1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月四日(金曜日)
午前十時五十八分開議
出席委員
委員長 福田 一君
理事 淺香 忠雄君 理事 岡崎 英城君
理事 高橋 禎一君 理事 高橋 等君
理事 前田 正男君 理事 石橋 政嗣君
理事 石山 權作君 理事 田万 廣文君
生田 宏一君 小金 義照君
始関 伊平君 辻 寛一君
富田 健治君 橋本 正之君
八田 貞義君 山口 好一君
飛鳥田一雄君 久保田 豊君
杉山元治郎君 中原 健次君
出席国務大臣
国 務 大 臣 中曽根康弘君
出席政府委員
総理府総務長官 福田 篤泰君
総理府総務副長
官 佐藤 朝生君
内閣審議官
(内閣総理大臣
官房審議室長) 大島 寛一君
総理府事務官
(行政管理庁行
政監理局長) 山口 酉君
総理府事務官
(科学技術庁長
官官房長) 原田 久君
総理府事務官
(科学技術庁計
画局長) 久田 太郎君
農林事務官
(大臣官房長) 齋藤 誠君
水産庁次長 高橋 泰彦君
委員外の出席者
農林事務官
(水産庁漁政部
長) 林田悠紀夫君
通商産業事務官
(通商局振興部
経済協力第一課
長) 後藤 正記君
専 門 員 安倍 三郎君
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三月四日
安員纐纈彌三君辞任につき、その補欠として生
田宏一君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第三五号)
水産庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四二号)
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四一号)
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第八三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/0
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001・福田一
○福田委員長 これより会議を開きます水産庁設置法の一部を改正する法律案、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案、総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)及び総理府設置法の一部を改正する法律案内閣提出第八三号)の各案を一括議題とし質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。石山權作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/1
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002・石山權作
○石山委員 きょうは責任者がいないような格好ではなはだ残念ですが、事務的なことからお聞きしたいと思います。
水産庁関係をお聞きします。官庁の用語というものはおもしろいものだと思うんですが、提案理由の中にこういうことを言っておるのです。「放流等に関する事務を国の事務として実施する必要がなくなったため、」というのだが、ああいう仕事が事務というような仕事になるわけですか。いわゆる十和田のサケ、マスの放流する仕事、あれは事務というふうなものになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/2
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003・林田悠紀夫
○林田説明員 この十和田湖におきまするマス類の孵化及び放流等に関する事務と申しまするのは、ここでマスの養殖をいたしまして、その魚が大きくなりましたのを採卵して孵化いたしまして、それを十和田湖内に放流いたしましたり、あるいはほかの河川に放流するために他の県に配付するというような仕事をやっておる次第でございまして、それを事務というふうに申しておりますが、単なる事務ではなくて、事業的な色彩を持った事務をやっておる次第でございます。それを事務というふうにしておりまするのかどうかということでございますが、これはそういうふうな用語を設置法でも使っておりまして、まあ官庁用語になっておるのではないかというふうに考えられる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/3
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004・石山權作
○石山委員 この事務ということが法律用語であれば私はあえて聞かぬわけなんです。官庁用語であればこんなものは直さなければいかぬと思うのです、われわれ一般が聞いてもわかりいいようにしてもらわなければならない。これが法律用語で事務という熟語の範囲というものが規定されていれば、こういう言葉をお使いになってもあまり変な感じはいたしません。どうなんです、これは法律用語になっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/4
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005・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 ただいまの御質問は、事務という言葉が官庁用語であるかあるいは法律用語であるかということでございますが、農林省設置法のこれらの独立した機関に対する事業につきましては、すべて事務という言葉で表現いたしております。たとえば本件に関しまするサケ、マス孵化場に関連いたします規定が設置法の第七条の四の三にございます。それによりますと、たとえば「農林大臣は、北海道さけ・ますふ化場の事務を分掌させるため、所要の地に北海道さけ・ますふ化場の支場又は事業場を設けることができる。」あるいは真珠につきましても同様な規定がございまして、「農林大臣は、真珠研究所の事務の一部を分掌させるため、所要の地に真珠研究所の支所を設けることができる。」ということで、事業場であっても法律的にはすべて事務を分掌させる、こういうことでずっと設置法上統一して利用いたしておりますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/5
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006・石山權作
○石山委員 そうするとこれは農林省だけの用語になっているのでしょうか。それとも国全般の慣用語ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/6
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007・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 これは設置法でございますので、ほかの省におけるここは私もよく検討いたしておりませんか、法制局において統一的な表現をいたしておるのだろう、かように了解ししおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/7
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008・石山權作
