1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年二月二十六日(金曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 濱地 文平君
理事 飯塚 定輔君 理事 纐纈 彌三君
理事 田中 榮一君 理事 渡海元三郎君
理事 吉田 重延君 理事 加賀田 進君
理事 阪上安太郎君 理事 門司 亮君
相川 勝六君 亀山 孝一君
高田 富與君 津島 文治君
山崎 巖君 太田 一夫君
川村 継義君 佐野 憲治君
安井 吉典君
出席国務大臣
国 務 大 臣 石原幹市郎君
出席政府委員
警察庁長官 柏村 信雄君
警 視 監
(警察庁保安局
長) 木村 行藏君
総理府事務官
(自治庁財政局
長) 奧野 誠亮君
総理府事務官
(自治庁税務局
長) 後藤田正晴君
大蔵政務次官 奧村又十郎君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 大村 筆雄君
専 門 員 圓地與四松君
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二月二十四日
地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の
一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
道路交通法案(内閣提出第五八号)(予)
地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の
一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)
地方財政に関する件(昭和三十五年度地方財政
計画)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/0
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001・濱地文平
○濱地委員長 これより会議を開きます。
予備審査のために去る十七日本委員会に付託となりました内閣提出、道路交通法案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。石原国務大臣。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/1
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002・石原幹市郎
○石原国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、現行の道路交通取締法及び同法施行令を廃止し、新たに道路交通法を制定しようとするものであります。
現行の道路交通取締法は、昭和二十二年に制定され、以来、数次の部分的な改正を加えられて今日に至っているものでありますが、この間わが川における交通事情は、自動車の急激な発達、普及及び増加に伴い、まことに著しく変化し、特に最近における大都市の道路交通は、同法制定当時と比較しますると、異常なまでに発展、変貌を遂げ、しかも、近い将来におきましては、さらに一そうの複雑と困難が加わることが予想される状況であります。このような実情に対し、現行法令の規定では、すでに種々の点で不十分なことが痛感されるのみならず、今後の交通事情の変化には、とうてい対処し得ないものと判断されるに至りましたので、今回同法及び同法施行令について全面的に検討を加え、新しい時代に即応した道路交通の基本法としてこの法律案を立案いたしたものであります。
この法律案は、現行法令と比較して、相当広い範囲にわたって規定の整備、新設をいたしておりますが、その重要な点は、次の通りであります。
第一は、法の名称を道路交通法とし、また、法の目的を明確にしたことであります。この法律は、道路交通の基本法たる性格を有するものであることにかんがみ、現行の道路交通取締法という名称を改め、道路交通法とし、また、法の目的につきましても革に道路における危険を防止し、その他交通の安全をはかるのみでなく、積極的に交通の円滑をはかることをも目的とするものであることを明らかにいたしました。
第二は、法体系を整備するとともに、用語及び表現を平易化したことであります。現行法におきましては、道路交通の規制に関する基本的な事項が法及び施行令の両者にわたって規定されているのでありまするが、これら基本的な事項は、すべてこの法律の中に規定することとして、法体系を整備し、また、国民のだれでもがこの法律を容易に理解し得るように用語及び表現をできるだけ平易にすることに意を用いました。
第三は、交通の規制に関する規定を整備したことであります。そのおもなものは、交通規制のための道路標示の設置に関する規定を新設すること、公安委員会が区間または期間の短い通行の禁止または制限を警察署長に行なわせることができる規定を新設すること、自動車の最低速度に関する規定を新設すること及び道路交通に関する調査を行なうための規定を新設すること等であります。
第四は、歩行者の通行に関する規定を整備するとともに、歩行者の保護の徹底をはかったことであります。歩行者の通行につきましては、特に一章を設けまして、その通行方法の基本を明らかにしますとともに、これらの規定には、原則として罰則を付さず、違反者に対しては、警察官が必要な指示を行なうことといたしました。また、車両等の交通方法に関する規定において歩行者の通行の保護をはかることといたしました。
第五は、車両等の交通方法の合理化をはかったことであります。自動車を初めとする各種車両等の増加に伴いまして、現行規定では、車両等の交通の規制について十分な実効を期することが困難となるに至りましたので、車両の通行方法の基本原則、追い越しに関する規制、交差点における通行方法、停車及び駐車に関する規制等について新たな規定を設けるとともに、現行規定についても全面的な検討を加え、車両等の交通方法の合理化に必要な規定の整備をいたしました。
第六は、交通の円滑をはかり、危険を防止するための措置を強化したことであります。道路において車両等の通行が停滞したため交通が著しく混雑するおそれがある場合における混雑緩和の措置、違法駐車または違法工作物等が交通の危険を生じさせ、または著しく交通の妨害となるおそれがある場合における移動、除去、移転等の措置について必要な規定を設けるほか、酔っぱらい運転、過労運転等の無謀運転の禁止、整備不良車両の運転の禁止等道路における危険防止の措置に関する規定を整備することといたしました。
第七は、雇用者及び車両運行管理者の義務についての規定を設けたことであります。最近における交通事故及び交通法令違反の原因には、単に運転者の責めに帰すべきもののみならず、むしろ運転者を雇用する者あるいは車両の運行を管理する地位にある者の責任と思われるものが多いことが痛感されるところであります。よって雇用者は、その雇用する運転者に安全な運転を行なわせるよう努めなければならないこと、雇用運転者をして過酷な条件のもとに運転させてはならないこと等とするほか、車両等の運行を直接管理する地位にある者は、無免許運転、無謀運転等を命じ、または容認してはならないこととし、これらの者が、運転者とともに、交通の秩序の確立に責任のあることを明らかにいたしました。
第八は、運転免許制度の合理化をはかったことであります。運転免許の種別を整理してその簡素化をはかったこと、免許証の交付手続きについてその不合理を改めたこと、免許についての行政処分の実効をはかる措置を講じたこと、各都道府県における運転免許関係事務の斉一化、適正化をはかるため全国的な基準を命令で定めることとしたこと等運転免許に関する規定を整備して、運転免許制度の合理化をはかるごとといたしました。
最後に、罰則を整備したことであります。現行法制定以後の社会情勢の変化及び現行の各種法令に規定する罰則との均衡を考慮して全面的に罰則を整備するとともに、過失犯の規定及び両罰規定を整備することとし、また、交通事故の原因に飲酒によるものが多い実情にかんがみ、運転者が交通違反を犯した場合において酒気を帯びていたときの刑の加重について規定する等罰則の整備をはかることといたしました。
以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第でございます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/2
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003・濱地文平
○濱地委員長 次に、去る二十四日、本委員会に付託になりました、内閣提出、地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。石原国務大臣。
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004・石原幹市郎
○石原国務大臣 ただいま議題となりました地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨を御説明いたします。
地方財政につきましては、ここ数年来諸般の改善措置が講ぜられ、その健全化が促進されて参ったところでありますが、今後さらに地方公共団体の財政運営の面におきましても、年度間の財源調整を強化し、国と地方公共団体及び地方公共団体相互の間における財政秩序の適正化をはかり、地方財源の充実の措置に対応して、住民の税外負担を軽減し、財政運営の合理化を通じて長期にわたる財政の健全性を確保し、地方自治の発達に資する必要があるのであります。以上が本法律案の提案の理由であります。
