1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十五年二月二十六日(金曜日)
午前十一時四分開議
出席委員
委員長 福田 一君
理事 岡崎 英城君 理事 高橋 等君
理事 辻 寛一君 理事 前田 正男君
理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君
理事 田万 廣文君
淺香 忠雄君 内海 安吉君
小金 義照君 始関 伊平君
橋本 正之君 保科善四郎君
飛鳥田一雄君 久保田 豊君
杉山元治郎君 受田 新吉君
出席政府委員
内閣官房副長官 松本 俊一君
法制局長官 林 修三君
人事院事務官
(給与局長) 瀧本 忠男君
総理府総務長官 福田 篤泰君
総理府総務副長
官 佐藤 朝生君
総理府事務官
(内閣総理大臣
官房公務員制度
調査室長) 増子 正宏君
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 船後 正道君
委員外の出席者
宮内庁長官 宇佐美 毅君
防衛庁書記官
(人事局調査
官) 山本 明君
専 門 員 安倍 三郎君
—————————————
本日の会議に付した案件
特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第二二号)
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第二三号)
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二四号)
行政機構並びにその運営に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/0
-
001・福田一
○福田委員長 これより会議を開きます。
行政機構並びにその運営に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますのでこれを許します。受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/1
-
002・受田新吉
○受田委員 後ほど政府を代表する官房長官か副長官においでいただくそうでありますから、政治的な問題はその方へ譲ることとしまして、宮内庁に関する事柄についてお尋ねをしたいと思います。
宮内庁長官にお伺いをしたいのでありますが、二十三日に皇長孫がお生まれになられた。このことにつきましては衆議院の賀詞の奉呈がありましたごとくに、私たち国会議員も国民も、憲法第一条の国の象徴たる天皇の跡継ぎとしてのお方が生まれられたという意味におきまして、心から慶祝をするものであります。
そこでこの新しい親王が生まれられたことについて、次の諸点をお尋ねして、宮内庁長官の御見解をただしたいと思うわけですが、それに先立ちまして、宮内庁長官は内閣総理大臣の直接の指揮、監督を受けられる立場にある職務を担当しておられると了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/2
-
003・宇佐美毅
○宇佐美説明員 宮内庁は総理府の付属機関ということでございまして、外局でございまして、内閣総理大臣の管理下にございますので、ただいまお尋ねの通りであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/3
-
004・受田新吉
○受田委員 あなたは天皇の認証を受けて任ぜられる認証官であられるはずです。従って内閣総理大臣の直接指揮監督を受けると同時に、どこかに総理大臣の指揮監督権に制約を受ける部分はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/4
-
005・宇佐美毅
○宇佐美説明員 法文には指揮監督という言葉はございませんが、いわゆる管理下にあるという表現になっております。まあ法律上のことは別といたしましても、宮内庁も国の機関でございまして、皇室に関する事務を扱う役所でございまするが、しかし宮内庁という立場から申しまして、皇室、ことに天皇の御行動につきましては、われわれとしても憲法上の天皇のお立場というものをよく考えて行動しなければなりません。従って総理大臣との関係におきましても、われわれといたしましては、憲法に示されました趣旨のもとにおいてわれわれとしても意見を述べるべきことは述べるべきものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/5
-
006・受田新吉
○受田委員 内閣総理大臣から皇室事務に関して——皇室事務も国家事務の一つでありますから、総理大臣の所管に属することにはなるのでありますが、皇室関係の特殊の事務に関してあなたが総理大臣から、いわゆる指揮権というものの発動で、あなたに対して天皇、皇后あるいは皇太子御夫妻等の行動に関する一つの圧力をかけられるような際に、あなたはこれを拒否するほどの権限があるのかないのか、それを一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/6
-
007・宇佐美毅
○宇佐美説明員 宮内庁長官といたしまして総理大臣の命令に対しては服さなければならないかと思います。しかしあとはもう実際問題に移ると思います。われわれといたしましては皇室に関する国家事務というものを扱いまするけれども、しかし私の心がまえとして皇室に関する問題につきましては、十分意見を述べていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/7
-
008・受田新吉
○受田委員 一例を皇太子御夫妻の外遊にとります。この一月二十日に岸・アイク会談で、明らかにアイク訪日の交換的な意義を持って、皇太子御夫妻の五月中旬アメリカ訪問を約束しておられるようでございますが、このことに関して宮内庁長官はいかなる見解を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/8
-
009・宇佐美毅
○宇佐美説明員 一般的に申し上げますと、国賓をわが国に招待するという問題は、これは大体国務に関する問題でございまして、われわれといたしましては——われわれと申しますか、皇室としては、直接イニシアチブをとって発動されるということは過去においてもございませんし、その点は十分気をつけなければならぬ問題だと思います。今回の場合におきましても、皇室の方から外国の元首をお招きすることはないのでございますけれども、しかしいわゆる国賓としてお扱いする以上、来られた場合においては皇室がこれを接伴されるということは国際慣例でございます。これは当然のことでございます。従って政府は、過去の例におきましても、一応招待ということがきまりますときには、皇室の御接伴をいただけるかということをいつも打ち合わせがございます。今回の両殿下に対するアイゼンハワー大統領の招待につきましては、お述べになりました通り、岸総理がアメリカに行かれたときに起こった問題でございますが、岸総理はそのとき、これは皇太子様に申し上げてからの問題であって、自分としては実現に希望すると言って、時期なりその他についてはっきりと確約してはおられません。ただそういう声明が出ました以上は、希望されていることであり、われわれといたしましても両国の大きな意味の国際親善ということで、できるだけこれが実現について考えなければならぬ問題だというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/9
-
010・受田新吉
○受田委員 岸総理に伺わなければはっきりしない点があるのですが、一月二十日のアイク・岸共同声明では、皇太子御夫妻の訪米は五月中旬が適当であるというふうに発言をしておられると聞いておりますが、あなたはその点を了承しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/10
-
011・宇佐美毅
○宇佐美説明員 そういう点は全然聞いておりませんし、岸総理にもお確かめしましたが、時期については何ら話していないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/11
-
012・受田新吉
○受田委員 時期の問題は非常に大事なことでありますと同時に、訪米そのものが問題視されると思うのでありますが、これは新聞記者会見の席上で発表された報道でありますから、記者の聞かれた声と岸総理が言われた声の調整は別の機会に確かめることといたしますが、ここであなたにお伺い申し上げておきたいことは、岸総理が国事として皇太子御夫妻の旅行を利用されるということがあったとしたならば、これは非常に重大な問題であって、政治と皇室関係の象徴としてのお立場とが混同されることになる。あなたはそういう場合には、たとえば岸総理が政治的に皇太子御夫妻、天皇、皇后を利用しようという場合には、断固として拒否することができる職権があるかないか、お伺いを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/12
-
013・宇佐美毅
