1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年二月十九日(金曜日)
午前十時五十六分開議
出席委員
委員長 福田 一君
理事 辻 寛一君 理事 前田 正男君
理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君
理事 田万 廣文君
淺香 忠雄君 小金 義照君
始関 伊平君 富田 健治君
保科善四郎君 山口 好一君
飛鳥田一雄君 久保田 豊君
杉山元治郎君 中原 健次君
柳田 秀一君 受田 新吉君
出席国務大臣
国 務 大 臣 益谷 秀次君
出席政府委員
人事院総裁 淺井 清君
人事院事務官
(給与局長) 瀧本 忠男君
総理府総務長官 福田 篤泰君
総理府総務副長
官 佐藤 朝生君
総理府事務官
(内閣総理大臣
官房公務員制度
調査室長) 増子 正宏君
総理府事務官
(行政管理庁行
政管理局長) 山口 酉君
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 船後 正道君
委員外の出席者
防衛庁書記官
(人事局調査
官) 山本 明君
専 門 員 安倍 三郎君
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二月十八日
委員柳田秀一君辞任につき、その補欠として山
口シヅエ君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員山口シヅエ君辞任につき、その補欠として
柳田秀一君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第二二号)
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第二三号)
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/0
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001・福田一
○福田委員長 これより会議を開きます。
一般職の職員の給与に関する法律の
一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の各案を一括議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、これを許します。石山權作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/1
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002・石山權作
○石山委員 きのう私の方の同志の受田さんから話があったのですが、総務長官の立場と国務大臣というような問題とからんで、やはり給与というものは大へん公務員にとって大切なものである。公務員にとって大切なことであるということは、これはとりもなおさず国の行政にとっても非常に勘案しなければならない重要事項の一つになると思います。そういう意味で私の方の社会党としましては、前の経緯もありまして、この際給与担当の大臣を置いた方がいろいろな点でよろしいのではないか、こういうような建前で政府の方へ申し入れしているわけですが、実際に渦中におられる総務長官はどういうふうにこれを処理しておられるか、その間の政府内部の事情を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/2
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003・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 社会党の側から今お話のような給与担当の大臣を置くべきじゃないかというお申し出もあり、また発言もしばしばございました。つい最近も社会党の山本国会対等委員長からも正式に官房長官に申し入れがありました。従って政府としてはどうしたらいいかという点で数回話し合いをいたしておりますが、話し合いの過程で、倉石前国会対策委員長が、総務長官制度ができましたときに、各党と話し合いで総務長官が給与を担当するという了解があったというようなことがわかりまして、党の関係もできたものですから、この点をいろいろと今話し合っておるわけであります。方向としましては、社会党の御要望の線に沿って、それでは具体的にどなたをやるか、今いろいろと検討している最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/3
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004・石山權作
○石山委員 それは実際から言えば、あなたがその衝に当たられて、実際上の運用はなさっているやに見える。しかし各省の調整ということが給与の場合には非常に大きな問題になるのではないか。それはなぜかというと、前の給与問題のときに、たとえば人事院の勧告を尊重する、こういうテーマを石田労働大臣時代に打ち出したわけですね。そのかわり労働組合もちゃんと公労法の規定に従え、こういうふうな建前でもって、その当時いわゆるやみ給与といわれたものを、大蔵省があとを突っついてみんな摘出させたわけなんです。そうして調べてみたら、全電通、全逓、国鉄というふうに非常に不均衡があった。民間といわず官といわず、こんなに給与というものがアンバランスであってもいいのかとびっくりした時代があった。これは何と申し上げましても、給与の問題をほうっておけば、それぞれのお役所の自主性のような調整が行なわれてくるわけです。そうするといつの間にやら、せっかく各省間においてやや調整のとれた問題がまたとれなくなってしまう。そうしてアンバランスになる。この調整の役目をなす人がどこかにおいでにならないといけないということも、実際の給与というものを事務的に処理していく者から見れば、そういう考え方の者から見れば必要なわけです。長官はその役目をおやりになっていた。これからもなさると言っておられるけれども、そこには少なからず私たちは職制上から見ても疑問を持っておるわけです。ですからどなたでもよろしいから、その各省間の調整をとるという立場の者が、この場合ぜひとも必要なのではないか。特に今度の場合には、今までの例に見ないほど労働組合の諸君は大幅な賃金の要求等をなして、かなりこの間においては混乱等も予想される場合において、各省間のあっせん、これは労働大臣もおやりになるだろうけれども、ある場合にはそこの労働組合とその省とのある点の調停の役目をなさなければならないような必然性も生まれてこないものでもない。そういう権限を持ったような立場の主任大臣というものが、われわれは言葉をかえて言えば給与担当大臣というふうに呼びたいのでございますが、もう一ぺん御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/4
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005・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 先ほどお答えしましたように、社会党の御要望の線に沿って具体的になるべく早く結論を出したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/5
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006・石山權作
○石山委員 それでは質問者の私の方からも、その点を早くおきめになるように強く御要望申し上げておきたいと思います。
今度総務長官が政府代表として御提案なさった給与は、前に三十四年七月十六日でしたが、人事院が勧告なさった趣旨に沿うたというふうに言われておりますが、これはほとんど全面的にその趣旨に沿う、あるいは勧告を尊重した、言葉だけではなくて、実質的にそういうふうにおやりになっているわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/6
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007・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/7
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008・石山權作
○石山委員 これは私たちとしては尊重の問題ということについては、尊重の比重といいますか、上下の問題でとやかくやっているのですが、ほんとうに勧告の趣旨というものを理解されて、その趣旨のもとで尊重されるとするならば、これはなかなかに言い分があるわけですけれども、実際の実施期日が昭和三十五年四月一日、こういうふうになっているのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/8
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009・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御承知の通り民間給与の調査の時期は三月、そして勧告が大体七月の中旬となっておるのでありますが、その間に調査を三月からやって七月の中旬に勧告をするという慣例みたいになっております。従って理想から申すならば、勧告はすぐ実施するということが一つの考え方ではないかと思うのでありますが、やはり財政的な大きな措置を要しますので、実際は次の年度から実施をするというのが現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/9
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010・石山權作
○石山委員 人事院の方は来ておりますね。これは国の財政法か何かでもしあるとすればお聞かせ願いたいのですが、人事院が昭和三十四年三月末の資料によって勧告案を作成した。理屈からいえば、私たちは七月の十六日に勧告されたものであっても、ほんとうに尊重するというならば、やはり三十四年の四月一日を基準として差額を支払うのが、実際の意見の勧告の趣旨を理一解し、勧告を尊重したということになると思っておるのですが、さかのぼって差額を支給しては財政法から見て違法であるという見解が出るわけですか。もう一つは、人事院はさかのぼることはしなくてもよろしいというふうな、何か内示みたいなことを総理府あたりににおわすものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/10
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011・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 さかのぼって四月一日からやった場合に、財政法上何か違反するのではないかという御質問でありますが、その点はないと思います。かってさかのぼってやった一部の例もありますから、その点は法律上疑議はないと思いますが、問題は先ほど申す通り膨大な予算措置が必要なんで、結局はその年度内にこれをまかなうことが実際上むずかしい、従って翌年に延ばされるというのが今日の実際の状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/11
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012・淺井清
○淺井政府委員 ただいま御指摘のように調査は三月の統計でやっておりますから、人事院としては、勧告の表現はなるべくすみやかにというふうになっておりますけれども、もとより文字通りなるべくすみやかにこれが実施されることが望ましいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/12
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013・石山權作
○石山委員 勧告の中で人事院は「この勧告ができる限りすみやかに実現されるよう国会および内閣において適切な措置をとられるよう切望する。」という文句を使っているわけですね。今お金のことをおっしゃいました。財政上莫大というのですが、あなた勧告文をよくごらんにならないからわからないのですよ。勧告文の二にちゃんと書いてある。「俸給表の改定に要する経費約四十一億円」「期末手当の増額に必要な経費約八億円」。そうするとこれは五十億に満たない。これが今の国家財政上から見て、莫大な経費という表現がはたして妥当かどうかということです。今度の予算を見てごらんなさい。海運の利子補給、医療公庫あるいはロッキードの予算外の問題だとか、五十億程度が国家財政上莫大などという表現は当たらないと思う。やる気であればできる数字はちゃんと出てきておる。それに関してはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/13
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014・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 予算の額の問題でありましたが、御存じのように人事院の勧告の所要額は全部で百四十六億になります。これはまた大体同額の百五十億が地方公共団体にも及ぶというのが、大体予算の額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/14
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015・石山權作