次に本法律案の内容の要旨につきしまして御説明申し上げます。
第一は地方財政法の改正に関する事項であります。
その一は、地方公共団体における年度間の財源調整に関する規定の整備をはかったことであります。従来からも年度間の財源調整に関する規定はあったのでありますが、これを全面的に改正し、地方公共団体の一般財源が新たに増加する義務的経費の額を著しくこえて増加することとなる場合等におきましては、その著しくこえることとなる額は、災害により生ずる経費、減収の補てん、赤字の解消、緊急に実施を必要とする大規模な建設事業その他必要やむを得ない経費の財源に充てるほかは、これを積み立てるか、長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得等に充てるか、または地方債の繰上償還の財源に充てなければならないものといたしました。なおこの積立金は、経済事情の変化等により歳入が激減した場合の財源不足額の補てん、災害関係の経費、財源育成のための財産の取得等の経費、地方債の繰り上げ償還等の特定の経費に充てる以外には取りくずすことができないことといたしました。
その二は、地方公共団体相互の間における財政秩序の適正化に関する規定の整備であります。地方公共団体は、その相互の間における正常な負担関係を乱すようなことをしてはならない旨を明文をもって規定するとともに、都道府県またはその機関が行なう道路、河川、海岸等にかかる大規模かつ広域にわたる事業で政令で定めるものに要する経費は、これを市町村に負担させてはならないものといたしました。
その三は、地方財政の健全化のための諸措置に対応いたしまして、住民の税外負担の軽減合理化をはかるために、法令の規定に基づき市町村の負担に属する経費のうち政令で定めるものにつきまして、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならないものといたしました。
その四は、昭和三十四年度において行なった固定資産税の制限税率の引き下げに伴う減収を埋めるための起債の特例措置の延長でありまして、この措置は、昭和三十五年度以降におきましてもなお当分の間実施することとしたのであります。
第二は、地方財政再建促進特別措置法の改正に関する事項であります。
その一は、財政再建計画の承認またはその変更の承認を求められた場合、合理的な再建の達成に支障がないと認められる限り、自治庁長官は、その行政について合理的かつ妥当な水準が維持されるよう配慮するものとしたことであります。
その二は、現行法上政令で定める年度以降歳入欠陥を生じた地方公共団体について、財政再建計画を立てた後でなければ、地方頂をもって公共または公用の施設の建設事業費、出資金、貸付金、地方債の借りかえ等の財源とすることができないこととなっているのでありますが、その年度を昭和三十六年度以降と法定することとし、なお地方債制限の対象を公共または公用の施設の建設事業費に限ることといたしました。
その三は、地方公共団体は、従来から、当分の間、国に対して寄附金等を支出してはならないこととされているのでありますが、地方財政の実情にかんがみ、公社、公団及び公庫につきましても同様に取り扱うこととし、国及びこれに準ずる機関と地方公共団体との間における財政秩序の合理化に資することとしたことであります。
以上が地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/4
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005・濱地文平
○濱地委員長 次に、地方財政に関する件につきまして調査を進めます。
昭和三十五年度地方財政計画に関する質疑を継続いたします。門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/5
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006・門司亮
○門司委員 ごく簡単に少しばかり聞いておきたいと思いますが、一つは、例の国有資産等の提供に関する財源処置としての十億が、据え置かれておりますが、これの実態は、私は必ずしも十億でいいとは考えられない。これは普通の固定資産税関係あるいはその他の国鉄その他が持っておるというようなものと、いわゆる国有財産との関連性から考えてみると、十億という金は何らの根拠のないものであって、もしこれを普通の固定資産税相当額に換算して課税するとすれば、一体どのくらいの額になるかということが、もし自治庁で精算されたものがあるなら、この際示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/6
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007・後藤田正晴
○後藤田政府委員 いわゆる基地交付金につきましては、現在の台帳記載価額が千二百五十五億でございます。従いまして、この基地交付金を、かりに固定資産税にかわるものというように解釈をいたしまするならば、これに一・四%を乗じた額、こういうことになりまするので、十数億になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/7
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008・門司亮
○門司委員 十数億というのじゃなくて、どのくらいになりますか。十六億幾らになるはずだと思いますが、大体そのくらいの数字になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/8
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009・後藤田正晴
○後藤田政府委員 十七億五千七百万であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/9
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010・門司亮
○門司委員 そういたしますと、この十億の金は、実はほとんど根拠がないというと語弊がありますが、全然根拠のないわけではないと思いますが、地方配分にあたっては、今の数字のようなことをはじき出して、そうしてこれが均等化されて配分が行なわれておると思います。そうだといたしますと、結局十億というのは、半分より少し多いくらいの、六割にならないものであって、基地を持っております自治体の財政状況というのは、どこの培地を持っておる自治体の財政状態も、あまりいい財政状態でないことは御承知の通りであります。従って、従来こうしたこの種の経費につきましては、どういう形でこれを出しておりましたか。これがもし今まで、たとえば防衛分担金の中からでも出ておったというようなことがあれば、少し問題が残るのでありますけれども、そういうことはなかったのですか。これは日本政府限りで出しておった金ですか、防衛分担金の中から支出しておったのか、どっちなのですか、この際聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/10
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011・後藤田正晴
○後藤田政府委員 防衛分担金の中から出ておったというようなことは、私はないと思います。ただ、現在の対象資産は、配付の際に八割、二割に分けまして、その二割分について、いわゆるドル資産のある市町村にも、米軍施設があることによる財政需要があるということで、その部分も一部加味をいたしまして、配付はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/11
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012・門司亮
○門司委員 いや、私の聞いておりますのは、もしこの金が防衛分担金の中から多少でも出ておるということになると、今度の行政協定を見てみますと、防衛分担金がなくなるわけです。そうすると、これが全部日本政府の負担になるという、こういう形になる。その間の事情を一応聞いておきたいと思うのですが、防衛分担金は何も関係がないというお答えなら、それでよろしいと思いますが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/12
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013・後藤田正晴
○後藤田政府委員 防衛分担金には関係がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/13
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014・門司亮
○門司委員 そうだとすると、日本政府の立場でこういう特別の措置をとられておったといたしますると、この問題の起こりました最大の原因は、さっきも申し上げましたように、基地経済というものが非常にこんとんとしたものがあるということ、それからほとんど安定感が薄いということ、いろいろな事情を勘案して同時に、日本の政府の持っておる国有財産等についての固定資産税相当額というものを納めることになるという、そういういろいろないきさつから、結局この国有財産の提供等に関するものができたので、経緯はそういうことになっておるのである。だから、当然ここでいわゆる固定資産税相当額あるいはそれに近いものが支給されてしかるべきであって、何ら根拠のないこういうつかみ金のような金を出すということは、私は非常に困ることだと思う。これはやはり自治庁がもう少ししっかりしてもらって、根拠のあるもので配分のできるようにしてもらわぬと、国の財政の都合でこれだけ余ったからこれだけお前らにやるから勝手に分けろというような今までの行き方ではいけない。大蔵省の政務次官が見えれば政務次官に、このことについては十分一つ大蔵省の考え方を聞いておきたいと思う。こういう算定の基礎の何もないものを地方の自治体は分けてやるというようなことでは、地方財政の健全化なんていったって、まるきり国に隷属した団体としか考えられない。この点についての自治庁の大臣としてのお考えを一つお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/14
