1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月三日(木曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 福田 一君
理事 淺香 忠雄君 理事 岡崎 英城君
理事 高橋 禎一君 理事 高橋 等君
理事 前田 正男君 理事 石橋 政嗣君
理事 石山 權作君 理事 田万 廣文君
内海 安吉君 小金 義照君
谷川 和穗君 辻 寛一君
中川 俊思君 橋本 正之君
八田 貞義君 保科善四郎君
山口 好一君 石田 宥全君
杉山元治郎君 中原 健次君
中村 時雄君
出席政府委員
総理府総務長官 福田 篤泰君
総理府総務副長
官 佐藤 朝生君
外務政務次官 小林 絹治君
農林事務官
(農地局長) 伊東 正義君
建設政務次官 大沢 雄一君
委員外の出席者
内閣官房内閣審
議官 福山 芳次君
専 門 員 安倍 三郎君
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三月一日
委員中村時雄君辞任につき、その補欠として受
田新吉君が議長の指名で委員に選任された。
同月二日
委員受田新吉君辞任につき、その補欠として水
谷長三郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月三日
委員柳田秀一君及び水谷長三郎君辞任につき、
その補欠として石田宥全君及び中村時雄君が議
長の指名で委員に選任された。
同日
理事辻寛一君同日理事辞任につき、その補欠と
して淺香忠雄君が理事に当選した。
―――――――――――――
三月一日
在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部
を改正する法律案(内閣提出第八九号)
国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び
薪炭手当の支給に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第九〇号)
建設省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第九二号)
は本委員会に付託された。
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三月二日
金鵄勲章年金復活に関する陳情書
(第一七九号)
旧軍人恩給の加算制復元に関する陳情書
(第一八〇
号)
同
(第一八一号)
同
(第一八二号)
同(第一八
三号)
同(第一八四
号)
同
(第一八五号)
同
(第一八六号)
同(
第一八七号)
同(
第一八八号)
同
(第一八九号)
同(
第二七六号)
同
(第二七七号)
同(
第三一六号)
同(
第三一七号)
同外三件
(第三一八号)
同(
第三一九号)
同(第三五九号)
靖国神社の国家護持に関する陳情書
(第二〇九
号)
同
(第二一〇号)
同(第二一
一号)
同(第
二一二号)
同(第
二一三号)
同
(第二一四号)
同
(第二一五号)
同(第二一六号)
同(第二一七
号)
同(第二一八号)
同(
第二一九号)
同(第
二二〇号)
同(
第二二一号)
同(第二二二号)
同(第二二三
号)
同
(第二六〇号)
同
(第二六一号)
同
(第二六二号)
同
(第二六三号)
同
(第二六四号)
同(第二六五号)
同(
第二六六号)
同(第二六七号)
同(第二六八号)
同
(第二六九号)
同
(第二七〇号)
同
(第二七一号)
同
(第二七二号)
同
(第二七三号)
同
(第二七四号)
同
(第二七五号)
同
(第三〇八号)
同
(第三〇九号)
同(第
三一〇号)
同(第三一一号)
同(
第三一二号)
同
(第三一三号)
同
(第三一四号)
同(第
三一五号)
自治省設置に関する陳情書
(第三〇七号)
建国記念日制定に関する陳情書外二件
(第三二〇
号)
同(第三二一
号)
同(第三二二号)
同(第三
二三号)
同
(第三二四号)
同外五件
(第三二五号)
同外一件
(第三二六号)
同外三件
(第三二七号)
同外二件
(第三二八号)
同外二十七件
(第三二九号)
同外五件
(第三三〇号)
同外二件
(第三三一号)
同外四件
(第三三二号)
同外七件
(第三三三号)
同外一件
(第三三四号)
同外二件
(第三三五号)
同外五件
(第三三六号)
同外三件
(第三三七号)
同外六件(第
三三八号)
同外十三件
(第三三九号)
同外二件
(第三四〇号)
同外一件
(第三四一号)
同外一件
(第三四二号)
同外一件
(第三四三号)
同外一件
(第三四四号)
同外一件
(第三四五号)
同外六十八件
(第三四六号)
同外百四十六件
(第三四七
号)
同(
第三六〇号)
同
(第三六一
号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部
を改正する法律案(内閣提出第八九号)
国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び
薪炭手当の支給に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第九〇号)
建設省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第九二号)
農地被買収者問題調査会設置法案(内閣提出第
一号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/0
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001・福田一
○福田委員長 これより会議を開きます。
お諮りいたします。理事辻寛一君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/1
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002・福田一
○福田委員長 御異議なしと認めます。よって許可するに決しました。
これより補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例により委員長より指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/2
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003・福田一
○福田委員長 御異議なしと認めます。それでは淺香忠雄君を理事に指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/3
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004・福田一
○福田委員長 在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/4
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005・福田一
○福田委員長 政府より提案理由の説明を求めます。小林外務政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/5
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006・小林絹治
○小林(絹)政府委員 ただいま議題になりました在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
まずこの法律案におきましては、わが国の在外公館としてモントリオール及びソールズベリーにそれぞれ総領事館を新設することといたしております。
モントリオールに総領事館を設置いたします理由は、モントリオールはカナダ国ケベック州にある第一の都市でありまして、同州の経済及び政治の中心地であり、現在日系人も約千数百人が居住しております。最近は豊富な天然資源の開発によりまして、鉱工業の発達は著しく、またセントローレンス水路の開通によりまして同州一帯の経済発達は目ざましいものがあります。現在わが国はトロントにある領事館をして、ケベック州をも管轄せしめておりますが、トロントはモントリオールより約三百三十マイルも離れておりますので、政治的、経済的にも重要な地位にあるケベック州に関する領事事務をこの在トロント領事館で行なわせますことは不便であり、十分な活動を行なわせるために、ケベック州一帯を管轄する総領事館をモントリオールに設置することといたしておるのであります。
次に、ソールズベリーに総領事館を設置する理由につきまして申し上げます。ソールズベリーは英領植民地である南ローデシアと保護領であります北ローデシア及びニアサランドで構成されておりますローデシア・ニアサランド連邦の最大の都市であります。同連邦は一九五三年連邦として発足して以来、高度の自治権を有しており、ガットを初め数々の国際機関に加盟しておる現状でありまして、近い将来独立するものと思われます。同連邦は豊富な鉱物資源に恵まれており、またカリバダムの完成に伴いまして、ますますその重要性を増し、欧米先進国もその将来性に着目している次第であります。現在わが国と同連邦との間の貿易関係はきわめて小規模でありますが、本年二月十五日には同連邦との間の貿易取りきめが成立いたしましたので、わが国と同連邦との貿易が今後飛躍的に増加することを期待しております。現在はプレトリアにある領事館がこれを管轄しておりますが、同館は広大な南アフリカを管轄するだけで手一ぱいの現状にありますので、ソールズベリーに総領事館を設置して、ローデシア・ニアサランド連邦を管轄せしめることとしているのであります。
このような在外公館の新設を行なうための法的な措置といたしまして、在外公館の名称及び位置を定める法律の一部改正を行なうわけでありますが、同時にこれらの在外公館に勤務する職員の在勤俸の額を定める必要がありますので、在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律にも改正を加えることとし、これら二つの法律の一部を改正するための法案として本法律案を提出する次第であります。
何とぞ本案につきまして慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/6
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007・福田一
○福田委員長 次に、国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明をめ求ます。福田総務長官。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/7
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008・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 ただいま議題となりました国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由並びに内容の概略を御説明申し上げます。
この改正案は、北海道に在勤する一般職の国家公務員に対して支給する石炭手当について、支給地域に区分を設けるとともに、その支給額の限度を改定し、あわせて人事院が、この法律に定める給与に関し調査研究して、国会及び内閣に同時に勧告することができるようにするものであります。
すなわち第一に、現行の石炭手当の支給地域は、北海道一円一率でありますが、今回これを寒冷の度合い、採暖の状況等により甲乙丙の三地域に区分し、それぞれの地域の範囲を別表で定めることといたしました。
第二に、石炭手当の支給額算定の基礎となる石炭の数量の最高限を、世帯主たる職員については現行の三トンから甲地において三・六トン、乙地において三・三トンに、その他の職員については現行の一トンから甲地において一・二トン、乙地において一・一トンに、それぞれ引き上げることといたしました。なお世帯主たる職員のうち、たとえば独身者などに対する支給額は、採暖の実情を考慮して、その他の世帯主たる職員に対する支給額の最高限の三分の二を限度とすることとし、それに該当する職員の範囲は、人事院の勧告に基づいて内閣総理大臣が定めることといたしました。
第三に、石炭手当等この法律に定める給与は、一般職国家公務員の給与体系全般と密接な関係があり、その改正については人事院における調査研究の結果を待ち、その勧告に基づいて処理するのが至当と考えられますので、この際人事院において、この法律に定める給与に関して調査研究し、必要と認めるときは国会及び内閣に同時に勧告することができることといたしました。
