1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月十四日(木曜日)
午前十時五十一分開議
出席委員
委員長 植木庚子郎君
理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君
理事 坊 秀男君 理事 山中 貞則君
理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君
加藤 高藏君 鴨田 宗一君
黒金 泰美君 西村 英一君
古川 丈吉君 細田 義安君
毛利 松平君 石野 久男君
石村 英雄君 加藤 勘十君
神近 市子君 久保田鶴松君
栗林 三郎君 堀 昌雄君
横山 利秋君 松尾トシ子君
出席政府委員
宮内庁次長 瓜生 順良君
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 船後 正道君
委員外の出席者
大蔵事務官
(管財局長心
得) 武樋寅三郎君
大蔵事務官
(管財局国有財
産第一課長) 三浦 道義君
専 門 員 抜井 光三君
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四月十三日
委員田邉國男君辞任につき、その補欠として早
川崇君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員早川崇君辞任につき、その補欠として田邉
國男君が議長の指名で委員に選任された。
同月十四日
委員小西寅松君が死去された。
同日
委員大貫大八君辞任につき、その補欠として山
下榮二君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員山下榮二君辞任につき、その補欠として大
貫大八君が議長の指名で委員に選任された。
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四月十三日
農業協同組合に対する法人税課税免除に関する
請願外一件(田中武夫君紹介)(第二三五一
号)
租税特別措置法による生活協同組合の非課税措
置延長に関する請願(五島虎雄君紹介)(第二
三九六号)
旧満州国政府職員期間の通算に関する請願外一
件(正木清君紹介)(第二三九八号)
同(正木清君紹介)(第二五〇〇号)
外地引揚公務員の退職手当の特例に関する法律
制定に関する請願(久保三郎君紹介)(第二三
九九号)
同(石川次夫君紹介)(第二四九九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国
会の議決を求めるの件(内閣提出、議決第一
号)
国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律
案(内閣提出第一〇九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/0
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001・植木庚子郎
○植木委員長 これより会議を開きます。
本委員会の委員でありました小西寅松君が今朝逝去せられました。まことに痛惜の至りにたえません。ここに委員各位とともに故人の冥福をお祈りいたしまして、つつしんで哀悼の意を表します。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/1
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002・植木庚子郎
○植木委員長 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案、及び国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件の両案を一括して議題といたします。
質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/2
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003・横山利秋
○横山委員 まず最初に、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案につきまして、ほんの二、三点でございますが、お伺いをいたします。
国家公務員であった人が公庫等の職員になる、そしてまた国家公務員に帰ってくる、その場合の退職手当を通算しようというのがこの法案の趣旨のように思われますが、ここにいうところの「公庫等」という公庫は、公団やそのほかいろいろなものがありますが、一体何が「等」であるかということと、現行の「国家公務員等」のこの「等」は一体何が予定されておるか、まず事務的にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/3
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004・船後正道
○船後政府委員 ただいまのお尋ねは、今回提案いたしました退職手当法の第七条の二の「公庫の予算及び決算に関する法律第一条に規定する公庫その他特別の法律により設立された法人でその業務が国又は第二条第一項第二号に規定する法人の事務又は事業と密接な関連を有するもののうち政令で定めるもの」これを「公庫等」と言っておるのでありますまずこの内容といたしましては、この公庫の予算及び決算に関する法律第一条に規定する公庫と申しますのは、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫、それから中小企業信用保険公庫でございます。なお、今国会に上程中の医療金融公庫もこれに加わることとなるはずでございます。それから次に、政令で特別に指定するものでございますが、これは特別の法律によって設立されました法人のうち、国または三公社の事務または事業の代行機関というような性格が強いもので、その業務の運営上、国または三公社からの職員の派遣がぜひ必要であるというような法人を指定する予定でございまして、具体的には現在検討中でございますが、いわゆる公団と公団に近い性格の法人を対象とすることを予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/4
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005・横山利秋
○横山委員 今ちょっとしまいの方を聞き忘れましたが、「公庫等」の中でずっとお並べになりましたが、いわゆる住宅公団、愛知用水公団等は「公庫等」の中に入るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/5
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006・船後正道
○船後政府委員 この公庫の予算及び決算に関する法律第一条に規定する公庫の中には、住宅公団等の公団は入りませんが、これらのものは、政令で定める法人となりました場合には、「公庫等」という中に入るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/6
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007・横山利秋
○横山委員 重ねて聞きますが、今私が言いますような住宅公団、道路公団、愛知用水公団等、俗に一般に公団といわれておるものは、人事交流の通算に該当するわけでございますね、結果として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/7
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008・船後正道
○船後政府委員 具体的にはこの退手法の第七条の二に基づく政令で規定することになりますが、現在のところは、ただいま御指摘になりました公団は指定する予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/8
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009・横山利秋
○横山委員 退職手当がこういうふうな通算をするに対して、他の法律との均衡はどういうことになりますか。たとえば共済組合法においても同様なことが言えるのか、恩給法はどうなっておるか。他の法律との関連はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/9
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010・船後正道
○船後政府委員 今回の退手法の改正の内容は、公庫、公団等に通常の人事交流といたしまして出向いたしました職員の退職手当の計算上、前後の公務員期間を通算するというような措置をとるものでございます。これに対しまして、現在国家公務員共済組合法における期間通算の問題でございますが、国家公務員共済組合法におきましては、ちょうどこれと同じケースになりますが、まず公務員期間がありまして、まん中に公庫等の期間がありまして、それからさらに公務員に復帰したという場合に、これに年金が付与されるというような場合には、前後の期間が通算されることになっております。従いまして、今回の退手法と同じような計算方法は、すでに共済組合法におきましては、実施済みであるということが言えるのでございます。もっとも、通算問題には、これ以外に、その公庫等に行っておる期間を在職期間の基礎に通算するかどうかというような問題が別問題としてございます。この点につきましては、退職手当上は、公庫等に勤務しておりますその期間は退職手当の計算基礎にはいたしておりませんが、共済組合におきましては、特定の公団、公庫等につきましては、その公庫、公団等の在職期間そのものを恩給または共済年金計策の基礎に算入するという扱いをいたしておるものもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/10
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011・横山利秋
○横山委員 国家公務員共済組合法及び恩給等においては同様な措置がしてある、その上まん中の公庫等に勤務する期間ですら通算に勘定する場合がある、こういうお話でございますね。それでは、さらに他の法律、三公社の共済組合合法では違うというような話がございますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/11
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012・船後正道
