1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月八日(火曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 福田 一君
理事 淺香 忠雄君 理事 岡崎 英城君
理事 高橋 禎一君 理事 高橋 等君
理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君
理事 田万 廣文君
内海 安吉君 小金 義照君
始関 伊平君 谷川 和穗君
橋本 正之君 八田 貞義君
保科善四郎君 山口 好一君
飛鳥田一雄君 久保田 豊君
杉山元治郎君 中原 健次君
柳田 秀一君 受田 新吉君
出席政府委員
総理府総務長官 福田 篤泰君
総理府事務官
(行政管理庁行
政管理局長) 山口 酉君
農林政務次官 小枝 一雄君
農林事務官
(大臣官房長) 齋藤 誠君
林野庁長官 山崎 齊君
水産庁長官 西村健次郎君
委員外の出席者
専 門 員 安倍 三郎君
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三月八日
委員石田宥全君及び中村時雄君辞任につき、そ
の補欠として柳田秀一君及び受田新吉君が議長
の指名で委員に選任された。
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三月四日
山形県白鷹町の寒冷地手当増額等に関する請願
(西村力弥君紹介)(第六九二号)
としよりの日を国民の祝日に制定の請願(西村
関一君紹介)(第六九三号)
同外五件(植木庚子郎君紹介)(第八一〇号)
同外百十七件(菅野和太郎君紹介)(第八八六
号)
同外二件(奧村又十郎君紹介)(第八八七号)
同外五十三件(押谷富三君紹介)(第八八八
号)
同(河本敏夫君紹介)(第八八九号)
同(橋本龍伍君紹介)(第八九〇号)
同外一件(星島二郎君紹介)(第八九一号)
同外五十三件(中山マサ君紹介)(第八九二
号)
一般職の職員の給与に関する法律の一部改正に
関する請願(柳田秀一君紹介)(第六九四号)
同外二十四件(櫻井奎夫君紹介)(第七八五
号)
同(大西正道君紹介)(第八一九号)
同外五十七件(大原亨君紹介)(第八二〇号)
同外二十三件(小松幹君紹介)(第八二一号)
同外二十六件(山崎始男君紹介)(第八二二
号)
同(山本幸一君紹介)(第八二三号)
同(福永健司君紹介)(第九〇八号)
建国記念日制定に関する請願(飯塚定輔君紹
介)(第七一九号)
同(平野三郎君紹介)(第七二〇号)
同(前田正男君紹介)(第七二一号)
同外四十件(纐纈彌三君紹介)(第七四九号)
同外四十二件(纐纈彌三君紹介)(第七七一
号)
同外七十七件(纐纈彌三君紹介)(第七九八
号)
同(進藤一馬君紹介)(第七九九号)
同(床次徳二君紹介)(第八〇〇号)
同(保科善四郎君紹介)(第八〇一号)
同(稻葉修君紹介)(第八九三号)
同外三十六件(大坪保雄君紹介)(第八九四
号)
同外一件(原健三郎君紹介)(第八九五号)
同外十件(纐纈彌三君紹介)(第八九六号)
同外四十九件(山手滿男君紹介)(第八九七
号)
同(柳谷清三郎君紹介)(第八九八号)
旧軍人恩給の加算制復元に関する請願(坊秀男
君紹介)(第七二二号)
同(山本猛夫君紹介)(第七二三号)
同(高瀬傳君紹介)(第七五〇号)
同(中井一夫君紹介)(第七五一号)
同(江崎真澄君紹介)(第七六九号)
同(池田清志君紹介)(第八〇八号)
同(大平正芳君紹介)(第九〇一号)
同外二件(高瀬傳君紹介)(第九〇二号)
同(二階堂進君紹介)(第九〇三号)
鹿屋市に陸上自衛隊落下傘部隊設置に関する請
願(前田郁君紹介)(第七二四号)
金鵄勲章年金及び賜金復活に関する請願(八田
貞義君紹介)(第七二五号)
同(池田清志君紹介)(第七九四号)
同(上林山榮吉君紹介)(第七九五号)
同(久野忠治君紹介)(第七九六号)
同(永山忠則君紹介)(第七九七号)
同(池田清志君紹介)(第九〇〇号)
靖国神社の国家護持に関する請願(小島徹三君
外二名紹介)(第七二六号)
同外二件(小島徹三君紹介)(第七二七号)
同外二件(小林絹治君紹介)(第七二八号)
同外七件(渡海元三郎君紹介)(第七五二号)
同外四件(富田健治君紹介)(第七五三号)
同(高橋等君紹介)(第七八六号)
同外六件(藤枝泉介君紹介)(第七八七号)
同外六件(江崎真澄君紹介)(第八〇二号)
同(木村守江君紹介)(第八〇三号)
同(八田貞義君紹介)(第八〇四号)
同(保利茂君紹介)(第八〇五号)
同外二件(永田亮一君紹介)(第八〇六号)
同外一件(永山忠則君紹介)(第八〇七号)
同外四件(天野光晴君紹介)(第八八二号)
同外一件(江崎真澄君紹介)(第八八三号)
同外六件(河本敏夫君紹介)(第八八四号)
同外四件(田村元君紹介)(第八八五号)
高校教育職の特別取扱いに関する請願(高瀬傳
君紹介)(第七五六号)
紀元節復活に関する請願(田中彰治君紹介)(
第七七〇号)
昭和三十二年四月一日以降に新制大学卒業資格
取得者の俸給調整に関する請願外三件(三鍋義
三君紹介)(第七八八号)
同外四十四件(山中吾郎君紹介)(第七八九
号)
同外十三件(大原亨君紹介)(第八一二号)
昭和十八年以降の師範学校卒業者等の俸給調整
に関する請願外六件(三鍋義三君紹介)(第七
九〇号)
同外四十九件(山中吾郎君紹介)(第七九一
号)
同外十四件(大原亨君紹介)(第八一三号)
同外十一件(久保田鶴松君紹介)(第八一四
号)
紺綬褒章存続に関する請願(池田清志君紹介)
(第八〇九号)
傷病恩給の是正に関する請願(永山忠則君紹
介)(第八一一号)
建設省定員外職員の定員化に関する請願(森本
靖君紹介)(第八一八号)
同(井岡大治君紹介)(第八五一号)
同外二件(岡良一君紹介)(第八五二号)
同(角屋堅次郎君紹介)(第八五三号)
同外二件(菊地養之輔君紹介)(第八五四号)
同外三件(佐々木更三君紹介)(第八五五号)
同外十件(下平正一君紹介)(第八五六号)
同(杉山元治郎君紹介)(第八五七号)
同(田中稔男君紹介)(第八五八号)
同外二十四件(中島巖君紹介)(第八五九号)
同外一件(日野吉夫君紹介)(第八六〇号)
同(松本七郎君紹介)(第八六一号)
同外一件(足鹿覺君紹介)(第九〇四号)
同外二十五件(小沢貞孝君紹介)(第九〇五
号)
同(黒田寿男君紹介)(第九〇六号)
同外六件(濱田正信君紹介)(第九〇七号)
建設省地理調査所定員外職員の定員化に関する
請願(山花秀雄君紹介)(第八六二号)
同(塚本三郎君紹介)(第八九九号)
薪炭手当及び寒冷地手当の増額に関する請願(
三浦一雄君外六名紹介)(第九〇九号)
行政機関定員外職員の全員定員化に関する請願
(山本猛夫君紹介)(第九一〇号)
は本委員会に付託された。
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同月八日
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正
する法律案(石橋政嗣君外八名提出、第三十三
回国会衆法第一九号)
は、委員会の許可を得て撤回された。
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本日の会議に付した案件
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四一号)
水産庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四二号)
農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第六七号)
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正
する法律案(石橋政嗣君外八名提出、第三十三
回国会衆法第一九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/0
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001・福田一
○福田委員長 これより会議を開きます。
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)、農林省設置法の一部を改正する法律案及び水産庁設置法の一部を改正する法律案の各案を一括議題とし、前会に引き続き質疑を許します。飛鳥田一雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/1
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002・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 総理府設置法の一部を改正する法律案、すなわち訴願制度調査会の存置期間をさらに延長せんとする問題についてお伺いをいたしたいと思います。
元来この訴願制度調査会を設置せられるにあたって、すでに問題点は明らかにわかっておったはずであります。すなわち訴願法が明治二十三年に制定せられて、非常に条文としても古い。しかもその後水道法あるいは道路法、自治法等に訴願の制度が新しく条文として追加をせられた。これとの調整をどうするか、こういう問題などもすでに十分わかっておったことだと私は思うわけです。しかもその弊害はもう相当はなはだしく現われている。この弊害の現われている点についても新しく提案趣旨説明にありますように、審議が予想外に手間取るなどという予想外の事実は出てこなかったはずだと私は思うのでありますが、あらかじめ一年という期間をお定めになっておいて、なぜこんなに手間取っているのか、こういう点を一つ御説明をいただきたい、こう思うわけです。時間の関係からすべて申し上げておきますが、他にもいろいろな審議会、調査会等が存在いたしました。皇居造営審議会とか固定資産評価制度調査会とかあるいは税制調査会とか災害防止対策審議会とか、これらの審議会はすべてあらかじめ定められた期間内にその任務を終了しておりますのに反して、なぜ訴願制度調査会だけがこんなに長く、われわれがすべて予想し得る範囲内であるにもかかわらずかかるのか、あらかじめ総理府の方でこれを設置する場合に、目測を誤まっておったのか、こういう点について御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/2
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003・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 審議の対象が相当複雑なために予想よりも審議が長引きましたので、この際延長方をお願いしたわけでございますが、細部につきましては監理局長から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/3
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004・山口酉
○山口政府委員 ただいまお話がございましたように、訴願制度の問題点につきましては、あらかじめかなり判明しておったわけでございます。しかしこの解決策につきましては、審議会を開きまして各委員の方々の御研究を伺いましてから、その解決方法についてはいろいろの問題があるということになりまして、現在までに総会、小委員会、幹事会を通じて約三十回にわたる会議をいたしまして、でき得るだけ期間内にまとめますように、各委員の方々も非常に御尽力されたのでございます。だんだん審議するにつれまして非常にむずかしい問題も出て参りました。それから当初これを一年の期限に切りました理由の一つには、訴願制度と密接不可分の関係にあります法務省の方でやっております法制審議会で行政訴訟特例法の検討がございますので、これが大体三十四年度中には最終結論を得る予定でございましたけれども、この方も審議の過程でいろいろ議論にまとまりがまだ見えておりませんので、ただいまの状況では、やはり本年じゅうぐらいはかかるという見込みになっております。そこで問題の困難性もあり、実際審議に当たっておられます委員の方々にも、不十分ながら期間内にまとめてしまうということよりは、行政訴訟特例法の審議の状況ともにらみ合わせてもう少し詳細に検討をし、十分な結論を得て答申をした方がいいのではないかという有力な御意見が出ておりますので、そういう関係もあり、せっかく開きましたものでございますから、できるだけ完全なものにして御答申をいただきたい、かような趣旨でさらに九カ月だけ御延長をお認めいただきたいということで提案をいたした次第でございますが、この九カ月を計算いたしますにつきましては、具体的に今後の審議予定につきましていろいろと検討をいたし、そのスケジュールを見ましてさらに延長をお願いするというような心配もないということで、今回限りぜひこの九カ月の期間を御延長御承認をいただきたい、かような趣旨で提案をいたした次第でございますので、何とぞ御了承をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/4
