1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月十七日(木曜日)
午前十一時二十九分開議
出席委員
委員長 植木庚子郎君
理事 小山 長規君 理事 坊 秀男君
理事 山下 春江君 理事 佐藤觀次郎君
理事 平岡忠次郎君 理事 廣瀬 勝邦君
荒木萬壽夫君 加藤 高藏君
鴨田 宗一君 黒金 泰美君
田邉 國男君 竹下 登君
塚田十一郎君 西村 英一君
福井 順一君 福永 一臣君
古川 丈吉君 細田 義安君
毛利 松平君 山本 勝市君
石村 英雄君 加藤 勘十君
小林 進君 堀 昌雄君
山本 幸一君 横山 利秋君
大貫 大八君 松尾トシ子君
出席政府委員
法制局参事官
(第三部長) 吉國 一郎君
大蔵政務次官 奧村又十郎君
大蔵事務官
(主計局法規課
長) 小熊 孝次君
国税庁長官 北島 武雄君
委員外の出席者
大蔵事務官
(理財局次長) 吉田 信邦君
大蔵事務官
(国税庁徴収部
長) 勝原 啓君
専 門 員 抜井 光三君
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三月十七日
委員加藤勘十君辞任につき、その補欠として小
林進君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員小林進君辞任につき、その補欠として加藤
勘十君が議長の指名で委員に選任された。
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三月十五日
厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案
(内閣提出第一〇一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
経済及び技術協力のため必要な物品の外国政府
等に対する譲与等に関する法律案(内閣提出第
六号)
補助金等の臨時特例等に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出第七二号)
厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案
(内閣提出第一〇一号)
昭和二十八年度から昭和三十四年度までの各年
度における国債整理基金に充てるべき資金の繰
入の特例に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出第五号)
税制に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/0
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001・植木庚子郎
○植木委員長 これより会議を開きます。
去る十五日付託になりました厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/1
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002・植木庚子郎
○植木委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。大蔵政務次官奧村又十郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/2
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003・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 ただいま議題となりました厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
まず、厚生保険特別会計法の一部改正について御説明申し上げます。
政府は、第二十三回国会において、政府管掌健康保険の給付費の異常な増高等に伴う支払い財源の不足を埋めるため、昭和三十年度以後七カ年度間、毎年度、一般会計から十億円を限度として、厚生保険特別会計の健康勘定へ繰り入れることができる措置を講じたのであります。その後、諸般の情勢にかんがみ、昭和三十一年度以降昭和三十三年度まで毎年度法的措置を講じ、この一般会計からの繰り入れを、昭和三十四年度以後に繰り延べたのでありますが、昭和三十四年度以後の一般会計からの繰り入れも昭和三十五年度以後に繰り延べることといたしたいと存じまして、第三十一回国会に厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案を提出し、以後引き続き御審議を願っているところであります。今回、昭和三十五年度におきましても、別に借入金等によりこれを処理することといたしましたことに伴い、一般会計からの繰り入れを、さらに昭和三十六年度以後に繰り延べることとしようとするものであります。
次に、船員保険特別会計法の一部改正について御説明申し上げます。
船員保険におきましても、第二十二回国会において、療養給付等の部門における給付費の異常な増高等に伴い、その財源の一部に充てるため、昭和三十年度以後六カ年度間、毎年度、一般会計から二千五百万円を限度として船員保険特別会計へ繰り入れることができる措置を講じたのであります。その後、諸般の情勢にかんがみ、昭和三十一年度以降昭和三十三年度まで毎年度法的措置を講じ、健康保険と同様に、一般会計からの繰入れは昭和三十四年度以後に繰り延べたのでありますが、昭和三十四年度以後の一般会計からの繰入れも、健康保険と同様に、昭和三十五年度以後に繰り延べることといたしたいと存じまして、第三十一回国会に厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案を提出し、以後引き続き御審議を願っているところであります。今回、昭和三十五年度におきましても、健康保険におけると同様、一般会計からの繰り入れを昭和三十六年度以後に繰り延べることとしようとするものであります。
以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/3
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004・植木庚子郎
○植木委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/4
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005・植木庚子郎
○植木委員長 税制に関する件について調査を進めます。
質疑の通告があります。これを許します。小林進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/5
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006・小林進
○小林(進)委員 私は実は大蔵大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、きょうは大臣は参議院だそうでございますから、奧村政務次官にと申し上げるよりは、大臣代理としての奧村さんに御質問申し上げたいのでありますから、どうか大臣のお気持になって責任のある回答をお願いいたしたいわけであります。
税の徴収について一体いかなる指導をされているかいなや、この問題であります。戦前、戦争中は、おまわりさんが来れば泣く子も黙るといわれまして、非常におまわりというものが人民を圧迫する象徴のごとく考えられておったのでありますが、これが戦後になりますと、かわって税務署が来ればおとなも逃げるといいまして、戦後は何か権力を乱用して庶民を圧迫する象徴は税務害である、こういうことをいわれておったのでありますが、(発言する者あり)一つ傍聴席はお静かにお願いします。私はまじめでありますから、神聖なる委員会でありますから、どうか一つまじめにお聞き願いたい。そういうわけでございますにもかかわらず、最近その税務行政がやや民主化した、こういうことをいわれてきたのでございます。しかるに、私は最近はからずも私自身がこの税務署の権力の乱用に追い回されている。精神的には再び立つあたわざる重大な打撃をこうむったのでございます。体重にいたしましても、ごらんの通り二貫目くらいやせていて、まだ身体平常に復しないという状態なのでございます。私はおいおいその原因を申し上げていきたいと思うのでありますから、委員長においてもしばらく時間をお貸し願いたいと思うのであります。ただ、私は、この税務官吏の不当なる圧迫に対しましては、事が私自身に関係する問題でございますので、とかく私自身がこの委員会でこれを取り扱いましたら、問題が感情的になりはせぬか、また国家の大事な税務行政を論ずるときに、自分自身の問題を取り上げるのはいささかおとなげないじゃないか、こういうふうに判断いたしたものでございますから、私の同僚であります当大蔵委員会の委員であり、理事をやっておられます平岡忠次郎君に這般の事情を申し述べまして、平岡君を通じてこの委員会に去る三月八日質問をしてもらったのであります。その質問に対する政府当局であります国税庁長官以下の回答を私は聞いておりまして、実にあぜんといたしました。ところが、また私は、聞き違いということがございますので、実は速記録のでき上がるのを待っておりました。その速記録を見まして、さらに私はあぜんとせざるを得なかったのでございまして、いやしくもこれが国税庁長官なのか、これが国税庁の責任ある部長なのかと、私はまことにその人の常識を疑わざるを得なかった。これは狂人ではないかと、実にあぜんたらざるを得なかったのでございまして、私自身の率直なる気持をして言わしむるならば、こういうような常人の常識をも逸脱するような、実に無能力者、低能者にひとしいような国税庁長官や部長何がしに、わが国民の生命、行政事務の責任をとらせておくことは、気違いに刃物を持たせておくのと同じじゃないかと、実にはだ寒い思いをしたのでございます。こういう這般の事情は大蔵大臣はやはり最高責任者として全部御熟知になっておると思いますが、その私の問題に関して大蔵大臣代理はどのように判断せられるか、まず御所見を承りたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/6
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007・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 戦後、税の制度は、御承知と存じますが、申告納税の制度になりまして、期限になりますと納税者の方々が自発的に申告する、また納税なさるという制度になりましたので、それに伴いまして納税全般において民主的なやり方をやっております。とりわけ、昨年の通常国会におきましては、御承知の通り国税の徴収については国税徴収法という一貫した新しい制度をとることにして、その法律を特に当委員会で御審議をいただいて通過し実施しておる、かようなことがございまして、政府としては、そういう法律に基づいて、合理的にまた無理にわたらぬようにやっているつもりでございます。なお、具体的にこれが不当であるということであれば、その点をお聞きいたしまして御答弁を申し上げたいと存じます。私は実は先般の小林委員の今御質問の問題についてはまだ詳細に承っておりませんので、その点については徴収部長からお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/7
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008・小林進
○小林(進)委員 大臣代理はまだ先般の平岡委員の当委員会における不当税務行政に対する具体的な事例に対して御存じにならない、速記もお読みになっておらない、こういうことでございます。はなはだ不勉強の至りであると思うのでございまするが、しかし今さら大臣の不勉強を責めても仕方がございませんから、非常に貴重な時間でございまするけれども、私はいま一度この具体的な事案をここで御説明いたしたいと思うのであります。詳しくは平岡委員の速記録にありますから、私は単に申し上げます。
今月の三月三日の木曜日、私は、突然、新潟県の長岡の税務署から、こういう配達証明付の封書をもらった。内容を見ますると債権差し押え通知書でございまして、しかもその発行日数は三十五年の二月の十二日であります。十二日に発行いたしました大蔵事務官二戸悟一郎という人の職務判を押した通知書を、三月三日私は東京の私の自宅において受け取ったわけであります。内容を拝見いたしますると、長岡市の日興建設株式会社というのが税金の滞納者である。その税金の滞納者である日興建設に対して小林進は債務を所有している。百六十万円の債務を所有している。そのうち昭和三十五年二月十二日現在の未収金が三十万七千円ある。税務署が、その未収金を、債権の差し押えをするから、その日興建設の滞納分に至るまでの金額を三十五年の三月の十五日、きょうはもう過ぎましたが、三月の十五日、渋谷の税務署に支払え。渋谷の税務署にこれを納入せよ。債権を差し押えますから、履行期限までに渋谷税務署に支払え。こういう通知をいただいたわけでございます。何で一体——これは寝耳に水ですよ。私自身一銭も税の滞納をした覚えはありません。日興建設と私との関係は、いずれまた大臣に申し上げますけれども、縁もゆかりもない税務署から、はがき一枚、通知書一本で、お前にはこれだけの滞納があるから、三月十五日までに渋谷の税務署へ行って、これこれの全額——今日計いたしますと金額は大したことはございません。一万三千九百七十円になるようなわけでございまするが、その金を支払え、こういう一方的——私にいたしまするならば、まことに、精神的には暴力団のなぐり込み以上に精神的被害をこうむったわけです。これは私自身ばかりじゃありません。私の家族の者は周章ろうばいその極に達し、国会におりまする私の会館へ電話をかけてよこした。どうしたものか。——私の秘書も電話を受けて、何が何やらわからぬけれども、税務署の債権差し押えということになれば、政治家にとって重大問題じゃないか。単なる一万三千円の問題じゃない。家が差し押えになったり赤紙を張られたりしたら、政治家の生命自体に関する重大問題になる。早急に処置しなければならないので大騒ぎをしている。こういう非常にあわてた状態になったわけでございまするが、私は、直ちにそれに対しまして、その晩のうちに税務署に対して抗議文を書きました。その回答文を書いたのであります。その回答文の写しを平岡委員がここで一応速記にとめてくれたわけですが、大臣代理に私は今一回申し上げますと、三月四日付で私はこういう回答書を出した。
冠省、貴著発行昭和三十五年二月一二日付債権差押通知を三月三日受取りました。
それに関し左記回答いたします。
記
(1) この債権差押通知は如何なる法規に基いて請求されたものか、その根拠をお示し願いたいと存じます。法律の根拠を示せというわけです。
(2) 貴著に於いては、滞納者の一方的な申告に基いて、相手方の債務の存在をも確認せず斯様な督促をされるのを普通の行為とされているや否やを承りたいと存じます。
小林進は貴署より未だ一度も日興建設に対する債務の存在を確認する照会に接したことはありません。突如として一方的に金銭の支払を期日と場所を指定して、これが納入を強制するが如きは、国家権力の乱用極まれりと思考しますが、いかがでしょう。
一方的ではありませんかというわけです。
(3) もし斯様な暴挙が法治国の名の下に公然と行う事が許されるなら、悪徳の滞納者は、税金の督促をのがれる為に、架空の債権を設定し、次から次へと善良な第三者に迷惑をかけることになりましょう。
貴著のこの行為は、国家権力を背景にして、全く縁もゆかりもない善良なる市民の生活と家庭に思いがけざる精神的暴力の、なぐり込みをかけ、筆舌につきざる苦痛を与えていることを、いささかでも反省された事が、ありますや否や承りたいと存じます。そうではありませんか。私は縁もゆかりもない全くの第三者です。それを突如として暴力的ななぐり込みをかけてきたのです。
(四) 小林進は幸にして国民より選ばれ、立法府の末席をけがしておりますので、今迄黙って泣き寝入りをしてきた善良な被害者に代って直ちにこれが調査にかかることにいたします。その結果はいづれ正式の機関を通じて貴署に対し意思表示をいたしたいと存じます。
(五) 最後に、小林進は日興建設に対しては、債権、債務の関係は全く存在せず、其他精神的負担をもこうむるべき何等の因果関係もないことを申添えます。
貴著の御発展と貴殿の御健勝を祈って、右回答に代えておきます。
以 上
こういう回答文を私は出したのでございますが、これに対して大臣代理の御所見をまず承っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/8
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009・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 実は、小林委員が本日この席で大臣の代理として私に今お述べになりました問題について御質問があるということをあらかじめ私承知しておりますならば、部内でよく事情を聞いて、もう少しはっきり御答弁をいたしたところでありますが、実は私は今の御質問は今初めて承るところで、この点はどうかあしからず御了承願いたいと思います。
それから、今速記録が私の手元に参りましたので、これほどの御質問をなさったということを今承知いたしまして、そこで、私といたしましては、いずれ国税庁の徴収部長から御答弁を申し上げますが、小林委員と徴収部長との質疑応答の間においてよく事実を確かめまして、そしてよく判断をし、また善処いたしたいと思います。承りますところ、日興建設が税の滞納をしておる、この日興建設が小林委員に対して債権があるということで、税務署が小林委員へ直接納税の告知をしたということでありますが、小林委員の御質問によりますと、日興建設との債権債務の関係は何らないということでありますと、これは大へんな間違いであります。しかし、国税庁としては特に昨年四月の新しい国税徴収法に基づいてやったことでありましょうから、どこがそういうまずいことになったか、徴収部長の御答弁を先にしていただいて、私も各委員方と御一緒によく承って、そしてその上でまた善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/9
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010・小林進
○小林(進)委員 徴収部長は勝原君ですが、私は勝原君なるものを実は信用いたしておりません。三月の八日平岡委員に対する速記録を私は見ております。これはあとでみんな申し上げますが、勝原なんという人物も、実に徴収担当の事務責任者としては言語道断の答弁をしておる。満足な日本語もしゃべれないような男に、国民を代表する国会議員に晴れの委員会においてまともな答弁なんてできるものじゃありません。だから、少なくとも北島国税庁長官——これも実に言語道断な答弁をしておる。聞き捨てならぬ答弁を平岡委員の昼間に対してしております。これも私は追及しなければならぬ点ですから、一つ早急に長官を呼んでいただきたい。法制局長官も呼んで下さい。その間に、次官、もし何だったら、そばにいる半端者と言っては失礼でありますけれども、耳打ちの相談をなさってもよろしいから、私の意図だけ聞いていただきたい。私も、大勢の委員各位の貴重な時間をそう長く御拝借することは、先輩同僚各位に対して失礼でありますから、努めて論旨を進めて参りますけれども、進めていくためにまず御質問をいたします。
