1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十五年三月十五日(火曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 福田 一君
理事 淺香 忠雄君 理事 岡崎 英城君
理事 高橋 禎一君 理事 高橋 等君
理事 前田 正男君 理事 石橋 政嗣君
理事 石山 權作君
内海 安吉君 小金 義照君
辻 寛一君 富田 健治君
中川 俊思君 八田 貞義君
保科善四郎君 山口 好一君
淺沼稻次郎君 飛鳥田一雄君
久保田 豊君 杉山元治郎君
柳田 秀一君 受田 新吉君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
国 務 大 臣 益谷 秀次君
出席政府委員
人事院総裁 淺井 清君
人事院事務官
(給与局長) 瀧本 忠男君
総理府総務長官 福田 篤泰君
総理府総務副長
官 佐藤 朝生君
大蔵事務官
(主計局次長) 吉岡 英一君
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 船後 正道君
委員外の出席者
防衛庁書記官
(人事局調査
官) 山本 明君
専 門 員 安倍 三郎君
—————————————
三月十五日
委員柏正男君及び勝間田清一君辞任につき、そ
の補欠として淺沼稻次郎君及び杉山元治郎君が
議長の指名で委員に選任された。
同日
委員淺沼稻次郎君辞任につき、その補欠として
柏正男君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第二二号)
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第二三号)
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/0
-
001・福田一
○福田委員長 これより会議を開きます。
特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の各案を一括議題とし、前会に引き続き質疑を許します。淺沼稻次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/1
-
002・淺沼稻次郎
○淺沼委員 私は社会党を代表いたしまして、今議題になっております法律案に関連をいたしまして、官公庁で働く労務者の賃金べース一般につきまして質問をしたいと思うのであります。
まず第一に、岸内閣には給与担当の大臣がなくてはなはだ遺憾に考えておったのでありますが、われわれが強く要求いたしました結果、益谷副総理が賃金担当の大臣となられたことを心から私は慶福するものであります。
そこで問題になります点を伺ってみたいと思うのでありますが、憲法第十五条によりますと、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」という規定がございます。そうして「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」こういう規定があるのであります。従いましてわれわれ議員側から申し上げますならば、国民から選挙によって選ばれましたところの公務員中の公務員でありますわれわれが、国会において総理大臣を指名議決をいたします。その指名議決を受けた者が天皇の任命によって総理大臣になられる。その総理大臣の任命によって各省大臣がきめられ、さらに加えまして天皇の前において認証式があげられるのであります。いわば担当大臣になりました益谷副総理は、総理大臣の次に、公務員としていわば行政府における第二番目の公務員たりといっても過言ではないと思うのであります。従いまして、その公務員の給与を担当する副総理に与えられた任務というものは、実に重大なものがあろうと思うのでありまして、これに関連をいたしましてお伺いをいたしたいと思うのであります。いわば行政府で働いておりまするところの公務員の先頭部隊はだれであるかといえば、総理大臣でありましょう。その次に位する者はだれかといえば、副総理でありましょう。従って総理大臣、副総理から各省大臣、これらの方々というものは、自分の下で働いておりまするところの公務員の生活を安定させ、上級の公務員とその下で働いている公務員との中に暗闘めいたことはなくなして、常に円満に問題を解決して前進体制を整える。これが私は公務員を担当いたしまするところの行政府の人たちの考えなければならぬ点であろうと思うのでありますが、最近になって必ずしもそうではございません。予算に組まれましたところの賃金ベースについて、引き上げの要求があとから出てくるというようなことが行なわれておるのであります。しかもそのことは、人事院があるにもかかわらず、人事院がその機能を発しない結果は、直接に政府に交渉する、またしなければならないという立場に置かれて、この間以来議会にも相当強い大衆的な要請がございました。さらに副総理にも要請がされたはずであります。こういうように一体となって国の奉仕者としていかなければならない者の中に、上級の者と下で働く者との間において対立が激化するような状況は、やはり上の人のやり方が悪い結果ではなかろうかと思うのでありますが、そういう点について副総理はどういう考えを持っているのか、一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/2
-
003・益谷秀次
○益谷国務大臣 御質問にお答えする前に、私は今回まことに不適任とは思いましたが、給与担当の国務大臣を拝命いたしたのでございます。引き受けました以上は、この職責の重大さにかんがみて極力努力いたしたいと存じます。皆さんの御鞭撻、御指導をお願い申し上げます。(拍手)
私は公務員担当の国務大臣としては、公務員の福祉増進と申しまするか、生活水準の引き上げに努力するということが根本の義務だろうと思います。ただ今日は御承知の通り公務員給与の引き上げについては、人事院が公正な、そして妥当な勧告をいたすという建前になっております。それを政府が国会に審議をせられて法律といたす建前になっておりますので、今にわかに人事院の勧告以外に政府がみずから進んで給与の引き上げをいたすというようなことは、遺憾ながら今日の建前からできないのであります。従って私どもといたしましては、人事院の勧告をすなおに認めて尊重して参る建前を堅持いたして参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/3
-
004・淺沼稻次郎
○淺沼委員 そこで、それならば公務員の給与を決定するものはだれかということをお伺いしたいのであります。今副総理の話を伺っておりますと、人事院の勧告があれば行なう、それは昇給については確かにそういうように、いわば一般の賃金とこれと比較した場合において勧告があるということはあり得ると思うのでありますが、公務員として、国の行政機関あるいは地方行政機関のもとで働いておりまするところの給与を基本的に決定するのはだれであるかということになりますならば、私はそれは政府自体ではなかろうかと思うのであります。人事院の任務ではなかろうと思うのでありますが、そういう点についてはどういうお考えを持っているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/4
-
005・益谷秀次
○益谷国務大臣 人事院は給与の勧告権限を持っておりますが、むろん予算編成の権限はございません。従って人事院の勧告を国会並びに政府が受けるのでありますから、それを国会において最終的には法律として給与の決定をいたす建前になっておることは御承知の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/5
-
006・淺沼稻次郎
○淺沼委員 それは昇給その他の場合においてはそういうことはあり得る、あるいはボーナスをきめるときなんかはそういうことがあるかもしれませんけれども、賃金そのものをきめるのは一体どこでしょうか、それは政府でないかと思うのであります。すなわち予算単価をきめて、それが賃金の単価となって予算に組まれてくるわけでありまするから、自然私は賃金というものは、政府において予算単価を決定するときにきまってくるのではなかろうかと思うのであります。従ってその点については政府自体が賃金を決定するということになろうと思うのですが、その点はどうでしょうか。またそれは副総理並びに大蔵大臣からお聞きしてもけっこうだと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/6
-
007・益谷秀次
