1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年五月十八日(水曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長代理 理事 纐纈 彌三君
理事 飯塚 定輔君 理事 渡海元三郎君
理事 吉田 重延君 理事 加賀田 進君
理事 阪上安太郎君
加藤 精三君 亀山 孝一君
高田 富與君 富田 健治君
山崎 巖君 太田 一夫君
川村 継義君 佐野 憲治君
野口 忠夫君 安井 吉典君
大矢 省三君
出席国務大臣
国 務 大 臣 石原幹市郎君
出席政府委員
国家消防本部長 鈴木 琢二君
総理府事務官
(国家消防本部
総務課長) 山本 弘君
総理府事務官
(自治庁財政局
長) 奧野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 圓地與四松君
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本日の会議に付した案件
委員派遣承認申請に関する件
消防法の一部を改正する法律案(内閣提出第八
二号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/0
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001・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 これより会議を開きます。
濱地委員長には本日病気のため出席できませんので、その指名によりまして私が委員長の職務を行ないます。
内閣提出、参議院送付、消防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案は、三月八日予備審査において提案理由の説明を聴取いたしております。この際、政府当局より本案の補足説明を求めます。鈴木国家消防本部長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/1
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002・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 さきに提案理由の説明がありました消防法の一部を改正する法律案の内容につきまして、補足的に御説明申し上げます。
この法律案は、提案理由の説明にもありました通り、防火管理者に関する規定の整備をはかり、また少量危険物等の貯蔵または取り扱いの基準を市町村条例で定めることとし、あわせて消防の用に供する設備等の技術士の基準を政令で定めてその規制を行ない、その他規定の整備をはかろうとするものでありまして、第八条の改正、第九条の二の追加、第十条の一部改正、第十七条の改正及びこれに伴う第十七条の二から第十七条の四までの追加並びにこれらに関する罰則の改正と附則とからなっております。改正にあたっての考え方といたしましては、火災の防止の徹底を期するため、物的設備と、これを管理する人的組織を整備し、あわせて市町村の火災予防条例の整備をはかることをもって主眼といたしております。以下者条文につきまして御説明を申し上げます。
第八条の改正は、従来の防火責任者の業務内容の明確化及び強化をはかり、これに伴い、その名称を防火管理者と改めた上、政令で定める資格要件を具備すべきものとし、かつ、防火管理者を設けるべき防火対象物は、多数の者が出入し、勤務し、または居住するものについて政令で定めることとし、その選定または解任を届出事項とすることといたしたものであります。
第九条の二は、消防法別表で定めております数量に満たない危険物、危険物に準ずる政令で定める可燃性の物品、または火災発生の際、その拡大がすみやかであるかもしくは消火活動に苦しく困難を来たすような物品について、その貯蔵または取り扱いの技術上の基準を市町村の条例で定めることといたしたものであります。
第十条の一部改正は、車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、または取り扱う貯蔵所について規定の明確化をはかったものであります。
第十七条の改正は、防火対象物における消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設に関するものでありまして、これらを設置すべき防火対象物につきましては、従来は学校、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館及び飲食店を法定するほかは、市町村条例において指定するところによっておりましたが、これを政令で定めることに改め、かつ、その技術士の基準は、市町村条例にあげてゆだねておりました点を改めて、政令で定めることとし、新たに法律で維持義務を課することといたしました。ただ、これらの技術士の基準につきましては、気候または風土の特殊性をも考慮いたしまして、政令またはこれに基づく命令の定めるところによるのみでは不十分と認められる場合には、市町村条例で基準を付加することができることとして、実情に即した運用をはかり得るように配慮いたしております。
第十七条の二及び第十七条の三は、消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設のうち消火器、避難器具等簡易なもの以外のものを新たに設置させるときは、既存の建築物等にあっては相当大幅にわたる工事が必要となり、経済的負担が大きくなります点をも勘案いたしまして、本来これらに適用せられるべき法規の適用は除外し、従前適用されていた法規を適用することとして例外を認め、切りかえに際しての負担をできるだけ軽からしめるための措置をとり得るように設けた条項であります。第十七条の二が法規改正の場合におけるものであり、第十七条の三が防火対象物の用途の変更の場合におけるものであります。ただ、いずれもやむをえず認める例外内措置でありますので、従来とも違法であった場合でありますとか、大規模の工事を伴う場合とかにおきましては、原則に戻って、本来適用されるべき法規を適用することとして調整をはかっております。
第十七条の四は、消防の用に供する設備、消防用水または消火活動上必要な施設の設置または維持が、技術上の基準に従ってなされていないときは、消防長または消防署長において、所要の命令を発し得るものとして、これら技術上の基準を順守させる措置を講じたものであります。
第四十二条から第四十五条までの改正は、以上の改正に伴う規定についての違反に関する罰則について整備をはかったものであります。また第四十六条の改正におきましては、第九条の二の規定に基づく条例に対し、罰金刑のみの刑罰規定を委任することといたしました。
附則におきましては、防火管理者の資格についての経過措置並びに消防の用に供する設備等のうち消火器、避難器具等簡易なものの技術士の基準についての経過措置を講じております。なお、この法律の施行時期を公布の日から起算して九月をこえない範囲で政令で定める日といたしましたのは、今回の改正の内容を充分周知徹底させる必要があると考えたからであります。
以上この法律案の主要な点について、その概要を御説明申しあげた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/2
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003・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 以上をもちまして補足説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/3
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004・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので順次これを許します。安井委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/4
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005・安井吉典
○安井委員 今回の消防法の一部を改正する法律案につきましては、内容の若干の点におきまして問題点がないわけではないと思いますけれども、しかし全体的には火災予防を徹底するという方向に一歩前進するものとして歓迎せらるべきものだと思うのであります。ただ、一番の問題点は、このような法的な措置が強化されましても、はたしてそれを裏づける各方面からの財政的な措置が十分に講ぜられるかどうかというところに、実効が上がるかどうかということがかかっているものだというふうに思うわけであります。その意味におきまして、私は主として財政的な部面につきましてお尋ねをしたいと思うわけでありますが、その前にこの法律案の条文の二、三の点につきまして、消防本部側の御意見を伺いたいと思います。
まず第八条の「学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるもの」という規定がございますが、また一方第十七条におきましても、やはり政令で定める防火対象物という規定もございます。先の場合は防火管理者を置き、いろいろな計画を立てたり、実施に当たるという問題、あとの面は設備設置義務の問題でありますが、この二つの場合の防火対象物は同一のものと予想されているものか、あるいは政令において別な取りきめをなさるおつもりか、その点をまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/5
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006・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 第八条の防火対象物と第十七条の防火対象物は、おおむね同じものとなると思いますが、ただ第八条の方は管理という面に重点がございまして、どちらかといいますと人命保護の点に相当な重点が置かれております。第十七条の方は、こまかい消防技術士の設備の問題になりますので、自然十七条の方が八条よりも幾分広くなることを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/6
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007・安井吉典
○安井委員 防火対象物といいましても、法で規制する目的が違うわけですから、その点は若干の違いができることは当然だろうと思うわけでありますが、できるだけこの法の適用を受ける側においての混乱が起きないように、統一的な方向に行くことが望ましいのではないかと思うわけでございます。この点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/7
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008・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 いずれの条文におきましても、八条におきましても、十七条におきましても、結局その責任者が熱意を持ってやるということが非常に大事なことでございますので、お話にありましたように、指導なり取り締まりを受ける相手方に不便をかけるとか、あるいは理解に苦しむということがないように、政令制定の際には十分気をつけていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/8
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009・安井吉典
○安井委員 第八条において防火責任者の規定があるわけでございますが、これの資格は政令で定められるという規定でありますが、大体どういうことを現在予想されているわけでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/9
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010・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 現在関係方面並びに第一線といろいろ打ち合わせをいたしまして、具体的にどういうものを、この八条に基づく政令で資格を定めるかということを検討中でございますが、現在考えております概要を簡単に申し上げますと、たとえば消防長または消防署長の行なう一定の講習を修了した者、あるいは従来の規定に基づく防火責任者として、たとえば三年以上経験を有するとか、あるいは労働基準法の関係で安全管理者に選任されている者、あるいは消防法の関係で危険物取扱主任者に定められている者、そういったものをあげまして、これらと同等以上の学識なり経験がある者というふうなことにきめたらと考えております。しかしいずれにいたしましても、これは防火対象物の種類によって実効が上がるような防火管理者を定めるということが大事なわけでございますので、一応ただいま申し上げましたような考え方で政令で資格を定めますけれども、実際にだれを防火管理者にするかということにつきましては、具体的にそれぞれの建物、防火対象物につきまして、消防長、消防署長と実際の施設の責任者とが十分相談してきめていくという段取りにしたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/10
