1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月二十九日(火曜日)
午前十時五十七分開議
出席委員
委員長 福田 一君
理事 淺香 忠雄君 理事 岡崎 英城君
理事 高橋 禎一君 理事 高橋 等君
理事 前田 正男君 理事 石橋 政嗣君
理事 石山 權作君 理事 田万 廣文君
生田 宏一君 内海 安吉君
谷川 和穗君 富田 健治君
橋本 正之君 八田 貞義君
保科善四郎君 山口 好一君
久保田 豊君 杉山元治郎君
中原 健次君 山中 吾郎君
中村 時雄君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 楢橋 渡君
出席政府委員
総理府総務長官 福田 篤泰君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 小室 恒夫君
運輸事務官
(大臣官房長) 細田 吉藏君
運輸事務官
(自動車局長) 國友 弘康君
建設政務次官 大沢 雄一君
建設事務官
(大臣官房長) 鬼丸 勝之君
建設事務官
(計画局長) 關盛 吉雄君
委員外の出席者
農 林 技 官
(農地局建設部
長) 清野 保君
専 門 員 安倍 三郎君
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三月二十九日
委員大西正道君、岡良一君及び受田新吉君辞任
につき、その補欠として柳田秀一君、山中吾郎
君及び中村時雄君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
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三月二十六日
北海道開発局定員外職員の定員化に関する請願
(淺沼稻次郎君紹介)(第一四七九号)
同外一件(井岡大治君紹介)(第一四八〇号)
同(柏正男君紹介)(第一四八一号)
同(河上丈太郎君紹介)(第一四八二号)
同(上林與市郎君紹介)(第一四八三号)
同(北山愛郎君紹介)(第一四八四号)
同外一件(久保三郎君紹介)(第一四八五号)
同(黒田寿男君紹介)(第一四八六号)
同(小林正美君紹介)(第一四八七号)
同(小松幹君紹介)(第一四八八号)
同(佐々木更三君紹介)(第一四八九号)
同(阪上安太郎君紹介)(第一四九〇号)
同(田中稔男君紹介)(第一四九一号)
同(館俊三君紹介)(第一四九二号)
同(正木清君紹介)(第一四九三号)
同(三宅正一君紹介)(第一四九四号)
同(八百板正君紹介)(第一四九五号)
同(安井吉典君紹介)(第一四九六号)
同(山中日露史君紹介)(第一四九七号)
同外一件(椎熊三郎君紹介)(第一五七九号)
同外一件(竹内俊吉君紹介)(第一五八〇号)
同(寺島隆太郎君紹介)(第一五八一号)
同外一件(丹羽兵助君紹介)(第一五八二号)
同(井岡大治君紹介)(第一六四三号)
同(岡本隆一君紹介)(第一六四四号)
同(島口重次郎君紹介)(第一六四五号)
同(中原健次君紹介)(第一六四六号)
同(丹羽兵助君紹介)(第一六四七号)
同(松浦周太郎君紹介)(第一六四八号)
同(八百板正君紹介)(第一六四九号)
同(山中日露史君紹介)(第一六五〇号)
同(飛鳥田一雄君紹介)(第一七五四号)
同(岡田春夫君紹介)(第一七五五号)
同(薄田美朝君紹介)(第一七五六号)
同(鈴木茂三郎君紹介)(第一七五七号)
同(田中正巳君紹介)(第一七五八号)
同(館俊三君紹介)(第一七五九号)
同外一件(中原健次君紹介)(第一七六〇号)
同(永井勝次郎君紹介)(第一七六一号)
同(安井吉典君紹介)(第一七六二号)
同外一件(山中日露史君紹介)(第一七六三
号)
同(横路節雄君紹介)(第一七六四号)
建設省定員外職員の定員化に関する請願(淺沼
稻次郎君紹介)(第一四九八号)
同(井岡大治君紹介)(第一四九九号)
同(石川次夫君紹介)(第一五〇〇号)
同(神近市子君紹介)(第一五〇一号)
同(北山愛郎君紹介)(第一五〇二号)
同(小林正美君紹介)(第一五〇三号)
同(館俊三君紹介)(第一五〇四号)
同(西村力弥君紹介)(第一五〇五号)
同(堀昌雄君紹介)(第一五〇六号)
同(正木清君紹介)(第一五〇七号)
同(三鍋義三君紹介)(第一五〇八号)
同(三宅正一君紹介)(第一五〇九号)
同外二件(山中日露史君紹介)(第一五一〇
号)
同(横山利秋君紹介)(第一五一一号)
同外四件(逢澤寛君紹介)(第一五八三号)
同(新井京太君紹介)(第一五八四号)
同外一件(倉成正君紹介)(第一五八五号)
同外一件(竹内俊吉君紹介)(第一五八六号)
同外一件(寺島隆太郎君紹介)(第一五八七
号)
同外一件(二階堂進君紹介)(第一五八八号)
同外一件(丹羽兵助君紹介)(第一五八九号)
同外一件(原健三郎君紹介)(第一五九〇号)
同外一件(堀川恭平君紹介)(第一五九一号)
同外一件(柳谷清三郎君紹介)(第一五九二
号)
同外三件(飛鳥田一雄君紹介)(第一六五一
号)
同(井岡大治君紹介)(第一六五二号)
同(石山權作君紹介)(第一六五三号)
同(石村英雄君紹介)(第一六五四号)
同(柏正男君紹介)(第一六五五号)
同(神近市子君紹介)(第一六五六号)
同(神田大作君紹介)(第一六五七号)
同(河野密君紹介)(第一六五八号)
同外十件(小坂善太郎君紹介)(第一六五九
号)
同(小林正美君紹介)(第一六六〇号)
同外四件(小山長規君紹介)(第一六六一号)
同外一件(阪上安太郎君紹介)(第一六六二
号)
同(島口重次郎君紹介)(第一六六三号)
同(館俊三君紹介)(第一六六四号)
同外五件(中澤茂一君紹介)(第一六六五号)
同(中原健次君紹介)(第一六六六号)
同(正木清君紹介)(第一六六七号)
同(三宅正一君紹介)(第一六六八号)
同(山中吾郎君紹介)(第一六六九号)
同(山中日露史君紹介)(第一六七〇号)
同(赤澤正道君紹介)(第一七六五号)
同(淺香忠雄君紹介)(第一七六六号)
同(石山權作君紹介)(第一七六七号)
同(石村英雄君紹介)(第一七六八号)
同(大野市郎君紹介)(第一七六九号)
同(大森玉木君紹介)(第一七七〇号)
同(加藤常太郎君紹介)(第一七七
一号)
同(亀山孝一君紹介)(第一七七二号)
同(川野芳滿君紹介)(第一七七三号)
同(木村武雄君紹介)(第一七七四号)
同(倉成正君紹介)(第一七七五号)
同(纐纈彌三君紹介)(第一七七六号)
同(河野密君紹介)(第一七七七号)
同(阪上安太郎君紹介)(第一七七八号)
同(多賀谷真稔君紹介)(第一七七九号)
同(田中角榮君紹介)(第一七八〇号)
同(高橋英吉君紹介)(第一七八一号)
同(竹内俊吉君紹介)(第一七八二号)
同(館俊三君紹介)(第一七八三号)
同(津島文治君紹介)(第一七八四号)
同(徳安實藏君紹介)(第一七八五号)
同(中曽根康弘君紹介)(第一七八六号)
同(中原健次君紹介)(第一七八七号)
同(中村幸八君紹介)(第一七八八号)
同(中山マサ君紹介)(第一七八九号)
同(丹羽兵助君紹介)(第一七九〇号)
同(羽田武嗣郎君紹介)(第一七九一号)
同(橋本正之君紹介)(第一七九二号)
同(原健三郎君紹介)(第一七九三号)
同(平野三郎君紹介)(第一七九四号)
同(廣瀬正雄君紹介)(第一七九五号)
同(福家俊一君紹介)(第一七九六号)
同(藤本捨助君紹介)(第一七九七号)
同外一件(古井喜實君紹介)(第一七九八号)
同(堀川恭平君紹介)(第一七九九号)
同(正木清君紹介)(第一八〇〇号)
同(増田甲子七君紹介)(第一八〇一号)
同(松本俊一君紹介)(第一八〇二号)
同(三田村武夫君紹介)(第一八〇三号)
同(三宅正一君紹介)(第一八〇四号)
同(柳谷清三郎君紹介)(第一八〇五号)
同(山中吾郎君紹介)(第一八〇六号)
同(山中日露史君紹介)(第一八〇七号)
同(山本猛夫君紹介)(第一八〇八号)
建設省、北海道開発局及び運輸省港湾建設局定
員外職員の定員化に関する請願(淺沼稻次郎君
紹介)(第一五一三号)
同(井岡大治君紹介)(第一五一四号)
同(柏正男君紹介)(第一五一五号)
同(河上丈太郎君紹介)(第一五一六号)
同(上林與市郎君紹介)(第一五一七号)
同(北山愛郎君紹介)(第一五一八号)
同(久保三郎君紹介)(第一五一九号)
同(黒田寿男君紹介)(第一五二〇号)
同(小林正美君紹介)(第一五二一号)
同(小松幹君紹介)(第一五二二号)
同(佐々木更三君紹介)(第一五二三号)
同(阪上安太郎君紹介)(第一五二四号)
同(田中稔男君紹介)(第一五二五号)
同(館俊三君紹介)(第一五二六号)
同(正木清君紹介)(第一五二七号)
同(三宅正一君紹介)(第一五二八号)
同(八百板正君紹介)(第一五二九号)
同(安井吉典君紹介)(第一五三〇号)
同(竹内俊吉君紹介)(第一五九六号)
同外一件(寺島隆太郎君紹介)(第一五九七
号)
同外一件(柳谷清三郎君紹介)(第一五九八
号)
同(淺沼稻次郎君紹介)(第一六八六号)
同(飛鳥田一雄君紹介)(第一六八七号)
同(井岡大治君紹介)(第一六八八号)
同(今松治郎君紹介)(第一六八九号)
同(岡本隆一君紹介)(第一六九〇号)
同(柏正男君紹介)(第一六九一号)
同(薄田美朝君紹介)(第一六九二号)
同(北山愛郎君紹介)(第一六九三号)
同(黒田寿男君紹介)(第一六九四号)
同(倉成正君紹介)(第一六九五号)
同(河野密君紹介)(第一六九六号)
同(小松幹君紹介)(第一六九七号)
同(佐々木更三君紹介)(第一六九八号)
同(阪上安太郎君紹介)(第一六九九号)
同(島口重次郎君紹介)(第一七〇〇号)
同(館俊三君紹介)(第一七〇一号)
同(中澤茂一君紹介)(第一七〇二号)
同(中原健次君紹介)(第一七〇三号)
同(三宅正一君紹介)(第一七〇四号)
同(山中吾郎君紹介)(第一七〇五号)
同(淺沼稻次郎君紹介)(第一八二六号)
同(井岡大治君紹介)(第一八二七号)
同(岡本隆一君紹介)(第一八二八号)
同外一件(柏正男君紹介)(第一八二九号)
同外一件(北山愛郎君紹介)(第一八三〇号)
同(黒田寿男君紹介)(第一八三一号)
同(小松幹君紹介)(第一八三二号)
同(櫻井奎夫君紹介)(第一八三三号)
同(多賀谷真稔君紹介)(第一八三四号)
同外一件(館俊三君紹介)(第一八三五号)
同外一件(三宅正一君紹介)(第一八三六号)
同外一件(山中吾郎君紹介)(第一八三七号)
運輸省港湾建設局定員外職員の定員化に関する
請願(淺沼稻次郎君紹介)(第一五三一号)
同(井伊誠一君紹介)(第一五三二号)
