1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十五年五月十八日(水曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 羽田武嗣郎君
理事 井原 岸高君 理事 木村 守江君
理事 二階堂 進君 理事 堀川 恭平君
理事 南 好雄君 理事 中島 巖君
理事 山中 吾郎君 理事 塚本 三郎君
逢澤 寛君 足立 篤郎君
久野 忠治君 砂原 格君
高見 三郎君 徳安 實藏君
西村 直己君 廣瀬 正雄君
八木 一郎君 石川 次夫君
金丸 徳重君 久保田 豊君
兒玉 末男君 三鍋 義三君
山中日露史君 今村 等君
加藤 鐐造君
出席国務大臣
建 設 大 臣 村上 勇君
出席政府委員
法制局参事官
(第二部長) 野木 新一君
大蔵政務次官 奧村又十郎君
建設事務官
(計画局長) 關盛 吉雄君
建 設 技 官
(道路局長) 高野 務君
委員外の出席者
議 員 遠藤 三郎君
議 員 勝澤 芳雄君
議 員 塚本 三郎君
法 制 局 長 西澤哲四郎君
衆議院法制局参
事
(第四部長) 濱中雄太郎君
大蔵事務官
(主計官) 宮崎 仁君
建設事務官
(道路局次長) 前田 光嘉君
建 設 技 官
(道路局高速道
路課長) 齋藤 義治君
専 門 員 山口 乾治君
—————————————
五月十八日
委員足立篤郎君、高見三郎君、西村直己君、廣
瀬正雄君、八木一郎君、岡本隆一君、兒玉末男
君及び今村等君辞任につき、その補欠として橋
本正之君、松澤雄藏君、服部安司君、久野忠治
君、林唯義君、久保田豊君、金丸徳重君及び加
藤鐐造君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員久野忠治君、金丸徳重君、久保田豊君及び
加藤鐐造君辞任につき、その補欠として廣瀬正
雄君、兒玉末男君、岡本隆一君及び今村等君が
議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
東海道幹線自動車国道建設法案(遠藤三郎君外
五十五名提出、衆法第四〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/0
-
001・羽田武嗣郎
○羽田委員長 これより会議を開きます。
東海道幹線自動車国道建設法案を議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。
質疑の通告がありますから、順次これを許します。
山中吾郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/1
-
002・山中吾郎
○山中(吾)委員 私は、きのう提案になりました東海道自動車国道についての提案の理由と、その内容についてお聞きいたしたいと思いますが、その前に、提案者のこの法案についての基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。
中央道か東海道かという論議の中に、この問題が非常に微妙な状態にあるので、提案者の方は、この東海道幹線自動車国道と中央道とが、二者択一の関係にあるとお考えになっておるのか。あるいは二つの道路が別のものとして、両立するとして、国の施策として行なうべきであるとお考えになっておるのか。いずれか一方をとるべき性格のものであるかどうかという基本思想を、各党代表の提案者からお聞きいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/2
-
003・遠藤三郎
○遠藤議員 ただいまのお尋ねでございますが、今回の東海道幹線自動車国道建設法案は、中央道と二者択一の考え方では全然ございません。提案理由の説明にもありましたし、それから、この法案のコンストラクション全体をごらんになってもおわかりになるように、中央道とは別個の法体系によって、別個の目的で作っていくという建前をとっておるのであります。従って、中央道の成立することに対しては、われわれは絶対賛成でありますし、中央道の設定が一日もすみやかにされることを念願すると同時に、東海道の事情に即した東海道の高速道路というものを設定して参りたい、こういう考え方の基礎の上に立っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/3
-
004・勝澤芳雄
○勝澤議員 各党の代表ということでありますが、社会党の立場というよりも、提案者の代表として、今、遠藤議員から説明されましたように、中央道というものは、国土開発という立場から作られたものであり、東海道の幹線自動車国道というものは、提案の理由で説明をされたように、今日の経済の進展と交通難緩和、こういう立場から出されたものであって、本質的に当然両方とも作らなければならぬものである。従って、私たち東海道幹線自動車国道建設法案を提案しておる者も、中央道の建設につきましてはもろ手をあげて賛成し、これを推進をするという立場で、党の方も、両法案について社会党として賛成をし、両方進めているわけでありますので、あなたの御質問のありました後段において、中央道建設についてわれわれも協力するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/4
-
005・塚本三郎
○塚本議員 二人の御答弁で十分だと思いますが、ただ、この際、質問者の方々から御質問ありましたように、ややもいたしますと、運動の過程におきまして二者択一のごとき議論がなされておったり、あるいはまた第三者から見ますとそのような誤解を与えておったことは、非常に遺憾だと思っております。もっと早く中央道の予定路線の法案が出されて決定しておったならば、このような誤解はなかったのじゃなかろうか。その点で中央道自身で非常に苦慮せられておったと思いますが、そのあおりを食って東海道自身が、かえって緊急のものであるにかかわらず、それさえも延ばされなければならないという形になったことは、非常に不幸だと思っております。この点は、政府当局がもう少し中央道に対して、はっきりとした態度で早く片づけておってくれたら、このようなことにはならなかっただろうというような見解を持っております。そういうわけでございますから、全く別個のものであったのにかかわらず、同時に提案がなされたということで、そのような誤解を与えたのではなかろうかという、見解だけを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/5
-
006・山中吾郎
○山中(吾)委員 三人の提案者の御答弁によって、二者択一のものでないということを確認をして御質問をいたしたいと思います。
御提案の理由書に即してまずお聞きいたしたいと思います。この提案の理由の中には、国土利用計画についての思想というものには別に触れていないので、お聞きしたいのですが、縦貫道路は、日本列島は山岳地帯が多い細長い国土である、人口が非常に多いといういろいろなことを総合して、国土利用計画の上に立ってこの構想が立てられて、法律化したと思うのであります。東海道に関しては、これは現実の輸送緩和という立場からこういう法案の提案をなされたという趣旨を書いておられるわけであります。それで今、二者択一の思想を持っておられないという裏づけを、もう一度、この提案の理由の中に欠けておる国土利用計画の立場に立った日本の道路政策について、提案者の基本思想を、代表の遠藤さんからお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/6
-
007・遠藤三郎
○遠藤議員 東海道法案におきましては、日本全国の国土開発をどうするかとかいうような思想は盛り込んでございません。御承知のような東海道の交通の輻湊の現状、並びに将来の昭和四十年ごろを想定いたしますと、ほとんど麻痺状態になるだろうというような想定、さらにまた、道路の設定によっての東海道地方の大きな開発、そういうことは当然出て参るのでありますけれども、全国的な国土計画を立てるその一環としてこれを今やっていくというふうな考えではございません。その点をはっきり申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/7
-
008・山中吾郎
○山中(吾)委員 この問題は、中央道か東海道かの問題でないと私は理解している。国土縦貫道路か東海道かの問題なのであって、この縦貫道路というのは、中央道に限らず、東北道、あるいは南は九州から北海道までの構想であって、日本の国土利用計画の上に立った基本的な思想が入っておりますので、その点について、中央道だけではなしに、縦貫道路についてのお考えを先にお聞きしたい、こう御質問申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/8
-
009・遠藤三郎
○遠藤議員 縦貫道路についての理想といいますか、縦貫道路の考え方については、私が申し上げることは筋違いかと思います。むしろ建設大臣から伺っていただくことが適当かと思います。ただ、私どもは、縦貫道路のあの法律の制定の趣旨にかんがみまして、一応国土計画を基盤にした道路の体系としては縦貫道路が基本になっておる、こういうふうに理解しております。だからといいまして、東海道に高速道路ができる、関東と関西を結ぶ道路が東海道を通ってはいけないということではなくて、実際できて参りますればおのずから利用されていく。これはもう否定することができないと思います。しかし、道路網の建前から参りますと、国土計画につながる道路計画というものは縦貫道が基本になっている、現在の建前はそうなっている、そういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/9
-
010・山中吾郎
○山中(吾)委員 元建設大臣であるので特にお聞きするのですが、提案者が縦貫道路について、これは日本の国土利用計画から必要であり重要であるという思想を持っておられないと、この提案によって東海道ができると縦貫道路の思想が抹消されるということと関連しておると、私の考えが変わってくるものですから、それで縦貫道路については、やはりこれは国土計画で必要であるという思想を持って提案をされているかどうか、確認したいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/10
-
011・遠藤三郎
○遠藤議員 国土開発縦貫中央自動車道路の建前はそういうことになっておりますので、あの法律を変えざる限りはおっしゃるような考え方でいかざるを得ない。われわれもそれを了承したいと思う。その考えでこの東海道法案も出しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/11
-
012・山中吾郎
○山中(吾)委員 それに関連して、建設省の道路行政の責任の立場からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/12
-
013・高野務
○高野政府委員 縦貫道路につきましては、国土開発縦貫自動車道建設法がございまして、その線に沿いまして、私どもは国土の開発、あわせて道路網という観点から努力すべきものであると思います。
また、東海道につきましては、今、提案者からも御説明がありましたけれども、縦貫道とは別個の交通がございますので、その点でお考えになっていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/13
-
014・山中吾郎
○山中(吾)委員 次に、御提案の趣旨の中の財源の問題について御見解、見通しを伺いたいと思います。これについて、東海道の方には、松永さんですか、あの人の考えておる海岸線と、この法案に出ておる道路計画と、二つあるわけです。それについての御見解を参考にお聞きしたいことと、それから、この財源について見ますと、「専ら財政資金等の効率的活用により」「従って、公共事業による一般道路投資を圧縮するが如きことは、些かも懸念の必要はない」と書いておられるのですが、この点について、もう少し御説明をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/14
-
015・遠藤三郎
○遠藤議員 御承知のように、東海道の高速道路の問題につきましては、昭和二十五、二十六、二十七年ごろだったと思いますが、一応設計をいたしまして全道にわたってくい打ちまでしてございます。しかし、これは一応の建設省の素案でありまして、これを直ちに通すという考えではございません。この東海道高速道路の法案が通りましたならば、この法案に基づいてさらに精細なる調査をいたしまして、そうして路線の指定をし、路線の最終的な決定をして参りたい、こういう建前になっておるのでございます。
