1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月十九日(火曜日)
午前十一時六分開議
出席委員
委員長代理 理事 南 好雄君
理事 大島 秀一君 理事 小川 平二君
理事 小平 久雄君 理事 武藤 武雄君
理事 岡本 茂君 理事 鹿野 彦吉君
理事 始関 伊平君 理事 關谷 勝利君
西村 直己君 細田 義安君
渡邊 本治君 板川 正吾君
勝澤 芳雄君 櫻井 奎夫君
東海林 稔君 中嶋 英夫君
八木 昇君 和田 博雄君
加藤 鐐造君 北條 秀一君
出席国務大臣
通商産業大臣 池田 勇人君
委員外の出席者
通商産業事務官
(企業局次長) 磯野 太郎君
通商産業事務官
(企業局商務課
長) 藤田 正次君
通商産業事務官
(特許庁総務部
長) 伊藤 繁樹君
専 門 員 越田 清七君
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四月十五日
輸出入取引法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一一九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出第
九四号)(参議院送付)
輸出入取引法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一一九号)
割賦販売法案(内閣提出第一一八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/0
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001・南好雄
○南委員長代理 これより会議を開きます。
都合により委員長が不在でありますので、私が委員長の職務を行ないます。
輸出入取引法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/1
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002・南好雄
○南委員長代理 まず趣旨の説明を聴取いたします。通商産業大臣池田勇人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/2
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003・池田勇人
○池田国務大臣 輸出入取引法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。現行輸出入取引法は、昭和二十七年九月輸出取引法として施行され、その後昭和二十八年八月輸出入取引法に改正され、さらにその後二回の改正を経て今日に至っております。その間輸出入取引法は、輸出入取引における秩序の確立についての基本法として、多大の役割を果たして参ったのであります。しかしながら最近における世界貿易の情勢を見ますと、諸外国においては、依然としてわが国の一部の商品の無秩序な進出が問題とされ、差別的な対日輸入制限はいまだ撤廃されておりません。従って輸出取引秩序の確立のための施策がますます強く要請されているのであります。さらに今後わが国の貿易の自由化が進捗して参るのに伴いまして、一部商品については輸入の過当競争の激化が予想され、その対策を整備する必要に迫られますとともに、後進諸国との貿易促進のためには、これらの国からの物資の買付を民間の協調体制のもとに進める必要性も増大して参っております。
これらの諸情勢に即応いたしまして、この改正案を提案した次第であります。
次に改正の主要点につきまして御説明いたします。
第一は、輸出貨物の国内取引に関する生産業者または販売業者に対する政府規制の規定の新設であります。現行輸出入取引法におきましては、輸出業者の協定の場合とは異なりまして、生産業者または販売業者の輸出貨物の国内取引に関する協定につきましてはアウトサイダー規制を行なう規定を欠いておりますが、過当競争の原因が国内の生産または販売の分野に存する場合には、必要に応じ生産業者または販売業者の協定につきましてもアウトサイダー規制を行なうことができるように改正し、輸出の過当競争防止につき万全を期せんとするものであります。
第二は、輸入貨物の国内取引における購入に関する事項についての需要者または販売業者の協定の規定の新設であります。現行輸出入取引法におきましては、輸入取引における過当競争による高値買い等の弊害を除去するために、輸入業者の段階において協定その他の共同行為を行なうことが認められております。しかしながらわが国の輸入取引におきましては、国内の需要者または販売業者が輸入取引の内容を実質的に左右している場合が多く見られる実情にかんがみまして、輸入業者による共同行為によって過当競争等による弊害を除去することが著しく困難である場合には、きわめて厳重な制限のもとにおいて需要者または販売業者が輸入貨物を購入する場合の国内取引について協定を締結することができるようにすることが、これからはぜひ必要であると考えまして、この点に関する規定を設けました。
第三は、輸出入調整に関する輸出業者及び輸入業者の協定の規定の新設であります。従来後進国との貿易においては外貨資金割当制度によってある程度割高な物資の買付を行なって、わが国の商品の輸出を容易にしてきた例が少なくないのでありますが、貿易の自由化の進展に伴い政府においてかかる措置をとることは次第に不可能となりつつあります。従って今後は貿易業者間の自主的な話し合いにより後進国との貿易の維持拡大をはかることが必要でありますので、輸出入の調整に関する輸出業者及び輸入業者の協定に関する規定を設けることといたしました。
第四は、貿易連合の制度の創設であります。
貿易商社が連合して、貿易取引を行なうということは、貿易取引の秩序の確立という観点からも、また、特に中小商社の健全な発展のためにも必要でありますが、現行法令における諸制度をもってしては所期の目的を達成することが困難と考えられますので、今回連合して貿易取引を行なう貿易業者の社団に、貿易連合という名のもとに新たに法人格を賦与し、その助長をはかることとし、所要の規定を設けることといたしました。
右のほか、今回の改正案におきましては、輸入組合の設立を容易にすること、輸出組合、輸入組合等の事業内容を明確にし、非出資組合を非課税法人にすること等若干の改正を行なうこととしております。
以上の改正によりまして、関係業界の協力と相待って、貿易の秩序ある発展が期待されるものと深く確信いたしておる次第であります。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/3
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004・南好雄
○南委員長代理 以上で趣旨の説明は終わりました。質疑は後日に譲ることにいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/4
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005・南好雄
○南委員長代理 次に、弁理士法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
本案につきましては、前会すでに質疑は終局いたしておりますので、これより討論に入るわけでありますが、別に討論もないようでありますので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/5
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006・南好雄
○南委員長代理 御異議なしと認め、弁理士法の一部を改正する法律案を採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/6
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007・南好雄
○南委員長代理 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