同(井岡大治君紹介)(第一五三三号)
同(石川次夫君紹介)(第一五三四号)
同(神近市子君紹介)(第一五三五号)
同(川村継義君紹介)(第一五三六号)
同(北山愛郎君紹介)(第一五三七号)
同(小林正美君紹介)(第一五三八号)
同(佐々木更三君紹介)(第一五三九号)
同(櫻井奎夫君紹介)(第一五四〇号)
同外一件(島口重次郎君紹介)(第一五四一
号)
同(杉山元治郎君紹介)(第一五四二号)
同(田中稔男君紹介)(第一五四三号)
同(館俊三君紹介)(第一五四四号)
同(芳賀貢君紹介)(第一五四五号)
同(正木清君紹介)(第一五四六号)
同(安井吉典君紹介)(第一五四七号)
同(山中日露史君紹介)(第一五四八号)
同(長谷川峻君紹介)(第一五九九号)
同外一件(原健三郎君紹介)(第一六〇〇号)
同(河野密君紹介)(第一七〇六号)
同(小林正美君紹介)(第一七〇七号)
同(櫻井奎夫君紹介)(第一七〇八号)
同(島口重次郎君紹介)(第一七〇九号)
同(館俊三君紹介)(第一七一〇号)
同(安井吉典君紹介)(第一七一一号)
同(山中吾郎君紹介)(第一七一二号)
同(山中日露史君紹介)(第一七一三号)
同(河野密君紹介)(第一八三八号)
同(周東英雄君紹介)(第一八三九号)
同(原健三郎君紹介)(第一八四〇号)
同(山中日露史君紹介)(第一八四一号)
公務員の賃金引上げに関する請願(下平正一君
紹介)(第一五四九号)
同(多賀谷真稔君紹介)(第一五五〇号)
行政機関定員外職員の全員定員化に関する請願
(山本幸一君紹介)(第一五五一号)
同(青木正君紹介)(第一六七五号)
同(井岡大治君紹介)(第一六七六号)
同(岡本隆一君紹介)(第一六七七号)
同(加賀田進君紹介)(第一六七八号)
同(柏正男君紹介)(第一六七九号)
同(小林正美君紹介)(第一六八〇号)
同(阪上安太郎君紹介)(第一六八一号)
同(成田知巳君紹介)(第一六八二号)
同(堀昌雄君紹介)(第一六八三号)
同外一件(正木清君紹介)(第一六八四号)
同(山口六郎次君紹介)(第一六八五号)
同(板川正吾君紹介)(第一八一一号)
同(岡田春夫君紹介)(第一八一二号)
同(勝間田清一君紹介)(第一八一三号)
同(金丸徳重君紹介)(第一八一四号)
同(久保田豊君紹介)(第一八一五号)
同(佐藤觀次郎君紹介)(第一八一六号)
同(田中武夫君紹介)(第一八一七号)
同(楯兼次郎君紹介)(第一八一八号)
同(中井徳次郎君紹介)(第一八一
九号)
同(中島巖君紹介)(第一八二〇号)
同(中原健次君紹介)(第一八二一号)
同(西村力弥君紹介)(第一八二二号)
同(松平忠久君紹介)(第一八二三号)
同(柳田秀一君紹介)(第一八二四号)
同(山中吾郎君紹介)(第一八二五号)
旧軍人恩給の加算制復元に関する請願外二件(
石坂繁君紹介)(第一五六九号)
同(小川平二君紹介)(第一五七〇号)
同(福永一臣君紹介)(第一五七一号)
同外二件(大久保武雄君紹介)(第一六四〇
号)
同(川崎末五郎君紹介)(第一六四一号)
同(前尾繁三郎君紹介)(第一六四二号)
同外二件(渡海元三郎君紹介)(第一七五〇
号)
同(岡本茂君紹介)(第一七五一号)
同(原健三郎君紹介)(第一七五二号)
同外一件(坊秀男君紹介)(第一七五三号)
建国記念日制定に関する請願(菊池義郎君紹
介)(第一五七二号)
同外十七件(富田健治君紹介)(第一五七三
号)
同外八件(原田憲君紹介)(第一五七四号)
同(福家俊一君紹介)(第一五七五号)
同外六件(前田正男君紹介)(第一五七六号)
同(松岡嘉兵衛君紹介)(第一五七七号)
同外二件(橋本正之君紹介)(第一六三八号)
同外三件(野田卯一君紹介)(第一六三九号)
同外八件(押谷富三君紹介)(第一七四〇号)
同外四件(簡牛凡夫君紹介)(第一七四一号)
同外五十八件(菅野和太郎君紹介)(第一七四
二号)
同外三件(久野忠治君紹介)(第一七四三号)
同外二百二十九件(纐纈彌三君紹介)(第一七
四四号)
同外九件(進藤一馬君紹介)(第一七四五号)
同(渡海元三郎君紹介)(第一七四六号)
同外三十二件(中村幸八君紹介)(第一七四七
号)
同外九件(野田武夫君紹介)(第一七四八号)
同外三件(古川丈吉君紹介)(第一七四九号)
建設省地理調査所定員外職員の定員化に関する
請願(倉成正君紹介)(第一五九三号)
同(竹内俊吉君紹介)(第一五九四号)
同(丹羽兵助君紹介)(第一五九五号)
同(飛鳥田一雄君紹介)(第一六七一号)
同(神近市子君紹介)(第一六七二号)
同(島口重次郎君紹介)(第一六七三号)
同(山中日露史君紹介)(第一六七四号)
同(神近市子君紹介)(第一八〇九号)
同(千葉三郎君紹介)(第一八一〇号)
としよりの日を国民の祝日に制定の請願外十件
(橋本龍伍君紹介)(第一六〇一号)
同(星島二郎君紹介)(第一六〇二号)
駒ヶ根市の寒冷地手当増額等に関する請願(小
川平二君紹介)(第一六〇三号)
奄美群島行政分離期間中の恩給年限通算に関す
る請願(保岡武久君紹介)(第一六〇四号)
寒冷地手当増額に関する請願(石山權作君紹
介)(第一七一四号)
同(栗林三郎君紹介)(第一七一五号)
同(石山權作君紹介)(第一八四二号)
農地被買収者問題調査会設置法案反対に関する
請願外一件(阪上安太郎君紹介)(第一七一六
号)
同(阪上安太郎君紹介)(第一八四三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一九号)
建設省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第九二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/0
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001・福田一
○福田委員長 これより会議を開きます。
建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を許します。中村時雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/1
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002・中村時雄
○中村(時)委員 先般までに大体この問題の付帯的な問題、あるいは機構の問題、また目的についてお尋ねをしたわけでありますが、まだまだその内容の中身で、いろいろな問題がありますので、きょうは電気の部面に対する問題、それから手続の問題、補償の問題、このような方向に進めていきたいと考えているわけであります。きょうは電気の方の局長も来ていらっしゃるので、まず電気の問題を一、二お聞きいたします。
まず第一に、土地収用法の第三条に、これは読めば非常に長いことになりますから、おそらくごらんになっていることと思いますので、全文は読み上げませんが、こういうことが書いてあります。公共の利益となる事業の規定には、公共的な目的を持っているが、法律の形式上では国または地方公共団体及び公社とは異なって、法的には一般の株式会社と同列のものが含まれている、このように私は見受けられるわけです。そこで法的という問題を取り上げた場合に、国または地方公共団体あるいは会社というものが中心であって、一般の営利会社、すなわち株式会社と同列になっておるということに対して、どのようなお考え方を持っておるか、お聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/2
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003・小室恒夫
○小室政府委員 これは電気事業が国民生活にとっても必需であり、また産業に動力原料を供給する基礎産業である。従いまして一般の私企業と異なって、電気に関する臨時措置法で運用しております。公共事業令によって、全面的に政府の監督に服しておる。料金はもちろんのこと、施設面その他についても非常に大きな制約をこうむっておりますが、これは公益事業の特質から、公共の利益に合致するように事業は運営されなければならない。そういう要請から出ておることでありまして、従いまして土地収用法に、政府、公共団体と並んで電気事業会社が対象になっておるというふうに了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/3
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004・中村時雄
○中村(時)委員 まことにその通りに表面的には見えるわけなんですが、しかし私はその立法上の公益を目的とするものと予想されておるところのこの規定の中に同列に取り扱うということは、一部のもののため、というよりも株主ですね。株主のためには多くの者の財産権が侵害されるという実例がそこにあると思うのです。そういうような事柄に対して、あなたはどうお考えになっていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/4
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005・小室恒夫
○小室政府委員 現在電気事業の大部分はいわゆる九電力、私営の株式会社でありまして、一割配当でございます。その一割配当を受ける株主は多数存在するわけでございますが、しかしながら経理面についても、実は非常に厳重な監督をいたしておりまして、利益金の処分その他ずいぶん、普通の会社ではやらないような立ち入った経理監査もやり、監督もやっておるわけでありまして、電気事業は単に利益を目的として、株主に配当をできるだけたくさんやることを目的として運営されるというようなことはございません。今の株主の利益のために一般人に損害を与えているというのはどういう事例か存じませんけれども、一般的にはそういう事例は存在しないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/5
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006・中村時雄
