1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十四年三月二十四日(火曜日)
午前十時五十一分開会
—————————————
委員の異動
三月十九日委員大谷瑩潤君辞任につ
き、その補欠として鈴木万平君を議長
において指名した。
三月二十三日委員鈴木万平君辞任につ
き、その補欠として大谷瑩潤君を議長
において指名した。
本日委員榊原亨君及び江田三郎君辞任
につき、その補欠として土田國太郎君
及び棚橋小虎君を議長において指名し
た。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 古池 信三君
理事
大川 光三君
高田なほ子君
宮城タマヨ君
委員
大谷 瑩潤君
小林 英三君
土田國太郎君
野本 品吉君
亀田 得治君
北村 暢君
棚橋 小虎君
辻 武寿君
国務大臣
法 務 大 臣 愛知 揆一君
政府委員
法務政務次官 木島 虎藏君
法務大臣官房司
法法制調査部長 津田 實君
法務省民事局長 平賀 健太君
—————
最高裁判所長官
代理者
(事務総長) 横田 正俊君
最高裁判所長官
代理者
(事務次長) 内藤 頼博君
最高裁判所長官
代理者
(総務局総務課
長) 海部 安昌君
最高裁判所長官
代理者
(人事局長) 守田 直君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
説明員
法務省刑事局参
事官 高橋 勝好君
—————————————
本日の会議に付した案件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
の件
(登記の一元化問題に関する件)
○盛岡地方法務局伊保内出張所庁舎等
新築に関する請願(第四七六号)
○でい酔犯罪者の保安処分法制定促進
等に関する請願(第一三一号)
(第七九〇号)(第八五五号)(第
一〇〇七号)(第一〇六一号)(第
一〇七五号)(第一二九八号)
○でい酔犯罪者の保安処分法制定促進
に関する請願(第九五八号)(第一
〇〇六号)(第一一四六号)
○福岡地方裁判所小倉支部庁舎等建築
促進に関する請願(第三〇六号)
○布施市に大阪地方裁判所支部設置の
請願(第一一四七号)
○裁判官の報酬等に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
○検察官の俸給等に関する法律等の一
部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/0
-
001・古池信三
○委員長(古池信三君) これより本日の法務委員会を開会いたします。
まず最初に検察及び裁判の運営に関する調査といたしまして、亀田委員から登記の一元化に関する調査の要求がございましたからこれを許可いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/1
-
002・亀田得治
○亀田得治君 最初に不動産登記と土地台帳、家屋台帳の一元化ということをやるには、これは当然法律の改正ということが必要になるわけですが、不動産登記法の改正をしておらない現在の段階において、何かそういうものはすでに改正されたような前提に立って、いろいろな行政措置を進められておる、こまかい問題はいろいろあるわけなんですが、この点私は非常に遺憾だと考えております。これは私本日は、当初大臣にまずこの点を聞きたいと言っていたのがそういうことなんですが、そういうやり方ですね、やり方自体が一体正しいと考えておるかどうか、まず局長から一つその点お伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/2
-
003・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) ただいま計画をいたしております登記簿と台帳の一元化につきましては、仰せの通り不動産登記法の改正が必要であるわけでございます。不動産登記法の改正につきましては目下準備を進めております。次の通常国会に御審議を仰ぐ予定にいたしております。ただ現在四月一日から、この一元化を準備いたすわけでございますが、これは現在の台帳を新しい様式に書きかえるというだけの仕事でございまして、昭和三十四年度におきましては、まだ一元化には至らないわけでございます。その手当といたしましては、台帳の様式が変ります関係で、土地台帳法と家屋台帳法のそれぞれの施行細則を改正いたしまして、本年の二月一日から施行いたしておりますので、その施行規則の改正によりまして、台帳の書きかえをやつておる次第でございます。でありますから、昭和三十四年度の段階におきましては、まだ不動産登記法の改正は必要でないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/3
-
004・亀田得治
○亀田得治君 行く行くは、不動産登記法を改正しなければこれはできない仕事なんです。それは民事局自体でも説明されておるように、その点はこれは争いがない。そこに至る一つの手初めとしての仕事にすでに着手しておるわけなんです。そういうことが前提でしょう。家屋台帳なり、土地台帳法というものを廃止して、そうして不動産登記法に一括していく、こういうことが前提になっての、先ほどのような施行法の改正に基く仕事をやつているわけでしよう、それはどうです。つたがっていない問題なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/4
-
005・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) ただいま申し上げましたように、昭和三十四年度に実施いたします台帳の書きかえの仕事は、もちろん一元化ということを前提としたものでございますが、またこの仕事はある程度実際にやつてみませんと一元化をどういうふうぬやるかということについて、細部の点まで決定しかねる点が実はあるわけでございます。何分全国の土地、建物というものは膨大な数に上っております。実際仕事に着手をしてみますというと、いろいろな問題が起つてきはしないか。昭和三十四年度におきましては、ある程度サンプル的に実験をいたしてみまして、その実験の結果を取り入れまして、これならば間違いないというところで、不動産登記法の改正をいたしたい。今の段階でやりますと、場合によりましては腰だめ的な法律ができないとも限りません。正確を期し、円滑な作業の遂行ということを期しますために、万全の措置といたしましてサンプル的に実験をしてみよう。その結果を取り入れて、最終的に法律案を整えたい、そういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/5
-
006・亀田得治
○亀田得治君 これはしかし非常に大きな矛盾がありますね。この不動産登記法に、家屋台帳法なり土地台帳法を、一括してやる。これはもう国民の権利義務と直接大きな関係が出てきますし、そういう大方針がいいとか悪いとか、そういうことがきちつと国会で論議をされてきまって、その上でこの何といいますか、それに至るまでの仕事に少しずつ着手していく、こうならなければいかぬと思うのです。不動産登記法の改正が国会に出されたつて、法務省がいうように通るか通らないか、そのときになってみなければこれはわからない。もしそれが通らないで否決されたらどうするのです。これは単にこういう不動産登記法だけの問題じやなしに、あらゆる私は役所の問題の扱い方として間違いだと思うのです、こういうことをやるのは。非常に大きいいろんな角度からの議論が現に出ているわけですね。そういうことはもちろん法案を正規に出す場合に、多少の手直しはできる余地があると思う。現にあなたも今御答弁の中でおっしゃったように、サンプル的に今年はやつてみたい。しかしそのサンプル的というのは、単なるサンプルじゃないので、一元化をするという前提に立ったこれはサンプルなんです。しかしその前提というのは、まだ国会では承認を受けておらぬわけなんです。そんなことをやつていいのですかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/6
-
007・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 国会の御審議が、一元化の問題について本日のこういうお呼び出しで御質問を受けるわけでございますが、正式のルートといたしましては、昭和三十四年度の予算案の中に、一元化の経費というのが出ております。予算案という形で本年度は国会の御審議を受けることになるわけだと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/7
-
008・亀田得治
○亀田得治君 だから私大臣に御出席を願いたいと思っていた。法律がちゃんとまだ改正もされておらぬ、そういうときに、それに着手する費用というものを取つていいんですか。これはまた国会の審議がごまかされていたら、そんなことは通るものじゃないですよ。それは実際問題としては、よく同じ国会に法律案と予算案と一緒に出てくる場合もあります。同時に並行的に審議していくという場合はあります。しかし予算だけ先に取っちやう、そんなことはこれは私は間違いだと思いますがね。先ほども申し上げたように、法律が否定されたらどうするのです、次の国会で。むだずかいということになりますね。民事局長のお話だと、いやそれは予算案という格好で国会の承認をとってるんだ、これはごまかしですよ。法律を作つて自分の仕事の方向というものをはっきりさせてから予算を取るのがほんとです。しかもそれが何か補助金を増額するとかといったような、方向としては大体わかっておるという問題であれば、これは別です。だけど三つの法律を一つに統合するといったようなことは実に重大な問題なんですからね。罰則もついてくるはずだし、こまかい議論はあとからしますけどね。そんなことは法律を出さんで、私はまあ国会議員が知らぬうちにとは言いませんがね、しかし予算書の中で端つこの方に出ておる費用ですよ。少くともその問題についてそうとっくんだ議論がされない、そういうままの状態で、予算案が通ったから、これは国会で承認されたと考えてやっている、こんな考えは私は許されぬと思うのですよ。法務委員会だけじゃないですよ。どんな場合だつてそうです。民事局長はきわめて理論的な方なんですがね。多少それは私ははっきり言えばごまかしの気味があると思う。そういう予算の取り方は、重大な法律の変更というものをあと回しにして、先に予算を取っちやつたら、国会だつてこれは拘束されますよ、ある意味では。そこをねらつていらつしやるんなら、これは別ですがね。納得いきませんね、そういうことは。予算の形で承認をとるつもりだというのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/8
-
