1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十五年四月五日(火曜日)
午前十時二十一分開議
出席委員
委員長 永山 忠則君
理事 大石 武一君 理事 田中 正巳君
理事 八田 貞義君 理事 滝井 義高君
理事 八木 一男君 理事 堤 ツルヨ君
池田 清志君 加藤鐐五郎君
亀山 孝一君 川崎 秀二君
藏内 修治君 中村三之丞君
中山 マサ君 古川 丈吉君
亘 四郎君 伊藤よし子君
岡本 隆一君 小林 進君
中村 英男君 本島百合子君
出席政府委員
厚生政務次官 内藤 隆君
厚生事務官
(大臣官房長) 森本 潔君
厚 生 技 官
(医務局長) 川上 六馬君
厚生事務官
(医務局次長) 黒木 利克君
委員外の出席者
参議院議員 谷口弥三郎君
専 門 員 川井 章知君
—————————————
四月一日
委員池田清志君及び小林進君辞任につき、その
補欠として辻寛一君及び岡良一君が議長の指名
で委員に選任された。
同日
委員辻寛一君辞任につき、その補欠として池田
清志君が議長の指名で委員に選任された。
同月四日
委員多賀谷真稔君辞任につき、その補欠として
堂森芳夫君が議長の指名で委員に選任された。
同月五日
委員岡良一君及び河野正君辞任につき、その補
欠として小林進君及び岡本隆一君が議長の指名
で委員に選任された。
—————————————
三月三十一日
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一一五号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
優生保護法の一部を改正する法律案(参議院提
出、参法第一号)
未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法
律案(内閣提出第九三号)
原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を
改正する法律案(内閣提出第九五号)
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一一五号)
医療金融公庫法案(内閣提出第三四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/0
-
001・永山忠則
○永山委員長 これより会議を開きます。
去る三月三十日付託になりました参議院提出の優生保護法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/1
-
002・永山忠則
○永山委員長 まずその趣旨の説明を求めます。谷口弥三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/2
-
003・谷口弥三郎
○谷口参議院議員 ただいま議題となりました優生保護法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。
まず第一点といたしまして、現行優生保護法におきましては、都道府県優生保護審査会の決定に基づく優生手術に関する費用につきまして直接国庫が支出することになっておりましたが、優生手術の実施及びその支払い事務などが円滑に行なわれるようにするため、この費用を都道府県が支弁することとし、国は間接支払いすることといたしたのでございます。
改正第二点といたしましては、都道府県知事の指定を受けて受胎調節の実地指導を行なう者は、受胎調節のための医薬品を販売することができることになっておるのでありますが、この販売できる期間が昭和三十五年七月三十一日をもって切れることになっております。そこで、この期間を、受胎調節の実地指導の実情にかんがみましてさらに五カ年間延長することといたしたのでございます。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/3
-
004・永山忠則
○永山委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/4
-
005・永山忠則
○永山委員長 去る三月二日付託になりました内閣提出の未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/5
-
006・永山忠則
○永山委員長 まずその趣旨の説明を求めます。内藤厚生政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/6
-
007・内藤隆
○内藤(隆)政府委員 ただいま議題となりました未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
未帰還者であった者が、未帰還の状態にある間に自己の責めに帰することのできない事由により負傷し、または疾病にかかり、帰還後療養を要する場合におきましては、未帰還者留守家族等援護法により療養の給付を行なっておりますが、同法に定められた給付期間は、同法施行前に帰還した者につきましては帰還後十二年、同法施行後に帰還した者につきましては帰還後七年となっております。従いまして、本年八月一日以降におきましては、療養の給付期間が満了する者が生じますので、政府といたしましては、これら帰還患者の実情にかんがみ、給付期間をさらに二年間延長することといたした次第であります。
以上提案理由につきまして御説明申し上げましたが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/7
-
008・永山忠則
○永山委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/8
-
009・永山忠則
○永山委員長 次に、去る三月八日付託になりました内閣提出の原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/9
-
010・永山忠則
○永山委員長 まずその趣旨の説明を求めます。内藤政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/10
-
011・内藤隆
○内藤(隆)政府委員 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
昭和二十年八月広島市及び長崎市に投下されました原子爆弾の被爆者につきましては、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律によりまして、被爆者に対し健康診断を行ない、また、いわゆる原爆症の患者に対しては医療の給付を行なって、その健康の保持及び向上をはかって参ったところであります。
しかしながら、原子爆弾の放射線を多量に浴びた被爆者にありましては、放射能の影響により、一般的に負傷または疾病にかかりやすいこと、負傷または疾病が治癒しにくいこと等の事情にあるのみならず、それらの疾病にかかったことによって原爆症を誘発するおそれもあるのであります。従って今回これらの被爆者に対しましては、原爆症以外の負傷または疾病についても国が必要な医療の給付を行なうことによって、その健康の保持、向上をはかろうとするものであります。
