1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年二月十二日(金曜日)各会派割当数
変更後の本委員は、次の通りである。
委員長 羽田武嗣郎君
理事 井原 岸高君 理事 木村 守江君
理事 二階堂 進君 理事 堀川 恭平君
理事 南 好雄君 理事 中島 巖君
理事 山中 吾郎君 理事 塚本 三郎君
逢澤 寛君 大久保武雄君
川崎末五郎君 川島正次郎君
島村 一郎君 砂原 格君
徳安 實藏君 橋本 正之君
林 唯義君 廣瀬 正雄君
堀内 一雄君 松澤 雄藏君
山本 猛夫君 石川 次夫君
岡本 隆一君 兒玉 末男君
實川 清之君 三鍋 義三君
山中日露史君 今村 等君
西村 榮一君
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昭和三十五年二月十二日(水曜日)
午前十時四十六分開議
出席委員
委員長 羽田武嗣郎君
理事 木村 守江君 理事 二階堂 進君
理事 堀川 恭平君 理事 中島 巖君
理事 山中 吾郎君 理事 塚本 三郎君
川崎末五郎君 島村 一郎君
廣瀬 正雄君 堀内 一雄君
岡本 隆一君 三鍋 義三君
山中日露史君 今村 等君
出席国務大臣
建 設 大 臣 村上 勇君
出席政府委員
建設政務次官 大沢 雄一君
建設事務官
(大臣官房長) 鬼丸 勝之君
建設事務官
(大臣官房会計
課長) 志村 清一君
建設事務官
(計画局長) 關盛 吉雄君
建 設 技 官
(河川局長) 山本 三郎君
建 設 技 官
(道路局長) 佐藤 寛政君
建 設 技 官
(住宅局長) 稗田 治君
建 設 技 官
(営繕局長) 櫻井 良雄君
委員外の出席者
専 門 員 山口 乾治君
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二月十二日
塚本三郎君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
首都高速道路公団法の一部を改正する法律案(
内閣提出第二〇号)
建設省関係重要施策に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/0
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001・羽田武嗣郎
○羽田委員長 これより会議を開きます。
まず、理事の選任につきましてお諮りいたします。議院運営委員会理事会における各委員会の理事の員数及び各会派割当基準の決定によりますと、自民五名、社会二名、民社一名、計八名となっております。従いまして、当委員会におきましては、理事を一名選任する必要があります。理事の選任につきましては、先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/1
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002・羽田武嗣郎
○羽田委員長 御異議ないものと認め、塚本三郎君を理事に指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/2
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003・羽田武嗣郎
○羽田委員長 次に首都高速道路公団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告がありますから、これを許します。
山中吾郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/3
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004・山中吾郎
○山中(吾)委員 次官並びに局長に御質問申し上げます。この法案が成立いたしましたのは三十四年の六月でありまして、現在までまだ八カ月しかたっていないわけでありますが、施行する前からこの法案の改正を予想されていなかったのか。あるいは法律が成立したあとに見通しが違って、またこういう一部改正をせざるを得なくなったのか。これについてお聞きいたしたいのであります。
その理由は、一つの法案を提案をいたしまして、また、すぐ次に一部改正があとへあとへ続くということは、朝令暮改のそしりも受けるということもあり、また審議をする立場からいいますと、その法案を可決をし、ところが可決をしたあとへ一部改正が半年もたたないうちに現われてくるということは、ある意味においては審議の判断に誤りを来たさしめるということもあり得る。そうして提案をする場合については、あまり問題にならぬような法案を出して、そうして一応通ったあとに少しずつ部分的修正をして、数次の改正のうちにその質が全く違ってしまったものになるとすれば、これは審議権に対して、ある意味においては正しい審議に付するという姿にならないということも考えられるので、これはこの法案に関連して、そういう意味においてこの一部改正が提案をされた事情について、次官でもけっこうでありますし、また局長でもけっこうでありますから、御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/4
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005・關盛吉雄
○關盛政府委員 ただいまの御質問は、今回の首都高速道路公団法の一部改正の条文の内容は、つとに公団法の当初の御審議の際にもわれわれ予想しておったことでございます。お話の通りに、昨年度の公団法制定のときからの問題であったわけであります。何分にも、この政府の保証という事柄は予算に関係いたしておりますので、三十四年度の公団の予算の問題のときに、まだこの債務保証の問題が三十四年度としては当面の議題にならなかったのでございます。従って三十五年度、この政府の債務保証の問題が事業計画で御説明申し上げました通りに、民間資金を五十二億首都高速道路公団の事業に充てるということに定められ、このような形で、予算総則におきまして政府が首都高速道路公団が借り入れます五十二億の債券に関しまして債務保証をする、こういうことが定められることに政府としてきまりましたので、従って、当面この三十五年度におきまして首都高速道路公団法の一部改正をお願いしなければならないということになったのでございまして、何らさような法律の、いわゆる一部変形により全体の構想を変えるという意図的なものではないのでございます。むしろ三十五年度に初めてこの問題が、三十四年度からの続きの事柄であったのが解決された、このようなのが率直な実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/5
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006・山中吾郎
○山中(吾)委員 局長の御説明によりますと、五十二億という民間の資金を充てるということを当初の方針として持っておった。そうしますと、当初からそれに対して、政府の保証という今度の一部改正の内容が予定をされておったとすれば、最初からその法案を出されるのが一番適当であるというふうに考えられるのです。その辺、局長の考え方——いわゆる委員会に対して、正当に審議をされるべくお出しになったその御精神には少しも疑問も何もないのでございますけれども、一般の法案の提案のあり方の中に、最初にそういう見通しがはっきりとしておってなおそれに必要な法律内容の一部、たとえば政府の保証というものを法案に織り込まずに出されるということについては、事情があると思いますので、法律提案の慣習だろうと思いますが、もしその事情があるとすれば御説明を願っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/6
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007・關盛吉雄
○關盛政府委員 率直に申し上げまして、首都高速道路公団法の制定の際に、もとより建設省といたしましても措置するように努力いたしたのでございますけれども、何分予算に関係した問題は、特に大蔵省との話し合いがつきませんと、法律として政府部内に固まりませんので、その際三十四年度においては予算上の準備ができておらなかったし、またその必要性も具体的には三十四年度の事業については切迫しておらなかったのでございます。従って、大蔵省との話し合いにおきましても、これは一般の他の公団、たとえば日本住宅公団あるいは日本道路公団におきましても、民間借入金に対する道路債券の政府保証の条項が定められておりまして、民間資金の借り入れの消化の迅速、容易化をはかる規定がございますが、この規定については三十五年度において措置しようという政府部内の協議が整いまして、その上で昨年公団法を提出したような次第でございます。お話の通りに、首都高速道路公団の内容は、道路整備五カ年計画の中に、政府の出資金あるいは東京都の出資金あるいは交付金、並びに財政投融資計画というものを五カ年間として予定いたしておりますので、理屈の上から申しますと、公団法制定の当初からもとより予測されたことでございます。ただ、予算と平仄を合わすということも一つの理由でございましたので、法律制定のときにおきましては、そのようなことで三十五年度から措置しようということで、法律もそのように準備を考え、かつ予算総則におきましても、三十五年度から政府も債務保証をいたすということにはっきりなりましたので、まさしくその時期が今到来したということで御審議をお願いしておる、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/7
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008・山中吾郎
