1. 会議録本文
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000・会議録情報
本国会召集日(昭和三十四年十二月二十九日)(
火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次
の通りである。
委員長 植木庚子郎君
理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君
理事 坊 秀男君 理事 山下 春江君
理事 山中 貞則君 理事 石野 久男君
理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君
理事 廣瀬 勝邦君
荒木萬壽夫君 石井光次郎君
加藤 高藏君 鴨田 宗一君
黒金 泰美君 小西 寅松君
進藤 一馬君 竹下 登君
夏堀源三郎君 西村 英一君
濱田 幸雄君 福井 順一君
福永 一臣君 藤枝 泉介君
古川 丈吉君 細田 義安君
毛利 松平君 山本 勝市君
大貫 大八君 久保田鶴松君
山下 榮二君 山花 秀雄君
山本 幸一君 横路 節雄君
横山 利秋君 春日 一幸君
木下 哲君 田中幾三郎君
田万 廣文君 松尾トシ子君
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昭和三十五年二月九日(火曜日)委員長の指名で、
次の通り小委員及び小委員長を選任した。
税制並びに税の執行に関する小委員
足立 篤郎君 石井光次郎君
鴨田 宗一君 黒金 泰美君
田邉 國男君 夏堀源三郎君
濱田 幸雄君 古川 丈吉君
細田 義安君 毛利 松平君
山本 勝市君 石野 久男君
神近 市子君 久保田鶴松君
平岡忠次郎君 横山 利秋君
大貫 大八君 松尾トシ子君
税制並びに税の執行に関する小委員長
鴨田 宗一君
金融及び証券に関する小委員
足立 篤郎君 石井光次郎君
植木庚子郎君 小西 寅松君
小山 長規君 竹下 登君
福永 一臣君 古川 丈吉君
細田 義安君 毛利 松平君
山下 春江君 山中 貞則君
山本 勝市君 石村 英雄君
佐藤觀次郎君 堀 昌雄君
山本 幸一君 横山 利秋君
春日 一幸君 松尾トシ子君
金融及び証券に関する小委員長
山本 勝市君
国有財産に関する小委員
荒木萬壽夫君 進藤 一馬君
西村 英一君 福井 順一君
藤枝 泉介君 坊 秀男君
山中 貞則君 山本 勝市君
加藤 勘十君 栗林 三郎君
佐藤觀次郎君 平岡忠次郎君
廣瀬 勝邦君
国有財産に関する小委員長 荒木萬壽夫君
専売事業に関する小委員
加藤 高藏君 黒金 泰美君
進藤 一馬君 田邉 國男君
西村 英一君 濱田 幸雄君
福永 一臣君 山下 春江君
石野 久男君 石村 英雄君
堀 昌雄君 廣瀬 勝邦君
専売事業に関する小委員長 濱田 幸雄君
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昭和三十五年二月九日(火曜日)
午前十時十八分開議
出席委員
委員長 植木庚子郎君
理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君
理事 坊 秀男君 理事 山中 貞則君
理事 石野 久男君 理事 佐藤觀次郎君
理事 平岡忠次郎君 理事 廣瀬 勝邦君
荒木萬壽夫君 加藤 高藏君
鴨田 宗一君 黒金 泰美君
西村 英一君 福井 順一君
古川 丈吉君 毛利 松平君
山本 勝市君 加藤 勘十君
神近 市子君 久保田鶴松君
堀 昌雄君 山本 幸一君
横山 利秋君 大貫 大八君
松尾トシ子君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
出席政府委員
大蔵政務次官 奧村又十郎君
大蔵事務官
(大臣官房長) 宮川新一郎君
専 門 員 抜井 光三君
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昭和三十四年十二月二十九日委員本下哲君辞任
につき、その補欠として北條秀一君が議長の指
名で委員に選任された。
昭和三十五年二月四日
委員山花秀雄君、横路節雄君、田中幾三郎君、
田万廣文君、北條秀一君及び山下榮二君辞任に
つき、その補欠として栗林三郎君、神近市子君、
田邉國男君、石村英雄君、加藤勘十君及び堀昌
雄君が議長の指名で委員に選任された。
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昭和三十四年十二月二十九日
所得税法の一部を改正する法律案(佐藤觀次郎
君外十二名提出、第三十一回国会衆法第六号)
所得税法の一部を改正する法律案(平岡忠次郎
君外六名提出、第三十一回国会衆法第五九号)
昭和三十四年産米穀についての所得税の臨時特
例に関する法律案(芳賀貢君外二十七名提出、
第三十二回国会衆法第一号)
厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案