この法律案は以上の趣旨に基づきまして、国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の支給に関する法律の改正を行ない、本年四月一日から施行しようとするものであります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/8
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009・福田一
○福田委員長 次に建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。大沢建設政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/9
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010・大沢雄一
○大沢(雄)政府委員 ただいま議題となりました建設省設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
この法律案は、最近における公共事業等の事業量の増大に伴い、これらの事業の用に供する土地の取得が困難を加え、公共事業等の円滑な施行に支障を及ぼしている現状にかんがみ、建設省の付属機関として臨時に公共用地取得制度調査会を設置し、公共用地取得制度に関する重要事項を調査審議させることとするほか、建設省の所掌事務についてその整備をはかろうとするものであります。以下その要旨を御説明申し上げます。
まず第一に、建設大臣の諮問に応じて公共用地取得制度に関する重要事項を調査審議させるため、昭和三十六年三月三十一日までの一年間を限り、建設省の付属機関として公共用地取得制度調査会を設置することとし、また、公共用地取得制度に関する調査を本省の所掌事務とすることとしたことであります。
第二に、日本住宅公団の経営一般の監督に関する事務は、現在大臣官房において所掌いたしておりますが、住宅局において所掌いたしております日本住宅公団関係の事務と統合することが適当と考えられますので、この事務を住宅局の所掌事務とすることとしたことであります。
第三に、建設省の付属機関である地理調査所の名称を国土地理院に改めることとしたことであります。地理調査所におきましては、測量法に基づく土地の測量に関する各般の行政事務を所掌するとともに、地図の周製等の業務を行なっておりますので、地理調査所という名称は、その所掌事務の実態を表わすのに適当でないと考え、その名称を改めることとしたのであります。
第四に、建設省が委託を受けて建設工事等を行なうことができる場合の委託機関として、国民金融公庫及び農林漁業金融公庫を加えるとともに、委託により建設工事用機械技能者の養成及び訓練を行なうことができることとしたことであります。
なお以上のほか、土木研究所の所掌事務に地すべり防止工事または海岸保全施設工事にかかる特殊な工作物の設計に関する事務を加え、また建設研修所の所掌事務に委託に基づく建設工事用機械技能者の養成及び訓練並びに産業開発青年隊の幹部の訓練に関する事務を加える等所掌事務に関する規定の整備をはかるとともに、地理調査所の名称の変更に伴う関係規定の整備を行なっております。
以上が建設省設置法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/10
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011・福田一
○福田委員長 各案についての質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/11
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012・福田一
○福田委員長 農地被買収者問題調査会設置法案を議題とし、前回に引き続き質疑を許します。田万広廣文君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/12
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013・田万廣文
○田万委員 今まで同僚の委員から、この農地被買収者問題調査会設置法案に対して御質疑をいたしたのでございますが、どうも長官の答弁では私どもは納得がいかない。まず第一にお尋ねしたいことは、農地被買収者問題調査会というのですが、その農地被買収者問題というのはどういう問題であるかを御解明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/13
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014・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 農地改革によりまして行なわれました農地改革、これはきわめて大きな意義を持ち、また国民経済に大きな寄与をもたらしたのでありますが、何にいたしましても、非常に大きな改革でありましたために、それに伴って旧地主のいわゆる社会的な問題、生業だとかあるいは生活だとか、各般の問題についていろいろな大きな激変がそれに伴って起こりました。こういうような問題を考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/14
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015・田万廣文
○田万委員 今お話を聞きますと、被買収者問題というのは社会的な問題で、しかもそれを掘り下げていえば、解放をしたもとの地主の生活状態、経済状態、そういうようなものを調査するのが目的だと言われたのでありますが、そう受け取ってけっこうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/15
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016・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 いわゆる社会的な問題でありますので、経済上、生業上、生活上、その他各般の問題を実情をとらえたいというのが考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/16
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017・田万廣文
○田万委員 それを調査して、結論はどこへ持っていこうとしておるか。おそらくあなたの今までの答弁から考えると、それは調査会の結果がどう出るかわからない、仮定の問題であるからして答弁はいたしがたいということをおっしゃるのだろうと思うのですけれども、やはり調査会ができたら、調査を具体的にしなければいけない。その調査をする際に、具体的にどういうような問題を調査するかということについての一つの示唆がなければ、調査会としての意義は私はないと思う。今ちょっと触れられましたが、解放地主の生活、経済問題というようなものを調査したいということでありますが、どういう結論が出る見通しでありますか。おそらく政府においてはある程度の見通しを持っておられるのではなかろうか。また調査する必要があるということについては、それだけの理由がなければ、この問題の解決の調査会というものは提案されないわけです。この点について具体的に御答弁をお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/17
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018・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 調査の結果につきましては、すべて調査会におまかせしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/18
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019・田万廣文
○田万委員 言葉は悪いけれども、あほうの一つ覚えみたいなもので、そういうことを言われると、こっちもあほうになってしまう。ぼけてしまうのです。焦点をはっきり打ち出してくれぬことには、的がなければ撃ちにくいです。そこがまた政府の答弁として、撃ちにくいような答弁をして得々としておられるのではないかとわれわれは観察しておるのですが、やはり問題の内容を明らかにしていただかぬと、調査会ができても、調査する委員になられた方も具体的に困ると思う。従って今までのように、社会的な問題だとか、結果は委員会の結論が出てみなければわからない、仮定した問題について答えられないというような、通り一ぺんの御答弁でなくて、ほんとうにこれをおやりになる熱意がおありになるならば、率直、簡明に、あなたたちが考えておるその調査の内容をお示しを願いたいと思うのです。いかがでしょうか、くどいようでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/19
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020・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 この法案を提案しますときに御説明申し上げた通り、以上今までお答えした通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/20
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021・田万廣文
○田万委員 長官は、この農地被買収者問題調査会設置法案の提案理由の説明の中にも、社会的な問題、社会的な問題という文言が数回出てきておるわけです。社会的な問題という言葉ですね。それだけではわからぬじゃないですか。あなたはそれでわかりますか。あなたがわかっておる社会的な問題というのはどういうことでございましょうか。提案者ですから、内容はわかっておるはずです。それをお答え願いたいと思う発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/21
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022・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 農地改革の結果、しばしば申し上げております通り、大きな社会的変化があったわけでございまして、これらの問題を総括的に実態をつかもうというのが、私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/22
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023・田万廣文
○田万委員 大体常識的に私どもが考えられることは、今長官からも話がありましたが、社会的な問題というのは、解放した地主の生活が現在どういうふうになっておるかということだろうと思うのです。そういうふうに受け取っていいのでしょう。今までの御答弁によりますと、農地改革は合憲であった。しかもその価格については、最高裁判所でもすでに判決があったように、適正な価格であった。そういうことでありまして、あなたは補償は考えておらない、制度的にはそれは正しい問題であったのだということを是認されつつも、なおかつ今日解放した地主がどういう生活をしておるかということについて調査をしたい。しからば常識的に出る答えは、もし解放された地主の諸君の生活が非常に困っておるということであれば、それを何とか救済してやらなければいかぬじゃないかということを目的にして、この法案が提案されたというふうに解することが、一番常識であると私は考える。いかがですか、そうではないですか。もっとやはり国民の納得のいくような説明をわれわれ議員に聞かしてもらいたい。わかっておるのです。もう火を見るよりも明らかなんです。御丁寧な御答弁を私はお願いしたい。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/23
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024・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 これも前にもお答えしました通り、調査会を設けて、一体どういう生活上の問題、その他生業上あらゆる問題について、大きな変化が一体どういうように起こっておるか、この実態を全然つかんでおりませんし、これは国民生活の安定という大きな観点からも必要である、そういう点からこの問題を調査するわけであります。今からこういう結論が出るとかいろいろなことは、予想しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/24