○山中(吾)委員 大体了解しましたが、まだ一〇〇%の了解には達しないので、再度御質問しますけれども、結局この法律は公団に関する法律なので、その公団は年々予算によって変質するものではない。最初の法案を作るときに公団の性格が大体確定されておるもの、そういう法律であると思うのです。政府出資、それから東京都の出資という五分五分の出資で出発したという御説明で、その中に首都高速道路公団なりが、ほんとうは東京都が主体として責任を持ってやるべきものであるけれども、首都圏整備法という国全体の国土計画の一環としても考えられるので、国及び都の両方の共同出資という形で出発した。そういうときに民間資金の保証については都が保証する、政府が保証するというようなことも、これは首都高速道路公団を最初に設ける場合の国会の審議の際、やはり重要な公団の性格をきめる問題だと私は思うのです。従って、おそらく建設省としては、政府の保証というものをする団体として最初から考えておられたと思うのでありますけれども、大蔵省の方の予算措置がきまらない限りについては、そういう法律を出すということは大蔵省から反対をされるので出せないということが実際じゃないかと思うのであります。そうすると、予算措置ができればこの公団というものが成り立つのであって、公団を作るという立法的必要に基づいて、その中に政府の保証というものが裏づけられるような性格が入っておるわけでありますけれども、大蔵省の予算ができない限りについては、初めからはっきりとしておる公団についても、その性格を全部は現わさない法案を提案をしていく。そしてその予算というものを出さすために公団を設定しておるはずであるのに、予算というものが逆に公団の最初の性格というものを制限をするとかなんとかいう、予算と法律との関係についてどうもぴったりこないものがあるわけなんですが、法律によると思うのです。たとえば災害復旧法とかああいう法律は、もちろん予算というものがあって法律ができるのですが、公団という一つの永久的の組織ですから、そういう場合に、そこまで予算の影響を受けて法案を提案しなければならないのかということについて疑問に思うので、その点、こういう種類の法案を出す場合については、現実に大蔵省のそういう予算権によって支配をされるというふうな提案の仕方はどうかというふうに考えられます。次官のその辺の見解を、今後の法案の出し方で、絶えず半年ごとに一部改正というものが出るというのは、私は疑問があるので、一般論としてお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/8
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009・大沢雄一
○大沢(雄)政府委員 ただいまの山中委員の御質問の趣旨並びに御意見につきましては、私ども、十分わかります次第でございます。政府保証でない場合には、御案内の通り、債券の引き受けのできまする者の範囲が証券取引法の規定によりまして証券業者に限られますので、従いまして資金の調達も窮屈になりまするし、またコストも高くなりますわけでございます。従いまして、建設省といたしましては、省の立場から申しまして、当初からできますればこの政府保証ということを公団債の発行につきまして願わしいことは、もう申し上げるまでもないわけでございます。しかし、この首都高速公団の方は、ただいまお話にありました通り、東京都と折半の出資になっておりまして、政府だけの出資といささか違った要素がありますので、その点、大蔵省との協議におきましていろいろ問題がありまして、とにかく三十四年度はこの保証ということの必要がありませんので、その点未解決のまま法案が提案されまして、幸いに皆様の御審議の結果成立したような次第でございます。さような事情でございますので、どうぞ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/9
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010・山中吾郎
○山中(吾)委員 大体わかりました。法律の内容については何も疑問はないので、提案の一部改正の事情についてお聞きしたのです。ただ、私申し上げるのは、これは毎年ごとの問題じゃなくて、政府保証というこの公団に対する性格のあり方を恒久的にきめる内容でありますから、できれば大蔵省に対しても、最初の法案の提案のときに、こういう内容も織り込んで出せるような提案の習慣ができることが望ましいと思って、一応の私見を述べながら御質問申し上げたわけで、以上で私の質問は打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/10
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011・二階堂進
○二階堂委員 関連して、ちょっと計画局長にお尋ねをしておきたいと思うのです。首都高速公団が来年実施する計画の概要と、それから予算の総額はどういうことになっておるのか。今、私もこの前説明を受けたんですけれども、その法案をここに持っていないのだが、その内容と計画についてちょっと、概要でいいですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/11
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012・關盛吉雄
○關盛政府委員 昭和三十五年度に予定されております首都高速道路公団の予算額は百十一億四千万円でございます。御質問の点は、まずその財源関係でございますが、政府の出資金が五億円、それから東京都の出資金が五億円、東京都から公団に交付いたします交付金が十八億九千八百万円、それから借入金が八十二億。その八十二億の借入金のうち、資金運用部資金の調達によってまかないますものが三十億、それからほかに、ただいま御審議になっておりますこの法律改正によります政府保証にかかる公団債によって調達するものが五十二億、その他四千二百万円の雑収入を見込みまして、百十一億四千万、こういう財源調達の計画になっております。
事業につきましては、まず本体の首都高速道路の建設に予定いたしております三十五年度の事業費は八十二億六千万でございます。これはその重点を一号線の建設に充てる考え方で計画を立てておる次第でございます。なお、二号線の一部あるいは新規に八号線等について建設の着工をはかりたい。そのほか首都高速道路の建設に伴いまして関連の街路事業を実施する必要がありますので、それの分担金に相当する額が公団の歳出になります。その分は、関連街路事業として三十五年度予定いたしておりますものは三十五億七千九百万円でございまして、それの公団の負担にかかる分が十一億九千三百万円。この十一億九千三百万円というのが関連街路として首都高速道路公団の事業ということの内容になるわけでございます。
第三は、駐車場の計画でございまして、これは三十五年度におきましては事業の進捗をはかりますために約九億の建設費を予定しております。そのうち一つは汐留駐車場の完成に要する経費、できたらことしの二月の下旬か三月の初旬に着工をいたしまして、三十五年度中に完成をしたい。できたら新規に江戸橋駐車場の建設にも着手したい。こういう考え方で駐車場の建設に約九億円を見込んでおります。その他は管理その他の経費でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/12
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013・二階堂進
○二階堂委員 昭和三十五年度中に、あるいは六年度にかかるかとも思われますが、大体予定としてはその百十億以上のものを、これはぜひ、実施することができればしなくちゃならぬわけなんですが、問題は今、計画局長がお述べになった計画が、具体的に実施できるかどうか。こういうことを私どもは非常に懸念するわけなんです。たとえばこの一号線の問題にしましても、私は緊急を要する道路の事業であろうと思っております。この一号線の計画の内容は私はつぶさに承知をいたしておりませんが、しかしながら、海岸の一部を埋め立てするところもあるでありましょうし、あるいは都市の中心部を通っていくところも、もちろんあるでありましょう。そういうようなむずかしいところを通る工事も含まれておるわけですが、用地の取得、用地問題の解決が、着工できる段階になっておるのかどうか。あるいはまた、工事の中において東京都自身がやらなければならぬところもあるでありましょう。あるいはその他首都高速公団がみずからやらなければならぬところもある。あるいは東京都以外の関係省が関係して事業をやらなければならぬところもあるのではないかと思われます。これらの関係当局との調整、そういうものが十分調整がついているかどうか。用地の取得がすでに着工できる段階になっているのかどうか。こういう点についても、私どもは非常に懸念する点が多いのであります。こういう点について、どの程度着工できる準備が整っているのかどうかという点について、ちょっと御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/13
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014・關盛吉雄
○關盛政府委員 ただいまのお話の通りに、首都高速道路公団が担当いたします高速道路の建設にかかる地区内につきましては、いろいろ地元の関係の方々の建設についての要望もあり、また高速道路そのものが通過すること自体についての強い反対の意見も相当出ておる地域もあるわけでございます。御承知の通りに、この高速道路として建設を予定いたしております三十五年度の事業の個所は、ただいま申しましたように一号線につきましては日本道路公団から引き継ぎを受けました浜離宮前の区間、それから南に向かって海岸通りの方に建設を進めるということは、三十四年度の計画になっております。従って、前段に申し上げましたように、関係住民の方々の意見を十分聴取しなければなりませんので、全体としての進め方といたしましては、東京都、公団、地元の方々とが工事を着工する前に話し合いを進めまして、着工の手段を進めていく。こういう方式をとっておるのが、昨年来の現実の姿でございます。その結果、一号線につきましては昨年の暮れからその工事着工の話し合いがつきまして、目下その工事に進めつつあるような状況でございます。二号線につきましては、問題がたくさんございまして、構造上の問題等があるものですから、これはいまだに、ちょっと今ここで、いつごろからどうだと、はっきりしたお答えを申し上げることができないのでございますが、極力話し合いを進めて、工事の建設にかかれるようにいたしたい。従って、三十五年度の実施の重点も一号線にその主力を向けておるのでございます。
なお、一号線の問題につきましては、公共施設の上に高架道路を構造することと並行いたしまして、関連街路事業を整備しなければならない区間も海岸線通りにあるのでございます。これの事業実施につきましては、高速道路の建設と並行して不可分の関係にありますので、関連街路の建設につきましても、三十四年度から首都高速道路公団が一般公共事業を受託する形におきまして、公団の予算の受託費において計上いたしまして実施をいたしておることでございます。三十五年度もそのような主要な区間につきましては、同様な措置で工事の並行的実施をはかっていきたい。特に補償の問題でありますとか、あるいは用地の取得の時期等につきまして、また関係住民の方々との話し合いの場におきましても、きわめて密接不可分な関係になっておるのでございますので、今お話しの、われわれ関連街路と申しておりますが、その工事のかなりの部分、大部分を公団におきまして一緒に消化していこう。こういうことで、現地事務所の設置の手配等も進めておる。こういう形でございます。
