1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月十一日(金曜日)
午後一時二十二分開議
出席委員
委員長 中村 幸八君
理事 大島 秀一君 理事 小川 平二君
理事 小平 久雄君 理事 長谷川四郎君
理事 南 好雄君 理事 田中 武夫君
理事 松平 忠久君 理事 武藤 武雄君
岡本 茂君 鹿野 彦吉君
始関 伊平君 田中 榮一君
田中 龍夫君 中井 一夫君
板川 正吾君 勝澤 芳雄君
小林 正美君 櫻井 奎夫君
東海林 稔君 北條 秀一君
出席国務大臣
通商産業大臣 池田 勇人君
出席政府委員
通商産業政務次
官 原田 憲君
通商産業事務官
(通商局長) 松尾泰一郎君
委員外の出席者
専 門 員 越田 清七君
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三月九日
繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第九八号)
同月十一日
弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出第
九四号)(参議院送付)
同月十日
中小企業振興対策に関する請願(野田武夫君紹
介)(第九九四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第九八号)
弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出第
九四号)(参議院送付)
アジア経済研究所法案(内閣提出第八四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/0
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001・中村幸八
○中村委員長 これより会議を開きます。
繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案及び本日本付託になりました弁理士法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査に入ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/1
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002・中村幸八
○中村委員長 まず、趣旨の説明を聴取いたします。通商産業大臣池田勇人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/2
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003・池田勇人
○池田国務大臣 ただいま提案になりました繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。
現行繊維工業設備臨時措置法は、繊維工業における著しい設備過剰の事態に対処し、設備の規制を行なうことにより、繊維工業の合理化をはかり、もって繊維製品の輸出の正常な発展を期するために、昭和三十一年に制定され、その後化学繊維の設備規制をも行なう必要が生じましたため、昭和三十四年に一部改正が行なわれて、今日に至っております。
しかるに為替貿易の自由化の進展が著しい最近の国際的な趨勢にかんがみまして、政府といたしましてはわが国輸入額の約二割を占める繊維原料の自由化につきまして、慎重に検討を行なって参りました。
繊維原料の輸入自由化は、原料の適時適切な入手によって、一般消費者に対し一そう良質安価な衣料の供給を可能にいたしますとともに、企業の自主責任体制を確立し、繊維工業の体質改善、合理化の促進に役立つという大きい効果が期待されるのであります。従いまして、政府は昨年末、原綿、原毛の輸入自由化を明年四月より実施することに決定いたしました。
しかしながら、繊維原料の輸入自由化は、繊維工業はむろんのこと、国民経済各般に影響するところきわめて大きいものがありますので、政府といたしましては、昨年十一月以降、業界関係者、学識経験者及び労働者代表よりなる繊維総合対策懇談会を設け、輸入自由化に関しまして総合的見地から慎重に審議を重ねて参りましたが、同懇談会は本年一月、政府に対して答申を提出いたしております。
この答申によりますと、今日著しい過剰設備をかかえ、常に過当競争の危険にさらされている繊維工業の現状におきまして、原料の輸入自由化を適切な準備体制なしに実施いたしますならば、当然に生産過剰の激化を招き、繊維工業はきわめて不健全な様相を呈することになります。その場合、前に申し述べましたような自由化のよい効果は期待することはできず、むし繊維工業のみならず国民経済各般に好ましからざる事態を招くおそれが考えられるのであります。紡績業者はむろんのこと、織布業者等の中小企業者、あるいは繊維品販売業者また、就業労働者等を著しく不安定な状態に陥れ、特にわが国輸出の約三割を占める繊維輸出の減退を招く等、幾多の混乱をもたらすことが予想されるのであります。
繊維総合対策懇談会におきましても、本年一月の答申におきまして、以上のような輸入自由化に伴う混乱を極力是正し、自由化の効果を十分発揮させるために、諸般の対策を提案いたし
ておりますが、特に過渡的措置として繊維工業設備臨時措置法の改正によります生産秩序の確立を強く要望いたしております。
政府といたしましては、このような答申の趣旨を十分尊重いたし、最近における繊維工業の事情並びに繊維原料の輸入自由化に対処しまして、近い将来秩序ある自由体制への移行を円滑に実施いたすための過渡的対策といたしまして、一定期間法の有効期間を延長いたし、かつ過剰設備の処理を有効適切に実施し得るよう法を改正し、もって繊維工業の安定的発展を期する所存であります。
次に改正の主要な諸点につきまして、御説明いたします。
第一は、過剰設備の処理に関する共同行為の指示を行なう場合の、参酌事項といたしまして、当該年度の繊維製品の需給状況及び輸出見込みを新たに明文化いたした点であります。現行法におきましては、過剰設備の処理の共同行為を指示する場合には、目標年度における繊維製品の需給状況並びに現有設備数を基礎とし、必要な資金の額並びに一般消費者及び関連事業者に対する影響その他の事情を参酌することになっておりますが、この参酌事項として当該年度における繊維製品の需給状況、繊維製品の輸出見込みを明文化して加えることとしております。これは、過剰設備の処理に関する指示を行なうにあたっては、設備規制によって繊維工業の合理化をはかるという法目的の達成に遺憾ないことを期しますため、長期的な観点とともに、当面の生産及び需要面の事情あるいは輸出事情を十分考慮する必要があると考えられますが、今般の繊維原料の輸入自由化に伴い、特にこの点を明確にいたす必要がありますため、所要の改正を行なわんとするものであります。
第二は、過剰設備についての処理命令であります。現行法におきましては、過剰設備の処理は、国の指示による共同行為によって行なうこととなっておりますが、これのみでは、共同行為に参加しない者の事業活動により法目的の達成を期し得ない事態が生ずることが予想されます。従来は、繊維原料の外貨割当制度があり、これによりましてかなり的確な需給調整が可能であり、これが過剰設備処理を十分確保する効果を持っていたわけでありますが、今後原料輸入が自由化されますと、この面からの調整が全く不可能となりますので、過剰設備処理が、共同行為のみをもってしては、きわめて不十分となる事態が当然予想されるのであります。従いまして、今後は、特定の要件が存する場合に、関係全事業者に対しまして、過剰設備を格納等の方法により処理すべきことを命令することができるようにいたしたいと考えるのであります。
第三は、監督規定の整備であります。本法の順守を確保いたしますため、無登録設備の使用制限に関する規定に違反した者に対しては、期間を限って無登録設備の全部または一部を格納もしくは封印すべきことを命じ得ることとし、また過剰設備の処理命令に違反した者に対しては、設備の全部もしくは一部の使用を停止すべきことを命じ得ることとし、さらにこれらの制裁処分をしたときには、その旨を公表しようとするものであります。特にこの監督規定の整備につきましては、前述いたしました繊維総合対策懇談会におきましても、繊維工業の生産秩序の確立をはかる上に必要な措置として強く要望されたものであります。
第四は、目標年度の変更及び本法の有効期間の延長であります。現行法におきましては、設備の新増設あるいは過剰設備の処理をいたします場合の目標年度を、昭和三十七年度としておりますが、最近における設備の生産性の向上等の事情から、昭和三十七年度におきましても、なお相当程度の設備過剰を呈する見込みであります。従いましてこのような設備過剰を是正し、設備規模の適正化をはかりつつ、繊維原料の輸入自由化による繊維事情の変化に対処いたしますため、本法の目標年度を昭和四十年度に変更いたし、これに伴いまして本法の有効期間を四年延長いたすことが必要と考えられるのであります。
