1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月二十六日(木曜日)
午前十時五十二分開会
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出席者は左の通り。
委員長 相馬 助治君
理事
後藤 義隆君
中野 文門君
松永 忠二君
竹下 豐次君
委員
大野木秀次郎君
川村 松助君
剱木 亨弘君
近藤 鶴代君
下條 康麿君
林屋亀次郎君
坂本 昭君
松澤 靖介君
湯山 勇君
委員外議員
高田なほ子君
国務大臣
文 部 大 臣 橋本 龍伍君
政府委員
文部大臣官房総
務参事官 齋藤 正君
文部大臣官房会
計参事官 天城 勲君
文部省社会教育
局長 福田 繁君
文部省体育局長 清水 康平君
事務局側
常任委員会専門
員 工樂 英司君
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本日の会議に付した案件
○女子教育職員の産前産後の休暇中に
おける学校教育の正常な実施の確保
に関する法律の一部を改正する法律
案(高田なほ子君外二名発議)
○社会教育法等の一部を改正する法律
案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/0
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001・相馬助治
○委員長(相馬助治君) これより文教委員会を開会いたします。
まず最初に、女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題にいたします。
発議者から提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/1
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002・高田なほ子
○委員外議員(高田なほ子君) 女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を、提案者を代表いたしまして、内容の概略を御説明申し上げます。
去る昭和三十年の第二十二回国会におきまする「女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律」の成立以来、その施行によって、補助教員の配置件数は漸次増加し、昭和三十二年におきましては、休暇教員数の平均六五%に対する補助教員の配置を見るに至りました。
しかしながら、補助教員の配置件数の増加にもかかわらず、地方財政窮乏のために、この法律の趣旨、すなわち労働基準法に規定するところの十二週間を最低として休暇をとらせ、その期間を補助教員配置の期間とするという精神は、いまだに徹底を欠き、補助教員を完全に配置しておりまするところはわずかに数県を出でず、その他の府県におきましては、無配置七〇%、産前は、無配置などがあり、配置期間はいずれも八週間ないし六週間にとどまっている現状でありまして、これを全国平均いたしますれば一・五カ月という実情にあります。
従いまして、女子教職員が、その担当学童に対する教育的良心から、産前の休暇はほとんどとられていないという実態は、法の施行前と大差なく、過労による異常産はきわめて高い比率を示しております。
このように、補助教員が無配置であったり、配置期間が打ち切られておりますために、学校長や教頭あるいは手あきの教員が学級の処理に当るとか、学級を合併することによって、辛うじて教育を維持いたしておりますが、このことが教育上多大の支障をもたらし、学校教育の正常な実施を阻害する原因となっておりますことは申すまでもありません。
本改正案は、右に述べました理由によりまして、第四条中の、「その休暇の期間の範囲内において、学校教育の正常な実施が困難と認める期間を任用の期間として」となっておりますのを「その休暇の期間を任用の期間として」と改め、従来、学校教育の正常な実施の困難性の認定については、任命権者の裁定にゆだねられておりましたために、地方財政上の理由等により補助教員の配置期間が短縮されるおそれがありましたのを、女子教育職員が産前産後の休暇をとる場合においては、その休暇の全期間を通じて教育職員を臨時的に任用しなければならないことを明瞭に義務づけることとし、労働基準法に定められた期間がすなわち配置の期間であると解すべき法の趣旨を十分に表現いたしました。
従いまして、国及び地方公共団体の任務として必要な財政措置を講ずべき旨を規定した第三条は、これを削除することといたしました。
次に、現在の補助教員の配置が、臨時的任用によるものと、一般教員と同様に任用の上補助教員としてプールし、配置替えを行なっているものとの二様の方法によって補充されておりますことにかんがみまして、第二条に新たに第三項として「併任」の定義を規定いたしますとともに、第四条に但書を加えまして、二様の配置方法を実施し得るように措置いたしましたほか第四条中の若干の辞句について改正をいたしております。
なお、この法律は公布の日から施行することといたしてあります。
以上が本改正案の提案の趣旨並びに改正の主要点でございます。
何とぞ慎重に審議の上すみかに御賛同下さいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/2
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003・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 本案に対してそれぞれ御質疑があることと存じますが、それは後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/3
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004・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 次に松澤君より、速記録訂正のことについて発言がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/4
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005・松澤靖介
○松澤靖介君 二月十日付の会議録に、この前、大臣に御質問を申し上げましたその中に、第五ページの三段と四段に、三段は二十二行目というのですか、それから四段は二行目というのですか、そこに「偽善者」と書かれております。これは「偽善者」でなくて私の申し上げたのは、言葉はいい言葉じゃなかったかもしれませんが、「次全者」です。次の全き者という意味で「次全者」と申し上げたのですが、ずうずう弁でお聞き取りにくくって、こういう「偽善者」ということになったのかもしれませんが、言葉をかえてみれば第二次者という意味のことであってそういう意味の第二次という意味なんですが、その点について「偽善者」とここに書かれてあると、非常にこれは誤解を招くおそれがあるので、「次全者」と御訂正をいただきたい。
それからもう一つあるのですが、これは訂正しなくてもいいのですが、四ページですが、「七日付文部省通達の、小学校の教育課程に関する立法措置」、私は「移行措置」と申し上げたのですが、「立法措置」となっておりますから、これは訂正してもしなくても、大したことはないと思うのですが、どうもあまり知識がないように思われても困りますから、いわゆる「移行措置」と書いていただくようにお願いいたします。はなはだ失礼かもしれませんが、速記者にこの御訂正をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/5
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006・相馬助治
○委員長(相馬助治君) ただいま御発言の通りに、委員長において適当な方法で訂正を出させるように処置いたしまするから、御了解を願っておきたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/6
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007・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 次に、社会教育法等の一部を改正する法律案を議題に供します。
質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/7
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008・松永忠二
○松永忠二君 前回に湯山委員から憲法八十九条と社会教育法の十三条の問題の関連について質疑がかわされまして、その間私も関連として質問したのでありますが、この問題についてやはりまだ幾多の討議をすべき問題があるというふうに私たちは考えておるわけであります、これは後刻またこういう関係の公述人も参りまして、公述もありますので、それらの意見を一つ十分聞いた上で疑義をただしていきたいと、そして明確にしていきたいというふうに思っているわけであります。そこで、きょうはもう一つの問題の点を局長の方から一つ、また大臣の方からも御見解をいただいて、そうして疑義をただしていきたいというふうに考えるわけでありますが、もう一つの点で私たちが非常に問題にしておりますのは、社会教育主事の養成について、従前大学が文部大臣の委嘱を受けて、この社会教育主事の養成の講習をやっていたということなんでありますが、これについていわゆる社会教育主事の研修としての講習というものがいろいろな形で行われるということについては、これはいろいろ問題あるとしても、私たちは社会教育主事の資質を向上するというふうな意味で、決してこれに反対をするということでは私はないと思うわけでありますが、ただその社会教育主事を養成する身分講習を、従前やはり大学が文部大臣の委嘱を受けてやっていたということ、これを文部大臣が直接にそれをやるとか、あいるは県の教育委員会がこれを直接やるとかいうようなことになって参りますと、これは今社会教育主事の身分とも非常に関係を持ち、今の立法的な、法律の一貫性を非常に混乱させる点が多い。多いだけではなくて、根本的なやはり問題だというように私たちは考えて、前回も少しこの問題について質疑をしたわけでありますが、この点についてやはり私たちは十分問題を突き詰めて検討して、やはりその正しいものを育てていくということをしていかなければいけないと思うわけであります。そこで、その社会教育主事というものは、法律の上で明確に教育専門職であるということが規定をされていると思うのでありますが、これについて局長からどういうふうな性質を持ったものであるかということを法にはどういうふうに規定されているかということを御答弁をいただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/8
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009・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは松永委員、御承知と思いますが、社会教育主事は地方におきまする社会教育の担当者として、法律によって資格もきめられております。また、その専門的な職員という見地から、教育公務員特例法の中に他の職員と同じように専門的職員としてこれが掲げられておるわけでございます。従って私どもといたしましては、その法律の文字通り、社会教育を担当する専門的な職員、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/9
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010・松永忠二
○松永忠二君 今お話のありましたように、教育公務員特例法の中のその第二条の4に、「この法律で「専門的教育職員」とは、指導主事及び社会教育主事をいう。」というふうに明確に規定をされておるわけであって、教育専門職であるというふうにまず明確になっていると思うのであります。そこで、そういう教育専門職であるという、同様な立場を持っている、特にここに並記されている指導主事について、これは教育専門職として教育免許状を持っていることが一つの資格の条件とされているというふうに私たちは考えておるのでありますが、これについてはどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/10
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011・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは社会教育主事の資格を得るための条件というようにお考えになるかどうかは別の問題でありますけれども、社会教育主事としては、この第九条の四に社会教育主事の資格として一号から三号まで掲げられておりますが、こういった要件を満足したい者は社会教育主事になり得ない、こういう解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/11