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005・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 この審議会の委員の数とお名前を一つ教えていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/5
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006・山口酉
○山口政府委員 委員は全部で十七人でございます。資料で御提出をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/6
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007・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 けっこうです。その十七人の中で学者と実務家との比率はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/7
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008・山口酉
○山口政府委員 学者が三名、弁護士の方が三名、裁判所関係の方が三名、民間の方が五名、関係行政機関がその残りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/8
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009・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 いろいろな法律的な調整の問題もあると思いますが、訴願制度というものは今ほとんど使われていないというのが実態ではないかと思う。少なくとも民衆が行政庁の行なった行為に対して争う場合に、ほとんど使われていないというのが現実ではないかと私たちは思うわけです。なぜ使われていないかという一番大きな点をあげれば、訴願は出して出しっぽなし、いつになったら裁決がくるかわからないというように、非常に時間を長く要する。と申しますのは、訴願法を見ても、その他の法律を見ても、訴願が提出をせられて以来何カ月以内あるいは何日以内にこれを審査せよという期限が全然ない。そういうところに問題点があるわけです。ただこの訴願というものが使われているとすれば、行政事件訴訟特例法の第二条に訴願前置主義がとられておりますために、行政事件を起そう、こういう場合に、やむなく前置主義でありますために訴願を一応出す。こういうようなことが行なわれているだけで、現実にはほとんど使われていない、こういう点を見れば、早く結論を出して、少なくともこの制度を生かしていくような方向をとっていただくことが必要ではないだろうか、こう私たちは思うわけです。こういった訴願の問題について、これを処理する期間その他が法定せられていない、こういう問題について審議会の方ではどういう議論をなすっていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/9
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010・山口酉
○山口政府委員 訴願制度につきまして、現行の制度におきましては不明確な点がいろいろございます。これは旧憲法下の制度でございまして、しかも非常に古い、明治二十三年に施行された訴願法をもとといたしております。それで従前もしばしば改正の必要が唱えられて、その立案もされたのでございますが、ついに法律になるに至らずして今日まで経過いたしております。その間に個々の行政立法で個々に特別の取り扱いをたくさん規定いたしております。そのために訴願制度全般としましては非常に統一のとれない制度になっておりますことは、ある程度認めなければならないところでございます。そういう問題を解決して、できるだけ新憲法下にふさわしい国民の権利救済を全からしめるという趣旨で、ただいまお述べになりましたような運用上の改善という問題をも含めて、そのためには訴願制度をどういうふうにすればよろしいのかというようなことも、ただいま審議会では論議されております。お話にございましたように、いろいろと訴願裁決までの期間につきましては、現行の制度ではまちまちな取り扱いになっておりまして、御意見のような欠陥もあることは事実と思います。そういうふうな点について十分御審議をしていただくことにしております。
さらにお話のほとんど訴願制度が活用されていないという面でございますが、これは実はそれほどまででもございませんで、二十五年から三十年までの間の調査でございますけれども、件数といたしましては四十二万件余りございます。そのうち約半数は審議の結果、主張が認められて容認されたものでございます。そういう意味合いで、訴願制度というものは運用上、国民の権利救済の面からいって相当効果を現わしているわけでございます。こういう制度をさらに一そう整備していくということが、国民の権利救済を全からしめる意味からいって必要であるという点につきましては各委員の方々も十分そういう点について論議されておりますので、今度の調査会の結論といたしましては、お話のような点が解決されてくることであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/10
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011・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 今訴願の行なわれた件数その他のお示しがありましたが、訴願の裁決が非常におくれて参りますために、現実には裁決を得てその主張が容認せられても、実際はほとんど価値がなくなってしまっている場合が大部分なんです。もう一つは、今昭和二十五年から三十年までの例をおあげになりましたが、訴願の数は年々少なくなっているはずです。カーブをおとりになってごらんになるとおそらく出てくると私は思いますが、それはすなわち訴願が非常に長くかかるということ、そうして一定の期限を経てしまったのでは、ほとんどあとからよろしいと言われてみたところで、実利はないという点から、訴願制度は次第に国民にとられなくなりつつある、こういう傾向を物語っておるだろうと思います。こういう点について一刻も早く改善をいたしませんと、ますます訴願制度というものは国民から捨てられていく傾向を強くするだろう、こう思うわけです。そういう点で九カ月お延ばしになることについて、私たちは特に異議を述べるわけではありませんけれども、しかし少なくとも早くおやりをいただくということが重大だと、こう考えるわけです。
もう一つの問題としては、訴願制度に一番致命的なものは、執行を停止しないという点だろうと思います。従って執行の停止を求めようということになりますと、当然行政事件訴訟特例法に基づかざるを得ないのであります。従って行政事件訴訟特例法の件数は、先ほど申し上げたように、訴願の件数が減るのと反比例して上昇しておるはずです。こういう点から考えて参りましても、訴願に執行を停止しないという点は非常に大きな問題ではないだろうか。この点についても審議会の方でどのような議論が行なわれておるのか、一つ伺わしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/11
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012・山口酉
○山口政府委員 訴願につきましての件数の傾向につきましては、必ずしも減ってきておるという状況ではございませんが、訴願の執行停止の効力いかんということにつきましては、審議会の方で一つの大きなテーマとして、目下審議いたしております。現在までの状況では、申し立てまたは職権によってできる道を開くということにおよその御意向があるようでございます。ただすべて執行停止をするということになりますと、御承知のごとく、訴願の制度は必ずしも違法の処分だけでございませんので、不当の問題というような、訴訟事件に出せないようなものにつきましても訴願の対象にはなるわけでございます。そういうものについて、すべて訴願さえ出せば執行停止ができるということになってしまうと、公益上の立場から行政事務の進行を非常に阻害するような心配もございますので、一律に執行停止をする必要があるというような結論になるかどうかはまだ判明いたしませんで、いろいろ委員の方々の間でも慎重に論議されております。いずれにいたしましても、ただいま御意見のありましたような執行停止に関連する問題は、訴願制度の非常に大きな問題として慎重に論議されておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/12
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013・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 今お話しになった点が非常に重要な点だと思いますが、しかし訴願そのものに執行を停止する権限を与えるとすれば、今お話のように違法なる部分と不当な部分があるわけですし、また同時に、かりに違法を理由とする部分について執行の停止を与えるとすれば、これは裁判権と行政権との混淆を来たすおそれがありはしないだろうか、こう私たちは考えるわけです。そういう点で、帰するところは訴願そのものに執行停止の権限を付与するかどうかという一つの問題と、もしそれが裁判の問題と行政の問題とを混淆するおそれがありとするならば、行政事件訴訟特例法第二条の訴願前置主義を改めてしまって、必ずしも訴願を前置しなくてよろしい、こういう形にすることが望ましいのではないだろうか、こういう考え方も一つ出てくるはずです。そういたしますと、この行政事件訴訟特例法は、訴願制度とは関係はありますが異なります。従ってこの調査会の権限は、こういう訴願制度とは異なる訴訟手続に関する問題にまで関与する権限を持っているのですか、きっとそういう議論が出ているだろうと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/13
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014・山口酉
○山口政府委員 訴願制度といたしましては、これは行政機関の行ないます業務でございますので、訴訟の関係はございません。従って司法権と行政権との混淆の問題は、訴願事件として処理している間においては起こり得ない問題であると考えます。ただいまお話のありました行政訴訟において訴願前置主義をとっておるという問題につきましては、これは私から申し上げることは適当ではないと思いますが、法務省の方で法制審議会を開いておりますが、その部会としまして行政訴訟特例法に関する小委員会をいたしております。そこで訴願制度が今後どういうふうに整備されるかということと関連いたしまして、行政訴訟特例法の方でこの前置主義をどう取り扱うかということを議論いたしておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/14
