1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月二十五日(金曜日)
午前十一時五分開議
出席委員
委員長 平井 義一君
理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君
理事 川野 芳滿君 理事 關谷 勝利君
理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君
高橋清一郎君 竹内 俊吉君
長谷川 峻君 原 健三郎君
福家 俊一君 村瀬 宣親君
島口重次郎君 下平 正一君
館 俊三君 正木 清君
内海 清君 菊川 君子君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
運 輸 大 臣 楢橋 渡君
出席政府委員
運輸事務官
(大臣官房長) 細田 吉藏君
運輸事務官
(海運局長) 朝田 靜夫君
運輸事務官
(鉄道監督局
長) 山内 公猷君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 谷川 寛三君
日本国有鉄道副
総裁 吾孫子 豊君
日本国有鉄道常
務理事 兼松 學君
日本国有鉄道常
務理事 磯崎 叡君
専 門 員 志鎌 一之君
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本日の会議に付した案件
日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣
提出第六三号)
外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一
部を改正する法律案(内閣提出第九六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/0
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001・平井義一
○平井委員長 これより会議を開きます。日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/1
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002・久保三郎
○久保委員 この前、質問が少し中途半端でありましたのであらためてお尋ねしたいのですが、枕崎線の建設計画はどういうことになっておるのか、まずそれをお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/2
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003・吾孫子豊
○吾孫子説明員 枕崎線の建設の経過について申し上げますが、二十七年の十二月二日の第八回の鉄道建設審議会で建設線として運輸大臣に対し御答申がありまして、山川—枕崎間三七・六キロについて運輸大臣から建設の許可かあったわけでございます。それで工事の経過といたしましては、山川と西頴娃の間一七・七キロでございますが、二十二年一月に路盤工事に着手いたしまして、三十三年十月には路盤工事が竣工いたしました。さらに三十四年の二月から軌道工事に着手をいたしまして、三十五年の三月に軌道工事も竣工して、この二十二日から開業をいたしたようなわけであります。なお西頴娃と枕崎との間一九・九キロが残っているわけでございますが、この路盤工事はただいまの予定では三十五年の十月ごろ着手する予定になっておりまして、大体全通の予定は三十六年度末ということになっております。予算の関係は山川と西頴娃の間が八億一千万円、西頴娃——枕崎間が十二億四千三百万円、合計二十億五千三百万円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/3
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004・久保三郎
○久保委員 この枕崎線の建設計画を立てるにあたっての経済調査は、当時立てたものは今日とあまり変わらないだろうと思うのですが、当時の経済的な調査の結果はどういうふうに出ておりますか、これをお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/4
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005・吾孫子豊
○吾孫子説明員 当時の着手前の経済調査の際の資料をただいまここに持ってきておりませんけれども、この区間が開通いたしました際の収支の見通し等につきましては、その当初からやはり相当常業成績が悪いだろうということは予想されておったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/5
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006・久保三郎
○久保委員 枕崎線というふうな、こういう経済的には引き合わぬものは、地方の開発ということだけでしぼって建設をしているだろうと思うのでありますが、そういう地方の開発というものについて、枕崎線の効果はどういうふうなことがあったか、どういうふうなことをねらって建設したのか、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/6
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007・吾孫子豊
○吾孫子説明員 山川からさらに先の枕崎まで開通いたしますと、枕崎から鹿児島本線に連絡しております南薩鉄道とつながりまして、一つの交通系絡ができますので、薩摩半島の地方交通開発という観点からは、やはり相当な意義がある、こういうことで着手されたように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/7
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008・久保三郎
○久保委員 南薩鉄道と連絡をいたしますれば、なるほどこの半島における一帯の鉄道網は一応連絡するわけでありますが、鉄道ばかりが今日の輸送機関ではないことは、御承知の通りであります。そこで、現在あるところの輸送機関においては間に合わぬというか、それでは都合が悪いという点は何であったか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/8
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009・吾孫子豊
○吾孫子説明員 最近では、建設審議会におかれましても、いわゆる敷設法り予定線に当たっておるような区間であっても、必ずしも鉄道を敷設しないでも、地方交通のためには自動車をもってこれに置きかえるというようなことも考えられるのではないかというような御意見がだいぶ強く表に出て参りました。また国鉄自身としましても、最近では、御承知の白棚線のようは実例もございますし、それぞれの地方の状況によりまして、必ずしもレールを敷かないでも、自動車の方がかえってよろしいのではないかというふうに考えられます場所については、そのような意見を申し上げておることもあるのでございますが、この枕崎線の建設を御決定になりました二十七年当時におきましては、まだそういうような考え方があまり問題にされておりませんでして、当時は、とにかく敷設法の予定線を、国鉄の経営状態の許す範囲において逐次取り上げていく、それで建設審議会としては、まずその年に枕崎線の建設が適当であろうというふうに御答申になりましたので、その御答申の線に沿うて、運輸大臣の建設許可をいただいた、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/9
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010・久保三郎
○久保委員 当時はいわゆる自動車に置きかえるというか、そういうことは全然考慮外にあった、こう申しておりますが、建設審議会は当時そういう考えであったにしても、運輸省なり国鉄は、この路線を建設しようとする場合、そういう諮問をする場合、おそらく他の交通機関との比較はとらないはずはなかったと思う。これはどういう経緯によって鉄道建設審議会に持ち込んだか、それまでの経緯をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/10
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011・山内公猷
○山内(公)政府委員 当時の鉄道審議会、二十七年のころは、いわゆる鉄道建設審議会が開かれまして初期のころでございまして、持ち込まれました経緯といたしましては、もちろん敷設法におきまして、将来日本における交通網の形成というものがなされておるわけでございます。これは国鉄が将来やっていくのだということを、国会におきましておきめになつた別表がございます。その中から特に、当時の建設の審議の原則といたしましては、交通系絡上必要な線路あるいは地方の開発のために必要な線路というような見地で御審議をいただきまして、その中に、建設審議会の御討議の結果、枕崎線がその建設すべき基準に合致すべきものであるという御決定をいただきまして、それを尊重して国鉄が建設にかかったという経緯になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/11
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012・久保三郎
○久保委員 そうしますと、運輸大臣は建設審議会に諮問する場合、当然こういうものも該当すると思うがいかがでしょうかというふうに、平たく言えば諮問したわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/12
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013・山内公猷
○山内(公)政府委員 建設審議会に対する諮問はそういう個々のものではございませんで、建設審議会というものは、建設の問題につきましては、予定線に載った線を審議するわけでございますが、あるいは新しく予定線に載せるべきものも審議をするわけでございまして、全般的な諮問をいたしておりまして、この線はどうだという諮問はいたりしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/13
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014・久保三郎
○久保委員 そうしますと、大へんしろうと質問で恐縮ですが、予定線を作る場合には、運輸大臣なり国鉄と御相談の結果、これを建設審議会に提出して御審議をいただくという手順でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/14
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015・山内公猷
○山内(公)政府委員 予定線といいますものは別表に載せる線でございますが、これは各方面からいろいろ御意見がありまして、われわれの方もそういったいろいろなものを調べまして、建設審議会にかけるということになるのでありまして、国鉄と相談してきめてかけるという性質のものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/15
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016・久保三郎
○久保委員 運輸大臣は各方面の御意見を聞いて、何となくそういうものをおきめになって審議会に御諮問なさるということでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/16
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017・山内公猷
○山内(公)政府委員 予定線は運輸省が単独にきめるものでも、それから建設審議会が単独にきめるものでもございません。国会の御審議を経た後に、敷設法の別表に載るべきものでございます。その前の作業でございますので、鉄道建設に関して一番権威のある審議会の意見を聞いた上で国会にかけるということが筋でございますので、そういう日本の国における交通網の形成とか、あるいは地方の要望というものを広く考えまして、線を提示いたしまして——線を提示をいたしますということは、相当多くの線になると思いますが、その中からしぼって、いつも国会で御審議を願うというような作業をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/17
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018・久保三郎
○久保委員 私は国会へ出す前の手順をお聞きしているのですよ。だから大体わかりました。そうしますとやはり運輸大臣は各方面の何となく御意見を聞いて、そしてそれを大体予定線というか、予定線の予定ということでお出しになるわけですな。その辺大事ですから、はっきり御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/18
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019・山内公猷
○山内(公)政府委員 運輸省といたしましては予定線にどう載せるかということでございますが、何となく聞いてということではございません。やっておりますのは、地方の御要望が相当多く参っておりますので、そういうものを漏れなく、国民の民意でございますから、それを取りまとめまして、鉄道建設審議会に意見を聞くというやり方をやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/19
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020・細田吉藏
○細田政府委員 昭和二十八年に別表改正で鉄道敷設法の一部を改正する法律案を出しまして、国会できまりました。その当時のいきさつがございますので、私当時担当いたしておりました者といたしまして補足的に御説明申し上げます。
別表に載せます線をどういうふうな段取りで建設審議会では選ばれるか、こういうことでございますが、私どもとしましては、国会に対する請願あるいは陳情の形で非常にたくさんな線が、別表に載せてくれということで出ております。それから国会の請願、陳活以外にも政府に対する陳情として出ておるものもございます。これを全部表に取り上げまして、これを一括議題に供しておるわけであります。何も出ておりませんものについては遺憾ながら私の方で任意に出すということはいたしておりません。そういうものは非常に数が多くあるわけでございますが、その全部を出しまして、その中から別表改正の必要があるかどうか、また必要があればどこを予定線として追加すべきであるかということで建設審議会にお尋ねするわけであります。建設審議会ではその中で幾つかまたしぼられまして、前回の段取りでございますが、しぼられまして、それについて事務当局でいろいろ調査をしてくれという御要望が出るわけでございます。それにつきまして工事の難易でございますとか、経済的な価値でございますとか、そういうものを調査いたしました資料をまた建設審議会に出すわけでございます。そういたしましてそこからさらにしぼられまして、たしか十三線でございますか、昭和二十八年に改正になっている。しかしその際に、最初しぼられました中で、調査いたしました結果保留というか、要望にならなかった線も、たしか五線くらいそのまま、これは入れないということで落ちた線もあるような状況でございます。大体そういうやり方をして、それを受けて法律案の提出を政府はいたす、こういうことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/20