○石山委員 それではそのことはあなたの方でも調べていただいて、あとで御答弁をいただきたいと思います。それで長官がおいでになりましたのにお聞きいたします。長官はあまり秋田県と青森県のことをお知りでないということは、何と申しましても遠いところですから、たびたびおいでにならぬと思うのですが、十和田のサケ、マスというのは前の和井内さんが一生懸命おやりになって、映画にもなって出て大へん評判のよかった過去の経歴があるわけなんです。このサケ、マスの件は、両県にとってはなかなか捨てがたい味のあるものなので、あなた方お知りでないとすれば、私の今の話を聞いただけでも概括的におわかりだと思う。ただ私は水産庁だけでなく、あなたに聞いていただきたい点は、前に秋田県と青森県の境に久六島という島があるのです。それは満潮になると見えなくなる島です。日本海岸の満潮というのは三十センチから四十センチぐらいしかないわけなんですが、その島のために、この島は秋田県のものだ、これは青森県のものだというので大へんにいざこざが起きて、その陳情戦のために県費の追加予算を組んだことがあるわけなんです。それで今度の案は秋田県と青森県の共管になっているわけです。これは表面から見れば、国の事業をばそのまま両県へ移行して、そして新しくできるとすれば、それに全額の補助も与えるというので、表面から見れば何らの異議のないことです。ただそれを十分に調整をとられておやりになっていたかどうか。前のそういう久六島というような経緯があるものですから、ただ共管せいと言って出しても、受け取った方はなかなかできないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/8
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009・林田悠紀夫
○林田説明員 仰せになりましたように、十和田湖のヒメマスの孵化につきましては、当時和井内氏が非常な努力をいたしましてやった仕事でございます。そこで今回これを国営から県営事業に移そうといたしておりまするのは、ヒメマスの孵化事業の特色といたしまして、ヒメマスが人工飼料ではなかなか大きくならないというふうなことがございまして、十和田湖におきましては、国営としてやっていくについては、むしろ県営でやった方が実情に適するというふうな点がございまして、国営の方はもっぱら支笏湖の方でやっていきまして、それで十分現在の需要を充足し得るということになっておりまするので、また秋田、青森両県におきましても県営でやっていくことについて要望もございまして、県営事業に移そうということにしておる次第でございます。それで青森、秋田両県におきましては十分協調がとれておるわけでございまして、両県の共同の県営事業としてやっていきたいということで、両県の間にいささかの紛争もない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/9
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010・石山權作
○石山委員 いささかの紛争もないといって、事例も何もあげられないで紛争もないというのはおかしいと思います。それはなぜかというと、たとえばダム一つ、われわれ地方へ行ってみても、農林省と建設省と、あるいは土地の県知事と、それらを管理するのにいろいろな問題を残しておるわけなんです。私は地方新聞しか見ておりませんけれども、この問題について秋田県と青森県ではたった一ぺんぐらいしか打ち合わせしておりませんよ。そうすると、あなたの方で内容がちゃんとままって、こういうふうな格好で共管をしなさい、お互いに仲よくやりなさい、こういう条件のもとで何か内容を指示されてお出しになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/10
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011・林田悠紀夫
○林田説明員 この両県の所管の部長でありまする水産商工部長と農林部長が水産庁の方へ一緒に参りまして、話し合いを水産庁が中に入っていたした次第でございます。それで最終的な決定は県会なんかの関係もございまするから、まだつけてない状況でございますが、両県の事務当局におきましては両県の共同の県営事業としてやる、そして予算は四百七十五万円つけておりまして、これですべての施設ができるということにいたしておりまするので、県としてはこの施設のために出費を必要とするということもありませんので、両県の事務当局といたしましては、これで十分両県が共同でやっていけるということになっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/11
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012・石山權作
○石山委員 話し合いの中で、現在残っている国立の孵化場はどういう格好になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/12
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013・林田悠紀夫
○林田説明員 十和田湖に現在ございまする国立の孵化場は、県の方で和井内氏から借りておりまする施設につきましては、和井内氏に返還いたしまして、その他の施設につきましては、国有財産といたしまして財務局が処理することにいたしております。しかし県から要望がございましたならば、これを県の方へ払い下げていくということにいたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/13
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014・石山權作
○石山委員 そうすると、これは和井内氏の方から返還願があって、水産庁、国がお考えになったということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/14
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015・林田悠紀夫
○林田説明員 そういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/15
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016・石山權作
○石山委員 たとえば、歴史的経緯のある和井内養魚のところで、自分で経営したいから国へお貸ししたものを返していただきたい、こういうふうなことが話のもとになってこういうふうな提案になったかと私は聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/16
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017・林田悠紀夫
○林田説明員 和井内氏の方から返還の要求がありましたならば、和井内氏に返還することになります。これは返還の要求がなくても、今まで国が和井内氏から借用いたしておりまして、和井内氏の方では返還してもらいたいという話が仰せのようにあったわけでございます。それで和井内氏に返還するということにいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/17
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018・石山權作
○石山委員 そうすれば、話の順序としてははなはだいいことです。国がもう役に立たなくなったから打ち切るということではなくして、前の権利のある人からそういう要望があった。それで和井内氏は和井内氏で単独で経営する。そうすると両県で何かをおやりになる場合には、別個の個所を求めてやるという案でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/18
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019・林田悠紀夫