○石山委員 これは給与の問題のときに、よく現業の関係だとか、地方公務員の問題を出してきて、額を大きくして、国家負担だというふうなスタイルを見せているのですが、実際ここで論議をされて問題をやっているのは、私は違うと思うのです。これは五現業は五現業、官業庁は官業庁、独立採算で、その範囲内でちゃんとやれるという仕組みなのだ。あなたの方から一銭もお出しにならなくてもいいのですよ。長官、それは地方公務員の問題だってそうでしょう。毎年期末手当の問題で、われわれは地方公務員をどうするかというと、何とか政府がめんどうを見ておあげするようにというので、自治庁の関係も呼ぶ。呼ぶけれども実際施行されたものを見ると、何ら政府は処置をとっていないというのが在来の行き方です。ですから市と名前のついている地方公務員は、期末手当の増額などは手に入るけれども、実際から言えば町村においてはほとんどそれが伏せられているという現状なのです。だからここで論ずるのは、あなたは金額を大きくしたいから、地方公務員の経費というものは国家財政上に非常に圧力になっているということを表現したいから、無理々々に集めて、人事院が五十億だと言えば、いやそれは違う、あっちは九十億だなんという変な数字を出している。そんなでたらめを言ってはいけませんよ。ここに現実に政府が実際のお金として出すのは、国家公務員だけじゃありませんか。しかもその人事院の勧告する数字というものは、規定されているわけなんです。そうすると人事院の出している数字というのは、間違いなのですか。これは約という言葉を使っているのですけれども、うんと飛び離れている、でたらめな予想数字ですか。これは大蔵省、一つ答えて下さいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/15
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016・船後正道
○船後政府委員 ただいまの人事院勧告の実施に要する経費でありますが、人事院の方で勧告にうたっておられます四十九億、これは人事院所管の一般職の職員であります。これに対しまして、ただいま総務長官の方から国の方で百四十六億と申しましたのは、これは一般会計がそのうち百十四億、それから特別会計が十六億円、政府関係機関、三公社を含めましてその関係で十六億円、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/16
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017・石山權作
○石山委員 もう一ぺん、人事院側からお聞きしましょう。この数字の概数は、これはそんなに違っておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/17
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018・瀧本忠男
○瀧本政府委員 人事院で勧告に書いております概数は、これは人事院所管の一般職ということになるのでございまして、たとえば国会職員でありますとか、裁判所職員、これは特別職でありますから、こういうものは入っておりません。あくまで人事院の所管で要する経費をそこに申し上げておるわけであります。それも概数であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/18
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019・石山權作
○石山委員 では人事院は大体おれたちの出している数字は正しいのだ、こういうものの考え方を——皆さんの方で、われわれが話し合う基準からそれたような格好で問題を出してお答えになって、そうしてその印象としては膨大な支出になるというふうなやり方
は、長官、これはちょっと、はなはだ失礼ですが、少しインチキくさいです
よ。そういうやり方で、質問者をごま
かすようなやり方はいけませんよ。私
がここで論じておるのは、どこまでも人事院の勧告する、人事院の権限の範疇内のものをわれわれは論じているわけです。それ以外のものの場合は、それ以外のものとして、その他はどういう格好でいっているのかということによって、問題が初めて明らかになってくるのですが、私の方の言うこととあなたの方の言うこととはだいぶ違うわけですね。そういうことのないように
一つお願いしたいと思います。
お金の問題が出たのですが、どうなんです。最近いろいろ新聞や雑誌などで昔の古い、いわゆる戦前派の経済評論家、政治評論家から間々出るのですが、日本の公務員は外国に比べて数が多い、こういうことをちょいちょい書かれておる、はたしてそういう格好に移行しているかどうか。それから国家の全体のこの経済の仕組まれたワクから見て、公務員の人件費というふうなものが、いわゆるバランスがとれているかどうか、こういうことも一つお知らせ願いたいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/19
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020・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 その点につきましては、増子室長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/20
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021・増子正宏
○増子政府委員 ただいまの御質問は、公務員の数が各国と比べてどういう状況になっているかという点と、それからそれの給与費等が全体としてバランスがとれているかという御質問であったと思いますが、第一点の公務員の数という点につきましては、いわゆる国家公務員というふうに限定するかどうかという問題が一つございますが、一般的には地方公務員も含んで考えられるかと思うのであります。なお国家公務員、地方公務員といたしましても、国によりまして、その範囲なり分類ということは必ずしも一定いたしておりませんので、いろいろ従来計算の仕方が出ておりますけれども、私どもの方で直接計算の資料もございません。そういう意味でただいまの御質問にお答えする用意は現在ないのでございます。ただ一般的、常識的に申し上げまして、私どもの大体承知しているところにおきましては、各国と申しましても、相当進んだ国と比べますと、職員の数は必ずしも多過ぎるというような状態になっていないように承知しております。それから給与の総額でございますが、これもただいまと同じようなことで、私どもとして正確な資料に基づいたお答えはここではちょっといたしかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/21
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022・石山權作
○石山委員 これは人事院にお聞きしますが、人事院は国家の人件費の総額というようなことは全然念頭に置かないで、いろいろな資料をお集めになって勧告をなさっていられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/22
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023・淺井清
○淺井政府委員 勧告をいたします場合は、何が適正であるか、どういう給与が適正であるかということを基礎にいたしますから、それによってどのような財正支出がかかるかということは、ただいまお示しになりました勧告の末端に概数を書くだけでございまして、この金をどういうふうにして出すかというような問題につきましては、これは人事院に権限がございませんものですから、それは一にあげて内閣が、あるいは最終的には国会におきめ願うよりしようがない、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/23
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024・石山權作
○石山委員 淺井さん、表向きには私もその通りだと思うのですよ。しかしわれわれは給与をきめるのに、そういうふうなことだけできまっていないと思うのですよ。ということは、私人事院にお聞きしたいことは、きょうは予算書を持ってこないからあとでいろいろお聞きしたいと思うのですが、そういうことも御研究をして悪いことじゃないのですよ。勧告の中に入れようと入れまいとそれは別です。公務員は国家の支出の中から出るわけですから、当然しゃくし定木に、われわれの任務は、民間の五十人以上の事業所をばことしは去年の倍選んだ。だから去年よりことしの方が精密だ、こういうふうな言い方だけでは、私進んでいかないと思うのです。人事院の存在価値というものは、もっと広範に考えた場合は、そういうふうな数をふやし、検討の要素をふやすというような在来の行き方では、私進んでいないと思うのです。必ず国家全体の経済の運行の中におけるところの公務員の給与額、こういうふうなものがどこかで研究されていないとするならば、われわれはこういうふうに論陣を張ってみても、どこら辺が一体正しいのかということはわからないわけでしょう。さっき増子さんからお聞きしても、人員はあまり研究していないのだけれども、多いようには思われないということを言って、あまり研究していないというふうなことを言うと、ではここら辺がいいところじゃないかという、ここら辺が出てこないじゃありませんか。人事院はお仕事がたくさんあって、なかなか難儀かもしれませんけれども、ほんとうに公務員の研修だとか、あるいは身分の擁護だとか、給与を勧告なさるというような三つの建前をとるとするならば、これをミックスした場合には当然そういう研究がなされなければならぬはずです。そうでなければ一体われわれはどこへ持っていくか。これは今度は総務長官にお聞きしますが、大蔵省に聞けばいいのですか。こういうような話はあなたがお答え下さいますか。今のような話は大体ここら辺がいいとかなんとか、長官一つお知らせ下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/24
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025・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御存じのように給与に対する調査は人事院が今担当しておるわけでございますから、御指摘のような各国との比較であるとかその他の点について、人事院がやはり調査資料を整備してやるべきことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/25
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026・淺井清
○淺井政府委員 石山さんの御質問にお答え申し上げますが、私がさいぜん答えました答弁の含みは、もしも御質疑の趣旨が、国家財政の中であらかじめ給与の占むる部分をきめて、それ以上に出てはいかぬ、そういうワク内で人事院が勧告しなければならないのかというならば、そうではないということを申し上げたのが含みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/26
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027・石山權作
○石山委員 きょうは一般論だから、あまりやりとりしないように心がけているのですが、たとえば労使の紛争とか、お互いが理解し合えないということは、表面をそういうなでたやりとりによると思うのです。淺井先生に私はあまり言いたくないのですけれども、私ら自身を含めて、昔、人事院の存在というものを高く評価して、これはやはり守らなければならぬという考え方がだんだん薄れていっているということは、そういうふうな意味で表面をなでた御答弁だけだからなんです。これはおそらく私だけでなく、組合員の諸君にも今までそういうお話をなさったと思うのです。これを私たちが言えば、人事院が官僚化されたという表現になるのだろうと思いますが、労使間とか労働組合運動というものはそういうふうなものではないわけです。片一方は何十万の大衆を背景にしているのですから、理屈だけ、しかもその理屈も表面をなでたような理屈だけで応答をなさっているとすれば、これは理解はできないはずなんです。たとえば去年は皆さんの方で学校出やその他のために、初任給が安いといって手直しをされた。今年度は中だるみ是正をなさった。この一〇二号を詳細を見てみますと、皆さんの御努力の跡はうかがわれる。御努力のあとがうかがわれる反面、かなり自信を持ってこの問題を出してきている。しかしその自信を公務員の方々は受け取っておりませんよ。自信があるということは、あなたたちの方ではよくしてやったというあれが反面にあるわけでしょう。よくしてやったというその善意が組合員の諸君に響いていっていないということは、一体何が原因しているか。やはり私は、淺井先生の御答弁が大へん上手になった、しっぽをつかませないようになったけれども、実際は納得させ了解をさせなければならない相手には、私も含めて、どうもまだ言葉足らずというような印象を持っているわけです。それがやはり組合員の諸君に響いて、去年度からそうでしたが、去年度、今年度の人事院の勧告はあまり評判がよろしくない。むしろ今までの経緯をたどれば、一番非難の高い人事院の勧告になって現われているということです。非常に残念でございますが、実情はそうなのではないかと思っております。きょうは人事院の方にほんとうはあまりお話をお聞きするのではなくして、総務長官の方へ一般論として政府の態度をお聞きしているわけなので、人事院の方ににまたこの次にお尋ねをいたします。