○中村(時)委員 では公債であるとか、あるいは株の値段が非常に暴騰しているとか、そういういろいろな経済的な現象に対してはいずれあとからお尋ねすることにして、私の言っていることは、たとえば電気にしても、ガスにいたしましても、その目的が公共であるという、そこまではいいのです。ところがそれから先になってくると、現実の問題としては、でき上がってしまったら、利益を得ることにほとんど主体がなっているのじゃないかというふうに考えられてくるわけなのです。その問題に関しては、いずれあとから資料なりいろいろな問題で御検討願いたい、こう思っております。
そこで私はそのような実例を言いましたが、事実卑近なところにもあるわけです。今私が言ったことが、どういうふうにその利益の内容の一部分に当てはまるかということをあなたに知らせておきたい。同時にあなたも知っていらっしゃると思うことは、たとえば愛媛県下において、私、調査した結果を見ますと、こういうことになっているのです。大体百五十軒を対象にしてやってみたわけですが、そうすると契約関係としてその実態がどうなっているかというと、そこでその電力会社と承知しているものがそのうちわずか五・一%です。それから全然何も知っていない者がどれくらいかというと、九四・九%です。それからこの補償の関係はどうなっているかといいますと、要するに土地の上に電線を引くわけですが、そのときの工事にあたってどういうふうになっているかといいますと、工事にあたって当事者に対する会社の態度はどうかといえば、了解をとりに来たものが一〇・二%、それから全然来ないものが八一・一%、そういう関係も何も知らないという農民が七・七%、だから実際には八九・八%は何も知らないということと同じです。会社は何も対象にしていなかった。ただ部分的にそう動いただけの話です。また高圧線下の土地使用料はどうなっているかというと、もらっているものはわずか五・二%です。もらっていないものが九四・八%です。これはよく頭に入れておいていただきたい。それからまた踏み荒らし料、要するに麦畑とかいろいろなところを踏み荒らしてやるわけですが、その踏み荒らしに対して補償契約の成立を主張しているように伝えられております。自分のところでは補償を払っているのだ払っているのだということを言っているけれども、実際には今言ったような状態で払っておらない。払っておらないということは何を意味しているかというと、その農民の持っているところの私有権というものを完全に軽視している状態になっていはしないか、私はそういうふうに思っておる。だからそういう点もあわせてよく考えておいていただきたい。それで今の実態に関しまして、愛媛県におきまして非常に問題になったこと、これはあなた方御記憶があると思う。そういう場合、あなた方はどういうお考えを持っておるか。さっき言ったように公共を目的とすると言いながら、実際の利益をいろいろ出してくる。その原因の一つの中には、こうやって農民の中から非常に大きな犠牲を払わしながら、実際に取り上げているということも言い得ると私は思う。そういう点に関してあなた方は、会社にどういう考え方を持っていらっしゃるか。あなた方は今りっぱなお言葉を使われましたが、現実の問題としてこういう問題があるわけだ。それに対してはどういう処置、あるいはどういう考え方を持っていらっしゃるかをお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/6
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007・小室恒夫
○小室政府委員 愛媛県の事例も、相当問題がありましたからある程度承知しておりますけれども、全国的に申しましても、実は高圧線下の補償をやっている事例はむしろ少ないのであります。これは事実だから申し上げるわけであります。これは一つは、高圧線の線下において山林等がある場合に、伐採をときどきしなければならぬというような現実の実害があります。一般の農耕地でありますと、鉄塔が据え付けられている場所、これは論外でありますが、線下にあるということだけで、どれだけ実害があるかということについては若干の議論はありますが、あまりないという方に傾いているわけであります。そういうような実情から、従来は線下補償というものは、特に農地が宅地になるとか、そういう可能性の多い地域については、その下に住宅は建てられませんから、そういう意味で別の問題が生じておりますけれども、一般の補償の対象としては、線下の補償ということは従来は実はあまり行なわれていなかった。従いまして愛媛県の事例においても、線下という問題になりますと、かなりそういった事例があったと思います。それから実害がある場合には、いつでもこれを補償するというような話し合いになっております。大体近ごろの場合は、何か害が起これば、それは必ず適当な補償をするというような話し合いが行なわれていることも、むしろ例が多いのであります。ところで、送電線あるいは配電線でもそうでありますが、それらの関係者に、できるだけ心持よく土地を提供してもらうというような意味で、補償をたくさんやれば、それは一面大へんけっこうだと思いますけれども、他面それが電気のコストにはね返りまして、一般の料金の原価の高騰になりますので、やはり公共のために運営する電気事業というものの性格といたしまして、補償の面だけを手厚くするということだけを考えられない面があります。関係者の間には、相当の補償をしても実は不満があるでありましょうし、いわんや補償してないところにはいろいろな不満があることは承知しておりますけれども、この辺は適当なバランスを考えて処理しなければならぬというふうに考えております。そうなると、具体的な事例についての個々の話し合いの結果、まとまった線というようなことに落ちつくのは現実の姿でございます。それが実情でございます。また急速にこれをどうごうという線がなかなか打ち出しにくいというのが、私どもの実際の立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/7
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008・中村時雄
○中村(時)委員 ということは、たとえばあるところでは先ほど言ったようにもらっている、あるところではもらっていない。しかも原則として公共事業であるからというので、有利な立場だけはとらせていただく。それはほんとうのところ農民の立場からいう場合には、私は問題が起こってくると思う。これが地域的に見た場合、たとえば関東と四国、九州、こういうことになってくると連絡がとれない。そのために小さな一部分においてすらも、今言ったような補償をもらっているところと、もらってないところがあるわけだ。そうするとかえって分化を非常に激烈にして、農民間の中で問題を起こさすようなおそれが出てくるわけです。これは御承知の通りだと思う。そういうことに関して、少なくとも基本的にあなた方が今言ったような公共のものというような立場をとらしている以上は、またそれに有利な条件を与えている以上は、そういう補償というような問題に関しても、ある程度の基本線だけは考えなければならぬところにきているのではないかと私は思う。それに対してあなた方も同様な意見を持っていらっしゃるかどうか、その点をお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/8
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009・小室恒夫
○小室政府委員 補償問題につきましては、関係者に対し適正な補償をするということが必要でありますけれども、実は他面から申すと、そちらの御質問に対して議論をするわけではありませんけれども、相当法外の補償を要求されて、電気会社として非常に困るような場合も間々あるわけでございます。ですから被害者に対して補償を適正にやらなければならぬことは当然であります。また同時にあまりに不当な補償を要求せられないような態勢になることが望ましいわけでございますから、両全をはかる意味で制度を合理化する必要が非常にございます。昭和三十三年の八月に、私どももそういうことを研究する目的で補償問題研究会などというものを省内に設けて、実はいろいろ過去の事例も当たり、理屈の上でもどうこうしたらいいということを非常に議論を重ねておりますけれども、ただ先ほど申したように、これはなかなか一律の理屈でもって処理できない面があるものでありますから、まだ十分な結論を得ておらない、そういう段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/9
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010・中村時雄
○中村(時)委員 たとえば農民の方では一つの交渉団体というものも、今のところはないのです。労働組合ならあります。しかし労働組合がかける場合も、こんなことを言ってはどうかと思いますけれども、たとえば二カ月分なら二カ月分よこせといって一・八カ月分でおさまる場合もあるし、いろいろな問題があるわけです。それは正規の交渉団体としての一つの方向が確立されているからなんです。スト権の問題にしても、団体交渉権の問題にしても、そういう一つの権利がある。ところが農民はそういうものは何にもないわけです。そうでしょう。だからあなた方が自分の勝手な方向に物事の最終段階を取り上げるような状態になってきやすい。そこであなた方がそういう今言ったような補償に対するところのいろいろな研究機関を設けてどうしようということはけっこうだと思う。また一方から見れば、確かに補償は自分たちのより以上の要求をすることもあるでしょう。また会社側としてはより下回るようにものの考え方を打ち出すということもあるでしょう。そういうことを考えていった場合に、たとえばそれらに伴うところの調査会を作るなり、あるいは交渉をするところの対象を、プールを作っていって話し合いをさす、そういうようなものを作るなり、いろいろな方法があると思うのです。しかしそのことは、問題としては、各地区がアンバランスになっている今の状態を早くバランスをとらないと、実際の問題としては問題が起こってくるわけです、農民としては……。だから実際の部落と——ある部落はもらっているところもあり、また隣の部落はもらってないということになれば、これは部落同士の感情が出てくるわけです。そういうことは厳に私は考えていただきたい。あなた方がそういう意味におけるところの調査会を作って、鋭意研究を続けておると言いますけれども、その研究が非常に長引けば、この研究は一つも意味をなさない。そこで一つの目途をどの程度に置いて大体考えていらっしゃるかをお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/10