以上が改正の主要点でありまして、各条につきましては、今後御審議の過程を通じ、詳細に御説明申し上げるつもりであります。このたびの改正は、これまで申して参りましたように、繊維原料の輸入自由化に伴う事態に対処し、また現行法施行後の経緯にかんがみまして、過渡的措置といたしまして、繊維工業の合理化をはかる上にぜひとも必要なものと考えるのであります。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに可決あらんことを切望いたします次第であります。
次に弁理士法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその概要を御説明いたします。
弁理士は、工業所有権に関する出願、請求その他の案件についての代理等を業務とする者でありまして、本制度は、工業所有権制度の円滑な運用をはかり、広く産業上の創意及び活動を助け、ひいては産業の発達に寄与することを目的とするものであります。
わが国における弁理士制度の歴史は古く、明治三十二年特許代理業者登録規則が制定されて以来、今日まですでに六十余年の歳月が経過しております。しかして、現在施行されている弁理士法は、大正十年に制定され、昭和十三年に比較的大きい改正があったほかは、大幅な改正を見ることなく現在に至っておるのであります。
しかしながら、最近における工業所有権制度の運用の実情にかんがみるとき、弁理士制度についても根本的に検討を要すべき点があるように考えられるのであります。この点につきましては、なお将来慎重な検討を続けて参りたいと存ずるのでありますが、今回さしあたり緊要な点につきまして、関係各方面の意見をも聞き、ようやく成案を得るに至りましたので、ここに弁理士法の一部を改正する法律案として提出するものであります。
次に、本法律案の概要を御説明申し上げます。
第一は、弁理士の資格の特例についてであります。弁理士の資格を取得するためには、原則として弁理士試験に合格しなければならないことになっておりますが、特別の場合にはこの試験によらしめることが必ずしも適当でないのでございます。従って現行法におきましても、弁理士となる資格の特例といたしまして、二、三の例外を規定しております。その例外の一つは、弁護士たる資格を有する者であり、その二は高等試験の行政科試験または司法科試験に合格した者であり、その三は特許庁において高等官に在職して二年以上審判または審査の事務に従事した者ということになっております。このうち二と三につきましては、高等試験制度及び高等官制度が今日すでになくなっており、規定の意味は失われているわけでございます。そこで今回の改正案におきましては、高等試験に関する規定及び高等官に関する規定を削り、これにかえて「特許庁において七年以上審判官または審査官として審判または審査の事務に従事した者」は弁理士となる資格を有する旨を規定したのでございます。このような規定を設けることにいたしました理由は、審査官、審判官に優秀な人材を集め、かつ、これらの者が専心仕事に従事することができるようにしようというものでございます。これがひいては審査、審判の事務促進に役立つものと考えたのでございます。
第二は、弁理士の登録事務を弁理士会に移譲することについてであります。現行法におきましては、弁理士の登録事務は、特許庁において行なわれておりますが、弁理士会の自主性の強化に資するため、その登録を弁理士会になさしめることとしたのでございます。弁理士会の自主性の強化につきましては、このほかにも問題はございますが、この登録事務の移譲は、その一環として大きな意義を有するものと考える次第でございます。なお、弁理士会に登録事務を移譲した場合において、その登録を拒否されたことに不服がある者には、通商産業大臣に異議を申し立てる機会を与え、救済の道を設けてあるのでございます。
第三は、弁理士の業務についてであります。すなわち、新たに「特許、実用新案、意匠または商標に関する訴願または裁定に関し通商産業大臣に対しなすべき事項」について弁理士が代理等の業務を行なうことができるようにするとともに、他方、弁理士でない者は、これらの業務を報酬を得る目的をもって行なうことができないようにした点であります。現行法におきましては、特許、実用新案、意匠または商標に関し「特許庁に対しなすべき事項」についてのみ弁理士が代理その他の業務を行なうことになっているのであります。しかし、特許法等新工業所有権法の制定に伴いまして、行政庁がなした処分に対する訴願の道が広く認められ、また、特許発明等の実施が公益上特に必要な場合は通商産業大臣に裁定を請求することができるという制度が認められましたので、これらの事項に関する代理その他の事務を業として行なう際は、専門的知識及び経験を有する弁理士をしてこれを行なわせようとするものであります。
なお、このほか、弁理士会の目的を現在にふさわしいものとする等、若干の点において現行弁理士法の諸規定を改善、補完いたしております。
以上が、本法律案の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、可決せられますようお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/3
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004・中村幸八
○中村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
両案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
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005・中村幸八
○中村委員長 次に、アジア経済研究所法案を議題として、審査を進めます。
質疑の通告があります。順次これを許します。田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/5
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006・田中武夫
○田中(武)委員 このアジア経済研究所法案につきましては、同僚委員から、事務当局に対しましては、いろいろと質問をいたしたのでありますが、ぜひ大臣から政治的な問題についての御答弁を願う必要がありますので、特にきょう出席を願って、そういう点について二、三の質問をいたしたい、このように考えております。
御承知のように、アジア経済研究所法案は、従来ありました財団法人アジア経済研究所を特殊法人としようとする法律でございます。
そこでその問題についてお伺いをする前に、一言大臣に御所見を承っておきたいと思うことは、私当委員会に所属いたしましてから大体五年になりますが、その間商工委員会に提出せられますところの法律案は、その三分の二までが特殊法人を作る、あるいは特殊法人に関連するもの、あるいは特殊法人ではないが、大体これと同じように通産大臣の監督を受ける、こういうものの関係法案と、さらにもう一つは、独占禁止法の適用除外のための法律、この二つが、今申しましたように、大体三分の二以上を占めておるのであります。どうやら日本の通産行政、経済立法は、特殊法人と独占禁止法の適用除外のために作られておるような気持すら起こるのであります。試みに当三十四国会に提出せられており、また提出の予定せられております法案について、若干その点について触れてみますと、まず今のアジア経済研究所法案は特殊法人を作る法律であります。次に、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正法案は独禁法の適用除外に関連する法律であります。商工会法案は必ずしも特殊法人ではないが、やはりこれと性格を同じくするような、通産大臣の監督を受ける法人を作る、そういうことであります。中小企業信用保険公庫法またしかりであります。あるいは輸出入取引法の一部改正法は、明らかに独禁法除外規定でありまして、さらに貿易連合は、これまた通産大臣の監督を受ける法人を作ろうとするものであります。機械工業臨時措置法も独禁法の除外のものでございます。自転車競技法の改正は、これまた日本自転車振興会という特殊法人に関連する問題であります。小型自動車競走法の一部改正法またしかりであります。ただいま提案になりました繊維工業設備臨時措置法の一部改正法案も、これまた独禁法の除外規定であります。こう見てきますと、一体あとに何が残りますか。滅失鉱業原簿の何とかというような法案だとか、あるいは弁理士法案といったような二、三の——割賦販売法案等も出るようでございますが、二、三小さな法案を除いたら、ほとんどが独禁法適用除外と特殊法人を作る、あるいは特殊法人に関連する。通産大臣の所管ではございませんが、当委員会に出ることになっておる海外経済協力基金法案もまた特殊法人に関するものであります。こう考えて参りますと、どうも通産省は特殊法人を作り過ぎる、こういうような感じを受けるのですが、大臣はどのようにお考えになっておりますか。さらに、通産大臣が監督をしておるところの特殊法人並びにこれに類する法人が幾つあるか、大臣御承知なら承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/6
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007・池田勇人
