1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月二十二日(火曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 平井 義一君
理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君
理事 關谷 勝利君 理事 川野 芳滿君
理事 久保 三郎君
高橋清一郎君 竹内 俊吉君
塚原 俊郎君 福家 俊一君
村瀬 宣親君 勝澤 芳雄君
島口重次郎君 館 俊三君
正木 清君 内海 清君
菊川 君子君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 楢橋 渡君
出席政府委員
運輸事務官
(大臣官房長) 細田 吉藏君
運輸事務官
(鉄道監督局
長) 山内 公猷君
運輸事務官
(航空局長) 辻 章男君
委員外の出席者
大蔵事務官
(理財局資金課
長) 鈴木 喜治君
日本国有鉄道副
総裁 吾孫子 豊君
日本国有鉄道常
務理事 兼松 学君
日本国有鉄道参
与
(審議室長) 瀧山 養君
専 門 員 志鎌 一之君
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三月二十二日
委員淺沼稻次郎君辞任につき、その補欠として
勝澤芳雄君が議長の指名で委員に選任された。
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三月十八日
斗賀野駅車扱貨物の取扱存続に関する陳情書
(第四一六号)
日下駅車扱貨物の取扱存続に関する陳情書
(第四一
七号)
国鉄貨物運賃遠距離割引存続等に関する陳情書
(第四一八号)
東北本線盛岡、沼宮内両駅間の複線等に関する
陳情書
(第四一九号)
するめの運賃等級改正に関する陳情書
(第四二〇号)
後免、牟岐間の鉄道建設促進に関する陳情書
(第四二一号)
東京地方への出荷輸送の促進及び貨物駅集約の
緩和に関する陳情書
(第四二二号)
交通事故防止対策に関する陳情書
(第四四四号)
青函トンネル建設促進に関する陳情書
(第四七二号)
国鉄赤穂線の電化に関する陳情書
(第四九一号)
国鉄池谷駅の車扱貨物の取扱存続に関する陳情
書
(第四九二号)
高速自動車道路龍王町、岩井附近にバス停留所
設置等に関する陳情書
(第四九三号)
盛岡駅建築のため地下掘削に伴う工業用水減少
による補償措置に関する陳情書
(第五〇五号)
北海道内国鉄の電化等に関する陳情書
(第五三一号)
青森、函館間貨物航送力増強等に関する陳情書
(第五三二号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
航空法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
〇二号)
日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣
提出第六三号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/0
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001・平井義一
○平井委員長 これより会議を開きます。
航空法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/1
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002・平井義一
○平井委員長 まず本案について政府当局より提案理由の説明を聴取いたします。楢橋運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/2
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003・楢橋渡
○楢橋国務大臣 ただいま議題となりました航空法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
御承知の通り、最近におけるわが国の民間航空の発展はまことに目ざましいものがありまして、特にこの一、二年の間においては、ジェット機等の大型高速機の就航を見るに至り、質的にも量的にも今や航空界は画期的な発展段階に入ろうとしております。このような航空の発展に即応して航空の安全を確保し、航空輸送の秩序を確保するためには、飛行場周辺の安全表面の確保、航空交通管制の整備、航空機検査制度の合理化、航空運送事業に関する規制の再検討等が必要であります。このため現行の航空法に所要を改正を加えたいというのがこの法律案を提案する理由であります。
次に、この法律案によります主要な改正点につきまして御説明申し上げます。
まず第一は、最近における航空機及び装備品の整備能力及び改造能力の著しい向上に対応し、あわせて海外における検査制度の合理的運用をはかるため、航空機及び装備品の検査制度に関する規定を改正したことであります。すなわち、運輸大臣におきまして、航空機または装備品の整備または改造を行なう事業者についてその能力の認定を行なうこととし、認定を受けた者がした、航空機または装備品の修理または改造につきましては、航空機の修理改造検査または装備品の予備品証明のための検査を省略することができることとする等の改正をいたしまして、航空機及び装備品の整備または改造に関する検査制度の合理化をはかったことであります。
第二は、最近におけるジェット機等の高速大型機の就航、計器着陸誘導装置の発達等の事情に対処し、航空機の航行の安全を確保するため、飛行場周辺における高層建築物等の設置の制限等に関する規定を改正したことであります。その一は、公共の用に供する飛行場について、水平表面の上に出る物件の設置を制限することといたしまして、航空機の離陸及び着陸の安全の確保をはかったことであります。その二は、第一種空港及び政令で定める第二種空港について新たに延長進入表面、円錐表面または外側水平表面という安全表面を設定するこことし、これらの表面の上に出る物件の設置を制限することといたしまして、計器着陸誘導装置による航空機の精密進入の安全の確保及び高速大型機の離陸または着陸のために必要な飛行の経路の確保をはかったことであります。その三は、地表または水面から六十メートル以上の高さの物件につきましては、当該物件の設置者が航空障害灯を設置しなければならないこととするなど、航空障害灯に関する規定の適正化をはかったことであります。その四は、昼間においても航空機からの識別が困難である煙突、鉄塔その他の運輸省令で定める物件につきましては、昼間障害標識を設置しなければならないことといたしまして、これらの物件と航空機との衝突の防止をはかったことであります。
第三は、最近における航空交通量の増大、ことにジェット機等の高速機の運航が著しく増加して参りました事情に対処し、航空交通管制に関する制度を整備するため、これに関する規定を改正したことであります。その一は、ジェット機等の高速大型機が常時航行する空域における航空交通の安全を確保するため、運輸大臣が指定する一定の空域を飛行する航空機は、必ず計器飛行方式に従って飛行しなければならないこととするなど航空交通管制に関する規定を整備したことであります。その二は、航空交通管制制度の合理的運用をはかるため、自衛隊の使用する飛行場のうち政令で定めるものにつきましては、これに関する航空交通管制業務を防衛庁長官に委任して行なわせることとしたことでありますが、もちろん、この場合におきましても航空交通管制の一元的運用をはかる必要がありますので、運輸大臣において、防衛庁長官の行なう当該業務を統制することにいたしております。
第四に、航空運送事業の健全な発達を促進するため、利用航空運送事業に関する規定を創設したことであります。すなわち、近時航空機による貨物輸送の著しい発展に伴い、鉄道における通運業のように、航空運送事業者以外の者で、みずから荷主と運送契約を行ない、航空運送事業者を下請として利用して貨物の運送をする業態が出現して参りましたが、これを利用航空運送事業として免許の対象とすることにより、航空運送事業の秩序の確保はかったのであります。
最後に、航空機に関する爆発物事故の防止のために、爆発物と疑うに足りる物件について航空運送事業者にその航空機からの取りおろしの権限を付与するなど、航空機の運航の安全に関する規定を整備いたしますとともに、航空従業者の業務範囲について、その適正化をはかり、検査手数料等の手数料に関する規定を整備する等、所要の改正を加えた次第であります。
以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/3
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004・辻章男
○辻政府委員 航空法の一部を改正する法律案の提案理由及び主要な改正点につきましては、ただいま大臣から説明いたしましたが、私から若干補足説明いたしたいと存じます。なお条文の整理のための規定等の簡単なものについては、説明を省略させていただきます。
まず、第二条の定義関係の改正でありますが、第一に進入表面、転移表面及び水平表面に関し、ヘリポートの特例を設け、またこれらの表面の最大限を法律上明定する等、飛行場周辺の安全表面に関する規定を整備し、第二にジェット機等の高速大型機の就航に備え、航空路の上空以外の空域にも航空交通管制区を指定することができることとし、また公共用飛行場以外の飛行場についても航空交通管制圏を指定することができることとするため、航空交通管制空域に関する規定を改正し、第三に航空機の飛行方法に関する規制を明確化するため、計器飛行方式に関する定義を設け、第四に、新たに免許事業とする利用航空運送事業の定義を設ける等の改正をしようとするものであります。
第十六条及び第十七条の改正は、運輸大臣が行なう航空機及びその装備品の修理または改造の検査に関しまして、運輸大臣がその能力を認定いたしました事業場において当該修理または改造を行なった場合には、検査を省略することにより、航空機の安全性検査の合理化をはかるための規定であります。
第十九条の改正は、従来航空整備士が行なっていた航空機の整備の確認につきまして、外国においては、航空整備士以外の一定の資格を有する技術者が確認をすれば足りることとし、制度の合理化をはかったものでございます。
次に、第四十九条及び第五十条の改正規定でありますが、これは、飛行場周辺におきまする物件の制限に関する改正でございまして、まず現行法におきましては、飛行場周辺における物件の設置の制限は、飛行場の進入表面または転移表面の上に出る物件に限られているのでございますが、最近におきまする著しい航空交通の発展にかんがみ、今後は水平表面の上に出る物件につきましても同様に物件の設置の制限をいたしまして、航空機の離陸及び着陸の安全の確保をはかった次第でございます。
第五十一条の改正は、航空障害灯に関する改正でございまして、航空の安全を確保するため、地表または水面から六十メートル以上の高さの物件の設置者に対しまして、航空障害灯の設置義務を課することとする等、所要の改正をいたした次第でございます。
第五十一条の二の規定は、昼間障害標識に関する規定を新設したものでありまして、昼間におきまして航空機から識別することが困難であると認められる煙突、鉄塔等につきましては、航空障害灯の設置の場合に準じて、昼間障害標識の設置義務に関する規定を置いて、航空の安全をはかったものでございます。
次に、改正案の第五十六条の二から第五十六条の四までの規定は、第一種空港等における安全表面の特例に関する新設規定でございまして、運輸大臣は、第一種空港及び政令で定めまする第二種空港について、計器着陸装置による航空機の精密進入の安全の確保及び高速大型機の離陸または着陸のために必要な飛行の経路の確保をはかるため、延長進入表面、円錐表面または外側水平表面を指定することができることといたしますとともに、これらの表面につきましてその表面の上に出る物件の設置艦を制限することといたした次第でございます。
第五十八条及び第五十九条の改正規定は、航空日誌等航空機に備えつけるべき書類について所要の改正を加えたものでございます。
第六十条の改正は、無線設備を設置しなければ飛行してはならない空域につきまして、所要の改正を行なったものでございます。
第六十六条第一項の表の改正は、航空士を乗り組ませる義務に関し、規制
の合理化をはかったものでございます。
第七十六条の改正は、航空機の機長の報告義務に関する規定を整備いたしたものでございます。
第七十九条の改正は、飛行場以外の場所における離着陸に関する規定の改正でありまして現行法では航空機の飛行場以外の場所での離着陸は、やむを得ない事由がある場合に限られているのでありますが、航空の安全さえ確保されれば、必ずしもやむを得ない事由の有無を問う必要がないので、この要件を削ることといたした次第でございます。
次に、改正案の第八十一条の二の規定は、捜索または救助のための飛行に関し、特例を定めて、航空機が捜索活動または救助活動を迅速に行ない得るように措置したものでございます。
改正案の第八十六条の二の規定は、爆発物の輸送禁止に関する改正でありまして、現在爆発物の禁止につきましては、第八十六条におきまして、その航空機による輸送の禁止及びその航空機内への持ち込みの禁止が法定されているのでありますが、最近におけるダイナマイト等の航空機内への持ち込み事故の発生にかんがみ、航空運送事業者に、危険物の疑いある物件を航空機から取りおろす権限を与えますとともに、さらに運輸大臣において航空運送事業者に対し、これらの措置を講ずべきことを命ずることができることとして航空の安全に万全を期した次第でございます。
第九十一条の改正は、七千三百メートル以上の高さの空域において、従来飛行規程が五千メートル以上あれば曲技飛行を行なってもよかったのでありますが、これを八千メートルなければならないこととして高速航空機の航行の安全をはかったのであります。
改正案の第九十四条の二は、計器飛行方式に関する規定の新設でございまして、まず航空機は、計器気象状態において飛行する場合は計器飛行方式により飛行しなければならないことといたしますとともに、航空交通管制区または航空交通管制圏のうち、ジェット機等の高速の航空機が常時飛行する高度の空域等で運輸大臣が告示で指定する空域を飛行する場合には、計器飛行方式により飛行しなければならないことといたしまして、航空の安全の確保をはかった次第でございます。
第九十六条の改正は、飛行場内における航空交通管制に関する改正でありまして、飛行場内で飛行場の工事等の業務に従事する者は、その業務に関し、運輸大臣が当該飛行場における航空交通の安全のために与える指示に従わなければならないこととして飛行場内における衝突事故の防止をはかった次第でございます。
第百一条の改正は、航空運送事業者の免許基準に関する改正でありまして、従前の規定に若干不備があったものを補いますとともに、利用航空運送事業を新たに規制いたしますために条文を整理いたしました。
次に、第百二十二条の二の規定を新たに設けまして、利用航空運送事業を経営しようとする者は、運輸大臣の免許を受けなければならないこととし、航空貨物の運送秩序を確保することといたした次第でございます。
なお、利用航空運送事業者の運賃、料金、約款等につきましては、次の第百二十二条の三において定期航空運送事業者に対する規定を準用することにより、ほぼこれと同様の規制を加えることといたしました。
第百二十六条第一項の改正は、外国航空機の航行に関する規定の改正でありまして、従来の本条がICAO加盟国の不定期民間航空機の入出国航空権を認めた国際民間航空条約と幾分食い違いがあるように誤読されやすかったので、趣旨を明確化するために条文を書き改めるものであります。
次に、改正案の第百三十一条の二の規定は、外国人国際利用航空運送事業に関する新設規定でありまして、外国人が利用航空運送事業を行なう場合、運輸大臣の許可を要する旨を規定いたしますとともに、その運賃、料金等に関する規制を定めたものであります。
第百三十五条の改正は、手数料に関する改正でございまして、航空機の大型化に伴い、検査手数料の最高限度額を引き上げるとともに、航空機または装備品の修理または改造をする者の認定に関する手数料を新設する等の改正をいたした次第でございます。
第百三十七条の改正は、訴願に関する従来の規定が幾分明確を欠いておりますので、これを整備したものでございます。
次に、第百三十七条の二の改正は、運輸大臣の航空交通管制に関する権限の一部を防衛庁長官に委任するための改正でございます。すなわち、従来自衛隊の飛行場については、航空法の規定による航空交通管制は行なわれておらず、自衛隊において自主的に交通整理を行なっていたのでありますが、最近における航空交通の輻湊事情にかんがみ、運輸大臣においてこれらの飛行場に対しても管制圏を指定することができることとするとともに、これらの飛行場に関する管制事務を防衛庁百長官が行なう場合には、運輸大臣においてその業務の運営を統制することといたしまして、航空交通管制の一元的運用をはかった次第でございます。
第百四十三条から第百六十条までの改正規定は、今次航空法の改正に伴う罰則の整備をはかったものでございます。
次に、別表の改正は、最近におきます航空事情に照らしまして事業用操縦士の実務範囲を適正化したものでございます。
最後に附則でございますが、その第二条及び第三条は、本則の改正によりヘリポートの安全表面に変更が生じたこと及び航空交通管制圏が指定されるべき飛行場が、公共用飛行場から運輸大臣が告示で指定する飛行場に改まったことによりますいわば立法技術的な経過規定でございます。
その第四条は、水平表面に関する経過規定でございまして、第四十九条第一項の改正により、水平表面の上に出る物件についても、進入表面または転移表面の上に出る物件と同様に、その設置が禁止されることになりましたが、この法律の施行の際現に存する物件につきましては、法不遡及の原則から、改正後の第四十九条第一項の規定はこれを適用せず、もしこれらの物件が航行の安全を阻害するときは、運輸大臣においてこれを補償の上、その除去を求めることができることとしたものであります。
その第五条は、航空障害灯に関する経過規定でありまして、地表または水面からの高さが六十メートル以上の物件は、新法第五十一条第一項及び第五十一条の二の第一項の改正規定により、当該物件の設置者において航空障害灯または昼間障害標識を設置しなければならないこととなったのでございますが、この法律の施行の際現に存する物件につきましては、前条について述べたと同様の趣旨からこれらの規定を適用しないことといたしました。
次に、その第六条は利用航空運送事業に関する経過規定でございまして、この法律の施行の際現に利用航空運送事業を経営している者は、この法律の施行後三カ月間に限り、免許または許可を受けないでも、なお従前通りその事業を経営することができることとしたのであります。
第七条は、罰則の経過規定に関する例文的規定でございます。
最後に第八条は、本法施行に伴い、運輸省設置法の一部に所要の改正を加えるものでございます。
なお、この法律の施行期日は六月一日を予定いたしております。
以上、簡単ではありますが、この法律案につきまして補足して説明を申し上げましたが、何とぞよろしく御審議下さいますようお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/4
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005・平井義一
○平井委員長 本案に対する質疑に次会に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/5
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006・平井義一
○平井委員長 次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。
正木清君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/6
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007・正木清
○正木委員 私はただいま議題となっております日鉄法の一部改正とともに国鉄の五カ年計画の実績、さらに国鉄全般に対する財政の本質的な問題について質問をしたいと思います。