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011・小室恒夫
○小室政府委員 ただいまの例で言いますと、一般補償という観念になりますけれども、一般補償の基準というものについては、大体の方向というものは出てきているわけでございますけれども、ただ問題は作文ではなくて、それを作文が現実にどの程度に適用し得るものか、はなはだ自信のない言い方でなんでありますけれども、実際の過去の補償に関するいろいろな事例に当たってみますと、理屈でいいというだけのことでも、なかなか現実に当てはまらぬのではないか、その辺の点がありますので、さらに研究を重ねて参りたいと思うのでありますが、もう一年くらいの期間のうちにどこまでまとめられるものか、できるだけまとめる努力をしてみたいというのが考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/11
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012・中村時雄
○中村(時)委員 そうすると、一般補償の問題に関する今の高圧線下の問題とか、そういうものを含めて、まあ一年間くらいで考えてみたい、私はそれを了といたしましょう。しかし事実できる限り早急に基本的な問題の取り上げ方をやっていただきたい、これはおそらく全国におけるところの農民が私は期待していると思うのです。まだ今までそういうような発表の仕方もしなかったから、非常に不安動揺している人たちも、そのことによっての見つめ方を私ははっきりするであろう、こう思うので、善意に解釈いたしましてその問題はこの程度にしておきます。
それと同時に、もう一つ電力事業の問題に関しまして、昭和三十四年九月の決算期にあたり公表しておりますが、その公表の中を見ますと、東京電力が十六億一千万円、それから中部電力が九億一千万円、北陸電力が九億一千万円、関西電力が十一億七千八百万円、中国電力が六億四千九百万円、四国電力が二億六千六百万円、九州電力が八億八千九百万円、すなわちこれは四月から九月分の間になっております。そうすると全体を見ても八十億からの利益が上がっておる。そうでしょう。そういたしますとこれらの利益は上がる。公共団体だといって有利な立場をとっているけれども、そのことが可決されるやいなや、今度は利益会社になってくるわけです。その利益会社に対して、結果においてそういう擁護の仕方というものがあるかどうか。それからもう一つは、そういう利益が自然現象として行なわれてくるなれば、今言ったように土地収用法の中に一般の公共事業体として、それを同列に作っていくことがいいか悪いか、そういう問題が起こってくるわけなんです。
そこで今長官がいらっしゃいましたので、長官にお尋ねしたいのは、先ほど私がちょっとお尋ねしたのですが、長官いらっしゃらなかったのですが、そのような名目的には、確かに立法上からいくと公益ということの打ち出しをしているけれども、それができ上がってしまうと、結果においては今言ったような利潤を追求するような方向が出てくる。実際に利潤がこれだけ出ておる、こういう結果が出てくるわけです。——いいですか、こっちの話が済んでからよくお聞きになってもけっこうです。何も時間をあせっておりはしませんから……。そこで同列に取り扱うという、そういうことがはたして正しいかどうか、そういうような私企業の会社の、そういう利益配分のうんとあるようなところをこの土地収用法の中において、公共の事業という目的のためにおいて、公共の利益になるからということによって、どう言いますか、公社とあるいは国が直営しておるようなところと、同列系統に置いていく必要性があるかどうかという問題が起こってくるわけなんです。その点に関してどういうようにお考えを持っておりますか。ゆっくり相談して下さい、これはけっこうですから。——私の言うのは、こういうことを言っているのです。これは反対になりますけれども、では私の方から説明します。土地収用法の第三条に、公共の利益となる事業の規定には、公共的な目的を持っているけれども、法律の形式上では国または地方公共団体及び公社と異なって、一般の電力会社だとかガス会社だとか、そういうものが入っているわけなんです。これは第三条を読まれたらわかります。わからなかったら全部読み上げますが、私はおわかりだと思って、あなたもその勉強はしていらっしゃると思うから申さないだけなんです。そういうことが出ているわけです。そこで一般の公共ということを目的にしておきながら、その事業がいよいよ着手されてしまった結果においては、たとえば電気会社なんかは膨大な利益を持っているわけです。今四月から九月までが八十億くらいあるとはっきり出ているわけです。公示しているわけです。だからそういうような利益が出ておるわけですね。そういうような利益のある個人会社を、このような土地収用法、あるいは今度調査会ができて、たとえば法案を変えようというような場合においても、依然としてその中に入れるかどうかということを私が質問しているわけです。——それはあなたの考えです。事務局の考えではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/12
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013・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御質問の趣旨は、おそらく所管の関係から申しまして建設大臣または通産大臣から答弁を聞いていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/13
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014・中村時雄
○中村(時)委員 この問題はそれでけっこうです。ただしあなたも内閣の重要なポストを占め、将来大物になろうというような人物なんです。その方が、ともかく内閣の行政官の長なんです。そうでしょう。その総務長官たる者は、自分のところの委員会で提案されているものならば、そのくらいのことは今後は勉強しておいてもらいたい。そのことだけを申し上げて、そのことは了解いたします。
それでは次に手続の問題に入っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/14
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015・久保田豊
○久保田(豊)委員 関連して。通産省の公益事業局長に一つだけ御質問をいたしますが、ただいま同僚中村委員から出ましたように、高圧線その他の補償の問題、これは全国的な問題になっている。電力会社も通産省の方も、これに対する科学的な調査というものは、今まで権威ある調査をやっているのですか。やって、もしもまとまったらその資料を出していただきたい。今までわれわれがいろいろとあちこちの実例にぶつかった範囲においては、ほとんど科学的な調査をしておらない。さっきお話のあったように、高圧線下においてはたして減収になるかならないかといういろいろの議論のあることは、われわれも承知しておる。しかし大体において、農民の経験的な事実から言いますと被害があります。ものによって違いますけれども、減収になっておる。そういう点について、少なくとも農林省その他としっかり連携をとった科学的な調査をいまだかつてしたことがあるかどうか。今までわれわれは不幸にしてしたということを聞いておらない。またその調査をしたならば、その結果は一つ資料として出してもらいたい。それでなければ、一年後には解決するなんて言っても、この解決というものは要するに、主として電力会社の利益を中心としたいいかげんな解決になる危険性が非常に多いと思う。ですから繰り返して申しますが、ほんとうに権威のある科学的な調査をしたのかどうか。もしして結果があるとするならば、その結果をここで資料として公表して出してもらいたい。この二点はどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/15
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016・小室恒夫
○小室政府委員 先ほど申し上げたように、補償問題について理論的、実際的な研究を三十三年の八月からやり始めておりますが、その中でお尋ねの線下の補償の問題は特にむずかしい問題でもありますので、実は大学の先生、あるいは農事試験場の関係、こういうようなところの中立的な学識経験者の意見も徴しながら、各電力会社でもっていろいろ具体的な事例について研究を重ねております。現在調査中でありまして、その結果が出て参りますれば、今の補償の一般の問題とあわせて、できるだけ早い機会に結論を出したいと思いますけれども、ただ冒頭に申したように、実はこれはなかなか簡単に割り切れた結論の出にくい問題であるということも事実でありますので、今後できるだけ詰めて参りたいということを申し上げるにとどめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/16
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017・久保田豊
○久保田(豊)委員 今のお答えの中でおかしいと思うのです。補償を出す方の電力会社が学者なんかに協力さして調査して、はっきりした結論が出るはずがないじゃないですか。政府が責任を持って、通産省なり農林省なりがはっきり責任を持って、学識経験者なりなんなりがやって調査をするならまだしも、電力会社にやらして、それに学識経験者、御用学者が、しかもほんとうの調査でなくて、意見を徴するという程度で問題は片づくはずはないじゃないですか。はっきり通産省なり農林省なりその他の関係官庁で、ほんとうに権威の持てるような調査機構を作って、現地の実態をはっきり把握してやるというなら話はわかる。ところが今のお答えではそれと全く逆で、要するに今のお答えでは、電力会社がそういう線下補償その他の問題になるべく安く、いいかげんに踏み倒しをしようとする資料を作るのは、結論を聞かなくてもわかっている。そういう意見もあります。よく電力会社等でどこどこの大学の先生の意見を聞いたら、被害がないそうだ、だから払わない、そういうことを言っておるじゃないですか。そういうことをまとめてみても何にもならない。だからここでお願いしたいことは、少なくも通産省は農林省なりと一つはっきり打ち合わせをして、電力会社と一面において離れたはっきりしたこれに対する科学的な調査、こういうものをする意図があるのかないのか。その調査の結果を早急に発表する意図があるのかないのか。この二点をあらためてお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/17