○宇佐美説明員 ただいま申し上げました通りに、外国の元首を招待し、あるいはこちら側からの皇族の訪問を考えるということは、これは外交的な問題になりまして、根本的にはやはり大きな国務の一つでございます。われわれといたしましてそれは政府、内閣の問題であると思います。原則的にはそうであると思います。しかしながらただいまお尋ねの通りに、それが露骨に特定の政治活動、一つの派の利益になるというようなことにつきましては、われわれとしましては、あくまでそういうことが皇室にあってはならないことでありますので、いたしますけれども、しかし大きな意味においては国際親善と申しますか、これも大きな広い意味の政治とあるいはおっしゃるかもしれませんが、皇族というような地位の方が行かれますならば、そういうことは当然起こって参りますけれども、ただ特定のものに利用されるということにつきましては、われわれとしては十分気をつけなければならぬと思います。政府におかれましても、当然そういう点は十分考えてされることだろうと私どもは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/13
-
014・受田新吉
○受田委員 政府として十分考えないで、これを政治的に利用しようという場合に、これを拒否する権限が全然ないということになると、大へん遺憾なことだと思うのです。あなたとしては政府が良識をもって措置するであろうというところに淡い期待を持つにとどまるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/14
-
015・宇佐美毅
○宇佐美説明員 われわれの役所といたしましては、総理大臣の監督下にございます。しかし皇室そのものにおかれては、そういうお立場に法制上はないと私は思います。そういう行かれる方が皇室の方々といたしますならば、われわれとしてはその点に対して十分政府とも意見を戦わせて、間違いなからしむるという努力をすべきであるという考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/15
-
016・受田新吉
○受田委員 宮内庁当局として、しからばアメリカ訪問と、イランとかエチオピアとかインドとかいう中近東、あるいはアジアの国々の訪問と、どちらに重点を置いておられるのか。国際親善とか答礼とかいうことの意義を考えたときに、何らかの結論を出しておられると思うのですが、お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/16
-
017・宇佐美毅
○宇佐美説明員 終戦後わが国に外国の元首が多数お見えになりました。エチオピア、イラン、インド、インドネシア、フィリピン等でございます。その後そういう国々の方から皇太子殿下のおいでをいただきたいという希望があるようにわれわれに伝わります。私どもといたしましては、かねて適当の時期にこういうことは考慮すべきではないかということは、外務当局とも話をいたしているところでございます。従って私どもといたしましては、各国どこが重いというわけに参りません。すべてそういった問題につきましては、各国平等に重要な問題として考えていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/17
-
018・受田新吉
○受田委員 そういたしますと結論としては、アメリカ訪問、東南アジア訪問、中近東訪問の国を先にされ、あるいはいずれにどういう意義をもって旅行せられようとするか、これらの点についてお答えをいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/18
-
019・宇佐美毅
○宇佐美説明員 私どもといたしましては、実は昨年あたりからエチオピア、インド、イラン方面の御訪問について、外務省当局とも具体的に検討を始めておったわけでありますが、御結婚、御妊娠等のことがございまして、その後進行いたさなかったわけでございます。その後にアメリカとの間に、ことし百年祭に際してという問題が起こって参りました。私どもといたしましては、現在皇太子殿下、同妃殿下の御健康、御都合を慎重に考え、また相手国のいろいろな都合を考えまして、なるべくならば本年においてそういう問題を解決していけるように考えまして、外務当局の方とも相談を始めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/19
-
020・受田新吉
○受田委員 時期的に秋以後がいいという答弁を前にしておられるようでございますが、美智子妃殿下は前々からお子さんが生まれられたならば、自分の乳で育ててやりたいという気持を持っておられる。皇太子もそういう気持を持っておられるわけです。従って新宮が御誕生になった今日も、おそらくかねてのこの皇太子御夫妻の御希望は変わっていないと思うのでございますが、宮内庁長官としてお二人の御心境をどういうふうに聞いておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/20
-
021・宇佐美毅
○宇佐美説明員 私どもも東宮両殿下のお気持もくみまして、従前ございましたように、乳人制度というものも今回は採用いたしません。もっともただいまの皇后陛下も乳人をお使いになりましたのは夜だけでございましたけれども、今回は全部そういう制度を廃しまして、母君としてみずから授乳されるという建前で現在進んでいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/21
-
022・受田新吉
○受田委員 生理的に見ても、授乳をとどめてよい時期がどこにあるか、それとかね合わせての外国御旅行を考えてあげるようにしておられるのかどうか、この点もあわせて御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/22
-
023・宇佐美毅
○宇佐美説明員 具体的問題につきましては、妃殿下の今後の御状況を見なければならぬことはもちろんでございます。もちろんこのお二方で、そう長期でないにしろ外国までおいでになりますことにつきましては、医学的な見地から、侍医等の意見も十分徴したる上決定すべきものと考えております。もちろん母乳でお育てになります以上は、なるべくそれでいく方がよろしいわけです。しかしやはり妃殿下のお立場として御健康もよろしいし、皇孫殿下もよろしいというような時期において、もし妃殿下がお出ましになるなら、そういう時期でなければならぬ、われわれはそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/23
-
024・受田新吉
○受田委員 長官の御答弁によって、皇太子御夫妻での御旅行の場合は、医学的に見て、生理的に見て差しつかえのない時期までは実行をしない、かように了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/24
-
025・宇佐美毅
○宇佐美説明員 私といたしましても、御支障があるのにお出ましになることはできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/25
-
026・受田新吉
○受田委員 五月か六月かに、皇太子単独で御旅行をされるというような事態が起り得る可能性がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/26
-
027・宇佐美毅
○宇佐美説明員 外国御旅行全般についてでございますけれども、また同時に今回のアメリカ側の希望というのも、われわれの耳に達します範囲では、お二人おそろいでおいでいただきたいという希望が多いのではないかと察しております。ですから私どもも、外国側もそういう時期について十分検討するのではないかと信じておりますが、こちらの都合ばかりでなく、向こうも忙しい各国の元首であられますから、こちらの都合がよくても向こうが悪いときもございます。そういう場合には、御健康によってあるいはお二方なり、あるいは、これはそういうことがあっては困りますが、皇太子様も御健康がお悪いことが起こるかもしれないことを予想いたしますと、おいでになられぬこともあるかもしれませんが、われわれとしては、御健康を犠牲にしておいで願うということは、私の立場としてできないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/27
-
028・受田新吉
○受田委員 総理大臣から政治的に考えないとたとい表面で言われたとしても、内面的にそういったような要求があった場合に、宮内庁長官の立場として、今の決意でこれを拒否するということをはっきり断言できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/28
-
029・宇佐美毅
○宇佐美説明員 総理大臣も、この問題につきましてはきわめて慎重に考えられておりますので、われわれといたしましても、これを政治的にどうこうというようなことは全然ないものと確信いたしております。ことにアメリカの皇太子様においでいただきたいというようなことは、実は昨年の八月ごろ、アメリカの民間側から起こっておるわけです。いわゆる最近の各種の重要な問題の前から出ている問題です。アメリカ側としてはそういうことでございましょうし、われわれといたしましての感じでは、これを総理大臣が政治的に考えられるとは思いませんし、私が総理大臣とお話しいたしましても、非常に慎重にやられておると私は確信をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/29
-
030・受田新吉