なお、三十五年度におきましては、御承知の通りに汐留から楓川、築地川というあの中央区を通過する部分がございますので、これらは河川敷という公共施設の個所を道路として築造するのではありますけれども、そのことによって現在の河川の治水上の心配がないようにしなければならぬということと、さらに下水等の処理の問題もございますし、さらにあの地区の特殊性から見まして美観風致をそこなわないような、道路の構造はもとより、他の施設についての希望もありますので、これらは東京都ももとより一枚加わってもらいまして、道路公団だけの限度をこえた計画もある程度都市の美観上実施しなければならない。こういうところもありますので、総合的に話し合いを進める段取りをいたしております。従って、全体といたしまして、海岸通りにつきましては、ただいまお話しのように東品川地区までの区間はできるだけ早目に工事が進行できるように手配を進め、予算もつけまして、これに重点を置いて実は進んでおる。進んでおる今までの現況はただいま申しましたような状況でございますが、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/14
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015・二階堂進
○二階堂委員 私は計画の内容あるいは進め方等について、首都圏の本も読んでいろいろ検討いたしたのでありますが、なかなか容易じゃない。事業を進める上において容易ならざる問題がまだ幾つかある。この解決のためには東京都はもちろんのことですが、建設省とされましても、十分一つこの予算の消化ができるように、緊急な諸般の要請に基づく強い要望にこたえ得るような体制を整えて進んでいかれることが、非常に大事なことじゃなかろうかと私は思っております。いろいろなこまかいことについてはお尋ねいたしませんが、ただ、最近用地取得の問題をめぐっていろいろな紛争が各地に起こっておる。特に東京都内においても大へんな問題になろうかと思っております。今お話しの中にもありましたが、東京都と地元の人たちとの間に推進協議会もできておるようであります。しかしこの推進協議会というのは、承りますと、いろいろ推進する人もおるし、反対する人もおって、反対の声が非常に強い推進協議会というような実態になってきておるというような声も私は聞いておるわけであります。こういうような話し合いをしていく上においての問題は、できるならば民主的に、やはり話し合いによって解決していくべきが私は至当であろうと思っております。しかしながら、相当巨額の予算をつけて、しかも首都高速近路公団という別途な機関を設けて、国の要請あるいは国民の要請、都民の要請にこたえ得るような機関ができたのでありますから、この機関はこういうような多額の予算をつけてもらっている以上は、実施するということに進んでいくためには、やはり相当な努力も必要であろうと私は思っております。なおかつ、東京都あるいは都議会と申しますか、そういうところの持つ権限というものが、一部民間においても非常に議論をされるような状態にもなってきておる。これは東京都や東京都の議会が非常な権限を持って、いろいろな施策その他について意見を述べることは当然であろうと思っております。しかし、そのために事業の進捗が非常におくれるというような、かえって逆な効果を生ずるような事態になっては国家の目的に沿わない、私はこういうふうにも考えられますので、その辺の調整と申しますか大臣の方におかれましても一つ十分監督なり、よき協力態勢を作るように善処されるように希望いたしておくわけであります。いずれまた、この問題につきましてはいろいろ承ることにいたしまして、以上をもって……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/15
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016・三鍋義三
○三鍋委員 関連して計画局長にお尋ねしたいと思います。例の、昨年も問題になって一応解決したのでありますが、東京高速道路株式会社ですか、あれの昭和通りまでの両方を延長する件ですね。あれはどういう工合に進捗をしているか。その後の経過を、概要でよろしゅうございますから、一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/16
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017・關盛吉雄
○關盛政府委員 現在、新橋から八重洲口を出たところまでの区間につきまして、営業を実施しております道路運送法の道路の延長の問題につきまして、昨年公団法の制定のときに、委員会としてもいろいろ問題になった点でございますが、その後いわゆる現在の東京高速道路株式会社が設置いたしております道路の運送法の道路を延長する。そのためには、何といたしましても、河川敷の公有水面の埋め立てを行なわなければならない。これが前提になっております。従って、この措置を急速に急いでおったのでございますが、経過につきましては、昨年の十二月の都議会におきまして、両端、新橋側及び京橋側の方に向かっての公有水面の埋め立てに関する知事の東京都に対する免許につきまして、地元としての意見は法律上東京都議会にかけなければなりませんので、その地元意見の聴取に関する都議会の議案の議決が昨年の十二月に行なわれたのでございます。従って、鋭意当初の計画に従って埋め立てを進める第一段階が終了いたしましたので、東京都が実は埋め立てを実施するわけでございます。従って、東京都の予算を計上いたしまして、東京都が埋め立てをする。その予算の計上が実は十二月の都議会で、まず埋め立てに関する免許にあたっての同意をとったことが、手続が要ったものですから、その埋め立ての予算の確定がこの二月から行なわれます通常都議会に追加予算で上程される。そして本年度内に埋立工事を実施する。従って、それからは都有地として埋め立てられました土地は三十四年度中に埋め立ての工事に着工する。そして、それができるだけ三十五年度内に工事が、今度は埋立地の上に構造物が完成するように手配を進める。こういう段階になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/17
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018・三鍋義三
○三鍋委員 それはあくまで東京高速道路株式会社の責任において実施することになっているのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/18
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019・關盛吉雄
○關盛政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/19
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020・羽田武嗣郎
○羽田委員長 ほかに質問はありませんか。——なければ、本案に対する質疑はこれにて終局するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/20
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021・羽田武嗣郎
○羽田委員長 御異議なしと認め、さように決します。
なお、本案に対する討論、採決は次会に行なうことといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/21
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022・羽田武嗣郎
○羽田委員長 次に、昭和三十五年度建設省関係の予算につきまして、前回は建設大臣並びに各局長より詳細に御説明を聴取いたしたのでありますが、本日はその説明に対する質疑を行ないます。
質疑の通告がありますから、順次これを許します。
二階堂進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/22
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023・二階堂進
○二階堂委員 私は昭和三十五年度の予算と、これに関連して建設行政の基本的な問題の二、三について、大臣及び当局の所見を承っておきたいと思います。大臣の時間も参議院の関係がございまして、本日は長く委員会に御出席になることができないような状態でございますので、本日全部四、五点の問題について伺う時間がないかもわかりませんが、もしない場合は、また後日私は続けて質問をいたすことを御了承いただきまして、質問に入りたいと思います。
本年度の建設省関係の予算は、強く国民の要望にこたえられた国土保全、治山治水の事業を積極的に推進するための予算と、その他道路あるいは住宅、都市計画関係の事業と、非常に大幅な予算の増額を見ておるのでありまして、まことに私は国民の強い要望にこたえた予算であると敬意を表する次第であります。特に本年度の予算の編成にあたっては、当時大臣に就任なされたときからの一つの大きな課題でありました治山治水の特別会計の設置を実現されたということ、しかもこれに裏づけする大幅な予算の増額を期せられたということ、これによって国民の受ける利益あるいは国土の保全に対する事業の進捗、ひいては国民生活の安定に寄与する面等を考えてみますと、大臣のなされました仕事というものは画期的な仕事であると私は非常に敬意を表するのであります。同時に建設省各局長も、大臣とともに非常な努力をされ、またわれわれ自民党の部会におきましても、部長初め一致協力してこの予算の編成に当たられた。こういうすべての力の結集によったものである、かように考えるのであります。
いろいろ具体的に数字をもって申し上げればありますけれども、数字をこまかく申し上げませんが、なおまたこれらの予算に関連して、付属機関の予算特に建設、建築等の研修等の関係、地理調査所の予算の関係、これもあわせて増額になりまして、建設行政を推進する上における基本的な研究機関等がさらに充実されるということは、これは私は建設事業推進の上におきまして非常に役立つものであると考えるのであります。また、このような建設関係の事業を推進することによって、先ほど申し上げましたように、最終的には国家の経済の拡大に非常に影響する、国民生活の安定に寄与する面が多いのであります。特に雇用の関係におきましても、従来公共土木関係の事業が相当たくさんの人を吸収して失業対策救済の事業等に寄与しておったことはもちろんでございますが、本年度の治水関係の事業等がさらに拡大されることによって、大幅な失業者あるいは労務者が吸収されるであろう。こういうようなことも数字を上げて申し上げるまでもなく、よくわかることであります。
