1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十五年四月一日(金曜日)
午前十時五十八分開議
出席委員
委員長 濱地 文平君
理事 飯塚 定輔君 理事 渡海元三郎君
理事 吉田 重延君 理事 加賀田 進君
理事 阪上安太郎君 理事 門司 亮君
相川 勝六君 亀山 孝一君
富田 健治君 山崎 巖君
太田 一夫君 川村 継義君
佐野 憲治君 中井徳次郎君
野口 忠夫君 大矢 省三君
出席政府委員
警察庁長官 柏村 信雄君
警 視 監
(警察庁長官官
房長) 原田 章君
警 視 監
(警察庁刑事局
長) 中川 薫冶君
警 視 監
(警察庁保安局
長) 木村 行藏君
総理府事務官
(自治庁財政局
長) 奧野 誠亮君
総理府事務官
(自治庁税務局
長) 後藤田正晴君
委員員外の出席者
議 員 渡海元三郎君
参議院議員 鍋島 直紹君
警 視 長
(警察庁保安局
交通課長) 内海 倫君
専 門 員 圓地与四松君
—————————————
三月三十一日
道路交通法案(内閣提出第五八号)(参議院送
付)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
行政書士法の一部を改正する法律案(渡海元三
郎君外二名提出、衆法第一六号)
道路交通法案(内閣提出第五八号)(参議院送
付)
臨時地方特別交付金に関する法律案(内閣提出
第三八号)
地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の
一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)
地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出第一〇三号)小委員長より報告聴取
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01919600401/0
-
001・濱地文平
○濱地委員長 これより会議を開きます。
行政書士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対する質疑はすでに終局いたしております。
これより討論に入りますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
行政書士法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01919600401/1
-
002・濱地文平
○濱地委員長 起立総員。よって本案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手)
欠にお諮りいたします。すなわち、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01919600401/2
-
003・濱地文平
○濱地委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01919600401/3
-
004・濱地文平
○濱地委員長 内閣提出、参議院送付にかかる道路交通法案を議題といたします。
本案につきましては、さきの予備審査において石原国務大臣より提案理由の説明を聴取いたしたのでありますが、参議院の修正を経た議案でありますので、参議院の修正にかかる部分につきましてまずその説明を求め、次に政府当局より提案理由に補足して説明を求めたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01919600401/4
-
005・濱地文平
○濱地委員長 それでは参議院議員鍋島直紹君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01919600401/5
-
006・鍋島直紹
○鍋島参議院議員 ただいま議題となりました道路交通法案に対する参議院におきます各会派共同修正案の提案理由並びにその内容の概要について御説明を申し上げます。
修正の第一点は、第六条において道路における交通が著しく混雑をするおそれがある場合における警察官の指示権について、その拡大解釈を防ぐため新たに一項を設けまして指示の限度を明らかにしたことであります。
第二点は、道路における危険を防止するため、緊急の必要があると認められる場合における警察官の通行の禁止及び制限の措置について第七条第三項の内容を一そう具体的に規定することにいたしました。
第三点は、第四十五条関係でありますが、駐車に関する規定が、道路の現状より見てやや厳に過ぎると思われますので、公安委員会が指定した駐車禁止場所についての警察署長による除外例及び公安委員会の区域指定による除外例を設けるとともに、駐車の方法につきましても緩和の措置を講ずることとし、駐車に関する規定の合理化をはかることといたしたのであります。