一体私が申し上げました事件に関していろいろな疑問がありますが、まず第一の疑点は、かりに滞納者を甲、その滞納者が持っている債権の債務者の私を乙、国税庁を丙といたしましょう。甲という滞納者が乙に対して債権を持っているか持っていないか、債権があるのかないのか、それを問わず、突如として一方的に国家権力が介入して、その債権の督促を一体私にするという法律根拠はどこにあるのか。私まずこれを承りたい。三月八日の北島政府委員の答弁によりますと、こういうことを言っている。それは小林進、乙を差し押えたのではない、税金の滞納者たる日興建設が小林さんに対して有する債権を差し押さえたのである、こういう回答をしている。一体こういう回答は許されるのか。日興建設という滞納者甲の持っている債権だから、乙の私に断わりなしに、国税庁が乙を勝手に差し押えることができるという、そういう法律根拠は一体どこにあるのか承りたい。もっと具体的に言いますと、第一に、税務署丙は、私乙に対して、甲の有する債権を滞納額の限度において強制徴収できる。これは甲の債権だから強制徴収できると国税庁の北島さんは、言っておるが、一体その根拠はどこにあるか、まずこれをお示し願いたい。滞納者の債権は債務者の了解もなしにどんどん強制請求されるかどうかということは、債務者にとっては重大問題ですよ。一たん人から金を借りたら、いつ税務署から差し押えられるかわからない、こういう不安定な状況にいつもなければならないという結論になってきますでしょう。ですから、これは明確な法律的な根拠がなければならないと思うが、その法律的な根拠をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/10
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011・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 もし間違いがあったとすれば、日興建設に対して小林さんが債務があったかどうか、その債務の確認をあらかじめ税務署がいたしまして、それを請求することが順序ではなかろうかと私は思いますが、それが一体国税徴収法にどういうふうに規定してあるか、こういうことは、おそらく小林さんだけではなしに、全国的に例があろうかと思いますので、法律に基づいてよく検討してお答えいたしたいと思います。そこで、勝原徴収部長が、その問題をよく研究して、また責任のある部長としてやってきたことですから、小林委員にはお気に入るかどうか知らぬが、とにかく一応答弁を聞いていただきたい。私の方も一緒に聞いてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/11
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012・勝原啓
○勝原説明員 お答えを申し上げます。御質問の点は、根拠法規は何にあるのかということだと思いますが、これは国税徴収法にございまして、日興建設が滞納しておる、それに対して日興建設が持っておる財産を差し押える。滞納になっておるのが任意的に納付してもらえないということでありますので、日興建設が所有しておる財産を差し押えるわけでございますが、その場合に、日興建設が持っておりまする普通の動産あるいは不動産と同じく、日興建設が債権者である債権も差し押えの対象になるわけであります。小林委員のところに参りましたものもまさに日興建設の有しておる債権で、それを抑えるためには、いわゆる第三債務者に対して通知をすることが差し押えの要件になっておりますので、そういう意味で小林先生のところに御通知を申し上げたわけであります。抑えたものはまさに日興建設の債権ということでございます。(「法律の何条だ」と呼ぶ者あり)徴収法の四十七条以下でございます。これは一般通則でございまして、債権の差し押えにつきましては特にまた別な一款が設けてございまして、第六十二条に書いてございますが、「債権の差押は、第三債務者に対する債権差押通知書の送達により行う。」これで小林先生のところにそういうものを差し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/12
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013・小林進
○小林(進)委員 その債権の差し押えが、第三者に通達することによって差し押えになるという条文をお示しになりましたが——これはまだ私は了承したわけではありませんよ。問題をいろいろ掘り下げていくのですから、了承したわけではございませんが、一応はその答弁は終わりといたしまして、第二の問題点といたしまして、そういう通達をする前に、一体その債権の存在の確認を要せるのかどうか。問題はこの通りです。単なる日興建設の動産、不動産を差し押えた。そうしたら、どっかに乙、小林進に対する債権の存在があるらしい。何かの痕跡がある。あるいは再興建設が一方的に証言した。それだけで差し押えられる。通達を受ける。債務者の方に債権の存在を確認せず、調査もせずして、一方的にそういう国家権力の介入——発動ですよ。発動を一体行なうことができるのかどうか。その法律根拠は一体どこにあるか。この問題を一つ私はお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/13
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014・勝原啓
○勝原説明員 債権を差し押える場合に、第三債務者について、その債権が真正に存在しておるかどうかを確かめた後にこれを行なうというふうに、法律上明瞭に要求してはございません。ただ、実際問題として、この前私どもお答えしましたところは、滞納者が私はこういう債権を持っていると簡単に言われれば、すぐその通りに軽はずみに行動するというふうにおとりになるかもしれませんが、決してそういうことではございませんで、やはりいろいろな帳簿を調べ、債権の証書があれば、その証言について確かめ、いろいろな点を調べました上で、確実性があるというところから判断いたしまして行動を起こすわけでございまして、ただ滞納者が一方的にでたらめな債権をあげましても、それについて何ら根拠がないといったような場合には、決してそれに基づいて動くわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/14
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015・小林進
○小林(進)委員 そこが問題なんでございまして、勝原君の答弁は、この前の答弁と本日の答弁は、言葉はやわらかいが、内容は依然として同じです。その思想たるや、実におそるべきものがある。いやしくも第三債務者にはほんとうにその債権を確認せられるかということです。調査確認をする法律的な根拠がない、根拠がないから、税務署の一方的な判断に基づいて自由に国家権力の発動ができる、あなたの答弁はこういう答弁です。法律がないから何をやってもよろしいというあなたの答弁です。これは実に官僚の思い上がった、まだ天皇制官吏時代のおそるべき事大思想を持っている考え方です。法律の根拠がないならば——いやしくも人民の基本人権なんというものはそう簡単に侵害できるものではございません。やらないのが民主主義の原則ですよ。法律によらざれば、人民の基本人権というものは侵害できないというのが、法律の建前ですよ。それをあなたは何です。法律にないから税務署の一方的判断で何でもできるということは、おそるべき思想だ。あなたはこの前にこういうことを言っておりますよ。同じことだけれども、今参考のために速記録を申し上げるのだが、三月五日のあなたの答弁で「実際問題といたしまして、そういうことは、あまりつついておりますと」——債権があるかないか第三債務者の債権を確認してみるが、「そういうことは、あまりつついておりますと、悪質な人には逃げられる可能性があるものでございますから、一応滞納者の方を調べまして、大体その債権に相当確実性があると認められるものについては、迅速に行動をとるというふうに効いておる点があるわけでございます。」これが税務署の実務であると説明している。それを、まごまごして、小林進といういわゆる乙、第三債務者に、あなたはほんとうにそういう債務がありますかと調べていると、悪質の債務者に逃げられてしまう。それでは意味がないから、甲という債権者だけを一方的に調べて聞いてみて、税務署が判断して、これは大体確実性があるとしたら、迅速に小林進を差し押えすることも、その債権を押さえることもできる、押えるように動いていおる、こういうふうにあなたは解釈しておられる。実に乱暴きわまる言葉ですよ。その乱暴きわまることをあなたは判断できないようでは満足じゃない。事大主義的の、官僚の権力の上に長くいて、ついに血も涙もなくなった。そういう自己の性格を反省しなければいけない。おそるべきことだと思う。この債権は確実性があると税務署が判断する、その債務者は悪質であると判断すれば、直ちにその債権を差し押えて、支払いを強制することができるのでありますという、これでは、世の中の債務者はいつでも税務署にねらわれておるということにならなければならない。「あなたはねらわれいる」という映画がありましたけれども、その通り、債務者が債務者である限り、その債権者が税金を滞納しておるかいなかを、その、債務者はいつでも調べていなければならぬ。債権者が税金を滞納しておるかどうか調べていないと、あぶなくてしようがない、税務署にいつ差し押えられるかわからない、こういう理屈になるわけであります。税務署に私は縁もゆかりもない。私だけではない。第三債務者のほとんどが税務署に縁もゆかりもない。しかも一銭も滞納してない。にもかかわらず、督促を受ける、抑えられるかもしれないという、この危険な暴力的な行為が、あなたの御説明によれば、それに確認せよという法律の根拠がないかり、税務署の一方的な行動によって迅速にそれを押えることができるというようなことは、これは実に暴言もはなはだしいじゃありませんか。この問題は、大臣代理どうです。確認もしないで、法律によらずして、税務署の一方的な行為によって、第三債務者を、いつでもその債権の督促もできれば、それに応じなければ差し押えもできるという。どうですか。(「通知はできるのだ」と呼ぶ者あり)通知ができれば、次は差し押えです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/15
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016・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 私といたしましては、せっかく昨年の国会で慎重審議して通した国税徴収法の規定でありますから、この規定をよく読みまして——この規定の中にはそう無理な規定はないと思っておるので、その規定を読んで御納得のいくような御答弁をいたしたいと思いますが、今その時間がありません。ただ、私今感じますことは、一応通知を出すことはできる。つまり、滞納者を差し押えたところ、滞納者に対して小林進さんの方に債権がある。だからその債権確保のために一応通知することはできる。これは条文があろうと思う。しかし、事実債務がなければ、ないということをおっしゃれば、それはいいという……。(「そんなばかなことはないよ」と呼ぶ者あり)事実債務のないものを押えたり競売したり、そういうことはできぬはずであります。そこでお尋ねいたしますが、小林委員はそれに対してどのような処置をなさったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/16
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017・小林進
○小林(進)委員 細田さんから関連質問があるようですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/17
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018・細田義安
○細田委員 関連して質問したいのですが、私も税には多少経験を持っておまして、今の質疑応答を伺っておりまして、これはたいへんなことだというような感じを強く持ったのであります。いわゆる税務署あるいは税務官庁が発行いたします令書とか告知書、これは民事上では執行力のある正本と同じような効力を持っておる。従って、裁判手続を経ずして国家権力を発動できるということでありますから、これの行使には非常な慎重さが求められておるわけであります。そこで、第三債務者に対して債権を持ったという場合において、どういう調査をやっておるかという実情を御説明願いたいと思います。登記簿にあれば、これを閲覧してくるか、あるいは謄本を求めるか、公正証書があったら、公正証書において債権を滞納者が獲得しておるかどうか、こういう債権の存否についてしっかりした調査をしてもらわなければ、滞納者自体じゃないわけですから、かりに第三債務者があったといたしましても、自分は税金をだれが持っておるのか知らないわけです。私は、先ほど来のお話を伺っておりますと、ただ形式的に本人の申し立てなり——あるいはそこに間違った同姓同名の人があるでしょうし、場合によれば、同番地で同じ姓名の人がいる、しかし実体は違うという場合すらあるわけであります。裁判では二年も三年もかかって判決があって執行方を生ずるわけでありますが、税務署は、国家権力を背景にいたしまして、判決と同様な効力をもって令書なり告知書を発行できる。それだけに、求められておる点は慎重さであります。人の権利を侵し、強制力をもって押えつけるわけでありますから、それだけに、裁判と同じような、裁判官と同じような調査をしての発行でなければ、国権が乱用されたという非難はやむを得ないと思うのです。そういう点で、実際に債権の存否を確かめる方法、手続をいかようにやっておるかということを、やはり国民全体の名においてもこれを承知することは必要であります。あなた方は慎重かもしれぬが、第一線では、ろくに法律も知らぬやつが、ときには、おれは税務署だということの誇り、何か間違った考えを持ってやる人も多々ありまして、そういう苦情や非難もわれわれは聞かざるを得ないときがあります。そういう点で、第三債務者に対する本人の債権すらもよく調査しないで、その財産についても差し押えをする、強制力を執行するということは、これは、個人にとりましては、たとい公法上の債務者でありましても、きわめて重大なことでございます。従って、私は、これについても慎重さが求められることは当然だと考えております。さらに、第三債務者は、その公の債権、滞納という国家が持っておる債権には直接のつながりを持っておらない。小林委員の場合がどうであろうと、それにかかわらず、そういう事態があった場合におきましては、知らないやつにいきなり張り倒されて気絶するような時代でございますので、そういう点でどのような手続をとって審査し、調査し、それでこの判決書にかわる、判決書と同様な執行力を持っておる令書、告知書、差し押え書、こういうものが発行できるか、この点を明確に一つ私どもにお示しを願いたいと思う。この点は重要な問題で、今後また発生するおそれのある事柄でもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/18
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019・勝原啓
○勝原説明員 滞納者本人に対する差し押えと、今回の場合の第三債務行に対する差し押えと、言葉が同じ差し押えでありますので、ただいまの御質問も言葉が多少まじったように聞き取れたのでありますが、今回の件のことを申し上げますと、差し押えということは、債権の存在を前提にいたしまして、その債務者は債権者に支払いをするのが当然でありますが、本来の債務者にいわば支払うことを差しとめた、この場合で言いますと、日興建設株式会社というのでありますが、日興建設株式会社にその債務をお払いになってはいけません、その中で税金に当たる分は税務署の方に納めてもらいたい、こういうことを御通知申し上げたというだけにとどまるのでありまして、小林先生自身が所有しておられる建物とか、動産とかいうものを差し押える、こういうことでは決してないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/19
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020・細田義安
○細田委員 債権の確認をいかような手続、いかような調査においてやったか。あなたのは、かりに借金があるとすると、それはわしの方に払え、貸した方に払ってはいけないぞ、こういうことでしょう。これはどういう調査でやったのかということです。自白があっても、それが事実のときもあれば事実でない場合もあるのですから、こういう事案につきましても、ただ単に滞納者のお話を伺っただけでは、私は慎重ではないと思います。これではいけないと思います。そういう点を伺っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/20
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021・勝原啓
○勝原説明員 今おしかりを受けたわけでありますが、たとえば滞納者が銀行に対して預金を持っておるという場合には、われわれは、この滞納者がほんとうにそこに預金を持っておるかということを、銀行自身について一々確かめるほど必ずやるということではございませんで、その人の銀行——この場合は第三責務者に当たるわけでありますが、その銀行の預金通帳がまさしくその銀行の発行した通帳であると認められるならば、別に銀行についてその有無を調査することなく差し押えを直ちにやる。この場合も、実際問題としては、何回もこの滞納額の取り立てについて日興建設の帳簿を調べておるわけであります。そのたびに会社の方からいろいろ内容の説明がございまして、それで小林先生と建築を請け負ってこういう金があるといういろいろな資料を見せられまして、まだ残金がこれだけあるということでそれを信用して出した、こういうことなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/21
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022・細田義安
○細田委員 滞納者自体に支払いを求める場合におきましても、法律は督促ということを要件にしております。督促をしてその期間が満了した後でなければ、これに強制力を加えることができない。そういう点で、法が認めていないとするならば、法について考えなければならぬと思いますが、通告したら逃げられてしまうということで、第三債務者に何らの通告なしにやられるというが、しかし、それはおおむねの場合債権だから、本人とつながっているから逃げられない。それはあなた方が監督しておるところの銀行や何かではでたらめな帳簿をつけておるとは思いません。しかし、普通一般の場合には、債権債務の存在というものは、帳簿につけてある金が全部ほんとうだというのではなく、ほんとうでないものもあるから、税務署がよく調査をして税金をかけるわけであります。そういう点で、滞納者本人でさえ、督促をして、君税金が違っているから納めろ、それでなければ押えちゃうぞ、こうやるわけですよ。それを、第三債務者について、本人の帳簿に記載があった、あるいは申し立てがあったということで、いきなり内容証明とかなんとかやられたら、女子供ならばびっくりして腰を抜かしてしまいますよ。そういうことで、これは、法に明記してあるとないとにかかわらず、何らかその間において相手が納得するような手続を設けることが必要だと思いますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/22
