1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十五年三月二十五日(金曜日)
午前十時五十三分開議
出席委員
委員長 村瀬 宣親君
理事 小坂善太郎君 理事 西村 英一君
理事 保科善四郎君 理事 前田 正男君
理事 岡 良一君 理事 北條 秀一君
秋田 大助君 小川 平二君
小平 久雄君 橋本 正之君
細田 義安君 大原 亨君
内海 清君
出席国務大臣
国 務 大 臣 中曽根康弘君
出席政府委員
科学技術政務次
官 横山 フク君
総理府事務官
(科学技術庁長
官官房長) 原田 久君
総理府技官
(科学技術庁計
画局長) 久田 太郎君
総理府事務官
(科学技術庁原
子力局長) 佐々木義武君
総理府技官
(科学技術庁原
子力局次長) 法貴 四郎君
—————————————
本日の会議に付した案件
連合審査会開会申入れに関する件
原子力委員会設置法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/0
-
001・村瀬宣親
○村瀬委員長 これより会議を開きます。
原子力委員会設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、この際これを許します。北條秀一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/1
-
002・北條秀一
○北條委員 本法律案の改正について、今日まで本委員会において数回論議がかわされておるのであります。このことは、大臣十分御承知の通りであります。ことに、法律案の改正がきわめて簡単でありまして、二人の理事を増すというだけのことでございますが、何事をやるにしても、仕事をやる際には人事が一番大事な点であります。人事がうまくいけば、仕事も九〇%は成功するといわれておるわけであります。従って、そういうことでありますから、当委員会は非常に真剣にこの法律案の改正について論議をしてきたところでございます。ところが、きのうか、おとといでしたか、本法律案がまだ当委員会において採決になる前に、すでに人事について新聞に記事が出たのであります。ことに、一人は、今まで外国の使臣として活動されておった方、もう一人は、最近まで世界各国を回ってこられた方でありますが、そういう人が新聞の記事になるということは、まことに遺憾なことである。私としては、どういう都合があったのか知りませんが、早くも政府が発表したものだと考えたのであります。もし、政府がそれを積極的に発表したとすれば、当委員会を全く度外視するものであるというふうに考えるし、政府が発表しなくても、そういうふうな記事をスクープされたということになると、これははなはだ遺憾しごくだと思うのであります。たとえば、その新聞に出た人が、法律案の改正が成立しました後に、たまたま委員に任命されれば、御本人としてはきわめていいことでありましょうが、もし、万一そうでないということになりますと、二人の人間はまるでたな上げされたということになり、天下は恥をさらすことになる。こういう点について、私としては、あの記事を見ましてはなはだ遺憾に存じておりますので、大臣のお考えをこの際はっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/2
-
003・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 その新聞記事を私はまだ拝見しておりませんが、人選には全然まだタッチしておりません。こういう重要な人選は、私が直接自分の発意と責任において慎重にやろうと思っておりますが、まだその時期でもございませんので、全然まだほんとにタッチしておりません。従いまして、そういう記事が出たといたしましたら、何かの推測違いではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/3
-
004・北條秀一
○北條委員 大臣としては、広範な仕事をされておるのですから、そういうところに気がつかなかったといえば、もっともなことだと思いますが、おそらく、あなたの部下のどなたかの目にはとまっておる、とまっていないということはないと私は思うのです。ことに原子力に関する問題は、あなたの科学技術庁はもとより、国民が常に注目しておるところであります。だから、目についておるだろうと私は思う。目についたら、すぐあなたに、こういう記事が出たがどうだ、というふうな忠告があってしかるべきだと私は思う。それを、今日大臣が、全然そういう記事は知らないということだけでは、あまりにも私はうかつではないかというふうに考えるのであります。従って、特に人事ですから、今後、慎重の上にも慎重にやっていただきたい。しかし、この法律案が成立した後、もし、新聞記事に出ている二人が任命されるということになればこれはまた、私どもとしては文句は言えると思う。従って、これ以上言いませんが、特に慎重を期していただきたいということを強く要望して、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/4
-
005・村瀬宣親
○村瀬委員長 岡良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/5
-
006・岡良一
