1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年二月十七日(水曜日)
午後一時五十一分開議
出席委員
委員長 村瀬 宣親君
理事 小坂善太郎君 理事 西村 英一君
理事 保科善四郎君 理事 前田 正男君
理事 岡 良一君 理事 北條 秀一君
秋田 大助君 天野 公義君
小平 久雄君 橋本 正之君
細田 義安君 岡本 隆一君
出席国務大臣
国 務 大 臣 中曽根康弘君
出席政府委員
科学技術政務次
官 横山 フク君
総理府事務官
(科学技術庁長
官官房長) 原田 久君
総理府事務官
(科学技術庁原
子力局長) 佐々木義武君
総理府技官
(科学技術庁原
子力局次長) 法貴 四郎君
委員外の出席者
科学技術事務次
官 篠原 登君
総理府技官
(科学技術庁原
子力局原子力開
発機関監理官) 武安 義光君
総理府技官
(科学技術庁資
源局局) 黒澤 俊一君
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本日の会議に付した案件
原子力委員会設置法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一四号)
日本原子力研究所法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一五号)
科学技術振興の基本的施策に関する件
科学技術庁関係の予算に関する説明聴収
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X00319600217/0
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001・村瀬宣親
○村瀬委員長 これより会議を開きます。科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。本日は、中曽根国務大臣より、科学技術振興のための昭和三十五年度における基本的施策についてその所信を承り、次いで、付託二法案の趣旨説明を聴取した後、昭和三十五年度科学技術庁関係予算の説明を聴取することといたします。
まず、中曽根国務大臣より、その所信を承ることといたします。中曽根国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X00319600217/1
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002・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 科学技術はその影響するところ大きく、一国の政治経済外交文化等、国政の各分野においてきわめて重要な役割を演じているところでございますが、最近における目ざましい技術革新の進展に伴い、この傾向はますます強化されつつあります。近時、諸外国におきましても、科学技術の重要性に対する深い認識に基づき、国情に即して種々方式は異なりますが、いずれも、科学技術振興のため国をあげての努力を傾注している実情であります。このような情勢にかんがみまして、政府といたしましては、つとにその重要性を認識いたし、科学技術振興策を最重要施策の一つとして取り上げ、その振興に意を尽くして参ったとこでありますが、来たる昭和三十五年度におきましては、施策重点化に力点を置きまして、特に科学技術会議の答申を尊重しつつ、強力に科学技術振興政策を推し進める所存であります。
この構想に基づき、科学技術庁が新年度においてその推進をはかりたいと考えている施策の大要は、次の通りであります。
まず、長期的かつ総合的な計画の樹立であります。科学技術の振興のためには、長期的かつ総合的視野の上に立った一貫性と継続性のある基本方策を確立する必要のあることは言うまでもないところであり、符に、本年は所得倍増をはかる長期経済計画が策定されることになっておりますので、この長期経済計画推進の根幹となるべき長期科学技術振興計画の樹立は、本年の急務であると考えられます。かかる観点のもとに、政府といたしましては、近く予定されております十年後を目標とする科学技術振興の基本方策についての科学技術会議の答申の線に即して科学技術振興の確固不動の体制を確立し、もって一九六〇年をしてわが国が科学技術の分野においても先進諸国に追いつき、追い越す黄金の年代ヘスタートする年たらしめるべく努力する所存であります。