○林田説明員 その設置の個所につきましては、現在二通りの案があるわけでございます。一カ所は青森県の中の宇樽部というところでございまして、もう一カ所は和井内氏が前にやっておって、今国営の施設としてやっておるところと、この二通りの案がございまして、和井内氏は最初は自分でやりたいというふうな話をしておられたのですが、最近にはその場所を県の方に貸してもいいというふうな話もあるやに聞いております。だから、その場所につきましては、どちらか選択するということになると存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/19
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020・石山權作
○石山委員 二つだけ注意しておきたい点があります。一つは、さきに私申し上げました青森と秋田の境の久六島の轍を踏まないように、両県がうまくやっていけるようにやってもらいたいということ、それからもう一つは、歴史的にあそこの湖を開拓した和井内氏の功績というものを没却したようなやり方、たとえば国が、国の権威、権力を背景にして、個人の歴史的な功績までも踏みにじるようなやり方で、国家補償等の問題をば処理するということはいかぬことだと思う。この二点だけを十分やっていただけば、私はこの法案は何ら異議を差しはさむ必要はないのではないかというふうに考えますので、この二点だけは十分お答えを願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/20
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021・高橋泰彦
○高橋(泰)政府委員 ただいまの御指摘はまことにごもっともな御指摘だと思いますので、その点重々注意いたしまして今後善処いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/21
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022・福田一
○福田委員長 前回の委員会におきまして、農林省設置法の一部を改正する法律案についての久保田委員の質疑に対する齋藤政府委員の答弁の訂正につきまして、齋藤官房長より発言を求められておりますので、これを許します発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/22
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023・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 前回当委員会におきまして、久保田先生の御質問に対しまして、乾繭についても生糸と同様横浜及び神戸の生糸検査所で買い入れ、売り渡しを行なう旨のお答えをいたしたのでありますが、これは誤りでございましたので、訂正さしていただきます。
乾繭は横浜、神戸市場を流通しているわけではありませんので、全養連等の全国農協連を契約の相手方として、各県の倉庫に在姿のまま買い入れますので、従来通り本省でこれを取り扱うことが適当であると考えておる次第であります。
なお、その際御要望になりました農林省設置法関係の資料をお手元に配付しておきましたが、その際園芸課につきまして想定している人員をたしか約二十名と申し上げましたが、配付しました資料にありますように二十三名の誤りでございますから、あわせてつけ加えさせていただきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/23
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024・福田一
○福田委員長 次に石山權作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/24
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025・石山權作
○石山委員 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案について御質問申し上げたいのですが、どうもこの法案を見ますと大へんのどかなような気がします。宇宙々々という言葉がたくさん使われている。宇宙物理学、宇宙医学、宇宙心理学、宇宙通信、宇宙計測、宇宙飛翔体、宇宙が一ぱいあるので、われわれのようにごみごみしたことばかり言っている者から見れば、大へんのどかなような気がしてなりませんが、われわれは宇宙というと、たとえばアメリカの宇宙計画あるいはソ連の宇宙計画というのがすぐ頭にぴんとくるわけです。そういうふうなところから見た場合に、われわれの言っている日本の宇宙開発という言葉は、一体どこら辺にあるかというのはちょっと私はつかみにくいのです。長官から概括的に、初歩的にお話し願えれば大へんわかりいいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/25
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026・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 最近宇宙の問題が国際的にも国内的にも取り上げられて参りましたが、日本はその点についてはまだ萌芽期の状態にありまして、なるたけすみやかに軌道を設定するということが必要なように感ぜられます。
まず国際的に考えますと、アメリカやソ連が派手なロケット競争をしていることはすでに御存じの通りでありますが、国際連合を中心にいたしましても、これが今国際的に取り上げられておりまして、昨年の十二月に国際連合の総会の決議をもってアウタースペーススペシャル・コミティ、大気圏外平和利用特別委員会というものが設定されまして、米・英・ソ・日本等を含む二十四カ国が委員会を結成することをきめました。久しくソ連がそれに対しては出席人員の理由で異議をはさんでおりましたが、完全にこれも一致を見まして、これがいよいよ発足をいたしたわけであります。そしてその委員会において、国際協力をいかに具体的に展開するかということを検討する。と同時に、今年ないしは来年にかけて、第一回の国際宇宙科学者会議を開こう、こういうところまで進んできたわけであります。前から学術関係の世界の連合体はございまして、コスパルというのがございましたが、それがさらに進んで、いわゆる松平康東君を中心にするその前の委員会が国際連合に作られ、いよいよ総会の決議で正式に世界の二十四カ国が集まって、政治的にもこれが取り上げられるという段階に発展してきたのであります。そういう情勢を見ますと、日本も国際的な網の中へ入らなくてはなりませんし、それにはそれ相応の学術研究の成果なりあるいは国内体制の整備をはかる必要があるのであります。
一方現実の面を見ますと、ごく身近な問題といたしましても、アメリカやソ連を中心にして地球上の気候の研究というものが非常に進んでおる。台風がどうして出るか、あるいは雲がどうして多いか、あるいは暖冬異変がなぜ起こるか、こういう問題は、一面においては太陽の黒点の研究とか、そういう面も非常にございますが、さらに宇宙全体の関係が非常に多い。そういう点から見ましても、地球全体の気候の制御、自然改造という面からも、宇宙の解明ということが非常に重要になって参りました。ですからある国におきましては気象衛星を早く飛ばして、地球上の全貌を衛星によってつかむようにして、長期予報をやろうという計画が現実に今立てられつつあります。あるいはさらに電波の利用、つまり今までは電離層へぶつかって電波が地球上