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012・松永忠二
○松永忠二君 私の聞いたのはそれじゃありません。社会教育主事のことを聞いているのじゃないのです。社会教育主事と並記されている指導主事について、これはやはり教育免許状を持っているということが資格の一つの条件になっているがどうだということを聞いているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/12
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013・福田繁
○政府委員(福田繁君) 失礼いたしました。指導主事につきましても、これは教育公務員特例法の中では専門的な職員として扱われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/13
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014・松永忠二
○松永忠二君 私が申し上げているのはそういうことじゃなくて、今お話しのように、教育専門職として社会教育主事も、それから指導主事も並記されていると、それで指導主事については、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第十九条の4に、指導主事の資格がいろいろと出ておるわけであります。言葉はいろいろ出ておりますけれども、そこには、「専門的事項について教養と経験がある者でなければならない。」と、「指導主事は、大学以外の」云云とあって、教員がそれができるということが出ておって、指導主事というものはとにかく教員免許状というものを何らかの形で取得されているものであるというふうに私たちは考えておるが、それに誤まりがないかと、こういうふうに聞いておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/14
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015・福田繁
○政府委員(福田繁君) 私の答えが悪かったのでありますが、指導主事は、今お述べになりました第十九条の4に掲げられておりまして「教育に関し識見を有し、かつ、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項について教養と経験がある者でなければならない。」と、こういうようにありまして、必ずしも免許状を持つことを法律上の資格要件といたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/15
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016・松永忠二
○松永忠二君 教職の経験ということになれば、それは経験がある者は、免許状を持たなければ経験はないわけであります。その次に出ているように、その大学以外の公立学校の教員をもって充てることができるということになっておるのでありますから、現実に教員であってもいいし、かつてそういう経験を持った者でもいいということであって、教職の経験があるということになれば、これは当然学校教育に従事するものは免許状の資格を持たなければできないのですから、免許状の資格を持っておる者であると、かつて持っていた者であるということは明確になっていると思うのですが、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/16
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017・福田繁
○政府委員(福田繁君) それはおっしゃる通りでありますが、一応観念上は分れておりまして、この指導主事の場合は充て主事というものを制度上認めておりますから、従って指導主事と教職員の免許状を持っているかどうかということは一応別個に考えております。事実上はおっしゃるように、そうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/17
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018・松永忠二
○松永忠二君 事実上がそうだというところが実は大事なところだと思う。そこで私はここに、教育公務員特例法に並記されている指導主事と社会教育主事というものが教育専門職であると、しかも学校の指導主事というものは今言う通り、教職の経験を持っておるという、そういう経験があるということは、つまり教育免許状の資格を事実上持っていた者であり、現実にまた教職に従事している者でもその資格があるということが規定されているわけであります。そこで、私は、社会教育法の第九条の四に、社会教育主事のいわゆる資格というものが規定されているわけであります。これはどれを見ても、一、二、三ということをどれを考えてみても、第一は、「大学に二年以上在学して云々」とか、二は、「教育職員の普通免許状を有し、」ということが規定されている。第三は、「大学に二年以上在学し」ということに明確にその資格が規定されていて、やはり大学に在学をして、その単位を得ているか、あるいは大学によっての教員養成によって教育免許状が取得されている、その人に対してその資格要件として九条の四に規定されているわけなんです。従って社会教育主事というものは本来そういう教育専門職であって、教育に対する、教育的な教養を踏むということから、従来の今の法律から言うならば、大学における養成を経るということが、これがこの基本の本筋だというふうに私は考える。これは明確だと私は思うのでありますが、第九条の四は、そういう基本的な観念が貫ぬかれているというふうにわれわれは考えるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/18
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019・福田繁
○政府委員(福田繁君) この点に関しましては、必ずしも私はさように解釈いたしておりません。と申しますのは、第九条の四におきましては、一号から三号までいろいろ規定がございますが、この場合におきまして、たとえば一号をとりますと、「大学に二年以上在学して、六十二単位以上を修得し、且つ、三年以上社会教育主事補の職又は官公署若しくは社会教育関係団体における文部大臣の指定する社会教育に関係のある職にあった者」こういうように、並列的に大学で六十二単位をとったものと、実務でもって三年以上、こういう職にあった者というふうに並列的に書かれております。従っておっしゃるような大学の学習のみを対象にしているものではない。二号も同様でございます。そういった意味で、大学でいろいろ修得されることも非常にけっこうだけれども、実務の経験というものをこの社会教育の中では非常に重要視しているということ、私はそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/19
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020・松永忠二
○松永忠二君 私はもう少しやはり、あなたの必要ということについて主張されることは別として、やはり法律は正しく解釈をしていくべきだと思うので、あなたのように並列的の意味でこれが載さっているのではない。「大学に二年以上在学して、」というその基礎要件なんです。さらに加えるにこういうことがなければできないということだと思うのです。片方だけではいけないということであって、しかもその中に、どの文章を見てもそうでありましょう。教育職員の免許状を有し、免許状を持っていて、そうしてこういうことでなければできないということを言われている。そこで、これだけでは工合が悪いので、付則に、こういうものが得られないときには、こういうものもよろしいということは、主としてどっちを条件にしているかというと、下の方の、つまり在学して云々というあとの方に該当することに類似した行為が付則にして設けられているわけです、主として。だから、やはり社会教育主事は教育専門職なんだから、本来としてはやはりそういうものの資格を規定する場合には、重要な資格の要件としてやはり教育免許状を持っているか、あるいは大学においてある課程を学習しているということが教育の専門的な教養を積む条件として基本的に考えられているということに誤まりはないと私は思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/20
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021・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは専門的職員であるということは、これは申し上げるまでもございませんが、しかし、この第九条の四の示しておりますのは、大学の教育だけでは足りないので、さらにその他の社会教育関係の事業に実際に従事しておったということをプラスしておりますから、大学の教育だけがこの資格の基本要件だというふうに解釈はできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/21
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022・松永忠二
○松永忠二君 そういうふうにあなたがおっしゃれば、つまりその片方の条件だけではできないということは、経験だけでは認めることはできない。だからやはり一つの教員免許状の資格を持ち、あるいは大学における、養成の機関における学習というものが一つの条件なんです。あなたは並列的な条件だとおっしゃるが、私はその並列的な条件ではむしろない。そういう解釈をあなた方も立ててやっておられるのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/22
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023・福田繁
○政府委員(福田繁君) 私はこれは並列的なものだと考えております。従って今お述べになりました付則六項でもって暫定資格をきめておりますのは、大学の経歴がなくても実務に十年以上実際上従事しておれば、都道府県の教育委員会が適当なものと認めて、これを社会教育主事にすることができると、こういう道も開かれておる点から考えますと、第九条の四の解釈としては、やはり相当実務というものを、あるいは実際の経験を重要視しているというように私ども解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/23
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024・松永忠二
○松永忠二君 私はあなたの言うことを全然否定しているわけではありません。もちろん社会教育主事というものは、やはり経験というものは必要であるから、そういう経験も必要だ。これはこの教育公務員特例法にも規定されているような教育専門職であるので、そこで専門的な教養としてのものがなければできない。付則の方では経験があれば一時よろしいというふうに規定していて、本法の方ではこういう条件とこういう条件が必要だということ規定されていることを考えれば、法律的にすなおに解釈すれば、やはり最も基礎的な条件がそれであって、それに加うるにこういう条件も具備することが必要だというふうに解釈するのが私は当りまえだと思うのです。そこで、あなた方がお出しになっているやはり社会教育の現状のところにも、「日なお浅いがゆえに社会教育主事の資格を免許状というような恒久的な制度でいくよりも、むしろ可変融通性のある講習という形をとるが時宜に適しているからであって、その講習を大学の単位と関連させることによって実質的には免許状制度に近づけようとしているのである。」と、こういうふうに書かれている。だから、免許状制度に近づけていくということが、これがやはり考え方としては初めから持たれている考え方だと私は言わなければいけないと思うのですよ。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/24
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025・福田繁
○政府委員(福田繁君) 免許状制度に近づけるかどうかは別といたしまして、やはりこの教育公務員特例法の中で、専門的な職員というように規定されておりますので、そういった意味での社会教育の専門的な事項について、いろいろ教養と経験を高めるということは、これはだれでも異論のないところであります。従って、この講習を実施いたします場合にも、できる限りやはりその内容の高いものを望むということは、これは当然でございます。従って、今おっしゃったような表現をされたと思いますけれども、この講習の内容その他から考えまして、これはある程度大学の単位と同じものだというような考え方もできましょうし、また実際にこの講習の中でやります単位の中では、相当実務に関連した単位もございます。そういった意味で、私どもとしては必ずしも大学のみでこれがよろしいというものではなく、実務の経験というものもあわせて重んじているというふうに解釈するのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/25