次に、来年度において実施に移したい施策は、昨年末に行なわれました科学技術会議の答申、「昭和三十五年度における科学技術振興の重点方策について一に盛られた諸事項であります。御承知の通り科学技術会議の答申は、基礎的科学技術の振興、科学技術者の養成と処遇改善、民間における科学技術活動の育成、特別指定研究等の推進の四項目からなっておりますが、まず、第一の基礎的科学技術振興のためには、大学の教育及び研究機能の充実と国公立研究機関の充実強化をはかることが基本と思われますので、国立大学における教官、研究費の水準の引き上げ、科学研究費の増額、国立大学施設、設備改善のための助成の強化を行なう予定でありまして、これは必ずしも十分とは言いがたいのでありますが、将来引き続き努力を傾けるつもりであります。また、各省庁関係研究機関の整備充実につきましても、前年度よりさらに強力にこれを推し進めることになっております。次に、第二の科学技術者の養成と処遇改善でありますが、まず、科学技術振興の基礎となる科学技術者の養成につきまして、先般来実施中の理工系学生八千人増員三カ年計画の最終年次として、来年度は国・公・私立を通じ約千六百人の増員が可能となる見通しでありますし、さらに、人材養成の十カ年計画を準備中であります。研究公務員の処遇につきましても、人事院勧告の線に沿いまして、研究職については一般を上回る改善が予定され、そのため必要な予算その他の措置がとり進められております、なお、研究職手当の支給、大学教官の給与改善等につきまして、今後引き続き努力いたす所存であります。第三の民間における科学技術活動の育成につきましては、まず、民間における研究促進のための税制上の措置として、研究設備等の減価償却の取り扱いの改善、研究施設、研究費等に対する奇付金の損金算入、科学技術関係賞金に対する非課税措置、共同研究施設の特別償却措置等が具体的に考慮されることになっておりますので、その実施を早急にはかりたい所存であります。また、理化学研究所の移転、拡充、日本科学技術情報センターの整備を初め、全日本科学技術振興財団、地方発明センターへの補助等について、その必要とする予算が計上されることになりましたので、その効率的な運用によって民間科学技術活動が一段と活発に進められるよう努力いたしたいと存じます。第四に、特別指定研究等の推進につきましては、台風防災科学技術、宇宙科学技術、基礎電子工学、核融合、海洋科学技術及び対ガン科学技術の六部門を特別研究として指定し、その研究の総合的推進を行なう所存であり、その円滑、完全な遂行を期するため、これらの特別研究促進と相互間の調整をはかる経費として、一億円の予算を計上している次第であります。特に、最近発展の目ざましい宇宙科学技術につきましては、その重要性にかんがみ、政府といたしましては、宇宙開発審議会を総理府に設置し、この審議会において、宇宙利用及び宇宙科学技術に関する重要事項を調査審議いたしますとともに、科学技術庁設置法に所要の改正を加え、宇宙科学技術に関する事務を効率的に処理するようにいたしたく、関係法案を今国会に提出いたし御審議を願う次第になっております。
なお、台風科学技術と関連いたしまして、臨時台風科学対策委員会における調査審議状況を御報告いたしますと、同委員会は、先年十月設置後鋭意台風科学対策の検討を続けて参りましたが、特に、昨年末には伊勢湾台風調査団を派遣し、その調査結果に基づき中間報告書を提出いたしております。同委員会は、引き続き調査審議を継続中でございまして、三月末までに結論を出すよう努力いたしておる次第であります。
次に、原子力平和利用関係についてでありますが、昨年は、長い間の懸案でありました日本原子力発電会社の実用規模発電炉の設置も許可され、原子燃料公社のウラン精製試験工場が完成する等、幾つかの大きな進展が見られたところでありますが、昭和三十五年度におきましては、さらに一そうの進歩を目ざし原子力平和利用の成果の拡大をはかるべく、次のごとき措置を講じて参りたい所存であります。
まず、内外における原子力開発研究の進展に伴い、わが国の長期原子力基本計画につきましてその再検討を行ない、原子力平和利用の確固たる体制の確立をはかりますとともに、従来に引き続き核融合、原子力船の研究、アイソトープの利用促進等に力を注ぐ予定であります。
また、原子力研究所の原子炉等につきましては、昭和三十二年八月末から運転しておりまするJRR—一号炉は、原子炉物理、核物理の実験、各種の照射実験、アイソトープの製造等、研究所内外の研究に広く共同利用され、この種の原子炉としては世界的な成果をおさめているところであり、建設中のJRR—二号炉も本年三月末に工事を完了する予定であります。また、JRR—三号炉、すなわち国産一号炉については、敷地の整備、建家の建設、炉の製造等が着々と進行しており、来年度末には運転開始の予定であります。
さらに、JPDR、濃縮ウラン沸騰水型動力試験炉をゼネラル・エレクトリック社から購入することも内定しており、目下その契約内容につきまして同社と交渉中でありますし、新しいアイデアとして世界各国から注目を浴びております平均質型原子炉につきましても、本年は臨界実験装置を設置し、その研究開発を鋭意推進する所存であります。また、これら原子炉等に使用される原子燃料に関しましても、人形峠及びその周辺地区に重点をおいて探鉱を実施することになっておりまして、今後の探鉱の進展により鉱量は一段と増加するものと期待されております。ウラン製錬につきましては、原子燃料公社東海製錬所に建設したわが国独自の湿式法精製錬パイロット・プラントにおいて試験研究を進めているところであり、同製錬所は、日本原子力研究所で建設中の国産一号炉用燃料を供給することになっております。
