1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月二十四日(火曜日)
午後一時三十九分開会
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委員の異動
本日委員吉江勝保君辞任につき、その
補欠として左藤義詮君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 相馬 助治君
理事
後藤 義隆君
中野 文門君
松永 忠二君
竹下 豐次君
委員
大野木秀次郎君
川村 松助君
剱木 亨弘君
林屋亀次郎君
坂本 昭君
湯山 勇君
国務大臣
文 部 大 臣 橋本 龍伍君
政府委員
文部大臣官房総
務参事官 斎藤 正君
文部大臣官房会
計参事官 天城 勲君
文部省初等中等
教育局長 内藤誉三郎君
文部省大学学術
局長 緒方 信一君
文部省社会教育
局長 福田 繁君
文部省体育局長 清水 康平君
文部省調査局長 北岡 健二君
文部省管理局長 小林 行雄君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
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本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査の
件(昭和三十四年度文教関係予算に
関する件)
○社会教育法等の一部を改正する法律
案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/0
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001・相馬助治
○委員長(相馬助治君) これより文教委員会を開会いたします。
委員に一部異動がありましたから、報告いたします。
本日、吉江勝保君が辞任され、補欠として、左藤義詮君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/1
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002・相馬助治
○委員長(相馬助治君) まず最初に、昭和三十四年度文教関係予算を議題といたします。
質疑のあるお方は、順次御発言を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/2
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003・坂本昭
○坂本昭君 先般の委員会におきまして、大臣から、国家百年の大計を立てる意味において、義務教育あるいは社会教育あるいは科学技術振興について、種々検討を加え、これを推進していきたいという御決意のほどを伺つた次第でございますが、日本の義務教育は確かに諸外国に比べまして非常に充実してきていると、私たちもその点については同慶にたえないのでございます。ところが、最近、文部省で御調査になりました教育費の父兄負担について、その内容を点検しますと、父兄負担がどんどんふえてくる一方である、そういう調査がでておるようでございます。なるほど、政府では、減税をやったりいろいろと国民生活の安定をはかるために努力をしておられるのですけれども、この教育費の父兄負担がどんどんふえる一方であり、しかも、その反面、父兄の負担でない、つまり、子供に対する予算的な措置でなくて、たとえば、校長に対する管理職の手当、あるいは教育長に対する給与、あるいは今度は校長さんに対する洋行の手当ですか、あるいは講習会の費用とか、こういうような面がどんどんふえておる。そうして一方においては義務教育を行う場合の父兄負担の教育費がどんどんふえている。私は非常な矛盾であると思うのです。特に三十四年度の教育予算を立案するに際して、大臣としてこういう非常な矛盾に対してどういう基本的なお考えを持っておられるか、まず、その点を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/3
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004・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 教育費の父兄負担は、ぜひ減らして参らなければならぬと思います。その場合におきまして、文部省も従来骨折って参り、今回もこの予算の中で非常に力を入れて参りましたのは、本来公費として国など地方自治体なりで負担をすべきものを父兄が負担をされておるという部分をぜひ減らさなければなりませんので、その点に重点を置いてやって参つたわけであります。公費として国、地方団体が当然負担し切るべきもので、父兄負担になっておりまするものを減らすのはもとよりただいま申し上げた通りでありますが、そのほかにも、父兄が当然家計費の一つとして見ていくべき教育費の部分につきましても、これは父兄の負担というものがむやみにふえないようにいろいろな面で施策して参らなければならぬと考えております。ただし、当面の問題といたしましては、予算的措置は、公費に属する部分で、父兄負担の部分をなるべく急速にゼロにしていかねばならぬ、それを考えておるわけであります。そのほか、ただいま御指摘になりました管理職手当の問題等は、それぞれこれは必要がありまして計上いたしたわけでありまして、いろいろ御意見はあると思いますが、やはり当面の予算といたしましては、いろいろな面について必要を充足しつつ公費に属しまする父兄負担分の解消というものを第一に急速にやっていくという方向で今回の予算の編成をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/4
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005・坂本昭
○坂本昭君 どうも大臣の必要と国民多数の必要とだいぶねらい点が違うような感じがするのであります。文部省で調べられた父兄負担の教育費の調査について、具体的に政府委員から説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/5
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006・北岡健二
○政府委員(北岡健二君) 父兄負担の教育費につきましては昭和二十七年度から続けてやっておりますが、大きな項目を大体学校へ納める金と家庭における教育費というふうに二つに分けまして、そうしてその学校教育費を、またさらに、直接教育に使われるものと間接に使われるものというふうな区別をいたしております。昭和三十二年度の調査によりますと、小学校を例にとりますと、学校教育費が、面接、間接を合せまして七千八百円、家庭教育費が三千九百円程度でございまして、合せまして一万一千八百三十円というふうな数字になっております。これを前年度に比べてどういうようにふえているかと申しますと、今の小学校の例につきまして、昭和二十七年度を一〇〇とする指数で総額で見ますと、昭和二十七年度の一〇〇に対して昭和三十二年度は一六〇に相なります。これを分けまして、学校教育費の指数で見ますと、昭和二十七年度の一〇〇に対して昭和三十二年度は一四七になります。家庭教育費の方は、昭和二十七年度の一〇〇に対しまして昭和三十二年度が一九一になります。この間に一般に国民の所得の指数も増加しておりまして、約五〇%程度の増加を見ております。一般に生活の条件が豊かになったというふうな点がこれで見られるわけでございます。そういう生活の豊かな一般的傾向の方から考えますと、例のエンゲル係数というふうな観点がありますように、比較的文化あるいは教養というふうな面における経費の割合が増加していくのが常でございます。そうしまして、かつは、学校教育費の指数の増加に比べまして家庭教育費の指数が増加しておると、こういう現象が見られるわけでございます。学校教育費の関係でそれを多少中身に分けて見ますと、学用品とか教材費等の増加が前年度に比べて一三・九%の程度でありますのに、家庭教育費や補助学習費は六一・七の増加、それから教養費は五四・九の増加、こういうように、先ほど申し上げました指数の上で家庭教育費がふえておるのと同じように、学校へ持って行きます経費の増加の割合に対して家庭における教育費あるいは教養関係の経費の増加というのがより顕著に見られるのでございます。なお、この小学校の場合に、給食費の増加がかなり顕著に見られておりますが、これは、調査対象がたまたま給食をやつておる学校の父兄に当った場合があったんじゃないかという点も考えますので、この点は直ちに全国的にこういう増加があったというわけには参らないと思います。給食費等の増加がございます。ごく大さっぱに申しますと、大体そういうようでございますが、ただこの調査は割合に数の少い人に当て一年間の記録を書いてもらいますので、小学校、中学校等それぞれ割り当てて、しかも住んでおる地域が全国の各標準にまたがるような配当をしておりますけれども、何分にも数が少いことと、一年間家庭において教育費の中身をこまかく書いてもらわなければならないために、多少レベルの高い人のところで調査をしてもらうというふうなことがございますので、多少家庭教育費や教養費というふうなものの増加が高くなるような現象が出ておるかというふうに考えられる点がございます。大体以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/6
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007・坂本昭
○坂本昭君 どうも、ただいま主として小学生を対象とした教育費の調査を説明いただきましたけれども、特に文化教養費が高まった、国民生活が安定してきたというふうな御説明で、小学校の義務教育について文化教養の問題は、これは私は二の次で、むしろ社会教育の面でそういう文化教養費が高まってきたというならばともかく、小学校の義務教育の場合、やはり給食費の問題とか、あるいは今度政府で提案されている学校安全会の医療費の問題、こういう義務教育の中において当然考えなければならないもの、そういう面の負担の増、特に最近は要保護家庭並びに準要保護家庭というものは決して減つていない。むしろ国民生活のアンバランスというものがだんだん差がついているのであつて、今のように生活の比較的安定したものを対象として調査をやったことだけでは実際のことをつかむことは非常に困難ではないかと思う。むしろそういう点では、前に厚生大臣をしておられて、今度文部大臣になられた橋本文部大臣は国民皆保険あるいは皆年金そういうものを通じて、なるほど国民は仕合せになるかもしれんが、同時に国民の負担が非常にふえてくる。たとえば今の給食の問題にしても、あるいは学校安全会の問題にしても、子供たちが守られるかもしれないが、同時にその守られる以上に負担が非常にふえてくる、こういうことについては大臣として、厚生問題並びに文教問題一緒にして十分な検討をしていただきたいと思うのであります。特に給食、医療の問題について今回の三十四年度にとられた予算措置について大臣のお考えをもう一度お聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/7
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008・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) これはいろいろの御意見はあると思いますが、給食の関係について申しますると、今回の予算では、予算総体といたしまして給食婦の設置に要します費用は国でめんどうを見るという割合を多くいたしましたのに重点を置いておるわけでございます。給食それ自身の問題につきましては、グラントの減少等がございまして、国費で相当めんどうを見ながらなおある程度給食の父兄負担が上っているのであります。しかし、これも別に、今私実は手元に数字を持って参りませんでしたが、先ほど申しました当然公費として見るべきものの父兄負担分はできるだけ減少していくという意味において、教材費の負担でありますとか、その他ずっと総体を見回わしまして、それぞれの点についてできるだけ本米公費で見るべきものの父兄負担分の減少という面で相当の予算を計上をいたしまして、従いまして給食費についての父兄負担分の、つまりグラントの減少によりまする増加が多少ございますけれども、全体見合つてはやはり公費で見るべきものの父兄負担分の減少という点で、父兄負担の減少をはかって参つたつもりでございます。なお、ただいま御指摘のございました一般家計費の中で占めております教育費、ことに義務教育関係の教育費の推移について、特に低い貧乏な階級の人たちの父兄負担分がどう推移しているかということについてもっと十分な調査等をし、関心を払うべきじゃないかということについてはもう御意見の通りでございまして、これはやはりこれだけの資料を整備いたしますにも相当骨が折れておると思いますが、なおもう少し一般化した数字にして検討をいたして参りたいと思います。現在のところでは、これも手をつけましてからここまでやって参ったのに相当苦心があったと思いますが、ただいまお話のありましたように、どの辺の階層をつかんでみるとこういうふうになるとか、もっと低いところではこういう推移をしているということをもう少し的確につかめるように努力はして参りたいと考えておりますが、今日のところでは教育費の調査につきましては、先般発表いたしましたものが文部省としては一番身を入れた調査でございまして、それが総体の父兄負担というものを見る上においてどういうふうなウエートを占めるべきものであるか、それを的確につかむためにもっと調査の拡充の方向をどんなふうに考えていったらどうかということにつきましては、なお十分に検討いたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/8
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009・坂本昭
○坂本昭君 とこで、大臣は、今の幾つかの父兄の負担の中で、将来たとえば教材について重点を置いて、これについて国として義務教育に対する責任をもっていこうとするか、あるいは給食についてこの責任をもっていこうとするか、何かその辺についての大臣のお考え、どこに一番のポイントを置くか、その点について御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/9
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010・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 当面の問題といたしましては、先ほど申し上げましたように、昭和三十二年度の調査において、公費で本来負担すべき部分で、PTA会費、寄付金等の形で父兄負担分になっているのが百八十億であったかと思いますが、それの解消という点に当面最重点を置いて参りたいと考えております。それと並んで、たとえば給食費の問題等についてできるだけ父兄の負担というものが重くならないように、これは積極的に安くするというよりも、内容の充実の問題がございまするから、私はおのずから内容をよくしながら父兄の負担をあまりふえないようにできるだけ配慮を払っていくという点にせいぜい力を入れるということに相なるかもしれませんが、ただいま申し上げましたように、当面は三十二年度実績で百八十億ばかり出ておりますPTA負担分の解消ということに力を入れる。それからそれに次いで給食費等の今後の増加というものを防いでいくという方向に力を入れていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/10