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023・勝原啓
○勝原説明員 その点でまたおしかりを受けたのでありますが、私が、前回の委員会で、悪質な人に逃げられてしまうと申し上げたのは、第三債務者のことを悪質な人というふうにおとりになったかと思いますが、言葉足らずでなんでありましたが、悪質な人というのは、債権者である滞納者のことをさしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/23
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024・小林進
○小林(進)委員 それでは速記録を読んでみよう。「悪質な人には逃げられる可能性があるものでございますから、一応滞納者の方を調べまして、大体その債権に相当確実性があると認められるものについては、」云々、滞納者の悪質な人が逃げると困るから、滞納者を差し押える。速記録を読んでみろ。ごまかすなよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/24
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025・勝原啓
○勝原説明員 前回の発言が非常にあいまいであったということでございますれば申しわけありませんが、逃げられるというのは、債権者がせっかく持っている債権を処分されてしまうということをわれわれはおそれておるわけなのでございまして、第三債務者が逃げるということ自体は、ちょっと考えられないのでありまして、そういうふうにとれるようなあいまいな発言をしたといたしますれば、それはあやまらせていただきます。
そこで、法律がないから何でもできるということはございません。法律的な要件でこれをぜひやらなければならないということはない。同時に、反面、そういう滞納者のことについて丁寧に確認した上でなければやれないということを待ってはおられないという事情もあることを申し上げたかったわけでございまして、われわれがかりに何でもかんでも一方的に滞納者の言うことを聞いて行動しますれば、それはかえって税務署にとってはマイナスなわけでございまして、かりにその債権がなければ、押え得るつもりでも、全然ない債権を押えていばってみても全然無効なわけでございますから、われわれの方が第三債務者に対して通知を出すということは、税務署としてもある程度確信があって、実質があるということがわからなければできないわけであります。全然誤りがない、絶無とは申し上げかねますけれども、実際問題としまして、ただ何でもかんでもやたらに強権を発動してのうのうとしておるということではないことを、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/25
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026・植木庚子郎
○植木委員長 勝原君にちょっと注意しますが、今の細田君の質問に対しての答えが忠実ではないと思いますが、どういう手続を普通とらしておるかということを、もう少し詳細に説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/26
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027・勝原啓
○勝原説明員 一定の必ずこれこれこれをやるという、いわば法定したようなものはございませんけれども、実際問題としてその財産なり債権なりはその滞納者のものであるということを確認するためには、できるだけのことを調べて、不動産であれば登記を調べるとか……。
〔「調べた証拠を出せよ」と呼び、その他発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/27
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028・細田義安
○細田委員 私が最後に申し上げたいことは、国家と国民との間における公法上の権力関係、あるいは権利義務の関係というものは、必ずしも、今日の民主主義の時代においても、国家の債権を確保するというような前提からいたしまして、平等に規定されておるとは十分には言いがたいと思うのであります。そういう点について債務者、納税者は弱い立場にあるというような法関係にもなっておるのでありますから、それだけに、民主主義がその法以上の基盤に立って要請しておるものというのは、国民の権利を侵してはならぬ、国民の権利は十分に保護してやらなければならぬ、かような前提に立たなければならないと考えますので、法が規定をしていないという分野におきましては、さらに慎重さが要求されておるということを、私は、税務署の職員にかかわらず、国家権力に携わっておる諸君は十分に認識してやらないと、法律になければ、法律に明記されていなければ、いかようなことをやっていいのかということに相なるわけでございます。これは私は間違いだと思うのです。そういう点で、どうも部長さんの御答弁は非常に不明確であります。私には答弁したことがさっぱりわからない。採用試験なら落第だ。私は大学の先生をやっておりますが、落第ですよ。皆さんに判定してもらっても、私が一つ一つ尋ねておることに対して、何ら答弁がないと考えてもいいくらいだと思う。しかし、これ以上尋ねても、なおわからないことをくどくどと聞いてもしようがないので、これで私は関連質問を打ち切りますが、もっと勉強をされて、国民が納得するような御答弁が願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/28
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029・小林進
○小林(進)委員 ただいま細田委員から私の追及していることをさらに具体的に明確に御追及願ったのでありますが、案の定何らの答弁はできなかった。やはり先ほども言われ、三月八日の日も言われた、一方的に税務署の判断に基づいて、第三債務者は存在すると税務署か判断すれば、その判断に基づいて、迅速に、一方的に第三債務者に差し押えの通知書を出すのである、こういうことに結論がいったわけであります。なるべく慎重に調べて——それは税務署の主観的な調べ方だ。そうして一方的に差し押え通知書を出して、善良なる第三債務者に実に精神的に暴力以上の被害を与える。先ほども細田委員が言われましたが、気の弱い女や子供はそれだけでも参ってしまう。事実私の家内は参りましたよ。そういうような被害を与えておっても、それは法律的に何も根拠がない。——いいですか、奧村さん、あなたに言うんですよ。法律的に根拠がないから、一方的な事実判断に基づいて税務署がやったんだということを、先ほどから繰り返しておられます。それに対して、あなたは、先ほどは、国税徴収法をいま一回熟読翫味して答弁したいと言われたけれども、これは熟読翫味の問題ではありません。何も第三債務者を調べる必要もない。税務署の一方的判断によってやっていけないという法律がないから、国家権力を発動してやるんだ、こう答弁しているのですから、そういうやり方が法治国家の世の中でいいかどうか、その判断をあなたから明確に承ればいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/29
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030・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 お尋ねの要点は、日興建設に対して小林委員が債務があったかどうかということを税務当局がどのように確認したか、また確認するために国税徴収法にどういう規定があるかということをよく確かめねばなりませんが、先ほども申し上げますように、私は本日初耳でありますので、次会までに私の立場として十分調べてお答えいたしたいと思います。なお、国税庁長官も見えておりますから、長官からまた補足答弁を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/30
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031・小林進
○小林(進)委員 ともかくもう明瞭になりましたから、この一点については政治的な答弁はやめて下さい。第三債務者小林進に債務が存在するかしないかを確認をして、その後にその債務を差し押える通知書をやるという法律的根拠はないから、税務署が勝手な判断でやれるんだ、だから、税務署は、勝手に小林進に日興建設の債権が存在すると判断すれば、迅速に処置するためにぱぱっとやれるのだ、これは決して間違っていないのだという今のあなたの下僚の答弁だから、その答弁がいいか悪いか聞いているのです。何もめんどうなことはないじゃないですか。政治的答弁じゃない。法治国家で、そういう法律的根拠がないからということで、第三責務者を勝手に押えていいかどうか、そういうことが許されていいものかどうか。政治的答弁はやめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/31
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032・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 私も初めて今の質疑応答を承っておりまして、債務の確認を税務署が具体的にどのようにしたか。これはよほど手を尽くして確認しなければ、非常な御迷惑をかける。これは先ほどの各委員の御質問にもあるように、それはあると思います。そこで、その債務をどのように確認したかということについては、これは国税庁長官なり徴収都長の御答弁をよくお聞きを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/32
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033・小林進
○小林(進)委員 時間がありませんし、幾つも問題を持っておりまするので、先を急ぎますが、ただどうしても確認しておかなければならぬことは、法律の根拠によらずして——法律はない、規定はないのだから、禁止をしていないから、税務署の一方的な判断で、第三債務者に勝手にいわゆる債権差し押え通知書を出す。その通知書は、先ほども細田さんが言われたように、執行力を打っておる。判決と同じような国家の強制力を持っておる。そういう通知書を法律によらずして勝手に税務署の判断でできるのであるということを、あなたの下僚は言明をせられた。この言明をせられた言葉だけは、あなたは一つここで了承して下さい。
その次に移りますが、第三法制部長もお見えになっておりますから、私は法律問題についてお伺いをしたいと思うのでありますけれども、債権というものは、私の雑駁な法律学でございますけれども、当事者間の給付行為で、その行為をなすあるいはなさざるの行為自体を、債権債務の関係というのであります。だから、ここに甲と乙、私と日興建設との間に金銭に関する債権債務の関係があったとしても、それは甲と乙との人間としての関係なんです。その中には、問題は金銭であろうとも、信頼関係もあろうし、その他いろいろの要素が加わって、その給付行為というものが私は成立しているんだと思う。だから、別の言葉で言えば、もし私がかりに——私は借金はもうないんだが、かりに甲の日興建設に金銭の債務があったとすれば、それは、その債務を背負った者が甲なるがゆえに、私は責務を背負ったのである。それがAであり、Bであり、Cであり、ほかの人であったら、そういう債務を背負わなかったかもしれない。これが私は債権というものの本質じゃないかと思う。従いまして、その債権債務の関係が、債務者の乙の知らないうちに——乙とすれば、甲を債権者にして自分が債務者になったのは、甲というものに対する人間的な信頼もあったろうし、個人的な意味の関係もあったろうし、いろいろの要素から成り立って、初めて金銭の貸借関係なり授受関係なりが生じたのである。それを、甲が乙の対人関係、特殊関係、いろいろの要素を無視して、その債権を物権のように自由に、AにもBにもCにも、乙の了解も得ないで債権が自由に譲渡できるものかどうかということになるならば、一つの法治国家における世の中の、社会の経済秩序、法律秩序というものは完全に乱れてくるのではないか。
以下、債権者の場合じゃない。反対に債務者の場合、甲は乙が私なるがゆえに、小林進なるがゆえに金を貸したかもしれない。イなりロなりハには貸さない金を、小林進なればこそ貸したかもしれない。それを債務者の私が債権者の甲に断わりなしに、イ、ロ、ハに勝手な債務を移譲することが一体できるかできないか。それは個人の場合も国家の場合も私は同じだと思いますが、それが一体法律上にできるかできないのか、法制局の御見解を私はここで承りたい。
物権は債権よりも強いけれども、物権といえども、甲が正当な所有者であろうとも、善良なる第三者の手に落ちた場合には、もはやそれに対する請求権がないといって、善良なる第三者を守るのが法律の建前だ。まして、債権なんというものは、物じゃない。人の給付を要求しているんだから、人間的要素というものが非常に重大なる関係を生じてくる。それを債務者は債権者に断わりなしにどんどん第三者に移譲することができる、債権者も勝手にその債務を第三者にみんな持ち歩くことができるということが、一体許されるかどうか。国家の場合と個人の場合と両方に分けて、一つ御指示を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/33
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034・吉國一郎
○吉國政府委員 ただいまの御質問は、第一は甲という債権者と乙という債務者の間の信頼関係に基づいて発生するような債権が存在する場合に、甲はこれをたとえば丙とか丁とかに譲渡できるかという御質問であろうと思いますが、民法四百六十七条によりますと、指名債権の譲渡は、譲渡人がこれを債務者に通知することによってできることになっておりますので、ただいまの設例で、甲という債権者が乙という債務者に対する債権を譲渡することは、甲限りにおいて民法の四百六十七条第一項の規定によってできるということになります。
第二の問題の、甲という債権者が、乙という債務者に対して債権を有しておる場合に、乙がその債務者たる地位を移転し得るかというお話でございますが、これは、たとえば丙という人間が現われまして、乙の債務を引き受けるという形態によって行なわれ得ないことはございませんが、この場合は債権者たる甲の承諾が当然必要でございますので、甲に関係なく、乙がみずからの債務者たる地位を他に移転するということはできません。これは、甲は、乙の全体の財産状況を知悉した上で、一定の債権を持っておるものでございますから、乙とは違った社会関係、財産関係に立っておる丙が債務を引き受けるということについて、非常な利害関係を有するわけでございますので、乙から債務が内に移転するということについては、当然甲の承諾が要るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/34
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035・小林進
○小林(進)委員 今のお話で、大体債権者の立場と債務者の立場が違っておるということが初めてわかったのであります。債権者の場合は、その債権の譲渡は債務者に通知をすることによって移転はできる、民法の四百六十七条で移転することができる。しかし、債務者の場合には、債権者の承諾を得なければそれを移転することができない、こういうようなお話でございましたが、今の税務署の場合は、主として債権者の場合に該当いたしますので、この点をあらためてお尋ねしたいのでありますけれども、甲が乙に対して持っておる債権を第三者に譲渡あるいは取り立てをする場合には通知をしなければならぬ、その通知は乙の承諾を要しない、一方的な通知でいいものかどうか、この点を一つあわせてお伺いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/35
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036・吉國一郎
○吉國政府委員 民法の通常の場合におきますと、甲という債権者の乙に対する債権を、甲が丙に譲渡するという場合には、甲が乙に対して通知をすれば足りるわけでございますから……。それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/36
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037・小林進
○小林(進)委員 今の民法四百六十七条では、債権者の甲が、債権者自体が債務者に通知をする、こういう規定になっておりますが、丙が債権の譲渡を受けた、あるいは何らかの形でその権限を得た丙が、新たなる債権者と目される者が、乙に勝手に通知することが一体許されるべきであるか、この問題を一つ御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/37
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038・吉國一郎
○吉國政府委員 今のお尋ねは、かりに甲、乙という債権関係がありまして、それを甲から譲り受けようとする丙でございましたならば、当然これは法律上非常な問題になると存じます。しかしながら、国税徴収法あるいは民事訴訟法によりまして、国であるとかあるいは民事訴訟法上の差し押え権者というものが債権の差し押えをいたします場合には、法律上の根拠に基づきまして、ただいまの御役例によりますと、甲という債権者の乙という債務者に対する債権、それに対して公権力によりまして——これは民事訴訟法の場合にも当然裁判所の公権力でございますが、それを差し押えるわけでございます。その場合には民法の債権譲渡という関係ではございませんので、御役例によりますれば丙に当たる者かもしれませんが、その丙に当たる者の通知、これは、国税徴収法の場合は、国が取得するといたしますれば丙自身に当たるわけでございますが、民事訴訟法による強制執行の場合には、丙にかわって裁判が通所知をすることによって、差し押えの効力が発生ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/38
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039・小林進