また、いわゆる原爆症患者につきましては、現行法によって、国が必要な医療の給付を行なっているのでありますが、今回、さらに一定の所得以下の者については、その医療を受けている期間中毎月二千円を限度として医療手当を支給することとし、これらの被爆者が安んじて医療を受けることができるようにしようとするものであります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/11
-
012・永山忠則
○永山委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/12
-
013・永山忠則
○永山委員長 次に、去る三月三十一日付託になりました内閣提出の船員保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/13
-
014・永山忠則
○永山委員長 まずその趣旨の説明を求めます。内藤政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/14
-
015・内藤隆
○内藤(隆)政府委員 ただいま議題となりました船員保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。
船員の職務上の傷病に対する災害補償につきましては、船員法及び船員保険法に基づいてこれを実施いたしておりますが、船員保険法に規定いたしますところの療養の給付期間である三年を経過してもまだなおらない者に対しましては、その実情等にかんがみ、期間経過後もなお引き続き、なおるまで療養保障を行なうことが必要と考えられますので、今回、本法案を提案いたした次第であります。
次に、本法案の要点について御説明申し上げます。
第一に、ただいま申し上げました職務上の事由による傷病につきまして、療養の給付期間三年を経過してもなおらない者に対しましては、その傷病がなおるまで、引き続き療養の給付及び傷病手当金の支給を行なうことといたしました。なお、これらの者に対しましては、従来、三年間のうちになおらなかった場合でありましても、その時点において直ちに廃疾の認定を行なうこととしていた方法を改め、その傷病がなおったときに廃疾の認定を行なうことといたしたのであります。
第二に、国庫負担の規定といたしまして、政令で定めるところにより、職務上の事由による傷病のうち政令で定めるものにつき三年を経過してもなおらない者に対する療養の給付及び傷病手当金の支給に要する費用並びに職務上の事由による障害年金の支給に要する費用のうち、船員法の規定による災害補償に相当する部分を越える部分につきまして、その一部を国庫が負担することといたしました。
第三に、経過措置といたしまして、陸上の労働者を対象といたしますけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法が適用になりました昭和三十年七月二十九日以後に、職務上の事由に基づく外傷性せき髄障害に関して障害年金の支給を受け、この法律施行の際その外傷性せき髄障害がまだなおっていない船員につきましては、この法律の施行後三カ月以内に届出をいたさせまして、この届出を行なった者につきましては、なおるまで障害年金の支給を停止し、そのかわりに療養の給付及び傷病手当金の支給を行なうことといたしました。
なお、国庫負担に関する事項につきましては、将来社会保障に関する制度全般の調整がなされる機会において検討を加えなければならない面もありますので、この点に関しましては、そのような機会に検討して必要な措置を講ずることとしたのであります。
以上が本法案を提案いたしました理由及びその概要でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/15
-
016・永山忠則
○永山委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/16
-
017・永山忠則
○永山委員長 速記を始めて。
午後一時半まで休憩いたします。
午前十一時二十八分休憩
————◇—————
午後一時五十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/17
-
018・永山忠則
○永山委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
内閣提出の医療金融公庫法案を議題とし、審査を進めます。
質疑に入ります。通告がありますので、これを許します。八田貞義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/18
-
019・八田貞義
○八田委員 時間もあまりありませんから、要点をしぼって、質問を進めて参ります。
まず第一に、医療金融公庫法の設立の目的ということについて、詳細に説明をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/19
-
020・内藤隆
○内藤(隆)政府委員 お答えいたします。国民の健康な生活を確保するため、国民皆保険の制度が、現存、御承知のごとく着々として進展を見ておるのでございまするが、これが円滑な実施のためには、公私の医療機関の適正な整備とその機能の向上をはからなければならぬことは言うまでもございませんが、この点に関しまして、従来公的医療機関は、御承知の国庫補助あるいは地方債あるいは厚生年金還元融資等の助成策がいろいろと加えられまして、医療の目的等に働いておるのでございまするが、一方、私的医療機関につきましては、さような助成方法が従来までなかったのでございまして、従ってその経済的基礎が、公的医療機関に比べますると、まことに薄弱であります。そこで、今回この私的医療機関の国民皆保険の際に果たすべき一つの役割等から考えまして、このままで放置しておくことはできないのでございまして、その適正な整備及び機能の向上をはかるに必要な資金を、財政資金によって長期かつ低利に融通するという道を講ずることに相なったのでございます。これが医療金融公庫を創設した第一の眼目であり、目的であるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/20
-
021・八田貞義
○八田委員 今次官から御説明がありました目的でございますが、今御答弁の中に、医療の適正な普及向上というお答えが一つあります。それからもう一つは、機能の向上、こういうような目的がうたわれておりますが、この医療の適正な普及向上ということは一体どういうような内容を持ったものか、また機能の向上というのは診療所、病院と分けまして、機能の分化をお考えになってこういった目的をうたわれておるのかどうか、その点をお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/21