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015・石原幹市郎
○石原国務大臣 いわゆる基地交付金関係の問題でありますが、対象となっておりまする資産にも返還されたりするものもいろいろ出てきますので、そういう意味で、御指摘のように、十億というものは一種のいわゆるつかみ金のようなことになっておりまするが、そういうふうに途中で返還によるものが出てきたりいろいろしますので、でき得れば正確な計算をし、基礎の上に立って操作できるというような性質のものになることを私も望ましいと思いますが、まあただいまのところ、ちょっとつかみ金のような形で考えております。なお、将来の問題として、大蔵当局あたりと十分話し合って、合理的なものになるように努力をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/15
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016・門司亮
○門司委員 これは基地経済といいますか。基地を持っておる自治体との関連から申し上げて参ります。と、自分のところにこれだけの資産があるが、しかしそれについてどれだけもらえるか実はわからぬのであります。国の方で、このくらいだからこのくらいお前のところにやろうというようなことで、さっぱり基準というようなものがはっきり示されておらない。こういうことでありますから、一つ大蔵省が見えたら、私、よく聞いておきたいと思うのでございますけれども——大蔵省政務次官はおいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/16
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017・濱地文平
○濱地委員長 主計官が来ています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/17
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018・門司亮
○門司委員 それでなければ主計局長かだれか責任ある人が来てもらえたらいいのですがね。政策的な問題で、数字の問題でないのですから……。
それからもう一つ、これも自治庁から先に用いておきたいと思いますが、やはりこれも大蔵省にぜひ一つ責任ある立場で答弁してもらいたいと思うのですけれども、もう一つ地方財政計画の中でおかしなものは、例のとん税と特別とん税の問題であります。ああいう規定のできた最大の原因は、御承知のように船舶に対します固定資産税の課税の標準を下げたということ、いわゆる価格の三分の一に固定資産税をかけることになったということ。従って港湾を持っております都市の船舶に対する固定資産税が非常に減ってきたということ、これの見返り財源というような形で特別とん税というようなものが制定されておる。いわゆるとん税が制定されておる。そうだといたしますと、とん税とか特別とん税とかいうような、国と地方が二つに分けるというようなことでなくして、この税金のできた経緯から考えれば、当然これも自治庁の所管として、港湾を持っておる都市に配分さるべきである。特に御承知のように、港湾の維持管理は地方の自治体が行なうように港湾法に規定されておる。こういうふうに考えて参りますと、この特別とん税ととん税と二つに分けて、片方は大蔵省がとる、片方は自治体に出す。しかもその額は六億か七億程度のものであって、国家財政の面から見ればきわめて微々たるものである。しかし地方の都市の港湾整備の関係からいけば、かなり大きくものをいうわけであります。従って金高は国がとればごくわずかなものにしかならない。しかしこれが地方に配付されれば非常に大きな役割をするということ、こういう使い方の比重から考えて参りましても、こういう税金ができた経緯から考えて参りましても、実質的には港湾を持つ都市にこれを全額出すということが私は正しいと思います。この点に対する自治庁のお考え方を一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/18
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019・後藤田正晴
○後藤田政府委員 ただいま御質問のございましたように、現在の特とん譲与税は三十四年の際に、船舶に対する固定資産の税率が三分の一から六分の一に軽減になった。従ってその際に、その固定資産税相当分を特とん譲与税として、トンあたり十円の金額で譲与する、こういうことになったのでございますが、御査問のとん税と特とん税を一本にして、それを地方の開港所在市町村に与えるべきである、こういう御意見につきましては、何分にもこのとん税が明治三十二年以来国税としての長い経緯を持つ税でございますし、また国と地方との税源の配分の問題にも関連するわけでございますので、私どもといたしましては御趣旨の点も十分考えまして、現在税源配分について税制調査会等で審議をいたしておりますので、御意見を参考にいたしまして、将来できますれば改善をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/19
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020・門司亮
○門司委員 そういう経緯があったということはわれわれも承知をいたしております。しかしその当時における日本の港というものは、国が管理して、国が維持しておった。ところが最近の港は、御承知のように地方の公共団体が維持管理することに法律が変わっておる。事態が変わっておる。しかも大蔵省は関税をちゃんといろいろな形でとっておる。港に関するものは、歴史がどうあろうと、変わっておりますから、当然維持管理を行なう港湾を持っておる都市にこれは還元さるべき性質のものである。さっき申し上げましたようなごくわずかな数字、これからいきますと大体八億の十分の七でありますから、ごくわずかな金になろうかと思います。そういうものを依然として、もう影も形もない昔の歴史というものを考えて大蔵省がこれを握っておるということ自体がおかしいと思う。だから大蔵省の政務次官なりあるいは大臣なりがお見えになったときに、その点についてもお聞きしたいと思います。一応自治庁の意見もそういうことであってはならないと思う。事態が変わっておる。港湾の整備については地方の自治体がかなり苦労しておる。これがまた日本の貿易経済等に対する影響もきわめて大きいということ、今日の港湾整備は新しい法律等も出ておるのであります。急を要するものであって、ことにこれが七大港湾でありますか、十一指定港湾でありますか、その指定は今年度から新しい構想のもとに港湾整備を行なうことにいたしております。こういう際に、やはり地方の自治体には当然財源として与うべきものは与えた方がよろしいと私は思う。私は自治庁の建前としてはそうあってしかるべきだと考えております。今のような答弁では私、どうも満足するわけには参りません。
それからその次に聞いておきたいと思いますことは、国からきております補助金、負担金あるいは委託費というようなものが幾つかきております。これは全部を合わせますと、私はこの間予算委員会でもお話ししたのでありますが、私のところで勘定したのでは千四百三十二からある。そういうたくさんのものがあって、どこにどう使われておるか事実上わからない。これをずっと整理していって、実際の支出額にこれが合うように、いわゆる法律ときちんと合うようにするということになりますと、この財政計画に表われない面でかなり大きなものが出てくると私は思う。たとえば委託費にいたしましても非常に安い単価できておる。あるいは国の職員が職安や衛生関係等にはたくさんおりますが、これらの諸君には、いずれも法律できめられた規定の経費しか国は地方に出しておらない。オーバー・タイムの問題やあるいはその他の手当の問題等については、地方の自治体は自弁で支払っておる。国の方の予算で委託費としていかにも職員を派遣し、自分たちが出したような格好にしておる。また財政計画でも受け取ったような形をしておる。しかし実際は地方の自治体の支出がかなりふえておる。もしこういう関係について自治庁でお調べになった資料があるなら、この際数字を出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/20
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021・奧野誠亮
○奧野政府委員 お話しの通り、国庫補助負担金の中には実際の所要額を基礎にして算定すればもう少し増額さるべきだというような問題があるわけであります。そういう問題につきましては、大蔵省ともあるいはその他の主管省とも絶えず話をいたして参っておるわけであります。そういうものについて私たちは逐次是正されてきておると思うのでございますが、地方財政の立場からいいました場合にはなかなか満足しがたい問題だと思います。御指摘になりました数字を今ここに持ち合わせていないわけでありますが、たしか前国会で私どもの推定で三、四十億に上っておるということを申し上げたいと思います。なお今の点につきましては、当たられます限り数字を当たりまして御報告を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/21
