1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十五年五月十八日(水曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 平井 義一君
理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君
理事 川野 芳滿君 理事 木村 俊夫君
理事 關谷 勝利君 理事 井岡 大治君
理事 久保 三郎君 理事 土井 直作君
宇田 國榮君 高橋 英吉君
高橋清一郎君 竹内 俊吉君
塚原 俊郎君 長谷川 峻君
原 健三郎君 福家 俊一君
三池 信君 村瀬 宣親君
島口重次郎君 館 俊三君
正木 清君 内海 清君
菊川 君子君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 楢橋 渡君
出席政府委員
運輸事務官
(鉄道監督局
長) 山内 公猷君
委員外の出席者
日本国有鉄道総
裁 十河 信二君
日本国有鉄道副
総裁 吾孫子 豊君
日本国有鉄道常
務理事 磯崎 叡君
専 門 員 志鎌 一之君
—————————————
本日の会議に付した案件
国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一二三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/0
-
001・平井義一
○平井委員長 これより会議を開きます。
国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。關谷勝利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/1
-
002・關谷勝利
○關谷委員 運賃法に関連をいたしまして、私は一点だけお尋ねを申し上げたいと思います。
国鉄の今度の運賃改正はいろいろ合理化の面ということが非常に強く現われておるわけでありますが、その合理化の線から見放されておりまする点がありまするので、その点をお尋ねしてみたいと思います。と申しますのは、国鉄の連絡航路の関係であります。私は以前から国鉄連絡航路の民営移管というようなことをしばしばお尋ねしたことがあったのでございますが、その際に検討しようとか……
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/2
-
003・平井義一
○平井委員長 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/3
-
004・關谷勝利
○關谷委員 そういうような御回答も得ておるのでありますが、以前に、昭和三十年の六月に開会中の第二十二特別国会の参議院の運輸委員会において、仁田竹一君から国鉄連絡航路のうち国鉄経営でなくてはならぬ幹線航路を除いては民営圧迫の事実も現われておるので、民営に移譲する気はないかと質問いたしましたところ、当時の三木運輸大臣から、事務当局の話では本件は検討の余地があり、かつまた必要であるということであるから、そのように取り計らわせるという答弁をいたしております。そこで業者団体であります日本旅客船協会から、さっそく国鉄に対しまして、青函、宇高を除くその他の連絡航路の民営移管を要望いたしましたところが、同年の九月、国鉄から、この問題についてはそのつど業者の具体的要望を検討したい旨の回答があったのであります。その後国鉄当局と瀬戸内海汽船との間に、仁方——堀江航路の移管問題について具体的交渉が行なわれ、目下懸案となっておると聞いております。また関門航路につきましては、関門海峡汽船並びに日本旅客船協会より、年来数回にわたって民営移管を要望してきたのでありますが、これに対して国鉄は何らの意思表示もなく、むしろ黙殺というふうな状態になっておるのであります。
関門国鉄連絡航路も、以前は幹線でありましたが、同区間に鉄道トンネルの開通以後は、これは幹線としての意義を失って、一地方的の交通機関にすぎない状態であります。さらにまた国道トンネルの完成以後は、民間バスはもちろん、国鉄バスまで相互乗り入れを行なっております結果、国鉄の連絡航路の存在意義というものは今失われておるような状態であります。昨年の十一月十九日付の朝日新聞の西部本社版によりますと、十一月十五、十六日の両日の利用者を国鉄下関駅で調査をいたしましたところが、どの便も一船当たり五十人平均で、定員の一割しか乗っておらぬ。しかも関門両市の客が全体の九〇%を占めておって、列車の乗り継ぎにはほとんどこれが利用せられておらないという事実がわかったのであります。そして昨年度は三千五百万円の赤字を出しておるというのが実情であります。国鉄の性格上一路線の赤字のみを取り上げるということは適切でないということはよくわかります。しかしむだな赤字は極力排除せねばならないと思います。前の朝日新聞の報道によりますというと、国鉄では関門連絡航路の合理化のために、現在の五百二十トンと四百トンの石炭だきの船をやめて、新たに百トン程度の小型ディーゼル船二隻を作って、現在の二十分置きを十分置きにして往復回数をふやし、また現行運賃四十円を汽車並みの三十円に下げるというふうな案も考えられておるということでありまするが、これでは合理化というよりかえってむだな赤字の上塗りというようなことになって参ります。幸いこの付近には国鉄と同様に関門市民の海上連絡に当たっておりまする民間業者が二社ありまして、すでに七十年の歴史を持って営業を続けておるのでありますから、国鉄のこの連絡輸送を廃止いたしましても、市民には、前に申し上げたような数字の状態でありまするので、何らの不便はないはずであります。ただその発着所が多少離れておる関係から、現在の民間業者の発着所のほかに、国鉄の現在の桟橋あるいは待合所等を民間業者にあわせて経営させるようにしますと非常に利便を増進することができますので、こういうことにいたしますると民間業者もこれで利潤を上げます、国鉄も赤字をなくすることができますし、一般市民も非常に利益を受けることになりますので、これは一石三鳥の良策であるというふうに考えられ、あの地方ではこれがうわさになっておるのであります。国鉄では近来その付帯業務というものをなるべく切り離して民間に移譲するというふうな方針をとっておるのでありまするが、すでに国鉄幹線の連絡航路としての使命を果たし終えておるこの関門航路も当然そうあるべきだ、こういうふうに考えます。なお私は同じようなことが仁方—堀江の航路についてもいえると思うのでありますが、これを民営に移して民間業者の圧迫を除く、そういうことになりますと、民営業者もよくなりますし、国鉄もむざむざこれだけのものを入れて赤字経営を続ける必要はない、こういうことになるのでありまするが、この点については以前にも私そういうふうなことを御質問申し上げました際に、国鉄はやるかのごとき答弁であった。仁田君に対してもそういうふうな回答をしておるのでありまするが、一向実際問題としては進んでおらないようでございまするが、こういうふうなことは合理化の面から早急に実現すべきだと思います。これについてどういうふうにお考えになりますか。これは大臣と副総裁おられますし、営業常務理事もおられますから、三人の方から御答弁を願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/4
-
005・吾孫子豊
○吾孫子説明員 国鉄の連絡船航路の合理化の問題につきましては、実は内外に対するいろいろな影響がありますので、部内限りで検討は続けておるのであります。何もまだ発表はいたしておりません。と申しますのは、実は合理化の対象になる場所が、ただいま關谷先生からもお話のございました通り、全部西の力に片寄っております。ちょうど私の方の業務組織の所管から申しますと、今は中国支社の所管になるわけでございます。仁堀航路にいたしましても関門航路にいたしましても、そのほか大島航路とか宮島航路とか小さなものがございますが、それは全部中国支社——並びに西部支社も関係いたしておりますけれどもそちらの方の関係になります。昔関釜連絡船のありました当時は非常に大きな陣容を持っておりましたものを、その方も急激に縮小いたしまして、その後も実は船舶は船舶なりに毎年相当な合理化をうちの中では続けてきております。そういうようなことで、要員の方も相当減少いたしておりますので、たまたま船の関係で特に船員関係の労働問題等もありまして、うちの中で、これは部内のことでございますけれども、いろいろ影響が大きいのではっきりした結論は出しておりません。また民間の会社との関係につきましては、一時そういうお話が出たこともございましたけれども、ただいまのところ、そういうような事情で表立って何も話は行なわれておりません。しかし方向といたしましては、これは時期を見ていずれは合理化しなければならないということで、合理化の方針で部内で今検討をいたしておるというような状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/5
-
006・關谷勝利