そこで、この際委員長にお願いをしておきたいと思いますことは、私の質問も相当時間がかかりますので、簡潔に質問をいたしますから、答弁も簡潔にお答えを願って能率を上げていただきたい、そういう点を委員長にお願いを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/7
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008・平井義一
○平井委員長 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/8
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009・正木清
○正木委員 そこで、まず第一にお尋ねしたいのは、当委員会において当然質疑がされたと思うのでございますが、東海道幹線の増設について、速記を見ますというと、全部借入金をもって行なうようでございますが、利子も含めて、この線が完成するための総資本は一体どれくらいなのか、それを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/9
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010・山内公猷
○山内(公)政府委員 工事費の総額は現在千七百二十五億と算定されております。利子を含めますと、約二千億というふうに算定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/10
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011・正木清
○正木委員 そこで、三十四年度より三十八年度までが工事の目標のようでございますが、資金計画の年次別を具体的に答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/11
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012・山内公猷
○山内(公)政府委員 三十四年度はす
でに経過した年度でございますが、三十億、三十五年度は本国会に提出しております百九十七億、三十六年度以後は大体の計画でございますが、三十六年度五百六億、三十七年度五百七億、三十八年度四百八十五億、計千七百二十五億でございまして、この数字は利子を含んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/12
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013・正木清
○正木委員 資金計画の年次割当は承りましたが、そこでお尋ねしたいのは、全部借金でございましょうか。そこで、その借金の内容になるわけでございますが、この利子をも含まない千七百二十五億の借金は資金運用部からだけ出すように話し合いがなっているのか、それとも国鉄財政のガンといわれておる鉄道債券が内容になっておるのか。さらにこの国会に提案されておりまする予算書を見ますというと、本年度は世銀から四十七億の借り入れ、さらに一般会計の総則では、政府は世銀に対して支払い保証——私どもは債務保証と、こう申しておるのですが、三百六十億が計上されております。そこで私のお伺いしたいのは、この一千七百二十五億、利子をも含めて約二千億、これの借り入れの具体的内容、資金運用部から幾ら、鉄道債券として幾ら、その鉄道債券の内容も承りたい。同時に世銀から借りるところのこの三百六十億の支払い保証がついておる、この世銀から借りる年次計画というのはどうなっておるのか、これを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/13
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014・吾孫子豊
○吾孫子説明員 この新幹線の資金計画については、新幹線に決定される原因になりました日本国有鉄道幹線調査会におきまして、政府出資及び財政資金に大幅に期待すること、さらには民間資金及び外資についても、諸条件を勘案して期待すべきであるというようなことの御勧告をいただいております。それで現在の国鉄の財政状態では、先ほども御指摘のありました通り、新幹線の所要資金は借り入れによることになりますが、一部分は世銀からの借款を期待しておる、こういうことでございまして、そのうち資金運用部から幾らとか、公募公債で幾ら、あるいは世銀から年次別にどうなるのかというようなことはまだ確定いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/14
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015・正木清
○正木委員 私の今の質問はそれが心配だから質問した。僕はこの点はあらためて運輸省にお尋ねいたしますが、三十二年度の運賃値上げのと寺、国鉄はかようかくかくのことをしなければいけないから、そこで五カ年計画はこの通りでございます、だからどうしても運賃値上げを必要とします、これは当時の運輸大臣、当時の鉄監局長、当時の国鉄総裁が国会を通じて国民に約束をしましたことはお忘れになっておらないと思います。私どもは諸般の資料を調査すればするほど私どもの責任の重大さを感ずるのですが、今度の東海道の幹線増設についても、国民はこれだけの資本を投じて国鉄は五カ年間にこの世紀の大事業をなし遂げるんだ、こうかたく信じております。またあなた方もそのようにPRをされておる。ところが——私も知らないわけでではございません。国の会計というものは単年度であることは知らないわけではございませんが、少なくとも国鉄として、そうして運輸省としては、青写真であったとしても、五カ年計画のこの外部からの受け入れる資金計画というものはあってしかるべきではないか、その資金計画がなくてどうしてこの世紀の東海道の幹線増設が成功することができますか、私はこれを聞きたいのです。
その次に運輸省にお尋ねしたいのですが、この東海道幹線増設については、日本としては世紀の大事業なんですから、当然これは閣議にかけられて、閣議の決定を得て事業に着手されると思いますが、そう考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/15
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016・山内公猷
○山内(公)政府委員 本計画の当初から経済閣僚審議会にかけまして、その上で、当時縦貫自動車道計画もありましたので、両計画が併立するやいなやということも十分検討した上に閣議にかけて決定したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/16
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017・正木清
○正木委員 そこであらためて運輸省にお尋ねいたしますが、そのような重大な事業について閣議決定をされる、閣議決定とは政府の基本的方針ですから国策と見て間違いないわけですね。その国策と見て間違いないこの事業について、資金計画というものの具体案がないということが私にはわからない。その点あらためてお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/17
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018・山内公猷
○山内(公)政府委員 当時の計画は現在と少し事情が変わってきておりますが、当時の構想では、この工事が最盛期を迎えるころには五カ年計画も大体終わりに近い、そうすると、国鉄の全体の資金面から見て、この工事をやり遂げるということも可能であろうというような考え方もありました。しかし、この工事をどうしてもやらなければならないという理由は、先般も当委員会で御説明申し上げましたように、三十七、八年度になりますと、好むと好まざるとにかかわらず東海道線が詰まってしまう。そのためにどうしてもやらなければならないということで、私どもといたしましては、ただいま副総裁が言われましたように、財政資金あるいは外資というものによりましてやり遂げたいということで考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/18
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019・正木清
○正木委員 いずれ私はこの財政資金及び世銀からの借り入れについては、委員長及び理事の皆さん方のお取り計らいで、二十五日に大蔵大臣の御出席を得て、私に二時間の時間を与えられておりますから、そこでより具体的に続いてお尋ねをいたしますが、いずれにいたしましても、私から言わせると、確たる資金計画がなくてこの大事業が予定通りに進行しない場合は、さなきだに国民から不信を受ける点多々ある国鉄に対する不信というものは、さらに倍加するのではないか、これを私はおそれるのであります。
そこであらためてお尋ねしたいのですが、三十五年度の予算編成にあたって、国鉄が運輸省に提出した予算要求の中に、東海道幹線増設のために政府出資百億を要求したと私は漏れ聞いておるのでありまするが、そういう事実がございましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/19
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020・山内公猷
○山内(公)政府委員 仰せの通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/20
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021・正木清
○正木委員 そこでさらに私お尋ねしたいのですが、この政府出資百億を要求した、それを運輸省はお認めになったかどうか、運輸大臣がお認めになったかどうか。具体的に言うと、その案を持って大蔵省と御折衝になったかどうか、その点をお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/21
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022・山内公猷
○山内(公)政府委員 百億の出資を大蔵省に要求いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/22
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023・正木清
○正木委員 私はこれは非常に重大だと思っているのです。ということは、私どもが十数年間この委員会において主張したものの考え方、国鉄としてのものの考え方が、ようやく国鉄もこれを認め、運輸省も認めた。ですから私は公企体としてのあり方についても、これは一大進歩だ、飛躍だ、こうあってしかるべきだと思う。まずこの点は私は賛成をしております。私は私の立場で賛成をしておりますが、しかし従来は、われわれがいかに当委員会を通じてもこのことが採用にならなかったのが、今回採用になったわけですから、運輸省としては、国鉄のあり方について大きな理論的に飛躍をしたわけです。その飛躍をした根拠、むずかしい言葉で言うと理論的な根拠をこの際この委員会で明らにしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/23
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024・山内公猷
○山内(公)政府委員 国鉄が出資を希望いたしましたのは、東海道新幹線計画の百億並びに新線建設の九十五億の要求がございました。運輸省といたしましては、もちろん両方認めたいという気持があったわけでございますが、予算のあり方といたしまして、一挙に多くの出資を大蔵省に出しても可能性が少ないのではないだろうかということで、東海道新幹線に百億を出資として認め、鉄道建設のための資金は利子補給という形で大蔵省に予算の折衝をいたしたわけでございます。遺憾ながら両者認められなかったわけでございますが、われわれが認めました趣旨といたしましては、やはり国鉄の事業というものを発展していきます場合に、一つの企業体系をとっておるのでございまして、会社の場合には、企業が伸びるときにはどうしても自己資金というものを充実して、それによって企業を伸ばしていくということが常道でございます。ところが国鉄には、二十四年に国の組織からコーポレーションの組織になりまして以来、全然出資というものはありません。これで国民の要望を満たす事業をやって参るわけでございますが、今日になりますと、先生御指摘のように、借金というものの利子が非常に国鉄の財政を重圧して参るわけであります。このままでは国鉄が国民の要望の建設工事を満たしていく場合には、やはり国からの出資というものがなければ、目的も達しにくいということで、今回出資を強力に要請した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/24
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025・正木清
○正木委員 そこで私は運輸大臣にお尋ねしたいのです。事務当局に対してはあとで私は詳細に数字をあげて触れて参りますが、私をもって言わすれば、国鉄の財政資金というもの、一つの企業体でいえば経理内容というものは危機に瀕しておる。そこで三十五年度の予算編成にあたって、国鉄も腹をきめ、あなたのところも、事務当局も腹をきめ、大蔵省に対して、今承ると東海道の幹線増設に百億の国の出資、それから新線建設に対して利子の補給、これをも要求した。これは一大進歩です。そこであなたにお尋ねしたいのは、そういう段階にきておる国鉄のことをあなたは十分御存じであったと思いますが、運輸大臣としては、政治的に大蔵大臣との間に相当の意を決してこのことの具現のために御努力下さったのか下さらなかったのか。簡潔でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/25
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026・楢橋渡
○楢橋国務大臣 今の点でありますが、どうしてもこの場合に国鉄のあり方といいますか、それをどう政府が見るかという建前からいきますと、今、正木委員の御指摘のありましたように、どうしても政府に出資させるということと利子補給という問題、ことに新線建設等におきまして赤字になるものを、やはり公共的な国家的要請によってこれを強要するのですから、すべて利子は補給してもらわなければならぬというわけで、強力に実は大蔵大臣と談判をいたしまして、率直に申しまして、大蔵大臣は非常に利子補給ということを避けるといいますか、いやがるといいますか、大蔵当局はこれに対してなかなか抵抗が強くて、不幸にして成功を見ることができなかったのでありますけれども、今、鉄監局長がお尋ねの点について申し上げましたように、どうしてもこの機会に壁を破らなければ国鉄というものは自立していくことができないという段階に追い込まれておる。私よく申します二律背反的な立場に追い込まれておるのでありますから、これはどうしても国が国鉄の持っておる公共性というものを勘案して、出資なり、あるいは赤字のものを国の目的のために強要する、押しつける以上は、これは国が見るということは、どうしても納得させねばならぬというので相当の努力をいたしましたが、今、局長がお答えしたような状態に立ち至りまして、この点はまことに汗顔の至りでありまするけれども、この点についてはぜひとも今後とも努力を続けていきたい、こういうように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/26
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027・正木清
○正木委員 そこで実は総裁が国会に御出席いただいておりませんので当然副総裁ということになろうかと思うのでありますが、国鉄としては、確たる信念を持って、この東海道幹線増設については、約束の通り五カ年内で工事を仕上げる、こういうかたい御決意がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/27
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028・吾孫子豊
○吾孫子説明員 国鉄としましては、どうしてもやり遂げなければならぬものであるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/28
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029・正木清
○正木委員 工事をやるのは、気持だけでは工事はできませんね。やはり資金がなければできないことはわかっておりますが、そこで資金計画の問題になると抽象的になってしまうのです。しかも三十五年度の予算要求の中には、新線建設の利子の補給——これは新線建設ばかりではございませんが、国鉄の一カ年間の利子補給だけでも数百億なんです。あとで数字をあげて具体的にしますが、さらに国の出資の百億もだめになってしまう。資金計画になるとますますかすみの中に入ってしまうわけです。それですから、国の財政の計画は単年度なんだから国を信頼したらどうかと言えばそれまでですが、そうはなかなかいかぬと思うのです。そこで私がお尋ねしたいのは、あなた方は非常なかたい決意を持って東海道のこの新線のために臨んではおるけれども、国の財政事情、国鉄の現在の経理内容の悪化の状態から見て、予定の通り資金が調達できなかった場合には、最悪の場合は他の工事完了を犠牲にしても東海道線だけは予定の通り工事を進行させるんだというくらいの決意があるかどうか、これを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/29
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030・吾孫子豊
○吾孫子説明員 将来の資金計画のことにつきましては、私どもも大へん憂慮いたしておりまして、あらゆる努力を尽くして経営の合理化にも努めなければなりませんし、またいろいろ政府の御援助を今後も引き続きお願いをいたしたいと思っておるのでございますが、一方、従前からやっておりました五カ年計画の方も、これも国民の期待にこたえるためにはどうしてもやらなければならぬことであり、また新幹線は先ほども申し上げた通り、国鉄にとっては起死回生の方法でもあり、またこれをやらなければ東海道線は行き詰まるということにもなりますので、そのいずれをも何とかして実現したいというふうに考えておる次第でございます。ただ資金計画については非常な心配をいたしておるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/30
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031・正木清
○正木委員 そこでたまたま、三十二年度運賃値上げと同時に発足した五カ年計画のことが出て参りましたから、私はこの三十二年度を起点とする五カ年計画について具体的に議論を進めたいと思うのですが、まず第一にお尋ねしますことは——工事担当の常務理事は御出席でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/31
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032・吾孫子豊
○吾孫子説明員 本日工事担当の理事が、これもかぜの工合を悪くして休んでおりますが、代用でございましたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/32
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033・正木清
