1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月十八日(金曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 福田 一君
理事 淺香 忠雄君 理事 岡崎 英城君
理事 高橋 禎一君 理事 高橋 等君
理事 前田 正男君 理事 石橋 政嗣君
理事 石山 權作君 理事 田万 廣文君
内海 安吉君 小金 義照君
辻 寛一君 富田 健治君
橋本 正之君 八田 貞義君
保科善四郎君 山口 好一君
中原 健次君 受田 新吉君
中村 時雄君
出席国務大臣
国 務 大 臣 益谷 秀次君
出席政府委員
総理府総務長官 福田 篤泰君
総理府総務副長
官 佐藤 朝生君
内閣審議官
(内閣総理大臣
官房審議室長) 大島 寛一君
行政管理政務次
官 新井 京太君
総理府事務官
(行政管理庁行
政監理局長) 山口 酉君
総理府事務官
(行政管理庁行
政監察局長) 原田 正君
総理府事務官
(経済企画庁調
整局長) 大堀 弘君
委員外の出席者
総理府事務官
(行政管理庁長
官官房秘書課
長) 片山 一郎君
外務事務官
(経済局経済協
力部経済協力課
長) 澤木 正男君
大蔵事務官
(為替局投資課
長) 奥村 輝之君
通商産業事務官
(通商局次長) 倉八 正君
専 門 員 安倍 三郎君
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三月十七日
委員中村時雄君辞任につき、その補欠として受
田新吉君が議長の指名で委員に選任された。
同月十八日
委員受田新吉君辞任につき、その補欠として中
村時雄君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
行政管理庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第七七号)
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第八三号)
運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一九号)
建設省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第九二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/0
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001・福田一
○福田委員長 これより会議を開きます。
運輸省設置法の一部を改正する法律案、行政管理庁設置法の一部を改正する法律案、総理府設置法の一部を改正する法律案及び建設省設置法の一部を改正する法律案の各案を一括議題とし、質疑を許します。前田正男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/1
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002・前田正男
○前田(正)委員 私はこの際、総理府設置法の一部を改正する法律案のうち、特に対外経済協力審議会の問題について、内閣の方針を明瞭に一つ総務長官からお答えを願いたいと思うのであります。
この審議会及び最近別にできております基金の問題等は、すでに政府の方でも、御承知の通り今後のわが国の施策といたしまして、非常に重要な問題でありまして、われわれ与党におきましても、特別委員会を作り、さらに委員長はわざわざ東南アジア方面にも視察に行かれまして、それらの意見をもとにいたしまして、党の正式機関を通じまして、強く政府に要望いたしまして、政府においても十分に御考慮願って、今回この基金及び審議会ができる運びになったものと考えております。ところが、まず審議会の問題について私はお聞きしたいと思うのでありますが、これは大体トップ・レベルをもって作り、議長は内閣総理大臣をもってやる、議員は国務大臣をもってやるというふうな問題になっておるのだと思うのでありますが、そういうふうなことでありますならば、本来は単独法でもって法律を出すべきものだと思うのでありますけれども、一応この際総理府設置法の一部を改正する法律案として審議会が設けられて、そうしてその中に「基本的かつ総合的な政策及び重要事項を調査審議する」というふうに、従来の審議会とは違って、内容は明瞭にトップ・レベルの人でやるにふさわしいような内容を書いてあるのでありますけれども、その組織の構想からまずお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/2
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003・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 組織の構想でありますが、これは十五名以内のメンバーを予定し、御指摘の通りトップ・レベルの方々にお願いしたいと考えております。また自由民主党におきましても、特にこの問題の重要性に着目されて、特別委員会を作られ、いろいろ審議を重ねられ、先般も政府側に対しまして構成についても御要望があったことも十分承知いたしております。政府としましては、特別委員会の御要望に対しては十分これを尊重いたしまして、この重要な任務遂行に効果が上がるよう万全を期する所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/3
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004・前田正男
○前田(正)委員 どうもお答えでは不十分ですが、まず議長はだれがなるか、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/4
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005・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 議長は総理大臣であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/5
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006・前田正男
○前田(正)委員 次に、議員の中には国務大臣が入ると思うのでありますが、どういう国務大臣がお入りになるか、それを一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/6
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007・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 委員の中の閣僚の問題でありますが、対外経済協力に最も関係の深い閣僚としては、今考えられるのは外務、大蔵、通産、経済企画庁、この四つの省の長官は当然入るのでありますが、それらのほかにも、これは特別委員会からも御要望のありました科学技術庁とか、あるいは農林、その他文部省側にも強い御要望がございます。建設省からも御要望がありますので、この点については十分各省との間の調整をとり、連絡をとって決定いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/7
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008・前田正男
○前田(正)委員 これは内閣の方でもお考え願いたいと思うのでありますけれども、ただいまの御答弁によりますと、私は内閣が非常に考え方を混合しておるのではないか、われわれ特別委員会の割り切った考え方を間違っておるように思うのであります。それは基金というものは実際に金を運用するのでありますから、今例をあげられましたような要望が出ておるような各省大臣、直接事務を担当される大臣が、この基金を運用するための仕事に関係するのでありますから、この基金の中には、名前は忘れましたけれども、各省の事務次官がこの基金を運用するように各省を代表して入っておられる。これにはなるべく実施官庁が入った方がいいのではないか。しかし基本的な政策を立案する方は、そういうふうな実施官庁が一々これに入っていくということは、内閣の運用というものが誤ってくるのではないかと思うのです。現在の内閣の組織というものは、私が説明しなくてもおわかりの通りでありますけれども、基本的に各省の持っております実質的な仕事に対しまして、調整する役を持った国務大臣というものがおるわけでございます。たとえば今御指摘のうちの外務、これは各省にわたるものでも外務に関するものはやられる。大蔵関係もすべて財政に関係するものは大蔵省でまとめてやる。経済企画庁もそうであります。科学技術庁も科学技術についてはすべて調整する権限を持っております。私はそういうふうな各省庁にわたるものに対して調整する権限のある者が代表して入れば、それでいいのじゃないかと思う。何も議員数というものは限定しないで、必要のあるときにはこれに関係大臣は出てきて意見を述べる。国務大臣でありますから、大臣が来て意見を述べてはいけないということではいけませんから、来て意見を述べる、私はこういうふうにやるのが当然ではないかと思うのであります。この点については私は特に総務長官によくお考え願いたいと思ったことは、これは私たちがずいぶんやかましくやってきましたが、科学技術会議というものが今内閣にあります。大体構成なんかは同じようなものです。議長はやはり総理大臣、関係各省の大臣が議員、それに学識経験者が入ったものができておるわけです。しかしその場合はやはり正規の国務大臣で入るべき人は、それに直接関係のある、しかも各省の調整ができる権限のある人が入るということにしてある。しかしその他の国務大臣は議員として資格がないかというとそうではない。やはり国務大臣は国務大臣として自分の主管の問題について、こういうトップ・レベルの会議をやる以上は出席して意見を述べなければいけないわけです。そこで科学技術会議の場合においても、正規の議員ではないですけれども、必要のあるときは、たとえば農林のことなら農林大臣が出てきて、ただ出席して意見を述べるということではなしに、臨時に議員として発言する、そういうふうに処置をしてあるはずなんであります。だから出席したときには正規の議員の国務大臣と、議員でなく農林大臣なら農林大臣として出てきた場合と、同じ議員としての権限を行使するというふうにしてあるのであります。私はそういうことがいいのではないかと思う。どの大臣が入っていいか悪いかということは言えないと思います。正規の議員というものはそういう各省にわたったものを調整する人が正規の議員であって、その他必要な、たとえばきょうは農林問題を審議するなら農林大臣が臨時に議員として出席して意見を述べる。運輸のことについてはやはり運輸大臣が議員として同じ権限で発言をする。こういうふうにこの会議を運営していった方が私はいいのではないかと思うのでありますが、そういう調整する権限のある人を正規の議員からはずすようなことでは、これまた話にならない。審議会というものの意味が違ってくるのではないか。先ほど申しました通り、審議会というものは内閣として基本的な事項をここに調査審議を命ぜられ、諮問に応じた答申をいろいろと参考にされて方針をきめていかれると思いますが、そういう基本的な問題の審議をさせるための審議会でありますから、各省にわたって調整する権限を持っておるような大臣は当然これに参加しなければ、この審議会の意味が成り立たないのではないかと思うのであります。それを実施する基金の場合に各省が入りたい、これは当然だと思う。実施する官庁が基金の中に参画していろいろ意見を述べるのは当然である。調整する権限のある官庁がわざわざ入っていく必要はないと思っております。だからこういう点はもう少し割り切って組織というものをお考え願いたいと思うのでありますが、一つ総務長官の御答弁をお順いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/8