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011・坂本昭
○坂本昭君 PTA負担分の解消について最大の重点を注ぎたいという大臣の御決意でございますが、今度の三十四年度の予算折衝において、これは予算折衝をされた担当の方にお尋ねしたいのですけれども、大蔵省が十分な予算を組んでくれなかった最大の根拠はどういう点でございますか。予算関係の担当官の方から説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/11
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012・天城勲
○政府委員(天城勲君) ちょっと御趣旨を聞き間違えるといけませんので、どういう点について大蔵省が予算の計上に十分でなかったという……全体でございますか、ちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/12
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013・坂本昭
○坂本昭君 教材費について、あなた方の方で単価を出して交渉されたと思うのです。ところが、それが削られたり、あるいははねられたりした、その場合のこちらの言い分と向うの言い分の一番大きな食い違いの点はどういうところに具体的にあったという点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/13
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014・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) ただいま大臣がお話しになりましたように、全般的に父兄負担を軽減しなきゃならぬ、特に公費を持っておる父兄負担の分をいかにして軽減に充てるかという点が重点になろうと思うのです。中で公費を持っているうち、私どもの資料によりますと、一つは施設の関係です。建物の関係について相当地方の負担、特に父兄の負担がございますので、この点につきましては、当初説明がありましたように、国庫負担で約二十億の増額になっております。その次が設備関係でございます。いわゆる教材費とか……教材費につきまして私どもとしてはできるだけ教材費の国庫負担を増額したい、こういう趣旨で折衝いたしたわけであります。それからもう一つは給食費の問題もあるわけでございます。ですから、この教材費につきましては、何とか増額をいたしたいというので努力した結果、約二割の増で、三億程度でありました。この点は私ども非常に不満に思っておりますが、本来地方負担の分が相当ございますので、実は地方財政計画には、特に今度の交付税の算定基準におきまして、国庫負担が十七億五千万円に対して教材費を一応自治庁に計上していただいたのであります。それからいま一つ、人件費の関係があるわけです。父兄が負担しておる人件費のうち一番大きなものは、これがやはり給食関係でございます。その関係の給食婦を従来PTA等で負担しておりましたのを、本年は、今まで三十三年度までに交付税基準で九百人について一人、それを二人にすることにしまして約十二億、こういうことで、できるだけ公費を持っておる父兄の負担を軽減していきたい、こういう線で全体的に考慮したことでございます。今お話しのように、全体的な父兄負担を軽減すると同時に、この要保護児童とか準要保護児童等の低所得階層のものに対する措置をいたしたわけでございまして、すでに御承知の通り、教科書、給食費については前からやっておりましたが、本年、給食については一・五%を二%にして上げる。それから医療費については、昨年の学校保健法の措置を今年は完成して、さらに新しく本年は修学旅行の経費として七千八百万円を新たに国で負担することにいたしたわけでございます。私どもとしては、全体的に父兄負担の軽減に資したい、しかし、どうしても無理な点については、要保護児童及び準要保護児童だけでも完全に救って参りたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/14
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015・坂本昭
○坂本昭君 実際この各地方の実情を見ますというと、学校建築についても非常に父兄の負担が大きいのですね。ですから地域によっては、義務教育については、父兄が自分が建てた学校だという、そういう意識が非常に強いところもあるのですね。これはある点ではいいかもしれませんけれども、少くとも義務教育をやつている学校の建築でさえも父兄が相当な額を負担しなければならないということは、どうもおかしいと思うのですね。そういう、今の百八十億について具体的なこまかい内容が、おそらく皆さんの方で調査になっていると思いますので、次回このこまかい内容について、たとえば給食関係、教材関係、施設関係、そういうものを一つ資料としてお出しいただきたいと思います。
それから給食のことについてもう一度伺いたいのですが、この前の説明によりますと、小学校でも少いところでは七%程度、多いところですと九〇%程度実施されており、非常にアンバランスが強いように思うのですね。こういうような給食の実施について地域的な差が強いようでありますが、これについて、文部省として将来どういうふうな指導方針をされていくつもりであるか、まず大臣のお考えを聞き、それから担当の政府委員から御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/15
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016・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) これは地域的にいろいろな、大体が都会と農村地帯との差によって大きく開いておりますことは御承知の通りでありますが、今後の問題といたしまして、ごく総体的なことを申し上げまするならば、父兄の了解を得まして、なるべく給食の設備というものを一般化して参りたいというふうに考えております。で、具体的に今日の現状に処してどういうふうな指導をいたして参りますかということにつきましては、事務当局の方からお話をいたさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/16
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017・坂本昭
○坂本昭君 その前に、一体この給食というものが義務教育の学校において教育の面においてどういう価値があるか、大臣はどういうふうに認識しておられるか、池田元大蔵大臣は学校給食に対して否定的な考えを漏らしたことがありますけれども、厚生大臣の出身の文部大臣ですから、よもやそういう点について御認識の間違いはないと思いますけれども、大臣は一体この学校給食というものに対してどういう教育上の効果評定をしておられるか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/17
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018・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) これは本来から申しますならば、学校給食というものは、教育上の効果ということだけを考えるのが本筋だろうと考えますが、私はもう一つやはり栄養改善という厚生施策的な見地及び将来の農業政策上の見地といったようなものも、私はやはり現実にもうすでに大きく配慮されつつございましょうし、考えてもしかるべきものだと思っております。教育上の効果につきましては、もう今日ではそう事あらためて申し上げることもないと思いますが、一つには精神的な問題として、子供が学校においてはみんな同じように扱われる。学問の方も同じように教えられ同じように学ぶと同時に、学校に行って食べるものも同じものを食べるということが、教育の場におきます……どうしても食べるだけ食べなければならんというわけで、みんな金持のものも貧乏のものも同じものを食べるということが教育の面において精神的に大事なことだと思っております。これが一点。
それからもう一つの問題は、やはり発育期にあります青少年の体育という見地からいきまして、やはりせめてまあ食べるだけでも子供のからだに合った食べものを食べさて、発育の改善に資するという学校保健衛生上の見地ということが非常に大事な問題だと考えております。で、教育という面から申しました給食の価値というものの一番の主眼点は、この二つにあると思いますが、そのほかに今日われわれが一般的な国民の体質改善という点から考えましても、米の過食でありますとか、それからそのほかいろいろの面におきまする栄養改善、食慣習の改善ということは非常に大きな問題でございます。今日ではもう皆さんも御承知の通り、日本の国内で一番地域的に短命なのは秋田の米作地帯である。四十代になって卒中が非常に多い、それは米の過食のせいだということは非常にわかっているけれども、なかなかわかっていても一度癖がついたらなおらないという状態でございます。こういうふうな面、平均的にバランスのとれた食事をする、あえてぜいたくでなくて、金がかからなくて充実した栄養をとるという厚生施策の面から申しまして、これは一度できた食慣習というものは相当頑強になおらないものでございます。こういう面から申しましても、学校給食で国民の食慣習を改めて、栄養改善、体質改善に資していくという効能というものは非常に大きいと考えられます。それが粉食の奨励であり、今日ではまた酪農を学校給食の面で非常に取り入れているゆえんでもあると思います。私はこういうふうにいたしまして、まあさらに、非常に大きくは日本の将来の農業政策の見地から言って、何十年か後においてどういう作物をどれだけ必要とするかということは、今日長期経済計画の面でもかなり細密に栄養分析という点から始まって計画が立てられつつある、今度の国会におきましても農業基本法の法律が出ておるというようなわけでありますが、これなんかにつきましても理屈を言うのは簡単でありますが、やはり理屈の上で出てきた結果というものをほんとうに私は農業政策の面にまで高めて、そうして実施に移して安定にいくよう、安定した農業政策ができるというところにいきますまでは、どうしても私は、結局は、学校給食という面を大きく通じた国民の食慣習の改善という以外に実行の方法はないように考えております。いささかこの教育面の価値以外に少し広く触れ過ぎましたけれども、私はそういう総体的な見地から見て、学校給食というものは相当大きな見地で、根強く普及をはかっていくべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/18
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019・坂本昭
○坂本昭君 さすが厚生大臣出身の文部大臣で非常に同感の意を私も表する次第であります。特にこのごろの学校教育というのは、隣の中華人民共和国などでは、半労半学というような、つまり日本だと教壇の上に教師が立って、黒板に字を書くというだけで教えております。ところが、中国では半分そういう教え方をすると同時に、あとの半分はきわめて実際的な、たとえば工場へ行くとか、農場へ行くとか実際の労働を通じての教育、そういうような行き方をしている。それでソビエトもフルシチョフが新しい教育のコースの中でそういうふうに変えつつあるように私伺つているのであります。日本の場合、たとえば戦争の最中に、若干それに似た形が、目的は違つているけれども、行われたことがありますが、実際にこの道徳教育とか何とか言っても法を通じてやるよりも、私は給食の実際的な行為、たとえば当番の生徒がエプロンをかけ、マスクをかけて皆にサービスをする、そうして好ききらいがあつても皆がそれを楽しく一緒に食べる。そこに私は新しい道徳教育なり、あるいは団体教育なり、あるいは社会の共同生活の具体的な教育というものが、給食の中に非常に如実に現われていると思うのです。特に、今大臣指摘された通り、日本の食習慣の改善ということは、場合によれば何といいますか、古い日本の封建性の表現ともつながるもので、私自身は、大飯食いというのは大ばかやろうのもとになるもので、つまり胃にたくさん詰め込めば頭の血液が胃におりていって、頭が貧血状態になるので眠くなる。農村では飯を食ったらすぐ寝てしまう、勉強もできない、むしろ食生活の改善ということの中にデモクラシーというものの発達も含まれているのじゃないか、そういう点では大臣の御認識は非常にけっこうであると思いますので、この際厚生大臣出身の文部大臣として、私ほかのことを言いません、少くとも、この給食問題について橋本厚生大臣が、さすがは厚生省から転じて文部大臣をやったけれども、給食だけについては非常な成果を上げた、そういうふうな私は一つの業績を残していただきたい、そういうふうに考えるのです。ただ、従来の全般的な給食の指導がどうもまずいのではないか、その点については一つ政府委員から一体どういうふうに指導しているか、それから今の文部大臣の、新大臣のお考えに基いて一体どういうふうに指導していくか、充実、改善それから宣伝ですか、どういうふうにするか、ちょっと説明いただき、なおかつそれが具体的に予算の面でどういうふうに出ておるか御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/19
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020・清水康平
○政府委員(清水康平君) 先ほど御指摘がございました通り、小学校の現在の普及率は六〇%に達しておりますが、都市は大体八〇%になっておりまするけれども、農村へいきますと三〇%程度でございます。それで、一番普及しておりまする県は九〇%、九六%ぐらいまでいっておりますが、普及しておりません県は一〇%に達してない県すらもございます。どうしてそこにそういう原因があるだろうか。いろいろありましようけれども、一つ考えられますることは、先ほど大臣からお話がございました通り、大体において米の豊富な土地はどうも普及率は悪うございます。それがいろいろな方面に出て参りまして、たとえば給食に関する施設設備は設置者の負担になっておる。それに対して国が二分の一補助するというような規定があるわけでございますけれども、そういう場合に対する申請の歩合も割合少い、それはやはり米に依存しておる、こういう傾向があるのじゃなかろうかと思うわけでございます。私どもといたしましては、もちろん今後大臣の指示に、御意思によりまして、今後大いに考究していかなければなりませんけれども、今後給食を普及発展させるためには、どうしても農村地帯にいかなければならない。農村地域には米のたくさん出るところと、それから酪農の発達しているところがあるわけでございます。それで、米の方でございますが、米のたくさん出ているところは比較的に、率直に申し上げるわけでございますけれども、どちらかというと、貨幣生活と申しますか、貨幣経済に、必ずしもまだそこまでいっておらない。米はたくさんあるけれども、給食は安いけれども払いにくいというようなところもあるが、何といっても、米がもうすべての尺度だという観念がございます。たとえば弁当の場合に家から銀飯の米を持っていくのが一番いいのだというような……栄養の点からいきましても非常に劣つているところがございます。それで、たとえば私ども御参考のために申し上げるのでございますが、弁当として考えられるのは目玉弁当、塩ざけ弁当、ノリ弁当、都会では市販のコッペパンと牛乳というようなものがございます。それと、現在やつておる学校給食を比校してみますと、値段においては何といっても学校給食の方が安いし、栄養からいっても非常にいいのですけれども、その点はどうもまだ認識が不足で、その点私どもはより一そう普及していかなければならぬと思っておるわけでございます。それと同時に各県の教育委員会、特に設置者の啓蒙と申しますか、熱意と申しますか、その点をもっと振起して参らなければならぬと思っておるわけでございます。それで、それならば予算は一体どうなっておるかという問題になるわけでございますが、施設設備につきましては昨年大体六百六十校予算上認められておるのでございますが、本年は七百三十校ということになっておるわけでございます。それで、その中にその施設、設備の要求を見まするというと、七百三十校では足りないのです。中には栃木方面へ参りますと自力でもってやつているのがございますが、七百三十校では足りない、もっと要求してもっと計上しなければならぬと思っておるわけでございますが、何と申しましても一番阻害になるのは、今まで家から弁当を持っていった者が、今度はたとえば学校給食費は、認識も改まって、栄養もいい、安いと認識されましても、これは一応建前は給食費は父兄の負担になっておりますけれども、しかし私どもとしては、何としてもこれを、給食費をなるべく上げないようにしなければならぬ。と同時に、半面その地方でもって給食費の伸びない一つの原因は、学校給食が安いかわりにまずいという評判も一部にはあるわけでございます。先ほど大臣の御説明がございました通り、これから私どもといたしまして給食のパンとかあるいはその他、副食物にいたしましても、栄養の充実をはかって参らなければならない。同じパンにいたしましても、ある地方へ参りますと非常においしいけれども、ある地方へ行くとおいしくない。食べつけないという関係もございましょうが、これは今度はその栄養の内容を改善していかなきゃならぬという気もいたしておるわけでございます。