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015・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 一番重要な点なんですが、私の今伺ったのは、当然行政事件訴訟特例法の第二条の訴願前置主義を廃止すべきである。いきなり訴訟を起こせるという意見が出てくるはずです。現にこの条文それ自体を見ても、訴願の裁決を経た後でなければならないが、ただし「訴願の裁決を経ることに因り著しい損害を生ずる虞のあるときその他正当な事由があるときは、訴願の裁決を経ないで、訴を提起することができる。」という例外が認められておる。しかしこの例外が、実質的には実際上の原則になっているわけです。訴願の裁決を経てから行政事件訴訟特例法の方から訴えを提起するばかなんかありません。必ず訴願を出しておいて、出したという証明をもらって、すぐ行政事件を起こすというのが実例で、その実態から考えてみれば、訴願前置主義を廃止するという議論が当然出てくるはずです。これはこの調査会でもそうでしょうし、法制審議会
の方でも当然そうだろうと思います。そこで私は今あなたに、こういう問題についてまで答申をする権限があるのかといって伺ったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/15
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016・山口酉
○山口政府委員 訴願制度の方といたしましては、行政機関の内部における訴願制度をいかに整備するかということを議論するだけでございまして、訴訟事件の方でそれを前置主義をとるかどうかということは、訴願制度調査会の調査すべき範囲内ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/16
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017・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そうすると、一番重要な部分を審査できない。そういう調査会ならよしてしまった方がいいのではないですか。これが一番重要じゃないですか。従って当然私は今お答えの中で、そういうものについてまで一応の答申ができる権限がある、こうおっしゃるだろうと思ったわけです。ところが肝心かなめの、国民が一番困っている部分については答申する権限がない。それは法制審議会でやって下さるだろうなんというのではナンセンスじゃないでしょうか。同時にまた伺いますが、この訴願制度調査会と法制審議会の行政事件訴訟特例法関係の小委員会とは、合同の委員会をお開きになったことがありますか、また合同の委員会を開く権限がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/17
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018・山口酉
○山口政府委員 法制審議会の方でやっております行政事件訴訟特例法の審議にあたりましては、ただいまお話のございましたような訴願前置主義をどうするかという問題を、非常に重要なテーマとして取り上げて審議いたしております。従って現在この訴訟事件と訴願事件とが二つの審議会において審議されておるわけでございます。ただお話のような関連性があるということは十分に考えまして、委員の選考にあたりましては、法制審議会の行政事件特例法関係の小委員会で参加しております方を相当訴願制度調査会の方に御委嘱いたしまして、その間の連絡がとれるように配慮いたしております。
お話の合同審査をすることがあるかどうかということでございますが、この点につきましては両方の審議会の審議の状況によりまして、打ち合わせをする必要があるということであれば、運用上そういう合同の会議を開くことは差しつかえないと思っておりますが、一応政府側といたしましては、その運営について審議会の方に諮問をして、あとの審議のやり方については御一任いたしておりますので、はたしてそういうことになるかどうかを予想するわけには参りませんが、そういうことが審議会として必要である場合には合同の会議を開かれることは、運用上差しつかえないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/18
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019・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 長官に伺いますが、今お聞きのように、訴願制度調査会でもこの行政事件訴訟特例法との関連性をどうするかということは、ほとんど大部分と言っていいくらいの重要問題だろうと思います。にもかかわらず、この問題については審査する権限がないとおっしゃる。まあおれは胃だけの医者だから腸の病気は知らぬよ、こういうのと同じだろうと私は思うわけです。また法制審議会の方でもこの重要な訴願制度の問題については、何にも言う権限がなさそうなんです。しかし実際は完全に重なっているわけです。そうだとすれば、二つのものを設けておくというのは屋上屋を架することではないでしょうか。しかも二つに分けているがためにかえって双方の審議がおくれている、こうとしか私には思えない、この点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/19
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020・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 専門的な細部につきましては私存じませんが、御指摘の点についてはいろいろ検討する点もあるようでありますので、行政管理庁あるいは法務省、関係方面にさっそく伝えまして検討いたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/20
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021・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 訴願制度調査会は総理府で管轄する、法制審議会は法務省で管轄する、こういうふうに官庁がおのおの独自の審議会、調査会などを作って所管をしていく。いわゆる官庁のセクショナリズムが実質的には一つであるべきものを二つに割ってしまい、そのためにかえって審議がおくれ、九カ月も延長しなければならない、こういうことになりますと、この調査会に御出席をいただいておる委員諸公にも非常に御迷惑ではないか。また国家としても、いたずらに調査会、審議会を長引かせていくということは、経費としてもむだだ。大した経費ではなさそうですが、そういう冗費も出てくる。こういう点で何か整理をする必要があるのじゃないか。理論的に訴願制度調査会は行政的な範囲に関するものだし、行政事件訴訟特例法は訴訟制度、いわゆる司法に関する部分だから、これは分けておかなければならぬ、そういう単なる理屈一本やりで、屋上屋を架するような二つのものをこしらえておく必要は絶対にないじゃないか。むしろこの際思い切って——今の局長の御説明によりますと、委員も共通だというのですね。そうするとその委員の方だって、あるときには法制審議会に出席をせられ、あるときには訴願制度調査会に出席をせられ、そこで行なっている御議論はほとんど同じ議論じゃないか。幾らかずれるところはあったとしても、重要部分についてはほとんど一致をするものじゃないか、そうすると二度出席をなさらなければならぬわけです。どうせそういう審議会あるいは調査会にお出になる方は、実際生活の中でも相当有名な方でしょうし、御多忙な方でしょう。従って二度も出て同じことを議論するなんというのはお気の毒です。こういう点で、人的にも金銭的にもむだになりはしないだろうか。こういう点を考えてみますと、私たちはここでよい結論を出していただきたいのですから別に反対はいたしませんが、十分に御反省をいただくべき余地があるのじゃないだろうか、こう考えるわけです。今長官は法務省や行政管理庁とも相談をしてしかるべくとおっしゃったのですが、しかるべくというのはここでは聞き捨ておくという常用語だそうですから、そういう常用語でなく、もうちょっと何とかしようじゃないかというざっくばらんなお話があっていいのじゃないか、こう私は思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/21
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022・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御指摘の点はいろいろ十分理由があると拝聴いたしておりますので、やはり所管の官庁とよく相談いたしまして、さっそく検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/22
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023・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 私今伺いますと、この委員の方の中に比較的実務家が少ないように思いますが、現実にこの訴願制度、さらには行政事件訴訟特例法等を扱っていらっしゃる実務家をもう少しお加えになる必要があるのじゃなかろうか、こう考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/23
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024・山口酉
○山口政府委員 実は行政官庁の各機関で実際に訴願事件を処理いたしております者は、別に幹事といたしまして二十五名関係庁から選んで任命いたしておりまして、委員の審議を助けるという意味で参加いたしております。実際の行政訴訟の取り扱いの状況につきましては、その方々が調査会を開くごとに出席いたしまして援助いたしておりますので、さような点については心配はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/24
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025・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 今までの御説明でかなり明瞭になりましたように、法制審議会の中の行政事件訴訟特例法の小委員会とこの訴願制度調査会とは、両々相待って助け合いながらといいますか、相手方の調査の結果をお互いに見守りながら進んでいく、こういうふうにうかがえるわけです。ところが法制審議会には期限がありません。ところが今度のこの訴願制度調査会は九カ月延ばす、こういうことです。そうなりますと行政事件訴訟特例法の小委員会が九カ月も十カ月も十二カ月も、あるいは一年半もかかることはあり得るのではないでしょうか。そうなって参りますと、行政事件訴訟特例法の結論が出ない以上、訴願制度調査会だけで結論を出すということはできますか。そうなりますと九カ月をまた延ばさなければならぬということになります。さっきの御説明では、九カ月で絶対自信がおありになるようでしたが、しかしそんな自信のおありになるような言葉をお吐きになっておきますと、また九カ月先に、もう一年延ばして下さいという話になるのじゃないだろうか、私はこう思うわけです。そのくらいなら思い切ってどんずばり、法制審議会と歩調を合わせるような期限を設定されたらどうですか。私たちの方は、別に九カ月だからいい、十カ月だからいけないと言っているわけじゃないのですから。
それでは伺いますが、法制審議会の行政事件訴訟特例法の小委員会ですか、分科会というのですか、それは大体いつごろ作業が終わるという見通しですか。この結果を見ずして、あるいはこの結果と並行せずして、調査会が結論を出せるなんていうことはあり得るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/25
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026・山口酉
