1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年二月二十五日(木曜日)
午前十時四十一分開議
出席委員
委員長 福田 一君
理事 岡崎 英城君 理事 高橋 禎一君
理事 高橋 等君 理事 辻 寛一君
理事 前田 正男君 理事 石橋 政嗣君
理事 田万 廣文君
淺香 忠雄君 内海 安吉君
小金 義照君 始関 伊平君
谷川 和穗君 橋本 正之君
久保田 豊君 杉山元治郎君
中原 健次君
出席政府委員
内閣審議官
(内閣総理大臣
官房審議室長) 大島 寛一君
総理府総務長官 福田 篤泰君
総理府総務副長
官 佐藤 朝生君
委員外の出席者
農林事務官
(農地局管理部
長) 庄野五一郎君
専 門 員 安倍 三郎君
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二月二十四日
委員柳田秀一君辞任につき、その補欠として小
松幹君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員小松幹君辞任につき、その補欠として柳田
秀一君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
農地被買収者問題調査会設置法案(内閣提出第
一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/0
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001・福田一
○福田委員長 これより会議を開きます。
農地被買収者問題調査会設置法案を議題とし、前会に引き続き質疑を許します。久保田豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/1
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002・久保田豊
○久保田(豊)委員 前会に引き続いて、保留してありました質問を政府側にいたしたいと思います。きょうは主として問題の基本的な点についてお尋ねいたしたいと思いますので、一つはっきり御答弁をいただきたいと思うわけであります。
まず第一に、今の岸内閣というか、政府は、農地改革の意義とか効果というものを、基本的にどのように認識しているかということをお伺いいたしたい。と申しますのは、この問題が国会で論議になりましたのは、私の調べた限りでは二十六国会からであります。その過程で、政府側、特に岸総理その他の御答弁をずっと調べてみますと、最初はかなりはっきりしておった。ところがだんだんぼけて参りまして、農地改革に対する政府の立場が非常にあいまいになって参ったわけであります。そのことは、さらにこれを裏を返して調べてみますと、地主団体がだんだんと全国的に力を持って参り、それと自民党の関係が深くなるに従いまして、政府の答弁、この点に対する認識がぼやけて参った。そうしてあげくの果てと申しては失礼な言い方かもしれませんが、この法案が出ました。しかも二回も流れて、大へん言いにくい言葉でありますが、なお性こりもなく三回目もまた同じようなものを出される。こういうことは、私はどうも政府の農地改革の意義なり効果に対する認識がはっきりしておらぬからじゃないかと思うのであります。なるほど提案理由の説明の中では、「戦後のわが国の農業生産力の発展に対して、農地改革の寄与しておりますところはまことに大きいのでありますが、」と言って、一応認めたような格好であります。しかしながら政府自体、あるいはその背景をなしております自民党さんの動きを全体としてずっと見ていますと、私はどうもこの点に対する認識が徹底を欠いておるのではないかと思いますので、あえてこの点について、政府がどのような認識を持っておられるかを、あらためてこの機会にお伺いをいたしておきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/2
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003・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 この点は大切な基本的な問題でありますので、はっきりとお答えいたしておきたいと存じますが、これは総理も従来しばしば答弁されておりますように、農地改革自体に対する意義はきわめて大きく政府も評価いたしております。農地改革によりまして、農業生産力の増大はもとより、広く一般国民経済の伸展の上にも偉大な効力を発揮してきている。従って農地改革自体に対しては、政府としては当然大きな意義並びに効果につきまして十分認識をしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/3
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004・久保田豊
○久保田(豊)委員 大体そういう御答弁があろうと思いますが、私はもう少しこの問題を深く御認識いただきたいと思うのであります。御承知の通り農地改革が行なわれました結果、約二百万町歩近い農地がこれを耕す農民のものになった。もう地主にとられる心配はなくなった。例の有名な高率の現物小作料というものがなくなって、現在の価格にいたしますれば、大体において約五千億というものが農民のふところに残るような格好になりました。これが政府の価格支持政策あるいは補助政策等と結びまして、戦後におけるいわゆる農業生産力の、日本の歴史の上ではかつて例のないほどの急速な発展の基礎になったことは御承知の通りであります。しかもそれが資本に対しましては、日本の国内での市場を非常に豊富にするという役割を果たしておることも御承知の通りであります。これらは経済的な効果でありますが、そのほかに御承知の通りこの農地改革によりまして、地主が持っておりました農民に対する身分的な支配力といいますか、こういうものがくずれて、今日の農村民主化のこれが一番基本になっておる。これが日本の民主化の一番大きな一つの社会的な土台になっておる。こういう社会的といいますか、政治的効果ということも、私は十分御認識をいただきたいと思うのであります。この点が逆行いたしますと、また昔のような専制的な、あるいは戦争へ巻き込まれるような危険を社会的にはらむ土台が、ここに出てくるということになるわけであります。従って私どもは、何としてもこの農地改革の効果というものは、これをはっきり政府といえども、資本家の立場に立っても、これは確保していくべきものだと考えるのであります。私どもは違った立場でありますけれども、資本家といえども、この点ははっきり確保するというしっかりした認識を持っていただきたいと思うのであります。
もう一つの大きな効果は、今後の問題であります。御承知の通り今日本は貿易の自由化とかなんとかいうことで、ある意味においては非常に困難な段階、経済全体の体質改善の問題にぶつかっております。しかしこれをささえる一番最後のものは、経済の二重構造の一番最底の基盤でありまする農村であります。しかも農村がこの二重構造の圧力にどうやら耐えていけるかいけないかというのは、やはりこの農地制度といいますか、農民的な農地制度あるいは自作農的な農地制度というものがゆるぎがないということ、あるいはこれがさらに前進をしていくということが一番土台でありまして、この点がくずれますれば、今いろいろいわれておりまする、いわゆる経済自由化に伴ういろいろの問題等も、私は一番基礎の状態がひっくり返って参る、こういうことになろうと思います。従ってこの点については、口先だけでなく、私は政府ははっきり御認識をいただきたいと思う。この点をはっきり認識をしておられるならば、私はこのような法案が、二回もつぶされて、また三回目に出てくるなどというばかなことはないと思うのでありますが、この点についてはどのようにお考えになっておりますか、あらためてもう一度お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/4
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005・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 先ほども申し上げました通り、久保田委員のいわゆる農地改革に対する御見解、全然同感でございます。いわば一部に伝えられておりますような、古い地主制度の復活であるとか、そういう時代錯誤的な考えは政府は絶対に持っておらぬことを繰り返し申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/5
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006・久保田豊
○久保田(豊)委員 それならば、もう少しこの点についての具体的な問題についてお伺いをいたしたいと思います。そこで、同じようなことでありますけれども、私は政府がはっきり農地改革とその成果を、これは憲法に合ったものであり、しかも正当なものであるという認識をはっきりお持ちかどうかという点をお聞きをいたしたいのであります。わかり切ったことのようでありますし、またこの提案理由説明の中にも、「農地改革は、正当な法律に基づいて、正当に行なわれたことであって、これを是正する意味における補償は考えられないのでありますが、」こう書いてあります。しかしながらあとで私は詳しく一つ一つ具体的に御質問をいたして、その中で明らかにして参りたいと思いますが、この点は、この法案なり、この法案の背景を具体的に調べてみますと、ぼけておる。政府は農地改革とその成果をほんとうに憲法違反でないと考えておるのか、法律的にも、あらゆる意味において正しいもの、正当なものと認めておるかどうかという点を、あらためてお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/6