○關谷委員 今ほかから話がないというふうなことですが、ほかから話があっても国鉄が黙殺して、何もこれに回答しないというようなことや、あるいは瀬戸内海汽船の仁堀航路、宮島航路あたりこれも問題になっておる。何も交渉がないわけじゃありませんよ。それはあなたが事情を十分御存じないのであると思います。関門あたりでもそういうようなことで、これは民間に移譲してもらいたい。そうして施設を利用さしてもらいたいということは、門司、下関両方の市民の要望でもありますし、そうして業界でもあの連絡航路の任務は果たしておるのだ、終わっておるのだ、もう両市民の連絡だけになっておるのだというようなことなんです。以前の千分の一くらいしかこの連絡関係にはなっていないというのですから、ほとんどないといってもいいくらいなものですが、そういうようなことで赤字を重ねておる国鉄の経営なんです。ああいうふうなものを今後整理して、それだけの赤字がなくなって、それだけのものを赤字があったと考えて、それだけをほかの連絡航路の方へ回していくというようなことになりますと、それは設備の改善もできますし、サービスの改善もできるのですが、そういうことは思い切ってやらなければなりませんが、前にも私質問したことがあります。その際に払い下げするのだということで、瀬戸内海汽船あたりが話を持ちかけました。それに対しても国鉄がいろいろな態度をはっきりしませんので、そのままになっておるのです。関門のもその通りです。宮島あたりもみなそうです。これはほかから話がないのではないので、ほかが話をしても国鉄が回答しないのです。一切何もしないというのですが、これはよく一つ事情を聞いて——今までそういう話がないので、民営に移譲してくれというような書類も出したりしていないで、そのままになっておるのですが、言わなければならないのなら、みんなまた申し出はするはずなんですが、国鉄は赤字でありながら、民営に移管するというと、非常に高いことを言ったりしてなかなか国鉄がむずかしいことを言ったり、黙殺したりしているのが実情なんです。この点磯崎常務理事は非常によく御存じのはずですが、あなたからよく御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/6
-
007・磯崎叡
○磯崎説明員 私の方でやっております小航路につきましては、いろいろ付近の民間業者から公式あるいは非公式等にお話を伺っております。しかしながら今副総裁から申し上げました通り、やはり付帯業務の整理ということになりますと、何と申しましても多数の職員がそこで働いておりますので、その職員の措置の問題、あるいは相手方の業者におきましても必ずしも一社だけでないというような問題等もございます。ただ、いずれにいたしましても、今相当赤字が出ておりまして、私どもの小航路を整理したいという気持は持っております。その整理の方法とししてどういうふうな方法によるかというようなことにつきましては、内外ともに非常に影響するところが大きいものでございますから、目下まだ検討中の段階でございます。具体的にこれを外に払い下げるとか、あるいはどうするというようなことまでには結論を得るに至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/7
-
008・關谷勝利
○關谷委員 総裁が幸い出てきておられますから伺いますが、この連絡航路でも幹線輸送の青函は問題は別です。これは赤字がどう出ようと、性格からいいまして別です。しかしほかのものは民営移管をやりなさい。前にやると言っておったのです。それがそのままになっておる。今副総裁と常務理事の答弁が食い違うように、一方は交渉はないのだと言う。一方は交渉はあるのだ、しかも一社だけではない、二社も三社もあったりするのだというようなことを言っておる。これは早急に国鉄の内部で御相談の上で、結論を得て、一つ早急にこの委員会の方へ報告をしていただきたい。お願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/8
-
009・平井義一
○平井委員長 久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/9
-
010・久保三郎
○久保委員 この前の質問で引き続いて、鉄監局長から御答弁があるはずであります。鉄監局長からまず御答弁をいただいて、それから次に入りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/10
-
011・山内公猷
○山内(公)政府委員 先般の御質問の趣旨は、今回の運賃の改正は、運賃法にいうところの原価主義と申しますか、原価を償わなければならないというものを審議会の答申に従って、何と申しますか、徹底してやるべきものであるかというような御質問の趣旨と考えておりましたが、さようでございましょうか。——運賃法でいうところの原価を償わなければならないということが先生の一番問題にされた点であろうと思いますが、その点におきましては、先般の委員会におきまして先生の御発言になりました、これは総体の収支が償えばいいのではないかという意味に私どもも解釈いたしております。そのほか公正妥当であらねばならないこと、あるいは物価の安定に寄与することとか、いろいろな条件がそこにつけ加えてあるわけでございますが、運賃法第一条といたしましては、先般私がお答え申し上げましたように、これは交通機関の運賃の決定でございますから、総括原価、総体の収支の原価を償わなければならないという原則は当然でございまして、国鉄でありますために、特にこういう社会的な必要による制約を与えたものであるというふうに考えております。これは先般私も申し上げましたように、運賃というものが原価主義という原則のもとに立って、それから負担力主義でその間を調整していくのが運賃のあり方だということを申し上げたわけでございますが、道路運送法におきますところの自動車の運賃の改正はその点明らかに、旅客あるいは荷主の負担を考えてきめなければならないということをうたってあるわけであります。国鉄におきましては従来独占機関でございまして、個別的な原価主義というものはなかなかとりにくい。どちらかといいますと、総括的な原価主義のもとにおきますところの賃率の構成は負担力主義であるということが非常に強く現われて参ったわけでございます。ところが、この個別的な負担力を、個別的な運送の種別につきましての負担力主義といいますのは、国鉄といいますか、鉄道事業というものが非常に独占性を強く持っております場合には可能でありますが、この独占性が薄れるのに従いまして、やはり修正をして参らなければならないわけでございまして、英国、フランスにおきましても、そういう点では個別的な原価主義にある程度近づきつつある運賃を定めざるを得ない状態になってきておるわけでございます。そこで私ども運賃法第一条の原価を償わなければならないということは、もちろん総収入対総支出が、国鉄の場合におきましては、赤字を出さないということはもちろんでございますが、これをもって個別的な原価主義をとってはいけないというふうにしているわけではない、非常に回りくどい言い力をしておりますが、鉄道企業におきましては、個別的な原価主義というものはなかなか出しにくい。これが生産事業でございますと非常にはっきりしておりますが、鉄道事業におきますと、小荷物、旅客、貨物と一つ一つ分けて、それぞれの原価主義というものを正確に出し得るということはなかなかむずかしいわけでございまして、それで総括的な原価主義というものが一応とられているわけでございますが、しかしこれは困難だということで、百パーセントそういう原価計算ができないわけではございません。たとえば定期の運賃が赤字を出しておる、あるいは貨物におきましても等級の非常に負担力のない貨物が赤字を出しておるということは明らかな点でございまして、そういう点をある程度全体的の計算によって得ましたところの原価に近づけるということをこの運賃法の第一条は禁止しておる趣旨ではない、そう考えておりまして、今回の鉄道運賃法の一部を改正する法律は、この運賃法の第一条にもとっておるものであるというふうには私どもは考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/11
-
012・久保三郎
○久保委員 今の御答弁で、今回の改正の趣旨は国鉄運賃法にもとっておらぬ、こういう御趣旨でございますが、この四つの原則をどういうふうに理解しどういうふうに当てはめるかということを確立しなければ、今回の改正が妥当でありあるいは不当であるかという観点は出てこないと思うのであります。今までの御解釈では、どうも原価主義だけははっきりしているが、あとはどうもあいまいだ、こういうふうにとり得るのではなかろうかと思うのです。しかもその原価主義にいたしましても、扱い別あるいは個別の原価というものは、残念ながら今の機構の中では割り出しができない、こういうことではないだろうか。そうするとこれは基準の置き方によって妥当であり不当である、こういうことになる。ところがはっきりした基準がないのでありますから、妥当であるか不当であるかわからぬというふうにも一応は言えるわけです。そこで私が申し上げたいのは、先般も申しあげたが、この原価主義というのは、運賃のあり方としてはこれはオーソドックスなことであろう、こう思います。しかしその原価主義は、直ちに運賃をもって総括原価をペイするということに国有鉄道の場合はならぬではないか。というのはこの三つの原則をもって、二番目の原価を償うということでなくてはならぬ。これの足りない部分が、もっと端的に言えば公共負担というものは政策的な負担であります。政策的な割引でありますから、これは当然国の予算から支出する。それをもっていわゆる総括原価をまかなうんだ、こういう意味でなければならぬというふうに私は思うのであります。こういうことについてはっきりした見解が出ないから、どうも提案された理由にしても、単に原価主義に近づけるんだとかあるいは他との競争に打ち勝たねばならぬとか、あるいは遠距離逓減法にはどうも不合理があるとかというようなことでありますが、遠距離逓減法そのものにもはたして不合理があるから、四地帯から二地帯に旅客の場合は修正するのが正しいかどうかということについても、私は疑問があると思うのです。それじゃはたして二地帯にしたなら遠距離逓減法の趣旨に基づいて、原価とにらみ合わせて正しい方法であるかどうかということについては、これはさっぱり私は見当がつかぬと思うのです。よって、私はそういう総括的なことをまずお尋ねしているわけですが、はっきりしていただきたいのは、四原則というのを正しく解釈すればどうなるかということを簡単に一つ御説明をいただきたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/12