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026・松永忠二
○松永忠二君 あなたは、大学は実務のことをやらないところだというようにお考えになっておるということについては、これは誤まりではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/26
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027・福田繁
○政府委員(福田繁君) 大学で実務をやらないということを私申し上げたのではなくて、講習の単位の中ではいろいろ実務のことも要求されている、こういうように申し上げているわけであります。従って帰りますが、第九条の四のこの規定は、大学の単位と同時に実務の経験というものを非常に高く評価している。並立的に考えている、こういうように私は解釈するということを申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/27
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028・松永忠二
○松永忠二君 それは、今の話でも明確になってきているわけですが、今その免許状に近づけたいと言ったのは、第九条の五の二つの講習について言っているわけで、2の場合の講習についても免許状に近づけたいというようなことをかつて言われているし、それがほんとうであるし、基礎的な条件として、いわゆる大学における在学あるいは免許状取得ということが基本的な資格になっていると思うわけです。そしてまた、大学においては実務に関係した学科というものもあるわけです。現に教育学部での養成に当っても、そういう実務に関係しての科目を修了しなければできないことになっておるのでありますから、大学で実務関係のことが学習できないというようなことは私はないと思う。そこで、社会教育主事の養成の、第九条の五の社会教育主事の講習を実施していく場合に、特にその大学におけるこれらのものが充実をされなければできないというところから、従前こういうふうなことについて努力もしてきたと思うのでありますが、この社会教育主事の講習を大学で実施をするということが大学における社会教育の問題の研究を非常に進める上に効果があるものだというふうに私たちは考えるのですが、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/28
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029・福田繁
○政府委員(福田繁君) これはおっしゃるように、社会教育関係のいろいろな講座を持って、大学でいろいろ教育あるいは研究なさるということは、これはおっしゃる通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/29
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030・松永忠二
○松永忠二君 そうして、私たちの聞いた範囲では、かつて社会教育審議会が各種の答申を行なっているのですが、その答申の中には、社会教育主事の養成をするというために大学の充実をはかっていくべきだということが審議会として答申をされている事実もたくさんあるというように私たちは聞いておるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/30
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031・福田繁
○政府委員(福田繁君) 私は今その記憶はございませんが、これは調べてみればすぐわかりますが、そういった大学をいろいろ充実するということは、これはまあ当然なことで、そういった面も一面において必要かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/31
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032・松永忠二
○松永忠二君 まあそういうことで、社会教育主事の養成に当って、大学の社会教育の講座の充実をはかっていくべきであるし、またこういう関係のものの充実をはかるように努力をしていくべきだということが答申もされているし、まあそういう点で従前努力もされていたと思うのでありますが、しかも、従来この社会教育主事養成がそういう方法で行われてきておるのにかかわらず、新たに、一体どういうわけでこの今までのものを改めて、教育委員会なりあるいは文部大臣がこれをみずからやらなければできないというふうに改める必要というのはどこにあるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/32
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033・福田繁
○政府委員(福田繁君) 今までは、御承知のように、第九条の五によりまして、教育に関する学科または学部を有する大学が文部大臣の委嘱を受けて行う、こういうようになっておりまして、まあいわば教育に関する学科または学部を有する大学のみしか教育ができない、こういう建前でございます。ところが、社会教育関係のいろいろな内容にいたしましても、最近は非常に社会教育主事の従事いたします仕事の範囲というものが広くなっている。特に最近の職業関係の教育の場合におきましては、いろいろ深い専門的な教養というものがだんだん現地で要求されてきております。従って、そういった意味からも、単に教育に関する学科または学部を有する大学ばかりでなくて、他の大学においてもこういう委嘱ができるようにする必要がある。また、そういった点以外に、たとえば教育行政あるいは教育財政とかいうようなものにつきましては、教育委員会においてもこういった講習をやりたいという希望もございます。あるいはまた、文部大臣が直接そういう講習を実施する必要もございます。そういった意味におきまして、文部大臣、あるいは都道府県の教育委員会、あるいは従来の大学等がお互いに協力しながらこの講習の内容と成果を高めていく、こういうような意味合いからいたしましてこういう実施機関を広げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/33
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034・松永忠二
○松永忠二君 話を少し広げないように。私は、教育委員会や文部大臣が身分講習以外の講習をやるということを問題にしているのじゃありません。そういうことを新たに加えてきたということについて、別にそれに反対であるということを言っているのじゃありません。だから、もう少し狭くして、私の言っているのは、身分を取得する、資格を取得する講習を従前大学がやっておったものを、それを文部大臣や県の教育委員会がやるということについて、どうかというようなことを申し上げておるのであります。そこで、あなたは今そういうお話でありますけれども、社会教育主事を養成する資格の基準というようなものについては、従前通り文部大臣がこれをきめていて、それに基いて大学はやっているわけであります。大学は自由勝手にやっているわけじゃありません。しかも、あなた方がきめている、昭和二十九年ですか、社会教育主事の養成の科目と単位というものの変更をやられている。その科目を見ても、たとえば社会教育概論、社会教育行政及び社会教育財政、社会教育演習という、これが甲群として一番中心の問題でありましょう。
[委員長退席、理事中野文門君着
席〕
それから、そのほかのいろいろやらなければならないことができたというお話でありますけれども、乙群、丙群というのを見ても、乙群は教育社会学、社会心理学、青年成人心理学等、これはいずれも大学における重要な研究項目です。そのほかのところを見ると、丙群というところにあなたのおっしゃったようなものが少し出ているけれども、丙群、乙群はその一つをとればいいということになっているのでありますから、中心は何といっても、これはどこまでもやはり、大学で研究をし、大学でまた充実をしていかなければできない科目である。特に社会教育が非常に進展しない大きな理由というのは、教育学部における社会教育の研究というものが非常に不十分だということが社会教育の進歩を妨げている一つの大きな原因である。同時に、いわゆる社会教育という独立の講座を持つ大学が非常に少いということが、結局私立、公立を含めてそういうものが少いために、社会教育の学問的な研究も進まないので、進歩もおくれているという事態があるわけです。そうなってくると、あなた方が掲げている社会教育主事養成の基準からいったって、これは大学が中心であって、最もふさわしい事柄である。その他のことについてあなたが実際いろいろなものが必要だというならば、そこの人たちを現に委嘱して、講義をしてそれで十分に今までやっているではありませんか。養成が行われているではありませんか。だから、現在のような養成の基準から考えてみても、これは大学においてこれを養成することが最も適当であるし、またそれを大学においてやられることが、非常に大学の充実にも役立つし、また日本の社会教育を進める上においても非常に大切な事柄であるということは、これは明白な事実であると私たちは思う。重点はどこに置くべきであるというようにあなたはお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/34
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035・福田繁
○政府委員(福田繁君) おっしゃるように、大学の講座を充実し、社会教育の担当者をいろいろ教育して参るということも、これは当然必要なことであります。それを私ども否定しているわけではございませんので、そういった意味で、大学が大いにそういった面で振興していただくことは、これは必要であろうと思います。また、社会教育の不振の原因がどこにあるか、これはいろいろ各種の原因があると思いますが、やはり指導者の養成ということも、これは大きな社会教育の場において必要な問題だと思います。そういった観点から、大学におきましても、そういったいろいろな養成をやられるということは、これは非常にけっこうなことと思います。それを否定しているわけではありませんので、今社会教育主事講習規程の内容についてお触れになりましたが、これは今必修科目単位、あるいは選択科目単位というものがございまして、いろいろありますが、やはり何といっても、こういった講習は、現地の事情に即したものにだんだんと内容を改変していくということが望ましいわけであります。従って、必ずしも今の選択科目の単位がそのまま適当かどうかということは、これはわかりませんが、十分将来も研究いたしまして、この単位、あるいはとらなければならぬ単位数等も、これは私どもは検討の余地があると考えております。従って、今丙群の選択科目の中に職業教育等が入っておるからといって、おっしやるような理屈にはならぬと思いますが、私どもとしてはできるだけ程度の高い充実したこの主事講習の内容というものを実施していきたい、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/35
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036・松永忠二
○松永忠二君 私の聞いているのは、どっちを主に置くかということを聞いている。丙群とか、乙群とか、実際的なことを勉強しなければならない、そのために選択の科目があるのだから、どっちに一体講習は重点を置いていくのかということを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/36
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037・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは法の要求するところは、大学の教育と、実際の経験と、それにプラス主事講習というものを掲げております。従って、大学で養成されることも、非常にこれは大事なことでありますが、さらに大学を出ましても、第九条の五の規定によります社会教育主事の講習を経なければならないというようになっております。私どもといたしましては、両方大事だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/37
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038・松永忠二
○松永忠二君 両方大事なら、一体今までの基準の中で甲群として、一番基本的なものとして掲げているものが、主要な単位をそこに置いたということは、少しおかしいじゃありませんか、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/38