○正木委員 それではお尋ねしますが、まず問題を具体化するために、三十二年度を起点とする五カ年計画の事業の進捗状況、三十二、三十三年度は決算が出ておると思います。三十四年度は予想でけっこう、三十五年度は予算を通じての予想でけっこうでございますが、進捗状況はどのようになっておるか。これは非常に問題ですから、通勤、幹線輸送、電化、電車化、ディーゼル化、車両増備、取りかえ改良、総係費、こう内容的に御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/33
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034・兼松学
○兼松説明員 三十四年度は、大体予算に近い千六十億円が決算される見込みでございます。内訳といたしましては、通勤輸送が五十億、幹線輸送が百四十四億、幹線電化が八十六億というような予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/34
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035・正木清
○正木委員 答弁の場合、これはパーセンテージでけっこうですから、工事の進捗状況、たとえば通勤輸送では三十五年度で、あと一年残して何十パーセントが完成で、電化電車化では何十パーセント完成、こういうことを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/35
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036・兼松学
○兼松説明員 三十五年度までを流しまして、通勤輸送では当初計画の七三%、幹線輸送では四七%、幹線電化では約四七%、電車化の方は約七〇%、ディーゼル化は五六%、車両増備は五一%、取りかえ諸改良は一一一%……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/36
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037・正木清
○正木委員 新線建設はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/37
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038・兼松学
○兼松説明員 三十五年度の予算を入れまして九割、九〇%であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/38
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039・正木清
○正木委員 そこで国鉄にお尋ねをするわけですが、ここで、五カ年計画の三十五年度予算を入れての大体の工事の進捗状況の見通しがわかったのですけれども、私の調査と今の答弁を見ますと、パーセンテージで若干、今の答弁の方で進捗状況が二%ぐらいずつふえているのです。しかし、残念ながら、私は国鉄当局でないだけにあなたの答弁を信頼する以外に道はございません。そこで国鉄当局にお伺いするのま……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/39
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040・兼松学
○兼松説明員 今の点ちょっと申し上げますと、先ほど申し上げましたのは予算額に対しましての率を申し上げましたので、決算見込みということになりますと、多少数字が違ってきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/40
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041・正木清
○正木委員 それで私納得いたしました。
そこでこれは運輸省も、それから国鉄当局もはっきりさしておいていただきたいと思うのですが、五カ年計画を立てたとき、そしてあなた方が議会で約束をしたときの中心というものは、新線建設は除外されているのですね。問題は、この点をはっきりさせなければいかぬのです。ところが往々にして、今までは政治的配慮等もあって資金配分その他を見ても、新線建設が全体の工事の非常に大きな部分を占めるように、いつの間にかきておるのですね。これをまず私ははっきりしておきたいと思う。
そこで新線建設だけを見ますと、なるほど九割、予定の通り進んでおる。しかし、これはあとで未稼働施設の中で出てきますが、この新線建設自体がえらいことになっておる。これはあとで瀧山さんにお尋ねいたしますが、えらいことになっておる。それはそれとして、新線建設は九〇%できておるけれども、しかし新線建設を除外した通勤以下の総パーセンテージというものは、五カ年計画ですから、毎年二〇%ずついかなくちゃならぬものが、五カ年目においてすら、総平均で六十五、六までいけば最大でございましょう。これが実は五カ年計画の実態なんだ。だから実質上は、資金が完全に予定の通り充実したとしても、五カ年計画というものは完全に二カ年間ずれるんだ、こう一口に考えて間違いないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/41
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042・吾孫子豊
○吾孫子説明員 五カ年計画の中に新線建設のことは入っていなかったんではないかというお言葉でございますが、いわゆる新幹線の関係は入っておりませんけれども、それ以外の新線建設は、一応五カ年計画のときに、当初から新線建設分として予定はしておったわけでございます。新幹線が入っておらなかったわけでございます。ただその後の五カ年計画の進捗状況はただいま御指摘のありました通りでございまして、三十五年度の決算見込額を見ましても六七%程度、項目によりましては、先ほど申し上げましたように四〇%そこそこのものもある、こういうことでございますので、これはそれぞれの項目にもよることでございますが、一年ないし二年ずれるという状態に現在追い込まれておりますことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/42
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043・正木清
○正木委員 それで国鉄本社の審議室長の瀧山さん御出席でございますね。今の副総裁の答弁の通り、私は新線建設が全然五カ年計画のうちに入っていないと言うのではないのです。ないが、いつの間にか政治上の推移で資金配分その他で当初計画から見ると新線建設に重点が置かれてきた。私はその点を申し上げております。それで瀧山さん御出席であれば瀧山さんにお尋ねしたいのですが、あなたは交通新聞に、「昭和三十五年度基本計画について」こういうのをお出しになっていますね。そこでお尋ねしたいのですが、交通新聞のその三十五年度の日本国有鉄道基本計画の(上)の中の「長期計画の検討」の中で、あなたはこういうことを言っておられるのです。「国鉄五カ年計画は昭和三十二年度に運賃改正一三%の値上げと同時に発足したのである。その後に四カ年で当初計画に比し約七百五十億円の投入不足を来たし、」云々、この五カ年計画の工事勘定での当初の予定計画とそれから実績、これで七百五十億出てくるのですね。これを具体的に年次別に御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/43
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044・瀧山養
○瀧山説明員 お答えいたします。昭和三十二年度当初は下六十九億を五カ年計画の初年度として資金計画を考えておりました。ところがその後金融引き締めの問題もあり、いろいろ不況がございまして、収入減もございまして、結果として決算では九百七十八億、八十二億ばかり減っております。三十二年度の工事経費が当初六千億の国鉄の五カ年計画の予定からしますとそれだけ減っておるわけであります。それから二年度は千百八十五億というものが当初計画されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/44
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045・正木清
○正木委員 答弁中ですが、私の調査と、あなたの交通新聞のこの数字とも一致しておるのですが、あなたは図表の中で三十二年度の資金計画が九百九十九億、実績が九百三十三億、それから三十三年度が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/45
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046・瀧山養
○瀧山説明員 そちらの数字は建設費の関係を除外しておりましたものですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/46
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047・正木清
○正木委員 工事勘定の改良費だけを中心に言ってもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/47
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048・瀧山養
○瀧山説明員 そういたしますとそちらの方の数字が正しいと思います。実はきょう用意がありませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/48
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049・正木清
○正木委員 この数字が正しいのでございましょう。これにたとえば新線建設がどうとかいろいろのものが加わって資本及び工事勘定の総体となって現われてくる。こうなると、この七百五十億がずっとついてくる、そういうふうに私の調査ではなっておるわけです。そこで端的にあなたにお尋ねするのは、わかりやすく言うと、すでに四カ年においてこの工事勘定だけで七百五十億の穴があいたわけですから、そうすると当初の計画の資本及び工事勘定の最終年度は一千二百七十三億になっておる、そうでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/49
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050・瀧山養
○瀧山説明員 大体そうでございます。端数は若干違いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/50
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051・正木清
○正木委員 もうすでに四年目で七百五十億の穴があいておる。そうすると三十六年度になりますと、国民に約束した通り五カ年事業を資金面で一応完成させるとすれば、この一千二百七十億プラス最小限度七百五十億の資金計画が立たなければ、工事は予定の通り進まないのだ、こう考えてよろしいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/51
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052・瀧山養
○瀧山説明員 ワク的にはまさにその通りでございます。しかし、その工事の内容が、先ほど兼松理事から説明ございましたように、たとえば取りかえ諸改良、これは行政管理庁の勧告もございますし、老朽施設の危険なものを取りかえ一掃するということに私ども非常に重点を置いておりましたので、ほぼ順調にいっておりますけれども、非常に長期を要しますたとえば幹線の線路増設とかあるいは電化等は、ある程度資金のズレのために、若干ずつおくれてきております。だから資金を入れましても相当困難ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/52
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053・正木清
○正木委員 だんだんあなたのところの経営の内容がわかってきたわけです。私の言ったのは三十六年度の予定の資金計画の千七百二十五億に、四年度ですでに七百五十億の穴があいている。当然これはプラスしなければならない。そのほかに今あなたの御指摘になった部分、これをもし資金計画に入れなければこれは国民に約束した通り——あなた方はいろいろの理由をつけている、それはあとで機会を見て聞くことにして、いずれにしてもさらに資金をふやさなければならない。私の大ざっぱなものの考え方では千七百二十五億、さらに七百五十億、さらに二千億程度の資金を充当しなければほんとうに五カ年計画の当初計画した通り——今は事情が変わっているかもしれぬが、当時あなた方は五カ年計画を立てて詳細な資料をこの委員会に提出し、三十二年度の国鉄予算案は、野党の反対があったとしても与党の絶対支持で議会を通過している。だから、私はさらに二千億ぐらい必要だと考えているのですが、あなた方はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/53
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054・瀧山養
○瀧山説明員 今御指摘のように非常に重要な幹線工事、電化についてはおくれております。それから一部三十三年度から実施されました利用債、地方の方の資金によって工事を推進するというようなものは比較的早く進んできておりますので、そういう関係で、今御指摘のように重要なものはおくれておりますけれども、国鉄といたしましては、五カ年計画発足後に非常に近代化いたしまして、能率向上、車両の運用なんか非常に進歩したものですから、その面は、資金のおくれということについてはそうでございますが、輸送の面では相当改善されておりますので、その辺がどうなるかということは今実は検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/54
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055・正木清
○正木委員 検討はけっこうですが、いずれにしても私はちらほらまたあなたの方が運賃値上げをするとか聞く。私は運賃値上げそのものには必ずしも反対をしているものではないが、しかし問題を明確にしないでうやむやの間に国民に押しつけ、国民から反駁を買うようなことは避けなければならない。そこで国鉄の経理内容の現状というものは、どういう状態になっているのだということを明らかにすることがまず先決問題です。ですから、あなたの方も予定の通りいくとすればこれだけの資金が必要なんだということを明らかにさせなければいけない。そこで、私の今の質問のワクの中では、千二百七十三億に七百五十億ですから、三十六年度工事勘定だけでも約二千億の資金が必要だ、そのほかに、予定の通り事業をやるとすれば、少なくとも二千億近くの金が必要になってくるのじゃないか、あとで問題を出しますが、さらに問題を明確にするために、これは運輸省にもぜひ聞いておかなくちゃならないことなんですけれども、私、実は意外なものを発見したのです。三十五年度の国鉄の予算を詳細に調べていっている中に、例の私どもが一口に言う国債整理基金、これですね。一般会計からの繰り入れ分、この分は公社発足前の国有鉄道事業特別会計に属していた負債の総額であり、私どもは国債整理基金特別会計——これはあとで大蔵省の資金課長も御出席のようですから聞きますが、この国債整理基金特別会計から、国鉄は、三十五年度に五百億の借金のうち利子元金をも含めて支払い期限にきている金が三百億ほどありはしませんか、お答え願います。大蔵省でもけっこうです、運輸省でもけっこうです、責任ある答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/55
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056・山内公猷
○山内(公)政府委員 ただいまの分は二百九十六億きております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/56
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057・正木清
○正木委員 三十六年度は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/57
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058・山内公猷
○山内(公)政府委員 三十六年度は少なくなりまして十五億六千万円です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/58
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059・正木清
○正木委員 そこで、運輸省の局長、これはどういう経理か、私は国鉄の立場になるとわかるのですが、これは大蔵省の資金課長に聞きたいのですけれども、私は財政法上は違反ではないと思うのです。違反ではないと思いますが、少なくとも何千億の予算を持って経営心をやっておる国鉄が、当然政府に払うべき期限のきたこの五百億の借金のうち二百九十六億が、これが委員長どうなっているかというと、今年は十二億しか払っていないのです。そうしてあとはみんな借金の書きかえで次年度に繰り越されているのです。そうするとどうなるかというと、二百九十六億から十二億しか払っていない、ですから二百八十四億というものは三十六年度に書きかえをしたわけですね。資金課長、そうでしょう。答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/59
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060・鈴木喜治
○鈴木説明員 大体のことは承知しておりますが、正確を期する意味で主計局の主計官が来ましてから答弁させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/60
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061・正木清
○正木委員 運輸省、どうです。私の言うことは認めるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/61
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062・山内公猷
○山内(公)政府委員 これは御指摘の通り、二十四年国鉄が分かれましたが、当時国債を出しておりました、いわゆる鉄道債券、これを分かれますときに借金に振りかえたわけでございます。その金が当時五百三十六億でございました。それを順次支払って参ったわけでございますが、現在残っておりますのは四百八十六億でございます。うち御指摘のありましたものは、三十五年度二百九十六億、三十六年度十五億というのが期限がきておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/62
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063・正木清
