみならず、内地府県においてビート熱の著しい高揚が見られておりますことも各位の御承知の通りであります。このように当初の予想をむしろ上回るほどのめざましい成績を示しておりますことは、関係農民のたゆまざる努力によることは論を待たないのでありますが、同時に、てん菜生産振興臨時措置法に基いて国と地方とがテンサイの振興と保護のための強力な施策を次々に講じて参ったことによるものでありますことはあらためて申すまでないところであります。
翻って考えまするに、わが国の砂糖事情は、戦前においては台湾糖によりほぼ自給態勢が確立され、安定した状態にありましたが、戦後は、国内消費量の九割を輸入に仰がざるを得ないことと相なり、しかも、国民所得の向上と食生活の改善に伴って消費量は次第に増加の趨勢をたどっているものでありまして、甘味料は国民生活の必需品でありますだけに、このように供給の大部分を海外輸入に待つという状態は出来得る限りこれを是正し、国際収支の改善と国民生活の安定をはからねばならぬことはもとより当然のことであります。
これにかんがみ、政府は、最近、甘味資源の自給力強化総合対策を策定して、十年後における、すなわち昭和四十三年度における砂糖類の総需要量を百五十二万トンと推定し、これに対しては、国内資源による自給力強化の目標を七十五万トンと見込み、そのうち、四十万トンはテンサイ糖によって自給する方針を立てておるのであります。
しかるところ、このような自給力強化方策の実施に伴い、テンサイ糖の政府買入数量が増加するにつれ、テンサイ糖の生産費がカンショ糖に比較して自然条件その他により割高であるため、買入価格もみずから割高となり、食管特別会計の赤字は漸増の傾向を示し始めましたので、政府は、財政負担の軽減とテンサイ糖の育成とを合せはかるための措置として、砂糖消費税を軽減し、砂糖に対する関税を増徴して両税の負担を振りかえ、国内糖に対して国際競争力を付与することとし、両税の振りかえ後においては、テンサイ糖の生産は企業の自主的採算にまかせ、原則として国のテンサイ買入は停止すると同時に、従来、国の保護のもとに企業の内容が著しく伸展した特定のテンサイ糖製造業者からは利益の一部を納付金として国に徴収し、この納付金を主たる財源としてテンサイ糖に関する試験研究をもっぱら担当する特殊機関を設定するという一連の方針を打ち出したわけであります。
以上述べましたように、テンサイ糖に対する国の買入措置は、今後、新設工場の生産にかかるものあるいは糖価について異常事態が発生した場合にかかるものを除いては、すべてこれを停止するという方針を確定したのでありますが、われわれの見るところによれば、ようやく揺籃期を脱したテンサイ糖業に対しましては、なお当分の間、政府買入による保護政策を継続し、この方法を通じて農民が企業に対し、農林大臣の指示した価格で安んじて、テンサイを売り渡すことができますように行政上の裏づけ措置を講じますると同時に、国民に対しても安定した価格でテンサイ糖を供給し得る道を残しておきますことが、むしろ肝要であると存ずるものであります。従いましてわれわれはこのような基本方針に立脚し、この際てん菜生産振興臨時措置法を一段と拡充して、テンサイ糖の政府買入措置を続行し、原則として全量買上げを行うことを法律上明らかにするとともに、テンサイの取引について適正を期し、あわせてテンサイ糖製造工場の施設の認可権を一定の基準のもとに道府県知事に付与する等の諸措置を講ずるため、ここに本案を提出した次第であります。
以下、本案のおもな内容について申し上げます。
その第一は、テンサイの生産計画に関する規定の改正であります。すなわち、現行法では、省令で定める数量以上のテンサイを生産する道府県知事は、テンサイ生産振興計画を定めて農林大臣の承認を受けなければならないこととなっているのでありますが、テンサイの出荷区域の調整をはかり、取引条件の適正化を期するため、道府県知事は、新たに設けられますてん菜生産振興審議会の意見を聞いて、テンサイ生産出荷計画を定めることとし、テンサイ生産出荷計画には、従前のテンサイ生産計画に含まれる事項のほか、テンサイ糖製造工場別のテンサイ出荷区域の調整に関する計画、テンサイの取引条件の適正化に関する計画をも含めることといたし、なお、道府県知事は、テンサイ生産出荷計画を定める場合において必要があると認めるときは、テンサイ糖製造業者から必要な資料の提出を求めることができることといたしております。
第二は、テンサイ糖の買入についての規定の改正であります。すなわち、現在は、政府が特に必要と認めた場合にテンサイ糖製造業者からテンサイ糖を買入れることができることとなっておりますが、この措置を今回一段と強化拡充して、政府は、農林大臣が定める最低生産者価格を下らない価格で生産者から買入れたテンサイを原料として製造されたテンサイ糖についてはこれを全量買上げすることといたしたのであります。
第三は、現行法では、農林大臣は、製造業者に対して、テンサイの買入その他生産者との取引についての条件及びその買入の方法並びにテンサイ糖の製造及び貯蔵に関し必要な指示をすることができることとなっておりますが、新たに道府県知事もまた、あらかじめ農林大臣の承認を受けて、同様の指示が行えることといたしております。
第四は、製造工場を新増設する場合の承認に関する手続規定を新たに設けたことであります。すなわち、これまで、テンサイ糖製造工場の新増設の規正については何らの根拠規定がなく、ただ農林大臣は農地法に基き農地の工場敷地への転用許可にからませて調整をはかってきたのでありますが、工場の新増設は集荷区域の調整を初めテンサイの生産出荷計画の樹立とその円滑な実施に密接な関連がありまするがゆえに無計画な工場乱設は、かえってテンサイの生産振興とテンサイ糖等の健全な育成を阻害するおそれがありますので、新たに製造施設を新増設する場合には道府県知事の承認を受けなければならないことといたしております。
第五は、新たに道府県知事の諮問機関としててん菜生産振興審議会を設けたことであります。しこうして審議会は、委員七名以内で組織され、道府県知事の諮問に応じ、テンサイの生産振興に関する重要事項を調査審議することといたしております。
その他、諸規定の改正強化に伴いまして必要な罰則規定を設けるとともに、法律の有効期限につきましても、まだ、今後三カ年を残しておりますが、テンサイの生産振興に対して長期的な見通しを持たせまするため、この際これを十カ年延長して昭和四十七年三月三十一日までとするように改めることといたした次第であります。
以上、本法案の概要のみについて申し上げましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決下さいまするようお願い申し上げまして、提案理由の御説明にかえます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/4
-
005・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) これらの法律案の審査は、日をあらためて行うことにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/5
-
006・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) 臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案を議題にいたします。
この法律案は、昨三月十二日衆議院本会議において全会一致をもって原案通り可決され、当院に送付、当委員会に付託されました。
この法律案につきましては、去る二月五日提案理由の説明を聞いたのでありまして、ただいまから審査を行います。
政府からの出席は高橋農林政務次官、須賀経済局長、同じく山路肥料課長、通産省軽工業局化学肥料部長村田豊三君、以上四名の方がお見えになっております。
まず、農林当局から補足説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/6
-
007・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) ただいま御審議をいただいております臨時肥料需給安定法の提案の趣旨につきましては、前回御説明申し上げ、現行臨時肥料需給安定法を五カ年間延長をいたしまするので、法律の内容につきましては、あらためて御説明を申し上げるまでもないと思うのでございます。従いまして、資料に基きまして五カ年間延長をいたすことにいたしました最近の肥料の需給事情なり、その背景につきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。お手元に臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案の資料、農林経済局肥料課という名前を入れました横長い表がございます。これをごらんいただきたいのであります。
最初に、三ページのアンモニア系窒素肥料の需給事情でございますが、これは一枚めくって数字をごらんいただきますと、アンモニア系窒素肥料の需給実績といたしまして、二十八肥料年、度には、生産数量が二百三十七万三千トンであったのでございますが、これが三十三年度では四百四十三万トン、約倍近いところまで生産が上昇して参っておるわけであります。内需の数量は、二十八肥料年度におきまして百八十六万トンであったんでありますが、三十三年度では約二百五十万トンという数字になっております。輸出につきましては、この五カ年間に非常に躍進をして参りまして、二十八肥料年度では四十六万四千トンであったんでありますが、本年度の計画は百九十四万トン、中共貿易の途絶その他でこの目標数量まで達成することは困難でありまするけれども、現在の見通しといたしましては、百六、七十万トンの輸出は出る見込みになっておるわけでございます。
次に、五ページは各肥料形態別のいわゆる硫安、尿素、その他と分けましての実績と見込みでございますが、最近の傾向及び今後の方向といたしましては、硫安が頭打ちをいたしまして、むしろ硫安が漸減をして参り、そのかわり尿素あるいは塩安、硫燐安でありますとかいったような無硫酸根肥料が増加をして参る傾向になっておりまして、今度の第二次五カ年計画におきましてもそのような趨勢も織り込んだ形態別の生産計画になっているわけでございます。