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025・田万廣文
○田万委員 もし結論が現在解放地主諸君は生活には困っておらないというような結論が出たらそれも一つの調査の結果でありましょうが、出ないとも限らないわけですね。どうですか、その際に、この調査の目的を達せられたということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/25
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026・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 それらの問題は、やはり調査会の結論を見なければお答えできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/26
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027・田万廣文
○田万委員 私どもが考えますのに、今まで同僚の委員から長官にたびたび質問しておりますが、その質問の角度は、いろいろな角度から述べられておるのでありますけれども、要は農地解放を受けた地主階層の諸君の熱烈な要求によって、この調査会が発足するに至った。聞くところによりますれば、自民党の内部にそういう組織ができておるということも、たびたび委員からも話されておるのです。それは長官の方においても否認しておられない。認められておる。そういうような点から考えて、やはり最近の経済状態からいって、地主が解放した時分には適正価格であったけれども、現在からすれば非常に安い価格であった。しかも今日売買しておるのは一反何十万円というような高い相場で取引されておる。横でもとの地主が指をくわえて見ておるのは忍びない。だからして一反について相当な補償をしてもらいたいというのが、いわゆる地主組合といいますか、地主団体、そういう諸君の全国的な希望であろうと私は思うそういう希望のあることはわれわれも認める。認めるというよりは、そういう希望が現実に行なわれているという事実を認める。われわれはそれに反対でありますけれども、そういう事実に基づいて、下からの突き上げで、特に自民党とつながりの深い地主階層諸君との関係において、やむを得ず、今まで何回も出して廃案あるいは否決されたのと同様の内容を持った法案を出してきたものと私は考える。あなたは今までの答弁において、さようなことは絶対にありません、これは政府独自の見解において提案したものであるということを、口がすっぱくなるほどおっしゃっておるのでありますけれども、どうもそのにおいを感ずる度が強いのです。やはり前に答弁されたと同じように、そうではないというお答えであろうと思うが、なお念のためにもう一度承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/27
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028・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 われわれとしましては、旧地主の方の陳情も伺っておりますし、また自作農の立場からいろいろの陳情も承っておりますが、この法案提出は、そういう一部の団体の突き上げという動機で出したわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/28
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029・田万廣文
○田万委員 大体今までのたびたびのこの委員会における御答弁で、政府がどういうことをこの調査会に求めておるかという結論は、出たように私は思うのであります。率直に申し上げて、補償はしないということを言っておられるけれども、現実に調査会の結論として、補償すべきである、あるいは補償という言葉を使わなくても、見舞金あるいは交付金という名前であっても、何らかの金銭的なもので、その問題を解決しようという意図があるやに思うのです。ところでこの被買収者問題調査会というものは、現段階において、農地解放したところの地主の生活が非常に困っておるということを前提にして、この調査会法案というものを提案せられたのですか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/29
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030・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 生活の困窮という観点だけではございません。先ほども申した通り、生業上その他いろいろな問題の大きな変化について実態をつかもう、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/30
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031・田万廣文
○田万委員 生活問題だけじゃない、そのあとの言葉は何とおっしゃたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/31
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032・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 生活の問題、生業上の問題、その他各般の著しい変化について実態をつかもうということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/32
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033・田万廣文
○田万委員 生活の問題はわかりますが、生業の問題というのは、どういうことを意味しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/33
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034・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 たとえば今まで地主であった者が、全然農業を離れるとか、その他いろいろな職業に転換するということもありましょうし、そういうようなものも含んでおると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/34
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035・田万廣文
○田万委員 われわれの仄聞するところによりますれば、決して政府が考えているように、農地解放せられた多くの地主が、生活の困窮を来たしておるというような結果ではなくて、やはり旧地主階層の諸君は、相当な社会的地位も獲得しておるし、経済的にも恵まれておるということであります。その点について私は農地局長にお伺いしたいのですが、三十一年でございましたか、農林省で臨時農業基本調査というものをなさったと聞いておるのですが、その結果を具体的に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/35
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036・伊東正義
○伊東政府委員 農林省で昭和三十年に、臨時農業基本調査をやっております。これのやり方でございますが、農業集落五分の一を抽出いたしまして、その抽出した集落の全農家について調査するということでなされたのであります。調査の対象になったのは、九万三千戸くらいございます。そういうものを対象にして調査をした農林省の調査でありますので、旧地主でも、農村に残っておって農業を営んでおる人だけについての調査でありまして、農地解放をして外に出ました人の調査は全然ございません。そういう調査をやった結果、大づかみなことを申し上げますと、農村に残っておる人でも、いわゆる土地を解放した農家とそれ以外の一般農家について見ますと、解放した農家の現在残っている人の経営面積等は、一般農家よりも高くなっております。また経営規模も、一町歩以下を占める率が一般農家は二七%でございますが、解放農家は四六%というふうに出ております。経営規模も、比較的解放農家は多い。また専業農家の率も、解放農家の方が多い。商品生産農家をとってみましても、やはり高くなっております。それから兼営の種類等を見ましても、いわゆる社会経済的に見て高いといいますか、そういう地位の人も解放農家が多いという数字が出ております。ただ問題として考えられることは、解放農家の中にありましても、季節雇いとかあるいは日雇いに出ている人が、第一種兼業でも一〇数%あるというように、従来地主であった人が季節雇いとか日雇いに出ているというような数字も出ております。そういうようなことが大づかみとして統計調査部でやった調査の結果は出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/36
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037・田万廣文
○田万委員 今長官も、横でお聞きの通りでありまして、農地を解放せられた旧地主階層の中で、九割くらいまでは専業農家であり、しかも経営規模においては一町以上持って耕作をやっているという話です。これは政府が心配しておられるような、農地解放をした地主が現在非常に生活程度が低くて、一般的に困っているという実情ではない。今の局長さんのお話によれば、ほんとうに農地解放をして困っているのは、わずかに一割くらいの農家でなかろうかと思うのです。(「一割もないよ」と呼ぶ者あり)一割もないという同僚委員のお話です。これは専門委員にもひとしい石田宥全君や中村君の話ですし、われわれもあとで調べて明らかにしたいとも思いますが、非常に少ない数字だと思う。
私がここで長官にお伺いしたいのは、ほんとうにわずかの一握りにしかすぎない農地解放をした貧困な地主階層を救済するために、一千万に余る国民の血税を調査費に充てるということが正しいかどうか。それよりもむしろ私は自作あるいは小作の一般の農家が、現在非常に生活困窮を来たしておる。みずから解放を受けた土地を手放さなければならないというような、そういう農村の実態というものを調査して、それらの大衆の農家の生活を救うというための調査なれば、われわれは意味があろうと考える。反対に解放した時分には適正価格を受けて、そうして今日まだ裕福な生活を暮らしておるほとんどの多くの地主階層の諸君、それを対象にして調査会を持つというようなことは、まことに矛盾撞着もはなはだしいと私は考える。農地局長さんにお尋ねしたいのですが、一般の解放後における小作、自作、そういう諸君の生活状態を調査せられたことはございますか、いかがでございましょうか。またあったとすれば、その結果の報告はどんなものであるかということをお話し願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/37
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038・伊東正義
○伊東政府委員 最終に御質問のありました解放農家あるいは今のおもに小作をやっておる人と、自作農経営の調査があるかという御質問でございますが、実はこの二月一日を期しましてセンサスをやっておりますから、その結果が出てくるだろうと思っております。先ほど御答弁いたしましたのは農村に残っている人だけの統計を一応御説明いたしましたが、農家から出ました人の調査は全然やっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/38
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039・田万廣文