この際、本案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党共同提案の附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。板川正吾君より趣旨の説明を聴取することにいたします。板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/7
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008・板川正吾
○板川委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表しまして、ただいま可決をされました弁理士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議を提案いたしたいと存じます。
まず案文を朗読いたします。
弁理士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
工業所有権四法が、第三十一回国会において、全面的に改正されたのに伴い、工業所有権制度の円滑な運用を図ることを使命とする弁理士法もまた当然根本的に改正されるべきものであった。
しかるに、今回の法律案は、当面緊要な点の一部改正に限られ、全面的改正は、今後の検討にまつこととしている。
よって政府は、弁理士の性格、業務、試験制度及び弁護士との業務分野の区分等につき、根本的検討を加え、弁理士法の抜本的改正案を可及的速やかに提出すべきである。
以上ですが、本決議案の内容は、本法案の審議に際して、各委員よりしばしば強く要請された事項であります。また当局の答弁はなるべく早い機会に改正をするということを言っておるのでありますが、時期がやや不明であります。そこで、ここでは可及的すみやかに弁理士法の抜本的な改正をいたすという決議を提案した次第であります。各位の御賛同をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/8
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009・南好雄
○南委員長代理 以上で趣旨の説明は終わりました。本動議につきましては、別に御発言のお申し出もありませんので、本動議を採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/9
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010・南好雄
○南委員長代理 起立総員。よって、本動議は可決され、本動議の通り附帯決議を付することに決しました。この際、通商産業大臣より発言を求めておられますので、これを許します。通商産業大臣池田勇人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/10
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011・池田勇人
○池田国務大臣 ただいまの附帯決議の趣旨は、私といたしまして十分御趣旨の点を考え、善処いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/11
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012・南好雄
○南委員長代理 お諮りいたします。ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/12
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013・南好雄
○南委員長代理 御異議なしと認め、さように決定いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/13
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014・南好雄
○南委員長代理 次に、割賦販売法案を議題とし、審査を進めます。
前会に引き続き質疑を続行いたします。勝澤芳雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/14
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015・勝澤芳雄
○勝澤委員 ただいま議題となりました割賦販売法案につきまして、きょうは特に事務当局を中心に具体的な諸問題についてお伺いいたしたいと存じます。
この割賦販売の対象としている指定商品というものは政令によって定める、こういうふうになっておりますが、この指定商品にはどういうものを考えておられるか、また金額的にはどの程度のものかということについて、
一つ御説明賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/15
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016・磯野太郎
○磯野説明員 指定商品の範囲でございますが、割賦販売を今後伸長させますにつきまして、ここに書いてございますように、大体「耐久性を有し、かつ、定型的な条件で販売する」ものを考えております。従いまして、具体的に申し上げますと、飲食料品でございますとか、サービスでございますとか、そういうようなものはこの指定商品には入らないわけでございます。また定型的な条件で販売されるものでございますから、特定の注文機械のようなものはこれに入らないわけでございますが、自動車でございますとか汎用モーターでございますとか、そういう一般汎用的な機械はこれに入るわけであります。その他、耐久性を有するという意味合いにおきまして、繊維関係、衣料品、そういうようなものも含まれるわけでございます。金額的に申し上げますと、個々の指定商品につきまして、具体的に一々の金額はまだ詳細にはわかっておりませんけれども、大体現在割賦販売によりますところの金額は、一応五千億円程度というふうに考えております。従いまして、国民所得に対して大体六、七%がこの指定商品の金額でございますが、一件当たりの金額につきましては、別に最高限度あるいは最低限度というようなものは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/16
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017・勝澤芳雄
○勝澤委員 最近日信販が住宅の問題についての割賦販売といいますか、こういうことを考えられて進めているようでありますが、大体住宅の月払いというものは最近各所で大へん事故が起きて、また内容について、いろいろ不正というか、あるいは不明確な点があるということで、今建設委員会の方でも、これについては調査をされているようでありますが、こういう住宅というような問題についてはどういうふうにお考えになられていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/17
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018・磯野太郎
○磯野説明員 割賦販売法でその対象に考えておりますのは指定商品でありますけれども、今のような建築はこの指定商品の中に入らないわけでございます。ただ御指摘のような問題もいろいろございますので、これは建設省所管なので、建設省でもこのような点も勘案して研究を進めておる次第でございますが、私どもの方といたしましても、そういうふうな建築について十分建設省で考えていただきたいというような要請を今しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/18
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019・勝澤芳雄
○勝澤委員 契約の問題ですけれども、これは指定商品のものは全部契約をさせるという考え方ですか。あるいはある程度額の少ないものについては省略をする、こういうふうにお考えになっておりますか。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/19
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020・磯野太郎
