1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月二十五日(金曜日)
午前十一時二十九分開議
出席委員
委員長 濱地 文平君
理事 飯塚 定輔君 理事 纐纈 彌三君
理事 田中 榮一君 理事 渡海元三郎君
理事 吉田 重延君 理事 加賀田 進君
理事 阪上安太郎君 理事 門司 亮君
相川 勝六君 亀山 孝一君
高田 富與君 津島 文治君
富田 健治君 山崎 巖君
太田 一夫君 川村 継義君
佐野 憲治君
出席国務大臣
国 務 大 臣 石原幹市郎君
出席政府委員
自治政務次官 丹羽喬四郎君
総理府事務官
(自治庁税務局
長) 後藤田正晴君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁長官官
房調査官) 大村 襄治君
総理府事務官
(自治庁税務局
府県税課長) 降矢 敬義君
総理府事務官
(自治庁税務局
市町村税課長) 鎌田 要人君
専 門 員 圓地與四松君
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三月二十四日
地方税法の一部を改正する法律案(安井吉典君
外七名提出、衆法第二一号)
地方交付税法の一部を改正する法律案(加賀田
進君外七名提出、衆法第二二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
三六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01619600325/0
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001・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 これより会議を開きます。
濱地委員長にはお差しつかえがありますので、その指名によりまして私が委員長の職務を行ないます。
内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、地方税法の一部を改正する法律案等審査小委員長より地方税法の一部を改正する法律案について報告を求めます。亀山小委員長代理。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01619600325/1
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002・亀山孝一
○亀山委員 川崎小委員長やむを得ざる用事がありまして、私かわりまして、ただいま報告を求められました地方税法の一部を改正する法律案について、地方税法の一部を改正する法律案等審査小委員会の経過並びに結果につきまして、その概要を御報告申し上げます。
御承知のように本小委員会に審査をゆだねられました法案は、地方税法の一部を改正する法律案、臨時地方特別交付金に関する法律案、地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の四法案でございます。これらの法案は、いずれも住民負担及び地方財政に及ぼす影響の大なるにかんがみまして、審査に万遺漏なきを期するため、去る三月十一日本小委員会が設置せられ、小委員十一名が選任せられました。十五日第一回の小委員会を開き、その後本日まで五回にわたって開会し、熱心に審査を行なったのでありますが、とりわけ地方税法の一部を改正する法律案につきましては、地方団体の新年度条例制定に間に合わせるため、早急に本小委員会としての態度を決定すべきであるということに意見の一致を見ましたので、他の法案と切り離して、本案に対する小委員会の経過並びに結果を御報告申し上げる次第でございます。
まず本案に対しまして政府当局より逐条説明を聴取いたしました後、政府提案にかかる改正案の内容のみにとどまらず、日本社会党の修正意見を聴取するなど、地方税制の各般の問題に触れ、将来の根本的改革にも関連して慎重に審査を行なったのであります。
本案につきましては、今回の住民税の減税措置に関して、ただし書き方式をとる市町村が、はたして改正準拠税率をどの程度採用するか、その見通し及び自治庁の指導方針について論議が行なわれ、特に減収補てんのための特別交付金を減税した市町村のみに交付するという自治庁の方針は、市町村の自主権の関与にならないか、さらに根本的に、住民税の性格から見て合理的な課税方式に改むべきではないかというような論議がありましたが、妥当な改正であるとする見解が有力でありました。その他各般の論議が行なわれたのでありますが、本案と直接関係がありませんので省略いたします。
かくして本案に対しては、本日の小委員会におきまして、これを原案の通り可決すべきものとする意見が多数を占めたのでございます。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01619600325/2
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003・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 以上をもちまして小委員長の報告は終わりました。
本案に対して質疑がございますればこの際これを許します。——別に質疑がないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01619600325/3
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004・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 これより討論に入ります。
討論の通告がありますので順次これを許します。太田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01619600325/4
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005・太田一夫
○太田委員 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま提案されております地方税法の一部を改正する法律案に対しまして、審議の経過から考え、本案に対して結論として反対の意思表示をしたいと思います。
その理由は、端的に申し上げますと、この一部改正案は市町村住民税の引き下げでありまして、これは昭和三十四年度の所得税の減税に見合う、それに対応する引き下げ減税でありまして、これは第一方式をとっておりまする住民税の軽減の度合いに即応するものでありまして、軽減というてもしごく当然の話であり、これは決して新しい見地に立った改正案ではないのであります。この本案の地方住民税オプション・ツー以下の減税方式、減税の考え方に対しましては、本案そのものだけに限定いたしますれば、われわれとしてもいささかも異論のあるものではありません。しかしながら、長い間私たち並びに国民の熱望しておりましたところの、その他の懸案でありますもろもろの地方税に対しまして、いささかも改正されようとする意図がない点にわれわれは非常な不満を感じまして反対をいたしたいと思うのです。