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009・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 この構成は先ほど申した通り十五名以内ということで、いわば極力組織を簡素、強力化いたしたいというのが政府の根本方針であります。ただ問題は自分の管轄に属する事項あるいは関係の深い事項について、各省の長官が随時出席して意見を述べる、当然そういう道は開かるべきだと私も考えております。ただ科学技術会議と違ってこの対外経済協力の問題については、当然委員としての資格で参画するのでなくて、必要の問題について各省の長官として出席できるという建前でやりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/9
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010・前田正男
○前田(正)委員 そういう考えでおやりになっても意見は同じですから大して違わないと思いますが、しかしそういう考えでおやりになるならばよけいに、総合調整機関でありますところの経済企画庁、科学技術庁あるいは大蔵、外務、そういったところの所管は当然入れておかなければ、今のように臨時に意見を述べさすというのと違うわけですから、これは一つよくお考えを願いたいと思うのであります。
それから学識経験者がこの中に入ると思うのですが、何人ほどを考えておられるか、それをちょっとお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/10
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011・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 まだ委員となるべき各省大臣の数も確定いたしておりませんので、何人ということは、いわゆる民間の学識経験者の数を申し上げる時期ではございませんが、まず政府側の各省の国務大臣がきまった上で、ワクをきめたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/11
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012・前田正男
○前田(正)委員 明瞭な数字は何人といかなくても、十四、五人というふうに、総体の数を考えて、そのうちの二分の一程度であるのか、三分の一程度であるのか、その辺を一つ、数字はそれは今お話の通り、委員がきまってから多少変動があると思っておりますが、構想とされて学識経験者を何分の一程度入れられる考えであるか、それを一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/12
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013・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 なるべく多数民間からもトップ・レベルの方を委員にお願いしたいと思っておりますが、大体のワクという御質問でありますが、少なくとも三分の一は確保いたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/13
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014・前田正男
○前田(正)委員 そこで私は特に問題にしてお聞かせを願いたいと思いますことは、この審議会の審議する内容について、いろいろと具体的に考えておられると思うのでありますが、この法案によりますと、非常に抽象的に出ておるのでありますが、大体おもなものを一つ列挙して、ある程度具体的な内容をお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/14
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015・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 諮問事項といたしまして考えております点は、第一に対外経済協力に関する国際的動向に対処する基本的な方策、第二は対外経済協力に関する国際機関に対する基本方策、第三は地域別または国別の対外経済協力の基本方策、第四は対外経済協力と国内経済との調整に関する基本方策、これがおもなものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/15
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016・前田正男
○前田(正)委員 この目的も大体われわれの考えておるものに似たような御答弁であるので、私も大体いいと思うのでありますが、そこでこれを実際に運用するにあたりまして、この事務をやる幹事役は、まずどなたがおやりになるのですか。それを一つお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/16
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017・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 幹事には関係各省の次官または局長、庶務につきましては内閣審議室、こういう建前でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/17
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018・前田正男
○前田(正)委員 この仕事を事務的に取りまとめていくのは、そうすると審議室ということになると、総理府の総務長官が一番の事務的な責任者としておやりになるわけですか。その点を一つ。また世話役として審議室ということになると、その事務の責任者としてはどなたがおやりになるか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/18
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019・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 終局的には総務長官が最高責任者でありますが、事務的には経済企画庁並びに外務省から兼任していただきまして、二人ばかり専門に来ていただいて当たる、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/19
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020・前田正男
○前田(正)委員 今回のところは、それは予算の折衝の過程においても、今のお話のようなことでありましたので、われわれもやむを得ないと思うのでありますが、これはやはり今お話の通り、最終的には総理府の総務長官が責任を持たれて、そのもとにこれだけの閣僚を中心とするような大きな審議機関でありますから、そんな兼任か転任してくるというような程度のものでなくして、総務長官の中に、しっかりした事務局なりあるいは事務室なりを設ける、こういう方面に向かって総務長官としては今後努力していただきたいと思いますが、総務長官の一つお考えをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/20
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021・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御趣旨につきましては、十分考慮いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/21
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022・前田正男
○前田(正)委員 これは先ほども冒頭に申し上げました通り、今後のわが国の施策といたしまして、非常に重要な問題でございまして、今後総務長官が世話役の取りまとめ責任者としておやりになると、非常に私は仕事としても大きな量が出てくるのではないかと思うのであります。そういう点でこの問題については、先ほど申した通りしっかりした事務機構も設けられて、総務長官も一つこの方面に大いに努力して御検討を願いたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/22
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023・福田一
○福田委員長 次に石山權作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/23
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024・石山權作
○石山委員 行政管理庁にお伺いしたい点があります。それは法案のことではございません。私たち内閣委員として地方を回りまして各所の行政監察の方々とお会いして、一生懸命やっているということは見てきております。かなり一生懸命やっているだけでなく、実績も上がっているように思っております。私たちは今のように官僚機構が非常に複雑多岐にわたっていますれば、やはり行政上の問題では、たとえば行政管理庁が非常に強化されなければならないというふうに考えております。強化される面はこういうこともあるのではないかと思うのです。たとえば非常に勉強されて、ある出張所によれば自費をもって調査に行かなければならないような境遇もあるようです。非常に私はその点残念に思うのですが、そういう点が指摘されます。そして調査をして勧告をやるわけなんですね。あそこはだめですから一つ直しなさい、こういうふうなやり方でやっているが、勧告権があるが、その次は何もないようなんですね。長官として今まで勧告をなさって、その跡始末ですが、そのあとをどういうふうふうにごらんになっているか、一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/24
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025・益谷秀次
○益谷国務大臣 非常に御理解ある御質問、まず感謝をいたします。行政管理庁はただいま仰せのごとく、相当に実績を上げておるものと思っております。行政運営の改善を実証資料に基づいて、所属の機関の長に勧告いたしておるのであります。そうして大体昭和三十年から三十二年までの実績によりますと、全面的の改善、勧告そのものを実行いたしておるのと一部実行いたしておるのと合わせて、勧告に従っておるのは約九割になっております。勧告をいたしまして、行政管理庁としては回答を求めております。そして回答の通り実績を上げておるかどうかということについては、疑わしい場合は、さらに回答を求め、報告を求めております。最後は改善を実施する、それを推進するために、さらに監察を行なって勧告をいたしております。従って現在では相当効果があります。行政管理庁といたしましては、年間を四期に分けまして監察の計画を策定しておるのであります。従来旅費等の不足のために非常に困難をいたしておるのでありまするが、近年おかげさまをもちまして、過去三年間には二百万円ずつの増加を見ました。本年はまた百万円の旅費の増加を今予算で御審議を願っておるような状態であります。従って旅費は十分とは申せませんが、今日の国家財政の上から努めて効率的に旅費を使わせるように督励をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/25
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026・石山權作