さっきの話にちょっと戻るわけですが、さっきの話というのは例の実施期日の問題でございます。政府は財政上から見ても財政法上から見てもそれは異例でない、過去においてはさかのぼってやったこともある。それで私は思い出すのは、石田労働大臣などが言われた権利義務の問題が起きてくると思うのです。お金に関する権利義務というのは、私は口先だけではだめだと思うのです。そう言ってあれでしょう。鉄道や全逓、電通などは、前に隠しておいたいわゆる隠し給与というものを全部吐き出させた。あのときは政府は吐き出させましたよ。私たちは近代的ということ、科学的ということは、なかなか無慈悲なものだというふうに思ったのですが、これは一つの理屈だったから、この無慈悲の中に私たちは屈したというのが、あの当時のいきさつだと思うのです。そうすれば、あなたの方で今度こそ人事院の勧告をわれわれは全面的に受け入れた、こういうようにおっしゃるならば、当然さかのぼってこれはやるべきなんだ。もっとしいて言うならば、その間の利子をつけてお返しするくらいの建前が、金の場合には正しいやり方だと思う。去年四月から支給されるべきものを本年の四月からとすれば、当然この一年間の差額を支給し、一年間の利子を支払うという建前をとってこそ、初めて権利義務というのが成り立って、公務員に対して政府の態度はずっと尊厳なものに変わっていくと思う。ところがそれがあなたの方では今までそうじゃないでしょう。そういう例はない。ただし隠し給与を取り上げたという例はある。今度の場合も、もしすみやかにという言葉を採用するならば、少なくとも去年の七月が基準にならなければならぬ。ほんとうに人事院の勧告をば尊重するというならば、当然これは三十四年の四月一日を基準にして支払わなければならない。それでもちょうど一年おくれるということになるじゃないですか。三十三年度から三十四年の三月末日までにかけての資料ですからね。それは一年間民間は経過していることになるのです。そのあとデフレがあってものの値段が下がったというならこれは話はわかるが、この物価指数はちゃんと上がっているのですよ。この物価指数の差もあるわけです。どうです、長官、私のこういう給与の話はちょっとわからぬわけなんでしょう。はなはだ失礼でございますけれども、給与の話は数字とかいろいろな慣習があるので、前のことを理解していないと——たとえば私は石田労働大臣の時代の話をしておるので、その時代からの経緯を知らないと、私の言い分はとんちんかんに聞こえる。何だあいつ、むだなことばかりしゃべっているというように聞かれる可能性があります。それは私のしゃべり方も下手なのですが、長官には御理解がいっていられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/27
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028・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 よくわかります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/28
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029・石山權作
○石山委員 それではもう一ぺん、ここは大事なところでありますから、繰り返します。つまり私の言いたいことは、勧告を尊重すると、基礎数字が三十三年から始まるわけなのですね。そして三十四年の三月に終わっているわけです。それでまず一年おくれたということを御指摘申し上げます。それから総理府はあなたの管轄ですが、総理府の統計からお出しになっている物価指数がちゃんと出ている。物価が下がっていれば私は申し上げませんが、物価は上がっています。そうすると、その一年間の物価が上がった分は、あなたの方で人事院の勧告を尊重してやっていただかなければ、まるまるその間の損があるということを私は申し上げておる。それに対してあなたの方では納得させるような答弁が一つも出ていないわけなのです。さっきちょっと、百四十六億もかかるから財政措置上困るのだというお話が出たのですが、五十億や百億くらいは、国家予算を最近論じているところを見ると、そんなに大きな問題ではないように私は思う。ではこの百四十六億を支給される人員はどのくらいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/29
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030・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 大蔵省から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/30
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031・石山權作
○石山委員 差額の話は御答弁いただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/31
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032・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 その点は従来ともやはり相当論議の的になっております。御指摘の通り勧告と実施の時期がずれるという矛盾した問題は、私どもも何とかいい方法はないかと、人事院側ともいろいろと御相談しておるのでありますが、結局つまるところは、やはり当該年度で膨大な予算措置ができるかできないかという点に尽きるようでありまして、この点は実際上なかなかむずかしいわけであります。理論的には、御指摘の通り実施がずれるということは、確かに私どもも真剣に考えなければならない問題だと思います。勧告にも明記してある通り、なるべく早くするのが当然なのでありますか、現実の問題になりますと、結局予算措置という点で実施がなかなかむずかしくなってくるというのが、今日の現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/32
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033・石山權作
○石山委員 私はこの際、防衛費がどうだとか、そういうみみっちい話はしません。そういう比較論はやめますけれども、毎年々々この委員会で論じられているいわゆる欠点ですが、皆さんの方ではそれは絶対に受け入れることができませんというのではない。努力した方がいいと言っているのに、その努力の跡が見えないということが、むしろ私たちの話し合いの中心になるべきだと思うのです。私の原則から言えば、事務的に取り扱えば利子まで払えということを言っているわけなのです。そういうことは言うべくして不可能なのだ。しかしどうしても実施をすみやかにしなければならないという原則に立てば、次善の策としては七月にやれるということもあったわけでしょう。臨時国会が開かれたじゃありませんか。第三次補正百三十九億を組んだときもあるわけでしょう。こういうときが幾つもあるわけなのです。そういう場合に、皆さんの方に誠意があれば、一カ月や二カ月食い込めないという手は全然ないわけじゃないのです。誠意がないから、正しい正しいというままに——これは正しいというりっぱな冠をかぶっているのです。あなたの方でふろしきをかぶせて隠しているのですよ。それではやはりそのつどの答弁だというふうにわれれわとしては考えざるを得ません。まずもっと勉強していただいて——一つ前にさかのぼるということはもうなかなかむずかしいでございましょうが、七月に勧告されたとき、臨時国会が開かれたのだから、それに手をつける、こういう態度をなぜ見せることができなかったのですか。この前の臨時国会だって私はやはりこんな話はしているのですよ。どうものれんに腕押しみたいなもので、ほんとうに毎回々々こんな話をしているわけなのですが、毎回々々こんな話をしていても進まないところに、給与問題だけじゃないと思うのです。国政全般がそういう格好で無慈悲に無理解に問題が処置されていくという傾向を、われわれはこの一つでも見られるような気がしてなりません。政府がどんなに官規粛正とか汚職の問題等を叫んでも、こういう問題についての思いやりを示さない限りは、威令は行われないと思うのです。それはそうでしょう。生活が貧くして精神的によりどころがないとするならば、人は一体何を標準にしてまじめに働こうという意欲が起るのですか。どっちか一つなければならぬわけなのですね。精神的なよりどころか、あるいは生活的な安定か、どっちかなければならぬ。あなたの方ではこのどっちも示すことができないとすれば、何ぼ汚職をやるなとか綱紀粛正を叫んでみたところで、これは私は絵にかいたもちに終わるのは当然だと思う。非常に残念に思います。そんなやり方をまだ続けていくとすれば、与党政府の存在が大へん不安定になることが、だんだん雪解けとともに近づいてきている。私の方はまだ雪が降っておりまして、これから解けるわけなのですが、ほんとうに私はそう思うのですよ。
それからこの国会でいよいよILO批准がなされるやも知れず、こういう新聞記事が出ております。われわれはILO批准はぜひともこの国会でやっていただかなければ困ると思っておりますが、これもまたいろいろと新聞等に流されておるところを総合してみますと、ILO批准を契機にして公務員制度を改廃する。しかもこの公務員制度の改廃が非常に悪い方へ向いていくというふうに言われているわけです。たとえば服務の強化が行なわれるだろうと普通言われている。職階給賃金がますますはなはだしくなって、上下の差が離れていくような体系が組まれるであろう。定員法は緩和をされますが、今度は逆に臨時職員の問題が法制化されていくのではないか。そして最後には定年制をしいて金縛りにしてしまうだろう。こういうふうな不安が出ているわけですが、公務員を担当していられる長官としましては、ILO批准に対しての御見解をこの際一つ述べていただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/33
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034・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 ILOの第八十七号条約の批准につきましては、もうすでにその方針が決定しておることは御存じの通りでございます。その批准の方向に向かって、しからばこれに関連する公務員制度の問題をどうするか、これも当然出てくるわけでありますが、御承知の通り非常に問題が多岐複雑でございまして、今いろいろな点から各省とも連絡をとりながら慎重に検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/34
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035・石山權作
○石山委員 総務長官の言葉を聞いていれば、私が千くらいしゃべっても、御趣旨はよく了解いたしました、私たちは今慎重に研究中でございますで終わってしまうじゃないですか。室長の方で調査しているだろうから、ちょっと内容くらいあなた言いなさいよ。どのくらい進んでいるか、事務的でもいいです。もしあなたの方で完成していないなら、あまり途中のことを言っては悪いと思うのだけれども、仕上げる時期に来ているのかいないのか。人手が足りなくてやれないならやれないと言えばいいじゃないですか。何年かかっているのですか。構想くらいはあるでしょう。どうなんです。構想もまだ端緒につかないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/35
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036・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 詳細につきましては増子室長から説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/36
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037・増子正宏
○増子政府委員 御質問のILO関係ということでお答え申し上げたいと思いますが、ILO八十七号条約につきましては、長官からも申し上げましたように、これを批准するという方針はすでに政府としてきめておるわけでございます。それにつきまして、国内法令をいかにすべきかという問題は、御承知のように昨年あるいは一昨年あたりから労働省が中心になりまして検討をいたしておったわけでございますが、この検討の一つの機関としまして、労働問題懇談会が当たり、その中で条約小委員会等もあり、条約の趣旨の研究及びそれに関連する法律としてどれが問題になるかというような、詳細な研究が行なわれましたことは御存じかと思うのでございますが、この労働問題懇談会の答申に基づきまして、昨年の二月、政府としましては、いわゆる公労法の四条三項及びそれに準ずる地公労法の関係条文を削除する必要があるということがまず決定されておるわけでざいます。その他につきましては、いろいろと、関係法令の整備を要するということで、それ以来関係各省におきまして検討を進めておるのでございますが、問題になっております国家公務員法あるいは地方公務員法につきましては、御承知のように労働問題懇談会におきましては、いろいろ検討した結果、法律の上では条約には抵触しない、なお実際上の扱い方につきましても、各国の例とかあるいは行政事務に従事する公務員の特殊性を考えれば、必ずしも条約に抵触しないというような結論を政府に対して出しておるわけでございます。そういう意味で、従来は大体国家公務員法なり、地方公務員法につきましては、別段の措置を要せず批准は可能であるという考え方をとっておったわけでございますが、その後いろいろな情勢の変化等もございますし、またILO当局におきましてもいろいろと研究が進んで参りまして、そういうILO事務局あるいはILOの諸機関の決定、あるいは審議の結果等を見ますれば、日本政府としましても、国家公務員法等につきましてなお、検討の余地があるように思われるのでございます。そういう意味におきまして、最近関係各省と検討いたしておるわけでございますが、御承知のように国家公務員につきましては国家公務員法の規定があり、この解釈及び運用に当たっておりますのは人事院でございますし、また地方公務員につきましては、地方公務員法の解釈、運用につきまして自治庁がその任に当たっている。なお教職員等につきましては教育公務員特例法等もございますし、文部省等におきまして実質的に相当関与をいたしておるわけでございます。なお五現業につきましてはいわゆる公労法がございます。そしてこれは労働省を中心として運用されておるというような状況でございます。従い法令の整備ということになりますと、まして関係それぞれの省の機関と意見の調整をはかる必要があるわけでございます。その間いろいろ関係事項の取り扱いにおける今までの例等もございまして、またその制度の運用上につきましての考え方等もいろいろあるわけでございます。従いまして今日まで実は結論を非常に急いで、私どもせっかく作業をいたしておるわけでございますけれども、今日の段階におきましてはまだ最終的な案を得ていないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/37