○船後政府委員 公企体の共済組合法は私の直接の所管ではございませんが、これにおきましては、ただいま申しましたような、最初に公社の職員としての期間があり、まん中に公庫、公団あるいは民間等の期間があり、さらに復帰いたしまして公社等の期間があるというような場合には、その前後をいかなる場合にも通算しないという扱いになっております。この点が公務員共済の方とは非常に違った通算制度になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/12
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013・横山利秋
○横山委員 これはあなたの所管ではないのでありますから、ここで言うてもいかがかとは思うのでありますが、しかし、従来ともあなたが関連を持ってずっと目を配っておられるのでありますから、この機会に本大蔵委員会に公共企業体共済組合法が郵政省から提案されるという話をわれわれは予定に入れておるのでありますが、同じ委員会で、退職手当法についてはこういう通算の仕方をしながら、続いて提案される法律ではそういうことをしないということは、これはいささか不均衡な感じがいたしますので、大蔵省から続いて提案をされるものに対して注意を喚起してほしいのでありますが、御意見はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/13
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014・船後正道
○船後政府委員 国家公務員の共済組合と二公社の職員の共済組合とは、給付水準といい、また給付の種類といい、非常に似通った制度であります。従いまして、期間通算の問題につきましても、両者が同じような扱い方をするのは最も望ましいと、私どもの立場では考えておる次第でございますが、ただ、公社の方では、やはり従来から長期勤続者に対する優遇というような考え方が強いためか、現在に至るまで前後期間の通算という問題をお取り上げになる段階に至っていないようでございます。ただし、現在、国民年金の拠出制の実施を控えまして、公的年金全般を通じまして、年金権を付与させる目的のもとに、大いに通算措置を講じなければならないというような観点で別途の作業が進んでおりますので、これとの関連におきまして、ただいま御指摘の問題は十分検討して参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/14
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015・横山利秋
○横山委員 それでは、大蔵省からも、本法律に関連をいたします公共企業体共済組合法のあり方について、本委員会でこういう意見があったということを御連絡を願っておきたいと思います。
次に、あわせてお伺いしたいのは、この法律案は、国家公務員諸君のためというよりも、むしろ現在公庫等に勤務しておる諸君のための法律であろうと思うのでありますが、その諸君が、現在、私もほのかに伺ったのでありますが、給与等の改善の要求なり、あるいは団体交渉をしておるという話であります。これらは実質上は大蔵省の許可、認可事項に発展をすると思うのでありますが、公庫、公団等の職員の給与問題は今どのようになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/15
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016・船後正道
○船後政府委員 公庫、公団等の職員につきましては、国家公務員あるいは公企体の職員と異なりまして、直接に労働三法の適用がございまして、労働関係につきましては全く民間の従業員と同じような立場に置かれております。ただ、これらの機関は、国に対しましてきわめて密接な関係があり、公共的色彩が濃厚でありますゆえに、国の予算でもって規制せられる画が多いわけでございます。そこで、これらの職員の給与につきましては、国が予算を編成いたします際に、その算定の根拠として給与問題をながめていくわけでございますが、給与改善その他につきましては、大体国家公務員及び三公社職員との、バランスを考えまして、毎年予算を計上しておる次第でございます。現在特に本件にきまして問題があるというような点もないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/16
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017・植木庚子郎
○植木委員長 神近市子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/17
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018・神近市子
○神近委員 私は、七年ぐらいにわたって検討されている旧令による陸軍共済組合の女子職員の問題について、二、三お伺いしたいと思うのです。
これは、ここへたくさん資料が出ておりますけれども、終戦のときに旧令による共済組合が全部解散させられて、それぞれ一時金が給付された。この旧陸軍省の共済組合にも同じ処理が行なわれているのですが、旧令によりますと、甲種組合員と乙種組合員、女と男とが区別されておりまして、男の方には年金を給与するという規定があり、女の方にはそれがなかった。それで二十五年十二月に行なわれました特別措置法によりまして、男の人は年金をもらうことができたのに、女の人はそれから脱落している、こういう事実があったことを御存じだと思います。それで、私が伺いたいことは、この二十五年の十二月はまだ占領中でありますが、ああいうきびしい命令によって解散されたこの陸海軍共済組合関係の職員あるいは雇員、工員、その人たちにどういう動機によって二十五年に特別措置法が行なわれたのか。記録をずいぶん沈んでみたのですが、その点がはっきりしないので、その動機を一つ伺わせていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/18
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019・船後正道
○船後政府委員 お尋ねは昭和二十五年十二月に旧令共済組合等からの年金受給者のための特別措置法が設けられました経緯という問題と存じますが、その点につきましては、これらの旧令による共済組合は、いずれも終戦に伴って廃止または消滅いたしました。従いまして、この廃止または消滅の際に、一時金は給付いたしておりますけれども、年金給付義務がそのまま立ち消えになっておりました。これが恩給に対する扱い方その他とのバランスを欠いておりましたので、二十五年になりましてから、このような旧令による共済組合が持っておりました年金給付義務を復活して、国がこれを支給するという体系に改めたものである、かように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/19
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020・神近市子
○神近委員 その動機を今お尋ねしたのです。行なわれたということははっきりわかっていますけれども、どういう考え方でこれが行なわれたのか。たとえば、今問題になっているのは、陸軍の財産を処理して男女同一に平等に一時金を支給しておりますが、その後男子の甲種組合員だけを対象として緊急措置法が行なわれた、その動機はどういうところにあったのか、それを覚えていらっしゃるならば伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/20
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021・船後正道
○船後政府委員 この旧令の特別措置法は、先ほども申しましたように、旧陸海軍の共済組合、外地の共済組合等が支給すべき年金を、これらの共済組合にかわって国が支給することといたしたものでございます。従いまして、これらの旧令による共済組合において年金支給の義務がなかった者についてはこれを支給しない、かような建前になっております。そこで、今お尋ねの陸軍共済組合における男子であった組合員と女子であった組合員との取り扱いの差の問題でございますが、これは当時の旧陸軍の共済組合規則の問題でございます。この旧陸軍共済組合規則によりますと、先ほどもお話がありましたように、男子である工員は甲種の組合員とし、女子職員は乙種の組合員といたしまして、両者を区分し、男子につきましては二十年以上在職いたしますれば年金を支給する、女子である組合員につきましては脱退一時金のみを適用いたしまして、何年勤務しても年金はつけない、どこまでも一時金であるというような建前をとっておったわけでございます。従いまして、このような建前のもとに、当時における掛金も、年金制度の適用を受けておる男子につきましては千分の四十八、年金制度の適用を受けない女子につきましては千分の二十一というように区別されていたのでございます。このように女子である組合員につきましては年金制度を適用いたしておりませんでしたので、旧陸軍共済組合日が廃止になります際に、女子である組合員に対しましては、他の男子の組合員で二十年に達していない人と同様一時金が支払われております。このような結果でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/21
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022・神近市子
○神近委員 共済組合が支払うべきものを国がかわって支払うということは特例ですね。これは旧令には規定のなかったことであります。私はそれはけっこうだと思うのですが、その年金の貨幣価値の変動による倍率はどういうふうになっておりますか。たとえば二、三日前も新聞の投書がありましたけれども、十何年か前に簡易保険に入っていて、八百五十円——その人はそのとき五十円の給料をもらっていたので、八百五十円というのはもう一生懸命の金額であったが、それをためておいて、今度年限が満ちたので、今年額百円の給付を受ける、百円の給付というのは古い規定によるので、今日から見ればもう笑い話だ、一体そういうことがそのままほうっておかれていいのかというのが、その投書の意味だったのです。だから、私が伺いたいのは、今日年金を与えられている人たちの掛金の規定による倍率はどのくらいになっておりますかということを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/22
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023・船後正道
○船後政府委員 年金の支給率は、男子の工員の場合二十年以上で俸給の三分の一でございまして、恩給と同じべースでございます。もちろんこれは当時におきますところの俸給に対するものでございますが、その後年金支給者につきましては数次にわたりまして年金の改定が行なわれておりまして、大体恩給の改定その他と歩調を合わせておるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/23