○受田委員 国際親善を目標にして旅行される場合の、予定地域を申していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/30
-
031・宇佐美毅
○宇佐美説明員 先ほど申し上げました通りに、今まで外国の元首で見えました国は、エチオピア、インド、イラン、インドネシア、フィリピンでございます。本年も今のところ二組くらいおいでになるような情報もございます。そういうような状況でございまして、国際親善を実現いたしますためには、わが国からもどなたかがおいでになるということはどうしても必要であろうと考えております。その場合に皇太子殿下ばかりがおやりになるということも、実際問題としてむずかしい場合もございましょう。そう一度に長途の御旅行ということも無理なこともございましょうし、そういう場合には政府の意見を聞いて協力してやって参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/31
-
032・受田新吉
○受田委員 これは法律問題に触れますが、皇室典範に天皇と皇族の規定が掲げられておりますが、皇太子と皇太孫は天皇及び皇族の中に入っておらないのでありますが、これはどういう意味でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/32
-
033・宇佐美毅
○宇佐美説明員 皇太子、皇太孫は皇族の中に含まれております。天皇だけが特殊な、皇族というふうには申し上げていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/33
-
034・受田新吉
○受田委員 皇室典範の第二章に皇族の範囲として、「皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王を皇族とする。」それから十一条に皇太子及び皇太孫を除くという親王があるのですが、この親王の中に入れるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/34
-
035・宇佐美毅
○宇佐美説明員 仰せの通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/35
-
036・受田新吉
○受田委員 そうするとここで新しい問題を一つお尋ねするのですが、皇長子、皇長孫という皇位継承の順序が第二条に掲げてあります。この皇長子、皇長孫は皇太子、皇太孫と解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/36
-
037・宇佐美毅
○宇佐美説明員 皇太子が第一順位で、ここにあります皇長子ということになります。皇長孫と申しますのは、皇太子の第一の親王ということでございます。いわゆる皇太孫と皇長孫とはちょっと違いまして、皇太孫というと、ちょっと性格がわかりませんでございますが、順位といたしましては皇太子の第一の親王ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/37
-
038・受田新吉
○受田委員 今度の新宮は法律的用語からいって、皇太孫というべきか、皇長孫というべきか、いずれでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/38
-
039・宇佐美毅
○宇佐美説明員 第二順位は皇長孫でございます。皇太孫というのは皇太子がおられないときに、第一順位になられた皇孫を皇太孫というのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/39
-
040・受田新吉
○受田委員 今後は皇長孫殿下というわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/40
-
041・宇佐美毅
○宇佐美説明員 第二条の皇位継承の順位からいえば、皇長孫に当たられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/41
-
042・受田新吉
○受田委員 ここで一つ問題を提起してみたいのでありますが、この皇長子、皇長孫という規定が書いてある以上は、皇太子を皇長子ということができるならば、皇長孫も皇太孫ということができるのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/42
-
043・宇佐美毅
○宇佐美説明員 皇室典範の第八条に「皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という。」とはっきり書いてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/43
-
044・受田新吉
○受田委員 それにまた関連することになるのですが、これは男系の男子が皇位を継承することになっておりますので、そういう言葉が言えると思うのでございますが、女子の場合に——たまたま今回男子の方がお生まれになったので宮内庁はほっとされたと思うのでございますが、その男子の方が、将来事故が起こられたという場合に、また不幸な事態が起こったというような場合に、女子という立場を抜きにして男子だけを尊重するという従来の概念をこの機会に改めておくことも、やはり意義があるのではないかと思うのですが、憲法十四条の規定による男女同権ということを取りやめて、なぜ日本の皇室典範が男系の男子に限定をしたかという点について御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/44
-
045・宇佐美毅
○宇佐美説明員 これは前国会においても出たことでございますが、いわゆる女帝を認めるかどうかという基本的な問題になると思うのであります。やはりいわゆる世襲としてその家の御血統が続くということが男子によってつながるという考え方から、わが国におきましてはこういう制度をとったわけでございます。もちろん過去において女帝の立たれた例外的な場合はございますけれども、明治以降におきましてははっきり憲法において、及び今回の新憲法におきましても、皇室典範におきましてこれを踏襲いたした次第と考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/45
-
046・受田新吉
○受田委員 先般法務大臣が、男子のお子さんが生まれた場合と女子のお子さんが生まれた場合とで、国民感情が相違するということを参議院で言っておられるのです。われわれはたとい男子であろうと女子であろうと、お子様が生まれることに対しては祝意を表するわけで、そういうところに日本の皇室だけを男性中心主義にしておられるところの誤謬があるのじゃないかと思うのです。この機会に、あなた方のお立場で、この男女平等の原則を考える時期が来ているとお考えではないでしょうか。これはいい機会だと思う、皇長孫が男性であられたということは、あなた方としては非常にお喜びのところであり、われわれとしても喜んでおるところでありますが、将来の問題として、この男女平等の新憲法十四条の原則を確立するという、そういう用意をしておかれる必要があるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/46
-
047・宇佐美毅
○宇佐美説明員 ただいまお述べになりました通り、今回の御出産につきまして、その性のいかんを問わず、われわれとしてはまことに喜びとすべき問題であることは仰せの通りであります。ただ現在の法制におきまして男子が皇位継承権をお持ちになるという点から、人によって多少の感情の動きが出るだろうと思いますけれども、ただ将来の問題として世間でもいろいろ議論のあることでございます。しかし私個人のことを申し上げますと、その問題につきましては、いろいろなこまかい点で非常に考えなければならない点があると思います。皇位の本質的な考え方、世襲の根本的な考え方、あるいはかりに女帝を認めた場合に対するその配偶の方の処理の問題、非常にむずかしい問題が実際問題として起こるのでございまして、今直ちにこの問題について解決をしようという考えは、私は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/47
-
048・受田新吉
○受田委員 封建的な考えが長官に残っておることを悲しむものですけれども、これはそうした皇室の立場を考えて宮内庁の事務をやっておられる長官の存在する限り、この問題は解決できない、かように了解できるわけです。私はこの問題は、新しい問題として十分御検討願うべき筋合いのものだと思っておりますが、きょうはこれだけでその問題は質問をやめておきます。
いま一つ二つ時間を縮めてお尋ねしたいことがあるのですが、今度の新宮の御命名は二十九日になさるということでございますが、その御命名にあたって、おつけになられるお名前、そういうものに何かの新鮮味を考えて、新時代的感覚を漂わせるという御意思が、宮内庁にも、あるいは天皇のお気持の上にもおありになるでしょうか。古典的な名称ではなくて、解放された名称で、新時代に沿うようなお名前をつけたいというお気持はないのか。そうしてそのお名前をつけられる当面の責任者はだれか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/48
-
049・宇佐美毅
