1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月十日(木曜日)
午前十一時二十六分開議
出席委員
委員長 永山 忠則君
理事 大坪 保雄君 理事 田中 正巳君
理事 八田 貞義君 理事 藤本 捨助君
理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君
理事 堤 ツルヨ君
池田 清志君 大橋 武夫君
亀山 孝一君 川崎 秀二君
齋藤 邦吉君 古川 丈吉君
柳谷清三郎君 山下 春江君
亘 四郎君 赤松 勇君
大原 亨君 五島 虎雄君
中村 英男君 本島百合子君
出席国務大臣
労 働 大 臣 松野 頼三君
出席政府委員
労働政務次官 赤澤 正道君
労働基準監督官
(労働基準局
長) 澁谷 直藏君
労働事務官
(職業安定局
長) 堀 秀夫君
委員外の出席者
議 員 齋藤 邦吉君
大蔵事務官
(主計官) 岩尾 一君
労働事務官
(職業安定局失
業保険課長) 鈴木 健二君
専 門 員 川井 章知君
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三月十日
委員黒田寿男君辞任につき、その補欠として中
村英男君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法
律案(齋藤邦吉君外二十三名提出、第三十三回
国会衆法第二三号)
船員保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、第三十一回国会閣法第一六八号)
労働関係の基本施策に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/0
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001・永山忠則
○永山委員長 これより会議を開きます。
齋藤邦吉君外二十三名提出、失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案及び内閣提出、船員保険法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。質疑を許します。大原亨君。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/1
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002・永山忠則
○永山委員長 速記を始めて。大原亨君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/2
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003・大原亨
○大原委員 最初にお尋ねしたい点は、失業保険の特別会計は、これは一本になっていると思うのですが、その内訳の中で、一般の失業保険と日雇い失業保険があると思いますけれども、その大体、赤字、黒字の状況、それを分けてお答え願いたい。
〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/3
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004・鈴木健二
○鈴木説明員 失業保険の給付の問題でございますが、一般失業保険につきましては、二十九年度におきまして十二億ほどの赤字が出ました以外は全部黒字でございます。
日雇い失業保険につきましては、二十七年に六千二百万円、三十年に三千八百万円、三十三年に五十万円、その程度の赤字が出ました以外は全部黒字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/4
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005・大原亨
○大原委員 一般の失業保険の会計と、それから日雇いの失業保険の会計は、これはいわゆるどんぶり勘定というか、一括して失業保険の特別会計と、こういう仕組みになって運営されておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/5
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006・鈴木健二
○鈴木説明員 そういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/6
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007・大原亨
○大原委員 それで、日雇い失業保険という制度は外国にはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/7
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008・鈴木健二
○鈴木説明員 私どもが知った範囲では、日雇い失業保険制度はないというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/8
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009・大原亨
○大原委員 今の現状において、日雇い失業保険をやはり作っていくということについては、これは私どもも推進したり賛成をしたりいたしたわけでありますが、日雇い失業保険の趣旨につきましては、現状において他の国にないというのは、雇用の制度、あるいは労働組合の結成状況や、まあ臨時工、社外工、他の一般の日雇い労働者というシステムがなくて、週給制とか、そういうことが賃金の原則になっているかと思うのです。だから、日雇いという形で、非常に不安定な無権利の状況で雇用がある、こういうことは、私はやはり日本の二重構造の特殊性だと思います。そこで、これはできるだけ一元化する方向にやはり改善をすべきだと思うのです。日雇い失業保険は、一般失業保険一本にするとかその他内容を改善しまして、よくしていくべきだと思うのですが、労働大臣は原則的にいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/9
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010・松野頼三
○松野国務大臣 日雇いの前進と同時に、雇用形態をなるべく長期雇用にするということが雇用形態の基本であります。しかし全体的には日雇いというものが存在する以上、日雇いに対する対策も立てなければなりませんが、これを永遠に続けるというよりも、やはり基本的には、一般の雇用条件の改善が、やはり労働省の基本であります。しかし日雇いがゼロになることはなかなかむずかしいのでありますから、その対策の一部として、日雇いというものも考えなければならない、こういう考えで今日おるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/10
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011・大原亨
○大原委員 日本のそういう現状を打開する、二重構造を是正をしていくという面におきましては、そういう中小企業や、あるいは無権利状態の社外工、臨時工、そういう労働者、その他日々雇用の労働者、そういう状況をなくしていく、引き上げていく、半失業の状況をなくしていく、こういうことが一つと、社会保障制度が一つで、今社会保障制度というのが最低の基底になると思うのです。失業保険は、一つの所得保障、社会保障でございますから、これをずっと引き上げていくことが、全体としましては、やはりそういう国民生活水準を引き上げていく、所得を倍増していく非常に大きな基本になると思うのです。労働大臣としましては、所得倍増計画については、経済企画庁はどんどん作業を進めておるということを盛んに答弁しておるけれども、なかなか内容はむずかしいけれども、やはり社会保障制度を充実していく、保険制度も充実していく、そうして二重構造、雇用形態、賃金形態等まで是正していく、そういうことで底をずっと上げていくことが、やはり国民生活水準を具体的に上げていくだけでなしに、安定さしていく、こういうことになると思うのです。労働大臣は原則的にいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/11
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012・松野頼三
○松野国務大臣 御説の通りであります。今日政府は長期経済計画を立てておりますが、これは雇用問題がむずかしいということ以外に、いろいろ長期経済計画のむずかしい点はたくさんございます。一番大きなものは、十年間の財政投融資を幾らにするかということなどは非常にむずかしい問題なんです。将来の予算をある程度見込みをつけなければ、こういうものは出て参りません。そういうところに実はむずかしさの根本があるわけで、雇用計画というのは労働省としては十年後の問題を立てられると思っております。しかし総合的になると、いろいろそういう場面が出てくる。あるいはまた治山の問題の十年計画とかいろいろな案がありますが、総合するとなかなか早急にはまとまらないというので、今日いまだに作業を継続しておるわけで、労働省が計画が立たないから十年の経済計画が立たないという意味ではございません。もちろん労働省もその中にあって最も正確なものを立てたいという意味で、たびたび御指摘がございますけれども、潜在失業者というものが労働省の中の統計では一番むずかしいものであります。しかしこれは幸い今年は国勢調査の年であります。国勢調査の結果によれば、もっと明確にわれわれの統計も前進させられると信じておりますが、今日労働省の統計では潜在失業問題が統計上非常にむずかしいというふうなところに雇用問題の焦点がある。それで基本的にはなるべく底上げをしていくことであります。これは当然であります。そのため今回家内労働の調査に着手いたしました、そのほかに雇用問題で一番不遇な身体障害者の問題を実は今回提案をいたしたわけであります。もう一つは、昨年御審議いただいた最賃法による賃金の底上げをはかる、一連のものを考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/12
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013・大原亨
○大原委員 たとえば今の最低賃金法にいたしましても、昨年政府が提案されましたのは底が抜けておるわけで非常に不完全なものでありますが、最低賃金制の具体的な政策というと、やはり失対労働者の賃金は、中小企業やその他無権利状況の雇用の賃金に対しまして、政府が一応の最低の一つの基準を示す、こういう意味において非常に大きな意味がある。その他生活保護とかあるいは他の保険を含む社会保障、こういう柱があると思うのです。最低賃金制あるいは失対、生活保護、生活保護を含む社会保障、こういう面であると思うのですが、失対の賃金を今回政府の御努力によって今の状況においては二十八円引き上げられました。私どもは、失対の賃金は今の水準でいえば非常に低いわけです。ですからこれを八十円なら八十円上げておいて、大体扶養家族その他を含んで三人以上でありますから八十円上げても最低が八千円ということになります。これは欠格条件がついておるからとても完全なものじゃないと思うのですけれども、八十円上げて、そして逐次十年間に所得を倍増するというのですから、それを最低七・三%ずつでも上げていきますと、十年後には、底が上がっていくのにつれて全体の賃金及び生活水準が倍になっていく、こういうような政策的には具体的なものでないと所得倍増計画というものは底が抜けてしまうのじゃないか。失対の賃金のことで理解を持って大臣は努力しておられるが、しかし政府の中においては無理解な人が一ぱいおるから、上の方が上がって、大きな資本がもうかっていけば——国民所得が十年後には倍になるけれども、しかしその配分を考えてみたら、社会保障を含めて低所得者に対する配分が少ないものだから下には薄くて上には厚くなる。中小企業は少々死んでもかまわぬとか、あるいは貧乏人は麦を食えという一つの考え方、自由競争の考え方というのは何かといったら、放任しておいても上の方がもうかっていけば自然にお前たちも楽になるという宣伝と同じことなんです。それではいけないのであって、特に労働大臣といたしましては失対の賃金の目標を立てて具体的に上げていく、生活保護もそうですけれども、そういうことがあって初めてそれが底になってずっと生活水準が上がって、しかも安定をしていくということになると思うのです。私はこれから主として日雇いの失業保険の問題をやりますけれども、失対の賃金の問題について非常に御努力になって二十八円お上げになって、今までの大臣としては優秀な大臣でありますから、そういう意味において、私どもは現状において非常に少ないと思うけれども、どういう基本的な考え方を持っておられるか、賢明な松野労働大臣に御答弁いただきたいと思います。
〔田中(正)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/13
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014・松野頼三
○松野国務大臣 失対賃金は緊急失対法の規定によりまして今日規定されております。これを動かすわけには参らないのであります。同時に失対というものが永遠のものであるべき姿ではございません。御承知のごとくこれは臨時的なもので、終戦直後の一つの財政の立て方からああいうものが生まれたわけであります。これが永遠のものでない証拠には、臨時という言葉が出ているわけであります。従ってこれを永久雇用という考えは持っておりません。しかし中間的にはこういう失対というものは必要だという必要性は認めておるわけであります。従って今日のような状況になりますと、PWの規定があります以上は、PWの上昇率にはおくれないように失対賃金を上げるということが今日残された唯一の道じゃなかろうか。PWの上昇におくれないように失対賃金をきめるというので、今回はPWの上昇率に応じた九・何%というもので二十八円上げたわけであります。失対ばかり上げればいいというのではない。PWを撤廃して失対ばかり上げればいいじゃないかというと、雇用問題が非常に乱れてきはせぬか。失対がよければ逆に一般雇用が失対に吸収されるという姿は本末転倒だと思います。労働省としては安定雇用に向かうときに失対にみな吸収するという考えは時代逆行だというので、やはりそこに限度が生まれてくるのではなかろうか。基本的にいえば今日の世界の経済はみな雇用問題が国内経済の重要な問題であります。それは先般のガット協定の第一条をごらんいただけばわかるし、今回のIMF基金の第一条にも書いてあります。世界の経済は、雇用というものを抜かした経済はもう出て参りません。かつては、旧式な時代はいわゆる一部の富というものはだれが持っていても富だといいましたけれども、最近は雇用が国民の重要な経済活動の焦点になって参りました。その現われが今日世界経済を動かしていると私は思います。その意味で各国の立て方を——賃金だけを法律できめて賃金を上げようという制度もありましょうし、逆にいうならば経済の発展につれて賃金の上昇をはかるべきだというのもございましょうし、あるいはある程度てこ入れをしてそれを修正しながらやるべきだという国もありましょう。日本の場合はちょうどその中間であります。いたずらに自由競争にまかせるわけにはいかないから底入れをするという賃金制度をとっておるわけであります。それがこの前の最賃法の一つの例でありましょうし、あるいは失対とかいわゆる国できめる、人事院勧告もその通りであります。政府が法律で権限をもって俸給をきめるのが人事院の問題、仲裁裁定の問題、最賃の問題、あるいは政府雇用の問題、失対の問題というのは、政府が権限をもって給与を動かし得るもの、その他は民間の労使関係できめることでありますから、政府が勧告したり監督したりする権限はございません。しかし政府の方向というのはやはり間接的には大きな影響を受けていることは事実であります。従って賃金の上昇は当然なことだ、これが経済発展の一つの大きな要素だということはいなめない事実であります。日本もその通りなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/14
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015・大原亨
○大原委員 PWにおくれないように失対の賃金を引き上げていくという考え方で今回は二十八円の賃上げをやった、こういうことであります。PWというような問題について基本的に討論するのはあらためてやることにいたしまして、つまり私はこうだと思うのですよ。年間の所得が百億円あるとか二百億円ある、そういう人が財産を含んで十年後には倍になるというのは見通せると思うのです。しかし国民の一般が、労働者にしても農民にしても、特に中小企業に働く労働者にいたしましたら、その生活水準、賃金水準が実質的に倍になっていくかというと、政府の統計が今のままではとても出てこないと思うのです。私はその集中的な現われがPWの持っている一つの矛盾だと思うのです。PWは民間の職種別の賃金ですけれども、これがやはり国のやっている公共事業その他いろいろな賃金の決定的な基準になっておるし、そのことがやはり失対賃金と関係があるわけですから、その最低の失対賃金を、PWという問題にかかわらず上げていく、そういう一定の計画を持っていく。たとえば二十八円上げたということになると、大体七、八%でしょうが、ちょっと計算してないけれども、今の賃金三百六円の七、八%の金でしょう。そういたしますと、二十八円ずつ毎年上げていくと——現状が低いから問題がありますけれども、十年後には大体倍になります。なかなか労働大臣はいいことを考えておられると思う。私も計算してみて感心したのですが、労働大臣はそういう意見は賛成ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/15
