1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月一日(火曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 中村 幸八君
理事 大島 秀一君 理事 小川 平二君
理事 小平 久雄君 理事 長谷川四郎君
理事 南 好雄君 理事 田中 武夫君
理事 松平 忠久君 理事 武藤 武雄君
岡本 茂君 鹿野 彦吉君
始関 伊平君 關谷 勝利君
田中 榮一君 濱田 正信君
板川 正吾君 小林 正美君
櫻井 奎夫君 八木 昇君
和田 博雄君 北條 秀一君
山下 榮二君
出席政府委員
通商産業政務次
官 内田 常雄君
通商産業政務次
官 原田 憲君
通商産業事務官
(通商局長) 松尾泰一郎君
通商産業事務官
(鉱山局長) 福井 政男君
委員外の出席者
専 門 員 越田 清七君
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二月二十七日
委員中嶋英夫君辞任につき、その補欠として河
野密君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員河野密君辞任につき、その補欠として中嶋
英夫君が議長の指名で委員に選任された。
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二月二十六日
滅失鉱業原簿調製等臨時措置法を廃止する法律
案(内閣提出第三一号)(参議院送付)
同月二十七日
重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置
に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
出第八一号)
同月二十九日
アジア経済研究所法案(内閣提出第八四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
滅失鉱業原簿調製等臨時措置法を廃止する法律
案(内閣提出第三一号)(参議院送付)
重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置
に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
出第八一号)
アジア経済研究所法案(内閣提出第八四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/0
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001・中村幸八
○中村委員長 これより会議を開きます。
滅失鉱業原簿調製等臨時措置法を廃止する法律案、アジア経済研究所法案、重油ボイラーの設置の制限等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、審査に入ります。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/1
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002・中村幸八
○中村委員長 まず趣旨の説明を聴取することにいたします。原田政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/2
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003・原田憲
○原田(憲)政府委員 ただいま議題となりました滅失鉱業原簿調製等臨時措置法を廃止する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。
滅失鉱業原簿調製等臨時措置法は、戦災によって旧九州地方鉱山局及び旧東北地方鉱山局にありました鉱業原簿、鉱業に関する願書、登録申請書並びに鉱区図等が滅失し、鉱業に関する権利関係が不明確となっておりましたのを明確にするために昭和二十五年五月二十六日に制定されたものでありますが、今般滅失鉱業原簿等の調製及び関連事務手続が完了いたしましたので、ここに、この法律を廃止する法律案を提出いたします次第であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。
次にただいま議題となりましたアジア経済研究所法案につきまして、その提案の理由及び要旨を御説明いたします。
最近のわが国経済が、高度の成長率を維持しつつ、かつ安定した発展をたどっていることは御存じの通りでありますが、その基礎には、官民一体となっての輸出努力による貿易の順調な拡大が存することは申すまでもありません。政府といたしましては、今後とも海外依存度の高いわが国経済を、長期にわたって拡大発展させるため、貿易拡大のための諸施策の実施に引き続き努力する所存であります。
ところで、最近における貿易自由化の傾向と特に欧州に顕著な地域化の動向のもとにあって、わが国の貿易を拡大するためには、低開発地域、ことにわが国と地理的にも歴史的にも関係の深いアジア諸地域の経済開発への協力を促進することによって、これらの地域との経済交流の拡大をはかることが特に必要であります。このためには、低開発地域の経済、なかんずくアジア地域の経済に関する十分な判断資料が不可欠であります。しかるにわが国におきましては、これら地域の経済に関して適切な判断を下すための基礎的かつ総合的な研究資料は整備されておらず、そのため、アジア地域に対する貿易の拡大あるいは経済協力の促進に当っては、従来から幾多の不便を感じておりました。
かかる情勢にかんがみ、とりあえず、財界、学界等各界からの要望に基づいて、一昨年十二月十九日財団法人としてアジア経済研究所を発足させ、同研究所に対して補助金委託費を交付し、調査研究の業務を実施させて参りました。今回、わが国におけるアジア経済研究の中心機関として長期的調査研究体制を確立し、その内容を拡充強化するため、同研究所を発展的に解消して政府が強力に援助する体制を整えるとともに、民間の出資をも認め、政府の監督する特殊法人とすることといたしました。
この法案は、以上の経緯及び趣旨に従いまして、アジア地域等の経済及びこれに関連する諸事情について基礎的かつ総合的な調査研究を行ない、並びにその成果を普及し、もってこれら地域との貿易の拡大及び経済協力の促進に寄与することを目的といたしましてアジア経済研究所を設立しようとするものであります。
次に、この法案の要旨を御説明いたします。
まず第一に、アジア経済研究所の資本金は、政府及び政府以外のものからの出資金の合計額とし、政府は一般会計から研究所の設立の際一億円を出資することにいたしました。
第二に、研究所の役員として、会長、所長、理事及び監事を置くこととし、会長、所長及び監事は通商産業大臣が任命し、理事は会長が任命することといたしております。なお研究所の行なう業務は広範囲であり、その調査研究は適正妥当なものであることが要望されますので、参与会を設け、広く学識経験者の意見を取り入れるようにいたしました。
第三に、研究所の行なう業務でありますが、アジア経済研究所設立の目的に従いましてアジア地域の経済及びこれに関連する諸事情に関して、資料の収集、調査研究、現地調査及びそれら調査研究成果の普及等の業務を行なわせるとともに、必要に応じ、アジア地域以外の地域たとえばアフリカ、中南米等についても調査研究及びその成果の普及等の業務をも行なわせることといたしております。
第四に、研究所の財務及び会計でありますが、研究所の事業計画、資金計画、収支予算等につきましては、通商産業大臣の認可または承認を要することとしておりますが、これは研究所の業務の公共性によるほか、研究所の特殊法人としての性格上、政府以外の出資者の発言権が認められないため、通商産業大臣がこれらの者にかわり研究所の財務及び会計に関与する必要があること等の理由によるものであります。また、利益を生じた場合、これを配当することなく積み立てることとし、本研究所が営利を目的とするものでないことを明らかにすることにいたしました。
第五に、研究所は、通商産業大臣の監督を受け、通商産業大臣は、研究所に対して監督上必要な命令をなし、または報告を徴し、職員をして立ち入り検査ができることといたしました。