○宇佐美説明員 御命名につきましては、今仰せになりました通りに、いわゆる世間でいうお七夜に当たります二十九日に御命名になるはずであります。これは従前の皇室の慣例によりまして、皇太子と皇孫は陛下がおつけになるという建前をとっておりますので、陛下が御命名になると思います。私どもはその資料につきましていろいろ差し上げるわけでございますが、二十九日になりませんとお名前がわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/49
-
050・受田新吉
○受田委員 少なくともあなた方としても、長官としても、ある程度の御命名の材料をお持ちになっておられると思うし、いろいろな典拠もお調べになっておられると思う。宮内庁がそういうことを用意しないで、おじいさまの天皇陛下が御研究の結果おつけになるのですか。その手続はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/50
-
051・宇佐美毅
○宇佐美説明員 今申し上げました通りに、私どもでいろいろな資料は差し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/51
-
052・受田新吉
○受田委員 その資料の中に新鮮味が盛られておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/52
-
053・宇佐美毅
○宇佐美説明員 お名前につきましては、皇室の古い御伝統もございましょうし、またその字の問題につきましては、今常用漢字とか人名漢字とか、いろいろ国として定められたこともございます。なるべくわかりやすくするのがいいと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/53
-
054・受田新吉
○受田委員 前々から宮内庁にはいろいろな名前、たとえば部局部課の名前などでも、一般国民に理解しがたい名称が用いられておるわけです。式部とか書陵とか、こういう一般向きのしない古典的な言葉が残っておる。また御命名にあたり、名称にも、どこかに四書五経などから引き出してくるような動きかあると思う。そうした意味で、この新時代感覚を十分におわすような宮内庁の役所の部課の名前とか、あるいはそうした皇族の方々のお名前というものに、新鮮味を持たせる必要があるのではないかと思うのですが、そこを長官としてはっきり割り切って考えてもらいたいと思う。部課の名称等の一般化とあわせて御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/54
-
055・宇佐美毅
○宇佐美説明員 宮内庁の部課の名称あるいは官職の名称につきまして、一般にはない使い方があるのは仰せの通りでございます。しかし終戦後にはずいぶん変わってきまして、非常にわかりにくいものは、漸次改正の時期等に考慮いたしておるわけであります。これはわが国ばかりではなく、各国の王室の役職の名前を見ますと、やはり一つの歴史がございまして、全部普通の会社のようにはなっていないのであります。これは一般の外部と特に折衝を多く要する部局は普通になっておりますけれども、そうでないところに多少残っておるのは、これはやむを得ないことであると考えております。
御命名の点でございますけれども、新鮮味を盛るというのはどういうことになるかわかりませんけれども、これはやはりそのおつけになる方の御自由な問題でございますが、しかしわれわれとして資料を差し上げますときには、これがやはり国民の間にいろいろ唱えられることでございますので、そういう点につきましては、むずかしくならないようにいろいろな点につきまして考慮をすべきものと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/55
-
056・受田新吉
○受田委員 そのあなたが資料を差し上げている中に、仁という字は省くようにしてありますか、ありませんか。これは歴代、五十代近い間用いられた天皇のお名前だということですが、その仁という字を用いないで、自由なお気持で御命名になるような御資料が差し上げてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/56
-
057・宇佐美毅
○宇佐美説明員 具体的な問題につきましては、私はここで御答弁する限りでないように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/57
-
058・受田新吉
○受田委員 副長官がお急ぎのようでございますので、あなたに一言お伺いしておきたいのですが、先ほど宮内庁長官は皇太子御夫妻の外遊につきましては、授乳期をはずれたころに考えるべきであって、それ以前には考えるべきではないという答弁があった。訪米その他の外遊について政府としての御見解は、宮内庁長官の通りに了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/58
-
059・松本俊一
○松本政府委員 私からお答えいたしますが、私は宮内庁長官がお答えになった以上のことを何も存じておりませんので、その通り御了解願っていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/59
-
060・受田新吉
○受田委員 そうしますと、大体五月とか六月とかの御旅行はないものと了解いたします。
次に宮内庁長官、この機会にあなたの御所管である皇居造営を審議会から答申がされているのでございますが、これはもう結論が出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/60
-
061・宇佐美毅
○宇佐美説明員 すでに御承知の通り昨年皇居造営審議会が設置せられまして、御審議を願いまして、十月でございましたか、御答申をいただいたわけであります。それに基づきまして、政府におきましては本年の一月二十九日に閣議決定をいたしました。審議会の答申の趣旨を尊重いたしまして、宮殿の位置はもとの宮殿跡、三十五年度から造営実施の準備を始める。お住居の方は現在の吹上御苑内といたしまして、三十五年度から造営を実施する。それから皇居造営の資に充てるため国民かか自発的な寄付の申し出がある場合には、これを国が受けることができる。また皇居の旧本丸、いわゆる東地区と申しておりますところは、これを付属の庭園として整備をいたしまして、宮中行事に支障のない限り原則として公開するということが決定になりまして、ただいま御審議を願っておりまする三十五年度の予算に、いわゆるお住居の増築と、ただいま吹上にございまする御文庫に付属しての増築に要する経費を三十五年度、三十六年度にかけて、建築費約一億四千万円のうち三十五年度八千六百万円、そのほかに新宮殿につきましては、三十五年度、三十六年度において基本的な設計をするということで、その設計に要する調査費、準備費を千三百万円計上してございまして、御審議をいただきまして通りました以上は、三十五年度から御文庫につきましては実施にかかり、宮殿につきましては基本的な設計に入るということがきまったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/61
-
062・受田新吉
○受田委員 三十六年度にわたる継続予算というものがどのくらいになっておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/62
-
063・宇佐美毅
○宇佐美説明員 全部で一億六千三百六十八万余円でありますが、この内訳は、新築されます部分が三十五年度で八千六百万円、それから現在御使用になっております御文庫を一部改装いたしますのに一千余万円、その他付帯設備、付帯事務費等で本年度におきましては一億二百四十五万四千円という予算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/63
-
064・受田新吉
○受田委員 皇居造営審議会が答申した中にも東地区の開放の問題も相当触れてあるわけでございますが、坂下門から乾門を結ぶ線から東の地区、この地区は宮内庁としても民間に開放して十分利用してもらうという基本線をはっきりおきめになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/64
-
065・宇佐美毅
○宇佐美説明員 ただいま申し上げました通りに、皇居造営審議会で決議されました通り、政府も閣議決定いたしております。われわれといたしましてもその線に沿って措置していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/65
-
066・受田新吉
○受田委員 その利用の方法を、具体的にどういうふうにしたいというお気持があるか。あなた方の御所管でありまするので、あなた方の御構想は非常に大事なことだと思いまするので、できるだけ具体的な問題を取り上げて簡単に御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/66
-
067・宇佐美毅
○宇佐美説明員 いわゆる東地区につきましては、なお全部をいわゆる庭園化するということは困難な事情にございます。それはこちらの楽部でございますとか、図書館であります書陵部、それから自動車とか、警察でございますとか、各種の施設がございます。これは予算ともにらみ合わすことでございますが、こういうものもなるべく一つの地域に整理いたしまして、他をできるだけ庭園化いたしまして、もちろん無制限ではございませんけれども、一般国民、都民が自由に入ってそこを楽しむことができるようにいたしたい、こういうふうに原則的に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/67