私は、どのくらいの人が一体今年の予算を実施する上において吸収されるであろうかということの大よその推定を調べてみたのでございますが、治山治水の関係において延べ約三千七百九十五万人くらいが吸収されるという推定がなされております。道路整備関係の事業におきましても延べ五千七百九十六万人余の人が働くということになる。また都市計画におきましても三百十万五千人余の人が就労する機会を与えられる。その他伊勢湾台風の事業におきましても四百万以上の人が延べ人員として就労の機会が与えられる。災害関係におきましても三千六百九十万人以上の人が就労の機会に恵まれる。あれこれ合計してみますと、一億五、六千万人というような人が就労の機会を与えられることになりまして、一日の平均約五、六十万人、五十万八千人くらいの人がこれらの仕事に携わるということになると思われるのであります。このことから考えてみましても、これは国民生活の安定、国土の保全の事業を通じて、国家経済の発展に非常に寄与するということが言えるのであります。
私どもは、この予算は、先ほどから申し上げますように、昨年の台風以来国民が強く要望しておった。この強い要望にこたえ、しかもまた、国家の大きな目的に沿う予算であると、強く信念を持って申し上げても過言でないと思うのです。ところが、いろいろ本年の予算について批判が行なわれてきたことは、大臣も御承知の通りであります。
先般、本会議におきまして、社会民主党の水谷先生が代表質問に立って、本年度の予算はまるで土建屋をふとらせるような予算だというような表現——この表現が適切な、そのままの表現ではないと私は思いますけれども、しかし、印象はそういうようなことを言われた。私は、まことに一党の代表としての見識を疑わざるを得ない。災害のときにどのくらい国民が国土保全の仕事をやってくれ、災害復旧の仕事をやってくれと叫んだかということは、国会議員のすべてが、あるいは全国民が、ほんとうに真剣に考えておった問題だ。この要請にこたえたこの本年度の予算を評して、土建屋にサービスを与えるような、土建屋予算であるというような発言をされたことは、私は遺憾だと思います。ただ、私の気持だけを申し上げておかぬと、どうも私はあの演説を聞いて非常に憤激した一人であります。特にわれわれは、国土の保全、災害復旧という仕事について熱意を持ってやってきただけに、ああいうことを言われるだけでもしゃくにさわる。大臣はそういうような言葉を意にも介せられないと思いますけれども、しかし、そういうようなことを言われたならば、なお一そうこの莫大な予算の実施にあたっては、国民の強い要望にこたえるように、十分な責任を持って、一つ実施の促進にあたられたい、こう考えるのであります。これは私の私見で、別に大臣の所見を承るわけではございません。
そこで、時間もありませんが、こまかい議論は別といたしまして、本年度の治水の問題につきまして、二、三お尋ねいたしておきたいと思います。治山治水の事業が、特別会計という制度が設けられて、計画的に推進をされるということになったのであります。約四千億という投資を行なって、五カ年間にある程度の経済効果、一つの目標を置いておられるのですが、この目標に向かって仕事を実施されるということになるわけであります。私はしごくけっこうなことだと考えております。しかしながら、この四千億の予算をもって、五カ年間でこれらの仕事を計画的にお進めになりましても、災害復旧とか、あるいは根本的な国土保全、災害防除の仕事というものはできるには相違ございません。しかしながら、これをもって国土の保全の万全を期せられるかというと、これは十カ年になっても、二十カ年の計画を立てても、なかなか容易な仕事ではないと私は思っております。特に計画を立てて仕事を進めるということになりましても、従来やらなければならなかった仕事が計画的に補足されていくというだけのことであって、災害を防除するという建前から言うと、これだけではまだ足らぬと私は考えているわけでございます。なおまた、この計画を立てられる上におきましても、ただ一つの水系の防災とか、あるいは災害復旧とかいう建前にのみ乗ってこの計画を進めるだけでは所期の目的達成ということはできない。いわゆる一つの水系の工事をするにいたしましても、これはすべて農地の問題、農業の問題、あるいは林業開発の問題、工業用水の問題、そういう問題と結びついて計画が立てられて仕事が進められていって、初めて公共投資の国家的に考えた役割が十分果たされるわけであります。こういうような計画をお進めになります場合に、ただ単に治水とか災害防除ということだけにとらわれず、すべての条件を満たすような、極端に申し上げますと、たとえば利根川の治水の仕事をやるにいたしましても、今後の工業の発展のためにどういうふうに水を利用すべきかという利水の問題、あるいは農業の生産性を高めるという問題等、すべての方面に関連を持っていろいろ計画を考えながら、しかも、災害防除の仕事、治水の仕事をおやりになることが大事ではなかろうかと思うのです。公共投資というものが、国民の税金と地元負担によってまかなわれていく以上、そういう大きな国家目的、経済目的のために十分効果が果たせるというような見地に立って仕事が進められることが大事ではなかろうかと思うのであります。この点について、大臣の所見をちょっと承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/23
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024・村上勇
○村上国務大臣 三十五年度の建設一般予算つきにまして、私どもの努力が報いられたというようなお言葉をいただいたのでありますが、これは決してわれわれ建設当局の努力だけでなくして、日ごろ当委員会におきまして国土保全のために公正な御批判をいただいておりましたのが、たまたま関係各方面の正しい理解となって現われた次第でありまして、この点は、むしろ私の方から皆様方に対して厚く感謝申し上げるところであります。その中におきましても、特に治山治水の事業費、あるいはまた、ただいまお話のような治水特別会計の制定を見るに至りましたことは、国土保全の上から申しましてもまことに欣快に存じておる次第であります。今回の予算は、実際に御検討なさらない一部の方々から申しますならば、いろいろと御批判があろうかと思いますけれども、実際に日本の国土の現状を御検討下されば、この予算に下していろいろな御批判、いわゆる悪評はないものと私は固く信じておる次第であります。いわゆる民主主義の原則が基本的人権の尊重であって、基本的人権を尊重するということは、とりもなおさずまず人の生命を粗末にしないことだというような見地に立って、一台風で千人も千五百人も善良な国民が犠牲になるというようなことは、何としてもこれを排除することでなければ、いわゆる民主主義の基本に反するという考え方。また、人命だけでなく、ともかく先祖の位はいまでも一瞬にして流してしまう、こういうようなことから考えまして、われわれが政治によってこれを防災していくということがまず肝要だ。かように考えた次第でありまして、これはもう、その党派のいかんを問わず、同じお気持であることは当然であります。従いまして、とにかく今回の予算編成にあたりましては、私どもはこのことを一番最重点に置いて考えて参ったのでありますが、特に天上川の下に軒を並べ、あるいはまた一波で屋根の上までも波をかぶるような農民あるいは漁民等が、最も災害の対象となっておるといっていいほど多くの被害者を出しておりますので、国民の中で比較的力の弱い部分の人たちを助けるためにも、どうしても私どもは万難を排して、国家財政は非常に窮屈ではありましょうけれども、まず健全財政の立場の範囲において、できる限りの最小必要限度の予算要求をいたした次第でございます。満足すべきものではありませんけれども、まあ、どうにかこうにか、初年度としては、これから五カ年計画的でやりましたならば、大体昭和九年—十六年程度、戦前比較的災害の多かったときの今二倍になっておりますので、その当時くらいまで災害を軽減せしめるという目的に向かって今後進んで参りたいと思っております。
ただいま御質疑のありました、いわゆる水の効率利用について十分検討しておるかどうかということにつきましては、全く私どもは、この水は、ある場合はああいう大災害となって非常に災いをもたらすものではありますが、しかしながら、これも利用のいかんによっては、これほど大きないわゆる国の経済の上に、また国民生活の安定の上に役立っているものはないと思っております。一滴の水も余さず効果的に活用せしめて、そうして今日災害を防止し、その他のあらゆる水の持つその重要な役割を果たさしめて、そうして、私は最終の目的は、結局雨の輸出という、その水を海外に輸出して、そうして外貨獲得の最終目的を達成するということは、結局一滴の水でもこれを十分活用せしめて、これを水力電気の動力として、その動力によって日本がいわゆる原材料を仕入れたそのものの手間賃かせぎをする。そういうようなことから申しましても、水をほんとうに有効に働かせるということは、最も大事なことでありまして、ただ単に災害復旧というような、あるいは災害防止というようなことだけでなく、もう一歩進んで、いわゆる雨の輸出まで私どもは考えて、国の繁栄に水を十分利用せしめたい、かように思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/24
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025・二階堂進
○二階堂委員 次は、私が申し上げるまでもなく、生産の原動力でございます。これから年次計画を立てて、治水治山の仕事にかかられる。あるいはまた災害復旧の仕事にかかられる。こういうことになるわけでございますが、大臣も今お述べになりました通り、私はもっともなお考えであろうと思っております。単に災害復旧をするという技術的な見地ばかりに立って——治水だけでも二千数百億という仕事がなされるわけでございますので、そういう技術的な見地に立ってばかりこれらの事業計画というものをお立てになるというと、やはり貴重な国民の税金をもって充てる投資というものの経済効果というものが無視されているような結果にもなりかねない。やはりこの計画を樹立するには、一つのポリシーというものを持って、そうしてそのポリシーが日本の経済の全体の上に、国民生活の上に、いかに効果的に能率的に実施されるかということも考えて政策をきめると同時に、実施する部面においては、それが施行された事業というものが、りっぱに長年効果を発揮するように、技術上の面でも強く一つ考えられて、今後の事業の推進にあたっていただきたい。私はこういうことだけを強く要望いたします。公共事業の投資が非常にふえて参りました。ふえて参れば参るほど、この大きな金の使途というものが、いかに国民の経済に、いかに国民生活の安定の上に効果的に生きていくかということを、十分一つお考えになって、生かすように計画なり、実施をやっていただかなければ、国民の要望にこたえるゆえんではない。公共投資がふえていけばいくほど、私も非常にそういう心配をいたしますので、この点について、大臣にちょっとお考えをただしておいたわけでございます。