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016・松野頼三
○松野国務大臣 大体毎年七・五%くらい上げると、ちょうど十年間で倍になる。そういう意味を一つの基本の尺度にして、経済計画というのはそこの上下の安定でもってやるとちょうど倍になる。今回の失対賃金の二十八円は、三百六円から見ると約九・一%。別に私はものさしでそうやらなければいかぬという意味じゃありません。たまたまPWの計算と、長期経済計画を合わせても、大体これならば倍になる。一つの基準は、基本の初年度は大体達成されたと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/16
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017・大原亨
○大原委員 労働大臣の御答弁は、大体その程度ずつ上げていくと、第一年度は労働大臣としての責任を一応果たした、こういう考えだ、こういうことです。ただ現在の失対の賃金というのが、御承知のように扶養家族の平均からいえば三人をこえております。そして実質の収入というのが大体七千円前後であります。若干数字は誤りがあるかもしれませんが、そういうことでは実際に——現在が食えない状況ですから、しかも臨時的な日々雇用の失対事業でもあるという惰性もありまして、そうなっておると思いますが、たとえば大牟田とかその他炭鉱の失業多発地帯なんかいろいろ聞いてみますと、失対で働いている人たちが半分は生活保護をもらっている、大体そういうことを言っておりますね。こういうことは、生活保護の制度というものが、収入があったらもう機械的に引き下げる。たとえば二十八円の賃上げをせっかく労働大臣がいたしましても、その半分の生活保護をもらっている失対労働者は——たとえば中身についてはまた失業保険との関係において計算いたしますが、そういうことになると、失対に働いている生活保護者は、多いところは半分、少ないところもありますけれども、そういう人は、賃金を上げましても、上げた分だけは生活保護から引かれてしまうのですよ。これは労働しているのです。最近は確かに失対事業は、各方面の評判はだんだんよくなっている。建設的な事業で、コンクリを打ったり、簡単な橋までかけている。だんだんなれてきまして、ずいぶん集団的には技術的な仕事をしているわけです。そういう労働に対するエネルギーを消費するわけですが、そういうことから考えてみましても、やはり失対の賃金と生活保護がトントンになるような、むしろある場合においては生活保護よりも失対賃金が低いというようなことでは、悪循環になるんじゃないですか。これはあとの失業保険の問題とも関連いたしますから私質問を申し上げておるのですが、私が指摘いたしました点は矛盾であるとはお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/17
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018・松野頼三
○松野国務大臣 そういう矛盾がございますから、今回新たに緊急就労という制度を設けたのでございます。炭鉱多発地帯には、緊急就労というものを別ワクで設けたわけであります。失対を基本的にいじれば、これは御承知のごとくいろいろ問題がある。同時に扶養家族の三人といいますが、大体勤労者の平均扶養家族というのは四・何人、失対は必ずしも多い方じゃありません。その理由は大原委員御承知のごとく、これはいろいろな規定がありますから、やはりあまり扶養家族を多くするよりは、別家族にすると二人働けるといういろいろなあれがありますから、そういう意味において扶養家族というものはそう膨大なものじゃありません。なるべく少なくして、二家族にして二人が働くという、実は非常に無理な制度さえも実施されておるのであります。これはいい制度じゃありませんが、そういう意味もございます。同時に、失対は幾ら改良いたしましても、失対事業というものはあくまでも限度があります。失対事業のやります仕事の量もあれば、質もあれば、また地域の規定もございます。従って失対そのものが大きなワクにはめられた中でありますから、これを改良するということは容易なものじゃありません。まずそういう行政ワクを撤回するということも、今後の一つの問題だと私は思います。市町村にちゃんときめてある。府県にきめてあるために、ややもすればそのワク内でしか仕事ができない。いい仕事がある県はいいでしょうが、いい仕事がない県は、実は非常に妙な仕事になる。だからそこにも問題があるわけです。従って、今回緊急就労というものに改正しましたのは、あながち市町村のワクにとらわれず、ある程度広範囲に仕事ができるように、緊急就労というものを新しい意味で置いたわけであります。大体失対と同じ階層の方に当てはまるわけであります。ただ生活保護との関連を言われると、確かに矛盾がございます。それじゃ働かぬで、生活保護の方がいいんじゃないかということになると、そうでもない。これは立て方が別であります。同じならば生活保護をもらった方が楽だ。おれは失対に行かないというのは、そろばんだけはいいはずであります。しかしそうじゃありません。やはり失対で働いていくという一つの勤労意欲と向上をはかろうという気持が勤労者にあるから、ただ便々と、おれは生活保護の方がいいから、働かないんでいいんだ、なぜ三割の方が働かれるのかおかしいじゃないかという気持はありますが、それは立て方が違うと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/18
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019・大原亨
○大原委員 大臣が御答弁になりました中で、生活保護と失対事業の収入金額が、生活保護の方が多い場合があるのです。失対は今言われたように、社会的に見ても、自分で働いて生きていこうという意欲があるのです。そうしてもう一つは、休日やその他に内職とかアルバイトをするということがあるわけです。そういうことで、働いて賃金をもらおうというのは、これはだれが政治をやりましても当然の、またどの社会におきましても同じことであります。ただ今私が申し上げましたように、生活保護をもらっておりながら失対に働いている人が現に半分もあるというような状況で、二十八円の賃上げがその人たちに及んでこない。こういうふうな問題については、大臣としても、たとえば勤労控除とか——今山下先生も、横から年金があるじゃないかと言われたけれども、山下先生も知っておられると思うのですが、二十八円の賃金引き上げをいたしましたら、母子加算とか養老加算とか身体障害者加算とか、そういう特別加算の項目に該当しない人は、みな生活保護費が引かれる結果になる。だから、きのう多賀谷委員が失業保険の問題と関連して御質問申し上げておりましたけれども、やはり勤労控除を増加するような——生活保護の人が働いて立ち上がっていこうとして失対に働いているんだから、その際賃金を引き上土げたら、一定の基準につきましては、そういう生活保護における勤労控除を引き上げていくとか、そういうことを相伴うてするということを、日雇いの失業保険の改善もそうだけれども、そういうことも私は一緒に必要だと思うのです。そうしないと、せっかくの二十八円の賃金引き上げというものが全然水のあわになってしまう。そういうことについては大臣一つ改善をしてもらいたいし、関係各省と打ち合わせをして努力してもらいたいのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/19
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020・松野頼三
○松野国務大臣 当委員会は社労委員会で、厚生省関係もございますが、厚生省関係の生活保護の立て方というものは生活能力というものが全然ない方に対する手当の方法だということが基本であると私は存ずるのであります。たまたま勤労される方があるならば、その方はより以上勤労にいそしんでもらいたい。従って全然基本が違いますから、ただいたずらに手取りだけを考えられればおっしゃる通りです。しかしそれとこれとは立て方の問題が違う。たまたまそういう方もあるといえば確かにあります。しかしそれがすべてじゃないのです。(大原委員「半分おるのです。」と呼ぶ)私の方の統計はそんなにおりません。地域的にせいぜい二割前後です。しかしそういう方も全部は生活保護をもらってないで、一部なんです。将来はそれは抜け出される方なんです。家族構成が多いとか臨時的な方あるいは地域によるとか、そういう特殊な方であって、それを私たちはこの失業保険すべてに適用することは、これは違います。やはりそれは生活保護の問題と失業保険の問題とたまたま競合した方が少しあるということは認めますけれども、そのために制度すべて、失業保険を全部生活保護に持っていく、これは暴論だ。具体的にそういう制度をまた基本から考えていかなければならぬことは、改良することに私は異論はございませんが、ただ直ちにそれによって失業保険が不届きだというわけにはいかない、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/20
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021・大原亨
○大原委員 二十八円の日雇い賃金の底上げをやられたというそのことが及んでこない階層が、たとい二割にしろ三割にしてもあるということは、これはやはり趣旨に反するから勤労控除を引き上げなければならぬ。そうしますと立て方が違う、こういうお話です。その通りです。そうしますとたとえば適格基準という問題に入ってくると思います。夫婦が働けない。働く意欲があっても働けない。こういう問題もあるし、あるいは親がいるとか兄弟が同一世帯の中にいるとか、こういう方も働けない。子供の場合もそうですね。そういう適格基準を改善をして、そして実質的に世帯の収入をふやしていくということも、これは生きていくために当然のことなんだけれども、その当然のことをやらないといろいろな脱法行為もあるわけですよ。法律を、いろいろ運営して、離縁をして、そしてかまを分けたり何かしてやる場合もあるわけですね。そういうようなことを考えてみると、この事実というものについては、私どもが問題を解決しなかったら、所得倍増ということをいっても何にもならぬですからね。そういう点で適格基準を改正するという、労働省だけでできる部分もあるわけですけれども、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/21
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022・松野頼三
○松野国務大臣 適格基準は、この今回の臨時失業保険法の一つの基本でありまして、これを早急に改正するということも容易なものじゃありません。それよりも失業保険そのもの全部を改正すべき時期に来ていると私は思う。もちろん適格基準もありましょう。あるいは作業場所の問題もあるのです。作業選定の問題もあります。業種選定、そういうものが基本的にいろいろありますから、やはり私は失業保険そのもの全部を改善すべき時期にあると思う。そういうことから失業対策事業というものを改善しなければいけない。従って失業対策事業全部を近いうちに私は適当な審議会に諮って、そうしてまず地域の場所、仕事の内容、そうして能力、あわせて適格基準という問題も諮るべき時期だと私は思いまして、近々のうちに雇用審議会に諮りたいと考えております。雇用審議会の有沢さんのところで、ちょうど雇用問題の中に潜在失業者という文句もございます。いろいろ問題がありますから、なお明細なところを失業対策事業について諮りたいと思います。そういうものすべてをやらなければ、適格基準だけが問題ではありません。今日は仕事の内容、能力、場所、それから今日の方法、いろいろ問題があるわけです。従って私はこれを改善すべき意味で失業対策事業の基本的な問題を諮るべき時期が来た、近いうちに雇用審議会にもこの問題を諮問したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/22
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023・滝井義高
○滝井委員 関連して。失業対策事業における日雇い賃金の三百六円を二十八円引き上げて三百三十四円にした。その二十八円を引き上げる根拠を一つお示し願いたいと思います。PWだけではないはずなんです。これはPWの改定に伴って二十八円引き上げたということでは私はないと思うんですがね。それだけでなくて、あなた方のいろいろな要素を勘案して、これは二十八円になったのではないかと思うのですが、これは一体どういう要素を勘案してそれになったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/23
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024・堀秀夫
○堀政府委員 御承知のように失対事業の就労者に支払われる賃金の額は、同一職種に従事する労働者に通常支払われる賃金の額よりも低く定めるということに緊急失業対策法の規定でなっているわけでございます。そこで昭和三十四年の八月に労働省の統計調査部において実施いたしました屋外労働者職種別賃金調査の結果を、ただいま全国的に集計しておるわけでございます。その中で失業対策事業就労者の賃金に関係のある部分につきまして取り急ぎ集計したわけでございます。その結果を現行のPWの算定方式により試算いたしましたものを、失対事業の作業内容、それから同一職種の賃金より低く定めるという原則を勘案いたしまし積算いたしまして三百三十四円、このようにいたした次第でございます。この三百三十四円は、先ほども申し上げましたように現在の三百六円に比べまして九・一%の増になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/24
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025・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、あなたの方が大蔵省に予算要求をしたときに四十九円だったはずです。四十九円というものは一体いかなる理論的な根拠から出てきたのかということ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/25
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026・堀秀夫
○堀政府委員 大蔵省には、この屋外労働者職種別賃金調査の結果を推定いたしまして、とりあえず予算要求をしたわけでございますが、折衝の過程におきまして屋外労働者職種別賃金調査の集計、その関係ある部分の集計ができまして、これをただいまのような方式で算定いたしますと九・一%の増加、結局二十八円の増加、最初の要求のときにおきましては、屋外労働者職種別賃金調査の関係ある部分の内容をこれよりも高く見積っておりましたが、実績が出て参りましたので、それを見積って大蔵省と折衝の結果二十八円のアップ、このようにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/26
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027・滝井義高
○滝井委員 関連でございますから、あまり長くやりませんが、それでは、推定をしたときが四十九円だった。実際にやったのは二十八円だったという。その推定がほとんど倍になっているわけですな。二十一円違うわけです。それは今の御答弁ではちょっと納得がいかない。それから大蔵省から出る予算書の説明を見ると、一般失対事業については民間賃金が上昇しておること、これはPWです。及び公務員給与の一部が是正されること等を考慮している。公務員給与の上昇というものも、あなたの方が二十八円引き上げることについての一つの大きな根拠になっているんですよ。これは今の御説明では全くPWだけになっておるのです。そうすると今の答弁のほかに、もう一つ公務員の給与の引き上げの要素というものが加わってきているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/27
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028・堀秀夫