最後に、研究所の設立に関する事務は、通商産業大臣が任命する設立委員に処理させることといたしますが、設立にあたりまして財団法人アジア経済研究所の一切の権利義務を包括承継できることといたしまして、従来から行なってきた調査研究業務の継続に支障を来たさないようにいたしております。
なお、このほか研究所に対する課税を減免するため、各種税法の一部改正を行ないまして、研究所の業務の運営に遺憾なきを期した次第であります。
以上、簡単でありますが、この法律案及びその要旨を御説明いたしました。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
次に議題となりました重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。
重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律は、石炭鉱業合理化臨時措置法が制定されました際に、石炭と競合関係にある重油を使用するボイラーの設置を制限することによって、適正規模の需要を確保して石炭鉱業の合理化達成に寄与するため、昭和三十年に制定されたものであります。
自来五年間、石炭業界はその合理化のために努力を傾注いたして参りましたが、その間経済情勢の変動等の事情もあって、必ずしも十分には所期の目的を達成し得ないうらみがありました。しかしながら石炭鉱業のわが国経済に占める重要性よりいたしまして、その合理化はこれを早急に達成すべき問題であると考えております。
今般、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正いたしまして、石炭鉱業の生産、流通両面にわたる合理化をさらに強力に推進して、昭和三十八年度には、競合エネルギーである重油と十分に対抗し得る態勢を整備することとなりましたが、このためには、さらに一定規模の石炭需要を続けて確保する必要がありまして、今回本法の期限をさらに三年間延長することといたした次第であります。
なお本法の延長にあたりましては、石炭鉱業の合理化の達成の障害とならない範囲内におきまして、小型ボイラーを本法の規制対象から除外することとして、中小企業の合理化、近代化に配慮いたしますとともに、三年後には自然失効する形式を採用することといたした次第でございます。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/3
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004・中村幸八
○中村委員長 引き続き質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。松平忠久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/4
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005・松平忠久
○松平委員 アジアの経済を本格的に研究するというので、今度今まであった研究所を特殊法人とするということについて、若干の質問をしたいと思うのです。先般二月十七日であったろうと思うのですが、中共側の新華社電におきまして、このアジアの経済研究所が、これはかなり問題の研究所であるということでこれを取り上げまして、相当こっぴどくやっつけておるわけでありますが、政府はこの事実を御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/5
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006・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 実は勉強不十分でございまして、私自身まだ見ていないのであります。さっそく調べまして、勉強したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/6
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007・松平忠久
○松平委員 それでは、香港の新聞にこれを取り上げて、やはりにぎわしておる、そういう事実は御承知ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/7
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008・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 はなはだ不勉強でありますが、承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/8
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009・松平忠久
○松平委員 前に満鉄に、東亜経済研究所といったかな、そういうものがあったわけであります。そうして満鉄の資本をバックにしまして、極東におけるかなりの研究ということをしたわけでありますが、これもそれと似たようなものではないか、つまり日本のかつての侵略政策のお先棒をかついだ研究所、そういう考え方が、今度のこの法案にも現われておるのではないか、こういうふうに言っておるわけでありますが、政府はこのアジア経済研究所の考え方は、かつての満鉄における経済研究所のような、そういったような考え方で、国策の一つの手段としてこれを活用しよう、こういうお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/9
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010・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 昔の満鉄の調査部、あるいはその当時の財団法人東亜研究所がありました時代と今日の時代と、すっかり違うことも御存じの通りでありますが、先ほども提案の理由で御説明を申しましたように、当アジア経済研究所の業務は、アジア諸国との平和的かつ対等な立場での貿易の拡大なり、経済協力の促進をはかることを究極の目的としているのでありまして、昔の類似の調査機関とはその目的とするところは根本的に違っておる、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/10
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011・松平忠久
○松平委員 それはそうあってしかるべきだと思うのですが、当時、日本の調査研究機関というものが研究したものもかなりあると思うのです。そういうものはあちらこちらに散逸をしておる。国外へもかなり持っていかれただろうと思うのですが、このアジア経済研究所の普通法人の現在のこの機関というものは、自分の業務の一つとして外国へ持っていかれた日本の調査資料というものの返還を求めるということを言っているわけです。そういうことは一体可能ですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/11
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012・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 先ほども提案理由で御説明されましたように、確かに戦前における調査機関のいろいろ調査したものも若干残っておりますし、また現在政府機関あるいはその他民間の機関にも調査資料が残っております。そういうものをまず最初にこのアジア経済研究所が中心になりまして集めまして、それの足らぬところを現地へ行って調べるというふうな実際の業務の、調査のやり方をするというふうに考えておるわけであります。今先生御指摘のように、過去の機関の研究調査の資料が海外に流れておる、そのうちでもちろん利用できるものがありますれば利用したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/12