○磯野説明員 今回の割賦販売法案で考えております一つの主要点といたしましては、割賦販売の契約を、書面交付その他定型化いたしまして、その明確化を考えておりますので、金額はたとい零細のものでございましても、やはり明確な契約をするということで考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/20
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021・勝澤芳雄
○勝澤委員 少ないのはやらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/21
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022・磯野太郎
○磯野説明員 やります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/22
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023・勝澤芳雄
○勝澤委員 それから、かりにこれは訓示規定という形のものになっておりますけれども、やはりある程度の契約についての制裁を考慮すべきではないかという意見があるわけですが、これらの点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/23
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024・磯野太郎
○磯野説明員 この書面の交付等につきましては、これは従来いろいろ既存の法令の先例もございますが、全部これは強制規定ではなくて訓示規定になっておるわけでございます。それで私どもの方もそういう点を勘案いたしまして、たとえば御承知の、中小企業の、下請代金支払遅延等防止法によりましても、やはり書面の交付は訓示規定になっておるわけでございます。そういう点で今回も訓示規定いたしたわけでございますが、私どもの方で行政指導と、それから業界の協力によりまして、実際上はこの書面の交付というようなものを励行さしていきたいというふうに考えております。事実、現にこれは大部分の場合におきまして書面が渡されておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/24
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025・勝澤芳雄
○勝澤委員 この契約の解除の問題ですが「十五日以上の相当な期間」ということになっておりますけれども、やはり月賦で物を買うという人は大体俸給生活者に多いわけでありまして、給与も月に一回というのが多いわけですから、こういう点から考えると、業者の立場から考えると、なるべく早い方がいいということはわかるわけですけれども、払う方の立場からいいますと、十五日というのはあってあまり効果のないものですから、やはり効果を上げるためには次の給料まで待つ、こういうことが今の俸給生活者の経済の実態ではないだろうかというふうに考えるのですが、この点についてのお考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/25
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026・磯野太郎
○磯野説明員 この点は法案の作成の過程におきまして、いろいろ流通部会においても意見があったわけでございますが、これは履行遅滞による解除の問題でございますけれども、御承知のように民法の五百四十一条におきましては、「相当ノ期間ヲ定メテ其履行ヲ催告シ若シ其期間内ニ履行ナキトキハ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得」とありますが、この「相当ノ期間」の解釈につきましては、大体従来の通説、判例は三日程度と相なっておるわけでございます。それでその点につきまして今御指摘のございましたような意見をいろいろ参酌いたしまして、特に給料生活者がこの割賦販売を利用する点等も考えまして、民法の三、四日という相当の期間に対する特例といたしまして、十五日以上というふうな相当思い切った期間を定めたわけであります。私どもといたしましては、大体これで購入者の方の利益を適正に保護いたしておるというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/26
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027・勝澤芳雄
○勝澤委員 大へん失礼ですが、あなたの場合でも給料は月一回でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/27
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028・磯野太郎
○磯野説明員 私どもの場合月二回でございます。十五日というのはそういうことも考えてあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/28
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029・勝澤芳雄
○勝澤委員 月渡しは一回という給料がだいぶ多いのじゃないかと思うのですけれども、そういう点から考えるとやはり十五日にしたところで、あるいはかりに三日や一週間にしたところで、そう違いがないように思うのですけれども、この点は今の実情はどうなっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/29
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030・磯野太郎
○磯野説明員 給料の点につきましては、これは私どもの方は大体月二回払いというのが通例だと思います。それから十五日の期間は今申し上げましたように、全然これを書かない場合には、割賦販売業者の方からいきますと、一日でも代金を支払わないとときは、履行遅滞ということで契約解除の請求権を持つわけであります。それに対しましてこれは十五日以上の相当な期間というふうに書いてございまして、相当長い期間を認めて購入者を保護したというふうに考えておるわけであります。もちろん十五日以上でございますので、しかも相当な期間と書いてございますから、たとえば天災地変等いろいろございました場合には、そういう点を十分参酌して、これは十五日ではどうもその場合適正でないのではないだろうか、そういう場合には「以上の相当な期間」というものにつきましては、たとえば二十日でありますとか、三十日でありますとか、そういうふうな実情に即して期間を考えていくというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/30
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031・勝澤芳雄
○勝澤委員 賦払金の支払いがかりにおくれるというのは、どういう場合があるかとお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/31
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032・磯野太郎
○磯野説明員 賦払金の支払い遅滞の場合には、いろいろ理由があるかと思うのでございますが、購入者は大体において給料生活者あるいは賃金生活者でございますので、たとえば家において突然病人が出たとか、そういうふうな場合に、この賦払金の支払いの遅滞が起こるというふうに考えております。そういう点も考えまして、支払いに充てるべき月給、あるいは給料につきましてはこれは病院の支払いになる、しかしその次の給料につきましては、これは賦払金の支払いに充てるというふうなことを考えますと、かりに月二回の賃金あるいは給料の支払いを受けるということでありますと、大体十五日を最低の期間としてとっておけば、一応ここで割賦販売業者と購入者との利益の調整という点からは、この辺が適当ではないかというふうに考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/32