へまた返ってきて、電波というものがとらえられておったわけでありますが、さらにそれ以上の大きな電波の利用を人間が考え始めまして、人工衛星を飛ばしながら長距離中継をやるということも、もう現実的になってきております。現にアメリカの某社等は、東京のオリンピック大会までに、早ければローマのオリンピック大会までに、三万六千キロの上空に人工衛星を三つ上げる。予定地として一応いわれているのはアテネ、東京、ブエノスアイレスということになっております。それで三万六千キロに上げると、二十四時間で移動して参りますから、常に東京の上におる。それで即時にテレビ中継が世界中可能になる、こういう計画を実はめぐらして、いろいろ検討しておる向きもある。これがもし実現するということになると、われわれが何もしないでおりますれば、ちょうど明治の初めに、海底電線を知らない間に敷設されてしまってあとで高い使用料を払わせられたというようなことにもなりかねない。そういういろいろな面からいたしまして、日本としてもある程度の研究を進め、国際的な発言権を確保しておかなくてはならぬことになってきておるのであります。そういういろいろな、国際的な国内的な動きを考えまして、なるたけすみやかに日本の萌芽期にある体制を脱却させて、軌道を敷設しようというのがわれわれの考え方でありまして、そこで今回は総理府に宇宙開発審議会という審議会を作っていただいて、日本の権威者を網羅して、どういう年次でどのくらいの金額を使ってどの方向に、日本の個性を伸ばした宇宙開発、研究を進めていくかということをきめていただき、それと同時に、すでに緒についている東大生産研を中心にするロケットの開発、あるいは郵政省の電波研究所を中心にする宇宙通信の研究、あるいは東京大学の天文台を中心にするいろいろな宇宙物理の研究、つまりこれは太陽のスペクトルとかあるいはイオンの研究とかいろいろございます。そういうあらゆる部面について一応の軌道を敷設しようというのがわれわれの考えであります。大体の方向としましては五つの部門がありまして、一つはスペース・フィジックスと言っておりますが、宇宙物理、これは東京天文台を中心にするいろいろな問題があります。第二にはスペースコミュニケーション、宇宙通信、これは電波研究所その他が研究しております。それから第三番目がスペース・ヴィーイクル、宇宙航行飛翔体と呼んでいますが、ロケットを中心にする研究、その次が計測計器という関係です。そのほか国際法とかあるいは宇宙生理学とか、社会学とか、そういう五つの部門に分けて、日本の軌道を敷設しようというのがわれわれの考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/26
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027・石山權作
○石山委員 昭和三十年か三十一年だと思うのですが、ちょうど中曽根長官がジュネーブに、私の方の同志の松前氏や志村氏と一緒に、あの当時の原子炉の研究に来たのを思い出したのですが、あの原子炉をば日本に今実際作りつつあって、かなり問題を起こしつつあるわけです。安全性の問題等についてわれわれ聞くところによれば、あそこでお集まりになって一生懸命やられている委員は、その道の少壮有為の人たちから見れば、安全性を研究する何かに欠けているような人たちに多く占められているというふうなことを聞くわけです。今度のこの審議会なんかも、たとえば政治力ばかりあまりに強いような場合、それから著名な、肩書きばかりりっぱで、つまり宇宙科学そのものに対してはあまり通暁しておらないような方々、こういうふうな人たちに占められる可能性があるのではないかという心配を私は持っておるわけです。ということは、確かに日本の原子科学の場合は政治性によって進んだと私は思う。あなたなんか一生懸命にやったというふうに私見ていますが、確かに進んでおる。しかし茨城県に設置せられるあの原子炉を考えてみますと、科学というよりも政治力が少し、少しというよりもうんと強過ぎるのじゃないかという印象なんです。そういう点を私危惧して、今度のこの宇宙開発というふうなものを見ていますが、今まで皆さんが原子炉の設置に関して一生懸命おやりになった。また案外進んだというふうにわれわれ見ていますが、皆さんがおやりになって、ここは一番まずかったという点が二、三あると思うのです。ここはもっと何とかしなければならぬという点があるのですが、そういう反省は持っておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/27
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028・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 今のは原子炉に関する反省ですか。今石山委員が仰せになりましたような批判があるということも私聞いておりまして、われわれも大いに検討しなければならぬと思っておりますが、しかしわれわれの方から考えてみますと、そうあやまちは犯していないと私どもからは実は考えられるのです。
ただいまの安全性の検討には、原子力委員会の下部機構に安全審査専門部会という専門家の部会を作りまして、そこには各方面の権威者をみなそこへ入れたのです。たとえば地震については、東大の地震の最高の権威である武藤教授を入れるとか、あるいは建築については、建設省の建築研究所の竹山所長を入れるとか、あるいは放射線その他につきましては、阪大の伏見教授にお入り願う、そういうようなわけで、機械工学から物理からケミストから全部網羅しまして、そういう方にお入り願って一年有半にわたって検討してきたのであります。その結論に基づいてわれわれは判決を下したのでありまして、われわれだけがわれわれの意見に合うような人をえり好みして入れたというわけではありません。しかし坂田教授は、自分のお考えで、手続上どうも粗漏があるというお考えで辞表をお出しになりました。これはまことに遺憾でありますけれども、しかし坂田教授の御見解はわれわれは坂田教授の御見解として、これは尊重しなければならぬと思っております。しかし大体われわれのところへ来た批判を聞いてみますと、理論物理学者がお立てになった批判が割合に多いように思います。ところが、理論物理学者の意見ももちろんわれわれは尊重しなければならぬと思いますが、原子炉の問題は、今やほとんどエンジニアリングの世界に入っておる。つまり機械工学の世界に入っておる。従って初期のころは物理学の世界が非常に強かったと思いますけれども、最近はむしろそういう面よりもエンジニアリングの世界に入ってきておりまして、工学部系統の学者の意見は相当尊重さるべきものだ。それで一部の物理学者の中には、割合に思想的な面からくる批判も多少あるようにわれわれには見受けられます。そういう面から見まして、では具体的にコールダーホールの自動冷却装置がどうであるとか、あるいは放射線の許容量をどの程度にすべきであるとか、あるいは緊急冷却装置はどこがいいか悪いかとか、あるいは鉄板あるいはガスダクトの厚みが何センチになっておるが、これはどのくらい耐えられるかとか、そういう具体的な部面に関する批判は一つもない。ただ学術会議に黙ってやったとか、学術会議の意見を無視したとか、手続上の御批判は若干ありましたが、具体的なポイントに関する安全という面から見ると、御批判は割合に弱い面があるように私は思います。しかし学術会議の理論も尊重しなければなりませんから、学術会議の方にはわれわれの方の専門家を派遣いたしまして傍聴もさせましたし、そのポイントはわれわれはまた持って帰らせまして、専門家によっていつも再検討させてきたのであります。そういう手続をとったのでございまして、われわれとすれば最善を尽くしたと思うのでありますが、しかし人間のやることでありますから、自分がいいと思っても必ずしも百パーセントいいとは限りませんので、今後ともわれわれのやり方を大いに反省いたしまして、改善を加えていきたいと思います。
それから、宇宙開発委員会につきましては、できるだけ関係方面の方々を網羅いたしまして、単に肩書きにとらわれないで、実力を持っている人を入れて、充実した委員会にいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/28