-
022・川上六馬
○川上政府委員 適正な普及向上ということはどういうことかということでございますが、やはり医療機関が適正に分布せられることが望ましいと考えております。
〔委員長退席、八木(一男)委員長代理着席〕
医療機関の過剰なところに対しましては、医療金融公庫の融資というものを差し控えたいというふうに考えておるわけであります。
それから機能の問題でありますが、これは御承知のように、医療法で病院と診療所というものが、一応建前がそれぞれ別になっておりまして、病院の方は、診療科目も診療所に比べまして多いわけでありまして、そういうような大体の建前におきましてそれぞれの機能が向上いたしますように、そういうふうに助成をしていきたいと大体考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/22
-
023・八田貞義
○八田委員 私の質問の仕方がまずかったかと思うのでありますが、ただ私の申し上げておるのは、医療の機能の向上なんですが、これが病院と診療所というふうに分かれておりますね。病院と診療所と分かれておって、機能を分けたことにおいてその向上をはかっていくのかどうかという問題です。なぜそういうような質問をするかというと、医療機関の整備、しかも特に、非常に濃厚に医療機関がある地区に存在しておる、過剰な状態になっておる、そういう場合に適正な配分をやるのだというようなお話もございました。ですからそういうような場合に、診療所と病院との機能を分けてそういった配分計画というものを立てていかれるかどうか、こういうことをお尋ねしたわけなんです。そこで、厚生省の方で医療機関の整備計画という案を出されております。これと医療金融公庫の設立目的というものがどういうような関連を持っておるか、こういうことを質問しているわけなんですが、それについて一つお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/23
-
024・川上六馬
○川上政府委員 医療機関の整備計画との関連ということでありますが、従来厚生省では県単位の医療機関の整備計画の方針を一応持っておるわけであります。そういう方針は持っておりますけれども、このたびの医療金融公庫によりますところの助成というものは、あまりそれにとらわれないで、先ほど申し上げましたような過剰地区に対しましては行ないませんけれども、その他の地区におきましては、新しく病院を建てたり診療所を作る、あるいは既設の病院や診療所を増改築いたしましたり、設備を更新いたしましたり、そういうような場合には金融の対象に考えておるわけであります。ただ病院の方は、一応この参考資料にもつけておりますように、人口当たりの病床数を都市、郡部というような分け方で一応の基準を設けまして、それに達するまでは金融の対象にしていこうというように考えております。それから診療所の方は、これは一応一般診療所は少なくとも人口二千人に一つくらいはぜひ早く整備したいという考え方を持っております。歯科診療所は三千人に一つくらいは同じく早く整備したいという考え方を持っておりますが、これとてもやはり都市と郡部とにおきましては非常に基準が違っている。御承知のように都市は東京都あたりは平均人口千人に一つくらい診療所がございます。いなかに行きますとまだ三千人に一つくらいしかないところもあるわけでございますから、そういう地方の事情に沿ったような基準を立てまして、それに達しないようなところをなるべく早く整備いたしたいというような考え方を持っておるわけであります。しかし診療所も御承知のように非常に都市といわず農村といわず古いものが多うございまして、医学の進歩に立ちおくれておるというようなものが少なくありませんので、そういう施設に対しましては、改築をするとか、あるいは設備を更新するとかいうようなことにも金融をはかっていきたいというふうに考えております。それで病院と診療所というものはそういうことで一応同じような面で金融をはかっていきますけれども、病院があるから診療所には融資しないというような考えは持っておりませんで、それぞれの立場で融資の対象に考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/24
-
025・八田貞義
○八田委員 医療機関の過剰な地域というのは、どちらかというと公的医療機関の方が多いのですね。そうすると医療機関の整備計画との関係をながめてみますと、無医村がこれによって解消できるかどうかという問題が起こってくるわけです。公的医療機関というものは一般に採算のとれるようなところだけにでき上がってきて、採算のとれないところには公的医療機関は設けられていないのだ。ところが今度は、この医療金融公庫の目的を見ますと、医療の適正な普及をはかる、そうしてまた機能の向上をはかるのだ、しかも私設の病院、診療所に対して金融公庫の機能を発揮させるのだ、こういうことになるわけなんです。そうすると、医療機関の整備計画に基づいてやっていけば、公的医療機関を動かしていかなければならぬですね。動かすのが一番楽なんですから。私的医療機関というのは、今まで国家の補助とかあるいはそういった経理面についての補助というものは何らなかったわけなんですから、こういう人たちは、たとい医療金融公庫ができても無医村なんかにはなかなか行けないわけなんですね。というのは、公的医療機関は採算の合う都会地だけに集中して、過剰状態を出してきているのですから、公的医療機関を無医村に持っていかなければならぬ、こういう格好が出てくるわけなんです。私的医療機関だけでは無医村解消はとてもできないわけなんです。一体この医療機関の整備計画と医療金融公庫との関係において、無医村がはたして解消できるかどうかという問題なんです。これについてもう少し具体的にお話しを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/25
-
026・川上六馬
○川上政府委員 厚生省が申しております無医地区というものはたくさんございまして昭和三十三年の八月現在におきまして千八百八十四という数字を出しておるわけであります。それから無歯科医地区の方が二千四百二十四、そういうかなりたくさんの無医地区あるいは無歯科医地区があるわけであります。中には特に補助金がなければ収支償わないというものが相当あるわけでございます。そういうものはやはりどうしても金融ベースに乗らないわけでございますから、これは従来のように公的医療機関あるいは国の医療機関というような官公立などの医療機関によらざるを得ないというように考えておるわけでございます。大体におきまして、そうした地区を医療金融公庫の金融措置で解消していくことは無理だと私は考えておる次第でございます。
それから公的医療機関がむしろ非常に偏在しておるというお話でありますが、確かにそういう面もございますので、継続審議を願っております医療法の一部改正でもって、そういう公的医療機関の偏在を規制していこう、こういうように考えて、動かすということはなかなか困難でありますけれども、そういう地区に対しましては、新しく公的医療機関を設けるということは規制して参りたいと考えております。しかし私的医療機関もやはりだんだんと都市に集中してくるような傾向がございまして決して公的医療機関だけが都市に偏在しておるというような状態でもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/26