○堀政府委員 大蔵省の御説明にもありますように、今回の失対事業就労者の賃金引き上げについては、このPWの結果、これが最も客観的に測定されるわけでございますが、この引き上げる理由としましては、公務員の賃金も上がっておるじゃないか、これが一つの理由になることは、これは当然でございます。中だるみの是正等によりまして、公務員の賃金が三・八五%上がっておる、このようなことも、その失対労務者の賃金を引き上げる理由になっておることは、当然でございます。その額につきましては、ただいまのPWの関係ある部分の算定方式によりまして、九・一%の増加、二十八円のアップということにするのが適当である、このように考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/28
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029・滝井義高
○滝井委員 日本人の栄養の基準が改定されたわけですな。そうすると、この栄養基準の改定による引き上げというものは、この中にはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/29
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030・松野頼三
○松野国務大臣 今の公務員の方ははっきりしています。期末手当を、九日とか十日とかいう就労日数の増加でやる。これはPWの今回の二十八円以外でございます。期末手当が、公務員の上昇に応じて、日雇いのいわゆる就労日数増というのを、盆暮れにやっておるわけでありますが、これに影響するわけであります。賃金はPWであります。栄養増というのは、一般国民の中における栄養増であります。一般賃金の中において含まれる、それに影響するPWでありますから、間接的には入りますけれども、PWそのものの中に入るわけじゃない。二十八円というのは、その影響ももちろんでございましょうが、栄養増を幾ら見たかという意味じゃありません。すべて入ったのがPWであります。従って、国家公務員の場合は、期末手当が一番はっきり出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/30
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031・滝井義高
○滝井委員 予算の説明では、「民間賃金が上昇していること及び公務員給与の一部が是正されること等を考慮し、賃金日額を二十八円引き上げる」こういう説明です。大蔵省の説明は……。だから、実は四十九円をあなた方が引き上げたときに、私は、四十九円の理論的根拠は一体どういうところからだという質問をしたのですよ。ところが、いわく言いがたしという答弁だったのですよ。しかし、今度予算書を見てみると、なるほどいわく言いがたしというところは、PWの八割ないし九割というのがこれが日雇いの賃金だ。ところが、そういうもののほかに、国家公務員というものが出てきておるわけです。それから今度は、さいぜん大原さんの提起しました生活保護の基準というものは、これはPWとは全然関係ない。これは三%上がっておるわけです。そうすると、これは何で三%上がったかというと、日本における栄養基準が改定になっておるのですね。これは予算書にも書いてある。「生活保護基準については、カロリー所要量の改訂に伴う飲食物費の増その他の内容改善により、生活扶助基準を約三%引き上げる」こうなっておるわけですね。そうしますと、大原さんの言われるように、生活保護よりか日雇いが低いというような状態が相当ある。そして二割は日雇いと生活保護とが競合している。こういうような場合になってきますと、これはやっぱり栄養基準の問題というものを、日本国民のカロリーが最近は上昇したのだ、だから生活保護が三%だけ、栄養引き上げ分だけ上げますということになれば、当然その分についても考慮しなければならぬことになるわけです。そういう点で、今の御説明で、PWだけだけれども実際は国家公務員というものが二十八円に入っているのだ。あなたは、それは期末手当分だけだということになると、大蔵省の考え方とはだいぶ食い違いが出てくるわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/31
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032・松野頼三
○松野国務大臣 四十九円の計算のときには、御承知のごとく大蔵省との折衝過程ですから、われわれも最高限の、ある程度の高いPWを出すのは当然であります。しかし腹の中では二十八円というのは承知しておりました。やはり大蔵省にはPWの計算はないのですから、労働省ですから、そこはやはり一つの予算のめどとして、四十九円という、どちらかといったら相当先を見込んでやること、これは当然であります。かりに四十九円上げられると、今度逆にPWが非常に困ったかもしれない。非常に無理な、高いPWになる。しかしそれは省内のことですから御了承をいただきたい。同時に生活保護と失対賃金とは必ずしも関連があるものではないことは御承知の通り。たまたま二割というのは臨時的であります。永久的のものではありません。家族構成によってきまるものでありますから、従って働く方々は失業保険をもらいながら、また内職をしてもいいのです。同時に生活保護はそういうものをみな削除する。立て方が違うのですから、それと比較するならば、それならば逆に二十八円はよろしい、それじゃ生活保護はもっと低くなければいかぬということになると、これは暴論になる。そこに問題がある。これは別な問題で、これと関連させるのは無理だと思う。二十八円はPWを基準に上げたことは間違いありません。また国民生活の上昇ということもPWに入っておるのです。生活保護だけが栄養上昇じゃありません。全国民の栄養上昇が賃金に入っておる。その賃金のPWですから、間接的には入っております。そういうものを含めてPW制度があるので、これを逆にPWを統計に合わせると危険なことになると思います。やはり民間賃金に合わせたPW制度をとるのが、あたたかみのある労働省としては当然だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/32
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033・大原亨
○大原委員 これは齋藤さんにお尋ねしたいのです。この問題はあと齋藤さんにも御質問したいと思いますが、しかし大臣にやってもらわなければならぬ。それで、そういう失業保険についてはいわゆる六割給付の原則がありますね。政府委員から答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/33
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034・堀秀夫
○堀政府委員 一般につきましても日雇いにつきましても、六割というものを一つの原則にしておることは御承知の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/34
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035・大原亨
○大原委員 これはまだたくさんあるのですけれども、端的に質問いたしますが、失業保険法の三十八条の十一におきまして、第一級と第二級の保険料額をきめているのですね。二百八十円以上の場合と二百八十円未満の場合と分けているわけですね。そういたしますと、今度二十八円引き上げますと、それは、私ちょっと今計算してみますと、大体失業保険金額が、六割の原則でいきますとこれは二百円になるのです。そういたしますと政府の今日現在行なっているものは、第一級が二百円で第二級が百四十円なんです。二つなんです。二百八十円以下のものに対しては百四十円、失業保険の給付が。二百八十円以上の金額のものに対しては二百円になるのです。そういたしますと、平均いたしましても最低が二百円にはならなければいかぬと私は思うのです。六割給付の原則でやりますと、賃金を二十八円上げましたから。これは私は提案といたしましては、齋藤委員にも質問いたしたいと思うのですが、できることであったらどんどん改正していく御方針ですか。これはこまかいことを言うようですけれども、私はたとえば二百三十円なり二百四十円にして、一本にすべきだと思うのですよ。二百八十円という上下の関係はなくなったから。しかしそれでなくても、二本の原則で行くにいたしましても、第一級が二百五十円で第二級が百八十円とか、人数の割り振りはあるけれども、そういうところが二本で行くよりも、一本にして二百五十円くらいやらないと、底を上げて失業保険としての日雇失業保険を改善していって一般失業保険に近づけていく、こういう趣旨からいいましても、私は最初その前提で御質問いたしたのですけれども、その点でも三十八条の十一は改正すべきだと思うのです、法の趣旨からいいまして。六割給付の原則を承認されているのですから、その点を大臣は私が言うことはもっともだ、こういうようにお考えになりますか、そうしてこれは改正に努力しよう、このわずかな審議の間にでも、時間はそうなくてもやろうと思えばすぐできるのですから、そういうふうにされますか。そういう点について、大臣は急いでおられるようだが、大臣の方から御答弁をいただかないと、——ほかにまだそういう問題点はたくさんあるのですよ。ただ逐一慎重審議をしておる、こういう意味において大臣に一つ答弁してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/35
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036・松野頼三
○松野国務大臣 この賃金は、御承知のように地域別あるいはその中の職種別十五階級に分かれておって、非常にこまかい数字なんです。たまたまそういう方があるかもしれませんが、一応こういう制度で定額になっている。もちろん有利になる方の方が多いのです。不利になる方が、六割を割るような方がおっしゃるようにたまにはあるかもしれません。しかし、これは総合的には有利な定額制というものをとっているのですから、たまたまそこにいる者だけを定率制でやるというわけにはいきません。これは定額制でやっておりますが、大体の方は定額制の方が有利だからこの制度をやっているわけであります。六割以上に大ていなっておられる。たまたま百八十五円とか何十円とか、十五階級の中の一つの階級の人がそういうことになるのは私は否定しませんけれども、六割を原則とすれば、これは定額ですからみんな六割より上になるが、たまたま百九十円の者が六割に足らぬじゃないかという御議論はあるかもしれません。しかし総合的に、定額制というものは日雇いの場合には非常にむずかしいのです、十五階級ですから。それでそういうものを合わせて、今後失業保険、失業対策事業というものは、十五階級は多過ぎるので何とかもっと縮めたいと思うのです。そういうふうな制度は改めます。しかし失業保険のそこだけを改めればいいかというと、また矛盾が出て参ります。そこを改めれば次はどうなるか、また矛盾が出て参る。そういうことを抜きにして、全部平均して私たちは有利の方に解釈していきますから、ただ一点だけとって改正するというわけには参りません。そこで、失業保険及び失業対策事業というものを総合的に再検討すべき時期はきていると私は考えているわけで、基本としては定額制をとっている、そしてなるべく六割より有利になる階級を作っているというのがこの趣旨であります。従ってこの改正は、そのよしあしを考えなければならぬ。それでは全部定率制で六割にするか、これも容易なものではありません。そういう意味で、この十一は一つの時点をとればそういう御議論もありますけれども、全部とれば六割よりも上になる、その有利さをとったのがこの十一であります。簡単ですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/36
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037・永山忠則
○永山委員長 午後二時まで休憩いたします。
午後零時三十四分休憩
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午後三時十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/37
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038・永山忠則
○永山委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。
休憩前の質疑を続けます。大原君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/38
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039・大原亨
○大原委員 失業保険法の三十八条十一項に関連して午前中質問をいたしておったのですが、局長にお尋ねしたいのは二十八円の賃上げの中味です。最低幾ら賃上げで最高どのくらい賃上げなのか、地域給を縮小するという方針だと思うけれども、具体的には現在十五段階ですかあるのは、どういうふうにするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/39
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040・堀秀夫
○堀政府委員 具体的な各地の失対賃金の決定につきましては現在各県から資料を出していただいております。これをからみ合わせまして決定いたしたいと思って目下作業をしておりますが、大体の考え方は、やはり最近の各地の賃金事情、物価の事情等から考えまするときに、地域差はこれを合理的に縮小する方向に向かって検討したいと考えております。目下各県から資料を出していただいておりまして作業に取りかかっておるところでございまして、まだしばらく作業が続くと思います。従いまして最低幾ら、最高幾らというようなところまでまだ作業が進んでおりませんが、大体の基本的な考え方としましてはただいまのような方向で作業に着手いたしまして、現在進行中のところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/40
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041・大原亨
○大原委員 今まで保険料額第一級十円、第二級六円、その第一級であるところの二百八十円以上、こういうのがありますけれども、全部二百八十円以上になるのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/41
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042・堀秀夫
○堀政府委員 地域によりましては二百八十円にならないところも相当ある、このように考えております。現行を御参考までに申し上げますと、一番低いところは二百二十五、六円程度のところがあるわけでございます。従いましてこれらにつきまして全国平均よりも賃金アップをいたすといたしましても、二百八十円にならないところは相当ある、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/42
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043・大原亨
○大原委員 これは齋藤委員にお尋ねしたいのですが、原則的なことですからお答えいただきたい。与党が議員立法で政府が一括提案いたしましたのを若干修正提案いたしておりますが、午前中にも質問いたしましたように日雇い失業保険をできるだけよくしていく、こういうことについては大臣もそういうふうに御答弁になっておる。議員立法の趣旨もそういうことだと思うのですが、理屈に合うことがあれば、あるいはそう無理でない可能な意見が出てくれば、これは当然修正するにやぶさかではない。けさ私が申し上げておった三十八条の十一項についての議論はまだ十分尽くしておりませんけれども、失業保険を六割給付するという原則から言いましても、三十八条十一項は修正をしていくことが当然ですよ。今のままでありましたら六割を割ってしまうわけですけれども、当然そういう修正については、議員立法された齋藤さん初め、皆さん方も修正することについては異議がない、こういう基本的な態度だと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/43
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044・齋藤邦吉
○齋藤議員 大原委員のお尋ねにお答え申し上げますが、私どもが議員提案をいたしましたのは、諸般の情勢を勘案いたしまして給付の内容を改善しよう、こういう考え方で出したわけでございますが、その際に日雇い失業保険の問題をどうしようかということは議論に上ったのでございますが、この点につきましては、午前の会議で労働大臣が答弁されましたように、この問題だけを切り離して考えるということはどういうものであろうか。やはりもっと広範囲に改革を要する時期がくればそのときに考えることにして、今回は改正をしないことにしよう、こういうことで、日雇い問題については議員提案の法案の中には入れてなかったわけでございます。しかしながら私ども与党におきましては、失業保険制度の改善のためには将来とも努力いたしたいと考えておりますので、また別な機会に総合的に失業保険制度全般についての改善の案を考えたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/44