さらにお伺いいたしたい点は、この特別会計の財源が、一部には直轄の事業に関係する地元の負担金というものによってまかなわれていく。大半は一般会計の方からの投入に待たなければならぬということなんです。ことし、初年度約六百億になんなんとする状態ですが、後年度において少なくともこの四千億の事業を完遂するといたしますならば、毎年八百億程度の予算というものが治水に向けられなければいけない。次年度から八百億か一千億になるが、これは後年度いろいろな財政事情その他によってもきめられる問題と思うのです。要するに、計画を持って仕事を進めるということになった以上、ある程度はっきりした財源、いわゆる地方分担金というものは、その事業によって当然出てくるわけでございますが、一般会計の方から繰り入れられる財源の確保というものがなければ、計画的に仕事が進まないわけであります。この一般財源の確保をするために、一体どういうような——大蔵省なり自治庁の方とも関係があろうと思うのですが、まあ次年度以降の予算の問題についてはまだかと思いますけれども、しかしながら、少なくとも五カ年という計画全体をやはり考えながら、本年度、初年度は財政上の都合もあって年平均の割にいかなかったことはやむを得ないといたしましても、次年度以降のこの事業を推進するには、一般財源の確保ということが絶対に必要な条件になるわけであります。この財源の確保について、どういうような交渉なり話を進めようとしておられるか。その点について、ちょっとお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/25
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026・村上勇
○村上国務大臣 次年度からの財源につきましては、一応この四千億の規模が決定いたしたのでありますが、これを一つの法律化して、そしてそれによって、その法に従って閣議決定をするということに、今話が進められておりますので、近く法案を提出する運びとなると思います。私は、この次年度からの最終年度までのいわゆる国費につきましては、国民総生産とにらみ合わせて、そして年次割にいたしまして必ずこれを確保するということは、これは大蔵当局もそういうように打ち合わせ済みでありますから、これを正式なその総ワクの閣議決定をいたしたい、かように思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/26
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027・羽田武嗣郎
○羽田委員長 二階堂君に御相談しますが、大臣は、参議院の本会議にちょうど法案が上程されますので、出席しまして、それから上程を終わったらまた帰ってきますから、しばらくほかの局長にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/27
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028・二階堂進
○二階堂委員 それでは、時間が来ましたら参議院の方においで下さってもけっこうでございます。
この治水事業を推進するための推進法と申しますか、そういう法案も準備されておるようでございますが、その中にはぜひこの財源の確保という問題は、はっきりうたっていただきたい。そうでなければ、一般財源の多寡によって公共事業が左右される、いわゆる治山治水の仕事が左右されてくるという結果にもなりますので、この財源の確保の点については、いずれその法案を御提出になると思うのでありますが、その中に、はっきり明示していただくようにお願いを申し上げたいのであります。
なおまた、この地方負担の問題でございますが、これは従来やった交付公債の制度というものを全廃して、原則としては現金をもってこれを納付しなくちゃならぬというような制度に切りかえられたと思うのであります。しかし、これは金を持っている富裕県は全額負担金に相当するものが納められるといたしましても、やはり後進県——私は鹿児島ですが、鹿児島のごときはその最たるものであります。非常に貧乏県でございますが、こういう県は、国は計画的に仕事を進めるが、しかしそのためにこの地方の負担というものに非常な無理がいくことになる。その上に従来あった交付公債の制度というものが廃止されて現金で納めるという、簡単に申しますとそういう制度になってきたところが、それについては起債でもってめんどうを見るというようなことにも相なろうかと思うのでございますが、こういうような地方の負担についての問題について、自治庁なり大蔵省に今折衝しておられる段階と思うのですが、具体的にはどういうような取り扱いになるのか。局長でもいいですが、その辺をちょっと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/28
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029・山本三郎
○山本(三)政府委員 まず直轄事業の交付公債にかわりまして当年度に現金を納めるという制度に変わるわけでございまして、これは治水関係はもちろんでございますが、道路の特別会計、あるいは治山の特別会計、それから港湾にも特別会計がございまして、これらの特別会計分が全部そういう制度に変わるわけでございます。私の方で調べましたところによりますと、今申し上げました治水、道路、治山、港湾等の直轄事業の負担額の全部の合計は三十五年度で約二百億ちょっと程度になる。こういうような計算に相なっております。これに対しまして直轄の事業債というのを新しく設定いたしまして、地方の要望によりましてこれを起債として認めていこう。その額は百六十億が予定されております。従いまして、平均的に見ますと約八〇%が起債によってまかなわれる。その他の分は現金納付ということに相なるわけでございまして、この現金納付になるのが非常に問題でございます。従いまして、その点につきましては地方財政を勘案いたしまして、起債の充当率を——地方の非常に貧弱なところにつきましては、できるだけ起債をよけいしないと、現金で納めることができないという問題がございます。さらにダム等の問題で、単年度で非常によけいの金が要るというような事業につきまして、現金を納めるということはいっときに非常にたくさんの金が要りますので、それらはできるだけ起債の方でめんどうを見ようというようなことで、大体自治庁もそういうような考えになっております。まだ最終的には決定いたしておりませんが、私どもといたしましても、非常に地方の財源の少ないところで現金で納めるということになりますと、事業がおくれてしまう。しかも、そういう地帯に非常に事業が多いわけでございますから、それでは非常に困りますので、実情に沿うように、地方財政を圧迫しないで、しかも事業は計画的にできるようにということで、今大体申し上げましたような線で、自治庁も話し合いをいたしておるわけでございます。
それから、直轄の問題は今の通りでございますが、補助の事業の問題につきましても、やはり三十四年度に比べますと負担額が多くなってくるわけでございまして、これらにつきましては地方交付税が増額になっております。昨年に比べますと約二百九十億余り増額に相っておりますので、これによりまして処置していただく分と、それから一般の公共事業等の起債が約十五億円ふえておる。それから災害の起債も、昨年の当初に比べますと七十億円ふえておるというふうなことに相なっておりますので、交付税の増額と起債の増額によりまして、全般的に、全国的に見ると、大体間に合うということを自治庁も言っております。従いまして、これをいかに地方々々に配分していくかという点を、非常に今後十分に検討してやっていかないと、ふつり合いになるという点でございまして、全般的には一応こういうふうな財政措置が講ぜられるならば消化できるだろうということは見当はついておるわけでございますが、今後におきましては、今言ったような起債をどういう事業に認めていくか、どういう地方に特に認めていくかということが研究を要する問題でございます。それにつきましては、自治庁とも十分協議をいたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/29
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030・二階堂進
○二階堂委員 問題は、地方別にどういう工合にこれを振り当てていくかということなんですが、これはやはり自治庁と話し合いの上できめられることであろうと思っておりますが、大体あなたの方の今のお考えとしては、富裕県は建前として全額現金でもっていただく。なおまた、後進県といっても、いろいろ財政等の事情もそれぞれ異なっておるわけなんですが、どういうような基準財政その他等、にらみ合わせてみれば、どの程度のところは何%くらい現金で、あと何%くらいが起債で見ていくようにする、大体のあなた方のお考えなんですが、お考えの基準というものをどういうふうに考えておられるか。その点について、ちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/30
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031・山本三郎
○山本(三)政府委員 これにつきましては、来年度の事業が各府県の県内におきましてどれだけずつ割り当てられるかということが、まずきまらないといけないわけでございます。それをきめました上で、自治庁が起債の配分等をいたすわけでございますが、従いまして、そういうふうな手順を踏んで、はっきりした方針が出てくるわけでございます。私どもといたしましては、今の考えは自治庁とも打ち合わせ中の考えでございますが、不交付団体等につきましては、起債でなくて現金でいいじゃないか。それから一番最低——基準財政需要と税収とを比較いたしまして非常に悪い県がございますが、そういう県につきましてゼロにするか、あるいは五%くらい現金でもらうかというところでございまして、五%といたしましても、県によりましては非常につらいところもあるようでございますが、私どもといたしましては、非常に悪いところは全額起債で一つやってもらった方が都合がいいじゃないか。事業を進める上にはいいじゃないかというふうに考えておりますが、まだその最低を幾らにするかという点につきましても、今自治庁等におきましてもいろいろ研究をいたしておりますので、まあ、五%以上になるようなことはないじゃないかというふうには考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/31