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029・石山權作
○石山委員 秋田に例の電離層を観測する郵政省の観測所がございます。それから糸川博士の研究される道川の実験所も私たち見たわけですが、あの程度のものならば、やはりもっと整備強化すべしという意見はだれしも私出るだろうと思います。ただあまり高度なものに移行する場合の準備というものを、私たち原子力の場合は感じているわけです。たとえば急ぎ過ぎた格好で、英国から原子炉を輸入した。本家本元であるイギリスでは、最近火力電気のコストが大へん下がってきたのでしょう。それで原子力開発に対してはかなり疑問を持ち始めてきた。私は政治力というものは、いろいろなものを見て総合したものを生かしていくのが政治力の現われだと思う。それは科学者よりも進んでいる分野もあると私は信じておる。そういう点では、ある一つのヒントをつかむ場合の政治能力というものを私は高く評価したいと思うのです。またそれを現実に日本なら日本の国に育つか育たないかという場合も、やはり政治力というものは相当私は必要であろうと思うのです。しかし基礎ができていない場合に、政治力だけをたよりにして問題を動かすというふうな場合になりますと、莫大なお金かをけまして、さあ建設をした、その莫大なお金が、研究の範囲内ではなくして、実用の範囲内に飛び込むほど規模が大きい、私は今度の原子炉はそういう意味では失敗したと思っているのです。研究のための範囲を越えた、いわゆる実際の実用価値にまでお金を使い過ぎたが、さて実用価値を比較してみたら、どうも最新の火力電気よりもまずいものになりそうだ、しかも設置された場所が場所柄であって、安全に対しては非常に危険であるというふうな意見が非常に濃厚なわけなんです。そうした場合に、振り返ってみると、政治力が日本の国の現状よりも非常に先行した形で動いて、国民の多額のお金を、むだにしたとは私は言いませんけれども、かなりに活用されないで残っておる、利子のかからない金で残っておるということなんです。研究という題目でお金をかければ——普通お金があれば利子がつきますが、しかし今のような場合には、このお金は捨てっぱなしのような感じになるのですが、その点に対してはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/29
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030・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 コールダーホール炉の導入につきましては、間違っていないとわれわれは考えます。経費の点につきましては、大体一キロワット当たり五円前後ということでございまして、それは最新鋭火力よりは少し高くつくようであります。しかし二十年の耐用年数を見ますと、新鋭火力に匹敵するか、あるいは時間的に見ればそれより少し安くなるくらいです。もちろんああいうものですから、初めのうちは建設費は高いのです。しかし一たん装荷すれば燃料費は要らなくなるわけでありますから、二十年平均でならしますと新鋭火力に匹敵するだけに今なっておるのです。従いまして経済的に見てむだをしたというふうにわれわれは考えません。
もう一つ大きな効果は、日本の技術を訓練するということ、それから新しい人員をこれで養成していくということです。われわれが原子力に期待しておるのは、火力に匹敵するという程度のものではなくて、いずれは火力の半分とか十分の一程度の電力というものが、必ずやあのものから出てくるというふうにわれわれは考えておるのでありまして、そこへいくためには、やはりある程度の金をかけた研究もしておかなければならぬと思うのです。それをある程度やっておきませんと、外国技術にいつもカバーされまして、向こうに搾取されるということになります。そういう意味で、国産技術を生み出すために、ある程度コスト的にも採算がとれるものでしたらなるたけ早期に入れて、日本の学者の研究に資すると同時に、日本でも国産的な技術を発明していくという段取りをするのが正しいと思って、われわれはやったのであります。
最近の様子を見ますと、イギリスにおきましては計画をそう変えておりません。イギリスの計画は大体一九六五年までに五百万キロの原子力発電をやるという計画でありました。それを六六年までに五百万キロやるというふうに最近変えたようであります。しかし、コールダーホール改良型をいろいろなところで建設しておりますが、たとえばブラッドウェルとか、あるいはヒンクレポイントとかハンターストーンとか、そういうところで今七つばかり建設しつつあると記憶しておりますが、その計画は少しも変えておらないのです。それからその後建設する予定になっておるものも変更しておりません。従いまして、イギリス人は自分の技術に自信を持って、自分たちの動力事情を解決するために既定のコースを着々進んでおるものとわれわれは考えます。ただいわゆるユーラトムというものがありまして、ヨーロッパ共同体で総合して一九六五年までに約千五百万キロワット作るという計画がございましたが、これはむしろ計画というよりも荒っぽい腰だめの構想という程度のものであったと思うのです。それが確かにお話のように、スエズの事件で石油が途絶したのであわてて数を増したということもありましたが、最近は、フランスからはサハラの砂漠で油が発見されるとか、LPGでガスが安くなるという事情でそれが非常に縮減されたようです。しかしこれはヨーロッパ各国が共同体でやるという荒っぽい計画でありましたために、個々の国が責任を持ってやるには非常に根拠の浅いものであります。そういうわけでありますから、千五百万キロという数字についてはわれわれは疑問を持っておりましたが、その点は非常に縮減されたようで、その点はお説の通りであります。しかし全般的に見まして原子力がやや停滞ぎみであるということは、事実であるだろうと思います。しかし原子力が持っておる潜在的な価値というものは依然として下がらない。世界の学者がねらっておるのは、私らの方の菊池正士博士も言っていることでございますけれども、火力に匹敵できるという程度のものでは原子力をやる意味がないのだ、火力の何分の一というものに仕上げるという意味でわれわれは一生懸命やっておるのだ、こう言っております。そうして現に原子力研究所におきましても平均質炉という新しい着想の日本的な発明が完成されようとしております。今までの原子炉の中心の燃料というものは、ウラニウムの金属棒をやっただけなんです。そのまわりを石墨で囲むという考え方だったのですが、日本人の考え方は、そのウラニウムと石墨をたどんみたいに一緒につけて、それを素焼きみたいに焼いて固めてやる、そうすると非常に効率がいいという新しい着想で、その研究を進めて、今一部の実験設備も設置してことしからやるということでありまして、こういうことがどんどん進んでいくと、われわれが期待しているような原子力へ進んでいくだろうと思います。こういう発明も世界が非常に注目している発明でございますが、これもやはりある程度お金をかけて、人員を養成してやらないとなかなかできないものでありまして、私たちはそういう気持で今後も進めて参るつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/30
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031・石山權作