○田万委員 私は調査会というものを作られるのでありますれば、そういう広範なほんとうに気の毒な農家の諸君の生活、あるいはあなたの言葉ではないが、生業状態というものを調査する調査会であるならば、われわれは双手をあげて賛成するにやぶさかでないのです。それをやっておらない。反対に一部の農地解放の地主階層の救済のためとしか思えないような調査会を設置されたというところに、非常に疑問を持たざるを得ないのであります。そこで私は長官にお尋ねしたいのですが、前回のこの内閣委員会におきまして受田新吉君があなたに質問した言葉ですが、預金の問題があったわけですね。インフレで非常に被害をこうむった大衆があるのじゃないか、こういうものはどうするかという話があったのですが、さらに私はもう少し飛躍をして、極端な例をとって話をするのでありますが、終戦当時に最後の段階において空襲を受けて、家を焼かれ、そうして家族が殺された、財産もなくしたという、この広範な気の毒な非戦闘員である善良な国民大衆の生活を守るために、何らかの措置を政府において今までやられたことはございますか、いかがでしょうか。私はないと思う発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/39
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040・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 戦災による家屋、人員に対する補償の問題のようでございますが、これは戦時災害保護法、二十一年九月に廃止になりましたが、これによりまして災害者の保護のために見舞金を支払った例がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/40
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041・田万廣文
○田万委員 見舞金でというけれども、その見舞金たるやほんとうの見舞金であって、スズメの涙くらいしか行き渡っておらない。とうてい満足すべき金額ではなかったということをわれわれは知っておるのです。無にひとしいものです。そういうように戦争のほんとうの犠牲者といいますか、そういう者に対しては、きわめて冷淡な態度である政府が、今度のこの調査会における実態を見ると、あなたがおっしゃっておられるような補償も適正価格であった、それも渡しておるのだ、憲法にも違反しておらない、そういうような待遇を受けておる地主階層に、今さら何を調査して何を与えようとするのであるかということを私は言いたいのです。どうですか。ほんとうに福田さん、私どもはあなたの御人格を御清潔にして御信頼申し上げることができると思うのです。そういうような高潔なあなたが、政府委員としてはいろいろな簡単な、社会的な問題とかいうような答弁をしておられるが、腹の底では僕らの同僚委員が質問しておる意味がようわかっておいでになるのじゃないかと思うのです。私はあなたのほんとうの心の底をぶち割って話を聞きたいのですが、どうですか、おっしゃることはできませんか、やはり社会的な問題で逃げてしまうのですか、いかがでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/41
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042・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 空襲その他非常に悲惨な国民の被害に対しては、これは政府として決して万全とは私は言えないと思います。これはただ戦争という特殊の大きな原因の結果でございまして、今度の調査会の対象はこういう戦争という事態とは別個に、農地改革という大きな改革、それに伴って起こった社会的ないろいろな激変というので、それを調査しようというわけでありますので、おのずから問題が違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/42
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043・田万廣文
○田万委員 戦争という大きなことから起きた被害である。これは制度から出てきた問題である。戦争の被害の方が大きいのです。私はこういうような調査会を作ってやるならば、もっと掘り下げて、先ほどお話ししたように、今日の一般の小作、自作の農家がどういう生活状態であるか、あるいはもっとさかのぼって、今のような気の毒な戦争犠牲者がどういうような生活に陥っておるかというような問題について、調査会は何千万円という調査費を使ってでもけっこうだと思うのです。それを前後矛盾撞着もはなはだしいと思う。あたたかい人間味のある調査会を作る御意思はないのですか、いかがですか。血が通っておる人間であれば、政治家の端くれであれば、それらのことは当然考えられるべき問題じゃないかと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/43
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044・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御指摘の農政の問題については、当然これは大切な問題でありまして、御存じの通りすでに総理府に農林漁業基本問題調査会を設置せられて、いろいろこの問題とあらゆる角度から取り組んでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/44
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045・田万廣文
○田万委員 次にお尋ねしたいのは、前回本会議でございましたか、石田君か中村君かが質問したときに、岸総理が答弁せられた地主団体の解散問題、これは私どもは当然解散していいのじゃないかと思うのです。解散さすべきじゃないかと思うのです。岸さんの答弁ではどういうふうな答弁をしておられるかというと、本会議の会議録を読むわけですが、今の憲法の上から申しまして、目的が、決して公共の目的に違反してない、共同の主張を持ち、いろいろな意見を政治に反映せしめようとして、国民が自由に結ぶところの団体は、憲法において保障されておるところのものである、従って解散というようなことは考えておらないと御答弁になっておられる。私が考えますのに、公共の目的に違反しないというけれども、これは私は明らかに間違いだと思う。なぜかならば、すでに農地の取り戻しとかあるいは補償というようなもろもろの問題は、これは明らかに私は現在の農地法を無視しておる、あるいは憲法においては公共の現在の安寧秩序を乱す以外の何ものでもないと私は考える。公共の目的という点からいったならば、公共の目的を阻害するような今日の地主階級の団体というものは、その一点において私は解散させて当然だと思う。岸さんはそうおっしゃらない。見解の相違といえばそれだけの問題でありますけれども、実際今日の法秩序の上からいって、国民の良識の上からいって、現在の地主団体が考えておるもろもろの考え方というものは、明らかに公共の目的に背反する行為であると私は考える。この点に対する長官の御意見はいかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/45
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046・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 今日の民主政治のあり方からいって、志を同じくしまた目的を同じくする者が団体を作ることは、私は当然の権利だと思います。地主の方々が同じ考えで団結をし、団体を作る、そうしてまたいろいろ活動されることも当然の自由だと思うのでありまして、御指摘の公益云々の点につきましては、これは法律的にまた別の観点から考えらるべきものである、従って解散するということは当然私どもは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/46
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047・田万廣文
○田万委員 この点については意見が並行線でございますから、御議論申し上げません。次にお尋ねしたいことは、これは自民党の農地問題調査会というのですか、その答申に、農地転用税という問額があったと聞いておるのですが、あったとすればその答申の具体的な点をお話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/47
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048・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 その点は、この委員会でも受田委員からやはり御同様の一応の御提案のようなお話もありましたけれども、党の答申案、あれは三十三年の十二月と記憶しておりますが、大体三ヵ条結論を出して、第二のうちに今御指摘の点があったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/48
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049・田万廣文
○田万委員 その内容としては、私どもが聞いておるものでございますが、転売した価格から解放当時の価格を差し引いた額の二分の一を旧地主に交付する、その残りは土地改良事業等に投入するというものでございました。それを農地転用税というふうな表現をしておられるようでございますが、それに間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/49
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050・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 自由民主党農地問題調査会は三十三年の十二月に総会を開きまして答申案を出しておるのですが、その点につきましては具体的なパーセンテージには触れておらぬようであります。ただ農地の転用、転売に対して相当の課税をするということを答申いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/50
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051・田万廣文
○田万委員 自民党さんの内部のことですから私も詳しいことは存じませんが、そういうふうに申し上げたように聞いたわけです。しかし農地転用税として、その売買が行なわれた時分のその価格のうちから、ある程度のものを税金で取り上げるということの考えはこれで明らかになったわけです。その一部を地主にやるかやらぬかという問題ですが、これは明らかに今度の調査会法案の底意から考えても、自民党の農地問題調査会の答申と符合する結果になるおそれを多分に私どもは感ずるのであります。そこで農地局長にお尋ねしたいのですが、農地解放の反別、これはどれくらいあったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/51
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052・伊東正義
○伊東政府委員 農地解放いたしましたのは百七十五万町歩にちょっと足りない百七十四万何千町歩という数字でございます。そのほかに国の所管がえというようなものが約十九万町歩あったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/52
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053・田万廣文
○田万委員 約百七十五万町歩というお話でございますが、これに関連してわれわれが地主組合から陳情を受けたことがあるのです。これは仮定の話ではなく、実際にあった話ですが、反当に初め二十万円、後にこれはむずかしいというので十万円の補償をしてもらいたいということになった。十万円の補償というけれども、かりに一万円の補償にしても相当な金になるのであるが、これを十万円にしたら莫大な金額になると思います。長官に聞いておいてもらいたいのは、そういう予算が、現在きわめて困難な財政の中において、かりに調査会の結論がそういうものを出したと仮定しても、それを組み得る可能性があるのですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/53