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011・安井吉典
○安井委員 従来の防火対象物の考え方と、新しい改正法による対象物の内容とが、新法の場合はだいぶ拡大されるのではないかという印象を受けるわけでありますが、そういうことになりますと、防火責任者というものから防火管理者へ仕事の内容もぐっとふえてくるわけです。それだけに防火管理者の数も多く必要だし、そしてまたその質的な向上ということも同時にはかっていかなければならないことではないかと思うわけでありますが、その場合に従来の法令による、たとえば安全管理者でありますとか、危険物管理者だとか、そういうような立場にあった人のほかに、今回は相当数多くの新しい防火管理者という名の人たちを作り出していかなければいけない段階になると思うわけであります。それだけに講習というような形で資格を付与するというようなことに相当ウエートを置いた考え方が出てこなければいけないのではないかとも思うわけですが、広くこういったような防火対象物に質のいいといいますか、この法令の趣旨を十分に理解して、しかも与えられた任務を十分果たし得るような、そういったような防火管理者をたくさん作らなければいけない、そしてまた一そう理解を深めていかなければいけない、そのための講習ですか、そういう御計画もあるということを今のお答えの中から得たわけであります。しかし、それらの人たちも、それぞれ現在でも職場の中でいろいろな立場にある人たちを再教育するといいますか、そういうような方向にこれはおそらくなるのだろうと思うのですが、講習の内容だとか、あるいは期間だとか、そのやり方だとか、そういうところにいろいろな問題がたくさん出てくると思うのですが、もう少しそれらのお考え方をお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/11
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012・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 八条につきましても、また十七条につきましても、現在市町村の条例で事こまかにきめておりますのと、そう大きな違いはないことにいたしたいと考えております。問題は、現有の防火責任者にしましても、あるいは十七条の防火施設にいたしましても、実効が上がっていないということが問題でございまして、防火対象物の範囲を広げるということが目的ではないので、現在やっておる防火責任者の責任なり、あるいは十七条の設備なりを充実して、実効の上がるようなものにしたい、質的に強化したいということが、八条におきましても、十七条におきましても、今回の改正のねらいでございますので、防火対象物の責任者が非常に従来と変わったえらい責任を受けるというような感じは、この条文の改正からは出てこないと考えております。
ただいまお話もありましたように、第八条の防火管理者につきましては、従来も防火責任者という名前で置いてあったわけでありますが、これが従来の八条が訓示規定みたいなものでございまして、全く実効の上がらない、また消防の立場からいえばつかまえどころのないような規定でございました。従って形式的に流れておったような規定でございますので、それを内容を充実したものに改正して、防火管理者という名前にして、管理の責任を明確にいたしたわけでございます。一つの防火対象物に対して一人の防火管理者ができるわけでありますが、その下には何人かの補助者がおりまして、ここに法律にも掲げておりますような各種の消防施設、設備あるいは訓練というようなことについて、それぞれ責任を持ってその防火管理者の補助者が分担してやるという形になろうかと思います。従いまして、お説のように防火関係の責任を負うべき人が、一つの防火対象物に対してふえることになろうかと思います。それだけにまた消防署としての責任が重大になってくるわけでございまして、消防署がこれらの防火関係の方々と十分連絡をとり、また懇切丁寧な指導をして、実効が上がるようにいたさなければならないわけでございますから、その点は消防署長の面においても非常に大きな責任が生じてくるわけでございますので、その点はお説の点を十分体しまして、遺憾なりそごのないようにいたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/12
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013・安井吉典
○安井委員 今のお答えでありますと、形の上では若干名前は変わったけれども、従来とそう変わりはないのだ、従来条例であったものを政令に移しただけなんだ。それの実効は、消防長なり消防署長なりの力で充実していくよりほかにない。そういうことでありますが、もっとも形式的には、この消防管理者の問題にいたしましても、あるいは消防設備の充実の問題にしても、今度は罰則が強く出てきておるようでございますが、それだけのうしろだてで、つまり従来条例にまかせてあったものを政令できめただけで、それで実効がはたして上がるかどうかという、問題はそこにあるだろうと思います。形の上では同じことではないか、しからば一体どういうことで本質的な効果を現わしていくかというところにこれは問題があるわけで、形はどう変えても、実質が変わらなければこれは何もならないわけではないか、そういうことを私どもは心配するわけでありますが、もっと何か防火管理者の問題なりあるいは設備の充実なりにつきまして、実質的な効果を上げ得るような方法につきまして御研究なさったことはないでしょうか。そういうような成果があったら一つお話し願いたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/13
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014・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 従来防火責任者というのが第八条の規定にありましたが、これは先ほども申し上げましたように、単なる訓示規定程度のものでございまして、消防長なり消防署長が、どの建物に対してどういう防火責任者をきめたということが十分つかめない。報告も何もございませんので、一々予防査察にでも行ってよく見たのでなければ、だれが責任者であるかわからないというような状態で、実態がつかめないというところに大きな欠点があったわけでございます。従いまして、防火責任者のその人自体も大した責任も感じない、また消防の方でもその実態をつかめないということで、両面から大きな欠点があったわけでございますが、今回の改正によりまして、防火管理者を定めなければならないということにし、またそれを消防署長に届けなければならないということになっておりまして、そのいずれに対しても罰則がつくわけでございますが、そういうことになりましたために、防火管理者の責任が非常に重大になる。またこれが届け出を受けるわけでございますから、これを指導する立場にある消防署長の責任も、知らぬ顔はできない。責任を持って指導しなければいけないということになるわけで、この規定が実際に効果のあるように実行されるものと考えておるわけでございます。
いかなる運用の仕方をするかということにつきましては、従来も、もちろん予防査察等によりまして相当懇切丁寧な防火指導をやるように指導はいたしておりますが、この第八条の改正に基づきまして、さらに今申し上げましたような防火対象物における防火管理者、それから消防署長との連絡関係あるいは指導の仕方というものについて今後十分検討いたしまして、運用の面においてこの第八条が遺憾なく運用されますように研究していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/14
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015・安井吉典
○安井委員 そういたしますと、大体において組織面の予防消防といいますか、そういう問題についての組織的な面の改正というような点がここで強く押し出されてきたというふうな気がするわけで、結局要するに、実効を上げるのは消防長だとか消防署長の責任があげて重大になってきた、せんじ詰めると、そういうふうな理解のされ方に落ちつくような気がするのですが、そうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/15
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016・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 さようでございます。消防署長の責任が非常に重大になってきた。従いまして、それをいかなる方法でその実効の上がるような運用の仕方をするかということは、国家消防本部としてもやり方を研究し、消防署長の指導という面を考えなければなりませんので、国家消防本部の責任もそれだけ加わってきたと言うことができると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/16
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017・安井吉典
○安井委員 その責任の加わってきた方の問題はもう少しあとにいたしまして、これと同じような趣旨は第十七条にも盛り込まれているわけでありますが、この十七条の規定で、政令で定める方向におきまして消防設備の設置や維持が防火対象物の関係者に対して義務づけられたわけでありますが、現在の段階において市町村条例にまかせられている状況が、この新法において改正されることによりまして、どういうふうな効果をもたらすであろうかということについて、現在の状態と今後どうなるだろうというお見通しを一つお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/17
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018・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 お手元に差し上げてあります資料の中の消防法改正関係資料の一ページに火災予防条例制定の状況の調べが出ておりますが、これをごらんいただきますと、火災予防条例の制定は全市町村の五七%でございます。半分弱のところは全然制定されておらない。また制定されておるところでも、単に形式的に国が示しました基準に従って条例を作ったというだけで、実際は実行されておらないというところが相当あるように見受けられるのでございます。従って、大ざっぱに申し上げますと、全国で半分の市町村は火災手跡関係の条例もなし、また実際にそれを実行しておらないと言うことができると存じます。今回の改正によりまして、従来条例にまかされておったことが政令で定められることになりましたので、各市町村とも、消防署のあるなしにかかわらず、法律に基づく政令によりまして、この火災予防関係の諸施設の設備の指導をしなければならない、またそれを実行しなければならないという義務づけがされるわけでございますので、従来やるところもあり、やらぬところもあるというものが、全部一斉にやらなければならないようになるところに大きな効果が出てくると存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/18
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019・安井吉典
○安井委員 条例で定めるものと、条例に定めるように指導していたのが、今度政令で規定されるわけでありますが、従来と今度の新しい行き方との内容はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/19
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020・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 従来の市町村の条例も、国家消防本部から準則を示して、それによって各市町村も条例を作っております。従いまして、今度の改正に基づく政令におきましても、従来の条例の内容をもちろん再検討はいたしますけれども、おおむね従来の条例に準じて作るという考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/20
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021・安井吉典
○安井委員 現在、国や地方公共団体の公共的な建造物について、火災予防や消防設備費が十分に算定されておるというふうにお考えでしょうか。つまり国の責任においていろいろな建物を建てたり、あるいは地方公共団体が国の補助を受けていわゆる防火対象物になるような建物の建築などが行なわれておるわけでありますが、そういうような予算の中に十分組まれ、単価の中に十分組まれておるというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/21