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038・石山權作
○石山委員 それは私は常識的に了解できると思うのですが、私がさっき公務員法がこの際改悪されるのだ、その改悪の事例として三つ四つあげたわけです。そういうことをやはり長官と労働大臣の間に、岸内閣はこういうめどのもとで、こういう基本のもとで公務員法を見ているのだ、こういう点は一つも御答弁の中にないわけです。長官、そういう方針はないのですか、私が公務員を代表して心配していることを申し上げたわけですが、そういうようなものが含まっているのですか。今皆さんの方では、公務員法というものは自然の形で生まれるというふうに考えておらぬわけでしょう。たとえば室長が郵政省とのただ事務的な調整によって、公務員法がでっち上げられるというようなものではないのでしょう。やはり岸内閣の公務員制度という対策、基本によって、公務員制度というものは末端の調整に及んでいくわけですから、下から上がってくるわけではないのだ。そういう点ではいわゆる労働対策、行政対策の面から、公務員法をどういうふうにして今度はいじろうとなさっておるのか、改廃なさろうとしていなさるのか。この点は増子さんからも何もないし、あなたからも何もない。そうして私が質問申し上げた心配の点については一つも触れてくれない。一つ御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/38
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039・増子正宏
○増子政府委員 先ほど私の御答弁申し上げましたのは、主としてILO関係ということで申し上げたわけでございます。御質問はそれと直接関係ない分野まで及んでおられるようでございますので、さらにつけ加えて申し上げたいと思います。
いわゆる公務員制度の改正という意味におきましては、すでに御承知のように、昭和三十年に公務員制度調査会の答申等もございます。その後いろいろな政府の機関等におきましても、個別的な問題についての意見等が出ておるわけでございますが、そういうものを基礎といたしまして、今後公務員制度がいかにあるべきか、その意味で国家公務員法あるいは地方公務員法等にどのような改正を加えるかという点につきましては、御指摘のように私ども中心になりましてここ数年研究を進めておるのでございます。ただ御指摘がありましたように改正の方向につきまして、直ちにいわゆる服務強化をはかるとか、あるいは職階給制度をきつくするとかいうことに、一義的に決定いたしておるという考え方はございません。内容等につきまして結局ねらいとするところは、日本の国情に即していわゆる民主的なあるいは能率的な公務員制度がいかにあるべきかという点を検討いたしておりまして、現行法は一応大きな理念に基づいて作られたのでありますけれども、それが必ずしも実際上その通りに行われているとは限らない面もございますし、また制定以来十余年の実施の経過の中で、この点はやはり改むべきだというように考えられる向きもあるわけでございます。そういう意味におきまして一つ一つの問題を私ども検討いたしておるのでございますが、ただ御承知のようにあるいは御指摘のように、この問題につきましてはいろいろの角度からの御意見があるわけでございます。たとえば一つをとりまして定年制の問題におきましても十分その必要が考えられ、ぜひやるべきだという御意見もかなりありますが、なおそのとり方等、やり方につきましては反対に近い御意見もあるわけでございます。そういう意味におきまして私どもとしましては改悪とかなんとかいう趣旨では毛頭なくて、いかにしたらもっと合理的であるかという意味での検討をいたしておるわけでありますので、われわれといたしましては早急にあるいはにわかに結論を下すということができないで、今日に至っておるということでございます。しかしこのようにしたらいかになるか、あるいはこの案ではどうなるかというような意味における調査研究は、いろいろとやってきたつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/39
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040・石山權作
○石山委員 増子さん、私は能率の問題などは否定するものではないのですよ。それからいわゆる行政の合理化、こういうものも否定するわけじゃない。ただあまりにそれを主眼に置くことと、能率というものと合理化というものの、ものの見方の相違を私はこの際はっきりしておいた方がいいと思うのです。能率というものは、たとえば昔ながらの能率になりますと、つまり公務員をがんがんと上から押えつけて画一的に動くのが能率化だ、こう見ている場合があるわけでしょう。こういう能率は永続しないということを、われわれは戦前からあるいは終戦当時から感じているわけなんです。われわれの考えている能率、新しい面から見た能率というものも、この場合工夫して出さなければいかぬ。これもやはり公務員制度の問題だと思う。合理化もそういう格好でないところに、労働組合が合理化反対など言ってみたりする一つの要素があると思うのです。合理化の持つ理念というものの相違だと思うのです。そういう点を十分、いわゆる西洋文明を受け入れた近代的なものの考え方を一つの理念にしていただいて、能率を考えていただきたい、合理化を考えていただきたい。公務員の個人の権限というものを私は考えていただきたいと思う。そうすれば私たちと大がい話が合ってくる。能率化もこれはいいでしょう。合理化もこの場合は必要であるというように、有無相通じていくものがあるのだと思う。こういうように思っております。公務員の問題については一つの機会を見まして、私の方でも現状の公務員制度を参考にしてあなたからいろいろと答弁を承れば、皆さんの方向というものはだんだんわかってくるのではないかと思っていますので、その機会を得たいと思います。
長官は忙しいということでございますから、注文を一通りだけおなかの中に入れていただいて、来週でもまた行なわれる質疑の中で詳しいことをお述べいただく、こういうふうにしたいと思います。
次に残っているのは、私の思っておるのは自衛隊の給与の問題と暫定手当の問題です。長官に暫定手当の件をお聞きしたいわけですが、暫定手当は、これは人事院は変な格好で私の方の権限でないから私は知りませんよなどということを、速記録を見ますと淺井総裁がある時期に言っているようなところがございます。はっきり言い切っておりませんけれども、非常に疑問があるというようなことを言っておりますので、むしろこれは当面の責任者である総務長官にお聞きした方がよろしいのではないか。昭和三十二年五月の参議院の内閣委員会の附帯決議、当時無級地を上げて、それを本給に繰り入れるというのに対しての附帯決議が出ております。
「一、昭和三十五年度以降における暫定手当についてはこれを速かに整理しその本俸繰入れの措置を講ずること。二、同一市町村における暫定手当の不均衡は速かにこれを是正すること。三、寒冷地手当、石炭手当、薪炭手当の改善を図り速かにこれを実施すること。」こういうようなことが参議院の内閣委員会で附帯決議が出ておりますし、衆議院の方でもおおむねこれと同じような格好で問題が処理されておるわけですが、暫定手当についての現在までの動き、それから残りの分をばどういうふうに処理なさろうとして今日まで来ておりましたか。ということは、これは五%になると本俸へ繰り入れて、その次のものはまた次に考えるということになっているものですから、どういうふうにこれを処理なさっていられるか、お聞かせを願いたい。それからこれは各省の方からもっと詳しく聞かないとわかりませんけれども、政府ではこの寒冷地手当、石炭手当、薪炭手当云々というふうなことについて、何か御処置なさるような話もありますが、これもどういうふうに処理なさって現在に至っているか、お聞かせ願たい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/40
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041・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 暫定手当の整理の問題は、従来からも御指摘の通り問題になっております。本年度も一部整理を行なったわけですが、その後引き続いてやらなければならぬわけであります。結局これは性質から申しまして給与全体の体系の一つとして考えられるべきもので、この際給与法を改正いたしまして人事院に総合的な調査と判断をお願いして、その結果を待ってこの整理も行なっていきたいと、今度の改正案を提出したことになっておるわけであります。
なお石炭手当の問題は、この前の国会で御承知のように参議院も通り、衆議院は委員会まで通ったのですが、本会議に間に合わなかったといういきさつもありますので、これはぜひともこの際今度の国会では通過させたいという強い要望もあるわけであります。ただ問題は石炭手当だけでいいのか、薪炭あるいは寒冷地手当の問題はどうするか、この点がまだ調整ができておりませんので、結論を得ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/41
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042・石山權作
○石山委員 長官がおいでになるというので、私要望的な問題を申し上げておきますが、寒冷地、石炭、薪炭の問題は一本の流れをなす給与形態でございます。ですから、一つを動かせば全体を動かさなければ、これはいろいろな問題が起こるだろうと思いますので、一つよろしく御善処方をお願い申し上げたい。
それから暫定手当の問題でございますが、暫定手当の問題は、結論的に申し上げれば、私たちとしてはなるべくみんなに均等に利益のあるような、やり方としては下を上げていく方が、つまり前のような措置、いわゆる無級地を一級引き上げたような格好がもう一段階ぐらいに行なわれれば、かなりいい給与体系が生まれるのではないか。これは今度は人事院で専門家に御研究なさっていただくわけで、いい計数が出るだろうと思いますけれども、ここに出されている人事院月報の十ページを見ましても、東京と他都市との相違というものはかなり顕著に出ているわけでございます。一例を申し上げれば、昭和三十三年の三月を引き比べてみましても、エンゲル係数の比較と金額の比較を見ますと、やはり東京の方はお金がたくさんかかっている、こういうふうに見えるわけなんですが、だから東京中心の大都市をたくさん上げるという不合理もこの指数は表明しているわけなんです。三月に金額にして六千円、東京と他都市とは違っております。しかしエンゲル係数の示すところは、東京は四一であるけれども、他都市は四四という計数があがっております。これはずっと去年からことしに比べて大体毎月五千円から六千円違っております。そうして計数においてはおおむね四四、五から四〇くらいのところを東京は往復しておる。これは私の言う底上げをもう少しやることが、消費経済と収入の経済をマッチさせる一つの方法になるのではないか、こういうふうに私は理解をしておりますので、給与担当のあなたからでも一つ十分、薪炭手当等の問題と含めましてこの点を御理解しておいていただきたい。こういうふうに、これは人事院の方にも特にこの点を給与局長あたりが丹念に一つ御検討いただいて、次の機会に十分に私たちに御説明ができるような体系を組んでいただきたいということを御要望しておきます。
次に防衛庁の給与の問題と、いわゆる年令の老朽化ということをお聞きしたいわけですが、募集にもかなり手間どっているようですけれども、契約期限が切れておやめになる方と、また再役なさる方、そうして年令が老朽といえば言葉は妥当でないかもしれませんけれども、だんだん重なっていく、そうしていわゆる賃金は高くなっていく、こういう傾向になっていると思うのですが、実際はどんなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/42
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043・山本明
○山本説明員 ただいま御質問なさいました趣旨は、おそらく任期制のあります士についてのお話ではないかと考えるのでございます。これは継続任用、いわゆる任期でございますから二年ないし三年という期間で任用になり、そうしてその期間が終わりますと、さらに継続して任用するという格好になっておるのでございます。入りました者のうち、一定の者は曹という階級に上がりますと、これは任期がなしにいわゆる永久的な職になりまして、そうして一定の停年までおられる。御本人の意向によってやめていきます場合は別としまして、停年までおられる、こういう格好になっているのであります。任期制の士につきましては、現状から申しますと、海空の方はまだ二年という任期が来て継続任用という問題が起こっておりませんが、陸の方におきましては、すでに二十五年以来採用いたしました関係上相当いるわけであります。これは大体現在の状況では、二回ないし三回いたしますと、従って最初の二年と、それから二年、二年、二年、大体六年から八年くらいになりますと、曹になります者と退職していってしまう、こういう者がおりまして、御質問のように長くおることによって人件費も割高になっていくという傾向は、そう顕著にはまだ現われていない。むしろやめていきます者がおります関係で、新陳代謝がありまして、ある程度のものは士としての階級を考えますと、御指摘のございましたような問題はなくなっているのではないだろうか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/43
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044・石山權作