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033・勝澤芳雄
○勝澤委員 どうもその点が、民法の上からは相当な期間というのは三日程度だという判例があると言われておって、十五日になれば少しはいい、こうお考えになっておるようだが、少し聞いてみると、あなたは給料が二回だから、あなたの場合はいいと思うのですけれども、大体給料は月一回というのが、どうもわれわれも原則に考えるのですが、そういうふうに考える場合、物を売った方の立場から考えれば、やはり売った物をとることよりも、むしろ売った代金をとるというふうに、ものを考えなければならぬと思うのです。たとえば今電建の住宅のことが問題になっておりますけれども、調べてみますと私の聞いた範囲内では大体七割が解約で、三割しか建たない、またそれがもうけだというのが会社の方針だ、こういうことで問題になっているようですけれども、月賦専門の業者というものは、私考えてみると、やはり解約がある程度もうけになるというような考え方を持っている業者があると大へんだと思うのです。そういう点から考えると、やはり支払いに応ずるような態勢というものを考えることの方がいいのじゃないか、そうするとこの辺は、十五日も妥当かもしれませんですけれども、ある程度一カ月くらい、次の給料まで待ってやる、こういうことで——それが本質で、月二回のものが例外ですから、今の月給で払えなかったから次の月給でということが、大体の常識ですから、そういう点から考えられた方がいいのじゃないか、こういうように思うのですが、もう一回これをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/33
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034・磯野太郎
○磯野説明員 先ほど申し上げましように、この点はいろいろな意見があったわけでございます。これも繰り返しになりますけれども、販売業者の方の立場を考えますと、一日でも支払いいが遅滞した場合には、履行遅滞とて請求できる。しかも販売業者からいきますと、一週間、十日代金が入らないということは、それに投じております資金の回収という点、あるいは利子の点からいって相当の影響を持つ、こういうような考え方が一方にあるわけでございます。実際もそうじゃないかと思います。それからもう一つは、今御指摘がございましたそういういろいろな購入者の方の利益の立場があるわけでございますが、ここで考えましたのは、御承知のように、これも繰り返しになりますが、十五日以上の相当な期間で、しかも今度は書面で催告をする、こういうふうにいたしたわけでございますので、この書面で催告をいたします場合に、実際には書面を作成し、それを出すまでの多少の期間もかかるわけでございますので、そういう点、書面の到達主義というふうなことも考えますと、結局書面で出して、その書面を購入者の方で受け取った日から履行を請求されたことになりますので、実際には、かりに最低の十五日の期間というふうに考えましても、二十日くらいにはなるわけでございます。そういうようなこともございますので、この点はいろいろな立場での調整の問題があろうかと思いますが、一応私どもといたしましては、十五日以上というふうなことが一番適当ではなろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/34
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035・勝澤芳雄
○勝澤委員 それはこの法律を提案している以上、これが適当だと思うのは当然だと思います。しかし、やはり善意な購入者をある程度擁護し、なおかつ、また業者の立場を考えていきますと、おくれたから金利をという点もありますから、こういう点についてはいずれ機会を見て、私は弾力性のある考え方に、ここを少し修正したらいいのじゃないかと思いますので、また御相談したいと思います。
それから次の問題でありますが、この契約の解除に伴う損害賠償の問題です。私はこれがもう少し具体的に、伺と言いますか、ある程度のワクと言いますか、こういうものが政令なり何なりにできないものだろうか、どうだろうか、あるいはそういうものを考えているかどうか、こういう点について一つお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/35
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036・磯野太郎
○磯野説明員 契約の解除に伴う損害賠償につきましては、これは一般的に申し上げますと、御承知の通り現在は民法四百二十条がございまして、これは損害賠償額の予定または違約金の定めがあるときは、裁判所はその額を増減することができないというふうなことになっておりますけれども、契約解除に伴う損害賠償につきましては、非常に一般的な考え方といたしましては、当事者間の契約自由の原則にまかされているというのが、民法の考え方でございます。そういうふうにいたしまして、割賦販売法案におきましてこの特例を設けまして、損害賠償額の制限をしたわけでございますが、これは損害賠償の額の制限でございますの
で、購入者の方の利益の立場に立った規定でございます。それで結局、これ
は御承知のように契約解除の場合に、従来ややもいたしますと、割賦販売契約を解除した場合には、割賦販売価格
の一二〇%の金額を請求できるとか、あるいは購入者から受領した代金は全部没収するとか、そういうふうな割賦販売業者のためにする約款があるわけでございます。そういうものに対しましても、損害賠償の額を常識的な点で制限をいたしまして、購入者の利益を保護すべきであるというのが第六条の規定でございますが、具体的に申し上げますと、ここに一から三まで並んでおるわけでございますが、その並んでおります額の合計額をこえることができないというふうなことになっておりますので、この点は、御指摘のように、もっと具体的に書きまして、購入者の利益の保護をすることができないかというような点があろうかと思いますけれども、一号の「契約のために要した費用の額」、これは具体的に出てくるわけでございます。それから二号の「当該商品の通常の使用料の額」、これは規定といたしましてはばく然とした規定でございますが、御承知の通り一般慣習におきましては、たとえばテレビにつきましては、一日の使用料の額は百円であるというふうに、それが大体商慣習としてでき上がりつつございます。テレビのほかにも、この通常の使用料の額は、実際の慣習としてだんだんときまって参っておりますが、そういうふうに考えますと、これはある程度の具体性を持っておるわけでございます。それから第三号の「価値の減損額が通常の使用料の額をこえる」という点が一番むずかしいかと思いますが、ここで考えておりますのは、御承知のように自動車なんかの場合に、一ぺん走らせますと、これはセコハンの自動車であるというふうなことで、うんと値段が下がるわけでございます。あるいは衣料品におきましても、一ぺん着たものは中古品になるというようなことがございますが、これは今申し上げます商品の利用による価値の減損あるいは損傷による価値の減損——この第三の点が、個々の具体的な判断あるいは調査判定というようなことになると思います。一号、二号につきましては、大体具体的に出てくるものじゃないかと思いますが、そういう点、私どもといたしましては、購入者の利益保護の立場からこれを具体的に書いて、損害賠償額というふうな額を、できるだけ具体化したいというふうに考えたつもりの規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/36
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037・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうすると、これ以上政令なりあるいは手続なりで、もう少し具体化すということは考えていない、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/37
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038・磯野太郎