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021・久保三郎
○久保委員 大体わかりましたが、一番の発端といいますか、予定線の卵といいますか、それは今官房長がおっしゃるように、請願なり陳情あるいは直接運輸大臣、こういうふうにきたものを大ざらいすべて突っ込んで出してみるというような格好のようでありますが、大体卵の整理は一つもしないようでありますけれども、途中では幾らか修正するようでございます。問題は当時と今日ではものの考え方が違うというが、輸送力の配分についてのものの考え方は、私は変わらないと思います。ただ積極的であるか消極的であるか、これは別としまして、そういうことを考えますと、こういうものをどんどん入れていくような傾向が片方にあるとすれば、これはゆゆしき問題だと思うのです。
そこで私はお尋ねしたいのでありますが、この先、西頴娃と枕崎の間は、先ほどの副総裁の御答弁で、これから三十六年にかけて建設して南薩鉄道につなぐのだ、こういうお話でありますが、つないだときの経済効果というものは今よりどのくらい上がらぬのか、あるいは上がらぬのか、あるいはこれに対して再考の余地があるのかないのか、こういう点についてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/21
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022・山内公猷
○山内(公)政府委員 南薩鉄道は、先ほど副総裁が御答弁になられましたように、鹿児島の南部を連絡する線で、いわゆる連絡線としての使命を南薩鉄道を通じましてとるわけでございます。かたがたまた、地方の開発に利益もするということで、建設審議会でお取り上げになった線でございます。枕崎に行くことによりましてこの建設線の使命が達成せられるわけでございます。それで戦後の建設線につきましては、鉄道の経営というもの自体から見ました場合に、ほとんど全部といっていい線が営業係数を割っております。ただ現在建設審議会でもいろいろ問題になっておるわけでございますが、建設線の分布を見ますと、北海道、東北、九州という、日本におきましてはまだ未開発の地域にどうしても多いわけでございまして、この点国有鉄道が公共的使命を達成するという必要から、国家的要請においてやらなければならない線もあるわけでございます。かたがたまた、こういう地域の開発というものも、日本の狭い国土から考えましたときに、公共的な使命を持っておるわけでございますが、一方また国鉄の営業成績が悪いということは、当委員会におきましてもしばしば御指摘の通りでございます。そこで先ほどから久保先生のおっしゃいますように、ほかの交通機関ではどうかという議論が、建設審議会におきましても盛んに戦わされておるわけでございまして、私どもといたしましても、自動車でやり得るもの、鉄道でやり得るものというものは、国民経済的な見地から見ますとおのずからそこに分野があるのではないかということで、その分野をどう画定するかということを、一応交通政策的に理論的な検討をしておりまして、これを具体的な線に当てはめて将来の建設を考えて参りたいというふうに建道建設審議会にも御説明をし、そういう方向で、将来のものにつきましては、しばしば御指摘のあるように、自動車がいいか鉄道がいいかという問題をきめて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/22
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023・久保三郎
○久保委員 ちっとも質問に答えていただけないようなことなんで、大へん不満でございます。はっきり申し上げておきます。答えられないのじゃなかろうかと実は御同情申し上げているのでありますが、これは今の制度そのものにも欠陥がある。私は回りくどいことをよしましてはっきり申し上げます。運輸大臣にもお聞き取りをいただきたいのでございますが、新線建設そのものがいいか悪いかという問題ではなくて、その根本的なものに私は問題があると思う。今度法律を改正して国鉄の輸送力増強の資金手当をしようというので、世銀から金を借りる予定は今年度四十七億という。ところが枕崎線の方では二十億五千万をさしあたり投下資本として投入しなければならぬ、こういうことをやっていたのでは、残念ながら国鉄のみならず、日本全体として不経済きわまりない。
そこでまたこの枕崎線に返りましてお尋ねをしたいのでありますが、先ほどの質問には答えてもらえなかったのでありますけれども、今ある輸送機関で間に合わないという理由は何かあるのかどうかということについてどうしてもお聞きしたいのです。間に合わぬというならば、鉄道に置きかえるのは当然です。あるいは鉄道以外のものに、置きかえる。鉄道に置きかえるという理由が、何か特殊なものがあるかどうか。鉄道が開通したために地方開発に飛躍的なというか、大へん寄与するのだというならば、これは抽象的になるかもしれませんが、その点もおっしゃっていただきたい。今の輸送機関ではどうもそういう点が間に合わないのだということならば、間に合わぬ理由を一つ言ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/23
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024・山内公猷
○山内(公)政府委員 非常に根本的な問題でございますが、鉄道を敷かなければ間に合わないというのには、いわゆる旅客の輸送の面におきましては大量輸送の行なわれます通勤、通学というときに起こります。この枕崎線におきましてはそういった関係はございません。旅客の面におきましては現在民営のバスもありますし、国鉄バスも走っております。ただどうしても鉄道でなければならないということは、貨物の運送があった場合に起こるわけでございまして、枕崎線の今回西頴娃までの開通につきましては、まだ貨物運送はやっておりませんが、将来におきましてはやることになるわけであります。将来の問題になりますと、しからば貨物運送においてトラック運送ではどうしてもだめかどうかという問題が起こるわけであります。トラック運送においてどうしてもその地方の開発なりあるいは物資の運送なりが満たされない、またそういうことによってその地方の眠った資源が開発できないという場合には、私どもはやはり鉄道を建設することが国家的な要請として起こるというふうに考えております。枕崎におきましては、将来の問題として貨物運送をやることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/24
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025・久保三郎
○久保委員 貨物運送をやるという想定でございますが、どういう物資が大体予想されて、年間の輸送量はどういう想定に基づいておやりになるのか、その点お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/25
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026・山内公猷
○山内(公)政府委員 具体的な数字でございますので、資料を調べましてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/26
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027・久保三郎
○久保委員 これは鉄監局長、お答えができないのじゃなかろうかと思う。またお答えいただいても、大体の予想はついているのでありまして、回りくどいことはよしてそのものずばりを申し上げますが、大体貨物輸送が鉄道によらなければならぬという理由はちっともないようでございます。これはその通りだと思う。というのは、ここで特殊な大きな開発の計画があるかというと別にございませんようです。それから既存の問題になれば、あそこは大体漁村——これは山川港が漁港で若干の造船があるというところ、あるいは紡績工場がちょっとばかりございますが、これは紡績女工の出入り、あとはどの地方にでもあるような問題です。そこで私の言いたいのは、貨物輸送をやるのだとおっしゃいますが、ほんとうに地場トラック輸送で間に合わぬということは全然ないと思う。こういうところに新しい線を建設することはどうかと思うのです。それで次には私は、それならこの鉄道ができて地方住民の要望にこたえられるのかどうか。地方住民の要望にこたえられるような鉄道運営を現在考えているかどうか。なるほど停車場はこまめに作る、二キロあるいは三キロ足らずのところに一駅を作って 一町付に四つも停車場ができたのでありますから、これくらい停市場の数の多いのはあまりないのではないかと考えられますので、そういう点から言えば、この点は地方住民の要望に百パーセントこたえたが、さてしからば、走らせる列車は今日西頴娃までの間に何往復走らせようとしているのか、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/27
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028・山内公猷
○山内(公)政府委員 四往復走らしております。これはその並行線に国鉄バスが走っておりますので、国鉄バスの輸送力と今度走らせるべきダイヤというものをプールいたしまして、国鉄にとっても最も赤字が少ないように、また利用される方に最も御便利のように考えまして、その調和した輸送計画を一応立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/28
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029・久保三郎
○久保委員 新線建設として、民間バスと国鉄バスとこれと三者を走らせるような輸送力があると思って建設したのですか。今のお話だと、せっかくレールは救いたが、一日四往復、いなかのバス程度です。そんなところに二十億も二十億以上も投下する必要がどこにあるのだろうかということです。しかも駅は町からずっと離れたところを通っている。山川にしてもその他の川尻にしても、このどこにしても町の中心からずっと離れたところを通っておる。離れたところには残念ながら人間はおりません。町の中心は国鉄バスと南薩バスが通っておる。たんぼの中を汽車を走らせて一日四往復、こういう不経済な形が今日許されていいのかどうかということです。世銀からまで金を借りよう、あるいは五カ年計画も圧縮していこう、このあと五年延ばそうとか二年延ばそうとか話をしているさなかにこういうことをやっていいのかどうかという問題です。四往復でサービスはなるほど得られるでしょう、バスはその通り走っているのですから。そういうものは、経済効果なりいわゆる国営事業として大体正しいあり方だろうかということに私は疑問を持つのですが、いかがでしょう。運輸大臣どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/29
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030・楢橋渡
○楢橋国務大臣 さいぜんから鉄監局長が説明申し上げますように、やはり後進地区における地方の開発、そういうものに重点を置いて、公共的立場から建設審議会におきましても妥当の線として答申したものと思うのでありまして、またそういう鉄道が通ることによって開発され、貨物もふえ、お客もふえるということになるのであって、この点は今おっしゃいましたようないろいろな問題もありますけれども、国鉄の持っております一面からいえば、公共性というような立場からこれを決定したものと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/30
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031・久保三郎
○久保委員 大臣から大体一方的なお答えがあったのでありますが、公共性というものは公共の用を足すことです。すでに公共の川が足りていれば、それ以上にやることは過剰サービスだ。それから地方開発と言うが、鉄道を敷いたために地方開発を誘発する要素があるでしょうか。これは大臣おわかりにならないと思うから国鉄の方でいいが、鉄道を敷いたから地方開発を誘発するというような要因がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/31
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032・吾孫子豊
○吾孫子説明員 場所にもよることでございますが、むろん鉄道を敷設することによって経済開発の助長誘因になるということはあり得ると思いますけれども、ただこの枕崎線につきましては、若干の誘発というようなことはあると思いますが、あまり大した数は現存のところでは期待できない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/32
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033・久保三郎
○久保委員 私もそうだと思います。そこで、できたものをどうしようもないというお話もあるかもしれませんが、この先どうするのかということです。あと十九キロある。この先やるのかどうか。再びこれは審議し直してもらうことになるのかどうか。既定方針通り、損は覚悟で、むだであってもやるということでありましょうか。そうだとすれば、今度四十七億借りるような法案を実際考えなければならぬ。そうでしょう。損すること、過剰サービスを覚悟の上でやる。片方は金が足りないから、外国まで借りにいってやる、こういう矛盾した話、これは通すことができませんよ。これは鉄監局長、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/33
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034・山内公猷
○山内(公)政府委員 現在建設線に入っております線は三十六ございます。それで、予算が年間九十五億ございますので、現在の建設線をどう推進して参るかということは、現在鉄道建設審正議会におきましても十分御討議を願っておりまして、先ほどから御質疑がありましたように、われわれも国鉄の公共性と、それからその線の経済性というものを考えまして、また建設におきます経済性というものも十分御村議の前提としてお考え願って、既設の建設線につきましても、重点的にこれを施行して参るという強い希望を持っております。また建設審議会におきましても、そういう見地から、現在の建設線におきましても、今まで、予定線を全部やるということは不可能であるから、その線によりまして、その経済性を考慮して完成すべきもの、あるいは一部ある程度のところまでいったならば、休むというもの、いろいろ線別によってそのやり方を考えていくべきであるという御意見が強く出ておりまして、まだ決定にはなっておりませんが、将来の問題につきましては現建設線につきましても十分後討議願うように想なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/34
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035・久保三郎