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039・福田繁
○政府委員(福田繁君) ちょっと意味がとれませんでしたが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/39
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040・松永忠二
○松永忠二君 あなたはいわゆる大学、大学というふうにおっしゃるけれども、私は、大学で学習するに適当な科目ですね、そういう科目が中心になっているということを申し上げているのです。だから、たとえば社会教育概論というようなものを、これは文部大臣が自分でやるとか、あるいは教育委員会がやるとかということが適当ではなくて、やはりそういうことを研究している大学があるわけです。大学における教育の中で重要な科目になっているそれらのことを主として勉強するのには、やはりそういうところへ持っていく方がふさわしい科目が多いということを私は言っている。だから、そういうふうな基本的な、つまり身分講習の基準というものがあくまでいろいろ変化をしたり、実際的なことも学習しなければできないことはわかっているけれども、一番やはり養成の中心となるものは、私が申し上げた通り、こういう社会教育概論であるとか、社会教育行政及び社会教育財政とかという、そういういろいろな理論を研究しているようなところで実施をしていくというような科目に中心が置かれているのだと、いろいろ実際的な問題を取り上げる、そういうことに講習というものは中心を置くべきであるのか、身分の講習というものは、それとも基礎的なそういう理論とか、あるいは学科の演習とかというものに中心が置かれていくべきであるのか。今までの基準だとそこに中心を置いているが、それを全部変えて、今度は逆に、乙群、丙群というような、そういう実際的な方面に中心を置かれるのか。養成は、やはりそういうものより、身分取得であるから、そういう従前の点に中心を置いていくべきではないかと思うが、どうだということを言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/40
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041・福田繁
○政府委員(福田繁君) お尋ねの点にぴったり適合しないかも存じませんが、もちろん、大学におけるいろいろな教育というものは、これはもう当然必要でございます。ところで、先ほど申し上げましたように、第九条の五では、大学を経ましても、六十二単位を修得しても、さらに実施の経験と一定の講習を終了した者ということを資格要件にいたしておりますので、従って、大学の中で六十二単位をとる場合にいろいろ聞かれることも、これはまたそういった講習の中でも同じ単位があるかも存じません、しかしながら、これはいわば大学を出まして、一ぺん実地に経験をして、その上で講習を受けるのでありますから、同じような単位がありましても、内容あるいはやり方については、必ずしも大学と全く同じものでない、こういうように私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/41
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042・松永忠二
○松永忠二君 まあ大学と同じものでないことは、当りまえであります。しかし、ここに、たとえば社会教育概論は四単位、それから社会教育行政及び社会教育財政で三単位、それから社会教育の演習が三単位、それが一番中心で、これは必修であります。そのほかにあと二単位あるいは三単位をほかのものでとろうという中で、そのもう一つの二単位として、これは教育社会学、社会心理学、青年成人心理学というのがある。
〔理事中野文門君退席、委員長着席〕
これはこの中からいずれか二単位をとると、これも今まで大学で実習をしたことのない範囲のものがある場合もあるから、その中からとっていく場合もあるわけです。これも実は大学において研究をやられているところであり、また大学において十分できる事柄であると思うのです。その次の丙群の中の成人指導とか、青少年指導とか、あるいは視聴覚教育とか、あるいは学校開放とか、社会教育施設とかいうところで三単位、一つとればいいので、その中の三単位が、結局あなたのおっしゃるような人があるいは必要であるのかもしれない。そういうのが、現実に大学においてそういう人を招いて、従来もその人に講義をさせてやっていた。また、必要があれば、地方の教育委員会から来てもらってそれをやっていたのだから、十分大学でそれができるし、しかも大学でやるような教科が中心的なものになっているということに誤まりは私たちはないと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/42
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043・福田繁
○政府委員(福田繁君) おっしゃるように、大学でやるような単位ももちろんこの中にはあります。しかしながら、私ども実際にやっておりますのを見ますと、同じ大学の先生が講義をし、教えましても、大学の学生に教えるのと、講習によりまして実際の経験を経た者に対していろいろ講義あるいは指導する場合のやり方というものは、かなり違っております。従って、名称は同じでありましても、内容的にはかなり違ったものをここで実施いたしております。
それからまた、この単位数でありますが、これは十五単位以上ということで、なるべく受講生にあまり負担過重にならないように十五単位というものをきめておりますけれども、これは最低の基準でありまして、実際に単位をとってこの講習を修了する場合は、十五単位のみで満足する人はあまりたい。やはり実際の仕事の必要性から、これに掲げておりますいろいろな単位を、やはり十五単位以上のものをいろいろなものにわたってとっているのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/43
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044・松永忠二
○松永忠二君 それならば、今の社会教育を進めていく上に、あなたは今の大学の社会教育の研究の状態、あるいは社会教育講座を持っている状態でよいとお考えになっているのか、大学におけるこういう方面の充実を十分はかっていかなければいけないとお考えなのか、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/44
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045・福田繁
○政府委員(福田繁君) その点は先ほど申し上げましたように、このいろいろ社会教育に関する研究なり、あるいはまた教育というものを十分できるように各大学を整備されることはこれは必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/45
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046・松永忠二
○松永忠二君 そういう大学の研究を進め、あるいは充実をさせていく上に大学に講習をやらせるということは非常に効果があると考えるのか、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/46
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047・福田繁
○政府委員(福田繁君) これはむずかしいお尋ねですが、効果がないということは言えないと思います。効果があるかも存じませんが、しかしながら、大学の先生自体もいろいろ自分の本来の大学の教育のために忙しい。従って、休みにこれを実施するという程度であれば十分活用できると思います。かりにそういった意味で大学の先生方が研究の刺激になると考えましても、あまり多くの負担を大学にかけるということは、必ずしも講習によってかけるということは望ましいことではないと私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/47
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048・松永忠二
○松永忠二君 大臣にもう一つお聞きをしたいのでありますが、大学に講習をやらせることは非常に効果があるということをあなた方は言っておるのでありますが、これも何もかも一つ一つ今まで言っていたことをくつがえさなければならないような法律案をここに出すということはこれはどうですかね。「とくにすでに社会教育主事講習の委嘱を受けた大学ではこの講習を実施したことによって大学の社会教育に対する認識を深め、その傾向がとくに顕著であるもののごとくである。」と、「とくに顕著であるもののごとくである。」というふうに言っているのであります。「社会教育主事の講習はその趣旨からいってもそれ自体が一つの経過的な措置であり、将来の社会教育職員を設定するものはやはりこの大学における専攻者であろう。その意味でこの傾向がさらに強くなり、設置大学が多くなることを期待して止まないところである。」とこう言っている。これはかつて言ったので今では言わないということではなく、もう普通の大学なり、普通の人たちは全部こういうことを今でも言っているのです。で、しかも大学のその社会教育の講座を持っているのはこのときには——現在でも私たちそうだと聞いているのですが、教育大学と早稲田大学の二校にすぎない。こういう現状の中でやはり社会教育の講座を持ってもらって、それでまた教員養成の学校では社会教育主事の養成をやらなければならない関係で、そういうものの充実をはかっていくということが非常に必要だと私は考える。かつて社会教育局がこういうふうな「とくに顕著である」とか、あるいは「期待して止まない」というようなことを言われている事実が非常に短かい時間にこう変化をしている。先ごろ私があげた補助金の問題、今後出てくる問題一つ一つですよ、どうも言ったことと反対のようなことを言わなければならなかったり、あるいは積極的であったものが非常にはなはだしく積極的でないような言い方をしなければならないような法律が出てくるということについては、これは非常に問題が多いと私たちは思うのでありますが、特に大学におけるこういう方面の充実を十分はかっていかなければできないかどうか、またそういうことが法律に出てくることについて基本的に一体大臣はどうお考えになりますか。やはり検討して十分に見ていかなければできぬと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/48
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049・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 従来の法律で大学でやることになっておったのでありますが、それだけではどうも十分に行き渡りませんので、今回の改正措置をとることにいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/49
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050・松永忠二
○松永忠二君 それでは私の言ったことに対して答えられたことにならぬ。従来これでは足らなかったから新しくこういうようにやったのだ、それでは逆に私は例を出しますが、つまり現職教育という教育を文部省はやらなければいけないことで、年々数千万円の金も使って一年にいわゆる二級の教員を一級にし、臨時の免許状を二級にするために夏休みにほとんど二十日間ぐらい講習をやるようなことが全国で行われ、それが数年間に——今なお行われているのです。こういう膨大なことをやるについても大学に委嘱をしてやらせているのであります。行える、そういうことが実施できるのであります。今こういうことが非常に必要になったから、こういう方法も考えなければできないと言うけれども、そういう場合でも、大学でそれを実施することによって、大学の、特に教育学の先生は非常な勉強もするし、またそういう方面も進歩してきておる、そういうことから考えるならば、こういうことはこれでは足らなかったからこういうふうにやるということでは私は説明にならないと思うのです。どうしてもやらなければできないという理由がどこにあるのですか、数もたくさん作るからやらなければできないというなら、数なら、そんなものは今言うようなやり方でできるじゃないか。学科は、中心的な教科はどこまでもこの基準に——文部省のきめている基準は大学で講義をするにふさわしいものであり、そういう学科を大学の教科にしていかなければ社会教育の充実にはなれないということについては局長も言っておるし、かつて明確にこういうふうに言っておるし、今なお民間でも、学者でもみんなそういうことを言っておるのです。それをなぜそういうことをやらないで、新たになぜ新しいものを作らなければならなかったのか、その説明が納得が得られない限り、せっかく私たちが賛成をし、私たちがけっこうなことだと賛成を申し上げたい社会教育主事を必置にしていくということも、そういうことを理解されるような状態がないならば、これこそ官僚統制をするために必置制をやったのだという、そういう曲解的な解釈も実は生まれてくるのであります。だから、そういう点から私は申し上げておるのでありまして、これでは足りなかったからこうやったのだということでは御答弁にならないし、一体補助金にしても、主事講習にしても、教育委員にしてもみんな今まで指導してきた、そうして考えてきたことです。逆に一体ものを考えなければできないというならば、それには相当な根拠がなければできないと思うので、こういう点について大臣は納得をされておられるのか、あるいはまだ十分にその点研究をされておらないのか。なお、研究をして慎重に考えていくというのか、そういう点について一つ大臣から御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/50