○正木委員 そうすると、三十六年度の国鉄の資金計画というものは、あと問題がたくさんあるのでありますが、私の指摘したものだけでも三十五年度の最終年度の千二百七十三億と、四年ですでに七百五十億の穴があいている。さらに私は二千億を必要とするのじゃないか、こう思っているのですが、それは除外して、当然三十五年度に払うべき二百九十六億を十二億しか払ってない、これは予算に出ているでしょう、出ているのです。ですから二百八十四億というものは三十六年度にさらに書きかえているのです。しかも、これは明治初年の鉄道院時代からの借金ですよ。この予算書を見て、私、毎年考えさせられるのは、当初の利子は三分五厘です。今六分五厘です。そうだろう、大蔵省の資金課長。こういうことをやっているとどういう計算になるかというと、二千三百億を出るわけです、資金計画で。それから、これに東海道のやつが三十六年度は五百億見ると、二千八百億の資金を何とか都合しなければ、国鉄の経営というものは維持できないのです、これが私の企業であったら。こういう勘定になるのですよ。簡単に目の子算で考えてみてもそうなる。そうじゃありませんか。これは副総裁、いかがですか。これは時間の関係で、私が大ざっぱに言っただけでもこれだけの資金計画がなければ、来年度は軌道に乗って国鉄は発足できない、こういうことになりませんか、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/63
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064・吾孫子豊
○吾孫子説明員 当初計画通りということになりますと、まさに先生のおっしゃる通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/64
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065・正木清
○正木委員 そこで、さらに私、問題があるのです。これは瀧山さんにお聞きした方がいいと思うのですが、どういう問題があるかというと、これなんです。例の未竣工、何というのですか、あなたの方では工事の仮勘定ということになるのでしょうが、未竣工の点。それから、これは今まで私の方が注意してなかったのがいけなかったのですが、今具体的に申し上げます。さらに国鉄として重大な欠陥は、あまり、に多額に上る未竣工施設と未稼働施設をかかえ込んでおることではないか、この件に関しては新聞でもしばしば指摘されておるのであるが、一体未竣工施設並びに未稼働施設の年次的状況は金額で表わすとどのようになるか、私の質問の要旨はこれであります。今の私の質問したことわかりますか。未竣工施設と未稼働施設、これは私は想像ですよ、私は新線建設に非常に欠陥があると見ているのです。政治的ないろいろな意味で食い散らかしをやって、重点的にやっていきませんから稼働線にならないわけです。こちらにちょこっと口をかけ、あちらにちょこっと口をかけ、これが驚くなかれ数百億あるのです。こんなことをあなた私の会社でやってごらんなさい、何兆億の資本を持った会社だってつぶれてしまいますよ。それからもう一つは、未竣工の施設のものは、残念ながら国鉄経営者の当初の五カ年計画に大ざっぱな点があって、緻密な点が欠けておったところに食い散らかしが出た。これは年次別にやってごらんなさい。三十二年度は幾ら、三十三年度、三十五年度は幾らと。ここで私は瀧山さんに聞きたいのです。あなたはこういうことを言っている。あなたは私のように率直に言えないもんだから、こういう表現を使っておる。これじゃないかと思うんですがね。あなたはこういうことを言っておる。「その内容は継続工事が多く、尻上りに資金を必要とする時期に逆に減少を見たので、」云々、ここの中に意味深なあなたの心根があるんじゃないか。その意味深の具体的内容というのは何だというと、この未竣工施設、未稼働施設をさしているのではないか。だから、三十二年度を起点として、三十二年度では未竣工施設でこれだけ、未稼働施設でこれだけというように、三十六年度までここで明らかにして下さい。そうすると、問題がはっきりしてくる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/65
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066・瀧山養
○瀧山説明員 今ちょっと御注文の数字そのものは用意いたしておりませんけれども、趣旨は三十二年度から着工いたしまして、今のように収入の減、あるいは経費の若干の膨張のために工事経費のワクが少なくなって参りましたので、着工その他については部内で非常に検討いたしまして、新線建設は別でございますけれども、改良工事については極力未竣工にならないように効果の上がるような着工法をとっております。とっておりますけれども、やはり継続工事というものは、今日のように日本の生産が予定以上に非常に強くなってきて、隘路が出ております、早く竣工したいということから、計画したものはやはり優先にこの秋までに何とか竣工したい、こういうことで、継続工事優先という線を出しているわけでございます。そういう意味で、未竣工をなくすという努力を払っておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/66
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067・正木清
○正木委員 あなた方の答弁は東條さんの言った竹やりでB29を落とせというような考え方から一歩も出ない。あなた方、私に答弁するのはそういうのではだめなんです。私は相当詳しく調べたつもりなんだ。あなたの方に資料がなくても、国鉄にあるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/67
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068・兼松学
○兼松説明員 未竣工施設と未稼働施設両方で建設仮勘定に入っておりますものは、三十三年度で合計で四百三億九千七百万円です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/68
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069・正木清
○正木委員 三十三年度ですでに四百億の金が寝ちゃっているのです。これはえらいことなんです。
そこで私は国鉄当局にお尋ねするのですが、三十三年度で四百億寝ているのですから、これが三十四年度になると、さらにふえるんです。三十五年度になると、またふえるかもしれない、こういう見通しについてお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/69
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070・兼松学
○兼松説明員 現在の状況では、毎年八十億ないし百億増加する予定でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/70
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071・正木清
○正木委員 そうすると、吾孫子副総裁、三十六年度の資金計画について、国鉄としては青写真であっても、僕らはすでにできていなくちゃならないと思うが、一体これはできておりますか。三十六年度の全体の資金計画ができておれば、私は少々具体的に承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/71
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072・吾孫子豊
○吾孫子説明員 三十六年度以降の資金計画と申しますか、国鉄の経営計画全体につきまして、御指摘のようないろいろな問題がありますので、今長期の見通しも合わせて、従来実施して参りましたこの五カ年計画等についても考え直さなければならないということで、三十六年度の予算要求までにしかるべき対策をはっきりさせたいということで、目下検討中でございます。大ざっぱな試算としましては、三十六年度は赤字にならざるを得ないというような見通しで、憂慮しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/72
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073・正木清
○正木委員 そこで、いずれ私は時間をいただきまして詳細に検討したいと思いますが、一応大ざっぱであっても、三十六年度の国鉄の経営状態というものは全く悲観すべき状態である。これは私一人だけが言っているのではないのです。瀧山さんの部屋では「三十五年度日本国有鉄道基本計画」の中で、絶望的に近いこういうことすら言っているわけなんです。どういうことを言っておるかというと、「金利その他経営諸費の増加は国鉄財政を圧迫し、現状のまま推移すれば将来にわたって収支の安定を欠き、予定された諸計画を遂行することができないばかりでなく、国鉄の経営そのものも維持できなくなるおそれがある。」委員長、ここまで思い詰めているのです。ここを運輸大臣、あなたはとくと考えてもらわなければ困る。国鉄の事務当局はここまで思い詰めておる。その結果出た一つの解決の方法としてはどうかというと、「国鉄五箇年計画は第四年目を迎えたが、国鉄財政の悪化につれて、その進ちょくは必ずしも順調といえず、経済情勢の変化、その他諸般の事情の推移にかんがみ、再検討を要する段階にきている。」こう言っておる。だから国鉄の資金の悪化状態は国鉄計画の再検討を来たさなければならない、結果論を言っておる。私はこの席上で総裁の責任がどうだとか、国鉄の首脳部の諸君の経営能力がどうだとかいう問題はきょうは触れませんが、いずれにしても運輸大臣はほんとうにこの点を頭に入れてお考えを願いたい。なぜ私はこの点をやかましく追及するかというと、私自身が国会議員の職責もありますが、私はやはり国鉄の企業として、公共企業体としての新しい企業形態を順調に発展させていきたい、そうして国民から信頼される国鉄にしたい、労使一体が努力さえすれば、国民から期待される国鉄の企業内容を実行に移すことができる、これ以外何にもないのです。それがためには一体具体的にどうすれば国鉄は再建されるか、こういう問題が当然ここで出てくるわけです。そこで私は大蔵大臣の出席を御要求しておるわけでございますが、私は国鉄がなぜここまで追い詰められてきたかというと、そもそもの出発が公共企業体というものに対する政府の明確な、具体的な方針がなかったというところに失敗があったのだと思う。ですから私は——国鉄ばかりではありませんよ。企業体というものをむずかしくいうと、企業体とは一体何だ、企業体の定義になりますが、そんなことは別として、国鉄の場合一つ考えてみても、三木の柱が必要なんです。これは鉄監局長に私の考えが間違っているかどうか御答弁を願いたいのですが、公共企業体には三本の柱がある。一つは何だといえば、国策として国の要請によって国鉄が好むと好まざるとにかかわらず事業をやらなければならない。具体的にいうと、今度の東海道幹線増設もその一つ。新線建設なんかももちろんその一つ。これは当然国の全額出資があるべきものが公共企業体の柱の一本でなければならない。もう一つは何だというと、国鉄も企業体ですから、明治初年の施設そのままでいいという理屈はない。日進月歩どんどん近代化していかなければなりません。世間でいうオートメーション化です。これは当然借金で差しつかえない。借金をして企業を拡大する。体質改善をやってそこで利潤が上がってその借金を返し、利子を返すことができるのであれば、これは借金政策でけっこうなんです。それからもう一つ大切な点は、この損益計算の自己資金、この自己資金というのが当然老朽施設の改良諸工事の方に全額投入されなければならない。この三本の柱が立ってないから今日このような結果になったんではないか。そこで三十六年度の資金計画が立たなくなってしまった、経営の維持すらできない状態になったと審議室では絶望的なことを言い出してきたので、ついに国鉄の首脳部の諸君も、この三本の柱の一つを取り上げざるを得なくなった。それは何だ。具体的にいうと、東海道の幹線の増設に百億を国が出資してくれ、それから新線建設で全額出資できないのであれば、せめて利子だけでも補給してくれ。運輸省もこれを認めざるを得ない、これなんです。そこで私は、これはいやでもおうでも、あなた方は認めちゃったのですから、私の言うのを認めないとは今さら言えないと思うのですが、念のために運輸省から聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/73
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074・楢橋渡
○楢橋国務大臣 ただいま非常に建設的な御意見、また示唆に富んだお話を承りまして、むしろ運輸大臣として非常にありがたく実は感ずるのでありまして、私も、実は大臣になりましてから国鉄の実態をだんだん調べるにつけまして、非常に不安定といいますか、その実態があまりにも悪化しておるといいますか、こういう状態では、とうてい国鉄自身としては立っていけない。こういうことから、閣議におきましても、国鉄の実態というものを一体どう政府は把握するか、公共企業体としてこれを独立採算で認めるといっても、一面においては公共性を強調して、しかも採算のとれないものを国家の要請によって犠牲にする、それを国家がめんどう見ない。一方には運賃その他の問題は、やはり国会その他の関係もあり、他の物資との関係等もあって、これもやはり他の意味における公共性から押えられておる。これではとうてい国鉄というものは立っていくはずがない。従って、急速に国鉄というものをどうするかということを政府が腹をきめなければならない段階にきておるということを強く主張いたしまして、ちょうど農産物資の問題等もありますから、あれを契機といたしまして、経審長官、大蔵大臣、通産大臣その他の関係閣僚ともこの問題を取り上ぐべく、実はいろいろと検討さしておるのでありまするけれども、今、正木委員がおっしゃいましたように、非常な容易ならない段階にきておるし、ぜひともこの問題について徹底的に、やはり大蔵省その他においても腹をきめさせていかなければならぬということを私も感じておるのでありまして、微力にして、まだその点について十分なにすることができませんが、今、当委員会においてこういう御意見等を承りますにつけましても、私は一段とこの問題に根本的なメスを入れて、今おっしゃいましたような——私も今おっしゃいました三本の柱ということは、最もこれは分析されて妥当なことだと思います。国家が要請したものについては、国自身がやはり出資するなりこれを負担するということ。また近代化の問題、あるいは損益計算におけるこれらの問題を新しい線に沿うて切りかえていく、つまり自己資金というものを体質改善に持っていくということをやって、近代的ないわゆる利益を追求し得る態勢を少なくともとるということは緊喫の要事だと思うのでありまして、その点につきましては、私も非常な責任を感じ、かつまた同感でありますから、できるだけ努力をいたしたいと思うのでありまして、こいねがわくは、大蔵大臣がこの次出られますときは、ぜひ一つその点を強く当委員会からも主張してもらいたい。はなはだ無力ですからお願いする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/74
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075・正木清
○正木委員 運輸大臣、実は大蔵大臣とお二人並んでお願いしようと思ったんですが、僕は運輸大臣の政治力を大いに期待し、また国鉄、運輸事務当局もあなたの政治力に大きく期待していることは間違いありません。これはおべんちゃらを言うわけじゃございません。そこで私はあとで幾多問題を提出して御意見を承りますが、国鉄の総裁や首脳部の諸君が何ぼ向こうはち巻したって、三十六年度は一大危機です。これはだれが何と言っても危機です。そうして東海道の幹線増設などは予定の通りいくものじゃありませんよ、どっちかしら犠牲にしなければ。そこで運輸大臣、私はこれ以外に妙案はないと思う。私は大蔵大臣にも懇々と頼みますから、閣議で、国鉄の再建の調査会ともいうか、そういう思い切った権威あるものを作ってもらって、そこで責任ある人々に委員になってもらって、洗いざらいさらけ出して国鉄の実体を抽出して、そうして国鉄をどうすればいいか、ここまでいかなければ運輸大臣お一人では骨だと思いますね。それからもう一つは、運輸省として、大臣の直轄のそういう調査会を作って、国鉄に何ら気がねをしないで、運輸省の監督の独自の立場でやはり調査会を作って、そうして仕上げをする。それでなければとても三十六年度の国鉄の予算なんか組めっこありません。そういうものをお作りになってはどうか。これは私は大蔵大臣には懇々とお願いしますから、いかがでしょうか運輸大臣もそれくらいの腹を持ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/75
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076・楢橋渡
○楢橋国務大臣 その点は、十分に私も考慮して、ぜひそういうような方向に持っていきたいと思って、今まで運輸省もいろいろなことがございまして、各方面のことをだんだん何しましたが、今、国鉄の問題が、一番大きな運輸省の前にふさがっておる問題ですから、ぜひそういう線に沿うて打開するための具体的な推進をするような方策を講じたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/76
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077・正木清
○正木委員 そこで三本の柱がはっきりしたわけですが、例の運賃についての公共的負担ですね。これなんかも関係の一つです。そこでどなたから御答弁下さってもいいですが、定期の割引、新聞雑誌の割引、特別等級等による割引、貨物の暫定割引で、年額で総額幾らくらいになりますか。それから全運賃収入の中でこの割引率は何%になるか御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/77
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078・吾孫子豊
○吾孫子説明員 国鉄が運賃面で負わされております公共負担は、定期の高度の割引、新聞雑誌の特別割引、特別等級による貨物の割引、貨物の暫定割引等で、年間五百億円の多額に上っております。これは国鉄運賃収入の一六%を占めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/78
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079・正木清
○正木委員 これなんかは、当然私の今の問題の提起からいけば政府が考えなきゃならぬ性質のものなのです。これは私一人が言っておるんじゃないのです。私は各界のいろいろな資料を集めているのですが、物のわかった学者であろうと、経験者であろうと、全部言っておることなのです。言わないというのであれば証拠を多数持っておりますから出します。
その次に、これは大蔵省に聞いてもいいし、鉄監局長に聞いてもいいが、これも新しい問題になる性質の問題であるので、私は問題を新たに提起してみたいと思います。政府の資金運用部から借りている長期借入金が膨大なものがございますね。これは国鉄の性格から見て当然償還期限の大幅延長ということが今の段階では考えられるんじゃないか。どうしてそれが考えられるかというと、このことは運輸大臣にも委員長にもお聞きを願いたいと思うのですが、開発銀行から出している場合は、電力は六分五厘で三十カ年、石炭は三十カ年、海運は十五カ年、私鉄は二十カ年、それから地方自治体の公共施設等に対しても、大体は三十カ年です。そうすると、これはいかがですか、新しい問題として研究の余地があると思うのですが、今の国鉄のこの財政状態をもってしては、今の予定の償還期限では払い切れないわけですから、国鉄の財政の再建を今しなければならぬときですから、こういう問題も問題の一つとして研究に値するのではないか、こう思いますが、鉄監局長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/79
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080・山内公猷