○久保委員 大へん政治的な問題でありますから、はっきり御答弁がいただけないことだと思いますが、いずれにしても、こういうものは考えていただかなければならぬ。
それからもう一つ、特にこれも認めるわけに参りませんが、まあ地方住民のサービスをよくしてくれということで、今国鉄バスもそのままおやりになっておると思いますが、その国鉄バスの進行回数等は従来通りおやりになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/35
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036・磯崎叡
○磯崎説明員 国鉄バスの運行は、原則として従来通りやっておりますが、一部経路の変更等はやっております。原則として大体従来通りでございます。それからディーゼル・カーの方は、先ほど鉄監局長の方から申し上げましたように一日四往復でありまして、多少の旅客の誘発もございますので、今までの国鉄ハスの輸送力と、それからディーゼル・カーの四往復で大体その付近の需要を満たし得るというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/36
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037・久保三郎
○久保委員 聞くところによりますれば、成績がよくて、地方住民からも相当御協力というか、御利用をいただいておる国鉄バスを、この枕崎線開通に伴って事業縮小にしていこう、こういうことも聞いているのですが、そういう計画があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/37
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038・磯崎叡
○磯崎説明員 その点につきましては、私どもといたしましては、この枕崎線が運営上相当の赤字が出ますの、で、国鉄バスの能力を最高限に発揮いたしまして、それの足りない分を、どちらかと申しますと鉄道で補うというふうにいたしておりますので、先ほどの四往復のディーゼル・カーも、主として朝と夕方の通勤通学輸送に充当するというふうに考えております。従いまして、これによりまして山川線の国鉄バスを縮小するという計画は今のところ持っておりません。また縮小する意思もありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/38
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039・久保三郎
○久保委員 山川線の自動車関係はさりながらということでありますが、それじゃ、この鹿児島鉄道監理局管内で、宮之城線と山野線の管理長設置によってのいわゆる全国にあります合理化、こういうことで大体お進めになっておるようでありますが、こういうことをやることによって、年間どの程度、この両線とも経済的に節約できるのか、そういうのはおわかりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/39
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040・磯崎叡
○磯崎説明員 今手元に宮之城線と山野線の資料を持って参りませんでしたので、いずれ書面をもってお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/40
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041・久保三郎
○久保委員 私どもに提出せられた資料がありましたから、お調べいただかなくてもわかると思いますが、こういう山野線とか宮之城線とかいうような既設のローカル線が今日自動車に置きかえようとか、あるいは既設の停車場は閉鎖しようとか、あるいは荷物の取り扱いはやめようとかいうことをやっておる反面に、こういう新線建設をやっていくことはわれわれは矛盾だと思うが、運輸大臣並びに国鉄は、これを矛盾と思わないか、これを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/41
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042・山内公猷
○山内(公)政府委員 国有鉄道は、いつも大臣が申しておられる二律背反の性格を持っておりまして、日国法第一条をいかに調和するかということが、このコーポレーションを円満に発達させるものであると思います。それでしばしば問題になっております公共負担の問題であるとか、新線建設の問題でありますとかは、お話の通り国鉄の経営面から見れば非常に大きな重圧になっております。それで矛盾という言葉で申しますれば矛盾であると考えておりますが、これはやはり国鉄の使命といたしまして、民営会社でございませんので、どこまでその公共性にこたえていくかという限度が現在問題になり、かつまたその公共性をどう国家において補償してもらうかということも、しばしば非常に貴重な御意見もいただいておるわけでございまして、われわれも、これは非常に大きな問題であり、できるだけ早い機会にこの問題の解決をつけたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/42
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043・吾孫子豊
○吾孫子説明員 ただいま鉄監局長から大体お答えがございました通りなのですが、純粋の経常的な収支というような面から考えますと、確かに矛盾しておるという面があると思いますけれども、もう一段高い立場と申しますか、広い視野から考えられた場合には、これが矛盾であるかないかということは、なかなかむずかしい問題であろうと思います。国鉄といたしましては、今後もこのような地方の線区に対しましては、鉄道の輸送ということと、バス、トラックによる自動車輸送というものとを総合的に勘案いたしまして、できるだけ地方の鉄道を利用される方々の御便利にもなり、また国鉄自身の経営収支の面から考えまして、一番能率的な道を選ぶということで考えていきたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/43
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044・久保三郎
○久保委員 お二人とも結局矛盾でない、こういうような御答弁に集約されたようでありますが、私は、地方開発とか、地方住民のために必要なる線は、それが採算が合わぬでも、これは国策というか、国の政策として当然建設しなきゃならぬと思う。この経営に対する矛盾は、先ほど鉄監局長からもお話があった通り、公益負担の名のもとに、これは国鉄ひとりが背負うべきものではない、むしろ国から助成をする、こういう形が当然だと思う。これは矛盾でも何でもない。これを聞いているんじゃない。私が聞いておるのは、十分地方の要求にも従って満たされて、なおかつこういう赤字の線——赤字の最もひどい九一〇という営業係数を持ったものは全国にない、こういうものをやることが、いわゆる公益負担だ、だからこれは国の政策だから補助してくれ、出資をしてくれというのは、どだいもとが違うと思うのです。私が一般的にいうところの、今まで言っていたところの問題とは違う。こういうものまで野放図に新線建設をやって、これも国策だからということで国民の税金からこういうものに出資したり、あるいは利子を補給すべき筋合いのものではありません。この問題は違うのです。しかも地方住民のと要望にこたえられた——あらためて聞きますが、この新線は十七キロ七分でしょう。営業キロは幾らにとりましたか。これは営業局長から一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/44
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045・磯崎叡
○磯崎説明員 今まで開業いたしました線区につきましては、営業キロ程といたしましては六割増しの営業キロ程で計算いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/45
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046・久保三郎
○久保委員 そこでお尋ねするのですが、営業キロ程の設定の基準は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/46
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047・磯崎叡
○磯崎説明員 営業キロ程の設定につきましては、私どもといたしましては、建設審議会の御決議が営業線新線建設に伴う国鉄の負担を極力軽くしてやるという御趣旨でございますので、この御趣旨によりまして、なるべく全体として赤字の減ることをまず第一に考えております。しかしながらそういたしますと、当然先ほどお話の付近のバスあるいはトラック、この場合はバスだけでございますけれども、等の運賃との比較が問題になるわけでございます。従いましてバスの運賃がより高くならないように、しかも極力赤字の減るようにということも考え、また、かつはあまり地元民に非常に大きな負担にもならないようにという三方面から考えまして営業キロ程を設定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/47
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048・久保三郎
○久保委員 地方開発とか、地方住民の利便ということを考えますれば、せめて空気と鉄道くらいはどこにいても同じように恩典に浴するというのが正しいと思うのです。それに足りない場合は国策であるならば国が負担すべきである。あるいは国鉄経理全体の中で処理さるべき筋合いのものだと思う。それを、営業キロ程をさらに倍加し、さらにその上に特定運賃をつけるがごときは、決して地方住民のためにはならないと私は思う。今、枕崎線を一つ標本として取り出しましたが、地方住民の要望にこたえたのは停車場の数だけではないか。こういうごまかしを経営として許されるのか、営業キロ程は実キロをさらに六割上回り、運賃はこれまた特定運賃と称して一般運賃より高額なんです。それでディーゼル・カーを一日に四往復走らせてはたして住民のためになるのかどうか、私はちっともならぬと思う。それで片方は営業係数は枕崎線は九一〇と大体予定される。ところが同じ監理局というか、同じ地方に隣接したローカル線である山野線、あるいは宮之城線の営業係数は二〇〇台ないし三〇〇台、それを五%か一〇%切るために、せっかく地方住民の要望にこたえて作った停車場も、今度は簡素化していく、あるいは地方住民の要望にこたえて荷物を扱っていたものもやめていく、これではちっとも合理化にも何にもならぬではないか。枕崎線はこれから若干は開発を誘発することがあるかもしれないという御答弁であります。若干の誘発をする、既設線のサービスを落とすことをなぜやるのか、これは早くいえば引きかえです。枕崎線のしわ寄せを宮之城線と山野線で幾らかでもカバーしてもらおうということです。これは何回も繰り返しますけれども、こういうことを改めない限りは国鉄経営もだめだと思います。もちろん先般から問題になっておる応益負担全体の問題もありますが、それとこれは別ですよ。はっきり区別してもらいたい。そういう区別がなくて、唯々諾々としてどこにでも線路を引けばいいんだという観念が今日運輸省なり国鉄にあったとすれば大きな誤りです。しかも既設線は自動車に置きかえる、あるいは簡素化していく、合理化していくという。私は、やはりその辺を直していかない限りは立て直しはできないと思う。しかもこの前の運賃の問題で鉄道運賃法の第八条には違反していませんという監督局長の御答弁がありましたが、純粋にこの条文を解釈すれば、全体として国鉄の収入に影響のないものは、そういう軽微なものの運賃料金は国鉄総裁限りで変更してよろしい、こうなっている。全体としてですよ。いわゆる総収入ではない。運賃料金というものは局部のことを言っているのではない。そうだとすれば、今度はもうからぬ線、この地方にある山野線や宮之城線の運賃制度も国鉄総裁限りでどんどん上げていく、こういう結果になりゃせぬか。これも可能なんでしょう。こういうことをやられたのでは国鉄運賃法を制定した値打は実際何もない。勝手にやっている。こういうこともはっきりすべきだ。それから先ほどの営業キロ程を割増ししたり、さらにその上に運賃を割増ししたりというような、両方から攻めるようなことはほんとうではない。どっちか一本にまとめるならまとめて、法案なら法案の改正を出すのがほんとうだ。何かこそこそと、裏でも一つ、表でも一つ、こういうことでごまかしてはいけないと思います。枕崎線の営業係数は九一〇です。これは全国にないじゃありませんか。
私は、大体時間でありますからやめますけれども、どんなにいろんなことをやりましても、こういう形で新線が建設されることについては、とうてい国鉄全体は持っていけない、こう思います。それで最後にお尋ねするのでありますつが、国鉄はお体裁を並べる時期じゃない。鉄監局長も監督の地位にあるとすれば、運輸大臣も、体裁を並べる時期じゃありません。こういうものはもうきまったんだからやむを得ない、あるいはそれを幾分でもカバーするためには営業キロ程を割増ししよう、特別な運賃をやっていいというふうな、条文を解釈すればそうにもなるというようなことで、いわゆる小細工を弄して国鉄を持っていくという時代ではもうなくなってきた。すっきりした形で、不要なものは不要、いいものはいい、はっきり区別した線でもって立て直しをはからなければ、ことしといわず来年も当然でありますが、とうてい持っていけません。そういう覚悟を持っておられるかどうか、あらためて、運輸大臣はおられないが鉄脚局長と副総裁にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/48
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049・山内公猷
○山内(公)政府委員 国鉄全体の問題につきましては、先般正木委員からの御質問に対して大臣がお答えいたしましたように、現在の国鉄の財政状態、さらに将来の財政状態につきまして、われわれは楽観をいたしておるものではございません。この問題につきましては真剣に検討いたしまして、国民の鉄道といたしまして健全な発達をはかる基本的な施策を早く立てなければならないということで、今後大いに努力をいたすつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/49
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050・吾孫子豊
○吾孫子説明員 ただいまのお尋ねの、まず枕崎線の運賃関係のことでございますが、これは営業キロ程を六割増しにしておるだけでございまして、その上にダブって特別運賃をさらに割増ししておるということではございませんので、その点は御了解いただきたいと思います。ただ国鉄経営全般の立場から考えまして、国鉄がいわゆる追い詰められた状態になっておりますことは、ただいま先生からもお言葉があった通りでございまして、この点につきましては私どもも根本的な考え直しをしなければならないと思いまして、ただいまいろいろ部内においても検討いたしておる最中でございますから、政府の御指導にもあずかり、また諸先生の御援助も得まして、国鉄の再建ということに邁進して参りたいと存じておりますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/50