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013・松平忠久
○松平委員 その外国へ持っていかれた日本の満鉄、東亜研究所などの貴重な資料を調査し、その返還を要請する、こういうことなんだが、その返還を要請するというのは金で買ってくるのですか、それとも無償で相手に対して返還を求めるということであるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/13
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014・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 そのときどきの事情にもよりましょうが、われわれといたしましてはできるだけ費用のかからない方法でお願いして利用したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/14
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015・松平忠久
○松平委員 結局それではただで持ってくるということはできないだろうと思うのです。戦争も終わっておって、その当時の責任の問題がすべて解決しているという状態にある。そういうものの返還を求めるということであるから、この返還ということはすでにおかしいのじゃないか。そういう散逸したものを集めるのならいいけれども、いかにもこっちに権利があるように返還を要請するということをいっておる。もし返還を要請するということでないとするならば、これは何か金で買ってくるということになるけれども、その予算なんかはできておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/15
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016・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 今先生御指摘の文言は、アジア経済研究所の案内書に書かれておる文句だと思うのでありますが、ちょっと表現の不適当な個所もあるかと思うのであります。この返還を要請するというような文言は、若干私も表現が不適当かと思うのでありますけれども、先ほどから申しますように、できるだけ費用のかからぬ方法でお願いをして資料を集めるという趣旨でございまして、若干金のかかる場合もあろうかと思います。その費用も三十四年度予算では千二百万円程度資料購入費が予定されておりまするので、その範囲内でできるだけ資料を集めたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/16
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017・松平忠久
○松平委員 今までの予算を見ると、そういう資料を購入するのに千二百万円ばかりかかるということであるが、国内で何か買い集めるという費用が九百万円で、外国のものを買ってくるというのが三百万円しかない。これはおかしいのじゃないかと思うんだ。アジア経済研究所というならば、むしろ外国の資料をよけいに集めるということにしなければならぬと思うのだが、そうでなくて国内の資料に三倍も金を使って、外国の資料を集める経費は三分の一しかないということは、これは一体どうしたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/17
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018・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 今千二百万円の予算の内訳が九百万と三百万に画然と分かれておるというふうなお話でございましたが、実際は一括されておりまして、別段分かれておりませんので、われわれとしてはこの千二百万円の範囲内において、国外、国内の資料を最も適当に収集する、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/18
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019・松平忠久
○松平委員 それではこの案内書に書いてあることはうそですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/19
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020・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 確かにこの案内書の中には、今先生御指摘のような書き方になっておりますが、これは少し正確ではないというふうに考えております。運用といたしましては両方合わせて運用するというふうに建前としては考えております。こういう画然たる区別をわれわれとしてはつけておりません。研究所としてはこういう書き方をいたしたものと考えますが、予算の建前といたしましてはこういうはっきりした格好になっておりませんので、もしこのような方法で動かされているということになれば、われわれも少し調べてみたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/20
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021・松平忠久
○松平委員 この研究所に対する監督権というのはどの程度あるのですか。それは、一括予算を渡すからあとはお前の方で勝手に使え、こういうことであるのか、あるいは政府がある程度の指示権を持っておるのか、その点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/21
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022・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 こういう調査機関の性格といたしまして、一般的には、同じ政府の出資した機関でありましても、われわれとしてはあまりこまかな監督をできるだけ避けて、この調査機関の自主的な運営にまかせるというのがよかろうというふうな考え方をとっているのであります。しかし大部分の業務の内容が補助金に依存をいたします関係で、その補助金を要求したときのいきさつなり内訳なりというものによりまして、若干の拘束もあると思うのであります。従いまして、その法律の趣旨に反しない限りにおきましては、こまかな監督をいたすことは差し控えるべきであろうと思っておりますが、あまりその趣旨に反するというものならば、やはり必要な監督はしていくべきではないかというように考えております。それは事業計画なり資金計画なりの面で、政府の補助金との調整というものは十分にできますので、その範囲内において最小限度必要な監督をいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/22
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023・松平忠久
○松平委員 それでは、資料の収集に国内に非常に金を使って、国外に少ないというような研究所のやり方、今までのやり方がそうである、それは一つあなたの方で直していくということをただいまおっしゃっておったが、その点については今後どういうふうにやっていこうとするお考えであるか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/23