○石山委員 それは一つ正確な調査をしていただいて、資料として出していただきたいと思います。
それから終身官みたいになる上官ですね。こういうのは、たとえばジェット機の戦闘機の源田さんみたいに、あんな年輩の方も乗っておられるわけですが、年令からすると四十をこすと乗れないと思うのですが、そういうふうな方がどういうふうな格好で動いていくかということ。それから下がだんだん上がってくるわけでしょう。それが普通のあれみたいにやはり上にいるからということで、昇進といいますか、階級が上がらないということと、それから給与も上がらないというふうなことが、自衛隊の中でも行なわれているかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/44
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045・山本明
○山本説明員 一例として源田さんが出たのでございますが、あの方は特別な方でございまして、大体幕僚長というのは飛行機に乗って第一線で戦闘をするという性格のものではないわけでございまして、一定の年令、四十以上を過ぎますと、大体第一線の配置ということではなしに、後方の参謀の仕事とか連隊の指揮をするという仕事になって参りますから、その間は体力の状況とかみ合わせまして、それぞれの階級に応じて停年を設けておりますから、御心配のような問題はないと思うのであります。ただ御説のように、この増勢段階におきましては相当階級的に上がっていく方も多かったのでございますけれども、現在は頭打ちの状況のようになりまして、必ずしも昇給状況がかってのような昇給には参らないということは、一つの傾向となって現われては参っておると思うのであります。しかしこれもある程度の淘汰をするとか、こういうふうな格好にいたしまして、できるだけ——その進捗状況が停滞して水がよどんだような格好になってしまっては、これはまた自衛隊といたしましても将来の問題がございますから、そういうものの長期の人事計画というものを考えまして、その長期計画の中で、今おっしゃいましたような心配のないように人事配置をいたしたい、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/45
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046・福田一
○福田委員長 次に受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/46
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047・受田新吉
○受田委員 きょうは単に総括的なお尋ねだけでとどめておきたいと思います。石山君から大まかな問題点を取り上げていただいておりますので、私はまず第一に総務長官に、あなたの御所管に関する、すなわちあなたの御任務が総理府部内の連絡、調整と、それからもう一つは給与等に関しては各省間のアンバランスを是正する調整の責任にある人だという意味で、次のことをお尋ねしたいわけです。
人事院は一般職を所管し、防衛庁及び外務省とかあるいは裁判所、検察庁とかいうようなところの職員を御担当しておられません。そこで、そうした給与体系をどうするかというような問題は、自然に人事院勧告をうのみにされるという立場の総理府といたしましては、他の各省の特別職の給与というものをあなた方の機関で調整をされなければ、勝手な俸給表が作られてくるおそれがあるわけなんです。総務長官といたされまして、人事院勧告の一般職の給与の取り扱いと他の特別職の給与の取り扱いを現実に調整しておられるかどうか、御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/47
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048・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御存じの通り特別職は大蔵省所管になっておりますから、人事院が一般職を扱い、大蔵省が特別職を扱うという現状につきまして、実際にアンバランスとか調整問題とかいうものは、総理府としては直接の問題は起こっておらぬわけであります。大蔵省におまかせしておる現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/48
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049・受田新吉
○受田委員 大蔵省におまかせしておくと、大蔵省という役所の性格からいって、給与体系などということになると十分検討する余裕がないと思うのです。そういうところについては、給与の専門的な調査をなさっておられる公務員制度調査室というものがある。この部屋で高い立場から制度的に見てどうか、バランスの点がどうかということをやられないと、大蔵省と人事院とにまかしておいて、一般職だけあなたの方でお取り扱いになるということになると、国全体の公務員の公平な給与体制というものができ上がらないと私は思うのです。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/49
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050・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御指摘のように給与体系全般といいますか、高い立場からいろいろな判断をし、また仕事をすべきではないか、全然同感でございます。今までのところは特別職の問題は、問題が起こったつど総理府におきまして公務員制度調査室で処理をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/50
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051・受田新吉
○受田委員 問題の起こったつど処理するという事例をおあげ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/51
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052・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 増子室長から具体的にお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/52
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053・受田新吉
○受田委員 長官はお急ぎのようですから長官に一つ。あなたの人柄からして私はいささか御遠慮しなければならぬ点があるわけですが、毅然たる態度を持って総務長官の任務を遂行してもらいたいと私は思うのです。従って事務的な問題は事務当局にやらしていただいていいのですが、あなたは特別職なんですからね。そうして国務大臣をもって充てる地位におられるわけなんです。総理の考え方によっては、あなたのポストを国務大臣に振りかえることもできるし、あなたを国務大臣に任命することもできるというあなたは重要な地位にあるのですから、もう少し自信を持って御答弁願いたいと思うのですが、この給与の問題は担当国務大臣を設けてもらいたいという要望はありましても、実際問題はあなたの所管になってきておるわけです。だから少なくとも特別職とのバランスをとるという問題は、あなたが大蔵省の方にまかして、こちらの方には大した関係がないというような考え方では、総理府がせっかく総務長官を置くことになった趣旨に反すると思うのですが、あなたのお時間が来ておるから、私はこれであなたに対するお尋ねは次の機会に譲らしていただきます。どうぞお帰り下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/53
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054・増子正宏
○増子政府委員 御質問の点は、特別職の給与と一般職の職員の給与との具体的な調整の問題でございますが、その点について申し上げます前にちょっとお断わりをしなければならないのは、調整という場合でございますが、大体関係機関あるいはその事務を所掌ております機関におきまして問題が解決いたしますれば、調整という問題は起きないという考え方でございます。すなわち関係の機関におきまして、それぞれ問題に対する考え方がいろいろございましてなかなかまとまらないという場合に、双方の意見の調整をするという意味での調整を私どもいたしておるわけでございますが、具体的な問題といたしましては、一般的には、御承知のように特別職の給与はそのための法律で規定されておるのでありますが、大体一般職の給与との均衡という点を考慮してきめられておるわけでございます。すなわち一般職の給与につきましては、人事院の勧告等に基づきまして改善の措置が講じられますれば、それとのにらみ合わせにおきまして特別職の給与についても改定が行なわれるということで、従来におきましてはそういった取り扱いに、両者の間に著しいそごとかあるいは意見の対立等はほとんどなかったのでございます。若干の事務的なものがございました点につきましては、従来お話し合いで処理されて今日に至っておるということでございます。
受田先生の御指摘になっておる、あるいはお考えになっておられる調整というのは、特別職の給与体系の内容そのものについて、公務員制度調査室あるいは総理府の立場で、独自の見解を持って処理すべきではないかというふうにも私拝察されるのでありますけれども、そういうことになりますと、現在所管の省として大蔵省が十分の責任を持ってやっておりますことと重複したことをやることになるわけでございまして、そういう意味で現在の行政組織あるいは運用の建前では、そこまで参るのはいかがかというふうな考え方を私ども持っておるわけでございます。ただし立法論といたしますれば、それを大蔵省の所掌にしておくのはいけないのであって、総理府あるいは人事院の所掌にすべきであるという御意見もあろうかと存じますが、今まで私どももそういった問題を取り上げて検討しないわけではございませんけれども、それについてのまとまった考え方というものは現在ない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/54
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055・受田新吉
○受田委員 そこに問題があるわけです。たとえば、防衛庁が給与法を用意されるという場合に、一般職の方はあなたの方が取り扱いされておるのだし、同じ政府部内の問題であるから、その原案ができたら一応見せてくれ、そしてここはこうだという気づきを言うという調整は、当然あなた方の方でやるべきだ。あなた方の方は各省間のバランスをとり、特に総理府という同じ立場で、総理府の官制の中に今のような外局があるわけなんです。国務大臣をもって充てる役所については一応敬遠はしておりますけれども、総理府部内に防衛庁という役所があるわけです。総理府部内の総務長官が連絡、調整の目的で、防衛庁の給与法の原案ができたらちょっと見せてくれという、そういう任務を果たすことは当然ではないか。それをなぜやられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/55
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056・増子正宏
○増子政府委員 ただいま例としておあげになったようなことは現在いたしております。すなわち防衛庁職員の給与法の改正等を防衛庁で立案せられます場合には、私どもに事前に大体の案が連絡がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/56
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057・受田新吉
○受田委員 その連絡について意見を述べ、修正をさせたという事例がありますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/57
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058・増子正宏
○増子政府委員 今までにおきましてはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/58
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059・受田新吉
○受田委員 意識的にちょっと拝見したというだけで、何ら連絡、調整の任務を果たしておられないということに了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/59
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060・増子正宏
○増子政府委員 従来ございました問題では、私どもいろいろ感想あるいは意見を述べたことはございますけれども、そういう点は防衛庁におきまして十分検討せられております。なお残された問題として、時期をおくらしてそれを処理されたという例はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/60
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061・受田新吉