昭和三十八年度におきましては、全体の生産が五百二十万トンでございますが、これに対しまして硫安が二百七十一万トン、尿素が百七十七万トンといったような計画になっておるわけでございます。
次に、価格の関係でございますが、これは八ページをお開きいただきますと三十三肥料年度の硫安のマル公をきめましたときの資料がここに出ておりまするが、これはすでに御承知のように、硫安につきましては国内販売価格の最高販売価格を公定いたしておるわけでございます。このマル公以上の価格では売却できないことになっているわけでございます。昭和三十三肥料年度のマル公はこの中の方のワクにありますように、かます当り七百四十二円十八銭となっておるわけでございます。これはいわゆる内需量に見合いまするバルク・ライン方式といわれておりまする計算方式で算定をいたしておるわけでございまして、この八番目の、安いところから順に拾って参りまして、八番目のところで、ここがバルク・ラインの線になっているわけでございます。八番目以下の生産費のいわゆるAからGまでの工場の加重平均の生産費に基きましてマル公が設定をされているわけでございます。
次に、九ページの資料で御説明申し上げますと、これがいわゆる第一次合理化計画でどのように価格が下って参ったかということをお示しいたしておるわけでございますが、二十九肥料年度におきましては八百二十二円であったのでございます。いわゆるカッコ内はドルでございますが、トン当り六十ドル八十八セント、これが三十肥料年度、三十一肥料年度、各年次、ここにごらんをいただきますような割合で下って参りまして、三十三肥料年度は七百四十三円十八銭ということになっているわけでございます。五十五ドル五セントになっているわけでございます。いわゆる二法が始まりました年次におきまして六十ドルであったわけでありますが、これが五十五ドル見当まで下って参った。一俵当りで七十九円、約八十円、年率二十円ばかりの割合でマル公引き下げをいたしたわけでございます。
次が硫安生産費の比較でございますが、これは少しこまかくなりますので御説明を省略いたしまして十一ページをごらんいただきますと、十一ページは、第一次合理化計画で、ア系窒素肥料工業にどの程度の資本投下があったかということでありますが、これは約六百億の新投資をこの間にいたしたわけでございます。
その次は、十二ページ、これはこの間、税法上の特別措置等で、国でどういう援助をいたしたかということが、実績の数字に基いて出ておるわけでございます。合計いたしまして四十三億程度の減免税額に相当しているわけでございます。
十三ページは硫安、尿素の生産原価、卸、小売価格の推移でございますが、現在きめておりますのは着駅オン・レール渡しの生産者販売価格が公定されておりまして、卸、小売につきましてはマル公はないのでございます。ただ、卸につきましては十五円、小売につきましては四十円程度のマージンがございまして、大体その程度の割合で加算されて販売をされておる。従いまして、マル公引き下げをいたしますとその程度の割合で末端価格も動いて参っておる状況でございまして、ここにございますのが二十九年から最近までの末端卸及び生産者卸及び小売の各月の価格でございます。十五ページをごらんいただきますと、三十四年一月まで出してございますが、これは卸は、生産者はマル公でございますが、卸価格、小売価格につきましては、私の方で共同通信社に依頼をいたしまして、末端価格の調査をいたしておるわけでございます。最近の傾向は、特に目につきますのは、生産者価格が一月につきますと七百二十五円でございます。これはマル公でございます。卸が七百三十八円ということになっておりまして、これは適正マージンが入りますと、これに十五円加算されまして七百五十円ぐらいで卸価格が出て参るわけでありますが、最近は、販売面におきましていろいろ競争もありまして、実質的に若干マル公割れをいたしておるわけでございます。尿素は、これはマル公はございませんが、硫安のマル公にバランスをとりまして、尿素の価格も実勢として均衡のとれたものが実際にでき上っておるわけでございます。
次は、輸出関係でございますが、これは十七ページ以下に数字がございます。三十二肥料年度で硫安は八十一万八千九百トン、尿素が三十万トン、その他合せまして、三十二肥料年度におきましては百十八万トン、約百二十万トンの輸出が行われたわけでございます。仕向先は、台湾、中共、韓国といったようなところが大口でございますが、その他インドでありますとか、パキスタンでありますとか、そういうようなところが日本の窒素肥料の重要輸出市場になっておるわけでございます。
その次は十八ページに、国際入札価格はどういうふうになっておるか、非常にこまかい数字が出ておりますが、大体最近の傾向を大ざっぱに申し上げますと、国際入札でやりますものは大体トン当り四十三ドル、個別交渉でやりますものは四十七、八ドルから中には五十ドルぐらいまでのものがございまして、平均をならして見ますると大体四十五ドル見当の輸出価格になっておると思われるのでございます。国際価格の四十三ドルというところは、最近スペイン等に西欧諸国から輸出をいたしましたものの落札状況等を見ましても大体四十三ドルというような価格が出ておるわけでございます。
その次は、十九ページ以下は硫安輸出価格と国内価格の比でございまして、これは一応の計算でございますが、三十三年の十二月で輸出価格、国内価格比は八四・五%ということになるわけでございます。
次は二十ページの日本硫安輸出株式会社の収支状況でございますが、いわゆる輸出赤字といわれておりますものがどのような状態になっておるかということをお示しいたしておるわけでございます。損失の累計は、三十二肥料年度末までで二十五億四千百万円となっておるわけでございますが、各年次別では、二十九肥料年度は赤字が出まして、その次の年度は黒字になった。それから三十一肥料年度が赤字でございまして、三十二肥料年度に非常に大きな赤字が出たわけでございます。これで累計いたしまして、三十二肥料年度、去年の七月末までで二十五億の赤字になっておるわけでございます。
二十一ページ以降は石灰窒素、燐酸及びカリの需給状況でございますが、これはここで御説明申し上げることを省略いたしますが、いずれも需給関係は非常に緩慢でございまして、特に需給上の特別の問題もないわけで、価格関係につきましても、おおむね需給事情を反映して、最近は軟調に推移をいたしておるわけでございます。
簡単でございますが、以上で御説明を終ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/7
-
008・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) 次に、この際、今国会に別途内閣から提出され、商工委員会に付託されております硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法の一部を改正する法律案について、通産当局の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/8
-
009・村田豊三
○説明員(村田豊三君) 硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法の一部を改正する法律案の提案理由と内容を御説明申し上げます。
昭和二十九年の八月以来、硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法が五年間の限時法として施行されて参りましたことは御承知の通りでございますが、その有効期限もあと半年足らずとなりました。この臨時措置法は、その姉妹法であります、本日当委員会で御審議になりますところの臨時肥料需給安定法と相呼応し、硫安工業の合理化と硫安の輸出調整とを目的とするものであります。硫安工業の合理化につきましては、法律の発足に当り、当初掲げました合理化目標には残念ながら諸般の事情からまだ到達するに至っておりませんが、しかしながら、この間における関係者のなみなみならぬ努力により、現在までに相当の成果をおさめ、国内価格の引き下げに相当貢献いたしておりますことは御承知の通りでございます。一方、硫安の輸出はすべて日本硫安輸出株式会社を通じて行われる建前となっておりますが、これはおもに硫安の農業基礎資材としての重要性から、輸出による欠損を国内価格に転嫁させぬため、内需分と外需分とを経理的に明確に区分するとともに、硫安の輸出市場の実情から一本の輸出機関によりまして過当競争を防止することを目的とするものであります。硫安の輸出の実情及び今後の見通しにつきましては、輸出数量はこれまで逐年増加の一途をたどっておりまして、外貨の獲得に大いに寄与しておりますが、今後においても海外需要は増加傾向にあり、なお一そうの輸出伸長が期待されるところでありますが、しかしながら、その輸出価格は、先ほど農林経済局長からも御説明申しましたように、一時は国内価格を上回ったこともありましたけれども、最近では輸出競争が激化し、国際競争価格はわが国の国内価格を相当程度下回っており、今後もなお当分そういう状況が続くのではないかと考えられます。
このような情勢にありますので、わが国の硫安工業が今後の国際競争に耐えて、安定した発展を確保していくためには、その合理化をさらに強力に促進する必要が痛感されるのであります。また合理化が完成して国際競争に十分耐える水準にまで生産費の引き下げが実現されますまでの間は、輸出による欠損を国内価格に転嫁させないため、日本硫安輸出株式会社を通じて硫安の輸出調整をはかることが必要であります。
このように硫安工業の合理化と硫安の輸出調整を必要とする事情は従前と変らないと考えられますので、現行法の期限をさらに五年間延長するために、ただいま申しました法律案を提案いたしておる次第であります。
なお、期限延長をさらに五年間といたしましたゆえんは、今後硫安の主要原料でありますアンモニアのガス源の流体化を中心に硫安工業の質的合理化をはかります場合、所期の目的を達成いたしますためには、合理化工事の計画上おおむね五年を要することから出たのであります。
簡単でありましたが、以上がこの法律案の提案理由とその内容でございます。何とぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/9
-
010・秋山俊一郎
○委員員(秋山俊一郎君) ただいまから両法案について質疑を行います。御質疑の向きは御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/10