○山内(公)政府委員 国鉄の利子の問題でございますが、国鉄の現在借りております利子はいろいろございまして、先ほどお話しのように六分五厘から、縁故債が一番高くて七分四厘ということになっております。もろもろのそういう借金がございまして、現在三十五年度期首の借金が全部で二百三十二億一千万円という非常に膨大な借金になっております。それでわれわれも、この借金の利子が年々非常にふえて参りまして、将来の国鉄の財政というものを考えました場合に、こういう固定費の増加というものは経営努力ではいかんともいたしかねるものでありまして、何らかの措置をしないというと国鉄財政を非常な破綻に導くということを考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/80
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081・正木清
○正木委員 今の局長の答弁は、利子の一部たな上げを再建計画の一案として考えておるのです。今それの御答弁になったのですが、私の言うのは、開発銀行がすでに重要産業に貸しておる金は六分五厘の利子で、そうして元利とも支払い期限というものは三十カ年です。これは政府は地方自治体の公共事業等に対してもやはり三十カ年ですね。ところが国鉄の場合はそうじゃないのです。支払い期限というものは十五年、七年、十二年、こういうようではとても今の国鉄の財政状態ではやっていけないのだから、当然私は支払い期限の、大幅な償還の延期の方策も一つの案ではないか、これも研究の余地があるんではないか、こう申し上げておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/81
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082・山内公猷
○山内(公)政府委員 その点につきましては、ただいま御指摘になりましたように、三十五年度に入りまして民間の専門家を集めまして国鉄財政を分析いたしまして、将来の国鉄財政のあり方というものを運輸省自体において検討すべく、今計画を持っておるわけでございます。その際お示しの点につきましても十分検討して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/82
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083・正木清
○正木委員 そこで問題は、再建方策についても政府と私の方と考え方で意見が大体一致してきたわけですから、三本の柱を基幹として一つ解決してさえくれば、国鉄というものは再建ができて国民の期待に沿うことができるんだ。あとの部分的な点については、これは運輸省の諸君を信頼する以外にないのです。私は今の総裁以下の諸君にも大きな不満があるけれども、だからといってほかからどういう人を連れてきてこれを建て直すかと言ってみても、根本の問題が解決しなければ、第一私は引き受け手がないと見ている、私のあさはかな政治感覚では。だからその点は別としてこの問題を解決していただきたい。
そこでなぜ私は先ほどことさらに国有鉄道事業特別会計に属する借金五百億を取り上げたかというと、これは予算面では国債整理基金特別会計分ですが、これに六分五厘払っているのですから、だから五百億とするとどうなりますか。三十二億五千万円の利子を毎年払っていかなければならない。利子だけ毎年々々ですよ。しかも、この借金の性質は鉄道院が発足したときからの借金が積もり積もったものです。そこに私は日本の政治上に大きな時代的なズレがあるのじゃないかと思う。これはそうでしょう。当時、大臣も私も国会議員であったが、戦争中はどうであったのですか。国鉄の特別会計に出たやつは改良工事もごちゃごちゃになった。鉄道に一銭も金をかけないで全部軍事費に取り上げたじゃありませんか。そうでしょう、大臣。国鉄の特別会計の自己資金を全部軍事費に取り上げてしまって、そうして全然鉄道の取りかえを一本もやらない。そうして借金だけは一切がっさい国鉄に負担させる。ですから、かりにここで三十五年度の帳じり四百九十九億、こういう国債整理基金特別会計に属するものの支払いを大幅に延長するなり、それから利子のたな上げをやるなりしさえすれば、国鉄というものは決して悲観すべきものではないんだ。その根本的なものを解決さえすればそれでいいんだ。
そこで私は最後に、これは委員長にお願いした方がいいと思うのですが、国鉄の事務当局は二十五日のこの委員会までに、きょうここで問題を提起した、たとえば新線建設を全部政府出資にする、それから東海道幹線も全部政府出資にする、それから利子その他、三十二年度を起点にさかのぼってそういうものを一つ一つ整理する、運賃の公共的負担も政府がめんどうを見てくれるという仮定に立って整理する、そして整理した結果貸借対照表、損益計算書でどういうものが出てくるか、これを参考資料として私のところへ出してもらいたい。そうすれば今の国鉄というものは不健全な経営状態にある、もう立ち直ることができないのかできるのか、どうもたまたま私、同僚から聞くというと、国鉄当局は職員の給料が上がったから五カ年計画はうまくいかないのですとか、物価が上がったからうまくいかないのですとかとばかり答弁して、問題の本質に触れていないということを聞いておったものですから、私きょうあらためて触れたのですが、ぜひ吾孫子さん、副総裁どうですか。これを整理してみるのです。整理してみた結果あなたの経営能力が悪くてこういう状態になったのか、ならないのか、出てきましょう。これはぜひ委員長にお願いして、きょうの私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/83
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084・平井義一
○平井委員長 承知いたしました。それでは委員長から申し上げますが、国鉄当局がどうすれば採算がとれるのかということを、この次の委員会までに資料として作成を願います。
勝澤芳雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/84
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085・勝澤芳雄
○勝澤委員 大臣の御都合があるようでございますから、おもに最初二、三の基本の問題につきまして私は大臣にお伺いをいたしまして、あとは事務当局の方から御説明を賜わりたいと思います。特に今、先輩正木委員の質問の中でも言われましたように、そう運輸大臣と私たちの言うことが、意見が相違する点はないと思いますけれども、やはりその点は政治的な立場で十分な配慮を賜わって御回答をいただきたいと思います。
さまに今の質問の中で明確にされましたように、国鉄の経営というものは最近きわめて困難になっておりますし、前途はお先まっ暗だ。このことは内部における経営努力によって克服をすることはもちろんでありますけれども、同時により以上日本国有鉄道法なり、あるいは公共企業体等労働関係法なり、あるいは運賃法等の制約、あるいは莫大な借入金、あるいは公共割引の負担、あるいは累積する利子、あるいは予算における強い制約等大きな障害になっていることは指摘された通りであります。今日の国鉄は公共性の擁護を強く要求されながら、独立採算を無視して、数多くの犠牲については何らの補償も受けていませんし、しかも一方では航空機あるいは私鉄、自動車等の発達、あるいは高速道路の整備等により交通界における独占企業ではなくなりつつあるわけであります。従ってこの状態である限り十年後、いや五年後、今日もうすでに国鉄は行き詰まっておるということがいわれておるわけでありまして、そういうような状態にある中で国鉄の幹部は内に向かっては合理化を行ない、労働強化を行ない、あるいはレールをはずして自動車を走らせ、あるいは貨物の集約輸送をやっている。外に向かってはいわゆる赤字路線というものを借金をしながらどんどん作って、そうして物笑いになっている。運賃制度調査会の答申においても学割は直ちに実施をした。しかし公共割引については依然そのままになっておって、学生諸君には弱い者いじめをされておる、こういうことがいわれておるわけであります。まさにこういう問題を考えてみたときに、やはり先ほどから指摘されているように、根本的にこの際何らかの対策を立つべきであると思いますが、この際、やはりこれらの国鉄の経営者の責任の体制を明確にするとともに、政治的な支配を排除して自主的な運営をはかるべく真の公共企業体としての国鉄経営のあり方を根本的に立て直す必要があると思いますが、大臣のお考えを一つ最初にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/85
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086・楢橋渡
○楢橋国務大臣 御説ごもっともでございまして、どうしてもこの機会に国鉄のあり方というものを根本的に究明して、公共企業体としてのあり方あるいは独立採算的な立場をどうとらせるかということを確立しなければならないと思うのであります。正木委員からも詳細に核心をつかれた御質問があり、また建設的な御意見があり、さらにあなたからもそういう御意見等を承りまして、運輸大臣といたしましては、この機会にほんとうに抜本的に基本的な問題に取り組んでこの問題を解決いたしたいと思うのでありまして、さいぜん申し上げましたように、もちろん閣内においても、あるいは運輸省それ自体の責任においても、そういう体制に持っていくように推進いたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/86
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087・勝澤芳雄
○勝澤委員 次に、一面の問題として、国鉄運賃のあり方の問題について質問いたしたいと思いますが、国鉄の運賃は国民の生活に重大な影響を及ぼすものでありますから、慎重にやらなければならないことは当然であると思います。しかし、企業採算を無視した公共性の押しつけというものは、必ず一方にそのしわ寄せがされ、犠牲を強要されることになるわけでありまして、運賃の決定は国会の承認を得るという例は、私の聞いたところによりますと、日本とセイロンだけだといわれているようでありますが、特に公共企業である電気料金あるいはガス料金等が、公共性の立場を持ちながら、原価主義で料金が決定されておるのを見ても、あるいはまた、さきに鉄道運賃制度審議会においても、独立した運賃の審議会を設ける必要があるということが指摘されております。しかし、だからといって、私は国鉄の運賃の値上げに直ちに賛成するものではありませんが、公正妥当な運賃決定の方策を考えるべきであると思います。もし国の政策の上から運賃をきめなければならない場合においては、当然国がこれに対する政策の中でやるべきでありまして、すし詰めの通勤電車の立ちんぼのお客からその運賃を埋め合わせるという方法はやはり考えなければならぬと思います。なお、国鉄再建の方策と考え合わせて、運賃の決定というものはどういうあり方が好ましいか、こういう点について大臣の御所見を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/87
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088・楢橋渡
○楢橋国務大臣 ただいま御指摘のごとく、公正に運賃をきめるというためには、やはり外国の例のように運賃審判所を作りまして、第三者の公正な立場から運賃を決定するというふうに持っていくことが一番妥当であると思うのであります。従って、でき得べくんば、やはりそういう公正な立場から運賃を決定してもらうという諸外国の例、こういう例を考究して、今回の国鉄の再建といいますか、立て直しの問題についてもぜひ取り上げてみたいと思うのであります。私もいろいろと資料等を見て調べますと、やはり日本のようなこういう行き方ではほんとうに公正な運賃の決定はなし得ない。従って、公共的な場合に、やむを得ず運賃をそういうような線で押える場合におきましても、そういう第三者的な公正な機関によってやりますれば、国が負担する分、その他の分は合理的に解決されると思いますから、運賃の決定というものは、諸外国の例等も考究いたしまして、この機会にぜひ一つ取り上げて研究してみたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/88
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089・勝澤芳雄
○勝澤委員 次に私は東海道の新幹線の問題についてお尋ねいたしたいのですが、まさに東海道の新幹線というものは国鉄経営の切開手術だといわれているようであります。ある説によるならば、太平洋戦争のさなかに、世界の海軍が航空母艦に力を入れていた時代に、帝国海軍はとてつもない莫大な金で世界一の大和を作った。大和は飛行機のえじきになって撃沈をされた。安全保障条約の改定で自衛力の増強を押しつけられて、アメリカで廃止をされた世界最後の有人機であるロッキード戦闘機を、今から五年後に作ろうとしておる。世界一の夢の特急だといわれている東海道線が今着工されている、
こういうことがいわれております。そこで一体東海道新幹線というのはできるものだろうか、大丈夫だろうか、私はこういう点で心配をいたすわけでありますが、この新幹線がなぜ必要であるか、今後のわが国の交通政策についての御所見もまたあわせて大臣に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/89
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090・楢橋渡
○楢橋国務大臣 東海道線は、御存じのように、今日貨物その他においてもうさばき切れない段階になっておって、複々線の問題等も起こっておるときでありましたので、この新幹線によってその輸送を緩和しよう、また採算的に見ましても、日本の大動脈でありますから、そこの輸送険路を打破するという意味において新幹線が企てられておるのでありまして、これはぜひとも完成し、かつまた採算その他につきましても、また公共的な立場、日本の経済的な大きな一つの興隆の立場からいってもやはりこれはとらるべき問題であると思っておるのであります。従ってさいぜん正木さんの質問等において応答がありましたような線に沿いましてあらゆる努力をして完成したい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/90
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091・勝澤芳雄
○勝澤委員 新幹線が国策としてやられるということはよくわかるわけであります。しかし、今の新幹線を推進しているのは、国鉄が孤立をして推進をしているように思うのです。そういう観点から、やはり運輸省を中心に、政府が一体となった新幹線建設の推進ということが必要である。それと同時に、やはり先ほども質問の中で明確にされたように、これに対する金は大丈夫なのか、こういう点について一つ大臣の御所見承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/91
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092・楢橋渡
○楢橋国務大臣 この新幹線の問題は、もちろん国鉄というよりも政府で取り上げておる問題でありまして、運輸省といたしましても重大なる責任がありますので、その万全を期したいと思うのであります。従って国内においての資金調達の不足分は外資によるということで、先般も兼松理事があちらに参りましていろいろ折衝しておるような段階であります。資金その他の面等につきましても万全を期すために努力をしておるので、さいぜんから応答がありましたような線に沿うてあくまで努力をしてその完遂を期したい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/92
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093・勝澤芳雄
○勝澤委員 大臣に次にお尋ねいたしたい。これは政府の問題としてやっている。しかし現実には国鉄だけが孤立して進めているように思うのです。そういう点で、運輸大臣として、やはり閣議の中で、この問題については建設省なり、あるいは農林省なり、あるいはまた自治庁なり、あるいはまた地方の機関に対しても、ただ単に国鉄というだけでなくて、政府としてもっと積極的な支援といいますか、協力といいますか、こういう態勢を作るべきときにもう来ているというように思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/93
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094・楢橋渡
○楢橋国務大臣 御説ごもっともでありまして、これが新幹線を完遂するにつきましては、今御指摘になりましたような、非常に各省に及ぼす影響等もありますので、そういう意に沿うて私の立場といたしましてもできるだけ緊密な連絡をとり、その完遂に努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/94
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095・勝澤芳雄
○勝澤委員 地方の自治体に対する協力の要請ということは、用地の買収をめぐって一番大事なことだと思うのであります。そういう意味におきまして、先ほど問題になりました岐阜県の羽島駅ですか、こういう観点からも、われわれもよくわかるような気がいたします。従って今各所に、たとえて言うならば東海道の中でも吉原あるいは沼津、三島、こういう重要な工業地帯になろうとするところを通る場合に、いわゆる駅を何とか設置してくれ、こういう要求が今強く出ておるわけでありまして、こういう要求をやはり考えながら、それと同時に、地元の協力態勢を求めるということは、これはやはり建設をする中で当然必要なことだと思うのですが、すでに駅はもうきまって、これ以上ふやす考えがないということを伺っているようでありますけれども、それはそれといたしまして、建設を進めている中で、こういう問題は十分考慮しながら、ある程度地元の要求を入れてやるということが必要だと思うのですが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/95
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096・山内公猷
○山内(公)政府委員 現在予定されております駅は、増加をする意思はございません。それで、この点われわれの方も大いに啓蒙をし、また今までPR不足であったのを十分地元の人にわかってもらわなければならぬと思っておるところでございますが、先ほどから御説明申し上げておりますように、新幹線ができますと、旧東海道線の輸送力が相当余裕が出ます。それで、現在各方面から輸送力増強の要望が相当ありますが、東海道線につきましては、なかなかその要望を満たし得ない状態になっております。そういった点で各方面の要望を、この線ができました暁には相当大幅に満たし得るということも考えられますし、また残りました東海道線が中距離の運送において非常に多くの寄与をなすという面から、旧東海道線のあり方につきましても、国鉄ではもうすでに検討をいたしておるわけでございます。そういう面において地元の方にも十分御了承を得るように、本省におきましても陸運局が出先機関でございますので、陸運局のそれぞれの面には、十分この東海道線の建設につきまして協力するように指示をいたしておりますし、中央におきましても、もちろんこの問題は国鉄だけが孤立をしてできるものではございませんので、われわれも一体となりまして、この円滑な推進に努力をいたして参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/96
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097・勝澤芳雄