○岡委員 原子力委員会の委員は、国会が承認を与えることに相なっております。従って、国会もやはり責任を分かつことになっておるわけでございますので、委員の選任にあたっては、やはり国会の希望、意向というふうなものも十分に尊重する御用意があるのかどうか、この点をまずお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/6
-
007・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 もちろん、国会の御承認を経なければならないことでございますから、御承認を得られるように慎重に注意してやりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/7
-
008・岡良一
○岡委員 具体的に申しますと、たとえば、日本原子力研究所長に菊池正士原子力委員が御就任になりました。その欠員といたしまして木原氏が御就任になった。菊池氏は核物理学の方面における日本の、また世界的なレベルに達した権威者だと私どもは存じております。引き続き今度、遺伝関係においてかなりな業績を上げておられる木原氏が御就任になる、こういう経過は、一体どういう御意図からそういう人選がなされたものであるか、それをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/8
-
009・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 放射線関係は非常に重大になって参りまして、ことにコールダーホール炉の設置等から見ましても、公衆の保健衛生、あるいは放射線の防御が非常に重要になってきたわけです。そういう点から、遺伝が放射線の一番影響を受けるものでありますし、その放射線及び遺伝関係に詳しい人が一人なっていただくということは、民衆にいろいろ安心を与えるためにも、また、その安全を期するためにも重要であると思いまして、そういう意味から放射線関係、遺伝関係から選抜したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/9
-
010・岡良一
○岡委員 その点、たとえば、放射能の持続的な照射によって遺伝学的にいろいろ変異が起こるということは、一つの研究の対象にはなるわけであります。しかし、問題は、やはり原子炉の安全性というものを確かめる、確保するという立場からいえば、これは原子炉が放射能を放出し、その持続的照射で遺伝的に変異を生じ得るであろうというような、いわば前提に立って、遺伝学の大家を出してくるということは、必ずしも私は妥当ではないのではないかと思う。それならば、放射能障害による遺伝的な変異があるということを前提としている。そういう立場から言うならば、むしろ、遺伝をもすべてを含めて、許容量という問題についての国際的な権威者が原子力委員に御就任になることが中曽根大臣の御趣旨にかなうのではないかと思います。
それはそれといたしまして、それでは、今専門の物理系統の方が一人欠けたことになっておりますが、やはり専門の物理的な権威者を原子力委員に加えることが妥当と思っておられますか。この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/10
-
011・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 その辺は、委員会のメンバーの能力なり、あるいは社会的な影響等も考えて、慎重に考慮いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/11
-
012・岡良一
○岡委員 それでは、あと二名追加御就任を願うわけでございますが、どなたという、特定の名前はあとのことでございましょうが、大体あなたの構想として、どういう分野の方が一応妥当であると思われるか、この点だけは、この機会にやはりはっきりお示しをいただくのが、この法案に対する私どもの審議の重要なポイントと思いますので、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/12
-
013・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 国会の御意向等をも尊重し、また、党の方の御意見も伺いまして人選を進めて参りたいと思っておりますが、大体原子力委員という地位は非常に高いのでありますし、非常に広い視野をもって、不偏妥当な判断を下し得る人が望ましいと思っております。特にこの際、専門分野をどこにするかというようなことを私から申し上げることは、差し控えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/13
-
014・岡良一