○受田委員 これは大へん私たちとしては納得のいかぬ問題点でありますが、同じ政府か出される給与法案が、何らその間に連絡、調整、高い立場からのバランスをとるという努力をされる役所がない。いや役所がないことはない。あなたの役所が事実上そういうことをなさなければならないのです。これは一つ、特別職は独走するおそれがあるのです。大蔵省というのは制度的にそれに対して、こうせいああせいという力がないのです。金の役所、そろばんの役所ですから、そこで行政審議会なども答申案を出して、そういう問題について意見を述べているわけなのです。はなはだ弱い総理府総務長官の任務ということになり、公務員制度調査室ということになると遺憾なことになるのです。そこで人事院さんの方に伺いたいのですが、人事院の方としては民間給与の実態調査は、当然給与決定の重要な参考資料として御調査になるけれども、こういう防衛庁とかあるいは裁判所とか検察官とかいうようなところの特別職、あるいは公社職員というようなところの給与の実態調査、そういうものの比較検討というものはやられておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/61
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062・瀧本忠男
○瀧本政府委員 今の御質問でございますが、人事院といたしましては、公務員の規定に従いまして、公務員の給与を考えまする場合に、民間の給与ということを第一の主眼にいたしております。実態調査といたしましては、政府関係機関のうちで、三公社とかあるいは今御指摘のような特別職というものは調べておりません。けれどもこれはやはりその方面から資料の提出を受けて、現在どういうふうになっておるという大体の状況は承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/62
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063・受田新吉
○受田委員 人事院がその他のそうした給与関係を役所の方々と懇談するような会合くらいは、お持ちになった方がいいと私は思うのですが、そういうことをやられたことはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/63
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064・瀧本忠男
○瀧本政府委員 懇談会という形式ではやっていないのでございますけれども、人事院には職制上人事主任官会議、これは各省の人事課長、それから特別職等につきましても、これは正式の人事主任官ではございませんけれども、その会議に出席いたすという制度になっておりまして、時々そういうことを議題にいたしまして、研究はいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/64
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065・受田新吉
○受田委員 防衛庁にお聞きしますが、その人事主任官会議その他、時々適切にやっている会合へいつお臨みになられたでしょうか、御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/65
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066・山本明
○山本説明員 人事主任官会議には防衛庁から代表が必ず一回その会議に出まして、オブザーバーの格好でここに出まして、いろいろな連絡をしているように承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/66
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067・受田新吉
○受田委員 その承っている人は、今までだれが出たという証拠があるか。そうしてその会合は何回くらい——今度の給与法案が出されるにあたって、人事院の意見を聞くという会合が持たれたとするならば、それもあわせて御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/67
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068・山本明
○山本説明員 御質問の今回の給与改定にあたってという限定された事項になりますと、私の方からは出たことはございませんが、人事全般の問題としては、それぞれの担当官が出て参りましたり、先般も私の課から災害補償法の関係におきまして関係がございますから、これに出かけておるという格好になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/68
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069・受田新吉
○受田委員 格好はできておるようですが、それを実際に効果があるようにしなければならぬという意味から、今度改正案を出すという場合には、人事院と防衛庁との相互連絡というようなことはぜひ必要だと思う。それも全然されていないで、独自に出されるという結果が出ておるわけであります。これはやはり十分そうした一般職や特別職との関連が持たれるような格好で、法案が出されなければならぬと思う。
総括質問でありますから、このくらいにしておきまして、もう一つ掘り下げて総括質問の中のポイントをお尋ねしますが、副総理が来ておられるので、副総理の御質問に早く移りたいと思います。一応人事院は一言だけ……。民間給与を参考にして公務員の給与をきめられるわけですが、その勧告案を見ますと、去年御説明をいただいた——去年というのはおととしですね、おととしと去年の勧告では相当違っておるところがある。いわゆる民間給与と公務員の給与との比較をする方式が、おととしのものに対しましては、例の俸給相当月額の算出方式に最小自乗方式がとられた。これは十分御説明を当時いただいたのであります。去年はそれがない。これは一体格付号俸、最小自乗方式というものの変更をされたわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/69
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070・瀧本忠男
○瀧本政府委員 この問題は相当詳細に御説明申し上げなければならぬのでありますが、今にいたしましょうか、それとも……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/70
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071・受田新吉
○受田委員 それではその問題は後ほどやりますが、変更したかどうか、その点を一つお伺いたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/71
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072・瀧本忠男
○瀧本政府委員 給与の勧告をいたします場合に、民間給与調査の結果をどのように修正いたし、勘案するかということにつきましては、これは一貫性があるのが一番望ましいと思います。ところが御承知のように昭和三十二年度以降におきまして、給与法の大改正が行なわれておるのであります。その前におきまして、いわゆる一般俸給表というものがございまして、これが基礎になりまして、この一般俸給表の基礎には通し号俸というものがあったのでありますが、そのときに民間と比較いたします場合には、いわゆるキー・ポジションというものが中心になりまして、そういうものを調査していく。それから最小自乗法によって補正するという形で来たのであります。一昨年の勧告におきまして、それがキー・ポジション方式から全体額方式に移ります中間過程にあったわけであります。一昨年の勧告におきましては、いわゆるこの最小自乗法というものと民間給与調査をまとめます——人事院が判断いたしますために、その結果をまとめまする過程におきまして、そういう方式を使ったわけでありまするが、昨年は全体方式ということでございますので、この最小自乗法というものはその間に用いなかった、こういう事情になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/72
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073・受田新吉
○受田委員 いわゆるフィッシャー方式というものを人事院は従来非常に尊重してこられたわけであります。それでラスパイレス方式というものは、これから原則としておとりになる考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/73
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074・瀧本忠男
○瀧本政府委員 フィッシャー方式と申しますものは、たとえば国家公務員と地方公務員を比較する、あるいはある特定の国家公務員とその相手方が非常によく似通ったものである、学歴構成なりあるいは年令の構成なり、そういう場合には、このフィッシャー方式というものを用いるのが適切であります。しかし昨年の場合におきましては、これは民間の状況を公務に反映した場合に、公務の状態は一体どのような変化を起こすのであるか。すなわち現在の公務の状況と比較いたしまして、どのように変わるのであるかということが主眼でございまするので、このような場合には、いわゆる公務の人員構成を基礎にいたしまして、その比較をいたすラスパイレス方式というものが正しい、このようにわれわれは考えております。現在の比較方式が継続されまする限り、給与体系が今後あまり変らないという前提におきましては、おそらくこの方式が続けられることになるだろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/74
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075・受田新吉
○受田委員 原則的な問題はそれ一つ。あとは詳細は次会にこの問題を一時間、二時間ずっとってお尋ね申し上げます。
もう一つは、民間給与の調査時期が前年の三月ということになっているわけですが、この御勧告の説明書の中にあるように、いつも三月というのは民間給与が低い数字になっているのです。三十二年のときも三年のときも低い。その時期を選ばれたのも、今までの行きがかりで三月になっているからということも言えるわけですが、なぜ三月がいつも低い数字になっているのか。一%か二%、三%低い。その理由と、三月を根拠にされた理由とをもう一度お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/75
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076・瀧本忠男
○瀧本政府委員 今の御質問の中で、毎月勤労統計で三月と四月との比較のところだけが今御質問の中にあったわけでありますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/76
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077・受田新吉
○受田委員 三月の比較ではないのです。ずっとの比較です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/77
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078・瀧本忠男
○瀧本政府委員 ずっとの比較であります。年間の比較で見ますと、これは上がったり下がったりいたしておるのであります。これは毎月勤労統計に出て参ります数字は、いわゆるベース・アップがあったからそれを反映して高くなっておるというものではないのでありまして、たとえば民間におきましても、昇給というものが行なわれておらないところもございまするが、定期昇給の行なわれておりますところも相当あるわけであります。民間におきましては、大体年一回昇給ということが原則になっておるようでございまして、その時期はおおむね四月に集中いたしておるのであります。公務におきましては、新しい給与法によりますると、標準的な昇給期間は一年ということになっておりますけれども、従来の経緯がございまして年四期の昇給期におおむね分かれております。従いまして民間では四月に昇給でぐんと上がるという状況になっておりまするし、また新陳代謝等の関係もございます。また御指摘のように、たとえば日給者等につきましては、三月分というものにおきましては暦月の二月の短い期間が入っておりますので、その関係上日給者につきましては多少給与が下がるという現象もありまするが、しかし毎月勤労統計に出て参りますものは、超過勤務時間まで含めまして、そういう問題、あるいは新陳代謝の関係、昇給のある者、あるいは四月にべープ・アップがある者もありましょうし、いろいろな要素がそこに出ておるのでありまして、われわれはこの毎月勤労統計の累月の対前月比というものが、三月と四月に例年ある程度、二、三%でありまするが、出ておりますからといって、直ちにそこで四月が多いという判断はいたしていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/78
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079・受田新吉
○受田委員 毎月ずっと見ておると、二月までずっと上がって、三月ぺこっとへこんで、また四月から上がる、こういう傾向ですね。二月は特にグラフをかくとへこんでいるわけです。こういう問題が一つ提起されているということと、勧告をしたときは前年の三月の調査である。それが実施されるのはことしの三月、ちょうど一年ずれる。これはしばしば御指摘しているのですが、政府はなかなか明確な措置をせられない。これは実態からずっとずれてきているのですから、実施までは二年間ずれる。この点、人事院の勧告は「すみやかに」ということをよく聞くのですが、もう一度聞きます。「すみやかに」というのは政治的配慮の言葉か、あるいはこの勧告はできれば直ちにという意味の「すみやか」なのか。どちらなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/79
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080・淺井清