○益谷国務大臣 昇給その他は関係の省庁がやるものと思っております。一般給与ベースの問題は、今日の建前では人事院が専門的な立場からいろいろの資料によって勧告をいたすのであります。その勧告を、従来までの建前から申しますると、政府が法律案として国会の審議をお願いいたしておるのであります。従って給与べースの引き上げその他については、人事院の資料を政府においても十分に検討いたしまして、適正妥当なものと考えますると、予算を組んで国会の承認を求むる建前になっておるのであります。むろん昇給その他については所属の省庁がきめるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/7
-
008・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 ただいま副総理から給与担当大臣としてのお答えがございましたから、私申し上げるまでもないことだと思うのですが、人事院はいわゆる給与について勧告権を持っております。しかし人事院自身は予算編成権を持っておらないし、また実施の衝に当たる機構でない、これはもう御承知の通りであります。ところで政府は予算を作成し、国会で定めてある俸給表に従って給与をきめて参るわけであります。その意味では政府自身は原案作成ということはございますが、最終的には国会御自身できめるべきである、ここは非常にはっきりしておる、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/8
-
009・淺沼稻次郎
○淺沼委員 そこで問題になりますが、原案決定が政府にあるということになれば、決定権は政府が持っておるということになるのが必然だ、私はこう思います。勧告のあることはこれは事実でありまして、勧告を受けて最終的に決定をして原案として議会に出して参りますのは政府だということになろうと思うのであります。そうなって参りますと問題になるのは、私どもは、最終的に政府として決定するなら、給与を受くべきところの人たちは一つの職員団体を作っておるのでありますから、それとの間に何ら交渉なくして政府だけがきめる、ここにはやはり問題があるのではなかろうかと思うのであります。担当大臣となられた副総理は、今後この職員団体との間に話し合いをやっていく、そしてこの問題を円満に処理する、いわば一つの団体交渉的なことをやる、こういうようなことはお考えになっておるのでしょうか。それとも今のような状態を続けて参るつもりでありますか。これを聞きたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/9
-
010・益谷秀次
○益谷国務大臣 先般もいろいろな組合関係の人に会っております。私はこれから先の給与を決定するのに、私には勧告権も何もないものでありますから幾らか参考にするために、すなわち政府の予算編成の態度を決定する際の、人事院勧告に基づく給与を決定する際の参考のために、喜んで会うことを申しております。しかしただいま淺沼さんの言われたような、いわゆる世にいう団体交渉と申しますか、団交と申しておりますそういうのは、今日の場合、一般公務員は全体に奉仕する建前から、一般企業者の場合と相当考え方が違うものではないかと思います。従っていわゆる団体交渉によって賃金を決定するというような考えは持っておりません。また今日の建前として、さようにはなっていないと存じておるのであります。努めて話を聞くということにはやぶさかでございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/10
-
011・淺沼稻次郎
○淺沼委員 今副総理の態度で大体了解ができましたが、今まではなかなか官房長官にお会いをして話をしようとしても、職員団体の方々はお会いできなかったり、会っても話が十分できなかった。ただある意味から申し上げまするならば、一つの要請を申し上げますと、それを見ておく程度で、あとは何らのこともなかったのであります。しかし今副総理の話を伺いまして、会いもする、また自分が予算編成をする場合における大きな意見として出すための参考資料にしたい、そういうようなことでお会い下さるということを聞いて、私どもは非常に意を強うするものでございますが、どうか今後とも、問題はあなたの下部で働いておる方々の要請ですから、その要請というものは聞いて、そうして上部と下部が一体になって国民に対する奉仕ということになるのが、行政府のとるべき態度であろうと思うのでありまして、今新たに確立せんとする一つの慣例を今後とも続けていただきたいと私は思うのであります。
そこで次にお聞きをしたいと思いますることは、人事院から勧告がありましたものを実施する時期が不明であります。今までは案外不明でありまして、ある意味から申し上げますと、政府の答弁では、勧告並びに仲裁裁定といったようなものは、これはのむようなことを声明をしておりますけれども、実際にやられる場合においてはどうであるかというと、案外一年くらいおくれてくるのではなかろうかと思うのであります。一年おくれてやるとなると、結果においては従業員の受ける打撃というものは相当強いものでありまして、そうなって参りますと、ここで私は伺いたいのは、人事院の勧告でありますが、人事院の勧告は、今は予算が編成された後に行なわれるということになっておるようであります。従いまして、それが行なわれていけば、一年おくれる危険性があるのでありますが、今後予算編成をするにあたりましては、人事院の勧告というものは予算編成前に行なわれる、そして勧告の行なわれたものをどう取り入れるかということをきめて、それを予算の中に組み入れていく、こういう方式をとることが一番正しいと思うのでありますが、これについては副総理はどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/11
-
012・益谷秀次
○益谷国務大臣 人事院の勧告の時期はいろいろの問題があるようでありますが、これは人事院の権限でございまして、政府から何月までに出せ、何月が適当だろうというようなことは、現在の制度では言うことができないのです。しかしかみしもをつけないで、話し合いでもう少し早く出したらどうでございましょうとか、もう少しおくれて出したらどうでございましょうくらいは言えると思うのです。しかしながら現在の人事院の建前から、公式のこういう責任のある委員会では、私は権限を無視するというような考えは毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/12
-
013・淺沼稻次郎
○淺沼委員 私は何も考えを無視しろということではありませんし、一つの慣行なりあるいは条例があるものを無視しようというのではありません。しかしながら行政の立場に立っておって、それに資料を提供するものが、いつやったらいいかということは、行政する側で考えられてしかるべきではなかろうかと思うのであります。従いまして将来はこうしろということが行なわれてしかるべきだと思うのでありますが、この点については、ちょうど人事院総裁もお見えになりましたからお伺いしますが、私の方の考えを今申し上げておったのであります。予算を編成する前に人事院の勧告がなされた方が、予算編成をする当事者からいえば、問題を残さないで、そうして予算がある。予算編成が過ぎてからやると補正予算を組まなければならぬ。わが社会党といたしましても、今度の予算で賃金問題を触れようと思ったのですけれども、まだきまってこないものですから、自然きまった後に補正予算ということを言っているわけです。これはやはり大蔵当局でも、予算が済んだあと勧告が出るということは必ずしも適当ではないと考えておると思うのでありますが、人事院総裁はこの点についてはどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/13
-
014・淺井清
○淺井政府委員 お言葉ではございますけれども、人事院は予算編成前に勧告を現にやっておるのでございます。つまり予算編成期を一月と見まして、七月に勧告をやっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/14
-
015・淺沼稻次郎
○淺沼委員 中間的なものはあるかもしれませんけれども、われわれが今まで発表を見ておるところによりますれば、大体勧告というものは予算が済んで、そして労働組合の要求が強く現われて、そのあとに答案みたいな形において出されておるのが普通に考えられておるのであります。しかし前にやっておるということでありますならば、それが実際に示されるように——このように前にやっておるのだ、組まないのは政府が悪いのだ、こういう、今のようなことが具体的に現われるような形をとってもらいたい、私はこう考えております。