-
013・山内公猷
○山内(公)政府委員 四原則は先般申し上げましたように、二十三年ごろの社会的な情勢というものをバックにしてできたわけでございまして、調査会におきまして、この原価を償うという以外のことは、はたしてこれでいいかどうか疑問を持っておるということが、先般先生からも指摘されたわけでございます。われわれ運賃をきめる場合には、これは私たちでございませんが、学者がきめます場合に、合理的運賃とは何ぞやということが今まで非常に議論されてきております。そういう原則は何かということは、まだ定説はございません。何を表わそうとしておるかといいますと、これは鉄道と旅客、荷主双方に対して不当でない賃率であり、またそれが社会のためにも利益でなければならないという抽象的な意見は、いろいろ本を見たのでございますが、みんなそういう抽象的なものをどう表わすかというところに、いろいろの学者がいろいろの説をなしておるのでございます。この運賃法の第一条も、ただいま私が申し上げました趣旨を書き表わそうというのが一応の趣旨ではなかろうかと考えるわけでございますが、この答申の中の第四項はどうなるかということは、やはり具体的な運賃を決定する際に、こういう四原則というものを全部考えて、妥当であるかどうかということを考えていかなければならないわけでございます。しかし国有鉄道の運賃法のできる以前から日本の国有鉄道の運賃というものはございます。運賃というものは非常に歴史的なものでございまして、これを急激に変更するということは、ここに書いてあります産業の発達でありますとかあるいは物価の安定というものに非常に大きな影響があるわけでございまして、たとえば今回かりに国有鉄道が原価主義をとるといたしましても、それはとうていできがたいことでございます。漸次そういう原価主義というものをかりに強く押し進めようといたしましても、漸に漸を追ってそういう目的を達しなければならないわけでございます。それともう一つこの鉄道運賃というものは、繰り返すようでございますが、独占企業としての運賃制度をもってきた。それが半独占の状態というよりは、非常に現在では自由競争の運賃構成をしなければならなくなってきた。そこに運賃のあり方というものも、やはり時の流れに従って改正していかなければならないわけでございまして、それには公正妥当とか産業の発達に資するというようなもの、そういう面からの解釈をしていくべきものではなかろうかと思っております。たとえば非常に卑近な例で、どうも言いにくいのでございますが、お客さんからいたしますと、運賃というものは安ければ安いほどいいので、これは産業の発達にも資するのだということになるかもしれませんが、ただ安ければ安いほどいいというのではなくて、やはりそれには企業の成り立つ程度において、安いという合理的な安価性というものは、顧客の点からも要求されなければならないわけでございます。その点やはりこういうものは、時代とともに具体的に適用する場合には変わってもいいのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/13
-
014・久保三郎
○久保委員 私は今の御答弁で、はっきり申し上げて、どうもよく理解し得ない価が多いのですが、私はこの原則は別段に修正する必要はないのではなかろうか、こういうふうにまず考えております。ただ問題は、これの裏づけが一つ抜けている、こういうことだと思うのです。これは先ほどから申し上げるように、運賃は二の「原価を償うものであること。」これは正しいと思う、これでいい。これが基本であって、さらにその原価を償う方法として、これは原価を償いさえすればあとの要素は全然考えなくてもいいかというとそうではなくて、あとの三つの要素は必ず考えなさい。考えた場合にこの二と相反する、いわゆる原価を償い得ないという部面は、法律を出した責任がある個所が、そこが補充すべきものだ、こういうふうに私は考えていいんじゃないかと思う。ところが今回の運賃改正の方向は、二を重点に置いていて、あとは今までの沿革それから現在の急激な変化にたえられないという社会情勢、こういうものを加味して、漸進的に原価主義に近づいた、こういうようなことだと思うのでありまして、これは安価な妥協であって、国鉄の経営全体からいってもやるべき筋合いではないし、もう一つは大きく陸運の分野において占める国鉄のあり方からいっても、矛盾が出てくる、こういうふうに私は考えております。そうして今考えてみますれば、大体国鉄を取り巻くいろいろな条件というものがございましょう。そこで、今までお話があった中から拾ってみますと、まず第一に国鉄は今日独占性を失った、独占性を失ったということはどういうことかというと、これは他の輸送機関との対抗、いわゆる競争をしいられるという立場にある。もう一つは現在の国鉄がその競争にたえ得られるかどうかというと、たえ得られない部面も出てきた。これははっきり言うと、日本の国におけるところの陸運の輸送の原価、こういうものが計画として一つもない。いわゆる自由放任主義の立場でもって、道路あるいは鉄道、あるいは内航、航空、こういうような部面でやつている、こういうのが第二の特徴。それからもうつの特徴としてあげられるのは、国鉄は独立採算制を建前とされなければならぬということ。もう一つは、この新線建設、あるいは公共負担、年間五百億ないし六百億という公共負担というものをしょっていく。これはいずれも中身を見てみると矛盾をはらんでいる。その矛盾の解決として経営の合理化というか、今までの合理化のコースはどうかというと、きのうも指摘されたように、いわゆる稼働施設の近代化というのが、今日のマスコミというか、そういうものにあおられて、実はやっている。これは一つには独占性を失った形のものが出ております。しかしながら、反面、基礎施設というものの老朽は、なるほど五ヵ年計画では予定以上に回復したというが、土台の置き方が違うのであるから、実際は輸送力増強のためにはさっぱり前進しておらぬ。あるいは稼働施設の近代化にしても、これは単なるサービスの向上だけであって、真のサービスである輸送力というものはそう大幅にはふえておらない。こういう矛盾が出てきています。こういうことをやって、それで今度はどういうことを反面やるかというと、最近大きな問題になっているいわゆる貨物の集約輸送の問題が出てくる。あるいは非採算線区の合理化の問題が出てくる。これはいわゆる公共的な性格から逃避する。輸送を使命とする国鉄が輸送から逃げようとする傾向が出てきた。これは輸送力拡充と相反する問題であって、どこをとっても矛盾だらけだ。そういうふうになってくる。これは独算制が強化されればされるほど、そういうものが出てきて、その一環として今回この運賃法の改正が出てきた、こういうことだと思うんです。これはますます、一つだけの矛盾を解決しようとしても、連鎖反応的に拡大していって、とうてい収拾がつかなくなってくる。極端な言い方をすれば歪曲がだんだん歪曲を生んで曲がった形になる。運賃を今のままで原価主義に落ちつけるということになりますれば、当然他との運賃競争にはこれはたえられない。あるいは設備の近代化もでき得なくなる。いわゆる輸送力が少なくなる。輸送量が減ってくる。こういうことで、結論からいえばだんだん没落の過程を示すのではないか。なるほど、原価主義に落ちつけるという思想は、私はてっぺんから否定はいたしません。いたしませんが、今まであげられている矛盾というものをちっとも解決できないで、そうして運賃の合理化ということだけで、あるいは近代化ということだけでこれを持っていくところに、国鉄の前途は憂うべきものがある。しかも残念ながら、政府と国会と運輸省と国鉄、この四者でこれはいかようにも料理ができる。というのは国の費用を一銭も使わぬでも、法律さえ改正すれば、どんどんできてくる。あるいは運輸大臣が判を一つ押せば定期運賃の値上げもどんどんできる。こういうすべての矛盾に目をおおって、いわゆる原価主義に近づけるのだというような、一つのにしきの御旗のようなものを振りかざしてやっていくことであって、これは私はことしの一月ごろまでは、まさかこういうことでないだろうということから、とうてい今の日本では国鉄の斜陽化というものは考えられないという結論を得たのでありますが、こういうものができてきては、この運営の衝に当たるそれぞれの関係者がこういう方向でいくとすれば、遠からず鉄道は没落過程を踏んでいく。しかも急速に踏んでいくだろう。こういうふうに私は心配する。と同時に、東海道新幹線は財源に無理をして、これを強行していこうということになりますと、新幹線の場合にも申し上げましたが、東海道新幹線だけが残ったのが国鉄であって、あとはもう要らなくなってしまう。こういう結果が、極端なことをいえば、出やしないか。そういうさなかにおいてこの運賃改正をこういうコースでやることについては、どうも疑問が多い。多過ぎるということを私は申し上げたいのでありますが、それについてどういうふうに考えるか。