○小林(進)委員 普通一般の社会常識としての権力を背景にしない一般人同士の甲乙丙の場合には、丙が乙に対して新たなる債権者として臨む場合には、かくのごとくまず甲からの通知を発し、しかも乙に対しては最も慎重にかまえて、法律的根拠に基づいて債権の取り立てを執行しなければならない。その場合は、法律はむしろ甲乙丙——乙の場合も平等に私は保護してくれると思う。それが国家の場合ならば、今も言うように、国家が丙の立場になった場合には、甲の乙に対する通知も要らない、丙の一方的な行為によって執行力あるいは国家権力を発動できるというようなことになるならば、なおさらその行動というものは乙に対して慎重でなければならないし、乙がこうむる被害というものを法はあとう限り保護しなければならないというのが、法治国家における立場だと思うのです。従いまして、その丙という国家の立場においては、甲の承諾を得ずして——今の国税庁の場合は甲の承諾を得ていない。ただ、甲が乙に対して債権を持っているということを確認をするにすぎない。それも一方的な確認です。その確認をすることによって、乙自体にその債務の存在をも確認せずに、直ちに強制力のある通知書を発するというような行動は、私は行き過ぎじゃないかと思う。法律によらずして、私は行き過ぎじゃないかと思うが、一体法制局のお考えはどうですか。税務署の勝手な判断で勝手にやってよろしい、どうもやっぱり甲の乙に対して持っている債権に間違いなさそうだ、まあ何でもいいから乙を一つ押えてやれ、こういう税務署の主観的、一方的、法律によらざる判断による執行力が一体法治国家において妥当なものであるかどうか、この点を一つ私は承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/39
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040・吉國一郎
○吉國政府委員 どうも、最後の御質問は、いわば行政の運営の基本方針というようなものでございまして、やや私の御答弁申し上げるには適しない問題であるかのごとく見えまするが、その前提として、今の設例で甲と乙という債権関係がございまして、それが丙に移る場合に、いろいろなややこしい関係が起こっておることがございましたが、例を変えまして、Aという債権者がおりまして、そのAに対してBが債務者になっておる、そのBがまたCに対して債権を持っておるという場合に、民法の四百二十三条によりまして、Aは、Bに対する債権を保全するために、BのCに対する債権をみずから取り立てることができるわけでございます。ただ、手続といたしましては、非訟事件手続法によりまして、裁判上の代位という手続をとる必要がございますが、Aが、みずからの債権を保全するために、自分の債務者であるBがCに対して持っている債権を直接取り立てることも、これは民法で認められているわけでございまして、それと同じようなと申しますと語弊があるかもしれませんが、いわば国という租税の徴収権者が、納税義務者たるBに対して、そのBの納税義務を履行させる、租税債権を保全するために、Bの有するCに対する債権、あるいはCという対人的な債権でなくとも、財産であるとかいうものを取り立てるために、公法上の種々の手続を設けたのが国税徴収法であろうと存じます。その国税徴収法の関係は、民事訴訟で申しますと、今の設例で、Aが、Bに対する債権を確保するために、Bに属する財産を取り立てようという場合には、民事訴訟の強制執行の適用によりましていろいろ手続を行なうわけでありますが、その場合にも、Aという債権者は、Bに対する自分の債権を保全するために、BのCに対して有する金銭債権を差し押えて取り立てることができることになっております。これは民事訴訟法の規定にございますが、その訴訟法の場合には、国税徴収法とやや違っておりますが、民事訴訟法の五百九十七条では「差押命令ハ予メ第三債務者及ヒ債務者ノ審訊ヲ経スシテ之ヲ発ス」で、審訊を経ないで発しまして、第六百九条に至りまして第三債務者の陳述の規定がございまして、そこに至って初めて債務の存否について陳述するようになっております。国税徴収法の場合はそのような規定がございませんから、いかに判断するかということになりますが、その場合は、国という租税権者は、今の設例ございますと、Bというものに対して、国民に対する租税債権を確保するために、Bの有するあらゆる財産を調査するわけでございますが、その場合に、BがCに対する債権を持っておるということは、あらゆる資料から慎重に判断しなければならぬ。単にBを調べて、それによってCに対する債権があるということを聞いただけで取り立てるということは、もちろん行政の執行として不当だと思います。一番確実には、公正証書その他の認証力のある証書によって債権の存在を確認するというところまでいけば一番確実でございますが、そこまで参りませんでも、あらゆる資料を通じて債権が現実に存在するということを責任をもって確認をした上で、第三債務者に対する通知を発するということが、国税徴収法の立法の趣旨にもかなうことであろうかと存じます。ただ、それを具体的な手続においてどこまでやれば確実に債権の存在を認め得るかどうかということにつきましては、個々具体的な場合において判断しなければなるまいと存じますので、本件の場合にこれがはたして国税徴収法の手続として妥当であるかどうかということは、私判断できない立場にございますけれども、繰り返して申し上げますれば、国税徴収法の差し押えの規定の通則にも、必要な財産以外は差し押えてはならないとか、第三者の権利を侵害するようなことのないように差し押えをやるのだというような規定がございますので、それと同様な精神において、第三債務者あるいは第三債務者と思われた者に対して、不当な侵害にならないように、慎重に行動すべきことは間違いございません。かりに、そのような慎重な行動をやった上でも、なおかつ誤りがあるという場合には、もちろん民法の不法行為の規定あるいは国家賠償法の規定が働く場合もございますので、そのような手続は十分とり得ると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/40
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041・小林進
○小林(進)委員 この問題はさらに法律論として研究の余地がございます。私はこれだけでも論じていると非常に愉快になるのでありますけれども、時間もありませんので、やめておきますが、とにかく公正証書、認証力のある最も確実なる証拠をもってこれを執行しなければならないというように慎重にかまえなければならない、そして、基本的人権はあくまで守っていく、不当侵害のないようにしなければならないという当局の結論を了承しまして、この問題はこれで打ち切りたいと思います。
なお、いま一つの問題に、なおかつ誤りがあった場合に、その権利侵害に対して一体どういう救済があるか、単なる民法の不法行為七百九条の問題だけであっては、この権利侵害の救済の方法にはなかなかならない、こういう問題も私は立法論として大いに論じてみたいのでありますが、時間がありませんから、後日に譲ります。
次に、国税庁長官が見えられておりますから、私は長官に対して声を大にして弾劾をしたいと思っております。それは、先ほども言われたこういう執行力のある、強制力のある差し押え通知書なんかをもらった場合には、気の弱い婦人、家族ならば気も転倒してしまう。これは私が言いたいことを言ったのではない。与党の自民党の細田義安氏が言われた。国家権力の差し押えなんかもらうと、気の弱い者は気も転倒してしまう、第三債務者の家族の者は転倒してしまう、こう言われた。いみじくも私の気持を表明してもらったと思って、私は心の中で了解したのであります。実際私の家族は気も転倒したのでありますから……。思いがけず、天から降ったか地からわいたか、思いがけないところに税務署から差し押え通知書をもらったら、ほんとうに善良な小市民なんかふるえ上がりますよ。実際ふるえ上がったのですから……。だから、そのふるえ上がったことに対して、この前の三月の八日に、わが党の平岡委員がその問題を質問したことに対して、あなたは何と言って答弁しましたか。あなたの答弁書を読みますと、いいですか、「日興建設なるものが小林さんに対して債権がなかったのに押えたという場合、実は怒ってくるのは日興建設のはずであります。それを債務者の方が怒られたというのはどうも私は解せない。御自分の財産でも押えられたなら……。」こういうことをあなたは言われた。これがあなたの常識ですか。今でもこの答弁は正しいと思っていますか。いま一回答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/41
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042・北島武雄
○北島政府委員 先日卒然として平岡先生から御質問いただきまして、即座にその感じたことを申し上げたのでございますが、あとで考えますと、まことに私は適切でないお答えをいたしたと思っております。ただ、事柄は、よく御了解いただきたいのですが、滞納者の財産を差し押えたり、滞納者の第三債務者に対する財産を差し押えたわけでありますが、差し押えた場合におきまして、差し押えの通知を第三債務者に出さないと効力がないわけでありますから、参った。これはもちろん第三債務者の財産を押えるということではございません。その点をまず御理解いただきたいことが第一点。
第二点は、この債権差し押え通知によりましてどういう効果があるかということでございますが、これは、債権の差し押え通知をいたしますと、債権者に支払ってはならないということでございまして、債務があった場合には、債権者に支払わないで、それは税務署に払え、国に払え、こういうことであります。もちろんそういう債権債務がなければ、そういう差し押えは無効でございます。それから、差し押え通知によって、これは直ちに執行力があるものではございません。差し押え通知をいたしまして、そして第三債務者の財産に対して直ちに差し押えができるものではございません。これは法律上もできません。その場合になりますと、あとは、その債権債務の存否につきまして、新しく民事訴訟の手続によりまして、国としてはその債権を確認いたし、そうしてその上でもって初めて第三債務者に対して執行力が及ぶのでございます。債権の差し押え通知によって、直ちに執行力が及ぶものではございません。ただ、考えてみますと、これは普通の財産と違って、物ではございまん。やはり人に対するところの債権でございます。それで、通知を受けるのはやはり債務者の方、もちろん債権者に対しては差し押え調書が参りますけれども、第三債務者の方といたしましては、やはりそういう大きな精神的なショックはお受けになるかと、こう私も思います。従いまして、先般お答え申しましたのは、まことに適切ならぬお答えだっと思います。ただ、あくまでも御了解いただきたいのは、債権の存在を前提としまして、そうしてその債務がある場合に、第三債務者は債権者に払わない、こういう通知でございますので、それによって直ちに第三債務者の他の財産に対して国が押えるというふうなことではございませんので、その点は一つ十分御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/42
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043・小林進
○小林(進)委員 あまりくどいことは言わなくていいのです。あなたに私は聞いているのですよ。実は怒ってくるのは日興建設、甲が怒ってくるのがあたりまえだ、それを乙の債務者の方が怒られたのはどういうわけだ、全くわからないという、そのことの説明を求めているのですよ。その感覚を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/43
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044・北島武雄
○北島政府委員 その感覚は私は全くよくないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/44
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045・小林進
○小林(進)委員 ないか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/45
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046・北島武雄
○北島政府委員 よくありません。それはやはり先ほど申しましたのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/46
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047・小林進
○小林(進)委員 あやまりなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/47
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048・北島武雄
○北島政府委員 それはいけませんから、私はここで前委員会において申し上げましたことは、今日つつしんで取り消させていただきます。やはり財産を差し押えしたと申しましても、その財産は人に対する債権でございますから、それで人がやはり差し押え通知を受けるということは、やはり私どもといたしましても、十分その点は考えなければならぬ、こう思っております。従って、こういう債権の差し押えにつきましては、一つやはりさらに一そう十分に慎重にいなさなければならぬ、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/48
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049・小林進
○小林(進)委員 今もお聞きの通りです。いやしくも、前回はわが党の代表理事の——平岡君は代表理事です。代表理事が、この委員会において、正式に速記をつけて、しかもまじめに答えろということに対して、何ですか。しかも債権者の甲、滞納者の甲が怒るのがあたりまえだ。縁もゆかりもない第三債務者——あとで言います。全部証拠書類がありますから、言いますけれども、一銭の債務も残っておりません。そういうものを、天から降ったか地からわいたか、気狂いのようにかみつかれて、一家の連中が転倒しておるにもかかわらず、その転倒して被害を受けた債務者の私が怒るのはおかしい、こういうような失敬な答弁を神聖なる国会の委員会においてしておいて、そうして私がここで聞いたら、事実を突きつけて私に迫られて、あやまりなさいとこう言われてから、初めてあやまるというような、一体こんな国家官吏がありますか。あなたは委員長です。この前も委員長をやられたでしょう。委員長はしかしよくよくこういう不謹慎きわまる答弁を黙って聞いていられた。これは委員長にも関する問題ですし、国会議員全般に対する権威の問題です。国税庁長官は官吏としては高級役人でしょうが、われわれは人民の代表です。民主主義のある限りにおいては、国会議員がこういうチャランポランの答弁をされることは、国会議員を出した人民を侮辱する。人民を侮辱するというのは民主主義を軽べつすることです。委員長からいま一回陳謝させて下さい。委員長から陳謝を命じて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/49
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050・植木庚子郎
○植木委員長 ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/50
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051・植木庚子郎
○植木委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/51
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052・小林進
○小林(進)委員 まあせっかくの委員長の仲介のお言葉がございますから、今後の処置は私はまた委員長と一つあらためて懇談することにいたしまして、きょうこの場で再度陳謝を要求することは一応差し控えておきますけれども、この問題はこれで了承したわけではございません。
次に、私は、もう時間がありませんから、問題を早急に申し上げますけれども、これは参考までです。
一体私がこの通知を受けて——先ほどから繰り返し申しました三月の三日に通知を受けてから、どういうような行動を受けたかを、私はほんの事務的にかいつまんでここで申し上げたいと思う。これは私自身のことを言うことで、心苦しいけれども、これが一般の、こういう不当なる督促を受けた善良なる人民がみな陥る共通の苦しみですから、その苦しみを私はここで具体的に羅列してみたいと思うのです。
まず、三月三日午後その通知を受けました。私の妻が受けますると、国会における私の秘書にあらましのことを電話を通じてきました。私はその通知を受けると、その晩は私は他所に行く都合があった。党の用事で行く都合があったのでありますけれども、急遽その予定を変更いたしまして家へ帰った。「そうしてその債権差押通知書」なるものを初めてそこで三日の晩見たのであります。それで、その内容は、先ほど申し上げた通り、百六十万の債権のうち三十万の残金がまだあるから、その中から一万三千九百何ぼを三月十五日までに渋谷の税務署に支払えという、こういう通知です。先ほどつべこべ国税庁長官は、何だ、何も債権者に払うことを押えたわけじゃない、迷惑はかけないと言ったが、これにはちゃんと期日を指定してある。三月十五日までに渋谷の税務署に支払えとちゃんと書いてあるでしょう。こういう通知書を私は受けたわけです。私どもの債権債務の関係は、私は神かけて申し上げますけれど、昭和三十三年の四月に完全に支払っておる。ちょうど衆議院の総選挙の始まる直前、あるいは最初のころに完全に支払っておる。それ以来、その債権者の日興建設から、もちろん済んでいるのでありますから、一同の督促も受けたことはありません。われわれはそういう問題は全く念頭になかった。それをかように唐突として督促を受けたのでありますから、いろいろなことがその中に想起をされたわけであります。政治家でありますから、あらゆる悪い場合を考えるわけであります。個人の問題に入りますから、私は具体的には言いませんけれども、日興建設の主人というものは、普通世間一般の常識からいっても、決して善良なる市民ではありません。まじめな家庭の主人でもありません。それぞれの実績、行動において、いわく因縁のついている日興社長の中山君から、こういうような税務署を通じての通知を受けることになりますならば、いろいろな場合が考えられる。まず第一に、債権はもう完全に済んでいるけれども、何か残金が残っているかのごとく問題を捏造することも、この男なら可能ではないか。そしていろいろなことをむし返してくるかもしれない。そのためには、支払ったという三十年から三十三年にわたる一切の私の証拠書類を、まず私どもは見つけ出さなければならない、一切の支払い受取証を全部見つけなければならないということで、私どもは急遽家庭内で相談した。なお、この中山という日興の社長は政治活動をしていますよ。何かの政党の準備運動もやっております。何やらという弁護士をかついで、次期選挙にはこれを立候補せしめようとしているやの運動をしているということも、みなわれわれは、自分の選手区内の問題ですから、聞いております。そういうような事実からも考えて、これはどうも存在しない債権を捏造して、ねらいは私の政治生命を奪うのではないか。これは、委員長、あなたも政治家ならば私の心境も了解してもらえると思う。私の政治生命を奪うのじゃないか、こういうことを一応私どもは考えたのです。税金を納めないで、税務署から差し押え通知書を受けた、こういうようなことを地方新聞に報道せられれば、政治家は負けなんです。あとへ回って、そんな債権はないと言ったって、言いわけはつかぬ。小林は国会議員をやっていながら、納税義務も履行しないやつだ、とうとう税務署から差し押え通知書をもらった、こういうことが新聞に載ったら、私の完全なる敗北じゃありませんか。そういうようなことを考えたら、いても立ってもいられませんよ。あなた方にはわかりますか。そういうようなことを考えて、そのまま眠れないのです。私だけじゃないですよ。家族のものがみんな心配している。とにかく妻は、その証拠書類の調査で極力家じゅうを探し回った。こんなのが新聞に出ないように、早く手を打たなければならない。一体だれが陰で何をやっているかわからないのだから、本体がわからないのです。税務署は一片の通知にしても、受けた者としては一片の通知とは見ないから、そこに何かあると思って、家探しをする。私は、その晩寝ずに、先ほど読み上げました抗議文を書いたわけです。そして翌日、第二日目の二月四日の金曜日でありまするが、私は悲壮な気持で登院したわけです。一体これをどう防止したらよいか。私の政治生命が奪われることになるのじゃないか。大きな陰謀があるかもしれないから、どうしてもこれを調べなければならない。帰ってきて、そこで偶然か幸運か、院内の廊下で平岡忠次郎委員に会ったのであります。あんたはちょうど大蔵委員だ、実はこういう問題であるが、一つ親身に私の相談を受けてくれないかというので、証拠書類を示し抗議文を示したら、これはどうもひどいじゃないか、小林君は抗議文を出してその控えをとっておけ、私が大蔵委員会で三月八日に質問しようということで、一応平岡委員との打ち合わせは済んだわけであります。