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054・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 党の答申にも、そのような構想というものが、今御説明した通りあったようでありますし、また受田委員からもそういう趣旨の御提案もあったように私は存じております。ただこういう転用、転売については、御存じの通り所得税だとかあるいは固定資産税を払っておりますので、特別の税を設けて取るかどうかということは、よほど慎重に検討しなければならぬと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/54
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055・田万廣文
○田万委員 私は先ほどからいろいろ申し上げておりますが、農村の実態調査ということになりましたならば、これは広範な農村の実態調査ということでなければならぬと思います。とともに、ほんとうに政府がやるとしたならば、一部の人の救済というのではなく、しかもその一部というのは、今いろいろ質疑応答の中にも明らかに出たように、現在経済的にも、生活状態におきましてまだ優位を示しておるというような階層の諸君の救済でなくて、ほんとうに気の毒な農民大衆を対象にして調査もし、そうしてこれを救済する必要があるならば、いわゆる社会保障制度審議会、こういうものに付議してやることが私は合理性があると思うのです。それをやらないで、あえて農林省の所管事項であるべきものを総理府が取り上げてまでやるということ、しかもそこに無理押しをしていくという姿は、われわれはとうてい納得できぬ。少なくとも社会保障制度審議会というものに付託するか、あるいはもと通り農林省の所管にするかということについての御意見はいかがですか、長官のお考えをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/55
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056・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 社会保障制度審議会は御指摘の通りありまして、いろいろ保障制度の問題を検討しておるわけでございます。政府としましても国民年金の創設だとか、あるいは国民皆保険、いろいろな大きな問題を社会保障という観点から施策をしておるわけです。この調査会は、しばしば申し上げます通り、農地改革の結果起こったいろいろな著しい変化についての調査でありまして、おのずから社会保障制度とは範疇が違うと私ども考えております。なお農林省においてはどうかという御指摘もありますが、調査の対象が広範でありまして、あるいは厚生省その他にも関係がありますので、従来の経過からいって総理府に設置した方が適当である、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/56
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057・田万廣文
○田万委員 広範な広範なと言うのですが、どういう点が広範なんですか。きわめて狭いじゃないですか。(「広くあまねくだよ」と呼ぶ者あり)広くあまねくと言うが、広くあまねくではないじゃないですか。広くあまねくというのは、地主階級にあまねいているのであって、決してそうではない。広範なという御説明は、どういう点が広範なということになるのか、その広範の定義を一つ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/57
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058・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 広範という意味は、単に農政だけという意味ではなくて、農政は先ほど申した特別委員会があります。その他社会的にいろいろな大きな問題を含んでおる。だから幅が広いという意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/58
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059・田万廣文
○田万委員 長官が答弁されておること自身が、次々と質問を重ねなければならぬような答弁になるのです。広範なというのは、農政のみでない、社会問題その他何々とか言うて広い意味にお話がございましたが、私はもし長官の広範なという意味がそういう意味であるならば、農地解放をした一地主階層だけの問題でなくして、さらにもっとほんとうに大きな広範な大衆というものがあるわけなんです。今日、解放された農地を手放さなければならぬというような気の毒な農家もある、一家心中している農家もないとは言えない。そういうほんとうに広範な、地主階層以外の小作、自作というものを対象にして調査するという調査会が、私は意義があると思うのです。一千万円の金を使って何をするのですか。ばかげたことはおやめになったらいいと私は思う。私が言う広範なという広範がほんとうの広範なのか、あなたの言う広範がほんとうの広範なのか、常識的に広範という意味をもう一ぺん御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/59
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060・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 先ほど農地局長から答弁されたように、農林省の調査は約百七十万戸のうち七十万戸で、残りの解放されてから農業を離れた百万戸についてはほとんど調査ができておらない、こういう点については国民生活全般から見ても、政府としてはこういう調査会を設けるのが適当と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/60
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061・田万廣文
○田万委員 農地局長にお尋ねしますが、一般の農地解放を受けた自作人、また現在小作している人間、それらの数は何百万、何千万おるのですか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/61
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062・伊東正義
○伊東政府委員 農地解放しました農家、それは法人が十四万くらいあります。それを含めまして百七十六万くらいの人々が土地を解放したということになっております。小作人、それを買い受けました人は四百三十万戸くらいであります。そしてまだ現在は全体の九%くらいが小作地でございますが、人数は今言ったようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/62
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063・田万廣文
○田万委員 今横で長官もお聞きの通り、農地解放を受けた自作人、これはあなたが言う言葉からもさらに広範ですよ。その片一方の広範な、ほんとうに現在困っておる自作、あるいは小作という諸君、これを政府はこういう調査会を設けても調査の対象にしないというのはどういうわけですか。楽なものを調査して、貧乏な困っている人を調査会の対象からはずしてしまう、これは正義ではないじゃないですか、愛情がないじゃないですか。いかがですか福田さん、私はくどくど聞くことは好かぬのですけれども、あまりあなたの御答弁が要領よ過ぎて、ぼうっと空の上から灰をまいたようなことになっているから、私はその灰を拾うのに困るのです。一つ大筋を通して、率直に私の意のある質問をあなたが理解されて、明確な御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/63
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064・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御指摘の農政の、今曲がりかどにきている深刻な農村問題については、農林漁業基本問題調査会で、これは農林省が中心になって真剣に政府が取っ組んでおる問題であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/64
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065・田万廣文
○田万委員 なかなか長官ともなりますれば答弁がむずかしいと思うのです。むずかしいだけにわれわれもよほど掘り下げて質問しなければ、ほんとうのことはわかりにくい。掘り下げれば掘り下げるほどぼうっとしてくるのです。私がお尋ねしたいのは、補償を考えないということをたびたびあなたがおっしゃっているわけですが、そうですね。補償はやらないと言うしからば生活困窮者というものが一部にあるという結論が調査会から出たら、それはどういう取り扱いをするお考えですか。補償はやらぬということになっているのだから、一銭もやらぬと言うて捨てておくお考えですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/65
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066・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 補償しないことは、総理以下私どもたびたび法律上できるものではないということをはっきりお答え申し上げた通りでございます。なおその他につきましては、これは調査会の結論を見ませんと、政府として今のところ何ともお答えしようがありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/66
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067・田万廣文
○田万委員 今お話の中で法律上は補償できないということを言われた、これは間違いございませんな。——結論が補償、あるいは他の名義で見舞金あるいは交付金ということになるか知らぬが、とにかくある程度の金銭で満足さす。これはいかなる名義であっても補償ということになる。結論がそう出た場合には、法律上できないと言ってそれを切り捨ててしまうという決意があなたにはっきりありますか。私どもの心配するのは、今ここでは答弁で法律上はできないと言っておるけれども、具体的に調査会の結論が補償すべし、あるいは補償という言葉が適当でなければ、インチキ名義で一つの名義をつけてやった方がいい、そういうことが出れば、それは補償でないのだから名前が違うからやろうじゃないか、これは法律上違反でないというようなごまかし的な取り扱いをする危険性が多分にある。そういうことがないということをあなたはここで保証されますか、断言できますか、いかがですか。断言できるとすればこういうような調査会を置く必要は全然ない。これは常識的に結論が出ておるのです。何を求めて調査するのだということになるのです。その点いかがですか。結論の出方によってはどうなるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/67
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068・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 これは御質問の通り調査会は実態をまず把握することが第一であり、第二はその実態においてどういう処置が必要かという第二の問題にかかるわけであります。第二の問題について今からいろいろと結論を予想することは、私ども慎みたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/68
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069・田万廣文