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007・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 農地改革が正当な法律によって実行されたことを、十分政府は認めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/7
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008・久保田豊
○久保田(豊)委員 それならお伺いしますが、御承知の通り政府がこの法案を出すに至りました背景は、何よりも最初に旧地主団体の猛烈な運動であります。それを受けられて自民党の中に、御承知の通り当初は農地問題の特別委員会ができました。それがさらに今度は調査会になりまして、そこから出た案がこういうふうにだんだんと純化されて、体を整えてこの調査会法案になって参ったことは、これは明らかであります。ところが、具体的に申し上げてもよろしゅうございますが、この地主団体の考え方、そうしてまたこれを受けられた自民党の関係者の皆さんの考え方の土台には、こういう考え方がはっきりある。この農地改革というのは、いわゆる占領政策の生んだものである。しかもこれは最も過酷な占領政策であって、これは占領政策の行き過ぎである。日本が独立をした以上は、これは是正されるのが当然だという考え方が強く流れております。これがすべてこの法案の土台であります。具体的に申しますと、今地主団体で全国で働いております、皆さんの自民党の民情部と一緒に同居をされております全国農地解放者同盟、これの一昨年のたしか十二月十二日の結成大会の宣言並びにスローガンのうちには、はっきり占領政策の行き過ぎ是正ということが大きな一項目になっております。さらに自民党の特別委員会が出されました農地改革善後処理調査会設置法案というのがございます。その中にも、言葉は変わっておりますけれども、こういう思想がはっきりと裏づけになって出ておるのであります。私は当局にお伺いしますが、これを政府としては占領政策の行き過ぎである、遺物である、こういうふうに基本的に認識をされておるのかどうか。あるいはそうではないというふうにはっきり言い切られるのか。もしそうではないという御認識ならば、いわゆる政党内閣であります。岸さんはよく政党内閣であるから政党の言い分を内閣がとるのは当然である、同時に内閣の意向というものを正当に反映するのは当然だということを、この法案の答弁の中で今まで何回も繰り返しておられる。私は今日の内閣としましてははっきり、少なくとも自民党の関係者の皆さんの中に、これは占領政策の遺物であるというふうな考えを持っておるなら、総裁としても、あるいは内閣としても、当然これははっきり是正をすべきものと考えるのでありますが、この点についてはどういうふうにお考えになっておりますか、またどういうふうな御処置をとるお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/8
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009・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 地主の団体なりあるいは政党が、この問題につきまして、いわば旧占領政策の行き過ぎの産物であるというような見解を発表するということは、当然民主政治のあり方からいっても自由であろうと思います。しかし政府といたしましては、そういう見解から別個に、いわゆる農地改革自体は正当であり、しかも国民経済に対する大きな寄与は認めながらも、副次的に起こりましたいわば社会的な種々の問題について調査する必要があると認めて、この法案を提出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/9
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010・久保田豊
○久保田(豊)委員 今の御答弁はちょっと納得がいきません。民主政治のもとであるから与党の中に、しかも非常に大ぜいの方が、まるで農地改革と逆行するような、基本的な農地改革を否定するような考えを持っておる。それをただに考えるだけでなくて、いろいろの政治行動にも移しておられる。その際にこれに対して、内閣は別個だからそれは知らぬ、政府は別個の考えを持っておるというならば、政党内閣というのはどういうのですか。私はそんなことはないと思う。少なくとも政党内閣である限り、政党が間違った考えを持っておるならば、これに対して内閣として何らかの形においてこれを直すような措置をとるのが当然だろうと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/10
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011・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 今の御説を伺っておりますと、何かいわゆる地主の団体あるいは自由民主党の中で、昔の古い地主制度を復活したらどうかというような考えが行なわれておるという前提のもとにお話のようでありますが、私どもの見解では、そういう考えを持って彼らがそういう意見を発表したのではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/11
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012・久保田豊
○久保田(豊)委員 これはどうも少し御答弁とも思えない。はっきりそういうことを言っておるのであります。たとえば、全国農地解放者同盟というのは、今全国の地主運動の中心になっております。これの結成大会のときにきめました会則の第二条の目的のところには、こう書いてあります。「この会は農地解放者が農村の中核体たる自覚に基き、戦後の画期的な農地改革に依る各種の影響に鑑み、これを調整し、農地関係者の安定に依る新農村建設に積極的に寄与し、以て平和日本の発展を招来することを目的とする。」つまり「農地関係者の安定」というのは旧地主のことであります。そうしてしかも旧地主が農村の中核体であるという認識を持っておるのであります。そうしてそのスローガンの中にはどういうことが書いてあるかといいますと、はっきりと「占領政策の遺物を払拭せよ。」ということを、スローガンの重要項目にいたしております。しかもこの同盟は、前から繰り返して申し上げておるように、自民党の民情部と同居をいたしておるのであります。さらにこの宣言を受けたと思われます自民党の中の農地問題特別委員会——これは現在の調査会の前身でありますが、これが発表いたしました農地改革善後処理調査会設置法案要綱の中にも、言葉は変わっておりますが、第三条の目的においては、「調査会は、農地改革による旧地主の犠牲状況を調査し、その結果に基き旧地主に対する善後処理対策を樹立し、」云々と書いてあります。これは言葉は違いますが、農地改革を占領政策の遺物であると見ているにほかならないと私は考える。これは私だけではなく、多くの関係者がそう判断をいたしております。ですから今度の法案というものは、この設置法案が実は焼き直されたものにほかなりません。内容はほとんど同じであります。こういう事態から見まして、今私の申し上げました点に対しては、少なくとも政党内閣の上に立って、政府としては党に対してはっきりと意思表示をするなり、何らかの措置をとってしかるべきだと思いますが、この点はあらためてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/12
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013・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 解放同盟がどういう決議をいたしましても、これは政治団体の自由であります。これによって政府は左右されることはないわけでありましてこの前の委員会でもお答え申し上げた通り、私どもはいわゆる圧力団体の突き上げによってこの法案を出したわけではないわけであります。なお自由民主党におきましていろいろな研究をせられ、また意見も表明せられておるようでありますが、もとより政党政治の建前からいって、政府が与党のいわば思想なり意向というものを尊重する、これは当然だと思います。しかし私どもが今提案いたしましたこの法案に関しましては、参考にはいたしますが、あくまで政府の独自の見解に立ってこの法案を提案しておるわけであります。また自由民主党といたしましても、御指摘のような、いわゆる時代錯誤的な考えでおられるとは私は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/13
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014・久保田豊