なお、第二の御質問の、財源の問題でありますが、財源は、この提案理由の説明にもありますように、民間資金の活用、財政投融資等を入れ、さらにまた、でき得べくんば外資をも入れまして、そうして日本道路公団にこれを建設させる。このために、一般会計の予算を投入して公共事業費の方の厄介になるべくならぬようにしたい。大体交通量が非常に多いのでありますから、有料道路で十分にペイするという考えを私どもは持っております。ことに、外資の問題でありますが、世界銀行の当局の人たちと、これは私、大臣をしておりました当時にも会談をしたことがございますが、まだその当時は具体的な計画もできておりませんから、貸せるということは言いません。言いませんけれども、もし具体的な計画ができたならば十分相談相手になれるだろう、こういう意向は確かめてございます。計画をきちっと作って持って参りましたならば、外資の供給も必ずしも不可能でない。こういうふうに信じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/15
-
016・山中吾郎
○山中(吾)委員 この文章を見ますと、「専ら財政資金等の効率的活用」、それからその次に、「公共事業による一般道路投資を圧縮するが如きことは、些かも懸念の必要はない」、間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/16
-
017・遠藤三郎
○遠藤議員 そういう考えで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/17
-
018・山中吾郎
○山中(吾)委員 その言葉を一応信用しておきます。しかし、いつまでその信用が続くかどうか、ちょっと疑問なのですが……。
それから、そういう考えのもとに日本道路公団に行なわしめるということを一番終わりの第五に書いておるのでございますけれども、この点について、少し執行上矛盾を感ずるのです。中央道も日本道路公団をしてやらしめる。名神道路の関係からいいますと、そういう方針がすでに予定されておると思う。東海道法案が通って、これも日本道路公団がやるということは、非常に矛盾を感ずるのです。その点、御検討なされたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/18
-
019・遠藤三郎
○遠藤議員 御承知のように、道路公団が有料道路を作ります場合には、その道路としてペイしなければ、できたいことになっております。あまり大きな赤字が出るようなことはやらせないことになっておるのでありまして、中央道が、はたして道路公団がやる道路として適格なりやいなやは、調査をして参りますと、その結果がはっきり出て参ります。その点については、東海道についてもまだ結論が出たわけではございません。しかし、常識的に見まして、一応の検討の結果は、東海道側は十分にペイができる。従って、道路公団にやらせることはちっとも無理ではない、こういうふうに考えるわけでございます。
そこで、両法案が通りましたあとで、どういうふうにして道路公団にやらせるかということについては、さらに政府が実際の資金計画、あるいは建設計画を立てる場合に結論が出てくると思うのでありまして、これは政府の結論に待ちたい。こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/19
-
020・山中吾郎
○山中(吾)委員 これは政府の方に参考意見としてお聞きしたいのですが、東海道を道路公団でやらしめるという構想が前提とすれば、中央道については同じ道路公団をしてやらしめるということが適当であるとお考えになるかどうか。政府当局からお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/20
-
021・高野務
○高野政府委員 中央道につきましても、東海道につきましても、中央道はこれから基礎調査をいたすわけであります。東海道についてもこれから調査をいたしまして、事業費を決定して、計画を立てるわけでありまして、今、両方とも道路公団でやるのが適当であるかどうかということは、調査の結果によりましてきまることでございまして、いずれにいたしましても、有料道路をいたします機関といたしましては、道路公団が一番適格な機関だと思いますので、いずれにいたしましても、道路公団が執行するかどうかということを、今後検討しなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/21
-
022・山中吾郎
○山中(吾)委員 道路公団の岸総裁は、東海道に賛成の思想を持っておる人なのですね。その同じ総裁が両方やるということは、これは論文に出ておるわけでありますから、私は事実上不可能なのではないかと思う。もし、両方やろうとする場合には、岸総裁をかえなければならない。これは道路公団の岸総裁です。こういう法案を通す場合には、そういうことまで考えておかないといかぬと思う。道路公団をして事実上両方やらすということは、私は不可能なような気がするのですが、事実、今私の申し上げたことが間違いないとすれば、どういうふうにお考えになりますか。岸総裁は東海道に賛成、中央道に反対ということが、ちゃんとそうした論文にあるので、人事を動かさなければならぬ。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/22
-
023・高野務
○高野政府委員 かような点につきましては、私ども、よくわからないのでございますが、なお、そういう論文もあるそうでございますが、これは個人としての御意見だと思いますので、今後検討して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/23
-
024・山中吾郎
○山中(吾)委員 これは提案者にお聞きします。この法案の執行上の疑点を申し上げてみたいと思います。
そういうふうな場合に、東海道だけの——たとえば高速度道路公団という東京都に関するようなものがあるが、東海道高速道路公団、そういうふうな一つの独立の公団というふうなことも何か検討されたことはありますか。あるいは、そういう構想は、今のような矛盾の中にこの法案がもし通過した場合についての一つの着想として、提案者の中でお考えになったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/24
-
025・遠藤三郎
○遠藤議員 ただいまのお尋ぬでございますが、これは私の個人の考えになるのであります。と言いますのは、三党集まってその問題について議論をしておりますから、個人の意見になりますが、道路公団のようなものを幾つか作ることはうまくないという私の考えであります。できる限り一つの大きな公団でもってやらせるべきだ。その公団の資金量が足りない場合には、資金量を捻出することは大いにやるべし。従って今回の場合におきましても、五カ年計画で一兆円の道路投資をすることになっておりますが、そのうち公団に使わせるものがちょうど二千億くらいになるのであります。その二千億程度では、とうていまかない切れません。従って、昨日も申し上げましたように、五カ年計画の改定に迫られておるのであります。この五カ年計画を拡大いたしまして、そうしてでき得る限り資金量をふやす。それでもなお足りないかどうか、それらの検討をした後に、両方をできるかできないかという問題の検討をしたらいいのではないか。こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/25
-
026・山中吾郎
○山中(吾)委員 その点について、私は先ほど財源のところで、提案理由の説明で、もっぱら財政資金の効率化によって、そうして公共事業に対して何も影響を与えないというふうな提案が、財源上の御意見にあったものですから、そこで予算措置その他に混乱するような体制でない執行をお考えになっておるのが筋だ、こう思ったものですから、公団をたくさん作るという、その公団の論議については私もその意見でありますが、こういう一つの提案理由の筋からいいまして、提案者においてはその辺のいわゆる公共事業の予算を圧迫しないという線に沿うた執行機関その他をお考えになるべきであるのじゃないかと思って、私は聞いたわけですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/26
-
027・遠藤三郎
○遠藤議員 その点については、東海道のこの高速道路については、道路公団をしてやらしむることができるし、その資金量の捻出にはあえて困難を感じない、こういう確信の上に、この法案を提案してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/27
-
028・山中吾郎
○山中(吾)委員 それはあとでまたお聞きします。輸送緩和ということが非常に大きい理由になっておりますけれども、一方に国鉄の方の第二線の計画がある。それから中央道もできるという場合に、国鉄の新しい線路ができ、中央道ができることを含んで、そしてさらに自動車幹線道路を東海道に作られるという、その全部を合わしての交通緩和の大体の見通しについて、資料をお調べになっておられれば発表願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/28
-
029・遠藤三郎
○遠藤議員 実は東海道の弾丸列車の法案が通ります場合に、政府としては当然検討しなければならぬことであろということで、弾丸列車とあわせて車海道に高速道路を作ることについての問題を検討して参ったのであります。弾丸列車の輸送力の推定をいたし、同時に企画庁を中心にして約半年、高速自動車道路との総合的な輸送力の問題を検討してきたと私は記憶しております。その結果、弾丸列車と同時に高速道路というものを作る必要がある。弾丸列車が通れば高速道路は要らないという結論にはならなかった。そういう結論によって、弾丸列車を通すことになり、高速道路もどうしても必要だという結果が出てきておるわけであります。そういう基礎の上に、私どもは高速道路というものを進めて参りました。これは政府の方から聞いていただけば、特にこの数字等は運輸省関係で検討したはずでありますから、運輸省にお尋ねいただけば、はっきりしてくるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/29
-
030・山中吾郎
○山中(吾)委員 その弾丸鉄道というか、その関係で、鉄道輸送と自動車輸送が不統一にならないようにするためには、私は思い切ってこの自動車道路を国鉄にやらしたら一番都合がいいのじゃないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/30
-
031・遠藤三郎
○遠藤議員 私はそれに反対なんであります。それは国鉄にやらすべきものじゃない。国鉄は列車を作るのが精一ぱいで、道路はむしろ国鉄から離して、建設省がやるのが正しい。これは私は議員として今申し上げている。そういう信念のもとに、東海道高速道路というものは建設省にやらせたい。そういう建前で、この法案を出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/31
-
032・山中吾郎
○山中(吾)委員 両者が競争関係にあって、いろいろな問題が起こらなければいいと思うのですが、その辺の慎重な審議というものはなされておく必要があると思います。
それから、私は農民保護の立場からお聞きしたいのですけれども、実際問題となると、東海道の場合については、土地買収の問題で農地関係は非常に問題が出ると思うのです。もし、この東海道を建設するということなら、農民を保護する万全なる措置を考えない限りは、賛成できないわけです。その点について、提案者の構想を、これは社会党にも民社党にもお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/32
-
033・遠藤三郎
○遠藤議員 ただいまのお尋ねの点は、確かに非常に大きな問題であります。高速道路を東海道に作ろうとして参りますと、あるいは農地を通り、あるいは家を取りのけ、さらにまた屋敷を道路敷地にするというような問題が出て参りまして、これは確かに相当大きな問題だと思うのであります。ただしかし、昭和二十五、六年の当時、すなわち農地の面積を拡大せよ、開拓をせよということが——その当時中央道の法案が通ったのでありますけれども——中心になっておった開発計画の当時に比べまして、今日の農村におきましては、少なくも東海道の方面においては、工場が次から次にできていく。工場地帯、工業地帯ができることをむしろ農民は希望するような状況になってきております。従って、この道路法案につきましては、関係の地方においては、農業会あるいは農業会議所等が、あげてこれを支持しております。