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024・神近市子
○神近委員 私が伺いたいと言っているのは、大体規定の年額の何分の一ということを伺ったのではなくて、貨幣価値の変動によって、その当時の規定に、百倍するか、五百倍するか、あるいは千倍するかの金額を今払われているかということを申し上げたのです。それで、現在渡されておる年金の倍率はどのくらいになっておりますかということを伺っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/24
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025・船後正道
○船後政府委員 年金につきましてはべースの改定をいたしておりまして、大体恩給と歩調を合わせておるのでございますが、二十五年当時は大体七十倍程度、現在では、百倍程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/25
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026・神近市子
○神近委員 落ちこぼれておる乙種会員であった婦人たちが、私がまだ国会に入る前からこの運動をやっている。今日私は七年ばかりですけれども、七、八年も、何とかわれわれにも年金をいただかしてほしいという運動を盛んにやっている。それは委員諸君も御存じだし、また大蔵省あたりにもお願いに行っていると思うのです。私が伺いたいことは、これは絶対に年金あるいは一時金の希望が持てないのか。ここに給与の袋が出てきておりますけれども、非常に安い賃金で働いていて、一人の人は月額の給料総額が十六円三十八銭なんです。一人の人はちょっと多いようでして、いろいろ引かれて五十三円三十銭もらっています。ともかくそういう十六円あるいは二十円というような低額で婦人たちが働いて、今日の同一労働同一賃金の建前から考えれば、今日婦人たちの労働の状態を見ましても、その当時の男の人たちの労働とそう変わった低い労働ではなかったように感じられるのです。それで、こういう低賃金で働いていて、しかもこの掛金は、十六円の人は一円何十銭かかけております。そのほかに国防婦人会費がみんな一律に十銭ずつ引かれている。手取りは、この一番低い人は、買いものを五円したというので、差引四円何十銭しかもらっていない。その当時は、ゆかたを一反買いますと、上等のでも五十銭か八十銭、私は三十銭のゆかたを買っていなかへおみやげに持っていった覚えがあります。そういう時代の人たちです。それで、終戦後物資が非常に不足であったときに陸軍が解散になって、もらった額が幾らだといえば、大体四百円から八百円ぐらいもらったということが報告されております。そして、そのときの貨幣価値の変動で、一人の人は木炭を二俵買ったそうです。そうしたらお金がなくなった。一人の人はお米を三十キロ買いましたら、その退職手当はなくなった。こういう状態にあったのです。それで、この二十五年の緊急措置法が出るときに、この人たちがどうして忘れられたのか、どこかに婦人の問題が出やしないか、乙種会員をどうするかということが出やしないかと思って、私は会議録を調べさせたのです。だけれども、このことは一つも問題になっていなかった。それで、占領下であるし、そういう問題が取り上げられなかったのだろうというので、私はいろいろ考えてみますと、婦人たちが十人が十人言いますことは、お前たちにもお金がおりるから、姓名と住所ともよりの郵便局を書いておいてくれということで、みんな呼び出されて、帳面に署名と、それから郵便局を記録したというのです。私はそのくらいの考慮がそのとき政府の方でもあったのではないかということがしきりに考えられて、そのことはずいぶん調査しましたが、事後処理の機関に行って調べてもらうのですけれども、どうしてもその帳面をお出しにならないのです。それで、何のためにその帳面に署名捺印して郵便局を書いたのかということがわからないのですけれども、まあ善意に解釈すれば、その当時、乙種会員にも一時金を何とか多少でも与えるのが当然じゃないか、甲種会員に年金を給与されるならば、乙種会員には年金の期待権というものはないにしても、一時金の期待権だけはあるという建前で政府なりあるいは係の人なりが考慮されて、乙種会員にも何とか色をつけてやろうというお考えではなかったのか、こういうふうに考えられるのですけれども、その当時、私が今考えているような会員に対する何らかの給与というものは絶対に考えられなかったのですか。お前たちもこの新しい法律によって給与がもらえるから、郵便局までみんな書いておけと言われて、十人が十人、婦人たちが署名捺印したというのは、虚妄というか、何かの勘違いなのか。その帳面をどうしても出して下さらないのでわからないのですけれども、そのことはどのように御解釈になりますか。二十五年の給与がきまるときに、大蔵省でこの問題をお扱いになった方がおいでになれば、御記憶にないかどうか、ちょっと伺わしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/26
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027・船後正道
○船後政府委員 当時の陸軍共済におきまして男子工員と女子工員とを区別して年金制圧を適用しておりましたことは、今日の目をもってしますれば、確かに奇異の感を抱かざるを得ないのでございますが、当時の陸軍共済規則におきましては、明らかに両者の掛金率を区分して、一方には年金制度の適用があり、他方には適用がない、かような扱い方をしておったわけでございます。そこで、この特別措置法は、このような旧令の共済組合が本来支給すべきであった年金支給義務を承継するという建前をとっておりますので、二十五年当時におきましても、問題はそういった観点から処理されて、特に陸軍の女子工員についてどうするこうするというようなことばなかったと私承知しております。
それから、この二十五年当時に何か帳面が提出になったというお話でございますが、これにつきましては、私どもも、もとの陸軍の関係者の方でそのようなことがあったということをうわさに聞いておる程度でございまして、確認はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/27
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028・神近市子
○神近委員 あなた方がお聞きになっているということだったら——女子組合員たちは、十人が十人いたしましたと、間違いなく何度も繰り返して、そのために私どももいろいろ不明朗なものを感じて、三年ばかり前でございますけれども、一度決算委員会で、ちょっと調査してもらいたいということを申し出たことがあって、そして懇談会を開いたんですけれども、どうにもその帳面というのをお出しにならないので、そのままになっていて、今なお婦人たちは猛烈に運動をやっている。どうしても不可能なら不可能のように、この人たちのあせりというか、それはやめさせなくちゃならぬ。ところが、今おっしゃる通りに、旧陸軍の共済組合ですか、それによる緊急措置法が制定されたときに、あなた方が堅持しようとなさる筋がくずれていることは——この共済組合が支払うべき年金を国がかわって支払うということは、旧共済組合法にはなかったことです。それをおやりになっているとすれば、もう少し幅広く物事を考えていただく余地はなかったのか。たとえば、さっき申しましたように、十六円くらいの給料の中から一円何がしかの共済組合費を積み立ててきていた。なるほど男子の千分の四十八に比べて婦人の千分の二十一は低かったでしょう。その段差は非常にあったとしても、この人たちの労働の中から、少なくとも十六円に対して一円というものをとられていたことを考えれば、それが若いときから二十年、二十五年、三十年と働いてきた女の人たちですよ。この人たちに、終戦時に木炭二俵あるいはお米を二十キロ買うだけの金を渡しただけで諸事済んだということは、私は考えるべきではないと思う。男の人たちに年金を給与なさるならば、そのときに、一時金の形ででも、貨幣価値の変動ということを頭にお入れになって——男の人たちには退職一時金を与えておるから、これで任務が済んだということではなく、年金を新しく起こしておやりになるならば、婦人たちにも、一時給付金がそういった価値の変動に立ち至っているから、これは与えるべきではなかったかと思うのですが、その点はいかがでございますか。あなた方は法律ばかり頭に入れていらっしゃるから、こういう常識的なことでもおわかりにならないことがあると思うのです。この点はどうお感じになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/28
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029・船後正道
○船後政府委員 終戦当時の一時金が、その後の貨幣価値の変動で、現在から振り返ってみますれば非常に金額の少ないものであったというお話は、一般論として確かに仰せの通りと思うのございます。ただ問題は、この特別措置法で相手にいたしておりますのは、いずれも旧令共済組合においてすでにあった年金支給義務のみを問題にいたしております。従いまして、今問題になっております陸軍の女子工員につきまして、かりに年令を適用するということに相なりますると、たとえば終戦の際に、男子の工員であって組合員の期間が二十年に満たないがために一時金でもって済まされた方、さらには、当時は非現業の雇用員につきましては、共済組合の制度はございませんでしたから、こういう人たちには全然年金も一時金も渡っておりません。こういう人たちをどうするかとかいったふうに、やはり一般論として発展して参るわけでございます。従いまして、この問題については、現在の考え方からしますれば、旧陸軍共済の支給の義務は一時金の支給をもって終了しておる、このように解せざを得ないと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/29
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030・神近市子