009・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) ただいま私の説明が多少正確を欠いたかもしれないのでございますが、本年度の予算で取りますのは、台帳の移記、移しかえ、台帳の書きかえに要する予算になっておるわけでございまして、ただその台帳の移しかえということは、将来における東京都台帳の一元化ということを前提にしたものであるというわけであります。従いまして予算が通りましても、一元化そのものについて国会が御承認になつたということには、これはもちろん相ならぬわけでございます。ただこの不動産登記法の改正は、改正されました不動産登記法はかりに今回の国会に提出いたすにしましても、これは昭和三十五年四月一日から施行されることになるわけでございまして、仰せの通り今度の国会に不動産登記法の改正案を出すということも一方法であるかとも思うのでございますが、私どもといたしましては、サンプル的に実験をいたしまして、これなら間違いないというところで確実な実態を把握しました上で、最終的に法律案を決定いたしまして御審議を仰いだ方がよりいいのではないかという考えで、今回は不動産登記法の改正案の御審議はお願いしていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/9
-
010・亀田得治
○亀田得治君 法務大臣ちようど来られましたから、予算委員会の関係があるようですから、先に今の問題だけをお聞きしますが、今までの質疑ちょっとお聞きじやなかったから、私から繰り返して一つ大臣の忌憚のない意見を聞いておきたいのですが、問題は、この法務省では台帳と登記簿の一元化という方針をきめておるように私たち聞いておる。それはまだ正式に御説明を聞いたことはありません。聞いたことはありませんが、そういうふうに漏れ聞いておるわけです。そうしてそういう方向を目ざしての台帳書きかえの予算というものを今年五千数百万円要求されておるわけです。ところが、この仕事をずっと進めて行けば、これは当然土地台帳、家屋台帳を廃止して不動産登記法に吸収して行くという大きなこれは法律改正が必要になってくるのです、これは日本の登記制度の大変革になると思うのです。ある意味では、いろいろな権利義務にもこれは直接響いてくる問題です。ところがその法律はこの国会には出ておらぬわけです。そういうことがよくないじゃないかということを今議論しているわけなんです。これは次の通常国会に出す予定だというふうに聞くわけですが、しかし、そういうことに関連した費用を先に一部取つてしまうということは、私は国会の意思というものに対して何か割り切れぬものを考える。意思決定を求める求め方として、こたは法律が多少おくれたつて当然これは通るべきものだといったようなわかり切つたものはいいですよ。法律が通れば。よく法律と予算とを同時に並行的に審議する場合だつてあるわけですから。しかしこれは重大な制度上の変革になるわけです。果してそういう大変革が正しいのかどうかということは、そのこと自体をやはり国会の論議にかけてもらわなければいかぬわけです。それから経費は、もし次の国会でそんな法改正はもう少し慎重にやるべきじゃないかといったようなことで、だめになった場合には大へんな問題になりますね。だから、これは私はもう国会に問題をかけるかけ方としては間違つているのじゃないか、この点だけを、きょう実は法務大臣の御出席を求めたのは、細かい技術的なことはあとにして、これだけ非常に大きな疑問を私は持っておる。これは単にこんな問題だけでなしに、どんな場合でもこういうことをしちやいかぬと思うのですが、その点大臣はどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/10
-
011・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) この台帳と登記簿の一元化ということは、終局において御指摘の通り、これは法律の改正といいますか、制度の改正といたしまして、根本的に御審議を願わなければならない問題であると考えます。それからその三十四年度の問題に限つて申しますと、これは民事局長からお答えしたと思いますけれども、ただいま着手いたしておりますことは、台帳の移しかえでございますから、まあ理屈を申すわけではございませんが、この限りにおいては、私は必ずしも一元化ということが将来制度としてよくないのだというような意思が国会で決定せられたような場合におきましても、必ずしも相矛盾するものではない、これはまあこういうふうに説明が私はできるのではないかと思うのでございまして、今三十四年度でやらんとしておることの内容から申しましても、御案内のように、従来はたとえば台帳の様式が非常に不統一であったというような点、その他を改正するということだけでも相当の私は効果があるのではないかと考えたのでございまして、終局的には私ども一元化がいいと思っておりますけれども、さしむきのところ、やりたい、またやつて参りつつありますことは、必ずしも私は相矛盾するものではない、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/11
-
012・亀田得治
○亀田得治君 じゃ民事局長にちょっとそこを。移しかえ移しかえという言葉で先ほどからおっしゃっておるが、もう少し具体的にいってどんなことをされるのです。この五千数百万円の金は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/12
-
013・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 御承知の通り、現在の台帳は昭和二十五年に税務署から法務省の出先機関であります法務局が移管を受けたものでございまして、この台帳は、従来その税務署時代に過去数次にわたりまして様式の改正が行われておりまして、様式が幾種類かに分れております。それから当時は、課税台帳でございまして、不動産の現況把握という点に必ずしも重点が置かれていなかった時代であります。そういう関係で記載もまちまちでありますし、それからまあ課税台帳としてさんざん使い古されておる関係で、中にはぼろぼろになっておるものもある。それから大福帳式の帳簿でございまして、台帳だけをとつて見ましても、改正の必要に迫られている台帳が相当多数に上っておる次第であります。新しい様式の用紙に、現在現に生きている台帳の記載を移しかえる、不動産の表示を移しかえるということでございます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/13
-
014・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、これは確かめておきますが、現在の台帳で完備しているものはそのまま同じものを作るのですか。それを登記簿と関連させるような仕事は何もないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/14
-
015・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 現在の台帳の記載を新しい様式の用紙に書き移す、移しかえるというだけの作業で、ただ将来の問題としては、やがてはそれが登記簿の中へ入りまして、登記簿と一元化、一体にはなりますけれども、現在の段階では台帳を新しい様式の用紙に移しかえて改正をする、それだけの作業でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/15
-
016・亀田得治
○亀田得治君 それが基礎になって、一元化の際に予定されておる表題部のところへそれが移つていくのでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/16
-
017・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) その通りでございます。現在の台帳もこれをそのままいきなり登記簿の中へはさみ込みまして、一元化するということも理屈の上では不可能ではないのでありますけれども、先ほど申し上げましたように、様式はまちまちでありますし、課税台帳としてさんざん使い古されてきたなくなっておりまして、どうも登記簿の中にはさみ込むにはすこぶる不適当だというので、新しい用紙に台帳を書き移しまして、新しい台帳にした上で登記簿一本にしよう、そういう構想でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/17
-
018・亀田得治
○亀田得治君 それじや私がやはり申し上げた通りじゃないですか。それはなるほど台帳の移しかえということは一応言えるかもしれぬけれども、それは後の登記簿に関連させてやられていくわけです。例が適切かどうかわかりませんが、それは犯罪でいえばすでに実行に着手している。物を取るか取らぬか、取るまでは差しつかえないなんてだれも考えやせぬ。専門家にこの例ははなはだ失礼かもしれませんが、私はそういう意味で、すでに関連性をもって一連の仕事としてこれはやられておるのであつて、こんなことを形式的に否定されても、私は否定する方がちょっとおかしいと思うのです。だからそういうことなら大胆率直に一。やはり多少実験をしてみるのだとか何だとか言わずに、私は一つの制度についていろいろな審議会等で議論する余地はあつても、実験をしてみるというのはちょっとおかしいです、そういう言い方が。実験せんだつて、あなたの方でどういう場合にはどうなるといったようなことは大体予想がつくわけなんです。だからそういうあいまいな表現を用いてはちょっと納得できないのであつて、関連しておることは、これははっきりしているんですから、だからそれなら、私はやはりこの仕事はしばらくストツプしてもらって、そうして法務省の構想というものをはっきり出してもらつて、そうしてそれに基いてやはり法律の改正案というものを出してもらつて、そこで大いに議論すべきだと思う。きまつた後にしてもらわなければならないと思う。こういう問題に気がついた以上は、どうも君たちのような専門家が法務委員会にいてほつといたのかとあとから言われてはまことに相済まぬですからね。つまりそういう扱いにしてもらわぬと、これは筋が通らぬと思うのですよ。法務大臣どうですかね。私ども納得いかぬのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/18
-
019・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 御質疑を伺つておりますと、ごもっともの点が多多あると思います。しかし私は、御案内のようにしろうとでございますので、この問題についても台帳とか登記簿、それからそれの扱い方なども時間のある限り現場を見ておりますけれども、今民事局長が専門的に申し上げましたが、何しろ台帳というものも、御承知のようにもうとてもよごれたり、また統一を欠いたり、何しろ途中で引き継いだものでありますから、私は少くとも先ほど申しましたように、台帳を移しかえて、これをきれいなものにすると、能率化するということだけでも、私はもう相当の効果があるのじゃないかと、自分でも乏しい経験でございますが、実地を見ましてそういう結論を得たわけでございます。しかし同時に、これは登記簿と台帳の一元化についてどう考えるかというお尋ねになりますと、まあ率直に申し上げるのでありますが、私は一元化することがいいと思っておるのでありまして、将来一元化を、法制的にもその他整備することを予想いたしておりますから、今犯罪の例を引いて御意見がございましたが、そういう場合にも非常に役立つ、しかしこれだけをとつて考えていただいても、これは決して悪いことではない、いいことであるというふうに考えて、まあ観念的にしいていえば別個の扱いにしていただくことができるのではないか。しかし一元化はぜひやりたいことである。こう考えておるわけでございまして、非常にざつくばらんに申し上げると、そういう私は考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/19