その次にお伺いをしてみたいと思いますことは、これは人事院に関連することになるだろうと思いますが、今給与の賃上げ問題については、たしか六年間ばかり勧告は発せられておらないわけです。また私どもの手に届いたところによりますと、民間の給与と官公庁で働く人たちの給与との差額がずいぶん出て参りまして、最近は平均のものについてはたしか一万円内外の差があるのではなかろうか、こういうようなことがいわれているのでありますが、その点についてはどういうようなお考えを持っているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/15
-
016・淺井清
○淺井政府委員 どういう形において勧告をいたしておったかと申しますれば、私の記憶では、過去において十二回の人事院勧告がなされておると思っております。そのうち、第一回から第六回までは、いわゆる一律ベース・アップの勧告をいたしておるように思います。それからそのほかに一律に号俸を調整いたしますので、これも一律ベース・アップの一種だと存じます。それから全然勧告をいたさずに報告にとどめたことはただ一回でございます。その他は、あるいは初任給による一部のべース・アップ、あるいは中だるみ是正によるべース・アップをいたしておる次第であります。べース・アップと申しますのは総平均でございますから、どこを上げましてもべースは上昇するのであります。ただお尋ねの趣旨は、なぜ一律にベース・アップをしないかということでございますれば、過去におきましては、お尋ねの意味のベース・アップの勧告もいたしておりますが、最近はいたしてないということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/16
-
017・淺沼稻次郎
○淺沼委員 そこでお伺いをいたしますが、われわれの調査によりますと、公務員で、新制高等学校卒業で試験を受けて入った者は七千四十円、大学を出た者が一万六百八十円、こうなっておるのです。しかし民間主要企業主として大産業を中心としたところで考えれば、新制高等学校卒業の者は一万円から一万二千円、さらに大学卒業後の者は一万四千円から一万八千円、こういうようなことになっておるわけです。そういうような差額が出ておるということは、人事院ではよく承知の上に勧告がなされておるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/17
-
018・淺井清
○淺井政府委員 お答えを申し上げます。人事院といたしましては、毎年一回民間の給与を調べまして、それに均衡を保って上げて参ったのでございます。しかしながら御指摘のように、ただいまなお官民の格差があるということは決して否定いたしません。将来この点は改善いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/18
-
019・淺沼稻次郎
○淺沼委員 そこでお伺いしますが、主として官公庁で働いておる各位と、今人事院で答弁になりました点は、ある意味からいうと、民間の中小企業を中心とした賃金べースというものと比較する点が多いのではなかろうかと思うのです。今の大産業を中心としたものと比較して公務員のことはやってしかるべきではなかろうかと思うのでありまして、そういう点もよくお考えの上に、今差額があるということを承認されたわけでありますから、その承認されたことはどうやって是正するかということを、一段と努力を願わなければならぬと思うのであります。その努力を具体的にはどうされるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/19
-
020・淺井清
○淺井政府委員 大企業だけと比較するということでございますが、私どもといたしましては、公務員の給与がやはり一般国民の納税によってまかなわれている関係上、大企業ばかりと比較することはいかがかと思います。そこで人事院といたしましては、五十人以上の事業場と比較しておりますが、これは決して五十人以上の企業として比較しておるわけではありません。そこで全国的規模を持っておりまする大会社の支店、工場等があれば、それが五十人以上であればそれも入るわけでございますから、少なくとも小さなものばかりとは比較していないのでございます。しかしながら結論といたしまして、淺沼さんの御指摘になりましたように、なお官民の差があるということは、私ども決して否定いたさないのでございます。ことに最近は民間の方も景気がいいわけでございますから、これがどのように現われてくるかは、最近にまた人事院といたしましては全国的な調査をいたし、その結果十分公務員のために改善をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/20
-
021・淺沼稻次郎
○淺沼委員 表現の点が足らなかったかもしれませんが、何も私は大産業並みにしろと言ったのではありませんで、これは人事院総裁が答弁になりました通りに、国民全体の上に立って賃金をきめるわけでありますから、中小企業の各位も参考に入れるということも当然だと思うのであります。しかし一つの対比上に乗って現われてみたところによりますと、その点は中小企業並みの方に相当その比重が出ておるということを申し上げておるのでありますから、この点は大産業の方がどうなっておるかということもうんと考慮に入れなければならぬと思うのであります。
そこで最近いろいろ私どもが伺う話によりますと、大学を出て就職する側の中に、官公庁で働こうと思っても給与ベースが低いからということでやめて、そうして民間の方で働くという多くの人があるということがいわれておりますが、そういうような事実があろうと思うのでありまして、こういう問題については、副総理は一体どういうようなお考えを持っておられるか。優秀な者が、国家の機構の中で働くよりも、民間に出て働く傾向が強い、こういうような点については、どういうようなお考えを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/21
-
022・益谷秀次
○益谷国務大臣 ただいま淺沼さんの言われたような傾向もあるようであります。まことに憂慮いたしております。しかしながらまた省庁の関係で、ずいぶん優秀な青年が入ってくるのもまた事実であります。そうしてそれを受け入れるほどの、その志願者を全部受け入れるというようなこともできない。狭い門と申しますか、そういう方面もあります。ありますが、また一面、ただいまの御質疑のように、給料が安いとか、あるいは昔のような階級制度と申しまするか、階級的な関係も影響するものと思いますが、そういう点がないので、官庁の方へ志願者も少ない。特に技術家の方にそういう傾向があるというふうなことを承知いたしております。まことに遺憾なことと思います。なるべく優秀な青年を国家機関に吸収するというようなことは必要だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/22
-
023・淺沼稻次郎
○淺沼委員 そこで割ってお伺いをいたしますが、国家公務員となって、すべての国民に対する奉仕者であるということになれば、その奉仕者になるような人がうんと国から出てくるというのは、私は当然ではなかろうかと思うのです。それよりも利益を追求する側において働くという人も、これはその人の自由だからあり得るけれども、国の建前からいけば、やはり国の機関に携わって、国民全体の奉仕者として働らきたいという感じが、若い者の中に現われてしかるべきだと思うのです。またその条件を作り出すことが、私は政府のとるべき態度ではなかろうかと思うのです。そういうことで一番具体的になるのは、やはり賃金ベースの問題になろうかと思うのでありますが、そういう点で、よりよき若い者を国家の奉仕者として獲得するということについて、今私の申し上げたようなことについては、どういうお考えを持っておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/23
-
024・益谷秀次
○益谷国務大臣 給与の点もむろん問題であります。給与の点も問題でありますが、私どもの若いころと違いまして、勲章ももらわれないとか、あるいは昔は御承知の通り、奏任官、勅任官、親任官というようなものがあったのです。一つのやはり青年に対する魅力であった。それが全部なくなったという関係もありますから、公務員の関係についてはいろいろ考究すべき問題があろうと思います。むろんそのうちに最も重要な点は、給与の関係だろうと思います。先ほど人事院総裁も格差を認めておられます。われわれはどこまでも給与の公正な取り扱いをいたさなければならぬので、人事院の勧告を待って、忠実にそれを実行して参るという以外に、今日は給与の関係についてこれ以上申し上げることのできないのを遺憾と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/24
-
025・淺沼稻次郎