○神近委員 あなた方は法律のワク中でしかものを考えられない方だから、きっとそうおっしゃるだろうと思って、お返事はわかっていたのですけれど、二十年の規定があるのに、もう少しすれば二十年に満つから、これは国家の事情による退職なんだからということで、改正案をお出しになって、二十年未満の人にもお出しになっているでしょう。そういう措置ができるならば、貨幣価値が変わった今、二十年、二十五年、零細な、今日から見れば笑うべきような低額の給料の中から千分の二十一を積み立てていた人たちが、退職時の一時給与として木炭二俵かあるいはお米二十キロを買うだけの金しかもらっていないという現実がわかってみれば、これは考えていただく余地はないのかということが、私の今日の質問の基本的な考え方でございます。この婦人たちが、何か変な考え方をいたしまして、あっちこっち陳情に歩いているということは事実です。それで、これが共済組合の問題は大蔵委員会であるということをちょっと知らなかったと見えまして、内閣委員会にこのことをしきりに持ち込んでおられる。内閣委員会の委員の方にお尋ねしてみましたところが、この陸軍と海軍の落ちこぼれの、たとえば戦死した学生とかあるいはちょっとした戸籍上の問題で、給与あるいは年金を受けられない人たち、その人たちの落ちこぼれを今整理する段階に入っているという、ある有力な委員のお話だったのです。それで、せめて今年はこのうちの三つか四つだけは起こしてやりたいと思っている、というふうなお話があったのですけれども、この共済組合の問題でも、一時にどうしていただきたいとは言わないのです。今ここに材料がございますけれども、これも大蔵省からお出しになったのか、あるいは事後処理の九段のあそこから出たのか知りませんが、ずいぶん多いのです。陸海軍だけでなく、まだ内閣にもございますし、専売公社だとか、いろいろございまして、外地から帰った人たちもある。ですから、共済組合に関するものも、旧令にはこれだけしか規定がございませんから、これだけしか出せませんというふうなことをおっしゃらないで、内閣委員会でお考えになっているように、許す限りの範囲で徐々にこれを整理して、救済という言葉は私は当たらないと思うのですけれども、この給与の不満あるいは焦燥というものに対して、何らかの処置をしてやろうというお考えはないのか。これはいろいろな人、旧陸軍の将官だとか、あるいは被服廠の廠長をなさった方だとか、いろいろ助言をしていらっしゃいます。そして、どうしてもこれは政府と国会とにお願いするよりほかはないということを、しきりに言っていらっしゃる。それで、大蔵省の立案によって政府の御意見がきまるということを考えますと、この問題を一つ頭に入れて、そしてどう処理をするか、あるいはこれは陸軍だけではございませんよ。海軍の人たちも、このごろは総立ち上がりというような運動をしていらっしゃる。そこで、恩給のことと、こういう共済組合の年金のことが当然問題になります。今恩給という方に主力を注いでいらっしゃるようですけれども、七年も八年もにわたるこの運動に対して、一つ何とか御考慮いただけないかということ——政務次官出ていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/30
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031・船後正道
○船後政府委員 欠席です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/31
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032・神近市子
○神近委員 給与課長としては、ここで御決定ということはできないでしょうけれども、私は別な機会に政務次官にもお願いしてみようと思います。この問題は、政務次官まで持ち込んだということで、この間お確かめしてみましたところが、いや、きていないというお話で、きょう関連してお願いしてみているのですけれども、一つ御考慮をいただくという余地はあるのかないのか、もうこの問題は悪夢と思ってやめてしまえというような御発言をなさるのかどうか。(笑声)お笑いになっていますけれども、もっと憲法の問題からいけば、過去のあやまちをわれわれが今是正するということだって、不可能ではないと思うのです。私が与党だったら必ずそれはやります。ですけれども、これは皆さんの御好意あるいは善意のある御規定というものを期待しなければならないから、お願いしているので、一つぜひ——陸軍に関する限りなら、一時金ならば、たとえば五万円にしたって二千万あれば足りるのです。全国で四百人しかいない、大阪と東京と広島だけですから。ですけれども、波及するところが非常に広くなるという御考慮から、これは御決定ができないと思うのですけれども、一つぜひ御考慮いただいてせめて、次の同会にでも考えていただくことはできないものか。不可能とおっしゃるならば、不可能とおっしゃっていただきたい。考え得られるということ——緊急措置法が成立したときの状態をお考えいただいて、その後軍人恩給の上では徐々に問題が進展しているということをお考えいただけば、共済組合法だからほっておいていいということは私はないと思うのです。一つぜひその点あなたのお考えを聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/32
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033・船後正道
○船後政府委員 本件は、従来からもずいぶん問題になっておったことでございまして、私どもも引き続き検討は続けたいと思うのでございますが、ただ、先ほど来申しておりますように、この旧令特別措置法は、旧令の共済組合が本来持っておった年金支給義務の存在ということを前提とした法律でございますので、一時金をもらうべきであった人に新たに年金を支給するというようなことになりますと、その特別措置法の全体の体系を考え直さなければならぬ問題に発展するわけでございます。それからまた、実質的な均衡論からいたしますれば、現在、特別措置法では、たとえば男子である組合員でございますが、これは二十年以上から年金がつく。従いまして、極端な場合には、十九年と十一カ月の在職期間を持っておった人は、これは年金制度の適用があっても、当時一時金でもって打ち切られておるわけでございます。このような人たちをどう考えるかという問題にも発展いたします。さらにはまた、広く恩給の領域におきましても、一時恩給をもらって普通恩給化しなかった、一時金でもって恩給がおしまいになってしまったというような人たちもおるわけでございます。それが一時金をもらったときの物価と現在の物価では、非常に物価水準が差があるというふうな問題にまで発展するわけでございまして、従いまして、このような問題一般といたしましては、なお検討は続けたいと思いますが、旧令特別措置法のワク内の問題といたしましては、この陸軍の女子工員の問題は措置しがたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/33
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034・神近市子
○神近委員 その年金をお出しになるときに、その旧令による規定はなかったけれども、貨幣価値の変動による倍率を出していらっしゃる。最初は七十でしたけれども、今は百倍だとおっしゃる。その措置ができるのならば、そのとき給与というものの額が非常に引き下げられていたということになる。それから、旧令の共済組合法に、共済組合が壊滅したときには国家がかわって補償するということが書いてあるのですか、ないのですか。それはどちらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/34
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035・船後正道
○船後政府委員 年金の七十値、百倍という改定の倍率でございますが、これは、先ほども申しました通り、恩給の方のべース改定に歩調を合わせまして、そのときそのときの物価その他を勘案して、このように引き上げられておる次第でございます。しかし、一時金につきましては、この旧令の一時金のみならず、あらゆる恩給あるいは他の共済組合を通じまして、そのべースを改定するというようなことはいたしておりません。
それから、旧陸海軍共済組合等はいずれも終戦とともに廃止されておりまして、その当時は廃止のしっぱなしでございます。従いまして、当時あった財産の限度内でそれぞれ一時金を支払っておる、あるいは年金を支払っておるというわけでございましたが、その後二十五年の特別立法でもって特に年金の給付義務だけは連合会が承継いたしまして、国がその金を負担しておることになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/35
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036・神近市子
○神近委員 その倍率を今実行していらっしゃるとすれば、その当時給与したものの倍率だけでも給付するということはできないのですか。それは何も法律をどうとかしないでも、旧令によるそのままでも——私がこう言ってあなたにやかましくこの問題を申し上げるのは、もう老齢でみんな死んでいっている人がだいぶ出ているのです。この運動を始めて七年か八年、その間に老齢の人で死んでいく人が多くて、そうして木炭二俵あるいはお米の二十キロ買ったというような人たちは、その後も、仕事はなくなるし、世相は違ってくるし、非常な辛苦をなめてやってこられた人もあるし、その間に死んでいった人もたくさんあるということで、せめてできる範囲内でその給与したものの倍率を考えていただくという点でも、私は助かると思うのですけれども、それは考えられないことなんでしょうか。今あなた方が持っていらっしゃるこの法律のワク内でもそれはできないものか、それをちょっと考えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/36
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037・船後正道
○船後政府委員 特別措置法は年金だけを問題にいたしておりまして、一時金につきましては全然触れておりません。従いまして、この特別措置法のワク内で一時金の倍率をきめるというようなことは不可能でございます。それからまた、終戦当時の一時金と申しますと、旧令の一時金のみではなく、恩給の方にもございましたし、また一般管庁における退職金というものも一時金でございます。これらは当時の物価水準でございますので、やはり何百円あるいは何十円という金額であったろうと存じますが、これらにつきましても、同じように、これを百倍にしろとか、二百倍にしろというような問題になるわけでございます。従いまして、これらも、一般論といたしまして、この問題は考えねばならぬと思うのであります。それから、ただいまのお話で、この女子工員の方々は、当時二十年以上勤務して、現在は相当高齢になっておられると思うのでございます。そういった方々につきましては、この旧令による特別措置法のワク外というよりは、むしろ国民年金といったような、一般的な年金制度の対象として救済を考えるべきではなかろうかというような感じがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/37
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038・神近市子