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022・門司亮
○門司委員 私は、三、四十億と言っておりますが、そんな数字じゃないと思うのですよ。補助金が三分の一というのが三分の一でなかったり、四分の一というのが四分の一でなかったり、今申し上げました委託費なんというのは全然これは違っておるのであります。だから三十三年度の決算から見ても、収入の方の違いは相当大きな約一千億余り違っております。三十三年度の財政計画は一兆二千三百七十一億、決算額は一兆四千三百二十七億になっております。ところが支出の方を見てみますと、いろいろな繰り上げ充当の問題を勘案したり、あるいは前年度の繰り上げ充当金とかあるいは失業対策費のふえた分、予算繰り越しの計上分とかいうようなものを入れて参りましても、財政計画として認められたものが一兆三千百三十一億に数字がなっておる。支出の方は一兆五千百四十五億、ここでは二千億違っておる。決算の方で一千億違って支出の方で二千億違っておる。こういう財政計画と決算額との開きというものが大体どこから出てくるかというと、これは国の予算のようなわけに参らぬことはわかっております。三千も四千もある自治体のものを一まとめにして自治庁がこしらえた財政計画が数字的に正しいものとは私ども考えておりません。もともと数字的には正しいものとは考えておりませんが、しかしこういうふうに歳入と支出との関係において数字が食い違っておるというところに何かが伏在しておりはしないか、当然見合うべきものが見合っていない。財政計画の面では見合うように書いてあるが、しかし実際は見合っていない。それが地方の事情によって生じたものではなくて、国家予算の関係からくる。こういう誤差はやはり国家予算を審議するときに正すべきだと思う。そうしてその差を縮めていくということが予算審議の上では非常に重要なことだと考える。同時に地方財政についてもかなり大きな問題になろうかと私は考える。これらの点について今三、四十億というようなお話がありましたが、私は必ずしもそういうものでないと思う。もう少し大きな数字が出てこなければならないと考える。従ってこの問題は非常に勘定のしにくい問題であります。計数のとりにくい問題でありますが、しかし一応自治庁としてはこれに努力をしていただきた、そしてこういう食い違いのないようにしてもらいたいということを一応申し上げておきたいと思います。
その次にもう一つ財政計画の中で聞いておきたいと思いますことは、予算委員会でもかなり私は申し上げたのでありますが、税外負担に対するものの考え方であります。これは国の言っておりますように、全体を公租公課というものの考え方でよろしいかどうかということであります。私自治庁を責めるわけでありませんが、農林省の統計を見てみましても、どこの統計を見ましても、寄付金というものが公租公課の中に入っている。私は公課じゃないと思う。この観念はどうなんです。公租公課という観念で今の地方の自治体に税外負担として納めているものを認めていいのですか。これは役所の言葉で言うとどうもそうなりそうなんだが、一体どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/22
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023・奧野誠亮
○奧野政府委員 税外負担は公租公課という形式的な分類の中に私たちは別に入れておりません。入れておりませんが、その中には実質的にはそれと同じような形において負担させられているものがある。従ってそういう問題につきましては、その合理化は税制の問題と同じように検討していかなければならない問題だ、かように考えているだけのことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/23
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024・門司亮
○門司委員 そうだといたしますと、非常に大きな問題になると思う。これははっきり分類してもらいたいと考えておった。ところが現在のものがそういう観念でもしやられているとすれば、これは当然公費で全部まかなってもらいたいと思う。これが任意寄付でないのだ、寄付ではないのだというようなことになりますと、私はえらいことになると思う。私がそう申し上げておりますのは、ここに農林省の三十三年度の統計がごく最近出ております。この中には全部そういうものが入れてあります。たとえば市町村割当寄付、学校関係寄付、消防団の消防団割り、公民館割り、道路修繕費、農業委員会費、民生事業寄付、その他の市町村寄付、こう書いてある。その次に部落協議費というものがちゃんと書いてある。またその下にはいろいろいわゆる生産手段に関係したものとして、私はこれらはあるいは公課と言っていいかもしれないと思うが、農業協同組合の費用、森林組合の費用、たばこ耕作者組合の費用その他の産業団体費。ところがその下にいって、青年会費、婦人会費、赤十字社費、共同募金というようなものまで全部公課の中に計算がされておる。こういうことになって参りますと、結局やはりこれらのものは全部公の費用でまかなうようになりはしないかということであります。このことを私が申し上げますのは、加賀田君の大蔵省に対する質問中でありましたか、阪上君から要求し自治庁から出しております資料の中でありましたか、大蔵省は持っていない、自治庁で調べてもらった数字だとおっしゃっておりますが、自治庁で調べた数字によりますと非常に少ない。二百五十三億かそこらしか書いてない。実際にこの数字を当てはめて、類型別に、各府県別に、いわゆる国税、府県税、市町村税の額とこの公課と称するものの額を調べてごらんなさい。どういう数字が出てくるか。大体税金と同じような数字が出ますよ。そう食い違いのないものが出ます。この中から今申し上げましたような農業の生産手段その他に使うものを差し引いていって、そうしてできるだけ一般の税外負担とわれわれの考えておるものだけを拾ってみましても、これはもう数字がはっきりしていることであって、北海道のごときは二町未満の小さな百姓は、都道府県税と市町村税全部合わせても九千百四十一円しか納めておらない。ところが今申し上げましたような赤十字あるいは共同募金、部落費なんかを加えても千八百四十二円という数字を納めておる。それからその次の二町以上作っておる諸君にいたしましても、道税と市町村税を合わせて一万六千六十六円しか納めておらない。それについて寄付金だけが二千六百七円という数字が出てきておる。これをもし今のような公課だという概念でずっと下げて参りますと、どういう結果になっておるかというと、二町未満の諸君は税金が九千百四十一円であって、この公課の諸負担は九千三百七十八円という数字になる。税金を上回っておる。こういう数字がちゃんと書いてある。これは全県同じですよ。ずっと都道府県を調べてみても大体こういう数字が出てきておる。さして変わらない。そうだといたしますと、これはあなた方のお調べになっておる数字と私は非常に違うと思う。文部省が昨年の六月一日に出した例の学校の寄付金の集計を見てみましても、文部省だけでも、この寄付金の中から当然公費でまかなうべきと考えられて、あるいはどういう関係があったか、公費の中に繰り入れた分とそれから繰り入れない分と二つ書いてある。その総額を合わせますと、文部省の統計を見てみても三百四、五十億のものがちゃんと書いてある。もし詳しい数字が要るとするならここにございますから一応数字を申し上げてもよろしいかと思いますが、かなりたくさん出た数字がちゃんと出てきておる。いわゆる教育総額の四千三百五十五億の大体七・四五%という数字が出ておる。こういうふうに考えてみますと、自治庁の税外負担の推計は学校のPTAの寄付金にも該当しないと思う。非常に内輪に見てある。どこを計算されたか私はわからぬと思う。こういうものが現実にあるのでありますが、これを今度の大臣の説明を聞いてみますと、九十億ばかり財政計画の中に見たというお話でありますが、われわれが推計いたしますと、地方税の約一割かりにこういうものがあるとしても六百億以上なければならない。今年は六千二百三十億ですから六百二十三億以上なければならない。もし農林省で農家の実態調査をしたこの数字がかりに正しいとするなら、あるいは横浜その他大都市で一応調べた数字がございますが、これを見てみると、大体総予算の約一割に近い一〇%とか一一%に近いものが大体出てきておる。これを総合いたしますと、大都市、農村を通じて一割ないし一割五分まで見ることが数字的には正しいのではないかと思う。そうするとこれはえらい数字になるのです。それを二百五十何億くらいを出してきて、そうして大蔵省の言うことにして、どうもこれだけしかないのだから九十億くらいでよかろうということで、総額が二百五十何億ならその中で政府の見るべきものはこのくらいだろうということで、九十億くらいしか処置しておらない。こういうものについてももう少し自治庁は真剣に調査を進めたらどうなんです。そうしないと、結局自治庁というのは大蔵省からいじめられっぱなしなんですね。私は自治省になるという前提よりも、もう少し前に仕事をしてもらった方がいいと私は思う。自治省にならなければ仕事ができぬというものじゃない。自治庁の考え方はどうなんです。こういう数字をあなた方の方で出しておられるのですよ。あなた方が出されておりますから、あなた方の方が御存じだと思いますけれども、あれでよろしいというようなお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/24