○淺沼委員 そこでもう一点お聞きしたいと思いますることは、給与改正案、今出ておりますところによりますと、今後暫定手当の整理については、人事院における調査研究の結果を待って処理するということであります。これはさきに本院において、勤務地手当を廃止して暫定手当を創設した経緯にかんがみて、決して妥当な措置とは思いません。政府は直ちに自後の処理、少なくともさしあたり今一段階の底上げというか、本給繰り入れ等の処置を講ずべきものと思うのでありますが、この点については具体的に一つ答弁を願いたいと思うのであります。特にこのことは、依然として同じ町村に勤務しているにもかかわらず、支給される暫定額は、人によって異なるという不合理を一日も早く解消するためにも、絶対に必要だと思うのであります。この点についての御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/25
-
026・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 暫定給与、いわゆる地域給、この整理、これは御指摘の通り順次実施して参らなければならぬと思います。昨年三十四年に一部を実施いたしました。これは衆議院における附帯決議を忠実に実行したつもりであります。また参議院におきましては、一般的なその他の部分の地域給も漸次これを整理すること——整理すると申しますか、本俸に組み入れることという附帯決議が出ております。ところでこの地域給の整理になって参りますと、ただいま同一市町村というふうに非常に簡単に表現しておられますが、最近の市町村の合併状況から見ますと、この行政区域だけで簡単にもいきかねるような面があるように実は見受けます。そういう意味で、基本的な問題としては、人事院において十分この点についての御調査を願い、人事院の御意見をまとめていただいて、しかる上で政府は、これを財源とにらみ合わせて順次実施に移す、実はこういう考え方であります。三十四年に一部実施いたしましたのは、一級地と無給地の関係、これの調整ができたわけでございます。しかして残りの部分につきましても、相当開きが大きいのでありますから、これをいかに具体的に調整していくか、技術的な問題はなお残っておると思います。全然取り上げないわけではございませんが、ただいま申し上げますようにまだ結論を得ておらない、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/26
-
027・淺沼稻次郎
○淺沼委員 それでは全体をまとめてもう一点質問を申し上げてやめたいと思います。人事院の勧告の問題でありますが、先ほど答弁もありましたけれども、必ずしも私どもにとっては完全なものではないと思うのであります。人事院ができて、一応はこれを廃止するということが起きた場合におきましても、私どもはその人事院の持っておりまする任務を全うしてもらいたい、そういう意味合いにおいて、少なくとも社会党は努力をいたしまして、人事院を存置することに私どもはやったわけであります。しかし現在のような人事院の勧告等を聞いておりますと、必ずしも私は十分ではないと思うのであります。それで担当大臣にお伺いしたいのでありますが、いっそのこと人事院を廃止されて、そうして今度は働く者との間において話し合いをつけて、そこでべースをきめていく、こういうような形をとった方が私は妥当ではなかろうかと思うのでありますが、これについて担当大臣はどう考えているか、答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/27
-
028・益谷秀次
○益谷国務大臣 公務員については人事院制度をこのまま存続していくのが至当であろうと考えます。団交の問題は、申すまでもなく公務員は全般に奉仕するので、その給与は国民の税金によってまかなわれるものであります。従って国会に法律案を提出して、そうしてそれを国会において可決して法律化するということは、すなわち国民全部の納得を得るゆえんだろうと思っております。従って先ほど申しました通り、今日はいわゆる団交のような考えを持っていません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/28
-
029・淺沼稻次郎
○淺沼委員 人事院の廃止問題が起きたのは、これはまあある意味においてはあなたの前の内閣のときでありまして、あなたの所属しておりまする政党との話し合いもついて、そうなったことだと思うのであります。しかし今あなたが副総理になられ、担当の地位に立ったら、人事院の存在が必要である、こういうことを言われたのでありまして、これは私どもも必要であるから存置すべきである。この点については参議院においてずいぶん研究したのでありますが、案外残されることになったので、それならばやはり人事院がその任務を全うするということにならなければならぬと思うのであります。先ほど総裁は、人事院では大いにやるのだ、こう言われておりましたが、また今度の勧告に基づいて一つの法案も出ておるようでありまするけれども、しかしながら今後人事院というものは、賃金ベース決定にあたっては、私が申し上げました通りに、予算の編成される前に、少なくとも私は国民がわかるように、なおかつ働いている人たちもわかるようにやるということが必要だと思うのであります。今やっておられるという答弁であったのだけれども、もっと明白にしなければならぬと思うのでありますが、この点についてどういう考えを持っているか、もう一ぺんただしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/29
-
030・淺井清
○淺井政府委員 従来予算編成期を八月と考えまして、七月に勧告をいたしております。そのためにはどうしても三月中に民間給与の調査が必要でございます。しかるところ、社会党の方面におかれましても、また組合の方におきましても、どうも三月でとるのは、低いところをわざととっておるのではないかという御疑念もあるようでございます。しからばこれをもっとあとの、四月以降でとらなければならない、しからば八月の予算編成期よりもおくれるという結果になるのはやむを得ぬことだろうと私は思うのでありますが、しかしそういう技術的な問題は別といたしまして、御趣旨をよく尊重いたしまして努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/30
-
031・淺沼稻次郎
○淺沼委員 もう一ぺん念を押しますが、民間給与と公務員給与との差額のあることはあなたは認めて、今後はこの差額を調整するような努力をするということは答弁できるわけですわ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/31
-
032・淺井清
○淺井政府委員 御説の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/32
-
033・淺沼稻次郎
○淺沼委員 そこで私どもが聞かんとすることは大体お聞きしたわけでありまするが、これは給与には関連はございませんが、公務員に一つの関連を持っておる問題であります。きのうも私は岐阜県へ参りまして、教員の専従問題がだいぶやかましくなっておるのでありまして、知事との話し合いをやって参ったのでありますが、専従問題と関連して、ILOの条約批准という問題が出てこようと思うのであります。従いましてこれは必然的にILOの条約批准が行なわれることになると思うのでありまして、その場合においては条約の精神に基づいて、日本の国内法もやっていかなければならぬことになると思うのであります。そこでこういう問題について、もし給与の関係でもありますれば、行政担当の大臣としてどういうお考えを持つか、答弁がいただければけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/33
-
034・益谷秀次
○益谷国務大臣 私は公務員全般の担当だそうであります。しかしこのILOの関係はひとり公務員関係ばかりではない。労働大臣が中心となってやっております。専従職員の問題は今検討いたしております。次官会議も連日開いて相談をいたしておりますので、近く結論が出ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/34
-
035・淺沼稻次郎
○淺沼委員 これは労働大臣が主にやっていることも私は了承いたしますけれども、その公務員の下部の組織を扱う、給与の問題で扱う——給与の問題に関連してきますれば、職員の作っておる職員組合との関連性というものも考えられてこなければならぬと思うのです。その処理いかんによってはうまく一緒にやれるということになるし、処理が悪ければ対立が激化することになるだろうと思いますので、これは担当だそうでということでなくて、確かにそういうことかもしれませんけれども、一つこの点をよくお考えの上、場合によっては賃金問題と関連性のもとに、他の部局に対して働きかけを願う。そうしてすべて担当の二番目を、行政官として第二番目の公務員をやっておられる方としては、少し下部との間をうまくやるようにお骨折りをお願いしたいと思います。それで私の質問を打ち切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/35