それから、なお続いて申し上げますれば、この運賃法ができたのは昭和二十三年の七月七日だとすれば、たしかこれはマッカーサーからいわゆる労働問題に関連してマッカーサー・メモランダムが出まして、国鉄等は公社に切りかえる、そうしていわゆる労働争議はこれを取って、仲裁裁定の制度をもっていこう、こういうので翌年の三十四年に国鉄が企業体になったということであります。経営自体の問題から国鉄が企業体になったのじゃなくて、労働問題をチェックするために企業体にした。その後この企業体に対するところの政府なりあるいは国鉄当局の一貫したというか、基本的な原則というものが今日まで打ち立てられない。やったとするならば弥縫的なつけ足しで、そのときどきの問題を処理してきたのではなかろうか。そこが今日大きく傷口として出てきている。むしろ運賃法を改正するよりは、この際は国鉄が企業体としてどうあるべきかという基本線を内閣はきめるべきだ。これをきめないでやることにはわれわれはどうも納得しがたいと思うのです。こういう企業体に対する問題と同時に、今申し上げた疑問に対してお答えしていただきたい、こういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/14
-
015・山内公猷
○山内(公)政府委員 最初の御質問は、運賃法改正だけでは国鉄の斜陽化はせきとめられないのではないかというお話でございますが、ごもっともだとわれわれも考えております。ただ、今非常に強く叫ばれておりますことは、鉄道事業というものは近代社会におきまして、自動車、航空機という対抗機関のために急速に斜陽化していくであろうということを、盛んに御心配の向きも多いわけでありますが、それについてはもちろんわれわれ国鉄というものの独占性が破れて、経営が相当困難になってくると考えておるわけでございますが、アメリカやヨーロッパにおけるような急速な方向はとらないであろう、ということは国のあり方、道路の状態あるいは人口密度というものから、どうしても日本におきましてはまだこういう鉄道の大量輸送というものが相当長く要請されるのではないかと思っております。ただそれで安閑としておるわけじゃないのでございまして、急速に斜陽化をするということが国家のためにも非常に大きな損失になりますために、そうならないように前もって、ヨーロッパとかアメリカの轍を踏まないような施策を事前に講じていくことが必要でないかというので、いろいろ苦心をいたしておるわけでございます。それで先生のおっしゃるように国鉄だけの近代化、合理化ということではやはりこの目的を達するわけには参りません。それにはやはり企業体としてどうあるべきかということとともに、国においてなすべきこともたくさんあるというふうに考えておるわけでございます。この運賃法の改正はそれらの第一段階でございまして、これだけで国鉄がもう将来ともに安心だというふうには考えていないわけでございます。今後国鉄のあり方というものを根本的に調査いたしまして、解決を出したいと思っておるわけでございまして、先般も大臣が当委員会において御説明いたしましたように、単に運輸省の問題でなくて、閣僚懇談会にもわれわれの力の考え方を出して、基本的なそういう解決策を早急に打ち立てたいというふうに努力いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/15
-
016・久保三郎
○久保委員 今お答えがありましたが、私は運賃制度調査会の答申に盛られた、国鉄並びに政府に対する要望事項についてお尋ねをしたいのです。時間もありませんし、全文を読み上げる必要はないのでありまして、お手元に全文あると思うのですが、国鉄に対しては輸送力の拡充整備をやれということが一つ、次には経費の節減あるいは運送原価の低下をしろ、コスト・ダウンをはかれというようなこと、それから通勤輸送の緩和、あるいは滞貨の解消、輸送のスピード化、こういうような改善に努力しろ、その次には運賃体系の確立でありますが、これには原価計算制度というものがまだ不十分であるから早急に改正すべきだ、こういう四点が国鉄に対する調査会の要望であります。これに対してどういうふうな方法を持っておるのか。片方では運賃の改正はやるが、この方はどうなんだということです。この方はどういうふうに対処しようとするのか。いわゆる五ヵ年計画はどういうふうに修正し、どういうふうに持っていきたいと思うのですか、こういう点を中心にして御説明をいただきたい、こういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/16
-
017・吾孫子豊
○吾孫子説明員 五ヵ年計画につきましては、この前も当委員会で申し上げたことがあったかと思います。当初の計画に比べまして一年ないし二年くらいの遅延をすることもやむを得ないような状態になってきたということを申し上げました。五ヵ年計画も今年度、三十五年度は第四年度に当たるわけでございますが、発足いたしましてから四年間の間にいろいろ事情の変化もございまするし、また国鉄の経営の将来のあり方というものについて、根本的に考え直さなければならないような問題点も逐次明らかにされて参りましたし、政府の方でもこの問題をお取り上げ下さるということは、先ほど山内鉄監局長からお答えをした通りでもございます。そういうような新しい情勢の変化が起こってきておりますので、それらの点を考えまして、三十六年度を第一年度にいたしまして、あらためて長期的な見通しのもとに新規の五ヵ年計画というものを策定する方針のもとに、目下作業をいたしておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/17
-
018・久保三郎
○久保委員 たとえば今度は来月一日からダイヤ改正があるそうであります。これは副総裁ではおわかりにくいかもしれませんが、たとえば駅頭滞貨の一掃、これに関連しまして貨物の輸送キロはどういうふうになるか、あるいは貨車の運用効率はどの程度に計算としては向上するのか、こういう点が裏づけとしてあるのかないのか、運賃は貨物としては大体総体的に上がるわけですね。あまり減るのはないのです。実際そうだとすれば、せめて駅頭滞貨はなくしてほしいというのがいわゆる大衆の要望だと思うのです。貨車が必要なときに貨車が回ってこない、こういうことですね。そういうのがさしあたりなければ、運賃改訂に大衆が国鉄に対してだけでもなるほどという話は出ないのじゃないか。もちろん政府はあとから答弁をいただきますが、政府に対する要望事項は何一つもめどがなくて、運賃改訂だけは先行するということでは、私は大衆は納得しがたいものがあると思うのです。特にこれは何回も言うことでありますが、今年度の予算にしても、新線の利子補給三億ぐらいどうだろうかというのもだめ、新幹線の百億出資もびた一文こないということで、片方はいわゆる運賃を修正するということでは、どうも大衆は納得しないのではないか、こういうふうにわれわれは思うわけです。こういう貨車なら貨車のいわゆる回りというか、そういうものはどういうふうにか好転するのかどうか、そういう計画はおありになるのかどうか、それを一つお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/18
-
019・磯崎叡
○磯崎説明員 ただいま貨物輸送の今年度の見通しの問題につきましては、過般も島口先生から御質問がございましてお答え申し上げましたが、最近の経済状況の発展に伴いまして、昨年から非常に出荷が強くなってきた。けさ現在百三十万トンくらいの滞貨がございます。ちょうど二日分でございますので、今のところは大体非常に順調な在貨の形でございます。ただこれが、ことしの秋になりまして農作物の関係、あるいはその他の一般の鉱工業の伸びによりまして相当な出荷の増が期待されます。これに対しましては、現在、過般御審議いただきました予算によりまして多少貨車を重点にするということにいたしまして、約七千両の貨車を新設することになっております。さらに列車キロにつきましては、今後少し考え方を変えまして、臨機応変に臨時列車をその時期々々あるいはその土地々々の状況によって機動的に動かすというようなことを考えておりますし、また貨車の運用効率につきましては、大体三〇%前後というのは、これは現在といたしましてはほとんど最高の運用効率になっておりますので、操車場の、ことに大操車場の工事が逐次完成して参りますので、それによりまして多少の好転はいたしますが、あとはもっぱら列車の牽引力の充実あるいは臨時列車の運転というようなことによりまして、極力今後の秋冬繁忙期に際しまして貨車繰りによって荷主に御迷惑をかけることのないようにということで現在施策をいたしております。ただどういたしましても、地方には農産物の出荷がございますので、農産物でないたとえば鉱産物、石炭、そういったようなものにつきましては極力夏場の輸送力の割に余裕のあるときにぜひ出荷してもらいたいということも荷主にお願いいたしまして、平均の出荷と申しますか、輸送力の余力がむだにならないようにということでもって現在現地で荷主と折衝を重ねておるわけでございます。