○神近委員 そういうことをおっしゃった代議士もたくさんあって、当時老齢年金がどういうふうになるかということを待っていた。ところが、御存じのように非常にワクがきびしくて、一家の収入が幾ら、あるいは年令が何十才以上というようなきびしいワクがはまって、しかもこれに与えられるものが月に千円というようなことなんです。この人たちは辛うじて子供を育てとげて、今運動している人たち以外の人は私は知りませんが、その人たちはどうやら給料や何かで老齢年金の適用外にいる。そういうようなことで、その老齢年金のときも、そのワク内で何とかなりはせぬかということを考えられたのですけれども、ああいうふうなことになって、これが不可能だったということなんです。ですから、今日以後もっとワクが広げられて金額が多くなれば別なんですけれども、ちょっとあなたのおっしゃるような見込みはない。それで、もし、老齢年金の中に、こういう過去の経歴によって、これが加算されるとか、あるいはワクが広げられるとかということがあり得るとお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/38
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039・船後正道
○船後政府委員 国民年金の問題でございますので、私責任をもってお答えするわけには参らないのでございますが、しかし、旧令による年金あるいは一時金の支給義務というものは、やはりそれぞれの法体系でもって、それぞれ終了しておる。この場合の女子工員につきましては、一時今を支給いたしましたことによって、支給義務は消滅しておるというようなことになりますれば、田代年金法の体系にこれを持ち込むということは、きわめて困難ではないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/39
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040・神近市子
○神近委員 それでは、ちょっと伺いますが、陸軍の財産を国家が継承したということをさっきおっしゃっていましたね。それは大体どのくらいの陸軍の財産を国家が継承しておるか。それはわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/40
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041・船後正道
○船後政府委員 ただいま手元に当時引き継ぎました陸軍の財産、これがどうなっておったかは資料がございませんが、しかし、大体一時金の給付義務を履行いたしますると、残余につきましてはほとんどない状態であった、かように記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/41
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042・神近市子
○神近委員 終戦時に陸軍の財産が非常に四散したということは、私ども実例を二、三知っております。トラックに乗って、そうして陸軍の蓄蔵しているものを持ち出した。霞ケ浦のようなところでは、民家に持ち出して預けておいて、あとでトラックに二台も三台も持ち出したというようなことも開いております。また貴金属や何かのことがどうなったかというようなことも、うわさに上っております。ですから、四散したということはあり得ると思うのですけれども、この不動産その他の陸軍のものであったものがまだ相当に私はあるはずだと思うのです。その緊急措置法ができるときに、婦人の雇員を呼び出して、そうしてその姓名を署名捺印をさせ近くの郵便局を記入させたということも、あなたもお聞きになっているということをさっきおっしゃったから、はっきりとわかっています。それで、私ども十人が十人、その問題を言うのです。それが非常なひっかかりになって、そのときはお前たちにも給与がいくからということを言われた。みんながそう言っている。それで、この運動が、七年も八年も、自分たちのなけなしの金を出し合って、国会に対する運動が行なわれてきているという、このもとになっているように思われますから、私は、この次政務次官なり大臣なりが御出席になったときに、もう少しこの問題については事実を申し上げて、そうして御考慮いただきたいということをお願いしてみようと思うのですけれども、一つあなた方も、この問題では長い間御相談に伺っていることでもありますので、どうしたらみんなの目的を達することができるかということを、御研究いただくわけにいかないでしょうか。私は、この次また政務次官あるいは大臣にこの問題について御考慮をお願いすることにいたしまして、この問題についての私の質問をこれで打ち切ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/42
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043・船後正道
○船後政府委員 先ほども申しましたように、本件は引き続いて検討はいたしたいと思うのでございますが、ただ旧令特別措置法の建前といたしまして、この法律の現行の建前を継続する限り、一時金支給者につきまして一時金の倍率を定めるとか、あるいはこれを年令に変更するとかいうようなことは、きわめて困難であると考えております。
なお、先生のお言葉の中の例の帳面云々の問題でございますが、これは私はそのようなことが関係者の間でいわれておるといううわさを知っておるだけでございまして、そのような事実がはたしてあったのかなかったのか、まただれがそういうことをいたしましたのか、これは全く先生と御同様私もよくわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/43
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044・植木庚子郎
○植木委員長 佐藤觀次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/44
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045・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 瓜生次長にちょっとお尋ねするのですが、国有財産法第十三条の法律に基づきまして今度皇居内に新居ができるということになっておりますが、ほかの建築に対する計画があるかないのか、それをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/45
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046・瓜生順良
○瓜生政府委員 最後におっしゃいましたのは何の計画……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/46
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047・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 今の新居のほかに計画があるのかないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/47
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048・瓜生順良
○瓜生政府委員 今年度、三十五年度の計画といたしましては、御新居のほかには、正倉院の新しい宝庫を作ろうという計画がございます。これが比較的大きな計画でございます。そのほかは、小さな舗装をいたしまするとか、あるいはその建物の中を修理いたしまするとか、そういうこまかいのはございますが、そのほかはこまかいものになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/48
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049・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 この間大宮御所の皇太子太子のあれを見せてもらったのですが、今度の内苑の新居は、やはりあれと同じように近代設備で作られる予定ですか。で、いつごろ完成する予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/49
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050・瓜生順良
○瓜生政府委員 東宮御所の完成は今月の下旬でございます。落成式も二十七日の午前に行なおうかというので、準備いたしております。中の設備は、これから盛んに、相当努力してやっておりまするが、今おっしゃいましたように、できるだけ明るい近代的なものに考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/50
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051・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 皇居の方の今度できる建物はいつごろ完成する予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/51
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052・瓜生順良
○瓜生政府委員 皇居の方は、お住まいの関係は来年の暮れまでにはできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/52
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053・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 この間皇居を見せてもらったのですが、民間からいろいろな奉仕団がたくさん来ておりますが、火災の問題などについての心配もあるし、同時にああいうものをいつまで続けていかれる予定であるか、これに関連してちょっとお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/53
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054・瓜生順良