○久保田(豊)委員 今の御答弁では、これは占領政策の遺物ないしは占領政策の行き過ぎとは考えない、こういうことでございますか。私はこの点はもう少しはっきりしていただきたい。この問題については、私から言うまでもないことでありますけれども、特に政府側の御認識をいただきたいと思う点があるのであります。というのは、なるほど農地改革は、当時の占領米軍の司令部の大きな支援のもとで進められたことは御承知の通りであります。しかしながらこの問題の歴史的な経過を考えてみますと、これはたしか昭和元年だったと思います。自作農創設維持規則という規則が出まして、そして寄生的な地主制度をなくして、自作農的な農民的土地制度を作ろうという政策が出発をいたしましてから二十数年にわたって、これは一刻もとどまるところなく続いて参った、しかも内容もはっきりして参った、日本の農政の基本的な政策であります。その後、戦争の入る前ですからたしか十六年だったと思いますが、農地の価格に対する規制が行なわれ、それからさらに戦時中に入りまして、御承知の通り小作料の規制が行なわれ、あるいはこれの金納化が行なわれ、そうして米価にいたしましても、生産者米価と地主米価というものが分かれて、つまり寄生的地主の農民搾取、あるいは土地支配というものが非常に薄められ、それをさらに受けて第二次の農地改革ができたことは御承知の通りであります。しかも第二次の農地改革当時の内閣の行き方からいきまして、非常に不徹底であるということから、司令部の覚書が出まして、さらにこれを国会で十分に検討した上で、御承知の通り第二次の農地改革、つまり行なわれた農地改革が正式に成立したという過程であります。
こういう過程でありまして、これを占領政策の遺物であるというような地主団体の見解、あるいはこれをあたかもうのみにしたかのごとき自民党の関係者の皆さんのお考えというものは、私は根本から改めていただく必要があると思う。政府も国会の答弁だけで適当にごまかしておこうというお考えでなく、この点については、日本の農村がどういうふうな歩みを続けており、今後どう歩みを続けていかなければならぬかという点を十分深く省察をされて——これは次の選挙で百万や二百万の票を集めるとか集めないとかいう、そういうけちな問題ではございません。私はこの点はぜひ徹底した政府側の御認識をいただきたい。と同時に、今のお話では、政党がそういう考えを持つことはしようがない、地主団体がそういう考えを持っても自由だということでありますけれども、事日本の農村あるいは日本の民主主義の基礎に関して全く相反するような考えと運動が現実に行なわれ、そしてそれに基礎を置いたこういう法案がともかく化けて第三回目に出てくる、こういうふうな事態については、私は政府が深く考え直していただきたいと思うのであります。この点についてはどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/14
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015・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 終戦後のあの農地法が出るまでの経緯であるとか、その他につきましては、いろいろな説もございます。また占領政策の行き過ぎであり、あるいは遺物ではないかという強い意見も行なわれておることも承知いたしておりますが、政府としては、占領政策に対する批判は差し控えたいと思います。あくまで農地改革の大きな効果を認識し、かつまた時代逆行的な、いわば一般にいわれておるような地主制の復活ということは、とうてい考えられないし、考えてはならないという考えでおる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/15
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016・久保田豊
○久保田(豊)委員 それに連関して具体的に問題になるのは、御承知の通りの昭和二十八年十二月二十三日の最高裁の判決であります。これは御承知の通り、いわゆる農地価格が不当であり、違憲であるということを中心にした訴訟に対しまして、最高裁が判決を与えたものであります。しかしその前提といたしましては、この中で最高裁は、農地改革は憲法第二十九条二項に当てはまるものであって違憲ではないのだ、そうして正しい法律であり、従って農地改革は合憲の措置であり、正当なものであるということを、地価の問題、対価の問題に入る前に、はっきり言っております。これに対しまして、政府はどうお考えになっておるか。なぜこの点を確かめるかと申しますと、こういう事実があるのであります。これは自民党の農地問題調査会——現在農地問題を扱っておる自民党内の組織でありますが、この農地問題調査会が、昭和三十三年十二月十一日に、政調会に対しまして、農地問題に関する答申というものを出しております。この文書を見ますと、なるほどはっきりこの判決に対しまして異議は唱えておりません。しかしその第二項目にこう書いておる。この調査は、最高裁判所において、昭和二十八年十二月二十三日下された判決による農地買収及びその対価の正否を問うためではなく、政治のわだちのもとに置かれた農地解放者のその後の生活状態を調査し、かつ当時強制買収せられた農地が現在いかなる状態にあるかを知るためである、こう書いてあります。しかしこの裏には依然として、正面からはこの最高裁の判決には刃向かわないが、裏から事実上この最高裁の判決を否定していこうという意図が含まれておる。私はあとでこの答申については、なお政府にお伺いをいたしますけれども、含まれておることは、はっきりいたしておる。私は今政府に伺いたいのは、この最高裁の昭和二十八年十二月二十三日の判決において、少なくとも農地改革そのものは、憲法第二十九条の二項によってこれは合憲のものである、正当なものであるということを言っておりますが、これをはっきり政府としては支持されるのですか、どうですか。国会の答弁をずっと調べてみますと、当初は岸さんもあるいは歴代の農林大臣も、この二十八年の最高裁判決は、はっきり支持すると明言をされております。しかし最近になるに従って、だんだんこの点がぼやけてきておる。この機会に、政府はこの最高裁の判決を正式に支持される、少なくともこれをくつがえすとか、あるいはこれに疑義をはさむというふうな言動やあるいは行動に対しましては、私は確固たる政府のはっきりした態度をとるべきだと思いますが、この点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/16
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017・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 お話の昭和二十八年の最高裁の判決は、いわば農地改革が合憲であるという判決でありますが、この判決は妥当なものである。同時にまた政府としては、その見解を当然支持すべきものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/17
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018・久保田豊
○久保田(豊)委員 どうか一つ、きょうの御答弁が長官限りの御答弁でないように、お願いいたします。長官は国会でこう言った、しかしほかの大臣に聞いたら、また違った答弁をされたのでは、これはどうにもならぬのです。いずれあとでこういう重要な問題については岸総理にはっきり確かめて参りたいと思いますので、委員長におきましてもその措置をとっていただきたいと思いますが、これからの問題につきましても、政府全体を代表した御答弁でお願いいたしたいと思います。
そこでその問題に連関して第二の問題としては、政府は現行の農地法を合憲のものとして、正当のものとして維持するはっきりしたお考えがあるかどうか、この点をお伺いいたしたいのであります。と申しますのは、御承知の通り現行の農地法は、農地改革が行なわれた法源であります旧自作農創設維持法、あるいは旧農地調整法、これらの内容を引き継ぎまして、政府といたしましてこれが現行の自作農的な土地制度を支持している法律的な柱になっております。ところがこれに対しまして、地主団体ははっきり農地法の改正ということをその政策の重要な一環として、当初から取り上げておるのであります。最近に至りましては、これは聞くところによりますと、自民党関係者の御忠告で、四百二十数万に及ぶ農地の解放を受けた農民を敵に回しては損だというお考えから、一応正式の文書の表面からは、この問題が姿を消した格好になっております。しかしながらずっと地主団体の出発から今日までの運動の過程その他を全部調べてみますと、はっきりはしております。この点については農地法の改正という問題を取り上げております。これについては政府としてはどんなお考えを持っておられますか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/18
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019・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御指摘の点は政府としてはこれを維持する考えでおりますが、なお農地部長から補足的に説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/19
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020・庄野五一郎
○庄野説明員 農林省からお答え申し上げます。現行の農地法は旧自作農創設維持特別措置法の精神を維持発展させる、こういう趣旨のもとに昭和二十七年に制定されたものでございまして、当然今総務長官からも御答弁がありましたように、これは憲法に違反しない、合憲のものであるという建前にわれわれは終始立っておるわけでありまして、その立場を将来維持するということには変わりございません。なおただいま旧地主の団体等からもいろいろ問題が起こっておりますが、その面からは農地法の改正といったようなことは、ただいまのところでは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/20