(内閣提出、第三十一回国会閣法第一六七号)
昭和三十四年産米穀についての所得税の臨時特
例に関する法律案(内閣提出第二号)
昭和三十五年一月二十九日
昭和二十八年度から昭和三十四年度までの各年
度における国債整理基金に充てるべき資金の繰
入の特例に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出第五号)
経済及び技術協力のため必要な物品の外国政府
等に対する譲与等に関する法律案(内閣提出第
六号)
一般会計の歳出の財源に充てるための国有林野
事業特別会計からする繰入金に関する法律案(
内閣提出第七号)
糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八号)
二月一日
臨時受託調達特別会計法を廃止する法律案(内
閣提出第九号)
同月八日
酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出第二
八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国政調査承認要求に関する件
小委員会設置に関する件
昭和三十四年産米穀についての所得税の臨時特
例に関する法律案(内閣提出第二号)
昭和二十八年度から昭和三十四年度までの各年
度における国債整理基金に充てるべき資金の繰
入の特例に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出第五号)
経済及び技術協力のため必要な物品の外国政府
等に対する譲与等に関する法律案(内閣提出第
六号)
一般会計の歳出の財源に充てるための国有林野
事業特別会計からする繰入金に関する法律案(
内閣提出第七号)
糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八号)
臨時受託調達特別会計法を廃止する法律案(内
閣提出第九号)
大蔵省所管事項に関する説明聴取
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X00119600209/0
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001・植木庚子郎
○植木委員長 これより会議を開きます。
当面の財政金融施策の基本方針について、大蔵大臣より説明を聴取することといたします。大蔵大臣佐藤榮作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X00119600209/1
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002・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 大蔵委員会が開かれたにもかかわりませず、私出席ができませんで、大へん失礼をいたしております。本日も、もう少し時間をとりまして、十分御説明申し上げるのが当然だと思いますが、ただいま予算委員会も開かれておりますので、後刻またその方へ参りますので、この点あらかじめ御了承おき願いたいと思います。
経済の見通しについてまずお話をいたしてみたいと思います。
さきに、財政演説で、わが国経済をめぐる国際情勢について、また国内経済情勢についてもお話をいたしました。ことしのわが国経済は明るい見通しのもとにあるということを私は感じておるものでございます。昨年の十月のころは、物価等にもやや動きがありまして、一部懸念されるものもございましたが、十二月の初めに公定歩合を引き上げまして警告を発しましてからは、物価も落ちついて参りましたし、また年末金融等も私どもが予想した額よりも以下にとどまった。あるいはまたその年末金融の還流状況などもしごく順調に推移いたしております。年が明けまして、その後の状況等を勘案いたしましても、経済の状況は、物価等の落ちつき等から見まして、まずさしたる変化なしに昨年来の好況を持続することができるのではないか、かように実は考えておる次第であります。
輸出の点につきましても相当の伸びが予想されますし、また昨年の豊作の後の——災害等もございましたけれども、その後の各種事業等の活動状況等を見ましても、ただいま申し上げたような点はまず一応当たるのではないか、かように実は考えております。
ところで、今後生産の拡大なり貿易自由化の進展等によりまして、輸入の規模も相当大きくなる、かようにも考えますが、輸出も引き続いて活発でございますので、本年の為替収支では実質額で一億五千万ドル、形式収支では四億四千万ドル程度の黒字は確保することができるのではないか、かように考えております。
さらにまた、三十五年度の国民所得は、高水準に達した三十四年度に比べましても、さらに八・一%程度の上昇を確保することができるのではないか、かように思っております。