しかし、個々の取り上げられる農地の所有者等は、非常に問題がありますので、こういう問題については、県をあげてこういう人たちにあまり苦しみを与えないように相互に助けていく。こういうことを、もちろんやらなくちゃならぬと考えておるわけであります。それと同時に、政府はあまりたたき買いをしないで、相当の価格でもって買い上げて、これらの農民あるいは土地の所有者等にあまりに苦労をかけないようにする。政府は責任を持ってそれをやるべきである。こういう考えのもとに、この法案を政府に施行していただく。こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/33
-
034・勝澤芳雄
○勝澤議員 ただいまの御質問は、確かにもっともなことだと存じます。特に、農民とかあるいは漁民という立場からいきますと、社会党といたしましても、十分その問題は考えまして、過去におきまして十分な討議をいたしました。特に、鉄道と違いまして道路の場合におきましては、地元の人たちも、鉄道の場合ですと、汽車がとまらないとどうもあまり賛成できない。しかし、道路の場合ですと、どこでも利用できるというような建前から、この幹線道路について理解が深まりまして、今、遠藤議員からも説明をいたしましたように、地元の農業会、漁業会等々、地方公共団体もみな一斉に賛成をいたしまして、これを推進していく団体になっておるわけでございます。そういう観点から、十分その問題も考慮して、地元の党の中で論議をした結果、社会党としても十分な時間をかけて——私の所属している静岡県連の場合におきましても、党議の決定としてこれを推進しよう、こういう立場でございます。今、御指摘になりました問題につきましても、遠藤議員の説明されたように、政府においても十分な御考慮を賜わりながら、われわれ地元としても協力をし、推進をしていく。こういう立場でございますので、十分な考慮をしておる。そして、その点についても今まで考えてきた、ということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/34
-
035・塚本三郎
○塚本議員 これは三党提案になっておりますが、実は私ども民社党がこの提案の中におくれて参りました根本の理由は、この農民の問題にあったわけでございます。この提案に至るまでの経緯等につきましては、すでに御承知だと思いますが、民社党は、最初この法案の東海道の案に対しては高速道路という意見を持っておらなかったわけでございます。なぜならば、農地をたくさんつぶして、そうして高速道路の場合は、沿道の農民がインターチェンジを近くに持っておらない限りは十分な活用ができない。普通の道路の場合でありますと、最初は地主は反対いたしましても、地価も高騰いたしますし、その沿道はすべて利用できるという立場から、最初は多少の不満はありましても、最後には全面的に協力していただくだけではなくして、感謝せられてくるというのが、今までの道路建設の経緯でございます。しかしながら、高速道路の場合におきましては、これは特急列車を走らせると全く同じような状態でありまして、周囲がほこりをかぶるだけで、土地はとられるだけ。ときによっては万里の長城を築かれるだけで、農民にとっては犠牲だけが押しつけられる。こういう危険性がありますので、東海道緩和のためには、ぜひとも第二の国道は作るべきであるが、この道路の性質はあくまで一般道路にすべし。こういう主張をなしておったわけでございます。
しかし、その後、時の移るに従いまして、農民の団体からも強い陳情があったわけであります。といいますのは、やはり農産物の中京地帯やあるいは京阪神の方への輸送の鮮度を高めるためにも、ぜひとも高速道路にしてほしい。私たちは農民の立場から、高速道路に対してあまり積極的ではなかったのでありますが、逆に農民団体の方から、鮮度を高めるために高速道路を作ってほしい。この意見は、実は農民の団体の首脳部と個々の農家との間には、多少のギャップはあるという心配を私は実は今日といえども持っております。しかしながら、農民を代表する有力な団体が、こぞってこれに対して強い働きかけをせられる限りは、農民の団体は責任を持って、農地所有者に対して説得をするという言明等もなされておりますので、この点は、道路建設だけ強く主張して、あと用地問題に対して農民の立場を農民の団体が無視するということは、あり得ないのではなかろうか。こういう善意な立場に立って、了承を与えたわけでございます。
従いまして、今後の建設に対しましては、私は、実施にあたって公団なり建設省が努力するだけではなくして、農民の団体もこれには責任を持って協力をしていただかなければならない。そのことが、建設に対して早くするだけではなくして、なおかつ、農民の意向というものも、用地取得に対して、特にその価格に対しては、農民の意向を公団なりあるいは建設省に通すパイプにもなっていただかなければ、この大きな仕事は遂行することはできないのではなかろうか。そういう理解の上に立って、賛成いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/35
-
036・山中吾郎
○山中(吾)委員 この東海道幹線が建設されることによって、ある調べによると、水田は百二十八万三千坪、畑が八十六万坪が買収されるというふうな調べになっておるのであります。事は非常に重大だと思うのです。そこで、これは国の施策として、この道路法案が、ただ通っただけでは解決できない。総合的に対策を立てなければならぬ問題があるので、転業対策も必要でしょうし、そのときに十分の補償をするというだけでは解決しない問題があると思うのです、その点を十分にわれわれが安心するような、やはり具体案というものをお考え願わないと、あとで大へんな問題になるということを心配するので、責任を持ってお考え願わなければならぬと思うのです。
そこで、これに関連して、私、心配することは、建設省設置法の一部改正の中で土地問題調査会が設置されて、その内容は土地収用法の改正を含んでおる。大臣が今おいでになったので、関連をしてお聞きしますが、あの設置法の一部改正によって調査会が設定せられた目的の中に、土地収用法の改正が入っておる。そうして、補償問題が解決しない前に事業が着工できるような、そういう内容を拡大しようとする思想が入っております。もし、こういう東海道及び中央道というような、膨大な農地を買収しなければならないような法案が通ったときに、一方に土地収用法を改正して、補償問題が解決しないうちに公共事業のために収用することができるというような、改悪が予想される問題が並行してあるとすれば、これは私はどうしても認めるわけにいかない。この法案を審議する重要な参考意見として、大臣から、あの調査会における土地収用法の改正の中で、補償問題が解決しない前に着手することができるような改正は絶対しないのだという言明を、どうしてもいただかなければならぬと私は思う。お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/36
-
037・村上勇
○村上国務大臣 建設省設置法の中の公共用地取得の調査会を設けるという、この調査会につきましては、当委員会におきまして、全会一致をもって附帯決議がついております。その附帯決議の中に、事前に使用してはならないというようなことがありますので、私どもとしては、十分この附帯決議を尊重して参りたいと思っております。
なおまた、公共用地取得の調査会の性格は、決してあれによって、いわゆる収用法を改正するということをはっきり打ち出しておるものではないのでありまして、今日の公共用地取得に対するあり方をどういうふうにしたらいいかということを調査する機関でありますので、この点については、私ども常識的にこの運営をして参りたいと思っております。また、これらの調査委員の人たちの考え方等も、きわめて常識的に穏便に調査をしてくれるもの、かように思っておる次第であります。
ただ、御承知のように、ほとんどその村あるいはその町の全戸数、その関係者すべてが土地を提供しようというのでありますが、ただ一人だけ、幾ら金を出しても、またどういうことがあっても、という例外の人たちがあります。何百人、何千人という人がその公共用地の問題を解決してくれるにもかかわらず、ただ一、二の例外の人のためにこれが円満な妥結に至らないような場合がありますか、そういう場合にいかにするかというような点について、十分調査をしてもらおうというのが、この公共用地取得の調査会で考えてくれるところでありますので、決して今日の土地収用法を特別に強化して、そうして強権を発動して、問答無用で個人の私有財産を取得しよう、そういう不都合な考えは毛頭持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/37
-
038・山中吾郎
○山中(吾)委員 一応大臣の今のお話で信用をしておきたいと思いますけれども、この点については、こういう膨大な収用を含む問題でありますから、十分戒心を願いたいと思います。
そこで、大臣がおいでになったのでお聞きしたいと思うのですけれども、東海道ができたあとのことを考えますと、一方に臨海地域開発促進法も出る。東海道法案も出る。従って、海岸地域だけがどんどんと経済的にも進んでいって、そうして山岳地帯——日本は七、八割も山岳地帯なんですが、その地域の国土利用というものが、だんだんと軽視をされる。そして海岸地域だけが経済的に発展をして、国土利用計画全体に非常にアンバランスが生ずるという危険が、だんだんと濃厚になるんじゃないかという点と、一方に国の予算の配分といいますか、道路予算を中心として金の使用が中部地方に偏在する。そういうふうなものも考えて、この東海道法案を考えるときには、その他に対する影響というものを最も慎重に考えるべき問題があると私は思うのです。
そこで、これは議員立法で出ているわけでありますけれども、中央道の建設がこれによって途中から行方不明にになるとか、中央道が影が薄くなるというようなことになりますと、これは国土利用計画の立場、日本の地利的条件からいいまして、東海道自動車国道建設ということはなかなか賛成しがたいものになる。そういう立場から大臣のお考えをお聞きしたいのですが、中央道というものは、これはあくまでも貫徹をするのだ、国土縦貫道路の構想は絶対捨てないのだ、ということを大臣として責任を持ってお答えできるかどうか。お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/38
-
039・村上勇
○村上国務大臣 議員立法によって東海道自動車道路の法案が提案されましたが、これが成立したために、中央道が御指摘のような状態になるのじゃないかということでありますが、私は東海道は、これは行き詰まりを打開するということであろうと思います。中央道の道路の建設目的というものは、これは東海道とはおのずから違った意味で、いわゆる人口のアンバランスを是正するとか、あるいはまた、資源の開発とかいうような、大きな任務もありますが、ただいまのお説のように、一局部的な繁栄ということではなく、国土の全般にバランスをとっていくというようなことからも、中央道はきわめて重要な役割を持っておると思います。そういう意味でこれが立法化され、今日路線決定を見れば、私どもは慎重に、しかも意欲に燃えて、これが調査をしてそして具体的にこれの完成をはかりたい、かように思っている。その熱意は——東海道の法案が成立したから中央道の方はいい、これはもう全くそういうことではないのでありまして、中央道は中央道としての大きな使命があります。東海道も東海道としての、いわゆる交通行き詰まりを打開するための使命があるでありましょう。そういうような意味で、全くこれは別個の立場から、きわめて重要な法案であろうと思います。日本は、わずか四つの島にこれだけの人口が配分されておりますが、この四つの狭くなった国土を100%活用するという意味においても、願わくは、できれば鹿児島から青森まで、あるいはそれの先までも延ばして、日本の一大縦貫自動車道というものを建設いたしたいと思っております。しかし、その全部に今どうということはできませんので、その一環として、まず小牧—東京間の中央自動車道というもの、これは私どもは是が非でも実現をはかりたい。かような気持で、今回のこの法案の成立を待望いたしておるものであります。
