1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月十四日(木曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 中村 幸八君
理事 大島 秀一君 理事 小川 平二君
理事 小平 久雄君 理事 南 好雄君
理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君
理事 武藤 武雄君
江崎 真澄君 岡本 茂君
鹿野 彦吉君 始関 伊平君
關谷 勝利君 田中 龍夫君
中井 一夫君 中垣 國男君
濱田 正信君 細田 義安君
板川 正吾君 勝澤 芳雄君
櫻井 奎夫君 八木 昇君
大貫 大八君 加藤 鐐造君
北條 秀一君
出席国務大臣
通商産業大臣 池田 勇人君
出席政府委員
検 事
(大臣官房司法
制調査部長) 津田 實君
通商産業事務官
(企業局長) 松尾 金藏君
特許庁長官 井上 尚一君
中小企業庁長官 小山 雄二君
委員外の出席者
専 門 員 越田 清七君
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四月十四日
委員山下榮二君及び河上丈太郎君辞任につき、
その補欠として大貫大八君及び矢尾喜三郎君が
議長の指名で委員に選任された。
同日
委員大貫大八君辞任につき、その補欠として山
下榮二君が議長の指名で委員に選任された。
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四月十三日
石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改
正する法律案(内閣提出第一一一号)(参議院
送付)
同日
電気工事技術者国家試験制度創設に伴う特別措
置に関する請願(菅野和太郎君紹介)(第二三
五六号)
貿易の自由化及び輸出入取引法の改正に関する
請願外三件(田中武夫君紹介)(第二三五七
号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改
正する法律案(内閣提出第一一一号)(参議院
送付)
弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出第
九四号)(参議院送付)
商工会の組織等に関する法律案(内閣提出第七
六号)
商工会法案(小林正美君外十名提出、衆法第二
〇号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/0
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001・中村幸八
○中村委員長 これより会議を開きます。
石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案を議題として審査に入ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/1
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002・中村幸八
○中村委員長 まず趣旨の説明を聴取いたします。池田国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/2
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003・池田勇人
○池田国務大臣 本日ここに御審議を願います石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。昭和二十七年石油及び可燃性天然ガス資源開発法の施行以来、政府は石油及び可燃性天然ガス資源を合理的に開発し、公共の福祉の増進に寄与するため、その掘採方法について所要の措置を講ずるとともに、探鉱に対して補助金の交付による積極的助成を行なって参ったものでありまして、この間天然ガスの探鉱は着々進められ、その成果も次第に現われて参ったのであります。しかしながらエネルギー資源及び化学工業原料としての天然ガスの地位は、近来ますます重要の度を加えつつあり、その需要は、将来飛躍的に増大するものと見込まれているのであります。
本改正は、かかる事態に即応して、昨年来急激に開発が進んでおりますところの生産性の著しく高い構造性ガスの探鉱を補助金交付の対象として追加するとともに、補助事業が成功した場合における納付金の納付義務者として被補助租鉱権者等を追加しようとするものであります。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/3
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004・中村幸八
○中村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/4
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005・中村幸八
○中村委員長 次は、弁理士法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。
前会に引き続き質疑を続行いたします。大貫大八君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/5
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006・大貫大八
○大貫委員 私は特に改正案の第一条及び第二十二条の二を中心としてお尋ねをするつもりであります。
まずお尋ねいたしたいことは、この第一条の改正案あるいは第二十二条の二の改正案について、特許庁、通産省としては法務省当局とあらかじめこの改正案を立案するについて連絡協議されたかどうか、最初にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/6
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007・井上尚一
○井上政府委員 弁理士法の一部を改正する法律案の原案につきましては、法務省当局と十分協議をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/7
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008・大貫大八
○大貫委員 法務省の方にお尋ねしますが、そういう協議があったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/8
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009・津田實
○津田政府委員 ただいま特許庁長官が申し上げましたように、閣議決定前に連絡を受けて承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/9
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010・大貫大八
○大貫委員 そういたしますと、相当これは重大だと思うのです。この第一条の改正というのは、弁理士の権限を拡張するわけですが、これは弁護士法第三条に抵触するように思われるのですが、これに対する法務省の見解をまずお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/10
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011・津田實
○津田政府委員 御質問のように、弁護士法第三条に規定しておりますところの弁護士の職務に関する事項の一部につきまして、弁理士もこれを行なえる、すなわち訴願等の事項に関するものにつきまして、通商産業大臣に対してなすべき事項の代理というようなことにつきましては、弁理士もこれを行なえるという趣旨の改正が、本第一条の改正案でございます。その点につきましては、もちろん、弁護士の本来の職務に属する事項でありますけれども、その事柄によりまして、またその場合によりましては、他の弁理士等にこれを行なわせる余地を残すことも相当ではないかというふうに考えられるわけでありまして、本件につきましては弁理士が特許等の出願に関与いたしまして、その事件につきまして起こりました訴願であり、従いまして、当事者にとりましては従来からタッチいたしておるところの弁理士に、これを委嘱するということも便宜な場合もあります。また、特許等の技術面に始終タッチいたしておりますところの弁理士によって、かような訴願について代理をいたすことが、当事者にとって適当な場合もあり得ると考えられますので、かような改正は差しつかえないものというふうに判断いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/11
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012・大貫大八
○大貫委員 どうも法務省当局ともあろうものが、弁護士法の精神をほんとうに理解されていないから、このような弁護士の職域に対する重大な侵犯、法律違反を簡単に承諾されてしまった、こういう結果に私はなったのじゃないかと思う。便宜論じゃないです。この第三条によりますと、「弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び訴願、審査の請求、異議の申立等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。」申すまでもなく、弁護士の職責というのは、民刑の訴訟事件ばかりではないのです。従来、旧弁護士法当時においては、行政庁に対する訴願とか行政庁に対する不服申立事件などについては明確でなかった。ところが今度の新弁護士法は、訴訟事件ばかりではなく、すべて国民の人権擁護に関することは弁護士の専権というか、弁護士の職責として集中したのが弁護士法だと思う。これは今度の新憲法から流れてきている精神なんです。それを理解されず、便宜論から承諾されたというのは、どうも弁護士法第三条の精神を、法務当局はよく理解されていないのじゃないですか、どうですか。この点については、私はこの改正案は、弁護士法第三条に違反すると見ているのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/12
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013・津田實