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051・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) これはまあ御意見はいろいろあると思いますが、実は大学の方も整備をいたしておるわけでありますが、必ずしも全部大学でやらないでもよろしいと考えるのでありまして、大学の方も整備をいたしながら、こうした方法も講じて参りたい、こういう考え方でありまして、私はやはりそういういき方でよろしいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/51
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052・松永忠二
○松永忠二君 そのほかのことについても……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/52
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053・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) この点は確かに大学だけでなく、間に合おうが、間に合うまいがやらぬという建前になっておりましたので、必置制をとりながら、大学の方も整備をしながら、こうした講習の方法も講じていくということは、私はもう考え方の点から言いまして、必ずしも大学の講習でしないでもよろしいということを考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/53
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054・松永忠二
○松永忠二君 私の聞いたことはいろいろ他方面にわたって聞いたのですが、御返事はそれだけですが、それじゃさかさから……、私が今まで論拠してきたのは、教育専門職であって教育専門職というのは、免許状という一つの条件のみに——将来免許状を取得させるような方向へいきたいということを今までも考えておったわけです。免許状を取得するということになれば、今までの教育免許状の、免許法に基いて、これは大学が養成するということは、きめられていることなんです。そして私は大学が実施をするのが本来のものだ。それじゃ大学は実施をするに適当な基準が一体講習において掲げられているのか。大学の資格と、もう一つ余分にしなければならないことがあるということをあなたは認めるので、その両者を得なければできない講習の中で、中心はどこかというと、今まで文部省が掲げているのは大学で実施するにふさわしい教科が中心になっているので、そういうことに中心が置かれているじゃないか。しかもそういう関係の大学における充実の度合いはどうかというと、実は現状は非常に不備である。だから、そういうものを充実していかなければならぬ。それが社会教育の発展の上に非常に必要だ。それじゃ一体講習をやることはそれと関係があるのかというと、講習をやることによって、大学は非常に充実するということを今まで言ってたし、今でも学者は皆さん言ってる。しかし、その大学だけでやったのじゃ数も多くなってくるから困るので、できないのでこうやったというならば、それならまだわかるけれども、いや数が多いからできないということならば、今まで現実に数千万円使って毎年やってるその現職の教育も大学で十分にやっていける。幾ら必置制を設けたって、社会教育主事制は三年かかってやっていこうというのですから、一度にこしらえるわけじゃないのです。充実した大学で充実した社会教育主事制を幾らでもやっていける、やっていけないという根拠はどこにあるかということを私は言ってる。なぜ、今までの大学でやれないのか。それはどういう根拠があるのか。その根拠は、こういう理由があるからできないのだ——数が多いからできないというのは理由にならない。なぜやれないか、こういうことを順序を追って……。そういうことを私は申し上げているのです。これについては大臣もう一度御自分で納得のいくように今後も局長からお聞きをいただきたいと思います。また、私たちはそういうことでは納得ができません。また、局長から納得のいくような御説明を願えれば別でありますが、私どもは現状では納得できません。それで、これに固執をされるということになれば、社会教育主事を必置をされる事情が、必置さして官僚統制をするのだというように、極論すれば反発が出てくる。そういうふうなことの反発についても、また私たちは今の答弁の中からは、そういう邪推をせざるを得ないような状態しか私たちは理解できない現状だと思うのです。
そしてもう一つ、この同じ問題でありますが、一体教育専門職、教育を専門に教養を積んでいくということについては、教育を専門的に教養を積んでいくのには、教育に対して自由な研究が行われ、学問的に自由に研究が行われていくという一つの条件が私は必要だと思うのです。そこで、今の大学というものは、少くも学問の自由が確保され、それでその教育についてのあらゆる検討が自由に行われるわけであります。そういうところで教育の専門的な教養を積むということが当然なことである。ところが、文部大臣なり、教育委員が自分たちのやる講習というものの中に一体教育の研究の自由があるのかないのかということを私は考えなくてはいけないと思うのです。そういう形において、ただ上から授けていくという、そういう講習の中に一体教育専門職の教育を研究する自由というものがそこにあるのかないのか、ということも問題になると私は思うのですよ。やはり教育専門職としての教育を教養の上に積んでいくということであるならば、それで、それを教養として身につけて研究をしていくという一つの任務を持っているとするならば、こういうものこそ私は学問の自由を認めている大学においてやはり教養を積んでいく、勉強をしていくというのが本来の筋道だと私は思う。
私は先ほど申し述べましたが、誤解のないように——あなた方は各実践の事柄について、やはり今やっている社会教育主事に加えるにそういう教養が必要だから、自分たちが講習をやるということについて、それが私は悪いとは申し上げているのではありません。そういうことを新たに加えるようにされるということについては、やはり必要性を皆さん方お感じになっていると思うのでありますけれども、あくまでやはり身分を、この資格を取得するということについては、そういう意味からやはり教育専門職としての立場から、教育を研究するということも一つの問題として持っている。こういう資格の取得の講習あるいはそういうものは、やはりそういうふうな自由に研究ができるという雰囲気の中で、その教育が行われていくということが必要じゃないかと私は思うのですが、そういう意味において、大学におけるそういう勉強の方が、教育委員や文部大臣のやる講習の中よりもそういう雰囲気が十分に得られると思うし、そういう方が、そういう意味では十分な教育に対する専門的な研究ができると思うが、そういう点については局長はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/54
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055・福田繁
○政府委員(福田繁君) お言葉を返すようで恐縮でありますけれども、大学でそういった専門的な人を養成するということについて、私どもはそれがいけないということを申し上げているわけじゃございません。これは誤解のないようにお願いをしたいと思いますが、従来のように、やはりそれぞれの大学で適当な講習をやりたいという大学があれば、当然にそういうことをやっていただいてけっこうだと思っております。先ほどお話がございましたように、大学でいろいろ整備をするというようなことも、これは大学当局のお考えにもよるわけでありまして文部省からあそこをこうしろというわけには参りませんが、そういう要望のあるところについては、私どもも社会教育の講座を拡充するようにできるだけ援助を申し上げているつもりでございます。現実に三十四年度におきましては、九州大学の講座を若干増設するというような計画をいたしております。そういった意味で大学の充実ということも非常に大事だと考えております。
しかしながら、それはそれといたしまして、法の要求する講習の内容というものも、やはり充実したものを考えなければならない。こういった意味から、従来の経験によりましても、たとえば一例でありますけれども、教育行政だとか、あるいは教育財政というようなものは必ずしも大学の先生にお願いしなくても、大学の中にもいい方がおるかもしれませんが、お願いしなくても、別の人がそういった講習においてこれを担当してやるということがやはり必要でございます。要するに、より高める意味におきまして適当な機関にそれを実施させる、こういうような考え方でありますので、一番最初に申し上げましたように、みんなで協力して主事講習の内容の充実をはかっていく、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/55
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056・松永忠二
○松永忠二君 今の御説明では私たちは納得はできかねます。そういうことは、大学を充実させるために、そういうことをやられておるというならば、そこへ重点を置いて、そこで養成させるという、そうしてあわせてそれについて教育委員会なりあるいはその他のものが協力をしてやっていく。これは今までやってきた。今後もそれでやっていけると私たちは思うし、そういうことによって大学も充実されていくし、必要なものもまた講師の中で充実されていく。また、前からの御説明によると、一体職業教育であるとか、あるいは商業、工業の関係の教科については、一つの大学ではできないから、ほかの大学の方からこういうこともやらなければできないというお話でありますけれども、大体総合大学という考え方できておるし、またそういう大学の教授を自由に、たとえば教育学部で委嘱したときに、それを自由に講師としてこれを使っていくことは十分にできる。そういうことによってむしろそれが、大学のそういう方面の充実がなされていくということで、別個にまた、それだけでは足らないから、特に文部省としては、各県の教育委員会としては進んでいく一つの実際的な面を研究する必要があるから、それだけで足らないから、ほかのものに講習させなければできぬというときには、私は講習することをいいというのですよ。ただ、身分をとる講習にまでそれを自分たちがやっていくということにしていくと、本来の筋が非常にゆがめられてくるし、また考えられる今までの法律的ないろいろな体系からいっても非常に混乱もしてくるし、それをあえて、どうしてもやらなければできぬという理屈があるとするならば、その理屈を聞きたいし、またそれを両方併用してやるのだから、併用してやるのだからというだけの説明なら、数が多くなるなどというような、そんな説明でこのことを解釈はできないのです。なぜ、一体どういうわけで今までのやり方でなしに、県教委や文部大臣がどうしてもやらなければできないのですか、その理由をあなたはどういうふうに考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/56
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057・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは先ほど申し上げましたように、従来の実施しました経験から申しましても、教育学部で主催します場合に、実際その教育学部の先生のみでその講習の内容を担当するということは大ざっぱに申しますと、大体半分以下しかないわけでございます。従って、外部の先生方にお願いしなければならぬ場合がたくさんありますが、そういうものでできるものもございます。それから、従来文部省の職員あるいは都道府県の教育委員会の実際の経験を持っている職員が教育行政等を担当した場合も相当ございます。ところで、そういうのをやって参りますと、大学のみで、地方の大学のみでやるということよりも、教育行政あるいは財政を例にとりますと、全体の講習のやり方として、単なる研修でなく、やはり身分取得の講習というものをできるだけ統一的にやりたい、やった方がよろしいのだ、こういうような希望が地方でも相当ございます。そういった意味で、実際今までのやりました経験にかんがみて、文部省でもそういった講習が実施でき、あるいは都道府県の教育委員会も非常にこれを熱望するところにおきましては、そういったものもやってもらってもいいのじゃないか、こういうような考え方で実施機関を広めたのでございます。従って、繰り返して申し上げますけれども、大学でやることも必要でございまして、大学のみで、その教育学部を持っている大学のみでやらなくてもできるものは他の機関によってこれを実施するという方がより適切な講習ができるという観点からこれを改正しようとするものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/57