○石山委員 副総理格のあなたが長官になっておれば、それは勧告だけでもかなりにらみがきくと思うのですけれども、普通の国務大臣がなった場合には少し閑職なように見えるわけです。ですから、そこから勧告を出されても、ふてくされるということはないと思うけれども、いずれにしても勧告に対してサボタージュできるわけです。そうすると、また次に勧告をなさるということだろうと思うのだが、それもうまくやっていただけばいいけれども、これもサボるつもりならばサボり得るわけです。特に官僚機構とすれば、二回目の勧告などは故意にサボるというふうなことができるのではないか。何だというふうな気持で故意にサボるというようなことができると思う。勧告権があるならば、それが勧告通り行なわれているかどうか。跡始末に対して相手を縛るような工夫がこの場合必要なのではないか。きつく言えば、行なわなければ一つの罰則規定みたいなものまでも突き詰めて考える必要があるのではないか。長官はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/26
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027・益谷秀次
○益谷国務大臣 仰せのごとく、管理庁には勧告権はありますが、これの強制権がありません。従ってサボタージュをやればそれまででありますが、現在はさようなことはございません。行政管理庁といたしましては、相手方の省庁とも緊密な連絡をとっていたしておるのでありますし、また無理な勧告はいたしておりません。先ほど申し上げました通り、納得して改善をいたすような実証資料に基づいて勧告いたしておりまするから、かえって強制権を持ち、あるいは処罰権を持つというようなことは行き過ぎではないか。その際はかえってサボる機会を与える。あるいはそういう法律がありますれば、法律をのがれる方途を講ずるというように、かえって弊害があると思います。今日までの勧告の状況は、相手の機関とも緊密な連絡をとっていたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/27
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028・石山權作
○石山委員 行政監察を慎重にやれば、たとえば汚職みたいなものがかなり防げると思うのです。それはなぜかといえば、行政機構の中でいわゆる盲点があるわけでしょう。その盲点をうまく利用するのが今までの汚職のやり方だと思うのです。それは勧告をしてその通りやれば、そういうふうな盲点がなくなっているはずだと思います。だけれども、なかなかそういうふうにならないところを見ますと、私は官僚機構の中で、行政管理の方々から見れば、やはりサボタージュしているものだと思います。今までのやり方を一歩進めるとすれば、この問題をその省と行管の間だけのいわゆる勧告というふうなことでなく、その欠点というものをもっとほかにも知らしめるという工夫がその場合大切なのではないか。行政上の問題ですから、たとえば新聞などで大きく発表してもいいのではないか。そういうふうな何かPRする費用などは割合に多くあるというふうな感じに見られますか。
〔委員長退席、岡崎委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/28
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029・益谷秀次
○益谷国務大臣 行政管理庁は不正、不法を摘発するというのが本務ではないのです。むろん会計の監査もいたします。いたしますが、不正、不法というものを未然に防ぐというのが建前になっております。また相当実効を上げておると私は確信いたしております。なお、相手の機関の長に限ることなく一般に云々というお話でございましたが、これは各政府機関にはみな報告いたしておるのであります。のみならず、毎週土曜日に通信機関に集まってもらって、そのつど発表いたしております。大体月曜の新聞紙上に興味のある勧告は掲載せられておるものと思っております。これが一つの世論になりまして、勧告の実施に非常に効果があると思っております。私自身も毎週一回は報告を受け、決裁をいたして、それぞれ機関に報告するとともに、言論機関に発表することにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/29
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030・石山權作
○石山委員 長官は罰則とか、規制的なものはあまりきちんとしたくない。そうすれば、やはり道徳的な規制になるわけです。そうしますと、どうしてもやらなければならないような雰囲気を作る必要があるわけです。それは私らに言わせれば、新聞発表などもあって、適切にやるということも一つだろうと思うのですけれども、やはり行政機構全般に対してもそういうことは宣伝なすっていられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/30
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031・益谷秀次
○益谷国務大臣 各省庁に出しておるはずであります。なお新聞に掲載するのは、世論を作るというほかに、水防とか、あるいは気象の監察のごときは、国民に徹底いたしますると、おのおの水防体制とか気象体制についての協力を得られるという利益があります。繰り返して申しまするが、行政管理庁は摘発の機関ではないのです。行政運営の改善をいたして、不正、不法を未然に防ぐというのが目的でございまするかう、懲罰とか刑罰を設けるというのは私どもは今日考えておりません発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/31
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032・石山權作
○石山委員 私去年福岡へ行ってお聞きしたのですが、福岡では各省間あるいは出張所間の苦情処理みたいなものを取り扱っております。これがまた大へん成績を上げているようです。たとえば恩給の問題等は手続上からいってもどうしても埋もれてしまう。そういうふうなものは、相談せられたらこっちで行ってやってあげた。勧告だけでなく、勧告が実際行なわれるような態度で地方の人たちは努力しておるようです。私はこのことは大へんいいことだと思ってきましたが、それが年に一ぺんぐらいしか管区を回れないというのです。それも費用がないものだから、大へん苦労してやっているようですが、もしそういうことが可能であれば、せめてそういうふうな埋もれている苦情というものをあっせんしてやる役目は、年に二へんぐらいでもやれるようにすれば、これはかなり官僚機構のために、いわゆる私たちの普通言っているお役所に対する考え方というのは変わってくると思います。今のところは、そういうふうなところは考えておりませんか。二へんくらいやらしたら、もっと実績が上がるのじゃないかというふうなことは考えておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/32
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033・益谷秀次
○益谷国務大臣 何回いたしておりますか、遺憾ながら承知いたしておりません。しかし苦情処理は、各地方の局で取り扱っております。これは行政監察の一環と私どもは存じております。なかなか効果を上げておるそうであります。すなわち出先の末端機関の行政の実情を把握することができるということと、また末端機関に対する国民の苦情と申しますか、不平と申しますか、また改善を要求いたしておる点、しさいに取り上げていたしております。末端の行政機関においても、非常に好意的に管理庁の苦情処理に対して協力してもらっております。昨年すなわち三十四年の一月から十二月までには、全国で六千件申し込みを受理いたしております。一地方の局に割り当てますと、大体百二十数件になります。このうち九割五分までは処理済みであります。すなわち苦情者の申される通りに処理済みであります。これは将来とても十分に活用して参りたいと思います。国民に対する奉仕の一つであると思いますので、十分にこれを活用いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/33
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034・石山權作
○石山委員 これも福岡で調査したのですが、福岡の職員の方々の給料を調べました。あそこの各省の出先機関で一番高いようです。なぜ高いかといったら、人事の交流がなかなかうまくいっていないということです。それからどう申しますか、退職後、普通ならば、関係官庁には公社とかいろいろあるわけです。行管にはそういうふうなものが何にもないということは明らかなんです。それから普通の場合は、各省に対して大目付の役目をするものですから、個人的にも少し毛ぎらいされるような傾向があるので、非常に気の毒な場面がある。人事の交流をこの際考える必要があるのではないかというようなことを、あの給料表を見て私は考えたわけです。そうでないといささか人事が停滞してしまう。省が小さいかう、省の中だけでは人事のやりくりというものは、やってもあまり新味が出ないのではないか。その点はどういうふうにお考えになっていられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/34
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035・益谷秀次
○益谷国務大臣 仰せの通りであります。行政管理庁は比較的年寄りが多いのです。年寄りが多いのでありますから、新進気鋭と申しますか、そういう人たちをあまり迎えることができません。従って俸給は上の人は相当に高いだろうと思いますが、一番年寄りの多いのは、行政管理庁の監察局と、私の承るところによると調達庁だそうです。なかなか人事交流はむずかしゅうございます。若いのは喜んで採ってくれますが、年寄りはなかなか各省ともに歓迎しません。そこで私ども——私個人でも縁故関係で就職のあっせんをいたしたのもございます。行政管理庁といたしましては、部内に就職連絡協議会というようなものを作って、そして一生懸命に就職のあっせんをいたしておりますが、おっしゃる通り外部団体もございません。そうしてやはり仕事をしておる間は、非常に喜ばれる部面もありますが、監察でありますから、やはりきらわれる部面もあることと思います。努めて人事交流をいたすために、就職のあっせんをいたしておるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/35
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036・石山權作
○石山委員 トップ・クラスにいる方は、勘を働かしていただくから、行政上から見ればむしろ老齢の方がいいでしょう。しかし行政監察の場合には、勧告するまでにはやはり非常に精力的な調査が必要なわけです。そうするとやはり若いばりばりしたのに調査させないと、実績が上がってこないという欠点があるように思います。そういう点ではトップ・クラスは私は何も心配は要らぬと思う。下の方が老齢化していくということは、やはり能力が落ちていくのではないか。それに人件費にかなり金がかかるせいかどうか知りませんけれども、調査した資料をまとめるのに大へん儉約しておるのです。お金がないということなんでしょう。物件費が非常に足りないということを意味しておると思うのですが、福岡などでも少しずつ増してもらっているけれども、ことしも二十万円ぐらいあれば、やったものをちゃんと製本できてとっておくのにいいけれども、それができないのだ。それで自分たちで謄写版をやって、自分たちのところで製本してとっておくというようなやり方をしておるようです。それではちょっともったいないわけです。調査の能力のある人がそういうところまで気を配ったり、製本しなければならないというようなことは、これは一生懸命やっているようですけれども、人を使う意味からすれば、能力を落とした格好で人を使用するということになるようです。人事の交流をやるということ、なるべく若返らせるということがこの場合必要だろうと思う。それから物件費が非常に少ないために、能力のある人に製本をやらしたり、活版のまねをさせるようなことは避けるような予算の組み方が、この場合必要なのではないか。私は福岡を見てそういうふうに思ってきたのです。それであなたたちに努力をしてもらって、以上の二つは解消するようにしてもらいたい、こういうのが私の希望です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/36