○山口政府委員 実は審議会の期限の問題でございますが、これは審議会の設置の一つの方針といたしまして、できるだけ早く審議を済ませて、問題を政府が処理できるようにしたいという考えから、できる限り時限的な制度にいたしておりますのが建前でございます。そこでその期限を適当に判断することになるわけでございますが、この場合におきましてはやはり期限を切っていくことが至当であるかと存じております。法制審議会の方は、これは常時いろいろな法律問題を検討いたして参りまして、単にその一分科会の作業として行政事件特例法の審議をいたしておるわけでございます。従って、法制審議会の方に期限がございませんから、この行政事件特例法の小委員会の方も自然に法律的な期限はございませんけれども、運用上の目安といたしましては、実はこれを私から申し上げるのは適当ではございませんけれども、私どもが連絡をして承知いたしておるところによりますと、本年の九月か十月ごろにはほぼその問題の結論を得る見込みであるということでございますので、そういう点ともにらみ合わせまして、具体的なスケジュールを組んで、審議のプログラムを立てた上で、九カ月であれば結論を得られる、かような見通しで九カ月の延長方をお願いしたわけでございますので、再びお願いをするようなことはないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/26
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027・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 法制審議会の方のプログラムでは大体九月に結論が出るとおっしゃるのですが、法制審議会の方の行政事件訴訟特例法の小委員会、これが九月に出るまで、それに合わせてということでありますなら、この訴願制度調査会というのは向こうさん待ち、こういうことになってしまうのじゃないでしょうか。向こうさん待ちという形になって、私はほとんど独立性を疑わざるを得なくなってくる。からむわけじゃありませんが、そういう感じがいたしますし、法制審議会の方の小委員会の実情も私たち幾らか知っておりますが、なかなかプログラム通りに結論の出るものではありません。これは皆さん非常に議論をなさいますので、そう出るものではありません。そういたしますと、九月というのは法制審議会の方のプログラムと合わせた結論であって、訴願制度調査会独自のプログラムに基づく結論ではないというふうに受け取られざるを得ないわけです。あれやこれや、からんだものの言い方を私はしたくはありませんが、しょせん、冒頭私が長官に申し上げたように、二つの分割すべからざるものを分けて、違った官庁が管轄をしてやっていかれるところに問題があるわけです。この問題について十分根本的な反省をなすっていくことが、やがては九カ月という期間を御設定になる場合の基本的な問題になるだろう、こう私たちは思います。従って、あやまちのないように——再び延長をとおっしゃることはないこういうお話ですから、私たちもそれで了承はいたしますが、しかしまた早かろう悪かろうでも困ります。独自な立場で十分御審議を遂げ、しかも今私が申し上げたような欠点を除きながら進まれるように希望して私の質問を終わります。
…………………………………発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/27
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028・福田一
○福田委員長 次に久保田豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/28
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029・久保田豊
○久保田(豊)委員 農林御当局に、農林省の設置法の一部改正と水産庁設置法の一部改正について、前の質問の残りを簡単にいたします。
まず第一に農林省の設置法の一部改正のうちで、この前質問いたしましたけれども、少しまだふに落ちないところがありますのでお伺いいたしたいと思うのは、この名古屋地方に高潮対策部を設ける、これは趣旨はけっこうでありますが、これはいつまでに作られて、いつ廃止をされる予定かということを第一にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/29
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030・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 ただいまの高潮対策部の設置につきましては、この法律の公布施行と同時に設置いたしまして、約三カ年存続する予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/30
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031・久保田豊
○久保田(豊)委員 そうしますと今の点については、法律の施行と同時にこういう一つの行政機構を作るわけですけれども、すでに実際の仕事をやっているわけでしょうか。そうでしょうね。おそらくそうだろうと思いますが、この点間違いありませんか。——それではそれに引き続きまして一、二点お伺いいたしますが、この配付された資料その他を見ますと、要するにその下に鍋田の災害復旧事業所と衣ケ浦の災害復旧事業所、この二つを指導監督、助成をするということのようですが、実際には設計その他を担当するわけですか。いわゆる指導監督並びに助成というだけですか。この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/31
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032・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 御承知のように、今回の伊勢湾地帯におきまする国の復旧事業といたしましては、直轄事業もありますと同時に、補助事業もあるわけでございます。今先生のお話しになりました指導監督、助成というのは、補助事業にかかるところの災害復旧事業についての事務を規定いたしたわけでございまして、鍋田あるいは衣ケ浦等の国の直轄いたしまする事業につきましては、当然国がみずから設計し実施する、こういうことに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/32
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033・久保田豊
○久保田(豊)委員 そうしますと、なお重ねてその点を突っ込んでお伺いいたしますが、直轄事業については鍋田なり衣ケ浦なりが設計から何から一切やる、それを高潮対策部が指導監督する、こういうのですか。それとも、設計等については対策部の方でやって、その実施面を鍋田なり衣ケ浦にやらせるというのですか。どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/33
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034・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 今先生のお話しになりました通りでございまして、設計の方につきましては制度上対策部でやる、事業の実施については事業所でやる、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/34
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035・久保田豊
○久保田(豊)委員 そこでもう一点お伺いいたしますが、国の直轄部面においては特に建設省その他の仕事との調整といいますか、これが非常に問題になろうと思います。私は病のため現場をとうとう見られませんでしたが、こういう場合、特に今度の場合、ここらあたりに従来設計にも工事の施行そのものにも相当大きな欠陥があったようですけれども、こういうところの調整その他はこの対策部がおやりになるのですか、どこでおやりになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/35
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036・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 御指摘になりましたように、今回の伊勢湾対策につきましては、特に関係省における港湾あるいは堤防等の接続個所における設計、工法が、非常に大きな問題であると思っておるのであります。従いまして、今回の伊勢湾地方におきまする復旧対策につきましても、旧臘に関係省の協議会を設け、またそれには学識経験者も入りまして、堤防の高さあるいは工法だとかいったことにつきましては、関係省の間におきましてどういう基準でやるべきであるかというようなことにつきまして、話し合いを進めたわけであります。大体の基準につきましてはこの協議会におきましてきめて、それに基づいて各省が具体的に事業に取りかかる、こういうことに相なるわけでございます。従って、そういうふうな基準に基づきまして具体的に対策部におきましては事業を実施する、こういうことに相なるわけであります。もっともその間におきまして、事業実施上におきましては、常に関係省との連絡をとる必要がもちろんあります。中央においても今申しましたようなことでやりますほかに、地方におきます建設省関係の出先の地方建設局もあります。従って運用の面におきましても、当然その間の協議調整をはかっていくというような問題も行なわれるだろうと予想されるのであります。従ってそういう際におきましては、この対策部におきまして、そういう措置に当たるということに相なろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/36
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037・久保田豊
○久保田(豊)委員 私どもは伊豆災害の経験で痛感をいたしたのでありますが、設計、工法等においての一応官庁間の打ち合わせができましても、つまり事業執行といいますか、それを裏づけていく予算、つまり金の面で農林省のやり方と建設省のやり方とは相当食い違いがあるのじゃないかということが、非常に心配になるわけです。建設省の直轄部面につきましては、これはどういう予算操作を実際にしておるのかわかりませんけれども、たとえば伊豆災害の場合のごときにおきましても、予算は大体において三カ年ないし四カ年で出ておると思うのでありますが、実際の工事は直轄部面については一カ年ないしはせいぜい一カ年半くらいで、現在災害復興の面についてはほとんど完成をしておるということであります。伊豆災害の場合においては、農林省関係では直轄部面はありません。ないからその点はよくわかりませんが、農林省はその場合において、建設省のように予算のやりくりといいますか、あるいは繰り上げといいますか、そういうことをやって早くやりませんと、図面や打ち合わせの方でもって、建設省関係との調整が工法の上でできておっても、実際の食い違いができるということは、これはなければいいわけですけれども、非常にその点が心配になりますが、その点はどういうふうに実際に措置をされる予定ですか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/37
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038・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 伊豆災害の場合におきましては、私も現地を見に参ったのでありますが、御承知のように狩野川の堤防が決壊し、その結果その地帯一般にわたりまして農地の災害を受けたわけであります。農地復旧にあたりまして、今先生のお話しになりましたように、堤防の個所をどこに設計するかというようなことがきまりませんと、農地の復旧はそれを待ってやらざるを得ないというようなこともありましたりして、その間における調整の問題が問題であったわけであります。今後こういうふうな事態における対策といたしまして、どこにまずその分担をきめるか、たとえば県におきまして土木部と農地部がありますが、土木部における設計あるいは農地部におけるやり方、これらをまず責任の分担、それからどこでどういう段取りでどちらが先にやるかといったようなことの調整を、補助事業としては当然考えていかなければならないのだと思います。伊勢湾におきます問題といたしましても、そのような問題が当然起こりますので、これは対策部と地建で相談してやる、また当然県の関係も起ころうかと思いますが、三者連絡調整してやるということに今後とも十分留意してやっていかなければいけない。対策部ができました関係も、そういうことが特に問題であるのではなかろうか。特に伊勢湾地帯における指導監督の強化という意味におきまして設けたわけでございますので、今先生の御指摘になりましたようなことも十分頭に入れて、当然連絡調整をはかっていく、そうして事業の効率化をはかって参る、こういう考え方に出たものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/38