従いまして、今後具体的な計画につきましては——ただ、これは私だけがどうと申しましても、また交通閣僚懇談会その他の議を経まして、十分この法案を生かして、そうしてわれわれの法案の目的に合わせるように努力いたしたい。かように思っている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/39
-
040・山中吾郎
○山中(吾)委員 私はあまり時間をかけなくてもいいので、大臣から責任を持って信頼できる御答弁をいただけば、今でも私は質疑を終わりたいと思います。先ほど提案者の三人の方々が異口同音に、中央道と東海道は二者択一の関係にはありません、こういうふうに、はっきり責任を持って答えられた。それで私は、それを前提として御質問申し上げておったのであります。今、大臣が、いわゆる国土縦貫道路というのを。国土利用計画の立場からこれは絶対守るんだということをお答えになったので、やはり政府も提案者も同じ思想であるということは、私は一応確認できるのであります。
ところが、この問題の沿革からいいますと、中央道か東海道かという二者択一の関係において論議が戦わされて、複雑な様相を呈して現在に至っておる。これは間違いないと思います。そこで、そういう沿革からいいますと、そういうふうに考えておりますという言葉の表現だけでは、信頼というものはまだできないんじゃないか。具体的に大丈夫だということを、やはり事実をもってお示しにならないと、この問題は永遠に審議が続くと思うので、お聞きしたいのです。
それから、なお申し上げたいのは、建設大臣は絶えずおかわりになるから、前の大臣はそう答えられても、また別な立場で提案者にならざるを得ないという現実もありますし、また交代をされるときに、責任を持って申し送りをされていないようですから、そういう意味においても、私は村上大臣が、提案者の思想も一つであり、それで現在の経緯から考えますと、中央道というものは、これは必ず実現できるんだということを具体的にお示しになるべきである。たとえば道路五カ年計画の中に、高速道路の予算として百二億が計上されておる。これは中央道にも適用できる性格のものだと思うのでありますが、それをいわゆる道路五カ年計画の再検討の機会と言わずに、現実にある予算の中で一部を使うとかいうことはできるのであるから、そういうことをお話しになられるかどうか。私はそのお答えによって、直ちにここで質問を打ち切ってもいいと思うのですが、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/40
-
041・村上勇
○村上国務大臣 私は中央道については、こうしてすでに路線決定が法定されておりますので、これがいよいよ通過の暁は、今調査費が三千万ばかりついておりますが、これでできる限り有料でいけるようなところを早く調査して、そうして具体的なものを一つ作ってみる。大体全体計画も並行してやりますが、とにかく東京から富士吉田なり、あるいは飯田市付近とか、あるいは中津川付近とか、どこ付近とかいうような、一つの相当繁華な地帯、交通ひんぱんな地帯は、これはあるいは調査の結果を見なければわかりませんけれども、実は十分採算はとれていくものじゃないかと思います。まず、そういうところから一つの手始めをやるようにして、それから先は、とにかく赤石山脈を抜くというようなことは、これは有料道路としてはなかなか困難でありますから、これについては別途な考えを持たなければならぬものと思っております。そこまで話してどうかと思いますけれども、ともかくも調査を待って、これは今ではできたとはいっても、まだ単なる調査で、ほんとうの実設計というようなものはこれからの問題です。ですから、この調査をして、全体計画を終わる。あるいは全体計画の一環として、ここらはもう見当がついたというような場合には、ただいま御指摘のようなことができ得るということを、私は確信いたしております。
しかし、今ここで、あの金を全部これにどうするのだ、こうするのだというようなことは、私は軽率には申し上げられません。ということは、結局、調査をして、十分な計画のないのに、今地元の人たちを喜ばすようなことだけを言っても、あとで少しでもそれに狂いが生じた場合には困りますから。しかし、中央道に対する建設意欲というもの、これは国権の最高機関である国会で公正に審議され、しかも全会一致をもって通過いたしておる法案であります。これを十分尊重して、政府がこれに合わしていくということは、私は当然なことであろうと思います。でありますから、よし、私がかりに明日このいすを離れても、これは何ら変わらないことで、その点についての御心配はないものと、私はかように確信いたしております。
なお、東海道等の問題は、これは全く可分なものでありまして、絶対不可分の関係というようなものはありません。二者択一というような関係は断じてないので、おのずからその使命が違っております。でありますから、東海道をやるから中央道がたな上げされるとか、あるいは中央道を積極的にやるから東海道がたな上げされるというようなことは、断じてないものと、かように確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/41
-
042・山中吾郎
○山中(吾)委員 大臣のお答えは、信頼してよきがごとく、信頼できないがごとくであります。しかし、ほかの方の御質問もあると思いますので、私は一応ここで質問は中止します。
なお、委員長に、大臣に、もう少し具体的に問いただしたいことがあるので、必要によっては、大臣の答弁をあとで聞きたい。そういうことを希望申し上げますので、あとで御検討願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/42
-
043・羽田武嗣郎
○羽田委員長 善処します。
中島巖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/43
-
044・中島巖
○中島(巖)委員 法案が出てみて、私は非常にびっくりしたわけなんです。中央道の法案は、経過地の基準だけをきめて、あと予定路線その他については、政府の手にゆだねて調査して、そして政府が立案して国会へ出すということで、大幅に政府に委譲した。この法案は、予定路線がずばりときめてある。そして、あとの建設に対して政府を拘束してしまっている。それから高速自動車国道法においても、国土開発縦貫自動車道建設法においても、審議会の議を経なければならぬものを、審議会を削ってしまってある。法律の構成の立場から見ても、立法の上から見ても、全くなっておらぬ法律である。こんな法律を通せば、国会は千代までの笑いものになる。こう私は痛感して、実際に驚いているわけです。
そこで、昨日法制局の出席を要求しておきましたが、出席しておりますか。出席しておりませんならば、あとにしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/44
-
045・羽田武嗣郎
○羽田委員長 来ておりません。道路局長が検討してお答えをする、こういうことで、あなたにもお諮りしてありましたから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/45
-
046・中島巖
○中島(巖)委員 法制局を、ぜひ呼ん
でもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/46
-
047・羽田武嗣郎
○羽田委員長 法制局でなくて、道路局長が答弁をするということで、あなたにも話しておきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/47
-
048・中島巖
○中島(巖)委員 昨日も私が質問しておりますと、提案者は議員であるはずなのに、政府委員が出ては答弁をしている。これは厳に慎しんでもらって、提案者たる議員が答弁すべきものである。それで、政府の方針と食い違うかどうかというようなときに、私たちは政府に対して、はっきり質問いたす、これが建前だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/48
-
049・羽田武嗣郎
○羽田委員長 ちょっと、中島君に申し上げますが、質問があったから政府委員が答弁したのであって、政府委員が積極的に進んで答弁したわけではないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/49
-
050・中島巖
○中島(巖)委員 それでは、法制局が出席しなくてもけっこうであります。私は道路局長にお伺いいたします。
衆議院規則第二十八条の議案の発議及び撤回におきましては、一議員が法律案その他の議案を発議するときは、その案を具え理由を付し、成規の賛成者と連署して、これを議長に提出しなければならない。」これまではいいのですが、そのあとに、「この場合において、予算を伴う法律案については、この法律施行に関し必要とする経費を明らかにした文書を添えなければならない。」こういうふうになっております。従って、私の解釈としては、法律施行に関し必要とする経費が明らかになった文書を添えていなくては、この委員会で審議すべきものでない。不適格なものである。こういうように解釈しているのですが…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/50
-
051・高野務
○高野政府委員 お答えいたします。道路局長は、国会法の関係は直接関係がございませんので、提案者の方の御説明をまた伺っていただきたいのでございますが、今度のこの法案は、三十五年度には予算と無関係でございますので、そういう手続になったのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/51
-
052・村上勇
○村上国務大臣 ちょっと私からお答えいたします。私は、東海道の議員立法の方は直接の担当者でないから、あまり勉強しておりませんが、この法案には本年度予算とか何とか、まだ予算の措置については何らうたっていないように聞いております。そうしますと、何ら予算を縛るものでないのでありますから、あえて差しつかえないのではないかと思います。調査した結果、これからどうするかということは今後の問題でありまして、中央道と違う点は、中央道はすでに従来一億数千万円の予算をもって調査いたしましたが、本年度の予算の中にも、三千万円という調査費がついておりますので、これはどうしても路線決定をしてもらって調査にかかる。ところが、東海道の方は、従来必要に応じての調査はいたしておりますけれども、しかし、三十五年度の予算でどうせいとか、あるいは来年度の予算にどういうふうにせいというような、予算についての約束が何ら示されていないのでありますから、あえて私は差しつかえないものと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/52
-
053・羽田武嗣郎
○羽田委員長 中島君に申し上げますが、法案の内容について審議に入っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/53
-
054・中島巖
○中島(巖)委員 つまり、法案を審議をする価値のある法案かどうかということが、一番の問題です。従って、審議の一番最初にやらなければならぬことは、この法案を委員会で審議していいか悪いかという問題なんです。それで、道路局長や建設大臣じゃ、こういうことはわからない。従って、法制局長を私の方では要求したわけです。そうしたら、道路局長が答弁すると言うから、今の答弁を聞いてみると、道路局長の答弁も、建設大臣の答弁も、意を満たさない。これは建設の費用をこの予算に提示せよということじゃなくて、この法案は予定路線をずばりきめてあるでしょう。それから、提案者も昨日、調査してということを言っているでしょう。そうすれば、調査費用が要るわけじゃないですか。従って、その費用をこの法案に計上せぬ限りは、この法案は適格なものでないから、本委員会で審議すべき法案でない。はっきりしておる。一言このことについて提案者である遠藤さんに御答弁を求めます。
早急に法制局長を呼んで下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/54
-
055・木村守江
○木村(守)委員 議事進行。ただいま中島委員の御発言ですが、この東海道幹線自動車国道建設法案につきまして、この法案はここで審議する価値があるかないかというような御発言があったようでありますが、この言葉は適正な言葉ではないんじゃないかと考えます。適当な方法をとりまして、議員提案によってこの委員会に付託されております関係上、かような言葉は取り消してもらいたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/55