第四点は、第六十五条関係でありますが、飲酒による交通事故の実情等にかんがみまして、酒に酔って車両等を運転することはもちろん、いやしくも酒気を帯びて運転することはきわめて危険と認められますので、この酒気帯び運転を禁止することとしたのでありますが、その罰則につきましては、社会の実態に照らし不合理とならないよう原案と同様に酔っぱらい運転の禁止に違反した場合だけにとどめたのであります。
第五点は、第八十八条関係でありますが、年少者に免許を与えることは、交通事故防止の観点から慎重を要すると考えられますので、普通免許及び第一種原動機付免許の資格年令をそれぞれ引き上げることとし、これに伴い附則で必要な経過措置を請することにいたしました。
第六点は、第九十条関係でありますが、免許を一年間以内保留する制度は受験者の便宜等も考慮いたしまして現行法通り存置することにいたしました。
第七点は、雇用者がその雇用運転者に対し、速度制限違反を誘発するような業務を課すること等を禁止しているところの第七十四条第二項の規定を実効あらしめるため、国家公安委員会または公安委員会がその業務等の内容を具体的に定めることとし、これに違反した雇用者を処罰の対象とする罰則を新たに設けたことであります。
第八点は、第九十五条関係でありますが、免許の携帯の違反は、情状をしんしゃくすべき場合が多いと考えられますので、法定刑を、三万円以下の罰金より一万円以下の罰金または科料に引き下げることといたしました。
第九点は、本法案が一般国民に密接な関係を持つものであることにかんがみまして、各条の禁止規定と処罰との関係をわかりやすくするため、処罰を伴う各条項の末尾にこれに対応する罰則の条項を付記することといたしました。
その他若干の点につきまして規定の整備を行うことにいたしました。
以上が修正内容の概要であります。何とぞよろしく御審議の上御賛同をお願いいたしたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01919600401/6
-
007・濱地文平
○濱地委員長 次に警察庁長官柏村信雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01919600401/7
-
008・柏村信雄
○柏村政府委員 さきに石原国務大臣から提案理由の説明があり、さらにただいま参議院の修正について御説明がありました道路交通法案の内容につきまして、さらに補足して御説明申し上げます。
この法案は八章百二十四条と附則二十条から成っております。まず、この法律の名称につきましては、この法律は、道路における歩行者及び車両等の交通方法、運転者及び雇用者の義務、道路使用の規制並びに運転免許制度等について基本的な事項を定めたものであって、単に警察的な取り締まりの根拠法ではなく、むしろ、あらゆる国民が安全に道路を通行するために積極的に順守すべき道路交通の基本法であると理解されるべきものであると考えまして、現行の道路交通取締法という名称を道路交通法と改めることといたしました。
次に、第一章総則について申し上げます。この章におきましては、法律の目的、用語の定義、信号機及び道路標識等の設置、信号に従う義務、警察官の混雑緩和の措置、公安委員会の通行の禁止及び制限の権限等に関する事項を規定しております。
第一条は、この法律の目的について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、新たに交通の円滑をもはかるものであることを明らかにいたしました。
第六条は、警察官による混雑緩和の措置について規定したものでありますが、現行規定ではやや明確を欠いている点がありますので、これを改めたものであります。その趣旨を申し上げますと、車両の通行が著しく渋滞し、これがため道路上の交通が著しく混雑し、全く動きのとれない状態となるようなことが、大都市等では最近しばしば生起しているのでありますが、このような状態に対処して、その混雑を緩和するためには、必要最小限度の措置として、警察官は、その現場に入ってくる車両等について一時その通行を禁止する等の措置をとらせる必要があるのであります。第六条は、このような事態における警察官の行なう措置を明確に定めることとしたのであります。なお、本条につきましては、現場にある関係者に対する警察官の指示につき、その趣旨を明らかにするため参議院の修正が行なわれております。
第七条は、通行の禁止または制限について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、新たに、公安委員会の行なう道路の通行の禁止または制限のうち、区間または期間の短いものについては、行政の能率化の見地から警察署長に行なわせることといたしました。
その他第九条において、道路における交通の規制の表示の方法として、現行規定の道路標識の制度のほか、道路上にペイント等で線または文字等を書いて表示する道路標示の制度を設けたこと等若干の改正を加えておりますが、その他のこの章の規定は、おおむね、現行規定と同様の趣旨のものであります。
次に、第二章歩行者の通行方法について申し上げます。この章におきましては、歩行者の通行区分、行列の通行方法、横断の方法その他歩行者の通行方法に関する事項を規定しておりますが、おおむね現行規定の考え方を踏襲いたしております。