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058・相馬助治
○委員長(相馬助治君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/58
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059・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/59
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060・松永忠二
○松永忠二君 議事進行をいたしますから……。
とにかく今言ったような、統一的に養成をしていきたいという、統一的に養成をすることができるように文部大臣が基準をきめることはできているのでありまして、そのことも実際はできておる。だから、今おっしゃったようなことで実は半分くらいしかできないので、あとやらなければほかの方から頼まれていくというお話だが、そういうふうだからいわゆる社会教育が充実されていかない。また、いろいろお話があって、何か要請があったらいいんじゃないかというお話があるけれども、そういうことをやられたら、結局どういうことになりますか。結果的には、簡単に講習のできるところでやってしまって、大学の方に委嘱するという事実が私はなくなってくると思うんです。率直に言ってそうだと思うんです。そうなってくれば、結果的にはそういうことで充実されてはいかない。簡易にどんどん養成はされていく。しかも社会教育主事というものが教育専門職として重要だということが考えられるから、社会教育主事を必置していこうじゃないか。しかもそれを私たちはそういうことの必要性を痛感している。そうなってくると、私たちはやはり今の説明ではとても納得することはできません、数が多いといえども……。幾人でありますか、養成する人の数は…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/60
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061・福田繁
○政府委員(福田繁君) 数の問題になりますが、これは私どもの一応の計画としては、今後大体五百人くらいを目途として養成すれば足りるのではないかと思っております。その数の問題もありますけれども、これがそんなに数がふえなくても私どもといたしましては、やはり講習の内容を充実する、こういう観点に立てば、一つのところであんまりたくさんの人数をやらない方がいいんではないかと考えております。従ってあるいは長崎の大学、あるいは九州大学、あるいはまた広島大学、あるいは東北の大学、こういったように大体同じ時期に数カ所以上の大学でやるのが従来の例でございます。従って、こういう講習を担当するような講師というものは大体限定されております。従って、今申しましたように、単位についてはこれを集中的にやる方が受講者の便宜でもあり、受講者としては従来そういった希望を持っておりますので、——私は統一的ということを申し上げましたが、それは集中的の意味でございます。そういった意味で、たとえば京都大学である部分の単位をとる、それからまた次の機会に広島大学で他の単位をとる、こういうように受講者の便宜を考えて講習を実施していく方が、より親切ではないかというように私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/61
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062・松永忠二
○松永忠二君 そうなってくれば、五百人くらいの人の養成を今言ったように……。しかも各地の総合大学の中で、大学院を持つような大学が中心でありますから、こういうことを私は考える。教科の人には適当な人ができてくると思うが、そういうことじゃなくてむしろ養成をする機会に地方大学を一つ進めていこうじゃないかという意味で、むしろ各地方大学に委嘱をさせて、そこの充実をはかりながらやっていってもらう方が、むしろ適当だと思うけれども、しかし、重要な社会教育主事だから、集中的にそういうことをやってもいいということなら五百人も養成できないという理由はない。そのために法律を改めていかなければならんということは私は納得はできません。いずれにしても今のような御説明では、私は——だいぶ時間もたってきますが——理解することはできません。ただ、したい、したいというお話で熱望されているというその気持はわかる。ただ気持だけであって、そんなことをされたらば逆な結果になってくるだろうということをわれわれはむしろ考えているのです。実はその他の点についても触れたいのでありますが、坂本さんから何か主事についての質問があるそうでありますから、坂本さんにお譲りしてしばらくやってもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/62
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063・坂本昭
○坂本昭君 一番最後の局長の御答弁だと、大学でこういう講習教育をされるがいいという御説明で、私もそれには非常に賛成なんです。むしろ地方の大学は地域の社会教育にいろんな意味で徹底し、大学自身だってやはりいろいろなことを学んでもらわなければいかんと思うのです。大学の先生自身も、まあいわば社会教育の実施が必要だと思いますから、そういう意味では最後の御答弁の仕方がけっこうであって、文部大臣や教育委員会がこの講習の主体になるということはやはり少しおかしいと思うのです。ただそれに関連して、先ほど来教育主事の問題が出ていますが、これは大臣に少しお伺いしたいのです。大臣としてもこの教育主事だとかあるいは社会教育の問題はおそらくお初めてではないかと思うのです。特に東京に、都会に住んでおられる方にとっては、社会教育の問題の具体的な点がおそらく非常にピントがはっきりしないのではないかと思われますので、またこれは厚生省の例をとって恐縮ですけれども、ちょうど衛生行政の場合に、末端における一番中心になる機構は何か、これはもう御承知の通り私はやはり保健所だと思うのです。この保健所を通じていろんな活動が行われる、その保健所の場合に、一番中心になるのは私はやはり保健婦ではないかと思うのです。保健婦はどの家庭でも入っていくし、病人のところへも行けば、あるいは幼児のところへも行けば乳児のところへも行く。そして直接に母親に、ある意味では衛生教育だけれども、同時に社会教育を旅しているわけですが、そういう点で、翻ってみて、社会教育の場について一体大臣は一番末端の一番核心をなすものは何であるというようにお考えになっておるか、ちょっとその点をまず大臣にお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/63
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064・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 社会教育の問題は、これは社会教育という名の示しまする通り、まあ学校教育のような教課程をきめて、そうしてそれを一定のプログラムでやっていくというような筋のものでございませんで、これはあくまでもやはり何といいますか、みんなが勉強し、みんながいい社会を築いていくという、やはり国民のそうした気持を高揚させながら、その国民の高揚する気持に応じまして勉強したいときには勉強の機会を持ち、また何か一緒にレクリエーションをやるときにはレクリエーションの機会を持つといったような便宜をはかります、またそれの持っていき方といいますか、ものの考え方についての指導、助言をいたします。ないしまた必要に応じてその経費を負担していく。あくまでもやはり大事なのは、一般社会の中でわれわれの生活環境をよくするために勉強をし、また協力をし楽しんでいくという気持を高揚しながら、受けて、それに必要なやはりものの裁量の仕方であるとか、あるいは場所の提供だとか、あるいは費用なんというような点を考えることがまあ基本であると思うのであります。やはりそうしたことをいたしまする上での、地方における手足の、中心というものはどこにあるかといえば、これはやはり社会教育委員会なり社会教育主事及び、またそれを中心にする人々によって仕事をしていくということがまあ大切な仕事だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/64
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065・坂本昭
○坂本昭君 実はそれはちょっと違うのですよ。つまり保健所に当り、保健婦に当るものはそうじゃないのです。これは社会教育法の中にも幾つか並んでいますけれども、第二章は社会教育主事、それから第四章社会教育委員、第五章の公民館ですね。つまり保健所に当るものは公民館なんですよ。この点をはっきりつかまないと、大臣この新しい社会教育を実際にやっていく場合の非常なピントはずれになるのではないかと思うのです。この点は文部大臣東京におられては、なかなかこの公民館が地方でどういう働きをしておる。冠婚葬祭に至る非常に古いむだないろいろなしきたりをこわしていってそうして何もそれはにわかに革新的にしようというのではなくて、非常に古いむだの多い結婚のやり方を変える。そういうようなところにこの公民館というものは、地域において非常に大きな社会教育の場を提供しておる。私は何といってもこの公民館というものを中心にして考えていただかないというと、この今日の日本における社会教育を推進する一番大事なもの、いわば衛生行政における保健所に当るものですね、その点の認識に欠けるのではないかと私は思うのです。これは私はどうも、大臣がその点をもう少し勉強していただきたいという点でとどめたいと思います。
社会教育局長にお尋ねしたいんですが、先ほど来この社会教育主事の問題が出ていますけれども、一体その各地方、各地域からですね、いろいろなその要求があると思いますよ。確かに社会教育のいろいろな行政組織も、いろいろな財政的な面も不十分な点がある。特にそういう点で何を作ってくれという要求が一番今多いか。これはあなた方の方でこうしたら、その先ほど来繰り返される官僚的な教育統制ができるということではなくて、一体末端の地域からどういう要求がこの社会教育の場の中では出ているか。まずその点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/65
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066・福田繁
○政府委員(福田繁君) これはいろいろあると思いますが私どもはよく地方に参りましていろいろ聞きますのは、もちろん公民館の問題もその一つでございます。公民館に対してやはり施設、設備を充実してもらいたいというのが、これはもう公民館関係の人たちの非常に熱望するところであります。同時にまたその公民館を運営しておりますところの職員の待遇向上もはかってもらいたい、こういうのが希望でございます。
同時に、その公民館関係ばかりではなく、いろいろな要求があります。たとえば青年学級を充実してもらいたいとか、そういう要求もございますが、そのほかに地方におきましてはやはりいろいろな社会教育関係団体の事業を実施する場合に、公けの機関から助成の道が開かれるようにしてもらいたい。こういうような希望が非常に強いのでございます。まだいろいろあると思いますが、大体そういう今申し上げたような三点が中心ではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/66
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067・坂本昭
○坂本昭君 局長は確かに現地を見ておられるから、公民館の要求の強いということは十分御確認しておられると思うのです。実際はこの最近、全国的に公民館というものはかなりりっぱなものが地域にできています。できているところがともすれば建物だけあって、何といいますか、まあ開店休業というと少し言葉は悪いですけれども、そういう傾向はあるんですよ。そしてまた、今のような財政的な援助をしてもらいたいというけれども、その財政的な援助については、この施設についての援助が非常に強くて、何も運営について指導やあるいは援助をしてくれという要求はそんなにないと私は思うのです。ともかくそれよりもまず施設、たとえばまあ幻灯などだいぶんできたでしょう。しかし新しいものは、今日では映写機も必要ですし、そういったものについての要求が非常に強い。そしてまた人の面においてはですね、私はこの社会教育主事よりも公民館主事を作ってくれという希望が非常に多いのではないかと思うのです。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/67