なお、ことしの秋の具体的な見通しにつきましては目下経済企画庁ときわめて具体的な数字を持ち寄りましていかにして今後の殺到する秋冬繁忙期の貨物をさばくかということにつきましては具体的に検討をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/19
-
020・久保三郎
○久保委員 現在の滞貨百三十万トンというお話でありますが、今までの常識からいけばもう夏枯れ期に入るわけでありまして、百三十万トンといえばこれは昔の繁忙期の滞貨あるいはそれ以上ということになるのでするこの百三十万トンでいくとすれば、おそらくこの暮れは、秋冬繁忙期においては相当膨大な滞貨が出るだろうと思う。こういう問題が一つも解決できないというところに悩みがあろうと思う。しかしながら運賃だけ先に上げて——上げるというのは語弊がありますが、運賃だけ合理化して輸送の方はちっとも合理化できないというところに、私は大衆としては素朴に理解できないところがある、こういうふうに思うので、私は今の場合百三十万トンの滞貨を一掃しろと言っても不可能だと思いますが、少なくともそういう大衆の受け取り方を計算の中に入れておけない今の政府のやり方については不満がある。
そこで運輸大臣にお尋ねしたいのでありますが、少なくともこういうサービスの改善が——サービスというのは送れるということなんです。荷物を送れるということ、あるいは乗れるということ。ところが通勤の場合は、これは定期券で安いのだ。山手線、これは安いというが、原価計算して山手線は赤字なのか、こう言いたい。これは全くの黒字なんです。しかも世間にいわれておるところの、定期券は割安だから原価を割っておるのだ、原価を割っておるのがなぜ黒字になっておるのか。これは赤切符だけではないのですよ。普通の赤切符の問題は大した問題はない。山手線は定期券が相当多い。だからこれを考えても、片方では今度は貨物輸送がいわゆる逼迫しておる。こういうことでどうも貨物では原価を割っておるのだ。原価計算すれば営業係数では貨物は割っておるのだ。赤字だというが、もっと運べばよい、運べない、こういうところに矛盾がある。これを解決する一つの大きな問題は、先ほども申し上げたように、結局国家でもっていわゆる負担せねばならない部面が相当ある。ここで運賃だけで解決しようといっても無理なんであります。ところが、今までそういう努力をされておるようでありますが、ちっとも具体的には前進していない。なるほど先ほど来からお話がありましたように、いやとても運輸大臣だけでは解決しない。わかっています。だからむしろこれは委員長にお願いするのですが、きょう法案が上がる予定でございますから、その前に岸総理を呼んできて、岸総理の責任でこれはどうやるのか話をしてもらいたいし、実際聞きたいと思う。というのは、実際いうと、運輸大臣とか大蔵大臣の問題だけでは解決できませんよ。だから岸総理自信がどう考えるかでもって問題がきまると思う。よって、これは岸総理に聞くほかないと思うのですが、さしあたり安保の方へ行っているようですから運輸大臣にお伺いします。くどいようですが、具体的にこの調査会から出てきたような要望事項は、いつ、何どき、どういうふうにしてやるわけなのか、これをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/20
-
021・楢橋渡
○楢橋国務大臣 輸送の増大ということ、またサービスの徹底化というようなことをやるためには、どうしてもやはり第一に考えなければならぬことは、現在の国鉄の財政の問題でありますが、国鉄の財政の問題は、今、久保委員がるる申されるように、一方では公共割引の問題が五百億近くあり、一方には運賃の問題につきましては諸物価等に与える影響等から、原価計算その他においてなかなか修正ということが困難性があるというような立場に追い込まれておって、一方にはまた後進地域の開発のために新線を建設しなければならない、こういうようなことで、ここでしばしば論議されますように非常な矛盾を含んだ事態にあることは、これは説明するまでもないのであります。これを解決するために、やはり大きなメスを入れるのには国鉄自体の在来の行き方から一歩前進して、合理的な立場に立つ。たとえば、今までの独占性の立場にあったことの機構から脱却して、多くの自動車その他によって蚕食される事態に即応するような体系を作る。こういうことがつまり今回の運賃改正法の問題でありまして、これは第一歩であるのであります。鶏が先か卵が先かということでありますが、鶏が先だろうと私は思うのだけれども、鶏が先ということにはどうしても今おっしゃったように、やはり国が相当に力を入れてやることによって初めて解消し得るということでありますから、私がここでしばしば申し上げておりますが、政府で経済閣僚懇談会等において国鉄の問題を、今、久保さんがおっしゃいましたようなことも含めて一つ討議に付そうということで準備をさせておりまして、近々、安保問題等もありますけれども、並行してこの問題を閣議に持ち出してやりたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/21
-
022・久保三郎
○久保委員 次に参りましょう。次に旅客運賃でございますが、遠距離逓減法を四地帯から二地帯に分けたわけですが、そこでこれは御存じのように、大体旅客の地帯別人員の割合を見てみますと、三百キロまでのものが大体全体の九八%です。こういう地帯が今度は、早くいえば一応値上げの格好になる。しかもこのカーブをとってみますと、これは必ずしも妥当性はない。一つの曲線でありますが、なるほど二百キロから四百キロの間は今まではあまりにもたるみ過ぎておるということでありますが、今度は一挙にうんと上がってきたというカーブが出ています。やや均衡を保っている地帯というのは五百から六百までの間だけで、あとはその前後が異常な形をしている。だから前とあとが相当値上がりしている。私が調べた範囲では中間地帯の五百、六百というのは、旅客人員がそうたくさんはない。ところが一番多く金を払うところが全部上がってしまった。こういう現象が出てきておる。こういうのはもう少し科学的に、逓減法なら逓減法らしくならす方法をなぜ研究できないものかと私は思う。なるほどこの運賃法の改正から見れば、三百キロで切った。こういう形は簡明直截でいいかもしれぬ。ところが負担する方からいけば、どうもカーブの上がり下がりが非常にきついところと弱いところと出てくる。これでは運賃の公平は期せられないのではないか。こういうふうに私は思うのです。カーブをならすような方向を研究できなかったかどうか、これについてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/22
-
023・磯崎叡
○磯崎説明員 旅客運賃の遠距離逓減でございますが、その基礎になります定期のお客さんを除きました定期外のお客さんの距離別の人員から申しますと、三百キロ未満は先生のおっしゃった通り九八%ございますが、実はそのうち今度運賃の全然変更のございません百五十キロ未満のお客さんが九六%でございます。従って三百キロ以内のお客さんは多うございますが、九八%のうちの九六%は今度運賃に変更のない百五十キロ未満のお客さんでございますので、現実にこの変更を受けますお客さんはその二%となっております。それから遠距離逓減の逓減率につきましては、先生のおっしゃいました通り、確かに遠距離がある程度負担が高くなります。急激に負担増というのもどうかと思いまして、その点は、千キロ以上の往復割引を考えるということによりますと、遠距離の負担が中距離と比較いたしましてそれほど大きくないということにもなりましたので、今回初めて、実は昨日も参考人の方の御意見がございましたが、遠距離につきましての住復割引という、国鉄始まって以来の制度を考えてみたわけであります。その点は先生のおっしゃいました遠距離の逓減率をある程度修正するという意味で作った制度でございます。
それから二段階につきましては、これはいろいろ議論もございますが、大体急行料金の三百キロ未満のものとの歩調を合わせましたので三百キロで切ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/23
-
024・久保三郎