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022・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 こういう建物、物件につきましては消防施設がまことに不十分であり、また予算面につきましても十分な措置がされていない。遺憾ながらそう申しあげざるを得ないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/22
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023・安井吉典
○安井委員 それともう一つは、工場とか事業場に対しまして、今までよりも規制が強くなるわけでありますが、この規制が強化されることによって受ける経済的負担という面につきましても、どういう考慮がなされたでしょうか、その点を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/23
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024・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 従来も、市町村の条例で工場、事業場等は相当な消防施設をしなければならないことになっております。必ずしも実行されていないところが多いわけでありますけれども、一応条例で義務づけられておるわけでございますので、新しい義務を課するということはさしあたりないと存じまするそのために経過規定を設けておるわけであります。ただ十七条の二にございますように、消火器、避難器具というような類は、たとい法律なり政令、条例の規制がなくても、当然つけるのが当たりまえでございますので、それらは全部に対して義務的につけなければならないことになるわけでありますが、建物なり施設の所有者あるいは管理者というものは、その程度のものでしたら、それに見合うだけの消防施設なり防火施設をするということは当然のことではないかというふうに考えられますので、それに対して特別な財政的処置を考えるということはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/24
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025・安井吉典
○安井委員 私は、消防のための施設は経済的な効果を度外視しても強化しろというふうな、極端な言い方をするわけではありませんが、たとえば会社の施設でありましても、この内容がどういうことになるかわかりませんけれども、必要な施設をするということは、むしろ不測の事故を防ぐという意味において経済的採算に合う問題じゃないか、逆にそういうことも言えるのではないかと思います。そういうことから言いまして、あまり無理のある指導は慎まなければならないかもしれませんし、その点今後の指導を進めていく上におきまして非常に問題があるのではないかとは思いますが、しかし、無理のない限度では、これはどんどん進めていくべきだと思います。ところが、お手本を示さなければいけない国や地方公共団体の施設そのものが、消防についての考慮がきわめて貧弱だということを消防本部長自身がお漏らしになるような現状であるというところに、私は問題があると思うのです。ですから、どこかの工場にしっかりやれと言ったって、この市の学校は一体どうなっていますかとさかねじを食わされるのが落ちではないか、こういったような気もするわけであります。ですから、今回特にこの法律によっての消防設備強化義務づけという、こういう機会をとらえまして、国の機関あるいは地方公共団体に対しまして、みずからのその施設においての消防設備を再検討すべきである、そして設備強化への方向を財政的な裏づけをもって確実に打ち出すべきである。こういうようなことを、この法の運営に当たられる立場から強く申し入れをするとか、その他適当な方法を講ずべきではないかと思うわけです。その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/25
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026・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 お話にありましたような点は、私どもが最も切実に考えておる問題でございましてお話にありましたように、今後こういう建物の消防施設の充実という点につきましては、関係方面と十分連絡をとって、お話の趣旨に沿うようにいたしたいと考えております。
〔纐纈委員長代理退席、古田(重)委
員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/26
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027・安井吉典
○安井委員 ですから私は、国や地方公共団体の建物を建てるというその考え方の中に、あるいは言いかえれば設計の中に、消防施設というものはすでに織り込まれていなければいけないのじゃないか、そういう癖をつけなければいけないのじゃないか、そう思うのです。たとえば警報設備だとか、消火器だとか、消火栓だとか、建物の種類によってはスプリンクラーのようなものや、噴霧器や、設備によってはあわで消す方法があると思います。そういうようなものを設計の中に最初から織り込まなければいけないのではないか、そういうふうに思うわけです。それがあとになって備品だとかなんとかいう形で出てくるために、その備付が非常におっくうになってしまって、そのままいつまでも過ぎてしまう。こういうような情勢があるのではないかと思うわけであります。今私が申し上げました中にも、これは建物の設備そのものではなしに、備品的な扱いをどうしても受けざるを得ないというような性格のものもあるかと思いますけれども、しかしそういうものについても、建物が最初できるときから十分にそういうものが備わらなければ、補助金をつけないとか、あるいははっきりそれの認証を断わるとか、そういうような措置が必要だと思うのですが、その点どうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/27
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028・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 お話がありましたように、学校その他の公共建物の建築の際に、設計自身に消防施設を織り込むということは、ぜひ必要なことと存ずるのでございます。今回の改正によりまして、特に一ぺんにいろいろな施設をしなければならないということは出てこないのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、消火器とか、避難器具その他簡単なベル、警報器というようなものは、即座に、従来やっておらないければつけなければならないことになるわけでございますので、公共建物につきましても、第八条の防火管理者の責任とあわせて考えますと、相当といいますか、ある程度の防火施設はしなければならないことになりますので、今後この公共建物の火災等は相当減ってくるのではないかというふうに期待いたしておるわけでございます。実際お話にもありましたように、設計当時にたとえば自動火災感知器を建築費の中に入れて設計いたしましても、大体自動火災感知器は坪当たり四、五百円でございますから、建築費の一%も出せばりっぱな自動火災感知器がつくわけでございますが、責任者が少し熱意を持ちさえすれば、大した経費がかからずに防火関係の諸施設ができるわけでございますので、そういう点も今度の改正を契機といたしまして、関係方面と十分連絡をとって、その方面に一段と進歩するようにいたしたい、さように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/28
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029・安井吉典
○安井委員 建物の付帯設備としては、衛生設備とか、火防設備というものがあると思うのですが、衛生設備ですと、台所だとか便所なんというのがそれに当たるのですが、それと同じようなつもりで、火防設備についての考慮が建物の設計なりあるいはまた建築の中に払われれば、まだこれはよくなると思うのです。そういうような方向に今度の改正で進むことができれば、それにこしたことはないわけですが、このためには設計をする人たち、あるいはまた建築をする人たちに、これは公共的な建物だけではなしに、民間の建物についても同様でありますが、一つの癖をつけるということでないかと思うのです。これはもうその設計を頼む人よりも、設計者そのものがそういう癖がつくと、これはだいぶよくなってくるのではないかと思います。そういうふうな御指導を一つ国家消防本部ではお考えになっていただきたいと思うわけです。
そこでちょうど奧野財政局長が今お見えでございますので、現在消防設備の充実義務についての第十七条について質問をしておったわけでありますが、地方公共団体の建物の単価の見積もりの中に、消防についての考慮、火防的な考慮というものがどれくらい現在払われているでしょうか、その点ちょっと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/29
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030・奧野誠亮
○奧野政府委員 地方債の許可をいたしましたり、あるいは交付税の基準財政需要額を算定いたしましたりする場合に、一応建築費について単価をきめているわけであります、その場合に、私たちとしましては、できる限り木造等から鉄筋に移っていきたいというような考え方のもとに、それだけの所要の資金がまかなえるように努力をいたして参ってきておるわけであります。しかしながら、それらの建築にあたりまして特に消防の関係のためにどのような費用が要るかというふうな式の計算はいたしていないわけでございます。全体について、今申しますように木造から鉄筋へというような方向で努力をいたして参ってきておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/30
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031・安井吉典
○安井委員 木造から鉄筋へというその方式そのものは私は正しい方向だと思うのです。これは火防的な建築だけではなしに、耐久性からいっても、その他いろいろな面からいっても、これは当然な行き方だと思うのですが、ただ、たとい木造であっても、あるいは鉄筋の建物であっても、火事はやはりあるわけです。鉄筋の建物でも、火事がないというわけじゃ決してないわけでありますが、その施設の中に、たとえば火災感知器だとか、あるいは報知器、そういうような警報設備だとか、その建物に応じての消火栓や消火器だとか、その他いろいろな消火設備というものが、その建物の規模なり構造なりに応じてこれは当然考えられるわけでありますが、そういうようなものも当然単価の中に算入さるべきだと思うのです。ですから私は、その単価の問題を一つ伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/31
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032・奧野誠亮
○奧野政府委員 建築をいたします場合に、いろいろな付帯施設があろうかと思うのであります。その一つとして今感知器等についての御指摘があったのだろうと思います。現在のところ特に庁舎の建築その他の際にそういうものを一つ一つ拾い上げて計算はいたしておりませんで、起債の許可をいたします場合にあたりましても、一応坪当たり何円というような金額の中に付帯施設も含めておるわけでございます。相当な金額に上るようでございますと、それだけを拾い上げてまた別個に算定をするという必要が生ずるのかもしれませんけれども、現在の段階ではそういう方式でよろしいのじゃないかと思っております。しかし、御意見もあるようでございますので、消防当局とも相談をいたしまして、今後もし必要がございますならば、そういう方法も検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/32
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033・安井吉典