-
068・受田新吉
○受田委員 皇太子のお屋敷と同時に、義宮の新しいお屋敷というものもあわせて考えられると思うのですが、一般に民間に住宅事情が非常に困難な段階で、広い地域にわたって皇室の御関係の方が広くお占めになるということは、国民感情にも影響があると思う。そういう意味からも、皇室のお立場も尊重され、民間の住宅事情も緩和されるというような意味で、今後皇室に関係した新しい宮殿、あるいは皇子さんたちのお家というようなものは、旧皇居に関係する、あるいは皇室の御領地に関係する以外のところへは及ばないという原則をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/68
-
069・宇佐美毅
○宇佐美説明員 ただいま申し上げました東地区というのは、今申し上げました方針で付属庭園といたしまして整備いたしますので、そこに多くの住宅的なものを将来において建てようとは全然考えておりません。今後義宮様なり将来皇族の方々、遠い将来を申しますとどのくらいの数になるかわからないわけでございますが、われわれといたしましては大宮御所辺を大体の区域と考えております。しかし今申し上げましたような事情で、将来絶対に皇居あるいは大宮御所以外に出ないということは今申し上げかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/69
-
070・受田新吉
○受田委員 いま一つ、今度は皇室の経済関係のことをお尋ねしたいのですが、皇室経済法の第二条に、国会の議決を経ないで処理できる事項があるわけですね。その中に、「外国交際のための儀礼上の贈答に係る場合」という規定で、皇室に財産関係が移動した具体的な事例というものを一、二あげてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/70
-
071・宇佐美毅
○宇佐美説明員 実はただいまおあげになりました条項というのは、初めはなかったのでございます。途中から改正されてこの条項が入ったのでございますが、これは動機となりましたことは、皇太子殿下がかって御外遊のときに、各国を御訪問になりますと、各国の王室その他からいろいろおみやげ等がございます。これを一々換算をして議決を経るということは、実際上その場の問題でございましてできません。ですから公の交際——私的のものはいけませんが、公の授受ということはある程度お許しをいただかなければ、実際問題として困るということからでございます。従って外国御訪問等の場合に、こちらからのおみやげもお持ちになりましょうし、向こうからも何がしかのものが出る場合もございましょう。現実にそういうことが起こっております。
〔委員長退席、前田(正)委員長代
理着席〕
それから何か非常なお祝いがございまして、外交団が全部若干ずつ出し合って何か小さなものを差し上げたい、こういうような場合も過去においては起こっておる。そういった公な外交、国際儀礼上必要なものがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/71
-
072・受田新吉
○受田委員 東宮の御所を作られるときに、ある特定の業者が奉仕的な入札をしたことがある。今度また新しい宮殿を作ろうという場合に、もっともっと大きな奉仕者が現われるかもしれない。あとから手を打つのでは事はおそ過ぎる。従ってこの新しい皇居造営の御計画については、そうした業者との間の関係もはっきりさして、一線を画するという態度を持っておかなければならぬと思うのですが、宮内庁は十分用意がしてございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/72
-
073・宇佐美毅
○宇佐美説明員 この問題につきましては、私ども、過去において実際の問題が起こっておりますし、今後大きな宮殿の造営がいよいよ始まるというような場合には、この問題は非常に慎重に考えなければならぬ。私どもの方針といたしましては、これは国の造営でございまして、当然御審議をいただいた予算の範囲内で正当な取引がなければいけない。むやみにそういった風が起こるということは、実際いろいろな問題に紛淆を来たして参るもとだと思います。もちろん正当な予算以外に好意的な問題が若干あることは、ある程度やむを得ないと思います。基本的にはわれわれといたしまして正当な入札取引が行なわれますように、実際問題として指導もいたさなければならぬと思います。宮殿を造営いたします際には、建設省の営繕の方とも一体になって行ないたいというのが、宮内庁と建設省との今打ち合わせでございます。こういう問題につきましても建設省ともよく相談いたしまして、何ら紛淆の生ぜざるように準備をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/73
-
074・受田新吉
○受田委員 先ほどあなたから、一般の寄付も受けたいというお言葉があったわけです。一般の寄付を受けるということになると、売名的な寄付というものが必ず現われてくると私は思うのです。そこを十分考えておかなければならぬし、この前の事件もそういう点で国民のひんしゅくを買ったものでありますから、この前の事件のいきさつから、新しい寄付行為に対するあなた方の一つの態度というものが出てくると思うのです。一般の寄付を受けるというその寄付の限界、それから造営費に対しての入札その他の問題との関係で、寄付行為のあり方というものをはっきりとあなたからお伺いしておいて、私たちが対策を立てていく必要があると思いますので、今申し上げた点についてのあなたの御所見をはっきりお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/74
-
075・宇佐美毅
○宇佐美説明員 今回の審議会の御答申あるいは閣議の決定で、金品の寄付がありますときにはこれは国が受けるのでございますが、そのときにやはり審議会においても意見がございまして、これがほんとうに強制にわたるとかいうことが絶対にないように、ほんとうに自発的のものであって、売名宣伝にはならないように気をつけろということでございます。このことが起こりましたのは、もう数年前から各方面からいわゆる献金をしたいという声が起こって、具体的な運動になりかけたときもあったのであります。そのときいずれそういう時期がくれば取り上げられることであろうということで、時の内閣において声明を出しておる。これは昭和二十六年ごろでございます。そういういきさつもございまして、現在その後まだかというような御催促もあるという状況であります。われわれといたしましては、今お述べになりました通りに、これが中にはあるいは団体を作り、あるいは何かの形で一般に強制あるいは割当というようなことがあっては相ならぬと思うのであります。従って国の立場といたしましては、造営費が幾らになるかわかりませんが、そのうち幾らを寄付に待つかという考え方をいたしておりません。集まりました限度において、自由な発意に基づく範囲において行なうということでございます。同時に請負あるいは物品の購入その他につきまして、宮殿なりお住居の点につきまして、何ら忌まわしいあるいは不正が起こることは絶対にあってはならぬことだと思います。国民に対しても申しわけない、皇室に対しても申しわけない事態でございますので、われわれといたしましては最もこの点に注意をいたしまして進めて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/75
-
076・受田新吉
○受田委員 私はおしまいにあなたに人権的な問題としてお尋ねしておかなければならぬ点があるのです。それは美智子妃殿下が御結婚になって以来、だんだんと民間人と皇室との関係を接近するようにしてはおられますけれども、新宮がお生まれになって後の皇室と正田家の関係、あるいは御親戚の民間人との関係とかいうものに、手きびしい皇室のワクをはめないように御措置をされることになっておるのか。やはり古い宮中のしきたりというものが、そうした外戚に当たられる方々と皇室の関係とに手きびしい壁ができておるのかどうか。この点、最近の宮内庁の実情を率直に伝えてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/76
-
077・宇佐美毅
○宇佐美説明員 ただいま御質問のありました点につきましては、終戦前あるいは明治以降相当人も多く、いろいろな点において格式的な点があったのは事実でございましょう。しかし現在におきましては、そういった問題につきましてはきわめて普通の考え方でいたしておりまして、われわれとしては何もワクというようなものを考えたことはございません。もちろん新宮御誕生後も同じ考えでいかれることと思いますが、ただ今後外にお出ましになるにつきましては、母君としてのお勤めもなかなか大へんでございますし、実際にわれわれとしましてはそういう点をよく考慮して、妃殿下が皇族としてのお勤めあるいは母親としてのお勤め、いろいろな点から考えて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/77
-
078・受田新吉