○田万委員 そういう工合にぬけぬけと抜けてしまうのです。つかまえどころのないウナギのようなもので、どこへ行くのですかと言うとウナギに聞けというようなもので、あなたはウナギみたいなものです。つかんだと思えば逃げる、つかんだと思えば逃げる、実に巧妙なウナギですな。実際私はつかまえるのに困るのです。いつまでたってもウナギ問答で困ると思うのですが、自民党の諸君は与党だから何ら発言をなさっておらぬけれども、腹の底では私の質問のねらいがどこにあるかということは、ちゃんと皆さん知っておる。うまく逃げておるぞといって笑っておるわけです。感心しているのはあなたの答弁がうまいので感心している。うまいということはずるいということなんです、僕らに言わせたら。この調査会というものは過去何回も出して、そしてうやむやにせられておる。流れておる。流れておるということは国民が反対をしているということです。従って今度の調査会というようなものは、常識的に考えても科学的に考えても何らの根拠のないものを出して、あなたは答弁するのにはうまい答弁をなさっておるけれども、腹の中では苦しい答弁だと私は考える。この法案を撤回される御用意があるかないか。撤回されることによってほんとうに農民は自民党並びに政府を信頼すると私は思う。一地主階層をつかむだけで満足すべきものではない。民主主義というものは、いわゆる大衆の上に政治が打ち立てられる。一部の人の満足を得るために大衆を犠牲にしてやるということは、これは明らかに非民主的な態度と申さなければならぬ。この点御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/69
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070・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 撤回する意思は全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/70
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071・田万廣文
○田万委員 私は、あとの質問者もありますからきょうはこの程度でやめておきますが、一つ聞きたいのは、米価審議会とか人事院とかいうものがたくさんございますね。米価審議会けっこうですし、人事院けっこうです。しかしながら政府が作っているこういう組織は御都合主義でどっちでも使い分けする。米価審議会なんかは農民が非常に関心を持っておる委員会だが、米価審議会の委員の構成を見ましても、私は公正な審議委員ではないと思う。政府与党にこびを売るような諸君が割に多いのではなかろうかと考えるのです。審議会の結論がある程度常識的に出ましたものは、政府が率直にこれを受け入れて、それが政治の面へ現われているということはほとんどないです。人事院の勧告にしましても、今度益谷さんが給与関係の方を担当せられると聞いておるのですが、人事院の良心的な結論すらも率直にそのまま受け入れておらない。形式的にはこういう民主的な組織があるということはわかりますけれども、その民主的な組織の運営については、ほんとうに聞くべきものを聞かない。そういうものは聞かないで、今度のこの法案のように国民が求めておらないものを作ってこれを強行する。御都合主義もはなはだしいと私は思うわれわれはこの調査会については、とても今までのあなたの御答弁では了解できないのです。さらにいろいろな角度から質問をいたしたいと思いますので、本日はこの程度で質疑を打ち切りますが、後日また質疑をさせていただきたい、これを委員長にお願いして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/71
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072・福田一
○福田委員長 次に石田宥全君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/72
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073・石田宥全
○石田(宥)委員 総務長官にお伺いいたします。まず第一に、一千万円の予算を計上されましたが、その使途を明細に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/73
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074・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 人件費が二百万八千円、審議会運営費が四百二十九万九千円、調査委託費三百八十八万円、合計一千十八万七千円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/74
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075・石田宥全
○石田(宥)委員 三百八十八万円の調査委託費はどういう団体に委託されておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/75
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076・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 これはやはり調査が公正に行われなければならないという観点から、現在のところは中央調査社あたりに一括委託してその説査をお願いしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/76
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077・石田宥全
○石田(宥)委員 この委託調査は長い間地主の補償要求をやって参りました旧地主の団体に委託をするという下話が行われておったということでありますが、そういうことになりますと、きわめて不公明な一方的な結論が出てくることはきわめて明瞭でありますので、そういうことについてはっきりそうでないということが断言できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/77
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078・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御指摘の日地主団体の下話ということは、私は全然聞いておりません。またこういう調査の目的からいって、そういうことは絶対に避くべきである。今申し上げたのは一括して権威ある調査所に依頼するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/78
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079・石田宥全
○石田(宥)委員 そこで次に本論に入りますが、この法案の提案まで昭和二十六、七年からの地主団体のいわゆる農地補償の要求に基づく運動の発展が、今日に至らしめておると思うのでありますが、これについての政府と与党と旧地主団体の関係を具体的に一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/79
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080・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 地主の方が団体を作っておることはよく承知しております。また党内にもいろいろな特別調査会を作り、党の立場から研究されていることも私は承知しております。政府は政府の立場において適当な判断をし、処置するわけでありまして、それが三つの関係だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/80
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081・石田宥全
○石田(宥)委員 もちろん政府は政府独自の所信のもとに対処しなければならないことは言うまでもない。ところがこの経過を見ますと全くそれと反対で、当初は政府もきわめて明瞭にこれらの調査会設置の意思がないことを総理大臣も農林大臣も言明しておった。しかるに地主団体の活動が活発になってきますと、岸総理を初めとしてだんだん変わってきた。岸総理は三十二年十一月七日の衆議院の予算委員会において、初めて社会問題云々が調査をする必要があるということを言明しております。そういうふうにいろいろ変わっておる。井出農林大臣のごときは、旧地主の団体はそれを結成し、その活動開始することによって、連鎖反応として未墾地の買収等が阻され、さらにまた政府買い上げの未墾地が旧地主に払い戻されようとするような傾向が出たり、法律を無視した暴力的な土地取り上げ事件等が乱発をしておる、そういうふうなきわめて大きな社会問題としてこそ見のがすべからざる社会問題で平和な農村を混乱に陥れ、そこを紛争のちまたと化せしめるような原動力となっている地主団体に対して、現在の民主憲法のもとにおいて解散を命令するというようなことは考えられないけれども、行政的な措置で解散に導くよう指導をするということを言明しておる大臣もあるのです。私はそれが正しい見解であると思うのです。しかるにその後地主団体の活動が活発になり、同時に自由民主党の中にこれが調査委員会、あるいは調査特別委員会、調査小委員会というようなものが設置され、漸次地主団体の圧力に抗し得ずして、政府の態度、方針が変わってきておる。こういう経過を見るときに、政府の独自の所信、政府独自の見解によってこの法案が提案されたとは考えられない。こういう点で私どもはこの問題を非常に重要視しなければならないと思うのです。そこで私は政府の見解なるものが、かつての総理大臣の所信が変わって問題に取り上げられそうな形勢になってきたときに、農林省では公式な見解を発表しておる。この見解というものが農地局の見解でありまして、今日やはりその見解がまだ依然としてとられるかどうか。これは総務長官並びに農地局長に伺っておかなければならないと思うのでありますが、それは「解放農地国家補償に対する考え方」といたしまして、一、解放農地についての補償要求農地改革によって解放された農地に対して、国家補償をせよという要求を掲げて運動が行われている。この要求の理由としては概ね次の二点が挙げられている。(一)農地改革の際の農地の買収対価の算定に当っては、農村の慣習を尊重して、物納小作料を基礎とした戦前の農地価格決定の法則を採用すべきであるに拘らず、強力な戦時統制時代から引き継がれた公定賃貸料を基礎としたため、不当に安く評価されたこと。
(二) 買収対価を昭和二十年十一月二十三日現在に釘付けして、これに相当する農地証券を交付したため、インフレの影響を受けて旧地主は莫大な損害を蒙ったこと。
しかしながら、この主張は誤っていると判断される。その理由は次の通りである。
二、買収対価の算出基礎の正当性
(一) 農地改革によって田を買収するに当っては、当時の反当米作粗収入から生産費(物財費、労働費、資本利子、粗税公課)と利潤とを差引いた残余が耕作者から地主に支払うことのできる地代の限度だという前提で、その額を当時の国債利廻りで資本還元した額をもって買収対価とした。(自作収益価格、賃貸価格の四〇倍、反当平均七六〇円)
さらに、他方地主の立場も考慮して、当時の基準小作料を資本還元した、所謂地主採算価格との差額を報償金として支払った。(反当二二〇円、但し三町歩を限度とする。)
(二) 畑の買収対価もこれに準じて算出した。(対価賃貸価格の四八倍、反当平均四四八円、報償金反当一三〇円)
(三) この買収対価は、農地改革事業が一段落を見た昭和二十五年までそのまま据え置かれたが、この間に行われた米価の数回に亘る改訂は、騰貴した生産費を補償する範囲内で行われたに過ぎず、実際にも昭和二十一年度から二十四年度まで、各年度の産米について同様の方式による自作収益価格の計算を試みると、残余として生ずる地代部分は、何れの年も例外なく存在せず、従って買収対価を改訂する理由がなかった。
三、最高裁判所の判決
以上の点をめぐって、買収対価を違憲とする訴訟が各地で提起されたが、その論拠は憲法第二九条第三項「正当な補償」ではなく、私有財産権を侵害するものであるというにあった。最高裁判所は、昭和二八年一二月二三日、買収対価違憲訴訟に対して上告棄却の判決を下し、農地の買収対価は次の理由により憲法第二九条第三項に規定する「正当な補償」であることを明かにした。
(一) 憲法第二九条第三項にいう「正当な補償」とは、合理的に算出された相当な額をいうけだし財産権の内容は、公共の福祉に適合するように法律で定められることを本質とするから、公共の福祉を増進し又は維持するために必要ある場合は、財産権の使用収益又は処分の権利にある制限を受けることがあり、また財産権の価格についても特定の制限を受けることがあって、その自由な取引による価格の成立を認められないこともあるからである。