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025・石原幹市郎
○石原国務大臣 門司さんのおっしゃいますこと、もっともと思われる点が非常にたくさんあるのでありまするが、いわゆる税外負担、税外負担と言われております中にも、受益者負担的な性質のものが相当あるのじゃないかと私は思うのです。そういうものをかりに全部公費でまかなうべき方へ計上すべきかどうかということについては、しさいに検討すれば、門司委員の言われている中にも受益者負担的なものが相当あるのじゃないかと思うのでありまするが、昨年十月に自治庁で調査したものは、比較的公費をもって支弁すべき性格の強いものをずっと選んだと思うのであります。ワクを広げればそれはもっと大きなものになると思います。今回九十億を計上いたしましたのは、市町村が公費をもって支弁すべき経費を不当に住民に課しておるきらいのあるものを選びまして、それが九十億くらいだという認定に立っておるのでありまして、これをもって税外負担の解消全部であるとはわれわれは考えていないのであります。まだまだ財政にゆとりを見る限りにおきましては、置きかえていかなければならぬものが相当あると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/25
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026・門司亮
○門司委員 それから地方財政計画と、将来の町村財政といいますか、地方財政との関係でありますが、これも大臣の方がよく御承知だと思いますけれども、赤字の団体がだんだんふえてきておる。そうして黒字の団体がかりにあるといたしましても、黒字額は少なくなってきておる。赤字額のふえている率の方が多くなってきておる。これは必ずしも政府の言われるように地方財政がよくなったとは私は考えられない。地方財政が再び悪化の状態をたどっておるとしか考えられない。その原因の一つにわれわれが考えますのは、一応財政再建整備法というものができて、そうして財政をたな上げしたことの功罪は、この際議論は別にいたしまして、ああいう非常に地方財政が危機に瀕したという声が大きくなって、政府も特別処置をとらざるを得なくなってきて、一応処置をとってきた。このことのために地方の自治体の行政水準といいますか、行政の組織というものがかなり縮小されてきておる。言うならば赤字の方に全部かかってしまって、できるだけ赤字を少なくしていこうというものの考え方が、町村の理事者の中に非常に強くなってきはしないか。私どもの聞いた範囲内でも、町村に参って財政状態を聞けば黒字だ、こう言う町村がかなりありますが、それなら橋は全部完全ですかといって聞いてみると、いや実はそのことだが、なかなかそうはいかない、財政は黒字だが、橋の方はまだ重量制限をしているような橋が幾つかあるというようなことをしばしば聞くのであります。これは健全な町村の運営がされてないということで、なすべきことをなさないで、そうしてただ黒字だけを追っておるというような誤った考え方が非常に強かったのじゃないか。ところがそれすらも現在ではもうぼつぼつ隠しきれない。いわゆるやるべきものはやるということになれば、結局赤字がふえてくるという傾向をたどりつつある。従って、今日の地方財政の歩みとしましては、再び赤字に進みつつあるようなことが、たとえば三十二年度、三十三年度の決算を見てもうなづけるのであります。こういう点について自治庁として何かお考えがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/26
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027・石原幹市郎
○石原国務大臣 私から申し上げるまでもなく、経済というか、財政にもいろいろカーブができてくるわけでありまして、三十二年の地方財政は比較的よかったのでありまするが、経済界が後半期から悪くなった。その影響が三十三年度に現われて、三十三年度では、経済界の不況を反映して入るべきものが入らなかった。しかし一方、歳出の面におきましては、義務費的性格の強い経費や、行政水準を上げたいということで向上のための避けがたい経費等が相当増額して参りましたので、歳入は減ったが歳出は減らない、むしろふえる傾向にあるということで、三十三年度は御指摘のような状態になっておったのでありますが、三十四年度は、まだ総決算はできておりませんけれども、また上がりカーブになっているのじゃないかと私は思うのでありまして、経済界の情勢が非常に反映をして参りまするので、三十三年が一つの底になっているような感じがいたすのでありますが、三十四年はおそらくよくなってきていると思うし、また、このよくなってきている状態を今後も続けてもらいものだ、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/27
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028・門司亮
○門司委員 私の見ておりまするのは、そういう一応の御答弁もあるかと思いますが、町村のといいますか、地方の自治体の実態なんですね。今申し上げましたように、やるべき仕事をやらないでおる。そうして必然的にその仕事をやらなければならぬ状態が出てきておって、今までのような観念では地方財政を見るわけにはいかなくなってきている。御承知のように、これは大臣よりもむしる奥野君の方がよく知っていると思うのでありますが、非常に赤字がふえてきた。昭和二十八年から二十九年時代の財政重要額というか、あるいは地方の仕事をしておった仕事量というもの、それからその後における仕事量というものと財政というものをかみ合わせてごらんなさい、大体どういう数字が表われてくるか。自治庁は再建整備をして二五%差し引いた七五%ぐらいを基準にしてやっておりますが、地方の自治体の実態というものは、こういうことで一応なすべき仕事を押えられたということで、その反動がもうぼつぼつ現われる時期だと考える。だから、経済的なものの考え方を、表面だけで多いとか少ないとかいうことでなくして、地方の財政をほんとうに考えてみるならば、行政水準という言葉を使っておりますが、行政水準でなくして、いわゆる当然なすべき仕事というのは、さっき申し上げました橋梁にいたしましても、重量制限をするというようなことはきわめて不親切な行き方であるし、同時に経済的にもかなり問題が残されようと思われるので、こういうものをなくするということ、あるいは不正常教育をなくするということ、さらに一つの計画に向って環境衛生施設というようなものが進められていくということ、こういう今までおろそかにされておったものがどうしてもやらなければならないような事態に進んできておって、従って表面だけの財政計画では地方の自治体というものがまかないきれなくなる状態に進みつつあると私は思う。その辺の親心といいますか、考え方が一体自治庁にあるのかないのか、政府にあるのかないのか。もしこれがないとすれば、地方の自治体というものは、表面上は黒字を持っておっても、実際はきわめて大きな赤字であるということが言えると思う。なすべき仕事をなさらなかったから、その分だけ全部赤字として計算してごらんなさい、えらい赤字になる。こういうことが結局住民の負託にこたえられないゆえんであって、その反動がどこにくるかといえば、一銭でもよけいに国から補助金をもらうことがいわゆる自治体のためだということで、補助金の争奪戦というようなことがかなり強く行なわれる現象が出てきやせぬか、補助金にたよる自主性のないことになりはしないか。こういうふうに考えられるが、こういう見通しについてはどうなんですか。あなたの方は今のままの仕事量でよろしいという見通しですか。こういう点について一つ大臣から御答弁を願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/28
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029・石原幹市郎
○石原国務大臣 門司委員の御指摘、御意見の通りだと思うのであります。そういう意味でただいま御検討を願っております昭和三十五年度の地方財政計画をごらんいただいてもわかりますように、投資的経費のようなものはさらに三十五億もふやしておるような次第であります。地方債のワクにいたしましても、公営企業、準公営企業等は非常に大幅な、画期的なワクの増大を認めてもらっておるような次第でありまして、門司委員の考え方のような方向でわれわれも財政計画を立てていきたい、こういう気持でおるのでありますが、一ぺんにはなかなか理想のように参りませんので、今後とも引き続きまして門司委員の言われましたような心持で財政計画を立てて指導していきたい、かように思っております。
〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/29
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030・門司亮
○門司委員 今、あなたの答弁ですが、公営企業、準公営企業が四百億起債がふえておるということになっておりますが、これはわけがあるんでしょう。五年後にオリンピックがあるから水道と下水と屎尿の処置については特別の処置をしなければならないというワクがあって、ここにはかなりのウエートがかかっておる。もしそうでないと言うなら数字を持ってきて調べてみましょう。このことがかなりあるんじゃないないですか。(「若干ある」と呼ぶ者あり)こういう政策的な意図があってふえておるものが、いかにも通常のあり方でふえておるような御答弁では受け取りにくいのですが、その辺はわけがあるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/30