-
011・千田正
○千田正君 この法案に基きまして、従来海外輸出の伸長に伴って肥料の増産という対策が立てられたのでありまするが、同時にまた海外市場が非常なネックにぶつかった、そういう場合に必然的に海外の輸出の値段が低下してくる。その低下した分に対する価格の調整上、国内の内需方面の価格にしわ寄せしてくる。そのために、農家が実際は海外輸出の犠牲をこうむってある程度の高い肥料を買わされるのじゃないかという非常な危惧の念を持っておったし、実際の問題として、そういう事態もあったのでありますが、この法案の目的が、そういう面の調整にあるというようにただいまの御説明に承わっておりますが、確かにそういう調整がやり得るかどうか、この点をまず第一に経済局長からお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/11
-
012・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 現在の肥料二法は、あらためて申し上げるまでもなく、輸出によりまして肥料工業が採算上赤字になりますような場合におきましても、これを国内に転嫁をしない、いわゆる輸出赤字のはね返りを遮断をするということで、それを最も重要なる目的といたしまして制定施行されたものでございます。五カ年間の施行の経過を顧みますると、先ほど肥料で申し上げましたように、国内価格につきましては、合理化効果の反映に基きまして、年率二十円程度の割合で引き下げて参った。一方輸出の方は、これは非常に国際競争が激化をいたしまして、輸出価格は漸次低落をして参ったのでございますが、その赤字を、硫安輸出株式会社によりまする買い取りという過程を通しますことによりまして、国内価格にはね返ることを完全に遮断をいたしておるわけでございます。従いまして、この法律が所期いたしました通りに、その目的を達して参っておるものと私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/12
-
013・千田正
○千田正君 通産省にお伺いいたしますが、現在の肥料会社に対しては、政府からの助成あるいはその他の今の海外輸出と内需のアンバランスがくずれた場合において、赤字の経営がなかなか容易じゃない。そういう意味において、国においてその面のめんどうを見るという意味の助成その他は現在行われておりますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/13
-
014・村田豊三
○説明員(村田豊三君) 現在は硫安輸出株式会社に相当の赤字が累積いたしておりますけれども、これに対して直接的に政府が補助金その他の方法で助成をしている事例はございません。ただ、これは非常に間接的になるのでございまするが、赤字が出ないようにするには、どうしてもそれぞれの肥料工業の合理化を強力に推進して参らなければならない、そのためのこれは間接的には赤字防止になるのでございますが、硫安工業の合理化の促進措置といたしまして、たとえば硫安の原料になります輸入原油は従来輸入税がかかっておりましたけれども、この原油の非課税措置を今回新たにとる。あるいは開銀の融資を低利のいわゆる特利の利率に本年度から切りかえるというふうな特別の措置がとられておりますが、これはあくまでも間接的なものかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/14
-
015・千田正
○千田正君 現在の状態からいたしまして、海外輸出に対しては海外の市場は相当行き詰まりであるという、そういう意味において先般は非常に滞貨等の問題が起きたのでありますが、現在は滞貨はどういう状況になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/15
-
016・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 最近の硫安及び尿素の滞貨は、一時よりかなり増加をいたしております。これは主として輸出が当初見込みました数量より若干下回る状態になって参りましたことが影響いたしておるわけでございます。数字で申し上げますと、大体一月末の在庫数量は約八十万トンでございまして、前年同期の倍程度の数字になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/16
-
017・千田正
○千田正君 この八十万トンの滞貨といゆわる年次計画としての今度のいわゆる来会計年度におきます製造量というものは従来と変らない製造量を確保していくのか、あるいはこの滞貨をある程度整理するものを見込んでの製造をやっていくのか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/17
-
018・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) これはやはり現実に相当量のものが長期に滞貨をするというようなことになりますると、企業といたしましても金利負担等も少くないことになりますので、この七月末の状態におきまする滞貨が実際の数量としてどのくらいになるかということは、まだ現在の段階では確実に予想することは困難でありますけれども、やはり相当量滞貨があるというような状態で新年度に移るような情勢になって参りますれば、やはりそれに応じまして三十四年度の生産計画は十分吟味して参らなければならぬ、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/18
-
019・千田正
○千田正君 まあそういうようにするのも一つの方法であると思いますし、またこの八十万トンという滞貨は相当の量だと思うのですが、これを内需に振り向ける、あるいはこの中から今後内需に振り向ける計画は、どれぐらいのトン数ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/19
-
020・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) この中から、今後内需に振り分けると申しますか、これは特に輸出分、内需分と、滞貨に特別の仕分けをいたしておるわけでもございませんので、春肥の出回り期が、この四月の初めごろから動いて参るわけでございますが、相当量が、おそらくこのうちの大部分は内需に充当されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/20
-
021・千田正
○千田正君 国内の農業において必要量というものは、大体過去何年間の統計があなたの方であるでしょうが、その統計によって、逐年増加するその率は、大体判定しておられると思うんです。で、判定しておられるんだから、やはり、来年度においても、これだけは国内の内需が増加するだろうと、こういう見当はもちろんつけておられるだろうと思う。で、片方においては、海外における輸出というものも、ある程度そういう見当はつけて生産はしてみても、海外の自由競争の激甚に従って、遠くへ行くものが行かなかったり、あるいは途中においてキャンセルされたりする、そういうような問題が起きてくると、そういう場合における調節は、どういうふうに今さしあたって考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/21
-
022・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 内需量につきましては、これはただいまも御指摘がありましたように、大体近年の国内におきまする肥料消費傾向等でほぼ実際に近いものがつかめるわけでございます。ことしは二百五十万トン程度になっておりますが、おそらく、来年あたりの見通しといたしましても、十万トン程度増加をするというような、見込みが一応立てられるのではないかと思うのであります。需給計画を策定いたします場合に最もむずかしいのは、輸出の見込みでございますが、これは国際市場におきます有効需要量その他を、十分データをとりまして推定をしていくほかないわけでございますが、どうしてもこれは見込みでございますので、事実上、ある程度の計画と実績とに違いが出て参りますことは、これはやむを得ないわけでございます。ただ、その場合、直ちに需給計画の変更を伴うというような事態になるかどうかという問題でございますが、その見込みと実績との食い違いが非常に大きな幅のものでございますれば、これは当然需給計画そのものを改めるということに相ならざるを得ないわけでございまして、現在の肥料需給安定法におきましても、そういう経済情勢の変動等によりまして条件が変って参りました場合、需給計画の変更というような事態もあることを想定いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/22
-
023・千田正
○千田正君 最近、昨年から本年にかけまして、従来、最恵国条款を適用されておらなかった国々との間に、新しく外交折衝されて、輸出入におけるところの条約が結ばれた国々が相当あります。相当といっても大したことじゃないんだけれども、あるんだが、その相手国というものは大部分が農業国である、そういう面において、たとえばオーストラリアとか、ニュージーランドとか、ああいう国々に対する新しい販路が今後開けるんじゃないかという見通しをわれわれは持っておるんですが、通産省としては、そうした意味において、こうした肥料が輸出されるというお考えを持っておられるかどうか、あるいはそういう点における何らかの資料がありますかどうか、お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/23
-
024・村田豊三