(二) 対価の算定方式を地主採算価格によらず自作収益価格によったことは、農地を耕作地として維持し耕作者の地位の安定と農業生産力の維持増進を図ろうとする農地調整法より、いわゆる第二次農地改革において制定された自創法に及ぶ一貫した国策に基く法の目的からいって当然であるといわなければならない。
(三) 前記買収対価の外に、地主としての収益に基き合理的に算出された報償金をも交付されるものであるから、買収農地の所有者に対する補償が不当であるという理由を認めることができない。
(四) 農地買収対価決定当時(昭和二十年末)の米の生産者価格は、その後数回改訂されているが、これは戦後における経済事情の急変により主として生産費がいちじるしく上昇したのに対応した措置であり、生産者たる耕作者を基準とする米価対策の上から当然であって、なんら生産そのものに直接関係のない地主たる農地所有者に対し、その農地価格をこれに応じ直に改訂しなければならないものではない。
(五) 農地改革は、他のある制度のように連合国の支持によらなければその実現を全く考えられなかったものとは類を異にする。農地については戦前から種々地主の所有権の内容がいちじるしく制限されてきているが、かかる農地所有権の性質の変化は、自作農創設を目的とする一貫した国策に伴う法律上の措置であって、いいかえれば、憲法二十九条二項にいう公共の福祉に適合するように法律によって定められた農地所有権の内容であるとみなければならない。
四、解放農地国家補償の農地制度への影響
農地改革は、最高裁判所の判決にも明らかな通り、戦前から自作農創設を目的とする一貫した国策の下に行われたものであって、現行の農地法も農地改革の成果の保持をその根本原則としている以上、農地の買収対価、小作料等についての考え方は農地改革当時のものをそのまま引き継いでいるので、もしこの要求を容れるときには、これらについての根本原則は崩れることとなる。ひいては耕作権保護の思想も根底からその基礎が揺ぐこととなる。
五、在外財産補償との相違
解放農地についての補償要求と在外財産補償の問題とは次の諸点において著しい相違がみられる。
(一) 在外財産問題は外国没収と在留邦人の強制送還とによって惹起されたものであるが、農地改革についてはこのような事態はなく、国会で成立した法律に基いて行われた。
(二) 農地買収については、法律によって異議申立、訴願、訴訟の道が開かれているが、在外財産の没収については、このようなことは一切考慮されていない。
(三) 農地買収については、前述のとおり正当な補償がなされているが、在外財産は没収されたものである。
(四) 在外財産の補償について、国家に法律的責任があるかどうか未だに未確定であるが「農地買収については前述の最高裁判所の判決がある。
こういう見解を明らかにしておるのでありますが、この見解を今日やはり支持されるかどうか。総務長官並びに農地局長の見解を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/81
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082・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 今の政府といたしましては、対価に関する最高裁の判決は正しいものと思います。これはあくまでも守らなければならない。また従っていわゆる対価不当の前提としての補償問題は考えらるべきものではない、考えてはならない。この二点は、今までいきさつはありましたが、現政府がはっきりとお答えしておる通りであります。なお細部につきましては農地局長から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/82
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083・伊東正義
○伊東政府委員 お読みになりましたものは、正式な文書として私になってから配ったというようなことはございませんが、内容につきましては今総務長官からお答えになりましたことと私も全然同一でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/83
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084・石田宥全
○石田(宥)委員 農地局から正式に発表されたものであるかどうか、私はこれはかつて当時の農林委員会で配付された文書であると承知しておるのであります。衆議院農林水産常任委員会に提出された文書というものは、これは公式の席上に明らかになったものであって、これは公の文書であると理解するわけでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/84
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085・伊東正義
○伊東政府委員 はなはだ不勉強で恐縮なんですが、私、農地局長になりましてからそういう資料を配った記憶がないのでございますが、もしその前に配ったといたしますればその通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/85
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086・石田宥全
○石田(宥)委員 見解の基本的な問題でありまして、伊東農地局長以前の問題でありますけれども、経過はその通りでございますから、従ってそういう経過を経ておれば、これは公式見解と受け取って差しつかえないと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/86
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087・伊東正義
○伊東政府委員 同意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/87
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088・石田宥全
○石田(宥)委員 先ほど来田万委員の質疑の中で、農地局長からもいろいろ政府の調査事項が明らかにされておりますが、伊東局長非常に時間の関係を考慮されたと見えまして、ただその要点だけしか触れておらないようでありますが、私はやはりそれが基本的な問題であると思いますので、この点はもっと明らかにしなければならないと考えるのであります。その農林省の調査というものがやはり基本的な問題であると思いますので、局長から詳しく説明を聞くことが一番いいと思うのですが、私ここに農林省の統計調査部の出した「農家調査の結果概要」、その中にある「耕地を解放した農家の現状」という統計を持っております。これはやはり記録にとどめておく必要があると思いますので、基礎的なものですからこの点も明確にしておきたい。これは先ほど局長が言われたように、昭和三十年度臨時農業基本調査によるものであります。この中で農地改革後五カ年の歳月がたっている耕地を解放した農家、いわゆるもと地主が現在どのような状態にあるかを明らかにした注目すべき結果が出ているのであります。その結論としては、他の農家に比して全般的に恵まれているという。調査の結果により、まず最初に耕地を解放した農家の調査時現在の経営耕地規模を見ると、解放農家、いわゆるもと地主は階層の大小に関係なく一般農家に比べて耕地面積の大きい農家の割合が多いし、また商品生産農家の割合が高い。次に専兼業別の割合を見ると、これも解放農家の階層の関係なく、一般農家に比較して専業農家の割合が高い。さらに兼業の種類を見ると、解放農家は第一種、第二種兼業農家とも、社会経済的に高い地位にある兼業に従事している農家が一般の農家より多い。たとえば解放農家が村長、助役、専務職員、技術職員などサラリーマンの兼業農家が多く、賃金労働者として恒常的に雇われるものや季節雇い、人夫、日雇いなどは非常に少ない。また解放農家だけをとっても、上層ほど比較的地位の高い職業に従事している。耕地を解放した農家の土地面積を見ると、耕地面積は一般農家の平均七反五畝に対し一町六畝に及び、解放農家の階層中最も少ない五反未満の階層でも平均九反七畝となっておる。山林は、一般農家に比し解放農家は、経営農家数の割合も面積もともに大きい。山林面積は、解放規模の大きい階層ほど著しく大きくなっている。解放農家の階層別に他から労働を入れた農家数の割合を見ると、農業常雇いと日雇いは上層ほど多く、ゆい、手間がえは下層に多く、手伝人は階層差が少い。以上を総合して見ると、耕地を解放した農家は一般農家よりも経営規模が大きく、従って農業経営の面から見ても上位にある。たとえば専業農家の割合は、解放農家の割合が四五・九%、一般農家は三四・五%、商品生産農家の割合は、解放農家が四五・二%、一般農家が二七・七%、耕地面積は、解放農家が一月当たり一町六畝、一般農家は七反五畝。また兼業の面から見ても、社会的、経済的に地位の高い兼業に従事している農家割合が大きい。解放農家の解放耕地の規模別に見ると、解放面積の大小による差は農業経営の面では僅少であるが、兼業の面から見ると、社会経済的地位の上位にあるような兼業が解放規模の大きい農家層に多い傾向がある。最も著しい差は、解放農家のうちで解放規模が大きい層は、山林の経営面積がきわめて大きい点である。たとえば山林を経営する農家の割合は、五反未満が六八・九%で、山林を経営する農家一戸当たりの山林面積は二町五反三畝、五反から一町は、山林を経営する農家の割合は七一・五%で、山林を経営する農家一戸当たり山林面積は三町三反三畝、ずっと飛ばしまして十町以上になりますと、山林を経営する農家割合が七五・六%、山林を経営する農家二戸当たりの山林面積が二十二町二反四畝、解放農家の平均は七〇・七%で、山林を経営する農家二戸当たり山林面積が四町八畝、一般農家は、山林を経営する農家割合が四六・一%で、山林を経営する農家一戸当たり山林面積が一町五反九畝しかない。解放農家のうちで統計面で最も貧しい農家と見られるものは、第二種兼業農家のうちで季節出かせぎ、季節雇い、人夫、日雇いなどをして生計を立てている農家で、これらの農家は、この統計の対象となった解放農家九万三千六百二十九戸中五百四戸である。すなわち〇・五%。しかし経営耕地が三反未満の農家が一万九百二十五戸もあるので、第一種兼業農家といえども前記のような不安定な兼業を行なっている場合で耕地が少ない場合が考えられる。これが第一種兼業農家の中に三千八百六十二戸ある。こういうふうに農林省が非常な努力をして、これだけの調査の結論を出しておるのであります。こういう結論があるにもかかわらず、なおかつその社会問題を調査するということについては、われわれはとうていこれは納得がいかないのです。そういたしますと、さらに経済問題以外に調査をするということは、何を対象としてどういう角度からどういう問題を調査されるのか、長官の一つ御返答をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/88
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089・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 今あげられました統計については、御存じの通り旧地主でなおまだ現在農業に従事している方を対象にしているわけであります。約百七十万戸のうちで約七十万戸足らずでございますが、残りの百万戸については調査をいたしておらないのが今日の状況でありまして、調査会の対象はこの調査をしておらない百万戸についていたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/89
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090・石田宥全
○石田(宥)委員 これは長官は御存じかどうかは存じませんけれども、一体統計というようなものは、長官は信用されるのですか、されないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/90
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091・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 権威のある機関のやった調査は当然尊重いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/91
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092・石田宥全