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021・久保田豊
○久保田(豊)委員 それではあらためてもう一点明確にお伺いしたいのですが、現行農地法はこれをはっきり維持する。従って旧地主が三十年ごろから盛んに農地法の改正を主張しただけではない、実際行動の上で、たとえば小作料の引き上げ、あるいは保有小作地のいわゆる実力奪還といいますか、こういうこととか、あるいは中にはひどいのは、解放農地まで取り上げようというふうな実力行動に全国で出たことは御承知の通りであります。今は、この前申し上げました通り、やや戦術的に転換をいたしまして、ややこの点はおとなしくなっております。一部におきまして法廷闘争をやっておるのが実情であります。しかしながらこの法案審議の進め方いかんによりましては、必ず同じような問題がまた出てくる、こういう含みを地主団体のうちには持っております。従ってそういう農地法を実質上否定するような行動に対しましては、政府としてはどのような今後態度をとられるか。この前におきましては、一応農林省等も通達は出しました。その他はやっておりますが、内閣全体としてこの調査会を求めて作られてやる以上は、これに対するはっきりした方針なり、あるいは態度を当然持っておらなければならぬものと思うが、この点については、まだ起こらないことでありますけれども、今後どういう方針を持って臨まれるか、もう一度お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/21
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022・庄野五一郎
○庄野説明員 今御質問がございましたように、旧地主の方々から、先般来特に香川等におきまして小作地の取り上げ、ことに実力の行使といったような問題が起こりまして、われわれといたしましてもこれの解決に努めてきたわけでありますが、農地法の厳正適用、こういう立場から、この取り上げ問題に対しましても詳細に調査いたしまして、不当な取り上げということで、この取り上げを認めないという方向へ踏み切って、大体問題は解決はいたしております。今後の問題といたしましては、農地法の厳正適用によりまして、そういった問題に対処して参りたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/22
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023・久保田豊
○久保田(豊)委員 次にその点に連関をいたしましてお伺いいたしますが、今のような大体のお考えなら、かりにこの調査会が調査審議の結論といたしまして、農地改革の成果を一部是正をする、あるいは農地法の改定等を答申した場合は、政府はどうしますか、この点を一つはっきり御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/23
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024・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 まだ農地被買収者問題調査会も設置されておりませんし、これらの問題は調査会ができましてからの問題でありまして、そういう仮定の問題につきましては、お答えしない方がいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/24
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025・久保田豊
○久保田(豊)委員 仮定の問題についてはお答えできませんと言いましても、この点についてはさらにあとで幾つかの問題点についてお尋ねをいたしますが、これは仮定の問題ではありません。何といってもこの調査会の任務といいますか、これがぼけておりますから、どういう答申が出るかわかりません。その場合にこれに対処する基本的な態度をきめておらぬと、そのときどういうものが出るか、出たときによって判断いたします、こんなばかなことですから、最初私が申し上げたように、つまり農地改革の基本的な認識がぼけておるというのは、そういうことであります。はっきりぼけておるのではありませんか。仮定の問題ではない、当然この問題の発展の経過から見て、こういう問題が場合によれば調査会から答申が出るかもしれない、当然予想されることであります。これが仮定の問題で、そのときになってから適当にはからいます、そんなばかなことでこの問題が扱われては困るわけであります。ですから私は当初にあなたにはっきり聞いた。政府としては今までいつもそういう態度で、出てくれば仮定の問題だ、国会の答弁さえ逃げればいいというお考えですから、農地改革という意義についてどう認識をされておるかということもはっきり聞いておる、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/25
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026・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 久保田委員のお話によりますと、何かすでにその調査会ではこういう問題が必ず出るであろうという前提のもとにお話を進められておりますが、私どもは一切今白紙で考えておるわけでありまして、またいわば農地、土地の問題については、先ほど繰り返しお答え申しておる通り、政府の方針には変わりはないわけでございます。この点は御懸念がないように願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/26
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027・久保田豊
○久保田(豊)委員 その点はまたあとでもう一度触れます。次の問題に移りますが、その次は、この提案理由の中にもちょっと出ておりますけれども、補償問題であります。政府は解放農地の買収価格は、これは憲法に合致したものであり、合法的なものであって、正当なものとはっきり認識をされておるのかどうか、こういう点であります。と申しますのは、これは旧地主団体——始終旧地主団体が出ますけれども、何といってもこの法案の一番大きな背景がそれでありますから、これはお耳ざわりでしょうが、お聞き取りをいただきたい。それと結びついた自民党内の関係者の皆さん方の当面の一番大きな主張は、いわゆる農地改革のときの買収の対価が不当である、これを直して国家が補償しろという要求の実現に、すべての要求を統一をして、今自民党内を通じまして政府に働きかけておるというのが、今日の実情であります。そこで私はこの点について政府が基本的にどのようなお考えを持っておるかをお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/27
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028・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 買収されました対価についての最高裁判決は、先ほど申し上げた通り私は妥当なものであると考えておりますので、それに関する補償ということは、とうてい考えられる問題ではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/28
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029・久保田豊
○久保田(豊)委員 妥当だという根拠はどこにありますか。その根拠をはっきりお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/29
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030・庄野五一郎
○庄野説明員 最高裁の判決にございますように、いわゆる公共の福祉に合致するために正当な補償を払った、この正当な補償という条項に合致しているということで合憲だ、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/30
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031・久保田豊
○久保田(豊)委員 管理部長からの御答弁は私は求めておりません。黙っていてもらいたい。あとでこれは農林大臣からはっきり——あなた方みたいな役人の専門家が知っていることをべらべらしゃべったって、内閣のえらい人の頭には入りません。ですから私は、総務長官は当初に伺いました通り、総理大臣の補佐者としてこの問題についてははっきりした御認識を持ってもらわなければ困ると思いますので、あえてお尋ねいたすわけですが、これが合憲である、なるほど二十八年の最高裁でははっきりそういう判決が出ております。これは地主側の主張は主張であるわけです。それに対してなぜ合憲であるか、正しいかということを私ははっきり自信を持っていただきたい。そういう意味においてお答えをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/31