○説明員(村田豊三君) 新しい市場開拓につきましては、通産省もいろいろ調査もいたしておりまするし、また、ぜひ開拓を実現していかなければならないというつもりで努力いたしておるのでございますが、最近の傾向といたしましては、東南アジアの地域、なかんずく、インドとか、あるいはインドネシア、フィリピン、こういった方面への日本からの輸出は増大の傾向を特に顕著にたどっております。それから南米の地域、ブラジル等でございますが、これらの地域にも最近顕著に輸出が増加いたしておるのでございますが、御指摘になりましたオーストラリアあるいはニュージーランド等につきましては、まだほんの、ごく小口の輸出引き合いがある程度でございまして、もともと、これらの国はそう大量に目下のところは肥料を使っていないせいもございましょうけれども、まだまだ、まとまった大量の取引を実現する段階には至っておらないような実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/24
-
025・千田正
○千田正君 最後に一点だけ。第四次協定によっての中共貿易、いわゆる日中貿易というものは、あの当時、御承知の通りの状況で、一応御破算になつた、そういう問題は、われわれとしましても非常に遺憾と思うのですが、かりに中共との貿易等が再開されれば、やはり輸出の大宗をなす一つのものは、こうした肥料だと思います。こういう点に期待は持っていいと思うのですが、現在は中共という相手を全然考えておらないというわけでありますか、どうですか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/25
-
026・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 中共向けの肥料輸出は、三十三肥料年度におきましては、約四十万トンを予定をいたしたわけでございますが、これが御承知のような事情で今完全に途絶をいたしておるわけでございます。従いまして、今年度の肥料の輸出計画といたしましては、いわゆる七月末までのこの年度の肥料の輸出計画といたしましては、中共向けは事実問題としてこれはもう見込むわけには参らない。ただ、中共向けが途絶をいたしました一つのはね返りといたしまして、やはり企業といたしましても、他の仕向け国の輸出につきまして非常に努力をいたしたわけでございまして、韓国入札等も、価格の面につきましては、いろいろ御批判もあったわけでございます。相当大量に成約をいたしたわけでございます。従いまして、中共輸出が途絶をいたしましたために、まるまるそれが輸出としてへこんでおるということではどうもないようでありまして、やはり企業としては、やむにやまれず、いろいろ無理をいたしまして、他の市場に輸出をいたしておる、こういうような関係になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/26
-
027・東隆
○東隆君 日本硫安輸出株式会社ですね、これが結局、輸出をするときの価格が高いときには、赤字ができないことになろうと思うのですけれども、今、この最近の傾向をお話しになりましたように、海外の方には安いものですから、そこでだいぶ赤字ができておるのじゃないかと思います。その赤字に対して政府はどういうような態度で臨むのか、そういう問題と、それから、その赤字を少くするためには、どういうことをやればいいかというと、やはり国内の価格を上げるより仕方がない。それは農民の犠牲によってやらんけりゃならぬ、こういう問題になってくるし、それから、それをもしやらないとすれば、結局、国でもって補償をしなきゃならぬというような問題になってこようと思うのです。そこで、私は、今までの経過ですね、日本硫安輸出株式会社の経過、これを少しお話を願いたいと思います。それであんまりものすごい負担になるものだったら、これは何も延ばす必要がないのじゃないかと思う。海外に輸出することによって、そんなに赤字になるなら、国内で必要なものだけ生産をすればいいという問題も出てくるし、いろいろな問題が出てこようと思います。だから、これは当初の目的はあくまで国内の農家の使用する硫安を安く供給するためにやったことに相違ないと思うのです。そこで、国の財政投融資も出したし、いろいろなことをやって生産の増強を進めていっているのですが、そこで、今の生産の増強をやって、そうしてそれが国内の需要よりもずっと上回って二倍にもなっている、こういうような状態になって生産過剰になっている。こういう状態なんですから、相当これは考えなければならぬところだと思いますので、日本硫安輸出株式会社の中身を少しお話を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/27
-
028・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 日本硫安の経理と申しますか、赤字につきましては、先ほど御説明を申し上げました際にちょっと触れたのでございますが、資料の二十二ページに各年度の収支計算が出ております。これは右側から二番目の欄に各年次の赤字、黒字が出ておるわけでございますが、二十九年の八月から三十年七月までは二億五千四百万円の赤字であった。その次の年度は一億二千六百万円、これは黒字になった。この年が一番肥料の輸出価格が高かったのでございまして、この一年だけは黒字が出た。それから三十一年の八月から三十二年七月までは二億二千六百万円。いずれにしてもこの三年間は赤字、黒字と申しましても大したことはないのでございますが、三十二年の八月から三十三年の七月にかけましての三十二肥料年度が国際価格が非常に急激に下って参ったという年でございまして、一時にここで二十一億八千七百万円という赤字が出た。これが累積をいたしまして、現在三十二肥料年度末で二十五億四千百万円になっているわけでございます。
この赤字はどういう形において処理をされておるかと申しますと、一度日本硫安株式会社が各メーカーから国内マル公で買い入れるわけでございます。国内マル公で買い入れる、それを現実に輸出される価格で売るわけでございますから、計算上は一応そこで日本硫安輸出株式会社がその損失を負担しておる形になるわけでありますが、ただ現実の経理は、この損失相当額は各肥料会社に対するつまり買掛債権になっておるわけであります。ですからそれだけ金を払っていないわけであります。メーカーとしてはこれが未収になっておる。従いまして、日本硫安株式会社が特別に金融等を受けましてそれをしのいでおるというのではないのでありまして、日本硫安は一応帳簿上そういうものを通しまして、実質には各企業がその赤字の相当分を負担している、未収金の形において企業が負担しているという実態になっております。なお、これは現在でいいますと五十五ドル五セント、現実の輸出価格四十三ドルあるいは四十五ドル、その差額から出て参りまする計算上のものでございまするので、これを精査いたしますと額面通りの数字にはならぬわけでございます。と申しますのは、五十五ドル以下で生産をいたしておりまする企業もあるわけでございまするし、また輸出につきましては、輸送地あるいは代金の支払い条件等の関係によりまして、国内で売りますものよりも割安になる部分もありまするので、それらを精査いたしまするとこの額面通りの価格にはならない。実質的にはこれよりかなり下って参るわけでございます。そのような形において現在処理をされておるわけでございます。
今後の問題といたしましては、今回二法を延長いたしまして、国内マル公の価格計算の方式等も従来のものを変えないわけでございますから、従来のいわゆる内需バルク方式をもとにいたしまして計算をいたしますので、やはり合理化をいたしますれば、それに応じて国内価格もそれに応じた価格になって参るというようなことになるわけでございまするので、今後発生いたしまする赤字は、やはりただいま申し上げましたと同じような方法において処理をされていくわけでございまして、国内価格に転嫁をするという事態はこれは考えておらぬわけでございます。従いまして、今後赤字が出る分が国内に転嫁されるおそれがあるのではないかというお話でございましたが、その点は二法の延長によりまして、そういうようなことにならないように制度的になって参るものと私どもは考えております。ただ、肥料を外国へ輸出すればこういう大きな赤字になるのであれば、もう輸出をやめて内需だけでやったらどうかという御質問でございましたが、これは今大ざっぱに申し上げまして、硫安につきましては輸出が四、内需が六、四対六の関係になっておるわけでございます。その総体の生産量によりまして現在五十五ドル何セントというような生産費が出ておるわけでございまして、もしこれを内需相当量だけの生産にとどめまするなれば、相当大幅に生産費は上るということにならざるを得ないわけでございます。従いまして、今後の肥料工業のあり方といたしましては、やはり輸出と内需と両建で両方持ち合って経営をして参る、そのことの方が国内消費者に対しても実質的に安い肥料を使ってもらうことになるのじゃないか、さように考えて第二次の合理化計画もその線に沿いまして策定をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/28
-
029・東隆
○東隆君 そうすると今国内の生産費が……これは何ですか、五十六ドルというのは、この数字はどういうなにでもって出てきているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/29
-
030・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 五十五ドル五セントと申しますのは、この表の八ページをごらんいただきたいのでありますが、この表でごらんいただきますと、現在の算定方式は三十三肥料年度の場合は、一番安いのがAという工場のトン当り一万九千九十二円、それから一番高いのが十九番目の二万四千六百四十六円ということになっているわけでございます。それでこの一万九千九十二円の一番安いところから順次これを積み上げて参りまして、そのAD、B、C、E、F、GのGのところでいわゆる国内で必要な百五十三万七千四百三十三トンという数量に達するわけでございます。八番目の工場の途中のところで、百五十三万七千四百三十三トンという数量に達するわけでございます。ここで切りまして、一番目から八番目までの工場の生産費の加重平均値がここに七百四十三円十八銭と出て参る。これがトン当り換算いたしますと五十五ドル五セント、これをいわゆる内需マル公方式と称しているわけでございます。従いまして、この中で三番目まではバルクラインの平均価格よりも安い生産費で生産をいたしておるわけでございます。こういうところは、五十五ドル五セントでもなお若干の差益が出てくるというような形になっております。それをさらに、五十五ドル五セントは国内マル公でございまするが、輸出をいたしまする場合には、あるいは荷役などの運賃諸がかりの問題でございまするとか、あるいは決済条件その他で約二ドルくらいは国内で売りまする場合よりは違います。その関係も、実質的にはあまりばかにならない。従いまして、二十五億というのは名目赤字でございまして、これを精査いたしますれば、相当額は減少いたして参るということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/30