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018・小室恒夫
○小室政府委員 ただいまの問題を含めて補償の問題については調査を進める順序がございますので、いずれ通産省の考え方がまとまれば企画庁に持っていき、企画庁と意見調整をするという段階になって参ります。従いまして単に電力会社の調査だけをまるのみにすることではないということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/18
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019・中村時雄
○中村(時)委員 今公益局長は調査をするとおっしゃいましたが、三十三年八月からもうすでに現実に発足をしておるわけです。そこでそういうような機構の構成、それからメンバー、そういうものは一体どういうふうになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/19
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020・小室恒夫
○小室政府委員 これは実は変な話ですが、私が委員長で内部でもっていろいろな従来の資料を集めて、そして研究しておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/20
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021・中村時雄
○中村(時)委員 そうすると経費はどういうふうにしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/21
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022・小室恒夫
○小室政府委員 これは役所の人間を主として使って、それから外の人にも資料を出してもらい、それから知恵も借りるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/22
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023・中村時雄
○中村(時)委員 役所の人間を主として使って資料を出してもらうということになると、資料を出してもらう対象というものはどういうところに重点を置いておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/23
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024・小室恒夫
○小室政府委員 これは電気関係の研究所のようなものもあります。それから具体的な事例についてはむろん電力会社からも電源開発株式会社からも取っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/24
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025・中村時雄
○中村(時)委員 そうするとその重点は電力会社なりあるいはそれに付帯するところの研究所なりとすれば、農民の実際の経験からくるところの問題であるとか、そういうような問題が全部ないがしろになってしまって、先ほど久保田委員の言ったようないろいろな疑義が生まれてくる、私はそう思うのです。だから当然その問題はもう少し大きく幅をとって、たとえば農地問題に関しましては農林省であるとか、そういう厳然たるものにしてはっきりした態度をとられる意思を持っておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/25
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026・小室恒夫
○小室政府委員 先ほど申したように、これは私どもの案ができますと経済企画庁の方に移して、そこで企画庁との間で十分討議してもらうような段階にもなります。まず私どもの腹がまえを作りたいということでやっておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/26
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027・中村時雄
○中村(時)委員 だからその腹がまえを聞いておるわけです。あなた方がそういう考え方を持って、ほんとうにはっきり打ち出してみようというなれば、働き方が違うわけです。ただ今言ったように電力会社の研究機関であるとか、あるいは会社からそういう資料だけをもらって、そしてそれによって結論をつけるということになれば、非常に疑義を持ってくる。そこであなた方が農林省であるとかあるいは試験場であるとか、そういうようなところからの資料も同様に提出してもらって、そうしてあなた方の腹がまえをきめるというならまた別ですけれども、そういうことを度外視しておって、ただ一方的な事業関係のみに片寄った資料をもって、そうして結論をつけていこうということになれば、それ以外にはあなた方はわからないのだから、あなた方の腹がまえははっきりしている。そうでしょう。だからあなた方の腹がまえは、そういうようなところまで多角的に考えていこうとして、そして一つの基本を作ろうとしておるのか。すなわち企画庁に持っていっても、必ず農林省やそういうものを入れて、別の角度から全体の問題とにらみ合わせて取り上げようとしておる腹がまえを持っているのか、そのことをお聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/27
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028・小室恒夫
○小室政府委員 先ほどから申しております通り、企画庁に持っていって、そこで関係各省の意見を十分反映さして、そして政府としてこういう方向に進むべきだという進路が見出されれば、一番けっこうだと考えておるわけであります。決して各省の意見を排除して、私どもの立場だけで考えておるわけではございません。また今まででも、実はわかっておる限りにおいては各省の意見等も参酌してやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/28
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029・久保田豊
○久保田(豊)委員 今の点に連関して通産省の当局にお尋ねするわけですが、通産省としては、企画庁を経由してもよかろうし、あるいは直接でもいいのですが、高圧線あるいはダム等による農林関係や水産関係の被害について、農林省に対して正規にこれの調査の要求なり、依頼なり、あるいは交渉をしたことがありますか。また農林省がそれに基づいて正規にこの問題を取り上げて、本格的な調査をしたことがありますか。あって、その結果が企画庁を通ずるなり、あるいは直接なりにあなたの方へ行ったことがありますか。私どもは不敏にしてまだ聞いておらない。民間ではあります。たとえばダムの構成によりまする上流の気象変化あるいは湿度変化等によって、林産関係あるいは農産関係にどういう被害が起こるかというような問題、あるいはダムによって下流の水が冷めたくなって、そのために受ける農作上の被害についての問題、これは吉岡金市博士の詳しい研究もあることは御承知かと思う。しかし少なくとも私どもが承知しておる範囲内においては、農林省はあなた方から正規に要求なり依頼なりを受けて、この問題と本格的に取り組んだことがないように承知しておる。それを、そういう事実をいいかげんにしておいて、あなたの方が電力会社や電力研究所から都合のいいような資料をとって、そうして官庁のいわゆる操作だけで、通産省と一応相談いたしましたなどということではこの問題は解決しない。ですからあなたがさっき一年以内に問題を解決すると言われたが、しかし私どもはこれに疑問を持っておる。何と言っても農業や林業その他に対する電力被害の正確な調査は、私どもが承知しておる限りにおいては、まだ官庁としてはできておらぬと思う。そのできておらぬ、基礎がはっきりしないものをみんなで相談して何を作りますか。そこでもって、一番最後に勝つものは何かといえば、電力会社や電力研究所のいいかげんなでたらめ調査が、結局優位を占めるにきまっておる。ですから、私がここでもう一度確かめておきたいのは、あなた方通産省として、そういう問題について企画庁を通すなり、あるいはあなた方の役所直接なりが農林省に対して正規にそういう調査の要求なり、依頼なりをしたことがあるのかどうか。またそれによって農林省の方はどの程度この問題と本気に取り組んで調査して、その結果が出ておるのかどうか。今後これに対してどういうふうにあなた方はやる気か。この三点をはっきりお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/29
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030・小室恒夫
○小室政府委員 ただいまのことは、正式に調査を依頼したことはございません。私どもの研究している成果が得ました場合には、これは各省に正式に意見を聞くことは当然でありますが、ただいまのところそういう事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/30
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031・中村時雄