ただし、第十五条は、警察官の歩行者に対する通行方法の指示について規定したものでありまして、新設の規定であります。その趣旨を申し上げますと、この法律におきましては、歩行者の通行方法に関する規定には罰則を付さず、その順法精神に期待する建前をとることといたしましたが、歩行者が、それらの規定に違反して歩行している状態をそのまま放置することはできませんので、この場合においては警察官が正規の通行方法によるよう指示することができることとしたのであります。なお、歩行者につきましては、この法案の各所で、その通行の保護をはかるよう定めております。
次に、第三章車両及び路面電車の交通方法について申し上げます。この章は、車両等の通行区分、通行方法、停車及び駐車の方法その他車両等の通行に関する事項を規定いたしております。原則的には、現行規定を中心として規定しておりますが、現行法制定後の交通の実情にかんがみ、交通方法の合理化をはかるほか、所要の規制の強化をはかることといたしております。それらについて御説明申し上げます。
第十七条は、車両の通行区分について規定したものでありまして現行規定と同様の趣旨のものでありますが、規定内定を整備して、車両の左側通行の原則を明確にいたしました。
第二十二条は、車両の最高速度について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、新たに公安委員会は、道路の状況等により、政令で定める速度を越えて最高速度を定めることができることとして、道路の実態に対応して車両の最高速度を合理的に定め得るようにいたしました。
第二十七条から第三十一条までは、追い越しに関する規定でありますが、追い越しに基因する事故が多発している実情にかんがみ、規定内容を整備し、追い越しの方法等を合理化いたしました。
第三十四条から第三十七条までは、交差点における交通方法に関する規定でありまして、円行規定と同様の趣旨のものであります。
第三十八条は、交差点において道路を横断している歩行者の保護について規定したものでありますか、現定内容を整備して、歩行者の保護の徹底をはかることといたしました。
第三十九条から第四十一条までは、緊急自動車に関する規定でありまして、おおむね現行規定と同様問題の趣旨のものでありますか、その通行区分を明確にする等規定内容を整備いたしました。
第四十二条及び第四十三条は、車両等の徐行すべき場所及び規定場所における一時停止について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。
第四十四条から第五十条までは、車両の停車及び駐車に関する規定でありますが、最近の都市における停車及び駐車の現状にかんがみ、現行規定で不十分な点を検討して規定内容を整備し、停車または駐車に伴う交通の渋滞の防止をはかることといたしました。そのおもな点を申し上げますと、第四十五条におきまして、新たに車庫等の出入口付近、道路工事が行なわれている場所の付近等を駐車禁止の場所として加えることとし、また、道路に幅三・五メートルの余地を残すことのできない道路では公安委員会が指定した区域を除き駐車できないこととして、駐車の制限を強化するとともに交通の円滑を確保することといたしました。第四十八条におきましては、駐車の方法として、公安委員会の指定する道路においては、道路の左側端に〇・五メートルの余地をあけることとして歩行者の通行の保護をはかることといたしました。
第五十一条は、違法駐車に対する措置について規定したものでありまして、全く新設の規定であります。その趣旨を申し上げますと、現行規定のもとにおきましては、駐車禁止の場所に違法に駐車している車両があり、そのため交通が混雑し、交通の危険が生じましても、警察官は、犯罪捜査としての処理はできても、これに対して移動する等の措置を命じ、またはみずからこれを移動することはできないのであります。第五十一条の規定は、このような事態に対処して、警察署長及び警察官が駐車の方法の変更、移動等の措置をとり得ること及びその手続きを定めたものであります。しかし、その要件を厳格に定め、また、その手続も慎重にして、いやしくも不当に車両の所有者または使用者の権利を侵害することのないよう十分な配慮をいたしております。
第五十二条及び第五十三条は、車両等の灯火及び合図について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。
第五十四条は、警音器の使用について規定したものでありますが、警音器による騒音の防止と危険防止のための使用の必要件との調和をはかることに特に意を用いました。
第五十五条から第六十条までは、車両の乗車、積載または牽引等に関する規定でありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。
第六十一条は、乗車、積載または牽引についての危険防止のための警察官の応急の措置について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。
第六十二条及び第六十三条は、整備不良車両の運転の禁止、警察官による街頭での車両検査、整備不良車両に対する応急措置等を規定したものでありますが、その趣旨は、もっぱら整備不良車両、道路を通行することによって生ずる危険を防止しようとするものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。