-
027・八田貞義
○八田委員 やはり医療金融公庫の目的の中には、医療の普及ということと機関の機能の向上という二つの面がうたわれているわけです。そうしますと、私は機関の機能の向上という面は、今まで公的医療機関に対してはいろいろやられておったのですから問題ないのですが、私的医療機関には今までやられていなかったから、国として何かやらなければならぬ。そういうことで医療の社会化というものがここに結びついてきているのです。よく医療の社会化とそれから医療の普及というものをごっちゃにして論じておる、現在はそういう状態になっているのですが、厚生省の方の医療機関の整備計画を見ますと、これは明らかに医療の社会化ということを願っておられる、それをうたってあるように印象づけられるのです。しかもその医療の社会化というふうに考えて参りますと、医療機関整備計画の中に盛られたいろいろな構想は、公的医療機関に重点が置かれてきているのです。そうしますと、公的医療機関は一体どういうことなんだ、こういうふうな問題が起こって参ります。医療機関の整備をするのだといっても、公的医療機関というものに比重の重点が置かれ、そして私的医療機関というものは一体どういうふうな結びつきでいくのだというような疑問が出てくるのです。一方において医療の普及をやるのだというのだが、医療の普及ということになると無医村の解消です。その機能的な配分関係というものがどういうふうにして具体的にやっていかれるのかどうか、ちょっと私はこの医療機関の整備計画を見てもはっきりしないわけなんです。その点をもう一回御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/27
-
028・川上六馬
○川上政府委員 公的医療機関と申しますのは、御承知のように都道府県、市町村その他厚生大臣が医療法に基づいてきめているものでございますが、従来の考え方といたしましては、大体こういう考え方を持っておるわけであります。府県単位に医療機関の体系的な整備をはかっていきたいという考えでありまして、そして府県に中央病院というものを一つ置く、それから幾つかの郡に一つの地方病院を設けていく、それから大体郡の保健所単位でございますが、そういうところに地区病院を設けていく、これをなるべく公的医療機関で整備をしていきたい。私的医療機関はなかなかそういうスケールの大きいものを期待することはむずかしいのじゃなかろうか、資力も弱うございますし、大体そういうふうに考えているわけであります。しかしそういう考え方の中にも、従来の私的医療機関がそれに該当するような機能を持っているところは、それをその体系の中に加えて考えていく、また今後も私的医療機関が今申しましたような県の基幹病院の一翼をになうといったものは、それで一つその役目を果たしてもらいたいというふうな考え方をいたしておるわけであります。しかしそういうものだけではとても医療機関の整備を全うすることができませんので、そういうような一応の基幹病院の体系を考えておりましても、そのほかにたくさんの病院を整備する余地があるわけでございまして、そういうような面におきまして、私的医療機関あるいはその他の医療機関をもってだんだんと必要な病床数まで整備をして参りたい、こういうふうな考え方をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/28
-
029・八田貞義
○八田委員 今医療機関の整備計画についての御構想をお聞きしまして、開業医の方々はそこに特に心配があるのです。ガヴァメント・メディシンになりはせぬか、政府医療というか国家医療になってしまいはせぬか、そして医師本来の医療というものが失われてしまいはせぬか、いわゆるプロフェッショナル・フリーダムというものが失われてしまって、滝井委員がいつも使う医療担当者が医療の一つの歯車になってしまったというような、いわゆるプロフェッショナル・フリーダムというものがなくなってしまう、そういうところに非常な不安を持っているわけであります。私的医療機関と申しましても、特に私的医療機関の中には、厚生省の説明を拝見いたしますと、公益法人、医療法人、その他の法人、個人、四つくらいに分けられております。この場合に、主としてこういった私的医療機関というものは、社会医療体係の中で本来自由の立場で地域社会に密着しておったわけなんです。ところが社会保険の発進とともに、疾病のときにのみ関係ができて、しかも法律によって限局されてきた。それでもって本来の私的医療機関の社会医療の姿というものが失われてしまったのだ、こういうところに今日の開業医の方々の不満があるわけです。しかもまた、二重の指定制によりまして、医師と患者との人間関係というものが社会化という一つの名前のもとに寸断されてしまった。こういうことが、厚生省の医務局でやられているところの医療機関整備計画についていろいろと不安を持たれているわけなんです。というのは、教育の機会均等とか医療の機会均等という言葉はたくさん使われます。教育は局長も御承知のように私学経営、私学でもってやはり教育がやられておる、もちろん官学もある、こういうような格好になってきているわけです。しかもその医療の社会化というものは何も国営にすることでなくて、国家が社会的責任を持つということなんです。医療の普及ということになると、一体国家としてどのようなことをもって社会的責任を果たしていくか、そういう場合に、どうしたってその公的医療機関が採算の合うところばかりに集まってきて、そうしてほんとうに医療を欲しておるような無医地区にはいつまでたってもできない、こういう問題が起こっているわけなんです。こういったところは採算が合わないのですから、とても私的医療機関なんかにたよるわけにいかない。どうしてもやはり公的医療機関かあるいは国の直接の国立的な病院を作るしかないんです。こういっところに対しても、医療機関の整備計画の中には、はっきりとそれがうたわれていないわけなんです。ですから、どういうふうにして無医地区を解消していただけるかということについて非常に疑念を持ち、また医療機関の整備計画を拝見しましても、ガヴァメント・メディシンというような格好で、プロフェッショナル・フリーダムというものが失なわれていく、こういう格好ではほんとうの意味の医療の普及あるいは病院、診療所の機能の向上ということにはなっていかないのではないか、こういうふうな不安を持っております。これらについては、またいろいろ次の機会をとらえて御質問申し上げたいと思うのであります。
ところで、この医療金融公庫を、基金とかあるいは振興会というような方式にしないで、どうして公庫にされたか、この理由を一つはっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/29
-
030・川上六馬