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037・岡崎英城
○岡崎委員長代理 石橋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/37
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038・石橋政嗣
○石橋(政)委員 石山委員の質問で大体尽きておるわけでございますが、関連して若干お尋ねをしておきたいと思います。私も昨年十月内閣委員長と一緒に中国地方の視察に行ったわけです。そのときに、いろいろ要望が出ておりました。石山さんの話を聞いてみましても、大体本庁と打ち合わせて陳情事項をきめておったのではないかと思うのですが、それはとにかくとして、いろいろ要望が出ておるのを聞いてみますと、なるほどというものが多かったわけであります。そのうち、今度の設置法の改正によって三つばかり取り上げられておる。たとえば従来各管区監察局で扱っております仕事というのが、行政監察局の所掌事務だけであった。それに行政監理局あるいは統計基準局の所掌事務の一部を新たに加えるというような点、あるいはまた名称を変更するといったような点、そういう点は入れられておるわけでございますが、私どもが聞いておりまして、一番なるほどと思い、これはぜひやらなくちゃならぬというような感じを受けました、今のお話にもありました、苦情相談業務について、何ら法律上の措置が講ぜられておらないのはどういうわけかという疑問を持っておるわけなんです。これが一番評判がいいのじゃないか。国民といたしましてはいろいろと苦情を持っておる。そういうものを行管の出先が取り上げて、一つずつ片づけてやるというようなことは非常に望ましいことでありますし、今後もどんどんやらなくてはならない仕事ではないかと思うわけですけれども、現在これは法律で定められた仕事としてやっておらない、一種のサービス活動みたいな形で行なわれておるというところに問題がある。やる方にいたしましても遠慮もあろうし予算面の制約もあろうし、なかなかやりにくいのじゃないかと思うのですが、なぜこれをはっきりと法律で定めた当然の業務として今度お取り上げにならなかったか、この点をお尋ねをしておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/38
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039・益谷秀次
○益谷国務大臣 苦情処理の制度と申しまするか、これはまことに必要なものと思っております。今回の設置法の改正にそれを入れなかったのは、もう少し検討いたしてやった方がいいだろうという結論でございまして、今回の設置法の改正には盛らなかった。しかし苦情処理の実情によっては、将来設置法に当然の職務として盛り込むことになると思いますが、今日の程度においては、もう少し先の実績を見ようではないかということで、実際の仕事に支障を来たしてないので、各局においてそれぞれ取り扱っておるのでございますが、もう少し実績を見ようではないか、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/39
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040・石橋政嗣
○石橋(政)委員 監察業務というのは、同じ役所同士でなかなかやりにくいものがあると思うのです。われわれとしてはどんどんきびしくやってもらいたいと思いますし、またそうなければこういう役所を設ける必要はないわけなんですが、きびしくやればほかの役所が積極的に協力しないというような面も出てくるかもしれない。それで手かげんを加えると存在の意味がなくなる。なかなか微妙な仕事をやっているということは十分にわかるわけです。しかし苦情処理という問題はそういうことを抜きに、積極的にどんどん進められる分野ではないかという感じを持つわけです。改正案ならば一番最初に取り上げなければならない問題を、なぜ検討して次の機会にというふうに逃げられるのか、どうも納得いかないわけです。それで最初事務当局にお尋ねしたいのですけれども、現在各管区行政監察局では全部これをやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/40
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041・原田正
○原田(正)政府委員 ただいま御質問の苦情相談は、現在は全国の管区の監察局並びに地方の監察局におきまして実施をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/41
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042・石橋政嗣
○石橋(政)委員 巡回の方は全部やっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/42
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043・原田正
○原田(正)政府委員 巡回苦情相談につきましてはおおむねやっておりまするが、まだ十分にやっておらぬ。不十分な点もあります。大体原則的には全部やっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/43
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044・石橋政嗣
○石橋(政)委員 私が出先で聞いたときにも、巡回をやってない面があるという話を聞いておるわけです。大体やっているとおっしゃいますけれども、どうもふに落ちないわけでございますが、この苦情相談の中でも、積極的にこちらから出向いていって、各職場あたりに出張して国民の苦情を聞くというようなことは、私はいい仕事じゃないかという感じを持っておったわけなんです。こういうものをぜひこの際取り入れて、自信を持って出先が積極的にやれるようにすべきではないかという感じを強く持っております。これはあとで委員長その他とも御相談をいたしたいと思っておりますので、その点はこれで終わります。
なお今石山さんから職員の給与の問題についてお話がございましたが、具体的に一つちょっと私が気がついた点がありますので再度御質問いたします。管区の監察官、これは各局の課長級に相当するのだそうですが、大体ほかの省庁ではこの程度の人たちには管理職手当が支給されておる。にもかかわらず監察局の監察官にはこれがないということで、非常に不満を持っておるようでございますが、これは今後支給されるようになるのでございますか、ならないとすればなぜならないのか、その理由を一つお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/44
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045・片山一郎
○片山説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。管区の監察官に対しまして特別調整額がついておらないということでありますが、これは大体各省庁とも管区段階の課長クラスには、特殊な課長を除きましてついておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/45
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046・石橋政嗣
○石橋(政)委員 特殊なというのは、どういう人たちが特殊なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/46
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047・片山一郎
○片山説明員 それは総務課長であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/47
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048・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そうするとほかの省庁と比べて見た場合にも、そう不均衡だとは思えない、こういう考えかと思いますが、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/48
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049・片山一郎
○片山説明員 特に不均衡であるとは私は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/49
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050・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それでは先ほどの石山さんの発言で、非常に古い人たちが多いということですから、今後一つ御検討願うことにしておきたいと思います。
そこで経費の問題でございますが、いろいろ事情は先ほど石山さんからお話がありましたから、私はここであらためて申し上げませんが、来年度の予算において、この監察業務遂行のためにどの程度の予算増が認められておるか。現在ではほとんど人件費に食われて、仕事をする予算が限られておるような面が多かったと思うのでありますが、三十五年度予算においてどの程度これが増額されておるのか、その点だけお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/50
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051・片山一郎
○片山説明員 監察業務をやっていきます上において一番大事な監察旅費の点におきまして約百万円、正確に申しますと九十四万円ですが、増額になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/51
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052・石橋政嗣
○石橋(政)委員 その事業費の占める率、総予算に対する人件費を除いたその率がふえておるかどうかということを問題にしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/52
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053・片山一郎
○片山説明員 率の点は私今ちょっと申し上げられませんが、今申しましたように監察旅費として約九十四万円ばかり増額になったということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/53
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054・石橋政嗣
○石橋(政)委員 これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/54
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055・石山權作
○石山委員 今度法案で対外経済協力という命題で審議会を作られるというわけなのですが、これは安保条約の中でアメリカの経済協力というようなことが出ているので、おおむねアメリカを中心にした考え方でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/55