○淺井政府委員 人事院はこの勧告実施に要する財源措置をやる権限はないのでございますから、そこで現在の慣例用語といたしまして、できるだけすみやかにと、こう言っておるのでございますが、今御指摘のように三月の調査であるならば、直ちにこれが実施されるようになることが最も望ましいと考えておることは、これは人事院の立場としては当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/80
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081・受田新吉
○受田委員 明確な御答弁です。三月を基準にということになっているようでございますが、政府はいつもずらして実施されておる。ことしはぜひ勧告通りにという御配慮がなかったのかどうか。副長官。副総理はまだ給与担当になっておられませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/81
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082・佐藤朝生
○佐藤(朝)政府委員 先ほどの御質問に対しまして総務長官からお答えしました通り、政府といたしましては人事院の勧告につきましていろいろ検討いたしましたところ、多額の費用を必要といたしますので、年度内に実施することは非常に困難な状態になりましたので、今回の提案のように今年の四月一日から実施するように提案したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/82
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083・受田新吉
○受田委員 困難の事情の分析をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/83
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084・佐藤朝生
○佐藤(朝)政府委員 先ほど総務長官からお答えいたしました通り、非常に多額の費用を要しますし、それを本年度予算へ計上することがむずかしいということでありましたので、来年度実施するということになったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/84
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085・受田新吉
○受田委員 この問題はこれは責任大臣によって解決していただくことにしましょう。
そこで益谷先生、副総理として、同時に行政管理庁長官としての立場でお伺いしたいことがあるのです。あなたはわれわれ野党の大いに敬愛している方でありまして、超党派の人気を持っておられる方でありますから、非常に高い立場でお答え願いたいのです。この給与に関係する問題は当然公務員制度に波及し、そのことは行政機構に波及するわけでありますので、その点であなたの御所管に関係する問題に触れます。いずれこれは適当な機会がありますが、きょうは今申し上げたような関連でお尋ねをしたいのです。石山君から今尋ねました公務員制度の改革の構想がどうなっているかという問題が一つあるのですが、これはお預けにします。
私はここではっきりお伺いしたいことは、最近行政機構の改革をやって機構の縮小をはかりたいと言っておりながら、常に各省で新しい機関を増設し、あるいは総理府においてすら今度農地被買収者問題の調査会というふうな、そういう機関ができております。こういうようなことは行政機構の問題をお取り扱いになる行政管理庁としては適切でないとお考えですか、そのことはやむを得ないとお考えか、行政機構の今後の方針とあわせて、私の御質問申し上げている点にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/85
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086・益谷秀次
○益谷国務大臣 行政機構の問題でありますが、率直に申し上げますと本年も各所の部局等、たしか二十三か四要求がありました。もとより局、部、ともに時運の進展にかんがみ必要なものは設けなければならぬと思っておりますが、でき得る限り現在の機構でやっていけるものは遠慮してもらいたいという考えから、本年は全部遠慮してもらった次第であります。従って新たに部、局は一カ所も作っておりません。なお審議会や調査会のことでありますが、これは一方に行政機構の簡素化を目的としておりますが、必ずしも調査会や審議会というものは設けてはいかぬというふうな考えは持っておりません。特に調査会、審議会等は、経験の深い、学識経験の豊かな方々の意見を十分に徴して対処して参ります。従って政府の独善に陥るようなことのないこと、また民主的の建前から、必ずしもこれは排撃しなければならぬものとは思っておりません。しかしできる限り短期間にその所期の目的を達成いたしたいという建前から、大体時限立法によって調査会等を設けております。そういう関係で、あらゆる方面の知識を集中して、そうしてその方々の意見を聞くということは、きわめて時宜に適したものであるという建前から、それぞれ調査会を設置いたして御審議をお願いしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/86
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087・受田新吉
○受田委員 そうしますとあなたの後段の御答弁は、調査会、審議会のようなものは、たくさんの人の意見を聞くのにはいい機関であるから、こんなものはどんどんふやして、多くの人の意見を聞くという方針だと了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/87
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088・益谷秀次
○益谷国務大臣 どんどんふやしてというようなことは考えておりません。必要なものは(「どんどんふやす」と呼ぶ者あり)ということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/88
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089・受田新吉
○受田委員 行政審議会の最新の勧告の答申の中には、審議会その他の機関の問題についてどのようなことが書かれてあったか。局長さんでけっこうです。御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/89
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090・山口酉
○山口政府委員 第四次の行政審議会が審議会の整備等について意見を答申しておりますが、ただいま長官から申し上げましたように、やはり行政審議会の方でも、審議会等が民主的な行政の運営について必要なものであるということは認めておられます。ただできるだけそれは必要限度を十分に調査してやるということを主張しておりまして、従来あまり開かなかったようなものとか、あるいは行政機関の職員が大部分であって、特に第三者的な知識の吸収という点で実効の伴わなかったもの、そういうふうなものにつきましては、これを将来は認めないように、現在あるものは廃止するようにというような意見を出しております。具体的に審議されまして廃止を必要とするもの等も掲げてございます。これらの答申に基づきまして、昨年以来政府では閣議決定に基づくものはこれを廃止するということで、ほとんど廃止いたしております。なお近く廃止する見込みのものもございますけれども、大体においてその線は答申の方向で処置できる見通しでございます。それから任務の近く終了するようなものにつきましては、終了次第廃止する。なお新たに審議会を設置する場合には、先ほどの長官の御答弁のように、でき得る限り時限立法にいたしまして、自然に廃止ができるような措置を講ずる、こういう方針で処置いたしおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/90
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091・受田新吉
○受田委員 副総理、必要のものはどんどん認めていくという御趣旨のようであるが、しかし今局長の言われたように、どんどん整理するのが大事なんで、今まである分は整理縮小しなければならぬという方針を今言うておられるわけですが、そこを一つはっきり。……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/91
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092・益谷秀次
○益谷国務大臣 受田さんは先ほど農地被買収者問題調査会のようなことを例に申しておられたようでありますが、私が申し上げるのは、かくのごとき調査会は必要であるということを申し上げたので、無制限に調査会を設けるというようなことを申したのでなく、必要最小限度のものは設けてしかるべきものだと考えますということをお答えいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/92
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093・受田新吉
○受田委員 あなたの方は既定方針にのっとって、行政機構は整理するという方針には変わりない。そうしますと、自治省あるいは国防省ということがそれぞれの省で要求されるおるのでございますが、これらについては行政管理庁としては許さないという方針になっているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/93
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094・益谷秀次
○益谷国務大臣 許さないとは申しておりません。これは政府与党の方にも調査会があります。そういう調査会、また政府部内にも調査会があります。関係閣僚等の意見も十分に聞かなければなりません。私はまだ省にするとかなんとかいうことを決定いたしておりません。いろいろの情勢を判断しておるような状態であります。努めてただいまおっしゃったように行政機構の簡素化という方針に沿っていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/94
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095・受田新吉
○受田委員 今までここに総務長官がおられたのです。官房長官がおられる。あなたの内閣の第一番頭、第二番頭のような人がおられるわけです。そういう機構改革の問題と関連するのでございますが、あなたのお役所の任務が行政制度の一般の基本的な企画をされるところにあるので、それに関連してお伺いするのですが、大臣をふやす、これは内閣法に関係します。大臣をふやすということはいいことか悪いことか。大臣をふやさないということになるならば、国務大臣をもって充てるという役所がまだ幾つも残っておるが、国務大臣が充当できないような役所の場合は、それを作らないのがいいのじゃないか、国務大臣をもって充てるとしない方がいいのじゃないかという問題、この二つを御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/95
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096・益谷秀次
○益谷国務大臣 国務大臣の数はきまっております。後の御質問は、かえってはっきりしてよろしゅうございますから、監理局長から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/96
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097・山口酉
○山口政府委員 主任の大臣としては、国務大臣の数が総理大臣を加えますと十七名でございまして、これは内閣法の二条できまっております。この数は内閣法を改正しなければふやされない。そこですべての行政機関の事務というのは、この十七名の大臣に主任の事務としましては帰属するわけであります。その主任の事務を執行する形態といたしまして、補助的に各種の行政機関を作りますことは、その行政の事務の内容によりましていろいろ組み立て方があると思います。行政機関と申しますと、いろいろ小さな機関も必要になって参ります。付属機関のごときものは、まあ学校とか研究所とか試験所とかいうようなものもあるわけでございまして、そういうふうなものについて、一応最終的な主任事務を担当する大臣はきまっておりますけれども、それぞれのあらゆる種類の機関の長を全部国務大臣にするというようなことはとうてい考えられませんので、下部における行政機関の構成につきましては必ずしも国務大臣を要しない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/97
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098・受田新吉
○受田委員 そうすると総理府の総務長官というものは、下部の機関ですから、国務大臣をもって充てることができるという規定はやめた方がよかったのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/98
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099・山口酉