-
056・羽田武嗣郎
○羽田委員長 それでは、ちょっと理事会を開きまして、今の取り消すかどうかということについては、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/56
-
057・中島巖
○中島(巖)委員 国会法に適しているか適していないかということをただしている。だから、法制局長を呼べというのに、法制局長が来なくて、道路局長が答弁している。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/57
-
058・羽田武嗣郎
○羽田委員長 きのうから言う通り、内容の審議に入っていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/58
-
059・加藤鐐造
○加藤(鐐造)委員 委員長は盛んに 参内容々々と言われるが、中島君の申しておられるのは、この法案が適法であるかないかということを質問しておるわけです。これは委員として当然質問する権利があるのです。たとえば自民党あるいは社会党の一部に、適法であると考えられても、委員の中に、これは妥当でない、法の精神からはずれていると考えたら、質問するのはあたりまえです。それに対して答弁するのはあたりまえです。法制局長というのは、そのためにあるのじゃないですか。委員長がそれを押えるというのは、どういうわけですか。委員長が片寄っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/59
-
060・羽田武嗣郎
○羽田委員長 私は全然片寄っていないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/60
-
061・金丸徳重
○金丸(徳)委員 私も今のことにつきまして申し上げたいのでありますが、実は昨日からの論議の中で、三党提案であるということが非常に強く言われております。まさにそうでありましょう。各党の議員が名を連ねておりますから、三党提案ではあろうと思いますが、実際問題といたしまして、私ども社会党に属しておりますが、これについて詳しく党内で論議する時間もなかった。それで、ほかの委員はどうか知りませんけれども、私、賛成者の中にも提案者の中にも入っておりません。そこで、そういういろいろの疑義の点は、この委員会において足らざるところを補う意味において、そういう時間が与えられていいのじゃないかと思います。もとより三党提案であり、完全に党内において意見が調整せられ、そうしてある者は提案者となり、ある者は賛成者となったという、こういう意味の完全なる三党提案でありますれば、私はこういう問題は起こらないと思うのです。御承知のように、また、これをごらんになるとわかるように、社会党の中にも幾人かは名をはずされております。調べればおそらくわかると思うけれども、自民党の中にもそういう方がおありだろうと思う。そういう意味におきまして、これは党議の方で縛られるということは私も承知しておりますが、しかし、時間的に間に合わなかったという意味の補充をなおここでやられることは大切だと思うのであります。そうしてこのことは、今、法制局長を呼んで話を聞いても、そんなに長くはかからない。全部が名を連ねておるわけではないという意味で、これは完全なる三党提案ではない。そういうことで、足らざるところを補う意味の時間として、長くかかるわけでないから、一つ御討議を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/61
-
062・羽田武嗣郎
○羽田委員長 それでは、中島君の要求通り、また加藤君、金丸君の要求もありますから法制局長に来てもらうことにします。
暫時休憩をいたします。
午前十一時四十五分休憩
————◇—————
午後零時十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/62
-
063・羽田武嗣郎
○羽田委員長 会議を再開いたします。
西澤衆議院法制局長、濱中同第四部長及び野木内閣法制局第二部長の出席を得ましたので、直ちに先ほどの質疑を継続いたします。
中島君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/63
-
064・中島巖
○中島(巖)委員 法制局にお尋ねいたします。実は昨日突如として東海道幹線自動車国道建設法案が提案されたのであります。この内容を御存じかどうか知りませんけれども、この法案の第二条に予定路線というのがありまして、その予定路線は「前条に規定する幹線自動車国道の予定路線は、起点を東京都、終点を名古屋市附近とし、主たる経過地を横浜市附近、静岡市附近、浜松市附近及び豊橋市附近とする。」こういうふうに、はっきりと規定をいたしておるのであります。これと同じようなもので、国土開発縦貫自動車道建設法という法律がありますけれども、この法律は、主たる経過する基準の地だけをきめまして、そうしてあとは一切政府にゆだねたわけであります。従って、政府は東京—小牧間については三年の日子と一億六千数百万円の調査費を使って、昨日提案になりまして、昨日委員会にかけておる。従いまして、予定路線の法案を提出するまでに、それだけの日子とそれだけの費用がかかって、そして実に膨大なる、審議会は何冊かの、二寸も三寸もの厚い調査資料を出して報告をいたしておるのであります。この法案は、驚くべきことに、こういうように予定路線をずばりきめておるわけであります。従いまして、先ほど提案者たる遠藤三郎君の御意見を聞いておりますと、ことし調査をして、そうして来年度から実施するのだというようなことを言われておったわけであります。これは速記を調べればわかります。従って、これを調査する予算も要るわけだし、その他の印刷物等のいろいろな予算も要るわけだ、こういう状態であります。大体かいつまんでお話ししたのですが、法案の内容趣旨というものはそういうものであります。
そこで、衆議院規則における第六章第二十八条の、議員の議案の発議及び撤回の項でありますが、「議員が法律案その他の議案を発議するときは、その案を具え理由を附し、成規の賛成者と連署して、これを議長に提出しなければならない。この場合において、予算を伴う法律案については、その法律施行に関し必要とする経費を明らかにした文書を添えなければならない。」こういうように、はっきり規定しておるわけであります。
従いまして、予定路線をずばり出して、本年度調査して、来年施行にかかる、こういう答弁と照らし合わしてみまして、この提出されたる法案は、この衆議院規則第二十八条に違反するものであって、議案として審議さるべき性格のものでない。こういうように私は判断をいたしまして、昨日から法制局の御出席を要求いたしておったわけであります。これについて、得心のいくような、明確な法的御解釈をお願いいたしたい、こう考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/64
-
065・遠藤三郎
○遠藤議員 ちょっと、ただいまの中島委員の法制局に対する質問の要点、私の考えておることと違っておるから、その点を私は一応説明させていただきたい。
この法案が通りましたならば、ことし調査をするということは、申し上げたつもりはありません。ことし以後において予算をとって調査をし、予算をとってだんだん手続を進めて実行する、こういうことを申し上げておるわけであります。それは重大な問題でありますから、その点だけ、はっきり私は申し上げておかないと、法制局のこの点に対する答弁が誤りますから……。もし私が、あなたが今言われたように、言葉が足りない点があるとするならば、私は今申し上げた通りでございますから、修正をしておきますから、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/65
-
066・西澤哲四郎
○西澤法制局長 ただいまの中島委員の御質問でございますが、先ほどお読みになりました衆議院規則第二十八条の条文に書いてありまする「予算を伴う法律案」というものにつきましては、実は現在でも、はっきりした解釈と言うとなんですが、そういったものはないように思っております。しかしながら、先例によってこれが固められているのが現状であろうかと考えております。どの程度のものが予算を伴う法律案と言えるか、あるいはどの程度以下のものが予算を伴わない法律案と言えるかということについての、一定の基準的なものはございませんけれども、しかしながら、従来の取り扱い例等を参酌してみますと、さしあたってその法律案を施行する場合に要する経費、これが必要だという場合には、私はこの条文に該当するものだと考えております。
その意味から申し上げますと、ただいま出ておりまするこの東海道幹線自動車国道建設法案に関しましては、直ちに直接経費を必要とするものがないやに思われるのでございます。もちろんこれについて、施行されますれば、調査も始まることかと考えますが、その調査等につきましては、これは私よく存じかねるが、現在の建設省の予算の範囲内における、予算に計上されておりまする調査費の中で、ある程度カバーしていくつもりではないか、こんなふうにも想像いたします。先ほどもお話がございました、現在ございまする国土開発縦貫自動車道建設法につきましては、必要な経費といたしまして、約八十万円を見込んでおります。これは文章が明らかについてございます。これはしかしながら、調査に要する経費ではなくて、審議会を設置するがために必要であった経費だと記憶いたしております。ところが、今度のこの東海道緯線自動車国道建設法案には、審議会を設けるというようなあれもございませんし、もし調査が始まるとしても、それは建設省の予算の範囲内で支弁し得るものじゃないか、こんなふうに実は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/66
-
067・中島巖
○中島(巖)委員 そこで、法制局にお尋ねいたしますが、国土開発縦貫自動車道建設法提案のときには、審議会の経費、それから事務的雑費、そういうようなことで、この衆議院規則二十八条に基づいて、八十万の経費をつけて、そうして初めて法案が適格である、こういうような判断が出て、提出したわけなんであります。
それから、ただいま建設省の費用で調査をする、こういう問題が起きたわけでありますが、そこでお尋ねすることは、これはむしろ道路局長にお尋ねすることがいいと思いますが、本年度東海道に対して四千三百万円、東海道の交通対策調査費の費目でついておるわけですね。これはあくまで、東海道の交通対策を緩和するについてはどういう処置をするのがいいか、こういうことによってついてさるところの費目である。こういうようにわれわれは、委員会の審議を通じて了解しておるのでありますが、この項目について道路局長から御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/67
-
068・高野務
○高野政府委員 ただいまの中島先生の御質問は、東海道に対する調査費をどういうふうに使っておるかという御質問でございますが、これにつきましては、東海道は御承知の通り、交通は相当逼迫して参りました。交通事情がふえて参りまして、今後どうするかという問題が出て参っております。今年度に限らず、従来も交通調査とかいうものはやっていたわけでございます。交通事情に対する調査は、今の東海道をどういうふうに持っていったらいいかということは、従来もやっていたのでありますが、四千三百万円は、今の東海道をどういうふうに将来持っていくべきかという調査がおもでございまして、この法律が出る出ないにかかわらず、調査費としていただくという調査費でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/68
-
069・中島巖
○中島(巖)委員 従って、法制局にお尋ねいたしますが、この出た法案は、ずばり高速国道を、予定路線はこうであるのだ、政府はすみやかにこれにかかれ、こういう法律案です。ところが、今、道路局長の説明を聞いた通り、東海道の交通対策は、調査の結果どういう対策をすべきかという、こういう費目である。従って、この調査費は流用することができない。それから、その他の調査費もありますけれども、それはあくまで道路整備五カ年計画のワクの中の調査費であって、道路整備五カ年計画のワク外の、番外のこういう飛び出したものの調査費ではないのです。従って、当然これは調査費などを計上して提出すべきものだ。私は、この第二十八条に照らしてみて不適格な議案である、こういうふうに判断するのであります。前例の国土開発縦貫自動車道を見ましても、ああいうようなものは、政府はちゃんと八十万予算をつけておる。一銭の予算もないというような理屈はどうしても成り立たない。こういうふうに解釈するわけですが、御意見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/69