次に、第四章運転者及び雇用者等の義務について申し上げます。この章は、車両等の運転者の義務、交通事故があった場合の措置、雇用者等の義務等に関する事項を規定しております。
第六十四条から第六十六条までは、無免許運転、酒気帯び運転及び過労運転等の禁止について規定したものでありまして、現行規定において無謀操縦として禁止しているところとおおむね同様の趣旨のものでありますが、特に酒気帯び運転の禁止につきましては、参議院の修正が行なわれております。
第六十七条は、前三条の規定に違反する車両等についての危険防止のための警察官の応急の措置について規定したものでありまして、現行規定と同様趣旨のものであります。
第六十八条から第七十一条までは、車両等の運転者の最高速度及び最低速度を順守すべき義務、安全運転を行なうべき義務並びにその他の一般的な順守事項について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、第六十九条は、第二十四条の規定に対応して最低速度の順守について規定したものでありまして新設の規定であります。
第七十二条及び第七十三条は、交通事故があった場合における車両等の運転者等の負傷者の救護その他必要な措置を講ずべき義務、警察官に対する報告義務、これらの措置に対する妨害の禁止等について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣皆のものでありますが、警察官に対する報告は、交通事故の現場処理のため必要な行政的目的のものであることを明らかにするため、報告事項をその必要な範囲に限定して規定いたしました。
第七十四条及び第七十五条は、車両等の運転者を雇用する者等の義務について規定したものでありまして、新設の規定であります。その趣旨を申し上げますと、最近における交通事故及び交通違反の実態から考案してみますに、他人に雇用されている運転者につきましては、その責任を本人のみに帰することは必ずしも妥当でなく、むしろこれらの者を雇用する者の業務運営による影響を無視し得ないことが痛感されるところであります。第七十四条の規定は、この観点から新たにこれら雇用者に対し道路交通法上の義務を課し、道路交通に対するその責任を明らかにすることとしたものでありまして、その義務の内容といたしましては、まず一般的に、その雇用する運転者に対し安全な運転を行なわせるよう努めるべき義務、速度違反を誘発するような運転をさせない義務及び泥よけ器を備える等必要な措置をとることの義務を掲げたのであります。なお、第二項につきましては、その違反を処罰することができるよう参議院の修正が行なわれております。
次に第七十五条は、前条と全く同様の趣旨のものでありますが、車両等の運行を直接管理する地位にある者の運転者に対する影響力について着目し、これに道路交通法上の義務を課することとしたのであります。その義務の内容といたしましては、特に社会的に危険性の強い無免許運転、酔っぱらい運転、過労運転等を命じ、または運転者がこれらの危険な状態で車両等を運転することを容認してはならないことといたしましたが、この義務違反には、罰則を設けることとし、またこれには両罰規定をも適用してその雇用者にも責任の及ぶことを明らかにいたしました。
次は、第五章道路の使用等についてであります。この章は、道路における禁止行為、道路の使用の許可、違反工作物等に対する危険防止のための措置等に関する事項を規定しております。
第七十六条は、道路における禁止行為について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、現行規定におきましては単に罰則の犯罪構成要件として定めている行為をこの条の禁止行為として規定することといたしました。
第七十七条は、道路において工事または作業をしようとするとき、その他道路を使用しようとする場合における警察署長の許可について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものありますが、許可を要する事項の内容を明解化するとともに許可の条件、許可の取り消し及び停止、許可の期間が満了した場合等における原状回復義務について規定する等規定内容を整備いたしました
第七十八条から第八十条までは、前条の許可の手続及び許可に関する道路管理者との協議等について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、警察署長の許可と道路法による勤労管理者の道路占用許可とが競合する場合の許可の申請手続につきましては、その簡素化をはかるための措置を規定いたしました。