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056・大堀弘
○大堀政府委員 経済協力基金の問題は、かねてから東南アジアの経済協力につきまして、現在輸出入銀行を中心にやっておりますが、輸出入銀行による協力だけでは不十分な点もございますので、今回新しく基金を設置いたしまして、それよりもさらに弾力的な運用によりまして協力をやって参りたいという考えでございまして、今回の安保条約の規定と直接の関係はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/56
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057・石山權作
○石山委員 経済協力という言葉は、対外的な投資というふうなことが意味されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/57
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058・大堀弘
○大堀政府委員 経済協力という意味は、御指摘の通り海外における開発事業に対して金を貸し付ける、あるいは出資するということによって事業の資金を供給してやる、これがねらいであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/58
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059・石山權作
○石山委員 そうしますと、内地でいえば奥地開発みたいなもので、対外的にいえば後進国というと怒られるかもしれぬけれども、アジア、アフリカというようなことがわれわれの頭に浮かぶのですが、地域としてはそんなところになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/59
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060・大堀弘
○大堀政府委員 経済の開発のおくれている地域についてということでございまして、法律の建前からいいますと、東南アジア、その他の経済の開発を目的にするということであります。御指摘の東南アジア等はかなりウェートを持つことになると思います。しかし地域としましては、どこの地域でもやれることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/60
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061・石山權作
○石山委員 二、三日前の新聞に、いわゆるアジア、アラブですかの国々の経済ブロックを作る。その中に、残念なことですが、日本の名前が入っていない。そうすると、経済の全般の動きから見れば、日本の外交とか何かのために、あなたたちの考えているところとはうらはらに情勢が進んでいるのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/61
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062・大堀弘
○大堀政府委員 外交的な問題は実は外務省の方の問題でございますので、私も専門ではございませんが、私どもの考え方から申しますれば、やはり東南アジア各地域の資本が不足をいたしまして開発がおくれておりますので、最近は各国は外国から資本を導入してできるだけ開発をやりたい。ただ民族意識等ございますから、あまり支配されるような形ということは望めないと思います。その点については十分われわれも考えていかなければならぬと考えております。全般といたしましてはやはり開発に必要な資金は受け入れたいという機運が強いと考えておりますので、私どもの資金がそういう面において役に立っていく、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/62
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063・石山權作
○石山委員 この問題についてはあなたと討論をしてもらちがあかぬと思うのだが、ただ私の言いたいことは、あなたたちは経済のワク内でいろいろなことをやろうとしておられます。しかし経済のワク内といっても、そのワクがどこかからきめられてしまえば、あなた方の努力というものは死んでしまう場合が多いと思う。今の構想としてはどうしても東南アジアの方面に伸ばしていく、こういう気持でおられるわけなんだけれども、新聞情報等を見れば、その東南アジアのブロックの中に日本の名前が入らないということになれば、大体ワクがきまったような格好が出てしまうわけです。だからもちろんあなたたちが自分の国の経済を伸ばそうとするならば、外交の発言がないなどという、そういう体制ではいかぬと思うのです。やはり発言をしなければ、あなたたちがもくろんでおるところの対外的に日本の経済力を伸ばすといっても伸びないわけなのですから、そういう意味で私は御忠告申し上げたい。あなたたちにほんとうの意味で日本の経済を伸ばしたいといろ良識があれば、やはり対外の外交問題にもくちばしを入れることが、日本の場合には大切なわけです。それを一つ言っておきたい。
またあなたの管轄の事務的な問題をお伺いしたいわけですが、今度の為替・貿易の自由化はどう考えてみても唐突の感が深いのです。これはなぜか。受けて立つところの経済界が非常に動揺しておることを見ても、唐突の感が深いのではないかと思う。もちろんあなたたちに言わせれば、温室育ちにいたから、いつでも経済界は動揺するだろうというようなことになるかもしれないけれども、ほんとうに私はそうだと思う。あなたの方は去年の秋のガットの総会を言うかもしれません。しかしこれは対々ではないわけでしょう。ガット三十五条の問題を考えてみても、何もガットの総会にわれわれがそんなに制肘されなければならぬ問題はないと思う。三十五条を各国とも日本に対して用いるというならば、ガットの総会に対してわれわれは非常に制肘を受けなければならぬと思うが、そうではない。現実的に、経済的な要求がそれにからんでおる。こういうような見方もあるかもしれません。しかし経済的なというならば、経済人があなたたちより知っておるはずです。その経済人が、一部の方はなるほどいいと言っておるけれども、おおむねの産業界の人たちは——金融の人たちは何とも言いませんけれども、産業の実際の仕事を営んでおる経営者は困っておる。お役所は十分に準備なさったという御見解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/63
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064・大堀弘
○大堀政府委員 貿易・為替の自由化のことが唐突として進んだような印象を与えておるかと思いますが、実は昨年の三月に経済閣僚懇談会におきまして、貿易・為替自由化の方針について御審議願って、一応御方針を決定していただいておるわけであります。
〔岡崎委員長代理退席、委員長着席〕
戦後経済がだんだん復興して参りまして、為替・貿易の自由化が逐次小幅ではございますがやられて参っておるわけでありまして、今日の段階では、日本の経済力も相当に充実して参りまして、経済も比較的高い基準で安定上昇を続けておるという段階でございますので、いずれ自由化によって経済を正常化に戻すということから考えますと、やはりこの機会に自由化を進めることが適当ではないかという考え方から、一月にああいう機構を作りまして、それを進めようという体制に入ったのであります。考え方なり措置といたしましても、決して突然ではないのでありまして、この際強力に進めなければならぬという考え方でございます。個々の業界につきましては、やはり割当で保護されておりますので、それを撤回するということは多少つらいことが出て参りますので、そういう面で、自分の立場に立った意見としては反対意見もございますが、経済界全体としては、やはりある時期には経済の正常化に努めなければならぬということで、私どもは大勢として強い反対があるとも実は考えておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/64
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065・石山權作
○石山委員 どんなにいいもくろみがあっても、それを受けて立ついわゆる内容ができていないと、そのもくろみは進んでいかないわけなんですよ。皆さんの方では経済の基盤が荒波に耐え得るところまで成長したという観察ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/65
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066・大堀弘
○大堀政府委員 私ども絶対の自信といいますか、あまりうぬぼれてもいかぬとは思っておりますけれども、今日はかなり生産力の供給力が増強されてきたということが一つと、国際収支の見通しにつきまして、現在程度の生産の上昇でありますれば黒字基調を維持していける。ただ景気変動等に対する対策は十分に考えていかなければいかぬと思いますが、全般としましては日本の経済がかなり力を持ってきておるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/66
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067・石山權作
○石山委員 これはできたといえばできているかもしれませんが、為替の自由化あるいは貿易の自由化によって対外的に裸になった感じだと思うのです。裸になってお互い競い合う。そうしますとコスト等の問題が出るわけですが、今のコストの切り下げは多量生産によるコストの切り下げと、合理化によるコストの切り下げと二つある。これは関連して必ずしも一つというわけじゃないのですが、今までの日本の場合は、いわゆる多量生産によるコストの切り下げが普通の産業界では通ってきているわけです。今度はそういう意味では合理化によるコストの切り下げになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/67
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068・大堀弘
○大堀政府委員 貿易の自由化の合理化に対する意味は、一番基本的にはやはり原料費が下がるということだと私どもは考えております。たとえて申しますと、綿花の輸入が現在割当で来ている。外貨割当をしておりますために、最初に割当を受けた人のところで、需要と供給の関係からいうと輸入を制限して供給を押えておりますので、それにプレミアムが発生して綿糸にプレミアムがついておる、これが従来の形であったわけです。かりに綿花を自由に入れますと、このプレミアムが落ちるわけでございますから、加工段階におきましては綿糸の相場が明らかに下がる。それが現に昨年の暮れに通産省があの方針を言明いたしましてから、綿糸のプレミアムがあったのがほとんどなくなってしまったというような形になったわけでございます。そういう意味におきまして、要するに輸入を制限しておりますために原料段階における価格が高かったのが下げられる。日本の国際競争力からいいまして今問題になっておるのは、やはり原料費が高いということ、資本費が高いということが問題だと思うのであります。その意味におきましては貿易を自由化するということは、原料費を下げていくという点でコストが低下して、競争力がふえる、かように私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/68
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069・石山權作
○石山委員 私はコストの切り下げで合理化の話をしたのですが、あなたは合理化で切ってしまって、逆に輸入品の話をした。しかし輸入が自由になることは投機を呼ぶということですよ。大資本が非常に幅をきかしてある種の投機を行なうということに通じませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/69