○川上政府委員 なぜ振興会とかあるいは基金とかいうものにしなかったかというお尋ねでございますが、これは、御承知のように政府出資でやっています金融関係の業務といたしましては、振興会とかあるいは基金とかあるいは金庫とかいうような形式のものがあるわけでございます。これは元来その事業をやります場合、特に助成の事業をやります場合に、振興会などが設けられておるわけでありまして、特に金融をはかるというような目的のためではないのであります。それから基金にいたしましても、事業の基本金を政府出資に仰ぐということでございまして、これとてまた金融機関の性格を持ったものではございません。金庫は組合の金融機関でございまして、これも相当金融の条件が、特に一般の金融機関に対して有利だというようなものでもございませんので、非営利的な公共性のある医療機関の助成のために、どうしてもこういうものでは期待することができません。しかも、これらのものはいずれもその性格上資金運用部の資金をこの中に導入することができませんために、資金量としても非常に制限を受けるわけでございます。そういう関係から、特に私的医療機関に長期低利の融資をはかるために、広く融資をはかるためには、どうしてもこの公庫の制度ということが一番適当だろうというふうに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/30
-
031・八田貞義
○八田委員 公庫にされた理由はそれでわかりましたが、しからば一体、その公庫という機関を通して、私的医療機関がこれから機能の上において非常に向上していくというわけなんですが、一体私的医療機関というものの実態はどうなっているかということです。この点について少し詳細に御報告願いたいと思うのです。私的医療機関の機能の向上のためにこういった医療公庫を設けるのだ、その目的ははっきりしたのです。公庫にしなければならなかった理由というのはわかりました。そうしますと、実態が一体どういうふうになっているのだろう、こういうことでお尋ねいたしておりますので、実態についてどういうふうに厚生省当局では見ておられるか、これについてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/31
-
032・黒木利克
○黒木政府委員 私的医療機関の実態でございますが、昭和三十三年におきまして、私的医療機関の数を申し上げますと、病院が三千四百七十七、一般診療所が四万八千七百八十七、歯科診療所が二万六千二百十五となっております。
なおこの内訳でございますが、病院につきましては、個人立が一千八百三十三、医療法人立が一千百六十、公益法人立が二百二十でありまして、一般診療所につきましては、個人立が四万七千六百十九、医療法人立が四百二十九、公益法人立が二百二十七、その他の法人立が五百十二であります。歯科診療所につきましては、個人立が二万五千九百七十七、医療法人立が百七十一、公益法人立が二十五、その他の法人立が四十二となっております。
以上のように、私的医療機関は、施設数におきまして全医療機関の八割を占めるほどでありますが、その設備とか人員等の面で、医療法違反とかあるいは建物の耐用年数をはるかに越えているというものが多いのでありまして、その数字的な資料につきましては、お手元にございます参考資料の最後の二百二ページに私的医療機関の建物の現状というのがございますが、これは四県を例にとっておりますが、老朽化しまして耐用年数をすでに出ている施設数なりあるいはその面積が非常に多いという一例でございます。
なお、その各県別の施設の実態等につきましては、二百三ページから二百十三ページに書いてございますように、公的医療機関に比べましてもかなり建物も老朽化しておるし、あるいは設備の状況も劣っておるという現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/32
-
033・八田貞義
○八田委員 この公益法人というのは、民法三十四条によるところの公益法人ですね。それからその他の法人というのはどんなものの私的医療機関をいうのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/33
-
034・黒木利克
○黒木政府委員 社会福祉法人とかあるいはその他消費生活協同組合とか、そのような組合でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/34
-
035・八田貞義
○八田委員 それからこの医療公庫法の第三条に「公庫は、事務所を東京都に置く。」ということで、従たる事務所を設けなかった理由についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/35
-
036・黒木利克
○黒木政府委員 公庫の当初におきましては公庫の直接貸しというものを考えておりませんで、地方の金融機関に業務を委託するという建前をとっております。そこで、当分の間は従たる事務所を設けて直接貸しをするという考えはありませんので、主たる事務所だけを規定いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/36
-
037・八田貞義
○八田委員 医療公庫の資本金は第四条によりますと十億円で、政府かその全額を支出するわけでございます。財政投融資の方から二十億もらって、資金としては三十億になるわけですか、これではたして十分かどうかという問題です。三十億でスタートするわけですが、目的に沿い得るかどうかという問題です。この点について一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/37
-
038・黒木利克
○黒木政府委員 お手元の参考資料の八十七ページに医療資金の需要見込額調べというのがございますが、過去の実績をもとにして推計をいたしますと、年間百三十億程度の医療資金がどうしても必要であるというようなことでございます。このうち医療金融公庫で三十億を担当するわけでありますが、その他は従来のように国民金融公庫とか中小企業金融公庫が併存をして参りますので、それによってこの需要の何割かを満たしていくというようなことで当初は計画をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/38
-
039・八田貞義
○八田委員 資金需要見込額調べというのによりますと百三十億で、そうしますと昭和三十五年度の事業計画と申しますか、これについてちょっとお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/39
-
040・黒木利克
○黒木政府委員 これもお手元にございます資料のただいまのところの百三十億が資金需要見込額で、そのうちの三十億でございますから、約二割三分になるのでございますが、それを病院、診療所、薬局等に振り分けていくというような大体の見当で事業計画を作る予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/40