○岡委員 非常に抽象的な今の大臣の表現の人選ならば、どの委員会でも当てはまる抽象的な条件でございますが、一応それは了といたしましても、私は、この機会に希望を申し上げておきたいと思います。先般、向坊並びに大塚両参考人の陳述を伺いましても、原子力委員会は、言ってみれば少し老朽化しているんじゃないか、少なくとも、その活動が不活発だ、もっとどこへでも出て、接触をして意見を聞き、意見を述べるというような、言ってみれば、民主的な運営というものについて、もっとはつらつさを持ってほしいという希望が強く述べられておったわけです。私は、そういう参考人の御意見を聞きますと、これは運営の問題でありまして必ずしも年寄りであるから腰が重いというわけでもございませんが、やはり原子力委員会に一脈の若さを漂わしめるというようなことも、十分御考慮を願いたいと思います。それから、専門分野というよりも、やはり国際的な視野において政治的な判断を下すことが、今後の原子力行政の推進の上にいよいよ重要になってくるというようなことから、言ってみれば、いわゆるこちこちの学者というよりも、そういう幅の広い、国際的な視野から政治的な判断を下し得るというようなことも重要な要素ではないかと思います。いずれ、またこういう問題については、私どもとしての意見をまとめたいとは存じますが、そういうような点を長官においても十分御考慮の上、遺憾のない人選をせられるように、この機会に強く要望いたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/14
-
015・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 ただいまの岡委員の御意見は尊重して参りたいと思います。要するに、実力のある、そして国際的視野もある、日本人を代表しても恥ずかしくないような力のある、単に名前だけにとらわれるようなことでなく、そういうりっぱな人を選出するようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/15
-
016・村瀬宣親
○村瀬委員長 他に御質疑はございませんか。——別に御質疑もないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/16
-
017・村瀬宣親
○村瀬委員長 これより討論に入る順序でありますが、別段討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
本案は原案の通り可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/17
-
018・村瀬宣親
○村瀬委員長 御異議なしと認めます。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/18
-
019・村瀬宣親
○村瀬委員長 すべきである。
右 前田正男君より、本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。その趣旨説明を求めます。前田正男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/19
-
020・前田正男
○前田(正)委員 この附帯決議は、自由民主党、社会党、民主社会党三党の共同提案といたしたいと思っているわけであります。
まず、先に附帯決議の案文を朗読いたします。
附帯決議
わが国における原子力の平和利用は一応の準備期間を経て、いよいよ本格的な研究、開発段階を迎えんとするにあたり、政府は特に左の各項につき適切なる措置を講ずべきである。
一、原子炉の安全審査に対しては、更に一層公正を確保するため、責任ある審査機関を法制化するなど、原子力委員会の強化と充実を図り、ますます原子力行政の中核たらしめるよう努力すべきである。
二、原子力の平和利用においては、ひとり原子力発電のみならず、舶用炉、アイソトープの産業利用等、ひろく関係各分野にわたって、常に緊密なる協力を図ると共に、基礎的研究及び開発の分野において、燃料の生産・再処理並びに人材の養成等を含めて、それぞれ統一ある総合的計画を策定推進すべきである。
右決議する。
昭和三十五年三月二十五日
この提案の趣旨につきましては、先ほど申し上げました通り、三党による共同の提案といたしました。この内容につきましても、この附帯決議案に大体盛られております通りでございますが、本法案におきましても、この際原子力が準備段階を終わって、本格的な研究、開発をしようということから、原子力委員の増加をはかってるはずでありますから、原子力委員が増加されて、さらに一段と原子力開発の研究のために体制を整えんとするときに、この法案の成立について附帯決議をつけるのはもっともであると考えるのであります。特に、この附帯決議のうちの第一番目の問題につきましては、従来も、原子力委員会の中に部会等を設けて相当努力しておられるのでありますけれども、この際、もっと責任ある機関にする必要がある、こういう点から、法制化をはかり、必要な予算もとって、そして、ぜひ一つ原子力委員会を強化してもらって、原子力委員会の本来の目的に合うようにしたい、さらに一段と飛躍して、本格的な研究、開発をやろうという段階に即応するような体制を整えてもらいたいというのが第一であります。