○受田委員 正田家への訪問などにおいても、その自由性が尊重されるということ、あるいは皇太子のお姉さんたちのお宅へも、ある程度の遠慮はあっても、その自由性は守られておるという形をおとりになるようにおしむけになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/78
-
079・宇佐美毅
○宇佐美説明員 実際問題をごらんいただければ、われわれといたしまして今までなかったような御訪問が、すでに何回か行なわれております。御安心いただいてけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/79
-
080・受田新吉
○受田委員 最後に一言。あなた方の外遊の際における随員の人々の旅費、そういうものについてもはっきりしたものを用意しておかないと、今後皇太子御夫妻の御外遊がどんどん行なわれるといったような場合に、国費の乱費というような問題が起こってくるのです。随員の皆さんの費用というものは、一体どこから出されることになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/80
-
081・宇佐美毅
○宇佐美説明員 過去のことを申し上げますと、皇太子殿下とか三笠宮両殿下あるいは高松宮両殿下がそれぞれ戦後御外遊になっておりますが、これはいずれも予算を編成いたします当時に確定せざる場合が非常に多いわけであります。いろいろな日時の関係等ある程度いきませんとなかなかきまりませんし、変更になることもございまして、当初予算に組んでおりませんが、過去におきましても今後におきましても同様だと存ぜられますが、そのときには予備金をお願いするほかございません。一々大蔵省との折衝を経てきまるだろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/81
-
082・受田新吉
○受田委員 随員の数はどのように限定されようとしておるのか。過去の問題ではなくて、これからの問題としてお答えを願いたいと思います。先般安保条約改定の際など、不要の人物がたくさん旅行しておりますので、国民のひんしゅくを買っておるわけです。不要の人物でなくて、必要な人員を随員としてつけるというような方針をお持ちですね。そこを一つはっきりして下さい。
〔前田(正)委員長代理退席、委員長
着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/82
-
083・宇佐美毅
○宇佐美説明員 今仰せになりました通りに、御旅行の長短によっても違いますし、お供なさるというのも実際にはあわせて考えなければなりませんが、私どもといたしましては、もちろん今仰せになりました通り、必要の限度においてお願いしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/83
-
084・受田新吉
○受田委員 これで終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/84
-
085・福田一
○福田委員長 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を一括議題とし、前会に引き続き質疑を許します。石山權作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/85
-
086・石山權作
○石山委員 この前私の方で、給与問題というのは国の行政上から見ても大へん大切な問題でもあるし、他省との関係等もあるから、どうしても給与担当大臣を置く必要があるのではないかという質問に対して、慎重に考慮をしているというような御答弁でしたが、結果はどういうふうになっているか、その点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/86
-
087・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 この問題は社会党の国会対策委員長からも正式に申されておりますし、また熱心な御要望があることも全部承知しておりまして、大体その線に沿って、今党側と最後の調整をいたしておる状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/87
-
088・石山權作
○石山委員 そういう点でも、給与問題なんというのは尊重しないのか、あるいは避けたがっているのか、一体給与問題というものは大切だとお考えになっているわけですか。尊重々々と口では言うけれども、あまり尊重しないような、そういう点が見えてならないのですよ。たとえば給与問題の今の国務大臣の問題にしましても、内々わが党では、あなたを実際の立場としてやろうと、私たちもその気がまえでいるのですよ。そうしたならば、担当大臣をきめるのに、そんなに手間ひまかかることは要らないような気がするのですが、一体それも派閥関係のためにきめかねるわけですか。だって、四月からやらなければならぬのですから、給与問題に関する限りは、やはり早く結論を出す必要があるわけですよ。御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/88
-
089・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 これは派閥とは全然関係ありません。問題は、倉石忠雄氏が国会対策委員長当時、総務長官の制度ができまして、そのときに社会党の方ともお話しして、今後総務長官がこれを担当するという了解ができたからというお話し合いがありましたので、党の方とも関係ができまして、一応今後のこともあって、一つよく社会党の方と、あるいは民社党の方とも連絡してやっていこう、こういうわけで時間がかかったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/89
-
090・石山權作
○石山委員 大事なものだ、こういうふうにお考えになれば、大事なものなら急がなければならぬと思うのです。慎重ということも大事な場合には必要だけれども、急がなければならぬということも大事の場合には必要なわけです。その急ぐということが少し欠けているように思います。われわれが前々から申し上げている点を受け入れているのですから、人選も早くきめていただいて、責任者としての立場をちゃんとして、給与問題を私は処理していただきたいと思います。あなたの給与問題に関しましては、つまり人事院勧告をいれて、人事院勧告に基づいて、慎重に調査をしたのか、あるいは審議をしたのか知りませんけれども、妥当と認めて政府提案の骨子とした、こういうふうにおっしゃっておりますが、実際の調査あるいは審議という部門はどこら辺でおやりになったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/90
-
091・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 人事院でやるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/91
-
092・石山權作
○石山委員 それはあなたの方でおやりになることを私は聞いておるわけですが、長官ちょっと間違っておるようですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/92
-
093・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 勧告のもとになる調査、研究は人事院でやりまして、今お話の、その勧告についての調査は、総理府内の公務員制度調査室でやるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/93
-
094・石山權作
○石山委員 この人事院勧告に対しては、昔の経緯をずっと見てみますと、だいぶ政府側が妥当でないと言っていじり回したことが多いのです。最近二、三回だけ妥当であると言って、人事院勧告を尊重するということを言っておるようです。あなたの方でお調べになって、一体どこら辺が妥当——妥当という言葉を言うとまた水かけ論になると思うのですが、どういう要素をおあげになられますか。実際妥当という言葉に対して、たとえば人事院の勧告の要素は、物価の水準ということと、民間給与の問題と、大体この二つを中心としてやっておるようですが、人事院の調査そのものが大へん正当であるというふうな意味でございましょうか。それとも私の方の腹にぴったりきたから妥当であるというふうに言ったのか、やりよいから妥当と言ったのか。つまり基礎がきちんとしておるからこれは妥当と言ったのか、政府が財政的に処理しやすいから妥当だと考えたのか、その妥当の妥当性について皆様の方の自信のほどを一つあげていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/94
-
095・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御存じの通り、人事院が専門的な機構を持って、調査、研究した結果でありますから、政府はこれを全面的に尊重しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/95
-
096・石山權作