○安井委員 今度は消防法の十七条が改正され、内容が強化されて、これは公共的な建物だけでなしに、工場や、事業場や、百貨店や、旅館や、飲食店や、そういうところまで設備の充実についての規制が強化されるわけです。ところが、一方において肝心の公共施設がちっともそういうような考慮が払われていないというようなことでは、それはもう一般的な指導なんていうものはできっこないだろう。消防署の人たちが町の飲食店や何かを歩いて、ここはだめじゃないかと言ったって、そんなことを言うあなたの方の公民館の建築は一体どうですか、というようなことになるのでは、これは指導が十分行き届くわけはないので、今回の第十七条以下の強化規定ができたという機会に、やはり建築物の設計の内容そのものにも私は検討が必要ではないか、そういうような気がするから今申し上げているわけなんで、何もかも含めての単価はこれだけなのだと言われますけれども、私はその基礎になるものはやはりあると思うのです。ただ単価は坪当たり三万九千円とか四万何千円というものが出てくるのじゃなしに、その計算の基礎というものはあるはずなんです。そういうような中に、これははっきり十七条以下の規定が生かされるような計算の方法でなされなければいけない、そういうふうに考えているわけですが、今の御答弁でも、いろいろ検討をしたいというふうなお話でございますが、これはもう地方公共団体だけでなしに、国の施設についても同じことなんです。地方公共団体よりも、むしろ国の施設においておくれている面もあるわけです。大臣もお見えですが、その点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/33
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034・奧野誠亮
○奧野政府委員 おっしゃいますように、建造物につきまして、平素から防火について工夫をして参らなければならぬのであります。現在、社寺等につきましては、国が特に補助金を交付いたしまして、そういうような施設を整えさせるように努力をいたして参ってきておるわけであります。特に緊要なものからそういうような方法が漸次とられて参っておるわけでありまして、全然国が無関心でおるというわけではないだろうと思います。しかし、こういう点一そうそういう方向に努力しなければならぬと思いますし、また地方財政の問題につきましても、先ほど御答弁申し上げましたように、消防当局とも相談いたしまして、どういうような方法をとりますことがそういう方向に役立つか工夫をいたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/34
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035・加賀田進
○加賀田委員 ちょっと関連して。この改正は、従来の市町村の消防が、その組織あるいは管理等について市町村の条例でほとんどが生かされていたのが、今度政令という一つの拘束力を持つ形になると思うのです。従って従来の市町村単位の自治消防というものに対する考え方が、いわゆる中央に権限が相当移譲されるという性格を帯びてくると思うのです。そこで問題になりますのは、消防組織法の性格と、今度改正されるいわゆる政令で一定の基準等をきめるという拘束力を持つ性格とが非常に異なってくるような気がするのです。いわゆる消防組織法に基づいて市町村に全くの自主性を認めた従来の消防の組織と、この政令との関係で、どういう考え方を持っているのか、矛盾する点がないのかどうか、その点を一つ明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/35
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036・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 お話の点は、結論的に申し上げますと、消防組織法の自治体消防という原則に矛盾がないと考えております。と申し上げますのは、この十七条の改正は、従来の条例できめておったことを、その基準を政令できめるということになったのでございまして、従来は国家消防本部が示しました条例準則に基づきまして、それぞれ市町村において条例を作っておったわけであります。その基準を政令できめるということになっただけでございまして、これが執行と申しますか、これを実施するのは市町村自体がやるわけでございます。しかも十七条の四にありますように、消防長または消防署長は、この十七条の規定によって実行されておらない場合には、消防署長が設置命令なりあるいは維持命令を出すことができるということ、それに従わない場合には罰則がつくということで、実際の執行は市町村消防長、消防署長の義務になっておるわけでございますので、市町村自治体消防の原則には何ら違反しないと考えております。さらに十七条におきましては、市町村において付加条例を作ることができるということになっておりますので、そういう面から申しましても、市町村の自治体消防の原則を侵すということは全然ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/36
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037・加賀田進
○加賀田委員 そこで従来の国家消防本部としての指導方針が、約半分しか正確な条例が市町村にはないというふうに聞いておりますが、そういうことになりますと、各市町村は必ず政令に基づいて条例を作らなければならないという義務づけをされるという性格になってくると思うのです。そこで問題になりますのは、それでは従来本部長として、この消防組織法の雑則二十条ですかには、知事、市町村長あるいは消防署長等に勧告をするだけの権限があったわけですね。この勧告というあなたの持っている一つの権利を十分に生かしておけば、従来のこういう法律を改正するまでに至らずして、もっと自治体消防の完璧を期する条例等を作り得たのじゃないかと思うのですが、従来その勧告を行なったことがあるかどうか、この権限を発動したことがあるかどうか、その点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/37
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038・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 従来とも市町村の火災予防条例を作るように機会あるごとに勧めておるわけでございまして、国家消防本部から準則を出して指導しているわけでございますが、これを無理やりに作らせるという権限は国家消防本部にはございません。勧告いたしましても、そっぽを向いている者に対して無理にどうするということは、行政管理、運営管理に関与することはできないということになっておりますので、そこまで強く指導するということができないことになっております。今回の改正は、その消防施設の基準を政令できめるというだけでございますが、いずれにしても、消防施設については、政令できめれば、今度は政令に基づいて当然にその実行は市町村長なり市町村の消防長あるいは消防署長がやらなければならないわけでございます。その市町村長あるいは市町村の消防長、消防署長の防火施設の指導に対する基準を政令できめるというだけでございます。実行するのは市町村長あるいは市町村の消防長、消防署長でございます。
〔吉田(重)委員長代理退席、纐纈委
員長代理着席〕
特に市町村の自治消防としての原則をくつがえすものでもありませんし、また従来の規定では、先ほど申し上げたようなことで実行が確保できませんので、今回の改正案を出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/38
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039・加賀田進
○加賀田委員 その点が一つどうも不明な点があるのです。今度基準を政令できめる。それも自治体の消防としては、それの選択あるいは条例できめるきめないは自主性があるということになってくると、従来の法律の内容でもこれはきめられる性格のものではないかと思うのです。だから今度改正されて、その基準が政令できめられれば、政令に基づいて市町村にある程度の義務づけがあるという性格にならなければ、従来と同じ性格だということになると、法律を改正しても、その選択権というか、採用権というものは自治体の消防が持っているわけですね。そういうことになると、結果的には、私が今申し上げたように、二十条の勧告をする権限という最後に与えられた国家消防本部としての指導権というものを発動するまでの意思を持っていなければ、こういう問題は完璧を期することができないのじゃないかと思います。その点はどうなのでしょうか。ただ政令できめただけで、あとは各市町村の消防がそれに基づいてやろうとやるまいと自由なのだ。ただ、できるだけやってもらいたいという従来のような指導方針でやるのか、ある程度の拘束力を持たすような考え方を持っておるのか、その点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/39
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040・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 私の説明が不十分なためにおわかり願えない点があるのじゃないかと思うのでございますが、今度の改正では、十七条にありますように、「政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設を設置し、及び維持しなければならない。」という義務づけになっております。政令で定める基準に従ってやらなければならない、維持しなければならないということになっておりまして、これはもう条例なしで直ちに実行されるわけです。ただ先ほど申し上げましたのは、その政令で定める基準だけでは足りない場合が、地方によってはそこの気象状況等によってありますので、そういう場合には、たとえば北海道とか東北方面の積雪地帯などで特別に施設をしなければならないような必要のあるところは、条例で付加することができるというだけのことでございまして、原則としては、直ちにこの政令によって実行する義務があるわけでございますが、私の説明が不十分でおわかり願えなかったのかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/40
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041・加賀田進
○加賀田委員 そこで施設等がある程度義務づけされるわけですね。その詳細なものは条例できめていくとしても、設備をしなければならないということが義務づけされていくわけでしょう。そこで一体、今までの消防法に基づいて、今申し上げたように、もっといわゆる監督権を強行して強力な指導がなぜできなかったかということなのです。半分程度しかこれが完全に実施されていないという答弁だったので、今までもそういうようなことでは困るのですが、従来そうような強い指導というものはなぜできなかったか。できないためにこの改正というものが特に現われてきたと私は思うのです。ですから、今後国民の財産とか、生命を保護する、あるいは守っていくための重大な任務を帯びているのですが、自治体の消防行政までこまかく指導するということは組織法に違反いたしますから、そこまでこまかく指導しなくても、もっと指導力というものを強く与えていかなければ、この法律を改正しても十分なものはできないのじゃないか。その点で私としては心配して質問したわけですから、もう一応明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/41
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042・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 従来の指導とか監督というのが十分な効果を上げてなかったということはわれわれの責任でございますけれども、今度の改正は、要するに消防施設の設置が実効が上がるようにすることが目的でございますので、今後ともこの法律及び法律に基づく政令が確実に実行されますように、監督、指導の方法を強化いたしまして市町村のみならず、国家の施設あるいは市町村自体の公共施設につきましても、この規定が十分実行されますように指導なり監督を十分行なっていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/42
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043・安井吉典
○安井委員 先ほどの建設費の問題について大臣からお答えがありませんでしたけれども、これは非常に大事なことですから、十分お考えいただかなければいけないと思うのです。今度法律を改正して消火設備の内容は強化はされた。ところが、国や地方公共団体のものは相変わらずちっともそういう設備が進んでいない。それじゃ一般の指導などというのは、政府あるいは地方公共団体としても、とてもできないことだと思うのです。それだけに、これから国が建てたり、あるいは国がいろいろな補助をする場合にも、火災予防に必要な——それはもう多過ぎるような施設はしないにしても、必要最小限度の施設の予算は、最初から単価に見積もって補助するなり、国が当然やる設備の予算の中に組み込んでおかなければ、これは法律を改正しても、国や地方公共団体が自分でやらなければ口頭禅です。その点もう一度大臣からも御決意を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/43