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045・大原亨
○大原委員 一般失業保険と日雇い失業保険で、六割給付の原則で一般失業保険はどんどん適用されるのに、日雇い失業保険の方はそれを割るような——そういう二百円と百四十円というような分類でありましたら割るような結果になると思うのですけれども、この点は日雇い失業保険を冷遇するというのではなしに、保険財政が全体としては七百億円も黒字であるというのですから、どんぶり勘定ですから、最初に質問いたしましたようにそういうところへやっていただく、これは私は当然の改正じゃないかと思うのですが、そういうことをしないでおいて国庫負担金をへずるというようなことは、そういう趣旨からいえば納得できませんよ。そういうことからいえば私は当然そういうことをしてしかるべきだと思うのですが、齋藤委員、もう一回御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/45
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046・齋藤邦吉
○齋藤議員 再度のお尋ねでございますが、失業保険の対象者になっているものにつきましては、むしろやはり失対事業その他において給与の改善をはかっていくということを第一にしようではないか、こういう考え方からいたしまして、またさらにこの失業保険の給付金の問題につきましても、もう少し総合的に考える必要があるので、今回は一応見送りました。将来できるだけすみやかな機会にこういう問題について改善の案を考えたい、こういうように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/46
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047・大原亨
○大原委員 給付を引き上げることと一緒に、待期日数を減らしていくということについては一歩前進しようとしているのですが、待期日数については、日雇いの労働者というのは日々雇用といいましてもやはりだんだんと定着化の傾向があるのだから、それについては基準法やその他については抜け道状態であるけれども、その問題は別に論議するとして、とにかく社会保険についてはせっかくそういう制度を設けたのだし、午前中の労働大臣の御答弁の趣旨からいっても、やはり所得倍増計画の一つの底上げをやっていくのだ、そういう見解から考えていく、こういう御答弁であります。そういう政府の答弁から言いましても今の三十八条の十一項の点はこれは少し矛盾だと思うのです。そういうことをすべて一応野党の意見も聞き、道理の通った問題については、善意に解釈すればそういう御趣旨で議員修正をなさったと思うのだ。こういう点からいって、そういう点は虚心たんかいに修正すべき点は修正すべきだ。私は総理が来ても来ぬでも、そういうことよりも実質的に野党側の意見をいれるということが大切だと思うのですよ。労働大臣の御答弁と比べて齋藤委員の答弁は、事志に反するように思う。大体齋藤委員はこういうことから議員立法で修正しておるにかかわらず、労働大臣の答弁よりもさらに悪いですね。当然もう一回与党並びに政府はこれを考えてもらいたい。六割給付の原則を割るということはいけませんよ。私ども社会党は一万二千円までは八割という案を提案しようとしておるわけです。失業保険をもらっている以上は、少なくとも生活保護やその他を割らぬように、そういう点については保障すべきである。一万二千円については八割給付ということでいっているのに、政府の提案は理屈に合わぬじゃないですか。黒字になったからといって三分の一を四分の一に下げていく。しかも一般失業保険において六割給付という原則があるのに、野党側の意見といたしましては底を上げて八割ということを提案してやろうと、いうのに、非常に低い失対の失業保険において六割を割るということはいかぬと思います。こういうことについては労働大臣がお見えになったらまたお尋ねいたしますが、局長とそれから齋藤委員一つもう一回答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/47
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048・堀秀夫
○堀政府委員 この問題につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、失対事業の根本的な問題につきましては、政府としても検討を加えたい考えでございます。そうしてそれとあわせまして、また将来の問題といたしましては、社会保障制度審議会にも、大局的な給付の総合調整という見地から検討をお願いしたいと思って諮問をしておるところでございます。現在の段階におきましては、この日雇いの失業保険の関係につきまして、職種等によって個々に相当の幅があると認められる現在における、この日額を一律に上げるとか、あるいは個々にもう少し上げるとかいうようないろいろな御意見がありますけれども、これは現在の失対事業というものをよく根本的に検討いたすと同時に、他とのバランス等も考えながら、これはもう少し時間をかけて検討すべき問題ではないか、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/48
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049・齋藤邦吉
○齋藤議員 たびたびのお尋ねでございますが、大原委員のお気持につきましては、私まことに同感でございます。私どもは与党でありますけれども、野党の方々の御意見のあるところは、もちろん適当だと思いますれば、適当な時期に必ず尊重いたしたいと考えておるわけでございますが、今回の改正案の際には、先ほど来申し上げましたように、日雇い失業保険についてはいろいろ問題もあるので、もう少し時間をかけて勉強して、しかる後に改善の方策を講じようではないか、こういうことになったわけでございます。私どもといたしましては、失業保険制度が、野党の意見だからどうのこうのということでなしに、ほんとうに給付改善を中心として、もう少し改善を必ずいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/49
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050・大原亨
○大原委員 まだ私あとで逐次指摘いたしますが、たくさん問題があるわけです。せっかく三分の一国庫負担ということで保険財政を確立しておるのですから、職業訓練を充実させるとか、これは先般滝井委員の方から提案がありましたが、そういう現在の実情に即したような、しかも当然公平の原則からいって、あるいは立法の趣旨からいって、やるべきことをやっておいて、それからこれをやるべきだと思うのですが、そういう点について、齋藤委員もあるいは局長の方も、私が発言いたしました趣旨を、趣旨はよろしい、妥当であると思う、将来考えると言われるのだけれども、この際三分の一を四分の一に下げるという、その方もついでに思いとどまって、総合的に慎重に御検討いただきたいと思うのですが、齋藤委員いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/50
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051・齋藤邦吉
○齋藤議員 大原委員のお尋ねは、国庫負担の三分の一を四分の一にするということをこの際見送って総合的にやる時期まで待ったらどうかというお尋ねでありますが、やはり三分の一を四分の一にするということにつきましては、与党として大体その方針を了としたのでありますし、失業保険金を受ける被保険者の方々に対しましてはそう実害のあるわけのものでもございません。むしろ保険料を下げる、そういう際にこういうことをやっておる。しかもそれが三年間の暫定措置でありまして、保険料を下げるということは実益でありまして、実害もないわけでありますので、この際は一つごしんぼうを願って、三年後に本格的な国庫負担率をきめるというわけでありまして、現在の段階ではこれを見合わせるということは絶対に考えておりませんので、その点はあしからず御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/51
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052・大原亨
○大原委員 しかし六割給付の問題は当然じゃないですか。局長、もう一回答弁して下さい。これは当然三十八条の十一の趣旨からいっても、一般失業保険からいっても、それは段階を一級、二級と設けるかどうかは別として、当然そのことをやるのが筋であって、そのことをやらないということは手落ちですよ。だからそういうエスカレーター方式にするか、賃金が上がった場合には何割というふうにそういう条項を作るか、この問題は他にそう影響ないのですから、当然やられてしかるべきだと思いますよ。
政務次官に一つ簡単に質問をいたしますが、こういうけしからぬ話になっておるのですよ。失業保険法の三十八条の十一には、日雇い失業保険の給付について一級、二級を設けているわけですよ。二百八十円以上は二百円失業保険金をもらうわけです。二百八十円以下は百四十円ということになっておった。それを大臣や次官、皆さん方が二十八円賃上げされたわけですよ。そう賃上げしますと三百三十四円ということになるわけですよ。一般失業保険は六割給付になっておる。日雇いの方も、その趣旨からいっても、決して冷遇しないで、一般失業保険に近づけて実質を高めていくことが必要で、傷病手当にしてもお産の方にしましてもそういう趣旨であります。
〔委員長退席、八木(一男)委員長代理着席〕
ここだけは三十八条の十一を改正しないでそのまま放任しておく、そういうことになりますと、六割を割るということになるのです。六割は平均いたしまして二百円以上でなければならないわけですよ。そういうことから考えて、そういうことをほっておいて、三分の一の国庫負担を四分の一にすることはけしからぬじゃないかと言っておるんですよ。この際思い切ってやるかどうか、こういう決断のみでありますけれども、大臣にかわって一つ政務次官の御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/52
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053・赤澤正道
○赤澤政府委員 二十八円の賃上げは、微力にして恐縮でありますが、とにかく一生懸命でやった結果こういうことになった。われわれとしてはもっと多くの要望を大蔵省にいたしましたけれども、思っただけの結果が得られなかったわけであります。ただいま大原委員のお述べになりましたことは、大へん申しわけないのですが私も十分研究いたしておりません。しかしながら、ただいま局長にただしましたところ、やはりそういうような問題について社会保障制度審議会で目下考究中であるからということでございます。私も早急に勉強いたしまして、もし不合理と考えられる場合には、思い切って御期待に沿うような措置を進めて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/53
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054・滝井義高
○滝井委員 関連して。二百八十円以上と二百八十円以下と、二百八十円を境にして一級と二級とに分けておるわけですよ。もちろん二百八十円以上のものと以下のものとではそれぞれ負担分が五円と三円ですから違うわけです。しかしこの二百八十円という金額が出たそもそもの根拠は、一体どこから出たかということです。これはニコヨンからニコハチになったその二百八十円から出たのじゃないかと思うのですが、それはどこから出たのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/54
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055・堀秀夫
○堀政府委員 これは昭和三十二年四月の法律改正のときにも問題になったわけでございますが、日雇い失業保険制度を創設したときにおきまして、第一級の保険金を受けるものが大体七〇%、第二級が三〇%ということを見込んで、この線を考えたのでございます。最近の実績を見てみますと、第一級の支給を受ける人員がやはり予定通り全体の七〇%くらいになるであろう、このように考えておるわけでございます。従って現行のもとにおきましては、この二百八十円という当初からの線を現在直ちに引き上げる、もしくはこれを引き下げるというようなことは考えておりません。なお将来の問題といたしましては、先ほどから申し上げておりますように、失対事業の根本的検討とあわせ、社会保障全体の見地からこの問題につきましても、根本的な検討をいたしたいと思っておりますが、現在のところこれを変える意思はございません。
〔八木(一男)委員長代理退席、大坪委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/55
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056・滝井義高
○滝井委員 変える意思があるないは別にして、三十二年の法律の改正のときにはこれはいじっておらぬでしょう。そうすると、一体二百八十円というものを境にして、以上、以下ということはどういうところから出たかという質問なんですね。結局これは歴史的に二百四十円、ニコヨンといわれていたものが、その後物価情勢その他で二百八十円に上がったわけです。その上がったものを基礎にして三百六円になった。そして今度は三百三十四円、こうなってきているわけですが、そうしますと、当然これは自動的に上げなければならぬという一つの問題が出てくる。エスカレーター方式とかなんとかしゃれたことを言わなくてもやらなければならぬでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/56
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057・堀秀夫
○堀政府委員 先ほど申し上げましたように、日雇い失業保険の創設当時におきまして、大体その線の上にあるものが七〇%程度、その線以下にあるものが三〇%程度ということで線を引いたわけでございますが、三十二年の法律を改正いたしましたときにも、おおむねこの線に沿いまして二百八十円というところを設けようじゃないかということでございます。その後の情勢を見てみますと、大体当初の予定通り第一級の支給を受ける人員が全体の七〇%程度であるというような情勢でございますので、現在のところこれをいじらないという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/57
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058・滝井義高
○滝井委員 七〇%以上というものが一級になるように定めた、こうおっしゃいますけれども、何も理論的な根拠はないものなんですね。労働省で、そのくらいのところがいいところだろう、こういうことなんでしょう。問題は、日雇いの賃金というものは今度二十八円上がって平均は三百三十四円です。ところが全国日雇い賃金を見てみますと、これくらいのアンバランスはないです。日雇いの賃金は、北は北海道から南は鹿児島まで、一体どのくらいランクがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/58
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059・堀秀夫
○堀政府委員 二十四段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/59
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060・滝井義高
○滝井委員 これから国家公務員の地域給をどけようじゃないか、医者の甲乙の地域差をどけようじゃないか、それから生活保護の地域差もどけようじゃないかというときに、日雇いが二十四級もあること自体が不合理なんですよ。結局今言ったように、安いところに置いておく賃金が出るものですからこういうことになるのです。そもそもその安い賃金ができるのはPW、このPWが毎年の実績を調査してPWをやるのですから、低い賃金を調査して低い賃金を作っていくのですから、これはほとんど上がるということはない。上がったところでせいぜい二十八円、こういうことなんでしょう。だからそういう点で非常に矛盾をしておるのですよ。そんな二十四級もあるようなものでなくて、今の全国の情勢というものは、日本は交通機関も発達しましたし、きょうここを出発すれば、あしたの朝九州に着くのですから、もう段階をつける必要はないと思う。交通機関が至便になって隣と同じような形になっているのだから、地域給を廃止するのは国家公務員においては政府の基本方針でしょう。そうすると日雇いだって当然廃止していい。そうしますと、二百八十円以上と以下とで、百四十円と二百円という六十円の差を失業保険金でつけなくても、大原さんの言うように、少なくとも一本でいいじゃないか。二百八十円における六割というようなことでいい。それがもし過渡期でできないものならば、三割のものについてはやはり百四十円でなく百八十円ぐらいはやるのだ、こういう措置をとるべきじゃないかと思う。それより低い賃金があるとすれば、その賃金は間違いです。いかにその地方のPWが安くなって、生活保護よりも低いような日雇い賃金なんていうものは打破しなければならない。そういう点でどうですか、今の二百八十円と関連して二十四年の等級をなぜ作らなければならないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/60