○久保委員 幾分修正したというが、修正の仕方をもう少し考えるべきではないだろうか。単に簡明直截に二つにぶっさくというだけじゃなくて、もう少しきめこまかに考える必要がありはしないか、こういうふうに私は思うのであります。もうやめろの声が出ていますから、簡単に端折っていきますが、とたえば準急と急行の問題です。急行は最初からずっと値下げをしております。これは遠距離に対する運賃操作の問題を含めたというのでありますから、これはまあよろしゅうございましょう。ただし準急の場合は単一制にして百円にしたということでありますが、準急の最初の百五十キロまでは今日七十円でございます。ところが準急の乗車のキロ程はどの程度になるか、いわゆる距離別の利用はどうかというと、これは平均乗車キロにして百六十キロくらいであります。そこでそのうちの大半が百五十キロ以内だ。しかも準急列車の走る距離というか、区間というか、そういうものは現実に考えた場合に急行列車とのかね合いがございます。そういうことを考えると、準急の方は残念ながら相当の負担増になりはしないかと考えるわけです。これは急行列車に焦点を合わせて、そのカバーを準急でやったのではなかろうかと思うのでありまして、現在の利用層からいきまして、大体準急列車利用は日常圏、毎日圏とまでいかなくても、週日圏くらいだと思います。ところが急行列車利用は短くて一月圏だろうと思う。しかも一月圏のものは安くして、週間圏という、一週間に一回平均して乗るというのに対して位上げするというのは、少し話が違うのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/24
-
025・磯崎叡
○磯崎説明員 急行につきまして三百キロ以内の特別割引制度を作りまして二百円にいたしましたのは、やはり先ほどの遠距離逓減の率との関係からこういたしたわけであります。準急につきましても、現在百五十キロまで七十円でございますが、今後、たとえばことし計画しております準急などにつきましても、今までの準急の平均距離が大体百キロから五十キロくらいでございましたものを、もう少し準急の運転区間を延ばしたいというふうに考えております。そうしますと、大体現在百五十キロ平均の準急運転が二百キロをオーバーするくらいの平均の準急のものになりますので、それと見合いの上百円均一というふうにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/25
-
026・久保三郎
○久保委員 磯崎常務理事、私はこういうことを言っているのです。いわゆる準急利用者は週日圏内のものである、急行列車は短く見ても一月圏である、週日層のものにサービスが悪くて、一月圏の方はサービスがよくなったというのでは、収入面からいくところの運賃を上げるということから見れば、なるほどけっこうかもしれませんが、いわゆる利用者に対するサービスとしては、少し相反するのではなかろうかという思想であります。
時間がありませんから先へいきます。次に貨物運賃の問題でありますが、貨物の運賃では、なるほど今度は下のものを一つ上げて、上のものを一つ落としたということでありますが、その中で問題の点が幾つかあると思うのです。たとえば価格の変動によって品目の等級を差しかえたというものもございます。たとえば、これは最近もらったものでありまして、まだよく点検しておりませんが、たとえばなまカンショです。なまカンショは現行等級は二十三、今度新しくなったものもそのまま二十三で移行するから、指数は当然上がる、こういうことですけれども、なるほどそういうものもあると思うのです。やむを得ない、あっていいと思うのです。ところがなまカンショのようなものは、七五の指数から八一に上がるということは、現在のなまカンショの生産、流通、そういうものを含めて見た場合に、これは現状に適さないのではないか。いわゆる価格の問題も考えて、それからもう一つは、秋冬繁忙期にかかって、駅頭滞貨で実際みんな腐っていく、そういうものの責任がなければ、なるほど七五から八一に指数を上げるのも当然だと思うのです。秋冬繁忙期において輸送し得る能力というものはすでに限界があるということになりますから、せめてこの指数は上げるべきではないだろう、こういうふうにもわれわれは考えるのです。これは一つの例であります。
それからもう一つは魚肥でありますが、魚肥は、最近フイッシュ・ミールの問題で影響が出てくるということがあります。これにしても先ほど申し上げたような、今まで二十三等級だから、三十三等級で大体七五から八一の指数にぶち上げろ、こういうことがここに一つ出てきます。こういうものも、今の原価主義に近づくということはなるほどわかりますけれども、まだまだそれに近づきで得ない要素が非常に多いという現実であります。そうだとすれば、やはり現実に合わせて、こういうものも点検さるべきだと思うのでありますが、これが配慮されていないものが相当ある。ところが一方ビール、酒その他は、これは指数変更だけで二等級であるから二等級である。そうなると、今度は上から下がって参りますから、たとえばビールの方は現在指数一三〇で三等級である。ところが今度の三等級は一一〇で、ここで指数は二〇もダウンしている。酒類も全部そうです。今日酒とビールの問題を考えますと、酒の企業というものは非常に中小企業が多い。ところがビールは御案内の通り、実権を握っているのは三大ビール会社なんです。これは独占なんです。そういうものまで非常なダウンである。ところが酒についてはもちろんダウンしておりますが、中小企業であるところの酒と、大企業、いわゆる独占企業であるところのビールとを同じような考えで指数を移行するというのは私は問題があると思うのです。一切原価主義であるというなら、これは別ですよ。ところが原価主義に若干近づけたということでありますから、その他の要素の方がまだ多い。多いとすれば、そういうこともお考えになるべきではないだろうか、こういうふうに私は思うのです。その他にもありますが、時間もありませんから、二、三枚めくった中でそういうのがあります。これに対してどういうふうにお考えになるか、あるいはどういう声をお聞きになったか、かいつまんで一つ原則的にお話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/26
-
027・磯崎叡
○磯崎説明員 ただいまの御質問は特別等級の問題であります。この特別等級は現在最低が七五になっておりますのを、原価的に見ますと八〇に上げたいという強い意向を持っております。ただ米とか肥料とかいうものにつきましては、これはどうしても米価審議会その他の関係もありまして七五をいじるということは非常に影響があるということになりますので、七五の品目は極力限定することにいたしたのであります。従いまして、実は私どもの方で申しますと、特別等級の最低指数は八〇ないし八一ということにいたしたかったのでありますが、やむを得ず七五を作りましたために、七五につきましてはごく少数の物資だけが残っております。
それから酒、ビール等は現在の一三〇が一一〇に下がりますが、現在における醸造量のふえ方から見ますと、鉄道輸送量は酒もビールもほとんどふえておりません。逆にトラック輸送量はふえております。結局今の運賃をキープしておりましたのでは、酒の醸造量がふえましても結局鉄道輸送量が減少するという傾向になるので、これを下げることにいたしました。酒の価格の点から申しますと、一一〇の幅に入るものでありますから、特にビールが大企業であり、酒がどうだというようなことは配慮いたしませんで、結局客観的の基準によりましてこの新しい三級の価格に入るために自動的にここに入ってきたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/27
-
028・久保三郎
○久保委員 そういう観念からお考えになったとすれば間違いです。御説明ではトラック輸送から転化するということでありますが、トラック輸送から転化しませんよ。酒、ビールは大体におきまして、御案内の通り麒麟なら麒麟は専属の運搬車を持ってやっております。酒屋も少々ながらも運搬具を持っております。これは限定免許をもらったようなものが全部やっております。そうだとすれば、今の御説明のようにいわゆる指数ダウンをしてトラックからこっちに持ってくるということは、大体期待に反してこっちに流れて参らぬのじゃないか。もちろん全然ないとは言いません。言いませんが、そういう傾向だろうと思います。それでお話の特別等級指数の間差が非常に開いておる、これはいかなることでこんなに開いてきたのか。今までの間差はもっと縮まっておったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/28
-
029・磯崎叡
○磯崎説明員 特別等級につきましては、最高の九五から最低の七五を四つにいたしました。原則といたしましては基本等級の九五以上のもの、すなわち高級品から下がってくる特別等級、これを九五と九〇にする、それから八級以下から下がってくる特別等級を下の二つにする、こういう原則を立てましたために間差が開いた。本来ならば七五を八〇に上げておきますと間差は一五になりますが、今度は間差が二〇になりますので、七、七、六という間差にいたしたわけであります。七級以上から下がってくるものは上に二つ、それから七級以下から下がってくるものは下に二つ、こういう原則に立つために間差が広くなったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/29
-
030・久保三郎
○久保委員 非常に間差が大きくなったというのは、各貨物についてのいわゆる差別がひどくなったということになります。こういうものはやはりもう少し配慮すべきではないか、こういうふうに私は考えております。
それから続いて貨物の問題でお尋ねしたいのは、この車扱いと小口扱いのいわゆる運賃負担の相違、これは車扱いに対して小口扱いが三倍になっておる。こういうものの調整は今回は考えられないのか、こういういう調整はどういうふうに考えておられるか。いわゆる車扱いの品物は独占物資であり、小口扱いになるものは非独占物資である。今日の経済の実情から申しますれば、独占物資に対して非独占物資は三倍の運賃を払わなければならないという矛盾は国鉄で調整する以外にない。それに対しては今後どうする考えであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/30