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070・大堀弘
○大堀政府委員 今までのやり方でございますと、割当の数量の調整によって国内価格が常時動いておる、これが今までいわゆる不健全だといわれたととろでございまして、これをやめようというのが今度の一つの考え方になっております。その意味からいいますと、今までは思惑をして入れて、輸入が締まればもうかるというような、非常に人為的にスペキュレーションを行なうチャンスが多かったのですが、自由化いたしますと買ったものが上がるか下がるか、自分の責任で最後までいくわけでございます。従ってその当事者としては非常に慎重に動くようになる。従って私どもは国際的な景気変動による国内の影響というものはあると思います。しかしながら日本自身の立場からいえば、むしろ自由化ということは企業家が非常に慎重になる、思惑をやりがたくなる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/70
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071・石山權作
○石山委員 私はコストの切り下げの中に、あなたもおっしゃったと思うのですが、海外と太刀打ちする場合に金利の問題がやはりかなりあると思うのです。この金利の問題はどういう格好でながめておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/71
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072・大堀弘
○大堀政府委員 これは非常に基本的な問題でございますが、やはり結論的には資本が不足だから金利が高いということが言えるのではないか。むろんコスト面から見ると、銀行経費の問題とか、あるいは預金利子の問題という点はございますけれども、基本的にはやはり資本の自給不足ということでございますので、現在外資導入をある程度促進していくことが、むしろ日本の経済の高い発展をするために必要だという考え方でございます。私どもは貿易・為替の自由化ということは、むしろそういう意味では金利を多少外から下げる方向へ向けることで役に立つのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/72
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073・石山權作
○石山委員 私たちは為替管理を行なっているよさというものが、まだずっと失われていないと思っています。なぜかというと、たくさんの企業があるわけでしょう。それを今の場合は為替管理の操作によって割合に利潤というものも公平に分けているのじゃないかと思っている。今度これが自由になりますと、弱肉強食の姿が出ざるを得ない。それが目的だと言えばそれまでの話ですが、今まで百生きていたのが、いわゆる体質改善によって、それから太平洋の荒波かインド洋の荒波か知らぬけれども、荒波をかぶって死んでしまうものが六十、七十を数えるようなことを招来するのじゃないかという心配がある。
もう一つは、あなたの言う外資の導入によって利子の引き下げが行なわれるだろうという希望的観測ですが、そういう希望的観測を言うとすれば、僕ら今石油関係を見ていますが、これは大へんな外資の導入をやっているわけですね。その姿がほかの産業にも現われれば、これは私はあまりほめた現象にならないと思うのですが、外資の導入に対してはどういう操作をなさろうとしているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/73
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074・大堀弘
○大堀政府委員 最初の御質問の、私ども自由化を進めると申しましても、御指摘のように確かに自由化されました場合に競争が自由になる。同じ企業をやっております場合には、大企業と中小企業と比べますと大きな企業に有利で中小の方が不利になるのではないか、あるいは農村等に対しては風を当てるということは非常に影響が大きい、こういうことがございますので、実行上の問題としましては相当慎重にそういう面についてはやっていかなければいかぬ、ことに必要な対策も講じつつやらなければならぬ、かように考えます。
資本の自由化の問題につきましては、国際的に見ましても、IMFの規定からいっても、貿易及び経常的な取引についての自由化ということは、為替状態がよくなれば制限してはいかぬということになっておりますけれども、資本取引については例外を認めておるわけでございます。従いましてこれはそう急速に外からやれということにもなりませんし、われわれとしても慎重にやって参ってしかるべきではないか、かように考えております。ことに企業支配を受けるということは望ましいことではございません。そういう点については十分考慮していかなければいかぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/74
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075・石山權作
○石山委員 私この前にもこの委員会で質問したことがあるのですが、いわゆるコストの切り下げというふうなことに熱中するあまり、八幡製鉄がよその国の船を使うとか、こういうふうな現象が起きたと新聞は報じているのですが、そういうこともこれからたくさん行なわれていくのではないか。つまり自分の企業を育成するためには、好ましくないと思われるような方法でも、やはりコストの切り下げ、外資導入を行なっていくのではないか、この点はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/75
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076・大堀弘
○大堀政府委員 これは国民経済全体として非常に影響のあります場合は、私はやはり企業としても政府としても、当然慎重に考えていかなければならぬ事柄だと思います。私は具体的な例については担当でもございませんので、詳細には存じておりませんが、今後非常に輸入量がふえます場合に、絶対量からいうと量的にごく少ない場合はそれは考えられないことはありませんが、しかしこれが全体として非常に大きな影響を持つ場合は、やはり慎重に考えなければいけない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/76
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077・石山權作
○石山委員 為替の管理等によって今まではそういうふうなことを、割合に防いでいくこともできたということは認められるわけでしょう。しかし今度はそれをゆるめていくのですが、貿易の自由化に関しましても段階的におやりになるわけでしょう。その段階を大ざっぱでいいですがお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/77
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078・大堀弘
○大堀政府委員 貿易、管理の自由化につきましては、貿易面におきましてもやはり品目ごとに検討いたしまして、現在通産省、農林省、それぞれの所管において詳細な調査をしておるわけであります。まず影響の少ないところから逐次やっていく。影響の非常にありますものについては十分な対策が必要となると思いますが、対策面について適当なる方法が整ってそれに応じてやっていく。従って当然段階的にやることになると考えます。それから貿易外につきましても経営勘定、いわゆる保険料でございますとか、そういったロイアルティの支払いとか、当然正常な取引に伴って出てくるものは逐次やっていく。資本取引につきましても慎重にやる、段取りとしましてはこういうふうになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/78
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079・石山權作
○石山委員 資本財でも原料でも何でもいいですが、その段階の品目は確定しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/79
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080・大堀弘
○大堀政府委員 五月末までに案を作案しますように事務当局は命ぜられております。現在各省と相談をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/80
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081・石山權作
○石山委員 だから私は唐突だというのですよ。あなたの方は専門におやりになる役所であるわけでしょう。しかもまだ段階の品目が整っていないのですよ。それで現実には、政治的な発言だかもしれませんけれども、為替の自由化、貿易の自由化を言っているわけでしょう。受ける業者はどうなんです。自分のところは一体何月に解除になるか、何月に規制されるかわからない、指示がない、その間の不安というものは大へんなものだと思うのです。そういう動揺を与えるだけでも罪は大へん重いですよ。だから私は唐突という言葉を使わざるを得ないと思うのです。それから、たとえば唐突にやったことは、やはり考えてみればどうも外資導入をやさしくするのだ。なしくずしにやっていくのだから、実際から言うと旗上げしたのは外資導入をやさしくするのだ、こういうことに尽きるのではないかと思いますが、これに対してはどういうような見解をとっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/81
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082・大堀弘
○大堀政府委員 唐突と申します点につきましては、言いわけになるかもしれませんが、こういうことでありますと今まで自由化をやると言っても、ほんとうにやるのかどうかわからぬということで、業界としましてもいずれはやると思いながら真剣な対策が出てこない、やはりこの方向に進むのだということで、初めて真剣に対策を検討しておるわけであります。その意味では、やるといって五月にすぐ全部の商品をAA品目に移すわけではございませんが、相当長期にわたってやって参るわけであります。衝撃を受けて非常な影響が出るようなことは行政府としましては十分注意して、そういうことにならないように考えていかなければならぬと考えております。もしそういう御心配がございましたら、そういう趣旨でないというふうに私どもとしてできるだけ御了解いただけるように申し上げるわけであります。外資導入ということだけではないかという点につきましては、私どもはやはり当面としましては、商品の方の自由化の方が大きいウエートを持つというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/82
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083・石山權作
○石山委員 外資導入については、あるいは政治的な見方になってしまって水かけ論になるかもしれません。しかし考えてみれば唐突という感じの中で、外資導入だけはきちんと進められていく。そうするとある点では僕らはひがんで問題を見ておるかもしれませんが、アメリカの予算を見ると来年度の黒字のために、黒字の一端を日本がかついだのではないか、これは日本の新聞でも指摘しておるわけですね。四十億ドルの黒字の一端をかつぐために、為替・貿易の自由化ということをうたわざるを得なかった。だから金利の高い日本に金を出せばそれだけ黒字になるのだ。そういう下心が多分に今回の措置に現われておるのではないか。これは私の意見だけでなしに、日本の新聞、雑誌にも書いてある。それに対してはどういう見解をなさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/83