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032・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、最高裁の判決がこれは妥当であると判決している以上、この見解を支持するのは私は当然ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/32
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033・久保田豊
○久保田(豊)委員 そう抽象的に言えば、それで終わりであります。それでは中身は何にもありません。ですから、私はこの点について少し具体的にお尋ねをいたしたいと思うのであります。最高裁のいわゆる対価が合憲であるという根拠は、最高裁の判決の中に明示されております。要するにこういうことであります。その前に、私は地主側が今これを不当である、憲法違反であると言っている根拠を申し上げて、これに対する政府の御見解をはっきり聞いておきたいと思う。
地主側の要求は、これを不当である、憲法に違反をしておる、こういう主張の基礎は何かといいますと、大きく言って私は二つあると思うのであります。一つは、この対価を決定する場合の基準として取り上げた小作料が、戦時の統制以前に行なわれておった高率の現物小作料というものを取らずに、強力な戦時態勢下において政府が決定をしましたいわゆる低額な——大体三九%と覚えておりますが、三九%を基準にいたしました低額な金納小作料というものを土台にしておる、これはけしからぬじゃないか、ああいう戦時下に強力な統制下で行なわれたようなものを基準にするのはけしからぬ、当然その以前のいわゆる物納、高率現物小作料というものを基準にしなければうそではないか、間違っているではないか、これが一つの根拠である。もう一つの根拠は、その後において対価を決定して、対価の支払いまでの間においていわゆるインフレーションが非常に進んで、対価そのものがほとんど経済的に無価値に近くなってきた、これを国家は当然補償すべきじゃないか。縮めて言えばこの二点が地主側の主張であります。これに対しまして長官はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/33
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034・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 地主の方の側におきまして、今御指摘のような、いわば有力な、いろいろ仰せられるような御主張も相当強いということも伺っております。しかし政府といたしましては、最高裁の判決があった以上は、対価はあくまで正当であるという、この判決の考え方を支持するのが当然であると今でも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/34
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035・久保田豊
○久保田(豊)委員 大へん失礼な質問でありますが、長官は最高裁の判決というものをお読みになったですか、どうですか。一つお聞きいたしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/35
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036・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 全文は読んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/36
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037・久保田豊
○久保田(豊)委員 それでは、今の対価に関する部分だけはお読みになったですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/37
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038・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 対価は正当であるという点は読んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/38
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039・久保田豊
○久保田(豊)委員 対価は正当であるという根拠が、はっきり数字をあげて判決理由の中にあるのであります。これはお読みになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/39
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040・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 こまかい点につきましては、よくわかっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/40
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041・久保田豊
○久保田(豊)委員 こまかい点についてはわからなくても、大筋の御説明をいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/41
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042・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 この点は農林当局から答弁を求めていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/42
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043・久保田豊
○久保田(豊)委員 私は農林当局の説明はまた次の機会にいたします。別の観点から私は農林省とは論議をいたしたいと思いますので、ここではいたしません。こういう点については、私はこれ以上長官にどうこう言うつもりはございませんけれども、政府の関係者は非常にお忙しいことと思いますが、こういう点については、せめてその要点ぐらいはぜひ一つお目通しをいただきまして、地主の主張と最高裁の判決とはどこがどう違っておるか、どっちが正しいかというくらいの御判定ははっきり持って、問題に臨んでいただくようにお願いを申し上げます。そうしませんと、いろいろ政治的のあれでもってわあわあ言っているうちに、どっちが正しいのか、どっちが正しくないのか、わからなくなってくる。そういうところに二十六国会以来この問題をこう長引かせ、そうして発展させてきた土台がある。これを所掌される以上は、おそらく今後地主団体と会われるでしょう。その場合に、最高裁の判決のどこが地主団体の主張と対照して正しいかということの御説得をなさる場合においても、お読みになっておらなくては工合が悪いと思いますので、これはぜひお願いをいたすわけであります。時間が長くなりますので、私は最高裁の判決の内容、要点、これらについての論議はまた別の機会に農林省ともっといたしたいと思いますので、きょうはこの点には触れません。
ただこの点について申し上げておきたいのは、今の現物小作料をとるのが正しいか、あるいは法定金納小作料を取るのが正しいかというのが、論点の一つであります。これは憲法二十九条二項の規定からいいましても、法定金納小作料を取るのが正しいことは明らかであります。しかもこの農地の対価の中には、こうして生産者採算方式に基づいて出したところのいわゆる正当なる対価に、さらに地主採算方式によって出しました報奨金というものを加えたものが、いわゆる対価でございます。法律上の対価であります。この点に、最高裁としてははっきり正しいという根拠を求めておるわけであります。ですからこの点は一つ十分ごらんおきをいただきたい。もう一つのインフレによって、いわゆる政府からの対価が、経済的に無価値にひとしい、だからこれを国家がさらに補償をしろ、こういうのが地主側の要求であります。この点については、これはこの法案全体を貫く重要な問題になりますから、私ははっきりお聞きをいたしておきたいと思いますが、政府といたしましてはどういう見解を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/43
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044・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 いわばインフレによる被害であるから、これを何とかしろという説もあるようでありますが、インフレの被害は、これは地主関係だけにとどまらぬことは御承知の通りでございまして、そういう観点からこの問題を取り上げることは間違いであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/44
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045・久保田豊