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024・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 先ほども申し上げた通りでありますが、研究所の設立早々でもありましたし、こういう機関の設立の初期の段階におきましては、どうしても国内的な調査資料の収集というところが、スタートとしては順序になるという点も御了解願えると思うのであります。従いまして、資料の収集にしましても、国外の方がもちろん重点ではございますが、設立早々初期の段階におきましては、やはり国内でまず散逸をしておる資料を収集するということに、やはり重点を置かれなければならぬということも御了解願えるかと思うのであります。その意味で、三十四年度財団法人時代におきましても、あるいは本年度、三十五年度の正式にアジア経済研究所になりましての第一年度の段階におきましては、国内の資料収集というものが若干多い部分を占めるのではないかというふうに考えますが、原則としましては、国外の方に重点を置きたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/24
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025・松平忠久
○松平委員 今までこの研究所の研究した成果というものは、どういう工合に利用をされておるのか。これは公表されておるものもあるだろうと思うんですが、どういうような手続で、どういうような出版によって公表され、かつ利用されておるのか、そういうことをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/25
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026・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 実は、まだ財団法人が設立をいたしましてから早々でありますので、まだ何と申しますか、調査の途中の段階にあるものが大部分でありまして、世に発表されたものは比較的まだ少ないのであります。調査月報を出しておりまして、それに調査内容は発表いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/26
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027・松平忠久
○松平委員 月報を出したり、それから四カ月に一度ずつ各季の報告を出すというようなことがあるわけですが、それは現在出ておりますか、月報なり、あるいは季刊報というものは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/27
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028・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 資料月報というのを出しております。先生お持ちの案内書の八ページをごらん願いたいのでありますが、その中のインド班のところの経営代理制度の実態、インドネシアのところの流通機構及び金融組織というものは出版をいたしておるのであります。そのほかに、いわゆる資料月報というものを出しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/28
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029・松平忠久
○松平委員 この案内書によりますと、資料の英文の報告書を出すということになっておるようでありますが、この英語の報告書というのは、どういう必要で出すんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/29
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030・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 英語の方は、まだ実はやっておりませんが、こういう調査の性格上、やはり英文にいたしまして、海外にも広く御利用願うのがよかろうというだけのことであります。まず国内で使うということが、もちろん先決というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/30
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031・松平忠久
○松平委員 国内で使うことが先決であることはもちろんでありますが、英語はどうしてそういう報告書が必要なんですか。海外で使うということは、海外の人が便利になるということはありましょうが、これは日本の機関で、日本の予算をもって運営をされておる機関であると思う。そういうものが、外国人のために便利になるような報告書をどうして出すんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/31
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032・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 調査の主要地域が東南アジアでございますし、調査をする段階におきまして、それぞれの調査の結果を交換するというふうな場合もありますし、また双方の調査を東南アジアの諸国に披露するということも、双方の経済提携にとって非常に有益でありますので、要するに外国語の版も必要に応じて出そう、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/32
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033・松平忠久
○松平委員 そうすると情報の交換をやるというような考え方もあるわけですね。そういうことは業務の中にございますか、これは日本の一般の民間の者が資料を見て、経済活動をする便を得たいというのであろうと思うのであって、日本人以外の者がこれを利用しようとしまいと、それは勝手だろうと思う。翻訳するのだったら向こうが翻訳すればいい、それを日本の機関がわざわざ英文に翻訳して、そういう人たちに配る義務があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/33
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034・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 そういう義務はもちろんないわけでありますが、研究所が漸次充実をするに従いまして、そういうことも出す方がいいのではないかというふうに考えておるが、ほかのことを差しおきまして英訳をやるというような考え方はごうもいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/34
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035・松平忠久
○松平委員 充実するために英文の報告書を出す方がいい、こういうお話なんだが、何の目的で出すのですか、英文の報告書はどういう目的で出すのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/35
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036・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 調査をいたしましたその内容が、インドネシアであるとか、インドであるとか、要するに東南アジアであるわけでありますので、もちろん主体はわれわれ日本側で利用するということではございますが、彼らもまた関心を持っておるわけであります。必要に応じてそれを利用させるということも経済協力の一環ではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/36
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037・松平忠久