○池田国務大臣 国家の行政につきましてはいろいろの部門がございます。通産省は通商産業に対しまして助長の行政をする機関でございますので、そのために、適切かつ必要な特殊法人を設けて、助長行政の円滑なる運用をはかるのは当然のことと考えております。
特殊法人は幾つあるか存じておりませんが、相当たくさんあると思います。この趣旨も、そういう意味からやっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/7
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008・田中武夫
○田中(武)委員 監督しておられる大臣自体が幾つあるかわからぬほど特殊法人があるわけなんです。もちろんそれぞれの特殊法人は、その作るにあたっては、それぞれの目的等があったと思います。しかし、特殊法人というようなものは、私は絶対いけないと申すわけではございませんが、そう粗製乱造すべきものではない、こう考えておるのです。行政的な立場からして特殊法人というようなものを何でもかんでも作っていくということは望ましくないと思いますが、大臣どうでしょう。
それからもう一つ。これは今直ちにわからなければ、あとでけっこうでございますが、一つ通産大臣が監督する特殊法人並びにこれに類するもの、通産大臣の監督を受けておるもの、たとえば弁理士会等もそういうのになりますが、それを一ぺん全部書き出してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/8
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009・池田勇人
○池田国務大臣 通産大臣の監督下にありまする特殊法人あるいは特殊機関につきましては、後日調査の上提示いたしたいと思います。およそ行政は無為にして化すということが非常に理想でございます。しかし現代の状況におきまして、無為にして化すということは、国際的に見ましても国内的に見ましてもなかなか困難なことでございます。だから理想はそうでございますが、現実の問題といたしましてこれは必要だと思う場合におきましては、皆さん方の御審議を受けまして御決議によって設けていくことが、これは助長行政をやっております通商産業省といたしましては、やむを得ぬと申しますか、当然と申しますか、差しつかえのないことだ、必要なことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/9
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010・田中武夫
○田中(武)委員 先ほども申しましたように、特殊法人を作ることは必ずしもいけないとは申していないわけなんですが、何でもかんでも作っていくという行き方、ことに特殊法人を作ることによって、通産省なら通産省の監督権が強化せられる。もっと適切にというか、ざっくばらんに申し上げれば、定年近くなると、何かそういった逃げどころを作るために特殊法人を作っておるのではないか、言いかえるならば特殊法人というのは、いつも言う言葉で恐縮ですが、官僚の姥捨山を作るために作っておるという感じすら受けるわけでございます。
その点はその程度にしておきまして本法案に入りたいと思いますが、財団法人のアジア経済研究所をなぜ特殊法人にする必要があるのかということ。われわれはなぜ特殊法人にしなければならないのか、まず理解に苦しんでおるわけですが、その点を一つ明確にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/10
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011・池田勇人
○池田国務大臣 特殊法人を作る場合は、必要やむを得ざるということよりも、積極的にそれをやった方が行政上いいと考えてやっておるのであります。何もこちらから退職する人を入れるためにこしらえたのではございません。従いまして、ただいま議題となっておりまするアジア経済研究所におきましても、何も通産省の者を入れるためにやったのでないことは、今までの状況からおわかりいただけると思います。私は今まで役所勤めをしておりましたので、自分自身としては、人をやるためにこれを作るという考えは毛頭持ったことはないのであります。できてもなるべく出さぬというふうな方向、考え方でいっておるのであります。今回財団法人のアジア経済研究所を特殊法人にいたしましたのは、御承知の通り、一昨年の暮れに発足いたしまして、財界また学識経験のある方にお願いいたしておったのでございまするが、こういうアジアを中心としてまた例外的にその他の地域にも参りまするが、経済研究を実地調査していきます機構といたしましては、従来いろいろ各省にございましたが、これを今後中心として政府が力こぶを入れていこう、しかも民間からも相当程度の援助を受けていこう、いわゆる今までにあるような普通財団法人の調査機関ではないんだ、これは将来長く続けて、そうして線香花火的な経済調査でなしに、恒久的に力強いものとしてやっていくことが、調査の内容を充実さす上におきましても、また職員の勉強を奨励する上におきましても適切な方法と私は考えたのでございます。ことに過去一年近い実績から申しまして、その衝に当たっている人も、やはり、ただいま申し上げましたような意味から、特殊法人にした方が内外ともに効果が上がるということで、特殊法人にすることにいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/11
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012・田中武夫
○田中(武)委員 特殊法人の問題につきまして大臣は従来の例を見てもらえば、私の言っておるようなことでないことをおわかり願えるだろうということですが、私は従来の例を見てそういう感じを受けておるわけです。そこで先ほど要求いたしました資料にもう一つ追加をしてもらいたいと思います。通産大臣の監督下にある特殊法人、ないしこれに類する監督を受けておる法人の数とその名前、及び、それに現在、元通産省の公務員といいますか、そういう人が入っておるのが何人か、たとえば自転車振興会なら自転車振興会に何名入っておる。これを一つ出してもらいたいと思います。その上で今の大臣の御答弁が、はたして従来の例にかんがみて私の誤解であるかどうかをきめていきたい、このように考えております。
次に本題でございますが、従来民間で財団法人として調査はやっておるので、うまく調査もいくんじゃないか。これを特殊法人とすると、言いかえるならやはり国策としてというような受け取り方になろうと思うのです。そうすると調査を受けるといいますか、相手国の方がどういう感じを受けるか、従来の戦前の大東亜共栄圏的な思想といいますか、ああいうようなもので、国策としてアジア研究をするのではなかろうか、こういう疑惑を相手方がもし持つとするならば、調査はうまくいかない。また国際的な問題としても思わしくない、こう思います。現にアジア諸国のうちで、このアジア経済研究所が特殊法人となる、すなわち国の外郭機関と言えば言い過ぎかもわかりませんが、そういう性格で調査を進めることに対して大きな疑惑を持って見ているような放送等をしている事実がございますが、大臣はそれについてどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/12
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013・池田勇人
○池田国務大臣 私はこの点につきましては必ずしも田中さんと意見を同じくいたしません。やはり東南アジアの諸国におきましては日本との経済交流を密にして、ともにともに手を携えて経済の発展、拡大をしようという機運が横溢しておると私は考えておるのであります。今ごろまた日本が大東亜共栄圏というような考えを持ってやっているということを考えるということよりも、先ほど申し上げたような気持でおることを、私は確信いたしておるのであります。しこうしてこれが国策機関というようにお考えになりますかもわかりませんが、これは民間の寄付もありますし、ただ財団法人をこういうふうにしたということは安定的、継続的に充実させていきたいという趣旨からきておるのであります。会長も理事長もみんな役人上がりといいますか、学者でございますから、そういう人で非常に民主的な運営調査をやっていくので、御心配のような点は私の見るところではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/13
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014・田中武夫
○田中(武)委員 それならけっこうなんですが、こちらではそんなつもりで手を差し伸べても、相手方がそう受け取らない場合があろうと思うのです。現にこれに対して疑惑的な目で見ている放送もあったと思います。そんなことは大臣御承知じゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/14
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015・池田勇人