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084・大堀弘
○大堀政府委員 私、自由化は本来日本経済自身のために必要であると考えておりますが、外からの影響ということはむろん無視できないと思います。その場合にアメリカから要請されたのではないかという御意見がございますが、私どもは率直に見て、外からの影響で一番身近かに感じますことは、IMFの日本に対するコンサルテーション、それからガットの輸入制限協議会等における日本に対する各国代表の発言、それらとイタリアあたりがかなり外貨事情がよくなりましたために、IMFから国際収支の事由で輸入制限をすることはできないという判決を受けておりますが、ああいう事態によりまして急遽体制を切りかえるということになりますと、非常に衝撃が大きいということになります。日本としては相当経済力が伸びておりますから、逐次自由化を進めていく方が、対外的な問題を取り上げてみても有利ではないか、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/84
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085・石山權作
○石山委員 為替の自由化についてのプログラムを一つ説明していただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/85
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086・奥村輝之
○奥村説明員 為替の自由化は、ことし一月から海外渡航の基準額の緩和、その他商社の持ち高集中の緩和、徐々に私どもといたしましては状況を見ながら緩和して参っております。今後の問題につきましては、大堀局長からお話がございましたように、私どもとしましてはまず取引の中には、居住者の取引、非居住者の取引、それから経営取引、資本取引という、いろいろな種類のものがあるわけであります。今後は経営取引を徐々に国際収支の状況、国内の状況をにらみ合わせまして緩和して参る、最後に資本取引に移っていく、こういうふうな段取りで考えておるわけであります。何分問題は、国内の産業問題とか、あるいは貿易の自由化の問題とか、あるいは国内の金融の問題とか、相互に関連が深いわけでございますので、そういう状況をよくにらみ合わせながら間違いのないように慎重に進めていく、こういう態度で臨んでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/86
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087・石山權作
○石山委員 そうすると為替の管理の仕方も、あまり摩擦の起こらないように万般慎重におやりになる、こういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/87
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088・奥村輝之
○奥村説明員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/88
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089・石山權作
○石山委員 これは私、むしろ政府の方にお聞きしたいのですが、経済企画庁で立案された、自民党お得意の長期十カ年で所得を倍増する、この中にいわゆる為替の自由化、貿易の自由化というのは何年度に組まれてあったのですか。私不敏にしてこの重大事項が十カ年計画の中のどこに入っておるかということを知らないのですが、一体どこに入っておったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/89
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090・大堀弘
○大堀政府委員 現在策定されております五カ年計画の方は、私担当ではございませんが、現在行なわれております五カ年計画は、これは三年目に入っております。これにつきましては、むろん輸出の拡大と輸入の増大という面から見て、輸入の緩和ということは逐次織り込まれておるわけでございます。目下倍増計画との関連で策定いたしております十カ年の計画につきましては、貿易自由化の方向ということを当然に計画の中に織り込んでいかなければならぬ。従いまして五月に自由化の方の対策を固めまして、それを今経済審議会で検討中でございますので、その際に自由化の問題は当然織り込んで計画が組まれることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/90
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091・石山權作
○石山委員 私は政府に聞いているのですよ。政務次官に今の問題を聞いている。それはなぜかというと、いわゆる大正年間における金解禁にも匹敵する、経済界にとっては大問題なわけです。これが十カ年計画、五カ年計画の中に入っていないということは私は考えられないので、皆さんの方の計画のどこに一体入っておったか、一つ教えを請いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/91
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092・福田一
○福田委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/92
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093・福田一
○福田委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/93
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094・大堀弘
○大堀政府委員 先ほど申し上げましたように、自由化の問題は現在作業を進めておるわけでございまして、この見通しを得ましたならば、この見通しを今後の十カ年計画の中に当然織り込んで考えていかなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/94
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095・石山權作
○石山委員 委員長、この問題はやはり政府の代表者として政務次官なり大臣なりに出てもらってお聞きしなければならぬと思いますが、それはあとにおきます。
当然これは大きな問題なわけですから、あなたの方で政府にあるいは与党に、何年から何年までの間に貿易の自由化を行なう、為替の自由化を行なうのだという提案をいつしていくのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/95
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096・大堀弘
○大堀政府委員 年限につきましてはまだ確定的なことは申しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/96
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097・石山權作
○石山委員 そんなばかな話はないと言いたいのです。この重大問題を想をこらさないで、その日の風の吹き回しによってやるなどということでは、私はこの問題は乗り切れないと思う。当然二年も三年も前から準備をして、あなたの方で立案をして、業界にもその問題を諮問して、そうして行なっていってこそほんとうのものだと思うのだが、何もあなたたちの手元に案が作成されていない。これからだと言っておる。これはある意味ではあなたに言うべき筋合いのものではないかもしれません。それでは私は、事務当局としてそういう準備があったかどうかということをこの際お聞きしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/97
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098・大堀弘
○大堀政府委員 これは自由化いたしますと申しましても、現在七割くらい統制をいたしておるわけでございます。品目からいたしますと、非常に広範なものが統制されておる。従いましてこの自由化いたしますについては、むろん個別的に相当慎重な検討は要るわけでございますが、要するに五月までに案を作るということは、それを検討いたしまして、五月にある程度のめどを得たい。その場合に一応案を作るについて見当もつかないでは困るから、まず三年くらいでどの程度やるかという、一つ三年ぐらいをめどにして案を作ったらよかろうということが話し合われて、その線で今検討いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/98
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099・石山權作
○石山委員 五月まで検討して三年間くらいの期間で全部に実施をなさろう、こういう御意見ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/99
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100・大堀弘
○大堀政府委員 三年と申しますのは、案を作るための一応のめどでございまして、私どもも三年で全部が自由化されるとは考えておりません、相当むずかしいものもございますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/100
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101・石山權作
○石山委員 そうすると全く人をおどかしたと思うのだ。三年もかかってやることをすぐにもやるように旗上げして、まあ政治的意図だと思う。ゆっくりやってもらった方がお互いに便利だと思うのだが、ただここで問題になるのは、農業問題だと思うのです。ほんとうに為替の自由化を行なうならば、農業問題を解決しなければならぬはずなんだ。これはせんだってもガットの中の機関で、日本の農業は保護され過ぎておるのじゃないかということが論議されたというふうに外電で出ておるわけです。この問題をやらないで貿易自由化ということは、皆さんのお考えになっているいわゆる自由主義経済から見れば非常にびっこではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/101
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102・大堀弘
○大堀政府委員 御指摘のように私どもは農業に対する影響が一番むずかしい問題がある。従って農業関係の自由化ということはきわめて慎重にやらなければならぬ、かように考えておりますが、輸入の量からいきますと、主食関係で約五%、その他合わせて農産物関係の量は非常に小さいわけでございまして、農業関係を除いて自由化は意味がないではないかということでありますが、工業生産品関係の原料面で、自由化することは非常に大きな意味があるのではないか、量的にも非常に大きなものだ、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/102
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103・石山權作
○石山委員 そうすると農業の問題は未知数ということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/103