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068・福田繁
○政府委員(福田繁君) これは、公民館の主事を置いてもらいたいという希望も、もちろん今申したようにございます。ところが、社会教育主事の設置の問題も、これは以前からずいぶんもう社会教育の場において問題になっておった点でございまして、同時に二人ずつ置いていければ、これはまあ解決するかもしれませんが、私どもとしては、だんだんにやはり社会教育を振興していこうという観点から考えますと、まず順序として社会教育主事を町村に充実して、その後において公民館の職員を充実していきたい、あるいは部分的には並行していけるものもあるかと思いますが、大体そういう考え方で、両方ともこれは充実していかなきゃならないという考え方で進んでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/68
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069・坂本昭
○坂本昭君 社会教育を国民のために充実していくという、そういう基本的な考えに立つならば、われわれも非常にけっこうだと思うのですよ。ところが、実際に今行われている文部省のいろいろな行政措置を見ますというと、もうすでにこの委員が教育主事を、特に文部大臣や教育委員会が教育したところのおし着せを着せたところの教育主事によって何をしようかというような、もうぼつぼつそういう傾向が出ているから、私たちこれは邪推じゃなくて、そういうような教育主事では困るというので、今ここで議論しているわけなんですね。ついこれは一週間ほど前ですが、ある県の青年集会が行われた。そのときにもうすでに、県の教育委員会と、今までは、従来は共催をとっておる。そして昨年あたりは六万円程度の補助金を出している。ところが、今度は条件をつけてきている。つまり教育委員会の考えているその趣旨に合わないような決議方法は絶対しない、してもらったら困る、そういうふうな申し入れがあったために、青年団の方では、そういうことでは困る、各地域から来ておるからいろいろな要求が出ると思う、従ってそういうことでは、そういうような最初から支配を受けたのでは困る。これは、私はある意味では社会教育法の十二条違反だと思うのですよ。十二条違反事項がすでに現われている。すでに現われているところへもってきて、さらに今度は教育委員会が教育するところのそういう主事を設けて、さらに日本の社会教育を充実し発展させようということは非常に私は危険があると思うのですよ。ですから、そういう点で、先ほど来松永さんも指摘されたし、私たちも現にこういうことが行われている上へもってきてさらにそれを法的に強化しよう。だから、そういう点では、これはあくまで十三条の問題も、また今の教育主事の問題も皆さんとしても慎重に扱っていただかなければ、いろいろと誤解を受けざるを得ませんよと、そう言っているのであります。皆さんの方では現にそういうような事項が行われていることについて全然御承知ないのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/69
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070・福田繁
○政府委員(福田繁君) 今のお話はどういう具体的な例か存じませんが、私どもよくそういう話を聞くたびに具体的な問題についていろいろ必要があれば調査いたしております。しかしながら、今まで私どもが経験いたしました限りにおきましては、地方の青年集会等は、従来やはり補助金が県で出せないために共催というような形で従来やっておるのが大多数でございます。従って県の教育委員会が青年団と共催するという立場をとります限りは、やはり共催者の立場というものがございますので、従ってその集会のやり方あるいは内容について共催者としてがまんのできないような事柄があれば、これはやはり教育委員会としては当然に青年の側の方に要求を出すことと存じます。従って共催の場合におきましては、青年の方も、あるいは教育委員会側の方も、どういう誤解があるか存じませんけれども、誤解のないようにやはり十分話し合いをいたしまして、そして従来実施しているのが通例でございます。従って、私は今お話しになりました具体的な事項は存じませんけれども、必ずしも十二条違反の事例だというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/70
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071・坂本昭
○坂本昭君 今の問題はこういう実情なんです。つまり集会の中で県教育委員会の方針に反するような決議はしては困ると、そういう申し入れがあって、青年団としてもそれはちょっとわれわれとしても集会の中でどんな議論が出てくるかわからぬから困る。それに対して県の社会教育委員が調停の立場に立って、そしてこういう案を出したのです。つまり大会の決議は運営委員会で決定をして、全体会でもし県教委の趣旨に反するような決議をするときは、社会教育課は決議より除いてもらう。そして、または決議は大会とは別個に別にして行う、そういう案を社会教育委員が提示したのですね。そこまで教育委員会の顔も立てたわけですね、社会教育委員として。そして、まあ青年には言いたいことを言わせておこう。そして青年たちが何を考え、そして何を望んでおるか、そしてまた言わせることによって教育委員会としてもそういう不満がある、そういう要求があるということをつかむのが教育委員会の任務じゃないかと思うのです。初めからそういうようなことを言ってもらっては困るということを押しつけたんではほんとうの教育はできないと思うのです。せっかく社会教育委員が中に立って、なるほど顔をつぶすであろうから決議をするときには大会とは別にして、離してやったらよかろう、そこまでやって、青年団の方はなるほどそんならそうしましょうと言った、ところが教育委員会の方がそれはいかんと、こういうわけですね。これはあまりにも干渉を加えてはならないということに対して、これは実に干渉がひどきに失すると思うのですが、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/71
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072・福田繁
○政府委員(福田繁君) 私は先ほど申し上げましたように、教育委員会の考え方なり方針というものも確かにあると思います。従って、青年が往々まあ非常に過激なことを言う場合もありますけれども、めちゃくちゃなことでない限りは、教育委員会としてはおっしゃるように十分それを尊重して、事業をやっていくということが望ましいと思いますけれども、やはりそれは両者の話し合いでありますから、共催という立場をとっておる限りは、やはり教育委員会としても、干渉でなくて自分の事業を実施するのでありますから、やはり自分の教育委員会としての方針、考え方というものをそこに打ち出す必要はあるだろう、そういう問題に関連したトラブルじゃないかというように拝聴したのでありますが、まあトラブルを起さないことが私は望ましいと思いますけれども、両者の立場というものが根底から違っておりますと、これはなかなかおっしゃるようにうまくいかないと思います。干渉でなくてむしろそういう立場の問題ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/72
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073・坂本昭
○坂本昭君 だいぶん時間が足りないようですからくどく申しませんけれども、どうも社会教育局長ともあろう方がそういうことではほんとうの社会教育はできませんですよ。立場が違えばこそお互いに話し合って、そしてだんだんお互いの違った立場を協定したり、あるいはよきものをとるのがこれが教育であり、特に社会教育だと思うのですね。それを共催したら一方の面子を立てて一方の言う通りにしなければならんということは、やってはならないということはすでに社会教育法にあるのです。そしてまたそういうような立場をとることによってほんとうに国民が、今、あなたは過激という言葉を使われましたけれども、その過激から救われるのですよ。それを初めからぽんぽん共催はしない、何もしてやらない、そうしたら青年はますます過激になってしまいますよ。社会教育局長ともあろう方がそういう心理学を知らないようでは社会教育はできませんよ私はそういう点は明白に各県の教育委員会に教え、あなた自身がもう少し勉強してもらわないと正しい教育はできていかないと思うのですよ。私は何も自分の政治的な立場を公民館などに主張して押しつけようとは思いません。公民館は、革新政党の意見も保守政党の意見も聞き、一方、青年が過激なことを言えば、青年があれは過激過ぎるという判断によって、だんだん国民自身の意見が変っていくのですよ。私はその点では社会教育局長さん、社会教育の責任者として、まあ行政の責任者だけれども、ある程度やはり教育の精神にも私は徹していただいておらなければ行政はできぬと思うのですが、今のようなことでは、各県の教育委員会に対してあなたがそういうふうな共催する以上はちゃんと教育委員会の筋を通せ、そういうような指示でも出しておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/73
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074・福田繁
○政府委員(福田繁君) 私はそういう意味で申し上げたのではないのでありまして、共催の場合は筋を通せといったような、そういう通牒は別に出しておりません。こういった場合には、今おっしゃるように、いろいろなトラブルが起きないように、青年の立場も考え、また青年の方は教育委員会の立場というものを考え、そうして十分納得のいくように話し合って、円満に事業を実施するというように、私はいつも地方の関係者には申し上げておるわけです。そういった趣旨で私はできるだけやはりけんかをしないで話し合いによっていった方が望ましいということを申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/74
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075・坂本昭
○坂本昭君 けんかをしないで話し合いが望ましいといいますけれども、今の青年集会のときの記録を見るとおもしろいのですよ。あなた方の喜ぶようなことも記録に出ているのです。たとえば勤評には反対だが、休暇闘争には賛成できないという気持が皆の中にできたというような、そういう報告もあるのですよ。いろいろな意見があるのですからね。なるべくトラブルのないようにしていくが、トラブルばかり避けておってもいかぬ、ある程度あってもいい。暴力によるトラブルでなくて言論によるトラブルというものはあってもいい、それがなければ進歩しませんから……。あなたのように何も事なかれで、話し合いで、始めから終りまでそのまま議事進行するようでは、少くとも青年団の集会といえないですよ。私はそういう点では、どうも社会教育の場の局長さんとして認識を新たにいたしましたが、どうかそういう点で、もう時間もありませんから、教育委員会に対してもっと大きな気持で、特に青年団あたりにはいろいろなことを言わせたらいいと思うのです。言わせて発散さした方が皆さん方としても、正しい社会教育の場としての意義を果させる、私はそう思っております。もう時間もありませんから、私はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/75
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076・湯山勇
○湯山勇君 ちょっと資料の要求について……。今、憲法第八十九条の教育の事業についてという福田局長の問いに対する法制局の見解は出ておりますが、よく私は読んでみますと、これは憲法第八十九条にいう教育の事業についてというお尋ねだから、こういう答えが出たと思います。そこでもう一つ大事なのは、公けの支配ということについての法制局の見解、これを、これと同じように求めて出していただかないと、やはり憲法との関連の質問ができにくいと思いますから、これを一つ求めていただいて当委員会にお出しいただきたいと思いますが、これは委員長からお計らい願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/76
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077・相馬助治
○委員長(相馬助治君) ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/77