なお、同公社は、国内ウラン鉱製錬を目標として東海製錬所内に粗製パイロット・プラントを建設し、すでに人形峠産ウラン鉱よりウラン精鉱の製造に成功していることでもありまして、近い将来、国内ウラン鉱の一貫製錬も可能となる見通しであります。
さらに、今後の原子力開発の進展を考えますと、原子力による万一の災害に備えて、早急に原子力災害補償制度の確立をはかるほか、従来の都市計画との異質性を考慮に入れた原子力施設地帯整備計画を樹立することが必要と思われますので、関係各方面の意見を十分取り入れて、必要な法的措置を講じるよう目下準備中であります。
最後に、国際間における科学技術交流が近年ますます活発化し、重要性を帯びつつある情勢に対応いたしまして、わが国におきましても、国連及び世界各国との国際協力を重要視し、協力関係を強化していく考えでありますが、具体的には、日本科学技術情報センター、科学技術アタッシェの強化拡充をはかり、海外科学技術調査団、海外留学生等を派圧するとともに、本年は日豪科学技術の交流の実現につきましてもその具体化を促進すべく、その必要経費を予算案に計上している次第であります。
以上、新年度の重要施策として当面考慮いたしております科学技術振興方策の大綱を申し述べたのでありますが、私といたしましては、これらの方策を中心として科学技術振興に全力を傾注する覚悟でございますので、国会議員各位を初め関係各位の切なる御協力をお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X00319600217/2
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003・村瀬宣親
○村瀬委員長 以上をもって科学技術振興のための昭和三十五年度における基本的対策について中曽根国務大臣の所信表明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X00319600217/3
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004・村瀬宣親
○村瀬委員長 次に、原子力委員会設置法の一部を改正する法律案及び日本原子力研究所法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X00319600217/4
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005・村瀬宣親
○村瀬委員長 政府より提案理由の克明を聴取することといたします。中曽根国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X00319600217/5
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006・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 ただいま議題となりました原子力委員会設置法の一部を改正する法仕業につきまして、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。
本改正案は、原子力委員会の委員の定数を二名増加しようとするものであります。
原子力委員会は、原子力の研究、開発及び利用に関する国の施策を計画的に遂行し、原子力行政の民主的運営をはかるため、昭和三十一年に設置せられたものでありますが、その後、わが国の原子力開発利用は、原子炉の開発研究の面におきましても、核燃料物質の開発の面におきましても、あるいはまた、アイソトープの利用の面におきましても、わずか数年の間に著しい発展を見ており、また、将来における利用を目ざしての各種の試験研究もその範囲を拡大し、かつ、内容を高めて参ったのであります。このような情勢に応じて、原子力利用について企画、審議、決定を行なう原子力委員会の所掌する事務も増大し、かつ、重要の度を加えて参ったのであります。従いまして、この際、委員長及び委員四人をもって組織されている原子力委員会の委員をさらに二名増員して、その機能を強力化し、かつ、充実せしめることが必要と考えられるのであります。
以上、この法律案の提案の理由及び要旨を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
次に、また、ただいま議題となりました日本原子力研究所法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。
本改正案は、日本原子力研究所の理事の定数を一名増加しようとするものであります。