○松平委員 必要に応じて出すなら話はわかるのです。どの調査については必要だからといって出すなら話はわかる。ところが定期的に出す理由はどこにあるかというのです。必要に応じて出すなら話はわかるのです。ところが定期的に出すという計画があるからというので、そういう必要がどこにあるかといって聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/37
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038・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 ただいまも申し上げましたように、必要に応じてやるというつもりなんであります。その必要に応じてをやるようなことになればもちろんいいかと思いますが、さしあたりは急にそこまで行かぬじゃないか、あるいはこの案内書の中に、そういう表現をいたしておりますれば、その点は必要に応じてという工合にお考えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/38
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039・松平忠久
○松平委員 この計画によりますと、和文は月刊で出す、英文は季刊で出す、季刊というのは四カ月に一ぺんなんです。そういう計画になっているのです。必要に応じて出すなら何も定期的に出す必要はないのであって、そのテーマ、テーマによって出せばいいと私は思うのだが、一体そういうような計画をさせておいていいのですか、和文は月刊で出してよろしい、英文は季刊で出す、そういうような英文の出版物を、この機関がどうしてやる必要があるかということを伺っておるわけです。あなたの今の答弁は、それをよく理解しておらないようなんです。必要に応じて出すならいいが、不必要なものを出すから私はいかぬと言っておる。その計画はやめさせたらどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/39
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040・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 まだ英文の方は発行いたしておりませんので、今もお答えを申し上げましたように、必要に応じてやるべき性格のものだと思っております。まだこれは出しておりませんので、今後出す場合には、そういう趣旨で一つ指導したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/40
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041・松平忠久
○松平委員 アジア経済研究所とありますが、このアジアという範囲はどことどこですか。どこからどこまで入っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/41
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042・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 いわゆる地理上のアジアを見ているようでありまして、従いまして、その範囲はウラル山脈、それからカスピ海、コーカサス、黒海、ダーダネルス海峡、ボスポルス海峡、地中海まで、これが西側ヨーロッパとの境界であります。それから、アフリカとの境界は、現在はスエズ、紅海を結ぶ線でありまして、その線からこちら側を一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/42
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043・松平忠久
○松平委員 そうすると、シベリアとか中共もむろん含まれておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/43
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044・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/44
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045・松平忠久
○松平委員 そこでお伺いしたいのは、中国関係の経済の調査をしたり、その資料を集めるということで、中共も含めて、それぞれの地域に短期に人を派遣するというような計画があるわけですが、それは本年度はどういうような計画になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/45
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046・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 中共に対しましても、そういう人を派遣して調査ができるような時期になりますれば調査をいたしたいというふうに考えておりますが、さしあたりのところは、中共との関係が御存じのような関係でございまするので、三十五年度の計画といたしましては、一応中共を対象に考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/46
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047・松平忠久
○松平委員 今のお話だと、三十五年度は御存じのような状況であるから中共は含んでない、こういうお答えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/47
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048・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 私が申し上げましたのは、向こうへ参りましていたすような調査の意味でありまして、もちろん内地におきまして必要な資料を収集してやる調査は、中共につきましても含めて考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/48
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049・松平忠久
○松平委員 中共については、こういう国家機関ともいうべき特殊法人の調査人員というものが、一体行って調査をしたり資料を集めたりすることは可能であるかどうか、それはお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/49
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050・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 中共のみならず共産圏一般につきましては、在外公館のようなものと、それから民間的な機関の調査の難易につきましては、前者の方がやさしい、民間的な機関におきましては非常にやりにくいということも十分承知をいたしております。たとえば、ジェトロのいたしますいろいろな市場調査にいたしましても、同様のことが言えるのでありますが、われわれといたしましては、今度のアジア経済研究所は、いわば大部分が政府出資でありまして、いわば半官半民というようなものでありますので、在外公館がいたす調査でできるものは、もちろんそれでいいわけでありますが、そもそもこの調査機関の設置されましたのは、基礎的な総合的な調査であって、いわゆる在外公館のやる調査とおもむきを異にしております。またジェトロの調査いたしますその場その場の市場調査とも性格を異にいたしておりますので、若干の困難性はもちろん伴うとは思いますが、できる限りの範囲内におきまして本研究所をして調査をさせたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/50