-
020・亀田得治
○亀田得治君 この基本方針を、法務省が一つ持っていて、その基本方針を、持つた法律というものがあとから出てくる、この点私は正常じゃないと思うのですがね。民事局長は先ほど予算という格好で基本方針の承認を求めるような発言をされたのですが、これは私は重大だと思っているのです。こんなことを各省がやられたら、国会議員はたまつたものじゃないですよ。法務大臣、そんなお考えで五千数百万円というものをすつと出されたのですか。普通に見ておつたら、予算書で見ておつたら気がつかないですよ。それで国会の承認を一元化問題について得たというつもりでお出しになっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/20
-
021・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 五千八百万日の予算を予算に計上してあるということによって、一元化についての御承認を得たいという気持ではないのでありまして、これはあくまでも台帳の整備ということに必要な予算でございます。ですからもっと率直に申せば、将来一元化ということは国会の御意思としていかぬのだという万一そういうよりな御決定になりました場合においても、この台帳の整備ということは、私どもの立場から言えばぜひやらしていただかなければならぬ、こういうように考えておりますので、今予算をお願いしたからというので、一元化についてこれで御承認を得たというふうには私考えるべきじゃないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/21
-
022・亀田得治
○亀田得治君 大臣のその御答弁なら私了解できます。それならこの五千数百万円で仕事に着手されようとしておる台帳の移しかえ、整備といいますか、これは担当を、やつぱり独立して意味があることですから、私もまた考え方を相当変えていいわけです。そして、これならばこの台帳の整備それ自体をもう少しこれから検討してみたいと思うのです。仕事は着手するわけですから、これはわれわれもいろいろ意見を持っておるし、整備しなければならぬと思っているのですよ。で、その際にまあいろいろ問題がありますが、法務省がおやりになるのは、先ほどからのお話を聞いておると、様式が統一されておらなかったり、古過ぎるような帳簿があったりいろいろするので、それをぴしっと一定したい、こういうお話ですけれども、それも必要です、やってもらいたいと思うのだが、私は一番大事なのは台帳が現実と合うことだと思うのです。ともかく日本全体の不動産が台帳の中に正確に表現されてくるということです。私はそういう仕事に法務省が取りかかれば、それだけで大きな仕事になると思う。また必要なことなのです。これが登記簿と現実が合わない、台帳を持ってこい、台帳を持ってきたら、これも合わない、これが現実です。単なる移しかえでなしに、その台帳自体がそういう乱雑で困っているから、それを整備するというところに着目されるのなら、私は思い切ってもっと徹底的なやり方を、台帳問題自体と一つ取組んでほしいと思う。こまかいやり方はいろいろ問題が出てきましょうが、費用の問題なり人員の問題が出てきますが、大臣としては、その点の御意見はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/22
-
023・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) これも全くごもっともなお考えでありまして、いわゆる実態の調査ということに相当の重きを加えませんと、おっしゃるようないろいろの問題がさらに継続して残ると思いまして、この実態の調査につきましては、台帳の移しかえと相並行して現在の機構や予算の中でなし得る限りのことをやって参りたい。しかし同時に、何しろ人員につきましても十分ではございませんし、その他予算措置や施設等についても十分とは申せない現状でございますから、職員の過重負担になるというようなことは、これは同時に避けていかなければなりませんので、漸を追ってただいま御指摘のありましたような点の努力を新たにして参りたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/23
-
024・亀田得治
○亀田得治君 一元化をしようということの提案理由なんかも、私たちある程度了承する点もあるのですけれども、実際の私たちがいろいろな問題を扱ってみて不便を感じているのは、実態を反映しているものがないということなんです。で、そういう点が繁雑なまま一元化なんてやってごらんなさい、一元化されたものが、これがまた実態を反映しておらぬですよ。いやそれはもう逐次時間をかけて、問題が起るたびに訂正していくのだとかというお考えかもしれませんが、とてもそんなことは計画通り行くものではありません。だから、私たちの希望したいのは、そういう台帳の整備ということをしっかりやってもらって、その後においてまた一元化の問題を大いに議論する、こういうことでないと、不完全なものを、土台を不完全にしておいて、しょっちゅう制度をいじくっておるからよけいややこしくなる。私は一元化されたって、されたものが実態に合わぬものですから、必ずとても今のままでは合うものじゃありませんから、合わぬものですから、結局一元化の前の書類はどうやっていくとか何とかいって、よけい乱雑になりますよ。この辺は理論的にも実際面からもよく検討してやってもらいませんと、さあ手をつけた、半分ほどやった以上おしまいまでやらなければいかぬというようなことになつちゃ大へんなものですからね、筆数というものは。だから私の一番希望したいのは、むしろ台帳のほんとうの意味の整備、移しかえもやると同時に規格も統一してもらった方がいいのですけれども、しかし同時に一種の国土調査ぐらいやるつもりできっちりやはりこれはやらなければいかぬものですから、それをやってもらいたい。そういう重大な点は、法務大臣手をつける考えがないですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/24
-
025・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) これは全くおっしゃる通りなんでありまして、その実態の調査ということが必要というより、それが基本であるということはもうお説の通りなのであります。そこで先ほど申し上げたような気持で、この一元化とか書きかえとかいうことと同時に並行的に、常時実態調査については遺憾なくやって参りたいのでありますが、ただいまも御指摘がございました通り、土地の筆数にしても二億ですかの筆数がある。それから建物にいたしましても二千万戸というような状態でございますから、この実態調査を一拳にここ一年なり二年にやるということは不可能なことなのでありまして、かすに相当の時日をもってしなければ完璧は期し得ないと思うのであります。
それからもう一つは、これも御案内の通り、昭和四十一年の四月からメートル法が実施されるというような、これも期限を切っての問題があるものでありますから、それにも即応して、そのときにメートル法の完全実施に台帳や登記簿の方が間に合わなくなるというようなことがあってはいけない。そういう点からいっても台帳の移しかえ、あるいは方針としての一元化ということもこの際進めることによって、これに対応する方策もおのずから生まれてくるのではないか、こういうふうに考えておるわけでありまして、やらなければならぬことが、まあ目の前に山積しておる。そうしてこれをどうやってやっていくかということについては、ほんとうに私どもも頭を悩ましておるわけでございます。それから先般も、実際その衝に当って第一線で非常に苦労をしておる人たちの意見もいろいろざっくばらんに聞いてみたのでありますが、ただいま御指摘のような点は非常にこれらの諸君も心配しておるわけでございます。今後十分第一線人たちの意見も聞きながら、まあ私たちの考え方を一つ一つ片づけて軌道に乗せていきたい、これを念願にして、ほんとうにこれは苦労の多いじみな仕事でありまして、あまり一般的には注目されないだけに、私どもはもちろんでございますが、第一線の諸君が非常にこれは苦労の多い問題でございまして、ただいまいろいろお話しになりましたようなことは一々ごもっともでございますが、これを何とか私どもの仕事の上にそのお気持を取り入れていきたい。しかし、元へ戻るようでありますが、何しろ今のところとしては一台帳の整理をしたい、移し書きを早くやりたい、それが将来の一元化という一ことに非常に役立ち、またメートル法、の実施等にも間に合うようになる。あ、わせてまた実態の調査というようなこ一とを、あらためてその必要性というものが非常に強く認識される。ここで洗、いざらい問題を取り上げて、要領よくこなしていかなければならない、こういう段階であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/25
-
026・亀田得治
○亀田得治君 予算委員会から呼びに来ておるようですから、簡単にもう一つだけ申し上げておきますが、これはもう大臣には大きな立場から考えてほしいのですよ。メートル法の関係も私は考えておるのです、これはもう大へんなものであると実は考えておるのです。ところがその台帳をただ移しかえる程度で、間違った実態と合わないものをメートル法の中に換算して、これは私はもうますます将来に禍根を残すと思うのです。私はそれよりもメートル法の施行を不動産に対してやるのを四十一年の四月一日からとなっているが、場合によっては多少二、三年、四、五年は延びてもいいから、むしろその実態調査をはっきりやってもらって、これは法務省の人員の増員とかいろいろなことをやらなければしょうがないのですよ。そうして実態調査をやって、同時に私はメートル法の換算も並行してやっていってもらいたい。それをやらずに中途半端なことではだめなんで、仕事が実は三つあるわけです、メートル法を入れたら。そんなことを軽率にやられてはもう大へんなものです。それをやっておるうちに、それじゃその台帳と登記簿の統一がいいのか悪いのか。現在では登記簿の方は取引の関係だけになっていますが、むしろそっちの方はそっちとして簡単に処理できるように残しておいた方がいいのではないか。不動産の取引なんていうものは、だんだんこれはやはり社会の進歩に従って激しくなりますから、むしろそっちはそっちとして、やっぱり今の原則自体がいいんだ。しかし実態を見たかったら、しっかりした、しかもメートル法にちゃんと換算された台帳がここにありますよ、こういうふうにしたらやはり実際に適するのじゃないかとか、いろいろな議論を私はやったらいいと思う。いやそうじゃない、そこまできたら整備された台帳をすぐ登記簿の表題部へはめ込んだらいいんだから、そうしたらいいじゃないかという議論になるかもしれぬし、元を整理しないでやるところにいろいろな誤解なり、憶測なり、またやろうとする方にも実は無理がある。