今後の経済の見通しは以上のような点からおおむね明るい、こういうことを実は申しておるわけであります。しかし、もちろん手放しで楽観のできるものではございませんから、この際経済を着実に伸ばしていく配慮が特に必要であると考えております。特に設備投資の面におきましては、意欲はなかなか強いものがございます。従いまして、過去の経験からしても、企業の投資活動の行き過ぎにより経済の均衡が破れた例は少なくないのでありますから、この点については特に注意をいたしたいと思います。
さらにまた、ことしは為替貿易の自由化を積極的に推進して参る考えでございますので、この自由化の環境のもとで経済を長期にわたって成長発展さしていくためには、経済の均衡を確保し通貨価値の安定を堅持する態度が、経済運営の基本的態度としてますます必要である。従って、今後の財政金融政策の運営にあたりましては、この点に特に留意して、安定した成長を実現していきたいと考えております。
三十五年度の予算はこのような考え方のもとに編成したのでありまして、財政・演説を初め予算委員会において私がしばしば御説明した通りでございます。従って、きょうは主として金融政策、為替政策等についての私の考え方を御説明することといたしたいと思います。
経済の安定成長を確保し、為替貿易の自由化に対処していくために、今後の金融政策としては次の諸点に配意していく考えでございます。
昨年、経済情勢の動向にかんがみ、準備預金制度を発動し、さらにその後の情勢に応じて公定歩合の引き上げを行なって調整をはかって参りましたが、最近における日銀券、物価の動き等は、先ほど申し上げましたように、これらの施策がおおむね所期の目的を達しつつあるように思われるのでありまして、相当の効果を上げておると思います。しかしながら、企業の資金需要は旺盛であり、国内経済情勢の推移にはなお十分に注意を払っていく必要がありますので、今後とも状況に応じまして適時適切に弾力的な施策を講ずる考えでございます。
そこで、金利政策でありますが、金利につきましては、金利が経済活動を調整する機能を持っている点を重視いたしまして、資本の蓄積に応じた経済の着実かつ健全な発展を維持していくための弾力的な運用に意を用いる考えでございますが、長期的には金利水準を国債的水準に近づけるよう努力して、為替貿易の自由化の進展に対処していく考えであります。
次は、資金の重点的運用の問題であります。資金を重点的に活用することの重要なことは、言うまでもないところであります。今後も、金融機関の資金の運用にあたりまして、この点に十分留意するよう指導していく考えであります。ことに、当面のところ設備投資の意欲には根強いものがありますので、企業の側の自主的な投資計画の調整と相待って、金融機関の側におきましても十分慎重な融資態度を堅持することが必要であり、金融機関が相互に緊密な協調を保つよう、資金調整委員会等の自主的活動の強化をはかっていく考えでございます。
次は、中小企業金融対策であります。中小企業に対する金融につきましては、従来から十分に留意してきているところでありますが、三十五年度の財政投融資計画におきましても、中小金融専門の政府機関等の資金の充実に努め、前年度当初計画を一割以上上回る貸し出し規模が可能となるように配意いたしまして、国民金融公庫は前年九百十億でありましたものを千四十億に、また中小公庫は六百四十五億でありましたものを七百十五億に、商中におきましては二千八百二十八億でありましたものを三千二百七十五億、また中小企業信用保険公庫の信用保証能力の増強をはかる、こういう考え方で、公庫に対する出資を十八億円ふやしたのであります。一方民間の中小金融機関の資金量の増大も期待できる見込みでありますので、市中金融機関に対する指導と相持ち、中小企業金融に遺憾なきを期して参るつもりであります。この意味で、質並びに量の両面から金融に対する対策を考えて参るつもりであります。
次は、金融機関の健全化でございますが、金融機関の業務運営の正常化、健全化をはかる政策は今後ますます重要となって参りますので、来年度におきましても、従来からとってきた日銀借入金の減少、預貸率の改善等の指導方針を強化していく考えであります。預貸率の改善は、全体といたしましては順次よくなりつつある、かように考えますが、まだまだ不十分でございます。日銀借入金の減少等につきましても、最近の通貨量の増大等から見ますと、なかなか減少は思うように参っておりません。しかし、これらの点を特に今後とも指導方針としては注意いたして参るつもりであります。また、自由化の進展に備えまして、金融機関がコスト低減のために一そうの努力を払うよう、業務指導もいたして参るつもりであります。