-
041・八田貞義
○八田委員 この参考資料によりますと、昭和三十五年度においては、政府一般会計から出資金十億円、資金運用部資金の借入金二十億円、計三十億円を原資とし、総額二十九億五千万円の貸付を実行する予定である。あとの残った五千万円は何に使われるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/41
-
042・黒木利克
○黒木政府委員 医療金融公庫の運営をするための事務費と申しますか、人件費その他の費用、あるいは受託金融機関に対する委託費、こういうものが必要でございますが、大体七月に金融公庫を開設いたしまして、年度内に要するそういう資金が五千万円くらい必要である。これの費用を政府出資の十億円の中から充当する以外にございませんので、その中からそういう費用を五千万円ほど差し引いた残りの二十九億五千万円を初年度の融資の対象にする、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/42
-
043・八田貞義
○八田委員 二十九億五千万円が融資の対象になるわけですが、そうしますと資金の需要見込額からすれば二割三分ですね。金額としては非常に小さくてみなの期待に沿い得ないというような額が出ておるので、この点の増額についてはさらに努力していただかなければならぬのでありますが、われわれもこの問題については大いに協力申し上げますので、厚生当局におかれましても、これくらいの原資ではとても需要をまかない切れないということでありますから、大蔵当局と十分にこの点について交渉され、将来伸びるような努力を傾倒されるようにお願いいたします。
〔八木(一男)委員長代理退席、委
員長着席〕
それからもう一つは、第五条のところで「公庫は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。」政令で定めるところによって登記しなければならぬと書いてございますが、一体登記事項の内容はどうであるか、この点についてお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/43
-
044・黒木利克
○黒木政府委員 登記事項は御質問のように政令できめるわけでございますが、この公庫の目的とか、あるいは資本金とか、あるいは役員とか、そういうような第三者に対抗する要件でございますから、大体他の公庫の例にならって規定をするつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/44
-
045・八田貞義
○八田委員 それから第八条のところで「公庫に、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事一人を置く。」こういうふうに書いてございますが、ほかの国民金融公庫とか、あるいは中小企業金融公準、これはみな総裁、副総裁がおるわけです。ところが医療金融公庫の方は理事長にしておいて総裁にしなかった理由、これを一つお伺いしたいということと、理事三人以内ということではあまりにも少ないような気がするのですが、この点一つ説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/45
-
046・黒木利克
○黒木政府委員 これも参考資料の九十三ページに、各公庫の役職員の定員というのが記載してございますが、これをごらん願いますと、ほとんど全部総裁でございまして、中には副総裁を置いてある。理事も大体四名以上でございます。ただ従来の金融公庫法の先例を見ますと、初年度等にありましては人員も少ないために理事長で発足をして、年度がだんだん経るごとに事業が整備し、資金量がふえるに従って役員をふやしたり、総裁制度にしたりという先例がございますので、そういう先例に従いまして、当初はこういう陣容でスタートをするということにいたしたのであります。なお理事は三名、それから監事が一名、職員が、二十五名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/46
-
047・八田貞義
○八田委員 それは資料にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/47
-
048・黒木利克
○黒木政府委員 これは資料の七十四ページに医療金融公庫の組織の案と、それから上の方に人員が書いてございますが、初年度ここにございますように、役員が五名で職員が二十五名、計三十名でスタートする予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/48
-
049・八田貞義
○八田委員 職員が二十五名、そうしますと、参考資料の中には、平年度になれば五十二名になると、こういうふうに書いてございますが、医療公庫組織としても、この参考資料のまま信じていいのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/49
-
050・黒木利克
○黒木政府委員 財務当局とのお話し合いで、一応初年度は三十名、平年度は五十二名ということでございますが、これは医療金融公庫が直接貸しをしないという前提でこういうことにしたのでございます。ただ資金量がだんだんふえて参りますと、間接にこういうような方法でやっていて、医療金融公庫の直接貸しを行ないませんと、貸付の事務も手続きも非常に遅延する心配もございまして、将来はやはり直接貸しというものを考え、支所というものを置かなくてはならぬ時期が来ると思いますが、そういう場合にまたあらためて人員を増員しなくちゃならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/50
-
051・八田貞義
○八田委員 時間もないようですから、次に進んで参りますが、役員の欠格条項、役員の兼職禁止、これは十二条と十三条に載っておりますが、この第十三条の役員の兼職禁止ですね、この理由は一体どういうところにあるのか、一つお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/51
-
052・黒木利克
○黒木政府委員 これは従来の公庫の例にならったのでございますが、役員は公正な立場でなくてはならぬということと、この職務に専従しなくちゃならぬという建前から、他の営利会社の職員となりまして、そういうような専従の責任が果たせないというようなことがないように、また貸付を受ける施設を経営しておるというような場合には公正を欠くおそれがありますから、そういう意味でこういう兼職の禁止の規定を置いたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/52
-
053・八田貞義