○石田(宥)委員 統計というものは、全体を調べなくともその趨勢はわかると思うのです。ところが、一部分調べてないから、あるいは半分調べてないから、それはわからないというものではないと思う農家経済調査にしてもあるいは米の生産費調査にしても——米の生産費調査のごときは三百万戸の米販売農家のうち二千六百戸の調査を基礎にして、米価算定の基礎資料にしておる。まだ残っておるものがあるから、それを全部調べなければならないという考え方は、一体どういう基礎的な理由に基づくものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/92
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093・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 まだ調査をしておらない百万戸は、調査した分の約七十万戸とは違いまして、七十万戸の農林省の調査は今でも農業に従事しておるものであります。私どもの調査いたしたいというおもなる対象は、農業を離れた人で、おのずから調査の対象なり内容が異なってくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/93
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094・石田宥全
○石田(宥)委員 一体その調査というものは、どういう角度から、どういう点をどういうふうに調査をされるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/94
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095・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 農地改革の結果伴った社会的な非常に激しい変動という立場から調査いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/95
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096・石田宥全
○石田(宥)委員 この問題がここまで追い込まれてきたということは、先ほど基本的には前の農地局長時代の農林省あるいは農林大臣の見解は変わっておらない、こういうことでありますが、その後政府が地主団体並びに与党の圧力の前に屈して、これを提案するに至ったことは間違いないと思うそこで自由民主党の中で調査会をお作りになったことは私は実は敬意を表しておる。ずいぶんむずかしい調査をおやりになっておる。これは長官は知っておられるかどうか存じませんが、がり版で表裏四枚に刷った膨大な調査をやっておられるのですね。さっき田万先生は生活困窮農家は一割ぐらいだとおっしゃったのですけれども、実はその結論も出ておるのですね。私はその調査にも敬意を表するものです。それによりますと、どういう結果であるかと申しますと——これは一つ長官ももうちょっと勉強しておいてもらったらいいと思うのですが、これも膨大な調査資料です。その努力は非常なものです。そこでこういうことになっております。生活保護法などの適用の有無で、生活保護法などの適用を受けた者は〇・五%、現在受けておる者は〇・一%、千人に一人です。生活保護法などの適用の有無で、母子福祉資金借り入れをやっておるものは、かつて受けた者は〇・六%、現在受けている者は〇・二%です。これもやはりもっと広範に調べなければ、その結論は信用できないと長官はおっしゃいますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/96
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097・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 自由民主党が行ないました調査は、七十三カ所にわたって約八千人を対象にしたようでございます。御指摘の通り、現在その調査に基づくと、生活保護の適用を受けている者は一%となっておりますが、しかしまたその統計の中に、生活に不満を訴える者三六%という数字が出ております。従ってどん底に落ち込んだ数は少ないが、生活に不満足という点が四割近くもあるというふうに私どもは伺っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/97
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098・石田宥全
○石田(宥)委員 長官は一体この調査が、どういう手続によって行なわれたか、御存じですか。御存じなら一つ承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/98
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099・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 手続その他こまかい点については存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/99
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100・石田宥全
○石田(宥)委員 手続その他の最も重要な点を御存じないのでありますから、それでは話にならない。私は新潟県の例をずっと調べてみますと、これを町村役場に委託をした。町村役場が農業委員会に頼んだが拒否された。そこで地主団体がこれをやっておる。一体地主団体は、十万円なり七万円なり五万円なりという補償を要求しておる団体、そうして生活が困窮しておるという主張をやっておる団体の諸君に調査を委託したならば、私は生活にゆとりがありますとか、ほかの人たちよりも楽であるとか、あるいは学校の子弟の教育もどうにかやっておりますというような結論が出るはずがないじゃありませんか。そういう主張をやっておる団体の役員等に調査をさせれば、さっき私が指摘したように公平な結論が出るはずがないのです。そういうことをやっておるのが大部分じゃないですか。農業委員会はこれに反対の態度を明らかにしております。全国大会でも各府県の大会でも町村の委員会でも、ほとんど大部分がこれに反対をしております。そういうところが協力するはずがありません。協力はしないからといって、この地主団体の手をわずらわして調査をした結論というものは、今長官が指摘されたように三六%の者が生活は困りますと言うに相違ない。そういう手続についてまた再び同じようなことをおやりになるのではないかということを、全国の国民は注目をし、非常に心配をしておるのです。御意見はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/100
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101・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 今度の法律に基づく調査会は、先ほどお答えしました通り権威のある公正な調査機関に命令しまして、約一万五千戸を対象として全国的にやるつもりでありますので、御指摘のような御懸念はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/101
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102・石田宥全
○石田(宥)委員 国内の特に農村関係では、今申し上げたように全国農業会議所というものは国からいろいろ補助金や助成金をもらって活動をしておる団体だけれども、全国大会において絶対反対の態度を表明しておる。各府県で、反対の決議をしていない府県はほとんどありません。中には、市町村にによっては、旧地主の影響等のもとで動いておる委員会は、あるいは反対の決議をしない委員会もあるかもしれないけれども、大部分が反対の態度を明確にしておるときに、一体どういう機関で、どういうふうな方法でそれを調査されようというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/102
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103・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 先ほど申した通り、権威ある調査機関に一括して全国的に調査する、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/103
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104・石田宥全
○石田(宥)委員 権威ある調査機関という抽象論ではわからないのです。農林省には統計部という統計についての権威ある機関があるのです。その機関を通しておやりになるのか。あるいは内閣には、内閣統計局というものがあるので、そこでも諸般の統計を扱っておられる。それぞれあるわけです。一体どういう機関でおやりになるのか。あるいはことしは一千万円だけれども、来年からは数億の予算を使って農林省の統計部のようなものを独自にお作りになるおつもりなのか、一体具体的にどういう腹案で臨んでおられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/104
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105・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 細部につきましては、福山説明員から説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/105
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106・福山芳次
○福山説明員 この調査会が成立いたしますれば、従来総理府として諸種の調査に使っております、たとえば中央調査社というふうな、従来やりました調査に徴しましても、信用のおけます機関を利用いたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/106
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107・石田宥全
○石田(宥)委員 まだ具体的な腹案がなくて、この法案を通すということは非常に危険千万です。大体社会問題を調査するとおっしゃるけれども、社会問題というものは経済とうらはらのものです。経済的に非常に困窮をし、窮迫を告げておるという、そういうこととの関連において社会問題というのは起こるのです。ところが、今政府がこういう法案を出されて、この法案がかりに成立するようなことがあったならば、さっきも私はちょっと指摘したのでありますけれども、平和な農村に再び地主団体の法律を無視した暴力による土地取り上げ事件などが横行するでしょう。今平和になった農村に、再び旧地主の団体が横行濶歩して、農村の平和を撹乱することは火を見るよりも明らかです。そういうところにこそ重大な社会問題が起こるのじゃないですか。これは社会問題を誘発するところの悪法であると言わなければならない。皆さんは、この法案そのものを非常に軽い気持で考えればいいじゃないかという考えもあるようですけれども、及ぼすところの影響は非常に大きい。これは皆さんはおそらく御存じないのではないかと思う。これこそ私どもが一番憂慮する問題の一つであります。そういう点について、かつて一度起こった。香川県等においては、昔の将軍様が地主団体に参加して、兵卒が小作人で、大東亜戦争の二の舞をたんぼの中で演じたではないですか。石川県でもやりましたよ。至るところに問題が起こった。これは再びそういう問題に点火する契機となるおそれがある。そういう点で、われわれはこれは断じて許してはならないと思う。この点については、どうせまだ序論でありまして、これから本論に入るわけでありますが、時間の関係もございますから、きょうはこの程度に留保いたしておきますが、さらに長官を中心にしてよく御検討おき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/107
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108・福田一
○福田委員長 次会は明四日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01119600303/108
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