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044・亀山孝一
○亀山委員 関連して。今の同僚安井委員からの御質問は、私もまことにごもっともだと思うのです。これは公安委員長よく御承知だと思いますが、今まで火災等を見ますと、多くは公立関係の学校あるいは公立関係の建築物です。国立も相当あります。そういう場合に、今安井委員の御質問の点は十分お含みおきの上御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/44
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045・石原幹市郎
○石原国務大臣 途中から参りましたので、先ほどよくお話が聞き取りにくかったので、財政局長にかわって答えてもらったのであります。確かに御指摘のような点は考えていかねばならない問題と思います。現在では、文化財につきましては文化財保護委員会でいろいろ設備をやらしたり、補助金を出していろいろのことをやらしたりしております。私の記憶でも、特別交付税配分の際に、私の特にしておった文化財であったので、その町村に少し色をつけてもらった記憶があるのでありますが、御指摘のごとく、国の建物あるいは公立の学校、ことに亀山委員も言われましたように、最近大きな火災が公立学校等に非常に多いのであります。今までのところは、そういう措置なり、予算の単価等にこういう考えはあまり織り込まれていないようでございまするが、今後の考え方としては、そういう措置をして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/45
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046・安井吉典
○安井委員 学校のことを今亀山さんからもお話がありましたが、建物ができてからあとでつけようとしても、実際問題としては、これはできないですよ。それはもう建物そのものの一部だという考えですよ。建物ができれば便所は必ずついているのですよ。学校ならおそらく小使室とか小供たちの手洗いなんかもあるでしょう。そういう衛生的な設備と同じものだという考え方でなければ、いつまでたっても学校は焼けるのです。それは根本的な問題として十分お考えを願いたいわけです。
そこで、これらの問題を実効あらしめるための人員の問題ということになりますると、財政の問題ということになってくるわけでありますが、それに先だってこの点だけちょっと確かめておきたいわけでありますが、いろいろな興行場等の定員の問題、いつか横浜でもショーに人が集まって人が死んだというような問題がございましたけれども、あの定員管理の問題は、消防と警察とはどういうふうな関連にあるのか。消防が定員管理の問題にタッチしていくための根拠規定はどこにあって、現在どういうふうに運用されているか、その問題をちょっと伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/46
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047・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 定員の問題は、現在は建物の中の問題は消防庁、建物外は警察というふうに、おおむね責任の分担をきめてやっておるような実情でございます。消防といたしましては、はっきり定員の問題どうこうということが法律に書いてあるわけではございませんけれども、建物の消防施設はもちろん、その建物の構造と、それから坪数とか部屋の構造、それから収容人員というものが基礎になって、それに基づいて、消防施設というものはどの程度にすべきであるかということが現在は条例できめておるわけでありますので、定員のこと自体を言わなくても、消防施設の点からいいまして、当然定員の問題が直接関連してくるわけであります。さらに建築許可の際には消防が同意をいたします。その際に、建築の構造とか設備、それに伴う収容人員というものが必ず出てくるわけであります。そういう面からも、定員の問題は消防が管理し指導するという建前になっておるようなわけでございまして、現在では市町村条例におおむねこの定員の問題が規定されておるところが相当数ございます。今後もその点につきましては、法律に定員の問題がどうこうということは具体的には書いてございませんが、そういった消防施設の面から、定員の問題は消防が責任を持って管理し指導するということにいたして従来通りの処置をとっていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/47
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048・安井吉典
○安井委員 東京都なんかは公衆集会場取締条例ですか、そういったような形で定員問題について消防が強い関心を持って措置されておるようでありますけれども、おそらく横浜なんか、あれは何もなかったのでしょうね。その他地方々々でまちまちで、この定員問題についての各市町村の消防の関心の度合いがずいぶん違い過ぎるような気がするのですが、そういったようなものについて、もう少し統一的な見解を示して処置されるというようなお考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/48
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049・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 お話のありましたように、現在では非常にまちまちな取り扱いをいたしております。先ほど申しましたような消防の観点から、建物の消防施設と収容人員の観点から、またこまかい点を市町村条例できめなければならない問題もございますので、市町村条例の準則をいずれ国家消防本部で示しますので、そういう際に、はっきりと定員の問題を条例に加えるよう指導していきたい、かように一考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/49
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050・安井吉典
○安井委員 それからもう一つ、ウーと鳴らして来る救急車、あれも消防ですね。あの人命救助の救急車活動の根拠はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/50
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051・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 この救急業務も、はっきりと救急業務と書いた法律の根拠はないのでございますが、消防、人の生命、身体、財産を保護するという一般の原則から、当初は火災の際に救出あるいはけが人を直ちに病院へ運ぶという必要のために救急車というものが発足いたしたわけでございますが、それが大へん市民にとっては喜ばれる便利なものでございますので、だんだん範囲が広くなりまして、交通事故その他自殺をしたとか、あるいは場合によりましては急に産けづいたという場合までも救急車が一一九で出動する。これは何ら法的な根拠があるわけではございませんで、市当局の、あるいは消防当局の市民に対するサービスと考えるほかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/51
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052・安井吉典
○安井委員 私は消防の考え方をもっと広げて、今の定員問題だとか、あるいはまた人命救助だとか、そういったものまでも本来の目的の中にきっぱりきめてしまったらどうか、そう思うのです。つまり消防というものが、いわゆる火消し的な観念から近代消防というものはだいぶ変わってきておるように思うのです。単なるファイヤー・ディフェンスだけではなくて、防災といいますか、あらゆる災害についてのほんとうの第一線の働きをするのだ、そういうような方向に、もっと日本の消防についても前進のための検討を一つするべきではないか、そういうような気がするわけです。興行場の定員の問題も、これは警察にも関係があるし、あるいは人命救助というのも警察にも関係がないわけではないと思います。しかし、警察がやるよりも、ほんとうの郷土防護だとか、人命救助の第一線に立つというふうな、そういう方向においては、むしろ消防の方が手近な親しみやすい機関ではないか。そういうような方向に進めることがむしろ合理的ではないかという気がするわけでありますが、これは一つ本部長も、さらに大臣も、特に大臣は今度は自治大臣に半分だけかかったようでありますので、お考えを特に伺いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/52
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053・石原幹市郎
○石原国務大臣 安井委員がただいま述べられました御意見には、私も非常に深く同感でございまして、いい意見を述べていただいたと思っておる次第でございます。実は自治庁を自治省にし、今度国家消防本部を統合して消防庁とするにつきましても、私の一つの構想としては、消防庁はむしろ防災庁ぐらいにしたらいいのじゃないか、消防と同時に防災活動をむしろ織り込んでいくべきではないかという考えを持っておったのでございます。まだ実現はしておりませんが、将来一つの考え方として進めたいと思います。また今のような御意見は、今後新しく発足する消防といたしまして、将来消防法等の改正のあります際には十分研究していきたい問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/53
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054・安井吉典
○安井委員 これは私の個人的な見解ですけれども、これは確かに一つの方向として十分研究に値する問題だと思うのです。そういうことで一つお願いをしたいと思います。
そこで消防財政の問題につきましては、市町村側でもあまり熱心でないものも中にはあるようです。それは事実のようでありますが、しかし、全体的に非常な熱意を持っているところも多いのであります。しかしながら、国の財政の面においての扱いもあまり積極的ではないというふうな気がするわけです。何かどうも警察の方はぐんぐんはなやかに伸びているようでありますが、消防の方はどうも谷間に置き忘れられている、そういったような気がするわけです。もっとも選挙のときになりますと、どうも何か——利用されたことがなければいいのですけれども、何かそんなような話も聞くわけでありますが、そうじゃなしに、常に与党の方も、そういう特別な場合だけじゃなしに、関心を持ってこれはお進めをいただかなければならぬ問題じゃないかと思うわけであります。そこで今度の消防法の改正の中におきましても、第八条の改正でも、あるいはまた第十七条の改正でも、先ほど来の御説明なり御答弁なりによりますれば、結局せんじつめるところは、各市町村の消防長だとかあるいは消防署長だとか、そういったような現実に消防の仕事に当たるところに責任が一そう重大になってきたというわけで、それらの活動のいかんによって今度の改正が生きるか死ねかがきまる。こう言っても過言ではないと思うわけです。そこで本年の消防関係の財政措置につきましては、地方交付税の面におきましても若干の考慮が払われたようでございますが、それらの内容や、あるいはまた今後にどういうふうなお考えでお進みになろうというのか、その点を一つ財政局長からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/54
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055・奧野誠亮
○奧野政府委員 お話のように地方交付税の基準財政需要額の算定にあたりましては、いわゆる税外負担の解消というような問題とも兼ね合わせまして、相当な充実をはかったのでございます。現状におきましても、消防関係の基準財政需要額は、大体総体的な計算におきましては、現実に地方団体が使用しております一般財源の総額を基準財政需要額に織り込んでおるわけでありまして、団体によっては、基準財政需要額の方がむしろ大きいというような団体も相当あるわけであります。反面もちろん少ないという団体もあるわけであります。全体的には大同小異ということになっておるわけであります。その基準財政需要額が三十四年度は二百五十億円でございますが、三十五年度は大体二十五億円プラスで、一割の増加になっておるわけであります。もとより給与改訂等が行なわれますので、そういうような経費でありますとか、あるいは全体的に昇給財源が必要でありますので、そういう経費でありますとか、そういうようなものは織り込んでおるわけでございますけれども、特に消防関係経費の充実というような面で取り上げましたところが二十五億円のうち八億円ございます。その一つは、たとえばポンプの経費につきまして、現在の計算方式は耐用年数を九年と見ておったわけでありますが、これを六年に短縮する。そうしますと、所要経費が相当にふえて参ってくるわけであります。その他報酬単価の改訂の経費とか、出場手当の増額というようなことから、人口十万の標準団体で八十二万二千円を増額するということにいたしたわけであります。これが全国の計算になりますと八億円ということになって参るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/55