日本原子力研究所は、わが国の原子力研究のセンターとしての役割を果たすべく、昭和三十一年に設立された特殊法人でありますが、同研究所は、設立以来、わが国で初めての原子炉の完成を初め、各種原子炉の丈十、建設、運転、原子核物理、放射化学、燃料加工等、各種の基礎及び応用の研究、アイソトープ研修所、原子炉研修所の開設等、研究者、技術者の養成訓練、その他研究所に課せられた各般の業務を行ない、原子力の開発に関する研究等を総合的かつ効率的に行なって原子力の研究、開発、利用の促進に寄与するという研究所設立の目的の実現に力を尽くして参りました。
今や、研究所も発足以来三年半を経て各種施設は急速に整備され、人員も大幅に増加し、さらに今後の飛躍的な発展が期待されるのでありまして、その拡大していく業務を円滑に運営するためには、業務管理機能を一そう充実する必要があります。このため、理事長、副理事長を補佐して業務を掌理する任務にある理事の定数を、現在の五名から、この際六名に増加することが必要であると考えられるのであります。
以上、この法律案の提案の理由及び要旨を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X00319600217/6
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007・村瀬宣親
○村瀬委員長 以上をもちまして提案理由説明は終わりました。
両案に対する質疑は次会に譲ることといたします、
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X00319600217/7
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008・村瀬宣親
○村瀬委員長 次に、昭和三十五年度科学技術庁関係予算の説明を聴取することといたします。原田官房長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X00319600217/8
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009・原田久
○原田(久)政府委員 それでは、お手元にお配りしてあります昭和三十五年度科学技術庁予算事項別総表に基づきまして、予算案の内容を御説明さしていただきます。
まず、総額から申し上げますが、表の一番最後に掲げてありますように、現金の部といたしまして百十三億八千百八十万五千円と相なり、前年度に対比いたしまして九億八千八百九十六万円の増額になっております。外数でございますが、債務負担行為につきましては四十三億九千六百六十四万円で、前年度対比八億二千九百六十四万円の増額になっております。現金の部につきましての増加率は九・五%で、前前年度の前年度に対する増加率五・四%よりも増額を見ておる次第であります。
次に、各項目に従いまして御説明をさせていただきます。御承知のように、予算の分け方といたしましては、原子力関係を別掲してありまして、その他を一般の部にまとめてございますので、一般の部から御説明を申し上げさしていただきます。
一般の部は、大きく言って五本の柱からなっておりますが、その第一は、科学技術振興基本方策策定及び調査という項目でございます。内訳としましては、科学技術振興基本方策の策定といたしまして、科学技術会議の運営費が計上されております。金額は五百六十五万で、前年度に比べまして六十二万二千円減額になっておりますが、これは主として庁舎の借り上げ費が不要になりましたための減額で、実質の減額ではございません。次に、科学技術振興長期計画策定でございますが、前年度と同額になっております。基礎部門だとか、製造工業部門、通信部門、公衆衛生部門等の細部の掘り下げ作業をいたしたいと考えております。
二番目に、科学技術調査活動強化といたしまして、内外科学技術動向調査等の費用が計上されております。金額は二百五十一万四千円でございまして、一万四千円の増額になったのでありますが、内容といたしましては、一般動向の調査、科学技術白書の編集、官立公研究機関の実態調査研究管理、海外技術動向調査等を内容といたしております。(ロ)の資源総合利用の方策等の調査でございますが、金額は二千二百八十三万六千円で、三百四十万一千円の増額になっております。これは基本部会——基本関係の十二の部会及び資源局関係の調査費を含んだ内容のものでございます。
次に、科学技術振興の基盤体制整備といたしまして、主として研究機関等を対象とする内容をこの中に盛ってございます。
まず、そのうち、科学技術庁付属の研究機関の整備でございますが、航空技術研究所の予算といたしまして十九億七十三万八千円が計上され、前年度に対比いたしまして三億一千八百七十三万七千円の増額になっております。人員は六十人増員いたしまして、二百三十九名となる予定になっております。次に、金属材料技術研究所でございますが、金額は六億五千四百五万円で、六千五百五が六千円の増額でございます。備考にございますように、四十九人増員の予定で、総員二百四十八名となる予定でございます。