○中村(時)委員 それでは一点お聞きしておきます。あなたは今農林省やそういうところもできる限り調査をして手入れをしておる、こう言っておられる。それはいつごろやりましたか。そうしてどういうデータが出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/31
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032・小室恒夫
○小室政府委員 事実補償問題は研究の対象が広範多岐にわたっておりますので、私直接にいつどういうことということをただいま御答弁できませんけれども、今まで進行している状況については、農林省とかあるいは建設省とか、そういうところへ連絡もしておりますから、その際向こうから意見を聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/32
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033・福田一
○福田委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/33
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034・福田一
○福田委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/34
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035・中村時雄
○中村(時)委員 それでは委員長の言に従って一応これで打ち切りますけれども、終わったのではないのですよ。継続をするということなんですよ。そういう意味で保留をいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/35
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036・福田一
○福田委員長 次に運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を許します。田万廣文君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/36
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037・田万廣文
○田万委員 一点、伺いたいと思います。今度のこの法案によりますと、本省の付属機関として自動車審議会を設けるということになっておりますが、私どものいろいろ調査した範囲内におきましては、運輸省並びに建設省、通産省、各省にいろいろな審議会ができておると存じております。これをこの際、経費の節約の点からいいましても、また最近自動車の増加によるところの事故防止の意味からいいましても、この各省にあるこれらの関係しておる審議会というものをば各省間で一つ総合して、有力な審議会を設置するという方針が一番適当であろうと思うのでありますが、この点に関する御答弁をまず願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/37
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038・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 ただいま御指摘の点でありますが、そういう御要望が最近非常に強くなって参りました。従来総理府に昭和三十年に設置されました交通事故防止対策本部というものがありまして、あるいは神風タクシーであるとか、あるいは駐車の問題、あるいは踏み切りの問題、いろいろ個々の問題を取り上げて交通事故の防止という点からやってきたのでありますが、最近御指摘の通り、自動車数の増加も大へんなものでありまして、この本部だけではどうも機能が完全に発揮できない。ちょうど自動車交通の全般から見て、一つこの際各省の総力を結集して、抜本的にこの問題を処理すべきではないかということが私どもの中でやはり問題になりまして、実は約一カ月前からいろいろ案を練っておりまして、一案を得ましたが、大体来月上旬から中旬ごろまでにはこの成案を得て、今までの事故防止対策本部を発展的解消して、もっと強力な総合的な交通事故あるいは交通行政といいますか、そういう広い立場からの問題に取り組む強力な組織にいたしたいと、今せっかく検討中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/38
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039・田万廣文
○田万委員 なお、さらにお尋ねいたしたいことは、総合的に調査会を設置するという考えに御賛成をいただいたわけでありますが、その総合的調査会のうちに含めるべき従来ある審議会というのは、どういうものを想定されておるのでありますか。お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/39
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040・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 ほかの審議会との関係は、一応案を練りましてから一つ検討したいと思いますが、たとえば先般雇用審議会がありましたが、雇用審議会の席上でも、やはり交通問題が一つの大きなテーマになりました。そんな意味合いからほかの審議会とも相当関連が出てくるのではないか、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/40
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041・田万廣文
○田万委員 とにかく最近における自動車による事故、道路の整備、いろいろ問題は複雑になっておりますので、ぜひとも私どもが希望しておるような総合調査会を一日も早く設置されまして、安全の保障を一つはかっていただきたいとともに、輸送の拡大、産業発展、道路の整備という関連したものについてよくお考えを願いたい。なお私先ほどちょっと申し上げましたが、それぞれ調査会には相当の費用がかかっておると思うのでありますが、これを統合することによって大幅な経費の節約というものを期待されると思うのであります。これもぜひやっていただきたい。これは私いわゆる与党、野党全都の意見を代表しておると思うのです。長官においては特にその点をお含みを願いたいと思います。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/41
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042・福田一
○福田委員長 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がなければこれに本案についての質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/42
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043・福田一
○福田委員長 これより本案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
運輸省設置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/43
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044・福田一
○福田委員長 起立総員。よって本案は可決されました。
なお、本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/44
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045・福田一
○福田委員長 御異議なしと認めます。よって、次のように決定いたしました。
楢橋運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/45
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046・楢橋渡
○楢橋国務大臣 運輸省設置法の一部を改正する法律案を、ただいま満場一致をもちまして御可決をいただきましたことにつきまして、厚く御礼を申し上げます。この改正法律案が成立いたしました暁におきましては、その効率的運用の万全を期する所存でありますので、そのことをお誓いしまして、厚く御礼申し上げます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/46
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047・福田一
○福田委員長 次に建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。山中吾郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/47
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048・山中吾郎
○山中(吾)委員 建設省設置法の一部改正の内容の一つである公共用地取得制度調査会設置のことに関連をして質問いたしますが、建設省に質問を申し上げる前に委員長にちょっと御見解をお聞きいたしたいのです。この土地収用法というふうな法改正を目的としておる調査会の設置というふうな場合は、立法府から言いますと、その立法の審議を包括委任するような性格も考えられるのです。従いましてそういう法改正を目的として含んでおる調査会を設置する、そういう法案の改正については、どういう方向に改正をするかということを提案者の方から明文をもって明らかにしなければ、ただ設置をするということで、賛成、反対はできないと思うのです。立法府の立場から言いましたならば、その方向を明らかにすることを条件としないと、設置するということによってどういう法案が作られてくるかということは、完全に立法府の発言権がないというふうに思うのですが、審議の立場から委員長の御見解を先にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/48