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056・安井吉典
○安井委員 今年の場合において、税外負担の解消といったような意味をも含めまして、地方交付税において特別な措置が講ぜられたということの御説明でありますが、またさらに地方財政計画の中でも一割くらいの増加を見込んだというようなことで、前年度よりも消防に対する考慮が若干強くなったという点は、これはよくわかるわけでありますが、ところが実際の下の方の段階にいってみますと、その地方財政計画についても、現実の姿をそのまま見込んだような格好だと言われますけれども、その現実の姿において、今の消防組織法なり消防法なりの市町村が当然やるべき仕事が十分になされた上で現在の姿があるのなら、これはまだいいのですが、実際はもう非常にないがしろにされておるというふうな格好が下の方にあるようです。それだけに今の姿がというよりも、もっとかくあるべき姿が地方交付税の中に現われてこなければいかぬ、そういうふうに私どもは考えます。ことに定員の問題でありますが、常設消防の場合、消防署その他の関係定員が、どこに行きましても少なくて十分に仕事ができない、こういったようなぐち話を聞くわけです。
〔纐纈委員長代理退席、吉田(重)
委員長代理着席〕
それで今回は予防査察といったようなところに、消防の今後の方向につきまして重点が置かれるというわけでありますが、今の定員状態をどう見ておられるか。今後その予防査察、定員の問題につきましてどういう考慮をなされるおつもりであるか、その点一つお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/56
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057・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 消防施設の基準、これは人を含めての基準は相当重要な問題であり、かねてから消防関係者の間に論議されておる問題でございまして、自治体消防発足当初に作りました消防職員なり消防団員、その他の施設、人ばかりではなしに、施設についても一応基準を示しておるのでございますが、これらを現在の財政その他各般の状態から見てどういうふうに改正すべきであるか、どういうきめ方が適切であるかということを、ただいま消防審議会で検討していただ
いております。いずれその結論がそう遠からず出ると存じますので、その答申に基づいてさらに今お話しのような問題につきましても検討してみたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/57
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058・安井吉典
○安井委員 従来は、今回の改正前の階段では条例で問題が相当まかされていた。今度は国ががっちり表面に出てきて政令できめる。そういうところまで進んできたということからいっても、これはやはり政府としても、政令でぐんと問題を押し出す以上は、財政的な援助というものも、自分の気持の中にお持ちになっていただかなければならないと思うわけです。それだけに、予防査察がうまくいくかどうかというところに問題のすべてが残されているという際でございますので、特別に考慮が払われなければいけないと思うわけです。特に今度の法改正は、九カ月以内に施行するというふうに施行時期についてもおきめになっているわけでありますが、当面すぐに出てくるこの問題に対しまして、特に財政当局の方ではどういうお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/58
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059・奧野誠亮
○奧野政府委員 消防関係の財源を充実するという点につきましては、先ほど申し上げた通りでございまして、相当な充実になっていると私たちは考えているわけであります。
さらに具体的に申し上げますと、三十三年度の消防関係の決算額は二百六十五億円であります。そのうち財源の内訳を見ますと、施設整備のための地方債が十二億円、分担金、負担金及び寄付金収入が九億円、機械器具整備に対する国庫支出金が六億円でございますので、これらを差し引きますと、地方税や地方交付税でまかなわれたと見られる部分が二百二十九億円であります。これに対して三十三年度の基準財政需要額は二百三十九億五千五百万円、約二百四十億円でございますので、むしろ基準財政需要額の方が十億円以上増額になっているということでございます。三十四年度の基準財政需要額はさらに十億円を増額いたしまして、二百五十億円になっておりますし、三十五年度は先ほど申し上げましたように、さらに二十五億円の増額になっているわけでございます。
なお地方債の面につきましては、今申し上げましたように、三十三年度は十二億円でありますが、三十四年度は十四億七千百四十万円というように、約三億円の増額を行なっているわけでございます。こういう問題につきましては、三十五年度も引き続いてそういう方向に努力をして参りたい、かように考えているわけでございます。
人員の問題につきましても、私たちの持っております統計では、やはり年々増強されて参っているようでございまして、消防職員数が、三十年の三万一千百九十四人が、三十四年には三万六千二百二十二人というように、相当な増加になっているようでございまして、漸次常備消防が整備されつつあるというように考えているわけでございます。また、現在の基準財政需要額の算定の仕方が、それを伸ばしこそすれ、抑制的な働きはしていない、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/59
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060・安井吉典
○安井委員 全体的なワクの問題が大体において伸びつつあるというお話はよくわかるわけでありますが、市町村の末端へ行きますと、もう消防自動車を動かすのにやっとやっとで、予防査察どころじゃない、こういう声がずいぶん強いわけです。ということになりますと、たとえば交付税の配分の仕方において問題があるのかもしれませんけれども、市町村消防というのは、今日の法律の上からもそうですし、これのおい立ちからいいましても、市町村独自の立場でみんな立てられているわけですね。それだけに、交付税の配分という面においても、実情に即した方法がとられなければいけないと思うわけですし、そういう問題も、やはり総額がふえれば自然にその中で解消されるということにもなるだろうと思うわけです。ですから私は、消防本部長が言われました今の新しい基準の研究ですか、消防審議会か何かでいろいろ御検討があるのだろうと思うのですが、そういうものがどう出るかということに一つの期待を持っているわけであります。そういうものを中心にして、自治庁の今日までのお考え方と、新しく出てくる考え方とを根本的に十分にお話し合いの上に、基準と財政的な裏づけを、新しい方向として打ち出していただかなければならぬと思うのです。その点、自治庁においてのお考え方を一つお話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/60
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061・奧野誠亮
○奧野政府委員 御指摘のように、消防関係の財源付与のあり方につきましては、消防当局の意見を十分伺って参らなければならないと思います。また、そういう意味で絶えずお話し合いはいたしておるわけでございます。人口十万の団体を標準団体として単位費用をきめておるわけでありますが、それらの職員構成なりあるいは施設なりにつきましても、消防当局と御相談をし合いまして設定をいたしたわけでございます。また今回の財源付与のあり方につきましても、消防当局の御意見を伺って、話し合いで方向をきめたわけでございます。今後とも御指摘の線に沿って努力をいたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/61
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062・安井吉典
○安井委員 終わりが急がれておるそうでございますので、まだいろいろ問題がございますけれども、端折って最後にこの点だけお尋ねをしておきたいと思います。
それは、例の消防施設税であります。地方税法の改正のときに、石原国務大臣は、自治省ができたら一つやりましょうというようなことを、私の質問に対してたしかお答えになったと思うのです。これは速記録を調べてみればはっきり出ていると思うのです。さっき申し上げましたように、これはまだ衆議院が通っただけで、これから参議院で審議が行なわれる段階でありますが、私どもとしては、いろいろな観点からあまり同意はできなかったわけでありまして、半分だけ自治省になったという段階でお聞きするのは、少しあの御答弁の内容からいうと不適当かもしれませんが、どうなんですか、今度はほんとうにおやりになるお気持でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/62
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063・石原幹市郎
○石原国務大臣 その前に、財政と消防の問題についてお話がございましたが、今回自治省が成立しますと、国家消防本部が自治省の一部局になるわけでございます。
〔吉田(重)委員長代理退席、纐纈委
員長代理着席〕
そういう意味では、非常に消防と財政の関係はやりよくなると私は思っておりまするし、私自身も、いつまでこの仕事におるかどうかわかりませんけれども、消防というものに対しまして、自治省が誕生しました機会に画期的に消防の、ことに自治体消防の充実ということをはかっていきたい、かように考えております。
それから消防施設税の問題は、速記録を見なければわかりませんが、自治省になれば消防施設税をやるというような言い方をしたことはないと思います。省になろうがどうしようが、消防施設税はやりたいものの一つに私は考えておったわけでございます。しかし、いろいろ部内で検討してみますると、税でとる方がいいのか、あるいは施設に対するいろいろ融資として損保団体等から低利の金を出させて伸ばしていく方がいいのか、比較考量いたしまして、とにかく三十五年度においては住民税以外税をいじらない。増税も減税もしないという建前をとりましたので、消防施設税は見送ったわけでございますが、三十六年度においては、税制調査会等を中心にいろいろのことを検討をされておりまするし、地方税制についても相当いろいろ検討をしなければならぬ問題が出てくると思っておりまするので、そういう意味では、やはり相変わらず研究を続けておる問題の一つであります。かように申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/63
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064・安井吉典
○安井委員 これは速記録を調べてみればはっきり書いてありますよ。今度いつか速記録をお見せしますから。ですから、ぜひ一つやっていただかなければいかぬと思うのです。ところが、何かの検討材料ということでいつも話題には上っても、大蔵省のときのかけ引きなんかの材料だけで、いつの間にか姿を消してしまうというのが今の消防施設税の姿であります。これはぜひとも今度やらなければいかぬ問題です。それともう一つ、今のこれに関連いたしますけれども、損保との関係で消防施設の金をいろいろ貸してもらっておりますね。そういうような問題も消防施設税との関連でこれは決して処理されるというべきではなしに、それはそれ、これはこれと、別に区別を立てて考えるべきで、消防施設税についても、そういうような業界側の圧力に自治庁が屈しているといううわさも聞くわけでありますが、そういうものは断固はねのけて、一つ消防体制の確立のためにやっていただかなければいかぬと思います。損保からの融資金の関係は今どういうふうな話になっておりますか、その点ちょっと最後に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/64
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065・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 損保の消防施設に対する融資は、三十四年度は八億でございました。現在三十五年度の各府県からの希望を取りまとめておりまして、それに基づいてこれから損害保険協会に折衝するわけでございますが、おそらくそれを査定いたしましても、十五億くらいの要求になるのではないかと思っております。三十四年度は八億という融資でございましたので、三十五年度は何とかして十億以上、十五億くらいまでの融資を承認させたい、さようなつもりでぼつぼつ折衝を始めております。さような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/65