○津田政府委員 弁護士法三条につきましては、ただいま御指摘の通りの趣旨であることは当然でございます。しかしながら、やはりかような職業を利用する国民の側の利害関係等につきましても、十分考慮を要する問題なんであります。従いまして、弁理士におきましてそのような業務を行なうことが適当かどうかということは、もっぱらそれらの観点から考えなければならぬ問題でございます。そこで、特許等の事件につきましては、非常に高度の法律的判断を要する事項がもちろんたくさんあります。従いまして、その面におきまして当然弁護士が関与するのはもちろんでありまして、現に弁護士法におきましても弁護士は当然弁理士の事務を行ない得ることになっております。しかしながら、その利用する関係者におきまして、弁理士をして訴願等につきましての代理を認めてもらう方が非常に便宜であり、また時宜に適し、あるいは技術面においては利益であるというような場合もあり得るのでありまして、さような方法を利用する道を開くということは、必ずしも不当でないというふうに考えられるわけであります。従いまして、法律的判断を要して弁護士に依頼することが適当であるか、あるいは従来の出願等に利用した弁理士をそのまま使うのが適当であるかということは、もっぱら関係者の判断にゆだねるということで、相当であるのじゃないかというふうに考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/13
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014・大貫大八
○大貫委員 ところが単なる便宜論から——憲法上から流れてきている画期的な弁護士制度の確立だと思う、戦後せっかくできたその制度というものが、単なる便宜論からくずされていくとなったら、これは重大問題だと思う。そういうことだったらいろいろあるでしょう。便宜上、たとえば税に関してはどうするか、あるいは会計の事務に関してはどうするか、こういういろいろな専門的な知識を要するものがあると思う。しかし弁護士制度の確立された今日においては、少なくとも訴訟事件と行政庁に対する訴願その他一切の不服申し立てというものは、これは弁護士の職域として、そしてその他の者はこれに関与できない、これが弁護士法の精神だと思う。七十二条にもそうちゃんとあるでしょう。弁護士にあらずして報酬を得てこういう仕事をやってはならぬとなっている。この七十二条の関係はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/14
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015・津田實
○津田政府委員 ただいま御指摘の弁護士法七十二条につきましては、御指摘のような規定があることはもちろんでございます。しかしながら、この規定は一般論として弁護士でない者の弁護士行為を禁止するという規定でありますが、特定の場合に限りまして、特定の相当なる資格を有する者に、ある範囲について認めるということは、必ずしも七十二条に反しないというふうに考えられるわけであります。のみならず、現在の弁理士法には御承知のように九条の二という規定が古く昭和二十三年から設けられておりまして、それらの点、あるいは税理士法におきますところの税理士の職務の範囲の点等を考慮いたしますると、必ずしも今回の第一条の改正案が、弁護士法の趣旨を害するものということは申せない、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/15
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016・大貫大八
○大貫委員 弁理士法の九条の二というのが出ましたから申し上げますけれども、これは二十三年に何か議員からの修正でもって通った条文だと思う。ところが、今の弁護士法は昭和二十四年にできているのです。弁理士法の九条の二が追加されてから後に、昭和二十四年に現行弁護士法ができた。そして日本における民主憲法のもとにおける弁護士制度というものが、ここに確立されたのですから、このときに九条の二というのは削らなくちゃならなかった、弁理士法の九条の二というのは、その後に弁護士制度が確立されたこの弁護士法の第三条に明らかに違反するものであるから、これはそのときに削除しなくちゃならなかったのを見のがしたということなんです。だから、九条の二があるから差しつかえないのだという議論は、法律家としてはそんなことは議論になりませんよ。もう少し弁護士法の精神というものを、法務省としては考えていただかなければならぬと思う。これは弁護士の利害関係じゃないのです。民主主義社会における弁護士制度というものがいかに重大であるか、それがこの弁護士法の第三条にもなっておるんじゃないですか、その点、どうですか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/16
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017・津田實
○津田政府委員 弁理士法の九条の二の制定と、それから弁護士法との関係につきましては、ただいま仰せの通りでございます。この弁護士法が制定されまするときに、この九条の二を削るべきものであるかどうかという点につきましては、これは当時のいわば立法機関の判断によったことだと解せざるを得ないのでありまして、今日九条の二が存在するということは、もちろん前提として法律制度を考えざるを得ないわけであります。しかしながら、九条の二の問題、あるいは税理士法における税理士の職務範囲の問題等につきましては、これは弁護士法、弁護士制度との関連において十分検討を要する問題があるということは、私どもも十分考えておるところでありまして、これは将来の問題として、これら弁護士あるいは弁理士、税理士等の関係をいかに考えるかということが、大きな問題として残ることは私どもももちろん否定はいたさないわけでありまして、その方面の検討は十分になさるべきものと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/17
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018・大貫大八
○大貫委員 これは税理士法の問題がそうなんです。おそらく税理士法のこれができるときに、法務当局も見のがしたんじゃないかと私は思う。
そこで、私は民主憲法のもとにおいての弁護士法というものが、いかに重要であるかということを申し上げてみたいのですけれども、要するに民主主義社会というのは、申すまでもなく個人の尊重であり、その個人が自由にして平等である。このことは憲法十二条ないし十四条で、いわゆる基本的人権の原則として明記しておるはずなんです。これは私は今の憲法の建前になろうと思う。人権を尊重する、これが民主憲法の骨です。ところがその憲法の保障がいかに人権が尊重されるというても、裏づけがなければ絵にかいたもちです。そこでその裏づけとして何があるか、その人権の擁護ということ、人権の擁護ということは一体だれがやるか。少なくとも人権の擁護というのは弁護士をしてなさしめる、それが今日民主憲法のもとに改められたところの弁護士制度だと私は思う。旧来の明治憲法のもとにおける弁護士制度とはもう指導精神が違うのです。だからむしろ弁護士制度というのは、これが確立されておるかどうかということは、民主主義制度をささえるところの一つの有力な柱になると私は思う。こういう意味では世界各国で弁護士制度が確立しておるかどうか、あるいは弁護士の地位が高いかどうかということは、民主主義国家成長のバロメーターになっていると私は思う。
かつて戦時中でありましたけれども、ある有力な弁護士がきわめて低級な憲兵に正業につけと言われたことがある。有名な話だ。そんなばかげた認識しかなかった時代があった。いわゆる独裁政治のもとにおいては、弁護士などというのはもう無用の長物のように当時の官僚、軍閥からは思われておる。それはそうでしょう。人権なんということがてんで頭にないのですから。少なくとも個人というものは国家目的にはあらゆる犠牲を払うのだ、人権を主張するようなものは国賊だというふうに考えられた時代に、人権を擁護する地位にある弁護士なんというのは無用の長物である、ですから目のかたきになって低級な憲兵でさえ堂々たる有力な弁護士をつかまえて正業につけというような無礼なことが言えた。ところがそういうことがあってはならぬ、今度の新しい憲法では、いわゆる民主主義によって日本が立て直るのだ、その民主主義の柱というものは人権の擁護なんだ、人権の尊重であり、その人権の尊重は、裏づけは人権の擁護なんだ、その擁護を使命とするのが弁護士なんだ、こういうのが今日の弁護士制度だと思う。従って弁護士という職務は、税理士であるとか、あるいは計理士とか、あるいは弁理士とかとまるきり使命が違うのです。全然違う。弁護士の制度というものは税理士、弁理士というようなものと同列に見るべきものじゃないのです。民主憲法の精神に基づいて今日の弁護士制度というものができ上がっておる。これを一つ考えていただかなかったら困ると思う。私はそういう意味でも第三条というのは、そういうところから旧法にはかつてないところのものが生まれたんだと思う。どうですか、弁護士法第三条についてそういうふうにお考えになりませんかね、ちょっと見解をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/18
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019・津田實
○津田政府委員 弁護士制度の趣旨等につきましてはただいま仰せの通りでございまして、人権の擁護についての重要な機関であるということは当然認められるところでございます。従いましてその点につきましては何ら異議はございません。しかしながらこの法律案につきましては必ずしも弁護士の職域を害するものでないということはもちろんでありまして、弁護士法の精神を害するという趣旨のものではないと判断いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/19
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020・大貫大八