第八十一条は、違法工作物等に対する措置について規定したものでありまして、新設の規定であります。その趣旨を申し上げますと、現行規定におきましては、違法に設置されている工作物等が道路の交通に危険を生じさせ、または交通の妨害となるおそれがあっても、これらの違反行為については、罰則の適用があるだけで、当該工作物等について危険防止のため必要な措置をとることはできないのであります。第八十一条は、このような場合、警察署長は、それぞれの違反行為の責任者に対し必要な措置をとることを命じ、また違法工作物等の占有者等が判明しないときは、みずから工作物等の除去、移転等必要な措置をとることができることを定めたものであります。あわせて、そのような工作物等を除去した場合における保管その他これらをその所有者等に返還するための必要な手続等について、所要の規定をいたしております。
第八十三条は、沿道の工作物等に対する危険防止措置について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、これらの工作物等の占有者等が判明しないときは警察署長は、みずから必要な措置をとることができることとする等規定内容を整備いたしました。
第八十三条は、道路または沿道の土地における工作物等に対する警察官の危険防止のための応急措置について規定したものでありまして、新設の規定であります。その趣旨を申し上げますと、これらの危険または妨害となるおそれがある工作物に対しましては、前二条の規定により警察署長が必要な措置を命じ、またはみずから必要な措置をとることができることとなっているのでありますが、その事態が急を要し、警察署長の処分を待ついとまがない場合においては、応急の手段として警察官が必要な限度において当核工作物等の除去、移転ができることとして、危険防止の徹底をはかることとしたのであります。
次に、第六章、自動車及び原動機付自転車の運転免許について御説明いたします。この章は、運転免許の種別、免許の申請手続、免許証、運転免許試験、免許証の更新及び適性検査、免許の取り消し、停止等に関する事項を規定しております。
第八十四条から第八十七条までは運転免許の種別及びこれに応じて運転することができる自動車または原動機付自転車の種類等について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、原動機付自転車の運転許可を運転免許に改めるほか、運転免許の種別の統合整理等規定内容の整備をいたしました。
第八十八条から第九十一条までは、免許の欠格事由、免許の申請の手続、免許の拒否、保留及び免許の条件について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。なお、第八十八条に規定する免許年令の一部の引き上げについて、参議院の修正が行なわれております。
第九十二条は、免許証の交付、免許証の併記、免許証の有効期間等について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、免許証制度の運営の合理化をはかるための措置を規定することといたしました。
第九十三条から第九十五条までは、免許証の記載事項、携帯義務等について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。
第九千六条から第百条までは、運転免許試験に関する規定でありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、運転免許試験事務の全国的な斉一化をはかるため必要な基準を定めることとし、自動車教習所の指定及び監督の制度の確立をはかり、並びに不正受験者に対し受験停止の措置をとるごと等について規定内容を整備いたしました。
第百一条及び第百二条は、免許証の有効期日の更新及び定期または臨時の適性検査について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、定期検査制度の合理化をはかるため、検査期間を一カ月に短縮する等規定内容を、整備いたしました。
第百三条及び第百四条は、免許の取り消しまたは効力の停止の処分に関し、処分理由、聴聞その他必要な手続等について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、この制度の運営の合理化をはかるため、停止の処分を受けた者が所定の講習を終了したときは、その停止の期間を短縮することができることとする等規定内容を整備いたしました。
第百五条及び第百七条は、免許の失効及び免許証の返納等について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。
第百六条は、公安委員会が免許の拒否、取り消しまたは効力の停止の処分をした場合における国家公安委員会に対する報告とその通報について規定したものでありまして、新設の規定でありますが、全国的に免許に関する事務の適正をはかる趣旨の規定であります。
次に、第七章雑則について申し上げます。この章は、雇用者に対する通知、免許証の保管、国家公安委員会の指示権、道路交通に関する調査、免許に関する手数料等に関する事項を規定しております。
第百八条は、車両等の運転者が交通違反をした場合における雇用者に対する違反内容の通知について規定したものでありまして、新設の規定でありますが、雇用者等の義務に関する規定と相待って、雇用者に対し、その道路交通に関する責任の自覚を促す趣旨の規定であります。