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066・川村継義
○川村委員 議事進行について。実は理事の申し合わせによりましてこれで終わるわけですが、実はいろいろ消防関係の質問はあるわけです。本日はこれで終わるそうですから、次会にぜひこの消防関係を取り上げて、委員会でいろいろ一般的な問題を質疑できるような機会を作っていただくようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/66
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067・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 さよう取り計らうことにいたします。では次に太田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/67
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068・太田一夫
○太田委員 質疑の通告はしてありましたが、時間は十分か十五分くらいということでありますから、法案に即したことだけやっておきます。簡単に一つあなたの方もお答えをしていただきたい。
最初に消防組織法の関係ですが、消防組織法の第一条に、人命の救助という大目的があるわけです。これに関しまして、昨年の伊勢湾台風の際に、人命救助によって表彰をされたことがあったかどうか、これをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/68
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069・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 消防関係は相当広範囲に表彰をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/69
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070・太田一夫
○太田委員 発表したものはあるんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/70
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071・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 今はっきりした数字を実は持っておらないのでございますが、総理大臣表彰、それから国家消防本部長の表彰、さらに生存者叙勲もいたしまして、相当手広く表彰したつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/71
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072・太田一夫
○太田委員 本委員会でも具体的な資料として報告をしていただきたいと思うわけです。それから第八条に関係してお尋ねをいたします。ここの中に「権原を有する者」というのがあります。この「権原を有する者」について、たとえば事務所ばかりの貸しビルの場合は、具体的にだれをもって「権原を有する者」という義務者にいたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/72
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073・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 第八条の「管理者について権原を有する者」というのはどういう者をさすのか、それからだれを家屋防火管理者にしたら適当であるかということについて、現在一つ一つのものについて検討いたしております。いろいろな種類の建物、施設について検討いたしておりますが、たとえばアパートについてはアパートの経営者——経営者というと非常にばく然としておるかもしれませんが、権原を有する者は経営者ということに一応なっておりますので、ビルにつきましても、やはりそのビルの経営者ということになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/73
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074・太田一夫
○太田委員 あとの方の罰則に関連が出てくるわけですが、あなたの方の罰則は、前会審議された警察庁の取り締まり法規の罰則とは違いまして、非常に軽い。特に権原を有する者、管理者に対するもの、改善命令に従わなかった者、あるいは維持をしなかった者、維持しなかった者はたしかわずかの二千円かそこらの罰金だけでしょう。それから設備をしなかった者は六カ月ないし一万二千円以下の罰金、これも一万二千円以下の罰金というのでは非常に少ない。それから必要な維持をしなかった者、維持に違反した者でも、作っておきさえすれば、効力がなくても最高二千円の罰金で済む。こういう点が非常に低いのは、あなたたちのおっしゃる権原を有する者ないしはその管理者というものの選定に非常に無理があるために、あまり罰を課することはできないだろうという見通しがあるのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/74
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075・山本弘
○山本(弘)政府委員 実は消防法の罰則の点でございますが、ただいま御質問のございましたところの防火管理者を任命すべき権原を有する者とか、あるいは届け出なかったような場合の罰則が非常に軽いということでございますが、大体消防法の体系と消防法の他の罰則との体系がございます。その関連のもとにおいてかようにきめたようなわけでございまして、これにつきましては少し無理があるから軽くするのだというようなことでは決してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/75
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076・太田一夫
○太田委員 これは四十四条第五号にありますところの「消防用設備等の維持のため必要な措置をしなかった者」これは二千円以下の罰金でしょう。従って、これは維持しない、維持しないということは効果が上がらないというわけですから、このようなことで、実際上作りっぱなし、そうして機能というのは失われっぱなしで、さてというようなときになって、大きな災害になるというような危険があるとはお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/76
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077・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 消防法の罰則は、ただいま総務課長から答弁申し上げましたように、概して軽いといえば軽い感じがいたすのでございますが、消防法全体でつり合いをとっておるというようなことでそういう結果になっておるわけでございます。罰金の額、罰則の重さ軽さに、もちろん実効が上がるかどうかということが直接関連を持つことは当然でございますけれども、しかし罰則のいかんにかかわらず、結局消防署長なり消防職員の防火施設に対する施設指導の熱意ということが、結局一番大きな問題であろうかと存じますので、罰則はいささか軽いような感じは全体としてあります。けれども、今後この改正に基づきまして指導の徹底ということを十分考えていきたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/77
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078・太田一夫
○太田委員 そういうお考え、非常にけっこうなんです。けっこうですけれども、今度の改正の趣旨が、防火施設の強化充実という点に非常に目標があるならば、それを裏づけするものがなければならない。それをなまけた者も大した罪が課せられないということは、かえってしり抜けにならないかとお伺いしておるわけです。今のような御答弁で効果を発揮されるということはけっこうですけれども、何も罰を強化してくれということを申しておるわけではありません。あなたの方に成算があるならばかまいません。
八条について具体的にお尋ねしますが、たとえば体育館であるとか、あるいは地方農村の公会堂、集会場、あるいは各市町村にあります寺院などは、これは多数の人が出入りするところという概念に入りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/78
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079・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 お話の点は入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/79
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080・太田一夫
○太田委員 そういう場合に入るとしても、入るだろうといたしますと、実際にこれを適用する場合に、非常に困難なのが出てきませんか。たとえば体育館などは常時は何もない。いざというときにたくさんの人が集まってくるのだ。あるいは公会堂というものは、何か集会のあるとき一月に二、三回くらいで、ほとんど住んでおらぬ。あるいは寺院というのも、何カ月に一回くらい多数の人の参堂はあるけれども、常日ごろはない。ところが寺院には、宗教法人ですから、あなたの言うところの防火管理者が教育を受けるとか訓練を受けるとかいったって、そこの僧侶の方にそんな訓練や教育をしたって始まらぬと思うのです。これはやれますか。確信がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/80
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081・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 御承知のように消防は予防査察という義務がございまして、そういった施設に対しては、消防署長はその職員をして予防査察をしなければならないことになっておるわけでございまして、この予防査察をする際にも、この第八条で防火管理者というものがはっきりきまっておれば、その予防査察の効果が十分上がるわけでございます。従来とも予防査察ということは十分行なわねばならぬことになっておりますので、急にあらためて新しいことを始めるというわけではございません。もちろん消防署としては相当努力を要することでございますけれども、十分実行のできる問題でございます。実行において懸念があるというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/81
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082・太田一夫
○太田委員 特に特徴的なものでお尋ねします。そこのお坊さんが一人、奥さんが一人、子供が一人というお寺において、あなたは防火管理者をだれに命ずるつもりですか。その檀家の方にでも命令しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/82
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083・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 お寺等が第八条の防火対象物に入っておりますのは、お寺は年がら年じゅう坊さんと奥さんの二人きりというわけではございませんので、いろいろな催しものの際には相当の人が集まって、そういうときにこそ非常に危険がございます。しかし、そういうときばかりでなく、ふだんでも相当大きな建物でございますので、相当注意をしなければ災害を防止するということはできませんので、当然にそこの坊さんにしましても、あるいは社寺で申せば理事とかあるいは執事というような人が、常日ごろやはり防火上の管理を十分に目を届かせていろいろな施設を点検いたさなければなりませんし、またそういった催しものがあって人が多く集まるときには、臨時の補助者を頼んでも相当な点検なり訓練をしなければならないと思いますので、決して無理な要求を規定したわけでもございませんし、またぜひやらなければならない問題であるとわれわれも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/83