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104・大堀弘
○大堀政府委員 農業関係につきましても、農林省の方で検討を進めておりまして、やはり自由化の線で進んだ方がいいという御意見もあるようであります。なおこれは検討いたしまして、慎重に結論を出したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/104
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105・石山權作
○石山委員 私は為替の自由化、貿易の自由化を行なう場合には、国内的にもそういう体制が整っていなければならぬと思う。それが主食を初め、農産物の場合は、支持価格等でかなりに強い統制が行なわれているわけなんです。この経済を無視して貿易・為替を自由化しても、どうしても体質的にいって私は欠けているものがあると思うのですが、あなたの方の関係から見て、農業政策というものをどういうふうにお考えになっておられましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/105
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106・大堀弘
○大堀政府委員 やはり農業所得の伸びが低い、しかも農村に非常に就業者の数が多いということがありますので、これが今日として一番われわれとしては考慮しなければならぬ点ではないかと思っております。ただ農産物につきましては、御承知のように主食及び油脂関係、あるいは砂糖及び澱粉等の関係について支持価格制度がございますが、支持価格制度という制度は自由化された場合でも、これは各国でもかなりよく行なわれておる制度でございます。支持価格が働いてくるような場合には、市場価格との関係で財政の問題が出てきますから、いろいろ検討しなければならぬ問題があると思いますが、私どもはやはり農産物については、支持価格制度というものは相当存続していかなければならぬ制度ではないか、かように考えております。ただ現在は、ある物資は支持価格以上に相当値段が高く上がっておりますが、逆にいいますと、外国から半値で入ってきても、国民にとっては支持価格以上につり上げられた価格で、非常に高いものを買わされておるということもありますので、その辺は考慮を要する問題ではなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/106
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107・石山權作
○石山委員 それから、これは経済企画庁がおいでになると一番いいのですが、あなたは調整の関係ですから、あなたの方からもお聞きを願った方がいいと思うのですが、たとえば今自由化をされた場合困るという品目の中に、紙パルプのような品目がございます。そうした場合に、コストの引き下げを行なうというふうにいろいろ苦労をするわけなんです。努力をするでしょう。けれどもその努力には限界があるわけなんですね。たとえばこういう数字が出ております。今市場でポンド三十八円くらいで取引しているようです。これを三十二円ぐらいまで下げなければ外国品と対等にならぬ、一生懸命勉強しても三十六円ぐらいだろう、こう言っているのです。そうすると、あとの四円か三円は外国より割高だ、みすみす外国品が入ってくるのだ、こういうことが言い得るわけです。そこでそれを防ぐとすれば、どうしても為替の管理を行なうか、あるいはもっと体質が変化するまで年限を延ばすか、あるいはあなたがさっきおっしゃったように外国から安い木材でもうんすか入れて、いわゆる原料の値段の低下をはかる、あるいはまた想定されることは関税を外国品にかける、これは違うわけなんだ。ほんとうから言うと違うわけなんだが、そういう方法をとうざるを得ないのではないか。あなたの方では、そういう問題に対してはどういうふうな御指導をなさろうとしておるか。私実例をあげたのですかう、その実例によってお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/107
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108・大堀弘
○大堀政府委員 具体的にパルプの例につきましては通産省の方でやっておりますから、私も詳細は存じませんが、御指摘のように綿花、羊毛を自由化しますれば、やはりパルプは下げないと化繊の関係で困る。パルプが高いのは何かというと、結局木材の価格が高い。従いまして木材価格をいかに国内で下げるかという問題が一つございましょうし、あるいは輸入が可能であるかどうかということもございましょうし、その合理化によって輸入パルプ等の価格をできるだけコンピッティングに持っていってもういたい、これが当然の方向だと思いますが、どうしてもいかない場合に一体これをどうするかということになりますと、結局原料でございますから、やたらに関税をかけて全体のコストを上げてもよろしくないことでございますから、そこは関税で参りますか、あるいは国内の買付等の方法についてある程度特別な方法を講ずるか、そういう面で暫定的にはある程度の調整措置をとらなければならないだろう、かように考えております。長期的にはだんだんその方向を改めていかなければならぬと思いますが、暫定措置は必要ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/108
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109・石山權作
○石山委員 私、この木材の問題について林野庁にもお聞きしたのですが、林野庁は木材の値段を下げるということはなかなか困難だというふうな態度です。石当たり百円か百五十円くらい、コストを下げるようの工夫をしなければ、工業用材としてこれからうまくないのではないか、そういうふうに申し上げたら、その分はとてもおれの方で下げられないとは申しませんでしたが、これは一つ関税の方で操作をしてくれ、こんな御意見です。この点はやはり私は指導する必要があると思うのです。自分の方はそのまま温存しておいて、問題を他の方へ転換して、そうして目前に迫っている業界の不満をば逃げよう、こういうことだ。それではいかぬと思うのです。たとえば木材なら木材に主眼点を置く産業に対しては、木材の値段を下げるという努力が行なわれなければおかしいと思うのです。たとえば林野庁の国有林の場合では、自分の方でやればコストが高くなるとすれば、これは思い切って開放するという手段がとられなければならぬだろうし、あるいはそのためには思い切った奥地の林道開発ということも行なわなければならぬはずだが、そういうことにおおむね目をふさいで他の方へ転換する。これは私はやはり十分考えていただいて、あなたの方からこの業界に対する、たとえばソーダの場合でも塩なら塩の問題が浮かんでくるわけでしょう。ビニールの場合には石灰石なら石灰石、カーバイドの問題が浮かんでくるわけです。だからそれぞれの品目において、ここはこれくらい努力しなさいというふうなことが指導されなければ、今言ったような格好で逃げてしまう。関税の方にいったら、関税をかけたらまたガットで怒られるじゃございませんか。何でも四%程度の今の輸入を上げれば対々になるからそっちの方をやれ、それではまた根本から離れてしまうわけでしょう。だからそういう努力を要する品目とその原料界、こういうものはマッチした形で指導されないと、おかしな格好になるようでございます。ですから私は今の場合申し上げたいことは、どうしましてもやらなければならぬものだとするならば、努めてこれは犠牲の少ない格好でやるようにしなければならぬ。そうしますとこういうことが言えると思うのです。いわゆる品目の解除も、摩擦のないような工夫の中で年数をかけて解除していく。為替も私はその通りだと思うのです。為替関係もそのような格好で相応じていく。関税の問題は、これは保護関税になると怒られるだろうと思うけれども、この問題もやはりそういう格好にならざるを得ないのではないか。
ここでやはり問題になるのは、私は外資導入だと思うのです。これは大蔵省の銀行局あたりにほんとうは話をした方が、あるいはいいかもしれませんけれども、外資導入に無抵抗であれば、私たちのいわゆる国民感情としてはちょっと許せないものがあるのではないか。これは石油関係を見ても、相当の重役は外人に占められてしまっている。これはたしか大手のうち外資が入ってないのは一つで、あとは半分以上というところが多いようでございます。これはもちろん占領政策等によって石油会社がずっとこわされて、そのあとの再建のため等も考えられましたけれども、そういう格好を見ていると、実際外資導入はありがたいやらおそろしいやらですよ。そのおそれる方を、私の方では言っているわけです。あなたの方では、外資導入をうれしいというような感じで見ているわけでしょう。たとえば金が潤沢に使われるという一つの利点、もう一つはそのことによって国内の利子が調整できるだろう、利子引き下げ論の一つのつっかい棒をする。私の方はそれは見ていますけれども、もっと別な面で心配しているわけです。今大会社の社長さんになるには、持ち株三%ぐらいあればいいと言っているのです。それをむぞうさにやられてしまうと——それは簡単にいかぬと思うのだが、取得する株数というものは大へんな問題だと思うのです。そういう点もやはりこの際十分考えていただきたいと思います。
最後に、これは体質改善の問題になりますと、やはり租税等の問題もこの際検討しない限りは、体質改善に応じられないと思うのです。総合的なことを十分練り合わせて、熟するような態度からやっていただけばいいけれども、唐突という言葉を何べんも使うようだが、そういう側から見て十分に握り締めて、そうして熟した中から配分するという格好は、残念ながら今回とられていないわけです。しかもその旗上げが今すぐにも、来年の十月くらいでみなやってしまうのだというような旗上げをされたものだから、業界としてはほんとうに心配したと思うのです。あなたの御意見を聞くと、かなりよくなって問題が処理されるだろうと思うけれども、ただ考えたいととは、この新聞の切り抜きを見ても、日本の綿製品に対して付加税をアメリカでかけると言っているのです。そうするとある点では、せっかく自由化を行なって、安くやっても、こういう抵抗があるということもまた予知されるわけです。コストの引き下げの問題もけっこうですが、やはり私一番最初に言ったように、今までの産業人というものは、生産によるコストの引き下げということをおおむね上手にやってきた。そうするとやはり品物が過剰になるから、乱売の形で外国に行くだろうと思う。そうするとせっかく安く作って、いわゆる合理化をやって首を切ったり、あるいは低賃金で押えて、非難ごうごうの中で製品を安く売っても、外国から逆に抵抗を受ける。だからコストの引き下げに対しても、いわゆるそのめどということもやはり考えざるを得ないのじゃないか。こういうふうな新聞報道があれば、安いばかりが能じゃないということをはっきり明示されているわけです。
もう一つ、これはあなたの方の役目でないかもしれませんけれども、国内における市場の開拓ということを考えたあとで、対外の為替の自由化、貿易の自由化に向かわないと、ほんとうはうそなんです。西ドイツなんか特にそうだと言っておりますが、七割を国内市場によって需要を満たし、あとの三割ないし四割を外国に振り向ける、こういう体制をとっていると聞いていますが、そういう点も十分われわれとしては量産の場合に考える必要があるのではないか。これは私の意見ばかり申し上げるようですが、こういうのを産業界の中では要望しているわけなので、十分注意をしてやっていただきたい、こういうふうに申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/109
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110・福田一
○福田委員長 次会は来たる二十二日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X01819600318/110
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