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039・久保田豊
○久保田(豊)委員 私は補助事業についてはまた別にお伺いしたいと思っておるのですが、私が今お伺いしたのは、建設省関係の直轄面と農林省の直轄面とは、予算上馬のつらが合っておるかということを聞いておるわけです。片方においては、建設省では、これは地方でいえば仕越し事業みたいなやり方だと思うのです。つまり事業をどしどし継続して、最初の臨時のいろいろの工事からそれがすぐ本格工事になってどんどん進んでしまうわけですね。その点について、農林省の直轄部面にはそういう予算措置なり予算運用の措置を、つらを合わせてやっておるのかどうかということを第一点にお聞きしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/39
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040・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 先ほど申し上げましたように、伊勢湾地方における災害復旧の堤防の高さあるいは工法等につきまして、三者の間の協議会を設けまして、それで大体の基準というものを作っておるわけであります。今回の三十四年度における災害関係の予算並びに三十五年度におきまするこれらに関する予算につきましても、その協議会における趣旨に基づきまして、大体の考え方といたしましては各省同一の歩調で予算を組んでおるわけであります。すなわち具体的に申し上げますると、本年度の台風季までに一応原形復旧までの事業を完成するという意味の予算が計上されておるわけであります。御承知のようにあの地帯におきましては、原形復旧事業ばかりでなしに、改良工事も取り入れてやる建前になっておりますので、直轄事業につきましては、三十七年度台風季までに事業の完了をいたす、こういうことで予算が計上されておりますので、その間農林省におきましてもあるいは建設省におきましても、事業量におきましては差がありますけれども、考え方としては同一の考え方に立ちまして予算を計上する、こういう措置をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/40
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041・久保田豊
○久保田(豊)委員 それではその点については予算上のズレは、両省の間にないということですね。それならけっこうです。
もう一つお伺いしますが、今度の対策部が、今の説明でも補助部門についても指導する、こういうことですね。指導は非常にけっこうで大いにやっていただきたいと思いますが、三県にわたるのを、片一方において設計をやりながら十八人で指導が実際できますか。この点と、もう一つは、私どもの経験したところで一番苦労いたしましたのは、県段階の県の担当部門、特に農地関係等の担当部門でも設計者が非常に少なくて、実際には町村段階の指導等はほとんどできない。そういう問題であとにいろいろ問題が残る。特に一番心配になるのは各市町村段階は、市はある程度そういう技術陣を持っておるかと思いますけれども、町村にはほとんど技術屋がいないというので、設計もろくにはできない。設計ないしそういうものの手続が非常にめんどうなために、技術者をある程度雇ってみても、その連中は書類作りにほとんど追われてしまって、現場の実際の工事監督ないしはそういうことはほとんどできない。そのことがひいては今の請負制度の欠陥と結びつきまして、ほとんど完全な工事ができていない場合が補助事業、特に町村段階の農地ないしは農業施設は、大部分は町村段階になろうと思うのです。そういうことになりますと、そこらに非常に大きな手抜かりができまして、その結果はどうかというと、最後には相当の手直しその他がよけい残りまして、災害を受けた農民がさらにその負担を二重にしょっていくという格好になるわけですが、伊豆災害の場合は農林省にいろいろお願いをして、御承知の通り九州等から約三十何名の技術者を借りて、一応県段階の県の補助事業のあれをやり、そして特に重要な地点には町村にも一部これを指導に回してもらったという実情ですが、あれだけのものをやっても、実際にはうまくいかなかった、これが実情です。今度は、伊勢湾台風の場合におきましては、災害の性質あるいは規模、それから特に除塩事業等をやるについては、私はなお複雑な問題、仕事量というものが非常に多いと思うが、こういう点について、この十八人の陣容でそういうことができるかどうか。大体においてこの陣容ではおそらく鍋田と衣ケ浦は、そこの国営事業で手一ぱいではないかと思うのです。その点については今までどのような措置をとってきたか、今後措置をとっていくつもりか、お伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/41
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042・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 お話のありましたように、非常な災害がありました場合におきまして、農林関係の災害事業は、町村あるいはさらに小さな大字といったようなところにおける施設災害復旧が非常に多いわけであります。従ってその間、設計事業を進行するためにおきましては、人手不足ということが十分起こりがちであります。しかしこれらに対してあらかじめ災害復旧の起こることを予定いたしまして、人員の配置を考えていくということも、実際問題としてはなかなか困難な場合があるのでありまして、従来とも今お話にもありましたように、機動的に人員をそこに配置をする、あるいは一応援体制をとるといったようなことで考えていかざるを得ないのではなかろうか。今後におきましても、大体のやり方といたしましては、大災害の場合におきましては、そういう方法をとらざるを得ないのではなかろうかと考えておりますけれども、一般的に技術者が不足であるという点については、そういう災害復旧ばかりでなしに、一般の団体営土地改良事業といったような面におきましても、われわれも承知いたしておるわけであります。事業量が伸びるに応じまして、事務費、人件費等におきましては事業費支弁という道もありますけれども、しかし人間がある程度固定していないといったような関係もありまして、おのずからそこに機動的な調整をとらざるを得ないということもやむを得ないのではないかと考えておりますが、今後とも、今先生のお話しになりましたようなことについては、十分承知いたしておりますので、それに即応するような検討を加えて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/42
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043・久保田豊
○久保田(豊)委員 この直轄部面に対する陣容は、この対策部が十八名で、鍋田の方が六十名、衣ケ浦の方が四十二名、これは農林省で責任をもってこれだけの人間はどこかから動員をして集めるに違いなかろう、これはいいといたしまして、特に農地関係等においては、県段階の仕事あるいは特に町村営の、団体営が非常によけいになる。これについて、今までそういう人手不足ということについて、すでに措置をしていなければならぬはずだと思います。それでなければうまく進むはずがない。現地を私は見ておりませんから、実情はよくわかりませんけれども、私どもの経験ではこれが一番苦労をした。それでも足りぬで、大体月に、多い場合においては町村のごときは四万五千円くらいの実は人件費を出しまして民間のいわゆる土木技術者を臨時に嘱託しましてやるというふうなこともやったのでありますけれども、それでもなかなか足りない。書類作り、要するに実務の方がなかなかうまく参りません。ですから今お答えのように、これから検討いたしますなんということでは、私はまだ復興工事がどの程度進んでいるかわかりませんけれども、少なくともそういうゆうちょうなことでは、現地の人たちが非常に困るのじゃないか、こう思うのですが、今まですでに県営ないしは団体営の事業について、どういう配慮を加えて実際に実施をしておるのか、あるいは今後いよいよこういう国営の大きな堤防その他ができるに応じて、それとつながつた県営部門、あるいは団体営部門はやはり急速に頭をそろえ、進度をそろえていかなければならぬということになる。多少はおくれても差しつかえありませんけれども、しかしこの点のテンポを合わせるということが、災害地の住民としては一番大事な問題だと思いますが、その点について、今のお答えのように大いに今後十分検討いたしますということでは、ちょっと手ぬるいように思う。ですから現在までどういう措置をとったのか、今後いわゆる団体営ないしは県営事業が本格化する場合に、どういうふうな措置をとるつもりか、その計画なり何なりをお聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/43
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044・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 今回対策面におきまして取り上げておりますのは、いわゆる伊勢湾高潮対策事業として取り上げている事業だけでございまして、それ以外の事業につきましては、これは従来通り県なりあるいは土地改良区等を通じてやっておるわけでございます。今回の高潮対策事業として国の直轄事業として考えていますのは、ここに鍋田と衣ケ浦がありますが、五カ所でございます。それから補助事業として考えております対象は、愛知県で六カ所、三重県で四件ということになっておるわけでありましてこれらにつきまして事業の強化をはかって参りたい、それ以外の事業につきましては、これは当然県の陣容なりあるいは土地改良区の陣容なりを通じて従来通りの方式でやっていく、その間におきましてかりに人手が不足するとかいうようなことになりますれば、当然応援の体制もとってくるということに相なるわけでありますが、現在までのところ、各県におきましては、大体従来通りの方法で事業が進捗いたしておるというふうに承知いたしておるのであります。
なおまた補助事業につきましては、これは伊勢湾高潮につきましても改良事業等もありますので、直轄事業につきましては三十七年度の台風季までに一応事業を完了するということにいたしておりますが、補助事業につきましては三十八年度までに一応事業を完了する、こういうことで予算上も一応計上いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/44
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045・久保田豊
○久保田(豊)委員 現地の方からそういう点の応援を農林省に求めてきてないということなら、これは何らか現地の方で措置をしていることだと思いますが、この点はなお念を入れて十分現地と打ち合わせをして——なかなか県限りでは、正直に言って人は集まらぬです。その結果が、末端に行くと結局災害住民の非常な不幸といいますか、負担過重になりますから、この点をなお注意してやっていただきたいと思います。
その次にお伺いいたしたいのは、この前質問を漏らしたのでありますが、ここに臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会が本年の三月で、もうすでに答申が出るからこれを廃止するという一項があります。このこと自体は、私どもは答申が出る段階になれば廃止するのは当然だと思うのです。この点についてお伺いをいたしたいのは、こういう調査会ないしは審議会等が実際には非常によけいにあるわけですね。今どのくらいあるか私も承知をしておりませんが、大体農林省としてはどのくらいの調査会なり審議会がありますか、ちょっとお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/45