○勝澤委員 大臣もお急ぎのようですから、もう一問だけ大臣に聞きまして、あとは事務当局の方から順次こまかい説明を聞きたいと思いますけれども、世銀借款の見通しでございます。見通しがいいような悪いような話をいたしております。そこで、この調査会の答申によっても、国内で資金は十分ある、国内でも世銀から金を借りなくても、わが国の経済力でまかない得ないほどのものではない、こういうことをいわれておるわけであります。こういう観点から考えてみて、世銀借款の見通しから考えてみますと、鉄監局長も本委員会で言っておりますように、条件によっては借りないこともある場合もある、こういう言い方をされておるようでありますが、大臣、もしこの世銀借款というものが、見通しがかりに困難になっても、国内的に政府資金の中で十分これはやる用意があるのかないのか、こういう点を一つお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/97
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098・楢橋渡
○楢橋国務大臣 現在のところでは世銀借款を、先般も、昨年でありますか、佐藤大蔵大臣からいろいろと折衝をいたしてくれまして、大体一億ドルを見当といたしまして、二回ほど兼松理事が参りまして、先般参って帰ってきました報告等によりますれば、いずれにしても、五月の末くらいに向こうの技術者が来て調査をするという段階になっておるのであります。従って、できればやはり予定通りに世銀からぜひとも借り入れをしたい、こういう方針で進みたいと思うのであります。もしそれができなかった場合はどうするかというお話でありますが、その場合は、できなければやむを得ないから、やっぱり国内において調達するという問題も起こってくると思いますけれども、現在の段階では、世銀にその一部のものを十分に一つ調達できるように努力をするという段階になっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/98
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099・勝澤芳雄
○勝澤委員 それでは、大臣もお急ぎのようですから、大臣に対する質問はこの辺で終わりまして、あと事務当局に対しまして——大臣に対する質問が久保委員の方からあるようですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/99
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100・久保三郎
○久保委員 関連してそれでは大臣に一つだけお伺いいたします。ただいままで正木委員並びに勝澤委員からお話がありましたが、国鉄の経営の問題であります。きょう開通式をあげられるというお話の、鹿児島だと思いますが、枕崎線の問題であります。これは中途であるようでありますが、こういう新線を建設していたのでは、これでは鉄道は赤字である。公益負担をされながらこういうものをやっておったのでは——これは不良資産です、とうてい国鉄は健全な経営はできないと思うのです。しかも新線建設は政府の方針でやっておる。だからぜひ大臣にこれをお聞きしたいのです。この新線建設は十七キロちょっとでありますが、ここに私は略図をもらってきました。今度の開通は途中までで、今後工事を続けて、枕崎までこれはいくわけでありましょう。山川というところから枕崎までつながる。その中間のところまでが今度の開通。ところがこれは、片方は南薩鉄道がやっておる。南薩鉄道は、今日でもいわゆる赤字鉄道のようであります。これは早く言えば、枕崎まで国鉄が開通すれば当然買収ということで裏には動きがあるということが一つ。それからもう一つ、南薩鉄道は、この枕崎線一帯に対して並行路線のバスをやっておる。そうしますと今日ただいまでは、国鉄のバス路線もこれに並行してございます。それから南薩鉄道のバスがある、そこへ今度は鉄道を入れる、こういう二重、三重の投資が、はたして日本の交通政策にとって正しいかどうかという問題が一つ。それで国鉄のバス一つをとりましても、今日枕崎の線といいますか、この線を走っておる国鉄バスは、これは従業員と管理者の努力でありましょうが、営業係数は約とんとんの一〇〇になっている。ところが枕崎線の営業係数の見通しはどうかというと九〇〇以上になっている。今日新線建設は大よそ、幾ら営業係数が上がっても六〇〇くらいです。平均して四〇〇。しかも既設線でこういうローカル線は、今鉄道部内においては、あなたも御承知のように線路をバスに置きかえようという考えもある矢先、今度はバスを鉄道に置きかえて、営業係数を一〇〇〇近くにする、これはこの間国鉄から資料を、私は要求してもらったが、こういうことであります。これに対して私は実際義憤を感ずる。こういうことがあっていいのかどうかということです。この収入の見込みでありますが、収入の見込みは、現行の運賃では年間約五百五十四万七千円、これに対して支出は、直接の経営費が約九百九万八千百、それから市町村納付金が約三百二十六万四千円減価償却費が約八百九十五万四千円、資本利子が約五千百五十七万四千円、合計して七千二百八十九万円、これがいわゆる経費ですね。これに対して五百五十四万円しか上がらぬというのです。それで今日ただいまは、この国鉄バスが十分需要を満たしておる、こういう経営がいいのかどうか。さらにこの新線の停車場を見れば、今日ただいまの常識から見れば、停車場間は約四キロをもって国鉄は方針にしておる。ところが一キロ——二キロに満たざるところに停車場を作っておる。であるから、一つの町村に四つもできておる。これは何といいますか読み方ははっきりわかりませんが、開聞町といいますか、この町には四つ停車場がある。それから山川市ですか、大山市ですか、ここには三つできておる。こういう不経済な鉄道をなぜ作ったのか。なるほど地元の御要望があって作ったと思うのですが、しかしながら、きょう開通する線路は町のまん中は通っていない。この図面をごらんいただけばおわかりの通り、赤線が現在のバス路線でありまして、ここに関係町村道が通っている。ところが開通したところの線路はたんぼの中を通っている。こういうのがはたしていいのかどうか。しかも、これからもっと先に延ばして枕崎につなごうとしている。そして今後の運営は、バスもそのままやっていく、鉄道もやっていく、二重、三重の投資がはたしてこの地方に必要なのかどうか。そういう観点から、運輸大臣はこれは検査され許可を与えたか、これをまず私はお聞きしたい。聞くところによると、これは運賃審議会その他からの答申もあってでしょうが、特別の運賃料金を設定する、この思想に私はてっぺんから反対するということではありません。しかしながら、今日の国有鉄道運賃法の第八条からいって、これは可能なのかどうか、おそらく、特定運賃を設定することは、今日ただいま、いわゆる国鉄独自の判断で決定はできないはずです。にもかかわらず、今度はバスと汽車の共通券でやっていこう、一般鉄道より割高な運賃をここに押しつけて、しかも今このバスは営業係数が約一〇〇になってきた、とんとんになってきたという成績であるにかかわらず、これを圧縮し、合理化しようというのは時代逆行もはなはだしい。しかも同じ鉄道監理局の中に、今度はこれよりもっと営業係数の低いにもかわらず、管理所方式を押しつけて、停車場の無人駅を作ったりなんかしようという相反することがあるわけです。こういうでたらめなやり方では絶対に成り立たない。その上に東海道新幹線を作るなんということはおこがましい態度である。いかなる方針で政府は指導し認可されたか、それを楢橋運輸大臣に私は聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/100
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101・楢橋渡
○楢橋国務大臣 山内鉄監局長から説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/101
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102・山内公猷
○山内(公)政府委員 枕崎線につきましては、御指摘のように営業係数はあまり芳しくはありません。しかし、鉄道建設審議会の議を経まして、従来ずっと建設してきまして、でき上がりましたために開業したわけでありますが、ただ、今御指摘のありましたように、こういう赤字路線につきまして、国鉄の赤字を少しでも少なくするという意味におきまして、特別の運賃料金制度をとったわけでございまして、この点は第八条の解釈として、私どもの方としては可能であるということでございます。この点、建設審議会におきましても十分御審議を得たわけでございまして、枕崎線がそういう意味であまり営業係数がよくないので、そういった特別の運賃料金を設定し、地元の方々にも一部負担をしていただくというふうに考えているわけでございます。そのほかの、現在やっております方針といたしましては、できるだけ線の状態を考えまして、現在の建設線につきましては重点的に施行をしていこう、今後やる線につきましては、ただいま御指摘のありましたように、自動車にかえ得るものは自動車にかえていくという方針で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/102
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103・久保三郎
○久保委員 運輸大臣の御答弁がないのは不満でありますが、おわかりにならないのかもしれない。少なくとも、鉄道建設審議会でおきめになった責任は政府でありまして、国鉄ではないと思う。国鉄は押しつけられたのです。そうでしょう。それから鉄監局長、第八条をどういうふうに解釈するのか、日本語で書いてあるのですが、読んでも、この枕崎の運賃料金は特定にきめていいということはどこにも書いてありません。読みますよ、私が。第八条は「全体として日本国有鉄道の総収入に著しい影響を及ぼすことがない運賃又は料金の軽微な変更は、日本国有鉄道がこれを行うことができる。」こうある。これはこじつけですよ。運賃体系とか料金体系を変えても、全体として総収入に影響がないものはやってもいいということです。局部的なものをやって総収入に影響がないと言えば、これは何でもできる。こういうことでは運賃法をきめた精神が一つもなくなってしまう。これはこじつけです。法律違反です。しかし特定運賃は別として、とにかく私が聞いた範囲、これは私にもずいぶん遠いところでわかりませんけれども、少なくとも、これを見ますと、南薩鉄道は、枕崎まで通れば買収してもらおう、そういう運動が出てくるだろう。そうすると、南薩鉄道というものは不良資産は全部国鉄に押しつけ、そしてあとは不良でないバス、南薩鉄道はバスをずっとやっておりますから、いいところのバスだけを残してもらおう、こういう結果になりはしないか。しかしこの問題は本問題の本質ではないでしょう。とにかく今日世銀まで行って金を借りて新幹線を作るとか、あるいは五カ年計画は、ことしは予算が足りないから去年よりずっと減らすということをやっているやさきに、こういう線がどんどんできたのでは、これはたまったものではない。先ほど鉄監局長は、利用度の少ないところはみんなバスに置きかえるのだ、貨物の発送のあまりないところは集約運送をするのだ、それだけ見れば大へんりっぱかもしれないが、片方でそういう不良資産を残し残しいったのではたまったものではない。これはどうしたらいいのか、運輸大臣、ぜひ御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/103
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104・楢橋渡
○楢橋国務大臣 今承りまして、その点は基本的な問題にかかわる点もありますので、十分に調査をしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/104
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105・久保三郎
○久保委員 私は関連でありますから、この次二十五日にさらにこの問題をやりますが、きょうは大臣お帰りだというから、一言だけあなたのお耳に入れたわけですが、こういうことをやっておってはだめだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/105
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106・館俊三
○館委員 関連して一言だけ聞いておきます。さっきの運輸大臣のお話で、外債がなかなか困難で、一生懸命になって努力しておられるというお話が勝澤委員の質問に対してあった。そして、もしそれがだめであれば内債でもというようなお話が、今、久保さんの質問をするちょっと前にあった。そう聞いていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/106
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107・楢橋渡
○楢橋国務大臣 外債は、兼松理事が参りまして、よく国鉄の状況等を説明し、新幹線のことを説明いたしまして、しこうして、世銀の方でもこれに興味を持ち、また融資をしようという意欲もありますので、五月の末にこちらに調査団が派遣されるということを申したのでありまして、仮説として、それがもしだめであった場合はどうなるかという御質問でありましたから、だめであった場合には国内においてその道を開く以外にはないだろう、こういうことを答えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/107
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108・館俊三
○館委員 そこで、日国法の改正で外債の受け入れの条件を作ろうとしている。これは非常に重大な問題です。あぶなくなってきた、これは国会の権威に関係するということだけを言っておきたい。それをどうするか、そういうあぶないものをここに審議させるのかさせないのか。あなたまかせのように交渉している。内債にかわる場合があるかもしれぬ、そして日国法だけが世銀を相手にしてから回りして残った、国会の審議はそういうふうにきまった、そういう不見識な日国法の改正案の提案の仕方をされたのでは、私は考えざるを得ないという気持から、注意を促すために一言関連質問をしたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/108
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109・楢橋渡
○楢橋国務大臣 外債を成立させるという確信を持ってやっているのでございまして、さいぜんの、もしそれができなかった場合はどうするかということの質問でありますからそれを答えただけで、それを答えたから不安だ、そんなものはけしからぬ、こうはならぬと思いますが、あくまでも外債をなにするということで全努力をあげていることを申し上げているのであって、その点は一つ御了承を願いたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/109
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110・館俊三
○館委員 この改正は十分に慎重を尽くすべきであって、これは国会の会期中で解決しようという気持でなく、月に一回の委員会もあることですから、十分にそれがきまってからやらないと、実に不安な気持でこれを終わらしてはいけないと私は思っておりますので、一言言っておきます。今の問題でも私は前の永野運輸大臣に言った。経済界の問題がどうなるのか、かわれなかったらあなた方は廃止せざるを得ないのではないかということを私はしばしば言ったのであります。そういう羽目に陥っては当局としても困るし、運輸委員会の権威にも関するので、その辺どうお考えになっておるか、注意を喚起しておきます。これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/110
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111・勝澤芳雄
○勝澤委員 われわれ今までお聞きいたしたように、この国鉄の経営というのは困ったものだと思うのです。大臣もやはり総裁がお年寄りだから遠慮している点もあるように思うのです。やはり国鉄にまかせきりになっている。国鉄も私はもっと強くならなければいかぬと思うのです。やはりサラリーマン重役で、給料さえもらっていればいいじゃないかというような気持がどうも見える。そうしてそのしわがどこへ寄っていくかといえば、弱い大衆と弱い労働者に寄っていくのですが、そういう点はもう大臣に言わなくてもおわかりになっていると思いますから、一つ十分がんばって、やはり根本的な国鉄経営のあり方についての再建方策を考えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/111
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112・楢橋渡
○楢橋国務大臣 私は実は本日委員会に出まして非常に感激しておるので、正木委員及びあなたの非常な建設的な御意見等を承りまして、実は私といたしまして、責任者といたしましても、かねて考えもし、国内等においてもしばしば私がこういう問題について、国鉄の今後のあり方ということが重大な段階にきているので、政府自身が真剣に、これを避けることなく究明していかなければならぬということを強調しておったのでございます。将来におきましても、今度は一つ国鉄問題と真正面から取り組まなければならぬのだということを、官房長その他にも声明しておったやさきでありましたので、本委員会におきます両委員のお話は私も肝に銘じておきまして、できるだけ努力をしたい、こういうことを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/112
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113・勝澤芳雄
○勝澤委員 それでは事務当局に東海道新幹線を中心に御質問いたしますが、時間もだいぶたっておりますので、私は要点を簡単に申し上げますから、一つ簡単に御答弁を願い、もし答弁が不十分な点、あるいは困難な場合においては、後ほど資料でお出しを願いたいと思います。まず最初に、基本的な問題といたしまして、私は大きく、この資金の計画の問題、それから建設の計画の問題、それから完成後の経営の問題、それから建設にあたっての諸問題、こういうふうに御質問をいたして参ります。第一に資金の調達計画でございますけれども、先ほど正木委員の説明の中でも明確にされていない。ことしはきまったけれども、来年度以降はお先まっ暗だ、こういうことでありますけれども、やはり一応工事を進めていく上からには、ある程度の資金計画というものをお持ちになっていると思うのでありますが、調達について、自己資金あるいは政府資金、あるいは財政投融資あるいは民間資金、世銀、こういうふうに分けて、一体どういうふうな腹づもりを持っておられるか、まずお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/113
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114・兼松学
○兼松説明員 千七百二十五億円の内訳につきましては、先ほど副総裁からも申し上げました通り、正確な配分別の見通しはまだ立っておりません。ただ世銀に対しましては政府から一億ドルの申し入れをしてございますので、この点で三百六十億円の見通しが立っております。その他の部分につきましては、国鉄全体の予算の中から来年度借入金を主とした財源として百九十七億ということが出ておりますが、来年度以降はこの費額が増額して参りますにつきまして、どの部分がこういった借入金になるかということについてはきまっておりませんが、私どもはこの新幹線調査会の答申にもあります通り、できるだけ、政府の出資をある程度お願いしたいというお願いは続けるつもりでおりますけれども、その他については、財政事情を勘案されまして、国家として国鉄の予算に計上し得る借入金という格好で処理されるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/114