○久保田(豊)委員 この前の受田委員の御質問に対しては、あなたはそうはっきり答弁をされなかった。インフレによってのあれはほかの、たとえば預金の封鎖によって預金を損した人、あるいは保険をかけておってあのインフレによって保険がほとんどゼロになった人、あるいはもう一つ言えば、戦時中非常に安い米価で供出を強制された農民に対してこれを補償するというような問題、こういう問題が同類の問題として出てくるわけであります。この点について、地主だけがインフレによって損をしたわけではございません。従ってあなたはこの前、そういうこともおいおい考える、ほかのものもおいおい考えるというような御返答をされておりましたけれども、もし地主だけにそういう措置をとられるとするならば、問題は幾らも発展して参りまして、おそらく収拾がつかない段階になり、国家の財政は破綻になるということになろうと思います。この点について、今のような御答弁をもう一回はっきり——この前は受田さんのあれに対しては、ほかの問題についても何か特別においおい考えるような御答弁をされておりましたが、インフレの被害というものについては、地主に対しましては政府は全然これを考慮しない、また法律上払う義務も責任もないと私は考えますが、この点についてはもう一度はっきりした御答弁をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/45
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046・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 この前の受田委員に対するお答えについては、お聞き取りの通り、インフレの被害者というものはずいぶんある、ただインフレという観点からだけ取り上げることは、問題が狭くなるのではないかという趣旨でお答えしたわけであります。今でもインフレに対する被害という点では、いろいろ大きな問題があろうと存じておりますが、あくまで私どもは、先ほど繰り返し御答弁申し上げております通り、補償ということは考えておりません。従ってそういう観点から、私どもはこの問題を吟味していきたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/46
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047・久保田豊
○久保田(豊)委員 補償ということは考えないというわけでありますが、それは法律的に補償をすべき義務なり責任が政府にないとはっきり言い切れるわけですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/47
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048・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 農地法の買収価格の対価の問題につきましても、先ほどお答えしました通り、これは正当である、妥当であるという見解に立っておりますので、従って補償に対する法律上の義務はないという考えを持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/48
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049・久保田豊
○久保田(豊)委員 地主側のインフレによる被害云々という点の一つの論拠としては、あの対価を決定するときの基準になった米価は、御承知の通り生産者米価が石当たり百五十円、地主米価が五十五円であります。ところがその後ずっとこれが年々上がって参ってきております。従いまして他主側は、米が上がればその米を生産する土地の値段が上がるのは当然である。こういう観点からこれはインフレの被害というものが、そういう形において地主の損になっておるのだからということを一つの論拠にいたしておるようであります。この点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/49
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050・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 農林当局から答えせさます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/50
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051・庄野五一郎
○庄野説明員 当時の石当たりの米価は、御質問のように百五十円でございまして、当時インフレの関係であとで三百円に是正されておりますが、当時といたしまして、これは二十年産米でございますが、この二十年産米は初め石当たり九十二円五十銭で決定されて、それが百五十円になっております。さらにそれが三百円になっておりますが、百五十円でわれわれは計算して、地主の土地の採算価格を算出いたしております。そのときはやはり百五十円で計算いたしまして、それから費用の方もその計算でございます。地主の方からよく言われますが、三百円ではないかということになりますが、百五十円を三百円に直すだけでは誤りであります。三百円にすれば農民が投下いたしました生産費の方もインフレで高くなっておるわけでありますから、それを引けば結局百五十円と同じになるということで、われわれは百五十円で計算して正しい、そういうことで法律上義務はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/51
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052・久保田豊
○久保田(豊)委員 今の庄野さんのお考えで大体いいと思いますが、これはその後なるほど対価の支払いが終わりました二十五年でございますか、それまでの間に生産者米価は何回か次々に百五十円から修正されております。しかしながらこの米価の修正は、あの当時はまだ私どもいろいろ農民運動をやって苦しんでおったわけですが、あの当時の米価は、生産費がインフレによってどんどん上がる。その上がった生産費を、政府の方はあとから足らずまい足らずまいと追っかけていってくっつけたような米価であります。従ってあれを採算をとってみれば当然赤字であります。従いましてそういう赤字から自家労賃に食い込まず、そして農民に利潤分をとれば、大部分というものは全然残らない、対価を決定した当時よりその後の数年間の方がはるかに、農民の立場からいたしますれば、この地価という問題についてはもっとシビアな態度をとってしかるべきものだと私は思います。今ここで詳しい計算を申しません。しろと言えば資料を持っておりますからやりますけれども、いたしませんが、そういう事情ですから、そういう点についても今農林省当局からごく大ざっぱな説明がございましたけれども、少なくとも総務長官におきましても、そういう意味においてインフレによって米価が上がった、従って土地価格は当然地主側の方の取り分というものを上げなければならないのではないかという主張は、これは法律的にも事実上の計算からいっても根拠がないということを、明確に御認識を願いたいと思うのであります。
それからもう一つお伺いしますが、この問題に対して政府は非常に厳格な態度をおとりにならないと、あとからへんなことになるということであります。その意味は二つあります。一つはさっきお話のように、もし地主がインフレによって損害をこうむったから、それで政府が補償しろということを地主に対して認めるならば、当然預金封鎖によって損害を受けた当時の預金者、あるいはインフレによって大損害を受けたところの簡易保険なり生命保険者、あるいは戦時の安い統制価格によって米の供出をしました農民に対するその後の補償、あらゆる問題が出てきまして、これはどうにもならなくなるということは、もう長官も御認識の通りだと思います。もう一つの点は、もしこれを認めるとしますと、この問題だけの解決が非常に大きな困難になるということであります。というのは、かりに地主団体がこのインフレによる被害という点を、正式にはどこもどの団体もきめておりません。地方の旧地主団体ではきめておるところもありますけれども、大体において反当十万円を国家補償しろということを言っておるのであります。これはどういう根拠でやったかといいますと、戦前の土地の自由価格、これは勧銀の調査によりますと三百三十三円であります。この三百三十三円を今日の時価に換算をする。これを百五十倍いたしたものであります。これをしますと十一万何がしになります。これを基礎にいたしまして大体十万円を国家補償せよというのが、地主団体の基本的な要求であります。これはお聞きになっているかどうかわかりませんけれども、その後自民党関係者の皆さんその他のごあっせん等もあったと見えまして、一部では十万円ではとてもだめだろうから、大体において二万円ないし三万円くらいにしたらどうだろう、こういう意見も出ておるようであります。かりに反当十万円としてこれに地主団体の主張するように補償を国家がするとしますれば、その総額は二兆円であります。その二兆円のうちの二割を現金交付しろ、あとは十年間の交付公債でやれというのが、地主団体の大体の主張のようであります。そういたしますれば、二割といたしましても四千億であります。その四千億、さらにその後一兆六千億に対する利子を五分とみなしても、利子負担だけで年々八百億以上になります。そういうことが国家財政でできるかできないか。これはできないことは明らかであります。さらにかりに反当三万円といたしましても六千億であります。来年の予算が組めるか組めないかというそこまで心配してお作りになった政府が、今後十年なり何なりの間に六千億の負担ができるものとは、常識で考えても考えられない。この点に対してはっきりした態度をとりませんと、この問題はこういうところに発展をして参りますので、私はお聞きいたすわけであります。こういう補償について、かりにこういう結果になりますが、もし調査会が調査審議の結果何らかの形において、形はどうであれ補償金といえ、あるいは給付金といえ、あるいは見舞金といえ、いずれの形におきましても、地主に対しまする国家補償はさっきのお話で法律的な義務はないということは明らかでありますけれども、何らかの政治的考慮においてやられるようなことがありますれば、大へんなことになると思います。何らの形におきましても補償に類することは一切いたさないということを、この機会に御言明ができますかどうか。この点になると政府の態度は、補償ということはしないけれども——このあとがこの説明書の中でもぼけて参るのでありますが、この点をはっきりいたしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/52