○大貫委員 その考え方を法務当局は改めていただかなければならぬと私は思うのです。つまり少なくとも今日の弁護士法というものが、そういう憲法の精神に基づいてできておるということをお認めになっているならば、よく弁護士法をお読みになってみてもわかると思う。弁護士法の第一条には弁護士の使命を明らかにしております。「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」と明記してあります。しかも第二条には、そういう基本的人権を擁護する尊い使命を持っておる弁護士であるから、その職務を行なう根本の基準として重要な定めがしてあるでしょう。「弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律事務に精通しなければならない。」こういう個人的、主体的な条件を国家が自由業に要求した例がありますか。高い教養を持て、品性を高めよ、陶冶に努めろ、こういうことは、少くとも個人の自由を尊重する憲法の建前から言えば、よけいなことなんです。ところが、よけいなことが弁護士に要求されるというのは、弁護士の職責が重大であるからです。こんな規定はほかにないでしょう。弁理士法にないでしょう。税理士法にないでしょう。公証人法にないでしょう。司法書士法にないでしょう。それらの人々は専門的な技術的なことをやるのだから、そういう高い、要するに品性の陶冶とか深い教養というものを別に要求しなくてもよろしい。ところが、この新しい憲法のもとにおける弁護士の職責というのは、過去においても想像がつかぬように重大な使命を与えられておる。だから、弁護士というものには、教養を高めなくてはならぬ、品性を陶冶しなくてはならぬという特別な規定がなされたのです。従って、第三条の弁護士の職域というものは非常に重大性を持っておる。つまり、人権の擁護は大切であるから、このような高い教養と品性を要求される弁護士にして初めて、訴訟事件はもちろんのこと、行政庁に対するところのこまかい不服の申し立てというようなものも、弁護士の職域なんです。あと手続的なことはみんな弁理士もよろしい、司法書司もよろしい、あるいは税理士もよろしいというのが、この三条の精神だと私は思う。その点はどうです。この三条から見ますると、弁理士法の一条についての改正は、どうしても弁護士法違反になると考えるのですが、重ねて一つお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/20
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021・津田實
○津田政府委員 弁護士が一般的に訴訟事務その他の法律事務を扱う高度の機関であることは当然でございます。しかしながらたとえば弁理士、税理士等のある種の資格のある職業におきまして、そういう限定された範囲において、ある事項を認めるということは、必ずしも弁護士法の精神に反するものとは考えておらない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/21
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022・大貫大八
○大貫委員 どこまでいっても平行線のようですけれども、法務当局がそういう考えでおられるのは、私は非常に遺憾に思うのです。これは法律のことですから大臣でなくてもけっこうでございますが、特許庁の長官は一体どのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/22
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023・井上尚一
○井上政府委員 弁理士の業務につきましては、現行法の第一条で規定が設けられているわけでございまして、訴願、裁定という問題は、今度の新工業所有権法、すなわち、新特許法によってそういう規定が設けられたということを前提としまして、その関係の業務を弁理士の業務範囲にも加えることが、弁理士制度ひいては一般人の権利の利益という点からいいましても適当であると考えたわけでございます。その点につきましては、ただいまの法務省の見解と全く同一でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/23
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024・大貫大八
○大貫委員 これも先ほどからお尋ねしたことなんですけれども、弁理士の職域に加えることが便利だというのですが、弁護士法の第三条との関係について一体あなた方は研究されたのですか。この弁護士法第三条に違反するかどうかということについて慎重な考慮、研究をされておるのですか。その見解を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/24
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025・井上尚一
○井上政府委員 弁護士法第三条、七十二条の規定につきましては、十分な研究を尽したわけでございます。特に現行の弁理士法第一条というものは、弁護士法の例外としてはっきりと認められた規定であるわけでございます。その意味で弁理士法第一条に今般の改正を加えるということは、きわめて必要であるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/25
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026・大貫大八
○大貫委員 弁理士法第一条は弁護士法の例外としてというのは、どういう意味なんですか、ちょっと私わかりません。どういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/26
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027・井上尚一
○井上政府委員 一般法と特別法というふうに、われわれは考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/27
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028・大貫大八
○大貫委員 一般法と特別法の関係ではないのです、職域に関することは。先ほどから申し上げているように、弁護士法第三条というのは、これは憲法の精神に基づいて、少なくとも人権擁護に関することは、弁護士という高度の、つまり、へ格なり教養なり知識なりを要求される弁護士にすべてなさしめる、人権擁護という大きな使命を持った弁護士になさしめるということが、新しい憲法のもとにおける精神なんです。昔の考えと違うのですよ。あなた方は戦時中、戦前の考え方が抜け切らぬから依然として弁護士も弁理士も同列に置いて、特殊なものであるから弁理士に関しては例外として差しつ
かえないのだというような考え方をお持ちになるではないかと思う。三条を
よく研究していただきたい。三条というのはそういうなまやさしいものではないのです。三条というのは、訴訟事件ばかりではなく、少なくとも人権擁護に関する行政庁に対する訴願、異議、不服申し立て、すべてこれは弁護士をしてなさしめるということ、これに対して、しかも弁護士法七十二条という規定があるのです。弁護士法三条と七十二条をお読みになっていただけば、本法改正の弁理士の権限を拡大するということは、弁護士法に違反するというふうに私は思うのですけれども、特許庁としてはそこらを考えていられないのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/28
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029・井上尚一
○井上政府委員 今般の弁理士法改正が弁護士法に抵触する、違反するとは考えていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/29
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030・大貫大八
○大貫委員 これは、いつまでいってもそういう御見解ではどうも仕方ありません。私どもはこれは反対です、反対ですから、いずれ本法案の採決に当たって私どもの態度を明らかにして、削除案を提出するつもりですから、質問はこれで終わりといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/30
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031・中村幸八
○中村委員長 次は、板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/31
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032・板川正吾
○板川委員 前の質問者も触れられておるようでありますから、私は簡単に本問題について質問をいたしたいと思います。
まず、本改正案に対する基本的な態度でありますが、御承知のように、三十一国会で、特許法と工業所有権に関する諸法律を改正するに当たって、当委員会では五項目にわたって附帯決議をいたしておるわけであります、その五項目の附帯決議の第四項で「速やかに、弁理士法の根本的改正法案を提出すること。」という要望をしておるのでありますが、今回の改正はその附帯決議の線に沿ったものであるかどうか、その点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/32
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033・井上尚一
○井上政府委員 特許庁としましては、弁理士制度の根本的改正という問題につきまして、十分検討を加えた次第でございますが、弁理士制度のあり方という問題を研究して参りますと、いろいろ大きな問題があるわけでございます。たとえば、問題点だけを例示して申しますれば、技術の高度化、複雑化している今日の情勢に応じまして、今日のように弁理士制度を一本でなく、特許関係の弁理士あるいは商標関係の弁理士というふうに、専門的に分化する方がよいのではないかという問題が一つあるわけでございますし、またこれに関連しまして、試験制度、ただいまのような必須科目としまして、工業所有権法だけでよいか、あるいは一方の意見としましては、これに物理、化学等を加えるべきであるというような議論もないわけではございませんし、選択科目の選定につきましても、いろいろそこに問題があるわけでございます。またさらに弁理士についても、判事、検事、弁護士と同様に、研修制度を設けるべきではないかというような問題もございます。そしてもっと大きな問題は、先ほどから議論がございました弁護士との業務の範囲を、どう調整するかという問題がございます。弁護士法第三条で、弁護士は当然に弁理士及び税理士の業務を行なうことができるということになっているわけでございますが、その点で、ここに弁理士に対します系統の大きな一つの例外ができているわけでございます。そういうような問題をも包含しまして、大きく弁理士制度全般について、いろいろ関連する問題を、総括的に再検討することが必要であるわけでございます。これにつきましては、学識経験者その他第三者の意見をも十分聞きますると同時に、外国の立法例等をも参考にしまして、十分時間をかけて慎重に検討すべき問題であると判断いたしておるわけであります。