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051・久保三郎
○久保委員 吾孫子副総裁から今運賃のことについてお話がありましたが、この前、鉄監局長は、私の質問に答えて、国有鉄道運賃法第八条には別に違反しておりませんし、この範囲でやっておりますと言うから、私は言った。そうだとすれば、なおさらおかしいのです。営業キロ程でごまかしてやってはいけない、こういうことですよ。運賃なら運賃ではっきりしてやったらいいでしょう、こう私は言っているのです。これはごまかしですよ。鉄道運賃法の下をくぐって歩いているようなものです。実際これなど要らなくなってしまう。運賃値上げというのは、官業キロ程全部割増しすれば事足りる、こういうことはやるべきじゃない。建設審議会だけでこういうのはきまるのですか。いかがです。後学のために聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/51
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052・山内公猷
○山内(公)政府委員 法律の解釈でございますので私からお答え申し上げますが、第八条は、国有鉄道の収入に対して大きな影響を及ぼすものでないものは国鉄総裁にまかせられておるということでございます。それで、その営業キロをどうするかということは国鉄総裁の判断にまかせられておる問題でございます。ただ、いろいろ、新線建設につきましては、赤字の問題であるとか、あるいはまた別途には地方開発のためにやらなければならないという、いわゆる二律背反の問題が多いために、鉄道建設審議会の御意見も十分拝聴して、国鉄総裁が、第八条の適用になるという一つのよりどころとしてやったわけでございまして、われわれは、この法律の判断におきまして、第八条で営業キロを設定することは違反ではないと思っております。また従来も、たとえば山野線の営業キロあるいは青函連絡の営業キロというものもこの第八条によってやっておられるわけでありまして、前例もありますものですから、これに違反すべきものではないというふうに法律解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/52
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053・久保三郎
○久保委員 私はここで論争はあまりしたくありませんが、第八条がそういうふうな御解釈で運用されておるとすれば、運賃法の改正案を一つ出さなければならない。すべてはっきりして国民大衆が一つ見れば全部わかる、どこへいっても同じだということにしなければほんとうじゃないのです。先ほど二人から御答弁がありましたが、今までの御答弁を聞いてみますと、何回も繰り返すようですが、まだまだうしろに何かあって、言いたいことは半分くらい、三分の一くらいにしておるということでありまして不満であります。そういう時代ではない。十河総裁はきょうおいでになりませんが、総裁就任のときには、鉄道とともにというお話があったのであります。この辺でほんとうのことを言ってもらわないと、お体裁でやってはだめだ。大体今の不良経営というか、鉄道の経営がこういう危殆に瀕した一つの大きな原因は——いろいろそのほかにもありますが、今のような御答弁が今日まで長いこと続いてきたから災いしたということであります。私は率直に言います。そういう気持になって解決をしてもらわぬと困る。
最後に言いますが、枕崎線と山野線、宮之城線の各地方の住民は矛盾を感じておる。片方は営業係数がいいのにどんどん減らされておる、片方は悪いのだけれども汽車が走っているというようなことです。こういうのをあなた方はどう解決するのか、答弁は要りません。地方住民の要望に十分こたえられるようにやってほしい、こう要望しておきます。ただし枕崎線については私は了解いたしません。今後機会あるごとにお話し申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/53
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054・平井義一
○平井委員長 ちょっと御通知申し上げますが、十河国鉄総裁は病重くして欠席いたしますから御了承願います。
それでは暫時休憩いたします。
午後零時七分休憩
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午後零時二十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/54
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055・平井義一
○平井委員長 再開いたします。
外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。關谷勝利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/55
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056・關谷勝利
○關谷委員 別にこの外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部を改正する法律案に反対するというわけではないのでありますが、二、三点お尋ねを申し上げたいと思います。
私はまず第一番にお尋ね申し上げたいことは、以前にできておるこの法律をなぜこのように改正しなければならなかったのか、私どうしても不審にたえないのであります。以前にできておりまする利子補給法につきましては、あの当時どうしても国際競争力を付与する面からこれだけは最低限やらなければならぬのだということになっておりまするし、社会党の海運政策もあれ以上のものができておるのでありまして、国会としてはこの法律を改正しなければならないという声はどこにもなかったのでありますのに、こういうように改正をしなければならないという理由を海運局長から伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/56
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057・朝田靜夫
○朝田政府委員 この改正法律案の概要は過般提案理由の御説明で申し上げた通りでございますが、ただいま御指摘のように、わが国の海運業の基盤の強化をはかりまして国際競争に耐えるためには、戦後の借金造船からきますところの海運業の体質を改善しなければならない、そのためには、金利が国際金利水準よりはるかに高いということが原因になっておりますので、何をおいてもこれに対する根本的な制度として利子補給法の制定を見たのは、ただいま御指摘の通りでございます。
今回の改正を考えました点は、今の実情に応じまして、会社が一定額の利益を計上した場合におきまして、その会社が利子補給相当額を国庫に納付することになっておりますが、この利益の計算の仕方におきまして、運輸大臣は海運企業の監査をしておりますので、それに基づきまして是正を勧告いたしましたような場合には、再計算をして、利益の額を、利子補給金相当額の納付の基準とするというようなことにいたしましたのも、利子補給金の国庫納付に遺憾のないようにしようということを考えたのであります。
第二点、第三点の改正につきましては、開発銀行に対しまするところの利子補給制度を廃止したこと、あるいは当分の間新たに損失補償をしないということでございますが、この二つの点につきましても、現在までの実情に照らしまして具体的に御説明申し上げますると、開発銀行に対しまする利子補給は昭和三十八年度に一カ月半しか実施いたしておりません実情もあり、その後補助金等の臨時特例等に関する法律によりまして開発銀行に対する利子補給の規定を適用させないことにいたして今日に至っておるようなことでございますので、このような実情にかんがみまして、今回の改正は、そういった実情に合わせるということで、こういった規定を削除することにいたしておるのであります。また損失補償契約を締結しないということにつきましても、三十五年度におきましては必要の債務負担行為もなされておりませんし、また現在の金融事情では政府が損失補償契約をしなくても、建造に必要な融資が可能であるというふうに考えておりますので、当分の間そういう実施を停止しようという考えでおるのでございます。
今申し上げました大きな諸点から考えても、非常にシビアにこの補給制度そのものをしぼっておって、最近の国際競争力の不足が現実になって現われているのに、改正の方向としては疑問ではないかというお尋ねの要旨かと存じます。私どもは必ずしもこの改正によって縮小するという考え方でおるわけではございませんで、実情に照らし、また利子補給制度の的確なる運用ということを考えて改正法案を提出したような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/57
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058・關谷勝利
○關谷委員 まことに苦しい答弁で、実際はそんな答弁をしないでも以前の法律で全部できるので、以前の方が海運助成策としてはよくできておるのです。それを実情に合わすようにしたということは、あなた方が大蔵省との折衝過程で勝手に後退したためにそういう実情を作り上げて法律を合わして、今度作りますと、次にはまたそれによる後退したところへ追い込まれて、その実情に合わすように第二次の改正が出て、その次にはまたさらにそれから押し込まれて、あとは何もなくなる、こういうふうな経過をたどってなくなってくるのであります。私はその点、海運局長の御答弁に対しましてはあきたらないものがあるのでありまして、どうも了解いたしかねます。
ことに私お尋ねをいたしたいのですが、先ほど海運局長は、要綱の第一の「不当な経理の是正を勧告した場合、利子補給金の額に相当する額の納付の要件となる利益の計算方法を変更すること」ができるようにしたんだといいますけれども、今まででも監査室でしたかがありまして、そこで監査をしておるはずであります。そこで不当かどうかというふうなことは監査をしておるので、もしこういうふうなことをしなければならぬということなら、あの監査室や何かは廃止してしまった方がいいので、あれがほんとうの仕事をしていなかったということになってくるわけであります。私たちその点につきましても非常に不思議な御答弁をせられると思いましたが、今までのあの監査室でやっておりますことはずさんであって、あれは信用いたしかねるというのがこの要綱の第一でありますか、その点ちょっと伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/58
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059・朝田靜夫
○朝田政府委員 現在の監査室で海運企業の監査をいたしておりますが、今のお話のように、この監査の業務が不十分であったというようなことは考えておりません。現行の法律によりますと、先ほど御説明申し上げましたように、会社が一定額以上の利益を計上した場合には、その会社は利子補給金相当額を返納することになっておりますが、この会社が決算において計上された利益を、われわれも今後は従来と同様にその決算をそのまま認めていくわけでございます。しかし故意または結果的に利子補給金相当額の納付義務を免れたような場合、これは現行法によりますと、運輸大臣が勧告を出しまして、次期の決算で修正することができるだけでございます。利子補給金相当額の納付を命ずることはできないようになっておるのでございます。このために、今回の改正によりまして運輸大臣が不当な経理の是正を勧告した場合には、その勧告の内容に従って再計算した利益の額を基準にする、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/59
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060・關谷勝利
○關谷委員 同じことなのであります。何もこんなことをわざわざ入れなければならぬということがおかしいので、苦しい答弁ばかりをしておられるようでありますが、それなら今まで監査室でやっておるので十分だ。こういうのなら、それが次の決算期において修正せられるというのを今期に繰り上げるというだけの結果になってくるようであります。そのためにわざわざこれが改正の第一に取り上げなければならぬ理由というようなことは私は考えられぬと思います。むしろこういうことを出すことによって、あなた方が監査室不信任というふうな意思表示をしたものというふうに誤解を招くおそれがあります。
それから次に、第二の「開発銀行に対する利子補給に関する規定を廃止する」ということなのでありますが、これも何も廃止する必要はないのでありまして、これは予算の範囲内でやるのであって、やらなければならぬと書いてあるのではないのでありますから、行政措置でどんなにでもやれる事柄を、わざわざまた書き込んでいくというふうなことに私たち非常に不満を持っております。これを入れておいて、どうして差しつかえがあるのか、条文があっても、これは行政措置として予算の範囲内でやるのであって、予算のない場合にはやらないでいいというようなことになっておるのでありまして、ことさらこれを削らなければならぬという理由はないと思います。
ことにこの第三の「損失を補償する旨の契約を結ぶことができないこととする」ということは、これは「当分の間」と書いてありますが、この「当分の間」というのは何年を予想しておられるのでありますか。この点、大体「当分の間」とわざわざ年数をはっきり書いてないということになりますと、それは大体の見当くらいはつけておられると思いますが、ただばく然とした当分の間ではないと思いますが、どのくらいを考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/60
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061・朝田靜夫
○朝田政府委員 まず最初の御質問の、開発銀行に対しまする利子補給は、予算の範囲内においてやれるのであるから、こういう規定を削除するということは後退であるという点につきましてお答えをいたしますが、この点につきましては、御承知のように開発銀行は政府関係機関でございます。それに対しまして、一般会計から利子補給をするということが必ずしも適当でないように思われるのでありまして、過去において、先ほど申し上げましたように、昭和二十八年当時一カ月半やったのみでありまして、その後は、利子のたな上げあるいは支払い猶予という銀行独自の措置によりまして、利子負担の軽減をはかって参ったのでございますが、今申し上げますように、政府関係機関としてはこういった方法の方があるいは適当ではないかというようなことでもありまするし、今日までそういった方法もとって参っておりますので、利子補給を一般会計から支給をするという方法以外に、利子負担の軽減の措置をとるべきである、こういうふうに私どもは考えておるのでございます。
第二の損失補償の問題でございますが、当分の間損失補償契約を結ばないということについての「当分の間」の御質問でございます。これは先ほども申し上げましたように、現在の金融事情では、損失補償制度がなくても、船舶建造資金の融資が確保できると考えられたことが第一点でございますし、また来年度以降におきましては、船舶の建造は、原則として企業の借入金が増大しないことを目安にいたしまして、企業力に応じた新船の拡充ということを考えておりますので、海運会社の資金の借り入れ状況が現在よりさらに悪化することのないようにする方針でございます。こういった事情からいたしまして、当分の間損失補償契約を締結しないというように改正をいたしたいのであります。今後事情が変更いたしまして、必要な融資を確保するために損失補償を行なうことがどうしても必要であるということであるならば、損失補償を復活する所存でございます。この場合は、さらにその旨の法律の改正が必要であると考えておるのであります。「当分の間」とは、結ばない期間を時間的に限定する意味のものではございませんで、政府が今後再びこういった損失補償制度を復活するためには、本法律の改正を要するということに意味があると考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/61