○石山委員 日本のように油も石炭も少ないという国では、水力電気が最近は間に合わなくなってきているから、当然別個の燃料を求めなければならぬというのはだれしも常識だと思うのです。私の申し上げたいのは、その常識論に政治力が働いて、国の繁栄というものを考えるのが一つの任務だと思うのですが、その政治力が先行しているというふうに申し上げているわけなんです。ということは、私ども宇宙の話とか天文学の話なんか聞いて非常に楽しいということは、日本人の全体を見るとそれだけ非常にごみごみした生活の中に住んでいるものですし、たとえばわれわれの隣近所の便所の話をしても、水道の話をしても、これはよくいっているとはだれしも申し上げられないわけなんです。ちょっと火の粉が飛べば燃え上がるようなカヤぶきの屋根というものがまだかなりあるというような現状を見ながら、宇宙の話を論じたり、あるいは原子力の話を論じているというところに、日本の奇妙さがあるわけなんですが、その奇妙さを奇妙さでないような自力というものをつけていかないと、私はうまくないのじゃないかと思う。
たとえば最近の新聞を見てみますと、日本でも原子爆弾を作る能力が備わってきたというふうに報じております。何クラスか知りません。たとえばたくさん原子爆弾を持っておる米ソがAクラスであれば、その次がBクラスですが、日本の国は作れば作り得るからCクラスかもしれません。そこの段階まできたのはいいかもしれませんけれども、下の方を全然見ないで、特に長官なんか上の方を見たがるかもしれませんが、そういうところにあまりお金を使い過ぎる傾向が最近出ておるのではないか。しかしほんとうのものにするためには、やはり下がピラミッド型に盛り上がらなければ、くずれるようなものの上に上がって望遠鏡で見て天体観測をやっても、これはだれのものかということになると思う宇宙開発だれのものか、原子力だれのものかという声の出ないようなやり方も、私は政治力の中に当然含まっていると思います。
話を変えて言いますが、あなたの今の科学技術庁の場合は、学問と産業というものを結びつけた一つのものの考え方が、私は科学技術庁の任務であると信じているのですが、そういうふうな目から見れば、外国新聞が報じているように、わが国は核爆発をやればやり得るというふうな能力を持っているということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/31
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032・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 日本は原子爆弾を作る能力はまだ全然ありません。またわれわれはそういうものを作る意思は毛頭ございません。なぜないかと申しますと、原子爆弾をやるのには濃縮ウラン、しかもその濃縮度というのは九〇%くらい高い濃縮ウランか、さもなければ相当多量のプルトニウムが要るわけです。ところが濃縮ウランを作る能力が日本に全然ないわけです。濃縮ウランを作るには非常な電力が要りまして、アメリカあたりではおそらく三百万キロくらいそっちに使っているのだろうと思います。日本は八百万、九百万キロくらいしか電力を持っていないわけです。その中からそんな方に回すなんということはとてもできません。それからプルトニウムにいたしましても、コールダーホールの原子炉もできない。そうして天然ウランが一部プルトニウムにかわった場合にそれに使うかということが出て参りますが、それでも出てくる量は非常に微量です。そのプルトニウムも国際査察を受けまして、外国がちゃんと何に使うか監視するようになるわけです。そういうわけでありますから、日本は原子爆弾を作る意思も能力も今のところは全然ないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/32
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033・石山權作
○石山委員 新しい分野のものだから、私らも時間があればたくさんお聞きしたいことはあります。ほんとうに山ほどあるかもしれません。だけれどもきょうは設置法にからんでいろいろなことを聞くのもあれですから、要望を申し上げたいと思いますが、私はやはり宇宙開発について研究していただきたい。われわれほんとうに普通の市民として考えていることは気象学です。それから地震の国ですから宇宙から見た地球物理学というふうなもの、こういうものを中心的にやっていただく必要があるのではないか。特に季節風に対しては日本の国は被害を受けたり恩恵を受けたり、さまざまな状態にあるのですから、これを利用する場合の早期予知というようなこと、あるいは台風のような場合の防御的体制、いろいろあるだろうと思いますが、そういう点に関すること。それから一般的にいえば最近電離層の問題等も、これは当然通信上から見て日本の国では一番力の入れやすい立場にあるのではないか。特に大陸の端っこにいる日本の立場が、世界じゅうの通信の一つの境目になっているような気もしますので、ここら辺で一つ電離層その他の通信機械に努力していただければ、この委員会は、日本人の生活に直結した一つの進路を見出し得る可能性があるのではないか、これを御要望申し上げまして、科学技術庁に対する質問を終わります。
次に、今度為替貿易が自由化されました。その点について、今度の総理府設置法はそれらと関連があっておやりになっているかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/33
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034・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 関連ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/34
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035・石山權作
○石山委員 全然ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/35
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036・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 この審議会が設置されたあとは、いろいろ世界の動向について間接の関連はあると思いますが、設置自一体は自由化の必要に迫られて作ったというような関連はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/36
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037・石山權作
○石山委員 私は問題の考え方をあとだ先だと言っておるわけじゃないのですが、去年の秋から通商問題等に関してガット総会が日本で開かれて、自由化の話が出てきておる。その前にも岸さんが渡米したときからもその話は出ているわけなんです。それと全然関係のないような考えのもとで、こういうものをお出しになれるということがありますか。全然別個だという考えはとり得ないのですが、もう一ぺんお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/37
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038・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 これは提案のときに御説明申し上げた通り、対外経済協力という問題でありまして、それに関連して今御指摘の自由化の問題は間接の問題として審議会の対象にはなろうと思いますが、直接には問題がないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/38
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039・石山權作
○石山委員 それは審議会ですから当然直接の関係はないけれども、こういう審議会を作るには、日本の貿易関係その他いろいろな問題がやはり対外協力に対して変化を来たすのだ、そういう想定のもとでこれをお作りになったかどうかということを私はお聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/39