-
070・西澤哲四郎
○西澤法制局長 私、建設省の予算の詳細を存じません。今、東海道の交通調査費というお話がございましたけれども、それ以外においても何らかの調査費があるやに聞いております。また、こういったものに使用し得るようなものもあるやに聞いております。詳細のことにつきましては、建設省の方からお答え願いたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/70
-
071・中島巖
○中島(巖)委員 法制局長は御存じないので、御無理ないと思いますけれども、そのほかにありましたところが、道路整備五カ年計画のワク内のものであって、ワク外の調査費は一銭だってあるはずがないのです。はっきりしておるのです。
それはそれとして、次に法制局長に伺います。ただいま局長の答弁のように、東海道の交通は今後どうすればいいかということで、本国会において四千三百万の調査費をとったわけです。その調査費によって、現在の横浜にできたバイパスみたいな四車線で——あれは一キロ二億くらいでできるのです。従って、あのバイパスをこしらえれば、三百五十キロとしても東京—名古屋間七百億あればできる。ああいうものでいいか、あるいは規格によって二千億近くの高速道路をこしらえるか。こういうものは、ことしの調査の結果を待って結論がでるわけでしょう。そういうことですよ。東海道の調査費というものは、そういう結論を得るためにとっておる調査費なんです。それを一方、議員立法でもって、その調査を待たずに、ずばり高速道路の予定線はこれなんだ、これを作らなければいかぬのだ。こういう法律が同一国会に出てきた。従って、名前は違っておっても、国会というところは一事不再議である、こういうふうに解釈するが、法制局の解釈はいかがですか。わかりやすくいえば、ちょうど売春対策調査費というものをこしらえて、売春関係をこっちでは調査しておる。そのさなかに、同一国会で売春禁止法が出てきた。これと同じことなんです。僕はこれは一事不再議だと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/71
-
072・西澤哲四郎
○西澤法制局長 ただいまの御質問でございますが、一事不再議の原則と申しますのは、ちょっとこの場合、私は当てはまらないのではないかと考えております。今お話しのように、本年度で調査をして、それからその結論は後に出てくるはずであるというのに対しまして、議員さんの方から、それはもうほぼ確定的にこの予定地を通った道路を作るべきだという法律案が出たといたしましても、それは予算と法律案の性格から考えましても、一事不再議の原則には触れないものだ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/72
-
073・中島巖
○中島(巖)委員 道路整備五カ年計画は、岸内閣の内政面における重大施策でありまして、これが確立して、それに基づくところの道路整備緊急措置法によって現在行なわれているわけです。これは法制局でも御承知だと思います。これは、ことしは二年過ぎただけで、第三年目に入ったわけです。これについては、財源措置もちゃんと、はっきりしている。そして、道路整備緊急措置法の第二条を見ていただくとわかりますけれども、第二条第二項において事業の量その他をちゃんときめてしまっている。たとえば有料道路におきましては二千億を計上いたしまして、そのうちに中央自動車道等に九百八十何億、首都高速道路公団に対しまして五百八十何億、そうして三十幾つかの道路に道路公団が着工いたしておりますが、これ対して四百一億、こういうようにきちんとワクがきまっておる。ここへ突如として今度の驚くべきところのワンマン立法が出てきたわけだ。
そこで、法制局長にお尋ねすることは、道路整備緊急措置法の第二条そのものは、精神において、実際において、これだけのものをやることということを閣議決定をして、はっきりしている。そこで、条文に抵触するせぬということは、これは議論の余地があると思うけれども、これは明らかにその法の精神において道路整備緊急措置法違反である、こういうように解釈するのでありますが、御検討願って、間違いのないようにお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/73
-
074・西澤哲四郎
○西澤法制局長 道路整備緊急措置法の第二条には、仰せの通り五カ年計画がきめられておりますが、この東海道幹線自動車国道建設法案がもし通るということになりますれば、当然に私は、この第二条にいう道路整備の目標または道路整備の事業の量に変更を来たしてくるのではないかと考えております。そうした場合におきましては、第二条第五項の規定によりまして、五カ年計画を変更するという手続も必要になってくるのではないか、こういうふうに考えております。私は、第二条の規定があるからこれが不動のものであって、そして必ずこの通りやらなければならないという性格でもない。やはりこういった必要性が特にあるといたしますれば、この新しい法律案のようなものができても差しつかえない。しかも、それは第二条第五項に該当することになるから計画を変更する、こういう手続はもちろん必要であるにいたしましても、第二条に違反しているということまでは言えないのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/74
-
075・中島巖
○中島(巖)委員 そうすると、法制局長の今の御答弁は、法律違反ではないのだ、第二条の事業の量その他を変更せねばならぬ、こういうように解釈してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/75
-
076・西澤哲四郎
○西澤法制局長 実際問題といたしまして、どういうふうに動いていくかわかりませんけれども、私はそういった必要も起こる場合もあるではないか、こういうふうに解しております。必ずしもそれが自然的に第五項の規定によって変更しなければならないということもあるいは起こり得ないかとも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/76
-
077・羽田武嗣郎
○羽田委員長 加藤鐐造君より関連質疑の通告がありますから、これを許します。
加藤鐐造君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/77
-
078・加藤鐐造
○加藤(鐐造)委員 西澤局長は衆議院規則二十八条の解釈をだいぶ歪曲されているのじゃないかと思うのですが、これは明らかに「予算を伴う法律案については」と書いてあります。本年度に予算を必要とするとかしないとかいうこととは、違うのじゃないですか。この法案そのものが多額の予算を伴う法律案であることは明らかである。(「中央道法案もそうじゃないか」と呼ぶ者あり)政府提案と議員立法とは違うのです。それで、先ほどの西澤局長の説明によると、何か本年の予算を伴わなければという解釈のようでありますが、それではこの法案の精神と違うのじゃないかと思うのです。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/78
-
079・西澤哲四郎
○西澤法制局長 ただいまの御質問、ごもっともな点も十分ございますようでありますが、従来の取り扱い例から見ますと、そういった取り扱いになっているということを申し上げているわけでございます。たとえてみますと、来年度から施行するというような法律につきましても、その翌年度、つまり二年度から以降の経費が当然増額していくというようなものにつきましては、実は計上の方法がないのでございます。従って、それは初年度だけ計上するようなこともございます。ところが、その初年度をやってみますと、一億の見込みが、翌年ごろになって三億になるか四億になるかというような場合も生じてくるわけでございますが、そういった場合においては、結局初年度の問題のみ見通しをつけるという方法を、実はただいまとっているような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/79
-
080・加藤鐐造
○加藤(鐐造)委員 私はそういうことを聞いているのじゃないのです。明らかに「予算を伴う法律案については」と書いてあるのですよ。過去の慣例を言われたが、過去に多少そういう悪い慣例も、議院規則を無視した慣例もあったことは私も知っております。しかし、この東海道高速自動車道につきましては、何千億というような予算を伴う法案については、これは特に慎重に考えなければならぬと思うのです。これは、はっきり書いてあるものを、そういう曲解をするということは悲しいと思うのです。国会において法を守るあなたが、国会議員の多数の意思に屈服したとおっしゃるなら別です。法を守る立場にあるあなたは、この法を守る立場に立ってどう解釈されるかということを聞いておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/80
-
081・西澤哲四郎
○西澤法制局長 私どもといたしましては、従来の先例の取り扱いによってやっているということを申し上げておきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/81
-
082・中島巖
○中島(巖)委員 どうも法制局長、おかしいですね。先ほど中央道法案もそうじゃないかとおっしゃったが、中央道法案は一切政府にゆだねて、政府が予定路線を調査してきめるのですよ。ところが、この法案は、もう予定路線をずばりきめてしまったわけです。従って、すぐ建設に入らなければならぬわけです。従って、建設費がどれだけかかってどうだというのは、これについてくるのが当然なんですよ。そうでなければ、この第二十八条違反でもって、国会で審議の対象にならぬだろう、僕はこう解釈します。法制局長に来ていただいて、突然こういう質問をしたって、実際はこの法律の内容を見なければおそらくおわかりにならぬと思う。従って、今ここですぐ即答はけっこうですから、一、二時間のうちに、一つお帰りになって調べて、文書でもって御回答願いたい。こういうことを要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/82
-
083・西澤哲四郎
○西澤法制局長 先ほどから申し上げましたように私どもは考えているのでございます。もちろん、二十八条の解釈につきましては、いろいろお考え方があるということは、私は前から申し上げておる通りでございます。現在の衆議院における取り扱い例から、こういうふうに解釈していくのがいいのではないか、こう考えているわけでございます。従いまして、これが私は議題としていいか悪いかというような問題につきましては、これは皆様方でおきめを願えばいいわけでありまして、私どもとしては、現在のこの取り扱いで差しつかえないと、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/83
-
084・羽田武嗣郎
○羽田委員長 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時四十六分休憩
————◇—————
午後二時三十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/84
-
085・羽田武嗣郎
○羽田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続けます。中島巖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/85
-
086・中島巖
○中島(巖)委員 それでは、まだこの法律案に対しまして全然私たちは質疑に入っておらぬわけでありますが、大臣からいろいろなお話もあり、また東海道派の諸君も、中央道に対しまして極力尽力されるという意思表示をされましたので、三十分間で質問を終わる予定であります。非常に簡略に、要点のみを申して質問いたしますから、提案者もそのつもりでお答えを願いたいと思うわけであります。