私は、その約束をとりつけると、直ちに自分の会館に帰って、長岡の税務署に対する前記の抗議文を作成した。そして秘書にポケットマネーを全部与えて、地元で何が起こっておるかわからないから、直ちに長岡の私の事務所へ帰って事実調査に着手しろということで、秘書を長岡の事務所に帰しました。しかし、私もどうも心配でいられませんから、その晩、王曜日の日程も一切の計画もやめにして、急遽汽車に乗って長岡へ帰りました。長岡へ帰りましたら、私の地元の事務所にいる事務長と、私の選挙のときの事務長、これは勤め人でありますが、その土曜日は休んで私を長岡駅まで迎えに出てきました。そこで三人で打ち合わせをいたしましたら、はからざりき、私の長岡の事務所にこういう通知書がいま一通来ておる。だからこれは二枚あるわけだ、内容は違いますけれども。いま一通の方は何か二万八千円ばかりの話でであります。これは私が債権債務の問題で訴訟を起こしておる訴訟係争中の問題だ。私の訴訟の相手は滞納者の鈴木という人です。今の日興建設でなくて、鈴木という人を代弁して、法律による税額は八千八百七十円、法律による利子税額が七千六百四十円、それから法律による滞納加算税が一千二百五十円、滞納処分費が四十五円、合計して一万八千円ばかりになる金額であります。そういうのを三月五日までに長岡の税務署へ支払えという通知書が来ておるので、長岡の事務所においてもてんやわんやの大騒ぎをしておる。そして、これはとても留守を預かっている事務員や私の秘書の手に負えないというので、勤めておりまする私の選挙のときの事務長を休まして——いまの通知書が事務所に着いたのは三日で、五日に一万八千円の金を長岡の税務署へ支払えという差し押え通知書でありますから、四日に私の事務長が長岡の税務署へ私の身がわりに出頭して、諸般の事情を聞いてくれました。そうしたら「滞納者の鈴木が言うには、あなたは何か七万円ばかりの債務を鈴木に持っておって、三月五日までに支払うということであったが、鈴木に支払ってもらうより税務署に支払ってもらうのが早いから、それで三月五日ということであなたに差し押え通知書を出した。」こういう話だ。そこで、何も私の方に確認しないで、そういう無鉄砲なことをやったのかと言うと、実は係が三回ばかりあなたの事務所に伺いましたが、留守でしたから連絡がとれなかったので、そのまま差し押え通告書を出した、こういうような言いわけであります。この問題は訴訟係属中の問題である。そういう問題に税務署が介入して、勝手に一方的な言い分を聞いてこっちに債権を督促するというのは言語道断だ。次官、聞いて下さい。こういうことをやられたというのでありますから、私はその事務長や秘書とそこで打ち合わせをやった。どうもこれは普通の問題とは考えられない。何か一つの、私の政治生命を奪うことを、陰の何かが税務署と結託した陰謀が含まれているというように、悪意の推定をせざるを得ない。そこで、どう処置したらいいものだろうという相談をいたしました。その結果、私どもは、ついに意を決して、長岡の弁護士宅を訪問いたしました。今までの諸般の経過、東京における差し押え通知書と長岡における差し押え通知書、この二本の通知書を出して、どうもおかしい、この陰には何かあるのではないか、某々税務官吏や何かが関係しているのではないかと、私どもはあらゆる角度から慎重にやったのでありますけれども、そのときの話では、私どもはどうもくさいという感じを受けた。これは政治家の政治生命を奪うような一つの陰謀がなされているのではないかということを、私どもは考えざるを得なかった。けれども、確かな証拠がございませんから、私はそれは申し上げませんけれども、そこで直ちに、私は、この問題は税務署に差し押えられたりしてから言いわけをしていくよりも、一歩先んじて、こっちが手を打たなければ何もかもふいであるということで、日興建設の社長なりあるいは鈴木なりを、名誉棄損である、債権は存在していないから詐欺だ、名誉毀損か詐欺だ、そういうことで直ちに訴えることにしょう、そして私どもの身のあかしを証明しようじゃないかということで、訴訟に関する一切の手続を私どもは弁護士に依頼してきたわけであります。
それから、私どもは、あとで申し上げますが、日興建設に対しては小さな口で全部支払っておりますが、先ほど申し上げましたように、最後の支払いのときには、選挙が始まった最中でありまして、私の事務所へ、日興建設の中山という社長が、まるで恐喝のように督促に来た。それで、私の選挙の会計並びに選挙の責任者は、選挙の最中にこういうのにこられたのでは工合が悪いからというので、金を払った。そして私は、選挙が済んでからその話を聞きまして、それで私は会計に怒った。なぜ私の許可を得ないで勝手にそんなものを支払ったのか、余分に支払っているのじゃないかと言ったら、うるさくてしょうがない、これでトントンだというのでともかく支払ったということで、最後の口としては五万、五万で十万円の金を支払って、これで最後だという確かな打ち合わせをしたということです。その支払った認証は、立ち会った証人もいるのです。その人たちを直ちに認証として確認しておかなければならない。相手は何をやっているかわからない。こういうことで、私の会計責任者、選挙事務長、選挙責任者を、その支払ったときの立会人としって、広い新潟県の第三区の端から端まで、その間にいる諸君と連絡をとって、こういう事態の跡始末をしなければならないということの打ち合わせをしようとして、その行動に移ったわけです。土曜日はそれで済んだわけです。第四日目の日曜日は、日興建設の社長がその後何をやっているか、その人の行動を私どもは精細に調査をいたしました。そして私どもの関係者の方へもいろいろと連絡をしたりして、社長がいろいろ行動を起こしていることに対して、一切の調査を私はやって、彼がそういうなき債権までも捏造して私を陥れるような行動ができないような予防措置を、自動車三台を使って私は日曜日一日やりました。それから、第五日目の月曜日の早朝、私は、私の選挙事務長をして、今度直接長岡の税務署長二戸氏に面会せしめるために、税務署に出張させました。私は二戸署長も知っております。知っておりますが、これとそれとは別ですから、私の事務長をして出張させました。その会見の模様では、こういう通知書を出すに至ったときには、署長はいなくて、総務課長の決裁でこの通知書を出しているということも確認してきました。しかし、二戸さんは、私は税務署長である限りは私の責任でありますということで、諸般の事情を言っておられたということで、その真相もわかってきたわけであります。そのようにだんだんたぐっていくうちに、この陰謀がそう根深いものでないということを、署長にその経過を聞いてわかって、私もやや安堵したわけであります。しかし、それまでに至る神経の消耗は、それは想像の及ばないものがありました。
そこで、私は、その報告を受けると同時に、今度は直ちに四、五里先の私の選挙責任者のところへ行った。そして、あなたは、中山日興社長に、昭和三十三年の衆議院議員の総選挙のさなかに、最後だと言って私の選挙の会計責任者が中山君に金を支払ったときに、あなたは責任者として立ち会ってくれたそうだが、そのときの現場はわかっているだろうと言ったら、それはわかっている。幾ら払っているかと言ったら、私の見たときは、五万円を出して、これでもう全部だ、終わりだという話をしているのを私は確認していると言われた。それでは私の選挙の会計責任者から報告を受けているのと違う。報告を受けているのは十万円だというふうに報告を受けている。それでは金額に差があるから、会計責任者の家へ行こうということで、その日は一日飛び回りましたけれども、あの広い新潟県の越後平野のまん中ですから、一人、二人伺っている間に、月曜日の一日は暮れてしまった。けれども全部支払ったということを私の選挙責任者は確認している。この人は長らく村長もやり、また終戦後から今日まで協同組合長もやっておりますし、そんな誤った証言をする人ではない。そういう人たちが確認して、払ったという認証を得ましたから、私は一応安堵して、国会もあることでありますから、その晩汽車に乗って東京へ帰ってきたのでありますけれども、帰る道中は、私は、常に高熱に冒されて、汽車の中ではほんとうに車掌さんから手厚い看護を受けながら上野駅に着いて、それ以後きのうまで寝てしまった。はやりかぜだといえばそれまででしょうが、しかし、その陰には、こういう精神的暴力のなぐり込みが、ついに十六日まで私をして横臥せしめてしまった。
その間、私の妻は、何といったところでその証拠書類、昭和三十年八月から三十三年の四月まで日興建設に支払った証憑書類の家探しに、あけても暮れても気違いのようになって探した。もう二年前に一切債権の支払いを完了しておると思っておりますし、督促もきていないのだから、そんなものは焼いてしまってないのがあたりまえだけれども、これがなくては、一体小林という者の政治生命がどうなるかわからないというので、妻は気違いのように毎日々々家の天井裏まで探しましたところ、辛うじて、一月十五日でありますか、そんなものは捨てたと思ったものが、はからざりき証憑書類が出て参りました。全部出て参りました。その中には、日興建設なるものの精算書と称して、三十二年十月に、あなたの借金はこれこれ払ってもらって、残金はこれだけでありますという、三十万円とは似てもつかない、ほんのわずかな残金を書いた請求書も出て参りました。それは、税務署あたりが不当に私を追及したことが立ちどころにひっくり返るような反証の書類が出てきた。その証憑書類を持ち出しながら、女房は泣いたり笑ったりして、まだきのうも一生懸命に支払いの期日の帳簿の整理をしております。同時に、税務署のことはわかりませんから、何といったところで税務署なんかに差し押えられてしまったらおしまいだから、とにかくあるなしのけんかは別として、三月十五日までに一万八千円は必ず払っておきましょうと言って聞かない。ことに相手は国家なんだから、あとになって言いわけがつかないから払いなさい。いやしくも法治国家の国民の代表たる国会議員、私がそんな金を払えるかと女房に向かってどなりつけた。しかし新聞の種になって悪評が飛んじゃかなわぬから、ともかく払いなさいと言ってしようがないから、ようやくなだめて私は今日に至っておりますけれども、これがあなたたちの通知書を受けてからの今日までに至るかいつまんだわが家の事情です。私の周囲の偽らざる状況です。これほど私は痛い日にあった。けれども、私は、先ほど申し上げたように、幸いにして国会議員の末席を汚しておるから、あなた方とこうして話ができる。しかし、私がこういうことを言っている陰には、こういうことを言えないで、何千人、何万人の人が泣いておるかわからない。あなた方はそんなことを言っておられますか。私は、試みに、第三債務者に対してこういうような一方的な国税庁の見解で、税務署の見解で督促された令状が一年に何ぼあるか、その計数を書類にして承りたい。全国を調べれば相当ある。第三債務者と称して、一体このような一方的な考えで、善良なる国民、泣いている人間が一年間に何ぼあるか。最近の数字を出していただきたい。こういうようなことで、私どもは精神的に苦痛を受けると同時に、秘書を走らせ、弁護士を走らせ、三日三晩選挙地を飛び回ってやっております。これで終わったわけではない。今訴訟が係属中であります。私の身のあかしを立てるためには、まだこれから長岡の裁判所で何年間か法廷闘争を続けていかなければならない。あなたたちの一片のこういう心ならざる行動によって、私どもはそれほど大きな苦痛を受けておるということなんです。一体民主主義のもとにおいてこういうことが行なわれているということを、あなた方は反省できないのですか。もしこの問題が一銭の債権も存在しないときに、あなた方は申しわけございませんで済みますか。私の精神的、物質的、物理的にこうむった損害をどう一体補償されるのですか。これを私は承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/52
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053・北島武雄
○北島政府委員 ただいままでの先生のお話を承っておりまして、私は債権の差し押えということはより一そう慎重にしなければならぬものだと考えております。単に滞納者の財産でなくて、滞納者に対する第三債務者の方々に対して非常に大きな深い影響を与える。もちろんこの差し押え通知によりまして執行力を生ずるものではございません。執行力を生ずるためには、さらに債権債務について争いが起きました場合には、裁判所の判決を要し、その上においての執行力ではございますけれども、一般のそういう事情を知らない納税者の方々に対しまして、そういう債権の差し押えということがどういう心理的影響を与えるか、私どもも今後税務行政上十分参考にして慎重に考慮して反省して参りたいと思います。もちろんこれは法権力の行使による行為でございますから、法権力の行使によりまして、そして不当に国民の権利侵害をいたしました場合においては、国家賠償法によって賠償の規定があるのであります。しかし、そういうことに至らないように、私どもできるだけ第三債務者に対しても十分万全を期したいと思います。
なお重ねて前回の委員会における私の失言を繰り返しておわび申し上げて、御了解を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/53
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054・小林進
○小林(進)委員 私は最初から委員長に一時までと時間をお願いしておきましたにもかかわらず、委員長の寛大なるお計らいで二十五分時間をオーバーいたしましたので、これで私の質問を打ち切りたいと思いますけれども、今までの国税庁長官並びに大臣代理の答弁をいささかも了承したわけではございません。従って、この問題はこれで打ち切ったわけでもございません。私が国会議員である限り、この問題に明確な黒白の判定が下されるまで、責任の帰属が明らかにされるまでは、私は、あらゆる委員会、あらゆる場所を通じてこの問題を蒸し返し、責任の追及を断じてゆるめませんことを申し上げて、本日はこれで打ち切りといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/54
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055・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 私は、今までの小林委員の御質問、また政府委員の御答弁を承っておりまして、もし小林委員のおっしゃる通りの事実でありますならば、これはまことに申しわけないことでありまして、小林委員のおっしゃるように、この国会でお話しになる人はほとんど小林委員のようなお方なればこそおっしゃるので、大部分の方は泣き寝入りということでありますから、このようなことのないようにこの際よほど反省しなければならぬ。しかし、私は、まだ事実を確認しておりませんし、役所の内部においてその弁明も聞いておりませんので、私は私の立場で至急部内でよく事実を確かめ、また弁明を承って、そして私の責任において次回の委員会で御答弁なりまた善処の報告を申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/55
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056・植木庚子郎
○植木委員長 午後二時三十分に再開することとし、この際暫時休憩いたします。
午後一時二十七分休憩
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午後三時二十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/56
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057・植木庚子郎
○植木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
平岡委員より資料の要求について発言を求められておりますので、これを許します。平岡忠次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/57
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058・平岡忠次郎
○平岡委員 午前中の質疑に関連する必要資料といたしまして、政府は、長岡税務署による滞納者の差し押えに関し、第三債務者に対する債権差し押えの令書を出した事例を、その内容に触れて、三十四年度のものを月別に提出されたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/58
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059・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 ただいまの平岡委員の御要求の資料は早急に整えて提出いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/59
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060・植木庚子郎
○植木委員長 経済及び技術協力のため必要な物品の外国政府等に対する譲与等に関する法律案を議題といたします。
本案に対しまして修正案を提出いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/60
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061・植木庚子郎