○瓜生政府委員 勤労奉仕をいつまで続けるかという問題でございますが、勤労奉仕の起こりは、いろいろ経費が足らなくて十分に手入れをするような労務の方を入れることができないということのために、それを見かねて勤労奉仕においでになっておる、そして焼け跡を整理なさったというのが起こりでございますが、その後国の財政の関係もそう苦しくありませんし、皇室費としてその労務費を組むということについて、そうむずかしい点もないのでございまするが、しかし、現在は、この経費の問題よりも、精神的な意味を持ってきておる。各地方からおでかけになって、皇居の普通の参観なんかとは違って、ずっと奥の方までお入りになって、建物の中にも入って、その任務任務によりますけれども、いろいろ仕事をなさる。それによって皇室に対する親しみを深められる。また、その奉仕に来られた場合に、天皇、皇后両陛下がおいでの場合には、原則として一度お出になって、どうも御苦労ですというようにお言葉をかけられます。そういうようなことで、地方の方が皇室と親しみを深められるという意味の点が現在においては、精神的に出ておりまするので、財政的な点以外にそういうような面があるので、いろいろの方の御意見も聞いておるのですけれども、やはり存続した方がよろしい、やはり国民との密接な結びつきはこれを保存するというので、存続した方がよろしいという意見で、今のところはおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/54
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055・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 これはちょっとほかのことでお尋ねするのですが、東京の自動車が非常にふえて、交通の問題でいろいろ議論があるわけです。特にオリンピックが今度来ることで、皇居の下を地下道にしてはどうかという意見がときどきあるのですが、こういう点について、そういうような陳情その他計画で、こういうようにしてほしいというような事態はあったのかないのか、この際お尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/55
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056・瓜生順良
○瓜生政府委員 皇居が、交通が非常に輻湊しておる現在において、交通上の支障になったりするような点がないか、その点の研究を要するのじゃないかというようなことは、昨年開かれました皇居造営審議会のときにもその問題を特に取り上げられまして、先般小委員会もできまして、いろいろ検討されたことはございます。その前に、新同とか雑誌、あるいは個人的に、何とか考えたらどうかというような意見も幾らかございましたし、そういう関係もございまして、皇居造営審議会でもその問題を取り上げられまして、特に検討をされたことはございます。その際に、あの皇居の坂下門のところから乾門の方へ抜けます道路、これはちょうど東側の地区と西側のお住まいとか宮殿を考える地域との境のあの道路、あそこを普通の道路のように自動車も人も自由に通すというふうにしたらどうかという意見がちょっとあったわけであります。これは建設省のだいぶ前の告示で、そういうふうにしたらどうかという告示が一応あるわけであります。それも審議会の方々がいろいろ検討されたのでありますが、東側の地区とどういうふうに扱うかということとも関連がある。東側地区を、宮中の行事に支障のない限りは公開をして、一般の方がレクリエーションで散策される公園的なふうに利用するということにすれば、あそこの境の道路のところに自動車が非常に輻湊するというようなことは感心しないではないか。それではその地下の方に道路をつけていけば、まあそういう散策される場合でもそう支障もないという問題もあるのでありますが、しかし地下の工事というのは相当の経費もかかるわけであります。それからあの下の地下水の関係があるのでありまして、その点がまたむずかしいようであります。地下道を作ったために、地下水にどこか故障を起こしますと、今あそこにわいていますのは自然にわいて出てきておる水でございますが、これが出てこなくなるということも考えられるし、先ほどの経費の点もありますし、それほどして効果があるかどうか。それよりも、今考えられています皇居の周辺の道路に対する道路計画があります。先日おいでになりました乾町の前のあの通り、あれはもうずっと広い通りになって、幹線道路で、ずっと先の方までいく幹線道路になるわけであります。そういうようなこと、あるいは皇居の回りに高速度道路を作るという計画もあります。そういうようなことを実現すれば、無理をしてこの地下道を作る必要もないというようなことで、審議会の答申として、そういうような趣旨の答申が出ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/56
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057・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 私たちは、二三度拝見したのですが、昔のままで古色蒼然としたところも、伝統のいいところもありますけれども、やはり時代が変わってくるので、できる限り近代的な建物があっていいのじゃないか。そういう点についてのお考えは、どんなお考えでいられるか。そのことをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/57
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058・瓜生順良
○瓜生政府委員 皇居内のいろいろな建物が相当古めかしくいたんでいるのではないか、というような点の柳配慮だと思うのでございまするが、新しいお住居の造営、それから続いて公の行事をなさいます宮殿の造営、並びにそれに関連して、東側地区を支障のない限り一般に公開するということを一連に実施をいたしまする際には、古い建物で要らなくなるものはこれをこわす、物によっては、あの中になくてもいい建物は外へ移すというようにして、皇居造営と関連して、あの中をずっと整備をしていきたいというふうに考えておりますので、予算をどういうふうにいただきますかということにも関連をいたしまするけれども、皇居の造営ができまする際には、今おっしゃったきたないような建物は整理されて、もっと感じのいいことになると期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/58
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059・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 もう一つお尋ねしておきたいのですが、日本の東京として、私ども子供のときから東京に来て非常に感じたことは、たとえば日比谷公園などは、私どもの中学校があの付近にありまして、その時分には非常に老樹がうっそうとしておりましたが、敗戦の関係もあって、あそこに建物がたくさん建って、公園であって公園でないような形が出ております。ところが、ロンドンのハイド・パークあたりへ行きましても、うっそうとして、公園は公園らしくありますけれども、大体東京では、もう芝公園もだめになり、上野公園もだめになりまして、われわれ公園を愛する者として、非常に残念だと思っておるわけです。ただ一つ皇居だけが、現在御承知のように老樹うっそうとして、鳥などもおるというようなことを考えると、私は皇居のあり方、皇居がああしてあるということによって、東京付近が間接的に、衛生的にも非常にいいのじゃないかと思っておりますが、どうも行ってみると、整備がされてないような感じがするのです。そういう点について、造林計画とか、あるいはそういうようなことが行なわれておるのかどうか、あのまま捨てておくのかどうかということを、関連してお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/59
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060・瓜生順良
○瓜生政府委員 皇居造営審議会の際にも、大都市の中心には緑地帯は相当広いものが現想である。ロンドンの例とかニューヨークの例とかをとられましたけれども、そういうような場合に、そういう都市と比べても、日本のはまだ現在のあれでも狭いというような意見でありました。ちょうど皇居の中が緑地帯の意味をなして参りまするが、西側の方の地区、つまり今度お住居、宮殿の方であります地域は、それほど手を入れるほどのことはないと思います。というのは、先日もちょっとごらんになりましたが、そうきれいじゃないようですけれども、自然の姿で緑地の意味をなしておる。東側の地区、もと江戸城の本丸のありました地区で、大手門から入った方の地区、これにつきましては、今いろいろの建物が雑然としてございます。そしてその建物がなくなった跡も、きれいに整備をされていないのでありまして、これを皇居造営と並行して、中の建物を要らないものはこわすとか外へ移すとか整理をし、そしてその空地には芝を植えるとか木を植えるとかいうふうに、庭園化をすべきであるという御意見を答申されておりまするし、宮内庁としてもそういうふうにいたしていきたいと思います。そうすると、東側地区の方が緑地帯としての意味を一そう発揮します。特に東側地区は自由に人もお入りになれましょうし、その点を考えて公園的なものに考えております。
なお、その際に、皇居造営審議会の答申の中に、旧北の丸地区、旧近衛師団の跡、ちょうど乾門のあの地域、これにつきましても、現在都市計画の中央公園に指定されているが、なるべくすみやかに公園化の実現をはかるとともに、これが実現に至るまでの間においても、この目的に反するような措置をしないことを望むという答申をなさっていらっしゃいます。これは面接宮内庁の管理ではございませんが、審議会の際にはそういうことも意見として出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/60
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061・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 最後に希望として……。このごろ皇居も開放されて、正月などには一般の人が入れるようになって、非常に親しみを持っておりますが、できる限り大衆に開放して、天皇に関係のない限りは親しみのあるように御指導いただきたいと希望して、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/61
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062・足立篤郎
○足立委員 関連。
去年から皇室にはお喜びが絶えませんので、国民として御同慶にたえないわけでありますが、最近世間では、次は義宮様の番だとかいわれておるわけです。宮内庁としても義宮の結婚につきましていろいろ御計画になっておると思いますが、それに関してちょっとお伺いしておきたいと思います。ことは、義宮様もいずれ御結婚になれば、御分家をなすって宮家を創立されて、皇居以外に住居をお作りになると思うのでありますが、宮内庁でどういう御計画になっておるか。現在の天皇家の家族の一員という形で、別に住居をお作りになる場合には、今回の皇太子の場合と同じように、国会に予算を提出されまして、承認を得て予算を執行するということになるであろうと思うわけですが、そうして得た財産を分家なさる義宮が取得されるという場合に、どういう法律上の扱いになるのか。分家の後に住居をお作りになるという場合には、宮様である義宮の個人の建造物をお作りになるということになるのでありますが、私はその間の事情がよくわからないから、あえてお伺いするわけですが、そういう場合には、その費用はどう支出されるのであるか、まずこういう点につきましてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/62