まず最初に、提案理由の説明についてお尋ねいたしますが、提案理由の説明には第五まで列記をいたしてあるわけであります。これの第一、第三、第四、第五は高速自動車国道法と同じ条文である。従って、これは別に新しい法律をこしらえる必要のないものだ。そこで、違っておるところは、第二の、法律でずばり予定路線を定めてあることである。これが重大な違いなんです。それから、ただいま申し上げましたように、第一、第三、第四、第五は高速自動車国道法と同じ条文を麗々しく掲げて、そして非常に重大な審議会を省略することを附則の二に持ってきてある。この提案理由の説明を見ても、法律そのものも実に巧妙なる知能犯的性質の者が作成した法律なんです。これはおそらく遠藤さんではないと思う。あなたみたいな善良な方がやるはずはないと思う。この知能犯はだれかということは、僕も大体聞いておりますけれども。
そこで、第二の予定路線のことについてお尋ねいたしますけれども、予定路線は、中央道におきましては東京から小牧間を三カ年かかりまして、一億六千何百万の予算を使って、そうしてその結果の資料というものは、こんな厚い本が六冊も七冊もできまして、その資料によって説明して、審議会の決定を得ておるのです。従って、予定路線をずばりきめてある以上は、相当な資料があなたの方にあるわけだ。従って、その準備がありましたら資料を提供していただきたいし、まあ、先ほどいろいろなお話がありましたので差し控えるけれども、おそらくこの資料の提出ができぬ限りは、この審議はできぬというのが建前だと思う。そこで、その資料の用意があるかどうかをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/86
-
087・遠藤三郎
○遠藤議員 お尋ねの点は、ごもっとものようでありますけれども、中央道の場合と東海道の場合と事情が違うのでありまして、これは釈迦に説法で、今さら私申し上げるまでもないと思うのです。中央道の場合には、東京—小牧間は赤石山脈の山の中を通っていくのですから、よほど調べなければ、はっきりしないのであります。だから、ああいう二段がまえの法制の建前にしてある。しかし、よく事情のわかっておるところは中央道においてさえも、小牧—神戸間は、小牧—吹田間は、そのものずばりで指定してあるのであります。その建前を東海道にとったわけであります。
東海道の方は、御承知のように、昭和二十五年から、二十五、二十六、二十七年度にかけて、すでにくい打ちまでしたのです。建設省の調査はずっと進んできました。どうしてそれが中断されておったかというと、中央道の法案ができたために、東海道の方に高速道路を作ってはいかぬという建前になってきましたから、建設省は高速道の調査をすることさえもできなかったのであります。そういう事情で、すでに昭和二十五年以前から、この高速道路の問題というものは、もうせっぱ詰まった問題になってきまして、大体の見当というものはついているわけでありまして、それは小牧—吹田間よりも、なおはっきりしているくらいにわれわれは思っているわけであります。現に中央道の問題についても、小牧—吹田間はそのものずばりと、間接的な調査の結果を待ってやるというようなやり方にしないで、そのものずばりできめてあるわけであります。その違いであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/87
-
088・中島巖
○中島(巖)委員 そういうインチキな、しろうとだましのような答弁をしてもだめです。小牧と神戸間は、あの年にすでに予算が二十三億ついておって、そしてバイパス線の計画があって、きちんとできておる。そうして政府に対して質問も数年にわたって調査がはっきりいたしております。すでに予算も二十三億ついております。こういうことで予定路線をずばりきめてある。従って、東海道の調査は別に、昭和三十二年までにやった調査であってこれは私も知っております。従って、あなたがそれほど自信を持って、はっきり言うなら、あなただけ知っておったって、だめだから、はっきりとした資料をつけて出すのが当然じゃないか。そんな子供だましみたいな、しろうとだましのようなことを言ってもだめです。それと、いろいろな裏面でもって話し合いもできておりますし、私はこれ以上追及しません。けれども、普通ならば、とにかく一億数千万をかけて三カ年間も調査して、やっと調査資料でもって中央道の予定路線の方は出てきた。これは法律そのものによって予定路線はぴしゃっときめてあるのだから、当然、東京—名古屋間の調査資料を提出しなければ、審議が進めていかれません。これは、はっきりしていると思う。これ以上追及することはやめておきましょう。
そこで、ただいま申し上げましたように、麗々しく第一、第二、第三、第四、第五と書いてありまして、この第二の問題が、ただいま言ったような問題でありまして、あとの第一、第三、第四、第五は、これは高速自動車国道法そのものをここに掲載しただけである。重大な問題は、審議会を省略することだと思う。その重大な問題を、あなたは提案理由の中に何も言っていない。そしてこの法律においても、ただ附則でもって直す。実にインチキきわまる知能犯法律というのは、ここをさして僕は言う。これに対して御所見いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/88
-
089・遠藤三郎
○遠藤議員 審議会の問題についていろいろとお尋ねでございますが、私ども、審議会の問題については関係議員の諸君と熟慮していろいろ相談をしたのでございます。普通の常識から言いますと、審議会を作ってやるというのが普通の常識でありますけれども、東海道の方は御承知のように、昭和二十五年以前から、ずっと長い間懸案になってやってきておった問題でもありますし、今日非常に輻湊して、もうせっぱ詰まっております。かたがた、中央道とは全く別個の問題として扱っていくのだ、別個の体系でもって扱っていくのだという考えで、中央道の国土開発縦貫自動車道建設法に基づく審議会へかけるということは、むしろ法体系の混乱にもなっていくというふうなことを考えましたので、これは審議会というものを省略してこの法案を進めることがいいではないか、という結論になったのであります。もちろん、これは建設省当局が独断で、勝手なことをやっていいという趣旨ではございません。建設省当局には三十数人の専門委員もおりますから、専門委員会等を開いて十分にその意見を聞き、かつまた、地方の実情もよく一つ聞いていただいて、あくまで民主的にこの法案を進めていただく。そういうことを前提に、私どもはこういう簡便な方法を講じて参ったのであります。その点は、ここに建設大臣がおられますから、建設大臣にとくと一つ注文をして、あまり官僚的なやり方をしないで、よく民意を尊重してやっていただく、こういうふうに運用していただきたい。こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/89
-
090・中島巖
○中島(巖)委員 今の遠藤さんの答弁は、実にインチキきわまるのでありまして、それは一般の道路関係においては道路審議会があって、この審議会にかけておる。それから、鉄道建設なんかについては、鉄道建設審議会にかけておる。それから、国の高速道と国土開発縦貫自動車道については国土開発縦貫自動車道の審議会へかける。こういうように、法体系がずっと一貫しておるわけだ。従って、そういうものを省略して、二千億から予算をかけたのをすぐやるということは、法律の公平という立場から、法体系を全部これは乱してしまうものだ。従って、大体結論がわかっておって、ここでいろいろあなたと議論したり、追及しておってもしようがないから、私はこれ以上追及しませんけれども、これは建設大臣や道路局の諸君に考えていただいて、この法律成立後において、法の構成、法体系の一貫、こういう立場から、これはどうしても復活せねばならぬところの要点だ。こういうふうに私は考えるわけであります。実にこういうような法案をこしらえることは、法体系を混乱して、法の公平ということの片手落ちになる。これについても、あなたと一問一答をやれば、何時間かかるかわからぬけれども、私はその程度でおきますから、建設大臣はこの点はお考えになって、全体の法の体系のバランス、公平、そして法体系を乱さぬ。この基本的立場から、適当な時期にこれは訂正していただくべきものである、こういうようにお願いをいたしておくわけであります。
次に、法律に基づいて御質問いたしますけれども、この立法の一番の重点のところを附則でもって訂正するということは、これはどういうわけなんです。これは、あなたではどうも御答弁が困難だと思うから、政府委員でもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/90
-
091・遠藤三郎
○遠藤議員 今のお尋ねの趣旨がはっきりしませんが、全部重要なんですけれども、どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/91
-
092・中島巖
○中島(巖)委員 それでは、はっきり申しますけれども、先ほども申し上げたように、この提案理由の説明にも大きく一、二、三、四、五と打ってあるところは、こんなものは附則で直せるものなんです。これは高速自動車国道法と同じものなんです。附則で直せるようなもので、だれが見てもなあんだというようなものをここに麗々しく出しておいて、一番中心課題の審議会を省くということを、ここでちょっともうたってなくて、そうしてこの法案の附則でもってうたってある。これはどういうお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/92
-
093・遠藤三郎
○遠藤議員 最近は立法技術もだんだん進んできまして、私も詳しいことはあまり存じませんが、これはもっぱら法律技術屋の法制局なんかと相談をしまして、こういうことでよろしいということですから、必要にして最小限度の規定を設けた、こういうことでやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/93
-
094・中島巖
○中島(巖)委員 それ以上私が突っ込んでも、遠藤さんが自分で立法したんじゃないから、おわかりにならぬでしょうから、この程度にしておきましょう。
それから、非常にこの法案の重要なことは、予定路線法案を先ほど申す通りずばりきめておいて、そうして建設に対しても、すみやかにやらなければならぬといって、法でもって行政府を縛ってしまっておる。こんな法律が出たら、建設省はほかのことなら、常なら、やっきになって反対する。それで、私が想像するところ、遠藤さんと建設官僚の合作で、自分の都合のいい法律だからこういうふうにやったのだろう、こう考えるわけなんです。建設関係までを、この法律でもって行政府の権限を縛ってしまってある。従って、これは開き直って申し上げれば、建設費の概略予算までこれにつけて出さなければいかぬ性質のものだ、こういうように私は考えるわけです。提案者の遠藤さんは、どういうお考えでこんな行政府まで縛ってしまう法律をお作りになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/94
-
095・遠藤三郎
○遠藤議員 おっしゃる通り、この法律が出ますと、建設省に対する非常な強い推進力になると思います。私どもはそれがねらいであります。役所というのは、ここに建設省の首脳部がおりますけれども、なかなかやらないのであります。幾ら言ってもやらないものであります。ですから、国会の総意でもってやらせるより仕方がない。これがいいというなら、こうなんだぞといって行政府を縛らなければいけないのであります。そういう意味で、初めからそういう考えですから、それは一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/95
-
096・中島巖
○中島(巖)委員 ずいぶん勝手なことを言われるわけですが、それから、建設当局の大臣でも、道路局長でもよろしいですが、質問をいたします。
政府は、今国会に東海道の交通処理対策費として四千三百万円を計上いたしてあるわけであります。この四千三百万円の交通処理対策費は、先ほど局長から答弁がありましたように、東海道の交通をどういうふうにしたらいいかという調査費であって、この結論を待ってどういう道路事業をやるかということだ、こういうように解釈しておるわけでありますが、それでいいかという一点。
それからまた、この交通処理対策費は、ただいま申し上げた予算に使えるだけで、ほかのものには使えない。こういうふうに僕は解釈しているのですが、この二点について御答弁をお願いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/96
-
097・村上勇