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040・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 今の自由化の問題については、最近別途に自由化閣僚会議というものを設けられまして、そこで自由化の問題を検討することに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/40
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041・石山權作
○石山委員 それから切り離そうという気持はわかりますが、そうすると提案の内容というものを私はもう一ぺんお聞きしたくなるわけなんです。つまり経済協力という言葉は一体何だということになると思うのです。では言葉をかえて聞きますが、経済協力のやり方はたくさんあると思うのです。たとえば前のMSA協定の場合のアメリカの援助の問題もあったでしょう。今度なんか日米経済協力すれば、たとえばアメリカから相当額の武器が援助としてくるわけですね。その援助に見合った円を積み立ててこれを後進地開発に使うということも経済協力なんですね。ですから総理府の設置の問題が日本の経済の変化に何ら関係がない、間接に関係するというふうな御意見と私はちょっと違うように思うのですが、それはやはり何ら予測もしない、つまり為替の自由化とかなんとかいうものを全然予想しないで、こういう審議会を発足させたかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/41
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042・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御存じの通り一昨年の八月でありましたが、経済閣僚懇談会を設けまして、対外経済協力についてここでいろいろ懇談なり御審議を願っておったわけであります。最近米ソを中心として低開発国の経済開発ないし援助が非常に活発であります。日本といたしましても独自の立場から、場合によっては国際機構を活用したり、あるいは日本独自で今までやって参りました協力を強化していかなければならぬという議論が、昨年あたりから強くなりました。そうしてこのたび総理府にこういう総合的な立場から、審議会を作ろうという意見が具体化したわけでございまして、自由化とは直接関係はないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/42
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043・石山權作
○石山委員 それはさっき言ったからわかります。審議会が仕事をするのではないから直接の関係はないが、取り扱う内容というものは、為替の自由化になった問題を当然取り扱う任務があるわけでしょう。様子が変わったわけでしょう。そうすれば、これは同じものをこちらに振りかえたから、それは同じだということにならないかもしれませんが、予想し得る為替の自由化あるいは貿易の自由化を全然予想しないときの審議会設置の案なるものと、為替の自由化が行なわれたという建前に立った審議会というものは、おのずから立案の思想が違うのじゃありませんか。私はそれを聞いているのです。今度お出しになった設置法なるものは、これに即応できるような内容をお考えになってお出しになっておるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/43
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044・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 対外協力の形式としては、御存じの通りあるいは延べ払い金融とか、直接の民間投資、あるいは技術員の派遣、招聘、さらにまた広くいえば賠償も広義の経済協力である、そういう形態がたくさんあるわけです。従ってこれらが最近大きくクローズアップされまして、自由化の問題とはもちろん大きな影響はあろうと思います。ただ私が申し上げましたのは、自由化の問題があるからこういう審議会を作られたかという御質問に対しては、そういう意味でなくて、こういうものができた以上は自由化問題はあらゆる問題に影響があろうし、また考慮すべき重大な要素であろうということは、当然考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/44
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045・石山權作
○石山委員 長官は経済の専門家でなくても、閣僚級として与党の幹部の方方、閣僚の方々とお話し合いなさっているわけですが、あなたの意見を聞いておると、日本の経済のいろいろの立場からしては、自由化というものをそんなに重大視してないという印象を受けるのですが、たまたま現われた一つの経済の変わった現象だ、このくらいに気軽なお話でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/45
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046・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 自由化の問題は軽々しく考える程度のものではないと考えております。日本の対外貿易あるいは国内産業にも、相当重要な影響を及ぼす大きな問題ではないかと思う。従って先ほど申し述べました通り、これがために特に自由化閣僚会議すら正式に設けたのでありまして、この問題は非常に重要な問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/46
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047・久保田豊
○久保田(豊)委員 政府に一つお願いしておきますが、対外経済協力審議会設置法に連関して、特にアジアないしは未開発地域に対しまする日本の今までの民間投資、政府関係ないしは政府機関の借款、それから技術協力といいますが、これは要するにこちらに向こうの人間を呼んできて訓練をし、こちらは向こうに行ったということを含めての技術協力、また貿易上の延べ払いその他の便宜措置、こういう点に関する特にアジアを中心としたできるだけ詳細な内容を資料として御提出を願いたい。できれば早急にお願いいたしたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/47
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048・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 さっそく詳しい資料を提出いたしますが、結論だけ簡単に御報告申し上げますと、戦後以来民間投資一億五千万ドル、輸出の延べ払い金額実行済みの残高が昨年末で二億四千万ドル、技術協力の面では研修生の受け入れが千七百名、専門家その他の派遣百八十人、それから広義の立場から申しまして、賠償負担が本年一月現在で二億ドル、大体大ざっぱに見まして六億ドルになります。詳細につきましては資料を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/48
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049・久保田豊