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062・關谷勝利
○關谷委員 聞いておりますと、わけのわからぬような御答弁ばかりでありますが、国の機関に利子補給をしたという例はほかにもあります。しかもこの法律に基づいてもやった例があります。それをことさら削らなければならぬという——削らないでも、たな上げというような方法にも持っていけるのでありますので、この点に対する改正に対しても私は一つの疑問を持っております。
それから「当分の間」というのが一向わからぬ。これは次の法律改正までというようなことだそうでありまするが、そういうふうに今あなた方が、今の金融事情だけにとらわれて、こういうふうにすぐに法律をいじるというようなことはおもしろくないと思うのは、今までも損失補償の規定がありましても、実際に国が損害をこうむった例はないのであります。そんならこれをわざわざこの前に入れる必要はないのでありますが、しかしながら、こういうふうにしておくことが金融機関に安心感を与え、そうして金融事情がやりやすい、建造してもやりやすいのだというようなことでこういうふうなことをやっておるのでありまして、これは以前の改正の際に、利子補給法だけであったものに損失補償法を別途加えたというあの当時の事情から考えまして、しかも今まで一回もそういうふうに国に迷惑をかけたことはないのだ、それでもこういうふうにするのだということでやったのでありますから、実情から申しましても、そのときの実情としてもなくてもいいということでございましたが、こういうふうにした方が金融のためには非常にやりやすくなるのだということで、海運の助成策としてどうしてもなければならぬといったのを、今ことさらそれを除いたということにつきましては、私は解しかねるのでありまして、その当時の実情をあなた方御承知であるはずでありまするので、これを除くというふうなことは、全般的に大蔵省から強制せられて仕方がないということならよくわかるのでございますが、今の局長の御答弁では私はちょっと解しかねるような気がいたします。何ですか、全銀連の意向というふうなものをお聞きになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/62
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063・朝田靜夫
○朝田政府委員 全国銀行協会の意見を特に徴したわけではございませんが、過去において利子補給を政府が停止されまして、その期間においてもちろん損失補償契約を結んでおりませんし、今後の新造船の建造方式というようなことにも関連をいたして参るのでございますから、そういった方面の相談は、海運造船合理化審議会に全銀連の代表者が出ておりますので、そういったことに関連して意見は十分聞いておるのでございます。この点について全銀協が特に今反対をしておるということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/63
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064・關谷勝利
○關谷委員 そうしますと、全銀連あたりのこの削除に対しての意見は、あなた方直接お聞きにはなっておらない、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/64
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065・朝田靜夫
○朝田政府委員 この点は、特にそういったことについて意見を徴したわけではございませんが、この法案を出すことについて、合理化審議会その他の機会においても説明をいたしております。従いまして、そのときに特に反対の意向は表明をされておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/65
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066・關谷勝利
○關谷委員 次に、要綱第四についてお尋ねをいたしまするが、「昭和三十二年四月一日から昭和三十五年三月三十一日までになされた外航船舶の建造のための融資について、利子補給契約を結ぶことができる」こうありまするが、これは私は国会の法制局で検討をいたしましたところが、何もこういうふうなものは改正しないでも、以前の法律のままで支給することができるという解釈であったのでありますが、これにつきましては、解釈上、あなた方は支給することができないと思っておられたのか、あるいは、できるけれどもこういうふうなことをことさら入れたのだというふうにお考えになっておるのですか、どういうふうなことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/66
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067・朝田靜夫
○朝田政府委員 ただいまの法律論は私どもも政府部内において十分検討いたしたのでございますが、内閣の法制局等の意見も十分開きましたところ、現行法におきましては、昭和三十二年
四月から三十五年三月三十一日までに建造されました今御指摘の外航船舶の建造のための融資についての利子補給は、これは明確に書かなければ現行法
ではできないという結論に達したのであります。この点につきまして種々法律論がございますが、われわれ政府部内での検討の結果、現行法におきまし
ては、そういった規定がなしに過大において建造されたものについての利子補給を支給するということは無理である、こういう結論に達したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/67
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068・關谷勝利
○關谷委員 そうしますと、私が国会の法制局で検討さした結果、これはできるというのでありまするが、その解釈は国会の解釈が誤りである、こういうふうなお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/68
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069・朝田靜夫
○朝田政府委員 国会の法制局の御意見も私どもも承知いたしておったのでございますが、内部において検討いたします際にも、そういう意見があるので十分検討いたしたのであります。法律論といたしましては、現行法の第二条では、これはなるほど二条だけで読みますと、どうしてもそういった議論、われわれの政府部内で到達した議論に直接にはならないのでございます。これは過去、現在、未来にわたって利子補給ができるのだということを宣言をしておるので、第二条は仰せの通りのような法律論になるようでございますが、「予定しゆん工日」とあることにつきましては、やはり過去において建造されたものについての融資の利子補給はできないのだという解釈でございます。法律論はそういうようなことで政府部内で結論を得たのでございますが、そのほかに、国会の法制局の意見が間違っておるのだというようなことを私からはちょっと申し上げるほどの自信はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/69
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070・關谷勝利
○關谷委員 これは解釈上、できるというのであります。それに、以前に附則でいろいろさかのぼる場合には書いておるからというふうなこともあなた方のお考えの中にあるようでありまするが、あの当時は法律のなかった以前にさかのぼるからあれは附則で書いたのであって、法律ができて後にそれが中止しておって、これをさかのぼる場合には、それは要らないと解釈するのが、常識論からいっても法律論からいっても、私はこれは至当であろうと思います。私は、海運局長がそれはできないと言うのなら、次に法制局を呼んで、海運局長を目の前に置いて、時間がありましたら一つこれは検討してみたいと思いまするが、この点はあとに譲るといたしまして、これは私考えますのに、いろいろと利子補給という名前、損失補償という名前が悪いというふうなこと、またこの方法よりほかに方法を考えて海運の強化策を考えるべきじゃなかろうかという意見が一部にあるのでありますが、あなた方はこれを専門でやっておられるのでありまするので、そういうふうなことも考えられたのであろうかと推測ができまするのは、いつの日本経済新聞でありましたか、他の方法を考えておるというふうなことがちょっと出ておりました。建造補助を出すとか、あるいは定期航路の補助を出すとか、三国間の輸送補助ということでやるのだというふうなことが出ておりましたが、そういうふうな別途の方法を考えてみられたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/70
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071・朝田靜夫
○朝田政府委員 利子補給以外の海運助成策というものを考えたことがあるかという御質問でございますが、私どもはこの点につきまして種々検討いたしたのであります。私どもばかりでなしに、御承知のように昨年、海運対策について、自民党、社会党あるいは経済同友会、経団連あるいは海運造船振興協議会という各方面からの対策も出たわけでございます。この対策のすべてを通ずるものは、やはり日本海運事業の体質のもろさというものにつきましては、これは戦後の借入金による造船によりますところの資本費の重圧が根本原因である、こういうことが答申されておるのは御承知の通りと思うのであります。従いまして、他の方策で考える海運政策というものよりも、何をおいても、日本の海運事業の体質を改善するということにつきましては、この高金利であり、金利の支払いの絶対額が膨大に上っておる資本費の重圧から解決しなければ、根本の問題は解決されないという結論に達しておるのでございます。従いまして、この点に触れないで他の方法をもってしても、日本の海運事業というものは国際競争に耐えていけないのだいう結論であろうと私は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/71
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072・關谷勝利
○關谷委員 この方法よりほかに方法がないというふうにあなたは今言われましたが、それなら、それ以前にできておりまする法律をわざわざここまで後退するのがおかしいのですよ。考え方によりますと非常におかしくなるのであります。これは社会党もこういうふうな案を政策審議会から発表いたしております。ずいぶん上回ったものが出ておりまするし、自由民主党の方で検討いたしましたのも、以前の法律をそのまま適用することが適当だというふうに言っておるのに、ことさらあなた方の方がこういうふうに後退をしておる。それなら、これだけ後退するのなら、別にまた——一応後退をしておいて、別個の方法でも考えるのだろうか、こういうふうに考えておりましたら、その案はないのだ、これが一番いいのだ、こういうふうなことで、何やらこの後退する改正案を出したというところが、非常に私は不明朗なと申しまするか、疑義があるのでありますが、その点、第四項を、あなた方はこれで出ないんだというふうな解釈をしておるとすると、もしできないということなら、さかのぼるのでありまするから、やむを得ず提出したということはやむを得ないと思いまするが、私、国会の法制局で検討いたしました結果、これはできるのだということでありますると、私はこういうふうな後退した改正案は出すべきものではない、こういうふうに考えておるのであります。
それから、これは一度お尋ねをしておきたいと思いまするが、建造資金あたりは、十分全銀連でこれから損失補償しなくてもできるのだ。これからは、もう建造は借金をふやさないような範囲内でやるのだからできるのだというふうなことでありまするが、今自己資金船を建造いたしまする場合にでも、全銀連がうんと言わないからというので、建造許可がおくれておる実例があります。そういうふうな、自己資金船であって、全部その相手の銀行が承諾をしておる。それでさえ全銀連がきかないというふうなことでありますから、その全銀連の損失補償がなくてもやれるというふうなことを、全銀連の意向は何も聞いてなくして、あなた方が言われるということは、私はおかしいと思うのでありまするが、銀行の意向を聞いて、全銀連の意見を聞いて、これなら損失補償しても差しつかえございませんというのなら、私はこれからの金融がスムーズにいくと思いまするが、私はここいらで行き詰まるのじゃないかという気がしますけれども、その点保証ができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/72
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073・朝田靜夫
○朝田政府委員 過去二、三年及び現在の状態におきましては、先ほど申し上げたような金融事情でございますので、来年度の計画造船並びに自己資金船につきましても、そういった資金事情というものは船舶建造に関する限り変わらないと私は考えます。ただ将来ともに船舶建造融資について、こういった資金事情が持続されるかどうかということにつきましては、将来の問題で、何年後にそういった事情の変化がくるかということにつきましては、ここで申し上げられませんが、当分の間、来年あるいは再来年程度のところでは、こういった金融事情等からして、船舶建造融資が非常な難関に逢着するというようなことは私はないものと考えるのでございます。ただそれにつきましては、企業の力に応じて企業の基盤が新造船によって強化されるということの原則を貫いて参りますならば、金融機関もこれに対応いたしまして融資がついてくる、こういうふうに考えておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/73
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074・關谷勝利
○關谷委員 そうしますと、いつも回りくどい答弁ばかりしておられますが、はっきり言いますと、全銀連あたりの意向は聞かなくて建造許可が出せる、こういうことですね。今全銀連は船舶建造に対しまする融資の率をきめておる。そのワク内であって、しかも相手の銀行が承諾しておっても、全銀連がうんと言わぬからというので船舶局から建造許可を出してない、出されないというので一カ月も二カ月も引っぱっておるような状態ですが、この損失補償を消して、そうしてこれをなくしておっても、今度は全銀連に相談もしない、それでやって、全銀連からちょっと待ったと言うたときに、これは待たなければならないのか、全銀連あたりがたといどう言おうとも建造許可そのものが出せるのか、それをはっきりしていただけばいいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/74
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075・朝田靜夫