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053・淺香忠雄
○淺香委員 関連。今久保田委員の発言中に、自民党で云々のお話がありましたが、私どもは異なことを承るものだと実はいささかあきれているような次第でございます。地主側で十万円の補償を要求しているというようなことも私ども耳にした覚えもなければ、いわんや自民党において反当たり二、三万円の補償をするなんて言うているようなことは、おそらく自民党から本日出席されておられます内閣委員ひとしく否定されると思うのです。そういう非常に飛躍的な見解のもとに御質問をしておられるようでありますが、私どもはこの農地調査委員会なるものは、あくまで補償していいものか、もしくはその必要のないものか、あるいはまた旧地主階級におきましても今日非常に困っておられる方もお見受けするが、どうこれを処置するか、調査するかという目的のもとにこの法案が提出されたものだと解釈いたしております。そういう意味合いにおきまして、どうぞ長官の方でもそういったことを御考慮になって御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/53
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054・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御質問の点でありますが、これは繰り返しお答えしています通り、いわゆる補償というものは考えるべきものではない、これは一貫しております。なおまたこの調査会は、この社会的な問題等につきまして調査をして、一体どういう実態にあるかという実態をまず把握することが第一の目的である、またしからばその実態に基づいてどういう処置が必要であるかということが第二に起こる問題でありますが、これは最高裁の判決を支持するという建前をとっております以上、補償ということは考えておらぬということを再びはっきりいたしておきまする発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/54
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055・久保田豊
○久保田(豊)委員 ただいま私の発言をちょっと誤解をされたようでありますから、訂正をはっきりいたしておきます。というのは、私は自民党のあれによってと言ったわけじゃない。自民党のごあっせん等によってか知らぬが、二万、三万という額を出して参った、こういうことを言ったのであります。それが自民党がやったとはっきり申し上げたわけではありません。その点は誤解があると、私はこういうことでこういう重要な問題を与党の委員とごしゃごしゃやるのはいやですから、はっきり訂正をいたしておきます。
そこで今長官の御答弁は、まだはっきりいたしません。私のお聞きいたしましたのは、補償金という名義であれ、あるいは給付金という名義であれ、あるいは交付金という名義であれ、あるいは見舞金という名義であれ、いかなる名義におきましても、いわゆる地主の対価に対しまする実質上の補償を政府は絶対にいたさないということを、この機会にはっきり言明ができますかと聞いておるのであります。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/55
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056・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 今申し上げておりました通り、調査会が実態を把握して、処置が必要であるかどうかと第二の問題に取っ組まれると思うのでありますが、それが出ましてから政府はその答申なり調査の結果に基づいて考慮せらるべき問題でありまして、今からいろいろな補償とかあるいはその他の問題を前提として、政府の態度をここで申し上げることは差し控えたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/56
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057・久保田豊
○久保田(豊)委員 それはちょっと変じゃないですか。法律上義務がはっきりしない、これはあなたがおっしゃった通りであります。しかも農林省のさっきの答弁でも、インフレによって米価云々という問題があったけれども、これは農民側においても、この対価を改訂するところの経済的な根拠もなかったとはっきり言っておるのであります。それにもかかわらずこの点を今の段階で調査会の答申といたしまして、はっきり結論が出なければ何とも言えないなんてばかなことでは、どうにもならぬじゃないですか。そういう態度であるから、この問題に全国の農民が非常な疑問を持ってくるのであります。この問題に対する二十六国会からの政府の答弁をずっと調べてみますると、岸総理大臣も大体二十七国会ないし二十八国会までは、政府としては地主の要求に対してもこれを補償すべき法律上の義務もないし、補償はしないということをはっきり言い切っておるのであります。ところがその後においてはこれがだんだんぼやけて参りまして、この調査の結果云々ということになって参った。これは基本的な問題であります。調査会の結論が出てからどうこうするなんというぼけたことでは困ると思う。補償をする法律上の義務がない、そうして補償をすべき経済上の根拠もない、こういうことがはっきりいたしたのに、何を調査して、その結論が出たらどうするのでありますか。ですからこの法案が表面は社会的な問題云々といっておりながら、実質においてはいわゆる地主に対する国家補償をかちとるところの手だ、みなこう言って農民は不安がっているのであります。最高裁の裁判でもはっきり法律上の補償すべき責任はないということを言っておる。そうして今の御答弁でも、経済的なそういう根拠もないということがはっきりしておるときに、これに対して調査会の結論が出なければ何とも言えませんでは、これはどうにも納得がいきません。この点もう一回、いかなる名義によるといえども、実質上の補償金に相当するものは絶対に払わないということを明言されますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/57
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058・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 いわゆる合憲的な農地改革の対価の問題について、先ほど来お答えいたしております通り補償は絶対に考えておりません。従っていかなる処置をとるかという点についてまだ結論は出ないし、調査会の設置を見ないわけでありますが、私どもが一貫してきておる補償という点については、絶対にこれは政府は払わないという点だけは明確にいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/58
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059・久保田豊
○久保田(豊)委員 それは名義上の補償というだけでなくて、実質上の補償は名義、形式のいかんを問わず払わない、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/59
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060・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 調査会は二年間の調査を目標にしておりますが、いかなる処置をとるかという具体的な結論の出ない今日におきまして、いろいろな問題についての明確な答弁ということは求められるのが無理ではないか。いわゆる補償については払わないということがはっきりしておりますので、この点だけは明確にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/60
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061・久保田豊
○久保田(豊)委員 もう一点お伺いいたします。補償は政府としては払わない、しかしながら補償ではない何かほかの形で、名義はいずれにいたしましても、政府は払うようなことになるかもしれぬというのですか。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/61