もう一つは、栄養の立場からどうしてもこれを食生活の改善、そういう意味合いからも学校給食を普及して参らなきゃならないのでございますが、それにはどうしても、率直に申しますと、先般もお話があったのでございますが、栄養士というようなものを、少くとも理想の形としましては各学校に置くべきかもしれませんけれども、少くとも教育委員会には、本年はだめだったのでありますけれども、来年度からでも栄養士というものを教育委員会に配置いたしまして栄養の指導、普及、また衛生も加味させて参りたい、そんなように考えておる次第でございます。それからこの栄養を改善して参りましたり、それから先ほど大臣のお話にございましたが、三十四年度はアメリカのグラントが三十三年度に比較しまして約半減するわけでございます。若干、大体今のところパンで五十銭くらい高くなる見込みでございます。しかしこれは、小麦粉のしっかりした計算は食糧庁で三月の終りころにならないとわかりませんけれども、そういうような理由でグラントが半減するという意味合いにおいて高くなるわけでございますが、そうして一番私どもがそれで心配いたしますのは、それに伴つて要保護、準要保護がそれだけ負担することになるわけでございます。それで先ほど来もお話ございましたが、従来学校給食につきましては、準要保護につきましては一・五%だったわけでございます。今度七千四百万円増額いたしまして、二%になったわけでございます。しかし、これは御承知のごとく、この学校給食の方はこれは設置者が二分の一以上補助した場合その半分ということでございまして、予算的には全額設置者が補助した場合その半分、それの二%になっておりますので、計算いたしますると大体二・九%くらい。予算上では十五万くらいでございますけれども、実際は二十二万くらいに上るわけでございます。私どもは今後これは教科書とかいろいろな方面に関係がございまするけれども、準要保護児童の範囲をできるだけ広げて、その方面からも救つて参りたいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/20
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021・坂本昭
○坂本昭君 この今の給食の問題は、なかなかこれは将来ともに大きな問題であるし、私は橋本大臣がほんとうに先ほどのお考えに基いてやられるならば、いろいろなほかに人件費をずいぶん回しているので、このようなものを削っても栄養士の人件費を確保して、そして実際に学校給食が徹底できるように少くとも大臣在職中にその基礎をぜひ固めていただきたいと思います。これはほかの大臣ではとうていやることのできないことで、橋本文部大臣としての最大の義務であり任務であると思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/21
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022・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) ほかにもいろいろなやりたいことがございますけれども、給食の問題も重要だと思いまするので、そしてまたこの辺が一つのやはり何といいますか、今まで充実して参りましたものをさらに今後発展させるために一応見直す一転機であるかとも思いますので、ちょうど農漁基本法が国会に出ました今日でもございまするし、あらためて十分に考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/22
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023・坂本昭
○坂本昭君 実際、今の義務教育、特に小さな子供の小学校教育に関連して、今の給食の問題にも関連してきますけれども、大臣御承知の保育所の問題ですね。いわゆる幼児教育、日本の幼児教育の中で、保育所が特に給食のことについて非常な熱意を持って今までやってきた。これもやはり幼児教育といいますか、教育の面よりもこれは保育ですけれども、この保育の中には給食というものが非常に重要視されている、この傾向は私は非常にいいことだと思います。ただ、政府の熱意がきわめて足りなくて、去年あたり保育所は措置費の改善方式のために非常に父兄の負担がふえてきたのですけれども、やはりこれは日本だけでなくて、世界を通じての幼年教育、幼児教育の中心としてこういう給食というものはいつも取り上げられなければならない。そういう点で、ほかの大臣ではとうてい理解のできない点だと思いますので、この点については橋本大臣御在任中にぜひとも基本的な構想をお立ていただきたい。そのことをお願しまして、もう一つやはり橋本大臣でなければできないと思う点で、実はこの前少し問題が出ておりましたが、義務教育の中でいつもやはり等閑視せられるのは長期欠席をやつている子供たち、ことに養護学級の問題だと思います。これについては厚生省の方で来年度についてカリエスの子供が二百九十床、その費用を国で見るということが新しく実現できるような運びになっております。ところが、これはカリエスだけであつて、ほかに長期欠席の子供というものはたくさんいる。その中にはもちろん貧困な人もあるでしようが、ちゃんと病院に入院して、これは大臣御自身御体験もおありのことですから十分な御理解がいただけると思いますが、病院で長い療養をしている子供に対する措置というものがまだきわめて不徹底である、非常に義務教育もおろそかにせられているという現状について、特に三十四年度の予算の中には文部省ではほとんど何も考えていないのではないかと思うのですが、大臣のお考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/23
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024・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) ただいまお話のございましたカリエスの問題にいたしましても、ただいま御指摘のございましたように今年度から新たに特別な経費を計上するということに相なりましたが、これも坂本委員前から御承知のように、予算的には病院関係の予算は厚生省の予算であったり、あるいは民間の病院関係の経費であったりしながら学校の経費は、また国なり地方自治体なりでめんどうを見る経費でありましたのを、まあうまいこと結び合せて、病院に小学校中学校の分教場を設けてやつている施設が全国にかなりできているわけであります。私も実は厚生省の予算を今年度組みます場合に、従来通りの厚生省は厚生省、文部省は文部省で病院と学校の整備をやりながらそれを学校における分教場という形で結びつけたらいいじゃないか。特別などうもああいう経費をやる意味があるかどうかということも問題にしたのでありますが、それはやはり従来のは不十分な面もございまするので、新たな見地から理想的な予算を取るのは大蔵省さえ認めてくれれば、一つの発展としてやりたいと思って取つたわけであります。ただ、私といたしましては、それじやカリエスの子供に対す教育の施設はことし初めてやったのかというと、そうでないで現在かなり行われつつある。こういう点を見ますると、私は今年度新たに取りましたカリエスの子供の教育の施設というような経費、ああいう取り方で将来予算を取つていくものか、あるいは従来取つております予算なり、あるいはそれぞれの経費なりというものをもう少し見直しをしてみたら今日の段階でも、もっと長期欠席の子供の教育というものはできるんじゃないかと私は実は考えておるわけであります。そこで比較的対象をとらえやすいのはカリエスの子供ないしは小児麻痺の子供であろうかと思うのであります。私も将来の問題といたしましては、一般の肢体不自由児なり、あるいは精神簿弱児なりの義務教育というものを盲ろうあ程度まで義務設置でやっていくということをなるべく早い将来に望んで努力をいたして参らなければなりませんけれども、すし詰め教室解消の問題等もございまして、一気にできないといたしましても私はその間にもう少し、今日ありまする病院、療養所の施設なり、あるいは今日ありまする教育の制度なりというものを結びつけて、もっと現状改善ができやしないかと実は考えておるのでありまして、私も文部大臣になつたばかりで、そうは申しましても、調査してみまするとなかなか今日以上に進み得ないいろいろな支障があるかと思います。ただいま御指摘ございました点につきましては予算的に、あるいはそのほかの面で将来さらにこれを拡充いたして参りますることと、今日のままでもう少し工夫の余地がないだろうかという両面合せて至急検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/24
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025・坂本昭
○坂本昭君 今の点は非常に大事な点でございまして、結核あるいは肢体不自由児の義務教育に対してどこの機関が責任を負うべきか、たとえば今度のカリエスの子供については結核予防法で責任を持っているわけです、厚生省が責任を持っていますが、これはむしろ義務教育という面で考えていくならば、文部省も責任を負うべきではないか。それから両方がはねかけ合いで、結局しわ寄せされた子供を扱つている病院自身が今までは非常な負担をこうむってきているわけなんです。この点について、私は義務教育という面で、文部省自体がこれを責任を負う、そういうふうな法律案を作るなり、具体的な予算の獲得のために努力するなり、何かその辺の態度を一つはっきりしていただきたいのです。そうしないというと、これはいつまでたっても解決するめどが出てこないと思います。その点についてはっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/25
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026・松永忠二
○松永忠二君 関連して。大臣からでなくてもけっこうですし、またあれですが、今お話しの点は、少くも今の制度の中でも施設設備費を文部省が負担をしていく、それから同時に定員配置について、分校として認めて定員配置をしていけばまだ解決ができるわけです。ところが、施設設備費は文部省は出すことができないわけです。従って国立の病院では療養的な施設としての施設はできるけれども、教育的な施設は実はできない。従って国立の病院の中の費用を削って、教育施設をするために黒板も買えば、机も買わなければできぬということになってきておるんで、現在の法律でも一体そこの辺のところを、施設設備を、とにかく教育をやる場合における施設設備を文部省が負担し、そうしてまたそれに必要な教員については定員配置をしていく、こういうようなことができれば暫定的にも振興してゆくことができるわけです。で、こういう点についてはそういうことが不可能なのか、どうなのか、一つあわせてお聞かせをいただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/26
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027・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 基本的な方針についてだけ私から申し上げたいと思います。私はもう今回カリエスの子供の予算を組みます際にも考えたのでありますが、従来から申しましてやはり私は義務教育という面からまず療養中の子供に教育を与えるという面で、ただいま坂本委員からお話のありました問題につきましては、私はやはり何というか文部省がもっと責任を負うべきものじゃないかと私は考えております。で、現在までのところでは、まあ私病気をしておりましたのが四十年も前でございますが、全くそういう施設もございませんでしたので病院で寝たつきりでありましたが、実際は松葉つえをつきながら学校に入りたいと思っても公立の学校はびっこは入れないというので、ほんとうにいじめ抜かれたわけであります。その後だんだん世の中の空気も変つては参りました、変つては参りましたけれども、やっぱりどっちかというと、病院の子供たちが学校へ行きたがり、毎日見ている先化たちが結局この子を世の中に出すためになおしているんだという感じからして、やはりなおしながら教育をしたいということで、お話のございましたように、むしろやはり病院の側というものが非常に苦労をして、そうして療育施設というものは文部省的な見地というよりは厚生省的な見地から出てきたと思う。まあ施設の発生の過程においてはそれでやむを得なかったと思うんですが、今日でもやはり全国のあちこちの施設を見ます場合に、病院の方でいろいろ病院管理者が考えて、そうして自分のところはぜひ治療だけでなくて教育施設をつけたいというので施設をやっておって、それを受けて地方の教育員委会なり何なりがごく親切なところはむしろ積極的に、そこに学校をつけましょうと言うし、中にはもうしぶしぶとして非常にめんどうくさがりながら、まあ三拝九拝しながらつけてもらったりしており、それから私などが実は頼まれるのでありますが、国立の結核療養所の所長あたりが、自分のところに結核の児童が八十名おり、分教場の開設を幾ら教育委員会に頼んでもやつてくれないから、何とかしてくれというようなことの依頼を私昨年在任中にも受けたことがございます。こういうのではいけないと思いますので、私は今日ただいま直ちに肢体不自由児や精神薄弱児等の義務教育について盲ろうあと同じような義務設置というようなことをいきなりは私はできないにいたしましても、何とかして今日の施設を活用し、今日の人を活用しながら、できるだけ病気中の子供に義務教育を授けるための主導的な責任というものを文部省の側でもう少し考えて動いてみたらどんなものかと実は考えておるのであります。私実はただいまお話のございましたような予算の経理の仕方でありまするとか、あるいは学校の開設なんかについても具体的な事情はあまりよく存じませんので、どういうところに支障があるのか、あるいはまた無理があるのかということにつきまして、なお事務当局から説明をいたさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/27