第二番目の問題につきましては、原子力の研究、開発の問題におきましては、すでに各方面について相当研究を進めておられるのでありますけれども、ともすれば原子力発電というものが大きく表にクローズ・アップされてくるように思うのであります。しかしながら、実際問題といたしましては、単に原子力発電のみならず、船舶用についても、あるいはアイソトープの産業利用等も、現在もおのおの研究、開発に努力しておられる皆さんが、相当広範にわたってその成果を上げておられるのであります。しかし、この際、さらに一段と原子力の平和利用というものを広い範囲においてみんなが協力して、しかも、基礎的な研究、開発、こういうことについても努力していかなければならぬ、こう思うのです。特に原子力の平和利用については、最近の原子燃料の国際的な事情等もありまして、この燃料の生産、再処理というような問題についてもう少し重点を置いて、これに対するしっかりした計画を立ててもらう必要があるのではないか。また、人材の養成等についても努力しておられますけれども、しかし、この委員会における先般来の参考人のお話を聞きましても、あるいは、その他各方面の意見を聞いても、人材が足りない、こういうことをみんなやかましく言われておるのであります。そこで、特にこの附帯決議の中にもあります通り、燃料の生産、再処理、人材の養成等、こういうこともその他の研究、開発と同じように重点を置いてそれらのものを含めて、この際統一ある総合計画を立ててもらいたい。原子力の長期計画というものについて、この機会に、今申し上げましたような各項目について各方面との連絡を密にして、一つ統一ある総合計画を作っていただきたい、そうして、この強化された原子力委員会を中心にして、政府においては強力にこの計画を推進していただきたい、こういうのが、この提案の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/20
-
021・村瀬宣親
○村瀬委員長 以上をもちまして趣旨説明は終わりました。
この際、御発言があればこれを許します。岡良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/21
-
022・岡良一
○岡委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、この附帯決議案に対し賛意を表するものでございます。
原子炉の安全審査の件は、この委員会においても、そのつど大きく論議された問題でございまして、ぜひとも、できるだけすみやかに権威ある審査機関を法制化されるよう措置せられたいことを強く要望いたすものでございます。私どもは、できるならば、行く行くは国立大学で物理化学の科を持っておるところには教育用、訓練用の原子炉の一つくらいあってもいいじゃないかくらいに思っておるし、そういう時期は必ずくると思っておるのです。ところが、日本の現状はどうかというと、小さな、関西に置く実験炉一つさえも、まだその場所は決定しないままに、三年越しその予算がそのまま放置されておるというようなことについては、私どもは、やはり十分に国民感情の真実を学ぶ必要があると思います。それが一部の者の扇動である、あるいは、まだ国民感情がおくれておるというふうな形でこれを退けないで、やはり安全性について十分納得を得せしめるような、もっと親切な配慮が具体的に行なわれるということが、原子力政策の発展の一つの大きなポイントでありますから、ぜひこの機会に、原子炉の安全審査については、国民が信頼し得るに足る結論を出し得るような権威ある、責任ある機関の設置について十分な考慮を促したいと思うのでございます。
なお、原子力委員会もいよいよ二人増員になるのでございますが、言うまでもなく、現在の原子力委員会は純然たる一つの諮問機関という形でございます。ところが、事実上は、その庶務は原子力局が担当する。原子力局は原子力行政全般についての指導機関であり、実施機関である。そこで、原子力委員会は行政組織でもあれば、諮問委員会でもあるという、いわば、きわめてヌエ的な性格を持っておる。ここに、私は、原子力委員会というものの持っておる一つの矛盾した不幸があると思うのでございます。そういう意味から申しましても、必ずしもアメリカの原子力委員会をそっくりそのまま日本に移しかえるほどのことは、原子力の軍事利用が禁ぜられておる日本として必要ではないとは申しましても、原子力委員会というものの性格、あり方については、国会としても十分に検討を加えるべき段階にきておると思いますが、特に、また原子力委員長もこの点について十分な御考慮をわずらわしまして、原子力行政の中核にふさわしい原子力委員会のあり方というものを確立するように御努力を願いたいのでございます。もちろん、原子力委員会というものが法制的に権威あらしめられるといたしましても、その運営の面において、まだまだいろいろ問題があろうかと思います。先ほども私の発言で申しましたように、やはりまじめな学者、特に若い学者の中には、原子力委員会の現在のあり方について、いろいろな希望も批判も出ておるのでございますが、これも若い諸君の意向、日本の原子力政策を思うがゆえにの意向として、やはり十分耳に聞き取っていただいて、原子力委員会としても、あらゆる機会にそういう意見に触れる機会をみずから求め、また、みずからの意見をその諸君に理解せしめるという努力を、今後とも一段と強化していただきたいということを切に希望いたすのでございます。