-
036・益谷秀次
○益谷国務大臣 御趣旨はよく了承いたしましたが、ILO八十七号と賃金の問題とはさしたる関係がないと承っております。団結権はむろんあるのでありますが、給与の問題とは私は直接関係はないように承っております。しかしながらやはり担当いたしております以上は、公務員諸君の利益になるように努力いたしたいということだけを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/36
-
037・福田一
○福田委員長 石山權作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/37
-
038・石山權作
○石山委員 大綱は私の党の書記長から質問があったのですが、その大綱の一つとして、副総理がせっかくおいでになっておりますから、給与担当大臣としての心がまえを一つお聞きしたいと思います。
私の党の淺沼書記長からは、ILOの批准もやがてなることでしょうから、公務員の給与問題に関しましては、普通のような雇用者と労働者という関係で話し合いをさせて給与をきめたらどうだ、こういうふうに言ったわけですが、現実の法律としてはそれができていないわけです。ここで問題になるのは、先ほども申し上げたように、人事院総裁からも過去十二回勧告があった。その中の六回は普通のいわゆる一律べース・アップであった。あとの六回は部分的な問題を解決する場合が多かった。公務員の方々の言うには、この六年間いわゆるベース勧告がなされないということを言っておるわけなんです。ここに人事院の勧告に対してまず公務員の方々は不満を持っておったということが一つ、しかし片方では御承知のように三公社五現業がありまして、これはそれぞれお話し合いをしておるわけなんです。それからたとえば電電公社のような実際仕事をして非常に優秀ないわゆる収益を上げているような団体、それから林野庁でもそういうことが言えると思う。事業をやって非常に優秀な業績を残しておる。そうしますと理の当然でしょう。実力がありますから、話し合いの過程で給与が少しふくらんできておるわけです。今見てみますと、公務員と三公社五現業の中には賃金の不均衡ができました。副総理は給与大臣として広い意味からこの賃金の不均衡をどういう格好にすれば、おのおのみんな気持をよくして平均化することができるかということをわれわれは考えておるのですが、この場合それをどういうふうに御承知していただけるかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/38
-
039・益谷秀次
○益谷国務大臣 御質問の御趣旨は、三公社五現業のお話もありましたが、五現業と公務員に賃金に格差があるということをおっしゃるのですが、公務員とは制度が違うのですから、やむを得ぬ場合もあるのではないかと思います。一般公務員については人事院が十分に専門的に調査した資料によって、それを基礎として賃金べースをきめるのであります。しかし五現業についてはいわゆる団交を許されて、仲裁の決定による場合が多いのでありますから、幾らか格差のあるのはいたし方ないと思います。しかしやはり広い意味の公務員でありますから、格差のないように努力していくべきが私どもの立場としては当然だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/39
-
040・石山權作
○石山委員 あまりこまかいことを大臣にお聞きしても無理だと思いますけれども、大ざっぱな今のような解決方策というものは、やはり大臣から探してもらわなければならぬと思います。つまり団交権のある話し合うことのできる団体は、優位な給与体系を作っておるわけなんです。それから公務員の方は人事院の勧告があって、その勧告によって身分が守られる、給与が守られていると言っていますが、現実はそうではないわけです。差がついてしまう。これは今大臣が言われたように、団体交渉権のあるものといわゆる機構、組織の形態が違うからと言えばそれまでかもしれません。しかし国家全般から公務員として見た場合に、あまりはなはだしく均衡が欠けたとすればこれは考えざるを得ないわけです。特に淺井総裁は先ほど私の党の淺沼書記長の質問に対して、民間とはだいぶ隔たりがあるということを言われておりますね。民間と隔たりがあり、三公社五現業との隔たりがあるとすれば、どうも公務員は人事院というお役所があるために、なおさら何か不利益をこうむっているような印象を組合員が受けているわけなんです。働く人が受けているわけです。事実その通りなケースが出てきているようでございます。これをやはり直していただくようにしてもらいたいのですが、その直してもらう処置を担当大臣がお考えになっているかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/40
-
041・益谷秀次
○益谷国務大臣 五現業のいわゆる団体交渉によって賃金をきめるという建前をとったその根本的な理由は、民間の企業とやや似ておるので、一般公務員は全体に奉仕するので利潤を上げるとか上げないとかいうような関係がございませんので、人事院の公正な中立的の立場によっての調査研究を基礎として参るという建前になっておるのであります。従ってただいま人事院総裁の言われた通り、今度御審議を願っておる四月一日からの中だるみの法律が通過いたしますと、昨年の三月当時におけるいわゆる民間との格差がほとんどなくなるのではないか。従って問題は、昨年の三月以後昨年の統計に現われている十二月までの格差であります。これを人事院は、ただいま総裁の言われた通りそれを承認しておるから、勧告を出すつもりであるとおっしゃっております。この格差の比率も大よそ承知いたしておりまするから、おそらくは適正な勧告が出るものと私は思います。そういたしますると、民間との格差がなくなります。従って五現業の格差も、ありましてもごく僅少な範囲に縮められるものと思っております。そういうようにして是正する以外には、今の制度ではいかんともいたし方ないと思います。しかし給与担当の私としては、ひとしく国家に奉仕するのでありますから、格差のないように努めて参りたいという念願は持っておりますことを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/41
-
042・石山權作
○石山委員 私は、大臣、悪平等にせよとは申し上げない。悪平等にすれば三公社五現業のおのおの持っている特色性というものは失われると思う。しかし私の方で不均衡だということは、公務員の取り前がはなはだ少ないものだから、上を取っているものをちょっと見ると、ひがんでおれの方もそこまで上げてくれということだと思うのです。決してこれは官公の人全般、公務員が悪平等を要求しているのではない。この点は誤解のないようにしていただきたいと思う。たとえば三公社五現業の問題を押えておいて、そこを政府の圧力で押えておいて、そうして公務員のけつだけ追いつかせるというふうな調整の仕方では、それはいかぬと思う。三公社五現業は五現業としての事業団体としての能力を十分に発揮していただきたいと思うのです。しかしそれに追いついてこっちの差も、国家公務員としての襟度を保つだけの給与をやるような仕組みにしていただかないと、これはちょっと誤解を招くと思います。私はそういうふうに申し上げているわけでございます。それからいつも問題になることは、国の公務員だから国全般の財政措置等に犠牲を要求されるわけなんですね。これは私はまずある意味ではその通りだと思う。これは淺井人事院総裁なんかしょっちゅう言っている。税金によってやられているから、まあがまんしなければならない面があるというふうなことを言っていますが、ここに外国の一つの資料がございますが、これは英国の給与問題のうちの鉄道従業員に対してのマクミラン英首相の考え方が報告されております。ここにこういうことを言っております。国鉄従業員は公正な賃金を受ける権利があり、政府は理由のある賃金を認めるというふうに言っております。その次に私申し上げたい点は、いわゆる財政負担にはなる。国としては、公務員の賃金を上げれば財政負担にはなる。しかしこういうことは国民も政府も従業員も、三者が犠牲の負担という形で給与問題をきめなければならぬと言っているのです。これはうちでは政府の犠牲などと一つも言わない。国民の負担という言葉も一つも使わない。ただ税金によって云々というような言葉で、おおむね公務員あるいは従業員に対しての犠牲のみを強調しているのですね。ですからこの考え方は、今後給与担当大臣としてやはり三者がおのおのの立場でそれぞれ、政府は政府の財政措置の負担という立場で犠牲を少し受ける、従業員は従業員の立場、また国民は国民で税金を出すという立場もあるけれども、これもまたある種の負担を認めるという形で、公務員の給与は決定さるべきだというふうに言っているのです。これは最近の一番新しい報告です。ですから、これは十分に参考にしていただいて、先ほど私が大臣に要望したいわゆる不均衡をなくするための一つの心がまえにしていただきたいと思います。もし御答弁がありましたら一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/42