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028・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) ただいまお話の精薄児童、肢体不自由児の教育についてでございますが、一番重い者は今大臣がお述べになりました病院でやる者、この場合に厚生省が病院管理の責任をお持ちでございますので、私どもとしてはできるだけこれに教員を配当するように、学校教育法に基きまして教員配置の道がございますので、府県の当局を督励いたしまして病院に教員を配置をするように……この場合に、私どもは特別に派遣をするようにという依頼は教育委員会に出しております。
それからそうでない、今のは特に重症の患者でございますが、重症でない軽症の者がございまして、これは養護学校に入れて教育をしているのでございます。養護学校につきましては、義務教育と同様に建物の補助もございますし、教員の給与費等についても二分の一、教材についても二分の一の補助をいたしておりまして、昭和二十五年が三校でございましたが、その後累年非常に増加いたしまして、昭和三十三年では二十八校を数えるに至っております。これは主として精神薄弱、肢体不自由、病弱等の者を入れた単独の学校でございます。
そうでなくして、普通の小中学校に行ける、通学でき得る者が相当ございます。そこで、この普通の小中学校においてただいま申しましたような精神薄弱、肢体不自由、身体虚弱の子供たちをどういうふうに教育していくか、これがまあ相当大きな問題でございます。これにつきましては、私どもの方では設備費を補助しておるのでございます。昨年設備費を百校見ましたが、本年は倍にふやして二百校にふやしまして、さらにこの人たちに職業教育ができ得るようにということで職業教育のモデル・センターも用意したわけであります。
なお、肢体不自由の子供たちには通学が困難でございますので、本年はスクール・バスを実は試験的に三台ほど用意したわけでございます。この肢体不自由児の学級も逐年増加いたしまして、昭和二十五年には六百五十一学級でございましたが、三十三年には約千八百学級に増加して参っておるのであります。私どもとしてもできるだけ一般の学校に特別な学級が普及するように……この場合定員の面においてはどうなっておるかと申しますと、これは例のすし詰め学級及び定数基準の法律によりまして十五人で一人の定員を配置をする、こういうふうにしておりますので、定員の面において、施設設備の面においてできるだけ助成をいたしまして特殊学級の推進をはかって参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/28
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029・松永忠二
○松永忠二君 その施設設備の力は、施設の方はどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/29
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030・相馬助治
○委員長(相馬助治君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/30
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031・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 速記をとめて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/31
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032・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 肢体不自由児を取り扱う特殊学級のための施設につきましては、これは実際の事例はそれほど多くないのでございますが、従来からも希望のあります向きに対しましては国から補助金を出しております。三十四年度の分につきましてもすでに申し出をしておるところもございまして、そういうものにつきましては十分審査をいたしまして、適格のものについては建物の補助金を出す予定にいたしております。ただ、従来そういった病院等における教育施設につきましては、設置者でありますところの市町村がそういう教育に特別の施設を作るということまでなかなか財政的な面が常でございますが、そういったところまで負担するというふうに踏み切る踏み切り方が弱いわけでございまして、そういった面につきまして、文部省としてもできるだけ指導して参りたいと思っておりますが、先ほど申しましたように、そういった希望があり、申し出があります場合につきましては、建物の補助金の方もつけることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/32
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033・松永忠二
○松永忠二君 ちょっと、初中局長に今私の聞いたのは、病院のような、国立結核療養所のようなところで教育をしている場合に、設備費が補助できるのかどうかということ、それから管理局長のお話だと、そういうところでも、その市町村が申請をしてくれば、それは国立の療養所の管理者のところへでもそれを付設するという形でする補助ができることであるというふうに伺ったのですが、それで理解はいいのかどうか。
それから大臣に申し上げたいことは、またほかの方でもいいわけですが、これは学校教育法を一部改正をすれば、現在でもこういうことについてもう少し的確にやれるというふうになると私は思うのです。たとえば第七十五条の方の「又は教員を派遣して、教育を行うことができる。」というのを、教員を派遣をする、しなければできないというふうになれば、そういうところで特殊の教育をやつておれば教員を派遣することになるので、これは別に義務制というようなことと関連なしに、そういうところに教育が現実に行われれば教員はとにかく派遣をされていくということになる。事実上あなたも御承知のように、教員を派遣することはできない。見るに見かねてそこの療養している古いかつての先生の出身の方々が、自分の療養の時間をさいてめんどうを見ていることは事実である。それでなおかつ机も腰かけも黒板もそうして教具まで全部療養所の人たちの費用で出されて、それが実施されている。これが事実である。言ってみれば、一人の先生が配置されたところでは、まるで精神的な支柱を得たような気持で子供たちがその先生を慕っていることも事実である。しかも小学校、中学校と別個に、小中だけでも分けてやりたいという現状の中で、定員配置は現実に一人しかこないというのが実情である。あまりにもこのやり方は恵まれていなさ過ぎるし、考え方は不十分ではないかということを現実に感じているわけです。そこであなたが、やればやれるようなお話なんですけれども、やることを奨励しなければやれないであろうし、また設備費には現実に私は金は出せないと思うのですが、出せるものなのか。それからもう一つ、管理局長の御説明では、そういうところでも要するに市町村が設置者として負担をすれば、その病院の中へも施設を設けることについて積極的な要請があればとにかくそれはできるという法律的には幅を持っているものであって、十分そういう趣旨に沿つた措置を、かつてやったことがあるというならばそういう点を一つお話を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/33
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034・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 施設の面についてお答え申し上げますが、先ほど申しましたのは、要するに市町村がその病院の中にあるそういった教育施設を小学校あるいは中学校の分教場なら分教場として認めるという形をとりまして、それを特殊学級にするという際に、それに必要な建物の整備をする場合の補助金は国の方からも出せる。すでに前に出した例があるということを申し上げたのでございまして、お尋ねの国立病院の中にあるそういったものにつきましては従来実例はございません。これはおそらく建物を作るにいたしましても国立病院でございますから、厚生省の経費でまかなわれているものでございまして、単に運営費ばかりでなく、施設費についても国費でまかなわれているものと思いますので、そういったものにさらに国費で補助を出すというようなことは、現在のところでは考えられていないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/34
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035・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 今、お尋ねの国立病院でございますけれども、国立病院の場合には、管理局長が今お答えしましたように、財産が国立のものでございますので、その場合に設備を国から補助するというのも多少問題があると私は思うのであります。この場合に市町村の分校なら分校、あるいは分教場ということになりました場合に、私どもとしてできる道は、先ほどおあげになりました学校教育法七十五条に基いて教員派遣をする、こういうことになろうかと思うのであります。そういう意味で、私どもは積極的に都道府県の方にもそういう病院に対して教員の派遣をするようにという指導をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/35
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036・坂本昭
○坂本昭君 今、質疑のかわされた点、現実の問題としては非常に重大な点で、全国的に非常に困っている問題なんですね。今、初中局長は教員派遣をすることについてきわめて積極的な御意見を言われましたが、おととしぐらいまではあまり積極的でなかったと私は思うのです。(「現在も積極的でない」と呼ぶ者あり)現在も積極的でないという声が聞えましたけれども、今の御答弁なら比較的積極的という意味なんですが、たしか一昨年ぐらいまではむしろ否定的な通知を出したのではないかとさえ思われる印象を私は受けておったのです。これは問題点が二つあると思うのです。まず国立の病院にまで文部省がいろいろな補助金を出すということはなかなかむずかしいと思う。ところが、実際長期療養をやつている子供というのはおそらく数万であります。これは調査があると思います。たしか四、五万ぐらいあるのではないか。従ってまずこの子供の病気をなおさなければいけないということと、それからあと病気はなおったけれども、頭脳的に教育の面でかたわになつた子供は社会としても大きな負担であります。だから、これはもっととにかく積極的にこの問題を処理すべきである、ところがその場所をどこにするか、私はこういうことについてこそ国立というものがその使命と任務を果すべきだと思うのです。今のように、厚生省所管だから文部省が予算をやるわけにいかないという。ところが、これは橋本大臣が一番よく知っておられるので、厚生省のいわゆる整備課、医務局の整備課では別に学校を建てる使命は持っておりませんから、みんな患者に対する、一ベッドに対する予算でいくわけです。別に教室を建てる予算というものはどこにもない。結局厚生省の方でもそんなものは医務局の仕事ではないといって捨ててしまう。文部省の方では厚生省の国立でやつているのだから予算をつけるわけにはいかぬというので、結局捨てられてしまつたのは気の毒な子供だけなんです。ですから、これについてはどっちか責任を持ってもらわなければいかぬ。この際、私はどっちかが責任をとるということを大臣として閣議に諮ってでも一つきめていただきたい、これが一点と、それからもう一つは、やはり入院の費用の点になるのですが、これはむしろ大臣にお伺いした方がいろいろな点で御理解が深いと思いますが、子供は国民健康保険の場合でも、健康保険の場合でも被扶養者として半額負担です。ですから、かなり父兄に対しては負担がかかってくる。私は国民皆保険ができたときでさえもなおかつ半額負担であるから、義務教育の子供で療養しなければならない、そういう場合に対しては、むしろ一つ腹をきめて全額この入院費を見る、医療費を見る、私はそういう態度をとつていただきたいと思う。特に内藤局長の先ほどのお話を聞いていると、どうも局長は現実をあまりよく知っていない、研究不十分だと思います。というのは、重症が国立に入院しておって、軽症は入院してなくて学校へ通つている、何か二つに、重い軽いと分けているのですが、現実の子供はそうじゃないのです。カリエスなんかですとやはり三、四年かかる。結核の場合も化学療法をやつているのは三、四年かかる、小児麻痺というのはもっと短かいところで症状が固定する。固定しないで結核のように三年、四年と長くかかる場合は、どうしても重い軽いは問題じゃなくて、医療の対象になると同時に、義務教育の対象になる、その点を局長としてもう少し頭に入れていただかないというと、あなた方の責任をのがれてしまつて全部厚生省に押しつけることになるのです。この点私はもっと文部省自身が義務教育という面、そうしてこの病気の面ででもおくれて、さらにそれが教育の面でもおくれていく、二重の負担が将来社会にかかってくるのであつて、これは普通の場合でももっと真剣に考えていただいて、この際文部省がまあ勤務評定やなんかでいつもけんかしておりますけれども、この点については私たちも援助しますよ、そういう点で誠意を示していただければ内藤局長の教育に対する熱意に対しても敬意を払いますから、もう少しこの点しっかりやっていただきたい。特に大臣の、今の厚生省と文部省との所管争いについてははっきりしためどをつけていただきたいことと、医療費に対してせっかく学校保健法などというものが出てきた際ですから、何かもう少し明白なお考えをお漏らしいただきたい。その点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/36
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037・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) これは関係者のほんとうに真剣な協力が要る問題だと思いますが、どっちかといえば、役務教育というものについては、責任を文部省で負っているわけでありますから、教育を現実に受けていない子供に何か受けさせる方途がないかということにつきまして、現状を一歩前進するためにイニシァチブをとるのは文部省の仕事だと思っております。少し当ってみたいと考えております。で、実は私昨年もかなり療養所を歩いて見たのでありますが、実際は私は非常にうれしかったのでありますが、政府もまあ当局もなかなか熱心な人がおりますけれども、総体的な問題としては力を十分入れたかどうか、多少不安に思いながら見て参りますと、かなりやはり今日では相当大きな組織で、割合近代的なお医者さんが管理に当っております病院では何とかしてやはり子供をまとめて教育を受けさせたいという熱意が非常に旺盛でありまして、かなり割合に普及しておるように私は思ったのであります。従いまして、もう少し文部省と厚生省で協力をいたしまして、府県内においてそうした義務教育段階の患者をもう少し集中して収容するような方法を何か考えて、どうせ寄宿舎へ入っているようなものなんですから、そうしてやったならば、教育委員会もまた病院の側もあまり手間をかけずに現在でもかなりの効果が上るのじゃないか、そういう面でもう少し組織的に当ってみたいと考えております。ただ、なかなか現実にむずかしい問題もあるかと思いますが、今日の努力で十分だとは思いませんし、それから私自身としてはやはり当面の大きな問題がありますから、いろいろ問題はありますけれども、やはり不幸な子供たちに対して教育の機会を与えようということにつきましては、なおなお文部省が責任を持って骨を折るべきものと思います。そのつもりでやるよう私としては考えてみることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/37