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031・石原幹市郎
○石原国務大臣 今そちらの方から若干という声もありましたが、全然ないわけではございません。しかし、そのためだけにふえているというわけではございません。まだオリンピックも先のことでありますし、さらに三十六年、三十七年、だんだんふやしていかなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/31
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032・門司亮
○門司委員 どうもそれ以上これを聞くのはどうかと思います。
それから、これはこまかいことですが、財政計画の中で問題になろうと思いますのは、警察官が三千人ばかりふえるように聞いておりますが、その施設費はどうなっておりますか。人間だけをふやしたからといって——デモを取り締まるには人間をふやした方が都合がいいかもしれないが、ほんとうの警察能力というものを発揮しようとすれば、どうしても施設費をふやす方がよろしいんじゃないかと考えられるんです。これは都道府県の費用でやることですけれども、どこの県を見ても——今度は交通の取り締まりの法律が出ておりますから、そのときについでに申し上げてもいいと考えておったが、機械で交通の標識をこしらえる、いわゆるゴー・ストップの場所をたくさんこしらえるというようなことが、かなり私は地方で要望されていると思う。またそれに必要な個所があると思う。しかし施設費がないためにそういうことがやれておらない。これはこの間本でちょっと読んでみたら、イタリアでは、信号機はばかだから、あれにたよっておったら問題を起こすから、信号機はみなやめて、普通のおまわりさんにしたということが書いてありました。日本もそういうことにするなら、三千人ばかりおまわりさんをふやしてもいいかもしれないが、やはり日本ではそういうことでなしに、この際私は警察としては施設費の予算をとるべきじゃないか、ただ人間だけをふやしたからといって、警察行政がよくなるというものの考え方では、私はいけないと思います。たださっきもいやみを言いましたけれども、デモを取り締まるには機械ではなかなか取り締まりにくいから、人間をふやした方がいい。警察行政をやっていこうとすれば施設費をふやすべきだと思うのだが、この辺のつり合いはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/32
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033・奧野誠亮
○奧野政府委員 増員に伴います関係の装備の費用でありますとかそういうものは当然にふえておるわけであります。地方財政計画の上では、それらの国庫負担分に伴う地方負担分の増加はもとより計上しているわけでございますが、積極的に地方単独で警察施設をさらに整備するための費用というような形での振り分けはいたしておりません。しいて申しますれば、単独事業費につきまして百四十九億円の増加を計上している。その中に含まれているんだというように申し上げるよりいたし方がない、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/33
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034・門司亮
○門司委員 委員長、どうでしょうかね。自治庁と討論しておっても始まらぬのですが、大蔵省は見えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/34
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035・渡海元三郎
○渡海委員長代理 主計官が来ております。政務次官が来る予定になっております。政務次官は建設委員会で答弁中でありますが、今来るように交渉しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/35
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036・門司亮
○門司委員 さっき言いましたとん税の問題でも、基地交付金の問題にしても、あれはかなり政治性を持っておる。だから大蔵省の政治的の立場に立った答弁のできる人が来ないと、聞いたってむだですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/36
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037・渡海元三郎
○渡海委員長代理 もう間もなくです。今連絡さしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/37
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038・門司亮
○門司委員 それでは、あまり大蔵省に聞いても実はしようがないのですが、一、二大村さんに聞いておきたいと思いますことは、あなた方が事務的に仕事をされる場合に、たとえば七百億の減税に伴う地方の負担分を一体どうして削らなければならなかったかという理由がどこかにありますか。その数字的根拠がありますか。百二十二億ですか、当然めんどうを見なければならなかったのに、その数字的根拠がどこかにありますか。あるならその数字的根拠を示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/38
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039・大村筆雄
○大村説明員 三十五年度住民税の減税に伴う減収につきまして百二十億程度の減収があるという見込みでございますが、それを削らなければならなかった数字的な根拠は何かという御質問かと思います。住民税の減収につきましては、前会にも加賀田先生の御質問に対して御説明申し上げましたように、国におきましても所得税については毎年逐次減税をやっております。所得税のように累進課税の税率をとっているものにつきましては、毎年々々国民所得は増加しておるわけでありますから、税率をそのままにしておきますと、実質的な増税になるわけであります。従って所得税額または所得を基礎として課税される住民税も同様でございますので、これは減税という格好で自主的に国民負担の増加を減らす必要があるという点から、所得税の減税等も行なわれておるわけでございますので、そういうことは地方団体自体も自主的な立場でおやり願わなければいかぬ、そういう点から住民税の減収というものを考えまして、その結果、地方の歳入というものはどういう格好になるか、歳出はどういう格好になるかという点を検討いたしまして、財源措置を講じておる。こういう立場に立って、私ども今回の住民税の減収につきましても処置いたした次第でございます、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/39
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040・門司亮
○門司委員 どうも主計官のそういうお話ですけれども、これはあなたに申し上げることがいいか悪いかわかりませんが、地方財政というものをもう少しまともに見たらどうですか。地方の自治体では、たとえば税外負担、法定外普通税というのがあります。これの総額は大体八億をこえております。それからその次には地方の自治体が同じように条例で定めた超過税率による徴収があります。これが八十億をこえております。両方合わせますと八十八億四、五千万円に私はなると思います。これは三十四年度の決算あるいは三十三年度の決算を見れば数字がはっきりしていると思う。何のために地方はそういう負担をしなければなりませんか。国税はそういうものがありますか。国税であなた方は特定の地域、特定の者にそういう課税をされておるものがありますか、国税では逆に金持に減税をしているでしょう。租税特別措置法は単なる団体だけではありますまい。個人の例の銀行預金その他に対する政策を見てごらんなさい、これと給料取りと比較してごらんなさい。どういう結果が出てくると思います。数字でいえば、一年に百五十万円くらい、一カ月に十四、五万円程度の者と比べてごらんなさい。銀行預金その他についての税の免税は、それだけで生活している諸君については一カ月に十四、五万円くらいまでは税金がかからぬようになっているでしょう。これが給与所得者だったら、一カ月に三万円か四万円で税金を取られていますよ。こういうふうに金持ちの法人と個人については非常な優遇をしておる、これが国策なんです。ところが地方財政の方は、地方の住民は自分たちの住んでおる町であり村である。その橋なり学校なり道路、下水をどうするかという切実な、自分の足もとに火のついておる問題であるから、法律できめておる以外の税金を八億以上も納めておる。また法律を超過した税率についても八十何億という数字を納めている。国できめた以外の金を約百億近く納めている。地方の自治体が、ほんとうに自分の住んでおる自治体かわいさに、また納めなければならない立場にあるからそういうものを納めている。しかもそれはいずれも富裕県ではない、きわめて貧乏なところである。納められないところから無理に取っておる。そういう形になっていることを一体御存じですか、それを考えてごらんなさい。