○池田国務大臣 私は存じておりません。それからちょっと先ほどの問題になりますが、私の個人的の考え方で、なるべく役人は送らぬというふうな主義でおるのでございます。しかし私は通産大臣になりましてから日がなお浅うございますし、今までやったことにつきましての責任はもちろん負いますけれども、考え方と違ったところがありましても、それは御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/15
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016・田中武夫
○田中(武)委員 特殊法人として国策会社的な格好で出ていく、こういうことについて大臣は自信のある御答弁ですが、私はまだそのことについて若干の危惧といいますか、相手方がどう考えておるか、こういうことについてちょっとまだ見解が違うと思います。
それから特殊法人にせねばならない理由は今大臣も触れられましたし、実は先日現在の所長である東畑先生を参考人として当委員会に来てもらっていろいろ聞きました。そうすると帰するところは、財団法人というのは、どうも安定性がないからいい職員が集まらない。そこで特殊法人にした方が安定性があり、いい職員が集るためだ、こういうふうな気持のように、東畑参考人からも受け取ったわけなんです。大臣もそのようなことを今触れられたと思うのですが、それだけのことなら特殊会社にしなくとも安定性を持たすということ、あるいは国が補助金等を出すということ、私はこういうことによってやっていけると思う。ただ国が若干の補助金を出すから特殊法人にして監督をしなければならない、こういう格好に出てきたのではなかろうか、こう思うのですが、どうでしょうか。そのことについて相手方の方が受け取り方がマイナスになるのならば、やはりある程度の補助金は増額して安定性を持たしてやっても、今まで通りの格好の方がいいのじゃなかろうか、こういうように考えるのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/16
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017・池田勇人
○池田国務大臣 財団法人でやっておる場合におきましても、政府が必要な監督はいたします。それよりもよくなる、ベターになる、ベスト近くになるということならば、私は特殊法人の方が、他にもこういういろいろな財団法人があって研究機関、調査機関がありまするが、特にこういうものについては民間並びに政府が特定の格好でやっておるのだということが、私はアジア経済研究所の事業の充実、拡大という点からベターだ、こう考えておるのであります。これによって海外に悪影響を及ぼすということは私はないと思います。私はいい影響があろうとも悪影響はないと思います。それは東南アジアの各国の人が日本との経済協力をこれ以上進めていく。それにはお互いに調査の完璧を期さなければならぬという気持を持っておるのでありますから、私はこれを強化していくということは喜びこそすれ反対することはないという確信を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/17
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018・田中武夫
○田中(武)委員 この点については、なお若干の食い違いがあると思いますが、しばらくおいて次に進みたいと思います。
新安保条約ではありませんが、アジアの範囲、これはこの間だれか聞いたと思いますが、大臣から一つアジアの範囲を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/18
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019・池田勇人
○池田国務大臣 アジアはアジアということが一番いいそうですが、アジア
というのはおのずから中近東が入るかという問題でございますが、広い意味においてはそういうように使う場合もありましょう。あるいはまた狭く使う意味もありましょうが、これは今の中近東なんかも入るというふうな考え方が多いようでございます。法案の制定のつど、ちょっと変わったようでございまするから、事務当局から話をさせます。この変わった理由は初めからアジアとして……。これは違いました。今のアジアの定義につきましては専門の事務当局からお答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/19
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020・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 先日のお尋ねに対してもお答えいたしましたが、やや繰り返すことになりますが、アジア地域とは地理上のアジアをさすということでありますが、この地理上のアジアというのは、どの範囲だということについてははっきりした通説はないわけでありまするが、一応本法におきましては、まずヨーロッパとの境界、これはウラル山脈、カスピ海、コーカサス、黒海、それからダーダネル海峡、それから地中海がヨーロッパとの境界線、それからアフリカとの境界はスエズ、紅海を結ぶ線、それから大洋州との境界はニューギニアとモルッカ諸島との間、この三つの境界の内ら側、こういうふうに解釈しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/20
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021・田中武夫
○田中(武)委員 これは予算委員会じゃないが、地図でも持ってこぬとわかりにくいと思いますが、そうしますと、やはりいわゆる国際的な二つの流れといいますか、二つの世界、これに含まれるというか、それぞれに所属しておるという、言葉はどうか知らぬが、その国が入るわけです。そこでこのアジア研究と、そういったいわゆる自由諸国といわれ、共産圏といわれておる地域との関係についてはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/21
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022・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 共産圏との関係でありますが、ただいま申しましたアジア地域の中には、もちろん中共それからシベリアを含んでおるわけであります。従ってそういう思想上の区別を全然いたしておりません。先ほど申しますように地理上のアジアということであります。またアジア経済研究所は、この法律でごらんの通りに、調査研究の重点をアジア地域に置いておりますが、必要に応じましてはその他の地域にも及ぶ、こういうことになっております。今先生御指摘のような共産圏地域も、当然に調査研究の対象になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/22
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023・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、共産圏に属するところも調査研究の対象になるということになりますと、今私申し上げているように、特殊法人として国策的な方向でそういうところを経済的な調査をする、こういうことは「これに関連する」ということなら、いろいろなことが出てくると思うのです。そういう調査をするにあたって、財団法人と特殊法人とでは、若干相手方の受ける感じが違うのじゃなかろうか、従ってそういう地域に対して調査がスムーズにいくでしょうか。いわゆる調査には現地の協力が必要なのです。そういうことについてはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/23
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024・池田勇人
○池田国務大臣 政府の補助しておる財団法人と特殊法人とは、そう違いはないと思います。これは国の機関である東京大学が調査しても、何ら差しつかえない。東京大学なら調査は許さない、私立大学なら許すというふうなことは、少し片寄り過ぎているのじゃないかと思う。経済の調査でございまするから、やはりアジア全般について調査する。しかし入国関係その他で難易はございましょうが、建前といたしましてはやはり隣接各国、また離れましてもアジアにおきましての経済調査として、お互いにこれが役立つということが前提でございますので、何ら支障ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/24
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025・田中武夫