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038・坂本昭
○坂本昭君 ぜひお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/38
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039・湯山勇
○湯山勇君 今の問題につきましていろいろお話があったわけですが、私はやはり現行のままではまだまだこの問題は解決しないと思います。それはどこに根本の原因があるかというと、大きい療養所に来ている子供たちというのは、療養所のある市町村の居住民ではないわけです。だから、その置かれている市町村長は——市町村当局がこの問題については非常に冷淡です。そこで、かりに局長が言われたように、分教場ということにしましても、その分教場へ持っていく机、腰かけ、教具、こういうものは余分のもので、その町村の子供たちのためには不必要なものである。それはもう全快した子供はその町村ではなくて、ほかの町村へ帰って行きます。これに対して町村がそういうふうに冷淡ですから県へ持っていくと、県の場合、義務教育は市町村立でなければならないと、こうなるから、県はそれはおれのところじゃないのだ、市町村に話せ、市町村は今のように自分のところにとってはこぶですから、どうしてもうまくいかない、そこで今言われたように、かりに国立の療養所が犠牲を払って部屋だけは提供しましょうと、こう言われても、持っていく机、腰かけがありません、教具がありません。こういう悩みといいますか欠陥がありますから、これを現行法のワクの中でやるということは、これは非常にむずかしいと思う。それから、教員配置をせよと言っても、分教場へ出ていく先生の選択というものは、これはまた非常に困難です。そこで今の現行法のワク内でこれを片づけていこうとしても積極的な協力は市町村にも県にも得られない、こういうことになるので、大臣の御誠意があったら、私はこういうことをやれないか、これらは私は簡単にできるという方法があるのです。それは、こういう国立療養所の中に義務教育施設を設ける場合には、各県にそれぞれ、今幸いなことに、国立大学があります、国立大学の付属の小中がみんな各県にありますから、その国立大学の付属の小中学校の分校としてやればこれは施設の面においても大臣の責任において見られるし、それから教師の派遣についても国立学校の教員として文部省の定数の中でやればこれは別に市町村に迷惑もかけない、県が冷淡になるということもないわけですから、そういう方法をとる以外に私はちょっと今の問題を解決する道はないのじゃないかと思いますから、これはぜひ一つ大臣、私も、長年かかってやっと昨年できたところに一つあるくらいで、この問題の解決は五年くらいかかります、おそらく坂本委員も松永委員もそういう苦労をしてこられたからああいう質問があったと思うのですが、そういう国立大学の付属の分教場という形で処理されれば、これはことしはどうかわかりませんけれども、来年からは簡単にできると思いますから、設備にしてもそういうことを一つ大臣お考え願えないかどうか、この点ならば大臣もよくおわかり願えると思いますのでお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/39
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040・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 大へんけっこうな御案のように思います。こういう問題についてはせいぜいやはり具体的な方策を実行できる面で検討してみなければなりません。ただいまの御提言を十分心して、できたら実施をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/40
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041・坂本昭
○坂本昭君 先ほど医療費の御返事がありませんでしたが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/41
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042・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) これは、実は学校安全会法でもおそらく御審議の過程でお話が出て参ると思うのでありますが、先般来もお話が出ておりましたように、どのくらいの程度学校安全会法で見るか、そうしてその見る範囲としてたとえば入院加療を要する者とそうでない者と、生活保護法と学校安全会法、政府でめんどうを見る仕組み等の問題があると思います。私もまだ頭に十分ございませんけれども、学校安全会法にからみまして学童の傷害、疾病という問題について、ただいまお話のありましたことを直ちに返事をいたしかねますが、学校安全会法の将来ということを今後ともからみ合せて、お話のございました点について、今後なお検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/42
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043・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) ちょっと、先ほど坂本委員の御質問に誤解があったのではないか、と思いますのは、私の発言も適当でなかったと思うのですが、私が申し上げましたのは、入院加療を要する者とそうでない者と二つに分れると思います。大体精神薄弱児、肢体不自由児、あるいは身体虚弱児の対策として、普通の場合は小中学の特別学級でやる、その少し程度の重い者を養護学校でやる、この養護学校の設備を申し上げたわけです。これが全国で二十八ある。私どもは各県にこれを一つずつ作るように奨励指導しております。この場合には建物の補助もございますし、教員の給与費の国庫負担も、教材の負担もある。それから入院加療を要する今の療養施設の問題ですが、その点をちょっと坂本委員が混同されたのではないかと思います。私は入院加療と養護学校との違いを申し上げたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/43
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044・坂本昭
○坂本昭君 その一番大事な点は、入院加療を要するところに実はたくさん入っていて、そうして子供たちが一番見捨てられているということです。そのことについて局長、どうも認識が不足じゃないかといって私は指摘しているわけです。ですから一番問題なのは、入院加療という、しかもその入院加療というと何か重くて教育の対象にならないといったような考えを皆さんお持ちのように私は見受ける。決してそうじゃない、一度療養所へ御案内しますから。決して教育の対象にならぬことはないのです。その点がどうも少し認識不足じゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/44
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045・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 本件に関しまして、本日は、この程度にとどめたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/45
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046・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 次に、社会教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある力は順次御発言を願います。
ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/46
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047・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 速記をつけて下さい発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/47
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048・湯山勇
○湯山勇君 私は前回、憲法とこの案との関連について局長にお尋ねしておったわけですが、いろいろ御説明を聞きましたけれども、実際問題に当つてそれが違憲であるか、合憲であるかという判定はきわめてむずかしい、あるいはもっと正確に言えばきわめてむずかしい場合がある。
〔委員長退席、理事松永忠二君着席〕
そういうことについてはこれは局長もお認めになると思いますけれども、質問を始める前に、まずそのことを確かめてから入りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/48
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049・福田繁
○政府委員(福田繁君) お尋ねの点でございますが、これは憲法の解釈にもなりますので、実際問題では非常にむずかしい問題であろうと思います。しかしながら、私どもといたしましては、十三条が改正された暁におきまして、これを地方に趣旨の徹底をはかります際には、疑いのない明確な事項だけについて十分趣旨を徹底させるつもりでおりますので、そういった面におきまして誤解等はないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/49
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050・湯山勇
○湯山勇君 局長の方で明確な、憲法に抵触する疑いのないものだけを選ぶという、そういう御答弁の根底は、やはり法制局の見解に基くのだろうと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/50
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051・福田繁
○政府委員(福田繁君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/51
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052・湯山勇
○湯山勇君 その法制局の見解にやはり私は疑義があると思います。と申しますのは、たとえば法制局の見解の中の五まで、福田局長からお尋ねになった第五のところまでは、これはもう当然憲法には抵触しないと、こういう回答が参っております。それからさらにあとの六、七、あるいはかなの(ロ)、(ハ)こういう各項目についてかなり法制局の説明は微妙なところがあると思います。このことは前回も指摘申し上げた通りでございまして、そうなってくると、私はこういうふうな通牒なりあるいは項目をあげるというようなことでは、これが憲法に抵触しておるかしていないかは判断できないので、むしろ個々のケースについてそのものを対象にして当事者が審議する、で疑義のある点はそれぞれと言って解明するということでなければ、これはむずかしいのではないかと思いますが、その点について局長のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/52
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053・福田繁
○政府委員(福田繁君) もちろん御承知のように行政指導の場合でございますが、これは個々の具体的な問題についてお尋ねがございますれば、それについて具体的に研究いたしまして、個個のケースについて、それが適当かどうかということをお答えできるわけであります。一般的に行政指導いたします場合には、やはり最高のところで解釈いたしましたその趣旨にのっとったものを地方に流して、それに準拠してもらうというより方法はなかろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/53
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054・湯山勇
○湯山勇君 たとえばどういうふうになりますか。たとえば具体的に、最も具体的な一例か二例をあげていただくとどういうことになりますか。
〔理事松永忠二君退席、理事中野文門君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/54
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055・福田繁
○政府委員(福田繁君) いろいろあると思いますが、たとえばレクリエーションに関する事業がある、あるいはまた視聴覚関係の資料をいろいろ用に供するような事業をやっておるような団体、そういうものに対して、そのような事業に対して出すことは差しつかえないというような、こういうような格好になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/55
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056・湯山勇
○湯山勇君 それだと、やはりこの法制局から来ておるものの内容とほとんど変りないものになってしまうと思います。しかし、この法制局の考え方自体も正しいかどうか、これは局長自身もおわかりにならないと思います。これは憲法との問題ですから文部大臣といえども、あるいは内閣総理大臣といえどもこれが正しいのだということは言い切れないと思います。
〔理事中野文門君退席、委員長着席〕
そういうものについては、私はやはり衆知を集めて個々のケースについて判断するという形をとらなければ、前回も申し上げましたように、そのことが違憲であるというふうなことが一々訴訟の対象になるということであれば、これは非常な混乱が起ってくるというように考えますが、そういうことを考える必要は、局長はないとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/56