第百九条及び第百十条は、自動車等の運転者がこの法律の罰則に触れる行為をした場合の免許証の保管及び全国的な幹線道路における交通規制の斉一をはかるための国家公安委員会の指示権について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。
第百十一条は、公安委員会が行なう道路の交通に関する調査について規定したものでありまして、新設の規定でありますが、道路における交通量、車両等の通行の経路等交通規制を実施するために必要な諸条件を調査し、これに基づいて交通規制の適正をはかる趣旨の規定であります。
第百十二条から第百十四条までは、免許事務及び道路使用の許可に関する手数料並びに北海道における方面公安委員会に対する権限の委任について規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものであります。
次に、第八章罰則について申し上げます。この章は、以上各章に規定する義務違反等のうち、処罰によって担保する必要のあるものにつき所要の罰則を定めたものであります。
第百十五条は、道路における交通に危険を生じさせる罪を規定したものでありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、法定刑を現行の「三年以下の懲役又は五万円以下の罰金」から「五年以下の懲役又は十万円以下の罰金」に引き上げることといたしました。
第百十六条は、過失によって他人の建造物を損壊する罪を規定したものでありまして、新設の規定であります。その趣旨を申し上げますと、過失による建造物の損壊については、現行法においてはこれを処罰する規定がありませんが、今日の交通事故の状況にかんがみ、その反社会性に着目して、これを処罰する規定を設けることとしたのであります。
第百十七条は、第七十二条第一項前段に規定する交通事故の場合の車両等の運転の停止義務または負傷者の救護等の必要な措置を講ずる義務に違反する罪を規定したものでありまして、現行法にも同様の趣旨の罪があるのでありますが、法定刑を「三月以下の懲役、五千四以下の罰金又は科料」から「一年以下の懲役又は五万円以下の罰金」に引き上げたのであります。
第百十八条第一項は、第百十五条及び第百十七条の罪に次いで比較的悪質な違反につき、六月以下の懲役または五万円以下の罰金に処する罰を規定したものでありまして、この罪に該当するものとしては、無免許運転、酔っぱらい運転、過労運転、昂高速度制限違反等がありますが、現行法では、おおむね三月以下の懲役、五千円以下の罰金または科料に処せられている罪であります。
第百十八条第二項は、最高速度制限違反の罪の過失犯を処罰する規定でありまして、現行法では過失犯を処罰する旨の明文がありませんが、これを処罰する旨を一明示いたしました。
第百十九条は、車両等の信号無視、通行の禁止制限違反、整備不良車両の運転、安全運転義務違反等につき、三月以下の懲役または三万円以下の罰金に処する罪を規定したものでありまして、現行法では「三千円以下の罰金又は科料の罪」または「三月以下の懲役、五千円以下の罰金又は科料の罪」として規定しているものであります。なお、第三項に、必要な過失犯の規定を設けております。
第百二十条は、混雑緩和の措置違反、通行区分違反、追い越し違反、駐、停車違反等につき、三万円以下の罰金に処する罪を規定したものでありまして、現行法では、おおむね「三千円以下の罰金又は科料の罪」として規定しているものであります。なお、第二項に、必要な過失犯の規定を設けております。
第二十一条は、歩行者の信号無視、通行の禁止制限違反、車高等の軌道敷内通行等につき、一万円以下の罰金または科料に処する罪を規定したものでありまして、現行法では、おおむね「三千円以下の罰金又は科料の罪」として規定しているものであります。なお、免許証の不携帯の罪及びその過失犯について本条に規定するよう参議院の修正が行なわれております。
第百二十二条は、車両等の運転者が、最高速度制限違反、無免許運転等の交通違反を犯した場合に酒気を帯びていたときは、裁判官の裁量により、それぞれの刑の二倍までの範囲で加重して処断することができる旨規定したものでありますが、酒気を帯びての交通違反の危険性に着目した新設の規定であります。
第百二十三条は両罰規定でありまして、現行規定と同様の趣旨のものでありますが、両罰の適用範囲を道路上における物件放置、車両の運行管理者の義務違反等に広げたものであります。
第百二十四条は、この章の規定の適用についての注意規定であります。
以上のほか、罰則につきましては、法律の理解を容易にするため各条文の末尾にこれに対応する罰則の条項を付記するよう参議院の修正が行なわれております。
最後に、附則について御説明いたします。附則は、この法律の施行について必要な事項を規定しております。
第一条、この法律の施行期日について規定したものでありますが、法律内容の周知徹底および政令その他付属法令の制定等のための準備期間を考慮に入れまして、この法律の公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することといたしました。
第二条は、この法律の制定に伴う現行道路交通取締法および同法施行令の廃止について規定したものであります。