-
043・益谷秀次
○益谷国務大臣 ただいま承りまして、よく御趣旨は了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/43
-
044・石山權作
○石山委員 淺井さんにお聞きします。きょう福田さんが来ると福田長官にほんとうはお聞きしたいのだけれども、淺井さんにまず、勧告の基礎の問題で少なからず異論があるわけですね。つまりあなたの方としては、いわゆる五十人以上という一つの考え方、それから私の方としては、ということより組合側の考え方としては、それでは大体基礎のとり方がおかしいのではないかという考え方、もう一つお聞きしたいことは時期の問題ですが、私たちはたとえば時期は、今度の勧告の場合は三十五年の三月だというふうに考えておりません。これは私の考え方が違うとすればそれはお示し願いたい。私たちは三十三年の四月から三十四年の三月の一般的に見た動きを把握して、それを基礎にした三十四年の三月末日を基礎にしている。こういうふうに解釈しているのですが、人事院でおとりになっている数字は、三十四年の三月そのものずばりをさしているかどうかということを、まずお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/44
-
045・淺井清
○淺井政府委員 事業所五十人以上ということは、さいぜんも淺沼さんにお答え申し上げましたが、われわれとしてはそれでよろしいとただいま思っております。つまりこれは企業ではないのでございます。事業所でございます。全国的に調べるのでございますから、大会社の工場、支店等で五十人以上のものが各都道府県にあれば、それも入ってくる。おそらく半々に入っておるだろうと思う。つまり五十人しか従業員を持っていないものも入るでありましょうけれども、また全国的な大きな会社の支店、工場等も入っておりますから、私は五十人以上でとってよろしい、こう思っております。その次のお尋ねでございますが、これはただいま出しました、昨年やりました勧告では三十四年の三月じゅうの賃金、かようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/45
-
046・石山權作
○石山委員 そうすると私たちが危惧したように、三十四年三月、労働者にとっては一番下のまずい指数を目当てにしたということは、たまたま当たっておるということになるわけですね。そういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/46
-
047・淺井清
○淺井政府委員 そのまずいと仰せられるのはどういう意味であるか。さいぜん淺沼さんもお触れになりましたが、ことさら人事院が賃金の低いところでとっている、そういう意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/47
-
048・石山權作
○石山委員 その通り、私は三月の一番低いところをねらったというような印象でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/48
-
049・淺井清
○淺井政府委員 御説ごもっともでございますが、われわれは三月でとっておりますということは、さいぜん淺沼さんも仰せられたように、八月の予算編成に間に合わせるつもりでございまして、決してことさら安いところでとっているわけではございません。しかしながら人事院はことさら低いところでとっているという誤解もあるようでございますが、われわれとしてはそういう痛くない腹は探られたくないのであります。今年は何月でとりますか、ただいま研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/49
-
050・石山權作
○石山委員 何月をとるか研究中だ。私はあなたに助け船を出したつもりで、三十三年四月から三十四年三月までだろうというふうに申し上げたのですが、そういうふうな波の全般をつかんでみるという指数のとり方は大へん御苦労だと思うのですが、それをやるようなお考えは今までなかったし、これからもおやりになるというような気持はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/50
-
051・淺井清
○淺井政府委員 かつて一年間の動向で見たこともございます。しかしながらただいまの考え方といたしましては、三月なら三月の賃金をとりますと、その賃金というものはそれ以前の過去と決して無関係に存在するものではございませんから、おのずから動向はそこに現われてくるだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/51
-
052・石山權作
○石山委員 だから私は三月を問題にするのですよ。大体どこでも賃金は三月団体交渉をやって、実施は四月ということにほとんど慣行的になっているわけなんだね。そうすると、小さい普通上がり得るものも、その場合押えられているということは当然考えられるわけですね。ですから私は指数をとるとすれば、四月あるいは五月初旬の指数をとる方が、生きたものをとるということになるから、ほんとうを言えば、その年の傾向、少なくとも半年はそれによって規制をされる傾向の指数をとり得ると思うのです。三月をおとりになりますと、今の場合は経済というものはほとんど四半期で変わるわけでしょう。ですからあまり過去のことにこだわり過ぎていると思う。もし採用するとすれば、当然生きている四月の末あるいは五月半ばと言ってもいいのではないか。一年の動向をお調べにならないとすれば、七月勧告して八月国家予算に繰り込ますということは、私は操作上そう不自由じゃないと思うのですが、御見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/52
-
053・淺井清
○淺井政府委員 だんだん御指摘の通りでありますが、決してこの席上で三月にやると申していないのであります。どういうふうにやるか研究いたします、かように申しているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/53
-
054・石山權作
○石山委員 もう一つ、民間と公務員の賃金の多寡の問題、多いか少ないかの問題です。われわれがいつでも言っていることは、日本経済の二重構造という言葉をしょっちゅう使っているわけです。二重構造を使った場合の一つの流れとして、官公行政というものはどこら辺にいくだろうということだと思うのです。ただ漫然として国家の平均に立つ、こういうやり方はある意味では非常に正しいように見えて、せっかく有用に使い得る人を有用に使い得ないという場合が出てくるのではないか。給与の問題でいえばなまはんかだということです。人を使う場合でもなまはんかな使い方、上手に使えないという現象が生まれてくる。先ほど人事院総裁の方から答弁があったと思うのですが、最近特に民間の場合に争われる技術者の問題などは、公務員になろうとする人が少ないのじゃありませんか。これは明らかな現実だ。そうするとことしはいい、来年もいい、三年になってごらんなさい。人材の欠乏ということは明確になって現われてくると思う。今の日本の置かれた経済の二重構造という避けられない立場で、五十人というのはほんとうに大きく響いておる。これは労働月報を見ればおわかりだと思うが、五十人という立場になりますと、百人とは非常に問題が違うのじゃないか。それから通産省で言っておるような中小企業、そういう人数と資本の関係ということも一応考えながら、あなたの方はそういうふうに進めておるのだろうと思うのですが、五十人以上という慣行は破られないような鉄則ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/54
-
055・淺井清
○淺井政府委員 まず第一に、民間にいいものはとられて公務の方へいいものを採用することができない、そういう傾向は最近技術者の方によく現われておるように思います。そこで今回提出いたしました俸給表におきましても、研究職と医療職は特にこれを上げるということでだんだん改善していきたいと思います。ただ技術者が民間にとられますることは、私は給与の問題だけではないと思います。研究設備の違いにもあるように思っておりますが、それは別問題といたしまして、私の方の所管の問題といたしましては、これは将来漸次改善していきたいと思っております。