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057・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは私ども行政機関におる者といたしましては、別に裁判の争いが現在あるわけではありませんから、行政機関の最高のところでそう解釈したという、その結論に従わざるを得ないと思います。しかしながら、実際の行政の運用といたしましては、今おっしゃったように何かそういういろんな紛争が起るということは、これは好ましいことではございませんので、従って衆知と申しましてもこういう憲法問題について一般の人が集まつてもこれは大して意味がないと思いますから、その道の専門家であればこれは別でありますけれども、一般の人でなく、そういった専門家を集めていろいろ研究するということは、これはもう非常にけっこうなことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/57
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058・湯山勇
○湯山勇君 そこがまた私と若干違うのは、これは憲法の専門の学者を集めてやつたらいつまでたっても結論は出ないと思うのです。現に憲法学者で権威のある人たちの中に、この文部省がとっておられる見解と同じ見解をとっておる人もありますけれども、やはり憲法の学者の権威者の中にこれと違う見解をとつている人もあります。そこで、そういう権威者を集めてやるということは、むしろどの事象をとらえてみてもかえってできないということになるのではないか、こういう心配がありますが、これはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/58
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059・福田繁
○政府委員(福田繁君) 確かにおっしゃるような点もあるかと思います。しかし、この行政の運用といたしまして、実際にその具体的な事項が行政上妥当であるかどうかという、まあいわば社会通念上の考え方というものは、これは学者を集めなくても差しつかえないと思いますけれども、しかしいろいろ個々のケースについて判別するというような場合には、相当権威のある方も加わる必要があるのではないかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/59
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060・湯山勇
○湯山勇君 その権威のある人のところに行くのは第二段階で、私はむしろその関係者にですね、不平、不満、異議が出ないような運営をしていけば、別にそれによって違憲の訴訟を起すというようなことも起つてこないと思うのです。そういう実際的な運営がこれは社会教育の面においてはむしろ必要ではないか。その上でそれらの人が一致して、これはどうも怪しいというようなことになつたときに、今言われたような方法をとるというような道の方が、かえつて実際的ではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/60
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061・福田繁
○政府委員(福田繁君) 確かにおっしゃるような点はあろうかと存じます。まあ、私ども考えておりますのは、たとえば私立学校に補助金を出すといった場合に、これについて違憲の訴訟を起したという例も聞いておりませんし、また昨年御審議を願いました全国的、国際的な体育団体に対して補助金を出し得る道を開いていただいたのでありますが、そういった問題についも現実のまだそういった事態も起つておりません。従ってこれは将来の問題でございますので私どもはわかりませんけれども、そういったおっしゃるような紛争はまずまずないと思いますけれども、しかしながら考え方によりますと、この補助金の支出ということは、これは非常に大事なことでありますので、補助金の効果を高め、また、その的確な運用をはかるということは、これは必要なことだと思います。そういった意味におきましていろいろ意見を聞くことは、これは運用上の問題としては考え得る問題ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/61
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062・湯山勇
○湯山勇君 私がそういう心配があるということを申し上げたのは、局長の方から私いただいた資料を見ましても、何々婦人団体、あるいは何々青年団体というようなものがずいぶんだくさんあります。で、これもお尋ねしたいんですけれども、実はPTAなんかも社会教育団体に入っております。ところが、PTA以外に今度は教育父母会議というようなものもできております。PTAは社会教育団体として局長の方でお認めになって、教育父母会議というのは認めないかどうか。こういうことがはっきりしておれば、これは問題は起らないと思いますけれども、教育父母会議もやはり社会教育団体である。それからPTAもまた社会教育団体である。こういうことになって、かりに補助を出すときにPTAには出したが一方には出さないとか、一方には出したが一方には出さない。こういう事態が、今のこの社会教育団体の性格から言ってですね、ずいぶんできてくるんじゃないか。地域の婦人団体もあるかと思えば、今度はもう国防婦人会はできないでしょうけれども、愛国婦人会なんかいうのはできないとも限りません。そのほか婦人団体という名前をつけたものもたくさんあるわけです。そういうときに一体どう処置していくか。こういうことになったときに、あそこに出してここに出さないのはけしからぬ、あれは憲法違反だ、一つやつてやろうというようなトラブルが、現在のように国が一本にして出しておる段階では、まだ問題はないかもしれませんけれども、末端までいったときにはずいぶん出てくると思います。さらに心配なのは、たとえば、PTAならPTAの有力者が、PTAという社会教育団体を作り、それから同時に、別な名前で質のよく似た教育父母会議を作る、あるいはまた、青年教育講演会とか何とかいうものを作るといったような格好で、同じような有力な者がたくさん社会教育団体を作って、そういう人の政治力によって、その人につながっておるところだけ補助金がたくさんいくというようなことになれば、これはまた今の争いのもとになるということは、すぐ考えられます。現にそういうような格好で紛争を起している事例を私は幾つか知っております。だから局長の言われたように、今までなかったから、これからもないんだろうと言われることは、それは今までのと今度の改正とはうんと段階的に違っておるし、今度は全面的な開放ですから、むしろそういう問題が起るということを予想して、この法律を考えていくということが至当ではないかと思いますが、その点についてのお考えはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/62
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063・福田繁
○政府委員(福田繁君) 伺っておりますと、何か、たとえば子供に菓子を分けるように、Aの子供には幾つ、Bの子供には幾つというような感じがいたすのであります。私どもの考えておりますのは、国の予算でありますれば、予算書に載っけて国会の議決を経たものである、地方公共団体におきましても、当然にそういった議会の議決を経た予算の執行になるわけであります。従って、国の場合におきましても、地方の場合におきましても、やはり予算の執行の責任に当る者は、それぞれの主管大臣あるいは公共団体の長であろうと思います。従って、そういう人たちが、法令及び予算の定めるところに従いまして、適正にこれを運用するという責任があるわけでありますから、従って、そういった、自分には少いといって不平を言ったといっても、これは仕方がない。従って、そういった問題が起きるから、何か機関が要るんではないかというような意味でございましたならば、私はそれは要らないんではないか、それは文部大臣あるいは地方公共団体の長というものが、責任をもって予算執行に当るべきものではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/63
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064・湯山勇
○湯山勇君 そこが私と非常に違つているところで、文部省の予算にいたしましても、たとえば社会教育特別助成金という事項はありますけれども、これはどこへ幾らということはきめられておりません。だから町村段階で、かりにこういうふうに社会教育特例助成金というような一括した予算を組んで、そしてその中の分け方は理事者が責任をもってやるということになりますと、結局これは力関係になってくる。こういうこともないことはないわけです。国の費用の中には、明らかに、たとえばデビス・カップに出る補助とか、冬季オリンピックとか、はっきりしたものもありますけれども、こういうどんぶり勘定のようなことをやらないという保証はできないし、むしろその方が町村段階では多いと思うわけです。そうすると、むしろそういう心配が一そう大きくなってくる、こう考える方が至当じゃないかと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/64
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065・福田繁
○政府委員(福田繁君) 決して、おっしゃるようなどんぶり勘定ではないんでありますけれども、しかしながら、先ほど申し上げましたように、予算の執行をより公平に、より的確にするという意味において、いろいろ各方面の意見を聞いて、責任者がそれを執行していく、そういう形はあり得るのじゃないかと考えております。従ってその際に、あらかじめそういった関係者なり、あるいは適当な人に御意見を伺って予算を執行するということは、これは念には念を入れることでありますから、そういうことは差しつかえないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/65
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066・湯山勇
○湯山勇君 今ので大体その点については意見の一致を見たと思います。ただ、局長にこの際お尋ねしたいことは、社会教育関係の法制局からきている回答は、私はこれはほとんど社会教育事業であると思うのですけれども、局長は、これらのことは社会教育事業ではないというふうに御判断になっておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/66
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067・福田繁
○政府委員(福田繁君) おっしゃる意味がよくわからなかったのでありますが、もちろんこういった事業を社会教育関係団体はたくさんやっておりますから、従ってこういった事業も社会教育関係の事業だと考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/67
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068・湯山勇
○湯山勇君 法制局の方から参っている回答の各項目にあげている事業の大部分は、われわれの常識から言えば、社会教育事業であるというように考えられるのですが、局長は、これらはやつぱり社会教育事業ではないとお考えになられるかどうか、これをお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/68
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069・福田繁
○政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げた通りでありまして、これらの事業は社会教育事業と言えば社会教育事業と言っても差しつかえないと思います。しかしながら、ものによりましては、単に社会教育関係の団体でなくても、一般の団体でもやるような事業も含まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/69
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070・湯山勇
○湯山勇君 という意味は、これらの事業は社会教育事業と言えば言えないことはないということは、社会教育事業であるということを御肯定になっているということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/70
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071・福田繁
○政府委員(福田繁君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/71
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072・湯山勇
○湯山勇君 そうすると、これらの事業が社会教育事業だということになると、これはやはり憲法との関係は、必ずしも法制局の言う通りじゃなくて、社会教育事業であると、社会教育局長がそう言うのですから、社会教育局長がこれらは社会教育事業である、こう御認定になるものを、法制局が、これは憲法で言う社会教育事業でないと言っても通用しないと思いますが、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/72
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073・福田繁
○政府委員(福田繁君) 私の申し上げましたのは、社会教育関係団体がこういった事業を行なっているし、こういった事業は社会教育関係の事業だと認められるものであると言ってもいいのでありまして、決して憲法の教育事業だという意味に申し上げたのじゃなく、その点、誤解のないようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/73
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074・湯山勇
○湯山勇君 非常に重要な点ですから念を入れてお尋ねいたします。この社会教育法によれば、社会教育事業を行う団体が社会教育団体、だから社会教育事業を行わない団体は、これは社会教育団体とは言わない、こういうことになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/74
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075・福田繁
○政府委員(福田繁君) おっしゃるように、社会教育関係団体の定義でありますが、「社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とするものをいう。」とあります。従って主たるそういった事業をやるものを第十条では規定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/75
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076・湯山勇