第三条から第十条までは、運転免許の効力等に関する経過規定でありまして、従来の運転免許および運転許可は、原則として、それぞれ新法の相当規定による免許とみなすこととするほか、運転免許および公安委員会の処分の効力等に関する所要の経過措置について規定いたしました。
第十一条から第十三条までは、警察署長の許可その他の処分および保管証に関する経過規定であります。
第十四条は、新法の施行前にした行為に対する罰則の適用に関する経過規定であります。
第十五条から第二十条までは、この法律の制定に伴う公職選挙法その他関係法律の一部改正であります。
以上、道路交通法案の主要な点につきまして、その概略を御説明申し上げた次第でございます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01919600401/8
-
009・濱地文平
○濱地委員長 臨時地方特別交付金に関する法律案、地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案、以上三法案を一括して議題といたします。
この際、地方税法の一部を改正する法律案等審査小委員長より報告を求めます。小委員長代理亀山孝一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01919600401/9
-
010・亀山孝一
○亀山委員 川崎小委員長がやむを得ざる所用のため、私がかわりまして御報告を申し上げます。
前回に引き続いて、地方税法の一部を改正する法度案等審査小委員会におきまする審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
去る二十五日に、地方税法の一部を改正する法律案について御報告いたしましたが、今回は、内閣提出にかかる臨時地方特別交付金に関する法律案、地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして御報行申し上げます。
右三案につきましては、地方税法の一部を改正する法律案とともに、政府当局より詳細な説明を聴取し、逐条にわたって慎重な審査を行なったのでありますが、おもな論点を三、三申し上げますと、まず臨時地方特別交付金に関する法律案につきましては本交付金の総額算出の基礎が不明確であり、その配分方法をいかにするか、当分の間とはいつまでであるか、減収補てんのための本案の目的が十分に達成されるかいなか、また、減税した市町村のみに本交付金を交付するという自治庁の方針は、各種課税方式を設けた住民税制度の趣旨に反し、市町村の自主権の関与にならないか等の論議が行なわれました。
地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、税外負担のうち、さしあたり解消を予定している範囲はいかなるものであるか、また、たとえば学校校舎の維持修繕費だけでなく、改築費にまで及ぼすべきではないか、税外負担の解消のための本法の規定によって、かえって地方団体の財政運営に支障を来たすおそれはないか、自治庁の指導方針いかん、積立金の処分についての法的規制がきびしくないか、青少年補導対策については、自治庁が主となって積極的に対策を樹立するとともに、公民館、図書館など社会教育施設の充実のための財源措置を講ずべきである等の論議が行なわれました。
なお、これに関連して学校建築等の建設費の基準単価が実行単価に比して低きに失し、また坪数等の認証額が少ない点など、地元負担の実態を調査して、将来の施策に資すべきであるとの一致した意見がありました。
地方交付税法弊の一部を改正する法律案につきましては、私立学校の行なう義務教育の経費についても基準財政需要額に算入すべきではないか、税外負担の解消等のため基準財政需要額を九十億円程度増額しているが、はたしてこの程度で国民負担軽減に所期の効果を上げ得るか等の議論が行なわれました。
かくして昨三十一日、右三案につきまして審査を終了したのでありますが、結論としては、地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、各委員とも原案の通り可決することに一致いたしまして、本案の運用について附帯決議を付すべきであるとの意見がありました。他の二法案につきましては、多数をもって原案に賛成するとの意見でありました。ただ、臨時地方特別交付金に関する法律案につきましては施行期日を修正する必要が生じております。
なお、日本社会党提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案につきましては、今後なお審査を続行することになりました。
右御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01919600401/10
-
011・濱地文平
○濱地委員長 質疑は後日に譲りまして、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X01919600401/11
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。