○田中(武)委員 学術的な立場の国立大学と私立大学の例はあまり適切ではないと思います。きょうは出席をしておられないようでありますけれども、当委員会で、かつて満鉄の調査室外でこういう調査に当たっておった委員がおります。その人の意見によっても、自分の体験からいって特殊法人の調査ではうまくいかない、こういうことを先日の委員会で主張いたしておりました。体験者がそう言っておるので、私は体験がないので、相手方がどう受け取るかということについてまだ疑問を残しております。
そこで、それでは広い範囲でございますが、調査研究ということになれば、大体どの方面から手をつけていくというような順序もあろうと思うのですが、そういうことについてはどのような方針を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/25
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026・池田勇人
○池田国務大臣 これは今言うように、監督のおきらいな田中さんでございますから、われわれもそういうようなところまで口出しをしようとは思いません。アジア経済研究所という特殊法人の理事者諸君がきめることでございます。ただ彼らが政府に、こういうことを相談しようとかいうようなことがあれば、もちろん相談に応じます。しかし行き過ぎの点、それはよくないというふうな場合におきましては、その事情を聞いて、積極的に相談に応ずることもあるかもしれませんが、もうわれわれとしてはアジア経済研究所の理事者におまかせする。ただ、参与会というものを置きまして、随時意見を聞いたり述べたりすることはできることにしております。主体性は向こうにあるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/26
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027・田中武夫
○田中(武)委員 運営の仕方としてはその方が望ましいと思うのですが、この法案が通りますればアジア経済研究所の役員の任免権は通産大臣が持つわけです。今までのこの種の、政府あるいは大臣が任免するところの特殊法人、または審議会の委員というものは、出発したときはそうでもないと思う。だが何らかの事情があれば、やはり政府のあるいは大臣の思うがままに入れかえる。言うことを聞かない者は首をすげかえていくということが往々にして行なわれておる。一例をあげれば競輪の審議会です。あれの審議委員の顔ぶれを見た場合に、存続三年云々という結論が出るような顔ぶれを任命せられておる。同じように、先日東畑参考人にも申し上げたことですが、今直ちに首のすげかえ等はないだろうが、将来そういうおそれは必ず出てくるのじゃなかろうか。そこへ持ってきて政府の方針がもっと強くなればなるほど、そういうことに対して協力する人を、いうならば政府の思うように動く人を置いて、思うように特殊法人を動かしていく、そういうことになるかもしれぬという危惧を持つわけであります。いつまでも池田さんが通産大臣をしておるわけではありませんので、あなたはそうであったとしても、法律がそうなっておれば将来そのような危険はあろうと思います。危険があろうということなら、そういうことはないようにしておく必要があろうと考えておりますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/27
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028・池田勇人
○池田国務大臣 解任の場合におきましては、御承知の通り十六条にほとんど身分保障的に近い規定を置いてありますし、そうめちゃくちゃに政府の勝手気ままにやるというようなことは民主的でもございません。世間もそれは許さぬと思います。やはり人事は常識的にやるべきであり、ある程度、身分保障とは申しませんが、気まぐれにかえるというようなことは、規定のあるなしにかかわらずすべき筋合いのものではない。しかしこれにつきましては、解任の場合は相当の条件をつけておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/28
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029・田中武夫
○田中(武)委員 常識的にあり得べからざることが行なわれるところに問題がある。今大臣はそんなことはあり得ない、こう言うておるが、過去にもそういう常識的に考えられないことが行なわれたり、あるいはまた民主的でないことが行なわれておるから問題があろう、こう言っておるわけなんですが、これもどうやら平行線のようでございますから、この程度にしておきましょう。
次にこれは大臣よりかむしろ局長になるかとも思いますが、財団法人の「寄付行為」の第三条に、現在のアジア経済研究所の業務が規定してあります。今度の法案には二十二条に業務が規定してありますが、文章といいますか、文句がだいぶ変わっておりますが、やることは一緒ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/29
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030・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 表現が若干異っておりまするが、内容的にはほとんど同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/30
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031・田中武夫
○田中(武)委員 ほとんど同じで、なぜこんなに文句が変わるのですか。同じなら同じにしたらどうでしょう。それとも今までの寄付行為の三条の方が悪いのでよくした、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/31
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032・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 御存じのように財団法人の寄付行為は、民間でお作りになったものであります。今度のアジア経済研究所法の条文は、法制局でいろいろ過去の例その他から書かれたものでありますので、内容は同じでありましても、従来の例その他から見まして、法制局の書き方というものが実はありまして、変わっておるだけであります。内容的にはほとんど変わりございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/32
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033・田中武夫
○田中(武)委員 そういたしますと、現在の財団法人のアジア経済研究所がやっておることと同じことを特殊法人になってもやる、同じことであり、同じ運営である、こういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/33
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034・松尾泰一郎
○松尾(泰)政府委員 同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/34
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035・田中武夫
○田中(武)委員 そうしますとこのアジア経済研究所が、いわゆる特殊法人として出発いたしました後、国内のこれに類するような、たとえばジェトロの業務、あるいは国外のこういうような機関、たとえば国連の後進国開発何とかというのがありますね、ああいうものとの関係はどうなりますか。どういうような関係を保ちながらいくのか、かりにジェトロに例をとりますと、日本貿易振興会の業務のところに、日本貿易振興会法では貿易に関する調査、こうなっておるのですね。本法では経済に関する調査となっております。貿易に関する調査と経済に関する調査とどこが違うのですか。たとえばちょっと考えて経済に関する調査の方が幅が広いような感じは受けます。しかし目的はやはり貿易振興等々にあるとするならば同じことじゃなかろうかと思いますが、貿易に関する調査と経済に関する調査とは、調査をする具体的な内容にどの程度の違いがあるのか、及びこれらの機関とどういうような運営の上において提携といいますか関係を持っていくのかお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/35
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036・池田勇人
○池田国務大臣 このアジア経済研究所は、その名が示すごとくアジアの経済につきまして調査研究することが主でございます。それからジェトロの方は貿易振興を主題にしてやるのであります。だから、貿易振興は経済の調査はやらぬかといったらもちろんやります。ただ主眼をどこに置くか、貿易オンリーでやる、貿易を主たる目的としてやるが、これは経済調査を主たる目的としてやる。そういう違いはありますが、末端において経済調査が貿易調査になるということもあります。貿易調査がまた経済に関する調査になる場合もあるのであります。しかしおのずからそこに主たる使命が違っておると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/36