特に地方税の中で、事業税の軽減でありますが、この事業税は特に零細企業に対しましての軽減は非常に急を要するものでありまして、これに対して触れておらないのはまことに残念であるのであります。それから遊興飲食税の免税点の引き上げによる大衆飲食に対する新しい減税、これもまた当然本年度にやられるべきでありまして、これに対しても見送られておる。また宿泊料の免税点の引き上げに対しましても、いささかも触れておらない。それからまた固定資産税のうちの田畑に対するものの引き下げは、特に長年強調されておるところでありますけれども、これがまた本案の中にないのであります。と同時に、固定資産税の非課税扱いを受けておる不当なものの撤廃立案に対しても触れておらない。それからまた電気ガス税の一般消費者に対するものの引き下げがやはり盛られておらないし、こういうものは非課税の範囲、特に電気ガス税の非常に大幅な不当、不均衡なものの撤廃を含めて当然論議すべきであったと思うのです。街灯の免税を含めまして相当議論され、われわれの、長年の熱望でありますけれどもそれに触れてない。それから自家用自動車税の一千円引き下げによるとこの営業車との均衡をはかるということ、あるいは消防施設税創設による市町村消防の強化というような、もろもろの積極的な税制改正の内容がここに盛られておらないのでありまして、われわれはそういう意味におきまして、本案に対しては非常な不満を感じておるわけであります。特に遊興飲食税には、三十五年度減税の附帯決議さえあったことをわれわれは考えますと、本一部改正案に対しまして、全く何ら積極的な意味がない、こういう点に対しましては、私どもとしてはどうしても反対せざるを得ないのであります。特に私はそういう意味におきまして、この住民税の軽減そのものには何ら異論はありませんけれども、積極的な内容を持っておらない本案に対しまして反対をいたしたいと思うのであります。(拍手)
〔纐纈委員長代理退席、委員長、着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01619600325/5
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006・濱地文平
○濱地委員長 渡海委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01619600325/6
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007・渡海元三郎
○渡海委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案について、原案に賛成の討論を行なうものであります。
御承知の通り、わが自由民主党は、さきの選挙において七百億円の減税を公約してきたのでございます。三十四年度予算におきましても、この公約を忠実に果たすために、国税、地方税を通じて平年度七百億の減税を実施して参ったのでございます。国税におきましては、所得税の三百七十九億円を中心として、初年度四百十三億円、平年度四百六十五億円の減税を行なって参り、地方税におきましても、零細負担の排除と負担の均衡化を重点といたしまして、個人事業税の基礎控除額の引き上げ、法人事業税の軽減税率の引き下げとその適用限度額の引き上げ、固定資産税の制限税率の引き下げと免税点の引き上げを行ない、これにより初年度百一億円の減税措置を講じたのであります。その際、住民税につきましても、所得税の減税に対応して減税を行なう方針を決定し、これによって地方税全体として平年度二百二十九億円の減税を見込んだのであります。ただ住民税につきましては、所得税の減税に伴い、その影響が翌年度において自動的に現われて参ります関係から、その機会に、この限度において減税を行ない、あわせてこれに伴う地方団体の減収の補てん措置を講ずることとし、従って法の改正はこれを昭和三十五年度において行なうことといたしたのでございます。
今回提出されましたこの改正案は、この前年度決定した方針を実施に移すことを主眼として提案されたものでありまして、その他に昨年行なわれました所得税法及び法人税法の改正に伴い、必要な規定の整備を加えたものにすぎないのであります。すなわちその内容は、住民税の減税方法として、まず第一に、都道府県民税の所得割りの課税総額の算定の基礎となる標準率及び市町村民税の所得割りのうち所得税額を課税標準とする、いわゆる第一課税方式の標準税率はこれを据え置くこととし、所得税における扶養控除の引き上げ及び最低税率の適用範囲の最高限度額の引き上げによる減税の影響をそのまま受け入れることとするとともに、これと均衡のとれるよう、その他の課税方式の準拠税率を改めようといたしておるのであります。なおこのほか、いわゆるただし書き方式を採用する市町村については、扶養親族の数に応ずる税額控除額を引き上げるよう指導する方針とのことであります。
以上のごとく、本改正案自体は、実質的にはすでに本年度当初において決定を見たものと言えるのであり、当時すでに適切妥当な措置として各方面から歓迎され、期待されて参ったところでありまして、今さらあらためて議論を繰り返すまでもないことと存ずるのでございます。この措置により、わが党の減税公約は完全かつ忠実に実施されることとなるのでありまして、私は双手をあげて賛意を表するものでございます。
しかしながら、現行地方税制につきましては、たび重なる改正にもかかわらず、今なお負担の過重な面、均衡を欠くに至っておるもの等、是正を要する点が少なくないことは、われわれもよく了承するところでありまして、ただいま太田委員が言われましたごとく、修正される御意見につきましては、多くの部分において同感でございます。それゆえに、その実現のために年来私どもも努力をして参ったのでございます。しかしながら、本年は大災害を起こした年でございまして、これに伴う地方財源は相当大きな負担額増しとなって現われてくるものと予定しなければならないのでございまして、自然増収が相当見込まれましたといたしましても、減税の余地がありやいなや非常に疑問とするところでございます。また、目下税制調査会または地方制度調査会におきまして、国、地方を通ずる税の制度の抜本的改革が鋭意検討されている段階でありますので、現行税制の部分的改正は、はたしてこれを行なうべきかいなか、地方財政の無用の混乱を生ぜしめないかいなか、相当検討を要する点もあるかと考えるのでございます。
われわれは、かような見地に立ちまして、社会党が提案しておられます税法改正案について、なお引き続き本委員会において慎重検討を加える予定をいたしておるのでございますが、とりあえず本案につきまして、地方税法一部改正案の緊急性にかんがみまして、賛成の意思を表明して私の討論を終わる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01619600325/7
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008・濱地文平
○濱地委員長 これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01619600325/8
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009・濱地文平
○濱地委員長 これより採決に入ります。
地方税法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の御起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01619600325/9
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010・濱地文平
○濱地委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手)
次にお諮りいたします。すなわち、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01619600325/10
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011・濱地文平
○濱地委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。
本日はこれにて散会いたします。
午後十一時四十五分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01619600325/11
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