-
031・東隆
○東隆君 そうすると、何ですか、輸出をするのは、主としてこのA、D、B、ここらあたりが輸出をするということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/31
-
032・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 輸出をいたしますのは、現在は日本硫安輸出株式会社が輸出をいたしております。企業は直接輸出はいたしておりません。それで日本硫安輸出株式会社が買い取りますのは、各企業から、各メーカーから生産数量の割合に応じまして買っておるわけでございます。これは輸出をいたしますと、先ほど申し上げましたように、企業が損をするわけでございまするので、その損をある程度ならす必要がありまするので、生産数量、在庫数量等と見合いながら一つの割合で計算しまして、従いまして、この一番安いところだけを輸出をしておる、そういう形にはなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/32
-
033・東隆
○東隆君 生産数量に割り当てされて、結局大きな企業のところがもちろんたくさん出るような形にはなると思いまするが、しかし、なんでしょう、硫安の副産物で出るようなものがありますな、非常に安いようなのが。ああいうのは、かえってそっちの方面へ全量向けていくというようなことはできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/33
-
034・村田豊三
○説明員(村田豊三君) 御指摘の点、一応ごもっともな御意見だと私ども思うのでございまするが、ただ現在、御承知のように日本硫安輸出株式会社で輸出のまあ一元統制を行なっておる。その統制の仕方としましては、各肥料工場の輸出をいたしますときどきの在庫の状況等を見ながら、これは内需と輸出というものはそれぞれ関連があるものでございますから、その状況を絶えず見ながら、その間の調整を保って現実の輸出を行なっているということになっております。それから、先ほどもお答えがあったように、そうすると現実の輸出会社の赤字というものは、これは国内の各メーカーがそれぞれの生産数量に応じて負担するというか、赤字の負担の方式は、必ずしも、ある会社が有利に輸出をしたからその会社だけがもうける、有利なる輸出でその会社だけが利益を得るというようなやり方をいたしておらないのでございます。従いまして、輸出並びにその輸出から来る赤字の負担というものの均衡をはかる意味から、そういう調整をとっておりますので、必ずしも今御指摘のような理想通りの輸出の形には相なっておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/34
-
035・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) ただいまわれわれから御説明をいたしておりますことは、これは一種の共同行為になるわけでございますが、これは合理化法の方の十三条に、この種の共同行為をやることができるようになっておりまするので、それを基礎にしてそういう共同行為をただいまやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/35
-
036・東隆
○東隆君 実は輸出入取引法の一部改正法が出まして、そして独占禁止法が骨抜きになるような形になっておりますから、そこで、そういうものに関連をしてくるのですが、この法律は一種のカルテル行為をやっておるわけです、これで。だからこのカルテル行為の中で、結局農民の方は今の傾向じゃ相当高いものを買わされておる形になりますね。そこで、何とか犠牲面を農村の方に持っていかないようにするにはどうすればいいかという考え方を中心にして、何とかいいところはないかと聞いているのですが、そこで、おかしなことを聞くかもしれませんが、私はもう一つは、今までの施設は、ここにあったようですが、財政投融資その他の形でもって危機を突破してきておりますが、そのうち財政投融資は、これはどちらかというと非常に大きなものに出ていったのじゃないんですか、あの当時、硫安を生産する工場の非常にでっかいもの、そうしてここで順位でもって—そうでないですか、小さいものにも……。そうですか。そんなものの経過が出ているのがありますか、そういうものを明らかにしたものはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/36
-
037・村田豊三
○説明員(村田豊三君) ただいま手元に会社別の財政投融資の資金が幾ら出たか資料を持っておりませんが、大体過去において、硫安工業にこの五年間に合理化のために約六百億程度の資産が出されております。その資料はお手元にあったかと思いますが、そのうち財政投融資として出ましたものが四十億足らず、三十七億でございましたか、ございました。従って、全体の所要資産の資金総額から見ますと、財政投融資の比率はさほど大きなものではないのでございます。これはなぜかと申しますと、金融市場が相当緩和しておりますような、一時的にそういう時期があったが、そういう時期には割合に開銀へ依存する傾向が薄らいで参りまして、市中の金融の相当逼迫しているようなときには比較的開銀への依存が高くなっているという傾向もございました。しかも、ただいまの御発言のように、大企業に必ずしも偏重しておらないのは、大企業は相当な自己資金を持っておりまして、その資料にもございますように、自己資金で相当資産がまかなえている。かえって財政投融資に依存するのは、肥料工業は弱小企業というのは少いのでありまして、相当みな大企業でありますが、そのうちでも比較的小さい企業が依存しているのが多くなっている実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/37
-
038・清澤俊英
○清澤俊英君 これは何ですか、バルク・ラインでマル公をきめますと、国内の販売においても、ライン以下のものは高いものを売らなければならないということが出てきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/38
-
039・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) バルク・ラインでこういう線を引きますから、九番目以下は一応計算上は赤字になる勘定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/39
-
040・清澤俊英
○清澤俊英君 それで赤字になるものも、マル公で売るでしょう。その赤字のプールといいますか、これは何か別の機関でやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/40
-
041・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) これはそれぞれの企業の負担でございまして、国内販売につきましては、そういうプールというものは一切ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/41
-
042・清澤俊英
○清澤俊英君 それが、長いこと赤字が続くということは、私どもどうも常識的に考えられないが、それはどうなっているのでしょう。どれくらいの負債が各会社でできておりましょうか。この(9)以下の資料がありましたら、その負債率を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/42
-
043・村田豊三
○説明員(村田豊三君) 御指摘の点、ごもっともなのでありまして、すでにそういう傾向が硫安会社に出ているのでありますが、ただ御承知のように、肥料専業の会社というのは比較的少うございまして、肥料専業の会社の中には、たとえば東洋高圧のごとく、非常に大企業で、健全なる経営をして今日まできているような工場は、これは別でございましょうけれども、そうでない普通一般には、それぞれの今日肥料を作っておりまする工場の売上高のうち占めます比率と申しますのは、おおむね大体三割くらいでございます。一例を申しますと、宇部興産のごときは、肥料も作っておれば、セメントも作っている、石炭も売っている、こういうような総合的な兼業をいたしておりまして、また妙なものでありまして、肥料の非常に景気の悪いときには石炭の値が出るとか、あるいはセメントがよく売れるとかというようなことで、どちらかの部門で何とかかせいでいるというふうなのが、今までの実情のようでございます。ただしかし、今まさに御指摘のありました通り、肥料工業は最近国際競争も非常に激しくなっているというふうなことで経営が苦しくなっております。その苦しくなっております傾向を客観的に私ども見ておりますと、同じ肥料を作っております工場でも、その工場の肥料生産のウエートの高い工場、これは私ども専業の会社と呼んでおりますけれども、その肥料専業会社と、そうでない—先ほど宇部興産の例で申しましたような兼業会社との最近の利益率の比率でありますとか、傾向でありますとか、あるいは配当の傾向でございまするとか、そういうふうなものをつぶさに調べてみますると、傾向としては確かに肥料を専業としておりますものほど苦しくなっている。現に、すでに数社無配の会社が出ているような状況でございます。ただいま申しましたことは一般的な傾向として申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/43
-
044・堀本宜実