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037・田中武夫
○田中(武)委員 主たる使命が違うから違うものができておるわけなんですが、貿易に関する調査というものは、もちろん経済的な需要調査をすることは当然だと思う。経済に対する調査ということになると、経済と政治はどうかというようなことにもなりますが、やはりそういうことをも、いわゆるその土地といいますか、相手国の民情あるいは歴史、ついには政治形態まで調べるということになるのではなかろうかと思うのですが、そういう点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/37
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038・池田勇人
○池田国務大臣 政治上の調査ということを主たる目的とするものじゃございません。しかし経済調査をしていく上におきましては、民族の歴史とか社会思想とかということは入って参ります。それで民族の歴史とか社会問題というものは政治に関係するじゃないかということでございますが、それは貿易と経済と同じように、主たる目標というものが経済、経済のよって来たるところはやはり民族感情とか、あるいは今までの習慣とか社会事情、いろいろなものがございますが、これはまた研究の対象にもなり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/38
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039・田中武夫
○田中(武)委員 民族の歴史、そうなってくると現在の社会機構、こういうようなところまで入っていくと思うのです。もちろん目的が政治目的ではないということは、アジア経済研究所の目的からいってはっきりしております。しかし調査を受ける相手方からいうならば、その社会的機構、経済機構等々まで日本の国策会社とも見られるべき特殊法人によって調査せられるということになるならば、最初触れました二つの世界の流れ、この国際的な動きから相当複雑な問題が起きてくるのではなかろうかという気持を受けて、そして先ほどから言っているように、特殊法人じゃやりにくいんじゃなかろうかと申しておるのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/39
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040・池田勇人
○池田国務大臣 先ほど来お答え申し上げておる通りで、またお話に前満鉄の調査部におった人がこうだと言われますが、私は時代はだいぶ変わってきていると思います。そういう人の意見もさることながら、やはり現在たびたび東南アジアを視察し、また世界の事情にも精通し、かつ過去一年間やった事績を持った東畑君なんかの意見を私はより尊重したい、こう考えております。もちろん前の人のを聞かぬというわけではございません。特殊法人、国策会社とおっしゃいますけれども、これは何も国策会社というようにとらなくてもいいのじゃございませんか。アジア研究ということは、これはわれわれは国の政策としてやるべきである。しかしアジア経済研究所が特殊法人になったからといって、これを国策会社ということにすぐ結びつけることは、いかがなものかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/40
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041・田中武夫
○田中(武)委員 私が言っているのは、相手方は受け取らないかということなのです。そこまで心配せぬでもいいと言われればそれまででしょうが、もうあれから相当たっておる、なるほど十四、五年たっております。だから全部が日本を見直しておるならば問題なかろうと思うのですが、まだまだ民族感情としてそういう危惧を残しておるとするなら問題が残る。だからもっとやさしい方法でいったらどうか、こう申し上げているのですが、これもなかなか平行線のようでございます。大臣のおっしゃることすべてに私がなるほどと感心すれば、自民党に入るかもわかりませんので、これはちょっと無理かもしれません。
そこで先ほど来伺っている通り、特殊法人になっても現在のところは役員その他も横すべりだ、運用等についても変わりはないということだけは、もうはっきりしたわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/41
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042・池田勇人
○池田国務大臣 さようでございます。所長、会長ともかえる気持はございません。ただ職員の一人に至るまで一切動かさぬかということにつきましては、私は責任ございませんから所長、会長におまかせしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/42
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043・田中武夫
○田中(武)委員 ここで職員のことが出ましたので、ついでにお伺いいたしますが、特殊会社の職員の給与ベースですね。これは一体通産大臣に聞くのが適当かどうかと思いますが、立場は国家公務員と普通の民間の会社とのまん中にあると思うのですが、こういう人の給与その他の待遇については、どういうようなところが望ましいというお考えを持っておられますか、ついでにお伺しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/43
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044・池田勇人
○池田国務大臣 国家公務員と民間とそれから政府関係機関、政府関係機関の方の報酬や、国家公務員の特別職なんかの報酬に、必ずしも右へならえはしておりません。大体中間どころではないか。特殊法人によって、政府関係の種類によって違いますが、公団等におきましては、国家公務員並みになっておりますが、政府関係機関である金融機関等につきましては、これは民間との間ぐらいではないかと思います。しかし政府関係機関にいたしましても、日本銀行総裁と普通の中小企業金融公庫とか国民金融公庫の総裁とはまた違います。(田中(武)委員「えらい人じゃなく職員」と呼ぶ)職員も大体今の中間ぐらいではございませんか。政府の公務員よりも、ちょっと上くらいじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/44
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045・田中武夫
○田中(武)委員 大臣と私の考え方において違うところはそのままにしておきまして、大臣の御答弁によって大臣の考えておられることは大体わかりましたので、これでおきたいと思いますが、最後にもう一点だけお伺いいたしておきます。それは先ほど申しましたが答弁がなかったので、もう一度申しますけれども、アジアといいますかことに後進国に対する国連その他いろいろの調査その他の機関があろうと思います。こういうのとはどういう関連を持たしていくことになるのかということ。それからもう一つは、今度出てきます、これは経済企画庁あれになろうと思いますが、直接関係がないとおっしゃれば——多分そういう答弁だろうと思うのですが、海外開発基金法、これとは何か関係があるか。あるいはこれもおそらく関係はないとおっしゃると思いますが、自由貿易化、為替の自由化、すなわち日本がアジアの諸国へ投資をする、資本輸出をする、こういうようなことと関係があるのかどうか。そうなりますと、現在アメリカが四十二億ドルの国際収支の赤字を持っておる。これを埋めるためにアメリカの方針としては、従来アメリカがやっておったところの後進国開発のための資金の投資を日本等に肩がわりをさす。そのほか軍事的な問題を入れて三つの方針が打ち出されておりますが、いわゆる後進国開発を日本をしてやらしめるのだといいますか、肩がわりをせしめるという、こういう方針等との関係はないのか、そういう点をお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/45
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046・池田勇人