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049・福田一
○福田委員長 お答えをいたします。実は道路を作るとかあるいは電源を開発するとかいう意味で、今の土地収用法その他が適当であるかどうかということについては、公益事業の立場から見た場合と、収用を受ける立場から見た場合とでは、非常に意見が違っておるわけなのです。たとえば電力会社とか建設省とか、そういう仕事をするという面から見ますと、今の法律では少しなまぬる過ぎるという意見もずいぶん多いのであります。と同時に、今度はその土地を取り上げられる立場から言うと、その利益が十分に調整されてないという意見も非常に強いのでありまして、実はこの問題は、自分のことを申し上げては失礼ですが、電源開発の問題は私もだいぶ研究したつもりなんです。そういう立場から言いますと、どうもそこのところに利害の対立が非常に強い。しかしそれかといってこれを現行法でやっていいかということになると、それは何とかやってもらわなければ公益事業をうまくやれぬのじゃないか、こういう意見も相当あるわけです。そこでほんとうを言いますと、これは建設省か通産省から法改正案を直接すぐ出したらどうだという意見もずいぶんある。政府部内でこれをまとめて、政府部内の意見だけでその法の改正案を出したらどうかという意見のあることも事実であります。ところがそれでは今あなたの御心配になったように、法案が出てしまいますと、それによって土地を収用される方の立場の人の利益が十分に尊重されないおそれがある。だからその問題も含めて、どういうふうにしたら現行法制をよくできるだろうかという研究をしてみてはどうか、こういう意味でこの法案を出しておられるのだと思います。私は政府の弁明をするつもりではございませんけれども、この問題は農民とかあるいは漁民とか、その他そういう関係者に非常に関係が深いから、非常に慎重な手続をとらなければいかぬという意味から言えば、これはこういう立法に関する調査会法案を作るという二段手続をしておるわけです。一回戦だけではなくて二回戦までやるというような慎重な手続をとったということは、必ずしも立法府の審議権を無視するゆえんではない。むしろ立法府の意思も十分尊重すると同時に、国民の意思を極力尊重しなければならないという意味から言えば、これも一つの方法ではないかと私は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/49
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050・山中吾郎
○山中(吾)委員 もう一つ委員長にお聞きしたいのですが、先ほど中村委員からの質問を聞いておりましたが、提案者は、公益事業の収用する権限について質問をした場合に、何か建設省の方に答弁をしてもらうという話があったのですが、そういう関係から建設省設置法の一部改正というふうな場合には、現在の議会運営の立場から、法の取り扱いについては内閣委員会の専属になっておるようでありますけれども、これは土地収用法の主管大臣の関係から何か矛盾を感ずるのであります。私今までの慣行を知りませんが、建設関係においては建設委員が来て、ここで必ず審議に参加をするような習慣がついておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/50
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051・福田一
○福田委員長 お答えをいたします。非常に御謙遜というか、まじめな御質問なんで恐縮なんでありますけれども、そういう場合には今まで連合審査ということをよくやっております。必要があれば建設委員会と内閣委員会、あるいは建設委員会と通産委員会とか、関連した委員会において連合審査をやる場合がございます。また委員を差しかえまして、必要なお方が出てきていただいて、そして十分に質問をしていただく。それだけで打ち切る場合もあります。いろいろそういうことはございますが、どちらの場合もそのときの事情によってできるだけ皆さんの御趣旨が通るようにすべきだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/51
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052・山中吾郎
○山中(吾)委員 では、質問申し上げます。この調査会を設置する目的ですね。それから大体予想される調査の項目について、まず概略お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/52
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053・大沢雄一
○大沢(雄)政府委員 この調査会の設置の大体の目的は、御案内の通り公共事業及び公益事業の増大に伴いまして、これらの土地に必要な土地の取得が著しく増加をいたしておりまするが、現状はその迅速、的確な取得が次第に困難となっておりまするような状況でございます。そこで国、地方公共団体も起業者でございまするが、その他起業者側からの、土地収用につきましていま少し迅速にこれを収用し、あるいは使用することができないものかどうかという要望が、非常に強まって参っておりまする現状でございます。しかしながら他面におきまして、申し上げるまでもなくこの土地収用という問題は、憲法二十九条で保障されておりまする私権の保護に関しまする例外の規定でございまして、私権の保護との調整をはかるということが大きな問題であるわけでございます。そこにおきましてこの調査会を設けまして、この土地収用法を改正すべきかどうか、また改正するといたしますれば、どういう点におきまして私権の保護との調整ができるかどうか、その方途はどうであるか、さらにまた土地の収用ということに関連いたしまして、現在におきましては、単に補償だけではこの問題を解決することが困難でございます。同時に被収用者の生活再建等の問題が非常に重要なことになって参っておりまするので、そういう点につきましても十分審査を願いまして、その結論を待ちまして、その意見を聞きまして、この問題についての主務省としての方向をきめたい、かような観点から、この調査会を設置いたしまするような次第でございます。
なお、調査会で取り上げまする項目等の詳細につきましては、計画局長からかわってよく御説明を申し上げたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/53
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054・關盛吉雄
○關盛政府委員 お答え申し上げます。ただいま政務次官から、公共用地取得制度調査会におきましての設置の目的等につきましての御説明があったのでありますが、土地収用法の改正の問題ということで要望されておる起業者の立場からの問題は、大体現行法にもありまするが、緊急使用に関する制度の一般からの限界いかんという問題でありますとか、あるいは収用手続をいわゆる迅速な用地の取得に寄与するために検討する余地がないかどうか、なおその他収用委員会の組織、審議手続等に関する問題でございます。しかしこれはただいまお話がありましたように、いわゆる収用によって公共の利益の増進と私有財産との調整ということが、現行土地収用法にも明記せられておりますように、これが根本的な問題でありまして、一般的に公共用地の取得ということで、国土の適正かつ合理的な利用という問題とこの私有財産との調整の問題ということが、きわめて重要なわけでございますので、これは慎重に検討を要する問題と考えられまして、検討すべき問題の一つの重要項目だと考えておる次第でございます。
なお現行土地収用法は、補償につきましては金銭補償の方法を建前といたしております。従って高速道路でありますとか、ダム建設に伴います結果といたしまして、用地等を提供することとなる人々が、いわゆる被補償者といたしまして、金銭補償の方法のみならず、他の生活再建に必要な施策、たとえば土地のかえ地の方法とかその他の方法によって、自後の生活再建策というものを同時に考えるべき問題が緊急に起こりつつあるであろうと思いますので、こういう点につきましても総合的な対策を立てることを検討すべき事柄だと考えられるのでございます。
なお用地取得の全体的な計画の合理化ということが、土地収用法の問題以前といたしましてもそれに先行する公共用地取得の重要問題でございますので、これらの合理化につきましても検討する必要があろうということで目下考えておるのでございますが、公共用地取得制度調査会が設置されるといたしますれば、建設省といたしましてはそのような問題点につきましての調査をお願いしなければならぬのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/54
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055・山中吾郎
○山中(吾)委員 今御説明の中に、土地収用法に欠陥があるので、事業の進捗がおくれておるというような認識の上に立っておるように聞こえたわけです。そして起業者の方からの要望というものが非常に大きい動機になって、土地収用法の改正をお考えになっておるように思うのですが、この点事業の進捗が順調にいかないのは、土地収用法の方に欠陥があるとお考えの場合は、その欠陥を具体的に、法に欠陥があるなら説明をしていただきたいと思います。その他に原因があるのではないか、あるならそれを含んでお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/55
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056・關盛吉雄