○八田委員 兼職禁止の方の後段ですね、たとえば「又は第十八条に規定する施設の開設を目的とする法人の役員となり、若しくは自らこれらの施設を開設してはならない。」こうなっておりまして、開設者も役員になれないわけですね。この理由が私らにはちょっとわからないのですが、もしもこういったふうに開設者も役員にしないというふうになって参りますと、お医者さんが公庫の理事になるときには、被用者の場合は役員になれるわけですね、ところが、みずから開設者である医師は理事になれないということになる。監事の場合も同様です。このような規定だとしますると、医師の場合には、公立病院などの院長や医師である官僚の古手ばかりが公庫の役員となって、私的医療機関の実情に暗い人だけが任命されるという格好が出てくるのですね。これは私的医療機関の機能の向上のために設けるんですよ、この医療公庫は。ところが、お医者さんでも、みずから開設しているような場合には役員になれないのですよ。そうすると結局、この役員というのは、私的医療機関の実情に暗い人だけが役員になって、ほんとうの意味の血の通うような金融機関としての働きかできるかどうかという疑問ができてくるわけです。この点を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/53
-
054・黒木利克
○黒木政府委員 実は十三条は御質問のような他意があるわけではないのでありまして、利害関係者と申しますか、貸付の対象になり得る施設の開設者あるいは関係者は公正を欠くという懸念が外部から持たれるということでこういう規定をいたしたのでございまして、公庫の役職員にそういうような関係の経験者を大いに起用するということは当然に考えなくてはならぬと思っております。従いまして、こういう利害関係者を役員にしないという公庫の従来の例にならったまででありまして、公庫の役職員にはやはりそういうような医療関係の経験者あるいは医師というものが当然参加を期待されるわけでございまして、別に他意があるわけではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/54
-
055・小林進
○小林(進)委員 関連して。この法案が通れば、この七月からいよいよ公庫が発足されるというのでございまして、それに備えて、厚生省は内々に人選をもはや内定をしておいでになるのじゃないかというふうなことを私どもは聞いておるのであります。いわゆる理事長一名、理事三名、監事一名はもはや人選が済んでいるのじゃないか、こういうのでございますが、もしも内定を進めておいでになりましたら、ここでざっくばらんにお示しを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/55
-
056・内藤隆
○内藤(隆)政府委員 お答えいたします。さような事実は目下のところございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/56
-
057・八田貞義
○八田委員 政務次官、その点私も政務次官の御答弁をそのまま信用したいのでございますが、ところが、こういった役職員になる場合に、日本の役員組織と申しますか、役員に就任する場合のインフォーメーション・ビューローというのが日本にないのですよ。実際に厚生省関係のいろいろな審議会委員なんかになっておられる人を調べてみますと、厚生行政に関係のあるいろいろな審議会は、数にすると大体二十八くらいあるのです。ところが、構成している委員を一人々々当たってみますと、三つ以上の審議会の委員を兼ねている者が三十名くらいおるのです。こういった人を見ると、みんな圧倒的に元厚生省の役人、こういうことになってきているのです。そうしますと、今小林委員が関連して質問されたように、あるいはまたこういうような格好が出てきはせぬか、厚生省ではすでに理事長、理事、監事がきまっておりはせぬか、こういう疑問が出てくるわけなんです。ですから、日本にインフォーメーション・ビューローという一つの公正な機関がないということが問題なんですが、特にこの役員の兼職禁止という問題を考えてみますと、事情に暗い人だけが医療公庫の役員になって、実際はほんとうに血の通うような方法の医療金融ができるかどうかという疑問が出てくるのでありますから、こういう点については、政務次官として十分に監督されまして、いやしくも今質問申し上げたような格好になってこないような状態に持っていかれるようにお願いしたいのでありますが、この点について政務次官の答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/57
-
058・内藤隆
○内藤(隆)政府委員 八田委員の御質問、ごもっともであります。御趣旨に沿うように十分に監督をし、また検討を加え、適当な人を選びたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/58
-
059・八田貞義
○八田委員 十八条の業務の範囲の問題ですが、業務の貸付対象、これについて一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/59
-
060・黒木利克
○黒木政府委員 参考資料の七十六ページをおあけ願いたいと思うのです。ここに貸付対象の範囲として、第一に「病院及び診療所の普及が必要な地区における病院、診療所の新設又は増床に必要な資金」、第二に「既存の病院及び診療所の建物で耐用年数に達した老朽建物の改築に必要な資金」、第三に「病院、診療所の診料機能を強化するための医療機械の整備に必要な資金」、第四に「既存の重要医療機械で耐用年数に達した老朽機械器具の更新に必要な資金」、第五に「病院及び診療所を新設した場合の開業に要する医療機械器具、衛生材料等の整備に必要な資金」、第六に「医師が共同で利用する検査施設の新設に必要な資金」、第七に「薬局の不足する地区における薬局の新設に必要な資金」、第八に「既存の薬局の建物で耐用年数に達した老朽建物の改築及び増築に必要な資金」、第九に「薬局を開設した場合の器具類の整備に必要な資金」以上が貸付対象の範囲でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/60
-
061・八田貞義
○八田委員 ただいま御説明になった九項目は、貸付の順位になるわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/61
-
062・黒木利克
○黒木政府委員 順位ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/62
-
063・八田貞義
○八田委員 そうしますと、「普及が必要な地区」というふうなことが書いてありますね。これは一体どういう基準かあるのですか。「病院及び診療所の普及が必要な地区における病院、診療所の新設又は増床に必要な資金」とありますか、「普及が必要な地区」というのはどういうふうな基準があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/63
-
064・黒木利克