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046・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 今御審議願っております臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会も含めまして二十四でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/46
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047・久保田豊
○久保田(豊)委員 それのたくさんの調査会ないしは審議会のうちには、必要であり、同時に相当の効果を上げておるような、またどうしてもはずすことのできないものもたくさんあることを私どもはよく承知しております。しかし中には、こういう調査会がはたして必要かどうかという点、同時にその調査会の答申なり何なりが、われわれから見ると、こういう程度の答申を得るのに、はたしてこういうふうなものを設けてやる必要があるかどうかという点が、疑われる面が相当見受けられるわけです。しかもその次の段階において、農林省なり何なりの施策のうちには、調査会からこういう結論が出ましたから、答申がありましたからということを、すべての施策の言いわけの口実にしている面がなきにしもあらずだと思うのでありますが、この生鮮食料品の対策調査会は、どんなメンバーで作られて、そして特にお聞きしたいのは、今までに農林省の各関係部局から書類上のいろいろの資料を出されて、それを調査会が調査、審議されただけか、あるいは現実のいろいろの生鮮食料についての流通過程なり、あるいは市場というものを十分に実際的に検討された上でといったようなことをどの程度やられておるか、この二点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/47
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048・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 その前に、農林省で二十四の審議会あるいは調査会がございますが、これらはいずれも法律の運用に当たるとか、あるいは審査をするとか、いわば恒久制度になった審査会あるいは審議会が大部分でございまして、今御審議願っております臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会のような、期限を限った調査会といたしましては非常に数が少ないのであります。
それから御質問の生鮮食料品の調査会のメンバーでございますが、大体二十人で編成されておりまして、主たる構成人員は、学識経験者のほかは、生産者団体あるいは市場に関係しておる経験者といったようなもので、生鮮食料品の内訳といたしましては、青果物、水産物、畜産物のそれぞれの経験者が、その中に参加しておるということでございます。
第二の調査、審議の内容はどうであるか、こういう御質問でございますが、もちろん農林省におきましても、これに関連するあらゆる資料を提供いたしまして、またそれに関連して行政当局がいろいろ問題としておるような事項につきまして、従来の運営の実態、あるいは今後の改善の方向等について、十分各方面からの御審議を願いたいということで進めて参りましたのでございまして、今お話しになりましたように、農林省の考え方をそれによって押しつけ、あるいは調査会を一つのいわば隠れみの的なものとして扱うというような考え方は毛頭ないのでございまして、資料を資料として提供し、十分各方面から御審議願う、こういうことで終始いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/48
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049・久保田豊
○久保田(豊)委員 承るところによると、昨日あたり答申が一応出たようですが、これは直接この調査会廃止には関係がないかもしれませんけれども、その答申のおもな方向、特に農林関係の生鮮食料品についての答申のおもな方向——それは青果の場合と、食品その他の場合とは違って参りますが、そのおもな方向はどういう点を指向して答申されたのですか。ごくおもな点だけでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/49
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050・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 実は今手元に資料を持っておりませんので、答申があったことは承知いたしておりますが、内容についてはまだ詳しく私も承知いたしておりませんので、いずれ先生のお手元に資料として御配付申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/50
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051・久保田豊
○久保田(豊)委員 私どもいつもいろいろの審議会、調査会の答申等を見て感ずるのですが、特に今日の段階では、貿易の自由化、それの農業に対する影響というふうな点、特に生鮮食料部面等に、私は相当の影響を与え、またそれを扱う生産者団体あるいは農協等については、相当大きな問題が出てくるのじゃないかというふうに思うのですが、そういう点も含めて審議をされ、調査をされて結論を出されておりますかどうか、その点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/51
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052・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 御承知のように、この調査会の直接の目的といたしておりますのは、いかにして公正な取引ができ、あるいは公正な価格形成ができるか、その観点に立って、中央卸売市場がいかなる役割をし、またそれについては、現状の市場がどういう点において施設の欠陥があるか、あるいは運用面において改善すべきものがあるかといったような観点に立った調査でございますので、今お話しになりましたような、今後の自由化に対する影響がどのようになってくるだろうかということを、直接の対象にして調査、審議したものではないのであります。いわばそれ以前の問題といたしまして、今申したようなことについて答申が行なわれたものであると了承しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/52
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053・久保田豊
○久保田(豊)委員 そこに私は中央卸売市場その他の基本的な問題点があろうと思う。日本では、なるほど今お話のあったように、農産物の価格形成をいかにして正しくするかということが中心になりますけれども、大体今の各種の中央卸売市場の状況を見ますと、要するに生産者ないしは生産者の団体は、実質的にはほとんど価格形成には参加しておりません。卸売会社なり何なりという格好であって、ほとんど参加をしていない。要するに価格形成そのものにはほとんど発言権を持っておらない。同時に生鮮食料品の場合には、市場へ出てくる荷物といいますか、そういう商品量の調整をしなければならぬが、その調整の機能もほとんど実際にはない。ごく一部のものについてはありますけれども、それが行なわれておらないのが今の実情だと思います。特に今の日本の農協では、そういう問題をさばく力がないし、今の総合農協の三段階制のものが、はたして将来そういうものをやっていけるかどうかということも、実は相当問題であります。少なくとも卸売市場における価格形成の過程に、生産者団体が一方の相手としてはっきり登場してくるということを保障しない限り、今のように無条件依託形態みたいな格好で卸売会社へやる、これを一本にするがいいとか、数をよけいにした方がいいとか、あるいはその間の手数料をどうするとか、こういうことをし、片方において仲買人なりあるいは小売商との結びつきをどうするかということだけを考えても、流通過程の全般的な合理化というものは、なかなか困難ではないか。少なくとも農民の生産を安定させるような意味での、価格を安定させるような意味でのあれは非常に困難じゃないか。その生産物そのものの市場への出回りを調整する一つの体制というものと、それから市場におきまする生産者団体の発言権というものを強めていく、この二つの観点のない限り、流通機構の問題は大した効果を上げ得ないというふうに考えます。もちろんそれ以外にもいろいろな要素があります。しかし少なくとも当面の卸売中央市場の問題あるいは各種の中央市場問題について考える場合に、この点を抜きにしてはなかなかうまくいかないのじゃないか。ところがこれを担当するような実力が現在まだどこにもないというのが実情だろうと思うのです。そういう点からいうと、ともすると今までの考え方の上に立った、実情の上に立ったいわゆる答申というようなものも出て、これが多少の改善になりましょう。多少の改善になるが、基本的な改善の効果というものにはならぬように思うわけです。こういう点については今度だいぶ大がかりなものを作られて相当の調査をされたわけですが、そういう点については答申はどのように触れておりますか。一挙にはできないと思います。もちろんこれは段階的にものを解決するより手がないと思うのですが、こういう点についてはどんなふうな内容を持っているか。そういう問題までも含めて調査をし、答申をするものをやっておるのですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/53
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054・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 生鮮食料品に関しまする取引の改善あるいは公正な価格形成をやっていく場合におきまして、基本は農民の所得を維持するということに中心があることはもちろんだと思いますけれども、そういう意味から申し上げますならば、中央卸売市場の問題ばかりでなしに、今先生のお話しになりましたようにもっと取引所の前の段階における生産者団体の活動なり、あるいは農民と生産者団体との間の問題なり、広範にわたった一つの取引改善の方策が相待って行なわるべきことは当然であろうと思うのでありますが、御承知のように中央卸売市場の問題が起こりましたのは、神田の丸十の問題を契機といたしまして市場における信用取引を高める。それによって農民に対する支払いの円滑を期するということがあったわけでありますが、しかしさらに中央卸売市場の問題ということになりますれば、やはり生産地と消費地における結節点として、いかにして中央卸売市場自身を基本的にそのような公正取引の場として、十分な機能を発揮させていくかという点に中心を置いて考えておるわけであります。おそらく、答申の詳細は知りませんけれども、現在の中央卸売市場の地域においてあり方がどうである。つまり中央卸売市場というものの網が、地方の集産地において張られておるであろうかどうであろうか。あるいはさらに現在の中央卸売市場の施設につきましても、大量取引の行なわれる、集中取引の行なわれる結節点としての十分の施設が備わっておるだろうかどうだろうか。さらにまたその間における取引方法がどういうふうな取引方法として改善すべきであるか、あるいはさらにそれに参加するところの卸売人、仲買人というものについて、どういうふうな基準なり資格なりを設けてやるべきであるかとかというようなことが中心になっておりまして、つまりそれらの機能が十分発揮することによって、また同時に生産者団体における流通の取引につきまして、より効率を高めていくというようなことと相待って考えられていくわけでありますので、それらの全部を含めて今回の答申がカバーしているというふうには必ずしもわれわれは考えておらないのであります。御質問のような点につきましては、あるいは直接政府が価格の支持機能をもってやるような部面もございましょうし、あるいは団体が自主的に調整を行なう。それに対して国がいろいろの援助を与えるというような方法もありましょうが、しかしできた取引における生鮮食料品の性格からいきまして、大消費地における集中取引、それに通ずる公正な価格形成の機能をいかにしてそこで発揮させるか、それによってひいてはまた生産者団体に対する利便も与える、消費者に対する利便も与えるというところに観点が置かれているのは当然と考えますので、今お話しになりましたようなことにつきましては、もちろん重要な問題でありますけれども、直接の答申の形といたしましては、今申しましたように限定された問題を中心に答申が行なわれている、かように思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/54