-
031・磯崎叡
○磯崎説明員 小口扱いにつきましては今回は現状のまま据え置くことにいたしております。ただ物の物理的な性格による割増し等につきましては再査定をいたしておりますが、貨物の基礎賃率は全然いじらないようにしております。小口扱いにつきましては零細でありますし、しかもトラック運賃との関係からいたしましても、小口の貨物を上げるということはむしろ小口貨物の減少を来たすことになりますので、今回は小口扱いの賃率はいじらないことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/31
-
032・久保三郎
○久保委員 それでは最後にお尋ねします。これは山内鉄監局長に伺いますが、運賃決定機構について運輸省はどういう考えでおられるか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/32
-
033・山内公猷
○山内(公)政府委員 運賃決定機構につきましては、大臣もこの委員会におきまして申し上げたことがございますが、諸外国の実例を見ましても、アメリカにおきましてはICCというところがございますし、イギリスにおきましても、運賃審判所というような準司法的な機関でやっておるところが多いわけでございます。それで国会の御審議を得るというものは、現存の財政法第三条で、日本におきましてははっきりいたしておるわけでございまして、単に国鉄の運賃だけでなく、公共料金というものに対する国家の政策がそうはっきりきまっておるわけでございます。しかしこれはやはり国鉄というものが独占的な性格を持っておるものであって、単に恣意的にきめるということは、独占価格決定によってもうかればいいという運賃の決定をするということを強く押えようという意思が現われて参っておるわけでございます。ところが先般来いろいろ御議論がありますように、国鉄運賃というものの独占性が非常にくずれてしまっていっておる。ある程度弾力性を持たせなければやっていけないという国々につきましては、イギリスのごときにおきましては、運賃の公表性と申しますか、賃率を公表するということもやらず、あるいは貨物におきましても弾力性のある貨物賃率制度というものまで実施をいたしておる状態でございまして、将来こういう問題につきましてはどうするかということは、軽々には申し上げられないわけでございますが、再検討をして適切な運賃決定機構というものをもっと考究しなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/33
-
034・久保三郎
○久保委員 最後に二つだけお尋ねします。一つは定期旅客運賃は——これは答申に出ておりますが、この線に従って改訂する意思を持っておられるのかどうか。今後定期旅客運賃の値上げについては——この答申案でいけば実質的な値上げになりますから、こういうものを考えておるのかどうか、はっきり御答弁を願いたい。
もう一つは今回の法改正案では、急行料金を運輸大臣の認可事項にしていきたい、こういうことでありますが、この急行料金を運輸大臣の認可事項にした理由はこういうことなのかどうか。というのは急行列車にもいろいろな列車がある。たとえば東海道を走るデラックス版の急行列車がある。あるいは常磐、東北のようなすすけたのもある。これが同じ料金では困るので、列車別、細別の料金を作るためにはずすのかどうか、そういう点を二つお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/34
-
035・吾孫子豊
○吾孫子説明員 定期の運賃につきましては、この調査会の御答申の中にもございますが、この問題につきましては、今後国鉄全体の経営安定方策の問題も取り上げられることでございますし、慎重に検討を続けて参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/35
-
036・山内公猷
○山内(公)政府委員 急行、準急料金等を法定事項から認可事項に移すということにつきましては、本来財政法第三条の特例に関する法律にありますように、この急行料金、特別急行料金、あるいは準急料金といいますものは、基準の賃率ではございませんで、付帯的な料金の範囲に入るべきものでございます。それで法律的には、財政法第三条の特例に関する法律によりまして、要法定事項ではないということは明瞭になっております。それでこれを法律的に押えておく必要があるかどうかという問題が残るわけでございますが、今般準急料金あるいは急行料金というものを値下げをいたします。そういうような情勢のもとにおきまして、今後の鉄道のあり方というものは、やはり非常にスピードというものを要求されて参っておるわけでございます。このスピードを要請して参ります国民の要求というものは多種多様でございます。たとえば非常に卑近な例を申し上げますと、函館を出まして札幌まで急行で入りまして、それから釧路まで準急で行くという汽車が現在ありますが、これが急行料金と準急行料金というものが別建で法定になっておりますために、札幌へ入りますと、相当の時間そこへ置きまして、別の列車としてまた仕立てなければならないという非常な矛盾が起こっておるわけでございます。輸送の関係といたしましては、今後ある一定のところまで急行で行き、それから準急で行く。いろいろな組み合わせが考えられるわけでございまして、ある程度そういうサービスに適応いたしました準急なり急行というものを設定することが輸送事情に適応するのではないか、こういうものを強く縛ってしまうことは、かえって輸送需要に応じられないものではないかということで、運輸大臣の認可にすることが適当であると考えているわけでございますが、われわれ監督者といたしましては、従来法定事項であったものが運輸大臣の認可事項であったといういきさつにかんがみまして、そういう点に関しましては需要者の不利にならないように厳重な監督をして、その趣旨を全うするような料金の決定をしていかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/36
-
037・久保三郎
○久保委員 定期旅客運賃については慎重に検討していきたいというのですが、検討をされて大体山にきていると思うのでありますが、いつごろまでに結論をつけるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/37
-
038・吾孫子豊
○吾孫子説明員 いろいろまだ研究すべきところがございます。時期のことも今後十分検討いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/38
-
039・平井義一
○平井委員長 他に質疑はございませんか。——ほかにないようでございますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/39
-
040・平井義一
○平井委員長 これより討論に入ります。高橋清一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/40
-
041・高橋清一郎
○高橋(清)委員 私は自由民主党を代表いたしまして、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対し、賛成いたしたいと思うのであります。
国鉄経営につきましては、今日までいろいろの角度よりしばしば論議を重ねて参ったのでありますが、すでに日本町有鉄道法改正に際しての附帯決議の趣旨にもある通り、その五ヵ年計画には多大のおくれを生じ、その資金経理の実情は極度に悪化しており、二千億に上る東海道幹線増設工事の早期実現の必要に迫られているという実情でありまして、国鉄財政は真に憂慮すべき事態に到来しておることは、各委員すでに御承知の通りであります。
他方、最近におけるわが国国内輸送の分野の現状を検討いたしますると、国民経済の発達、驚異的な技術帯新等の経済情勢の変化を背景といたしまして、鉄道以外の他の輸送機関の発達は著しいものでありまして、国鉄が従来占めてきた独占性は著しく弱められ、その結果は鉄道輸送の質に大きな影響を与えるとともに、国鉄運賃体系の基盤に大なる変革を要求して参ったのであります。
しかしながら、発足九十年になんなんとする国鉄の運賃制度は、今日まで根本的にはほとんど改革されることなく、必要に応じて部分的に改訂されたにとどまっておりまして、特に戦後数次にわたって行なわれた運賃改訂は、インフレの高進による財政の窮状を救うことに主眼を置いて、ほとんど旅客、貨物とも一率的な改訂に終始してきたのが実情であります。かかる事態に対処いたしまして、国鉄当局は、昭和三十二年、五ヵ年計画の発足とほとんど同時に同年十月、鉄道運賃制度調査会を設け、新しい運賃制度を検討する一方、輸送情勢の変化に対応した輸送の近代化、サービスの向上に努力して参ったのであります。
この鉄道運賃制度調査会は、委員としてわが国における財界、学界、労働組合、利用者、操觚界等、すべての階層の代表を網羅して、二年有余の審議期間をもちまして、現在及び将来の鉄道輸送のあり万を考えた上で、利用者並びに国鉄双方にとって、公正妥当な運賃体系の確立をはかることを言的として、慎重審議を行なったのであります。