○石山委員 そういう一般論の話では今の場合はいけないわけなんでしょう。もっと私は別なことをお聞きしているわけです。副長官の方からでも御答弁していただいて私はけっこうだと思うのですが、その妥当性の問題について一つあげていただきたいと思うのです。室長でもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/96
-
097・増子正宏
○増子政府委員 御質問の点でございますが、私ども検討いたしますのは、まず人事院から出ております給与の調査についての報告、それからそれに基づく勧告ということで、この両者をまず内容的に検討いたすわけでございます。内容において非常な不合理あるいは実施上困難な問題等があるかないかというような点、実施上といいます点は、いわゆる給与制度上の実施上の問題と、もう一つ財政的な面の実施可能性といいますか、そういう点も同時に検討されますし、また国家公務員につきまして、特に国家公務員の一般職につきまして、この勧告を実施するということになりますと、当然地方公務員等にもこの影響があるわけでございます。また特別職等についても、そのはね返りがあるわけでございまして、これらとの関係をいろいろ勘案いたしまして、最終的に実施すべきやいなやということを検討いたすわけでございます。そういうことをいたしまして、今回の案につきましてこれを実施するという結論に達したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/97
-
098・石山權作
○石山委員 そうすれば室長、書類審査というような格好じゃないですか。一体それでは妥当性ということにははなはだ欠けるのじゃないですか。人事院は自分たちの作った勧告ですから、人事院から回ってくる資料なんというものは大体きまっているじゃありませんか。勧告に都合のいいような資料を用意しているわけなんですから……。あなたの方で妥当性を主張されて政府提案として出されるからには、人事院の資料のほかに、いわゆる対照的な資料というものをお調べになって妥当だという言葉が初めて出るのでございまして、片方から出された資料だけを妥当だという書類の審査の仕方は、決して私は正しくないと思うのですが、これは人事院だけの資料でしょう。その点だけははっきりお答え下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/98
-
099・増子正宏
○増子政府委員 もちろん人事院の調査の結果を対象として検討いたしておるわけでございます。従って内容的にはいわゆる書面調査といいますか、そういう形になるわけでございますけれども、ただ検討の過程におきましては、私どもも人事院の調査の結果についてのいろいろな御意見等も各方面から伺っておりますし、なお各省との関係におきましても、人事院当局の意見も調査し、また最終的には政府部内としましては事務次官会議あるいは閣議等におきまして御論議をいただきまして、その結論を得たわけでございます。なお人事院が調査を行ないましたこと自体を、さらに私どもが全然別個の立場から資料を集めて調査研究するということは、現在の私どもの事務組織からいいますと非常に困難なことでございますし、なお困難であるばかりでなく、人事院もいわゆる政府機関でございまして、政府といたしましての調査研究をここで行なうということであって、そのために必要な専門家も置き、また人員も擁しておるわけでございます。そういう意味におきまして、私どもは人事院の行ないました調査研究というものを、やはり一応前提として調査するという考え方を従来からとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/99
-
100・石山權作
○石山委員 そうすると長官、今室長の答弁を聞いておっておわかりでしょう。少しく妥当性が三日月くらいに欠けているのですよ。ほんとうの妥当性ではないということですね。政府機関であるから信頼すると言っていますが、最近あなたたちはこういう声を聞いているでしょう。人事院は要らないと言い始めてきた。今までは人事院を大切にしていた公務員の中から、人事院は要らないという声があるのです。そういう声の中で、人事院の調査だけを掲げるということは、労使間における給与問題については、これは決して正しいあり方でないということです。それから人事院は元来は中立性を帯びる一つの要求があって生まれたものでございます。いわゆる政府機関としての性格はもちろん部分的にはあるわけでございますけれども、実際の本来の性格というものは、政府と労働組合、労働者の中にはさまって正確な判断を下すという、中立的な性格を帯びたのが人事院でございます。その人事院が中立性を失ってきたのだ。公務員を擁護する立場から少なからず右寄りをしてきた、政府の意向にこたえるような方向に向いている、こういうふうに公務員の人々が考え始めてきておるのですよ。この傾向は総務長官は知っておられますか。なぜこういう人事院を信頼しないというふうな傾向が起きてきたか、あなたはお考えになったと思うのです、給与を担当されるあなたとしては。そんなものには耳をふさいで、ただ人事院から上がってきたものは妥当だというふうな室長の答弁では、決して私はいわゆる妥当でないと思う。長官は全体を見ている立場から、そのやり方には手落ちがなかった、こういうふうな考え方でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/100
-
101・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 現在の人事院が専門的な組織を持ち、機構を持って調査研究し、その結論を得て政府に勧告する、政府はこれを尊重する建前は妥当であると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/101
-
102・石山權作
○石山委員 長官はこまかいことに対してはおそらく知ってもおらないだろうし、知らないから興味もないだろうと思うのですが、それでは一般的なお話を一つ伺いたいと思うのです。今の公務員の給与は大体いいというふうなお考えが出ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/102
-
103・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 個人的な見解の発表は差し控えたいと思います。私は政府の立場に立って、人事院の勧告は妥当と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/103
-
104・石山權作
○石山委員 政府の立場として、今の公務員給与は大体いいのだ、こういう御見解かどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/104
-
105・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 妥当であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/105
-
106・石山權作
○石山委員 妥当だということは、それはたとえばむずかしく言えば、正しいことだということに通ずることですか。(「それとも岸内閣打倒か聞いてみろ」と)呼ぶ者あり)そうだ、あわせて一応答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/106
-
107・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 妥当は適当であるという判断でございますが、しかしそれは完全無欠という意味ではございません。まだいろいろ研究しなければならぬ問題、こういう点は考えなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/107
-
108・石山權作
○石山委員 そうすれば日本の言葉のやりとりというのは非常に違っていますが、妥当という言葉は私はかなりに正確な意味があると思いますが、あなたの言われる適当ななんという言葉は、知っていますか。適当にやっておけというような言葉で通じますよ。その意味の適当ですか。たとえば公務員の給与はどう考えてみても、自分が、いわゆる長官として見ているのは、下級職員の給与などはとても悪いというようなお考えがある。しかし金がないから人事院勧告あたりで適当にやっておけ、こういうことも言えるわけなんです。長官のいわゆる胸の内はどこら辺にあるのですか。もっと上げてやった方がいいのか、それで十分だというのか、そこら辺はまあ、適当という言葉では私はちょっと通じないと思うので、もう少し正確にあなたの思っていられることを表現していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/108
-
109・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 私ども政府としては、あくまで人事院の調査、研究の結果を信頼し、尊重しておりますので、これを尊重することが適切であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/109
-
110・石山權作