次は、為替政策の基本方針についてであります。為替貿易の自由化は今や世界的潮流となっております。貿易に依存するところきわめて大きいわが国といたしましては、この国風環境に順応していかない限り、貿易を通ずる国民経済の発展は期することができません。また同時に、わが国経済の体質改善、企業の合理化をはかることによりまして、国際競争力を強化し、従来の温室的な貿易為替管理の手厚い保証を逐次はずしていくことが必要であると思います。しかしながら、貿易為替管理の保護をはずしていくことによりまして、わが国経済は当然激しい国際競争に直面することになり、これにより国内産業は相当な影響を受けることになりますが、これは、わが国経済にとって、その発展のための道程でありますので、企業は、あくまで自主的に、過当な競争を自粛し、資本構成の改善、経営の健全化等に努力を傾注することにより、これに対処していくことが何よりも大切であると考えます。また同時に、政府といたしましても、この自由化が国内経済に及ぼす影響に対して深甚な配慮を払い、自由化によって生ずることもあり得る経済の急激な変動を調整いたしまして、その安定的成長をはかることを今後の財政金融政策運営の基幹とする方針でございます。
次に、自由化を実施する時期といたしましては、国際収支の堅調を含む経済諸情勢の好調が持続されると予想されることしこそ、まさに自由化にとって好適の時期と考えておるのであります。また、自由化に数歩おくれておるわが国といたしましては、世界の競争から脱落しないよう自由化の態勢の整備を急ぐ必要がございますが、政府は、さきに貿易為替自由化促進閣僚会議、これを設けまして、自由化を強力に推進することを決定し、着々その政策を遂行している次第であります。
為替関係につきましては、先日貿易外支払いについての大幅な緩和措置を発表したが、近く商社の持ち高集中制の緩和をはからんとしておりますし、また円為替の導入につきましても検討を急いでおる次第であります。
さて、為替の自由化を推進していく場合の順序としては、まず経営取引の自由化をはかり、その次に非居住者の資本取引、最後に居住者の資本取引の自由化に及ぶべきであると、かように考えておるのであります。従いまして、まず当面は経営取引の自由化の実現を急ぐべきであり、それが相当の効果をおさめた上で資本取引に至るべきものと考えております。国際的資本取引はその及ぼす影響力が長く、かつ深いものでありますので、その取り扱いには慎重を要すると考えております。
外資の導入はもとより歓迎すべきところでありますが、一口に外資と申しましても、個人投資、技術提携、外貨借款、企業進出等々、その態様はさまざまでありまして、無条件に一律の緩和をはかることは問題であります。やはり個々の条件につきまして具体的にその可否を決定していくよりいたし方がないと考えております。
未開発国に対する経済援助は、最近国際的に重要な傾向の一つであります。もちろん、この傾向は、未開発国に経済力を持たせることにより、世界経済全体の繁栄を望んでいるものであります。この趣旨に沿って、わが国も第二世銀に積極的に参加し、また海外経済協力基金も設け、経済的国際協調の実をあげたいと念じているものであります。
海外投融資についても、民間の自己責任に基づくものについてはもちろん積極的に推進していきたいと思いますが、輸銀等政府資金を用いるものにつきましては、その計画の経済性、相手国の受け入れ状況、その経済状態につき、慎重な考慮を払うことが必要であると考えております。
次は、関税政策であります。現行の関税率及び関税につきましては、最近における産業構造の変化等にかんがみまして、その全面的な再検討が必要とされているものでありますが、貿易の自由化が実現した場合に、国民経済全般の見地から、貿易規制の機能をさらに大きく関税面に依存することになると思われますので、この意味においてもできるだけ早い機会に結論を得たいと考えております。また、この国会には、石油関税につきまして所要の法律案を提案いたしておりますので、御審議をいただきたいと思います。
次に、企業の体質改善につきまして、一言触れてみたいと思います。貿易為替の自由化に対処し、わが国企業の経営を安定させ、国際競争力を養うためには、何をおいても企業の自己資本充実が必要であります。このためには、増資を促進し、企業の資本構成を是正する措置を今後とも推進して参る。第二に、企業資本の充実以外に、企業が長期の安定した資金を調達し得るよう、社債市場の育成をはかることが必要であると考えます。現在までに社債市場の育成につきましては、個人消化の促進、社債登録手数料の引き下げとその合理化、社債買い取り金融の実施等の諸措置をすでにとって参ったのであります。
証券政策の面におきましては、有価証券の発行市場及び流通市場の健全かつ円滑な運営を期し、広く国民大衆の貯蓄性資金を証券市場に導入して、直接投資を通ずるわが国企業の資金調達を容易ならしめるため、証券市場においては、投機性を排して、国民大衆の健全な証券貯蓄を推進するための環境を整備することが必要だと思いますので、これを目標といたしているのであります。