○久保田(豊)委員 今の調査項目の中に賠償の問題も一つ入れて、国別、種目別にできるだけ詳細な資料を、できるだけ早く出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/49
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050・石山權作
○石山委員 これはほんとうから言えば、通産省の方々や運輸関係、経済企画庁の責任ある方々に出ていただいてお話を聞きたいことなんですが、きょうは参議院の予算委員会等で御出席がないようですから、長官に対して大ざっぱな質問だけしておきたいと思います。
海運界には世界的に前々からこういう例があるわけで、ギリシャ系の船主が一番たくさん船を持っているらしいのです。その船主はいわゆる船員の賃金が安くて労働条件がやさしくて、税金が多くかからない土地を選んで、アフリカのどこかの国を根拠地にしたり、中央アジアのどこか、あるいは南米のどこかというふうに、われわれのあまり名前も知らないような国々に登録をしてやっている経緯があるわけです。そのために船賃が安く、世界的に一つの強い資本体系を持っています。たまたまゆうべの新聞を見てみますと、わが国で一番生産の上がっている製鉄会社の八幡に、何かそんなふうな傾向が出てきているという。八幡自身がいわゆる船会社を経営しているというのではなくて、八幡が日本の国の船を使わないで、いわゆる日本の言葉でいえば上手にやった船会社を利用している。こういうことが為替あるいは貿易の自由化によって顕著になっていく。しかも八幡は国家の投資、民間の投資というものをうんと受けている会社です。こういうのをあなたは防ぎとめなければならぬと思いますか、ほったらかしておいていいと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/50
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051・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 今の御質問の問題について、事情を詳しく知っておる者がおりませんので、次の機会に出席させて御答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/51
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052・石山權作
○石山委員 私はしゃべり方が上手じゃないけれども、おわかりになったわけでしょう。為替の自由化を行なえば、そういう現象が強くなっていくということを私は申し上げている。自分の国の援助資金をいただいている会社でさえも、いざものを売る場合になれば、日本の国の船を使わないで、それよりも賃金の安い外国の船に品物を載せてやるということが、往々にして行なわれがちになるということを私は申し上げているのです。これが小さいところと違うのですよ。八幡製鉄みたいな日本の一番のトップレベルにある会社でさえも、そういうことを行なおうとするこの傾向を、どういうふうにして防ぐかということです。それから、これは経済企画庁あたりにほんとうは来ていただかなければならぬわけですが、各省のものの考え方が非常にちぐばぐになっておるということを一例申し上げたいと思います。経済企画庁は北海道、東北開発等に対して非常に力を注いでいただいている。そうしてそこの後進性をばなくしよう、近代化しようという考え方で、協力いただいているのですが、この貿易・為替の自由化によって北海道、東北の痛手を受ける会社のうちで、一番顕著なものにパルプ会社があります。ことしの予算で、経済企画庁の出した案の中で、新しいパルプ会社をもう一つ東北に作るということがある。たとえば今、日米合弁になっているのですが、アラスカ・パルプが十万何千トン入ってくる。今でさえも八割操業しかしていない内地の紙パルプ界に、そういうふうな新しいものがどうしても入ってくる。その中にまたもう一つ新しい会社を作るというふうなものの考え方、このものの考え方は、私考えてみると悪意じゃない。むしろ為替貿易の自由化が、準備ができないうちに唐突に行なわれたのではないかということです。これはあなたの方にお聞きしたいのですが、たとえば去年の十二月二十六日に、あなたの方で経済閣僚懇談会が開かれております。そうしてことしの一月の十二日にまた経済閣僚懇談会が開かれたとたんに、四百四十品目が解除になっているのですよ。こんなにあわただしいやり方というものはないじゃないかと思う。これは去年の秋のガットの総会で、為替の自由化を叫ばれたことに便乗した、悪く考えれば、これは日米安保条約の怨霊のような格好で、日本がアメリカに対して、アメリカ大統領選挙を有利にするために、アメリカの貿易の帳じりを黒字にするために無理をやったようなきらいがあるのではないか。私たち一般の新聞論調あるいは財閥の一部の人たちの話を聞いてみても、どうも唐突に出たという意見が強いようであります。南喜一といえば、これは国策パルプのえらい役付をしておるようですが、この人が東京新聞の夕刊にその随想を書いているのですが、一体政府や役人は何を考えているというようなことまで言っております。財界の中でもそういう声が出ている。ですからどうしても唐突だという感じを受ける。無理にもこの考え方を遂行していく考え方が非常に強いようですが、福田さんにそういうふうなことを問い詰めてみても、いい御答弁を聞けないと思うのでが、政府部内としては十分に考慮をして、準備ができて、その案を受け取って実際の面に働くいわゆる経営者側にも十分了解をとられて、この案を断行されたかどうかということに対して、かなりな疑義があるのですが、あなたは閣僚会議に出ているのですから、その場合のお話等をこの際聞かしていただければ、われわれの判断の一つの材料になるだろうと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/52
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053・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 閣議だとか経済閣僚懇談会等で関係の各大臣が打ち合わせ、慎重に検討されながら実行し、あるいは発表しておると考えております。具体的には通産省、企画庁あるいは大蔵当局等にお尋ねを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/53
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054・石山權作
○石山委員 これは産業界のことは全部大蔵ではないわけでしょう。たとえば通産あるいは経済企画庁、こういうところへも関係しなければいけないのであって、為替の管理あるいはここでやっておる長期信用供与、こういうふうなことは当然大蔵省の管轄だと思いますけれども、あなたからそういうふうな詳しい御答弁は聞けないだろうということは予知されております。
ほかには委員長、どなたかお見えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/54
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055・福田一
○福田委員長 今通産省から通商局振興部の課長が来ております。ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/55
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056・福田一
○福田委員長 速記を始めて。
次会は来たる八日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01219600304/56
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