次に、これはここで簡単に結論があるいは出ないかもしれませんがね。メートル法のことを今おっしゃったから、私も実はそれを考えて言っているのであって、そういう問題があるからこそ、なお一そう実態の把握をしっかりやってもらいたい、これは要望しておきますからね。一つ十分研究して下さい。そんなものは社会党の問題でも何でもない。私ども法律専門家としてのこれは意見なんですから、あとこまかいことは一つ局長と課長にお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/26
-
027・古池信三
○委員長(古池信三君) 亀田委員に申し上げますが、法務大臣は退席されてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/27
-
028・亀田得治
○亀田得治君 けっこうです。それでは、あと若干各論的なことになるかもしれませんが、お聞きしますが、この台帳の整理に取りかかられるわけですが、この人員の関係ですね。これは何人くらいの人が、何人といいますかね、そういう仕事が新たにふえるわけですが、どういうふうな陣容でおやりになるのですか。従来も登記関係の諸君はずっと忙しい思いをしているわけですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/28
-
029・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 昭和三十四年に実施いたしますこの移しかえの仕事は、先ほど大臣からお話がございましたように土地二億程度で、建物二千万戸のうち五%だけにつきまして移しかえをやるわけであります。ごく一部分について移しかえをやるわけでございまして、そのために特に法務局の職員の増員ということは必要じゃないと考えておりまして、予算の要求にも増員ということは掲げていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/29
-
030・亀田得治
○亀田得治君 それは、増員は要求はしなかったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/30
-
031・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 最近この登記事件が非常にふえておりますので、増員の要求はこの一元化の関係だけじゃなくて、全般的に人員が不足しております関係で増員の要求はいたしましたけれども、これは不幸にして認められませんでした。この三十四年度に実施します移しかえの事業のためには、現在の法務局の職員の超過勤務、それから外部から雇い入れました臨時雇の賃金、これでまかなっていく、それからなお全国の登記所を一斉に移しかえをやるわけじゃございませんので、隣接の登記所から職員を応援に出しましてこの仕事をやっていく、要するに、この移しかえの仕事についての手当としましては、職員の超過勤務、賃金、それから他の登記所からの事務応援、この三つの方法で処理していこうという、そういう計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/31
-
032・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、法務省が当初考えたよりも非常に窮屈な陣容でやるということになると思うんです。なかなかそういうことでは、現在の台帳法で認められておるような実態調査なんというものはできないでしょうし、ほんとうにあまり大した仕事になりませんな。先ほどの私は大臣の答弁を前提にするんですよ。大臣の答弁は、もう移しかえしたいということで一つこの段階では考えている、こういう意味だから、私はまあそういう前提でお聞きするのですがね。大した仕事じゃないですね。職員を過労させたりいろいろなことをやって、しかも実態は何も前進するわけじゃない。きたないものをきれいに清書するというだけです。これは民事局長が直接の部署の責任者ですがね。あまり意味がないんじゃないですか。そうして職員にまで恨まれて……。もう大分これはひどいことになるなといって心配しています。この前の税務署から台帳を法務省が引き継いだときのことをみんなまだ忘れていませんからね。大へんなことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/32
-
033・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 私ども亀田委員の御意見とは全く反対に、先ほど大臣も仰せられましたように、移しかえだけでも非常に意義あることだと思っておりまして、現在台帳は非常に取扱いが不便なのであります。用紙はボロボロになっておりますし、様式は不統一で、新しい紙で現在の記載内容を移しかえるだけでも非常に意味のあることで、これが移しかえができただけでも、登記所の職員が非常に助かる。書きかえの作業のときはちょっとこれは超過勤務をやったりなどということはありますけれども、それができ上りました暁においては、ましてこの一元化が完成しました暁においては、現在の二重の手間をとっておるのが一ぺんに済むということを考えますと、非常な事務の簡素化、引いては職員の負担の軽減にもなるものと私ども考えておりまして、非常に意義のあることだと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/33
-
034・亀田得治
○亀田得治君 私は一元化を前提としないで話しているのです。これは大臣の答弁の方が局長より優先するはずですからね。だから単なる移しかえ、こういうことなら、ほんとうにきたなくて見にくいとか、ボロボロのやつだけを補充的に清書しておいたらどうですかね。根本的には先ほど申し上げたような、もっと大がかりな事業として、大蔵省にも十分納得さしてやるべき問題ですよ、これは根本的には。それまでのつなぎの仕事であれば、ほんとうにボロボロで見にくいもの、そういうものだけで私はけっこうだと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/34
-
035・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 繰り返し申し上げますように、現在の台帳というのが、もう様式が数回変っておりますか紙の型もでこぼこがございますし、それも特にボロボロになっているものだけということをやりますと、用紙が不ぞろいになりますし、紙質もまちまちになりますし、取り扱いに非常に不便なものになるわけであります。私どもとしましても、予算節約のためにほんとうに、悪くなっているものだけということも一応考えたのでございますが、実際台帳の現実というものを見てみますと、そういうことでは間に合わないのが、実情でございます。多少手間はかかりますけれども、台帳の記載全部をやはり新しい規格の、新しいよい紙質の用紙に書きかえるということにしないと、目的を達しないと思うのでございます。私が先ほど申しましたように、この台帳をこういうふうに書きかえるというだけでも、登記所職員にとりまして、非常に取扱いが便利になるわけであります。まして、これは一元化を前提——将来の仕事として引き継いでやる予定でおります。もしその一元化が完了しますれば、さらに一段と効果を発揮するということを先ほど申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/35
-
036・亀田得治
○亀田得治君 それは局長は自分が直接の責任者だからね、この仕事の。そういうふうに言わなければならぬでしょうが、これはよく一つもっと根本的な検討をやってほしいんですよ、七年が十年になってもいいですよ。こういう仕事はほんとうの国土調査といったような角度でやらなければならぬ。不完全なものばかり幾らよけい作ったって何にもならない。それでこの超過勤務の費用というのは、この五千数百万円の予算の中で幾ら見積ってあるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/36
-
037・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 約四百五十万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/37
-
038・亀田得治
○亀田得治君 少いですな。これは実際に予算上の超過勤務の時間と実際の超過勤務との食い違いができた場合に、実際に応じて支払いするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/38
-
039・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 先ほど申し上げましたように、全国的に見ますと、この一部の登記所におきまして、この移しかえの作業をやるわけでございまして、東京であるとか大阪であるとか、平常の業務のために現に超過勤務をやっておると、そういう忙しいところには超過勤務を持ってくることはかなりこれは無理でございまして、超過勤務はむしろ平常業務が時間内に十分やっていけるというところで一日おきぐらいに一時間ずつの超過勤務と、これはもう少し計数的にこまかく検討してみる必要がございますけれども、無理のいかない程度で超過勤務をやらせようというわけで、そういう忙しいところはどうしても外部から臨時雇いを入れまして、賃金で処理していくということになっています。そういう関係で、四百五十万円というといかにも少いようでございますけれども、この一元化のこの移しかえの作業のための超過勤務につきましては、実際超通勤務をした時間に対応しまして、百パーセント超過勤務手当が出せるようにということで、予算の執行につきまして目下計画を立てておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/39
-
040・亀田得治
○亀田得治君 まあこの点だけちょっと念を押しておきたいんですが、あなたの方で五%だけ本年は仕事をやっていく、こう言うておるわけですから、その五%分をするには、目標とされた場所において、初めは一間時ずつやっておったが、終りの方になったら一時間半とか、それくらいでないとどうも間に合わぬのである、そういうふうなことになった際に職員の方が、では一時間半超過勤務をやろうということになったとして必ず一時間半分のものは払うのか、当初の予算で間に合わぬ場合には必ず内部操作をやってこれを払っていく、そういうはっきりとした方針なのか、そこをちょっと念を押しておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/40
-
041・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) その点につきましては、超過勤務の時間の実績に応じまして、百パーセント超過勤務手当が出せるようにいたしたいということで計画を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/41