地方もこれでやってもらいたいというなら、こういうものを全部なくしてもらいたい、国で補てんしてもらいたい。あなた方にはそれができないでしょう。特定の代表人、特定のたくさんの収益のある人については、たといそれが銀行利子であろうとあるいは株式の配当であろうと、しかも労力を要しないでたくさんの収入のある人については免税措置を講じておる。そうしてこういう零細な諸君については税金を幾らでも取っておる。その上に、先ほど申し上げましたように、ごく低目に見ても地方税総額の一割ないし一割五分というものが公課の負担というような形で寄付金その他の形で出ていっておる。もし地方税の一割とすれば六百二十何億という数字になる。こういうことで、地方財政を辛うじて持っていかなきゃならぬ地方財政の内容をもう少し大蔵省で分析してごらんなさい。一体、地方財政の分析を大蔵省でやったことがありますか。やったことがあるなら、大蔵省で一つそういう数字を出してもらいたい。出してもらいたいんだが、これは決算だからごまかすわけには参りますまい。ことに、これはこの間予算委員会で申し上げましたけれども、青森県の方に行ってごらんなさい。県民税が百円というのを国の税率できめられているけれども、六百円取っておる。こういうふうに国の税金の六倍も取っておるところがありますが、こんなことをやってごらんなさい、どんな問題が起こるか。国は完全な健全財政が保持できる建前になっておる。地方は辛うじて最低の行政水準を保とうとしても、なおかつこういう非常に大きな負担を住民にかけておる。これで一体大蔵省はいいというお考えですか。地方の住民が全部税外負担をしない、超過税率をやめる、寄付金もやあるというようなことになったらどうなります。私は、日本のすべての行政機構はとまると思いますよ。とまってもいいんですか。今日の日本の地方の行政機構というものを辛うじて動かしておるのは、これらの負担なんです。そういうものに目をつぶっておって、大蔵省が地方もやってもらいたいというようなずうずうしいことを言うこと自体が、私はおかしいと思う。この地方財政計画をよく見てごらんなさい、どういうものになっておるか。しかもさっき申し上げたから聞いておると思うが、財政計画と三十三年度の決算の相違も、一千億から二千億の相違を来たしておる。だから、こういうものについての大蔵省のものの考え方を一つはっきりして下さい。来年から全部なくする、一切寄付金はとらないという法律が出せますか。もし寄付金をとるような者があったらそれは罰するという法律を出せますか。税外負担は決してしてはいけない、超過税率はやめさせる、法定外普通税も全部やめさせるという法律がもし出せるなら出しなさい。これは出せぬでしょう。あなた方そういう法律をお出しになるかならないか。私は、こまかい議論をすることはやめまして、そういう一切の負担、一切の超過税率、法定外普通税というようなものを来年から禁止いたしますということを大蔵省でできるならやってごらんなさい。そうしてその財政負担は必ず大蔵省がいたしますという答弁が、できるならやってごらんなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/40
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041・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 幾分政策的な面にもわたっての御質問でありますので、私からお答えいたします。なお足らざる点は他の政府委員から申し上げたいと思います。ごもっともな点も多々あると存じます特に大蔵省関係といたしましては、国税の面では預貯金などの所得者、いわばこれは不労所得です。そういう預貯金等の所得者とか、いわゆる大きな財産家などの所得に対しては大まかである。あるいは租税特別措置法などで減税の措置もあって、大きなものは減税されて不公平である。そうして地方財政は今お話しのように、法定外の普通税だとかあるいは寄付とか非常に困っておるじゃないか、こういうようなことのないように承ります。なるほど国税につきましても、御説の通りの点が私はあると思います。従いまして政府といたしましても、こういう点は何とか極力是正して参りたいということで、御承知の通り昨年の四月一日から預貯金に対する免税の措置をやめまして、分離課税ではありますが、一〇%の課税をするというところまでこぎつけたのでありますが、まだまだ不十分であります。分離課税そのものがこれは不公平な措置でありますから、これを改めて参りたいと思いますが、そう急激にいたすことはなかなか困難である。貯蓄増強を、急速に日本の経済基盤を強化するためにやむを得ぬ措置としてやっておる次第でございます。しかし根本的には、こういうふうになっておるということは、これは門司委員も御承知の通り、昭和二十四年アメリカから来られたシャウプ博士によるところのシャウプ勧告に基づく国、地方を通じての税制の大改正及び地方財政の制度の根本改正、これがシャウプ勧告に基づいて一たん非常に理想的なものを作ってはみたものの、その通りにはなかなか実施されなかったということに、私は根本の原因があろうかと思うのであります。地方財政の面あるいは地方税の面は、これは所管大臣もおられることでありますから、差し控えます。
国税について申しますと、シャウプ勧告のときに実施された国税の税法が一つ一つ改正と申しますか、門司委員に言わせるならばおそらく改悪とおっしゃるでしょうが、せっかくの理想的な税法として実施したものが一つ一つくずれまして、率直に申しまして相当税法が変わっておる。これはシャウプ勧告に基づくあの税法が日本の現実には即応しないという点も確かにございますがしかし、現在の税法がはたしてこれで公平かというと、これまた非常に問題が多うございます。従いまして御案内の通り、ただいま総理大臣のもとに税制調査会を置きまして、昨年から三カ年間のうちに国税、地方税を通じての根本的な再検討をいたしまして、日本の実情に即し、しかも国税、地方税を通じて公平なものを作りたい。こういうようにただいま努力いたしておる次第でございますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/41
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042・門司亮
○門司委員 私は、そういう経過報告みたいな答弁を聞きたくないのです。シャウプ勧告なんというのは、私もシャウプさんに会いまして、当時ちょうどこの委員会の理事を仰せつかっておりまして、税制改革は、特にシャウプさんにお目にかかって議論をしてきた。あの人の考え方は、これはよけいなことですけれども、日本の経済は底が非常に浅いじゃないか、従って資本蓄積が今非常に大事なのだ。だから君の言うように何でも公平々々と言っても、そういうわけにはいかないのだという趣旨の勧告が非常に強かったのです。そのことが当時の住民税などに現われておる。そうして従来三七%を会社、工場、法人から取っておったものを、二千四百円でよろしいというばかばかしいことをシャウプさんがきめていったのです。だからそのときの事情はわかります。しかし、現在の事情はそうでないということ。それから先ほどから私が聞いておりますのは、この点は政務次官に一つ特に聞いておいていただきたいと思うのですが、法定外の普通税なんというものは、牛について二百円取るとか、あるいは豚について百円取るとか、あるいは綿羊についても税金がかけられておる。はなはだしいのは、繭の取引についても一キロについて六円四十銭というようなものを取っておる。乾いた繭などについては十六円という数字が出てきておる。こういうふうに何でもかでも税金を取るという建前を地方ではとっております。それからそのほかにまだ犬税などというのは当然でありますが、ミシンだとか、あるいは広告税とか商品切手発行税とか、林産物移出税であるとか、扇風機税とか、接客人税、屠畜税それから砂利引取税、ダム使用税、文化観光施設税、これは奈良か京都かどこかにあったと思いますが、こういうものが十五種類ずっと書いてある。このほかにまだ超過税率として税金を取っておる。その額が大体八十八億というような決算面にちゃんと出てきておる。そういうものをそのままにしておいて、そうして国の方の当然めんどうを見るべきだとわれわれが考える百二十二億というようなものが削られた原因を聞いてみますと、当時の主計官は、国もこういうことをやっておるのだから、地方も一つやってもらいたい。経済の伸びがあるのだから、こうおっしゃると、国に経済が伸びがあるならめんどうを見てもらいたい。財政に余裕があるからというなら、こういう住民の負担を全部やめてもらいたい、こう政府が腹をきめることができるか。もし腹をきめることができるとおっしゃるなれば、議員立法ですぐできますよ。そうして税外負担をとってはならない、超過税本をしてはならないということを書けばよろしいのですから、税金以外に公費でまかなわるべきものは当然寄付をしてはならないと制限すればいいのですから、ここでみなで法律を出せばわけはない。あすにでもできる。それをやってよろしいかどうかということを聞いているのです。もしそれができないというなら、もう少し大蔵省でも目をかけてもらいたい、こういうことです。あなたの方で実際それができますか。そういうものは一切やっちゃいかぬという法律をこしらえてもよろしゅうございますか。その辺を一つ聞いておきたいと思います。これは自治庁の長官に聞けばいいのですけれども、大蔵省が何かやかましいことばかり言って、地方財政はふえておるからと言うから一つ大蔵省の方に聞いておきたい。大蔵省はそれでよろしい。必ず大蔵省は負担する。そういうふうなものが大体九十億から巨億、それからわれわれの勘定した税外負担は六百億かそこらです。税総額が六千二百三十億の予定ですから、これの一割と見ても六百二十三億ですから、八百億ぐらいのものをこの際地方財政に国から委譲してもらえばそれでよろしい。それなら私は大蔵省の言い分を聞いてもよろしいと思います。そういうことができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/42