本改正案は この調査会の答申に基づき、旅客、貨物ともに現在の運賃体系の合理化を眼目とし、運賃負担の公正と国鉄経営の健全化という見地より、原価主義を強調いたしましたものでありまして、その改正点について申し上げましても、旅客運賃の二等級制はすでに世界の趨勢でありますし、旅客運賃の遠距離逓減制の是正も、原価との関係及びあわせ実施する遠距離往復正貨の復路割引、急行料金の引き下げ等を勘案すると、妥当と考えられるのでありまして、これらにつきましては、運輸委員会に出席された各参考人の方々の御意見も、おおむね異論はなかったように承知いたした次第であります。
また、貨物等級の改正については、国鉄で扱う千百十九品目のうち、今回の運賃制度の是正による真のいわゆる値上げとなる品目は百五品目であり、その代償として下がるものが三百二十一品目ということであり、旅客、貨物を通じ、総体としては不増収、不減収であります。
従いまして、今回の運賃改訂による一般国民の生計費並びに物価に及ぼす影響ということに関しましては、心配は全くないと認められるのでありまして、このことは、従来のいわゆる通貨値上げと大いに性格を異にしている点であり、今日まで、今回の運賃改正問題が新聞紙上等にいろいろ取り上げられました主張や批判、あるいは公聴公等の席での意見の内容等からも、このことは断言できるのであります。
もとより、今回の改正におきましても、実質的に値上がりとなる面が出てくるのでありまして、負担の公平並びに国鉄経営の健全化のため、必要やむを得ないものといわざるを得ませんが、この際国鉄当局に対して、今後一そう経営の合理化により原価の切り下げに努めるとともに、わが国経済の成長と社会の進歩に即応し得るごとく輸送力の増強並びに近代化に努め、サービスの改善のために努力するよう要望いたすとともに、政府当局に対しては、特に以下述べます諸点について、十分関心を持って、今後検討していただきたいと考える次第であります。
その第一点は、運賃制度の合理化を完璧ならしめるためには、運輸委員会でもたびたび論議の中心となった、国鉄の公共性の内容を明確にすることが必要と考えるのでありまして、国鉄の当然負うべき公共性限界というものを、政府部内で明確にして、その限界を越える公共負担については、正当に評価して、あるいは補償、あるいは出資、あるいはまた財政資金の貸付条件の緩和を行なう等の措置を制度化することであります。
次に、第二点として、今回の運賃改訂は、運賃体系の合理化でありますが、これを国民経済的な観点から申し上げますると、国鉄が他の輸送機関と公正な立場に立ってその輸送分野を担当し、国民経済に占める役割を完全に遂行していくための運賃改訂なのでありますが、しからば、わが国に、現在、鉄道、自動車、航空機並びに海運等の外構交通機関に及ぶ、海陸空にわたる総合的な交通政策があるかといいますと、その実情は寒心にたえない程度でありまして、わが国のような国では、いささかの過剰投資も、競争上のロスも許されないことを思いますと、総合交通政策のすみやかなる樹立により、国民経済的に見て、各種交通機関が公正な基盤のもとで経営し得るよう、適正分野の確立をはかることが肝要と存ずる次第であります。
これを要しまするに、国鉄財政の窮状打開という観点からは、今回の改正案による運賃制度の合理化だけでは不十分といわざるを得ないのでありまして、運輸大臣が運輸委員会においてたびたび答弁されておられるごとく、内閣に国鉄問題を審議する委員会を設けていただいて、すみやかにこれら語問題を検討していただきたいことを要望して、賛成の討論を終わる次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/41
-
042・平井義一
○平井委員長 久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/42
-
043・久保三郎
○久保委員 私は日本社会党を代表して、反対の討論をいたしたいと思います。
ただいまも自由民主党の代表から、条件付賛成ということでありまして、要望事項はすなわち条件だと思いますが、いずれにしても国鉄の経営が現在悪化していることは、これは衆目の認めるところであります。ところが、この悪化している原因は、要望事項にもございましたように、国鉄の公共企業体としての性格が明確でない——この明確でないままに今回の運賃改正だけは先行しようというところに、われわれの反対の一点がございます。しかもこの経営の悪化したことが、もう一つは、政府自体に陸運政策に明確なるものがない、そういうことが第二点であります。
こういう中で、運賃だけを原価主義に近づけるということでは、とうていこの問題の本質を解決するわけには参らぬと思う。
さらに、この運賃を個別に見ましても、旅客運賃において遠距離逓減法を四地帯から二地帯にするということも、何ら科学的な根拠がここにはうかがえない、非常に薄いということであります。
さらには、貨物運賃等についても同様であります。なるほど上位のものを引き下げるということもありましょうが、これは、見ようによっては過当競争を激烈にする一つの要素も含まれる。あるいは日本全体の輸送の面からいって、いわゆる施設の二重投資あるいはそこにおいて非常なロスというものも、今日もうすでに見受けられつつある。それがさらに激化するのではなかろうか、こういうふうにも思うわけであります。それから引き上げるもの、こういうものについては言うまでもありません。これによって特に警戒しなければならぬのは、車扱貨物と小口扱貨物との運賃の相違であります。先ほど申し上げた通り、独占物資に対する非独占物資のいわゆる重圧というものが、さらに大きくなっていくであろう、こういうことであります。何らこういうものの不合理は一点も解決できないのではなかろうか、こういうように思います。いずれにしても、運賃制度調査会から答申があったように、その答申の部面の一番重要な部面は、これは運賃だけでは解決できないという一点に尽きると思うのであります。しかもできない点は何かというと、国鉄に対する要望、特に政府当局に対する要望、この要望は、先ほどもお話を申し上げた通りであります。この要望に今日の政府は何らこたえておらない。こたえる姿勢も今日まだできていないということの中で、運賃制度だけをこういうふうに改革していくということについては、われわれは反対であるということであります。
以上、終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/43
-
044・平井義一
○平井委員長 これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/44
-
045・平井義一
○平井委員長 これより採決いたします。
国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/45
-
046・平井義一
○平井委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/46
-
047・平井義一
○平井委員長 異議なしと認め、さよう決しました。
この際、政府当局並びに国鉄当局より発言を求められておりますので、これを許します。楢橋運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/47
-
048・楢橋渡
○楢橋国務大臣 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を当委員会において御採決いただきましたことは、まことに感謝にたえません。この改正法案によって国鉄の運賃制度は合理的なものとなり、また国鉄の経営改善に資するところ、さらに政府におきましても、国鉄の使命にかんがみまして、国鉄の経営の全般にわたって検討を加え、輸送力の増強、近代化、合理化を進め、国鉄の健全な発達をはかるために強力に指導して参りたいと思います。
なお有益なるお話を承りましたので、これも一つ参考にして善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/48
-
049・平井義一
○平井委員長 十河国鉄総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/49
-
050・十河信二
○十河説明員 今回提出いたしました運賃法の改正は、多年の懸案でありまして、長い間外界の権威者によって検討をしていただきました結論であります。委員会の今回御承認を得ましたことはまことに感謝にたえません。この審議の経過中皆さんからいただきました貴重な御意見は十分に身に体しまして、この上とも国鉄の健全なる経営に渾身の努力を傾ける覚悟であります。何とぞ今後とも御支援のほどをお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/50
-
051・平井義一
○平井委員長 次会は来たる二十日金曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403830X02419600518/51
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。