しかしながら、他方におきまして、今日の特許制度あるいは弁理士制度の運用の実情から申しまして、緊急に改正を要する問題があるわけでございますので、今回の法律案は、当面さしあたって改正を必要とする緊急な問題についての改正をここに提案した次第でございます。これと並行いたしまして、別途に弁理士制度の根本的改正につきましては、十分慎重な研究を要するものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/33
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034・板川正吾
○板川委員 慎重に一つ改正案を練るというのですが、大体のめどなり、改正する構想、いつごろまでに根本的な改正をしようとするか、その点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/34
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035・井上尚一
○井上政府委員 改正審議の方法としましては、私個人の考えでございますが、審議会制度のごときものを設けた方がよいのではないかと存じております。審議会の審議に要しまする時間等、この際あらかじめ限定することは適当でないかと存じますが、なるべくすみやかに結論に到達することを、われわれとしては希望するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/35
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036・板川正吾
○板川委員 弁護士との関係等あるいは試験制度等、いろいろ問題もあろうかと思いますが、この法律を根本的に改正せよという附帯決議があるわけですから、私はそう長い時間かかるものではないと思います。大体この法律は、工業所有権の諸法律を改正するときに一緒に出すべきはずであった。しかしそれを忘れておったというような形で残ったのですから、一つこの際すみやかに審議会なら審議会を設けて、根本的な改正をまず行なうように、さらに強く要望しておきたいと思います。
次に私は、三十一国会における衆議院の商工委員会においての附帯決議の第一項についてお伺いしたいのでありますが、この附帯決議の第一項には、「今回の改正による特許料、登録料及び手数料の値上げに伴う増収分は、あげて人員の増加を初め、審査、審判事務の促進のための経費に充当し、出来得れば補正予算で措置すること。」こういう第一項目の要望がございます。もちろん、補正予算でなぜやらなかったかということは、これは答弁を要しませんが、今度昨年から登録料、手数料を値上げして、その増収分を、この要望通り本年度はおやりになっておるかどうか、その辺の事情を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/36
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037・井上尚一
○井上政府委員 附帯決議の趣旨の実現につきましては、われわれ通産当局、特に大臣にも十分御考慮願ったわけでありまして、その結果といたしまして、前年度に対しまして、歳出予算は約一億五千万円、三割三分程度の増加を見ることができた次第でございます。なお、人員につきましても、九十名の増加をここに見たわけでございます。こういうふうに、本年度は特許行政上、人的、物的両面から相当な改善が可能であると考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/37
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038・板川正吾
○板川委員 人員を若干ふやして相当の改善をした、こういうのでありますが、この資料によると、昨年値上げをした分、昨年は特許庁の方が発明家より四億八千万円ほどもうけておりますね。今年度の見込み、推定ですが、やはり四億九千万円ほど黒字を出しておる。そうしますと、これは年々五億円ほど、ロッキード一台分くらい特許料で出さなくちゃならぬという計算になりますが、そういうことを念頭に置いていつも黒字を出しておるのですか。それとももうちょっと費用をかけて、根本的な附帯決議の第一項を真剣に行なう気持はないでしょうか。この出願及び審査未処理件数状況を見ましても、三十四年度末にはまだ二十三万近い未処理件数がある。これは前年度と大差がない。前年度、三十三年度は二十万五千ですから、一割方ふえているのですね。この分でいくと、まだ二年半くらい——申請をして審結をもらうまでには、平均して二年半もかかる、こういうことになるわけですが、これはこの要望、附帯決議の第一に反している、こう私は思うのですが、これについていかようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/38
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039・井上尚一
○井上政府委員 特許庁の歳入が歳出より相当多いということは、御指摘の通りでございます。その点にもかんがみまして、われわれとしましては、相当大幅な歳出予算の増加を要望しておったわけでありますが、多少人員の増加、と申しましてもそう数多くの者を一挙に採用するということも、実際上なかなか困難でございますので、現実に充足可能なめどというものはある程度ございます。こういった実際の採用可能ということも考慮に入れまして、今回は一応九十名の増員ということになった次第でございまするが、今回だけで増員が済んだわけではもちろんなく、今後相当期間特許庁としまして、必要な人員は増加を続けて参ることを、われわれとしては考えておる次第でございます。資料、設備等の予算につきましても同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/39
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040・板川正吾
○板川委員 大臣にお伺いしますが、発明家の要望は、特許なり実用新案なり提出したら、なるべく早い機会に、それが許可するものやら却下するものやら、結論を出してもらいたいというのが、私は日本のこういう発明家といわれる篤志家の一番の要望であると思う。前回のこの商工委員会で特に特許関係の立法を審議したときには、この未処理件数を徹底的に促進する。審査、審判の事務を促進して、未処理件数をできればアメリカや西ドイツ、あるいはイギリス等のごとく六カ月ないし一年以内で結論を出すような体制にしてもらいたい。
それから特許料で国がもうけるというのはみみっちい話です。特許料を値上げするからには、値上げの部分を一つ発明家に返してもらって、ということは、審査、審判の事務等を充実してその事務の促進をはかれ、こういうことを強く要望しておったのですが、どうもこの資料によりますと、昨年も五億円近く特許料でもうけ、ことしも五億円近くもうかった。どうもわれわれの要望に沿ってないように思う。特にこの点は予算関係に関連しますので、大臣から一つ御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/40
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041・池田勇人
○池田国務大臣 特許発明が産業の根本であることは、私は十分承知いたしております。従いまして、通産大臣に就任いたしましてから、特許庁をつぶさに視察いたしまして、実情を見て通産関係予算のうちでは、これに最も力を入れておったのでございます。長官から話しましたごとく、この技術者の採用はそう一度にいくものではございません。従いまして、両院の決議を尊重いたしまして、逐年これを増加して、今外国の事情から比べまして、非常に停滞しております、しかもこれが発明家に対して、非常に意気沮喪させておる状況でありますので、今後十分御決議に沿うようにやっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/41
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042・板川正吾
○板川委員 いろいろ言いわけもありますが、しかし実際的に今後さらに審査、審判の事務の促進方について誠意を持った対策を要望したいと思う。
次に第三に要望されておる「審査官、審判官については、その職務の特殊性並びに有能人材確保の困難性に鑑み、妥当適正な特別給与制度を考慮すること。」という附帯決議が出ておりますが、これに対してことし、どういう処置をされましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/42
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043・井上尚一
○井上政府委員 審査官、審判官の待遇改善の問題につきましては、この決議の以後、われわれとしましては、人事院、大蔵当局と相当折衝を続けた次第でございます。結局その結果としまして、本年度審査官、審判官につきましてはいわゆる調整額としまして、本俸以外に八%の調整額を認めるということになったわけでございます。われわれとしましては八%で必ずしも十分ではないと存じていますが、まずこれを第一歩としまして、今後一そうの改善を考えて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/43
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044・板川正吾
○板川委員 附帯決議の第五項で「特許発明の企業化促進のため、一般に対する発明内容の周知に努めるとともに、補助金制度等を拡充強化すること。」という附帯決議がされておりますが、これを具体的にどういうふうに実現されておりますか、あるいはされつつあるのでありますか、これについてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/44
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045・井上尚一
○井上政府委員 発明奨励関係の補助金の行政は、ただいま科学技術庁の所管ということに建前上なっておるわけでありますが、と同時に特許庁としましては、たとえば外国出願に対する補助金でありますとか、あるいは発明協会に対する補助金でありますとか、特許庁としても関係しておる部分はもちろんでございます。特許庁と科学技術庁と両方通じまして、前年度に比して、この金額は相当増加を見た次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/45