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061・堀秀夫
○堀政府委員 実は先ほどおいでになる前に大原委員の御質問に御答弁申し上げたところでありますが、もう一回申し上げますと、現在の失対の賃金は地域的にいろいろな等級に差があるわけでございます。基本的なわれわれの考え方としましては、現実に失対の賃金を各地においてきめる場合に、現在の地域的な差をなるべく合理的に調整しよう、縮小しようという考えのもとに立って、現在作業を行なっている段階でございます。しかしこれを一挙に縮めることは従来のいろいろの沿革もございますし、各地の特殊事情もございます。そういうことは一挙に解決はできないのでございまして、地域差を合理的に是正する方向で検討はしておりますが、一挙になかなか参らないわけでございます。しかし今度の二十八円を、具体的に各地においてさらに決定する場合には、今のような考え方で地域的にも合理的な是正を行なおうと考えておるわけでございます。ただいまのように、現在の失対事業の内容等につきましても、根本的に検討を要するようないろいろな問題があるわけでございまして、これにつきましても先ほど次官から御答弁申し上げたように、根本的に検討してみたいと考えております。そういうようなもとをまず考えてみまして、それと同時に日雇いの失業保険の内容についてもこれと合わせながら検討を将来して参りたい、このように考えておるわけでございます。
そういうことでございますので、現在の段階におきまして日雇い失業保険の金額を一本にしたらどうか、こういうようなお話もありますけれども、そういうようなことに対しましては、やはり現在の実態がたとい合理的な是正をやったといたしましても、なお地域別あるいは職種別にいろいろな違いがあるのでございます。従ってやはり現在のような一等級、二等級というような差をつけることはやむを得ないところではないか、このように考えるわけであります。
なお二十八円の問題につきましても、たとえば三百三十四円の六割というと二百円ぐらいに相なるわけでございます。現在二百八十円ということにしておりますが、要するに三百三十円以下の方々にとっては割合有利になる、それ以上の方々にとっては不利になるというような問題がありますが、現在の日雇い失業保険というものは、そのように定額制を採用しているということからしてやむを得ない結果ではないか、これをさらに合理化するという問題についてはいろいろなお考えもありまするし、われわれもこれは根本的に検討しなければならないという考えを持っておりますけれども、これを一朝一夕に今合理的なものを考えるということはやはりなかなかむずかしい問題がある。そこで現在としてはこのような制度はこのまま持続しておいて、将来の問題として一つ総合的に検討をして参りたいというのが政府の考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/61
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062・大原亨
○大原委員 午前中の質問では、失業保険の給付は六割が原則である、こういう御答弁がありました。私はそれに従って質問していったのです。それで三百三十四円の二十八円アップしました日雇いの一日の賃金の六割といえば二百円四十銭ですね。そういたしますと、今までの失業保険金額は一級が二百円で二級が百四十円でしょう。そういたしますと、三百三十四円の平均値からいいましても、二百円四十銭というところよりも平均値は下るのです。二十四段階あるのだから、二十八円以下のものもあるということをあなたは言われた。二十四段階に従ってそういう保険金額あるいは給付をきめればいいようだけれども、そうはいかぬから原則はともかくとして二級にしてあるわけだ。たとえば二百円以上にきめるとか——幾ら何だって原則として二百円以下の百四十円というのはとらなければいけないですよ。そうしなければ原則として給付六割という答弁が食言になりますよ。答弁が前後矛盾してきますよ。そういう得手勝手なことをしてくれては困る。失業保険をよくしていくのだという宣伝をしながら、羊頭を掲げて狗肉を売るというようなことじゃいけませんよ。私は数字をあげて理屈の通った話をしておるのです。今質問いたしましたことも、これがあってこその審議じゃないですか。やはり政府の抜けておったところがある。与党の議員立法も政府の足らないところを補うということで、あるいはいろいろな方面の意見を若干聞いてそうして補なってこられたわけなんです。その点においては審議をいたしますから、改むるにはばかることなかれで、そういう点は三十八条十一項について運営できることはどうかしらぬけれども、とにかく法律を改正するチャンスがあるんだから、当然このごとくらいはやっていいんじゃないですか。局長のお話は若干的確じゃない点もあったけれども、これは趣旨が合わぬと思うのです。次官どうですか、大臣代理として私の言うことは当然でしょう。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/62
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063・赤澤正道
○赤澤政府委員 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/63
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064・大原亨
○大原委員 これは一つ齋藤委員に聞きたい。齋藤委員はやはり政府の矛盾だらけの法律をできるだけ手直ししよう。政府提案と与党の議員立法が違って、まさに百鬼夜行だけれども、そういうところはともかくとして、われわれは善意を理解して審議に入っておるわけだ。だからせっかく客観的な数字をあげてそうしてこれはおかしいじゃないか、当然六割の原則からいっても日雇いの方をもっと上げていかなければならぬ、底上げ底上げと言っているんだから、労働大臣も先ほどから所得倍増計画について賛成しておるのだから、日雇いの方だけ百四十円に置いていじめるというあまりひどいことはしなさるな、そういう点においてあなたの方は非常に善意を持ってやってこられたわけだから、この点について与党の失業保険その他についての提案者としまして、四回目になるけれども、所見を聞いて審議を進めていきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/64
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065・齋藤邦吉
○齋藤議員 四回目の御質問でございますが、先ほど来お答え申し上げた通りでありまして、日雇い失業保険について幾多改善すべき点はあると思います。しかしながらさしあたり待期の短縮をはかるということをいたしたわけでございます。それから給付金額につきましては、先ほど来申し上げましたように、失対賃金の値上げということによる生活の向上ということも考えなければなりませんし、そのほかいろいろな問題とにらみ合わせて総合的に考えたい、こういうつもりでございます。先ほど来政府側からの答弁にもありましたように、大体給付金につきましては、個人別に見ますといろいろ差はありますけれども、全体的にはやはり六割の線というものは貫かれておると考えられておるのでございまして、将来の問題として大原委員の御意見についても十分尊重いたしまして改善の努力をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/65
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066・滝井義高
○滝井委員 今二十四等級の日雇いの賃金があるということでございましたが、最低は幾らで最高は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/66
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067・堀秀夫
○堀政府委員 ただいま手元に資料を持っておりませんので正確なお答えはいたしかねますが、およそ最低のところは二百二十五円、最高のところが三百五十五円くらいではなかったかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/67
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068・滝井義高
○滝井委員 そうすると二百二十五円というのは、二十八円上がって二百二十五円ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/68
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069・堀秀夫
○堀政府委員 そうではありません。現在を申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/69
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070・滝井義高
○滝井委員 そうすると平均が二十八円ですから、最低の部分は二十八円以下しかしがらぬのですね。最低のところはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/70
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071・堀秀夫
○堀政府委員 二十八円は全国的な平均でございますが、これを具体的に当てはめることにつきましては、その地方、その地方の民間の就労賃金であるとか、あるいはPWであるとか、そういうものとからみ合わせまして、具体的な賃金引き上げ額を決定したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/71
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072・滝井義高
○滝井委員 いわゆる六割の原則を貫いて参りますと、二百三十三円の日雇いの賃金をもらっておれば大体百四十円になるわけですよ。そうすると今の御説明で最低二百二十五円だとおっしゃるんですから、六割の原則からいって二十円上がれば一番最低の人が二百四十五円になりますから、それから上はみな六割の原則以上の賃金をもらっておる、こういうことになるわけですね。こういう点から考えてもこの分け方は不合理です。だから今から三年したら根本的な検討をやるんだ、三十八年になるまでに法律はやり直すというようなことも書いているわけですね。だけれどもお互いに命は短かいんですから、三年も四年も待たなくてもいい。平均二十八円上げたならば最低の者が百四十円にいくだけで、それから以上というものは百四十円以上もらうということになります。もちろん保険料もそれに応じて上げなければならぬと思いますけれども、失業したときに百四十円では食えませんよ。日雇いの労務者諸君というのはそうたくわえがないのだから、病気をしたときにも家族は最低生活で養えるということにしなければ人間の待遇をしていない。だから六割というものは人間の待遇をするものでなければならぬ。そういうことになるとすれば、やはり生活保護くらいのものは一律に出さなければいかぬということになる。標準世帯にしても生活保護くらいのお金を出さなければいかぬのじゃないか、こういうことになると思う。そういう点でここらあたりは納得のいかないと思う点です。だから根本的な検討をおやりになるならばそんなに長くかからなくて、やはり次の通常国会に失業保険の根本的検討をやって出しますというくらいのところにいかないと、社会保障審議会を一々待っておっては大へんです。社会保障審議会はやることが多いんですから、あなたの方が積極的に案を作って社会保障審議会にお出しになる、それを審議会で一カ月、三カ月のうちに審議をして労働省に回してくれる、こういうことになると思うんですが、どうですか、そんなに二年も三年も待たなくてもいいじゃないですか、はっきりしてきておるのですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/72
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073・堀秀夫
○堀政府委員 ただいま私の御説明でやや誤解を生ずるような説明をした点があるんじゃないかと思いますが、最低のところが二百二十五円程度であろう、こう申し上げたのです。これはその地域における平均が二百二十五円ということでございまして、職種によりますと、たとえば雑役というようなものはもう少しまた低くなるわけでございます。その地方であっても高いものもある。しかしそれより低いようなものも、軽易な職種につきましてはあるわけでございます。従いまして、そういうような人々につきましては、やはり今度相当額の賃金アップをいたしましても、これに達しないというものもできさてくるわけでございます。そこで問題は、ただいま先生の御指摘になりましたように、最低生活という意味から最低額を保障すべきではないか、こういうような御議論が出てくるわけです。これも確かに傾聴に値する一つの御議論であると思います。そういうような見地からいたしますと、今度は日雇い以外の、たとえば一般の失業保険の被保険者についても同じようなことを考えなければならないという問題も出て参ります。それからまたそのほかのことを考えてみますと、たとえば労災関係であるとか、そのほかの社会保険につきましても、やはり単に損失を補償するというようなことだけでなしに、最低生活ということもあわせて考えなければならぬ、こういう議論も出てくるわけです。私が先ほど来申し上げておりますのも、やはりこの社会保障全体の見地から、そういう面もからみ合わせまして、政府としてどのようなことをするかということをやはり検討する必要が出てくるんじゃないか。そのような意味におきまして、今この失業保険の中の日雇いの分だけを先にやるということになりますと、いろいろな問題が出てくる。そこで一朝一夕にこれを検討することはむずかしいから、もう少し総合的に検討したい。しかしそれは決して逃げ文句を言っておるわけではありませんので、ほんとうにいろいろ根本的に研究しなければならない問題がある。政府としても熱意を持ってこの問題については真剣に取り組んでいきたい、こういう気分を持っておるわけであります。しからばあと一年で必ずこの法案ができるかとおっしゃるわけでありますが、やはりわれわれとしてはなるべく早く給付の面についても全体の見地から総合調整をしていきたい考えでございますが、これはいろいろ相手のある問題でありますから、来年必ず出すかと言われれば、必ず出しますというわけにも参らず、全体の総合的検討を進めまして、なるべくすみやかな機会に、ただいま申し上げたようないろいろな見地を勘案しまして合理的な調整を行なって参りたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/73
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074・滝井義高
○滝井委員 昨日私は、今度あなた方が四法をお出しになったんだが、労働者の負担というものは保険料を入れてどうなりますかと言ったら、あなた方はそれをお知りにならない。これは労働省は労働省の立場でやったんですからという御説明だった。ところがこの法案の提案の説明では何と言ったかというと、総合調整をまず緊急なところからやるのでございます、こうおっしゃったわけです。ところが、じゃそうしておやりになったこの四法が通った場合に、保険料の関係は一体どうなりますかというと、いやそれはどうもわかりません、労働省だけは減ります、こういうお考えだったのですよ。ところが今の御答弁を聞くと、どうもすべてのものをやはり総合調整をしなければならぬ、こういうお考えのようなんですよ。これは社会保障制度審議会におまかせして、あとは向こうが言ってきた通りにおれらはやればいいというものではないと思うのです。あれは諮問機関なんですから、行政の主体はあなた方にある。あそこは意見を聞くだけの機関でしょう。あれがあのまま出た通りにあなた方はおやりになったためしはない。たとえば労働問題懇談会がILOの問題についてしゃっと出したが、一向におやりにならない。あんなものは、国家公務員やら地方公務員はそのまま措置をしないでいいと書いてある。石井報告というものはその通りおやりにならない。自分の都合の悪いときにはおやりにならないくせに、今度は総合調整、社会保障制度審議会とすぐ隠れみのを出す。それはいけない。われわれは審議会は大事だと思っています。しかし国会でこれをやり合うときには、あり方としては審議会は尊重しなければならぬが、それは政府の機関であってわれわれはこれを関知するところではない。しかし審議会の意見をあなた方が尊重しないというならば、これを尊重しなさいということは言いますよ。しかしあなた方がそれを審議会にかけてどういう工合に今までやってきたか、自分勝手なことをやってきた。大事なときになると総合調整だ、社会保障制度審議会だ、労働問題懇談会だ、こうおっしゃるけれども、一向にその通りおやりにはならない。社会保障制度審議会にかけておるとおっしゃるなら、これから社会保障制度審議会の答申の通り労働省はおやりになるお考えですかと言いたい。そういうことならば私らは待ちますよ。しかしあの通りにあなた方はおやりになったためしはない。今後はあの通りやります、これならあなた方の言う通り総合調整を待ちます。どうですか、職業安定局長としてその点おやりになる気持はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/74