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051・松平忠久
○松平委員 アジア地域において、いろいろな日本の民間側の調査研究機関もあろうと思うのです。その中で政府から補助金をもらっておる研究所というものは、アジア経済研究所のほかにどういうものがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/51
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052・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 ただいまのところ補助金をもらっておる他の調査機関といいますと、ちょっと資料が整っておりませんので、もう少し調べました上でお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/52
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053・松平忠久
○松平委員 それはきわめて不勉強じゃないかと思うのです。同じ政府の中で、これだけの基金も出し、運営費も出してやるものを作って総合的に研究していこう、こういう考え方である。一方において、なおほかにも政府の補助金なり何なりをもらっておる研究所があるとするならば、これはどうも統一的な考え方に相反するのではないかと思うのだが、それをなおかつ政府当局が知らぬというのはおかしいと思うのだな。これは至急調べてもらいたいのだが、いつわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/53
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054・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 この基礎的な、総合的な調査機関としては、補助金をもらっている調査機関は本機関のほかにはないわけであります。先生のお尋ねはそうじゃなしに、何がしかともかく補助金をもらっておる機関はほかにあるんじゃないかというお尋ねかと思います。ちょっと今のところ調査が十分でございませんので、早急に調べましてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/54
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055・松平忠久
○松平委員 それじゃ私から申し上げますと、現在中国研究所というのがあるのです。主として中共のことについていろいろ研究をして、いろいろな資料を出しておる。この中国研究所は民間学術研究機関としての補助金を受けておるし、また科学研究費というものの中からも補助金を百二十万円受けておるし、アジア地域における社会経済構造の研究ということで、資料購入費その他について百五十万円の補助金を受けておる。合計しましてやっぱり五百万円程度の補助金を受けておるわけであります。こういうものが一方にあって、これとあなたの方のアジア経済研究所というものは一体どういうふうにタイ・アップしていくのか、同じく政府の補助金なんです。それをばらばらで研究していくというようなことではちょっとおかしいと思うんだが、これはやはり研究会議なり何なりを開いてやるということでなければ、予算をただばらばらに使ってしまうというだけでは——これについてはどういうふうにお考えです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/55
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056・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 お説の通り各種の政府機関ももちろんあろうかと思います。従いましてこの法律の第一条の目的にもありますように、このアジア経済研究所は基礎的かつ総合的な調査研究を行なうというのがその特色であるわけであります。従いましてその他のいろいろの研究所の研究の結果も全部収集をいたしまして、また分析をいたしまして、その足らざるところを研究をするというふうにしていくわけであります。決して同じような調査をいろいろな機関でやるというふうには考えておりません。そのために調査機関の間の協議会というふうなものも持ちまして、十分その調査の結果をお互いに交換をし合いまして、調査がダブらないようにしていくというふうに考えておるのであります。要はそれぞれの立場からいろいろな研究なり調査なりがいたされますのを、ここで収集をして総合化するというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/56
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057・松平忠久
○松平委員 アジア経済研究所は、その範囲の中に中共も入っておるのですが、中国の研究については今まで補助金をもらってやっておったのは中国研究所だけなんです。そこでこの二つは何らか調査の上において常時協議をするとか、あるいはこういうテーマについて共同研究をするとか、あるいは委託をするとか、そういうふうなことはございましたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/57
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058・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 これまでの財団法人の段階におきましては、まだ人員も非常に不足でございますので、中国の研究にまで手が回っておりません。従いましてこれまでのところは中国研究所とは連絡をしたことはないようでございますが、今後充実するにつれまして、この中国研究所とも十分連絡をして、そして調査のダブらないようにいたしたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/58
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059・松平忠久
○松平委員 昭和三十四年にはあるように思うのですが、それはここにやはり中国の財政構造についてというのに対して中国総合研究所にこれを委託すると書いてある。あなたの言っておるのは、まだ手が回らないと言っているけれども、報告には書いてありますよ。もうすでにここに委託したことを……。あなたの答弁は間違っておりますから訂正して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/59
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060・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 三十四年度の個人研究といいますのは委託調査であります。委託調査におきましては中国総合研究所の関戸氏に中国の財政構造というので調査を委託いたしております。その意味において私、先ほど申し上げましたのは間違っておりますので訂正させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/60
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061・松平忠久
○松平委員 今度お伺いしたいのは、この中に東南アジアのエネルギー資源とその利用度に関する研究というものを、経済企画庁の海外調査課長という人に委託をしておるわけです。政府の機関にこれを委託をしておる。これはどうでしょうか。内田次官、こういうことはいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/61
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062・内田常雄