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032・二階堂進
○二階堂委員 これは自治庁の方も来てもらって議論を進めた方が私はいいと思いますが、問題は、先ほどから申し上げておりまするように、計画的な事業を行なっていく方針を国がきめた。すなわち後進県という、そういう財政的に非常に貧弱な県がそれについていけないということであってはいけない。やはりついていけるような財政的な裏づけというものは、これは自治庁とも話し合って進めて下さらなければ、問題の完遂はできないわけなんであります。従来、起債等の問題については、自治庁との間において話がきまるのが非常におくれる。今度も私は、そういうようなことがあっては非常に事業の進捗を阻害するという心配が出てくるのではないかと思っております。そこで、自治庁も来てもらって話をいたさなければいけないわけなんですが、そういうことが一つないように……。事業量がふえた。仕事の進捗は積極的にはかっていかなければいけないが、現金の納付がおくれておる。あるいは起債等の問題の割当も、自治庁との間において従来しばしばあったように、非常にその仕事の調整がおくれてくるということになりますと、大へんなことになります。こういうことは自治庁の当局も、あるいは大蔵省も、十分私は考えておってはくれるものとは思いますけれども、いずれにいたしましても、やはり責任省である建設省がそういうことを強く一つ念頭に置いて今後折衝していただきたい。
〔委員長退席、木村(守)委員長代理着席〕
同時に、この地方負担の能力の弱いところについては、できる限り一つ現金納付の部分を少なくして、そうして起債等によってできる限り多くの部分がまかなわれていくというような措置をとっていただく方が、私はいいと思っておりますから、一つそういうふうな御趣旨に沿って、やっていただきたいと思います。
それから、この事業、治水、治山、災害復旧等の仕事をいろいろ大幅に推進されるわけでございますが、特に災害復旧の仕事、あるいは関連事業等の施行にあたっていろいろ問題があったことは、これは御承知の通りであります。特に昨年の伊勢湾台風等の跡始末については、各省の関係の調整、相談とかいうものがうまくいっていない。そのために仕事がおくれてきた。たとえば締め切りの問題にしましても、二百二、三十カ所ある。どこから締めていいか、所管省の区分がいろいろ違っておる。規格においても、あるいは設計においても、工事の単価においても、まちまちなアンバランスがあって、そのために仕事の進捗が非常に阻害されてきたということは、いろいろあるわけであります。この本年度の予算を実際実施される場合におきましても、そういうような関係各省との調整、これは計画なり事業の実施方法についても、十分あらかじめ一つ折衝し、調整を行なって、事業の推進をはかっていただかなければいけないわけであります。そういうような計画を推進される上について、どのような進め方をされようとしておるのか。できるならば規格その他実施部面においては、関係省がばらばらのいろいろな設計をする、あるいは仕事を進めていくというような従来のあり方を、この治山にしても治水にしても計画的に仕事を国が進めていくことになったのでございますから、それに即応する体制というか、機構と申しますか、そういうものをあわせて考えていくことがきわめて大事なことじゃなかろうかと思うのであります。これは大きく言うと、機構改革の問題にも触れて参らなければなりませんけれども、この公共事業というものは建設省所管あるいは農林省所管、運輸省の所管、あるいは電電、通信等の関係を入れますと、莫大なものになる。国が大へんな公共投資というものを行なって、そして一面には国家経済の目的のために経済の伸長のささえをするための仕事をするわけであります。これらの莫大な公共投資というものが、先ほど来繰り返しておりまするように、ほんとうに経済効果というものを十分に発揮し、国民の生活の安定、ひいては国際的な経済の競争をする基盤というものを作っていくことに役立てなければならぬわけです。治水という一つの仕事を考えてみましても、そういうようなことを念頭に置きながら仕事を進めていくということが、責任省としては当然あるべき考え方でなければならぬと思って、そのためにはたとえば災害復旧関係の仕事だけに限ってみても、何かそうした調整機関と申しますか、プランを立てるもの、あるいは実施するもの、そういうものがまちまちでないような姿を作って仕事をされるということが計画、事業を合理的に能率的に推進することにもなろうと思うのでありますが、そういうような考え方について、局長はどういうお考えを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/32
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033・山本三郎
○山本(三)政府委員 お説ごもっともな次第でございまして、事業が拡大して参ります、あるいは何か事件が起きますと、各省でその方針が違っておるということになりますと、非常なロスがあるということはお説の通りでございます。伊勢湾の高潮の問題が起きましたときにもそういうふうな非常な議論があったわけでございまして、この問題につきましては、高潮対策協議会というものを十一月に設置いたしたのでございますが、その後各省とも非常に協調的な精神で計画の基本方針を作ろうということで、各省とも意見が合致して、堤防の高さであるとか、あるいは今後の施行の設計であるとかいうものにつきましての基本方針は決定されました。これは大蔵省も、それから農林、運輸、建設の三省も合意いたしまして、近く正式の書類で交換できるような態勢に相なりました。
それから、その他の地区につきましても、やはり同じように所管が分かれておる面がございます。これが統一できれば一番抜本的な問題でございますが、現在の制度のもとにおきましては、計画なり、設計あるしは施行の順序等の統一がとれていくならば相当程度効果が発揮できるわけでございますので、東京湾、大阪湾等の代表的なものはもちろんでございますが、海岸の事業につきましては各省に非常に分かれておりますので、この点特に留意をいたしまして、伊勢湾でやったような同じ方式で今後それらの問題の計画あるいは施行等をきめて参りたいというふうに考えております。
それから、治山治水の問題につきましては、先ほど大臣からお話を申し上げましたように、整備法というものを近くお願い申し上げようと思うのでございますが、農林の治山と建設の砂防なりあるいは河川と十分連絡をとらなければいかぬということで、法律の中にも両省は十分協議の上五カ年計画を作れというふうなことも入れましてお願いいたしたいと考えております。従来も五カ年計画を作っておりましたが、両省協議の上やっておったわけでございますが、今回はそういうふうなことも法律の上に明記いたしまして、両省で十分協議して計画を作り施行もやって参りたいと考えておるわけであります。
その他の万般、川をいじる面につきましては、お話のように土地改良とも関係ある、電力とも関係ある、もちろん工業用水ともいろいろな関係がありますが、それらの点につきましては従来は経済企画庁等におきまして非常にむずかしい問題は調整をとっていただきましたけれども、私どもといたしましても事前に計画を立てる際にそれらの面も十分考慮いたしまして、将来の用水の需要等が非常に逼迫して参っておりますから、それらの大体の十年先の見通し等もつけまして、それに即応できるように川の計画も立てていきたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/33
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034・二階堂進
○二階堂委員 根本的に今の機構全体を思い切って改革していかなければいけないときにきておると私は思う。機構改革の問題は、従来歴代の内閣は取り上げて参った問題でもありますけれども、これがいろんな関係でいまだ実施されるに至っておりません。私はこういう問題こそもっと真剣に、私ども自体も取り上げていかなければならぬと思っております。この機構の問題は、いずれまた大臣にもお聞きしたいと思うのでございますが、仕事を能率的に進めていく上におきまして、事業量も相当ふえて参っておりますが、機械を使用するということが一つの条件になってきておると私は思うのであります。先ほどから申し上げておりますように、非常に多額な金というものが国土の全般にわたって使用されていく。これを、先ほどから言いますように効果的に、能率的に経済効果を上げて使用していくためには、やはり人の問題、機構の問題、それに技術の問題、こういうものが三者一体になって仕事をしていかなければいけない。
そこで、私は機械の問題についてもちょっと調べてみたのでありますが、相当な建設機械を使っておるわけであります。この機械の管理行政というものが、従来ともすれば一元化されていない。たとえば治水関係にしましても、道路関係にしましても、整備費というような名目のもとに買う機械がある。あるいは事業費の中で買われている機械もある。また、非常に高い値段で買われた機械が十分の効果を発揮していないというような部面もあるのではないか。この技術及び機械の管理行政と申しますか、そういう面についても、局長はその責任にあられるわけでありますが、これは官房の仕事かとも思いますけれども、十分一つ、今申し上げたような管理行政なり、あるいは能率的に使用するという機動力を持った配置転換の問題、あるいは機械の購入の制度の問題、いろいろあろうと思っております。一つの機械を使うオペレーターといえども、やはり大きな一つの目的を深く自覚してなるだけ稼働の率を上げる、仕事の進捗を促進するというような考えの上に立って機械というものを使っていかなければならぬ。機械を目的に沿うように十分使うか使わぬかというこの考え方によっても、仕事の進捗の上にも大へんな影響が出てくる。また、莫大な資金というものが機械の上にも使われておる。その資金がほんとうに効果を上げ得ないというような結果にもなってくる。地方を回って見ましても、機械がそのまま現場にくぎづけになっておる。事業費で買う機械というものは、ともすれば現場に据え置きがちになる。機動的に機械をあちこち回して使うというような管理行政がうまくできていない。あるいは技術者というものが、どんどん進んでいく機械の技術におくれていく。そのためにやはりオペレーターとか、技術の研修とか訓練とかいうものを積極的にやっていかなければならぬ。