○湯山勇君 そうすると、この法制局の方の回答にあげられているような各項目の事業というのは、社会教育関係団体の行う主なる事業が列挙されていると思うのです、見ますと。だからこういう事業を主としてやるのが社会教育関係団体であると、こう言うのが、私はすなおにこの社会教育法を読んだ読み方だと思いますが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/76
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077・福田繁
○政府委員(福田繁君) この法制局の回答なるものは、これは教育の事業に該当するかしないかということを、御承知のように限界を回答しているわけなんです。従って今おっしやるような意味では必ずしもないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/77
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078・湯山勇
○湯山勇君 それは必ずしもそうでないと言うのでなくて、むしろそうなんだと言う方が正しいんじゃないでしょうか。というのは、同じ社会教育事業というものについて、こういう法制関係の解釈と、それから文部省の解釈とが今のように違ってくると、これはまた別な意味の混乱が起ってくると思います。で、今ここにおあげになっているものは、いずれも社会教育関係の団体が主なる事業としてやっていることばかりだと思います。で、そういう事業のほとんどが、これは法制局が言うように社会教育事業でないと、こういうことになると、一体、社会教育関係団体の主たる事業というものは何か、こうなってくると、これ以外にはない、こういうことになるわけでございますから、そうなると、現行の社会教育法の精神と非常に違ったものが今度は別個にある、こういう解釈をしなければ成り立たない、こうなってくるので、大へんおかしいことになりはしないか、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/78
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079・福田繁
○政府委員(福田繁君) もちろんおっしゃる点は、この社会教育関係団体の事業が、このあげております1から7までで全部尽きるかどうかは、これはわかりませんが、しかしながら、そこにあげております事業そのものは、これは社会教育法第十条に規定する団体が行う事業として法制局は見ているわけです。で、その事業そのものが、今度は憲法八十九条の教育の事業に該当するかしないかという比較をしているわけです。従ってここにあげている事項そのものは、法制局としては、社会教育関係団体そのものの事業と見ているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/79
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080・湯山勇
○湯山勇君 そこで、ここにあげてあつて、そうして法制局が該当しないというように言っているものは、これは社会教育関係団体の主たる事業ではなく、主たる事業は社会教育事業ですから、そうすると、これ以外の社会教育関係団体の主たる社会教育事業がなければならないと思います。そういうふうにとれますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/80
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081・福田繁
○政府委員(福田繁君) 私はさように解釈いたしておりません。この中の一つの事業でも、それが主たる事業として営まれております限りにおいては、やはり社会教育関係団体だと、こう考えております。で、その事業の範囲あるいは規模等は、これはそれぞれの具体的な団体について判別しませんとわかりませんが、しかしながら、このほかに主たる事業があるような解釈にはならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/81
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082・湯山勇
○湯山勇君 主たる社会教育事業というものは、一体、局長はどういうことを念頭に置いておられるのでしょうか。これらはいずれも社会教育事業でない。レクリエーションにいたしましても、それから機関誌の発行にしても、あるいは宣伝啓蒙活動、こういうこともすべて社会教育事業ではないということになれば、一体何が社会教育事業かということが今度問題になってくると思います。具体的に。そして、それは非常に限定されたものになってしまうと思いますが、そういうものは、たとえばどんなものがあるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/82
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083・福田繁
○政府委員(福田繁君) 御質問に当るかどうかわかりませんが、御承知のように、社会教育法の第二条は、社会教育の定義というものを掲げておりまして、「「社会教育」とは、学校教育法に基き、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーションの活動を含む。)をいう。「というように書いております。従ってこの社会教育事業と申しますものは非常に広いと思います。直接的な社会教育事業もございましょうし、あるいはまた、それに関連する周辺の事業までも含めたいろいろな各種の事業がございます。そういった意味においては、社会教育関係の事業と申しますと、非常に広くなるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/83
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084・湯山勇
○湯山勇君 そうすると、社会教育事業というのには広狭二義ある、局長のお話から言えばですね。こういうふうにとっていいわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/84
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085・福田繁
○政府委員(福田繁君) そうではございません。私が申し上げましたのは、社会教育の定義を申し上げまして、その社会教育に関連のある、あるいは関係のある事業というものは、かなり広いということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/85
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086・湯山勇
○湯山勇君 この社会教育法二条、今お読みになった分ですね。社会教育法の第二条、それから言えば、今のような御解釈は出てこないのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/86
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087・福田繁
○政府委員(福田繁君) 私はそう解釈いたしておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/87
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088・湯山勇
○湯山勇君 つまり体育、レクリエーションは社会教育の中に入るのですね。そういうことをすることは事業ですから、そうすると今の通りすなおにいけば、体育、レクリエーションも社会教育事業に入る、こう解釈する方がむしろすなおなのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/88
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089・福田繁
○政府委員(福田繁君) 私の申し上げようが悪いのかもしれませんが、体育、レクリエーションが社会教育でないということを申し上げたのではなくて、この第二条の趣意から申しますと、これが社会教育の範囲を一定限定しているわけで、示しているわけでありますから、カッコの中に体育、レクリエーションを含むとありますから、当然に入るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/89
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090・湯山勇
○湯山勇君 従ってこの体育大会をやるとか、レクリエーション大会を組織的にやるということは、これはやはり社会教育事業に入るのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/90
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091・福田繁
○政府委員(福田繁君) それはその通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/91
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092・湯山勇
○湯山勇君 ところが、この法制局の見解では、5は当然これは社会教育事業に入らない、つまり競技会、体育大会、またはレクリエーション大会の開催は入らないと、こうなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/92
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093・福田繁
○政府委員(福田繁君) この法制局の見解は、これは八十九条の教育の事業に入るか入らないかを言っているわけでありまして、社会教育に入るか入らないかを言っているわけじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/93
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094・湯山勇
○湯山勇君 そこで今私の尋ねたのは、広い狭いという言い方をしましたけれども、そうでなくて、今度は今言われたように、社会教育法にいう社会教育事業と、憲法にいう社会教育事業、これには今のように差がある、違いがある、概念が必ずしも一致していない。たとえば今のように、社会教育法によれば、明らかに競技会、体育大会、レクリエーション大会の開催は、社会教育事業に入る、しかし憲法の方ではこれは入らない、こういう二つの見方があるというように解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/94
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095・福田繁
○政府委員(福田繁君) 憲法に言っておりますのは、社会教育を言っておるわけではございませんので、これは公けの支配に属しない、単なる社会事業を指しております。従って憲法の教育事業と、社会教育法上の社会教育の事業とは範囲が違うということを言っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/95
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096・湯山勇
○湯山勇君 そこで私の尋ねておることがだんだん明らかになって参りましたのは、教育という大きな概念の中に、学校教育、社会教育、あるいはもっとあるかもしれません。しかしとにかく概念的には、この教育という概念の中にいずれも含まれるものである。だから社会教育であろうが、学校教育であろうが、いずれも教育であつて、そういうことをやることは教育の事業である、こういう私は建前をとっておるわけです。だから社会教育事業に該当するものは、当然この教育事業に当る。社会教育事業ではあるけれども、教育事業ではなというものはあり得ない、こういう私は解釈をとっているわけです。これは当然、文部省としてもそういう御見解をとるべきだと思うのですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/96
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097・福田繁
○政府委員(福田繁君) 私どもの解釈は、法制局と全く同じに、憲法八十九条に言っておりますところの教育事業、公けの支配に属しない教育の事業というものと、社会教育法の社会教育の範囲というものは違うんだというように解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/97
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098・湯山勇
○湯山勇君 範囲が違うのはいいんです。それはもちろんおっしゃる通り違いますが、たとえば、公けの支配に属しない教育事業、それから公けの支配に属しない社会教育事業、こういうふうにした場合には、その両者は、つまり公けの支配に属しない教育事業の中に、公けの支配に属しない社会教育事業が含まれる。それから教育事業という中には、もっと形容詞をのけて、一般的に教育事業という場合には、社会教育事業もその中に含まれる、こう解釈すべきではないか、こういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/98
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099・福田繁
○政府委員(福田繁君) その点は全くそうだと思いますが、要するに、この公けの支配に属しない教育の事業の中に、社会教育も一部含まれているという、こういう意味だと思いますが、そういった意味で、社会教育の中で、やはりたとえば学校類似の施設等におきまして、教える者と教えられる者と両方あって、一定の教育目標に従ったカリキュラムがある。そういうものに従つた社会教育というものは、これはやはり今おっしゃいましたいわば狭い意味の教育の事業だ、それは憲法の八十九条の教育事業の中に含まれる、こういうような解釈をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/99
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100・湯山勇
○湯山勇君 局長の言われることはわかりますけれども、私が申し上げておりますのは、局長が全面的に法制局の見解をおとりになるということでしたから、そういうふうにおとりになると、今、私が申し上げたような矛盾が起ってくるのではないか。それから、たとえば今の社会教育という概念の中に、レクリエーション、体育大会、これは現在、局長の立場からいえば、レクリエーションも体育大会も競技会も社会教育の中に入っている。これは社会教育局長の立場において言われた場合には、そういうもので公けの支配に属しないと、これは局長が今御判断になるとすれば、これはどうも憲法上思わしくないのではないかという御見解に立たれなければならない。ところが法制局の方では、それらについては、これではっきり憲法上差しつかえないんだ、こういう見解をとっておられる。その辺にこういうふうに机の上で抽象的に考えたのと、それから実際に事に当っておる局長なり、あるいは実際にこの仕事に当つておる人たちの間に、こういう解釈ではそごを来たしてくるおそれがある、そういう場合があるのではないか。そういうことを一度確かめておきたいと思って今までの質問をしてきたわけです。これはおわかりいただいたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/100