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078・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/78
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079・湯山勇
○湯山勇君 前回の委員会で文部省から「社会教育の現状」という昭和二十七年度に出たものについていろいろ松永委員から御質問があったわけです。その当時の解釈と今日のこの解釈と違うじゃないかという指摘に対して局長の答弁は、当時とは情勢の変化もあるということをあげて御答弁になっております。そうすると、これを三十二年の二月二十二日にお尋ねになるときに当然私は公けの支配ということについてもお尋ねになったものと思っておったのですけれども、いただいた資料には教育の事業というものについてだけお尋ねになっておりますから、それでは変ったのか変らないのか、あるいはどういう見解をとっているのか、そういう点が不明確ですから、で局長から法制局の方へ正式にこういう照会をしていただいて、それについて前のときと変っていないならないという回答書なら、それでもけっこうですから、そういうものを一応とっていただくということでないと、これとの対照ができないと思うのです。公けの支配と教育の事業という二つの点で非常に重要な問題になるわけですから、そこでこれはぜひ照会していただいて、これと同じような形においてこの委員会に出していただく、それが私は正確な審議をする上においてきわめて重要だと思いますので、これはぜひ委員長においても提出を求められるようにお計らい願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/79
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080・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 今、湯山委員から具体的な内容を付して、手続を必要とする内容を付して資料の要求がございましたが、当局は出すことが可能ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/80
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081・福田繁
○政府委員(福田繁君) 十分研究いたしたいと思いますが、ただ今のお言葉の中で、その前提になりました点で私の申します答弁に間違いがないと確信いたしておりますけれども、何か誤解でもございますと申しわけありませんので一応申し上げておきたいと思います。
憲法の解釈について、情勢の変化によって変ったというようなことは私は申し上げたことはないつもりでございます。ただ、松永委員のいろいろ御質問の中に、社会教育法十三条の条文についていろいろ御指摘がございまして、それについて私が申し上げましたときに、十三条の解釈はこれができた当時からいろいろな見解があったということを申し上げたのです。従って、憲法の問題について申し上げたのではないのでありますから、その点は誤解のないようにお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/81
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082・松永忠二
○松永忠二君 それは湯山委員の言われたことの方が正しいと思うのです。速記をごらんになればわかると思うのです。私、こう書いてあると言っているのは、つまり「青少年団体としての主体性を確保し、自主性を伸ばすことを目的とし、これに対して、政府より補助金を与えることを控えてきた。これは憲法、社会教育法の精神から当然のことであり、補助金によって統制的支配に陥ることを恐れるからであった。」と、こういうふうに私が言いましたならば、それはすでに古いときのことでもあるので、情勢も変って参りましたから、やはりそういう解釈が実際的に必要だというふうに考えられましたので、と言ったので、湯山委員も言われたので、それは特に憲法を取り上げてあなたがおっしゃったわけではないけれども、質問の方はそれに触れた問題でそういうことを言われた。私はやはり湯山委員の言われたのは、憲法の関係で二つのことが重要であることはもう当然のことでありますから、やはり率直に出されていただいて、それでそれを検討させていただくということが非常に必要じゃないかと思うのです。これをできないという理由は私はないと思うので、やはり早急にやっていただいて御回答いただく方がいいのじゃないかというふうに私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/82
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083・中野文門
○中野文門君 ただいまの松永委員の御発言並びに湯山委員の御発言でございますが、要は憲法の内容である公けの支配に関する事柄の、憲法上の解釈を法制局に求める。こういうお話のようでございますが、いずれ当文教委員会の議事の進行その他運営につきましては、本日も散会後理事会があることになっておりますので、そういう席上でやはり関連した話が出ようと思いますが、ただいまの資料要求ということは、これは時間的にも相当かかろうと思いますので、私は本日直ちにでも法制局の都合を伺って、法制局の責任者をこの委員会に出席を求めて、直接疑義のあると申しますか、質問されようとする方からこの席で解明をされる方が、むしろ時間的にもよいのではないか。文部省を通して法制局の意見を聞いて資料を出せという回り道よりも、端的に法制局の責任者を呼んで、この席で疑義を明らかにするということができれば、私は結局それによって目的が達成される。かように思うのですが、これは委員長に私の見解を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/83
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084・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 実は私も今中野委員からお話がありましたようにお運びが願えればその方が幸いだと思うのであります。こちらから要求いたしましても、法制局の方は二十四年の見解と同じだというようなことを申すかもしれませんし、あるいはそれについてさらに補充的な御質問があるかもしれません。あるいはまた何か法制局で出しました際、書面では簡潔に要旨だけ書きますでしょうから、それに対していろいろな疑義等もあるかもしれないと思うのであります。文部省が中に立ちまして、あれはどういう趣旨である、これはどういう趣旨であるということを取り次いでいたしますよりも、むしろ中野委員のお話のありましたようにお運びを願えれば、それの方が私どもとしても好都合だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/84
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085・湯山勇
○湯山勇君 私が申し上げておる趣旨が、よく御理解願えていないことを大へん残念に思うのですが、と申しますのは、手元の資料でごらんいただきましても、社会教育局長の方から法制局の方へ照会したのは、憲法第八十九条にいう教育の事業についてという照会をしております。つまりこれは教育の事業についてということだけで照会して、今まで局長との間に質疑応答を重ねたようないろいろな問題が出てきておるわけです。ところが、憲法の方の制約というのは、もう一つ公けの支配ということがありますので、これは確かにおっしゃるように、初めから法制局をここへ呼んで聞くのであれば、こういうものも要らないし、教育の事業についても、あるいは直接聞くと、それから公けの支配ということについても直接聞く、これは非常に手数もかかりますし、それからこちらでいろいろ研究するのにも非常に不便です。非常に親切にこういう法制局の見解を二つの問題の一方については出しておられるのだから、もう一つについても出していただけば、それについて文部省の意見を聞くことによって、今度法制局に聞く要点がしぼられて参ります。そうすることが、私はこの法案の審議を進めていく上に役に立つと思いますから、そこでそういう見解を出してもらいたい、こういうことであって、初めから法制局を呼んで聞くというなら、これはけっこうなんですけれども、それではかえってこちらの聞くこともまた最初から非常にしろうとくさいことから聞いて、それから聞いた上でまた文部省の見解も聞くと、非常に煩瑣な手数を要すると思いますから、そうやってこれについても一方についても資料を出していただいて、しぼって法制局の見解を聞く、こういうふうに運んでいただきたいというのが私の方の要求の趣旨でございますから、これはそんなに手数もかかる問題ではないし、そうしていただくことの方がこういう憲法上の問題ですから、ただ手ぶらでやることよりも私は明確な議論もできると思いますので、ぜひそうお願いしたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/85
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086・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 中野委員の意見もあることではありますが、今湯山委員からの再度の資料要求ですが、その資料要求には応ずることができますか、できませんか。中野委員はそうおっしゃるけれども、ぜひこういう形だから要求したいと申しておるのですから、返事だけ聞けばよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/86
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087・中野文門
○中野文門君 議事進行ですがね。私、ただいま湯山委員が文部省の意思を誤解しておりやせぬかというようなお言葉があったようですが、私自身誤解をしておらぬつもりです。私自身、とにかく憲法の公けの支配ということについて、文部省社会教育局長から法制局の方へ、この昭和三十二年二月二十二日の憲法八十九条にいう教育の事業についてはというその質問と同じような形式で、憲法上の解明を法制局から回答をとれと、こういうあなたのお言葉であったと思うのです。それは結局最後は、文部省の中で何か意思統一して返事をするというのであれば、これはまた別問題ですが、究極のところ、法制局の法律解釈をその機関を通じてとれというのだから、私は手つとり早くあなたの方で……、文部省としては、いろいろと質問の内容が秩序が立っておりましょうから、ここで一言も……。速記録もあることでございますから。ということは、これはまた文部省に聞かなければわかりませんけれども、今委員長のお尋ねしたような資料が、時間的にどのくらいかかるものか、そういうこともありますけれども、それを抜きにして私は端的に、そういう手続の回り道をすることも必要かもしれませんが、この段階においては、この席にお越しを願って、招致をして、その見解を聞くことが一番手つとり早い、聞こうとする人の御意思が直ちに満足するんではないか、私はこう思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/87
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088・湯山勇
○湯山勇君 中野委員のお話よくわかりました。ただ、これは、こういう非常に微妙な議論になりますと、手元に何もなしでは議論できないと思いますから、確かにおっしゃるように文部省を通してとらなくてもいいと思います。そこで、政府の、法制局の見解を当委員会として、こういう資料として求めていただいて、当委員会に提出をするように、委員長において計らっていただく、これならば文部省を通さないで、直接法制局からこの委員会へこういう資料を出す、こういう計らいをしていただいたのでけっこうです。それは一々ここで聞いて、また同じことを繰り返すよりも能率的ですから、そういう計らいをしていただいたのでけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/88
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089・相馬助治
○委員長(相馬助治君) ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/89
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090・相馬助治
○委員長(相馬助治君) 速記を始めて。質疑中でございまするが、午前はこれをもって休憩に入ります。
午後一時一分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115077X01119590226/90
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