○石山委員 適切という言葉になると、非常に人事院の調査を正しいと見ている。それからそれが現状に見合ったものであるというふうな言葉が、適切という言葉だろうと思うのです。そうしますと、適切の中には非常に財政上のことをお考えになって、適切というふうな言葉をお使いになっておるわけですか。つまり人事院の勧告が特に政府のいいところへきた、適切だ、こういうふうな御見解でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/110
-
111・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 適切と申し上げているのは、人事院の結論なり勧告を適切と考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/111
-
112・石山權作
○石山委員 まあ適切、妥当、尊重、三つくらいの言葉が並んでいて、この給与問題を押し切ろうとしておるわけでしょうけれども、尊重の問題をもう一ぺんやろうじゃありませんか。今度の尊重は一体——私先ほど事例をあげて下さいというふうに言ったのですが、尊重の中身が非常に御都合よくできているのじゃありませんか。お金をよけい出さなくても済む。いわゆる人事院の勧告の内容は尊重したのでございましょうけれども、しかしこれはこの前も私が言ったように、三十三年の三月末日の計数を基礎にして七月に勧告されたわけですから、どうしても私たちは尊重に欠けるものがあるのだ、その尊重が欠ければ、つまり適切に合わないじゃありませんか。適切という言葉は、尊重と不即不離のものなんですよ。尊重に欠けているわけなんです。なるほど人事院の勧告の文書そのものは尊重したのでしょうけれども、人事院のもう一つ言っている去年度の三月末日の指数というものはほおかむりをしている。そうすれば適切でないじゃありませんか。尊重もしていないですが、そうするとどうしてでも今度の給与というものは、財政上から見たいわゆる尊重なのではないか。給与の形態の妥当性、勧告の適切さというよりも、むしろ財政上からきた政府がやりやすいという部門だけを取り上げて、それを尊重という形にはめ込んでいるのではないか。その点に対してもっと、それこそ適切に答弁して下さいよ。適当な答弁ではいけません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/112
-
113・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 今度給与法の改定で提案いたしましたものは、御案内の通り全面的に人事院の勧告を盛り込んでおります。ただ問題は、おそらく三月の調査、並びに勧告は七月中旬、しかも実施がおくれるじゃないか、こういう点をあるいはおさしになっておるかもしれません。この点は確かに私は問題があろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/113
-
114・石山權作
○石山委員 実施がおくれたということは、人事院勧告を尊重しないし、人事院勧告を適切に皆さんが運用しないということに通ずるじゃありませんか。それではお聞きいたしますが、総理府の統計をあなたはあずかっているわけですが、その間いわゆるわれわれの生活指数というものは動いておりませんか。われわれは、物価は横ばいではなくして、少しずつではあるが上昇しているというふうに統計を見ているわけなんですが、どうなんです。三十三年から今日にかけてどういうふうに動いているかということを一つお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/114
-
115・増子正宏
○増子政府委員 ただいまここに最近のものの手持ちがございませんが、御指摘のように変化いたしておることはその通りであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/115
-
116・石山權作
○石山委員 長官、おわかりですか。あなたが実施期間をずっと延ばしているその間に、物価指数は上がったのですよ。そうすればその勧告は妥当ではないじゃないですか。たとえば三十三年の三月においては妥当であった、あるいは七月十六日は妥当であったかもしれない。今日になれば妥当性というものは大へんに薄れているということになるのです。さかのぼっておやりになるのですか。ちっともあなたのおっしゃる適当——適当はその通りです。適当にやっておるかもしれぬが、さかのぼっておやりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/116
-
117・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 さかのぼっていわば四月一日からやる、これはすぐ、理論として確かに成り立つと思います。またそういう考え方も十分研究しなければならぬと私自身も考えております。ただ問題は、これは当該年度で相当膨大な予算手当をしなければならぬというところから、今のところでは結局実施がおくれてしまっておるわけです。そこで先ほど申す通り、こういう勧告と実施の問題については、十分検討しなければならぬ問題があるということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/117
-
118・石山權作
○石山委員 つまり今度の政府提案は、人事院勧告を尊重したけれども、尊重は半分しかしていないということが一つ、それからぼくらは給与というものは努めて科学的に処理さるべきだと信じているのですが、これをやはり政府の財政措置上の考え方で処理しようとなさっている、この点は間違いないですね。どうでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/118
-
119・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 もちろんこれは予算を伴いますから、財政上の要素も当然入ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/119
-
120・石山權作
○石山委員 そういう意味で私言っておるのじゃないですよ。だけれども今までのお話を聞いていますと、私の言ったことはうそではないということでしょう。それだけはだれが聞いてもわかるだろうと思います。人事院の勧告が引き延ばされている間に物価が上がったのでございますから、人事院の勧告を尊重したとおっしゃっても、さかのぼっておやりにならないということですから、実際は半面しか尊重しないという結果が今日あるわけです。ですから、もっと給与というものは、必要条件に応じて科学的に操作をされなければならないのが、そうではなくして、政府提案というものは、財政上からくる上からの一つのワクのもとで人事院の勧告が尊重された、こういうふうに私は申し上げているのですが、これにあなたは反論なさるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/120
-
121・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御指摘の点は、その通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/121
-
122・石山權作
○石山委員 それからもう一つあなたにお聞きしたいのは、実際たくさんの人をお使いになっていて、公務員の給与というものは、もし財政上許せば、もう少し上げてやった方がほんとうにこの意味では妥当だ、こういうふうなお考えが出ませんかということが一つ。それからそういうふうにしてやることによって、公務員の諸君が仕事に励んで、仕事に興味を持って、そしてうんと働くのではないかというふうなお考えが、政府当局にはおありではございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/122
-
123・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 政府としては、公務員の待遇をどうしたら改善できるか、具体的に言えば、おっしゃったような給与を上げるか、またそれは民間との振り合いその他もありましょうが、これは人事院の権限でございますし、専管の事項でございますから、私どもの方からはとやかく申し上げませんが、希望としては、待遇改善ということは常に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/123
-
124・石山權作
○石山委員 ほんとうは長官にもう三つ、四つ大まかなところを知っていただいて、あとでこまかいことをというふうに私は考えておったのです。しかし時間がないようでありますから、気の毒だけれどもまたこの次長官に来ていただきたい。こまかいことは、あなたに一々私の方でも聞く気持も、いじめる気持もございませんが、もう一ぺん今度の給与問題のときには来ていただくということを約束してもらって、きょうはこれで打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/124
-
125・福田一
○福田委員長 次会は来たる三月一日、午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X00919600226/125
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。