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063・瓜生順良
○瓜生政府委員 義宮様のお独立の問題、これは近くお独立になろうということで準備をいたしておるわけではございません。おおむね御結婚になります時期と相前後する、ほとんど近い時期になると思いますが、その時期が今のところ近くにあるという状態ではございません。しかしながら、そう数年先といったことではなくて、二、三年のうちにはあると思います。そうしますと、今御心配いただきましたお住居の問題ですが、現在は皇居内の義宮御殿にお住みになっておりますが、あそこは実は皇居の公の宮殿の造営の場合には取りこわさなければならない地域でございます。あれはそういった建物ではございませんから取りこわしまして、どこにお住まいになるかということは、お独立とはまた別に問題があるわけです。そういたしますと、われわれといたしましては、一応渋谷区の常盤松にある東宮仮御所、これは東宮御所が今度四月の終わりに完成しまして、五月の中旬にお移りになりますと、そこがあきますから、その東宮仮御所をしばらく御利用になるということでいいのではないか。そうして義宮様に向く住居を考える。その場合に、皇族用のお住居というものは、その皇族の私有財産としてお作りになってもいいのでありますが、しかしながら、国の方で皇室用財産として作っていただいて、そこへ住んでいただく、まあ総理官邸のような公の邸宅というような意味にされてもいいと思います。実は、現在秩父宮妃殿下がお住みになっておりますのは、一部分は私有財産の建物、それからお客なんかされる部分は国有の皇室用財産になっております。これは、私有財産の方は焼け残ったお座敷があったから、そうしておられるわけであります。高松宮様、三笠宮様の方は宮様の私有財産です。これは、皇族さんの場合、私有財産で建物をお建てになるというのは実際むずかしいのでありまして、公の建物をお作りになるということで、実際に皇室用財産として、国有財産として建てていただくことがいいのじゃないかと思います。従って、御独立後でありましても、御独立前であっても同様でありますが、常盤松の前の建物がどうも古い型があったり、義宮様には広過ぎるという点もあります。そういうこともありますし、それで、新しい建物を作っていただくというような場合には、やはり国有財産で皇室用財産ということで、予算をお願いして、皆さん方の御承認を得て作るのがいいのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/63
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064・足立篤郎
○足立委員 最近新聞で私ども拝見しますと、清宮様の俗にいえば持参金は千五百万円であったということがいわれておるのですが、これはどういう予算からお出しになったのか。あるいはまた、陛下がしばしば災害地にお見舞金等をお出しになるのですが、うわさに聞きますと、予算が非常に窮屈だというようなお話も聞くし、占領中のいろいろな法規に縛られて、非常に苦しいやりくりをなさっていらっしゃるというような点も耳にするわけなんですが、そういう点はどうなっておられるのか。宮内庁としては、場合によれば一部法律改正等によりまして実情に合うようにしたいというようなお気持なり御計画なりがあるのかどうか、こういう点もあわせて伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/64
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065・瓜生順良
○瓜生政府委員 清宮様が御結婚の際に一時金としてお持ちになりました千五百万円は、皇室経済法にその根拠がありまして、皇族が皇族の身分を離れていかれる場合に、その方がもらわれるであろう歳費の十倍以内というような規定があります。その規定で計算して、ちょうど十倍が千五百万円というのできまりました。これは皇室経済会議というものがあるのです。内閣総理大臣が議長でありまするが、その皇室経済会議でその金額をおきめになった。その予算の方は宮廷費予備費で、これは当初予算にまだ予測できませんでしたので、予備費として支出をお願いして出しておるわけであります。
それから、災害などの場合にいろいろお見舞金などお出しになりますが、これは天皇陛下並びに内廷にあられる方の内廷費として年額五千万円、これは要するに私的な御生活費、私的なことをなさる経費五千万円ときまっておりますが、この五千万円のお手元金の中でいろいろな寄贈をなさるわけで、いろいろ御審議願う普通の宮廷費などのものではないのであります。ただこの金額は必ずしも多くないということをいわれるわけでありますが、この点は憲法上制限がありまして、憲法の第八条で、皇室が贈与をする場合、贈与を受ける場合には、国会の議決にかけなければならぬということがあります。この憲法の条文からいきまして、皇室経済法で一年間に寄付をなさる金額は三百七十万円までは国会の議決が要らぬ、それ以上出すには一々国会の議決が要るということになっております。それで、そうたくさんの御寄付はなされない。寄贈は五千万円のお手元金からなされるし、また一応法律の制限もあるということであります。しかし、これは普通の人にないような制限でありまして、皆さん方にないような制限があるのがはたしていいのかどうか、いろいろな疑問がございますので、さらに検討を要するということは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/65
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066・横山利秋
○横山委員 お二人の御質問がありましたから、私の問題はごく短くしぼりますが、本委員会はさきに皇太子のお家をお作りになるときに審議をいたしまして、その際に政府側と約束があるはずであります。そうきちんとした約束ではないにしても、その一つは、現在宮城内にあります国有財産の所管が実にまちまちで、ある所管のところは非常に設備、清掃等が行き届いておるけれども、たとえば大蔵省所管のごときに至っては、全くその管理保全が行き届いておらぬという点が指摘されて、実際大蔵省としても一々中に入ってやっておるわけにいかぬし、ほんとうはこれは宮内庁で使っておる場合も多いのであるから、この際一つ所管がえを断行して、適正な所管がえをしようという約束があったはずであります。この間伺いましていろいろ見てみますと、どうもその点が実行されておりません。何か研究をするというお話でありましたが、それでは約束が違うし、どうしてそれができないものか、私は不審にたえないのであります。今佐藤委員からも質問があって、考えたのでありますけれども、お掃除に行く人たちがある。そのお掃除に行く人たちは一体所管にかかわらず全部回しておるのか、それとも皇室財産のところだけ掃除をして回っておるのか。大体お掃除はもうやめていただいていいのではないか。あなたが冒頭におっしゃった御説明で尽きておるのであって、まあ精神的なものだという点については、発展いたしますところ、私どもとしては多少解しかねるような気持にもなる場合がある。理屈をいえば議論になっていく点があるのであります。ですから、予算その他必要ならば十分にととのえて、そして、皇居の参観をしたいというならば、お掃除とは別に、自由にもっと奥深く参観してもらうというようにすることが望ましい。しかし、それ以前に、宮城内の所管がてんでんばらばらで、そのために設備、清掃等がまちまちであるという点については約束が違う。この点は一体なぜ履行できないのかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/66
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067・瓜生順良
○瓜生政府委員 これは主として先ほど申しました東側地区のことでありますが、東側地区に約四万坪くらいの大蔵省所管の普通財産があり、一部ですが、厚生省の公園用の財産が入り込んでおるということであります。その点につきまして、今御指摘になりましたように、われわれといたしましても、やはり所管を一本にしてその管理を適正にやることがよろしいというふうに考え、そういうふうに努力いたしますということを申し上げたのでありますが、これは現在すでに書面上の合意はできておって、大蔵省、厚生省も早ければ来月ぐらい、おそくても数カ月以内には実現をするということになっております。その点はお約束できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/67
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068・武樋寅三郎
○武樋説明員 一昨日賀屋管財局長が為替局長になりまして、本物の局長がまたあとでお見えになるだろうと思いますが、私からお答え申し上げます。
ただいまお話しになりました点でございますが、確かに東側地区におきましては四万五千百三十七坪の大蔵省所管の普通財産があるわけであります。昨年予算を審議いたしていただく際に、そういう約束があったようにただいま承ったのでありますが、われわれといたしましても、どうも所管がばらばらであるというのはおもしろくないというので、主として関係の宮内庁と話し合っておったわけでありますが、せっかく皇居造営審議会が運営されておりまして、その結論を待ってやったらどうか。しかし、下準備といたしましては、それぞれ関係官庁と打ち合わせをいたしまして、お述べになりましたような方向にただいま参ろうというつもりでおります。近々具体的に話を進めて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/68
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069・横山利秋
○横山委員 それは、今瓜生さんの御説明では、宮内庁に所管がえするというのですか、どういうふうに約束がととのったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/69
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070・武樋寅三郎