○植木委員長 修正案は別途お手元に配付してございます通りでございます。その趣旨といたしますところは、「外国政府」という用語のうち、「外国」という部分の意味は、言うまでもなく、日本以外のすべての国々を包含するものでありまして、あまりにも広範に失するきらいがあり、適切でないのみならず、過日の本委員会における質疑応答で明らかになりました通り、本法律案の提出者たる政府の意図も、修正案にいう「開発途上にある外国」というにあるようでありますから、本修正案の通り修正せんとするものであります。
以上が本修正案を提出いたしました趣旨日であります。
これに対して御質疑があれば、これを許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/61
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062・植木庚子郎
○植木委員長 御質疑がないようでございますから、これにて本法律案及び修正案に対する質疑を終了いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/62
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063・植木庚子郎
○植木委員長 なお、本法律案及び修正案に対しましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。
経済及び技術協力のため必要な物品の外国政府等に対する譲与等に関する法律案を採決いたします。
まず、修正案について採決いたします。
お諮りいたします。本修正案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/63
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064・植木庚子郎
○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決されました。
続いて、ただいま可決いたしました修正案による修正部分を除く原案について採決いたします。
お諮りいたします。これを可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/64
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065・植木庚子郎
○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は修正議決されました。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/65
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066・植木庚子郎
○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/66
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067・植木庚子郎
○植木委員長 昭和二十八年度から昭和三十四年度までの各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び補助金等の臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案の二法律案を一括して議題といたします。
質疑の通告があります。これを許します。石村英雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/67
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068・石村英雄
○石村委員 私は補助金等の臨時特例等に関する法律についてお尋ねいたします。
これは、御承知のように、二十九年からその後毎年のように繰り返して出されておる法律と思いますが、二十九年当時より今日は、ずいぶん日本の経済、財政の状況も違ってきておると思うのです。これが相変わらず毎年一年の時限立法でお出しになるわけですが、その点をお尋ねしたいと思います。まず政府の提案理由の説明を見ますと、こういう法律を作る理由が、「国の財政の健全化をはかる等の目的から、」ということに書いてあります。財政の健全化をはかるということは、わかり切ったことで何のことかわかりませんが、「等」とまた複数になっているわけですけれども、健全化以外にどういう目的があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/68
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069・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 国の財政の健全化のほかにも、補助金の支出をできるだけ合理化して参りたいというふうな意味合いで、提案した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/69
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070・石村英雄
○石村委員 そうすると、健全化ということと合理化ということは別の目的になるわけですか。健全化というのもわかりません。わかると言ったらわかる。わかるということは、雨の降る日は天気が悪いという意味では、わかるといえばわかるのですが、これは健全化をはかる、そうして別に合理化をはかる。それはまあ雨の次の日は今度は天気、犬が西を向いたら尾が東というようなもんだというのと同じような御説明じゃ困るのですがね。もっと何か別の性質の違った目的があるのじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/70
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071・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 私もかねてからこの法律案は毎年当委員会で審議をして承知しておりますが、大体補助金を支出いたしますにつきましてもできるだけしぼって、そうして出すにしてもよほどやむを得ず、まあ合理的に支出するというか、有効に使用できるものだけにしぼっていこう。補助金というのを全体としてはなるべくしぼっていきたいということで、この法律が初めからできておるわけでありますので、その点は石村委員もよく御承知のことと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/71
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072・石村英雄
○石村委員 われわれは、毎年のように繰り返されたから、かえって鈍感になりましてね。あらためてこの法律を見直すということを今までやらなかったわけですね。そういうことじゃよろしくないと思うのです。しかも昭和二十九年当時と今の日本の経済、財政の状態は非常に違っておるわけなんです。従って、この法律というものをもっと真剣に検討してみなければならぬ。そこで、政府のお出しになった理由を明らかにしていきたい。その政府の理由は、「健全化をはかる等」と書いてある。はかる目的ということなら健全化とは何かというだけでいきますが、「等」というのですから、ほかに何か目的があるのじゃないか。それで、ただいまの御答弁だとなるべく出したくないという話であります。やはり出す必要が一応あると考えて法律はできておると思うのです。それをなるべく出したくないというのは、それほど出したくないものなら、法律をやめてしまえばいい。こんな時限立法でやる必要はない。もっとはっきりした——どうも、御答弁を開くと、提案者がこの法律の目的を認識しておいでにならぬような点があります。これじゃこの法律を通すわけにいきません。もっと明確な答弁をして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/72
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073・小熊孝次
○小熊政府委員 補足してお答えいたしますが、政府の財政の健全化をはかるという面、これは最も大切なことでございますが、なお、それのみならず、財政の健全化をはかるにつきましても、補助金というものにつきましては、これは整理しさえすればいい、こういうことではございませんで、やはり出すものは出す、適当でないものはやめる、こういう方針でいくのが従来の政府の方針であったわけでございますが、ここで「健全化をはかる等」と申し上げますのは、これは、二十九年当時から、たとえば地方行政の調査会とか、そういうところでもいろいろ答申がございまして、国と地方との負担関係というものはどうあるべきか、たとえば経常的な職員の補助金、こういうようなものにつきましては、そういう委員会におきましては、政府に対する答申としましては、やはり地方自治の本旨から申しまして、経常的な職員というものは地方団体の財政でまかなうべきであって、それをひもつきに補助金にするのは適当でないとか、そういうような補助金の理想と申しますか、あるいは国と地方との財政負担との関連から申しまして一つの理想というようなものがございまして、そういうものの見地からも、補助金の臨時特例といたしまして、もう既成事実としてその当時としてはあったわけでございますが、それを暫定的に補助割合とかそういうものを変えまして、そして漸次そういう委員会の精神をくみまして整理していこう、こういう趣旨も入っておるわけでございます。単なる財政を健全にすればいい、すなわちロスがなければいいというだけではございませんので、やはりそこに国と地方との負担の関係というものはどうあるべきか、そういうような要素も含めまして、この補助金臨特というものができておったわけでございます。それにつきましては、毎年々々同じようなものを一年延ばしにしておるのはけしからぬじゃないかというおしかりでございまして、まことに申しわけなく思うのでございますが、われわれといたしましても鋭意努力いたしまして、当初二十一件ばかりございましたが、現在では十一件ございます。その整理いたしましたのは、大体国会で御議決いただきました補助金の臨時特例の趣旨をくみまして、おのおの実体法、そういうもので組み入れて参ったわけでございます。現在残っている十一件につきましても、この提案理由で詳細御説明いたしましたように、漁船損害補償の関係あるいは造船利子補給の関係につきましては、今回別途提案いたしておりまところの二法案によりまして、補助金臨特の趣旨をくみ入れました改正を盛り込みまして提案、御審議いただいておるわけでございます。政務次官の答弁の趣旨を補足いたしまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/73
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074・石村英雄
○石村委員 あまり言葉にひっかかったような質問は控えたいと思いますが、そうすると、今まで二十何件あったものが整理されて十一件残っているというのですね。この十一件というのは、結論からいえば、政府としてはどういう処置をするか、まだ根本的な見解が確定しないから一応暫定的に取り上げるというので、場合によれば来年からはもとに復活するということにもなる。今どうしていいかわからぬ、とにかく金を出すことはやめようということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/74
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075・小熊孝次
○小熊政府委員 お答えいたします。
この補助金の臨時特例の性格は、各省にまたがりますところの実体法に関係するものでございます。従いまして、各省とのいろいろな交渉におきまして、まだ補助金臨特の趣旨をそのままくんだ実体法の改正ということについては話し合いがつかないという問題として、ただいま私が申し上げました十一件が残っておるわけでございます。政府といたしましては、ただいまの十一件につきまして、今回別途提案いたしている二件を除きまして、あと九件につきましては、はなはだ恐縮でございますが、さらに一年時間をおかし願いたい。またさらに各省とも検討いたします。各省といたしましても、やはりその所管行政を担当しておる責任がございますので、それをそのまま補助金臨持の現在の暫定的な措置を決定的な制度としていいかどうかということにつきましては、やはりいろいろ問題もあるようでございますので、その点につきましては、政府内部におきましてさらに慎重に検討して参りたい、このように考えておるわけであります。この三十五年一年間は、この臨時特例法による措置によりまして実行するわけでございますが、それが恒久的な制度にならないというだけでございます。その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/75
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076・石村英雄
○石村委員 そうすると、この関係法律を臨持の趣旨に基づいたようにやめてしまうということは、それぞれの各省の方からまた反対があって、そこまでは踏み切れない、しかし、今年だけはやめましょうというなら、泣き泣き各省があきらめて承認してくれた、こういうことなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/76
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077・小熊孝次
○小熊政府委員 ちょっと泣き泣きという言葉が適当かどうかわかりませんが、暫定措置としてならばよろしい。やはり恒久的な制度に直すと、各省の立場といたしましても、決定的にこういう補助金臨特の制度そのものにするということは、所管大臣、所管省といたしましてはやはり問題があり得るわけでございます。暫定措置としてのこの補助金臨特という制度につきましては、これは泣き泣きというふうなことではなしに、それはけっこうです、こういうことになっておるわけでございます。各省等と十分相談の上やっておることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/77
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078・石村英雄
○石村委員 大蔵省といたしましては、この臨特は全部やめたいのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/78
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079・小熊孝次
○小熊政府委員 大蔵省といたしましては、ただいま残っておりますところの案件につきましては、補助金臨特の趣旨で実体法を改正して参りたい、このように考えておりますが、しかし、これは政府全体の問題でございますので、各省と十分話し合いをした上で解決をしていきたい、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/79
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080・石村英雄
○石村委員 私は何も大蔵省を攻撃しようと思っているわけじゃないのです。補助金というものは常に問題がある。従って、これはもっと広範囲に補助金行政に関しては検討しなければならぬと思うのです、与党とか野党とかいう意味ではなしに。そこで、大蔵省としては、もっと自信のある見解を持って、これに対処すべきだと思うのです。それにわれわれが賛成するしないは別ですよ。ただその日暮らしのような態度をもって進められるということは、おもしろくないと思うのです。そこで、関連してお尋ねいたしますが、現在の補助金について詳細な御調査をなさっていらっしゃいますか。よく、行政管理庁か何かの方から、また世間の方でも問題にしておりますように、補助金が末端にいったら百円とか二百円しかならない。何の役にも立たぬような補助金があるというような話もよく聞くわけなんです。はたしてその通りであるかどうか。またそれはなぜそんなことが起こるのか。あるいは総花的にそのわずかな補助金をばらまくからそうなるのか。まとめて役に立つように使えば、その補助金も必ずしも効果のないものでもないということもあるわけです。そういうことに対する全般的な調査はなさっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/80
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081・小熊孝次
○小熊政府委員 補助金に関しまするところの実態調査につきましては、補助金の整理と申しますが、先ほどちょっと申し上げましたように、やはり補助金そのものが絶対いけない、こういうことではないわけでございます。また悪い補助金は整理としていかなければならぬというのがわれわれの立場でございますので、やはり実態に即しまして、補助金の行政と申しますか、それが一体実態はどうなっておるかということにつきましては、もちろん行管の方でもいろいろ調査になっております。また検査院も検査院的な立場から調査いたしております。それから、われわれ大蔵省の方といたしましても、補助金係を作りまして、毎年一定の補助金につきまして実態調査をする、こういうことにしまして、その調査の結果、ただいま申し上げました各種の調査なり検査の結果をしんしゃくいたしまして、そうして予算編成に資する、こういう立場でおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/81
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082・石村英雄
○石村委員 その調査された全般的な調査の資料を一つ出していただきたいと思います。私たちも、補助金というものについては、ずいぶん疑問を持っておる面もある。言葉で補助金と言えば、なるほどいいようですが、実態は必ずしも意味をなさないような補助金もある。それは補助金自体が悪いのか、行政が悪いのか、どっちかわかりませんが、そうした実態を十分承知したい、こう思うわけです。従って、私は、毎年このような臨時特例でやるということはおもしろくないと思うのです。やめるべきものはちゃんとやめる。あるいはまた、昭和二十九年は、例の不景気のあとで、財政緊縮というような目的もあってやられたことだとも思うのです。今日あの当時の財政状態と比べてみると、非常に拡大しておる。そうすると、必ずしもやめなくてもいいじゃないかという部面も、あるいはあるのではないかと思うのですが、これは検討を加えないと、いいとか悪いとか言えないと思うのです。従って、われわれは実態について十分なことを承知しませんから、この法律がいつ上がる上がらぬは別として、早急に現在の補助金の実態についての詳細な資料を出していただきたいということを、まずお願いいたします。