○堀本宜実君 これはしろうと談義で、全く思いつきな質問なんですが、皆さんの御意見を聞いていてお伺いをするわけなんですが、この内需量に見合うバルク・ラインというものが引かれる。そうしてそれ以下とそれ以上との生産費が違うわけなんですが、それで、すでに硫安工業の合理化の線が進められて五年を経過した今日、なおその生産費がこの表を見ましても大へんな違いがあるわけです。これは会社の様相が違うからやむを得ないといたしましても、あるいは立地条件だとか、あるいはつまり燃料の差異だとか、いろいろの原因があるとは思いまするけれども、五年を経過した今日、なおかつかくのごとき——十貫当りをとってみましても、トン当りをとってみましても、生産費に非常に違いがある。これがどうも私にはわからない。どうしてもう少し合理化というものが進められないのかと思いますが、これは単に肥料だけを生産しているのでなしに、他の製品もともに製造しているという過程において、私はそういうものが合理化を阻害している面があるのではなかろうか、こういうふうなことを考えるのですが、そこで、その理由を伺いたいと思いますが、非常に話が飛躍して笑い話になるのかもしれませんが、先ほど東委員からお話がありましたように、二十五億の赤字が出ていますね—この日本硫安輸出株式会社の赤字が二十五億余出ているようであります。これだけの赤字を作って参ります。まだこれ以上に今後、今の情勢からいきますると、在庫量もかなりあるようでありますから、赤字がふえるかとも思うのでありますが、そこでこのバルク・ライン以下の優良な、合理化した工場から内需を起し、そして外国向けのものはそれ以上の会社がやる。これは理屈には合うかもしれませんが、そこでこれらのつまり内需の会社と、つまり外国輸出の会社というようなものを別に仕分けていくということができまするならば、この赤字が内需に転換されていく。しかも内地農民の負担において、会社の救済をしなきゃならん—高い肥料を買わずに済むという、すっきりした見通しが立ちいいのではなかろうか、こういうふうにも思うのでありますがね。
そこで、税法上の援助というものを四十三億以上しているようであります。また、税法上だけでなしに、低利融資の資金もかなり加わっておるのではなかろうかと思うのでありますが、そういうふうに税の軽減をし、あるいは低利の金も出してやろうということであるならば、その低利にし、税金を安くしてやるという会社を、特定の会社として別に仕分けていくということの方が、はっきりするのではなかろうか、こういうふうに私は思うのであります。それはもう一つ、私がこう思いまする原因の一つには、会社の原価計算というものを——これは役所から、通産省からされるのであろうと思います。おそらくされるのであろうと思いますが、これは原価計算をされなければ、こういうコスト計算というものは起ってこない、起きてこない、明白でない。だから、その原価計算をされるのだが、膨大な会社の原価計算なんというようなものを、一体どういう——何人がかりで、何日くらいで、どういう方法で一体検査をされておられるのですか。それが私はいいかげんな、会社自体がつけ出した原価計算というものを基礎において判定をしておるところに、大へんなあやまちがあるのではないか、この点について心配を持つのであります。そういう点についてのお答えを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/44
-
045・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) これは多少御説明を要する点でございますけれども、第一次合理化計画をやったにかかわらず、非常に生産費の安い工場と、高い工場ができておるという点でありますが、これは申し上げようによりましては、第一次合理化計画をやったためにこういう開きができてきたのだということも申し上げられるのでございます。と申しますのは、最近の硫安の生産費の下りました一番大きな要素は、いわゆる原料の流体化といわれておるわけでありますが、あるいは電解ガス法でありますとか、あるいは重油のガス化でありますとか、あるいはCOGと申しまして、石炭をコークスにいたします際の廃ガスを利用する、いわゆるそういう流体原料を使うということによって、原料費が大幅に低下をしてきた。昔の工場は御承知のように、例の電解法だとか、あるいは石炭法というようなものによっておるわけであります。従いましてここで今安いのから高いのに並んでおりまするものの、この安い生産費の方の部類は、おおむね原料の流体化に大幅に切りかえた工場でございます。従いまして最も近代的な設備と経営方法によってやつておる工場で、逆に、その下の方の高いやつは、現在でもなお昔の生産方式をとっておる、いわゆる古い設備を使っておるというようなことになっておりまするので、こういう開きが出てきておるのであります。従いまして、昔の二十九肥料年度あたりの方が、生産費の一番安いところと一番高いところと幅は今よりも狭いわけであります。二十九肥料年度では、一番安いのが二万三千百十四円、一番高いのが三万一千円ということになっておったわけでございます。そういう幅が違っておるわけでございます。さような関係になっておりまするので、今後第二次の合理化も、その主体は原料の流体化をさらに一そう進めていくわけでございますが、そうなりますと、全体の年産費が平均的にも相当下ってくる、さようなことになる。それから、内需向けのものと輸出向けのものと生産会社を別にするというような考え方で運営してみたらどうかという御指摘でございますが、これは企業側から見ますると、なかなか問題があるのでございまして、と申しますのは、内需というものは非常に安定した市場でございます。輸出の方は非常に不安定要素の大きい市場でございまして、輸出だけを当てにして肥料工場を経営するということは企業としては非常なリスクがある。従いまして、現在のやり方は、内需を一応ベースにしまして、輸出は各企業に生産能力なりあるいは生産量によって割り振っていくというような調整をいたしておるわけでございます。これはそういうような必要に基いてやっておるわけであります。いろいろ御指摘の点はわれわれも、現在の改善方法が必ずしも全部十全の合理性を持っておるわけではないのでありまして、いろいろこれも問題があるわけであります。それらの点もあわせまして十分一つ検討していきたいと考えております。
それから、原価計算の信憑性の問題でございますが、これは現在の生産費調査では需給安定法に基きまする、いわゆるよく有権的と申しておりますが、政府が権限を持って調査をいたすわけであります。毎年度肥料工場から一応一定の様式によって申告はとるわけでございますけれども、それに基きまして農林、通産両省から全工場につきまして職員が工場に出向きまして、現地でしさいに検討いたします。なお、当然これは各工場との比較検討等も行われるわけでございまして、こういう生産費調査というものは、もちろんその精度は非常にむずかしいものではありまするけれども、一応現在の行政庁がとり得る資料としては、相当これは精度の高いものではなかろうかと私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/45
-
046・東隆
○東隆君 海外に出て行く傾向は、尿素だの塩安、そういうものがふえていっておると、国内ものも私はそういう傾向があろうと思いますが、そこで硫安輸出会社ですか、この会社は塩安あるいは尿素、そういうようなものを輸出をするものとの関連はどういうふうになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/46
-
047・村田豊三
○説明員(村田豊三君) 合理化法の建前からは、政令で指定をいたしますれば、尿素、塩安等も日本硫安輸出株式会社が扱い得るように制度的にはなっております。しかし、今日までのところ、硫安輸出会社が扱っておりますのは、政令でその他の肥料の指定をいたしておりませんために、硫安だけを扱っております。また、現実に今日までの輸出の大宗は、やはり何といっても硫安が非常に大きなウエートを占めているような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/47
-
048・東隆
○東隆君 私は塩安それから尿素、こういうものの将来性を考えてみますと、硫安に取ってかわるべきものでないか、こういうふうに考えるわけでございます。そうだとすると、早く切りかえて、そうしてそちらの方面をふやしていく、これが国策に沿った点でもあるし、それから輸出の方面においてそちらの方が伸びるとするならば、すみやかにそっちの方を伸ばしていく、こういう態勢をとるべきじゃないか。それから、今の形ではかえってどうなんでしょうかなあ。硫安におけるマイナスの価格の面ですね。それから尿素におけるマイナスの面ですね、尿素は生産費を割っているのかどうか、そういう面ですね。それはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/48
-
049・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 御指摘のように、尿素及びその他塩安等がふえていく傾向をたどりますことは、これは肥料の消費傾向として当然そういうふうに予想されるわけであります。この五ページの表のまん中の欄をごらんいただきますと、三十二肥料年度におきましては、硫安が二百五十六万三千トンであったのでありますが、これが三十八肥料年度では硫安は二百七十一万トン、それに対して尿素は三十二肥料年度が八十三万九千トンでありますが、これが三十八年度は百七十七万トン、それから塩安その他の窒素肥料は三十二肥料年度が三十六万三千トンが、三十八年度では七十二万トン、いずれも硫安以外の肥料につきましては二倍以上に生産がふえていくような足取りで考えているわけでございます。なお、尿素につきましても硫安同様やはり輸出の場合は赤字になっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/49
-
050・東隆
○東隆君 そうすると、尿素の場合にはその調整をとる会社が今のところはないわけですね。それで、実際は、塩安はそうでもないでしょうけれども、尿素の場合には完全にその生産者のところでもって計算をしているわけですね。海外輸出の面でマイナスになっている分を、国内の方でもってカバーをしている、そういうような形ができてくるわけですね、全体として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/50
-