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055・久保田豊
○久保田(豊)委員 この答申もどういう内容かわかりませんけれども、今のお話で、大体われわれもそういう程度に理解をしておったわけですが、農林省として今各生鮮食料品というか、特に消費農産物の米麦その他を除いたものの取引については、流通過程の改善ということを盛んに取り上げておるわけでありまして、これは今後なお取り上げて検討しなければならぬと思います。この中央卸売市場の答申を実施することも大事でありますが、やはりもう一歩高い先を見た全体の流通過程のいわゆる合理化といいますか、そういったことをもう一歩突っ込んで——すぐにこれが全面的に実施になるものとは考えませんけれども、そういう目標を持ったいろいろの行政をし、あるいは農業団体その他の関係の業者なり団体の指導なりをやっていきませんとそこには行かない。いつまで行っても結局商品資本にこういうところをきちっと押えられて、農業団体はいつでもその場になって価格形成そのものに対しては、ほとんど実質上の発言権を持たないということになってくると、いかに市場の技術的ないろいろなことが公正に行なわれましても、本来的な農産物の公正な価格というものは形成できないことになりますから、この点を十分御注意を願いたいと思うのです。
それに連関して一つお伺いいたしますか、この調査会の結論というものと、今後おそらく六月ごろには基本問題調査会から同様流通過程についての基本的な何らかの答申が出てこようと思います。そういう場合にわれわれの予測し、また希望するところは、基本問題調査会については、単に中央卸売市場だけではなく、もっと突っ込んだ流通対策というものが当然出てくると思いますが、これらの二つを農林省としては今後どのように扱っていきますか、これは一つ次官からお答えをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/55
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056・小枝一雄
○小枝政府委員 久保田委員御指摘のように、いかに果樹専門の課を作りましても、いずれにいたしましても流通部門というものを改善いたしまして、これの合理化をはかることでなければ、農民の所得あるいはこれを利用する国民大衆の利益というものを招来するわけに参りませんので、この点につきましては御趣旨を十分尊重いたしたいと思います。要するにただいまこの調査会において審議いたしておりまするところの結論につきましては、それぞれこれは最も専門的なものであると思いますので、こういうものと、それからさらに御指摘のいわゆる農林漁業基本問題調査会の結論が、おっしゃるように私もおそらく今週ごろにはおそくとも出てくるだろうと思います。これをよく勘案調整いたしまして、その短所を補いましてこれを調整いたしますことが、今後の行政の最も重大な問題だろうと考えております。この点につきましてはわれわれ農林当局といたしましても、その合理的な調整をはかり、十分検討いたしまして、この十分なる運用をいたして参りたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/56
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057・久保田豊
○久保田(豊)委員 わかったようなわからないような御答弁であれですが、今の段階としてはその程度しか言えないと思います。そこでぜひ一つお願いしておきたいのは、こういう問題につきましても農林省自体がはっきり先々の目標を腹へ入れて、現状ではそこまで行けないから、この段階でやるのだという目標というものをはっきり持って、こういうことには対処していただきたいということを特にお願いをするわけです。
それから水産庁の問題について一つだけ御質問を申し上げておきたいのは、今度の十和田湖の孵化場の廃止、県営への移管ということは、状況が変わってきて必要がなくなるのですから、けっこうだと思います。だが、内水面漁業についての稚魚ないしはそういうものはもう少し全般的に重要視して、国自体の施策というものをもっと考えたらどうかというふうに私はかねがね思っておるわけです。と申しますのは、片方においては工場等が非常に盛んになり、あるいは農薬等が盛んになって、たとえばアユとかその他のものは、ほとんど川へ海から上がれないような状況がどんどん出て参ってきておるわけです。従ってそういう内水面の漁業というものは、統計を私どもは知りませんけれども、全般としてはおそらく衰退の方向をたどっておると思うのです。しかし汚水とかそういうものがない上流地帯は、まだまだ相当こういうものをやる必要があります。特に上流部面等は御承知のように非常な山村が多うございますので、非常に生活の程度が悪いわけです。案外こういう川漁というのが大きなウエートを持っておる場合が多いわけです。そういう場合にこれに対処するには、あるいはアユとか、あるいはフナとか、あるいはコイとか、その他の一般的なそういうものの稚魚の放流なり何なりというものを、もう少し積極的にやっていいのではないか、こう思うのですが、それに対して現在水産庁としては、国としてどういう施策をとっておるのか。今後どういうふうにやっていくおつもりか、これらの点について一つお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/57
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058・西村健次郎
○西村(健)政府委員 内水面の水産資源の維持ということにつきまして、今久保田委員からいろいろ御指摘がございました。現在のところ水産庁、国といたしまして、北海道につきまして国営のさけ・ますふ化場、サケ、マス孵化とそれからヒメマスの孵化・放流及び卵の配付ということをやっておりまするそのほかには内地につきましてこれは国が直接でございませんけれども、県のヒメマスなりニジマスの施設費の補助、それからもう一つ放流事業、これはサケ、マスは東北地方が主体で、それからアユ、その両者につきまして今放流事業の補助をいたしております。サケ、マスは別といたしまして、アユにつきましては来年度もおおむね今年度通りの計画にしまして、やはり九百万尾弱のものを放流するに要する費用を補助する。稚魚の購入費の補助です。そこでもっと内水面の問題、蛋白給源、ことに農山村における蛋白給源の補給ということにつきまして私ども全く同感でございますが、ただこれにつきましてはいろいろ物的な面、あるいは制度的な面を考えなければいけないものがあります。たとえばアユにつきまして、これは率直に申しまして財務当局あたりから、これはいたずらに遊漁者のための放流になるのではないか、そういう批判も聞かれるわけです。そこで私どもといたしましては、これはそうではなくて、そういう川ではなしに、川を選んで県がやるものについて補助するというふうにいたしております。その他の魚につきましては、先ほど申し上げました物的な、あるいは物理的と申しますか、あるいは組織の面、たとえば物理的な面は、御承知と思いますが、戦時中から戦後にかけまして、いわゆる農山村の蛋白給源として稲田養鯉、稲田にコイを放流することの補助をいたしました。これは農薬の普及等によって、おそらく物理的に技術的に困難ではないか。それから一般的に申しまして、下流河川につきまして水質の汚濁というような面が、鉱工業の発展によって相当ひどいのではないか。この点につきましては御承知のように昨年でございますか成立いたしました水質の規制に関する法律、あるいは工場排水の規制に関する法律というものによりまして、あるいはそれのみでは足りませんけれども、水質をよくしていくという物的な基礎条件をよくしなければ、放流をしても実効は上がらないという面があると思います。またさらに制度的な面としましては、従来も孵化、放流をする場合には、各河川に漁業協同組合がありまして、それが漁業権を持って管理運営に当たるという制度になっておりますが、これらにつきましてもいろいろな面から批判が出ておるわけでございます。それらの点につきましても制度的な面も漁業権制度としてどう持っていくかということも、われわれとしては考えになければいけないのでございます。この制度の面につきましては、先ほどの久保田委員のお話に触れるわけではございませんけれども、漁業制度調査会におきまして、今漁業制度全般の問題がだいぶ煮詰まっておりまして、今年じゅうには結論が出るという大体の見通しがつきました。その点ともあわせまして制度の面等について改善して参りたい。そういった全般的な面を考慮しつつ、内水面については今後も伸ばして参りたい。ただ先ほど申し上げましたような物理的な困難性もありまするし、やり方によっては下手をすると、単に遊漁者のための魚を国が一生懸命やるということも好ましくありません。それらの点もあわせて考えて参りたい。特に近時ダムが方々に作られまして、ダム・サイト、ダムの池に放流することにつきまして、技術的にもまだいろいろ問題があるようでございます。従いまして、来年度の予算としては実現いたしませんでした。私どもとしてはなおこの面は十分検討して参りたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/58
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059・久保田豊
○久保田(豊)委員 大体話はわかりましたけれども、何か私ども実際を見ておりまして、片方において工場汚水、あるいは今お話のようなダム等によって、一面においてはいわゆる魚族の繁殖が非常に大きく阻害されておる。特に農薬等が発展してきましたので、従来のように水田ないしは水田に結びついておりますようないろいろな小さな川や何かにおる魚が、ほとんどいなくなってしまう。また土地改良が進んで参りますから、そういう魚の住むところもほとんどなくなっておるという状態です。しかし山間部その他においてはまだまだそういうもので活用のできる余地があるにもかかわらず、入口といいますか、魚の生息場と稚魚の生息場、上っていく口が全部押えられておる関係で、上流もほうっておけばほとんど魚がいなくなってしまうというような状態のように、われわれは実際に見ておるわけです。これに対して政府としての政策はきわめて消極的のように思うわけです。ですから、私は必ずしも国営がすべてだとは考えません。しかし水質汚濁の調査をするならば、それに連関して、各河川について内水面の魚族が繁殖し得る余地があるのか、どの程度のものをやり得るのかという点も再検討されて、国としての内水面漁業に対する系統立てた一つの政策を、特に稚魚関係について、ぜひ立てる必要がある。それをしませんと——われわれが小さいときには、ドジョウとかウナギとか、そういう川やたんぼでとれる魚を相当食ったのですが、今はどこにもわれわれの近くには実際におらぬのであります。そういう点を少し考えていただいて、もう少し積極的な施策を講じられるように一つ希望をいたします。
以上で私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/59
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060・福田一
○福田委員長 次に石山權作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/60