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046・板川正吾
○板川委員 それから一般的なことですが、昨年特許料、手数料の値上げをいたしましたが、特許料、手数料値上げ以後における特許の出願件数、そういう状況等について、特に変わった変化があるかどうか、その点をちょっと参考に御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/46
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047・井上尚一
○井上政府委員 出願手数料等の値上げの結果、これが特許、実用新案、意匠商標にどう響いているのかというのが、御質問の点でございますが、昨年の料金改定後も、特許の増加は依然として続いておるわけでございますが、実用新案につきましては横ばい、ないしは減少の傾向にございます。意匠商標につきましては大体横ばいでございます。特許と実用新案につきましては、大ざっぱに申しますれば、特許は大発明、実用新案は小発明ということでございますので、程度の低い発明の出願が減少して、程度の高い特許の出願がずっと増加を続けておるということは、全体としてはきわめて望ましい現象である、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/47
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048・板川正吾
○板川委員 今度の法律改正の第一点でありますが、弁理士の資格の特例について、これを「七年以上審判官又ハ審査官トシテ審判又ハ審査ノ事務二従事シタル者」、こういうふうに改正される。七年以上という線がどういう形から出されたか、考え方をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/48
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049・井上尚一
○井上政府委員 この問題につきましては、昨日もこの委員会で御質問がございまして、お答えしたわけでございますが、従来高等官として二年ということに相なっておるのでございますが、高等官制度が廃止になりまして、約十年間これが空文化していたわけでございます。今般資格の特例を復活することにつきまして、何年が適当であるかということをいろいろ考えたわけでございますが、従来のいきさつを率直に申しますれば、特許庁としましては、当初審査官、審判官として五年ということを考えたのでございます。他方弁理士会方面の空気としましては、今日の情勢から考えまして、国家試験として弁理士試験がある、その弁理士試験を要せずして当然弁理士になれるというような資格の特例は、むしろ設けるべきではないという空気が弁理士会にはございましたが、いろいろわれわれの方と協議、折衝を続けました結果、結局弁理士会としては十年という線を出したわけでございます。しばらく特許庁の五年と弁理士会の十年ということで対立状態が続いたのでございますが、われわれとしましては、国会に法案提出の時期の関係もあり、いろいろ協議の結果、弁理士会の幹部とも話し合いまして、七年という妥協の案をここに立案したような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/49
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050・板川正吾
○板川委員 既得の権利を持っている弁理士会が間口を狭くしようという気持はわかります。十年よりさらに十五年なら、なおけっこうなんですが、ただそういう意見を聞くばかりじゃなくて、法律の建前からいって、あるいは従来の資格からいって、どういうところに線を引くのが妥当かというような考え方でなくちゃならぬじゃないかと思うのですが、旧法によると、大学を出て二、三年で高等官になる。高等官になって二年ですから、大体五年くらいでこの資格をとれるようになっておったと思います。今度は大学を出て審判、審査をやるまでに五年くらいかかるそうであります。それから七年というと十二年、二倍半に近いものになるのですが、この辺は、こういう資格が戦後非常にきびしくなりましたから、同じ五年というわけにいきませんが、倍の十年というと、ちょうど審判、審査をやってから五年ということになるのですが、五年というようなことは考えられなかったですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/50
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051・井上尚一
○井上政府委員 従来の制度が五年ないし六年、七年という期間でございましたのが、今度は十一年ないし十二年になるということは、ただいま御指摘の通りであります。しかしながら、大体今日の情勢としましては、こういう資格の特例というものは、できるだけ廃止ないしは圧縮していこうということが、一般の傾向であるわけでございますし、また他方におきまして、技術の高度化、複雑化の結果といたしまして、審査業務の内容も非常にむずかしくなって参ったわけでございます。従って、りっぱな弁理士に当然なり得るにつきましては、それの習得の期間、経験の期間というものは、やはりある程度これを長くすることが適当であろうと存じております。そういうようなことをいろいろ勘案しました結果、七年ということであれば、審査官、審判官としましての七年という経験は、これは無試験で、当然に十分りっぱな実力を持った弁理士としてのちょうど都合のよい習練の期間である、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/51
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052・板川正吾
○板川委員 それでは次にもう一つ、改正の第二点ですが、弁理士の登録についての点に関係してお伺いしたいと思います。弁理士法十三条によると、「弁理士会ハ通商産業大臣之ヲ監督ス」というふうになっております。弁理士の登録を弁理士会に一切まかせます。そうしてその弁理士会を通産大臣が監督をする、こういう形に今度はなろうかと思いますが、弁護士で、弁理士業務をやっておりながら、弁理士会に登録をしてない方がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/52
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053・井上尚一
○井上政府委員 弁護士で、登録をして弁理士業務をやっておる数は五十四名くらいでございますが、これ以外に、弁護士としまして、弁理士の登録がなくして弁理士業務をやっておるという場合も、相当数あろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/53
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054・板川正吾
○板川委員 そうしますと、通産大臣にお伺いしたいのですが、弁護士で弁理士業務をやっており、しかしながら弁理士会に登録をしてない者が相当おるというのですが、こういう弁護士の弁理士業務に携わる点における通産大臣の監督というものは、どういうことになりますか。何によってそれを監督するということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/54
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055・池田勇人
○池田国務大臣 弁護士で、登録をせずに弁理士の仕事をやっておる方に対しまして、今の法制では通産大臣の監督権はございません。従いまして、先ほどお話がございましたごとく、弁理士制度の根本的改正のときの一つの問題として考えなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/55
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056・板川正吾
○板川委員 その点は、本来ならば今回出すべきであったかと思うのですが、早急に根本的な改正を出すようでありますので、その際にまた私論議したいと思います。その他弁理士と弁護士の問題については、前の質問者が何回か言われておりますが、これは弁護士の立場から言うのと弁理士の立場から言うのと、私は利害相反しておると思います。そこで根本的な改正をはかるときには、一つすっきりした形で、新しい科学の時代に即応した——法律関係は弁護士。しかし、弁護士で工業技術に知識のない人に、当然に弁理士業務をさせるということについては、技術が発達し複雑になってくるだけに、疑問の点があろうと思っておるのですが、この点は別に答弁を求めませんが、次の改正の機会に十分慎重な考慮をされて、すっきりした形の弁理士法を提案していただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/56
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057・中村幸八
○中村委員長 次に、内閣提出の商工会の組織等に関する法律案、小林正美君外十名提出の商工会法案の両案を一括して議題として、審査を進めます。
小林正美君外十名提出の商工会法案につきましては、他に質疑の通告がありませんので、質疑を終局するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/57
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058・中村幸八
○中村委員長 御異議なしと認め、本案に対する質疑は終局いたしました。
本案は予算を伴う法律案でありますので、国会法第五十七条の三の規定に基づき、この際内閣の意見があれば、御発言願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/58
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059・池田勇人
○池田国務大臣 ただいま問題になっております社会党提出の商工会法案につきましては、都市においてはすでに商工会議所の設立がございますし、また予算措置の状況等から考えまして、政府といたしましてはこれに賛成いたしがたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/59
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060・中村幸八