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043・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 実は今年度の予算編成の際、政府部内におきまして、大蔵大臣と、自治庁長官を前に置いて申し上げるのは恐縮ですが、ただいまのような御議論もおそらく相当熾烈に戦わされたことと推察しておるのであります。そして暫定的に〇・三の臨時特別交付税ということに相なったわけでありまして、ただいまのような御質問につきましては、私といたしましては、国と地方の財政制度のすべて、これは根本の考え方に問題があって、それから手直さぬことには、一つ一つを取り上げましても、また地方財政が貧困で、国の方が自然増収が多いからまた出せとか出さぬとか、私は国と地方との関係は、ほんとうの地方自治の確立はできぬと思う。つまり一方地方が貧乏して国が自然増収でふとってそういう経済の風の吹き回しでアンバランスができるような機構そのものが間違いであって、経済がよくなれば、国もよくなり地方もよくなる。年ごとに地方から国へ幾ら出せ、どうしてくれといって持ちかけなければならぬような制度ではいかぬ。そういうように私は根本的に考えるのでありますが、これにつきましては、この前の当委員会においても申し上げましたが、私といたしましては、アメリカやドイツや西欧諸国のように州や自由市が先にできて、それが集まって憲法ができる、国ができるというのじゃないので、日本は中央集権のくせが非常に強過ぎるので、シャウプ勧告のあの税法、法律一本ぐらい出しても、あるいは憲法を改正したからといって、そう簡単に地方と国というものがはっきり割り切って確立しにくいというところに問題がある。はっきりこれを割り切っていこうとするならば、地方の事務、責任、権限、財源、それから国の事務、責任、権限、財源をはっきり分けなければいかぬが、現在の法律制度というものは、全くいろいろ複雑輻湊しておるので、毎年こういう話が出てくる、こういうことであります。そこでこれも先般申し上げましたが、こういう根本問題をとっくり考えて、政府部内で十分話し合いをして全般において皆さんに御納得のいくような制度を打ち立てるためにしばらく時間をかしていただいて、そのために政府にしばらくおまかせ願いたい、こういうことでありますから、どうぞ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/43
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044・門司亮
○門司委員 どうも安心してまかせるわけにいかぬと思います。私は、何も地方の自治体のあり方がどうのこうのと議論してもこの際始まらぬと思うのです。日本の昔の国のあり方あるいは明治憲法がワイマール憲法その他からきておる、いわゆる大陸系、欧州系と称されるものであることは間違いない。今の新しい憲法、今の新しい自治法というものは、それと逆にアングロサクソン系の、イギリス、アメリカ系の形をとっているということに錯綜したものがあるから、多少の思想の混乱みたいなものができておるかもしれない。これはわれわれも考えております。しかし、そういうものは大して影響はないのです。実際は今私が聞いているのは、数字をどうするかということです。概念の問題ではない。あなた方の方で地方財政が豊かで、やっていけるということなら、地方住民が非常な無理をいたしておりますから、この無理をなくしてもらうことができるかどうかということであって、私は大してむずかしいことを言っているのではない。大蔵省の御意見に沿うて今申し上げておる。大蔵省は多分肯定すると思っておったのだが、なかなか肯定しないところにおかしなところがある。私は大蔵省の言う通りに言っているのです。地方には財源がある、いわゆる経済が伸びておるというのだから、地方の無理な負担を一つやめさせてもらいたい。大蔵省の御意思に従ってそういうふうにしていただきたい。しかし私はここで議論いたしません。議論をしても始まらない。
さらにあと二つばかり聞いておきますが、一つは先ほどちょっと自治庁にもお伺いしたのでありますが、御承知のように、国の予算の中にもありますが、妙なものが一つある。国有資産等の提供、いわゆる基地交付金であります。これが十億か書いてあります。一番最初は五億円で、おととしでありましたか、これを十億にふやした。こういうものができたのは、やはり国あるいは県の持っておるというようなものについて固定資産税相当額のものを当該市町村に交付することがよかろうということで一方にそういう法律ができた。そうすると提供されておる基地だけにこの金を援助するわけにいかないということでこういう制度が一応できました。従って経緯からいえば当然この金は固定資産税相当額のものでなければならない。そういう算定の基礎がなければならないと思う。今自治庁に聞いてみますと、提供された国有財産の固定資産税相当額として考えると、十七億五千四百万円になるという。これに十億しか配付しておらない。だからこれは非常に大きな間違いだと思う。十七億五千四百万円に見合うような数字に改めてもらいたいと思う。これはことしの追加予算のときか何かに改めてもらえればけっこうだと思いますが、改めることができますか。
もう一つはとん税と特別とん税との関係でありますが、御承知のように同じ船にかけております税金でとん税としてかけておりますものの中に、とん税は国がとる、それから特別とん税を地方の自治体に出すということになって、これが八億ばかり出ております。国の方を見ると大体六億くらいのものが予算の中に計上されておる。それは国家予算から見ればわずか六億なんですが、地方の財政から見ると港湾を持っている都市は非常に大きな財源になるわけです。それと御承知のように国が——政務次官は聞いておるのか聞いていないのか。政務次官が、質問をしているときに聞いていないというなら質問をいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/44
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045・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 そうではなしに、御答弁申し上げるために政府委員と打ち合わせておったのですが、打ち合わせをやめまして拝聴いたしますから、門司委員そうおっしゃらずに続けていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/45
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046・門司亮
○門司委員 話を聞かなければ答弁ができるわけがない。この次にします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/46
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047・渡海元三郎
○渡海委員長代理 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/47
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048・渡海元三郎
○渡海委員長代理 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/48
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049・奧村又十郎
○奧村(又)政府委員 門司委員の御質問の趣旨は、基地交付金は、もしその基地に対して固定資産税がかかるものとするならば、基地交付金の額は自治庁の計算した十七億数千万百というものを見積り計上すべきものであるが、十億は少な過ぎるじゃないか、こういう御質問の趣旨のように承ったのでございます。そこで実は私まだふなれでありますので、法律をひもとき、また政府委員と答弁について打ち合わせておりましたので大へん御答弁がおくれましたが、この法律といたしましては、なるほど固定資産税の額としては十七億に相なりますが、予算で定める金額の範囲内において固定資産の価格及び当該市町村の財政の状況等を考慮してこういうふうに出ておりますので、十七億をそのまま計上しなければならぬとは考えられませんが、さて一体当該市町村の財政の状況をいかに考慮するか、また予算で定めるというのは、一体予算の定めをどうするかということに相なりますと、十億でよろしいということがはたしてはっきり御説明ができるかどうかという点に問題があろうかと思いますので、これは追って政府部内でもう一度よく相談いたしまして、次会の委員会において責任を持って答弁申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/49
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050・渡海元三郎
○渡海委員長代理 本日は、これにて散会いたします。
午後零時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X00619600226/50
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