○黒木政府委員 実は過剰でない地域というような意味でございますが、次の七十七ページから七十八ページにかけましての「病院」のところをおあけ願いたいと思います。「病床の普及が著しく低い地域における病院の新設」、それから2に「病院の病床がその種別毎に過剰でない地域の新設」というような程度の意味でございまして、先ほど局長が申されましたように、人口万当たりの地区の病床数の大体の基準というものを考えておるのでございますが、それと比べてみて、こういう普及が必要なというか、過剰でない地域は、新設の場合には貸付の対象とするという程度の意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/64
-
065・八田貞義
○八田委員 何万当たり幾らというように、もう少し具体的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/65
-
066・黒木利克
○黒木政府委員 百六ページをおあけ願いたいと思います。百三ページに「医療機関整備計画(医務局案)」というのがございまして、百六ページに「地域の必要病床数の算定については、左によるものとする。」として、人口三十万人以上の都市は人口万当たり五十五床、人口十万人以上三十万未満の都市では五十床、その他の市町村では三十五床というような一応の基準を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/66
-
067・八田貞義
○八田委員 地域の必要病床数の算定、これについてもいろいろ質問をしたいのですが、それはあと回しにしますが、ただ、こういったところには新設に対する融資は行なわない、そういう意味でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/67
-
068・黒木利克
○黒木政府委員 はあ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/68
-
069・八田貞義
○八田委員 そうしますと、新設だけが取り上げられておるようなんですが、既設の医療機関の運転資金または医療器具の整備などは対象にならぬようになっておりますね。この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/69
-
070・黒木利克
○黒木政府委員 これは、先ほど御説明しましたように、既存の病院、診療所の建物で耐用年数に達した老朽建物の改築に必要な資金とかあるいは既存の病院、診療所の機能を向上するための資金とかいうようなものが次の七十八ページの上段の方にずっと列挙してあるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/70
-
071・八田貞義
○八田委員 貸付をやっていく場合の順位に対する希望が日本医師会から厚生省の当局へ出ているわけですね。これを見ますと、今御説明されたのとはちょっと違うのです。実際に私的医療機関の機能向上をやっていきたいという側からの希望としましては、こういうことを言っているのです。貸付順位というのは、今後の社会医療の進展を促進し、医学、医術の向上をはかる公共的な施設に対し優先的に取り扱ってほしい。そうして、その一として、臨床検査センター、こういったものを郡、市、区に置きたい、これに対する融資をお願いしたい。それから地区オープン・システムの病院、地方教育病院及び専門病院、一般私立病院、診療所。貸付は原則として医師会または医師とするのだ、こういうようなことが医師会側から出ておるわけです。こういう場合、臨床検査センターというものが一番初めに載っておるのですが、これらについて、医師会の言うように貸付の対象の一番初めに持ってこれるかどうか。先ほど貸付対象の範囲については、一番、二番という番号を打ってあるけれども順位ではないと言われたのです。そうしますと、医師会の方では臨床検査センターを一番の順位にして、厚生省のお考えになるのとは逆になっておるのですが、この点について、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/71
-
072・川上六馬
○川上政府委員 まだそういう医師会からの要望を私ははっきり聞いておりませんけれども、必ずしも今、先ほど次長から申し上げましたように、私の方は順位を考えていないのでありまして、実際出てきたところを見ると、おそらく個人あるいは医療法人などの診療所、病院に対する融資というものが最も多いのではなかろうかというように考えております。しかし、ただいま医師会で希望しておられますような臨床の検査の共同施設、そういうことも確かに必要だというふうに考えておりますので、そういう点につきましても、ある程度の融資をはかっていきたいというように考えて、今のところ、それが一番で、どれが二番だというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/72
-
073・八田貞義
○八田委員 この貸付対象の範囲の中で、四番目の医療器具の整備等は含まれることがわかったのですが、運転資金と申しますか、既設の医療機関の運転資金というもの、これはこの中に含まれておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/73
-
074・黒木利克
○黒木政府委員 これは七十六ページの貸付対象の範囲の五に書いてございますが「病院及び診療所を新設した場合」に限るのでございまして、「病院及び診療所を新設した場合の開業に要する医療機械器具、衛生材料等の整備に必要な資金」これを運転資金としておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/74
-
075・八田貞義
○八田委員 そうしますと、第一条の最後の行に書かれた「一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」ちょっとこれに抵触しやせぬかと思うのです。第一条の最後の行から見れば、既設のものについてもこういった運転資金が与えられるんじゃないかというような考えになるのですが、そうしますと新設の場合ばかりですか。既設のものはほとんど含まないということになりますと、どうも一条の最後の文句とは違うような気がするのですが、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/75
-
076・黒木利克
○黒木政府委員 これは資金量との関係でございまして、現在の三十億の資金量では、運転資金は新設をした場合に限る。将来資金量のふえました場合には、また財務当局と交渉いたしまして、できるだけそういうようなワクを広げて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/76
-
077・永山忠則
○永山委員長 本日はこれにて散会いたします。
午後三時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404410X02419600405/77
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。