○内田(常)政府委員 政府の機関に委託をしたのではなしに、その知識研究をいたしておる個人に調査を委託したのでありまして、ことに従来は財団法人であるアジア経済研究所がやっておったものでありまして、今度政府機関になりますと、政府機関の運営につきまして参与会等が設けられまして、政府機関との連絡あるいはそれがたとい個人でありましても、さような研究者をいかに使うかということを新しい見地から考えて参らなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/62
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063・松平忠久
○松平委員 そこで個人と公人とどういうふうに区別があるか知らぬが、そういう研究を委託された政府の公務員は、これは公務以外の時間をそれにさいてやる、こういうことにならなければならぬと思うのですがね。結局、委託を受ければ同じそこで、たとえば海外調査課長は自分の部下を使ってそれで調査をするということに私はなるだろうと思うのです。そういう海外調査課長が固有の職務の上において権限を持ってやるのと、今度はこのアジア経済研究所の委託を受けてやった場合には区別がつかなくなると思うのだがね。それは一体どうやってやらせるつもりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/63
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064・内田常雄
○内田(常)政府委員 これは今回の法律の成立によりまして政府の特殊機関になりますと、松平君のおっしゃるような問題につきましてこれは考えて参らなければならぬと思いますが、今まではこれは財団法人でありまして、調査を委託されたその公務員におきましても、公務員法においてそれを特に禁止する規定もございませんし、かつまた経済企画庁というものが通産省とか運輸省とかいう行政官庁と違いまして、調査研究を特に目的とする役所でありましたために、その間の関係が通産省の役人が委託を受けて調査するという場合と、おのずから趣が違っておったと思います。しかし公務員には相違はございませんので、今申しますように、アジア経済研究所が政府機関になりました場合には、その問題につきましてさらによく考えて参らなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/64
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065・松平忠久
○松平委員 どういうふうにお考えになっていくつもりです。今までの場合と、今度は特殊法人になった場合は違うということを今言われたが、どういうふうにそういう政府機関に調査について協力さしていくということは、一体どういうふうにおやりになるつもりなんです、時間やその他について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/65
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066・内田常雄
○内田(常)政府委員 政府機関となりましたアジア経済研究所が特に従来調査を委託しておりました個人の調査能力を非常に欲する場合には、私はその公務員は今度はアジア経済研究所の研究員として任命がえをすべきであると考えます。そうでない場合には、先ほども申しましたように経済企画庁というものは調査研究の機能を持っておりまして、また経済企画庁そのものにも、経済研究所というようなものもあります。これは御承知の大川一司君が所長をやっておるのでありまして、経済企画庁とは有機的関連もありますので、しいてそのものをやめてアジア経済研究所の職員にする必要が必ずしもあるわけではない場合には、国の機関である経済企画庁と同じ特殊機関であるアジア経済研究所とが、参与会等の運営を通じましてその研究について、相互に便益をはかって参るということになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/66
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067・松平忠久
○松平委員 このアジア地域の経済の研究については、たとえばアメリカ、フランス、イギリス等はどういう特別の機関を持っておるか、あるいは持っていないか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/67
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068・内田常雄
○内田(常)政府委員 外国のことはよく知りませんが、ここに与えられました資料によりますと、英国にはロイヤル・インスティチュート・オブ・インターナショナル・アフェアーズというものがありまして、日本の今回のアジア経済研究所とはやや趣が違いますけれども、国際問題の基礎的科学的研究をみずからいたし、または助成をいたしております。またアメリカには、御承知のようにアメリカン・インスティチュート・オブ・パシフィック・リレーションズというのがありまして、アジア諸国の諸問題についての研究を促進するための調査、出版をも行なっております。また同じくアメリカにランド・コーポレーションというものがありまして、これは、経済ばかりでなく、医学、数学、社会科学などの問題をも対象といたしまして、アジア地域をも含めて世界各地の基礎的な調査をいたしております。それから西ドイツにはインスティチュート・フュール・ヴェルトヴィルトシャフト・アン・キール・ウニヴェルジテートという機関がございます。これはちょうど日本のジェトロと今回のアジア経済研究所とを合わせたようなものでありまして、貿易の拡大とか経済協力を目的といたしました調査をしている基礎的国家機関でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/68
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069・松平忠久
○松平委員 そこで、こういうような機関と今度特殊法人になるアジア経済研究所とは、資料の交換とか、あるいは調査結果の交換とか、そういう提携の措置を講ぜられるようなお気持があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/69
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070・内田常雄
○内田(常)政府委員 これは私見になるかもしれませんが、さきの英文出版問題とも関連することと思いますが、大体、今回特殊法人にまでいたしまして、わが国がアジア経済に関する基礎的研究調査をいたそうというものは、昔のようにと申しますか、一時戦争によって中断されておりましたアジア地域についての日本の調査の主導性というものを、世界に向かってある程度認めてもらうという趣旨もあろうかと思います。従って、今申し述べましたような外国機関の調査活動につきましては、必要に応じて研究成果の交流とか協力とかいう問題も生じて参って差しつかえないと思います。おそらく参与会の運営等につきましても、今後同じような問題が議せられるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/70
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071・松平忠久
○松平委員 次に伺いたいのは政府以外の出資ですが、これは、今までの分と今後予定されておる分というものはどういうふうにお考えになっておるか、この際伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/71
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072・内田常雄