そういう面が、私はともすれば欠けておったのではないかというふうにも考えられます。特に機械の稼働日数というものを考えてみますと、私は建設省からいろいろ資料をとって調べてみましたが、非常に稼働日数というものが、民間の機械の稼働日数に比べて少ない。これは一体どういうことか。いろいろ言い分はありましょう。しかし、私は具体的に数字を持っております。数字を申し上げるとこまかくなりますけれども、非常に稼働日数が少ない。特にアメリカあたりの稼働時間に比べると大へんな違いです。直営でやられる事業の機械の稼働時間にしても、私的企業であるならばもっとフルに稼働できるような工面があるはずだ。そういう面についても、やや私は管理行政とかいう面において遺憾な点があると思うのでございますが、そういう点について、これは官房長の責任ですか、どういうようにお考えになっておるのか。あるいは稼動の率を高める上においてどういうような措置を今後おとりになるのか。あるいは購入の問題につきましても、地域別に、関西以南、九州はどこどこのメーカーの機械を買わなければならぬ、あるいは関東以北はどこどこの、たとえばダンプトラックにしてもシャベルにしても、そういうものはどこどこのメーカーのものを買わなければいかぬといったような、一つの慣行というか、しきたりというか、が従来あった。今はそういうことはないかと思っておりますが、やはりそういうようなことなんかも、非常に機械は進んでいくのですから、地域別に、ここはこの機械はこれを買わなければならぬというふうになりますと、やはりそれに従って買うというようなことにもなる。これはどんどん進んでいく機械、能率の上がる機械等があったら、どこといわず、そういうような機械は積極的に取り入れて、稼働率を高め、効率を高めるというような指導監督がなされなければならない。そういう点が欠けておったのではないか。これは私はしろうと並みに調べた上に立っての印象なんですが、そういうことが言えると思います。これも一つの大きな仕事を推進していく上において、人と機構と技術というものが三者一体となって行なわれていかなければならぬという見地に立って、私は一応お尋ねするわけであります。それに対して、どういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/34
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035・鬼丸勝之
○鬼丸政府委員 建設省所管の工事に使われます建設機械の購入管理につきまして、いろいろ御指摘、御意見等がございました。詳しい状況は私、説明を省略しますが、購入につきましては、御承知のように事業費で購入いたしますものと、機械整備費で購入しますものと、二通りに分かれております。現在は、工事費で購入する分は、その工事個所に定着して使われるという特殊性のあるものに大体限られておりまして、いわゆる各種工事に一般的に使われる汎用性の機械につきましては、整備費で購入する建前をとっております。そこで、これらの整備費で購入いたしまする建設機械につきましては、事業予算が確定いたしました後におきまして、各地方建設局から計画書をとりまして、これを検討の上進めておるわけでございますが、御指摘のような、地域的に特に特定の銘柄のものを指定するということは、現在はだんだんやめてきております。お話のように、相当日進月歩をしておる機械がございますので、できるだけ新しい機械も取り入れて参りたい。かように努力しておりまするが、あるいはそういう面におきまして、まだ努力の至らざる面もあろうと思いますので、そういう購入についても、今後十分検討を加えて参りたいと思います。
なお、御指摘のございましたように、新しい機械にだんだん変えていく、あるいは新規に購入していくという場合に、やはりオペレーターの問題が現実の問題として起こってくるわけでございます。これは地方建設局の直轄の機械のみならず、民間の機械におきましても、現在優秀なオペレーターがだんだん不足してきておるという傾向にあります。従いまして、現在もこの直轄の建設機械のオペレーターにつきましては、養成もいたしておりますし、また運転の試験等も実施いたしておりますけれども、今後は民間の分もあわせまして、さらにオペレーターの養成に力を入れて参りたい。なお養成した結果につきまして、施工技術の検定を実施いたしまして、このオペレーターの諸君にも十分誇りを持って、いよいよ技術を向上させて参るように計らいたいと考えておる次第であります。
なお、御指摘の中の稼働の問題でございますが、これは確かに御指摘の通り、民間の建設機械に比べまして稼働率が一般的には落ちております。これはいろいろ原因がございますけれども、大きな要因といたしましては、役所の場合はどうも稼働時間が給与面の方から制約される。請負会社の方では、これをフルに、夜間でも何でもどんどん使う。こういうようなことが大きな原因になっておるようであります。すなわち民間の場合ですと、フルに使いまして、その時間に応じて給与が支払われておる。役所の場合は給与体系が、民間のような、そういう能率給でびっしり使うという体制になっておりませんので、稼働率が一般的に低くなっている。これが大きな原因だと思っておりますが、さらにお話のように事業費で購入いたしましたものと、整備費で購入いたしたものとの違いも機械によってはございますし、全般的に機械の機動的な配置計画が、必ずしも十分でなかったという事実もございます。こういう点につきましては、今後地方建設局の実態をなお十分把握いたしまして、関係各局とも十分相談いたしました上で、この機械の配置、使用計画を、もっと合理化するように努力したいと思っております。
〔木村(守)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/35
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036・二階堂進
○二階堂委員 ぜひ一つそういうような面も、改善できるものは改善していっていただきたい。それから、稼働の問題につきましては、民間と比較するのもどうかと思いますけれども、しかしやはり機動的な運営の方法なり、管理の一元化という問題についても、相当やはり改善し、積極的にあなた方が努力しなければならぬ面があると私は思う。そういう面については、一つ十分に改善の努力をはかられるように希望しておきます。
さらに、技術向上の問題ですが、これは私は予算の折衝のさなかにおいて、大蔵省にいろいろ話にいって聞かされることでございますが、どこの省がどう言ったということは別としまして、たとえば海岸堤防の修築の問題については運輸省が権威があるのだ、あるいはトンネルについては鉄道がうまいのだと、役所の方からは聞かないが、大蔵省の役人からそういう話を聞く。この技術はどこの省がすぐれておるとか、私はしろうとですから、そんなことを何かと言う資格もありません。がしかし、すぐれた技術があるならば、先ほどから申しますように、その技術もやはり一つの知恵となって、それがフルに使われていくような工面というものも考えなければいかぬ。鉄道はトンネルをたくさんやっておるから、トンネルの仕事は建設省の仕事よりもおれの方がすぐれておるといえば、わけもわからぬしろうとは、なるほどそうだと思う。海岸の仕事、海の仕事は運輸省が専門家だといえば、そのようにも聞える。そこに私は、やはり技術の力を発揮する上においても、いろいろなアンバランスな問題が出てきていると思うのです。特に建設省の方も、基礎的な技術研修あるいは技術訓練をやるような指導と申しますか、あるいはそういうものを育成する機関についての力の入れ方が足らない。これはわれわれの責任でもあるわけですが、予算をずっと調べてみて、特にまたこの総合的な仕事をどうすれば効率的に実施できるかということをいろいろ考えてみると、やはり技術の向上ということも当然考えなければならぬ。そういう面について、もう少し次年度以降においても建設省としても努力をされて——河川の堤防にしても、あるいはトンネルの工事にしても、大へんな仕事があるわけです。その仕事をやるだけの一つの技術の権威というものを建設省も持ってもらうように、努力してもらわなければいかぬ。これはなるほど、私は今の技術に不足があるということを申し上げる資格もございません。しかし、そういううわさを聞く。あるいはまた高速道路のあの山の中を通る中央道ですか、あのいろいろな報告を見てみても、その調査とか設計とかいうものの技術者は、建設省、政府の人よりも、民間の会社の技術者をたくさん使っておる。建設省の考えたものは権威があるとこう言われるが、実際民間の技術者というものを動員して設計やいろいろな調査をやらせる。これは一体どういうことか、と私は言ったことがある。私はそういうようなことであってはいけないと思っておるのです。これは予算の問題、機構の問題にもなるかと思いますけれども、やはりそういうところにも欠けたところがあるのではないかということも考えますので、そういう点も一つ今後十分お考えになって、そういうような技術の検討、向上をはかるように、機関の整備、人の養成というものにぜひ努力をしていただかなければいけない。こういうふうに私は考えますので、この点を特につけ加えて申し上げておきたいと思うのであります。
なお、まだいろいろ大臣にお尋ねしなければならぬ問題があるわけでございますが、この事業の進捗に重大な関係のある問題は用地の問題であります。この用地が仕事に先行しなければ進捗の実を上げることはできない。ところが、従来も、委員会において委員の各位からもしばしば質問をされ、問題になったことではございますが、河川、道路等において、この事業費の中で占める用地費というものが非常に大きくなってきております。この用地の問題の解決が先に進んでいかなければ仕事が進まないのは、申し上げるまでもない、明らかな問題点であります。そこで私は、用地の制度についても、これは根本的には、建設省が今度提案される用地の問題等について調査するという委員会を設置するための予算も出ておりますが、こういうような根本的な問題の検討にかかられたことは、おそきに失するとは申しても、きわめてけっこうなことだと思うのです。建設省自体の機構においても、私は用地という部面に働く人は少ないんじゃないか、あるいはそういう陣容というものが非常に手薄じゃないかという感じがいたすのであります。また、末端において、用地の事務に直接関係している方々の中には、非常に古い考え方を持って用地の問題について相手と折衝に当たっておられる人もあるということは、私は具体的にいろいろ携わってみて、考えさせられた点であります。こういう点についても、これは機構や定員の問題にもなりますけれども、そういうものを一応別といたしましても、建設省の内部において、道路なり、河川なりの事業費の中に相当な用地費が含まれてきており、これがだんだん大きくなってきておる。こういう点から考えてみましても、用地部はできなくても、省内に用地に関係する人員をもっと強化する必要はないか、あるいは用地に関係する人々の考え方を再教育というか——非常に古い、明治時代のような考え方で用地の折衝に当たっていて、ことさらに紛争をかもしておるような事件もある。しかしながら、また一方から言うと、地方の人あるいは関係する住民の人たちが言う通りに解決しても、これはなかなかむずかしい。そういうような問題。これは例をあげると幾らもあります。また、鉄道の踏み切りの問題など、私はしばしば言っておりますが、そういう問題についても、各省間の折衝というものがスムーズにいっていない。国鉄などは三十何ぼも判こを押さなければならぬ。これは事業によって違うところもありますが、そういうような円滑を妨げておる事態がある。こういうような制度についても、建設省自体の中においても、もっと改善をしていかなければならぬ点が非常にあるように考えられます。こういうような点についても、何とか考えを変えていただくような工面を、建設省自体においても努力される必要があると思います。何とかしていただきたいという希望的な考え方でありますが、これは政務次官にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/36