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084・太田一夫
○太田委員 理念じゃなくて、具体的なことをずばりお答えいただけばけっこうなんです。執事とか理事があるということは、なかった場合は問題です。しかも大きな催しがあるときは消防団などがそこに出ていくということは、災害を未然に防ぐことはできるだろうと思いますけれども、何もこれによって財政の不当な負担を負わせることはないだろうと思うのです。現在ある消防施設強化促進法におきましても、民間の所有のものについては何らそういう補助はないわけです。ですからこの施行については、政令その他について十分配慮されることが望ましい。具体的なお答えがあまりはっきりしておりませんので、特にその点を要望しておきます。
九条の二というところでお尋ねしますが、これは非常に小さな数量のわずかなものの危険物に対する処置ですか、施設ですが、これはたとえばいなかの納屋とか、わら小屋というのは非常に火事の多いところなんです。そのためにそういうところなどを場合によって少し力を入れ過ぎますと、鉄筋コンクリートでへいを作るとか何とかといって相当の出費になるのです。そういう点はいかがですか、この中に入るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/84
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085・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 今お話しのようなものは、大量可燃物というカテゴリーに場合によっては入るかと思いますが、現在でも市町村条例でこういう問題はきめてあるはずでございますが、それをここにはっきりと法律に書いて市町村条例に委任したわけでございますので、これも新しく今回取り上げた問題ではございません。それぞれの市町村において、その実情に応じて条例をきめてもらいたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/85
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086・太田一夫
○太田委員 権限移譲にはならないという解釈ですね。そういうことならば事実上の基準その他内容においては御説明なくてもいいと思います。
それからその次は十七条並びに十七条の二でありますが、設備を備えなければならない。この設備の中に避難器具というのがありますけれども、消火器と避難器具は絶対にいかなる建物といえども、既存の条件に合っているからよろしいというのではなくて、これだけは備えなければならないのですね。避難器具というのは、たとえば百貨店、大きなビルにおいてはどのようなものをさしていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/86
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087・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 避難器具と申しますのは、たとえば救命袋とか、はしごとか、あるいはなわばしごといったようなものを考えておるわけでございますが、ビルディングあるいは高層の三階の木造建物、そういった防火対象物の種類によって、どういうものを施設する必要があるかということは、今後十分検討を要する問題でございまして、一つ一つの問題を十分考えまして、それぞれの防火対象物に適合する消火器あるいは避難器具というものをきめていきたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/87
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088・太田一夫
○太田委員 今の避難器具の御説明ですが、救命具であるとか、はしごであるとか、なわばしごは、少し原始的にすぎまして、実際に合わないような御説明がありましたけれども、八階、九階という大きなビルディングにおきまして、しかも多数の客が集まるところにおいては、おもに劇場ないしはデパートでございますが、エレベーターあるいはエスカレーターが煙突のかわりをいたしまして相当大きな火事になる。鉄筋コンクリートでありましても危険があるわけです。その場合に、避難器具をつけなさいといっても、十階からなわばしごでおりるということは考えられません。それは逆にあなた方の消防署の方に設備を持つべきことじゃないか、ないしは建物を作るときに、どこかによってシャット・アウトする何か非常時設備を命ずべきではないか、そういうふうに思いますがね。ですからこの避難器具必置論、これは必ず備えなければならないという避難器具というのは、実はあまり意味がないのであって、消火器の方に現実には一番問題があるのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/88
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089・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 今お話のありましたような点は、それぞれの建物を十分検討いたしまして、最も有効適切なものを施設させたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/89
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090・太田一夫
○太田委員 従ってその研究をするための期間が九ヵ月という猶予があるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/90
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091・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 この九ヵ月というのはそういう意味ではございません。その研究いたしますと申しましても、今日までいろいろ実績が出ておりますから、出ておるのを勘案いたしまして、それを具体的にこの建物はどういうものというふうな組み合わせを考えるという点は、さらにこの政令等をきめます場合に具体的に検討いたしたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/91
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092・太田一夫
○太田委員 最後に、それではもう一度確認をしておきます。今までのお尋ねに対するお答えを聞いておりますと、大体において検討中だ、研究する、ないしはもう少しよく考えてみなくちゃならない、こういうようなものが多々あるわけであります。しかもお考えの中には、あまり無理なことはしないという気持もありますし、理想はなるたけ追求したいという気持もあり、両極端のものもあるのでありますから、これが実施された場合、安井さんのおっしゃったように、国が作りました建物などは、それは大いに強くやっていただきたいのでありますけれども、その他につきましては、政令の基準の内容として、あまり無理なことを押しつけるつもりではない、よくそれぞれの個々の実情に合い、その力に応じてやれそうなものを命ずるつもりであるというお考えと、われわれが了解しておってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/92
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093・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 もちろん政令にきめます場合は、はっきりと、どういう建物に対してはどの程度の避難器具あるいは消火器ということをきめるわけでございまして、どうにでもなるううなことはきめるわけではございません。従来の実績を十分検討いたしまして、最も適切なものを当てはめるように政令を作る、こういうことでございます。どうでもいいような考え方は、もちろん持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/93
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094・太田一夫
○太田委員 鈴木本部長さん、大上段にかぶった御返事でなしに、私は具体方的な問題をお尋ねしているのですから。九階、十階のビルディングに、なわばしごをつけなさいということで済むなら、別に問題はない。避難器具に対してお尋ねをしたのですが、木造の場合は検討するとおっしゃったけれども、これは理想的なこと言ったら大へんなことですよ。だからその点についてあなたのおっしゃることは、むちゃな政令をきめて、それが出たらびっくりしてしまって、これはとてもやっていけないというようなものでもなく、可能なもので、しかも理想に一歩近づくものを指導されるお気持でしょうねと、こう聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/94
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095・鈴木琢二
○鈴木(琢)政府委員 お話しの通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/95
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096・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 ほかに質疑はありませんか。——別に質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/96
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097・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 これより討論に入る順序でありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
消防法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/97
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098・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 起立総員。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決しました。
次にお諮りいたします。すなわち、ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、先例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/98
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099・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
この際、暫時休憩いたします。
牛後零時三十四分休憩
————◇—————
午後零時三十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/99
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100・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員派遣承認申請の件につきましてお諮りいたします。すなわち、三井三池炭鉱争議をめぐる警察活動の実情調査のため、現地に委員を派遣いたしたいと存じますので、衆議院規則第五十五条により、議長に対し委員派遣の承認を求めるに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/100
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101・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 御異議なし認めます。よって、さよう決定いたしました。
なお派遣委員、派遣期間及び派遣地につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/101
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102・纐纈彌三
○纐纈委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404720X03219600518/102
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