○池田国務大臣 これは国際的に、いろいろ東南アジア開発につきましては、特別の機構がございます。たとえばコロンボ会議の問題、そして世界銀行の問題、あるいは第二世銀の問題もございましょう。また今後、今計画せられております太平洋経済開発会議、これは日本が入るということになります。こういうものと、今お話しの東南アジア開発基金と関係があるか——直接の関係はございません。ただ、たとえばコロンボ会議におきまして、日本の代表が、コロンボ会議の代表なんかに対して、アジア経済研究所の調査によればというふうなことの資料を持って言う場合はございましょう、間接的には。そういうときの役に立つ。また、第二世銀の問題にいたしましても、アジア経済研究所の調査が非常に行き渡っておれば、あるいはその調査の結果を聞きたいというようなこともございましょう。そういう間接的のもの、資料提供のようなものはございますが、直接の関係はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/46
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047・中村幸八
○中村委員長 次は勝澤芳雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/47
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048・勝澤芳雄
○勝澤委員 アジア経済研究所の問題につきまして、もう田中委員から相当詳しい質問があったと思いますので、私は簡単に二、三の問題についてお伺いいたしたいと存じます。
まだやはり解明されない問題は、財団法人であるこの研究所を、一体どういうわけで特殊法人にしなければならないのか、こういう理由は、意見の相違といえば相違かもしれませんけれども、やはりもう少し解明しなければならぬ問題ではないだろうか、こういうように思うのです。先ほどの答弁で、大臣は、安定的に継続的に永続することの方が効果がある、こう言われておるわけです。あるいは、参考人で参りました東畑先生の言葉を端的に言うならば、就職が不安定だから、財団法人から特殊法人にした方が安心だろう、あとは私にまかしてくれ、こういうことだったわけなんです。ここでやはり私は、もう少し——目的も同じだという言い方をされておるのですが、どうも私が見てみますと、精神は同じでしょうけれども、字句の上では、今度の法律になりますと、「成果を普及し」という言葉が少し入っているわけであります。ですから、最近の状態を見てみますと、政府あるいは各個所が補助金を出しておる。ところが、一生懸命国民の税金で安保条約は賛成だというようなパンフレットを出す、こういうことになりはしないだろうかという心配も実はあるわけであります。こういう点も考えてみますと、一体財団法人をどういうわけで特殊法人にしなければならないかという点を、大へんくどいと思うのですけれども、もう一度大臣からわかりやすく御説明を賜わりたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/48
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049・池田勇人
○池田国務大臣 これは理屈の問題じゃないと思います。理屈もさることでございますが、やはり運営する人の気持が非常に力あるものじゃないか。それは財団法人であっても特殊法人であっても同じじゃないか、片一方は、財団法人だったら民法の規定によるものだ、片一方は特別法の規定によるものだ、法人である以上、何ら差しつかえないじゃないか、こういうような理屈もございましょう。しかし、そこに働いておる人が、やはり特別の法律によって設けられた特殊法人であるということになれば、権威も私はついてくると思います。他のたくさんある財団法人とは違うのだ、これはやっぱり私は人情としてそうじゃないかと思う。それからまた、こういうものの調査の財団法人というものは、数限りないとは申しませんが、相当あります。しかし、今後はそういう、人工的とは申しませんけれども、はっきりした調査機関を作るというようなことはせずに、これを中心にやっていこう、こういう考え方でございますから、他の財団法人よりも特別に、民間も政府も考えておるのだ。いわゆる大きい旗を上げたような格好になるわけでございます。こういうことが継続的になり、内容を充実する。それからまた人情として、特殊法人におれは就職している。そこらにある団財法人とは、同じ法人であっても違うのだという、いわゆる就職のディグニティというものも出て参ります。私は東畑君は、こういう気持で答えたと思います。私はその気持はわかります。そうしてまた政府の方といたしましても、先ほど申し上げましたようにいろいろございますが、今後はアジア経済研究所調査については、これを主体にしていくという考え方にきまっておる。そういうような関係もございますので、特殊法人にした方が、私は内外ともにいいんじゃないか、そこで田中さんのような疑問も起きまするが、情勢は昔とは変わってきているので、これがかえって、この調査機関というものが、そこらあたりにあるものとは違うのだというので、調査を受ける方の人もいいんじゃないか。これは理屈を抜きにして、気持が私はそうなってきておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/49
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050・勝澤芳雄
○勝澤委員 積極的にやられるという立場で、そう理論はないのだという言い方をされると、なおさら実はわからないのでございまして、そこで次の問題といたしましては、このアジア経済研究所を特殊法人にするために、五者会議というのが開かれて、総理あるいは通産、外務三大臣と、それから理事長、東畑所長ですか、会われてこの中で海外調査機関は当研究所で一本にしぼり、今後類似の機関は官民ともに一切作らない、こういう申し合わせがされているようであります。しかし出されております資料を見ますと、いろいろ私は、たとえばジェトロの問題にいたしましても、あるいは何とか経済研究所にいたしましても、ダブっているように思うのですし、あるいはまた調査内容を見てみましても、たとえば三十四年度の調査課題の中にも、国民経済研究協会の理事井上さんが、技術問題についての調査の課題を与えられている。こういう建前からいきますと、どうもやはり一本にしぼる、今後とは言われておりますけれども、これができることによって、今までできている問題についても、相当やはり整理をされて、これに吸収される、こういうようにお考えになられておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/50
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051・池田勇人
○池田国務大臣 お話の五者会談とか何とかいうことは、私が通産大臣になってからはございません。アジア経済研究所の運用に関しましては、閣議で了解事項がございます。それを読み上げますと、「一、アジア経済研究所の調査研究機関としての特殊性にかんがみ、監督規定の運用にあたっては、その自主的かつ効率的調査活動を助長するよう努めるものとする。二、アジア経済研究所の会長を任免する場合には、通商産業大臣はあらかじめ閣議の了解を得るものとする。三、アジア地域の経済及びこれに関連する諸事情の調査研究に関しては、今後類似の機関を設けないこととする。」こういうふうにあって、今までよく何々研究所というものがありまして、政府の補助を受けたり、民間の補助を受けたり何かしておりますが、政府といたしましては、今後これに類似の機関を設けないこととする、こういうふうにはっきりさして、この従来の財団法人、今度の特殊法人に一つ権威を持たしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/51
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052・勝澤芳雄
○勝澤委員 大臣、それは政府だけでなく民間もということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/52
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053・池田勇人
○池田国務大臣 いや、これは民間のおやりになることは問題だ、政府が補助金を与えてやっておる場合が多いようであります。今後はそういうことはしない、補助金を与えてこういう類似の機関を作らない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/53
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054・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうしますと、民間で勝手にやられることはいいけれども、政府としては、補助金の対象とするようなことはしない、こういうことでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/54
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055・池田勇人
○池田国務大臣 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/55