次に、理化学研究所の整備拡充でございますが、五億二千万円で、前年度に対比し二千万円の増額となっております。内容といたしましては、一般研究部門が三億九千万円、新技術開発部門が一億三千万円でございまして、人員といたしましては十六人の増員が認められておりまして、総員は五百十二名になる予定でございます。おな、この内容といたしまして、三十六年度に研究所を移転する予定を持っておりますので、その移転に伴う調査費なども、若干でございますが、含まれております。
三番目に科学技術情報及び普及啓発活動強化でございますが、日本科学技術情報センター関係といたしまして一億一千三百万円、前年度対比二千五百万円の増額となっております。内訳は出資金が六千万円、補助金が五千三百万円、人員といたしましては二十八人の新規増員が認められておりまして、三十五年度末の定員は百二十二名になる予定でございます。なお、特徴といたしましては、三十五年度から、原子力関係の情報につきましても情報活動を開始する予定となっております。次に、地方発明センター設置費でございますが、新規に計上された予算で、二千八百五十万円計上されました。予定といたしましては、広島及び京都にそれぞれ地方発明センターを設置する構想になっております。これは民間からの資金も集めまして、半額補助になっておりまして、内容といたしましては、発明試作の研究所を作ったり、あるいは発明技術相談室、発明品展示室などを設けまして、地方の発明開発に資したいという考え方でございます。(ハ)の全日本科学技術振興財団(仮称)の助成でございますが、七千万円計上されております。これは半額補助令でございまして、他は民間の帯付その他を仰いで運営する予定でございます。主としまして科学技術関係の普及啓発事業、たとえば、巡回講演だとか、映画だとか、展覧会、あるいは科学技術集会等の行事を行なう経費の補助を予定しております。
三番目の重要研究分野の開拓と振興といたしまして、宇宙科学技術の振興としまして三千七百八十七万六千円が計上されております。その内訳は、備考にございますように、宇宙科学技術審議会を総理府に設置する予定でございますが、その事務的経費及び宇宙科学技術に関します海外調査団派遣費、それから宇宙科学技術の内外の調査費、宇宙科学技術研究委託興、これは気象観測用ロケットの試作設計の委託費三千万円を含んでおります。次に、特別研究の促進調整といたしまして、新たに一億円が計上されております。特別研究といたしましては、科学技術会議の答申によりまして台風防災、宇宙、海洋等の項目が指定されておりますが、そういった予算の執行途上におきまして不足を生じた場合、あるいは相互間の関連において必要とする経費を発生したような場合、ないしは、新たな項目が追加指定されたような場合に、特別指定研究の促進調整費として一億円を支出する予定になっております。それから科学技術試験研究の助成、これは、従来、多数部門の科学技術試験の研究の助成として、補助金として交付しておったものでございます。全額は三千百三十二万八千円で、前年度より千五百二十三万二千円ほど減額になっております。これは前年度実施いたしましたクロレラ分の補助金が、完成いたしましたので不用になりましたというのが原因でありますが、継続分といたしましては、備考にあります水質汚濁の研究、それから水温利用の研究は継続分でございます。新規分といたしまして、大気汚濁の研究、それから実験動物の研究等が新規項目として計上されたものでございます。
次に、民間科学技術活動の活発化といたしまして、発明実施化試験の助成がございます。これは民間の、主として中小企業の方の発明の実施化に必要な経費の一部を補助するものでございますが、金額としましては二千五百四十七万九千円で、前年度に比べ三百五十八万四千円の増額となっております。それから技術士制度の育成強化でございますが、技術士試験の実施にあたりまして受験される方が非常に増加をしておりますので、そういった経費の増額を含んでおります。金額は二百四十八万七千円で、前年度に比べまして六十六万七千円の増額になっております。
第五番目は、国際技術協力の強化でございます。国際会議等の出席旅費は若干増額いたしまして五百七十二万二千円、二番目の日豪科学技術の交流は、新規に百二十一万三千円計上されております。これは日豪両国間の申し合わせで、日本の研究者を向こうへ留学させる経費はオーストラリア政府が持ちますが、反対に、オーストラリアの方から日本に参ります研究者につきましては、滞在費、往復旅費等を日本側が負担するという形に予定しております。その場合の経費として百二十一万三千円計上しておりまして、人員は一名の予定でございます。三番目の海外科学技術調査団派遣でございます。主として台風防災関係の専門事項について調査団を派遣する予定でございますが、その経費といたしまして三百七十五万九千円新規に計上しております。四番目の、科学技術者の海外留学は前年と同額でございます。これは官庁の研究者を海外に派遣するものでございまして、長期、短期と分けまして、長期は二十二人、短期は四人、国連関係六十六人、その他を入れまして計百三十七人を内容としております。