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115・勝澤芳雄
○勝澤委員 資金見通しは、これもまだはっきりしないということで大へん残念に思いますけれども、次に世銀借款の見通しについて、特に二回も行かれました兼松理事から今までの経過についての御説明と、なお五月に訪問され、九月には決定されるだろう、こういう見通しから、山内鉄監局長には、条件によっては借りないこともある場合もあるというように言われておりますので、一体予想される条件というものはどういうものであるか、その条件がどういう場合においては困難になるのかという点を、鉄監局長の方からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/115
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116・兼松学
○兼松説明員 経過は、昨年の秋に佐藤大蔵大臣から、世銀の極東部長のローゼンが参りましたときに、一億ドルの申し入れを政府として国鉄に対して出してほしいということをなされました。それ以前に大蔵大臣が国際通貨基金の会議に行かれたときにも、予備的な、お話があったようでありますが、正式な話はそのときが最初でございます。その際、世銀といたしましては、各国の金を預かっておる世銀としては、その計画が具体的に健全なものであるということと、国鉄ないしは政府がその償還に対して責任が持てるかどうかということをはっきりしないと、問題ははっきりしないということでございまして、前者の健全な計画かどうかという点につきましては、去る一月に技師長以下私どもみな参りまして、いろいろ完全に、一応の内容を資料を通じて説明して参りました。また世銀側といたしましては、正確にはそのとき、じゃ幾ら貸すかという話には、まだそこまでは進んではおりませんけれども、従来の世銀との交渉の経過を道路公団とかその他について見ましても、政府の申し入れがありまして、それに対して調査団をよこすということで、政府の申し入れを世銀としては受けて、それに対して具体的な内容を正確に債権者として調査して、これは銀行側としては世界各国からやはり金を借りているわけでありますから、その方の責任を負うために調査するという段階でございまして、私どもとしては、内容自体については本質的な疑問はないということを考えております。
それからまた、これが返せるかどうかという問題については、国鉄全体としての利子は、今までもあらゆる借金の利子は断わったことはございませんし、今回のものにつきましてはもちろん政府の保証がつくということを——これは公募債についてもついているわけでございまして、世銀借款だけに特に政府の保証がつくというわけではないので、公募債並みの条件をしていただくということでございますが、そういった措置で、向こう側に国家としての日本の保証ということで、支払い能力を了解してもらうということで、大体私は大筋としてはついておると考えております。こちらへ参りまして、具体的な調査の内容としては、やはり技術的な専門家が見て、国際的に、たとえばこの建設方式が妥当であるか、不経済な建設方式によってないかどうか、あるいは設計そのものに無理がないかどうかというようなことを具体的に調査することは予想されておりますが、これらの内容は国鉄としては技術上には十分の自信を持っていたしておるのであります。結果としては、私どもはそう心配をしておりません。なお条件といたしましては、今の政府保証ということと、それに対してもちろん法律上国鉄が借りられる条件にあるということは前提条件でございますので、御審議をお願いしているわけでございますが、そのほかに金利の問題と期限の問題がございます。期限は、従来の例で見ますと、十五年ないし二十五年を各国に与えておりますので、道路公団での例等を見まして、私どもは二十年と予想しておりまして、国内債より倍の期間であり、期間の点では有利であると考えております。それから利率につきましては、世銀のその時点における金利というものは、世銀調達資金の資金コストと申しますか、世銀債発行の利子の工合によるものでございまして、現在世銀債は最近のは五分で発行されておりますので、それに世銀のコストの約一分二厘五毛を加えました六分二厘五毛というのが大体の見当と考えておりますが、たまたま道路公団もその条件でなさいましたので、世界金利の方が下がってくればまた下がることも予想されますし、上がればまた上がることも予想されますが、大体において国鉄が予想する交渉期間内においては大きな変動はないのじゃないかということを予想しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/116
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117・山内公猷
○山内(公)政府委員 条件のことにつきましては、先般の当委員会におきまして、世銀の条件は妥当なものであろうというふうにわれわれは考えておるわけでございますが、かりに国鉄がのみ得ないような条件であればどうかという前提に立って御答弁申し上げたわけでありますが、そういう非常に苛酷な条件であれば、国鉄としても契約をするわけにいかないであろうという答弁でありまして、現実の問題ではございません。われわれといたしましては、条件は妥当なものであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/117
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118・勝澤芳雄
○勝澤委員 この条件の中で、かりに国鉄の全体の管理運営について支障を及ぼすような問題があるならば、その。場合においてはそれは考えざるを得ない、こういうふうに解釈をしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/118
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119・山内公猷
○山内(公)政府委員 どうも仮定の問題でございますので、一体どういうことが問題になるかわからないわけでございますが、たとえば、先般御質問がございましたのは久保先生の御質問でございますが、運賃改正というものを絶対条件にして貸すという場合にどうだろうかということ。私といたしましては、運賃改正という問題でございますと、国会の承認を得るわけでございまして、国鉄単独でそれはよろしいというわけにいかないのだ、それが絶対の条件だと先生のように仮定してのお話であるならば、それは成立しないのではないかという御答弁を申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/119
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120・勝澤芳雄
○勝澤委員 条件の問題でどういう形で出されるかということについては、今後の国鉄の経営の上からも重大な問題を及ぼすような場合においては、やはり相当慎重な配慮が必要だ、こういうふうに存じておりますし、また当然不利な場合においては、それについて無理に借りる気持もないということはわかりましたので、私は次の建設の計画の問題に入りますけれども、建設の問題につきまして、まず年度別あるいは工事の目標、あるいは区間別の、あるいは用地の買収の状態、それから要員の計画ですと、二千三百人といわれておりますけれども、年度別の新規採用、あるいは配置転換、あるいは労働条件、あるいは工事の実施の機構の問題にいたしましても、現在工事局だけでやっている。このような状態では行き詰まってしまうというのはおわかりになっておると思いますけれども、本社機構から地方機構までどういうふうな考え方を持っているか、これらの点について一つ御説明賜わりたい。もしあまり詳細にわからないようでしたら、またあとで資料でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/120
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121・吾孫子豊
○吾孫子説明員 それではまず工事計画の概要から申し上げたいと思いますが、五カ年の工期を目途といたしました第一年度である三十四年度は、全線の調査測量を極力推進いたしまして、工事を施行するための態勢を整えることになっておったわけでありますが、三十四年度中に測量の大部分は完了する予定でおります。また工事は、三十四年度は新丹那隧道並びにその付近及び相模川の付近、小田原の付近の間がおもなものであります。三十五年度は、三十四年度に着手いたしました工事を継続施行いたしますとともに、工期を制約するような大きな隧道、大きな橋梁などから順次着工いたします。そうして年度内に全線にわたって着工いたしまして、三十六年度及び三十七年度はその着工工事を継続施行することになるわけでございます。なお三十六年度中には相模川付近、小田原付近の間の一部完成を予定しておりまして、三十九年度の三月までには全線にわたって工事を完了する見込みでおるわけでございます。それからこれは途中の工事でございますが、新幹線のターミナルにつきましては、旅客の利便、それから東海道の現在線及び他の交通機関との連絡、それから用地入手の難易、技術上の難易及び工費等、諸般の点を考慮して選定いたしました結果、東京については現在の東京駅、大阪については宮原操車場付近が最も諸条件に適合するということで、これらの個所に設置することに決定をいたしました。
それから建設の要員でございますが、新幹線は比較的、国鉄のほかの工事から比べますれば、五年間という限られた期間の工事でありますので、建設要員が完成後の運営の負担にならないように、極力要員を抑制いたしまして、その不足分は部内事務全体の集中化、簡素化、あるいはまた部外委託、あるいはまた部外の技術力の活用というようなことによって足らない点は補うことにいたしまして、三十五年度においては千四百五十名の要員を計上しておるような次第でございます。将来の運営が開始せられました際、営業、運転、設備、保守というようなことに必要とされる要員は、おおむね五千名程度というようなことでただいま考えておる次第でございます。
工事の実施の機構といたしましては、現在本社には幹線局というものを置きまして、そこが中心になっておるわけであります。地方の実施機関といたしまして、四カ所に幹線工事局という現場機関を置きまして、そのもとに必要の区間に工事区を置くというような組織で現在業務を進めております。ただ、今回の日鉄法の改正の中でもお願いいたしておるのでございますが、本社における組織というものは現在のままでは不十分でございますので、いよいよ三十五年度から本格的な工事に着手することになりますので、本社の幹線局の機構というものもそれに即応して強化するように、ただいま具体案を検討いたしておるような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/121
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122・勝澤芳雄
○勝澤委員 工事の実施機構の問題は、現地へ参りますと、まことにお粗末なもので、工事局には一人もいない。市町村長あるいは地元民が陳情に来ても受け付けられていない、こういう状態でありまして、これはやはり建設区における一つの現象ではありますけれども、国家の目的のために土地を取られる農民から言うならば、まさに天災ともいうようなおそるべきことなのです。そういう観点から言えば、相当の考え方で、十分な機構を持って、そうして今までより以上に地元の理解と納得を得て話を進めていかなければならぬと思いますので、そういう点につきましては十分な御検討をされて、事務機構というものが、感情の中で問題がおくれるということのないようにしていただきたいと思います。
次に、技術上の問題についてお伺いをいたしたいのですが、現在までの技術試験の状態と、その中における速度あるいは車両、こういう問題がどこまで自信が持ててきたのかという点についてお尋ねいたしたいと思います。特に外国の鉄道の例を見ても、ドイツの場合においても、最高速度が百四十キロ、イギリスにおいても百四十五キロ、アメリカにおいても百二十九キロが広軌の最高だといわれておるのでありまして、今度の計画によりますと、平均速度が百七十キロ、最高二百五十キロ、こういうふうにいわれておりますが、技術というものがこの速度に可能だという具体的な根拠と自信についてお尋ねをいたします。それと同時に、やはり国内のレールあるいは国内における車両、こういうものでやれるのかやれないのか、また、外国の技術の押しつけというものがなされないのかどうか。特にこういう高速度で走った場合における安全性を確保するということは大へんな問題だと思います。この間の全日空の事故でもおわかりになりますように、ましてや同じこういうような高速で走って、たとえば今いわれておりますように、石ころ一つあっても、あるいは飛び込み自殺があっても脱線するのではないだろうか、こういうような不安さえいわれておりますけれども、ここらに対する技術上の確信、今日までの状態、これについて一つお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/122
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123・吾孫子豊
○吾孫子説明員 まず新幹線の運転、保安等について確信があるかどうかというお尋ねの点でございますが、この点につきましては、新幹線の最高速度は二百キロ・アワーということになっております。そして、そのブレーキの距離も相当長いので、列車運転の安全を確保いたしますために、次に申し上げますような現在線よりもすぐれた信号保安設備を設けることになっております。
まず第一には、道路との交差はすべて立体交差ということにいたします。それからその次に、車内の信号と、自動列車制限装置を併用いたしまして、列車が速度制限区間に進入すればブレーキが自動的に動作する方式を採用いたしますので、列車追突のおそれはございません。これらの新しい技術は、諸外国ですでに実験されておるものでありまして、国鉄においてもすでに一部の電車試験を行なっており、技術上十分に確信があるものでございまして、新幹線では、高速度運転を行なうにもかかわらず、現在線よりも数段安全な輸送を行なうことができるというふうに私ども確信いたしております。なお、車両設計その他についていろいろこまかい研究、調査というようなことを鉄道技術研究所が中心になりまして実行いたしておりますが、こまかい専門的なことは私の方でよくわからぬ点もありますので、大体の考え方を申し上げますと、今申し上げたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/123
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124・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうすると、この答申を見て、国鉄のPRなんですか、これで見ると、最高二百五十キロ、平均百七十キロ、こうなっておるのですけれども、今の御説明ですと、最高二百キロ、かりに五十キロ違うとしますと大へんな問題ですけれども、現在の技術試験の結果、最高二百キロまでは技術的にも安全の上からも自信を持っている、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/124
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125・兼松学
○兼松説明員 当初計画いたしました将来の長い構想といたしましては、もちろんそういったものが発表されておりますけれども、私どもの具体的な構想は、東京—大阪間をほぼ三時間で速い汽車はつなぎたいという目標に立ちました。その点から申しますと、実際の運転速度といたしましては二百キロで十分でございまして、狭軌のこだまでも百六十五キロの試験は現在の車ですでに十分安全に実施されているわけであります。またフランス等では、古い広軌線ではございますが、踏み切りもあり、カーブもある現在線で毎日百六十キロないし百四十キロの汽車が一部動いておりまして、何ら特別のものと考えておりませんので、今、副総裁が御説明申し上げましたような条件で動かしますと、現在線よりも安全度が上がることはあっても下がることはないという確信で二百キロに計画しております。なお、二百キロと二百五十キロの間は、むしろ実際的にも二百キロ以上になりますと電力消費が非常に多くなる点もありますし、制動距離が非常に長くなる点もございますので、運転速度として最高を大体二百キロというふうに押えたいと思っております。なお、御案内のように、現在のこだまは、運転速度としては百十キロで運転しておりますけれども、車両性能は百六十キロ以上を出せる場合がございますように、車だけを完全な状態で回転したならばまず二百キロ以上の速度が出し得るものを設計上は設計されますけれども、実際の運転としては二百キロ最高でやるという計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/125
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126・勝澤芳雄
○勝澤委員 世界に類のない速度で走らせるというようなものでもありますし、また技術的にこれは机の上では可能だと言われておりますけれども、まだ実際化されていない問題でありまして、これから相当研究の余地がある問題で重大でありますので、十分検討されて、特に安全の問題については十分な配慮をして、不測の事態が起こるとか、あるいは当初言われておったではないか、こういうことのないようにしていただきたいと思います。なお、これらの詳細につきましてはまた別の機会に十分御質問をいたしたいと思っております。
次に、完成後の経営青写真をどういうように考えておられるか。まずそのうちで経営の単位をどういうように考えておられるか。あるいはまた、輸送計画をどういうように考えておられるか、こういう点について御説明を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/126
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127・吾孫子豊
○吾孫子説明員 新幹線は東海道線の行き詰まりを打開して、現在線と相待って今後の東海道線の総合輸送力を最大限に発揮させるということが目的でございますから、両線の運営は有機的に関連させて行なうことはもちろんでございます。しかしながら、また一方、この新線は従来狭軌でありましたために実行し得なかった利点を十分に取り入れまして、技術的には世界の高い水準を目的にし、業務の面でも思い切った独創的なものとして合理的な運営をはかって、もって他の範とするようにしたいというふうに考えております。また、収支関係につきましては、新幹線完成後の東海道の新旧両線の客貨の輸送量はきわめて大きいものと想定されますから、新幹線の基本運賃を現在線と同額として収入支出を試算した場合でも、建設利子、償却費を含めて収支バランスは全く心配はないというふうに予想されるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/127
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128・勝澤芳雄
○勝澤委員 副総裁、それはもう何回も言葉で、議事録の中で読ましていただいたのですが、それ以上進めて、やはり具体的な青写真というもの、あるいは学業収支の問題でも、もっと具体的に、あるいは運賃の場合でも、具体的に、あるいは返済計画の中でも具体的に——大丈夫だということでなくて、具体的なお考えがきめられておったら一つ出してもらいたい、こう思っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/128
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129・兼松学
○兼松説明員 具体的な運営計画の方も、もちろん現在線をサービスをよくするとともに、長距離旅客の相当な部分を移そうという基本的な荒筋ができておるだけでございまして、詳細の、どういう列車をどうするかというようなことは目下十分検討いたしている段階でございます。