第二項の問題は、今、前田委員から御説明になった通りのことでございますが、特に、ここに述べられておりますところの、緊密なる協力を得て計画を早く立てるということでございます。これは、やはり不可分な問題だと思うのでございます。何と申しましても、原子力委員会として決定された原子力に関する計画といえば、いわゆる原子力開発の基本計画並びに三年前に出されました原子力発電に関する長期計画、この二本があるわけでございます。燃料については、まだ計画として具体的な決定がなく、燃料に対する考え方というような、きわめてばくたるものがあるやに私は承知をしておるのでございますが、いよいよ発展段階に臨んで参りますならば、ぜひとも、これらのものを含めた総合的な計画というようなものを、基礎計画並びに実用段階における計画の二本建といたしまして、その両計画が十分統一がとれて原子力政策が発展するような顧慮の上にお立てを願いたいと思うのでございます。同時に、現在は、私どもしばしば指摘をいたしておりますように、乏しい資金と乏しい施設と、そして乏しい人、それから乏しい科学的水準を持ちながら、あまりにも多くの原子力コンツェルンが出ておるということでありますと、原子力政策全般の推進の上において、資金も、人も、施設も、あらゆるものが非効率的に運用されるということになりますので、でき得るならば、これらの計画をすみやかに原子力委員会が立て、この計画に従って、あらゆる分野において共同の研究、開発が進められるような顧慮が一段と私は望ましいのではないかと存じます。こう申し上げますのは、原子力計画のもとに従属し、統制をするという趣旨では決してございません。そういう意味ではなく、原子力政策を一元的に進めていくという立場において、やはり原子力委員会の指導的な役割というものは当然あるのでございますから、その限度において、ぜひ一つ善処を願いたい、このように考えるのでございます。
以上が、この附帯決議に対する私どもの賛成の理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/22
-
023・村瀬宣親
○村瀬委員長 北條秀一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/23
-
024・北條秀一
○北條委員 私は、民社党を代表いたしまして、ただいまの附帯決議に賛成の意を表するものであります。つきましては、若干、簡潔に意見を申し上げたいと思うのであります。
要するところ、原子力の開発は、日本人の頭脳の開発だと私は考えるのであります。日本人の頭脳の開発をするためには、日本人のエネルギーを合理的に活用していくということが必要である。本附帯決議はその点をさしておるのであるということを、特に政府は一つ十分に考えていただきたいと考えます。すなわち、この附帯決議の中に「総合的計画の策定推進」ということがございますが、これは要するところ、附帯決議の扇のかなめであるということでございます。いろいろな法律に対して委員会において附帯決議がつくということは、いわば、一つは、政府の行政のあり方についての不満の発露であるということが言えると考えます。従って、各般の法律を作るが、一向政府はそれを忠実にやっていないじゃないか、もっとやれるものがあるにもかかわらず、それをやっていないからけしからぬ、こういうふうなことになろうかと考えますので、以上申し上げましたことを特に政府において反省もされ、考えていただきまして、この附帯決議の趣旨を今後十分に生かしていただきますように強く要望いたしまして、私の見解の表明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/24
-
025・村瀬宣親
○村瀬委員長 他に御発言がなければ、これより採決を行ないます。
原子力委員会設置法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/25
-
026・村瀬宣親
○村瀬委員長 御異議なしと認めます。よって本案は附帯決議を付することに決しました。
ただいまの附帯決議に対し、政府の御所見があれば、この際これを許します。中曽根国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/26
-
027・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 ただいまの附帯決議の御趣旨を尊重いたしまして、万遺憾なきを期するようにいたしたいと思います。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/27
-
028・村瀬宣親
○村瀬委員長 ただいまの議決に伴う委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/28
-
029・村瀬宣親
○村瀬委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/29
-
030・村瀬宣親
○村瀬委員長 この際、連合審査会申し入れの件についてお諮りいたします。
すなわち、ただいま外務委員会において審査中の原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について、外務委員会に対し、連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/30
-
031・村瀬宣親
○村瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、連合審査会が開会の運びになりました場合、その日時等につきましては、外務委員長と協議の上、公報をもってお知らせいたします。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時二十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103403913X01019600325/31
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。