-
042・亀田得治
○亀田得治君 この一元化のことは、あまり私、実はこの段階では質問したくないわけなんですが、しかし、いろいろ、第三課長なんかもあっちこっちで構想を述べておられますから、こっちも関心を持たざるを得ないわけなんです。そういうことで一、二点お聞きしておくのですが、罰則というものの範囲、台帳と不動産登記簿が統一された場合の罰則の範囲、そういうことは大体どういう程度にお考えになっているか。もちろん、これは法案が最終的に出されるまでに、まだまだ検討の余地がある問題だと思いますが、一応の何か構想等を持っておるならお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/42
-
043・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 現在の台帳の制度におきましては、職権で調査をしまして、台帳の記載をするという建前になっておりますので、職員が土地建物の検査をしようとする場合におきまして、それを拒む、あるいは妨げる、忌避するという者に対しては、刑事の懲役、罰金という罰則が規定してございますし、それから土地建物の現況に変更を生じました場合には、申告の義務が課されておりますが、その申告の義務を怠りますと、過料の制裁が規定してあるわけでございます。これはやはり不動産の現況を把握するための手段としてこういう罰則があるのでございまして、これは土地台帳法、家屋台帳法が廃止されまして、不動産登記法一本になったにしましても、不動産の現況把握のためには、やはりそういう制度が必要になるわけでありまして、現在の構想におきましては、この罰則の制度は不動産登記法の中にとり入れられることになろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/43
-
044・亀田得治
○亀田得治君 こういうふうに承わっておいていいですか。現在の台帳法で規定されておる罰則、それをさらに拡張するようなことはない、罰則適用範囲を。そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/44
-
045・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) それは、現在の段階におきましては確定的なことは申し上げられませんが、大体現在の構想におきましては、現在の台帳法の罰則の規定を大体そのまま不動産登記法に移したらいいのではないかというふうに、現在の段階では考えております。これを拡張するということは、今のところ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/45
-
046・亀田得治
○亀田得治君 これはまあ三つの法律が一つになるものですから、拡張する気持がなくても、法文の作り方によって、何か拡張されたような結果になることがありますね、よく。そういう考えはないということなら、一応そういうことで承わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/46
-
047・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) これはただいまの構想でございまして、なお現在の罰則の運用なんかにも考えまして、あるいはさらに強化する必要があるという場合も生じないとは限りませんけれども、そういう次第で、現在の段階では確定的なことは申し上げることができないのでございます。今の構想では、大体この罰則をそのまま不動産登記法の中に移したらいいのではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/47
-
048・亀田得治
○亀田得治君 しかし、この点はそのときにもまた議論をしたいと思っているのですが、実際は、現在の台帳法の罰則というのは有名無実ですね。有名無実の理由は、その登記所の職員が、調査とか、そういうことは実際上できないわけですね。人員の関係から言っても実際上できておらぬわけです。従って、これは有名無実になっておる。だから、罰則によって、何といいますか、新しく予想される一元化の制度を守っていこう、これは、私はあまりそういうところへ重点を置くことは間違いだと思う。それよりももっと、法律で規定されておる登記所の職員が実態把握ができるようないろいろな裏、つけですね、これが大事なんです。これが、間違った登記をして、そんなに青んでいる人もない、根本的には。だから、あまり罰則なんかに重点を置くことは、まあこれも課題として研究してほしいですな。こういう意見を持っておる者があるということを。確定案として皆さんのもとにはまだないわけですからね。もう一つは、職域の関係の問題ですが、今まで登記簿の扱いは司法書士がやっておる。これも何か私たちの聞く情報では、調査士がそれを扱う、こういうふうなことも聞くんです。これはいろいろ聞くわけですがね、真相は一体どういうふうなところにきておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/48
-
049・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) その点につきましては、現在の制度から申しますと、台帳の関係で、土地家屋の調査であるとか、測量であるとか、申告であるとかいうのは、土地家屋調査士の業務になっておるのであります。不動産登記の関係では、登記の方の申請は、これは司法書士の業務になっておるわけでございます。これが一元化の暁の問題でございますが、一元化いたしますと、現在では台帳の申告ということが不動産登記法に移って参りまして、登記の申請ということになってくるわけでございます。その関係で、従来台帳の申告に相当しておりましたところの登記の申請、これを土地家屋調査士の業務範囲とするか、司法書士の業務範囲とするか、ということについて、仰せの通り、これは問題があるわけでございます。そういう点もございますので、実は不動産登記法の改正ということは、次の通常国会に提案いたしたいということにした事情もあるのでございますが、この点につきましては、なお検討を要する問題がございまいますので、目下私どもの方におきまして、この業務、職域の範囲をどうしようかということで、細目の検討をいたしておりまして、今日のところ、まだ最終的に結論は出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/49
-
050・亀田得治
○亀田得治君 これは扱い方を間違いますと、相当やっぱり問題が起きてくると思う。調査士法を作るときには、やはり調査士というものは現況を明らかにするのだ、これが中心の考えであったわけですからね。一極の技術者的なものです。ところが、実際は、現況はあまり明らかにしておらぬ。そういう問題になると、また当初法務大臣と議論したような問題に入っていくわけですが、私はやはり、現状では、あまり一元化ということを急がないで、調査士の人たちももっと働いてもらう。また登記所にも全然そういう技術面の人がおらぬわけですがな。今の登登記所は行政機関よりも貧弱です。そういう点で、台帳における現況把握はもっと充実をはかって、調査士の仕事はしっかりやってもらう。ですから現在の調査士でも足らぬのです。ほんとうに法務省がその仕事をやるのなら、それは十分そこで職域の問題は片づくし、問題は起らぬわけですがな。そういうことなら現状のままでしばらくいけるわけですから、司法書士の方からのいろいろの言い分等も出てこない。それから不幸にしてそういう一元化の方向に進むにしても、統一してしまえばやはり現況把握と同時に権利関係の移動というものが一つの帳簿で処理されることになるわけですね。その場合に、どっちを重く見るかということから、これは司法書士と調査士のどこに仕事を配付するかということが出てくるのです。で、あまりはっきりした結論が出ておらぬようでありますが、やはりこの現況の関係は一度確定してしまえば一応格好がつくわけですね、もとが確定してしまえば。その後はやはりいろんな権利関係、これがやっぱり問題です。だから一通り物権法なりあるいは相続法なり、そういったようなものがわかっておる司法書士の方が扱っていくということが、筋が通るように私は思うんですがね。一元化されればやはり比重というものはそこにかかってこなければならないという感じを持っているわけです。それじゃ司法書士はあまり技術者でないから現況把握の点で非常に欠けるものが出てくるではないかという議論も出るかもしれぬが、それは何か調査士に調査の仕事をやってもらって、たとえば調査士が調査の結果に基いて証明書をつけるとか、そうして司法書士に渡せば、それに基い填登記法上の手続は司法書士がやるということにすれば、事務の混淆ということは私は起らないと思う、明確になると思う。だからどっちか一本にやらす——どっちかでなしに、伝え聞くところによると、新しい登記簿の表題部の方は調査士がやるというふうな意見等を聞くのですが、これは私はいろいろの間違いが起ってくると思うので、その場合には、調査士自体に相当法律的な知識がなければいかぬ。ほんとうにそれはまだきまっていないんですか。ちょいちょい局長や課長があっちこっちでしゃべるのがだいぶ波紋を呼んでいるがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/50
-
051・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) この表題部の登記の申請はどっちの職域にするかということは、正直のところまだきめておりません。しかし、根本は、今、亀田委員仰せられますように、不動産の権利関係の変動に関する登記の申請は、これは現在でも司法書士だけは代理できるということになっております。これは将来一元化ができました暁においても、これは司法書士の職域の範囲であることは間違ないと思います。それから不動産の現状把握、ことに不動産の土地の測量なんかは、これは調査士の職域であることは当然である。それから測量の結果に基く地図の作成、これなんかも調査士の職域であることは間違いないところであると思います。ただ、現在では台帳の申告——現行制度のもとでは、台帳の関係では台帳の申告がなされます。それから登記の関係では表題部、たとえば地籍の変更、分筆、合筆というような、表題部に関係のある登記の申請、これは登記の申請ということで司法書士の職域に属しているわけでございますが、この台帳の申告と表題部に関する登記の申請というものが、一元化をいたしますと、一本になるわけで、土地家屋調査士もできる、司法書士もできると、かち合うわけでございまして、そこを何とか合理的な配分ということをしなくちゃならぬということが、必然的に起ってくるわけでございまして、根本の方向というのは、これは今、亀田委員も仰せのように明らかでありますが、その細部の点におきましては、なお検討をいたしたい。それからそれを最終的にきめますにつきましては、司法書士、土地家屋調査士、それぞれ連合会というものがございますので、十分両者の御意見も伺った上できめたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/51