○内田(常)政府委員 政府からは、三十五年度予算におきまして、御承知のように一億円を予定いたしておりますが、政府は今後増資することもあります。その規定もこの法律案の中にあります。民間から同じく出資を受け入れる規定もございまして、今回研究所の創設に関しましては、とりあえず財界などの団体から二千万円ほど出資があると聞いております。これも、今後また政府の出資につれまして、追加民間出資というようなこともあるいはあるものとも考えます。なお、従来の財団法人時代の民間の寄付行為による資産は、出資にはならないで、権利義務の承継として、出資関係のバランス・シート以外において引き継がれるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/72
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073・松平忠久
○松平委員 そうすると、この寄付行為は解消してしまって、新しく定款を作らせるということになるわけでございますね。そこで、定款案はすでに大体用意してございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/73
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074・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 実はまだ用意をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/74
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075・松平忠久
○松平委員 寄付行為の方の定款に準ずるものとこの法律案の第一条とは、若干食い違っておるのではなかろうかというふうに思います。そこで、今までの寄付行為の方の定款と同じような趣旨のものから見ますと、たとえばさっき私が申しましたように、日本の散逸した資料を返還するとか、ちょっとよけいなことが寄付行為の方には散見されるわけであります。従って、今回は、全部改めて、新しくすっかり根本的に定款を書き直すという趣旨に解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/75
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076・内田常雄
○内田(常)政府委員 大体そのようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/76
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077・松平忠久
○松平委員 それから今度のこの機関の運営は、役員、参与、会員というようなもののようですが、現在予定されておるいわゆる三役と申しますか、それは大体どういうように人選が進んでおるのか、もし政府に腹案があるならば、この際これを披露していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/77
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078・内田常雄
○内田(常)政府委員 御承知のように、現在の財団法人アジア経済研究所は、会長は前開発銀行総裁であり、またアジア協会の会長もやっております小林中氏であります。所長は東畑精一氏であります。これは通産大臣任命でありまして、閣議の了解を得て任命することになっておりますが、この両氏がそのまま会長、所長に就任されるのがよくはないかと考えておられるようであります。参与につきましては、従来の財団法人では参与という言葉がなくて、あるいは評議員という言葉であったかとも思いますが、これには、貿易ばかりでなしに、この機関の貢献せんとする目的が究極においては、経済協力の促進ということでもありますので、通産省、大蔵省、外務省、経済企画庁、農林省、文部省もあったと思いますが、それらの事務次官が参与になっておりますので、それもそのまま他の学識経験者とともに参与として会長が委嘱せられることと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/78
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079・松平忠久
○松平委員 次にこまかいことを伺いたいのです。アジア地域以外の地域をも経済調査の対象にしようというのですが、これはどういう目的とお考えでそれをしていこうというのか、つまりこの経済研究所というものはだんだんと地域を広げていく考え方があるのかどうか、アジア地域以外のことまでやるということはどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/79
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080・内田常雄
○内田(常)政府委員 主目的はアジア地域でありますが、法律の第一条にも、たしか「アジア地域等」という言葉が入れてあったと思いますが、この「等」は松平さんがお尋ねのように、結局貿易の拡大とか、経済協力の促進への寄与ということを最終目的といたします限りにおいては、やはりアフリカとか中南米諸国が、わが国の経済協力の対象地域として入らざるを得ません。特にAAグループというようなものもございますし、そこで、主力はアジア地域に置きますけれども、余力のある限りにおきまして、また必要に応じて、今申しましたアフリカあるいは中南米の諸国等につきましても、経済事情あるいはその他の調査を進めて参る、かような趣旨でありまして、将来これを海外経済研究所というがごとき、西欧諸国あるいは北米地域等の調査の機関までに広げる意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/80
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081・松平忠久
○松平委員 それから、省令に譲っているこまかい規定があるわけでありますが、その省令の骨子のようなものは、一応その腹案のようなものはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/81
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082・内田常雄
○内田(常)政府委員 政令、省令に譲っておりますのは、確か登記の手続的な規定、これは今日の商業登記の規定とも若干趣が違いますので、他の政府機関等の場合の例文によりまして、登記等の手続に関する政令を作る予定であります。これは第八条。それから三十一条と三十三条に、一つは財務に関する省令、これは財産を譲り渡す、または担保に供するという場合に、いかなるものを——財産を譲り渡しまたは担保に供する場合には、通産大臣の認可になっておりますが、これを全部こまかい財産につきましてまでも認可主義をとる必要はございません。そこで重要なる財産の範囲をきめる通産省令、もう一つは同じような趣旨の財務会計に関しまして財務準則とか、あるいは貸借対照表の作成の方法とかいうようなごく手続的なことだけを省令できめるつもりでありまして、その他この機関の運営に関する重要なる事項を、政令、省令にまかしておるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/82
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083・松平忠久
○松平委員 外務大臣に質問をしたいことが一つ残っておるわけでありますが、明日でも外務大臣の都合を聞いていただいて、一つ審議をしていただきたい。それを私は留保したいと思うのでありますが、それによって、きょうはこれで終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/83
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084・中村幸八
○中村委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01019600301/84
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