○朝田政府委員 ただいまの御指摘の点に直接お答えをするためには、現在の自己資金の現状は、仰せの通りのような実情でありますけれども、損失補償契約が当分の間締結できないということを、全銀協と相談をしないから今後の融資については難関に逢着するということはございません。そこで現在の自己資金船につきましては、全銀協が自宅調整をやっておることは御承知の通りであります。私どもといたしましては、自己建造といえども企業力に応じた新船建造を進めて参りたいということが、年度当初からの方針でもございました。資金のワクは十分あるじゃないかという点の御指摘もございましたが、これはその通りであります。しかし造船の事情等が変わって参りまして、延べ払いあるいは非常に船価が低減されてきたというようなことから資金が余っておるわけでありますが、いずれにいたしましても私どもの方針といたしましては、企業の力を考えないでどんどん自己建造というものができて、あとでそれがやはり大きな重圧になっていくことを避けたいという考えでおりますので、銀行あるいは業界の自主調整にその点を期待しておるのでございます。臨時船舶建造調整法によってそういうことは条件にはなっておりませんが、そういう自主調整も運用の一つであろうというふうに考えております。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/75
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076・平井義一
○平井委員長 それでは、再び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。正木清君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/76
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077・正木清
○正木委員 委員長にお伺いしますが、大蔵大臣の時間は、お約束の通り一二時間よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/77
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078・平井義一
○平井委員長 正木さんに申し上げますが、実はあと三委員会に呼ばれておりますので、一つ時間を切るわけじゃございませんが、御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/78
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079・正木清
○正木委員 それじゃ大臣にお尋ねする前に一言お耳に入れておきたいことがございますので、よくお聞き取り願いたいと思うのですが、日本国有鉄道の昭和三十五年度の基本計画でございますが、実はこの計画書の中にこういうことが盛られておるのでございます。「金利その他経営諸費の増加は国鉄財政を圧迫し、現状のまま推移すれば将来にわたって収支の安定を欠き、予定された諸計画を遂行することができないばかりでなく、国鉄の経営そのものも維持できなくなるおそれがある。」従って大臣にも非常にお世話になりまして、昭和三十二年度に運賃値上げとともに国鉄の五カ年計画を始めましたが、今申し上げたような事情で五カ年計画というものは完全に壁に突き当たってしまっておる。このことをまず大臣とくと一つお耳に残しておいていただいて私の質問をお聞き取り願いたいと思うのであります。大臣お忙しいようでありますが、まず大臣に質問をいたします前に主計官にお伺いいたしたいと思いますけれども、主計官おいででございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/79
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080・平井義一
○平井委員長 見えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/80
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081・正木清
○正木委員 主計官、今私の申し上げたことはおわかりだったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/81
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082・谷川寛三
○谷川説明員 ええ、わかっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/82
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083・正木清
○正木委員 なぜ一体国鉄がこの基本計画の中で、このように「国鉄の経営そのものも維持できなくなるおそれがある。」ここまで言い切らなければならなかったか。これについては毎年度の国鉄から大蔵省への予算の折衝について、国鉄の現在の財政状態を一番詳しくお知りになっておるのはあなたですから、あなたから国鉄の今の財政の状態をここで明らかにしてもらいたいと思います。いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/83
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084・谷川寛三
○谷川説明員 お答え申し上げます。この間うちから当委員会におきまして国鉄の現状につきましては、いろいろ国鉄御当局からはもちろん、監督官庁でございます運輸省の方からも御説明があったと思っておりますので、私からあらためて申し上げる必要もないかと思うのでありますが、先ほど五カ年計画との関係についていろいろお話しになっておるのでございますけれども、その後の経済情勢等との関係もありまして収入が及ばなかったりいたしました関係もありまして、若干のおくれは見ておるようでございますけれども、われわれといたしましても、三十五年度はもちろんでございますが、できるだけの努力はいたしましてやっておるわけでございます。大体全体計画で申しますと、五千九百億余りの金が要ることになっておりますが、三十五年度予算実行後の姿におきまして約七割程度の資金投入となるはずであります。これに東海道新幹線を、東海道につきましての輸送力増強という見方を加えて考えますと、五カ年計画全体といたしまして相当な仕事がなされていると見ていただけるんじゃないかというふうに考える次第であります。現在の財政状況につきましては借入金の増加等いろいろ問題はございますが、私どもといたしましては運賃体系等につきましても合理的な検討をする等いろいろ努力をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/84
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085・正木清
○正木委員 主計官、残念ながらそういう抽象論では私納得できません。私の方が相当詳しく調査いたしておりますから。しかし大臣に時間がございませんので、私から国鉄の今の現状を申し上げたいと思うのですが、実は三十二年度の運賃値上げとともに国鉄は五カ年計画を立てまして、戦争中に痛めつけられました復旧工事、それから近代化に全力を尽くしてきたのでございますが、残念ながら当初の事業計画は遅々として進んでおりません。明年度を迎えておりますが、ようやくにして六割五分、六五%、従いまして四年度ですでに資金不足が七百五十億、三十六年度の当初計画の千二百七十三億、それに大臣、これは国鉄の事務当局がおきらいになっておるのですが、大臣は鉄道の大先輩でありますから私が申し上げる必要もないと思うのですが、鉄道院時代からの借入金として、大蔵省の国債整理基金で三十五年度で当然お払いしなければならない償還金が二百九十六億ございますが、三十五年度では実は予算措置では十二億しか払っておりませんで、二百八十四億が実は借りかえをしておる。その他東海道の幹線が来年度約五百億、その他を加えますと三十六年度で国鉄がどうしても資金手当をしなければならないのが二千三百億ほどになります。これはあなたさえ腹がきまれば預金部からどっとお貸しを願えれば、大臣何とか三十六年度の危機は切り抜けられまするけれども、企業体として国鉄としてはあなたのやはり監督も受けているわけですから、当然あなたはお貸しになるはずはないと思うのです。そうすると、三十二年度の運賃値上げで国民に約束した五カ年計画は思うように進んでいかない。一方東海道の幹線増設も思うようにいかない。ここに実は国鉄の危機が到来いたしたわけでございます。そこで一体この五カ年計画というものはどこにか無理があったのではないか。私も考えたのですが、一つはここにあるわけです。大臣、お聞きを願いたいと思うのですが、当初国鉄が五カ年計画を立てたときには国鉄は運輸省に対して一割八分の運賃値上げを要請したわけであります。ところがこの一割八分の運賃がだんだん煮詰めてきまして、最終段階ではあの政治運賃、腰だめ運賃の一割三分で押さえられてしまった。一割八分で事業計画を立てたものが一割三分で押えられてしまった。しかもこの一三%のうち、この運賃値上げの三%に値するものは全国地方自治体に国鉄が資産に持っておりまするから、私どもで言う固定資産税の税金として、三%は地方自治体に交付金という形で還元する。そうすると実質上一割の運賃値上げでこの五カ年計画をやろうとするんですから、ここに大きな無理が出たわけでございますね。これが一点。それからもう一つは公共企業体というもの、これを私は声を大にしてあなたに申し上げたいのですが、公共企業体というものの本来の性格が、政治上ではこれが単なる企業体としか取り扱われておらない。ここであなたに公共企業体とは何ぞやということを申し上げる必要はごうもないのでございますが、公共企業体ですから、岸内閣の要請、議会の要請、言いかえれば国の要請に基づいて国鉄が行なおうとするこの国策的な事業については、当然国家出資であるべきものなんです。これは大臣といえども異論かなかろうと思います。これが一点。それから第二の点は、国鉄が企業体としての経営をするために、どうしても近代化をやらなければならないとするならば、この近代化には当然借金政策がとられてしかるべきものだ。第三点は国鉄の、一口に私どもは改良工事と申しておりますが、大臣御存じのように、古い施設を取りかえていく、更新していく、これは自己資金でやるのが当然ではないか。ところが不幸にして、戦後十数年を経過しているにかかわらず、この三本の柱というものが立っておらない。ここに国鉄の財政の危機を招いた根本的な原因があるんだ。
そこで大臣にお尋ねをしたいことは、大臣のこの公企休に対するものの考え方をきちんと立てていただきませんと、どなたが運輸大臣になり、どなたが国鉄総裁になっても今の危機は突破できない。そこでこの点をお尋ねしたいが、その前に、実は過日運輸大臣と、あなたが御出席にならないものですから一間一等をやったわけでありますが、私と運輸大臣それから鉄監局長その他出席して、委員長も同感をして下すったわけですが、完全な意見の一致を見たわけです。それがきょうの附帯決議になって現われたのですが、まさに超党派です。そこでこの公共企業体のあり方について、一つ先輩の大臣から御所信を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/85
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086・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 正木委員は、私が存じ上げておる当時から非常に交通には造詣の深い方であられます。私が存じ上げたのは小運送の関係に携わっておられる時分でございます。従いまして交通につきましても御理解が非常に深く、ただいまの鉄道の状況等についても、私どもがつかんでおるところとおそらく認識は同一であろうと思います。私自身も、御承知のように二十四年間鉄道育ちでありますから、そういう意味で、お話になる点もわかるわけであります。
ところでその公共企業体に切りかえたときに、私も関係者の一人でありますが、当時の考え方から申しますと、日本の政治のあり方から申しまして、今のお話のうちにもありますが、こういう公共機関についていろいろ政治的な要求が出たり、それが、政府あるいは国会を通じて出てくる。そういう事柄が、企業体の事業遂行上に非常に影響を与えるんじゃないか、こういう意味から、いわゆる国有、国営の形態もさることだが、企業本来の考え方に徹すべきじゃないだろうか、そういう意味で公共企業体というものを作り、そしていわゆる独立採算でやっていくという考え方で一つ工夫できないか。これは占領中の占領軍の示唆も多分にありましたが、そういうことで実は公共企業体が発足したと思います。しこうして、国鉄が公共企業体として発足したことは、そういう意味で私はいいことだと思いますが、今日の公共企業体の経営の実態を見ますと、公共企業体は作りましたが在来の国有、国営と何ら変わっておらない。おそらく企業体の責任者の考え方というもの通りには動いておらない、ここに一つの問題があるのではないか。これは私いいとか悪いとか申すのではありませんが、とにかくこれが影響しておる。ただいま運賃の問題のお話も出ておりましたが、一割八分を要求した、それがいろいろな事情で一割三分になった。しかも三分は固定資産にとられた。そうすると計画自体の収入源自身が非常な支障を来たす、これははっきり出てくる。もちろんそれを下げるには下げるだけの理由があったことだと思いますが、少なくとも公共企業体の性格から申しまして、非常な公益性の強い事業をやるといたしましても、やはり経営者にその経営の全責任を負わせて、そうして本来の公益性を十分発揮するように努めさす、そのためにはいわゆる独立採算が望ましいのだ、言いかえますならばいろいろの負担をこの公共企業体に課した場合に、他の面からその負担に対する補てんをする、その補てんとは一体何だ、申すまでもなく国民の負担であります。そういうことを考えてみますと、公益性の強い事業体自身はやはり受益者負担といいますか、利用者負担においてそれが経営される、それに徹するということが本来の筋でなければならない、これが公共企業体を作ったときの基本だと思います。私はその考え方はよかったと思いますが、その後の経営の実態は必ずしもそのようには運営されておらない。御指摘になりました幾多の点があります。同時にまたもう一つ公共企業体として発足し、長期計画を立てた場合に、非常な違算を生じただろうと思いますのは、戦後のわが国経済の変動、これを十分把握していなかったのではないかと思います。今日になりまして国鉄自身の近代化ということが非常に強く叫ばれるとか、あるいは幹線の輸送力の隘路を打開する必要に迫られるとか、戦後の経済の発展に対しての十分の計画を盛った見通しが立てられなかったのではないか、こういう点がただいま非常に困難な情勢に当面せざるを得なくなったのだ、こういうように私は感ずるのであります。これは議論の存するところです。公益性の強いものだから企業体だけの責任にそれをまかすのは間違っておる、こういう注文もあるだろうと思います。しかしそれを政府一般において財源を補てんするといえば、申すまでもなくこれは国民一般の負担においてやるわけであります。これは税金でまかなう以外にないわけです。そういうことを考えて参りますと、政府の一般財源で補てんするということは必ずしも望ましいことじゃないわけです。これはだいぶ議論があることで、もちろん私もその点は承知しておりますが、そういうものだと思います。私は長いこと鉄道におりましたが、そういう意味で私どもの先輩などは、鉄道というところはもう外に出てはいかぬところだ、内輪だけでじっくり一つ話をし、経営に透徹すべきだ、これは国営の場合においてもそうなんです。外に出ていけば必ず注文をつけられる、そのことはちっとも幸いしない。