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075・堀秀夫
○堀政府委員 諸種の審議会の答申を政府が尊重するということは当然のことであると思います。しかしいろいろな財政的見地その他の見地からして、必ずしも実行しなかった例もありまするが、そのまま実行した例もございます。最低賃金法なども中央賃金審議会あたりの答申、大体その線に沿ったつもりでありますが、まあものによりましては、財政的見地その他からそのまま実行できなかった例もあります。私といたしましては、今後、あらゆる審議会では慎重に審議していただき、政府も熱意を持ってこれに対して取り組む、できましたものはできるだけ尊重する、こういう考え方でぜひ進んで参りたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/75
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076・大原亨
○大原委員 局長、政府委員としては、今四本一括して出しておるのを、与党の議員修正が出たというのでまた弁解しなければならぬ上に、これをまた改めます、こう言われたのでは権威がないでしょう。今あなたががんばる気持はわかりますよ。何でもかんでもがんばっておかなければしようがないと思うんだろうけれども、めちゃくちゃでもがんばっておかなければならぬ、その立場はわかるよ。しかし政務次官、けさ方から大臣の話をずっと聞いておっても、地域給については二十四ランクというものはずっと縮小していく方針だから、三百三十四円の六割といえば二百円四十銭だから、二百円と百四十円の二つあるのを、少なくとも最低二百円ということで一本にしてもいいはずです。二十四ランクあって、二級に分けておるのですから……。あなたの言っておるのは理屈が通っておるから、それじゃ一つそのように考えましょうというと、それはお役所としては面子がないかもしれぬ。その気持はよくわかる。
この点齋藤委員に五たび質問いたしますが、齋藤委員は議員立法を出すについていろいろと御努力してこられた。政務次官もその趣旨についてはよくわかるということで、これに賛成になっておる。松野労働大臣も与党の議員立法の趣旨については賛成です、ただし政府案を撤回する意思はございません、政府案がいいと思っております、そういうことを一応言うた。それに輪をかけたようなことを職安局長は今言っておる。あなたはもう少し自由な立場にあるので、よくすることにかけては少々面子がこわれたって、名誉なことだから、また野党も審議を進めようと思っておるのですから、この際一番弱いところを上げていって、地域給も是正しようという方針があるのですから、二十四に分けるわけにいかぬのだから、そうすると平均値を少なくとも確保して、最低生活を保障すると、いうことは、大蔵省に対しても、どこに対しても私は筋が通っておると思う。これは最も近い機会に、齋藤委員として今すぐオーケーというわけにはいかぬだろうが、この二、三日のうちに話をして、この真剣な審議に対して答えてもらわなければならぬ。齋藤委員の三回目の答弁のときには、野党のことであってもだれのことであっても、筋が通っておることであったならばお互いに努力することはします、こういう建前です。こう御答弁になっておるわけです。せっかく議員立法としてこれを改善していく、一年間たって、そのうちにいろいろな意見が熟してよくなったら改正していく、そういう方針でありますから、これは今直ちに即答ということはできないが、この点は与党にも諮って、この法案が上がるまで大橋委員もおられることだし、一つ十分与党で討議されてやって下さいよ。そのくらいのことは真剣に審議に応じてもらいたい。齋藤委員の御答弁を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/76
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077・齋藤邦吉
○齋藤議員 大原委員の五度目のお尋ねでございますが、議員提案を作成いたします過程におきまして、やはり日雇失業保険についても問題が出たわけでございますが、先ほど来たびたびお答え申し上げましたように、日雇失業保険の給付金の改定をいたしますということは、諸般の情勢からいろいろ問題がございますので、これは後刻の、将来の問題に移そうということにいたしておるわけでございます。幸いに明年度から失対賃金もある程度上がるわけでございますが、しかし失対賃金が上がると同時に、民間賃金の動向等も見定めていかなければなりません。そういうわけでございますので、これは二、三日中に御返事をと申しましても、意のあるところは十分わかっております、野党の諸君の真剣な御意見については十分私ども耳を傾けておるわけでございますので、将来の問題として日雇失業保険の総合的な改正ということについては、努力をいたしたいと思いますが、今日の法案提出にあたりましては、はなはだ遺憾でございますけれども、大原委員の御意見の通りには参らぬということをお答え申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/77
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078・大原亨
○大原委員 今日は提案の段階だから、今の段階はともかくとして、この法案がいつまでに上がるかわからぬけれども、これにいろいろな意見がどんどん入っていって二、三日のうちに上がるかもしれず、こういう点は慎重審議しておって長くかかるかもしれず、これはわからぬけれども、そういうことを含んでもっと近い機会に一つやる、こういう点は、私の言っておるのは一つも無理じゃないんですよ。三百三十四円になるのについて、今までの方式からいったって二百円四十銭、それは六割の原則を認められたんだから、政府も認めているんですから、一般失業保険は六割なんですから、二百円四十銭のことからいいましても最低二百円、こういうふうにすることをきめても不思議はないでしょう。この点は党に持って帰って検討して、一つお互いに協力してやろう、こういうふうに御答弁いただけませんか。もう一回、六回目でありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/78
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079・齋藤邦吉
○齋藤議員 六回目か七回目の御質問でございますが、先ほど来申し上げておりますように、この提案と別個な切り離した問題として将来十分考究いたしたい、こういうことはお答え申し上げられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/79
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080・滝井義高
○滝井委員 ちょっとお尋ねしますが、一級は七割、二級は三割だ、こういうことになるわけですね。そうしますと、日雇いの保険給付は年間三十三年度が十五億くらいですね。三割が二級の支払いだとすると四億五千万円です。これを二百円に上げずに段階を百八十円に縮めていく、二百円と百四十円を二百円と百八十円にする、そうするとこの百八十円にすることによって約三割引き上げになるでしょう。四億五千万円を三割上げると一億二、三千万円あなた方がお出しになるつもりならできるんじゃないですか。二百円と、四十円くないアップして百八十円くらいにしていく、そうすると一億二、三千万円なら、大蔵省から事務費を三千九百万円しかもらっていませんから、事務費を一億もらったらいい。その事務費をそちらに回したらいい。あるいは運用の利子が四十一億あるんですから、それを回したらいい。事務費などにこの失業保険を回しておるというのは、私に言わせればけしからぬ。運用の利子というものは事務費に回さず、労働者の福祉のために使うならいいですよ。一応失業保険は日雇いの失業保険と普通の失業保険とは別建になっております。もし事務費に回す金があるならば、同じ会計の中ですから日雇いに回してくれたらいいのですが、どうですか。計算はそうなるでしょう。一体今の三十五年度の予算で給付費が幾らで、二百八十円以下の保険金が幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/80
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081・堀秀夫
○堀政府委員 お話のような計算にもなるだろうと思います。そこで日雇いの失業保険のワクから申しますと、結局ただいま御指摘のような現在の制度を根本的に変える——根本的というのはやや言い過ぎかもしれませんが、現在の予算の構成を変えるということをしなければならないわけでございます。そういうことがありませんと、結局一般の失業保険と日雇いの失業保険とは別建になっておりますので、大体ただいまのところわれわれの見込みでは、この待期の一日減少というようなことを織り込みまして、来年度に生ずる日雇いの失業保険の剰余はあまりないのじゃないか、このように思っておるわけです。そこでただいまお話しのような内容の改定をいたしますと、結局現在の予算の構成を変えなければならないということになります。この点については、滝井委員の今まで御発言になりましたことも一つの議論だとは思いますが、やはり政府といたしましては、それに対してそのつど御答弁を申し上げましたように、ここ十数年来ただいまのような予算の構成で参っておるわけでございますから、いろいろ御議論はございましょうけれども、これらの問題は、やはりここしばらくの間の保険経済を一般それから日雇いと分けまして、収支をよく勘案検討いたしまして、それとあわせまして、全体の関連のもとに級地の調整の検討をはっきりしよう、こういうことでいかなければならないのじゃないかと思いますので、この問題については、われわれも真剣に検討には着手をいたしますけれども、ただいまのところ、そのようなお話のような工合にこの内容を修正するということについて、われわれはどうもそれをそのままお認めするというわけには参らぬというのが、私どものただいまの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/81
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082・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、今度与党から出ておるのは一億や二億の修正じゃないわけですね、三十一億です。われわれが尋ねぬうちに松野さんが私の質問に答えてくれたのです。三十一億円今度は与党の方の修正で出すことになります。これは日雇いの一億、一億じゃないですよ。これはどうですか。これは改めないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/82
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083・堀秀夫
○堀政府委員 ただいま申し上げましたように、失業保険は一般と日雇いが別建になっております。一般の面につきましては、この間も御質問にお答えしましたように、来年度の雇用情勢が現在のままで推移するとしますれば、やはり百億以上の剰余が生ずるであろうということを申し上げたわけでございます。そのような見地から、この議員提案につきましては、本来政府といたしましては、この一般の被保険者の給付の問題につきましても、もう少し全体との関連をにらみ合わせながら総合調整の検討を行なった上で着手したいと思っておったわけですが、議員提案の中に盛られました三つの点については、いろいろ関係者の緊急の御要望があるという問題でございます。ただその一般の被保険者に関する問題でございますから、これがこのまま成立いたしたとしても、それに対し特に異存はない、こういう考え方であります。日雇いの問題につきましては、ただいま申し上げましたように、一般と別建になっておりまして、日雇いの面についてただいまのような修正をいたしますと、計算上はやはり相当な赤字が出てくるということになります。従いまして私は日雇いの問題につきましては、もう少し検討しないと、ただいまのところそのような修正をするというようなことについては、われわれとしてはどうも賛成とは申し上げられないという考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/83
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084・滝井義高
○滝井委員 局長さんは、戦争に行ったことがあると思いますが、ありますね。そうしますと、たまに撃たれて五人ここにけが人がおる。一人はもはや死のうとしておる、次のはまだ割合に元気がいい、次のはちょっとのけが、次のもちょっとのけが、次もちょっとのけがという場合に、一体どれから先に手当をしますか。やはり死のうとしておるのを先に手当をしますか。今度の与党の政策というものは、やはり大企業と中小企業の格差をなくそう、所得のアンバランスを是正をするのだというのが、大きな政策です。そうしますと、この失業保険の中において、一番苦しんでおるのは一体どこなのだ。日雇いです。しかもその経済は一番苦しい。それならば今度あなた方が失業保険の中から、三分の一から四分の一にしたのを、返上するお金を返上しないで、これに回すというのが、これが戦場における精神、友愛の精神です。それをおやりにならぬで、政府に二十八億ですかお返しになる。二十八億お返しになっておって、日雇いのこういう面については根本的な検討をやるときに待てということならば、このお金を回してくれたらいい。そうでしょう。息も絶え絶えにしておるのを救うのがヒューマニズムですよ。それが政治の最優先的にあたたかい手を伸ばすべきものだと思うのです。それを労働省はおやりにならぬのです。今われわれが指摘しておるように、百四十円では食えないのですよ。一つ大臣、政務次官、局長の三人、私が一週間毎日百四十円ずつ、失礼ですけれども、あなた方にあげますから、それで一つ食ってごらんなさい。そして国会へ来て、ここで私とやり合ってごらんなさい。おそらく三日やったら、百四十円じゃ目が回りますよ。だからこれはやはりおのれをつねって痛いときには、人もつねったら痛いのですから、おのれの施してもらいたくないことを人に施してはいかぬです。これはやはり政治だと思うのです。それは、それだけの金を出せないというならば、私は言いません。しかし今の段階で、一億二、三千万円か一億の金というものが、幾ら日本の財政が貧しいといったって、出せぬことはないと思うのです。しかも労働省というものは、失業保険の中から二十八億の金を返上しておるのですから、その二十八億の中から一億もらってきたらいい。だからこれは、あなた方が返上してなければ、この主張というものは私は無理だと思う。滝井のやつ何を言うか、それは無理だでいいけれども、あなた方は失業保険の中から返上したのだから、返上した金をもう一回一つ返してもらいたいということです。それはことし予備費が失業保険百二十億くらい組んでおるでしょう。これは別建かもしれないけれども、大蔵省に予備費の中から二億、こっちは戻します、だからこれを一つ回してくれ、最終的にはこれでもいいですよ。同じ労働省の中の政策ですから、そして同じ失業保険ですから。失業保険という大きなワクから考えれば、それは少しは無理があっても、こういう無理はやろうと思ったら、今与党というのは、男を女に、女を男に、あるいは東から上る太陽を西から上らせることはできぬかもしれぬが、他は何でもできます。だから三十一億だって、あなた方がやらないということでも、与党がやろうと思ったらできるのですから、その点は松野さんは与党の岸内閣の労働大臣ですから、これはできるはずです。だからこれはぜひ一つ、日雇い労働者の失業保険の中で、この一点だけは社会党としてはぜひやってもらいたい。そうでなければ、われわれはなかなか御協力ができぬところなのです。これはどうですか。これはあなたたちが一つここ一週間か十日ばかり百四十円で生活をするか、生活することがいやならば百四十円をこえるものを出すか、こういうことですよ。やはり人に自分のいやなことは施しちゃいかぬと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/84
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085・赤澤正道