-
052・亀田得治
○亀田得治君 大体この程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/52
-
053・古池信三
○委員長(古池信三君) 本件に関する調査は、本日は、この程度にとどめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/53
-
054・古池信三
○委員長(古池信三君) 次に、請願案件の審査を進めたいと存じます。まず請願四百七十六号を議題にいたします。専門員に説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/54
-
055・西村高兄
○専門員(西村高兄君) 請願四百七十六号は、盛岡の地方法務局伊保内出張所庁舎等新築に関する請願でございまして、岩手県九戸郡九戸村長が請願者であり、千田先生の御紹介でございます。
その内容は、盛岡地方法務局伊保内出張所の庁舎が建築後相当年数を経過しておりますため腐朽はなはだしく、かつ雨漏り等によりまして、事務の執行はむろんのこと、重要書類の保存にも支障がある現状であるから、同出張所の事務所、住宅につきましては村が措置をいたしますので、倉庫につきましてこれを国庫ですみやかに新築されたいということでございます。ただいま請願課の方から回っております印刷されました文書表によりますと、「特に倉庫は国において昭和三十三年度に新築せられたい」という趣旨が記載されておりますけれども、このことにつきまして、紹介議員の千田先生を通しまして請願者の真意を問うたわけでございます。これはやはりただいま申し上げましたように、三十三年度に限定しませんで、なるべく国庫においてすみやかに新築されたいという趣旨のごときものでございますので、そういう趣旨におとりいただいて御審議いただければけっこうであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/55
-
056・古池信三
○委員長(古池信三君) 本件の請願につきまして、御質疑並びに御意見のおありの方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/56
-
057・大川光三
○大川光三君 ただいまの請願四百七十六号は、この願意おおむね相当と認めますから、採択してしかるべきと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/57
-
058・古池信三
○委員長(古池信三君) 本件採択に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/58
-
059・古池信三
○委員長(古池信三君) 御異議ないと認めます。それでは本件は採択することに決しました。
なお、本件について政府当局の御意見を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/59
-
060・平賀健太
○政府委員(平賀健太君) 伊保内出張所は、これはかなり老朽庁舎でございまして、新営を考えておる次第でございますが、何分法務局の出張所は全国に千八百ございまして、この伊保内出張所よりももっとひどい老朽庁舎というのが他に多数ございます関係で、伊保内出張所を優先的に新営するということは、現在の状況ではなかなか困難でございますが、ただ応急的な整備だけは、これは早急にいたしたいと、そういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/60
-
061・古池信三
○委員長(古池信三君) それでは次に、請願百三十一号、七百九十号、八百五十五号、九百五十八号、千六号、千七号、千六十一号、千七十五号、千百四十六号、千二百九十八号、以上十件を一括して議題といたします。同様本件に関しまして、専門員の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/61
-
062・西村高兄
○専門員(西村高兄君) 請願百三十一号外九件、ただいま委員長がお読み上げ下さいましたものにつきまして、一括して御説明を申し上げます。
その内容は、泥酔者の横行がだんだん戦後年を追うてはなはだしくなりまして、あるいは悪質なものは他人を殺傷したり、放火をしたり、大きな犯罪を起すことが多くなっておりますけれども、現行法によりますというと、泥酔者のその犯罪を行いますときの気持が、心神喪失の状態においてなされるということが多いので、それを無罪とする建前である。それは非常に社会的に不安を来たしている現状でありますから、なるべく早い機会にこれらに対する保安処分法を制定する、そうして酒癖を矯正する設備を作ってもらいたい、大体その二つに分かれておるようでございます。保安処分法を制定することと矯正院を建てる、あるいはこの矯正院を中央に置くとか地方に置くとか、若干内容の違いはございますけれども、ほとんどこの両方につきまして、それを内容として、その施設を国が早く実現してくれるようにという趣旨でございます。大体こういう泥酔者に関します処分につきましては、第二十七国会、それから二十八国会において数件出ております。そのときには刑法改正に関連して、その機会になるべく早くこれを処罰し、またそれによる社会的不安を除いてくれるようにという趣旨でございまして、その関連におきまして大体御採択をいただいております。今回は直接刑法改正に関連したことではなく、保安処分法を作る、ただいま申し上げましたような矯正院というような設備を作る、こういうような趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/62
-
063・古池信三
○委員長(古池信三君) 本件に関しまして、政府当局の所見を聴取いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/63
-
064・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) わが国におきましては飲酒の上の犯罪が放任されている、こういうふうにいわれておりますが、実際にはすべてがそういうものでなく、酒を飲んでいたというだけで、酒を飲んでいたという理由によって、かえって重く処罰される場合もあるのでございます。しかしながら、申し上げるまでもなく、刑法は故意または過失のある行為だけを処罰することにいたしておりますのでありますから、飲酒の結果、完全にめいていした行為のときに、自己の行動を全く弁識することができなかった場合には、心神喪失中の行為として無罪とするほかはないのでございますが、その場合でも、行為者があらかじめその行為を意図して、進んで心神喪失の状態を招くために酒を飲んだ、あるいは自己の酒癖が悪いことを知りながら不注意にもめいていして、その上で犯罪を行なったというような場合には、またこの種の行為でありましても、故意または過失の責任が問われることになっておるのでございます。もちろん現在の法制上無罪とするほかはないような場合におきましても、本人の自覚を促し、酒癖を矯正することができるようにするために、刑罰とか保安処分による何らかの措置をとる。また酒を飲んであばれて人に迷惑をかけたりしたようなごく軽い程度の行為でございましても、これを軽い犯罪として取り締ることができるようにすることは、社会や家庭の平和にとって必要なことであると考えられますし、世界各国の法制におきましても、このような措置がとられておるのがわかるのでございます。飲酒犯罪者に対する保安処分といたしましては、一般に酒癖矯正所その他の看護矯正所の施設に収容して酒癖を矯正するようにすることが考えられておりますが、これにつきましては、個人の人権や医学上の効果、あるいは刑法全体との関係など、慎重に考慮する必要がございますので、従来とも法務省におきましては、刑法改正準備作業の一環といたしまして、各国の法制、あるいは制度、その実際のやり方等を研究いたしまして、また、これにわが国の社会事情なども十分考慮して、その上で立法比いたしたい、こういうふうに考えておりますし、従来ともそのように申し上げてきているのでございます。しかしながら、刑法改正事業に予想以上の日時を要することも考えられますし、また、現在のめいてい犯罪の実情にかんがみまして、それまで待つことができないというふうな状態が痛感される場合におきましては、めいてい犯罪の取り締りと酒癖矯正の保安処分の点だけを切り離して特別の立法措置を考えるということも一つの案である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/64
-
065・古池信三
○委員長(古池信三君) 本件請願について、御質疑並びに御意見のおありの方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/65
-
066・大川光三
○大川光三君 ただいま議題となっておりまする請願第百三十一号外九件について、一応私の考え方を申し述べたいと存じます。
ただいま当局からの御説明がございましたが、一体この請願の願意というものが、泥酔犯罪者の保安処分法の制定、こういわれておるのでありまして、その点については全く私も同感であります。しかし、一歩進めて検討いたしてみるときに、泥酔犯罪者ということを対象にのみせずに、泥酔した者が町を横行濶歩するというところにまず犯罪のきざしがあるのでありまするから、いわゆる泥酔をした者が町をうろつき歩くということ自身も取り締りの対象にしなければならぬし、そういう者に対してのいわゆる保安処分法の制定ということも、私は必要であろうと考えます。しかし一面、まあ人権尊重の建前と、いま一つは、ただいまの当局のお話で、めいていというお言葉がございましたが、実は私自身は大いにめいていのユートピアと申しますか、めいていはめいていの楽しい境地もあるのです。ですから、めいていをしておる者が必ずしも町を歩くことはいかぬ、直ちに保安処分法の対象にしようという議論も、筋が通るかもしれませんけれども、まあその点はよく検討する問題として、一応泥酔者が往来一をうろつき歩くということも一つ取り締りの対象にするということを考慮に入れなければならぬ、私はかように考えておるのでありますが、しかし、ただいまのこの請願の願意はおおむね妥当であると考えられまするので、採択せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/66
-
067・古池信三
○委員長(古池信三君) ただいまの大川委員の御発言に関して、政府当局の所見をお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/67
-
068・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) ただいま仰せられました大川委員の御意見につきましては、私どもも全面的に賛成でございます。御承知のように現在におきましては、旧違警罪即決例にありましたように、泥酔して道路を俳回するということにつきましては処罰規定はございませんが、道路交通取締法の六十八条には、交通の妨害になるような状態において道路に寝そべったという者を犯罪として取り締ることになっておりますので、その辺をさらに考慮いたしまして、今、大川先生おっしゃったような趣旨におきまして取り締る。一種の軽犯罪としての取り締りもあわせて考慮したいと考えておりますし、また、現にいろいろ資料を集めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/68