○磯野説明員 第六条の建前といたしまして、政令委任をやっておりませんので、政令等におきまして、これ以上具体的に書くということは考えておりませんが、一般に法律を出しましたときは、御承知のように主務官庁といたしましては、法律の解釈あるいは法令の解釈通牒を出すわけでございますので、そういうふうな解釈あるいは解釈通牒におきましてできるだけ具体化をはかりまして、購入者等の保護をいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/38
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039・勝澤芳雄
○勝澤委員 契約の解除の割賦販売業者の責任に帰すべきものについてのお考えは、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/39
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040・磯野太郎
○磯野説明員 ただいまの御質問は、割賦販売業者の責めに帰すべき場合の契約の解除についてどう考えておるか、こういうふうな御質問だったと思いますが、これは、割賦販売業者の責めに帰すべき場合におきましても、どれが責めに帰すべき場合かということは民法の規定の適用によってきまってくるわけでございますけれども、結局、その点につきましては、割賦販売業者の責めに帰すべき場合につきまして、この法案において特例を書いておりませんので、民法の規定によってやることになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/40
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041・勝澤芳雄
○勝澤委員 もとはやはり民法に基づくと思うのですが、せっかく法律を作る上に、弱い消費者——業者の方も弱いと思うのですが、そういうルールの中で法律的な裁判をやるということは、お互いに好ましくないことですし、また金のかかることですから、やはりこういう中でお考え願えば、何か考える方法はないだろうか、こう思うのですが、そういう点についてはお考えはないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/41
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042・磯野太郎
○磯野説明員 ただいまのところ、その損害賠償等の額の制限、第六条を書きましたゆえんも、先ほど申し上げましたように、どちらかといいますと、割賦販売業者が従来消費者に対して不当な約款契約を結んでおるというふうな実態あるいは背景を勘案いたしまして、そういうものに対して弱い購入者を保護するというようなことで第六条を考えましたので、販売業者につきましては特にただいま考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/42
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043・勝澤芳雄
○勝澤委員 この契約のために要した費用というものは、具体的にはどういうふうにお考えになっておられるか。それと同時に、これは、業者でなくて、購入者が損害賠償を全額負担しなければならぬという理由はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/43
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044・磯野太郎
○磯野説明員 契約のために要した費用と申しますのは、たとえば契約の書面を出すことになっておりますので、その書面の作成費でございますとか、印紙税を払わなければならぬ場合には印紙税等の費用とか、それからこの第六条の場合には、契約の解除の規定でございますので、契約の解除に伴って特別に支出した費用、たとえば契約の解除を行ないます場合には実際の調査をするというようなこともございますので、そういう解除の特別支出というふうなものがこれに含まれるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/44
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045・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうすると、契約書の代金と印紙代と、あとは具体的に何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/45
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046・磯野太郎
○磯野説明員 あとは契約の履行費、たとえばテレビを実際に購入者のところに持っていくというふうな契約の履行費が要ると思います。それから解除になりました場合に、今の割賦販売の対象になりましたテレビを引き上げてくるというような問題、そういう解除の特別の支出、大体通常の場合は、こういうふうなものであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/46
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047・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうすると、テレビを買って契約を解除した場合には、契約書と印紙代とテレビを運んだ費用と持ち帰る費用と業者の日当の費用も考えて、それを契約のために要した費用の額と考えられるわけですね。そうすると、今度は契約の解除が業者の責任に帰すべき場合においては、当然逆の請求として迷惑をかけた購入者に支払うというものが出てくるわけなんですが、そういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/47
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048・磯野太郎
○磯野説明員 契約の解除につきまして販売業者の責めに帰すべき理由がございました場合には、民法によって購入者の方で契約を解除いたしまして、通常の場合損害賠償を請求するわけでございますが、その損害賠償額の中の今のような契約のために要した費用の額は、おそらくそういう場合には販売業者の負担というふうなことに相なろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/48
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049・勝澤芳雄
○勝澤委員 ここも契約のために要した費用というものは、契約当事者相互に負担をすべきものであって、一方的に購入者に要求をするのは少し不当ではないか。むしろこういう条文、条項があること自体が問題が起こるのではないかというふうに思うのですが、そういう点についてはどうなんですか、これはちょっと無理かもしれないけれども、あまりにも業者に有利といいますか、争いを残すものではないだろうかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/49
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050・磯野太郎
○磯野説明員 これは今御指摘のようなこともあろうかと思いますけれども、一般的に申し上げますと、割賦販売の契約の解除の場合はいろいろあろうかと思いますが、たとえばその前にありますように、賦払金の支払いの遅滞というふうなものが理由になって契約解除になった場合を考えますと、これは割賦販売業者の責めに帰すべき理由がございませんので、契約のために要した費用の額というふうなものは、購入者に対して請求をしていいのではないかという考え方をしておるわけであります。そういう考え方が六条に入っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/50
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051・勝澤芳雄