これをやや具体的に述べて参りますると、資本市場としての証券市場の意義について一般の理解を高めるとともに、大衆投資家に対し健全な証券投資に関する知識を普及せしめること。第二といたしまして、発行市場、流通市場の円滑化をはかるため、その隘路を打開することに努めること。三、投機を排除して、長期安定的な投資を導入するため、価格形式を公正にし、かつ証券取引を秩序あるものとすること。次に、証券業者を投資家と企業のためのサービス機関として健全な姿のものにしていくこと。次に、大衆の貯蓄投資手段としての投資信託の健全な発展をはかること。
なお、昨年の十月末ごろですが、信用取引の過度の利用によりまして、市場が人気化していく傾向が見られましたので、信用取引の規制を強化し、市場の投機化を防止する措置に出たのでありますが、最近は信用取引も沈静し、大衆の投資態度もかなり堅実と認められますので、本日から信用取引の委託保証金率の引き下げと担保掛目の引き上げを行なった次第であります。しこうして、証券投資の大衆化が進み、証券貯蓄が普及しつつある現在の証券市場におきまして、信用取引の過度の利用による人気化や投機化が、一般投資家の投資態度にまで投機的な影響を及ぼすことは、最も好ましくないところであります。従いまして、政府としては、この点に対しては、今後とも市場の動向等に十分注意を払い、投機的な動きに対しては適時適切な措置をとっていきたいと考えております。
最後に、税について申し上げます。昭和三十五年度におきましては相当額の税の自然増が生ずる状況でありますが、財源として使用できる過去の剰余金が減少し、他面歳出面において増加要因により、減税を実施することができなかったのでございますが、国民の税負担は現在まだかなり重いことは事実であります。今後経済の発展に応じて税の増収も見込まれますので、三十六年度以降におきまして、歳出の抑制に一段と努力して、国民負担の軽減をはかって参るつもりでおります。最近の経済、社会情勢に即応するよう、国税及び地方税を通じ、税制の基本的な各般の問題について目下税制調査会におきまして根本的検討を行なっておりますので、その結論を得て、税制改正を実施して参る考えでございます。
以上、大へん急いで最近の経済情勢並びにこれに対処する私どもの基本的な考え方を申し上げた次第でございますが、この国会に大蔵省といたしましては二十数件の法律案を提出する予定でございます。何とぞ御審議につきまして何分の御配慮を賜わりますよう、この機会に特にお願いをいたしまして、ごあいさつを終わらしていただきます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X00119600209/2
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003・植木庚子郎
○植木委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
本委員会は、毎会期議長の承認を得て国政に関する調査をいたして参りましたが、今会期におきましても、一、国の会計に関する事項、二、税制に関する事項、三、金融に関する事項、四、証券取引に関する事項、五、外国為替に関する事項、六、国有財産に関する事項、七、専売事業に関する事項、八、印刷事業に関する事項、九、造幣事業に関する事項の各事項につきまして、国政に関する調査をするため、議長に対し承認方を申請いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X00119600209/3
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004・植木庚子郎
○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、承認申請書の作成等につきましては、委員長に御一任をお願いいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X00119600209/4
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005・植木庚子郎
○植木委員長 去る十二月二十九日付託になりました内閣提出の昭和三十四年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案、一月二十九日付託になりました昭和二十八年度から昭和三十四年度までの各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案、経済及び技術協力のため必要な物品の外国政府等に対する譲与等に関する法律案、一般会計の歳出の財源に充てるための国有林野事業特別会計からする繰入金に関する法律案、糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案及び二月一日付託になりました臨時受託調達特別会計法を廃止する法律案の六法律案を一括して議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X00119600209/5