○中村委員長 引き続き本案について討論に入るわけでありますが、別に討論もないようでありますので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/60
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061・中村幸八
○中村委員長 御異議なしと認め、小林正美君外十名提出の商工会法案を採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/61
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062・中村幸八
○中村委員長 起立少数。よって、本案は否決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/62
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063・中村幸八
○中村委員長 次に、商工会の組織等に関する法律案につきまして、質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/63
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064・勝澤芳雄
○勝澤委員 ただいまわが党から提案をいたしました、真に小規模事業者のためになる商工会法案につきまして、多数によって否決されましたことは、大へん遺憾にたえません。商工会法の真のねらいというものは、小規模事業の対策でありまして、これはちまたにいわれているように、政府、自民党の選挙対策であってはならないと私は思う。大は独占から小は一文あきないの零細企業の対策を、一本にまとめてどう解決されるかという点は、大へんむずかしい問題でありまして、特に小規模事業対策というものは、経済政策の立場からよりも、むしろ社会政策的な面から、これの対策を立てることが必要だと思います。特にこの商工会は単なる小規模事業者の苦情相談所、苦情を受け付けるところでなくして、具体的な問題を解決する場所でなければならないと思います。従ってこれについては具体的な裏づけが私は必要だと思うのですが、金融あるいは税制あるいは百貨店、スーパー・マーケットあるいは産業分野の問題、これらについてどう考えておられるか、一つ対策を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/64
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065・池田勇人
○池田国務大臣 お話のごとく、零細企業者に対しましては金融、税制あるいは百貨店等の対策等につきまして、従来いろいろ手を尽くしておるのであります。しかしまだ十分ではございません。われわれといたしましてはあの手この手、各方面から一つ中小企業、零細企業の育成策を講じたい、こういう念願から今回の商工会法案を提案いたしたのでございます。私はこれによりまして今まで手の届かなかったところに、相当手が届くようになることを期待いたしまして、そういう方向に向かって努力をしていこうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/65
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066・勝澤芳雄
○勝澤委員 特に今大臣の言われたように、今回商工会法が生まれてきたわけでありますから、そういう中でもっと緻密な対策を、具体的に一つ実行をしていただきたいと存じます。特に、商工会法の中で問題になりました商工会議所の問題でおりますけれども、かつて商工会議所は特権階級の集団として今まで運用されてきました。零細企業のものではないのだ、だから当然小規模事業対策というものは、別のものにやらせるべきだという意見が強く出てきたことも御承知の通りであります。従いまして、従来独占資本の出先的な役割をしておったこの商工会議所というものを、真に小規模事業者にふさわしいものに体質の改造をしなければならない、こう思うのですが、それらについての具体的なお考えをお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/66
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067・池田勇人
○池田国務大臣 その点は、私が最も関心を持っておる点でございまして、大都市におきまする従来の商工会議所がもっと末端に至るまで手を届かさなければ零細企業、中小企業は浮かばれないと思います。従いまして御質疑に対しましてお答え申し上げましたごとく、商工会議所の支所を増設する、あるいは相談所をできるだけたくさん設けまして、そうして都市における中小企業、零細企業にも、私は地方と同じような程度にまでいくよう努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/67
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068・勝澤芳雄
○勝澤委員 今大臣も言われましたように、何にいたしましても都市におけるところの従来の商工業者と、あるいは地域団体との相互連携というものが大へん重要な問題だと思います。これらにつきましてもぜひ努力を願いたいと存じます。
次に商工会の名称の使用制限の問題でありますけれども、これはやはり従来商工会という名前を使って運営されてきた。しかしこの法律ができることによって、この名前が使えなくなるということは明らかに権利の乱用であって、官僚独善政治の現われだと私は思うのです。これらの商工会の人たちは看板も塗りかえなければならぬし、帳簿の整理もしなければならぬ。当然これらについては政府は名称を独占するために、今まで使ってきた人たちに対しての補償というものを考えていると思うのですが、どうお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/68
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069・小山雄二
○小山(雄)政府委員 名称制限の規定につきましては、新たに法律に基づきます公益的目的を持った商工会制度を作ることになったわけでありますので、一般大衆が誤認を起こさないように、その公益的団体における名称を保護しようということでありまして、こういう種類の法律にはみなございますし、また今回そういう商工会になる団体というものは非常に数がたくさんあります。従来商工会という名前を使った団体がありますけれども、これは一般的に数も非常に少のうございますし、目的も違った目的の団体が多少ございます。そういう人に対して今回の制度のために多少御迷惑をかけるということはあるわけでありますけれども、法律的な考え方から言いますと、その名称が保護すべき財産権に値するかどうかという点につきましては、法律的専門家等の意見を聞きましても、多少の迷惑はかけるけれども補償に値する財産権とは認められないということでありまして、多少振りかえの名称変更等の措置に期間等のゆとりを持たせれば、そう迷惑をかけることはないのではないか。また補償に値するような財政権ではないということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/69
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070・勝澤芳雄
○勝澤委員 名称の問題につきましても、小委員会でいろいろと審議をされたように聞いております。しかし何と言いましても十何年間使いなれた名前を変えていくということでありますから、これに対する政府の取り扱いというものは相当慎重に、そして従来の慣行を配慮しながら指導よろしきを得なければならない、こう思いますのでその点を一つ十分お考えを賜わりたいと存じます。
次に事業の範囲の問題でありますけれども、社会保険とかあるいは中小企業退職共済金、共済事務の代行、こういうことも当然この商工会の中で行なわせるべきであると思うのですが、この点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/70
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071・小山雄二
○小山(雄)政府委員 法律の事業の書き方は非常に大まかな総括的な書き力をいたしておりますが、現在任意団体としてあります商工会等の実績を見ましても、今おっしゃいました金融のあっせんとか、それから社会保険等につきまして本来事業者がやるべき仕事を、小規模事業者がなかなか手が回らない、あるいはその手続、方法がよくわからないというようなことで、その人たちのかわりになって、いろいろ手伝ってやるというような仕事が相当部分占めております。今回の法制化されました商工会におきましても、主要な事業として、そういう事業に主力を置いてやって参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/71
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072・勝澤芳雄
○勝澤委員 商工会法ができて、その予算的裏づけを見てみますと、まことにお粗末なものでありまして、ロッキード戦闘機一機にも足りない。それで三百万の小規模事業者の対策、こう言われておるわけでありまして、はなはだ残念でなりません。従ってこれはある時期が来たら、やはり予算の増額という点については考えなければならないと存じますが、これについてどう考えられておりますか。それと同時に経営改良普及員の身分が不明確でありますので、これらを安定した給与と身分保障というものを十分考えて、よりいい普及員というものを求めるべきだと考えますが、この点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/72
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073・池田勇人
○池田国務大臣 今回は当初でございまして、十分な予算でないことは私も承知いたしております。今後この法律の施行にあたりまして実績を見て、今後の予算措置を考えたいと思います。従いまして指導員の業務並びに身分につきましても、今後検討を加えていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/73
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074・勝澤芳雄