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056・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうしますと、やはりあまり大した問題ではないと思うのですけれども、このアジア経済研究所というものは、国と、それから何といいますか、業界ですか、この役員の名簿を見ておりますと、相当業界の方々が入っておられるわけですね。そういう官民一体といいますか、こうものですね。そういう立場から見ると、やはり民間でもこういうものが必要でないんじゃないか、こういうふうに思うのですが、それは別なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/56
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057・池田勇人
○池田国務大臣 民間でも必要じゃないんじゃないかということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/57
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058・勝澤芳雄
○勝澤委員 民間で単独でこれと類似のものを作る必要はなくなるんじゃないだろうか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/58
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059・池田勇人
○池田国務大臣 なかなか従来はそうもいかなかったのでございます。民間でもたくさんありましたし、また政府の補助も、これに補助してくれ、あれに補助してくれという例が、非常に多いのでございます。今度はこういうものを中心に、他の類似機関を設けない、こういうふうにいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/59
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060・勝澤芳雄
○勝澤委員 そこで先ほど古い話が出たのですけれども、私もまだ若いのであまり古い話は知らないのですが、かつての満鉄の調査部、また東亜経済研究所、あるいは国策研究会ですか、こういうものと、今度のアジア経済研究所とはどういう点が違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/60
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061・池田勇人
○池田国務大臣 満鉄のアジア経済研究所の分は、そういう非常にりっぱな機関があったことは私は知っておりまするが、これは満鉄会社から出ておるのでございましょうが、あるいはそれは会社の関係で財団法人になっておったかもわかりません。それから国策研究会とかいろいろな名前のものがございますが、そういうものはよく知りませんが、少なくとも財団法人アジア経済研究所という通産省の認可いたしました財団法人が、今回新たな法律によりまして、法律上の特殊法人として出発するのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/61
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062・勝澤芳雄
○勝澤委員 いや、そういう形態でなくて、その目的あるいは調査の内容という点が、どう違われるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/62
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063・池田勇人
○池田国務大臣 これはもう何十、何百と昔からあったと私は思いますが、一々の業務規程とか調査内容は存じませんが、大体大同小異じゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/63
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064・勝澤芳雄
○勝澤委員 私は先ほどから、あるいはきのうからの説明を聞いていますと、かつての大東亜共栄圏の建設のために満鉄の調査部とか、あるいは東亜経済研究所あるいは国策研究会とは違うのだ、こういう話を聞いてきたのですけれども、今のお話を聞いていると、どうもその点が一緒の目的を持った国策的なものだというふうにいわれているように思うのですが、そうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/64
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065・池田勇人
○池田国務大臣 私は満鉄の経済調査とか、国策研究会などは知りませんが、今の経済調査というものは大体似ておるだろう、しかし性格は全然違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/65
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066・勝澤芳雄
○勝澤委員 性格の相違は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/66
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067・池田勇人
○池田国務大臣 それは私は国策研究会というものを知りませんから申し上げられません。満鉄は満鉄の営業に関して必要な事項を調査したのでございまして、あわせて世界の経済事情を調査したかもわかりません。これは対象その他全然違う。こういう問題は両方持ってきてみないとわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/67
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068・勝澤芳雄
○勝澤委員 最後に、研究所の業務の運営についてでございますけれども、法律の上からは監督規定を相当明確に出しておるのですけれども、いわゆる運営の中で理事長ですか、会長、あるいは所長ですか、自主性を持たして運営をさしているのだ、こういうことを言われておりますけれども、問題は、その目的を実施する、研究する人、それと研究をする内容あるいはその立場、どういう立場でやるかという点などが割合問題になり、変わっていくのではないだろうか、こういうように思うわけでありますけれども、その監督規定の中では相当強くなっておりますけれども、この研究所の運営につきましては研究所の役職員に相当——相当というよりも自主的な運営をまかして干渉はあまりしない、こういうことは大臣明確にされることができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/68
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069・池田勇人
○池田国務大臣 監督はもう最小限度にとどめたいと思います。御心配でございましたらここに書いたものがありますから、それを読んでみます。アジア経済研究所の監督は、人事、財務等特殊法人としての監督上必要最小限度のものについて法律上規定しておりますが、調査内容、実施方法等の調査業務につきましては政府は介入せず、その他の業務につきましても個々具体的な業務の運用につきましては特に必要がある場合を除き監督命令を出すことを考えておらず、研究所の自主性を尊重する所存であります。しかして閣議了解におきましても、アジア研究所の調査研究機関としての特殊性にかんがみ、監督規定の運用にあたっては、その自主的かつ効率的調査活動を助長するように努めるものとする、こういうので、われわれはどちらかといえば必要最小限度の財務とか、あるいはいわゆる所長その他の役員の任命とかいうものにとどめまして、業務の運用につきましてはできるだけ自由にやっていくようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/69
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070・勝澤芳雄
○勝澤委員 意見の違うといいますか、まだ不明確な点につきましては連合審査も始まるそうでありますから、一応私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/70
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071・中村幸八
○中村委員長 他に御質疑はございませんか。——それでは本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。
午後二時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X01519600311/71
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