第二は五十人以上の問題でございますが、これはさいぜんから申しましたように、私どもといたしましては、何もさようなことは法律には書いてございませんが、その程度ではかるということが妥当であろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/55
-
056・石山權作
○石山委員 私は給与問題だけは政治用語ではいかぬと思う。妥当であるとか適当であるとかいう言葉ではいかぬと思う。妥当であれば妥当であるという計数が、きちんきちんと生きてこなければいかぬ。給与というのは言葉ではなくて、実質のマネーなんですからね。実際妥当と思うならば、妥当とするだけの計数の裏づけがきちんと備わっていて、だれが見てもなるほどなというようなところがなければいかぬ。たとえば民間との給与の対照そのもの、あるいは国家財政上から見たそのもの、いずれから見ましてもほんとうに妥当という裏づけがなければ、妥当という言葉はいかぬと思う。最近人事院の御答弁とか資料を見ましても、ほんとうにおおむね妥当に尽きておるような傾向が多いと思う。それは人事院としてはとってはいけない立場だと思う。それでは妥当ということの例証を一つあげていただきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/56
-
057・淺井清
○淺井政府委員 五十人が妥当かどうか。これは毎勤は三十人以上をとっておる。また百人を御主張になりますが、これはいかなる資料によって妥当であるか、これも問題になろうかと思っております。そこでいろいろそういう数字の点に問題がございますが、われわれは過去の経験から見まして、まず五十人以上の事業所——企業ではございません。事業所をとるのがよろしいかと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/57
-
058・石山權作
○石山委員 その問題はもっと掘り下げて御答弁をいただきたいと思います。しかしきょうは総裁であれば、そういうこまかい計数の話し合いはあるいはうまくないかもしれません。五十人以上という問題と、百人がかね合いかという問題は残しておきますが、いずれにしてもこういう意見もあるのですから、それらを中心にして一つ検討をお願いしたいと思うわけでございます。
それからいつも問題になっておるのは勧告の実施の問題ですが、何回も何回も例を重ねてきて、人事院としては何かここら辺で施行期日の明示というふうなことがだんだん迫られてきているのではないか。ある種の立場、そういうふうないわゆる毅然とした立場を示すような時期が近づいてきたのではないか。その方法論は私はいろいろあると思う。たとえば法文の解釈として今度の予算に必ず盛れとか、そういうのも一つの拘束の手段だと思う。あるいは期日をそのままずばっと出すのも一つのやり方だと思うのです。今までのように明け渡したような格好で政府に勧告するのではもういけないのではないかと思うのですが、そういう点はお考えになられたことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/58
-
059・淺井清
○淺井政府委員 従来なるべく早くという抽象的な言葉を用いましたのは、給与改善は予算を要する。予算は国会と内閣の権限である。従って人事院といたしましては人事院のあるべき立場を守って、なるべく早くという言葉にしたのでございます。ところがこれは実施時期が非常におくれているということは、御指摘の通りなんであります。団体交渉でやりまする方が勝負が早い。しかし幾ら公務員の給与が法律と予算に縛られているからと申しましても、一年もおくれることは非常に遺憾でございます。そこで将来この点をどうするかということは、御趣旨を尊重しまして研究いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/59
-
060・石山權作
○石山委員 福田長官にお伺いしますが、人事院が去年の三月末日に指数をとって、七月十六日に勧告したわけですが、これを四月ごろもう一ぺん勧告すれば違法でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/60
-
061・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 七月の十六日というのは慣行的な期日でありまして、別に四月にやっても違法ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/61
-
062・石山權作
○石山委員 そうすると、たとえばこの前私たちが盛んに言っている、勧告の実施時期の延長によるその間におけるいわゆる物価指数の上昇、その間における三公社五現業の団体交渉等による賃上げ、あるいは民間の賃上げ等、いろいろ情勢の変化が起きてくるわけです。そうした場合に、人事院が在来の機能を発揮して、公務員の身分、権利を守る、いわゆる給与関係もよくしてあげるという立場を守って、四月に勧告したら、政府はそれを受けるという建前をとりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/62
-
063・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 かりに、これは人事院がたとえば三月に調査した場合に、それをまとめるまでにどれだけ時間的な余裕があるか、これはまた別問題としまして、今御指摘の四月にやった場合にすぐやる腹があるかという御質問かと思いますが、これは前にもお答えいたしました通り、確かに勧告と実施のずれの問題は、これはほうっておけない問題ではないか。何かそこに一つの適当な道を見つけて解決せなければならぬと私自身も考えておりますし、この委員会でもお答えした通りです。ただそうすれば財政上の措置がすぐ関連がありますので、実はその点についてどうしたらいいか、いろいろ折衝をやり、また考慮中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/63
-
064・石山權作
○石山委員 これは人事院勧告でございますが、一昨年がいわゆる初任給、去年が中だるみ是正ですか、それで今回いろいろとやっているわけですが、そういう今度の是正で、一般にいわれているベースにどのくらい影響いたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/64
-
065・瀧本忠男
○瀧本政府委員 昨年の勧告が一人当たりべースのどのくらいの引き上げになるかというお話でございますが、今度の是正によりますと、大体におきまして三等級初号ぐらいの辺に相当いたしますところぐらいまで、下から、中だるみを中心といたしまして改善しておるわけでございます。従いましてそれ以上のところは俸給額が変えてないわけでございますが、しかし変えてないところの額も入れまして、全部の公務員の一般職の平均で申しますと、七百三円ぐらいの引き上げになると思います。これが昨年の勧告で、現在法律案として御審議を願っておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/65
-
066・石山權作
○石山委員 最近の民間給与の動きというものを御承知でしょうか。いわゆる為替の自由化によるところの賃金の安定ということがだいぶいわれてきているのです。そういう面から今経営者側から出されている案として、三千円をこえている個所があります。二千円をこえている個所もあります。それらと比べてみた印象からしても、これは大へん低いのではないか。というのは、もちろん前年度の三月を基準にしているからこういうふうになるのだろうと思うけれども、今度の勧告のうちで自慢のできる点を一つあげてみて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/66
-
067・淺井清
○淺井政府委員 自慢をするつもりはちっともないのです。われわれとしてこれで満足しておらぬのですから決して自慢いたしませんが、今回の勧告の中心は中だるみの是正でありまして、従来給与曲線がくぼんでおったところを直したのでございますが、それだけ改善をされた。しかしこれでもって改善が済んだとは決して思っていません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/67
-
068・石山權作