当時はなかなか軍の盛んな時代でありますから、出ていけば軍部の要求が非常に強い、どこそこへ鉄道の線路を作れとか、容量をもっとふやせとか、必ず注文をつけられる。あるいはまた幾ら利益がもらかっておるのだから、それを臨軍の方に出せとか、必ず出される、そういうことはもう避けて、国鉄は国鉄として、ただ国民あるいは荷主、旅客にどうしたら便益になるか、そういう意味でほんとうに切り詰めた経営をすべきだということを、実は長い間教育されたものであります。この考え方が、おそらく戦後の変動時になりましていかようにも批判され、同時にまたそれにもいろいろ注文がつけられる。たとえば今の経営の負担上の問題としていわれますものは、国内交通の不整備の状態から見れば、新線建設は必要だ。ことに未開発地域を開発するためには交通を整備しなければならない。そういう意味で新線建造の要望は非常に強い。しかし、これを要望のままに応じたら、おそらく国鉄はやっていけないでしょう。また鉄道の場合、当然のことですが、これが成熟して収益を上げるくらいになるまでは、線路にもよりますが、まず十年は見ていかなければならぬ。建設利息が払えるまでにはそのくらいかかる。けれども、これも、今の公共性から見れば、一面要請の出てくることは当然であります。しかし、こういう要請を弱体の鉄道へ要求すること自身が無理なのではないか。やはりそれは考えなければならない。やりたいことはうんとありましても、財政力十分でなければそれには応じられないものがあると思います。あるいはまた各種の運賃にいたしましても、特定運賃制度が設けられておる。これなども、それぞれの農産物等の特定運賃などは、産地の人々あるいは農村の負担なり、消費者の負担ということを考えると、安いに越したことはございません。しかしながら、その独立採算制の鉄道にそれのみを要求するのは無理だということが結論でしょう。その他にも幾つも出てきている。けれども、要するに、国鉄経営はやはり公共企業体として独立採算制でやっていく、そうして自分たちのところで荷主あるいは旅客に対してベスト・サービスをする、こう心がくべき企業体である。その力も十分考えないうちに、これに幾つもの負担を課することは間違っているのじゃないか。その点を、全部そういうことをやってもいい、それは他の方からまかなえるというなら、それは国民の負担においてやるべきことだ。そういうことを考えてみますと、これは一般租税負担ということになるのですから、私は必ずしもその方法は適当じゃないと思う。また借金をすると、これも一応はまかなえるが、企業の採算性が非常に低いということになれば、だれも金を貸してくれない。最近世銀に参りまして東海道新幹線の建設資金の交渉をしても、一体日本の国鉄の採算性は幾らあるかということを必ず指摘される。そうすると、これは一体どこに欠陥があるのだということになる。そういうことを考えますと、公共企業体としては、当然その資本に対する適正な収益率というものは確保していかなければならぬ。これが今日の国鉄では確保されておらない。同時にまた、第二点として先ほど指摘したように、戦後の変動に対しての十分な用意、計画ができておらない。その結果が幾つもその計画の破綻を来たしておる。こういうことが実際言えるのではないか、かように私は思います。
そういう意味で、私も鉄道の出身ではございますし、また国の産業活動の基幹をなす鉄道でありますから、これを強化することについての理解の点においては人後に落ちるつもりはございません。しかしながら、弱体なものに非常な重荷を負わすことは不適当ではないか。やはり弱体なるがゆえにこそこれを盛り立ててやる協力態勢が必要なんじゃないか。だから他の事業計画でも同様でございますが、たとえばうんと土地改良をしたい、大きな計画はございます。計画はございますが、財政の状況が許さないといえば、その計画は圧縮せざるを得ない。現実の問題としては、国鉄の力そのものが非常に弱い。それに対する重荷が少し過ぎておる。私は実はこういう感じがしてならないのであります。簡単に申しますとただいまのような所見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/86
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087・正木清
○正木委員 今、大蔵大臣から運輸行政の施政方針を承りました。実は私と楢橋運輸大臣の間で、国鉄の今後のあり方、危機に到来した三十六年度の資金計画等について意見の交換がされて、完全に意見の一致を見た点は、私は運輸大臣に一つ政府の中で権威のある調査会を作ってくれないかということを申し上げた。そこで、今の大臣の御意見にもあったように、あらゆる角度から調査会で調査検討を加えて、そうして国鉄の主十六年度からのあり方について、そこで十分結論を出してもらうことが大切なことではないか。これには運輸大臣も国鉄も事務当局も完全に意見の一致を見たわけです。
そこであなたにお願いをしたいこと、同時にあなたにもぜひ御協力を賜わりたいことは、担当大臣である運輸大臣からそういう発言が閣議であったときはぜひ御賛成を願いたい。結論を言いますとこういうことなんですが、いかがでありましょう。ぜひ御賛成を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/87
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088・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 私はやや考え方が違っておりますが、もちろんこの鉄道という大きな経済の幹線の役割を果たすことについて非常な関心を持つことは当然でありますから、政府自身がいろいろ研究することも必要だと思います。これは必要でないとは申しませんが、何を申しましても、公共企業体のあり方から申せば、経営者自身が積極的にただいま言われるような点についていかにあるべきかをみずからやるべきであります。政府自身といたしましては、今の機構から申せば、公社自身が計画を立てたものについてその適否を判断いたしますが、政府自身がこれに積極的な注文をつけることは、企業体のあり方としては望ましい方法ではない。むしろ企業体自身とすれば、政府の干渉なしに自立できるということでなければならない。ただ、今、正木委員がお話しになりますように、企業体自身のあり方がいいか悪いかとか、往来のような国営がいいのだ、あるいは民営がいいのだ、あるいは分割した方がいいのだというような基本的な問題についてなら、もちろん政府自身もいろいろ検討もしておるし、そういう必要はあろうかと思いますが、現在の運営なりあるいは今後の諸計画等は、みずからが十分実情を把握して、財政的な経営の責任を持つものが立てるべきだ、そうしてそれが国家的な計画としてどういうように具現化すべきか、どういうような関連を持つかということは政府自身が考うべきことだ、私はかように区別して考えたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/88
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089・正木清
○正木委員 大臣の御意見、私ももっともな点があると思っております。すでに国鉄はおそまきながら気がつきまして、実は本年度から三十五年度の基本計画を立てて真剣に取り組んできておることも間違いがございません。国鉄は当事者でありますから当然そうあるべきものだし、出直接の監督立場にある運輸省も当然そうあるべきなんで、しかしそれだけでは、ここまで追い詰められた国鉄の経営のあり方について解決しない。だから担当大臣から閣議等で御発言があったときには、あなたや経済企画庁長官の管野君等にぜひ御協力を願いたい。私がなぜそのことを申し上げるかというと、前段であなたの御発言にもありましたが、実は大臣の鉄道省時代とは非常に事情が変わって参りまして、国鉄自身が運賃の公共負担をしておる分がどれくらいになるかというと、時間がかかりませんから簡潔に数字だけを申し上げますが、三十二年度で五百四十七億二千万円、三十三年度では五百八十億、三十四年度では六百十億、三十五年度では六百四十億、実はこういう数字になるわけです。それから大臣も御指摘になりましたが、かりに新線建設に出資いたしている分について政府が利子を負担していただくとするならば、この利子分だけでも実は十四億から違って参ります。時間がないから申し上げませんが、東海道新幹線の工事費については、国鉄も運輸省も一つ政府出資をやってくれぬか——間違いました。新線建設では五十九億三千七百万円です。東海道の百億を出資をしてくれぬか、この百億を政府に出資してもらえば、国鉄の利子の分だけでも十四億から違ってくるのです。さらに今の制度は私不思議なんですが、国鉄の現金をあなたの方の預託金にする。四十億までは無利子なんですね。この大蔵省というところはどうも金を貸す方ですからなかなか権力がおありなんですが、金を借りますと待ったなしに六分五厘の利子を取る。預託は四十億まで利子を払わない。しかも払う利子は至って安い。こういう制度も実はある。それから実は資金運用部から国鉄が金を借りております。私は国鉄が軌道に乗るまではこの償還を十五年のものを二十五年に延期したらどうか、こういたしますと三百二十億から違ってくる。それから例の、先ほど私申し上げました国債整理基金の償還到来、これを実は大臣は反対されるに相違ないのですが、鉄道院時代からの借り入れなんですから、戦争中にまで、あなた自身が重要なポストにおられて、国鉄がかせぎ出したものを軍事費に取り上げられたんですから、当然これの元金は政府出資に切りかえてしかるべきじゃないか、私の考え方、再建案としては。この国債基金の、この借金でどういう形になるかというと、利子だけでも百四十億から、元金どころじゃないのです。利子の方がどんどんふえていくわけですね、こういう形の現状のままで、あなたのおっしゃるように、公共企業体とは独立採算じゃないか、まず国鉄当局がきちんと事業計画を立てて、そうして完全に自まかないできるような方針でやりなさい、こういっても大臣、無理なんですね。だからあなたのおっしゃるように——あなたの意見でもいいんですよ、私はそんなむちゃなことを国鉄に押しつけることがけしからぬと思う、こうおっしゃるあなたは閣内の一番重要な大蔵大臣におられるわけです。けしからぬのであったならば、あなた自身が与党さんと話し合いをして、無理な点は切ってもらっていいと思うのです。それならばそれで……。財政のことも考えない。資金のめんどうも見てやらない。貸した金は待ったなしに取る。利子も取る。これは大蔵省として当然ですけれども、弱い国鉄としてはやっていけないのですよ、それでは。だから新線建設がけしからぬというんだったら切ればいいのです。それから東海道幹線の増設にしても、大臣言われたように、それはあなたの若いときの鉄道省の話じゃありませんか。今こういう世の中になって、そんな内輪の中にじっとしておったら世間から忘れられるのが今の鉄道のあり方なんですから、そこでこの新幹線を国策としてやるのであるから、やるようなめんどうを見てやる、それを見てくれない。そして公共割引は毎年六百億から六百五、六十億の負担を国鉄にさせる。さしておいてこのことを伏せてしまって、理屈通り国鉄は自まかないで独立採算制なんだからやれ、これは大臣、政治じゃありませんよ。私は大蔵大臣においでを願ったのは——あなたでなくてもいいんです。主計官でもいいんですが、おいでを願ったのは、あなたが鉄道の大先輩なんだ。一番事情を知っているんだから、このことをよくお考え願って、そうして楢橋君が閣議で発言したときにはその調査会設置に賛成してもらいたい。私は経企長官にも話をしますから、そうしてこういう問題を徹底的に掘り下げて御検討願えれば、私は国鉄の今後のあり方というものは明確になるのではないか、こう思うのです。どうか一つ御所見を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/89
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090・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 私申し上げることも、それからまた正木委員の誓われることも、あまり違っているのではないだろうと私は思いますけれども(正木委員「賛成してもらえればいい」と呼ぶ)しかし調査会自身は政府自身が設ける筋ではない、かように私は思います。これはやはり国鉄自身からそういう問題が出てくるべきで、また国会自身も国鉄の現状というものを、先ほど来お話のような深い御認識を賜わりますならば、やはり国会自身も国鉄自身の自主的経営ということに重点を置いてやられると、私は国鉄はりっぱにやっていけると思います。今いいとか悪いとか申すわけではありませんが、公共負担六百億だとかあるいは六百五十億だとか、こういう多額のものを年々負担している。一体これらのものはどういう正確のものか、これはよく考えて処置してやらないといけない。あるいは新線建設にいたしましても、私は全部やめろというような乱暴なことは申しませんが、やはり必要な限度にやっていく、漸を追うていくということでなければならないと思います。それをみずからの収支計算なり損益勘定なり、その三勘定でうまくあんばいのできる範囲でやる。私どもは今回の予算を計上するにあたりましても、国鉄としての一応の資金ワクなども相当よくめんどうを見たつもりです。それは事業計画には万遺憾なきを期するようにしている。けれども、とにかく国鉄が膨大であればあるだけにこれに対する批判も非常にきびしいし——これは私ども長い間の問題にしてきたものなんですが、第一定期券のあの安いということは、これは国鉄経営としてどうしようもないことでしょう。こういうものをやはり直してやらない限り、うまくいきっこないでしょう。しかしおそらく定期券を今改正するということは非常に困難なのではないか。それは各方面で、保守、革新ともにおそらく定期券を値上げするとか適正化するといえば、これは反対されるに違いない。こういう筋のあることは、やはり時期を見て解決してやらないと、国鉄自身非常に困ってくるのだ。幸いにして国鉄経営の基本についていろいろの御意見も出ておりますから、そういう意味で私はそういう点を直してやる、力をかしてやる。おそらく経営者自身に案を立ててこいと言えば、りっぱな案を持ってくる。それが今度は一体どういうような批判を受けるのか。結局それは、もちろん大蔵省的な考え方で、貸すものは貸した、利子は取り上げた、あるいは窮屈なことばかり言う、それはそういうことも直していかなければならぬでしょう。しかし私は今まで特に大蔵省自身がけちなことをやっている、かようには実は思っておりません。私、鉄道におる間は、大蔵省というところはわけのわからぬところだと、ずいぶん恨んだものですが、大蔵大臣になって二年やってみると、なかなかよく理解してくれて、まあ私自身の実感から申し上げるので、これは間違いございません。それでとにかく筋の立つことを順次やらしていかないと、何といったって国鉄は弱い。弱いものに対する重荷が各方面で多過ぎると私は思う。これは非常に国鉄にかわいそうな点なんです。先ほど来のお話はそういう点からスタートしている御意見だと思います。私はその点非常に賛成なんです。だからそういう意味では私はぜひとも国鉄の自主的な意見を伸ばして力をかしてやるようにしていただきたい。特にその点はお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/90
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091・正木清
○正木委員 主計官、今の大臣の当委員会の答弁をあなたはお忘れにならないように、よろしゅうございますか。念を押しておきますよ。あなた、三十六年度国鉄が事業計画を立てて運輸省を経て予算折衝をしたときに、頭がいいからというので国鉄をたたいてはだめですよ。私は大臣の速記をすぐとってあなたに届けます。