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006・植木庚子郎
○植木委員長 政府より提案理由の説明を求めます。大蔵政務次官、奧村又十郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X00119600209/6
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007・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 ただいま議題となりました昭和三十四年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案外五法律案について、提案の理由を説明いたします。
まず、昭和三十四年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案について申し上げます。この法律案は、昭和三十四年産の米穀の集荷に資するため、米穀の生産者が同年産の米穀を政府に対し事前売り渡し申し込みに基づいて売り渡した場合において、従来と同様、同年分の所得税について、その売り渡しの時期の区分に応じ、玄米百五十キログラム当たり、すなわち一石当たり平均千四百円を非課税とする措置を講じようとするものであります。
次に、昭和二十八年度から昭和三十四年度までの各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰り入れの特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
昭和二十八年度から昭和三十四年度までの各年度におきましては、国債の償還等に充てるための資金の繰り入れの特例といたしまして、国債の元金償還に充てるために一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れるべき最低金額は、財政法第六条の規定による前々年度の剰余金の二分の一に相当する額とし、国債整理基金特別会計法第二条第二項の規定による前年度首における国債総額の一万分の五十六の三分の一相当額の繰り入れ基準は、これを適用しないこととしております。また、これとともに、日本国有鉄道または日本電信電話公社が日本国有鉄道法施行法第九条または日本着信電話公社法施行法第八条の規定により一般会計に対して負ういわゆる法定債務の償還元利金については、直接国債整理基金特別会計に繰り入れることとし、繰入額に相当する金額については一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れがあったものとみなす特別の措置が講ぜられてきたのでありますが、昭和三十五年度におきましても、国債償還の状況にかんがみ、かつ経理の簡素化をはかるため、前年度と同様これらの措置を講じようとするものであります。
次に、経済及び技術協力のため必要な物品の外国政府等に対する譲与等に関する法律案について申し上げます。
この法律案は、政府が、経済及び技術協力の効果的実施の一方策として行なう海外技術センターの設置等に必要な物品を、外国政府または国際連合等に対して譲与し、または時価よりも低い対価で譲渡することができることとしようとするものであります。御承知のように、国の所有に属する物品を時価によらずに処分することにつきましては、財政法第九条の規定により、法律に基づくことを要することとなっておりますので、この法律案を提出いたしました次第であります。
次に、一般会計の歳出の財源に充てるための国有林野事業特別会計からする繰入金に関する法律案につきまして申し上げます。
御承知の通り、国有林野事業特別会計法の規定によりますと、毎会計年度の損益計算上利益を生じ、かつ当該年度の歳入歳出の決算上剰余金があるときは、当該剰余金の額の範囲内で、予算の定めるところにより、当該剰余金を生じた年度の翌年度において一般会計に繰り入れをすることができることになっております。昭和三十四年度におきましては、民有林及び公有林について造林、治山、林道事業の促進のための増額措置をとったこととも関連して、この規定により、十億円を限り、一般会計に繰り入れることとしたのであります。昭和三十四年度におきましては、国有林について昨年災害を受けたことにより損益計算上は損失を生ずる見込みでありますが、本特別会計には過去における利益積立金及び剰余金が相当額あり、先に述べました一般会計への繰り入れの趣旨に沿って、昭和三十五年度において積立金を取りくずすことによって、十一億円を限り、一般会計に繰り入れることとしても、国有林野事業の管理経営にはさしたる支障がないと認められますので、これに必要な措置を講じようとするものであります。次に、糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