051・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 尿素につきましては、硫安輸出会社のように、一つのところに、窓口が一本になっているという形においての調整は行われておりません。従いまして、各企業で直接輸出によって赤字が出ます場合は、その赤字を負担しているわけでございます。その場合、それは国内へはね返っているのではないかという御指摘でございますが、これは尿素の価格は、先ほど申し上げましたように、硫安との価格比率において、実勢として硫安とバランスしたものが出ているわけでございまして、尿素については赤字が出る分を、国内価格において取り返すという販売方法は事実問題としてとれないわけであります。従いまして、尿素の場合も、これはマル公価格及び輸出株式会社による直接の制度的なささえはいたしておりませんけれども、実際問題といたしましては硫安同様に、やはり企業において輸出の赤字は負担せざるを得ない。実勢価格といたしましては、成分換算いたしますと、尿素の方は若干硫安よりも安くなっているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/51
-
052・東隆
○東隆君 先ほど兼業の肥料メーカーと、それからプロパーの肥料メーカー——専門の肥料メーカー、こういうふうになっておりましたが、肥料メーカーとすれば専門でなくて、兼業の方がはなはだいいと、こういうお話でありましたが、肥料メーカーのうちで東洋高圧にしても、その他にしても尿素をどんどん生産しているわけですね、そうして私は考え方によっては硫安でマイナスになっている分を、尿素でもって埋め合わしているのではないか、こう考えているんですが、そういう面はないですか、尿素の生産をどんどんふやさなければならぬといって、その面をものすごくふやしているようにも私は考えるのですがね。それから尿素そのものが単に肥料という面でなく、別な面にも使われる、こういうような面もありますし、私は尿素そのものの販路とはおのずから違っておるのじゃないか。単に肥料用だけでなくて、ほかのものにも向けられる。そんなような関係で計算も非常に変ってきておるのじゃないかと思うのですが、その辺はどうなっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/52
-
053・村田豊三
○説明員(村田豊三君) 尿素が今日ここまで生産が伸びて参りました経緯を振り返ってみますると、ただいま東委員御指摘のような感じがなきにしもあらずという感じがするのであります。と申しますのは、尿素は御承知のように、新しい形態の肥料でございまして、昔、硫安がそうでありましたように、尿素につきましては、重要物産免税制度による法人税免税の措置がとられて参っております。しかし、この措置も本年の三月一ぱいで切れるのでございまするが、ともあれ今日まで法人税が尿素については免税になっておる。これは会社の経営面からいきますれば、非常に大きなやはり恩典であっただろうと存じます。まあそういうこともございまして、早くから尿素の生産に着手をいたしました工場が、尿素の売れ行きの増大と、かたがた法人税等の免税の恩典を受けておるということから、経営面には非常に有利であったということは否定できなかったのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/53
-
054・東隆
○東隆君 その場合に、私はある程度、硫安そのものについての生産費、そういうものでなくて、ある程度、まああまり広く広げるわけにはいかぬでしょうけれども、少くとも肥料の部類に入る範囲内においての計算をしないと、合理化の問題はこれは解決はつかぬのじゃないか、こう考えますが、そうでないですか。たとえば硫安工業の場合、たとえば硫酸の問題を一つ考えてみましても、硫酸を使わない面と、それから硫酸を使う面と出てくるのですから。この場合には、尿素とそれから硫安を考えてみたときに、そういう問題が出てくるわけですね。そうすると、アンモニアから尿素にいく経過と、それからアンモニアとそれから硫酸との関係で硫酸工業としての面と出てくるわけです。だから私は、その計算の中でもって会社の計算の場合におけるコストの計算をする場合は、これは非常に何といいますか、違うものができてくると思うのですが、そういうものをある程度しんしゃくをしなければ、海外に今マイナスの計算になってもどんどん出しておるという理由が表面ここへ出てきて二十五億という赤字が出てきておるけれども、しかし、そんなものは問題なしにどんどん出していっておるのですからね。だから、その中身をもう少しはっきりさせなければならぬ。その場合には、やはりたとえば尿素工業とそれから硫安工業と、この二つを、やはり両方にらまなければ硫安のコストというものは出てこないのじゃないか。それをあまり範囲を広げるわけには参りませんが、やはりそれを見なければ問題にならぬのじゃないかと、こういう気がするのですが、そういうことになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/54
-
055・村田豊三
○説明員(村田豊三君) 御指摘の点ごもっともでございまして、実は先ほどのお手元の資料の八ページにございますように、すでに今日硫安のマル公をきめます際に、あわせて尿素のコスト計算もいたしまして、その尿素のコストの硫安との比較におきますメリットがございます。硫安の方がやはり安いのであります。と申しますのは、今御指摘がございましたように、硫安はアンモニアに硫酸というものを別に作って作用させなければならん。ところが、尿素は御承知のように、アンモニアができます途中で副産的にできます炭酸ガスを作用させればよろしい。従って、尿素の生産の方が安いのは当然でございます。その安いものを、いわゆる私どもはこれを尿素メリットと呼んでおりますけれども、その尿素メリットの半分を硫安の出て参りましたコストからさらに差引を行なっており、その上先ほども御説明いたしましたようなバルク・ライン内加重平均方式というものをとっておるわけでございます。具体的に申しますと、この八ページの資料の生産費の欄をごらんいただきますように、A工場の生産費はもともと一万九千五百三十六円であったはずであります。ところが、尿素のそういうメリットを差し引くことによりまして、一万九千九十二円、これを見積るわけでございます。これはいろいろ政治的には若干疑問があるのでございます。たとえばG工場のごときは、工場では尿素を作っていないけれども、そういう尿素を作っていない工場にそういう計算方式をしいるのは多少酷ではないかというような議論もあるのでございますけれども、大勢といたしましては、すでに大部分の硫安工場が尿素を併産しておりまして、今日すでにこういう価格計算の制度を過去数年来採用いたして参っておるような次第でございまして、ただいま東委員の御指摘の点はすでに今日採用されておるということになるのではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/55
-
056・清澤俊英
○清澤俊英君 この前の第一次整備計画でしたか、振興計画でしたか、五カ年計画がありましたね。それが六百億使った、あのときの計画の生産目標と価格目標は幾らくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/56
-
057・村田豊三
○説明員(村田豊三君) 第一次硫安工業合理化計画で計画を立てました際の生産目標は約三百万トンでございます。それから価格は当時六十五ドルでありましたものを、当時の国際競争価格と申しましょうか、五十ドルを目標にするということで発足をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/57
-
058・清澤俊英
○清澤俊英君 それから、今のいろいろな説明でいきますと、生産率はそれを上回ったけれども、価格はそれに追いつかなかった、こういうふうに解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/58
-
059・村田豊三
○説明員(村田豊三君) 御指摘の通りだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/59
-
060・清澤俊英
○清澤俊英君 それで、この表の五ページを見ますと、三十八年度は流体原料法に大体が転換しまして、生産率が非常に流体の方が、固体の原料法から見ますと、流体原料法でやりますのが倍以上にふえておりまして、固体の方が四分の一ぐらいに減っておると、こういう比率になりました場合、大体目標としましては、これを四カ年ですな、大体。四カ年の合理化計画として資金はどれぐらいに見込まれており、価格はここまで参りますれば、大体価格目標をどれぐらいに置いておられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/60
-
061・村田豊三
○説明員(村田豊三君) 今回の第二次合理化計画は、肥料二法の期限を五年間に延長を願っておるわけでございますが、従ってこの五年間にやはり合理化をやりたいと思っておるのでございます。ただし、ただいまも御指摘がございましたように、工事そのものはゆうちょうに五年を待っておったんではなかなか進行がおくれて参りますので、できるだけ最初の三年間にこの合理化を推進して参りたい。もちろんこれは相当の工事期間、資金も要しまするし、また日数も要しますので、なかなか理想通りには参らぬかもしれません、あるいは四年ぐらいかかるかと存じまするけれども、一応気がまえといたしましては、さような気がまえでやって参りたいと思っておるのでございます。所要資金はその合理化に使いまするもの、すなわち主としてこれはただいま御指摘のありましたように、固体原料から流体原料へのガス源転換を中心とする合理化の所要資金でございまするが、約三百六十億円を見込んでおります。
それから合理化の効果、目標でございまするが、四十七ドルを目標にいたしておりまして、大体ただいま申しましたようなガス源転換が行われまするならば、五年目の昭和三十八肥料年度におきましては、四十七ドルのコストが実現するのではないかと期待をいたしておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/61
-
062・清澤俊英