その他につきましては事務的な経費でございますので、説明を省略させていただきます。
次に、原子力の部でございますが、原子力平和利用研究の促進といたしまして、日本原子力研究所は現金の部におきましては四十四億で、前年と同額でございます。債務負担が六千四百万円の増額になっております。内容といたしましては、役員一名の増員、職員百九十名の増員を含んでおりまして、原研の定数は千百九十七名となる予定でございます。その他建設費、研究関係の整備に伴う費用等をこの内容に含んでおります。二番目の、国立機関の試験研究促進でございますが、五億一千五百三十三万五千円で、前年度に比べまして三千七百六十八万三千円の減額になっております。内容といたしましては、放射線利用関係とか、一般原子力研究、核原料調査等を内容に含んでおります。特に、原子力船、核融合等の内容が入っておることを申し上げさしていただきます。次に、民間試験研究の助成、これも五千九百九十万円の減額でございますが、金額は三億二千十万円と相なっております。内訳は、委託費、補助金に分かれておることは備考記載の通りでございます。内容的には、前年度の、すなわち、三十四年度の現金予算の中に前々年度の債務負担を含んでおりますので、実質的には減額にはなっていないということでございます。
第二の、核燃料開発の促進でございますが、原子燃料公社関係は十二億三千万円で、一億円の増額になっております。人員は六十六人の増員を含んでおりまして、千四百七十六名となる予定でございます。次に、核燃料物質の探鉱奨励でございますが、五百四十五万円の減額で、千四百五十五万円となっております。これは申請件数の実績等による減額でございます。
三番目の、放射線障害防止措置の強化でありますが、放射線医学総合研究所につきましては七億二百九万円で、一億一千八百九十万三千円の増額になっております。人員は六十二名の増員で、計二百二十五名となる予定でございます。特に、病院部門の関係が、ベッド数なども入りまして増加をいたしますし、研究部門も内容が充実することになっております。それから放射線測定調査でございますが、四千八百二十三万円で、千百十六万円の減額になっております。内容といたしましては、天水とか陸水、大気、海洋中の放射能の調査を内容としております。三番目に、放射性廃棄物処理事業の助成、三百十四万一千円で千百一万九千円の減額になっておりますが、前年度大部分が完成しておりまするので、三十五年度はその不足分を補充する程度でよかろうというの、で、減額になっております。
次に、第四として、核燃料物質等の購入でございますが、二億六千七百三十万二千円で、一億七千百十九万七千円の増額でございます。CP5型炉の詰めかえ分であるとか、新設民間研究炉の原料の増加分等、この内容になっております。五番目の、原子力平和利用国際協力の強化、(一)としまして、原子力技術者の海外留学、これは前年と同額の三千二十四万円、内容としまして十八人分を予定しております。それから、外国人技術者等招聘は六十四万八千円で、百十七万六千円の減額になっておりますが、原子力委員会の方へ計上された分がございますことが備考に書いてございます。それから、国際会議出席及び海外調査、これは九百万円で、五十五万六千円の増額になっております。
その他は、原子力委員会、放射線審議会、原子力技術者の国内研修等、いろいろございますが、事務的でございますので、説明を省略させていただきます。
総括いたしまして、原子力の部は、七十三億四千八百八十六万四千円から七十六億三千百八十三万四千円と相なり、二億八千二百九十七万円の増額になっております。これに対しまして一般科学技術の部は、前へ戻らせていただきますが、三十億四千三百九十八万一千円のものが三十七億四千九百九十七万一千円と相なり、七偽五百九十九万円の増額になっております。こういうような状況になっております。
以上、簡単でございますが、予算の説明を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X00319600217/9
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010・村瀬宣親
○村瀬委員長 以上をもって昭和三十五年度科学技術庁関係予算の説明は終わりました。
中曽根国務大臣の所信表明並びに予算説明に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X00319600217/10
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