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101・松永忠二
○松永忠二君 関連して。今、湯山委員から、いろいろ教育と社会教育の概念について話があったのですが、一体、今いうような教育を、そういうふうに狭く解釈するということについては、どこに一体これは法律的な根拠があるのか、たとえば文部省設置法の第五条の第十二というところには、「教育(学校教育及び社会教育をいう。以下同じ。)」と、こういうふうに出ておる。それから教育基本法の中の教育ということについては、教育基本法の前文の中にいろいろ書いてあるが、「根本において教育の力にまつべきものである。」といって、この「教育」というものが非常に広く定義づけをされているし、第一条、「教育は、人格の完成をめざし、」という、第一条の教育の目的もそういう解釈ではない。第二条、「教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。」といって、教育というものは、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならないということであつて、意図的に、計画的にやらなければ、これは社会教育でも、教育とは考えられないなどというようなことは、現在、教育についていろいろ法律的にきめられている概念にはないんですがね。私どもは、教育の中には、学校教育、社会教育、家庭教育が含まれているものだというふうに解釈をしているわけです。また、そういうふうに教育基本法にも、文部省設置法にも書かれているんですが、それを特に憲法の教育の事業というものは、狭く解釈しなければできないという理由は私はないと思う。こういう法規との関連はどういうふうに考えられておられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/101
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102・福田繁
○政府委員(福田繁君) おっしゃるように、それぞれの法規におきまして、「教育」あるいは「社会教育」という字句を使われておりますが、たとえば教育基本法などの字句は、非常に広い意味に解釈されておると思います。また、社会教育法の社会教育の定義も、先ほど申し上げましたように、広く書いてございます。これはまあ一般の社会教育そのものを、なるべく広くしようという趣旨で、立法当時からそういう書き方をいたしておると思いますが、ただ先ほど申しましたように、憲法八十九条の公けの支配に属しない教育の事業の解釈でございます。これは社会教育法あるいは教育基本法というような、そういった定義とは別個に、憲法の解釈上そういうものが出てきているわけであります。従って、これは別に法律でそういう解釈づけたわけではございませんが、従来そういう解釈をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/102
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103・松永忠二
○松永忠二君 私はそうじゃなくて、憲法には、「公の支配に属しない」という、そこがつまり「公の支配に属しない慈善、教育」ということで、「公の支配に属しない」というところに意義があるので、そこの点で制約をされているのであつて、教育で区分けをしているわけじゃ私はないと思うんです。憲法の、公の支配に属しない教育の事業、そういうものにつまり問題があるのであつて、教育をここで狭く解釈をして区別をするのではなくて、公の支配に属するか属しないかというところに問題があるんです。教育を狭く解釈をしなければできない理由は、毛頭、憲法にもないはすだと思う。あくまで教育というものは、正しくそういう教育概念を法律的に規定したものがつまり学校教育法であり、また文部省設置法におけるいろいろな教育であつて、あなたのおっしゃるように、教育を狭く解釈することは法的にどこにもない。憲法だけ教育を狭く解釈しなければできない理由は私はないと思う。ただ憲法で厳格に問題にされるのは、公の支児に属するか属しないかということが基本なんであって、教育を狭くして、そこで区分けをする性質のものじゃない。それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/103
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104・福田繁
○政府委員(福田繁君) これはおっしゃる点はよくわかりますが、憲法八十九条の、「公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、」という場合におきましては、私ども従来解釈いたしておりますのは、今おっしゃった公けの支配に属するか属しないかということが一つの要素であると同時に、教育事業そのものについても、その内容について、いろいろ判別あるいは厳格に解釈するかどうかという問題が二軍にあると考えております。従って、この法制局の解釈等も、従来から公けの支配に属するか属しないかという一つの制約と、それから教育の事業であるかないかという制約と、二通りに解釈しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/104
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105・松永忠二
○松永忠二君 これは私は承服できません。八十九条というのは、どういうところに一体出ているのですか、財政というところに出ているのです。財政というところに出てきて、公金を一体どういうふうに使うか、使わないかということが問題なんです。従って、公金というものは公けの支配に属さないものには使つてはいけないぞ、そういうことを規定しているのであって、教育を限界づけて、それに金をやっては思いとか、ならないということを規定したものではないのです。それはあくまで財政の章に明確にやってあるのであつて、公金の使途を問題にしているのですよ。だから公けの支配に属さないものに公金を出してはいけないぞということを規定しているのであって、これが教育計画的に意図的に行われておるのが教育であって、そうでないものは教育でなくて、しかもこの教育は社会教育の中に含まれない。教育の中には社会教育のらち外にあるものがある。教育の方が狭く、社会教育の方が広いのだ。そういうふうに解釈するものなのだと、そういう詭弁を弄することは私はできないと思う。それならどこに一体、社会教育の方が教育をそういうふうに解釈をする法律的な根拠が私はなければできないと思うのです。逆に私たちが言う教育は、家庭教育、学校教育、そうして社会教育であって、教育は単に計画的にやられるのではなくて、相互に関連して教育が行われ、あらゆる機会に、あらゆる場所において行われるものだというふうに教育を規定してある、これはちゃんと教育基本法第二条に出ている。どこにもあなたの言う狭い解釈の教育という概念は出ていないのです。それは法的に何も規定してない概念を、憲法についてそれだけ規定するなどということは承服はできません。特にあなたが、ここの条章はそういう二段がまえの制約だなどというようなことは、一体それじゃ財産というようなこと、公金という、公けの支配に属さないということが中心問題であって、そこを慈善ということについてももっといろいろ解釈があるのだ。教育についてもいろいろな解釈があるのだというようなことになってくると、これは大へんなことになる。だから私が申し上げるのは、公けの支配に属さないものについては、公金を支出してはならないということが中心であるということ、そういうふうに私たちは考えるがどうか、そういう関係の条章であるということで、あなたの言う狭い意味の教育という概念はどこに一体規定しているのか、教育関係法規には、ないならないということがはっきりすればいいのですよ。あるならあると、どこにあると、そういう簡単なお答えを一つ聞かして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/105
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106・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 速記とめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/106
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107・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 速記つけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/107
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108・松永忠二
○松永忠二君 答弁をする前に一つ。まあいろいろ速記をつけない間に委員長から意見がありましたが、かつて行政解釈もそういう解釈をしてきているのです、社会教育局では、私たちのような。ここに一九五四年の社会教育の現状という雑誌があるのですが、これは文部省が出したものです。そこにこういうことが出ている。「青少年団体としての主体性を確保し、自主性を伸ばすことを目的とし、これに対して政府より補助金を与えることを控えてきた。これは憲法、社会教育法の精神から当然のことであり、補助金によって統制的支配に陥ることを恐れるからであった。」と、そういうふうに明確に書いてある。だから行政解釈として、そういう解釈を従前やってきたんですよ。そういう面からも私は首尾一貫しない態度であるというふうに言っている。そういう点をつけ加えて、そのほか、ここに社会教育の手引きもあるのでありますが、そこにもそれと類似のようなことについて、そういう明確な、つまり文部省が、社会教育局の出されているものに、そういう解釈をして、従前これを大切な問題として取り扱ってきているというように私は指摘をしておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/108
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109・福田繁
○政府委員(福田繁君) 松永委員の憲法八十九条に関連しての御質問でございましたが、確かに財政の章に八十九条は規定されております。従って、公金その他の問題につきましては、財政支出の乱費を戒めるという点も確かにこの規定の趣旨だと思います。しかしながら、私申し上げましたように、公けの支配に属するか属しないかということと、教育の事業の内容については、憲法の条章に適合するように解釈するというのが、これはしていいのではないかというように私は考えております。従って私どもの解釈としては、法制局の見解に全く従うという以外にはないのでございます。それから、ただいま社会教育の現状というパンフレットの問題がございましたが、確かにこの社会教育法のできました当時におきましては、この十三条の問題と八十九条の問題はいろいろ研究されておりましたけれども、現在のように、この八十九条と社会教育法第十三条との規定の差があるということは、はっきりいたしておりません。従って、情勢の変化とでも申しますか、私どもは現実に社会教育関係の場におきまして、いろいろの団体に接し、団体の要望等も考えますと、十三条を改正した方がいいというような意味から、ここに改正案を作成したようなわけでありまして、従って、今お述べになりましたパンフレット等もございますけれども、相当事情も変っておるということを申し上げておきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/109
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110・湯山勇
○湯山勇君 今は私は教育事業という点で、これを区別していった場合に起ってくる矛盾を指摘して参ったわけです。その面からやって参ると、結局、社会教育法で言う社会教育事業、つまりレクリエーシヨンとか、体育大会、これは社会教育局長は明らかに社会教育事業であるとお考えになっておると考えなければならないように法律がきめてあるわけですから。ところが憲法の方では、この解釈をとればそれは除外される、こういう矛盾が起ってくる。これは今のような教育事業という観点からこれを推し進めていくから、そういうことになるわけである。こういうことをお認めになるかどうか。もしそれをお認めになれば、それじゃ今度は、今、松永委員の指摘されたように、今度は公けの支配に属する属しない、この観点から、やはり私は憲法との問題を議論していかなければならない、こう思っているわけです。そこで一応、局長のこの段階までの御答弁をお聞きしておきたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/110
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111・福田繁
○政府委員(福田繁君) おっしやるように、この体育、レクリエーションは社会教育だという定義を下しております、法律上。しかしながら、これは社会教育法の目的からいたしまして、そういったものを社会教育として包括していく方がよろしいという観点から、これは包括しているのでございます。従って社会教育法の定義の目的と、憲法八十九条の教育の事業と規定いたしました趣旨とは、これは違うものであろうと思います。従って一部は重復する、重複すると申しますか、ダブっておりますが、しかしながら、今申しましたように、体育、レクリエーションの手業は、これは憲法八十九条の教育の事業には属さない、こういうふうに解釈されるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/111
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112・湯山勇
○湯山勇君 その解釈は私は納得ができないのです。そういうことだと、これはもっとほかに重要な問題がたくさん起ってくると思います。そこでそれをやっていると、またむずかしいし、こういう議論は疲れますから、適当にきょうは委員長休憩にして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/112
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113・相馬助治
○委員長(相馬助治君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/113
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114・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 速記を始めて。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01019590224/114
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