○清澤俊英君 この工場は、今合理化を済ましました工場と別に、大体新設するような形がとられるのじゃないかと思いますが、その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/62
-
063・村田豊三
○説明員(村田豊三君) これはいろいろでございまして、一例を申しますと、現に石炭でアンモニアを作っている工場がある、ところが、これは立地的に天然ガスに切りかえるわけには参らない、そういうところは立地条件に左右されまして、石炭ではどうしてももうすでにコスト高になってやっていけないので、これを原油に切りかえるというふうなやり方をしている工場もございます。それからこれは、現にすでに天然ガスで工事をいたしておりまする工場が、さらにその天然ガスが相当まだ出るという見込みが立ちまして、現在の規模をさらに拡大するというふうなやり方をとっておるところもございます。いずれにいたしましても基本的な考え方は、やたらに新しい設備をどんどん作るということではなくて、既存の非常にコスト高の、まあ私どもはこれを老廃朽施設と呼んでおるのでございますが、そういうものは積極的に新しいガス源に切りかえを行うというやり方で合理化を推進していくということを基本的な考え方にいたしております。もっとも、先ほど来御指摘のありましたように、今後中共の貿易状況が回復するとか、肥料の輸出がさらに順調に伸びて参るというふうに、需給事情が相当緩和いたして参りますならば、ただ既存工場の施設を、今言いましたように能率的なものに切りかえるだけじゃなくて、新しく新規の工場施設を認めても差しつかえないかと思いますが、これらはもう少し需給の推移を見守った方が妥当でございまして、さしあたりといたしましては、今ありまする既存の工場の老廃朽施設を積極的に新鋭のものに切りかえて参りたい。また、そのために開銀の低利融資等もあっせんをして参りたいというような考えでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/63
-
064・清澤俊英
○清澤俊英君 これまでの設備をして四十七ドルというのは、これは自信ありますか。といいますことは、最近われわれの手元へ肥料会社の方の陳情書か何かきております。拝見してみますと、詳しくは忘れましたが、大ざつぱにいえば、こういうことじゃないかと思うのだが、国内肥料が内需のために高いマル公をつけて、これを押えるためにそのはね返りとしてわれわれは今輸出の際に赤字輸出しているのだ——その赤字輸出の様子などを詳しく書いてありますが、内地で四十三ドルくらいのところが最低でき上っておる。こういうダンピングに対抗するためには、従ってわれわれは生産を増大して、もっとコストを、これに対応するように下げていかなければならない。従って、ほんとうに肥料を下げるためには、まああの意味合いをもう一度読み返してみますと、結局当分の間、内地の農民諸君もしんぼうしてちょっと高い肥料を買ってくれないか、こういうことになっているのですね、あの内容は。それを上手に書いてあるわけなんだ。高いからというので、われわれはこうやって押えられておれば、結局赤字生産はできませんからだんだん生産を減らすということになると、しまいには高い肥料を使わなければならぬからと、こういう書き方をしておるのですがね。そうしてみますと、このあと液体原料をもってやっていくものが四十七ドルという赤字の見込れておることになれば、これはまたその先へいって突っかえるのじゃないかと思う。でき上ったときは突っかえておる。この前のときは、たしか非常に問題になりまして、どうも資金計画も通り、金を出さないで、どうも財政投融資が思うようにいかないで、われわれはここで数日にわたって資金を早目に出して、合理化して硫安肥料を安くしろと、こう言って騒いだ覚えがあるのですが、それができ上ったかでき上らないうちに、また同じことを繰り返していくような計画は、私はむだじゃないかと思う。六百億投じたものが、それのどれぐらいの範囲のものがだめになるかといいますと、二十八年度あたりを見ますと、大体公定比率を見ると半分以上がつまらぬものを作り上げるという形になっているのじゃないかと思う。それで、ここへきてまた老廃だと称して捨ててしまって、四十七ドルぐらいの目標でやるなんて、これはあとがどうもおかしいのじゃないですか、そこに私は何かあるのじゃないかと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/64
-
065・村田豊三
○説明員(村田豊三君) 非常に基本的な問題に対するお尋ねでございますが、第二次合理化計画でコスト・ダウンをいたしまする見込みは、先ほど通産省の方からお話ありましたように、一応現在の各企業が持っておりまする合理化計画を、政府においても積極的に援助をしていくということによりまして、四十七ドル程度の価格になるということを想定いたしておるわけであります。この四十七ドルになりました場合、実際に輸出をいたします価格は、四十五ドル程度で輸出はできると思っているのでございます。と申しますのは、四十七ドルは、これは総平均の生産費でございますが、輸出の場合は国内に売ります場合に比較いたしまして、トン当り二ドル程度は経費が安くつくわけでございます。これは先ほども申し上げておりますように、輸送費が国内ものほどはかからない、あるいは決済条件等も有利であるといったようなことで、輸出の場合は国内で販売いたします場合に比較いたしまして、二ドル程度は経費が安く上る。四十七ドルの生産費であれば、大体四十五ドル程度で輸出向けでは売ることができる。従いまして、言葉をかえて申しますと、四十七ドルまで平均生産費が下った場合の状態では、四十五ドルで輸出できれば一応赤字も黒字もない、とんとん、いわゆるもうけも損もないという状態になるということが一応考えられているわけです。四十五ドルと申しますのは、先ほども申し上げましたように、現在の輸出価格は国際入札でやります場合は非常に安いものがございます。この前の韓国の場合のごとく四十一ドル八十何セントと極端なものもございました。最近は大体四十三ドルくらいのものが一つの目安になっておる。一方民貿で個々の折衝でいきますものは、四十七ドル、五十ドルくらいまで出ている。そうしたものを平均いたしますと、大体四十五ドルくらいになるわけでございます。大体四十五ドルくらいのところを一応目標にしておけば、そう大きな食い違いはないであろう。ただ、これらはお話のように、国際競争がだんだん激しくなって参りますれば、実勢価格として下落の傾向をたどるということは当然考えなければならぬのでありまして、さらに価格がもう少し下りますようにいろいろ工夫検討いたすことはもちろんでありますが、外国の、たとえば西独等の生産費等もいろいろ政府でもあるいは業界でも調べておりまするけれども、おそらく第二次合理化計画が一応完成した暁においては、日本の硫安の国際価格も国際的にそう見劣りのするような状態にはないだろうというふうに考えておるわけでございまして、今までのように非常に早いテンポでさらに硫安の輸出価格が下っていくというようなふうには私どもも考えておらぬわけであります。一応今度の計画でも、大体現状及び将来の線を想定いたしまして、裸のままで輸出に耐えられるという線にまで極力持って参りたいということを意図してやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/65
-
066・清澤俊英
○清澤俊英君 まだちょっと二、三ありますが、整理しないで質問をいたしますと、まことに御答弁なさる方も御迷惑だと思いますから、二、三頭の中にありますが、この次までに整理して参りますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/66
-
067・東隆
○東隆君 私は実は、このごろ会社の生産しておる傾向は、単肥でもって出すよりも、複合肥料でやった方が非常に多くなってきているのじゃないか、メーカーは。そうしてその動きは、私はやはり単肥のものは、これは全購連、農業協同組合系統を通して流れる部面が多いと思うのです。それから複合の形態でもって出る肥料は、これは業者を通して流れる部面が非常に多いのじゃないか、こう考えます。それからメーカーとしては、単肥で出すよりも複合肥料を作り上げる方が利益になりますから、従ってそういうようなものがふえてきておると思うのです。そこで問題は、どういう形になっておるかというと、硫安そのものの計算からではなくて、複合肥料としてでき上ってきたものにおけるところの利益、そういうようなものが私は相当赤字を克服するのに役立っておると思うし、それから会社におけるところの利益の中身を形成しておるのじゃないか、こういうことを考えるわけです。そこで、全体として非常に大きな量を農業協同組合系統で扱っておりますが、これがだんだん私は複合肥料でもって侵食をされていくということは、私は実際のことをいうと、農家としてはあまりいい傾向ではないと思うのです。そこでこれらの数字を、傾向を明らかにした表は肥料要覧の方にもありませんし、こちらの方のきょういただいた資料の中にもないのです。私はこれを少し経過的に明らかにしたものをほしいと思いますが、これはいただけましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/67
-
068・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 手元にこまかい資料がございますけれども、別途差し上げます。ただ、ただいまの御質問の点は、複合になると農協よりも商人扱いがふえるというふうに御指摘になっておりますが、必ずしもそういうわけではございません。やはり複合肥料も相当農協で扱っており、大体半々でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/68
-
069・秋山俊一郎
○委員長(秋山俊一郎君) それじゃ本件は、本日はこの程度にいたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後四時四十九分散会
発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115007X01719590313/69
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。