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062・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 調査会の結論なり答申が出たときに検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/62
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063・久保田豊
○久保田(豊)委員 この点についてもう一点お伺いをいたします。さっきも申し上げたように、委員会の結論がどういうことになるかわかりませんが、地主側がかりに一反歩十万円ないしは三万円の要求というものをいたしましても、その金額は莫大なものになります。私はこれは今の政府の財政で払えるものとは考えません。また一般の納税者の立場から見まして、これを一般の税金から払うということは、おそらく国民全体が承知しないでしょう。同時にここではっきりお聞きしておきたいのは、かりに実質上の補償ではないけれども、何らかの形で金銭給付なりを旧地主にするという場合に、その財源を解放を受けた農民の拠出なりその他の税金なりに求めるということは絶対にしないということが明言できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/63
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064・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 具体的な結論が出ない前に、いろいろな仮定の前提に基づいてお答えすることは、政府としてやはり慎しまなければならぬと考えております。ただいわば解放を受けた者の負担においてという点につきましては、御意見の点は十分尊重し、いろいろ慎重に検討いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/64
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065・久保田豊
○久保田(豊)委員 そうすると土地の解放を受けた者から何らかの金銭的な支出を求めるということはしないということは、はっきり言えないというわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/65
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066・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 これは繰り返し申し上げております通り、まだ結論が出ておらない。それに対する対策を今から明確にしろと言われても、答申なりの答えがはっきりしないうちに、それに対する対策が明確にされないことは、常識上当然でございます。ただ御意見を十分に慎重に検討するということ以外に申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/66
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067・久保田豊
○久保田(豊)委員 なるほど調査会を設けるのだから、調査会の結論によってするというようなお答えでありますが、この点は農地改革そのものについてもそれに似たような答え、農地法の改正の問題についてもそれに似たような答え、それから今の対価に対する補償の問題についても調査会の結論を待つということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/67
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068・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 これはお聞き取りの通り、対価の問題については正当であるとはっきり申し上げております。補償についてもすべきでなということもはっきり申し上げておるのでありまして、法律的に政府として最高裁の判決を支持した以上は、その点は今からでも基本線としてはっきりお答え申し上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/68
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069・久保田豊
○久保田(豊)委員 それなら私はきょうの質問の最後にあらためてお伺いをいたしますが、農地改革並びにその成果ははっきり維持する、農地法も維持する、それから補償はしないというならば、なぜこの調査会の調査目的の中に、はっきり農地改革並びに補償というものが調査審議の範囲外であるということを明確にしておきませんか。これは当然すべきものだと私は思う。それがないから、私は社会問題云々という点については、この次の機会に具体的にお伺いをいたしたいと思う。私がこう言うと委員の皆さんのうちには、何か先のわかりもしないことを言っておると思う方もおるようですが、わかりもしないことではなくて、私は次の機会に次々に事実を申し上げますけれども、これがわかりもしないことではないからこういうことを申し上げておるのであります。ですからここではっきり私は長官にお答えをいただきたいのは、この調査会の目的から、農地改革とその成果並びにその補償問題は、調査審議の対象ではないということをはっきりこの中に入れていただきたいと思うのですが、この点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/69
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070・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御指摘の点は当然考えられる問題でありまして、特に明文をもってこれを書き入れるだけの考えを持っておりません。当然これは守らるべきことだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/70
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071・久保田豊
○久保田(豊)委員 当然といいますけれども、これはこの次の機会に私は具体的に論議しようと思いますから、きょうは省きますけれども、この調査会の社会的問題云々ということは、きわめて内容が不明確であります。政府の提案理由の中に、「言うまでもなく農地改革は、正当な法律に基づいて正当に行なわれたことであって、これを是正する意味における補償は考えられないのでありますが、現行の農地法の問題とは別個に、この農地改革の副次的」云々こう書いてあります。しかしこれらの事柄はこういうふうな文章だけではごまかされません。はっきり事実であります。この事実を明確にいたしまして、これに対しては私は当然この調査会の調査審議の対象外であるということをこの法律の中にはっきり加えることが、政府の提案理由の説明にあるようなことを明確にして、この点について不安を持っている大ぜいの農民の不安なり疑問を解く最良の策だと私は思うのであります。長官もおっしゃるように、農地改革の成果には手をつけない、そして補償はしない、こういう意味ならこれをはっきり入れられたらどうですか。入れても法律の体としては何ら矛盾をするものでない。私は次の機会にはっきり申し上げたいと思いますが、そうすればこの社会的な問題の内容、範囲がはっきりいたして参るのであります。それがない限り、この社会的な問題というものの内省の範囲は一向にはっきりいたしません。今までのような御答弁だと、ますますこの法案につきまして私どもは疑問を持たざるを得ない、こうなるのでありますが、この点については繰り返し御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/71
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072・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御意見ではありますが、提案理由の中にもはっきりとその点うたってありますし、また本会議、委員会等でも累次の質疑応答で明確にされておりますので、この中には明文を持って挿入する考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/72
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073・久保田豊
○久保田(豊)委員 今のお答えではまだ不十分でありますが、本日はここまで一応質問を打ち切っておきます。残余の質問は次の機会にいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/73
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074・福田一
○福田委員長 次会は明二十六日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00819600225/74
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