○赤澤政府委員 二十八億円返したということを盛んに言われますが、これは保険経済が積み立て金がだんだんふえるものですから、そういうふうになったのだが、ただ社会保障の全般として進めておるわけですから、一方的にとられて責められても、実は困るわけであります。ただおっしゃる通りに、大体二百円にしろ百四十円にしろ、きわめて安過ぎることはわかっておるのです。さっきから職安局長が盛んに言っておりますが、失対の扱い方自体に大きな問題があると思うのでして、役所の方でも真剣に、今盛んに議論をして、もっと正しい姿にしなければならぬ、これと生活保護関係とのバランスの問題等もいろいろ妙なことがあるわけです。私をして言わしむれば、日雇いに出る諸君は比較的平均年令が高いのです。高いけれども、現場にいってみれば能力もあるし、まじめに働いておる方もある、こういう人たちの賃金はうんと高めて効率を発揮させなければ、十分働かさせなければいかぬし、またきわめて働けない人、またおばあさん、おじいさん等は草むしりみたいな軽作業に従事してもらう、これは賃金が安くても仕方がない。しかし失業保険ということになりますと、私はおのずからまた違うと思うのです。今言われる通りに、滝井さんが百四十円くれるからそれで食ってみろということですが、これはとても私たちは音を上げざるを得ないことは当然のことであります。ですからこの問題につきましては、単にここで聞き流すということではなくて、党の方にも、労働部会でもエキスパートの方もおられるわけですし、政府側といたしましても、これを契機として十分再検討いたしまして、そして気の毒な人々が少なくとも保険という意味で救われるような措置を講じていきたいと思いますので、この辺は御了承を一つお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/85
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086・大原亨
○大原委員 今の職安局長の答弁に関連して私はちょっと気がついたのですが、この国庫負担という改正項目のところを見てみますと、「この場合の保険収支の計算は、一般失業保険と日雇失業保険ごとに別建として行なうもの」とする、こういうふうに今度は改正をするのですか。私は午前中、一般失業の会計と日雇い失業会計はどんぶり勘定でやるのだ、それであなたの方は否定をされなかったけれども、今度それを別建にするのですね。今までは一本だった、大体大蔵省、その他の関係なしに一本だったのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/86
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087・堀秀夫
○堀政府委員 従来から別建にしております。そこで今度の改正法案の中に、ただいまのような別に計算すると書きました趣旨は、要するに一般の方は、従来の経緯から見ますると、余裕が相当あるわけであります。それから日雇いの方につきましては、余裕がないわけであります。そこで赤字になった場合に、さらに補給するというのは、ただいまの改正案でございますが、それを一緒にやられましては、日雇い失業保険の経理の方が余裕ができないということで、別に取り扱うということをしたのは、そういうふうな点であります。要するに、ここに書きましたのは、赤字が生じましたときに、四分の一が三分の一になるまで補給するという規定ができたわけでありますから、その運用にあたりましては、一般と日雇いは別に計算する、またそうしないと、日雇いの方が非常に無理がかかってくるという考え方から、その今の四分の一が三分の一に達するまで補給するという規定を設けましたのに関連して、このような規定を設けたわけでございます。従いまして、初めからこの失業保険の中で一般と日雇いというものはそれぞれ別建にして経理をしていく、そうして必要なものは保険料その他で補っていく、こういうように考えていくわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/87
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088・大原亨
○大原委員 この三分の一の国庫負担ですね、それを四分の一にしたのは、日雇いの方も関係しているのでしょう。今までは一緒のところが、総まとめにして二分の一の国庫負担だったのが四分の一、今後はそれで三分の一、四分の一になるのですか。そういたしましたら、日雇いの方はその給付内容を当然改善しようと思っても、四分の一にしてしまうと、国庫負担を少なくすると、ますます改善の仕方もむずかしくなるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/88
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089・堀秀夫
○堀政府委員 ただいま申し上げましたように、日雇失業保険というものが余裕がないわけであります。そこで赤字になる公算が出てくるわけであります。そこでその場合には三分の一まで戻す、こういう規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/89
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090・滝井義高
○滝井委員 それで、現実にも赤字ということがわかっているのだから、ただ、今度の法案で日雇いの失業保険は待期期間を六日を五日、連続四日を三日に変えただけなんですよ。その恩典をちょっぴりと与えておいて、今度、三分の一が四分の一にぴしゃっと切っているわけです。失業保険の特別会計というものはこれは込みなんです。ただあなた方が内輪で失業保険と一般と分けておるだけであって、われわれ国会からみれば、この予算書は失業保険の特別会計というものは一本で、保険料の収入とそれから歳出の保険金というものがおもなものになって出ていっている、こういうことです。だから事務費その他からいえばどんぶり勘定でいっているわけです。そうしますと、なるほど保険経理の面から見ると、日雇いというものは保険料も少ないし、それからむしろ出ていく額もそのかわり少ないわけなんですが、保険経済自体に貢献するところは一般よりかずっと少ない。そういう点で分けるということはわかるのですけれども、今まで仲よく一緒にやってきたものが、一方が苦しくなってそういう矛盾を持っているならば、これは兄貴の方の金持ちが、国に金を戻さずに、二十八億の中の一部を残してやるというのが人情ですよ。だから、こういう点については、今大原さんも御指摘になったように、今まではどんぶり勘定できておったのだが、今度は分けないと、大蔵省としては一般の方に失業の赤字がどんどんくると早く三分の一を出さなければならぬという、逆の論理も出てくるわけです。だから、三分の一出さないためには、一般の方となるべく早く分けておけばいい。こういうことでしょう。日雇いは年額にすれば十五億というわずかなものです。わずかですから、そのときそのとき出してもいいじゃないか、それは二十八億から吸い上げておるのだから、このワクの中でちょっぴり返せばいいのだ、こういうことなんです。だから今の説明ではいかにもいいような工合だけれども、ちっともよくないのです。からくりにしてみればそういう点ですよ。だから、私が言うように、その二十八億召し上げられたものの中から、一つ二億ぐらいは残しなさい。残して日雇いの——できれば、大原さんの意見のように二百円一本にしたらなおいいが、それは保険料も違っておりますから、まあ二十円ぐらいの違いで百八十円、百八十円あれば何とか一人か二人ぐらいならばやっていけるでしょう。ところが百四十円、わずかに四十円ですよ。これはなかなかですよ。養老院の人たちのように集団的に給食をやるところは五、六十円で食っているのですから、そういう点からもう少し、この際四十円じゃないですか。保育所のおやつ代を五円要求したら一円にしてそれから三円にしましたね。おやつ代三円上げたんだから、一つこの際労働者一人当たり四十円一律に失業保険だけ上げましょう、こういうことぐらいはいけるんじゃないかと思うのです。これは矛盾しておりますから。どうも論理的には、われわれの方が客観的に事実を知っておるし、自分で議論をしながら聞いておっても、これは勝ちですよ。あなた方が二十八億召し上げられておらなければ、僕らが言ったってあなた方はそれをはね返される力がありますけれども、二十八億召し上げられておって、どんぶり勘定の中で——今はなるほど別にしておるけれども、このぐらいの要求というものは日雇いにしてやらなければならぬ。ちょっぴり待期の期間を一日ずつ短縮したからといってわがことなれりというのでは、労働省は何のための失業保険行政をやっているのかと言わなければならない。これは政務次官おわかりでしょう。だから、これは一つあなたの新鮮な政治力で大蔵省を動かして、与党も三十一億の恩典に浴させようというのだから、まあその五分の一か六分の一、五、六億ぐらいを日雇いの失業保険にいただきたいというところですが、その一割でいいですよ、三億でいいです。三億が悪かったら一億五千万円、五%でいいですよ。そのぐらいでいいですからこれに一つ回してもらいたいと思う。そのぐらいの努力は当然大蔵省でできるはずですよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/90
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091・堀秀夫
○堀政府委員 お話の点、いろいろ傾聴に値いする部分を含むわけでございます。ただいま申し上げましたようにこの失業保険の経理の内容につきましては、またその運営につきましては、職安審議会その他によく諮りまして運用しておるわけでございます。やはり一般は一般、日雇いは日雇いという収支状況を見まして、その収支に応じまして保険料等を計算する、このような考え方で今までも進んでおるわけでございます。このような考え方を延長いたしますといろいろな考え方がありますが、一面に保険料を値上げするというような考え方も出てくるわけでございます。このような、いろいろあちらこちらに波及するような問題も出て参りますので、これはもう少し時をかしていただきまして、われわれとしては、この問題に対して総合的な立場から、真剣に取り組んでいって、なるべく早く解決をはかっていくという方向で研究に着手したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/91
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092・滝井義高
○滝井委員 保険料をお上げにならなくったって、現在失業保険については事務費をまず全額出してもらう。これは予算の範囲内で出せるのですから、全額出すのが原則です。それで、日雇いの保険に関する限り、四分の一にしたものを三分の一に戻していって——これは大坪さんや齋藤さんの良識が出したこの法案をごらんになっても、なかなかいいことをやってくれておるのです。それをごらんになりますと、国庫の負担で、職業訓練所入所者に対する給付延長の制度、それから就職支度金の給付制度の新設、これは四分の一です。ところが、給付日数の延長に関する特別措置の新設を三分の一とちゃんと書いておるのです。これをまねされたらいい。だから、日雇いについては四分の一というのを三分の一でございます、それから事務費は全額いただきます、これでぴしゃっと出ますよ。計算してごらんなさい。あなた方が根本的に検討しなければならぬ、保険料をいじらなければならぬという、そんな必要はちっともないのです。だから、これはまず殷鑑遠からず、われわれの眼前に展開しておる与党の法案の中にそういうことがあるということです。そうでしょう。だから、これ以上議論しても同じですから、あとは次会に大蔵省に来てもらって、与党の例にならってこの意見をいれてもらいたい、こういうことにならざるを得ない。論理はだれが聞いてもわれわれの方が通っておりますよ。三十一億も金持ちにやって、貧乏人には一億の金もくれぬという政策はないですよ。そうでしょう。しかし、きょうはこれ以上言っても同じですから、今度はあとで大坪先生や齋藤先生の高見も拝聴させていただいて、この問題についてのわれわれの態度をきめさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/92
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093・大原亨
○大原委員 今の点は滝井さんのお話の通りですが、これを別建にして計算するということもいいけれども、こういうふうに制度化するということは、今これを三分の一国庫負担を確保する口実というか理由ならいいけれども、これはいけないし、特に七百十何億円も積み立ての余裕が保険会計にできたのです。利子だけだって今聞いてみれば四十億以上です。そうしたら、失業保険というものは助け合いの精神で、一番困っておるときに助けてやるというのがその精神じゃありませんか。そうすれば、失業保険をどんぶり勘定にしておいて、その中で一億円なり二億円なり三億円を出すのはわけないですよ。そんなことは当然できますよ。今言った趣旨から言っても、この点はぜひとも検討していただきたい。そうでなければ、この法案は全くの改悪になってしまう。別建といったって改悪ですから、ますますいろいろな不利が出てきます。だから、そういうふうに真剣に討議したって、努力します、近いうちにやりますということでは、これはいかぬのです。私は、今から待期期間の問題その他三点ぐらいにわたって真剣に討議しようと思ったが、もう討議する気が起きないので、また次に回しますけれども、私は一つ齋藤委員にお尋ねしたいのですが、この待期期間を、飛び飛び通算の場合は六日であったのを五日にした、それから引き続いての場合には四日を三日にした、そういうふうに政府案を改正しておるわけです。そのために予算がどれくらいいっておるか、七、八億円いっておるかわからないけれども、あぶれが続いて初めて百四十円なら百四十円がもらえるわけです。日雇いの趣旨からいっても、きょう行って一日休職します、そしてもう一回行ってなかったら、あくる日くらいからは当然失業保険はつけてやる、こういう建前が当然ではないか。さらにもう一日か二日間くらいは短縮してもよろしい、こういうふうに思うのです。だからこういう問題を計数的に真剣に討議して、そして討議の結果を法案について反映をするということが当然の民主主義だけれども、私はこの問題だけでがっかりしたですよ。こんなにはっきりしておる問題について、皆さんが全部認められておる問題について、しかも仕組みとすると改悪になるような面もあるようなおそるべき——とにかく会計上あとで禍根を残すかもしれない、そういう点においては大蔵省からきちっと抑えられる、そういう面を持っていることについて、真剣に取り上げて対処してもらえないということでは、これはいけない。私はこれだけはぜひとも審議して、そして良識のある政府与党の皆さん方ともお互いに協力したいと思ったのですが、遺憾ながらできません。
きょうはこの程度にいたしまして、この失業対策事業の趣旨から考えて、またあとであらゆる角度から残っている三、四の問題を審議していきたいと思います。私の質問は最後に見解を聞こうと思いましたが、特に与党の皆さん、齋藤委員初め御出席の皆さん方の良識に期待をいたしまして、政務次官も局長みたいにこだわっている必要はないですから、原案を作ったわけじゃなし、政務次官であるのだから、大所高所からあなたが政治的に判断すればよろしい。大臣とも協議していただいて、善処していただくように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/93
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094・大坪保雄
○大坪委員長代理 次に、労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。五島虎雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/94
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095・五島虎雄
○五島委員 時間もずいぶんおそいですから、私簡単に、特に労働基準行政について緊急に質問をして明らかにしておきたいと思います。この法案につきましては、他日に譲りたいと思うのです。
労働基準法の六十二条の女子年少者の深夜作業の条文をめぐって、ことにバス関係の中の観光バスに従事するところのバス・ガイド、バス・ガールの方たちの深夜作業の問題については、かねてから非常に問題がございましたし、またレクリエーション的に旅行気分というものがだんだん盛んになって、長途の観光旅行をされる国民の数が非常に多くなったわけです。それで、バス・ガールはそれのサービスとして乗務するわけですけれども、目的地に着いて、そして旅館に泊っても、晩にもお客さんのサービス、接待にこれ努めなければならない。こういうような状態が全国の観光バスの従業員に出て参りますと、六十二条の女子の深夜作業の禁止条項に抵触するということで、私鉄総連ではこの問題を高く取り上げまして、やはり婦人の衛生を保護し身体を保護するためには、どうしてもこれらを基準法の通りに禁止してもらわなければならないけれども、基準局の監督がいまだ不十分だから、この点について十分適切なる指導をしてもらいたいということで、昨年堀局長が基準局長の時代に、私鉄総連が非常に要望されまして、堀基準局長もそれを確認されたか知りませんけれども、全国に対してに何か局長通達を発せられまして、そうして暫定措置として一年間を限って準備の指導をされておった。その期間が大体三月三十一日までに終わろうとする、あと二十日間ですね。そういうような通達に基づいて、全国ではどういうような状況になっておるか、それからその一年間を通じて、新しい澁谷基準局長がどういうような対処をされるかということについて、ちょっとお尋ねしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/95