○山口政府委員 国務大臣をもって総理府の総務長官に充てた場合でも、主任の大臣といたしましては、総理府の主任大臣は内閣総理大臣でございます。ただ内閣総理大臣が主任の大臣として行ないます総理府及びその外局の事務は非常に複雑でございますので、そういう事務の内容について一々これを閣議に反映するという段階になりますと、必ずしも十分にこなし得ないということが、実際の問題として従来言われておったわけでございます。そういうことから、当然閣議に参加して閣僚として発言した方がいい場合がある。これは内閣のおそらく組閣の場合にいろいろの事情があると思いますが、そういうふうなことが予想されますので、国務大臣を充てることができるという道を開いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/99
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100・受田新吉
○受田委員 予想される段階ということで、まれにそういうことが起る。官房長官もそうですね。内閣官房の長も国務大臣をもって充てることができる。こういうふうに、実際に充てないでおいて、充てることができるという規定がある。これは官房長官で国務大臣を兼ねる人はおるけれども、いわば総理大臣の下の政務次官が官房長官で、事務次官が総務長官になると私は思うのです。そういう立場、地位の人に対して、国務大臣をもって充てることができるということになるならば、原則として国務大臣を充てるように実際問題としてすべきじゃないですか。予想される場合だけにあるということでなくて、国務大臣をもって充てることができるのは総理府の外局もそうですよ。みんな国務大臣をもって充てることができるのです。みんな条件は同じことなんです。だからそういう意味からいったら、副総理、あなたも総理大臣の代行者でいらっしゃる。総理大臣に事故があるときはあなたがお入りになるのです。万一の場合には、すぐあなたが臨時総理になってやられるわけですから、そういう問題についてはどうでしょう。国務大臣をもって充てるポストが幾つかある。充てもしないのに、充てることができるというような、ちょっとおぜんだけ前に置いて、地位の高いところだけ見せておいて、実際には国務大臣のポストを与えないというような残酷なことは、やられない方がいいのじゃないかと思うのです。これは大へん罪なことだと思うのですよ。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/100
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101・益谷秀次
○益谷国務大臣 必ずしも残酷とは思っておりません。私の浅い経験でも、官房長官が国務大臣になった。国務大臣でない官房長官が、その内閣の継続中に国務大臣になった事例もあります。そういうので、よほど事情が要求いたしますれば、総務長官を国務大臣にしてはならぬということはございませんから、残酷というようなことはないと思います。しかしこれは行政運営の便宜から考えていることかとも思いますから、適当か不適当か、直ちに私は判断をすることができないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/101
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102・受田新吉
○受田委員 そうすると、総理になられて職務を執行されるという場合に、何か用意したものがないと困るのですがね。いつでも岸さんに事故があった場合に、すぐあなたがやらなければならないという事態が起こるのですから……。そういう問題があると思うのです。私はこういうことを考えるのです。今度の農地被買収者の調査会のようなものは、非常に高い政治的な問題ですから、こういう政治的な問題を事務次官に当たる総務長官に担当させるということになるならば、これは本人は大へん苦労だと思うのです。国務大臣のポストを与えてこういう重要法案を審議する。与野党が著しく意見が違っているような法案を担当する国務大臣には、これは官房長官という政務次官に当たるポストの方がいいのじゃないか。あるいはちょうど所管が総務長官のところになっておる以上は、それをやらすということになれば、この際国務大臣に任命してやらせるという、そういう措置をとられた方がいい。こういう政治的な大問題の法案を、事務官僚の親方といっていい程度の総務長官に担当させるということは、やり方としてまずいのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。副総理御自身がやられてもいいというわけですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/102
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103・益谷秀次
○益谷国務大臣 先ほど山口局長からも申し上げた通りでありまして、総務長官を今すぐ国務大臣にするというようなことはどうかと思います。これは第一定員が十七名で一ぱいですから……。一人でも欠ければ、これは農地調査会のような重要法案があるのですから、私どもも喜んでさようにしたいと思いますが、何分定員がございませんので、ここしばらくはどうにもいたし方ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/103
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104・山口酉
○山口政府委員 ちょっと補足して申し上げますけれども、先ほどの御意見のうちに、総務長官は事務次官に相当するようにおっしゃっておられましたけれども、総務長官は国務大臣をもって充てることができるという制度になっているほどでございまして、これは事務次官よりも高い、政務次官と事務次官を一緒にしたような職務に、法律上の書き方もさようになっております。そこで仕事の内容といたしましても、各省にわたる事務の総合調整のような、非常に高いレベルの事務がございますので、現在でも特別職といたしまして、事務次官よりも上のランクの機関というふうにいたしてある次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/104
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105・受田新吉
○受田委員 この機構問題はごちゃごちゃしておりますので、もうあまり突っ込みませんけれども、私の心配しておるのは、あなた方の政治を誤らせないようにという、意味の良心的なお尋ねをしておるわけですが、内閣官房長官というものは非常に実権を握っているわけです。この内閣法を読んでみると十二条に書いてある。従って、この閣議に出される問題、その他の重要な問題、重要政策等に関する情報の収集から総合調整の問題に至るまで、非常に実権があるわけです。総務長官にはそういうものはない。ただ総理府内の事務の処理をする、整理調整をはかるというような仕事しかないのです。そういうところに問題があると思いますから、たまに福永さんが官房長官に在任中、国務大臣を兼務したというので、副総理が例をあげたような問題でお茶を濁す問題でなくて、実際に国務大臣をもって充てる、実績を上げるようにしなければ、これは職制の上からいってもおぜん立てだけして、武士は食わねど高ようじという問題にもなるだろうと思います。副総理は、さっそく総理とよく御相談してくれませんか。この問題はやはりポストとそれから実権というものが、両方一本になるような方法をとられていくようにお願いいたしたい。もう一つ、最後にせっかく副総理がおいでになっておるので……。定員法の問題が入ってくると思うのです。これは行政機構とあわせて大事な国策なのですが、あなた方の方では定員法を廃止しようという考えを持っているという声も聞くし、大幅な定員法の改正をしようというような考えも持っておると思う。これもやはり公務員の給与の問題とあわせて大事な関心事でありますが、一体どのような御見解をもって今お臨みになっておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/105
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106・益谷秀次
○益谷国務大臣 そういう声もあるのです。各省の大臣が随時、定員を縛るというような定員法を廃止して、予算一本で縛るというようなこともあるようであります。それは今事務当局で検討いたしております。私はただそういうことだけ抽象的に聞いておるだけです。公務員というものをどうするか、これは長年問題になっておるので、いまだ解決いたしません。そこで定員をなくするとか、いろいろの話が出てくるようであります。これは今主として事務で検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/106
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107・山口酉
○山口政府委員 定員法を廃止するという問題が先般新聞に報道されましたけれども、これは定員外職員の繰り入れの問題が国会でも毎年御審議の際に非常に問題になっておりますので、この問題につきまして何とか根本的な解決をはかりたいということで、鋭意検討をして参ったのでございます。その段階におきましてただいま定員法そのものの検討から、あるいはこれを廃止したらどうなるかということにつきまして、関係各省と事務的に研究討議をいたしておる段階でございます。まだその結果について長官に御報告するまでに至っておりません。しかしこの問題は毎年国会で非常に論議されておるところでございますので、何とかでき得れば最終的に解決したいというような意図のもとに、目下努力しておるところでございまして、いずれ何らかの結論が出ますれば、できるだけ早い機会に提案をいたしまして御審議をいただきたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/107
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108・受田新吉
○受田委員 まだ定員外におる職員の定員化をはからないで、予算で定員法を廃止するように縛っていくというような形になると、私は問題が起こると思うのです。それは順序を追われるわけですか。そういう構想として、私が申し上げておる定員外職員の定員化をはかって後に定員法を廃止するということになれば、そのときの予算を基準にスタートできるわけです。最初から予算をきめておいて、その中で適当にやれということになると、差し繰られるおそれもあるので、構想としては、大幅に定員化をはかって、しかる後に定員法の廃止という問題が討議されるのか。最初から定員法を廃止するという心がまえで準備をしていかれるのか、基本的な考え方を伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/108
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109・山口酉
○山口政府委員 定員法を廃止した場合に、定員内の従来の職員が受けておった予算上の待遇がどうなるかということは、定員法に全員繰り入れた場合でも同じ問題があるわけでございます。定員法では予算上の措置までもきめておらないわけでございまして、一応の総人員をただ数だけで読んでおるわけでございます。中身にどういう質の職員、すなわちどういう給与の人がおるべきかというようなことは、何らきめてございませんので、これは実情に応じて、予算を見積るという段階で、どういう編成方針をとるかということになるわけで、これは定員法の前後にかかわらず、その給与予算をどうするかという問題は必ず伴ってあると思います。われわれが取り扱っております定員法の関係におきましては、予算をどうするかというまでの支配権は定員法にはございませんから、そこまでの問題を定員法自体の問題としては解決できません。ただしかし定員内に繰り入れを希望するということの内容には、だんだん突き詰めていきますと、やはりそれによって従来の慣例上、多少予算的にも改善されるのではないかという希望があって言っておるような向きもございます。それは打ち割って申し上げますと、今度定員法廃止という形で一応提案をしてみた結果は、問題の焦点というのが、割合そういうところにあるというような感じがいたして、これは定員法の問題では解決できない、繰り入れの問題が解決できないというような点がまだ残ります。すでに来年度の予算としましては総額がきまっておりますので、いずれにしても問題の処理はその予算の中でやるわけでございます。
今、いずれの問題を先にするかというお尋ねでございますけれども、結果といたしましては、来年度の問題としては同じことになるというふうに考えにおります。問題は、さらにその次の段階でどういう方針を予算当局がとられるかという問題は残ろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/109
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110・受田新吉
○受田委員 これでおしまいにいたしますが、益谷さん、今人事院は、公務員法の改正その他の機構改革で、人事院の機能が非常に弱められるという心配を持っておられるわけなんです。もう人事院総裁はお帰りになられたのですが、そういうことに触れる質問を申し上げてきょうは最後にしたいと思っておりますが、人事院に対して遠慮してということでなくて、あなたの方としては人事院の機構を弱めるような機構改革はやらないならやらないとはっきり言うて下されば、人事院は安心すると思うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/110
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111・益谷秀次
○益谷国務大臣 現在ございません。考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/111
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112・福田一
○福田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00619600219/112
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