○村上国務大臣 御指摘のような趣旨の予算であり、東海道の交通について、あらゆる観点からこれを調査するという費用でありますから、現在のままで十分間に合うということになれば、これをどうこうする必要はないのですが、しかし、現在のままではいかぬ、どうしても高速道路をもう一本新しく設けなければならぬという結論が出たならば、その方の調査費に使うことができるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/97
-
098・中島巖
○中島(巖)委員 これは、先ほど法制局長にもちょっと質問したわけでありますが、片方で東海道交通をいかに処理すべきかという予算を盛っている。これは三月三十一日に成立した予算であります。同一国会に、一カ月か二カ月たたぬうちに、片方は政府が調査して結論を出すというところに、今度はずばり高速道路建設の法案が出てきて、今や東海道方面の御熱心な各位のお力でもって、ここに成立するという、こういう状態になっているわけです。これはたとえば、この国会で売春をどうするかということで売春処理費というものを計上しておいて、そうして売春禁止法ができたのと同じ理屈ですよ。今後の売春対策をどうするかということで、売春対策の研究費を計上しておいて、そうして、議員立法でもって売春禁止法ができたと同じ理屈になっている。これは法の上においても矛盾を感ずるわけですが、これに対して矛盾をお感じになりませんかどうか。これは一つ遠藤さんと大臣にお答えを願いたいと思う。矛盾を感じないとしたら、これは大した心臓だと思うのです。
〔「社会党から答弁しろ」と呼ぶ者〕
あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/98
-
099・勝澤芳雄
○勝澤議員 別に矛盾を感じないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/99
-
100・中島巖
○中島(巖)委員 先ほども勝澤さんは、私どもの山中委員の質問に対して、鉄道なら、駅があって乗るところでなければ一々とまらぬけれども、高速自動車道路ならどこからでも乗り入れができるから、みな歓迎しているとおっしゃいましたけれども、高速自動車道にも鉄道の駅と同じようなインターチェンジというものがあって、そこからしか乗り入れができないのです。
それから、さっきの審議会の件について御参考までに申し上げておきますけれども、例の国鉄の東海道新幹線建設にあたりましては、国鉄としましては、現在の鉄道に沿って今の狭軌の鉄道を作るか、あるいは別に複々線を作るか、あるいは広軌の鉄道を作るか、こういう幾つもの案をこしらえて鉄道建設審議会に諮りまして、それによって決定して、現在の東海道新幹線の工事に着手した。こういう事情があるわけであります。
従って、くどいようでありますけれども、そういうようなことをいろいろ勘案いたしまして、この審議会をはずすというような、こういう暴挙の法律はなるべくすみやかに直すべきであるということを申し上げておきたいと思います。
それから、もうあと六、七分しか時間がありませんから、大臣にお尋ねいたしますけれども、これは単に東海道のみならず、東北であるとか、あるいは中国であるかと、九州であるとかいうところから、こういうような立法がかりに出てくると、これは重大な問題だと思うのです。これは基本的にいって、こんな新しい立法を作って法体系を乱さなくても、高速自動車国道法によって政府が路線を指定すれば、東海道はできるのです。それで、あと中国からも、四国からも、東北からも、北海道からも、こういう立法が出てきたときには、どういう処置をするお考えであるか。政府として、これは重大な問題だから、相当の意思表示をこの際しておいていただかなければならぬ、こういうように考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/100
-
101・村上勇
○村上国務大臣 政府といたしましては、たといこの種の法案が出ましても、その重要度の高いところから、その法をどこまでも適用していくということで、重要度と国家財政というものとにらみ合わせて実施に移していく、というように考えていく以外にないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/101
-
102・中島巖
○中島(巖)委員 それでは、時間もありませんので、まあ、全体に対して非常に不満であり、御答弁も、全く不満な御答弁ばかりで、はなはだ遺憾に思う次第でありますが、大蔵政務次官がお見えになっておりますので、これは、当然こういう予算を伴う法案を提出するについては、政府の意向、特に大蔵省の意向を聞かねばならないのであります。
そこで、中心の問題に触れますけれども、小牧—東京間は、建設省の調査結果は、三千二百億かかる、こういう発表をしたわけです。われわれは、二千億以内でできるし、それからさらにこれを二車道にすれば一千二百億くらいで、小牧—東京間はできる。こういうように考えておるわけでありますが、それは議論になりませんが、とにかく三千二百億という予算がかかる。それが政府提案によって昨日当委員会において可決されて、本日でも本会議があれば成立する、こういう状況になっておることは、大蔵政務次官も御存じだと思います。そこへ、さらに約二千億を要するところのこの法案が上程されたわけであります。従って、これらの予算措置というものに対して、それは一般予算であろうと、財政投融資であろうと、外資であろうと、これは国の責任においてやることでありますから、変わりのないわけであります。それで、この法案成立に対しまして、大蔵当局としての御意見はどうであるか。この点、はっきりとお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/102
-
103・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 お答え申し上げます。正確な法案の名前は約しますが、いわゆる中央道整備に関する法律案と、それから東海道幹線整備に関する法律案、両法案とも成立いたしました場合、その予算の関係はどうか、こういうことでございますが、両法案とも国会で成立いたしました暁におきまして、政府におきましてそれぞれの整備計画を調査、立案いたしまして、そして、かかるわけでありますので、その調査の経費につきましては、この法案が成立いたしますれば、その経費は振りかえることのできる費目はございます。
なお、実際の整備にかかる予算については、これは今年度は必要ではないと思っておりますので、法律案が成立しますならば、今後実行できると思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/103
-
104・中島巖
○中島(巖)委員 大蔵省は、長期経済計画というようなことを言って、立てておるわけであります。従って、そう今のような、目先の言いのがれでなしに、片方は二千億金がかかるのだ、もう片方は三千二百億かかる。五千二百億の金がかかるのだ。これは三年でいくか、五年でいくか、八年でいくかということは別問題として、とにかく、この法律のまた、とんでもない特徴は、すみやかに、「すみやかに」という言葉を入れてある、政府をすっかり拘束してしまったわけです。従って、
これだけの膨大な予算を、とにかく三年か五年のうちにまかなわなければならないのだが、長期経済計画の立場から見て、大蔵省としても相当な関心を持って、省議できめて、本委員会において態度を表明すべきものである、こう僕は期待しておったわけです。非常に期待はずれをしたわけです。これ以上あなたをここで追及しても仕方がないと思いますので、御答弁は要りません。
大体この法案全体を通じまして非常に驚いたワン・マン法律である。こういうことを言い、それから、法律技術が非常な、何というか、完全犯罪に近い、知能犯的な法律である。こういうふうな印象を受けたわけであります。以上をもちまして、自民党の方の約束もありますので、質問を打ち切ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/104
-
105・羽田武嗣郎
○羽田委員長 最後に、木村守江君より総括的質問をいたします。木村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/105
-
106・木村守江
○木村(守)委員 昨日は、本委員会におきまして国土開発縦貫中央自動車道の予定路線を決定する法律案が可決されまして、きょうは、今また東海道幹線自動車国道建設法案が可決されるような状態に立ち至っております。この両法案をめぐりまして、御承知のように、国会におきましては非常な関心を持たれて、いろいろな論議をかわされたことは御承知の通りでありますが、そのよって来たるべきところは、両法案は通ったが、果たしてこの法律を生かして、両方の道路を完成することにはどういうような熱意があるだろうか、どういうような方法でこの実施ができるだろうか、というような大きな心配があるだろうと考えるのであります。特に中央道におきましては、ややもすれば、東海道の法案が通りますれば、中央道の建設というものが閑却されるのではないかというような御意見がありまして、いろいろな論議をいたしたかと存じまするが、これに対しまして、両法案が今まさに委員会を通過せんとするときにあたりまして、建設大臣といたしましては、いかがお考えなされておりますか。これに対しまして、所信をお伺いいたしたいと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/106
-
107・村上勇
○村上国務大臣 両法案とも、私、しばしばお答えいたしましたように、その性格を全く異にいたしておりますので、それぞれその法案の趣旨に沿って、これが実現をはかりたいと思っておる次第であります。特に中央道につきましては、路線決定の法案が成立いたしましたならば、直ちに本格的調査に着手いたしまして、可及的すみやかに予算措置をいたしました上、着工いたしたいと思っております。東海道の高速自動車道路につきましては、もとよりこれは追い詰められております関係上、その調査の結果を見て、これはできる限り有料道路についての措置をして、それぞれその目的を達成いたしたい。かように思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/107
-
108・木村守江
○木村(守)委員 ちょうど大蔵政務次官がおいでになりますので、大蔵省としての所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/108
-
109・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 ただいま建設大臣がお述べになりました御意思をできるだけ急速に実現できるように、大蔵省としても善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/109
-
110・羽田武嗣郎
○羽田委員長 お諮りいたします。本案に対する質疑はこれにて終局いたすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/110
-
111・羽田武嗣郎
○羽田委員長 御異議ないものと認め、さように決します。
この際、政府当局より本案に対する御意見があれば承りたいと存じます。
〔「済んだ、済んだ」と呼ぶ者あり〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/111
-
112・羽田武嗣郎
○羽田委員長 これより本案の討論に入るのでありますが、討論の通告がありませんので、討論を行なわず、直ちに採決を行ないます。
東海道幹線自動車国道建設法案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/112
-
113・羽田武嗣郎
○羽田委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手)
なお、本議決に伴う報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/113
-
114・羽田武嗣郎
○羽田委員長 御異議なしと認め、さよう決します。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時十二分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404149X02019600518/114
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。