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096・澁谷直藏
○澁谷政府委員 お答えいたします。ただいま御質問のございました観光バスの女子ガイドの問題でございますが、御指摘の通りでございまして、最近の経済の安定と道路整備の進捗に伴いまして、観光バスの需要が急激にふえてきた。従って、これに従事する労働者の長時間労働も、相当目立ってきたわけでございます。そこで労働基準局といたしましては、基準法の厳正なる順守、特にこのバス・ガイドの深夜業務の禁止を重点事項として取り上げて、全国的にこれに対する監督是正を行なってきたわけでございます。ただわが国のバス会社の実態を見ますると、全国で四百三十程度の会社があるわけでございますが、そのうちの約六割がわすか十両程度しか持っていない、非常に小さな規模の会社が多いわけでございまして、これを直ちに一斉に禁止するというような措置をとりますことは、実際問題としてなかなか困難な事情があったわけでございます。そこで昭和三十四年度に一年間の猶予期間を設けまして、この期間のうちで具体的な計画を準備してこれに対処する態勢を整備するということで、これに対する監督指導を実施してきたわけでございます。
〔大坪委員長代理退席、田中(正)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/96
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097・五島虎雄
○五島委員 ところが、そういうような指導監督をしてこられたけれども、基準行政の問題については非常に微妙な問題が生じるのではないか。そこで九日付の毎日新聞だけでしょうが、バス・ガイドの深夜業の禁止の問題について大きな記事が載っているわけです。それによれば日乗協——社側の協議会が労働基準局に対して巻き返しをやっておるのだというような見出しで、バス・ガイドの深夜作業を打ち切るというようなことについては、こういうようなことをする、ああいうようなことをすれば、大体法に違反しないのじゃなかろうか、あるいは飛行機のスチュワーデスは深夜作業が許されておるのに、バスのガイドが深夜作業を許されないということは、これは片手落ちだから、スチュワーデスと一緒に深夜作業ができるようにしてくれないかということを、強力に労働基準局に陳情し、そうして監督行政について変更を迫っているかのごとき記事が出ていたわけであります。全国を指導されることはいろいろ微妙な問題を含んでおりますから、一がいにこれをぴしゃっと締め切るということもなかなかむずかしいだろうとは思いますけれども、一年間の猶予期間を作って、そうしてはっきり深夜作業におけるところの線を出して、バス・ガイドについての深夜作業の一線を設定しようという、あともう二十日間で線を出さなければならないというようなとき、こういう記事が載りますと、労働基準法の深夜作業の問題については一体どうなるんだろうか、あるいは「毎日」ですから、大新聞ですから、その記事は世間一般に信用されるところであります。ところがあの記事を見ますと、この女子深夜作業をぴしゃっときめてしまうということはいろいろな方面で反対な空気があるから、なかなか実現困難でしょうというような表現の記事になっている。それが、労働基準局全体がそういうような考えになってきているんじゃないかという記事になっておりますから、そうすると、われわれは労働基準法を実施するように、それからまた職業安定の法律はそのまま実施しつつ労働者を保護しなければならぬという立場をとっておりますると、ああいう記事を見ますと、労働基準局は一体どういうように考えておられるのだろうかというような疑惑が沸くわけです。従ってあの記事はそういうようなことに考えられ、日乗協が労働基準局にぴしゃっとやってもらうのは困るんだから、何らかの措置をしてもらおうじゃないかというようなことやら、あるいは運輸省自身が労働省に対してもっと緩和してもらいたいというようなこともあったという記事が載っておりますると、いかにそれを調整するかという問題が重要になってくるんじゃないか、こういうように思うのです。そのことについて、あと二十日間——私鉄の組合なとは非常に注目しているんじゃないかと思います。実際私鉄の組合などに聞きますと、この女子深夜作業の問題は、長い間実現するために努力してきた問題だ。従って組合内部でもこの春の——春季闘争というと自民党の先生たちはあまり喜ばれないようですけれども、賃上げに基づいてこの深夜作業の問題を実現するために、ストライキ権を確立して、そうして各会社に対して十時以後の就業はやめさしてもらいたいという団体交渉が行なわれるやに聞いておるわけです。ところがきのうの新聞記事を第三者的な観点からずっと読んでみますと、日乗協が巻き返しをやる。ところが中の文章において、私鉄総連の組合も反対であるという字句が使われてある。あたかも私鉄総連の労働組合が日乗協と軌を一にして労働基準局の行政監督指導に対して反対するかのごとき記事になっているわけです。それが事実であるとするならば、私鉄総連の組合は一体どういうように考えているんだろうか。今まで一生懸命女子の深夜作業は禁止してもらいたいといって要望し、基準局と熱心に相談をし、協議をしてこられたにもかかわらず、いつの間にその態度が変わったんだろう、こういうように疑義を受けるわけですけれども、この点について基準局長はどういうように考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/97
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098・澁谷直藏
○澁谷政府委員 ただいま御指摘のございました九日付の毎日新聞の記事につきまして、この際、その真相を申し上げたいと思います。毎日新聞の記事によりますると、この問題について業者側が巻き返しに出ておるというような見出しでございますが、そのような事実は全くございません。先ほど申し上げましたように、この三十四年度を準備期間といたしまして、この間にこれを是正する準備計画を樹立して、それに対処する態勢を確立するということで、現在まで勧告指導を行なってきたわけでございまして、業界におきましても、当初ただいま五島先生が言われましたように、飛行機のスチュワーデス並みに特例を設けてもらいたいというような陳情もあったやに聞いておりますけれども、最近においてはそのような陳情は全然ございません。労働省の方針にのっとりまして、できるだけすみやかにこのバス・ガイドの深夜業を禁止するためにはどうしたらいいかということを熱心に検討をいたしているわけでございます。そこでこの観光バスから女子のバス・ガイドを全然排除すれば、問題はきわめて簡単明瞭に解決できるわけでございますが、観光バスの特殊性からいいまして、これに全然女子のガイドを乗せないというようなことは、実際問題としてできないわけでございます。そこで観光バスに女子のガイドを従事さして、しかも労働基準法をいかに順守していくか、そのためにはどういうような具体的な対策が必要であるかということが問題の焦点になっているわけでございます。そこで業者側におきましても、そういった点についての具体的の対策を真剣に検討いたしております。またその問題につきましては、私鉄総連との間にも話し合いが進められているというふうに私は聞いておるわけでございますが、その点を、先日「毎日」の某記者が参りました際に、そのような点について若干話し合いをしたのでございますが、そのときの私の談話が一部抜き出されて書かれましたために、私の真意が十分伝えられておりませんし、むしろ一部はゆがめられて伝えられているというのが真相でございます。私どもといたしましては、基本的に女子ガイドにつきましての深夜業を認めるというようなことは当然考えられませんし、あくまでも、これを排除したいという考え方に立って、目下その対策を検討いたしておるわけでございます。そこで期日もだんだん狭まってきている現状でございますので、私どもは業者側、さらには私鉄総連の代表者の方とも十分この問題について話し合いをいたしまして、女子の深夜業排除についての適切な具体的対策を確立するように目下鋭意その検討を進めて、なるべく早い機会に結論を出したいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/98
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099・五島虎雄
○五島委員 大体わかりました。
そこで、その新聞記事によりますると、一番最後の方で澁谷労働基準局長の談話ということが特に記事となりまして、この問題については組合も大体この日乗協の考え方に賛成であるようだ、そこでこういうように各方面が賛成になってくると、なかなかむずかしい、こういうような談話が発表されておる。そこで私は実を申せばこの問題にはかねて注目をいたしておりまするから、従って組合の方に問い合わせたのです。組合も賛成なのかと言ったら、全然違うというのですね。そこで、それは違うということが、大毎日新聞の記事になれば、今非常にバス会社で、特に観光バスを持っているところの組合、従業員、そしてバス・ガイドの連中は一万数千名がおられるのですけれども、その一万数千名の関心も、当該組合の関心も、そうして私鉄総連十二万の組合員が非常に大きな注目をしておる。しかも私鉄総連に入らざるところの、組織されざるバスの組合もありましょうし、従業員もおられるだろうと思うのです。そういう人たちが非常に注目されておるけれども、組合が賛成しているというような記事になると、指導的役割を果さなければならない組合幹部としては、非常に今後指導がむずかしいのじゃないか。さいぜん申しましたように、今度の春季闘争にストライキをかけて、深夜作業の排除のために組合自身が努力し、そうして会社側とこの問題について強力に団体交渉を行なおうとするやさきに、こういうように局長談話をもって発表されるというようなことについては、組合幹部が非常に今後の行動に困られるのじゃないか、こういうように思ったものですから電話で聞いたら、そうじゃないんだと、こういうようなことです。そこで局長がさいぜん言われましたように、新聞記事の取り方が間違いで、そして自分はそんなことを言ったわけじゃないんだというようなことがはっきりなれば、また組合の幹部も、そういうようなことで、全員に対して違うのだというように情報を流すこともできるだろうと思うのです。しかし問題は、たとえば非常に野球が盛んである。大阪の西宮球場にナイターがある。それでナイターに、編成されて京都府から乗ってくる団体がある。そうしてバス・ガイドがそれについてくる。ところが野球が終わるのが九時半だ、そうすると、十時までにあと三十分しかない。どんどん用意をしていったら十時になった。ところがバス・ガイドは十時までしか乗れないのだから、さあどうしましょうか。あなたは電車で帰ってくれというような微妙なこともあるようですから、日乗協ともよく相談され、それから私鉄総連ともよく相談されて、労働基準法の精神をはっきり貫いて、深夜作業の排除について十分諸方面が納得するように、短時間ではありますけれども、すみやかにその方針を出してもらうように要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/99
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100・澁谷直藏
○澁谷政府委員 私の談話が毎日新聞の記事に出ましたいきさつにつきましては、先ほど申し上げました通り、私の真意が誤り伝えられておるわけでございます。特にその記事で出ておりました、私鉄総連が日乗協の考え方に同調したというような記事になっておるわけでございますが、これは時期が時期だけに影響するところが非常に大きいわけでございますので、私も自分で事実かどうかを確かめたいと思いまして、先ほど私鉄総連の安恒書記長と田口自動車対策部長のお二人にお会いしまして、直接その点についてお尋ねをしたわけでございます。そういたしましたら、お二人の話では、この深夜業排除のための具体的な措置をどうするかという点について、私鉄総連と日乗協との間に話し合いが進められているのは事実である、しかしその具体的の対策の内容について両者の話し合いがついたというような事実は全くないということを確認いたしたわけでございます。そこでこの具体的対策の中身がいずれにいたしましても問題の中心でございますし、五島先生の御意見に全く同感でございますので、その線に沿ってなるたけ早期に結論を出すように努力して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/100
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101・本島百合子
○本島委員 今の問題にちょっと関連して。最近特殊産業の中で、女子職員を持っておるところでは深夜業を認めてもらいたいという傾向が非常に強くなってきて、そういう運動を起こしているといううわさが立っておりますが、そういうことの御相談を受けられたことがございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/101
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102・澁谷直藏
○澁谷政府委員 そういう相談は受けたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/102
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103・本島百合子
○本島委員 その点について、どうしても深夜業だと思われる節があるというのです。まあ世間の人が言うことですが、そういう場合に監督局としてどのような監督をされておるのか。時間的にすれすれまで使われているという事実はかなりあるというのです。ただし大産業の場合にはあまり見受けられませんが、中小企業の小さいところでそういうことがある。女子の将来のために大きな問題だという声が上がってきておるようですが、そういうことをお聞きになったことがあるかどうか。と同時に、そういう場合にどういう監督をされておられるか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/103
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104・澁谷直藏
○澁谷政府委員 女子の深夜業についての基準法違反は、実際問題として違反の件数が相当多いわけでございます。そこでこれは基準法を厳正に守っていく立場からいいまして、もとより望ましくないことは当然でございますので、労働省といたしましては三十四年度中におきましても、特に女子の深夜業の排除を重点事項の一つに大きく取り上げまして、これの是正指導に当たっておるわけでございます。ただいま先生もおっしゃいましたように、大企業においてはほとんどそういう例はございません。ただ特に機屋等の零細な企業において女子の深夜業が多いわけでございます。それでただいま申し上げましたように、基準局の重点事項の一つとして私どもは全国の監督署を督励してこれの是正指導に当たっておるわけでございます。今後ともこの点につきましては、重点事項として努力を継続して参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/104
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105・本島百合子
○本島委員 その点で問題になるのは、低賃金であるということから、働く方でもからだに無理があると思っても働いているわけです。従って最賃の制度もできたことでございますので、そういった点を厳格に調査をされ、最低賃金というものを早く決定していただくように、同時に深夜業というものは肉体的に及ぼす影響が非常に大きいということ、この指導をしていただいて、厳罰というまではいかないまでも、相当の力をかけてやっていただかないと、生きるためにはやむを得ないのだという声が、働く人の方に言わしても出てくるわけなんです。それから雇っている方にすれば、どうしても期間内に上げていかなければならないからやむを得ないのだ、両方でやむを得ないのだということで、今おっしゃるように非常に多くなったということがいわれるわけだと思うのであります。そういう点で一つ十二分に将来の方針を立てて厳重に監督していただきたい。こういうことを希望いたしまして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/105
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106・田中正巳
○田中(正)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X01519600310/106
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