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061・石山權作
○石山委員 農林省の設置法一部改正に関して、林野庁にお伺いいたします。端的に申せば、為替の自由化に伴う林野行政というとちょっととっぴな感じだと思いますが、しかしそれは実際上お聞きしたい要点なんです。きょうは時間がないといいますから、私はおもに質問の要旨を申しておきまして、少し研究しておいて数字等も取りそろえておいて、あとで詳しくお伺いしたい。大ざっぱなところをお伺いしたいのですが、たとえば山林の場合には、治山治水あるいは建築用材あるいは化学工業用材というふうに分れていくと思うのですが、私のお聞きしたいのは、いわゆる化学工業用材としての林野行政に問題をしぼって、きょうはお聞きしておきたいと思います。
最近木材が大へん化学工業用材として求められているために、種苗から変わっていくということもあるのですが、それらは別にして、当面為替が自由化される、貿易が自由化されて、木材関係として非常に縁故の深いものとしては紙パルプ関係で、来年の十月解除される、こういう問題が今出ているわけです。そうしますと、どういう現象が起きるかと仄聞しますと、今国内製品は大体ボンド三十六円です。これを三十二円に切り下げなければ、外国のパルプがどんどん入ってくるだろうという想定です。今でさえも設備能力が大体五十万トンあるわけですが、実際稼働しているのは四十万トンです。そうしてノルウエーその他から入ってくるものが大体十万トンから五万トン入っているわけで、必要量が少しオーバーしているというのが現状だと思う。来年度になりますと、アラスカパルプは日米合弁で十万八千トン程度はどうしても買い付けされるだろう。そのほかに西欧側から十万トンくらい入ってくる。そうすると、今ポンド三十六円のものが三十二円に切り下げなければ対々にならぬといわれておる。これはポンド四円くらいですが、これは自己の工夫だけではなかなか単価の切り下げが不可能ではないかといわれております。ここで問題になるのは、紙パルプ産業の一番の原料の中心をなしているのは木材でございます。製品のコストとして割合を求められると、大体五五から六〇%が木材の価格が紙パルプの価格を左右しているようであります。今外国と太刀打ちするには、五当たり百円から二百円程度木材の値段を下げる工夫が、この場合必要だろうという声が出てきております。そうすると、木材の価格を下げる場合のいわゆる林野庁の行政の方法論が、私はこの場合探求されなければならぬと思う。これに対する今さしあたっての何か案がありましたら、一つ御答弁をいただければ大へんよろしいのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/61
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062・山崎齊
○山崎政府委員 貿易の自由化に伴いましてパルプ、特に先生のお話しになりました溶解パルプに価格の問題があることは、われわれも十分承知しております。国内のパルプ産業の体質改善をどういうふうにやっていくか、あるいは関税等の施策をどういうふうに考えていくか、それと自由化する時期を具体的にいつにするのかというふうな問題につきましては、通産省が所管としてやっておるわけでありまして、われわれも重大な関心を持って見ておるわけであります。また通産省においてもそれらのことについて方策を出すような段階に行ってないというようにわれわれは聞いておるのでありまして、今木材がどうあるべきかという点については、そういうものを待って検討したいという考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/62
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063・石山權作
○石山委員 政務次官にお聞きしますが、今長官が答えられたように全く準備がなってないということですね。ところが実際上行なわれていくわけですよ。河野さんのまねじゃないけれども、アメリカから押しつけられて急いでやったのが為替の自由化であるという印象を受けざるを得ない。来年の十月といえば一年半ありますね。ところがなま木というものは工業用紙パルプになるまでには一年有余かかるわけです。そうすると一年半という期間は猶予期間ではなくなる。ほとんど押し詰められた形でこの問題は取り上げていただかなければならないのじゃないかと思います。たとえば今能力が五十万トンで、これが最悪の場合三十万トンくらいしか製品ができないような場合がもし想定されれば、資金にして数百億の資金が浮いてしまうということになりますね、設備したものがそれだけしかできないのですから。これは国が——民間でもその通りですが、投資した金が生きてこないという一つの国家的な不利益、もう一つはそこに従事しておる人たちについて、合理化とか体質改善とか操短とかいろいろあるわけでしょう。そういう問題が当然起こってくる場合の人員の問題、あるいは賃金の問題というものも、これは何としても響かざるを得ないわけですね。これはわれわれ何も農林省あるいは林野庁だけを大声叱咤して問題を解決するわけではない。関税等の問題あるいは操短の場合の不況カルテルの場合の話し合いの場所は、通産省ということになるのですが、当面勉強していただきたい、あるいは方策を立てていただきたいというのは、原木をいかにして値下げをするかということが、農林省あるいは林野庁の研究しなければならない課題だと思う。いろいろあるだろうと思います。たとえば奥地林道を開発して運搬費を安くして原価を引き下げるという施策も一つであろう、あるいは国有林を大幅に開放してみることも考え方の一つだと思います。あるいは長期の低利の融資をもってこの難局を切り抜けていくような、用材に対する手段を講じてみることも一つの施策だろうと思いますが、委員長にお願いしておきますが、これらのことを中心にして、いつか機会を見て林野庁あるいは通産省ともう少し掘り下げた質疑応答をしてみたいと思います。さきにも申し上げましたように、来年の十月と申せば一年半あると申しますが、木材から化学工業品になるまでには一年を要するわけであります。ですから、今のうち大ざっぱでもよろしいから構想を一つお示しいただいて、その構想によって着々とやっていただかなければ、為替の自由化という美名のもとに大へんな痛手をこうむる人が多く出る、産業が出るのではないか。この産業に従事している人で、私せんだってもちょっと申し上げたのですが、一体だれが要求して、だれが好んでこんなことをやってくれたのだろうと言うのです。政治というものは大体消費者かあるいは企業者か、どっちかの希望によって施策をなすものだろう、しかるに今回の為替貿易の自由化は、一体だれが望んでこれができたのだろうというふうに、嘆かわしい声を言っている企業家がいるわけなんですよ。今私はいやみを言うために質問しているのではないので、まあいずれにしても一つ至急に対策を立ててもらう、その対策をお立てになりましたら、その対策のもとで私たちの要望、そういうものを討論する機会を与えていただくように委員長に要望して、この問題についてはきょうはひとまず打ち切っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/63
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064・福田一
○福田委員長 私の方からも……。ただいまの質問は非常にいい質問だと思うのです。だから、一つ十分に今の問題を農林当局において検討され、われわれとまたよく理解し合うようにせねばならぬと思いますから、研究されておかれることを要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/64
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065・石山權作
○石山委員 それから行政と能率の問題ですが、これもきょうは時間がないのであまり申しませんが、こういうことが最近大へんに林野庁行政の中に見受けられる。私に言わせれば、業務管理が非常に下手なのではないかという印象です。たとえば去年秋田でいろいろな問題が起きて四人かそこらの人を首切ってみたり、長野でも問題を起こした、今度は九州の熊本で問題を起こした。何か局があれば問題を起こさなければならない。何か局長がそういう責任を感じておるのかどうか知りませんが、問題を起こす。この問題を起こすということは、私たちみたいな立場から見れば、林野当局の行政のまずさをやはり指摘せざるを得ないと思うのです。いわゆる業務管理あるいは労働運動等に対する林野庁の考え方は、労使双方が理解するというふうな立場で問題を研究するのではなくして、何か頭から業務命令みたいな形でぎゅっと押えてしまうところに、問題の複雑さがあるのではないかというふうに考えられるわけなんです。これらの点に関しましては、私はきょうはあなた方と質疑する時間がないと言われていますので、残念でございますが言いませんけれども、われわれの立場からしても警告しておきたい。紛争をおさめるような工夫を業務管理、労務管理の中に、まず採用してもらわなければ困ります。これはわれわれ政治という立場から、国家から税金をいただいて働いている従業員の能率を上げてもらわなければならぬのでありますから、皆さんのようにおもしろずくめのような格好で紛争をやっているような格好は、とてもでないけれども、黙って見ているわけにはいきません。一つその点を十分勘案されて、林野庁の方で善処してもらいたい。それができないとするならば、また近くここに来ていただいて、どこができないかということを明らかにしていただきたいと思うのです。そういうふうに要望を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/65
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066・福田一
○福田委員長 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、これにて各案についての質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/66
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067・福田一
○福田委員長 これより各案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)、農林省設置法の一部を改正する法律案及び水産庁設置法の一部を改正する法律案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/67
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068・福田一
○福田委員長 御異議なしと認めます。よって三案は可決されました。
三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/68
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069・福田一
○福田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/69
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070・福田一
○福田委員長 お諮りいたします。本委員会に付託になっております石橋政嗣君外八名提出の一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提出者より、成規の手続により撤回いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/70
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071・福田一
○福田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は撤回を許可するに決しました。
次会は明後十日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01319600308/71
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