○石山委員 人事院総裁として、あなたは長く給与というものをおやりになっているからわかるでしょうが、一つの体系をいじる場合に、総体の給与の何%ぐらいが必要ということは、いつの場合もあるわけです。ですから当然中だるみ是正をするならば、これは七百円程度だから、これを中だるみ是正そのものに用いるならば、私はこれは生きている数字だと思う。しかしそのことによって全体の方向がとまるような格好では困るではありませんか。これはわれわれもいろいろな給与をいじってきておりますが、やはり全体の給与を動かすことは毎年必要なわけです。これは従業員の意識の向上、技術練磨ということからして当然必要なわけです。これは定期昇給は定期昇給でいいと思うのだが、しかし最近はそれでおさまらない。定期昇給がたとえば七%で千円だ、しかしそれでは物価が動くからうまくないというわけで、たとえばまたその分だけ三百円なら三百円足して千三百円、しかし今度は体系を少しいじらなければならぬのだ、つまり能力給にしたい、職階給にしたいのだという意識が経営者としてあるとする。そういう場合、どういうふうな面で出してくるかというと、民間の場合で申しますと、たとえば五百円なり七百円を出してくる。私が今申し上げた、わざに——わざにと言っては語弊があるけれども、今の民間の給与では大体二千円以上出してきている経営者が相当ある。そうすればこの七百円というものは、体系の是正に使う金としてはあまりに少額ではないでしょうか。十分ということを避けているようですが、それにしても見せかけ程度にすぎない金額ではないかと思うのですが、いかがでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/68
-
069・淺井清
○淺井政府委員 まず第一に石山さんが仰せられるところを考えますと、結局一律ベース・アップでなければ体系是正はできないのではないかという観点に立ってものを言っておられる。私どもはそうでないのでありまして、俸給表が動かないと仰せられまするけれども、中だるみの是正をやりましても、初任給を是正してある程度までこれをならしましても、俸給表は動くのでございます。決して全体が動かないということはない。ことに上級公務員は、過去において二年間何ら給与改定をやっておらないわけでございまするから、比較いたしますれば最も気の毒なのは、むしろ上級公務員のところにあるのだ。それで民間では三千円くらい出しているかということを仰せられまするけれども、民間の会社には利潤分配の観念がございます。われわれの扱っておりまする公務員は、利潤分配ということがはっきりいたしませんのでございます。ですからそれは一緒には必ずしも言えないのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/69
-
070・石山權作
○石山委員 総裁、あなた便利なときには民間の給与を持ってくるのですよ。私も民間の給与なんか出したくないのだけれども、あなたの方の基礎資料が民間なんですからね。そして何か言うと、私の方は公務員だから民間と一緒にされては困るというようなことをおっしゃっても、それはいけません。そういうことを言うことはやめましょう。それからあなたの考え方はよくわかったのだけれども、高級官吏に二年間何にもつけないこともぴんと頭に行っておる。だから三年目の今日は、高級官僚の方へも回してやらなければならぬ。その回してやらなければならぬというのが、今回の勧告の一つの私は基本をなしているのだと思う。そうではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/70
-
071・淺井清
○淺井政府委員 それは大へんなお考え違いでありまして、この次に勧告をやるときは高級官僚を上げる、そういうことは絶対に考えてないのです。ただ、今のは俸給表の問題にお触れになりましたから、そう言っただけの話であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/71
-
072・石山權作
○石山委員 私もその通りだと思う。給与をいじる者が、故意に高級官僚だけに目を向けるということはあり得ないと思う。全般を見てみたら、たまたま高級官僚の方が低かったから、そこにコンマをつけるような操作が少し強く行なわれた。頻度が多かった。こういう程度だと思うのです。ただ私の言いたいことは、そういうところに公務員の一般の人たちの目が光っておるというこの現実は、やはり全般が低いということからくる一つの批判の声だと思う。ほんとうの批判とすれば、それはいささか間違っているかもしれません。しかし現実の置かれた公務員の給与からすれば、そういうふうなところへ批判の目の形で向いていくということも、私は事実だろうと思う。そこで私は先ほどわざわざ例証を引いて、一つの体系をいじる場合にはいじる費用を別に出すべきだ、出すことによってそういうような非難は起きてこないのだと言った。原資が豊富であれば、そういう操作が当然民間で行なわれるわけなんです。官では、先ほども税金で云々という言葉で押えられてしまって。そういう操作が不可能だと言われた。しかし私はやはりやり方があると思うのです。この不平が起きてきた一つの要素としては、前々申し上げておるように、二年も先にずらされていくようなこの傾向、自分たちの賃金が上がったと思えば民間がずっと先行しておるというこの現象、これは自分たちの生活の実感から受ける一つの不愉快さもあるけれども、時代がぐんぐん動いていっておるのに対して、自分たちの立場がそれに順応した形で動いていけない不満が、この批判の中に非常にたくさんあるのじゃないかと思うのです。これはやはり先ほどの勧告期日等の明示、方法論にあると思うのですが、私はもう一つ、それから今の体系をいじるという場合にも、いわゆる体系をいじる費用というものを見込まないでいて、体系をいじったことが即ベース・アップに通ずるのだという考え方は、給与をいじる官庁としては私は少し思いやりがないし、考え方にも少し不足があるというふうに思うのですが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/72
-
073・淺井清
○淺井政府委員 それは観念上の問題だけでありまして、ベースは総平均でございますから、初任給の是正をしましても、中だるみを是正いたしましても、あるいは上の方だけいじりましても、総平均は上がってくるのであります。しかし問題は一律にべース・アップをするかどうかという問題でございまして、財源とか費用がどうなるか、これはわれわれ考えないのでございます。でございまするから石山さんの御不満は、一律べース・アップをしないというところに煮詰められてきているのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/73
-
074・石山權作
○石山委員 それはあなたが体系をいじるのに高級官僚ばかり目ざしていると言うことは誤解だと言うことと同じだと思うのです。私は何もかも一律に上げなければならないということを言っていない。ただしその昇給の全額を見た場合に、そういう言葉が当然出てくるわけですね。三千円という豊富な賃上げがあるとすれば、何も三千円一律なんてそんなことを申し上げませんよ。たとえば千円が一律であればいい。千円がいわゆる職階給に使ってもいいのだ、ある意味では中だるみ是正に使ってもいいのだ。これはいろいろ操作があると思うのです。つまり昇給金額が低いと、やはり下を少しでも上げていくことが、生活水準を高からしめる一つの要素だ、こういうふうな考え方からすれば、そういうことに通ずると思うのですが、これはちょうど大臣が私を誤解して言っているかもしれぬということと同じように、あなたも私の意図をはぐらかして——何でもかんでも一律に上げなければならぬというふうなことは私は考えておりません。きょうは政府側もいなくなりましたから、質問をこれでもうそろそろ打ち切りたいと思うのですが、この次に人事院から出てきていただいて、いろいろ暫定手当の問題について質問申し上げたいので、それを一つ御準備していただきたいということ、それから人事院、これは政府側と三者になると思うのですが、人事院の最近の動向についての私たちはやはり話し合いをして、それからあなたの方でもいろいろと言い分があるでございましょう。この言い分を十分聞いて一つの方向をきめるような工夫をこの次は、私はしなければならない一つの段階にきているのではないか。その次になれば今度は給与の全般のほんとうの中身へ入って、給与局長等にも一つ御答弁をいただいて是非をただしてみたい。それから大体の終止符を打つというふうに考えておりますので、そういうふうに御準備を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/74
-
075・福田一
○福田委員長 次会は明十六日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01619600315/75
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。