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037・大沢雄一
○大沢(雄)政府委員 二階堂先生の御質問に対するお答えでございますが、ただいま御指摘のございました通り、土地収用制度の改正につきましては、このたび公共用地取得制度調査会を設置いたしまして、その答申を得まして、これに基づきましてできるだけ早く具体的な対策を進めたいと考えておる次第であります。
今、お尋ねの省内の問題といたしましては、地建に今回三十名のこの関係の職員を増員いたしまして、用地の取得、補償等の事務の円滑なる進捗をはかるように努めておる次第であります。なお、部内のいろいろな組織、事務の調整につきましても、いろいろ検討いたしておりますが、できるだけ早く結論を得たいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/37
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038・二階堂進
○二階堂委員 もう一問で本日は質問をやめまして、また大臣がお見えになってから道路行政の問題をお尋ねいたしたいと思いますので、私はその点だけを留保しておきます。
用地の価格について、たとえば道路公団とか住宅公団とか、あるいは金融公庫が取得する用地の価格、この価格の基準を統一するというわけに参らないと思いますが、非常に差がひどいというようなことを書いたものもあります。これは私も調べてみようと思ったが、その時間がなくて、いまだ調べることができぬでおりますが、どうなんですか。そういうふうに値段が違っておる点が事実あるのかどうか。そのために、土地の取得についてもいろいろ問題が出ておるようなことを書いたものもありますが、そういうようなことがもしあるとすれば、同じ政府の実施する機関の中で土地の値段が非常に違うというようなことは、私はどうかと思うんだが、これらの問題についても、やはり何かうまい工合に調整をするか、早く調整のとれるようなことを考えることも、仕事を進める上において一つのいい方法でないかと思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/38
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039・稗田治
○稗田政府委員 用地取得の単価についてでございますが、住宅関係について申し上げますと、御承知のように住宅公団におきましては、京浜地区、中京地区、京阪地区並びに北九州の工業地帯というような、大都市の周辺に賃貸住宅を建設することを大きな使命にいたしております。従いまして、その用地単価も、そういった比較的用地の高いところで仕事をするようになっておるわけでございます。具体的に申し上げますと、公団の賃貸住宅におきましては、予算単価といたしましては一戸十六万円ということで組まれておるわけでございます。大体一戸当たり二十坪程度要しますので、整地費も含まるわけでございますけれども、一坪当たり八千円程度になっておるわけでございます。公団の賃貸住宅と同様な性質の公庫の産業労働者住宅であるとか、公庫資金の賃貸住宅におきましては、これは地域は今申し上げましたような四つの大きな地域に限られてはいないわけでございます。それで、若干全国的な平均になりますので、一戸当たりは十五万円ということに相なっておるわけでございます。従いまして、整地費を含めまして坪当たり七千五百円という程度になっておるわけでございます。なお、公営住宅におきましては、さらにこの地域が市部、郡部等にばらつくわけでございますが、そういうような関係から、たとえば質の同じような第一種の鉄筋コンクリートのアパートにおきまして、一戸当たりの用地費と申しますのは九万二千円ということに予算上はなっておるわけでございます。規模は、公営住宅の方につきましては若干小さな規模になりますので、一戸当たり十五、六坪ということになるわけでございます。坪当たりにいたしますと、整地費を含めまして六千円程度の用地費ということに相なるわけでございます。なお、公営や公庫におきます木造の住宅につきましては、さらに一戸当たりの単価は低くなるわけでございますが、これは宅地の高度利用というのが木造の場合にはできませんので、大体郊外の地価の安いところに建設されるというような観点から、一戸当たりの用地費はかなり低くなっておるわけでございます。大体さような均衡になっておるわけでございまして、なお、公営住宅におきましても、公庫住宅におきましても、これの実施にあたりましては、大体建設されるその地域の用地の価格に対応するように、全国的にはこれを調整して実施いたしておるわけでございます。なお、今後ともこういった政府施策住宅の中での実際の同じ地域における用地取得の単価がふぞろいであるということのないように、十分調整いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/39
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040・二階堂進
○二階堂委員 大臣がまだお見えになっておりませんから、大臣が見えられた機会に私は道路の問題について少しお尋ねいたしたいと思いますので、保留いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/40
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041・山中吾郎
○山中(吾)委員 大臣がいないので、次回に質問は譲りますけれども、大臣にお伝え願いたいのです。
私が質問申し上げるのは、三十五年度の総予算の性格を、今までの予算の考え方から再検討する段階に達しておるのではないかという疑問があるので、お聞きいたしたい。
その第一の理由は、この数年に建設予算というものが二倍、三倍になっておるので、その予算の性格が国の予算の性格を決定する性格に変わってきておると思う。従って、建設省の執行体制の再検討という段階に入っておるのではないかという問題が一つ。
それから、この予算の全体のアンバランスが相当出ておるのではないか。道路予算とそれから都市計画の下水道予算、あるいは治水予算の中にも砂防工事の予算と堤防工事の予算、それから現在の事業量とそれに対する調査費の非常に僅少な関係、あるいは現在の事業量と官房費の関係、定員その他の関係、さらにこの膨大な税金の流れる道からいいますと、請負業者に多く流れていく場合に、それを独占的利潤にならないような、また一方に効率的にこの税金を有効に使うというために、こういう建設業者に対する監督指導の体制というものの再検討、そういう三十五年度の三千億に上る膨大な支出を考えますと、多く予算を取ったあとにそれだけ重大な執行体制を検討すべき段階に入っておる。そういう立場から総体的に大臣にお聞きしたい。大臣に識見を尋ねるために、大臣のおるところで各局長と質疑応答をして、その実感をもって大臣に答えてもらわないと解決しない。私はそう思いますので、質疑は次に譲りたいと思います。
ただ、そのために官房長及び局長にお願いいたしたいのです。一つは、大体この十年間に各省のおもなる予算額がどの程度に増加したか。各年ごとの増加率はそのつど説明をされておりますけれども、十年が適切であるかどうかわかりませんが、建設省設置の当初かあるいは数年来でけっこうですが、おそらく各部課において三倍になっておる。あるいは二倍になっておる。あるいは二倍になっていないところもあると思いますから、その増加率を数年を通じて知りたいと思いますので、その資料を出していただきたいと思います。
それから、各局の最初の要求額に対して、大蔵省の査定額が何割認められたかということは、折衝中ならば皆さん工合の悪いことがありましょうけれども、もう三年前、二年前、昨年は一向差しつかえないわけでありましょう。私は、要求額というものは皆さんの専門的立場から、科学的にこれだけは国土保全の立場、建設の立場からどうしても必要だという、財政を離れた妥当なる額だと思うのです。査定されたものは財政的立場から、あるいはそういう要請に基づかないで査定した、それも財政的立場から正しいと思う。私は非難をしようとするのではないのです。そういう要求額と毎年の最後の査定額を、各部局において数年の傾向を出していただきたい。
それから、今度の災害補正について、二月一日現在までの進捗率のパーセンテージを出していただきたい。おもなる事業項目でけっこうです。
その三つを、官房長の方でお求め願えるかどうか知りませんが、出していただきたいと思います。住宅、都市計画その他も、今のような趣旨の資料を一つまとめて出していただきたい。それに基づいて、私は建設省予算の総論的な立場から大臣にいろいろ質問いたしたい。各論その他については次回に譲りますので、これだけお願いをして、質疑は次回に譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/41
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042・羽田武嗣郎
○羽田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、散会いたします。
午後零時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X00319600212/42
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