-
069・古池信三
○委員長(古池信三君) ただいま議題となっております請願百三十一号外十件は、これを採択することにいたして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/69
-
070・古池信三
○委員長(古池信三君) 御異議ないと認めまして、以上十件は採択することに決しました。次に、請願三百六号及一び千百四十七号二件を一括して議題といたします。
まず、専門員より説明を求めます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/70
-
071・西村高兄
○専門員(西村高兄君) まず、請願三百六号につきまして御説明を申し上げ、ます。第三百六号は、請願者は福岡県一の小倉市長でございまして、紹介議員一は劔木先生でございます。現在福岡家庭裁判所の小倉支部は市内の紺屋町にございまして、これは明治三十年来の一建物、非常にもう古い建物で、面積も八百四十坪ばかりの狭い所で、腐朽した中で執務をしております。そのために職員はもとより般民衆に与える不一便が非常に大きいのでございまして、ぜひこれはりっぱな家庭裁判所を作っていただきたいものであるという希望が出ておるわけであります。ところで、現在地方裁判所の小倉支部は、板櫃に鉄筋コンクリートのりっぱな建物がございますのですが、これは最初の一計画よりは大分縮小された部分的な建築になりまして、現在福岡地裁小倉支部として使われておるわけでございます。これを最初の計画通りのものに全工程を完成させまして、そこへただいまの家庭裁判所を移すということによって各種の有機的な連絡などができますし、市民の利便も非常に増大するから、ぜひこれを早く完成してくれという請願でございます。これはそうい一う御計画が最高裁判所の方にもおありのようでございますし、これはなるべくそういうことになるとけっこうだと思うのでございますが、前国会に同趣旨のものが提出されまして、これは審議未了になっております。そのことを申し添えておきます。
それから千百四十七号、これは布施市に大阪地方裁判所支部を設置してもらいたい、こういう趣旨でございまして、請願者は大阪府の布施市長、紹介議員は亀田先生でございます。この請願の趣旨は、東大阪地区の大半を占めております布施、八尾、河内、枚岡、柏原、この五市が近年非常に発展して参りまして、裁判事件もまた非常に増加をしているわけでございますが、裁判機関といたしましては、昭和二十二年に布施市に簡裁ができただけでございまして、地裁関係の事件については、そのつど大阪地裁まで出向いていかなければならない、そのことのために、この地区住民の経済的、時間的の負担が非常に多い、不便な状態でありますので、ここに大阪地裁の布施支部を設置せられたい、こういう趣旨であります。これは第十五、第二十五の国会に同趣旨の請願が出ておりまして、これが御採択になっております。そのことを申し添えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/71
-
072・古池信三
○委員長(古池信三君) 以上両件につきまして、裁判所の所見をお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/72
-
073・内藤頼博
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君)
ただいまのまず最初に小倉支部の庁舎でございますが、その庁舎につきまして、経過と現状を簡単に申し上げたいと思います。
福岡の地方裁判所、家庭裁判所の小倉支部が、簡易裁判所と一緒に合同庁舎に入っております。それが非常に古い木造の庁舎であったのでございます。そこで昭和二十九年から新しい敷地にとりあえず鉄筋コンクリートの、これは地上三階地下一階でございますすが、延千三百坪余りの庁舎を建てまして、そこに地方裁判所の支部と簡易裁判所が入りまして現在に至ったのでございます。この新庁舎は地方裁判所支部及び簡易裁判所庁舎としてもやや狭いのでございます。十分な法廷や、また設備ができていないばかりでなく、ただいま御指摘のございました家庭裁判所の支部が合同庁舎へ入りますためには、さらに一千坪程度の増築を必要といたしているわけでございます。そこで、これにつきまして予算を要求いたしました結果、昭和三十四年度の今度の予算において鉄筋コンクリート作りの三階建、これが延千八十二坪ばかりになりますが、千八十二坪の増築が認められたわけであります。三十四年度の予算におきましては、基礎工事前の工事費が入っているわけでございますが、今後は継続工事として優先的に予算が計上せられることになるものと存じます。従来の例から見ますと、完成までに三年くらいは必要かとは思われますが、この今後の予算計上の額のいかんによることではございますけれども、最高裁判所といたしまして、なるべく早くこの工事の完成をいたすように予算の要求をいたしたいというふうに考えている次第でございます。従いまして、この家庭裁判所支部の庁舎につきましては、多少の日時はかかりますが、最高裁判所といたしましても今今日非常に明るい見通しを持っているわけでございます。
次に、布施市の大阪地方裁判所の支部を設置する問題でございますが、これにつきましては、布施市の今日の発展の状況から考えまして、その人口から見ましても、あるいは私どもで、かりに支部を置いた場合にどれだけの事件があるかというようなことを調べてみましても、もとより相当の件数に王がるわけでございまして、そういう煮味におきましては、支部を設置してしかるべき場所のように考えられるのでございます。しかしながら、他面におきましては、今日管轄しております大阪地方裁判所と本庁との関係でございますが、交通事情から見ますると、今日におきましては布施市と大阪との間の交通事情が相当に便利になっているのでございまして、御承知のように布施市から大阪の上本町六丁目でございますが、そこへ出ます電車、それからさらに大阪の地方裁判所の本庁へ参ります交通機関等を考えましても、今日は相当便利になっているのでございます。そういう点からも考えて、それからさらには裁判所の職員数その他の制約等を考えまして、いろいろまた検討しなければならない面が出てくるわけでございます。御承知のように地方裁判所、家庭裁判所支部は、全国方々に置かれているわけでございますけれども、こういった予想された事件数であるとか交通機関であるとか、そういう点をいろいろ勘案いたしまして支部の設置をきめるわけでございますが、布施市につきましても、そういう点についてなお検討さしていただきたい点もあるわけであります。最高裁判所といたしましては、今後なお一そうよく検討いたしまして、善処いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/73
-
074・古池信三
○委員長(古池信三君) 本件について御質疑並びに御意見のおありの方は御発言を願います。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/74
-
075・古池信三
○委員長(古池信三君)速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/75
-
076・大川光三
○大川光三君 ただいま議題となりすした請願三百六号につきましては、先ほど当局から御説明もありました通り、われわれも全くその感を同じくいたしますので、採択あってしかるべきかと存じます。
また、請願千百四十七号につきましては、先ほど当局より布施市が本庁との交通が便利であるという意味のお言葉がありましたが、これは同じ大阪地方裁判所管下の堺支部とにらみ合してみますると、その交通関係においても、おそらく取り扱いまする事件においても、堺支部と布施市外四市との関係においては大差がない。従って、堺支部に均衡をとるという意味からも、布施支部の設置は妥当である、かように考えます。よって本請願は採択あらんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/76
-
077・亀田得治
○亀田得治君 ちょっと私も……。一千百四十七号の意見を申し上げますが、大阪では例の堺がありますけれども、交通関係からいいますと、堺から難波に出て、地下鉄で大阪地方裁判所まですっと行っちゃうんです。これはもう非常に便利になっておる。だからといって、それでは堺のやつを廃止できるかといえば、そういう実情ではやっぱりないです。あれだけの背後地というものをかかえておるわけですから。で、あまり交通関係だけにこだわってものを言うのは、その点だけでも多少不適当だと思うんです。しかし、それもある程度考えなければいかぬでしょうが、布施の場合は、布施並びにその背後地というものは、現在の大阪地裁へ出るのには、やはり相当不便にできておるわけですこの大阪という所は、南と東と北と、三つにわけますと、北の方、つまり吹田とか豊中方面、これは現在の地裁には非常に便利なわけです。交通機関がすっともう地裁の近くまで行っちゃうわけです。だからその三つを比較しますと、やはり東の布施並びにその背後地というものが、地下鉄の利用もできないし、不一便なんです。で、交通だけから見ても、なるほどそれはいなかの府県よりは便利かもしれませんよ。しかし、大阪自体として考えてみますと、南北に、比較してやはり一番不便な所です。しかしそれよりも、実質的に布施を中心にした、やはり相当事件が多い、やはり布施が、あの辺の中心ですから。そういう意味でこの辺に一つ置いてもらいたい。むしろやっぱり実質の問題ですね、そういうふうにこれは一つお考え願って御検討をしてほしいと思っています。以上、意見を付加して、大川委員の御意見に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/77
-
078・古池信三
○委員長(古池信三君)それでは請願三百六号及び一千百四十七号の両件は、いずれもこれを採択することにいたして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/78
-
079・古池信三
○委員長(古池信三君)御異議ないと認めます。それでは採択することに決しました。
ただいま採択することに決しました
請願は、いずれも議院の会議に付し、内閣に送付を要するものと審査決定することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/79
-
080・古池信三
○委員長(古池信三君) 御異議ないと認めます。
なお、審査報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/80
-
081・古池信三
○委員長(古池信三君) 御異議ないと認めます。
ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/81
-