そこで大臣、もう一つあなたの耳に入れておきたいと思うことは、国鉄が毎年度の災害復旧のために投ずる工事勘定はどれくらいあるかということの数字を簡単に申し上げますと、三十四年度は八十六億六千何百万ですよ。しかも三十三年度は四十三億七千六百万円、三十二年度が三十四億三千百万円です。こういう巨額な災害復旧費を負担しておるということをお忘れにならないように願いたい。あなたから言わせれば、それはあたりまえじゃないか、独立採算で国鉄が企業をやっているんだから、何百億でも災害復旧費は当然国鉄自身が出すべきではないか、金がなければ短期の金でも貸してあげよう、これが政府の方針でございますが、少なくともこういう巨額に上る災害復旧費等についても別途の政治的な方途があってしかるべきではないか。ですから繰り返して申し上げますが、大臣は大蔵省の立場で、現にここで、楢橋運輸大臣から調査会設置の提案があったときにいきなり賛成するわけにはいかないとはおっしゃいますが、必ずあなたは賛成してくれる、こう私は信じておるのです。どうかその点十分お考えを願いたいと思います。大臣の質問は終わって、あと主計官に質問をいたします。
主計官、今の大臣と私の質問応答をお聞きになったと思うのです。そこで私の心配をする点は、まず三十六年度の資金計画です。これはどうしても二千三百億ほどかかるのだ。それをあなたの手元で一切がっさい一刀両断に立ち切られたのでは、今の国鉄の状態をもってすれば三十六年度は完全に壁にぶつかる、こう私が申し上げますと、あなたは、だからこそ資金運用部その他で金を貸して、そういうことのないように配慮しているではないか、こうおっしゃると思うのでよ。しかしそれはあくまでも借金政策でございますから、当然あなたの方は利子をお取りになる。元金の償還期限がくれば、元金は取る。これが建前ですね。しかし先ほど私がここで指摘したように、国債整理基金で当然ことし払うべき二百数十億のものを、実は貸借対照表、損益計算表そのほかのつじつまを合わせるために、あなたの方は十二億で目をつぶって、あとは書きかえをやっている。それでは根本的な問題は解決できぬと思うのです。あなたに聞きたいのは、この東海道新幹線の第二年度にあたって、国鉄はこれは国家的要請に基づく世紀の事業であるのだから、当然国は百億の出資をすべきである、こういう建前で予算を組んで事業計画を立てて運輸省に提出しているわけです。運輸省はこれが妥当だ、こういう観点に立ってあなたと予算折衝した。ところがあなたの方はこれを無慈悲にも切って捨てた、その切って捨てた根拠を明らかにして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/91
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092・谷川寛三
○谷川説明員 国のいろいろな助成の方法につきましては、先ほど大臣からいろいろお話がございましたところで尽きていると思うのでございすが、新幹線の建設をいたすにつきましてどういう考えでいくかというときに、これはやはり国鉄の自己財源をもとといたしまして、かつ一方におきましては、何と申しますか、一般国民の負担においてそれをまかなっていくという考えではなしに、企業体として、財政投融資等でやっていくべきじゃないかという考え方からいたしまして、政府出資を行なうことにつきましては否定的な態度で臨んだわけでございます。こういった一連のことにつきましては、先ほど大臣からお考えが述べきられたところに尽きていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/92
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093・正木清
○正木委員 主計官、大へん失礼なことを聞くようですが、国鉄関係を御担当になって何年ぐらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/93
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094・谷川寛三
○谷川説明員 一年でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/94
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095・正木清
○正木委員 あなた御担当は一年だそうでございますが、しかしあなたは専門家でございますから、よく国鉄の財政状態を御存じだと思うのですが、国鉄は独立採算制で国鉄収支のワクの中でどんな企業でもやれということはいいのですが、それではたしてあなたのおっしゃる通り三十六年度の予算が組め、三十七年度の予算が組めて、国鉄が国民の期待に沿うように財政上質金上からやっていけるとあなたはかたく信じておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/95
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096・谷川寛三
○谷川説明員 これも先ほど大臣からお話がありましたところで御了承いただけると思うのでございますが、私も国鉄の現状から申しまして苦しいとは存じておりますが、最近における業況を見ましても、三十六年度の予算におきまして東海道新幹線等を含めましての一辺の事業計画におきましてただいま国鉄が考えておられますような計画をそのまま実行に移されるということにつきましては、来年度の全体の財政投融資等のワクも見ながら考えねばいかぬわけでございますので、これは検討の余地がある問題ではございますが、全体としまして国鉄の事業計画に応じ得るような財政計画を立て得ると考えております。まあ非常に苦しいことは認めますけれども、正木委員が御心配になっておられますようなことにはならないと考えております。これはまあ来年度のことでございますので、どの程度やれるかということにつきましては、もちろん、これはただいま何ともお答えすることができないわけでございますが、できるだけの努力は私どもいたして参りたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/96
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097・正木清
○正木委員 これで終わりますが、主計官の立場としては、それ以上の答弁はできないと思います。できないと思いますが、しかしあなたはここでわれわれに言ったことを忘れちゃいけませんよ。いいですか。あなたが、三十六年度の予算折衝に入ったとき、無慈悲な態度をとれば、今度は私どもは粘りますからね。よろしゅうございますか。粘りますよ。それだけを申し上げて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/97
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098・平井義一
○平井委員長 他に御質疑はありませんか。——他にないようでございすので、本案に対する質疑はこれにて終局いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/98
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099・平井義一
○平井委員長 これより討論に入りたいと存じますが、討論の申し出もありませんので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/99
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100・平井義一
○平井委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。
日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の直立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/100
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101・平井義一
○平井委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
この際島口重次郎君より発言を求められておりますので、これを許します。島口重次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/101
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102・島口重次郎
○島口委員 私は、ただいま議決をいたしました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対しまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表いたしまして、附帯決議の案を提出いたします。
まず主文を朗読いたします。
日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
現下の日本国有鉄道は、五ケ年計画実施四年目を迎え、その進捗率に大なる遅れを来たしているのみならず、資金経理の内情は極度に悪化しており、他方、巨額にのぼる東海道幹線増設工事の早期実現の必要にせまられ、国鉄財政は、真に憂慮すべき事態に到来している。
よつて、政府は、五ケ年計画の完全実施と東海道幹線増設工事の早期実現をはかるため、国鉄に対する各種公共負担の実情に応じて、政府出資の実施並びに財政資金の貸付条件の緩和をはかる等の推置を講ずるとともに、国鉄の行う国際復興開発銀行からの外貨資金の借入については、いやしくもその自主性が損われることのないよう万全の措置を講ずべきである。
右決議する。
国有鉄道の伸張はわが国の産業経済のみならず、全生活を支配いたしまする重大な影響があることはあえて言うを待たないのであります。しかるに政府並びに日本国有鉄道当局は、五カ年計画を実施して参りましてすでに四年を迎えておるのでありまするが、その進捗率は所期の計画から相当距離があり、ずれがあるのであります。こう申しあげることはすこぶる残念でありまするけれども、資金、経理の面から申しましても極度の切迫をしておることも事実でありまして、そのおもなる原因となっておりまするのは、今度東海道新幹線の増設工事を早期実現しようとするのでありまするが、かかる事業は、国鉄の財政にまことに危険な事態が到来すると思われるのであります。政府は五カ年計画の完全実施と東海道線増設工事の実現のために国鉄財政に特別の措置を要望いたしまするとともに、国際復興開発銀行から外貨の資金借り入れにつきましては、いやしくもその主体性がそこなわれることがないような措置を講じてもらいたいのであります。あるいはこの東海道新幹線を建設をいたしまする暁におきましては、たびたび国鉄の総裁が申しておるごとく、これを完成いたしまするならば、日本全国の輸送の隘路が解決をされるとしておりますが、その計画等におきましても単なる構想ではなくて、実現を期してもらいたいと思います。あるいは世界銀行から借り入れをいたしますることによりまして、相当膨大な借款が増加いたすのでありまするが、そのためには、国鉄の運賃値上げ等が絶対ないというためにも、ただいま私らが提案いたしました決議案の趣旨を体しまして実現されんことを要望いたしまして、決議案の趣旨を説明する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/102
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103・正木清
○正木委員 委員長にお願いがあるのですが、委員長が本会議で御報告になりますときに、必ずこの附帯決議の内容だけは本会議で明らかにしていただきたい。いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/103
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104・平井義一
○平井委員長 皆さん異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/104
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105・平井義一
○平井委員長 それではさよう決します。
ただいま島口重次郎君動議のごとく、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/105
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106・平井義一
○平井委員長 異議なしと認め、さよう決しました。
この際政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。運輸大臣の代理として鉄道監督局長山内公猷君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/106
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107・山内公猷
○山内(公)政府委員 ただいま日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に対しまして附帯決議がございましたが、この御決議の趣旨を十分尊重いたしまして、適切な措置をいたしますとともに、国際復興開発銀行からの外貨資金の借り入れにつきましては、十分慎重に対処いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/107
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108・平井義一
○平井委員長 日本国有鉄道副総裁吾孫子豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/108
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109・吾孫子豊
○吾孫子説明員 本日、国鉄の現状に対する深い御認識に基づきました御決議をいただきまして、私ども心から感激いたしております。おそらくただいま病床にありまして出席できない十河総裁も、このことを承れば心から感激1いたすことと思う次第であります。私どもといたしましては、皆様の御期待をはずかしめないように、今後なお一そう努力をいたしたいと思っておりますので、何とぞ御支援のほどをお願いいたします。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/109
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110・平井義一
○平井委員長 本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/110
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111・平井義一
○平井委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
次会は来たる二十九日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時五十九分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X00919600325/111
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