そこで、少し具体的にお尋ねしますが、まず、この臨特では、文部省関係で、第一条に、公立高等学校の定時制課程の職責費の国庫補助法、これの施行を停止するということになっておりますが、現在この法律通りにやるとすれば、幾らの金額が必要か、それを復活したら一体どんな不合理が起こるか、金額が多い少ないということも、学校が少ないというようなことも、いろいろあるだろうと思うのですが、現在やるとしたら、総額どのくらい必要であるか。われわれは、高等学校の定時制などでなくて、全日制の方を希望しますが、現在やむを得ず定時制に行っておる学生もおいでになる。従って、これに対する職員なんかも十分備えて、本来不十分な定時制の教育をりっぱなものにむしろすべきじゃないか、こう考える。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/82
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083・小熊孝次
○小熊政府委員 公立高等学校の定時制課程職員費国庫補助法でありますが、これはこの法律によりまして停止をするということになっております。ただいまの先生の御質問に対して率直にお答えいたしますと、これは、昭和二十三年、二十四年当時に、予算に補助金が計上されたわけでございます。その後、地方財政平衡交付金法の制定に伴いまして、交付金の方に組みかえてしまったわけでございます。従いまして、その後二十九年まで法律がございましたが、ずっと停止状態になっておったわけでございますが、二十九年のときに、補助金の整理をするという段階におきまして、そういう法律はあるけれども、すでに平衡交付金に組み入れられておるから、これは実効がないのだということを明らかにする意味合いにおきまして、この法律に載せたわけでございます。それで、その後、しからばこの法律が現在あったならば幾ら予算に計上しなければならないかという問題につきましては、はなはだ恐縮なんですが、数字はつかんでおりません。ただ御参考までに申し上げますと、二十三年、二十四年当時には、五億円程度の予算が計上されておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/83
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084・石村英雄
○石村委員 二十三年、二十四年の五億円が今日そのままではないと思うのですが、お調べになっていないということですから、聞いたってしようがありません。しかし、今理由としてお述べになったことは、私はまことに合点がいかない。なるほど、あの当時の平衡交付金という形は、下から積み上げていくやり方なんです。そして平衡交付金を出す。今日では、地方交付税というものは三税の二八・五%ですか、頭から総額というものはきまってしまう。以前の平衡交付金のやり方とは全く違っておるわけです。下から積み上げた金額を国から出すというのではなしに、所得税や法人税、酒税、この三税の二八・五%を地方交付税として出すというように、頭から総額はきまってしまう。それを分けるについて、基準の算定の仕方はいろいろあると思います。あるが、いずれにしても、それだけの金は地方財政の分として頭からいくわけです。これを入れようが入れまいが、いくわけです。だから、平衡交付金時代に平衡交付金の方へ入れたから、これはもう必要がなくなったからという趣旨では、現在の交付税の制度からいえば、そのままでは受け取りかねるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/84
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085・小熊孝次
○小熊政府委員 交付税は、確かに、おっしゃいますように、国税の三税に対して一定の割合で交付するわけでございます。平衡交付金時代におきましては、具体的に下から積み上げまして、そしてその需要を一定の基準で算定いたしまして交付する、こういうことになっておったのであります。この公立高等学校定時制課程職員費国庫補助法の補助の方は、これは平衡交付金時代にできた制度でございまして、そのときに、先ほど申し上げましたように、二十三年、二十四年は予算に計上いたしましたけれども、その後、具体的にそういう積み上げ計算での交付金法で交付金を交付することにいたしまして、事実上ストップになっておったわけでございます。それを、先ほど申し上げましたように、二十九年度の臨時特例ではっきり停止、こういうことにいたしておりますので、御了承願えるのじゃないか、さように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/85
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086・石村英雄
○石村委員 停止していることは、この法律が出ているからわかっております。しかし、停止した理由が、平衡交付金のときと今度は違うじゃないか。平衡交付金のときその算定の中へ入れたから、あれはやめたんだという考え方でこの停止が行なわれたのならば、交付税法の交付金の方に変わったときには、これは理由が全然違わなければならない。これを入れようが入れまいが、一定の金というものはいくわけです。それは、言い分があろうがあるまいが、停止されようがされまいが、地方財政全体として三税の何%というものがいくわけです。平衡交付金のときには、これを停止したから、こっちの方へ入れて、現実に金をやるという方法が行なわれて、どっちからいこうと同じことじゃないかという理論が成り立ったかもしれない。しかし、交付税法になったら、その理由は通用しないと私は思う。現実にこれを除けば、それだけのものが地方に対して金がいかないということになる。平衡交付金のときなら、平衡交付金の方へ入れたから、こっちから出る分がその平衡交付金で出ていくので、右と左との出場所が違うだけで、地方財政の受け取る金は同じだということになる。ところが、現在はそうじゃない。これを復活したら交付税が減るかといえば、減りはしません。だから理由が違わなければならない。交付税はたしか二十九年のときにできたと思いますが、できるときに、お前たちがうっかりしておったから知らぬと言うわけではないでしょう。やはり違っておれば、今になってもやり変えなければならない。平衡交付金で出すことにしたからという御説明なら、私は受け取りかねる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/86
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087・小熊孝次
○小熊政府委員 交付税にいたしましても、それから平衡交付金にいたしましても、その財政需要を測定するのは、単位費用で測定するわけでございます。公立高等学校の定時制課程職員費というものにつきまして、財政需要の中に一応見込んでございまして、これは大部分一定の基準で見込むわけでございますから、それにつきましてさらに補助金を交付するということになると、実質的にはダブる。こういう問題になることは、交付金制度の場合でも、それから交付税の場合でも実体は変わらないのじゃないか、このように考えられるわけであります。それで、ただいま申し上げましたように、もちろんその組み方と申しますか、その点は違うと思いますが、しかし、やはり法律で一定の財政需要というものを測定いたしまして交付するわけでございます。その中には入っておる、こういうことが言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/87
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088・石村英雄
○石村委員 私の地方交付税の交付金というものに対する理解が間違っておるかもしれませんが、私が言う理由はこうなんです。平衡交付金の場合には、地方の財政需要を積み上げて、総額幾らで金を出す。ところが、交付税の方は、今度は三税の何%といって、総額はもうきちっときまっておるわけです。その中がどういうふうに算定されようと、甲という地方に出す金、あるいは乙という地方に出す金についても、算定の基準はあるかもしれないが、総額は狂わないはずです。約三千億なら三千億という——三税の二八・五がかりに三千億とすれば、三千億は、これをどっちにどうしようと、減りもしなければふえもしない。しかし、これを停止しないで、相変わらず本法通りにこの補助金をやるということになると、三千億プラスそれだけのものが地方にいくはずだ。それが間違いだ。やはりこれを復活しても三千億しか地方にいきませんぞということなら、私の言うことが間違いだろうと思う三千億なら三千億というものは、三税の当然のパーセンテージとして出た数字で、それは狂わない。この臨特の適用をやめたら、それにプラス十億なら十億というものが交付税の場合には地方にいくはずだ。平衡交付金ならばこっちに入れてこっちへやれば同じかもしれない。私の解釈は間違いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/88
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089・小熊孝次
○小熊政府委員 交付税の財源そのものといたしましては、ただいま先生のおっしゃる通りであります。ただ、その交付の方法が、各地方公共団体に対しまして、その財政需要をどういうふうに見るか、それによって具体的に財源が配分されるわけであります。それは、交付金当時も、交付税時代も、実質的にはそう変わりはないわけでございます。もちろん単価とかその点が違って参っておることは当然でありますが、考え方としてはそう違っておらないわけであります。ですから、交付金時代に財政需要を組み上げたことによって、この定時制の国庫補助法の方が幾分実質的に作用をなさなくなったと言っておる場合におきましても、そういう面から見ますならば、交付金の場合でも、交付税時代になっても同じであると考えてしかるべきであろう、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/89
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090・石村英雄
○石村委員 交付税はひもつきじゃないはずです。あれは算定の基準にはいろいろ基準があるが、その基準通りにみな分けていけということじゃないでしょう。その基準で算定したものを総額でそのように分けて地方にやるわけでしょう。それとも、これが入るか入らぬかで、三税の何%の分の総額で三千億円が、これがあったら十億くらい減ったりふえたりするのですか。そんなことはないのでしょう。やはり三千億というパーセントではじき出した総体の金額というものは、地方財政にいかなければならぬでしょうこれは、算定基準の関係で、総額がそれにならなくてもいいということになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/90
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091・小熊孝次
○小熊政府委員 もちろん財源としてはひもつきになっておるから、それだけはいくわけでございますが、その配分の場合に、たとえば測定単位で測定いたしまして、そうして各場合にたとえば剰余があるというような場合におきましては、これはやはり特別交付税なら特別交付税の方に繰り入れる。こういうような措置をやっております。従いまして、財源としては今石村先生のおっしゃる通りでございますが、やはり法律に基づく単位費用によりまして、各地方団体の財政需要をはじきまして、そのはじく中に関係の経費というものが見込まれておれば、それで一応見たということになるのでありますから、その限りにおきましては、交付金時代におきましてもやはり実体は同じではないか、このように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/91
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092・石村英雄
○石村委員 どうもわからぬのです。端的に聞けば、これを復活しても地方にいく補助金は違いはないのです。個々の町村のことを問題にしておるのじゃない。地方財政全体に対して、これをかりに復活しても総額は同じことだ。地方にいく金は交付税以外にこの補助金がいくということはない。この分がいけば交付金が総体で減ってしまうということですか。それならあなたの言われることはわかる。三千億がこの関係で十億減る、そして三税の何で出した金の中から十億はまた国庫の方に戻るというのならわかりますが、私はどうもそうじゃないように思う。かりにこれが復活すれば、交付税交付金全体額に復活した分だけが地方にいくはずだ、こう思うのです。そうでないというならないという——こっちがしろうとで説明しにくいかもしれませんが、今の私の質問に対する端的なお答えを願いたい。つまりこの分が十億あるとします。そうすると今年の二千何百億ですか、約三千億としておきます。三千億プラス十億になるのか、やはり三千億のままであるのか。それを三千億のままだとすると、三税の何%ではじき出した金はまた一般会計に戻さなければならぬというのか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/92
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093・小熊孝次
○小熊政府委員 かりに三千億といたしました場合に、この法律が復活いたしましょうが、そうでなかろうが、三千億そのものが交付税でいくということには影響ございません。それがまず第一でございます。
それから、第二番目に、この法律そのものがかりに停止措置というものが除かれた場合に、それじゃ直ちにその補助金を交付するか、こういう問題になるのです。あるいは所要額を見るか、こういう問題でございますが、これにつきましては、この法律ができました際にもいろいろ議論せられたわけでございますが、これは、政府の見解といたしましては、これは交付金あるいは交付税の単位費用に織り込まれておるのであるか復活はしない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/93
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094・石村英雄
○石村委員 復活するしないはあくまでやり方の問題です。現在のこの法律で公立高等学校の定時制課程職員費国庫補助法がそのままで生きたら——それをまた別の法律で修正すれば別ですが、とにかくこの法律がこの臨特で停止されたものが生きたら、十分の四の補助金というものは当然出ていくと一応考えるのですが、そうじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/94
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095・小熊孝次
○小熊政府委員 これにつきましては、当時この法律ができました際にもそういう議論が出たわけでございますが、そのときから一貫いたしまして、これは平衝交付金の方に算定基準として入れられる。そちらの方からはずされてしまえば、それは別問題です。それですから、その中の要素からはずされてしまった場合に、こちらから出ていくということは、当然停止措置がはずされればそういう問題が必ず出て参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/95
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096・石村英雄
○石村委員 つまり平衡交付金という制度と地方交付税交付金という今度の制度は違うということを、まず前提にはっきりさせなければいかぬと思うのです。平衝交付金時代なら、それは平衡交付金の方から出せば、こっちはやめても同じことです。平衡交付金の方へ入れなければ国庫補助法の中から出す、平衡交付金の中に入れたら国庫補助金の方をやめる、同じことだという理屈は立つと思うのです。しかし、地方交付税の交付金というものに変わったら、これは違ったことにならなければうそだと思います。平衡交付金も地方交付税交付金も全然同じものだということは、私はあり得ないと思うのです。法律の根本精神が違っておるはずなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/96
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097・小熊孝次
○小熊政府委員 公立高等学校定時制課程職員費用庫補助法がかりに復活になった場合におきましては、平衡交付金の場合におきましても、それから交付税の場合におきましても、それは、単位費用の中に入っておるわけでございますから、そういう意味からダブって出すということはおかしいわけでございまして、そういうことはないというのが政府の方の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/97
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098・石村英雄
○石村委員 単位費用の中へ入っておるのが今度当然入らなくなるでしょう。交付金の分は、今までその方で単位費用に見ておったが、今度はこっちから出ることになるからなくなるでしょう。なくなるが、交付金自体は減ることはないはずだ、私はこう言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/98
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099・小熊孝次
○小熊政府委員 その通りでございまして、単位費用からはずしまして、そうしてはずしてもはずさなくても、三千億なら三千億というものには影響はございません。それで、一方単位費用からはずしますれば、かえって国庫補助の方から出す。これは、実質からいっても形式からいっても、先生のおっしゃる通りになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/99
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100・石村英雄
○石村委員 従って、これを停止しておるということは、地方財政には以前と違ってそれほどマイナスになっておるという現実だけは間違いない。平衡交付金に回したときにはプラス・マイナス・ゼロかもしれぬ。今度の場合はプラス・マイナス・ゼロではないということになって、少なくとも、地方団体からいえば、これだけは現実には総体においてマイナスになっておるということは言えるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/100
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101・小熊孝次
○小熊政府委員 マイナスになっておるという問題でございますが、これはだいぶ前からの問題でございますし、そういう問題は、補助金整理なり何なりをいたしまして、交付税計算に入れるといったような場合には、必ずマイナスになるわけでございますが、何でもかんでもそうやるというわけではございませんで、やはり経常的な職員とかそういうものにつきましては、なるべく交付税の方でまかなってもらう、こういうような考え方に基づいておるわけでございます。その利害得失はいろいろあるかと思いますが、そういう方針によって処理しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/101