082・古池信三
○委員長(古池信三君) 速記を始めて。
それでは午前の審査はこれにて一応終りました。午後は一時十五分より再開をいたします。それまで休憩いたします。
午後零時四十一分休憩
—————・—————
午後三時三十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/82
-
083・古池信三
○委員長(古池信三君) それでは休憩前に引き続いて委員会を再開いたします。
最初にまず委員の異動について御報告いたします。江田三郎君が辞任されて棚橋小虎君が補欠選任されました。また榊原亨君が辞任せられ土田國太郎君が補欠選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/83
-
084・古池信三
○委員長(古池信三君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。御質疑のある方は御発言を願います。——他に御発言もなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/84
-
085・古池信三
○委員長(古池信三君) 御異議ないと認めます。両案についての質疑は終了することに決しました。
それではこれより裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案、以上二法律案を一括して討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/85
-
086・野本品吉
○野本品吉君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案並びに検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付しまして賛成の意を表します。
まず、裁判官の報酬等に関する法律一の一部を改正する法律案に対しまして、次のような附帯決議を付したいと思います。案文を朗読いたします。
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
憲法上保障された裁判官の特別の地位及びその使命の重要性と法曹一元の理想にかんがみ、政府及び最高裁判所は、今後裁判官の待遇及び任用制度の改善について根本的に検討し、特に、下級裁判所裁判官の報酬について、その優遇に努力するとともに、本法の運用は最高裁判所の責任と権限においてなさるべく、右の趣旨に反する協定のごとき規制を加えないよう十分留意することを要望する。
右決議する。
この附帯決議を付するに至りました理由につきまして簡単に申し上げます。
裁判官の地位及びその使命の重要性にかんがみまして、われわれは常にその優遇の道を開くべきであることを主張して参ったのでありますが、この法案においてその趣旨が表われて参りましたことを、私どもは喜んでおる次第でございます。ただ、本法律案の審議の途上におきまして、たまたま、いわゆる第三者協定というものが陰に隠れておったのが暴露されて参りました。この第三者協定は、国会の審議権を拘束するという点から見まして、われわれのきわめて遺憾とするところでありますし、また、かような協定の存在が裁判官の優遇の趣旨にそむくものである、かように考えまして、私どもはきわめて遺憾の意を表して参ったわけであります。従って、右申し上げました理由に基きまして、先ほどの附帯決議を付しまして、強く政府及び関係当局者に向いまして、われわれの決議の趣旨が今後においてゆがめられないようにということを要望する次第であります。これが附帯決議を付しました理由であります。
次に、検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議。案文を朗読いたします。
検察官の地位及び使命の重要性にかんがみ、政府は、今後さらに検察官の待遇改善策を検討し、その優遇に鋭意努力すべきである。
右決議する。
この附帯決議もまた検察官の地位及び使命の重要性にかんがみまして、われわれ年来その処遇の高められることを要求して参ったわけでありますが、今後におきましても、これらの点につきまして十分検討、考慮されまして、われわれの附帯決議の趣旨が実現されるようにということを、当局者に向って強く要望する次第でございます。
以上申し述べまして、私は両案に対しまして、ただいま申し述べました附帯決議を付しまして賛成の意を表します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/86
-
087・亀田得治
○亀田得治君 両案並びにただいま野本委員から御提案の附帯決議にも全部賛成いたします。
簡単に理由を申し上げますが、戦後新憲法下で裁判官並びに検察官の待遇をどうするかということが第二国会当時大きな議論になりました。その当時、検察官と裁判官の差をつける、そうしてまた、検察官を含めていわゆる司法官を一般の行政官よりも優遇する、こういう考え方が明確にされたわけであります。しかるに、その後いつのまにかそういう原則が多少ゆがめられるという傾向が若干あったようでございます。今回その点幾らかでも第二国回会当時の考え方に戻ってきたということがこの法案の中に具体的に現われておりますので、そういう意味で私は積極的にこの両案に賛意を表するものであります。ただし、これはまだしさいに検討すれば十分ではありません。そういう意味で今後政府並びに最高裁においても、十分一つ努力をしてもらいたいと思いますし、附帯決議もまたむしろそういう点が大きな重みを持たして書かれておるわけでありますから、一つ努力をしてほしいと思います。例の三者協定の問題ですが、この問題は委員会の質疑の過程ですでにその性格、効力等が明確になっておるわけですが、先ほどの附帯決議によりまして、なお一そうこういうものは効力のないものであるというふうな点がはっきりさせられたと解釈します。なお、今後こういうふうな三者協定といったようなものが最高裁判所の少しでも意に沿わないような格好で作られるということのないように、これは一つお互い十分努力をしてもらいたいと思う。それに関して、私たち最高裁判所を相当擁護しなければならない、こういう考え方もあって、この案というものに取っ組んけですが、しかし翻って考えると、最高裁判所自体がなぜこういうものに簡単に調印をするのかということを、実は非常に率直に言って、これはふがいなく考えているわけです。憲法上これは明らかに国会、内閣と対立して重大な使命を負わされている。そういう点から、やはり今後毅然たる態度をもって進んでもらいたいと思う。閣議における発言とか法案の提出権とか、いろいろな点で不便な点はあるでしょうが、しかしもしそれが制度上の欠陥だというのであれば、そういう点の解決をするのに努力すべきであって、何かそういう欠点があるからといったようなことでは、これは私は国民が最高裁に寄せている期待に沿わないものだと考えます。そういう点を、特に私この法案審議に関連して感じましたので、この際、意見を申し上げておきます。
以上、全部に賛意を表します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/87
-
088・古池信三
○委員長(古池信三君) 他に、御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより直ちに採決を行います。
まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。
本案を、原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/88
-
089・古池信三
○委員長(古池信三君) 全会一致であります。よって本案は、全会一致をもつ
て原案通り可決すべきものと決しまし
た。
次に検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。
本案を、原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/89
-
090・古池信三
○委員長(古池信三君) 全会一致であります。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決しました。
次に、討論中に述べられました野本君提出の附帯決議案を一括して議題といたします。野本君提出の附帯決議案を、それぞれただいま可決せられました両案に対しての本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/90
-
091・古池信三
○委員長(古池信三君) 全会一致であります。よって野本君提出の附帯決議案は、それぞれ裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案並びに検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案に対しての本委員会の決議とすることに決しました。
それでは、ただいま決定いたしました附帯決議につきまして、法務大臣並びに最高裁判所当局の所信をお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/91
-
092・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案並びに検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、長い期間にわたりまして慎重に御審議をいただきまして、まことに恐縮に存ずる次第でございます。
ただいま御決議になりました両案に対する附帯決議に対しましては、これらの法律成立の暁におきまして、この法律の制定の経過並びに趣旨にかんがみまして私どもといたしましては善処することにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/92
-
093・横田正俊
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君)
裁判官の報酬等に関する法律の改正案につきまして、ただいま全会一致をもって御可決いただきました上に、きわめて裁判所に御理解のある附帯決議をいただきましたことを非常に感謝いたす次第でございます。法律が制定されました後は、この趣旨をよく体しまして善処いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/93
-
094・古池信三
○委員長(古池信三君) それでは両案の審査報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/94
-
095・古池信三
○委員長(古池信三君) 御異議ないと認めます。
次回は、決定次第御通知申し上げます。
本日は、これにて散会いたします。
午後三時五十一分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103115206X01119590324/95
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。