○勝澤委員 それから特に現在の府県の連合会の中で事務局長という制度がありまして、その中で商工会運営指導員も暫定的に、その人たちがやはり兼任できるようにお考えを願いたい。もう一つの問題は、この経営改良普及員ですか、これは一県当たり一律四名の配置が、予算的には考えられておるようでありますが、県の規模の大小とかその他実情によって弾力を持たせる操作を行なっていただきたいと思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/74
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075・小山雄二
○小山(雄)政府委員 運営指導員を予算的には一県当たり四名、二名は県の方に置きまして、二名は連合会の方に置くということにいたしております。今御説のように既存の連合会に事務局長というような人がおります場合には、その人が、運営指導員として適当だという資格、これはまあむずかしい資格は要らぬわけでございますが、専門的にそういう仕事に当たり得る立場にあるような人でありますれば、その人を運営指導員にしてけっこうだと思います。兼務ということになりましょうか、その補助の対象の運営指導員として考えてけっこうだと思います。それから、この一律四名を県の大小その他によって差をつけるかどうかという問題につきましては、ただいまのところ四名というのは最低限度の数でありますので、一応私どもとしては、来年以後増額するようなときには、そういうことを考えたいと思います。最小限度の数でありますので、初年度はそういう県に運営指導員を配置する必要があるところは、最低でも配置をしたいと考えております。かりに大きな県等で、要らぬ、辞退するというようなところがありますれば、それをよその府県に回すということもありましょうけれども、初年度は、大体平均的にいって、今後の状況に応じて考えていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/75
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076・勝澤芳雄
○勝澤委員 今後のことで十分考えておられるようでありますが、ぜひこの点はやはり一律的でなくして、十分実情に合った操作をお考えいただきたいと思うわけであります。
それから固定資産税の問題でありますが、当然私は商工会議所と同様に免税をすべきであると思いますけれども、この点はどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/76
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077・小山雄二
○小山(雄)政府委員 固定資産税の免税の問題につきましては、私どもといたしましては商工会議所の例にならいまして、最後まで事務的にはやったわけでありますが、税制一般の取り扱いの問題、固定資産税の性質その他、自治庁の方にいわせますと、四、五年前まではそういうものがあったのでありますが、ここ三、四年そういう例がかつてないわけであります。税制一般の問題としていろいろ論議されている状況のわけであります。従って事務的には、心ならずも一般的な免税はないという規定になっております。ただ地方税法に地方公共団体、これは市町村税でございますが、その市町村がこういう性質のものについては免税し得るという規定がありますので、それによって免税措置が、市町村とその市町村における商工会の関係でありますとか、そう大した税額のものじゃないと思いますので、この規定を一般的に活用して免税が行なわれるようにという行政指導といいますか、そういう運用について十分に配慮していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/77
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078・勝澤芳雄
○勝澤委員 商工会連合会の法制化の問題でありますけれども、これらの問題につきましては参考人等から強い要望があったわけでありまして、もし今回この法律の中で法制化が困難とするならば、すみやかな時期に、できるならば明年度くらいに法制化すべきであると考えますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/78
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079・池田勇人
○池田国務大臣 府県の連合会は、私は当然発生するものと考えております。しかし何分にも、下部の商工会の設立状況等を見まして、できるだけ早い機会に連合会のできることを期待しながら、そういうつもりで商工会の設立に努力したいと思います。いつやったがいいかということは、各府県の状況によって違いがあると思います。できるだけ早い機会に実現を見たいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/79
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080・勝澤芳雄
○勝澤委員 連合会につきましても、大臣もすみやかにやりたい、私の質問のように明年度くらいにはというようなお考えをされておるようでありますので、了解いたします。
なお本問題につきましては、まだたくさん質問をしたいわけでありますけれども、もう法案につきましても小委員会でまとまっているようでありますので、私は以上で総括質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/80
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081・中村幸八
○中村委員長 他に御質疑はございませんか。——ほかに御質疑はないようでありますので、本案に対する質疑を終局するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/81
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082・中村幸八
○中村委員長 御異議なしと認め、本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/82
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083・中村幸八
○中村委員長 次に、本案に対しましては自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案の修正案が提出されておりますので、この際その趣旨の説明を聴取することにいたします。小川平二君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/83
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084・小川平二
○小川(平)委員 商工会の組織等に関する法律案等審査小委員会における審査の経過並びに結果につきまして簡単に御報告申し上げます。
当小委員会は、去る三月十八日に設置され、以来六回にわたり会議を開き、政府提案の商工会の組織等に関する法律案、日本社会党提案の商工会法案及び民主社会党の政府案に対する修正意見につきまして、協議、懇談あるいは政府に対する質疑により熱心な検討を行なって参りましたところ、ようやく小委員各位の御賛同のもとに、政府案に若干の修正を加えるべき旨の意見がまとまり、ここに御報告申し上げる運びとなったのであります。
修正を行なうべき点の具体的内容につきましては、引き続き提案いたします修正案の趣旨説明の際に、詳細に御説明申し上げることといたし、きわめて簡単ながら御報告を終わります。
次に、自由民主党、日本社会党及び民主社会党共同提案による商工会の組織等に関する法律案に対する修正案の趣旨につきまして御説明を申し上げます。
この修正案は小委員会においてまとまりました修正意見に基づくものでありまして、その要綱はお手元に配付いたしました通りでございますが、内容について申し上げますと、第一点は事業の範囲についてでありまして、原案の商工業に関する相談、指導等のほか、商工会としての意見の公表及び国会、行政庁等に対する具申または建議及び行政庁等の諮問に応じての答申を加えるとともに、商工業者の委託を受けて当該商工業者が行なうべき事務(その従業者のための事業を含む。)を処理することを、その他の事業に例示的に明記したことであります。
第二点は、設立認可の手続についてでありまして、原案では、認可申請書に定款、事業計画及び収支予算並びに役員の氏名その他通商産業省令で定める事項を記載した書面を添付することとなっておりますが、役員の氏名等、添付書面の記載事項は、すべての省令に委任することといたし、法律案からは役員の氏名の例示を削除することとしたのであります。
第三点は、役員についてでありまして、その一は、原案では商工会の理事は十人以内となっておりますのを、二十人以内に増ワクしたこと、その二は、原案では定数の三分の一以内の員外役員を認めることといたしておりますのを、役員は原則として会員に限ることとし、例外として、商工会の運営上特に必要がある場合には、理事の定数の十分の一以内に限り、会員外の理事を認めることとした点であります。
第四点は、総代会についてでありまして、原案では、会員総数が百人をこえる商工会に、総代会の設置を認めることとなっておりますが、これを二百人をこえる商工会に限るよう改めたことであります。
第五点は、名称使用制限についてでありまして、原案の附則の経過規定において、法律施行の際に商工会という名称を用いている者は、施行後一年以内にその名称を変更しなければならないこととなっておりますが、現存する商工会の実情等を考慮いたしまして、一年以内を三年以内に延長いたしたことであります。
以上、修正案の趣旨を御説明いたしましたが、何とぞ全会一致をもって、本修正案を御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/84
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085・中村幸八
○中村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/85
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086・中村幸八
○中村委員長 本修正案については質疑のお申し出もありませんので、次に本案並びに本案に対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、両案につきましては討論のお申し出もありませんので、これを行なわず、直ちに採決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/86
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087・中村幸八