で、収入の方は現在見通しをつけておりますものでは、幹線調査会のときに調査に出しました資料としては、私どもは二〇%全体として三年間に増すものと計算しておりましたが、現在の電化、近代化による誘発量等を当てはめてみますと、約三〇%が三カ年にふえるものと考えております。それから、あと詳しい償還計画その他につきましては、債務の種類、あるいは利子等が、いろいろ公募債その他の利子等の確立いたした上でないと精密な計算はできませんが、大体の試算はできておりますので、また別に御要求ございますれば資料として提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/129
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130・勝澤芳雄
○勝澤委員 あまりまだ具体的になっていないようでありますけれども、今まで出されている中のたとえば輸送計画につきましても、旅客貨物あるいは列車回数、いろいろ出ておりますけれども、こういう問題がある程度コンクリー化して、自信を持ってこれでいけるというものができましたら、なるべく早い機会に一つ御提出を願いたいと思います。
次に、建設にあたりましてのいろいろな問題につきまして、先ほど大臣からもお伺いをいたしましたが、私は、今の建設計画を見ておりますと、農林省あるいは建設省あるいは大蔵省、あるいは自治庁、こういうものがどうも横を向いて、国鉄だけがまっすぐに進んでいるような形に見えるのですが、こういう点から言われましても、過般予算委員会の分科会でも鉄監局長にこういう質問が出されておるようでありますけれども、それらの総合的な協力態勢といいますか、こういうものがどうなっておられるか、鉄監局長にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/130
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131・山内公猷
○山内(公)政府委員 各省の御協力を得なければならないわけでございまして、本予算をお認め願いますと、新幹線の工事もいよいよ本格的になりますので、その上でこの工事を円滑に遂行し得るような協力態勢を考えて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/131
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132・勝澤芳雄
○勝澤委員 一つ運輸省の方でも、大臣も先ほど言われておりましたように、積極的にやっていただくと同時に、それから今度は国鉄自身としても、やはり総合的な協力態勢というものが必要だと思うのです。かりに地元民の反対など、監理局へ行っても、それは担当が違う、工事局なんだ、こういうことになると、やはり地元民は同じように国鉄を見ているわけでありまして、こういう観点から、国鉄自体も、やはり全体的な協力の態勢を作ると同時に、地元の要求についても十分聞きながら、そうしてこれらの日常の苦情の問題も解決しつつ地元の協力を求めるということが必要ではないだろうか、こういうふうに思うわけです。この点につきましては、すでにお考えになってやられておるようでありますが、一そうこういう点につきましても十分連係を保ちながらやっていただきたいと存じます。
次に、測量と路線の決定にあたっての用地の買収の今の状態でありますけれども、これは三十三年の十二月十九日、閣議でも、用地買収については、名神高速自動車道路の前例もあるので、社会的、経済的問題が多く、相当の困難があるので、これに対する適切な対策が必要だということがいわれておりますけれども、具体的に国鉄としてはどういう対策を立てられておりますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/132
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133・吾孫子豊
○吾孫子説明員 用地の買収につきましては、ただいまもお話がございました地元の公共団体等とあわせた連絡をとるための協議会のようなものを設置いたしまして、できるだけ円滑に進められるように今後とも努力いたすつもりでおりますが、なお用地買収等に伴う課税の問題につきまして、昨年三月に租税特別措置法の一部改正によりまして、だいぶ軽減されることになっております。すなわち同等の代替資産を取得した場合は税金がかからないことになっておりますが、代替資産を取得しない場合についても、その譲渡所得は、普通の場合の約半分について課税されるというようなことになっております。
なお、経過地の選定等につきまして、地元の要望に対してどうするかというようなことにつきましても、国鉄としては、できるだけ新幹線の必要性あるいは補償の基本的な考え方等を十分に御説明を申し上げて協力をお願いしました結果、ただいまのところでは、大部分の地方では御賛同を得つつありまして、測量等もほぼ予定通りに進行いたしておるような次第でございます。
なお、国鉄としましては、補償の不均衡を来たさないように、また将来営業上の支障を来たさないように、市町村ごとに設置されております対策委員会等を通じて十分打ち合わせを行なうようにいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/133
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134・勝澤芳雄
○勝澤委員 今日までの用地買収の状態はどういうふうになっておりますか。それと今後の見通しはどうなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/134
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135・兼松学
○兼松説明員 新幹線の用地は、現在のところ、前に御報告いたしましたように約三割弱はすでに買われておるのでございますが、その他の部分につきましては目下交渉中でございまして、一斉にあちらこちらで、地方の市町村で御協力をいただいた、いわゆる利害関係者の団体に、市町村の方を中心になっていただきましてお話をしておりますので、現実に決算が済みました部分は、まだ僅少でございます。しかし、話は部分的にはむずかしいところも多少ございますけれども、全般的には御協力をいただいて順調に今話がほぼ進んでいると申し上げられるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/135
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136・勝澤芳雄
○勝澤委員 国鉄は順調に進んでいると言われておりますけれども、私の地元へ帰りますれば、連日、測量拒否、立ち入り反対愛地同盟というような札が各所に立てられておるわけです。そういう点から、私は国鉄の用地の買収についての見通しは甘いと思う。現に買収の終わっている土地だけでも、それを取り上げるのでも相当現地では困難なのです。相当因っておるわけです。こういう観点からも、やはりよその省との総合的な協力というものが当然必要になってくる。むしろ、極端な話をいたしますと、道路ならばわれわれも利益になる。しかし鉄道は何にも利益にならない、こういうことが農民やあるいは住民の中には広く広がっているわけなんです。ですから、こういう観点からも、鉄道が通ってそれだけ得をするのだ——鉄道が通っても、おれは一生であんな夢のような特急に乗ることがないのだ、こういう住民に、いやあなたも乗れるようになるのだ、こういうことや、経済上のいろいろな問題についてのPRといいますか、こういう点が欠けている。それよりもなお以上に、今の答弁ですと、大体見通しは明るいということは、私は大へん大きな間違いだと思うのです。いうなれば、この間の予算委員会でも、私の方の静岡県から出ております竹山さんからも、このままでは一メートルも用地買収が進まぬであろう、こういうことが言われております。私も今の状態ですとそういうふうに思うのです。ですから、そういう点を国鉄はもっと率直に、事実をありのままに、国会の中であるいは運輸省の中に反映をして、これらに対してもう少し基本的な問題の考え方をすべきだ、こう思うのです。それで、今起きている問題を考えてみた場合に、やはり十分な話し合いと協力でやっていくべきだと私は思うのですが、土地収用法については、これは発動をなるべく避けていく、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/136
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137・吾孫子豊
○吾孫子説明員 用地の確保ということが非常にむずかしいということは、まさに御指摘の通りでございます。そのために、実は先ほど鉄監局長からの御答弁もございましたが、中央では農林省や建設省等と協議会をこのために設置いたしておりまして、地方の方も逐次公共団体との間に協議会を作るというようなことで、まず公共団体を通じて地元の御理解を求める、同時に、ただいま御注意のありましたような、地元の方々に対するPRというような点では、足らない点がまだまだたくさんありますので、今後そういう点についてはなお一そう力をいたしたいと思います。
それから土地収用法のお話が出ましたのですが、この点につきましては、できるだけそういうような強硬措置をとることを避けて、円満な話し合いで買収を進めるようにという基本方針で考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/137
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138・勝澤芳雄
○勝澤委員 特に国の場合に言われることは、従来国の必要によって用地の買い上げというものが、市町村の協力を得てやられておる場合があるわけです。市町村も国の方針に従って協力をしている。たまたま私は国鉄の一つの例をあげるのですが、変電区を作りたいから土地を買いたいということで、町が一生懸命協力して、地主に話をして、そうして買い上げた。そうしたら、実はそこには変電所ができずに、技術上の観点から、その場所が変わって、そこにできたのは従業員の官舎ができた。なおかつ、今官舎があって、その町では、鉄道に一回は変電所を作るということで売ったけれども、今度はおれの方でもって都市計画で道路にしたいから、畑にしてあって、別に住居には問題がないから、何とか払い下げてくれと言われると、これは都市計画が間違っておるから、もう少し向こうに変えろ、そういうふうに言ってくる。こういう点で、国もそうだけれども、国鉄も、どうもわれわれが一生懸命協力をする、しかしその目的が変わったときには、当然そういうものは返してくれるなり、あるいはまたわれわれが要求したときには、当然そういう点については考えてくれるならいいのだけれども、そういう点についてはどうも困る。だから今度の問題についても、ほんとうにこの土地を買って通るのか通らぬのかということや、いろいろそういう点が入り込んでおるわけです。ですから、そういう点からもやはり国鉄の場合は特に——ほかの省にもありますけれども、特に国鉄のような場合においては、やはり使用目的のために買って必要でなくなったら、それが自分の気に入るような使い方をするしないにかかわらず、必要でなくなった土地、建物というものは、当然その元の所有者に優先的に払い下げてやる、こういうことをやるべきだと思うのですが、そういう点などについてはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/138
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139・吾孫子豊
○吾孫子説明員 ただいまお話の具体的な事例について、詳しいことを今私承知しておりませんですけれども、できるだけそういうような問題は常識的に円満に処置すべきものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/139
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140・勝澤芳雄
○勝澤委員 それから補償の問題について少しお伺いいたしたいと思うのです。補償の問題についてのお考え方は、先ほどもちょっと言われたわけなんですけれども、これはどういう方式、たとえて言うならば、かつて電源開発の補償方式というものが行なわれておったわけでありますけれども、どういう考え方でおられますか。その点、今土地を取られるあるいは建物を移転しなければならない、こういう人たちは心配しておるわけですから、そういう点をわかるようにするためにお答えを願いたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/140
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141・吾孫子豊
○吾孫子説明員 補償の問題につきましては、これは他の公益事業と同じように、原則としては金銭補償でやることになっておりますけれども、実際問題としましては、具体的な事例に応じまして、あるいはかえ地のあっせんをするとか、宅地、農地の造成、それから移転工事の代行等、現物補償の方式が適当だと思われるような場合もありますので、これらにつきましては、できるだけ事情に即した措置をしていきたいというふうに考えております。しかし、これらの措置を実行いたしますためには、当然のことでございますが、いろいろな困難も予想されますので、こういう問題を解決いたしますためには、地元の代表の方々の全面的な御協力がなければできないことでございますので、そういう御協力を得るように努力をいたしたい所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/141
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142・勝澤芳雄
○勝澤委員 金銭補償だけでなくて、やはり営農あるいは宅地の問題についても十分お考えなされておるようでありますが、この際ぜひ、国鉄で持っている、あるいは国で持っている土地などの問題につきましても、優先的な払い下げをして、これらに対するある程度の特別の措置をやっていただきたいと思うわけでございます。
それから間接的な問題につきまして、今いろいろいわれておるわけでありますけれども、堤防の高さからくるいろいろな障害というものが起きております。たとえば過般の静岡県における台風の場合においても、あの道路ができなかったらうちは流れなかった、道路が一つの防波堤になって、それが水をためて流れを防いだ、こういう例がたくさんあるわけでありまして、そういう点から考えてみても、今度のこの路線は相当高いもので、その影響というものはその付近には相当及ぶのではないだろうか、こういうふうに思うわけであります。たとえば路線の北側五十メートル以内というものは農産物に対する影響、生産の減というものに対して補償をどうするのだとか、あるいはまた高速度によって、私のところなんかですと、どうもミカンの花が落ちはせぬだろうか、こういう点もいわれておるわけであります。あるいはまた工事のために農道がつぶれる、いろいろこういう問題があるわけでありますが、こういう点に対する間接的な補償についてはどのようにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/142
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143・吾孫子豊
○吾孫子説明員 新幹線の列車が通過いたします場合に、付近の農作物等にどのような被害があるかというようなことについては、目下いろいろ研究しておるようなわけでございますが、現実に被害が生じるということが明らかになった場合には、これは当然補償すべきものだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/143
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144・勝澤芳雄
○勝澤委員 まあ言葉で言えば、現実に被害があったときにそういうことになると思うのです。しかしそれは直接的にあったのか間接的にあったのかということはなかなかむずかしい問題だと思う。しかしこれがなければ今までこうだったということがあるわけでありますから、そういう点については十分な配慮というものがやはり必要だと思うわけであります。それから工事に伴っていろいろ問題が起きているわけでありますけれども、たとえば道路とか、河川とか、橋梁、都市計画、こういうものに対するあるいは建設省なり県や市町村、こういうこの工事に伴う付帯的な行為というものについては、国鉄としてはどういうふうにお考えになられておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/144
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145・吾孫子豊
○吾孫子説明員 それは工事経費の負担区分や何かのことでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/145
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146・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/146
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147・吾孫子豊
○吾孫子説明員 道路または河川と鉄道との関連工事につきましては、それぞれの管理者と運輸省、または国鉄と
の間に協定がございまして、種々の場合における相互費用分担の基準が明確に定められております。しかし市町村道とか、農道及び用排水路等で地方公共団体の管理するものの中には計画としてはきまっていないところもありますし、工事費を現在の時点で負担することの困難なものもありますので、これらについては今後建設省、農林省及び地方公共団体を加えた中央及び地方の協議会の運営を通じて、円満なかつスピーディな解決をはかっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/147
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148・勝澤芳雄
○勝澤委員 だいぶ時間もたちましたので、私は最後に、特にこの新幹線の問題というのは地元の土地を取り上げられる、あるいは住宅が移転をしなければならぬ、こういう人たちにとっては死活の問題であるわけでありまして、そういう観点からも十分な考慮とそれから対策というものが必要だというふうに思うわけでありまして、かりに自分の土地が、うちが引っ越さなければならぬということになった場合に、お互い自体の身になって考えてみると相当不安があるわけであります。そういう点から考えても、従来のお役所的なものの考え方でこれを進めるということは相当考えなければならぬ問題でありますので、十分一つ——われわれも新幹線等を通すのについて今さら反対、賛成というわけにもいきませんし、どこかを通らなければならぬという事実の前には、やはりある程度われわれとしても協力しなければならぬわけでありますけれども、そういう点からも一つ十分な配慮をもって、そうして地元の、それから各市町村の都市計画ともにらみ合わせながら、国鉄としてもできる限り技術的な面だけでなくて、十分な地元民の要望に沿った一つ配慮をお願いいたしまして、時間もありませんので、以上私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/148
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149・平井義一
○平井委員長 次会は来たる二十五日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00819600322/149
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