○勝澤委員 この契約のために要した費用を、今のように具体的に聞いてみますと、今あなたが説明された程度では私は大した額ではないと思うのです。しかしこれを現実に当てはめてみて業者の立場からいうと、幾らでもふくらましのしようがあると思うのです。たとえば日当の計算もいろいろの計算があるだろうし、あるいは持っていく費用とかいろいろあると思いますが、そういう点からみると、これは相当争いになるものであるし、一方消費者の方は弱い立場ですから、弱い立場の消費者にこういうもので裁判をやって解決しようというふうなことを、押しつけること自体は無理なことであると思うのです。これはいわゆる慣習の中で処理さるべきであると思います。今の慣習を見てみますと契約のために要した費用まで請求をするという慣習はあまりないように思うのですが、この点につきましてはまたあらためて御相談をして、できる限り争いの残らないようなものにしたいと思っております。
そこで前に進みますけれども、これは先日もお伺いしたのですけれども、自力救済の禁止なんですが、これは立法技術上困難なので、当然なことだということで削除した、こういう説明が先回あったのですけれども、現実にできておる自動車なんかの販売契約書の中には、現にこういう契約書があるわけなんですけれども、現にあるものについてのお考えはどういうふうに取り締まりをお考えになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/51
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052・磯野太郎
○磯野説明員 割賦販売につきまして今度初めて、いわば交通整理法的な性格のものとして法案が制定されることになろうかと思いますけれども、そういうふうな意味合いにおきまして、従来の実際行なわれておりますいろいろの割賦販売につきましては、ただいま御指摘のような、いろいろ適当でないような約款契約もございましょうし、それから実際にそういうようなケースもまたまれにはあろうかと思いますが、そういう点につきましては、たとえば今の自力救済につきましても、民法の規定等いろいろ研究いたしました結果といたしましても、そういうことはもちろんできないわけでございますが、今後割賦法案の実施を機といたしまして、そういう点は十分監督していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/52
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053・勝澤芳雄
○勝澤委員 そうすると流通部会から答申をされた自力救済については、実際の今取り扱われておるいろいろな月賦販売会社なりあるいは系列下の会社ですか、この中にあるこういう契約書はできるだけやめさせるように行政指導をする、こういうふうにしてこの流通部会の答申に従った処理をしていくというふうに考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/53
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054・磯野太郎
○磯野説明員 そういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/54
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055・勝澤芳雄
○勝澤委員 次に所有権留保の推定について、一つ御説明を願いたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/55
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056・磯野太郎
○磯野説明員 第七条の所有権に関する推定の規定でございますが、この第七条の所有権に関する推定規定を設けました理由は、これはよく御承知の通り、従来の割賦販売の実態におきまして、いろいろ購入者の立場が不当に害されておるというふうなケースもずいぶんあるわけでございますが、また片一方におきまして、御承知のように割賦販売業者側の立場が不当に害されておるという例も間々あるわけでございます。たとえばテレビを割賦販売で売りました場合に、売ったあと一カ月もすれば、購入者がそのテレビを持ってどこか居住がわからなくなるというふうな例もまれにあるというふうに聞いているわけでございますが、そういうふうなことも勘案いたしまして、割賦販売によって販売された指定商品の所有権は、賦払金の全部の支払いの義務が履行されるまでは、その所有権は割賦販売業者に留保されておるというふうな推定規定をしたわけでございます。従いましてこれは推定規定でございますので、もちろん具体的な割賦販売契約におきまして特約がございまして、たとえば売払金の全部を支払わなくても、その指定商品の所有権は購入者の方に行くというような特約がございますれば、その特約に従うことになるわけでございまして、第七条は、そういうふうな場合にはかかっていかないわけでございますが、今申し上げましたように、第七条を書きました趣旨といたしましては、割賦販売業者の立場を適当に保護するというふうなことで、この規定ができ上がっているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/56
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057・勝澤芳雄
○勝澤委員 この所有権留保の推定の問題につきましては、いろいろな意見があるようでありますけれども、一つの意見としては、契約と同時に購入者に移転をして、業者との間は債権債務の関係できめるのが妥当じゃないだろうか、あるいは一歩譲っても、所有権留保の推定というものは、購入者と業者の共有という限度にとどめるべきではないだろうか、こういう意見があるのですが、どうなのですか。
〔南委員長代理退席、小平(久)委
員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/57
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058・磯野太郎
○磯野説明員 割賦販売の契約あるいはその実体の法律的な解釈につきまして、今御指摘がございましたように、実際にその指定商品の占有が購入者に移転された場合も、すでにその所有権は購入者に移っておる。従いまして割賦販売業者といたしましては代金の請求権債権を持っておる。それから購入者は賦払金を支払う債務を持っておるというふうなことが実体であって、しかもその方がいいのではないかというふうな、いろいろ考えたこともあるわけでございますけれども、私どもがここにこの所有権留保の推定を置きました一つの考えといたしましては、ただいま申し上げましたように不当な購入者、悪らつな購入者がございました場合に、これは割賦販売業者が自己のために留保された所有権に基づきまして、その指定商品をあくまで追及できるというふうな利点があるわけでございます。それからもう一つ賦払金の支払いを促進すると申しますか、賦払金の支払いの遅滞を生ぜしめないというふうなことで考えますと、購入者の心理的な影響といたしましては、テレビを割賦販売で買ったけれども、全額を支払わないと自分のものにならない。従って自分のものにするためには、支払い期日にちゃんと代金を納めようというふうな、つまり心理的な影響もあろうかと思いますが、そういうふうな点からこの所有権留保の規定を両方の立場の調整として置いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/58
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059・勝澤芳雄
○勝澤委員 次に第八条の四号の「特別の法律に基づいて設立された組合並びにその連合会及び中央会」これはどれをさすわけなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/59
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060・磯野太郎