○武樋説明員 宮内庁に設置されました皇居造営審議会におきまして結論が出たわけでございますが、その結論について申し上げますと、これは東側地区だけのことについて申し上げたいと思うのでございますが、第一番目は、「皇居東側地区は、宮内庁が一括所管し、皇居附属の庭園として整備し、宮中行事に支障のない限り、原則として一般に公開する。」二番目といたしましては、「同地区内の大蔵省所管の普通財産は、宮内庁所管に移し、同地区と厚生省所管の公共用財産との境界の不合理な点は改正を行なう。」三番目といたしまして、「前迷1の方針実施のため、皇居造営の実施計画に照応してすみやかに国費をもっておおむね次の要領により同地区内の整備を行なう。」イといたしまして、「宮内庁及び皇宮警察関係の一部建物の移築整備を行なう。」ロといたしまして、「宮内庁及び皇宮警察以外の官庁の建物及び公務員宿舎等は、他に移す。」ハといたしまして、「以上のほか、不用の建物は撤却する。」というふうに相なっておるわけでございます。せっかく審議会で諮問に対する答申が出たのでございまして、われわれといたしましても、これを尊重して具体化に進めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/70
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071・横山利秋
○横山委員 わかりました。それはそれでけっこうであります。
それに関連して私の第二の質問に入るわけでありますが、その当時本委員会で各委員から皆さんに意見が出、質問が出ました点は、一体皇居を根本的にどう考えるのかという点でありました。富士のすそ野はどうだとか、あるいは近郊はどうだとかいう議論もまじめに議論がされ、瓜生さんも、その当時まじめに、いやもしそういうところがあるならば、妥当であるならば、移転するにやぶさかでないという率直な御答弁があったのであります。今皇居造営審議会の結論が出たようでありますけれども、ここで今ずっと質問をした分でいけば、陛下のおうちを作る、あるいはまた足立さんの言うように、義宮さんの点についても内部に作るということでありますが、根本的に皇居造営審議会の結論並びに宮内庁の結論としては、皇居については現場において改善をする、現場において造営をしていくということにもう動かしがたい腹がきまったものかどうか。先般本委員会で議論されました根本論について、少し瓜生さんの御意見を——あなたの御意見というよりも宮内庁側の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/71
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072・瓜生順良
○瓜生政府委員 これは皇居の位置をどうするかという問題だと思うのでありますが、皇居造営審議会が昨年開かれましたときも、まず第一の問題として皇居の位置をどう考えるかということが討議されました。各委員全部御意見を述べられるというふうに熱心に討議をされました。その結論として、この皇居の位置については、やはりその中の宮殿の部分は、前の宮殿の跡がいいのじゃないか、それからお住居の点は吹上御苑内の御文庫の付近がいいのじゃないかというような意味の答申をお出しになりました。その理由を申し上げますと、これは答申の文書を読みますと、「宮殿は、内閣その他の国家機関及び外国公館等の所在する首都を離れた地に造営することは適当でなく、お住居も、国事に関する御事務や宮中行事の多端な今日、首都を離れ又は宮殿とあまり離れることは不便であると考えられる。また、宮殿、お住居、その附帯施設、駐車易、宮内庁関係庁舎等の敷地のためには、相当の広さの土地を要するので、現在の皇居の地域以外に、東京都内にその適地を求めることは、事実上きわめて困難であり、皇居の沿革に関する国民感情等も十分考慮しなければならない。なお、お住居は、衛生的見地からも適当なところであることを要するが、吹上御苑内御文庫附近の空気の汚染度は、調査の結果によれば、東京都内においては良好の部に属する。以上の観点から、宮殿は、現皇居内旧西の丸地区の旧宮殿跡、お住居は、吹上御苑内を適当と考える。」こういう答申がありましたのですが、その最初のところは、政府の諸官庁とか外国の大公使館等は東京にあるので、その関連土、東京から遠く離れたところは不便であるから、感心しないということであります。それから、それでは東京都内ならばどこか適当なところがあるかどうかという問題になるのでありますが、その場合に、宮殿とかお住居その他附帯施設とか、いろいろ宮内庁関係の庁舎等を考えますれば、相当広い敷地が要る、東京都内にそれがどこにあるかということをいろいろ検討してもどうも、適当なものがない、だから現在あいておる前の宮殿の焼け跡でいいじゃないかということであります。
なお、お住居については、皇居の中はどうも空気がよごれておっていけないのじゃないかというような意見も一部にありましたのですが、しかし、お住居も、やはりあまり宮殿から離れない土地の方が便利である。しかも、あの皇居の中の吹上御苑付近の汚染度を一年間ずっと調べたところによりますと、青梅よりは悪いが、東京都内の石神井と同じくらいである。そうすればやはり良好の部に属するから、特に悪いとは言えない。そういうことで、宮殿の位置については、皇居造営審議会で先ほど申しましたような答申をおきめになったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/72
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073・横山利秋
○横山委員 最後の質問でありますが、私は建築のことは全然わからないのでありますが、この間皇太子のおうちを拝見して、まあ何といいますか、昔の皇居風の特徴と近代的な建築の特徴とを兼ね備えたような感じを受けたわけであります。あれを見ながら、この次に陛下のお住居をどういうふうにお作りになるだろうかということを私は考えまして、陛下のおうちを見て、あのペンペン草の多少はえておるような庶民的な雰囲気というものが、皆さんにささえられてと言っては変だが、皆さんの同意を得てあのままになっておるということは、私はまことにけっこうなことだと思います。そう私はこの前も痛感したし、今度も痛感したわけであります。もっとも、あのおうちは防空壕作りだから、あれではいかぬじゃないかという点についても同意いたしますが、少なくともあの雰囲気については私はけっこうなことだと思ったわけであります。
そこで、私の質問は、今度のお作りになるおうち、これはもうすでにその設備については拝見いたしておりますが、瓜生さんとして、宮内庁としてどういう感覚を持っておうちをお建てになるのか。単におうちばかりではなくて、先ほどもちょっと触れたのでありますが、清掃の問題についても、いついつまでも同じような格好を続けるおつもりなのか。時間がないので率直な話をいたしますが、たとえば皇太子が今度アメリカにお行きになるということが、まあこういうときでございますから、それだけにとかく素朴にうわさがされない点があるわけであります。これらの点を考えて、私は具体的なものでなく抽象的にお伺いいたしますが、今後のいろいろなおうちとか、あるいは参観とか、あるいは渡米とか、全部を通じて天皇家の人間的な庶民的な雰囲気をどういうふうに持続していくのか、政治と天皇家との関係については、あなたは常にどういうふうに配慮していなさるのか、そういう点を私はあなたに率直にお伺いをしたいのであります。具体的な議論をすれば、皇太子の御渡米その他について伺いたいのでありますが、時間がございませんから、私の質問をした意のあるところはおわかりだろうと思いますから、それらの点について今後宮内庁としてはどういうふうに進んでいかれるのか、率直な所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/73
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074・瓜生順良
○瓜生政府委員 皇室のお立場は、憲法第一条にありまする国民の総意に基づいて、国の象徴、国民統合の象徴であられる天皇のこのお立場を常に根本に考えていくということだと思います。皇室は国民の総意に基づいていろいろの御活動をなさる。一党一派に偏するというようなことがないように、常に国民の総意に沿っておやりになる。そのことが、結局、国民全体の統合として、全体の団結を強めていかれるというような意味の機能を発揮なさることになると思うのであります。まずそういう点を考えております。
それから、なお、国民統合の象徴としては、公平無私だといっても、国民と遊離されてはいけないので、常に国民と親しみを持って結びついていくことが必要であります。先ほど佐藤先生もおっしゃいました国民と皇室の親しさを一そう深めていくということも非常に大切で、従って、お住居とかそういうものを作ります場合にも、人がおいでになっても親しさを感ずるような明るさのあるものがよろしい、というふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/74
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075・植木庚子郎
○植木委員長 ただいま議題となっております両件中、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件に対する質疑はこれにて終了いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/75
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076・植木庚子郎
○植木委員長 なお、本議決案に対しましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることにいたします。
採決いたします。本議決案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/76
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077・植木庚子郎
○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、本議決案は可決いたしました。
ただいま可決いたしました議決案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/77
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078・植木庚子郎
○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次会は来たる十九日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時三十四分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404629X01819600414/78
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