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102・石村英雄
○石村委員 あなたは、何とかしてこれを合理化しよう合理化しようと、無理なことをやっているのですね。これは出す出さぬは別ですよ。とにかく交付税というものの性格と平衡交付金の性格が違っておるということと、そうしてこれを復活するかしないかで、とにかく地方財政には、いい悪いは別として、少なくともそれだけの、総体において金額的には地方へいく金が減るということだけは間違いないという事実関係だけでいいのですよ。私の言う趣旨は間違いか間違いでないかだけを一つ御返答いただいて、次に進みたいと思います。私の言う考え方は間違いじゃないでしょうか。総体において言う場合ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/102
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103・小熊孝次
○小熊政府委員 交付税をかりに三千億と見まして、補助金を減らしてやる場合と、それから補助金を復活しない場合には、確かに先生のおっしゃる通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/103
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104・石村英雄
○石村委員 次の産業教育振興法に基づく補助の特例という分も、これは大したことではないかもしれませんが、これは金額が幾らくらいと計算していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/104
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105・小熊孝次
○小熊政府委員 これはおっしゃいます通りに金額は大したことはございませんが、百四万三千円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/105
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106・石村英雄
○石村委員 次の厚生省関係、児童福祉法に基づく母子手帳の作成、これの二分の一というのをやめるというのですが、社会保障を本気でやろうというときに、二分の一をやめるというのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/106
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107・小熊孝次
○小熊政府委員 母子手帳は、戦時中あるいは戦後におきまして、いわゆる妊産婦手帳といわれたものであります。これは、その当時におきましては相当物質が不足しておりまして、妊産婦用あるいは乳児の各種の日用品、主食、そういうものの増配関係が主たる任務であったわけですが、そういう切実なる要求もあった関係もありまして、この母子手帳関係は非常に普遍的に普及しておりまして、これは一々金額も零細でございますし、それから補助金としてひもつきにしておくということは適当でない。むしろある段階まではそういう補助金をやっていって改善あるいは普及をはかることはいいのでありますが、もうすでに普及しておりますので、また金額的にも一県当たり十五万円という少額なものでありますので、そういう意味で二十九年からやめることに暫定措置を講じて参ってきたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/107
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108・石村英雄
○石村委員 次の母子福祉資金関係、これは母子相談員に関する費用ですが、二分の一の国庫補助負担は総体でどのくらいになっておりますか。こういう相談員はしろうとが考えるとやはり大いに拡充しなければいけないのではないかと考えるのですが、これを現在依然としてやめておるというのには、何か積極的な理由があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/108
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109・小熊孝次
○小熊政府委員 母子相談員でございますが、まず金額でございますが、これによって節約される金額は五千二百七十七万六千円であります。これを停止いたしました理由といたしましては、母子相談員、これはもちろん、当初設立いたしました際には、その必要があって補助金を負担したわけでありますが、その後の経過を見ましても、他の社会保障関係の地方団体の職員、たとえば生活保護法とか、あるいはその他の児童福祉法によるところの児童福祉司あるいは身体障害者福祉司、こういうような職員の方々も県費支弁の職員になっておりまして、地方制度調査会の答申といたしましても、こういう経常的な職員の設置補助金というものはなるべくすみやかにやめるべきであるという答申もございまして、ほかの社会保障関係の職員と同様な扱いにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/109
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110・石村英雄
○石村委員 次は、農林省関係であります。この農林省関係の総体の金額と、やめる趣旨はやはり同じような趣旨かもしれませんが、一応伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/110
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111・小熊孝次
○小熊政府委員 まず十二条の漁業法関係でございますが、漁業調整委員会と内水面漁場管理委員会に関する費用であります。これは補助率が十分の十と実体法はなっておりますが、これにつきまして委員手当の方は実体法通り十分の十といたしまして、その他の経費につきましては三分の二にいたしております。これによりまして節約できる金額は三千二百七十四万四千円でございます。これをこのように取り扱いました趣旨は、これは漁業調整委員会あるいは内水面漁場管理委員会というのは、最初は漁業改革という国家的な制度を担当させるという趣旨から出ておったわけでありますが、それが二十七年の新旧漁業権の切りかえによりまして一段落いたしまして、国家事務を分担するよりは、むしろ地方的な事務の色彩がだんだん濃厚になって参ったわけであります。その後地方財政法を改正いたしまして、漸次やはり地方団体で負担して、そうして国が補助する制度、こういうふうに他方財政法の方も切りかわって参ったのであります。そういう意味も含めまして、やはり国と地方の分担関係を国が全額持つというのも適当でないわけでありまして、委員手当につきましては十分の十でございますが、その他の経費につきましては三分の二にいたしました。
それから、次に、十三条関係でございますが、家畜伝染病予防法でありますが、これにつきましては、内容は家畜伝染病以外の寄生虫病の発生予防につきましての薬品の購入費とか、それから家畜防疫員の旅費等についての負担関係でございます。これは十分の十になっておりますが、これを二分の一にしております。
〔委員長退席、坊委員長代理着席〕
すなわち寄生虫関係だけに関連しますものでございますが、家畜伝染病プロパーでございましたら、伝染性もございますのであれでございますが、寄生虫病は伝染性という見地からいってもそうでもございませんので、これにつきましては半分程度、こういうことにいたしたわけでございます。
それから、次は、水産資源保護法でございますが、これも十分の十の補助率を二分の一にいたすわけでございます。
先ほどの家畜伝染病予防法関係の節減率は三百八十万円でございます。それから水産資源保護法関係は三百六十八万円でございますが、これも、現在の水産資源の保護の実情を見ますと、やはりこれは貝類でございますが、帆立貝、アワビ、ハマグリ、こういうものでございまして、これの養殖関係についての補助金でございます。これにつきましては、大体移動性の少ないものでございますので、やはり地元の益するところが相当ございます。従いまして、全部国が持つという関係も適当ではないじゃないかということで、二分の一を負担しているのが実情でございます。
漁船損害補償法は、義務付保の漁船につきましては国庫が二分の一保険料を負担する、こういう規定が現行法にございます。これにつきましては、今回別途国会に漁船損害補償法の改正案を出しております。その義務付保漁船の範囲というものをどうするかとい問題でございますが、実体法でございますと、一定の地区にありますところの漁船につきましては、その所有者の貧富の差を問わず、これを二分の一国庫負担ということになっておるわけでございますが、水産業協同組合は別でございますが、その他の法人で、使用人が三百人以上、使用漁船の合計総トン数が千トン以上のものを持っているものについてまで国が補助するというのは適当じゃないので、それを除外する、こういう特例でございます。これは、今回の漁船損害補償法の改正の際におきまして、この補助金の臨特の趣旨を織り込みました改正でありまして、そうして、そちらの法律の附則でこの補助金臨特の方の本条の規定を削除する、こういう予定になっております。
次は、運輸省でございますが、まず外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法でございます。これは金額的にも非常に大きなものでございますが、開銀の利子補給をかりにずっとやるといたしますと、本年度で三十九億所要額が出るわけであります。今回これを、別途提案しております外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の規定によりまして、実体法でその規定を削除いたしまして、その附則によりましてこの臨特法の規定を削除する、すなわちこの臨時措置法の趣旨を織り込むということにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/111
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112・石村英雄
○石村委員 今の利子補給は、九億近いのが予算にありますが、あれとの関係を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/112
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113・小熊孝次
○小熊政府委員 当初、造船利子補給が出発いたしました際には、民間融資と開銀融資につきまして、全体につきまして利子補給をする、こういう建前で出発いたしたわけでございます。今年度予算に計上いたされました九億五千何がしの金額は、民間金融機関の融資分についての利子補給であります。ただいま申し上げましたこの問題になっております方は、開銀に対しましての利子補給契約でありますが、これは、当初実施いたしました翌年、二十九年から、こういう政府関係機関につきまして、しかも開発銀行という相当低利な融資をする機関につきまして、さらに利子補給をするというのは適当でないという趣旨から、これを補助金臨特によってストップいたしたわけであります。それを、今回暫定的な措置でなしに、そういう制度は恒久的にやめるということを、別途実体法の改正として御審議を願う、こういうことになっております。その附則で、こちらの方の暫定的なストップを恒久的に切りかえるために、こちらの規定も削除する、こういうような予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/113
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114・石村英雄
○石村委員 開銀融資の方はそれでストップということはわかりますが、民間関係の分に出す。去年は出さなかったが、この法律関係はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/114
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115・小熊孝次
○小熊政府委員 外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法に基づきまして、今回別途法案が提出されておるわけでありますが、この改正前の利子補給法自体によりまして国に契約権限が与えられております。この契約権限につきましては、国会で議決を得た全額の範囲内ということになっております。その金額の限度額は、国の一般会計の予算総則に限度をきめて国会で御審議を得て議決を得る、こういうことになっております。それは別途提出してあるわけでございますが、今回の外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部改正といたしましては、利益金の計算につきまして一定の場合には利子補給額を変えさせる、こういう規定がございますが、その利益の計算の方法等について明確にするというような点、それから、ただいま申し上げました開銀関係の利子補給は制度としてやめますという問題、それから、三十二年度以降におきましてすでに建造いたしましたものにつきまして利子補給ができるというような附則の規定、それから、この法律には損失補償の規定も入っておったわけでございますが、損失補償という制度は当分の間はやらない、こういう規定が入っておるわけでございます。
次に、地方鉄道軌道整備法でございますが、これは、重要な新線の建設費、重要な路線の改良費、重要な老朽線に生じた欠損額につきまして、前二者につきましては固定資産の百分の六、老朽線の欠損につきましては、欠損額そのものずばりを見てやるというのが実体法でございますが、この特例はおのおの百分の六とか損失額を限度として見てやれることにしようというわけでございます。これによりまして節約できる金は、合計して七千五百万円でございます。
次は、建設省でございますが、これは公営住宅法の関係でございます。第一種公営住宅の建設費につきましては、これは二分の一の補助になっておりますが、政令で定める第一種公営住宅につきましては二分の一以内の補助率にしようということでございます。これはどういうものかと申しますと、地上階数が七階以上の耐火構造のものにつきましては二分の一以内にする、こういうのでございます。これは一回やったきりでございまして、その後出ておりませんが、ただそういうことも将来考えられますので、一応残してございます。
〔坊委員長代理退席、委員長着席〕
次に、都道府県知事が行なう指導監督費でございます。これにつきましては、実体法では、都道府県知事が行なう指導監督につきましては交付金を交付することになっておりますが、この臨時措置法によりましては、その一部を交付するというふうに改めまして、実質的に申しますと、これは事業費でございますが、百分の〇・三から百分の〇・八、金額としては節約額は百三十万円程度でございます。
大体簡単でございますが、各省関係の建設省関係はこれで説明を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/115
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116・石村英雄
○石村委員 今の二分の一以内というのは、結局この法律がかりに通るとすれば、予算で定めた範囲内ということになってしまうわけですね。二分の一以内、幾らということでやっておるわけじゃないのでしょう。ただ以内……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/116
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117・小熊孝次
○小熊政府委員 おっしゃる通りでございます。このときはたしか予算で四割ときめて実行いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/117
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118・石村英雄
○石村委員 皆さんから早く質問を打ち切るようにという御希望が多いようですからやめますが、冒頭でも言ったように、補助金というのはやはりだれが見ても相当問題がある。何かといっては補助金をとるわけですが、その結果あまりおもしろくないというものもあるわけですし、またどうしても続けてもらわなければならぬというものもあるのですが、われわれが見ると、続けなければならぬというものもやめてしまったり、これは単に法律に基づかぬ予算措置だけでやる分でも、非常に乱脈というか、定見なしというやり方でやっていらっしゃる。一つこれを機会に、この法律が通るか通らぬか知りませんが、いつも臨特、臨特というような形じゃなしに、一つ来年度は徹底的なメスを加えて、確信のある案を作って国会に諮ってもらいたいということを希望しまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/118
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119・植木庚子郎
○植木委員長 ただいま議題となっております二法律案中、補助金等の臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑はこれにて終了いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/119
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120・植木庚子郎
○植木委員長 なお、本法律案に対しましては討論の申し出がございません。よって、直ちに採決に入ることといたします。
採決いたします。本法律案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/120
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121・植木庚子郎
○植木委員長 起立多数。よって、本法律案は原案の通り可決いたしました。
ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/121
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122・植木庚子郎
○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次会は来たる二十二日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。
午後四時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01219600317/122
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