○磯野説明員 八条の四号の特別の法律に基づいて設立された組合あるいは連合会にはいろいろございますが、これを具体的に申し上げますと、御承知のようにこれはたくさんあるわけでございます。たとえば農業協同組合あるいは消費生活協同組合、それから中小企業等協同組合、森林組合、商工組合、いろいろございますが、そういうふうな特別の法律的に基づいて設立されました組合あるいはその連合会というふうなものを言っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/60
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061・勝澤芳雄
○勝澤委員 九条の中で前払式の割賦販売を除いた理由について、ちょっとお聞かせ願いたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/61
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062・磯野太郎
○磯野説明員 九条の中で前払いのやつを抜いておるわけでございますが、九条の規定はここに書いてございますように第一回の賦払金の額の標準となるべき割合あるいは期間を定めておるわけでございますが、御承知のように前払式の割賦販売におきましては先に代金相当金額の全部あるいはその一部を納めまして、そうして商品の受け渡しがあとになるわけでございます。従って商品があと渡しになります関係上、いろいろ商品をめぐっての紛争その他の問題が発生しないわけでございますので、そういう点からいきまして標準条件というようなものをきめる必要がないのではなかろうか、こういう考え方で前払式を除いておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/62
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063・勝澤芳雄
○勝澤委員 この九条は、ある程度の経済の調整といいますか、そういうために考えられたのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/63
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064・磯野太郎
○磯野説明員 九条は御指摘のようなことで考えておるわけでございますが、具体的に申しますと、これは御承知のように割賦販売が非常に促進されますと、いい意味で促進されるのはいいわけでございますが、ややもすれば、販売競争についていろいろ競争が激化するというようなことがございます。そういうふうに割賦販売が相当以上に激化いたしますと、頭金の割合を下げるとか、従来頭金として二〇%とっておったのを、割賦販売業者がたくさんできますと、一五%に下げるあるいは一〇%に下げるというふうなことも出てくるわけでございます。それから賦払い期間につきましても、たとえばその指定商品、割賦販売商品の使用期間等から見て、たとえば賦払期間といたしまして二十カ月が適当であるという商品がございました場合に、競争激化のために二十五カ月になる、あるいは三十カ月になるというふうなことが出てくるかと思いますが、そういうふうな場合には販売業者の方におきましても、いろいろ資金的な関係等から悪い面が出てくるわけでございます。そういう点は回り回って、消費者の方からいきましても、いろいろな問題が出るわけでございます。従って九条は割賦販売についての流通秩序を健全化しようという規定でございまして、適正な第一回の賦払金額それから適正な賦払期間というようなものを標準条件として公示いたしまして、できるだけこれによってもらおう、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/64
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065・勝澤芳雄
○勝澤委員 この場合に、妥当な額とかあるいは期間というのを、どういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/65
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066・磯野太郎
○磯野説明員 妥当な額、それから妥当な期間というようなことは非常にむずかしい問題でございまして、今御指摘のように割賦販売の購入者になります給料あるいは賃金生活者の所得の問題といったふうなこと、あるいは割賦販売の対象になります指定商品の耐久性の問題、つまり指定商品を買いましたけれども、もうその使用価値はなくなったが、まだ代金を払っていなければならないというのは、常識的に非常におかしいわけでございますので、そういう指定商品の使用期間の問題、それから割賦販売業者の商品販売についての資金繰りの問題、そういうようないろいろな点を考えなければならぬというふうに考えておりますが、ただいまのところこれは実際の慣行といたしましては、大体において一つの指定商品につきましてある幅を持ちまして、賦払金の第一回の額あるいは期間が形成されつつあるようでありますが、私どもといたしましてはただいま申し上げましたような点をよく考えまして、この法律が施行になりましたときに、できるだけ適正な標準条件を公示していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/66
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067・勝澤芳雄
○勝澤委員 次にこれをやる場合の公聴会の問題ですが、答申には割賦販売審議会という形になっております。この点がこの法案の建前から少し答申案と変わった公聴会というふうになっているのですが、どういうわけで審議会を公聴会に置きかえたかお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/67
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068・磯野太郎
○磯野説明員 御指摘の通り答申におきましては、審議会を設けましていろいろ考える、こういうことになっているわけでございますが、法律におきましては審議会を特に考えることをいたしませんで、必要な場合に公聴会を開く、そうして広く一般の方に意見を聞く、こういうことになったわけでございます。私どもといたしましては、現に通産省に産業合理化審議会というものがあり、実際にこの合理化審議会の流通部会で割賦販売に対する基本的なことを考えてもらっておりますので、もし今後そういう審議会的なものが必要であれば、ただいまの産業合理化審議会を活用していきたい、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/68
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069・勝澤芳雄
○勝澤委員 わざわざ流通部会が審議会をやった方がいいときめたのを公聴会にしたのは、この流通部会を使って、その下に公聴会を考えればよろしい、こういう考え方ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/69
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070・磯野太郎
○磯野説明員 専門家の人の意見を聞く、あるいは学識経験者の意見を聞く、あるいは関係者の意見を聞くというふうな場合は、今後も産業合理化審議会を活用していきたいというふうに考えておりますし、一般の方の意見を聞く必要がある場合には公聴会を開く、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/70
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071・勝澤芳雄
○勝澤委員 そこでこの流通部会の委員のメンバーですが、このメンバーを見ると、まるっきり業者ばかりで消費者がない。ですからこういう委員の人選の仕方が大へん問題だと思うのです。前会も指摘したけれども、たとえば競輪の審議委員を見れば、委員がきまったとたんに結論がわかる。これは政府が仮面をかぶって、いかに世間をごまかすかということで、あまり言わない方がいいと思うが、たとえばロッキードの戦闘機をきめるときも、源田の神様を使って国民をだました、こういう形なんです。ですからやはり委員あるいは公聴会というものから考えて、こういう流通の関係についてそう意見の違いはないわけですから、やはり十分意見を聞くべきだと思うのですけれども、そういう建前から、これは大臣に聞かなければいけないかと思うのですが、流通部会の委員についてはこの際もう四、五人消費者の代表を入れるというふうなお考えはないかお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/71