政府におきましては、昭和三十三及び三十四年産の繭及びこれらを原料とする生糸の価格の安定につきましては、繭糸価格の安定に関する臨時措置法に基づいて行なっているところでありまして、同法第五条による政府の買い入れに必要な資金に充てるため、昨年一般会計から二十億円を繰り入れるとともに、糸価安定特別会計法第十一条の規定により同会計が負担できる証券等の限度額七十億円を一挙に二百七十五億円に引き上げる措置をとって参ったのでありますが、昭和三十五年産の繭及びこれを原料とする生糸につきましては、上記のような異常な事態に対処するための措置を引き続き継続することなく、繭及び生糸の価格の安定をはかる上に必要な証券、一時借入金及び借入金の負担限度額を百十五億円に改訂するため、この法律案を提出した次第であります。
最後に、臨時受託調達特別会計法を廃止する法律案について申し上げます。
臨時受託調達特別会計は、政府が、アメリカ合衆国の委託により、わが国に無償で譲渡される予定の艦船二隻の調達を引き受け、これを同国政府に引き渡す契約の実施に関する経理を明らかにするため、昭和三十二年度に設けられた会計でありますが、艦船の建造と引き渡しが昭和三十四年度内に終了する段階に至りましたので、昭和三十四年度限りで同特別会計を廃止いたしますとともに、同会計に属する権利及び義務は一般会計に帰属させる等の措置を講じようとするものであります。
以上が、この六法律案の提案の理由であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X00119600209/7
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008・植木庚子郎
○植木委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
各案に対する質疑は次会に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X00119600209/8
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009・植木庚子郎
○植木委員長 先刻議決いたしました国政調査承認要求に対し、ただいま議長より承認がありましたので、御報告いたしておきます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X00119600209/9
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010・植木庚子郎
○植木委員長 小委員会設置の件についてお諮りいたします。
国政に関する調査のため、小委員十八名よりなる税制並びに税の執行に関する小委員会、小委員二十名よりなる金融及び証券に関する小委員会、小委員十三名よりなる国有財産に関する小委員会、及び、小委員十二名よりなる専売事業に関する小委員会の四つの小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X00119600209/10
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011・植木庚子郎
○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、右の通り設置するに決しました。
なお、小委員及び小委員長の選任並びにその辞任及び補欠選任等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X00119600209/11
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012・植木庚子郎
○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X00119600209/12
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013・植木庚子郎
○植木委員長 これより委員会を懇談会とし、今会期中政府より提案を予想せられておりまする各法律案について、その概要の説明を聴取することといたします。
それではこれより懇談会に移ります。
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〔午前十時五十二分懇談会に入る〕
〔午前十一時二十分懇談会を終わって散会〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X00119600209/13
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