○中村委員長 御異議なしと認め、さように決します。
採決いたします。まず自由民主党、日本社会党、民主社会党三派共同提案にかかる修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/87
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088・中村幸八
○中村委員長 起立総員。よって本修正案は可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/88
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089・中村幸八
○中村委員長 次にただいまの修正部分を除く原案を採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/89
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090・中村幸八
○中村委員長 起立総員。よって修正部分を除く原案は可決され、本案は三派共同提案の動議の通り、修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/90
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091・中村幸八
○中村委員長 この際、自由民主党、日本社会党、民主社会党三派共同提案の、商工会の組織等に関する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。勝澤芳雄君より趣旨の説明を聴取することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/91
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092・勝澤芳雄
○勝澤委員 私はただいま可決をされました商工会の組織等に関する法律案に対しまして提案者を代表いたしまして附帯決議案を提案いたしますと同時に、その趣旨を簡単に御説明申し上げます。
まず附帯決議の案文を朗読いたします。
商工会の組織等に関する法律案に対する附帯決議(案)
一、政府は、商工会議所については、次の如き指導を充分行なうこと。
(イ) 商工会議所は、本法制定の趣旨にかんがみ、小規模事業者に対する事業の有効適切なる実施については、必要な規程を整備する等万全の措置を講ずること。
(ロ) 大都市の商工会議所は、支部又は支所の設置等小規模事業者のための事業を実施するに際しては、地区内の既存の商工業者の地域団体等と相互に密接に連けいして中小企業者の要望、意見等を充分に反映させるよう努力すること。これがため実情に即して、経営改善普及員を両者協議の上既存団体に配置する等の措置を講ずることにより、既存団体の組織、施設を活用して、実効の挙がるよう配慮する。
二、政府は、小規模事業者のために商工会又は商工会議所が行なう業については、小規模事業者の実態にかんがみ、技術及び経営の方法に関する相談指導は勿論、金融のあっせん、社会保険及び納税の事務代行等の小規模事業者及びその従業員の向上に資する事業は広くかつ積極的にこれを行なわしめるよう充分の指導を行なうこと。
三、政府は、小規模事業者に対する事業の円滑なる実施を図るため、補助金の交付等にあたっては、経営改善普及員の身分保障について充分考慮し、普及員が安んじてその業務に専念しうるよう充分な配慮を払うこと。
四、政府は、商工会に対する固定資産税については必要に応じ、地方公共団体と密接な連絡の上、地方税法第六条の免税規定の活用が行なわれるよう充分配慮すること。
五、政府は、商工会の連合会組織の法制化を速やかに実現するよう努力すること。
以上でございます。
附帯決議案のまず第一は、商工会議所に対しまして、今回特に小規模事業者に対する事業を行なわせることになったわけでありますから、これらについて、従来の組織を十分生かしながら有機的な連携をもって行なうようにしたのであります。
第二番目は、特に小規模事業者のために、その事業の実情から考えて十分小規模事業者の実情に合ったいろいろの問題についての指導を、特に積極的に行なうことをきめたわけでございます。
三番目は、特に経営改善普及員の身分保障について、十分な身分保障を考えるとともに、普及員が業務に専念できるようなことを要望いたす次第であります。
四番目は、先ほど長官からも話がありましたように、特に固定資産税について、地方公共団体と密接な連絡の上で、これが商工会議所と同じような取り扱いが受けられるよう考慮を希望したわけであります。
五番目は、大臣からも先ほど答弁がありましたが、商工会連合会の組織の法制化につきまして、すみやかな時期にこれが実現化されるよう要望した次第であります。
以上で、本決議案の提案並びに趣旨の説明を終わりたいと存じます。
何とぞ本案につきまして、本委員会満場一致議決されんことを要望すると同時に、通産当局におきましてもこの趣旨を忠実に御履行下さいますようお願いいたしまして、私の説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/92
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093・中村幸八
○中村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
本動議については発言の通告がありますので、これを許します。武藤武雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/93
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094・武藤武雄
○武藤委員 私は、自由民主党、社会党、民主社会党を代表いたしまして、本附帯決議案に対して賛成の意見を申し述べる次第であります。
ただいま附帯決議の提案者の説明がありました通りでありますけれども、商工会を設置するということについて、特に大都市の中小零細業者の人たちに対しては、従来の商工会議所の指導方針なり、あるいは機構等をもってしては、めんどうを見ることは困難である。従って、こういう大都市等については、特に商工会の設置を並行して認めてもらいたいという主張が強かったわけでありますけれども、これらの主張を十分考えられまして、今後商工会議所は、これら小規模事業者に対するところの有効適切な事業の指導に対する規定を、直ちに商工会議所法の規定の中で整備するようにしてもらいたいと要望するものであります。
次は、特に私どもは、この商工会または商工会議所の行なう事業の中で、小規模事業者の実態にかんがみまして、技術あるいは経営の方法等に対する相談指導はもちろんでありますけれども、特に本委員会でいろいろ要望のありました金融あっせんとか、社会保険とか、そういったいろいろな事務が実際に行なわれるように、事業の面で一つ積極的にこういった指導を行なうように、この際特に政府においても行政指導をやってもらいたい、こう思うのであります。
普及員の身分保障や税法の問題については、これは全くその通りでございまして、説明の必要はないと思います。
最後の連合会の組織の問題でありますけれども、これは私は商工会議所の実態から考えましても、当然今度の商工会法と同時に提案さるべき筋だと思うのでありますが、政府の方は、下部から盛り上がる——民主的というところでうまい理屈をつけて、これを逃げたわけでありますけれども、ただいま通商産業大臣の御答弁でも、すみやかに下の実態に合わせて法制化について考慮したいということでありますから、私どももそれを信用いたしまして、今度の法制化の中には、直ちに触れることをあきらめたわけでありますけれども、どうか一つこの連合会の組織については、特に修正案の中で、これら商工会の事業として、政府に対する建議やあるいは諮問を受ける等、いろいろの政治的な、そういった問題についても活動ができるように修正をしたわけでありますから、どうか一つ政府は、そういった全国的な中小零細企業者の意見がいろいろな面で、政治的にも反映されるように、連合会の組織については特に意を用いまして、これが促進のために努力すると同時に、すみやかに法制化について努力をされるように要望いたしまして、賛成の意見といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/94
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095・中村幸八
○中村委員長 他に御発言はございませんか。——他に御発言はないようでありまするから、本動議を採決いたします。動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/95
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096・中村幸八
○中村委員長 起立総員。よって、本動議は可決され、本動議の通り附帯決議を付することに決しました。
この際、通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許します。通商産業大臣池田勇人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/96
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097・池田勇人
○池田国務大臣 ただいまの附帯決議、まことにごもっともで、私の考えておるところと同様でございます。私は附帯決議を尊重いたしまして、十分これが実現に努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/97
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098・中村幸八
○中村委員長 お諮りいたします。ただいま議決いたしました両案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/98
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099・中村幸八
○中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
本日はこの程度にとどめ、次会は明日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時二十一分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03219600414/99
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