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072・磯野太郎
○磯野説明員 流通部会の現在の委員につきましては、御指摘の通り関係者というふうなことで、業者の方もだいぶ入っているわけでございますが、これは割賦販売について初めての、たとえばこの法律の問題あるいはその他の懸案事項についていろいろ考えることがございましたので、そういう実際家からいろいろ意見を言ってもらいまして、きめてもらうということで入れたわけでございます。御指摘の消費者の方の立場を代表される方が、この流通部会の委員にもなっておられるわけでございますけれども、まあ入り方が少ないというふうな御意見あるいは御指摘かと思いますが、従来も主婦連合会の立場、あるいは学者——学者は二、三人入っておられます。そういうふうなことになっております。なお、今後流通部会につきましては、今後もいろいろ割賦販売についての実体的な問題、あるいは割賦販売以外の問題につきまして、いろいろ検討するわけでございますが、ただいま御指摘のございましたような点も十分今後検討いたしまして、やっていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/72
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073・勝澤芳雄
○勝澤委員 できるだけ機会を見つけてこの委員の問題については、流通部会で大体きまってきたものがスムーズにいくためにも、ある時期を見て消費者の代表を、もう少し加えることをお考えになっているようでありますから、強く要望を申し上げておきます。
それから、前払式割賦販売の中で、十一条の一号ですか、「指定商品の前払式割賦販売の方法による年間の販売額が政令で定める金額に満たない場合」、これは具体的にどのくらいのものをお考えになっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/73
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074・磯野太郎
○磯野説明員 前払式の割賦販売につきましては、御承知のようにこの前払式の方式がただいま一番行なわれておりますのは、家庭用のミシン、それから編みもの機械、ベッド等において、この前払いの割賦販売が行なわれているわけでございますが、この家庭用ミシン等におきましては、非常に大きな規模で行なわれておりますものがある反面、これもよく御承知かと思いますが、非常に小さな規模で、たとえば家庭用のミシンの小売り業者の中には、特に知人などから頼まれましたような場合に、あるいはごく少数の範囲に限って、この前払式の割賦販売をやっておるものがあるわけでございます。大体年間の売り上げといたしましては、そういうような意味から、百万円以下というようなことで、一月の今のミシンの受け渡し台数も大体三、四台程度というふうなものがあるわけでございますが、そういうふうな、いわば特定の範囲の関係に限って前払式をやっております業者につきましては、いろいろ信用関係その他についても、十分それを利用する方に了知されておるわけでございますし、取り扱い台数も非常にわずかでございますので、そういうものについては、特に登録を行なう必要がない、こういうようなことで、第一号を設けたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/74
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075・勝澤芳雄
○勝澤委員 それから三十六条の報告の義務なんですけれども、むろんこれは第八条の適用除外業者は報告の義務はない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/75
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076・磯野太郎
○磯野説明員 御指摘の通り、ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/76
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077・勝澤芳雄
○勝澤委員 それから最後に、流通部会の答申の冒頭にも出ているようでありますけれども、前会も聞いたんですがあまりよくわからないのですけれども、金融の措置あるいは税法上の優遇措置、信用調査機関、あるいは信用保険制度、こういうもの、あるいは過当競争の防止、中小企業の保護等、今後いろいろ秩序法を作った上に組み立てなければならない諸問題があると思うのですが、これらについては、今日までのところ、どのようなことをお考えになっておられるか、最後にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/77
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078・磯野太郎
○磯野説明員 御指摘の通り、割賦販売の健全な発達につきましては、法律を書いただけでは、これは十分ではございませんので、それを裏づけするためのいろいろな措置を至急検討いたしまして、実行に移さなければならぬわけでありますが、ここに、今おっしゃいました金融あるいは税法、そういうような問題につきましては、一応流通部会といたしましては、割賦販売法案の審議を終了いたしましたので、ただいまこういう実体的な問題につきまして、日本の実体を調査するとともに、どうすれば一番いいかというふうな点について、いろいろ考究いたしております。まだ個々の問題につきまして検討中でございまして、はっきりした結論は出ておらぬわけでございますが、私どもといたしましては、できるだけ早い機会に、これらの点についての結論を出してもらいまして、できるだけ実行に移したいというふうに考えております。ただいま私どもといたしましては、この金融あるいは税法、それから信用調査機関あるいは保険制度等につきまして、これは何分にも、割賦販売が、戦前におきまして多少これが流通を見たわけでございますが、その後終戦で、あるいはその後の経済的な混乱状態で、あまり実行されなかったわけでございます。大体昭和二十八年以降、この割賦販売が相当なテンポで伸びてきたというふうに考えておりますが、そういうふうなことで、今私どもが知っております範囲では、この金融、税あるいは調査機関、保険制度等につきまして、これに該当するような実体的なものが、まだ日本にあまりないわけであります。御承知のように、アメリカその他におきましては、この信用調査機関あるいは保険制度について、相当いろいろな点で多くの機構の整備あるいは発達を見ておるように考えておりますが、そういう外国の例もいろいろ勉強いたしまして、こういう実体的な点についても、できるだけ促進をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/78
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079・勝澤芳雄
○勝澤委員 本法案につきましては、あす、また参考人を呼んで、いろいろ意見を聞くことになっておりますので、参考人の方からいろいろ意見が出ましたら、またあらためて質疑を続けたいと思いますから、きょうはこれで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/79
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080・小平久雄
○小平(久)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404461X03419600419/80
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