○關盛政府委員 公共用地取得制度調査会の取り上げます問題点については、今申し上げたようなことで御了解をいただきたいのでございますが、建設省といたしまして、この制度調査会を設けましたゆえんのものは、公共用地の取得問題についての合理的な対策いかんということを考えるわけでございまして、その一つの中には、現行の土地収用法についての改正の要望があるわけでございます。しかし結論的に申しましたのは、いわゆる公共用地の取得問題というものはただいまの御質問は、土地収用法がまずいから公共用地の取得がうまくいかぬのではないかというふうなことの認識に立っているのかどうか、こういうことでございましたが、先ほども申しましたように、土地収用法の改正のみではこの問題が解決できない。とにかく総合的な対策を立てなければ、公共用地の取得問題というものは合理化され、迅速化されない、こういうふうに考えます。従ってこの公共用地取得制度の調査会を設置するゆえんのものは、現行の土地収用法の運用上においても、まだまだ努力すれば解決するものがあろうかと思います。たとえば緊急使用の問題を一つかりにとらまえてみますと、これは現在の緊急使用というふうなものは、災害その他著しく公益に支障があるという場合にのみ、補償金の額の決定以前に使用権を取得する、六カ月間の暫定的なものではありますけれども、そういう道があるわけでございます。そういうことを、もしかりに若干この道を一般化するといたしますれば、どういうふうなことになるかということを検討するというわけでございまして、そういう意味におきましては、現行の土地収用法の制度に対する改正の要望ということと、現行法のねらっております内容とが、憲法の第二十九条の規定との関係においてどうだろうかということを慎重に検討すべきだと考えております。従って現行の土地収用法の再検討という、大づかみに全般的にその土台を運用して結局どうなっているかというふうなことも、いろいろ実績等によってそれがうまくいくということを、どこにどういう問題があるかということではなしに、新しい制度を作ることも一つの検討すべき事柄ではないかと思っておりますが、これは非常に重要な問題でありますので、制度調査会で十分調査をしていただかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/56
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057・山中吾郎
○山中(吾)委員 はっきりと答弁をしていただきたいのです。土地収用法そのものに欠陥があるので、事業の進捗に支障を来たしておるのかどうか、これをはっきり答弁されていないと思うのです。まずそれを答えて下さい。
それといま一つ、従って欠陥があるならばどこに欠陥があるのか、そういうことを私、当局の提案をする立場の人から聞かなければ、この調査会そのものについての方向がわからない。私、最初に委員長に見解を聞いたのは、ある意味においては、調査会を設置することを認めることは、法改正の方向が大体決定されるということを含んでおるという場合を考えてお聞きしておるので、そちらの御意見によって、この法案に賛意を表するかどうか、あるいは方向を付帯決議として明らかにして設置を認めるかということはわれわれの責任だと思うので、これを明らかにしていただきたい。それが一つと、それからそういう論議に根拠を持ちたいためにお聞きするのですが、公益事業、公共事業として認定した事業数と、収用法を適用して補償が裁定された数、従って、戦後公益事業として認定された事業に対する比率ですね、どのくらいなのか、すなわち土地収用法はどの程度に活用されておるか、それをお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/57
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058・大沢雄一
○大沢(雄)政府委員 前段の御質問に対しましては私からお答え申し上げます。後段の質問につきましては事務当局からお答え申し上げたいと思います。
御案内の通りに土地収用法が昭和二十六年に全面的に改正されまして、新憲法の精神に基づきまして私権の保護がはかられることに重点が置かれることとなりまして、いろいろと収用の手続規定も御承知の通り整備されまして、また補償に関しましても、御案内の通り当事者主義、弁論主義の原則が取り入れられております。その結果、土地収用法の適用に対しまする被収用者の理解も次第に得られているように私も感じております。適用件数が年々増加を示しておりまするが、実際問題といたしまして、土地収用法を適用する場合には、被収用者の側から強い反対をいまだ受けておりまする事例が非常に多い実際の状況でございます。なお一方におきましては、起業者の側から申しますると、土地収用法の改正の結果、用地を収用するまでに相当の期間を要することになりましたために、起業者の立場からの要求といたしましては、何とかもっと短期に収用の効果を、土地所有者の権利を保護しつつ確保することができないものであろうか、こういう要望も非常に強い実情でございます。
〔委員長退席、岡崎委員長代理着席〕
主務省といたしましては、今土地収用法のどこに欠陥があってこういう状況になっておるということを考えておるわけではございませんが、今申し上げました通り、被収用者の側にも企業者の側にも非常に問題が多い。また現在公共事業、公益事業がそのために実施が促進されておらないという事実が非常に顕著になっております。従いましてこれらの問題点を審議をしていただきまして、改正すべきところがあるかいなか、しかしながら私権の保護という重要な項目を、単に迅速ということのために犠牲にすることのできないことは言うを待ちませんので、問題点を究明してもらいまして、そうして今後のこの問題に対する方向をきめたい、かようなことでございまして、ただいまの御質問の趣旨は、主管省の考え方が今後の方向を決するというお考えでごもっともでございますが、私どもといたしましては、今土地収用法にこういう欠陥がここにあるのでこうなっておる、かように考えてのことではないことを御了承いただきたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/58
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059・關盛吉雄
○關盛政府委員 第二の御質問の土地収用法の認定件数並びに裁決の件数の状況につきまして申し上げます。現行土地収用法は、昭和二十六年の十二月から施行になっておるのでございますが、この新法によりまして事業の認定を受けました件数の総計は六百三十三件でございまして、それが土地収用法の収用委員会におきまして、最後の裁決まで持ち込まれました件数が百三十四件、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/59
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060・山中吾郎
○山中(吾)委員 任意に補償が決定された場合の額、それから土地収用委員会において裁定をされた場合、現在までの実績において、どちらが有利なんですか。それをお聞きしたいと思います。今までの実績は今お聞きしますと、六百三十三件が認定されておる。そして百三十四件が裁定によった。その場合、この土地収用法の適用を受けて、そしてある意味において保護され、ある意味においては保護されていない結果が出て、要求額より多い場合と少ない場合があると思います。そういう裁定に基づいた補償額、それからそうでない力関係、あるいは団体交渉をしての場合もあるでしょう。いろいろな場合があると思いますが、この収用法の適用を受けないで、実際的に起業者と住民との間において確定した補償額と、この数年の実績においてどちらが有利になっておるか、御存じでしたら御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/60
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061・關盛吉雄
○關盛政府委員 ただいまの御質問は、土地収用法の規定によりまして事業認定を受け、かつその収用委員会の裁決によって補償金の額が決定するというまでの間におきまして、起業者と収用せられることになる土地等の物件を持っている人の間におきまして、協議によりまして補償金の額がきまる。こういうきまり方もあるわけでございます。また御質問の点は、土地収用法の手続によらないで、事業者が物件等の補償を受ける人たちと契約によって補償金の額をきめていく。この二つの場合が補償金の額をきめる場合についてあり得るわけでございます。これはどちらが有利になっているかということにつきましては、一がいに申し上げるわけにいかぬと思います。ただ収用委員会の裁決は、いわゆる被補償者が申し立てました価格というものと、起業者の補償の金額との間において決定するということになっておることだけははっきりいたしております。従って価格等につきましては、具体的に当該物件の所在地なり何なりが同じところであるというふうなこともありませんので、それについて比較をして申し上げるということはちょっと困難ではないかと思っておりますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/61
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062・山中吾郎
○山中(吾)委員 それをお調べにならないと、ただ第六感で、今支障を来たしておるのは土地収用法がまずいからというふうな、腰だめの観念的な考えから調査会が出発するということは、非常に危険なので、調べて報告してもらいたいと思います。調べられますか。たとえば関西電力で坂下ダムを作ったような場合は、電力ブームを発揮して、反当たり五十一万で買ってしまった。起業の立場は起業の計算においてべらぼうに高く補償する。それから相手が弱ければまた不合理に安い値段で押しつけていくというふうなことで、これは土地収用法によらない場合は無原則にされている。そういう関係があるので、次の住民は前と比較して安いから、今度はむやみやたらに高い要求額を出していく。そういう姿の中に事業が進渉していないと私は思うのです。従って収用法に基づいて裁定をされた額、あるいは裁定を何かはのめかしながら協議に入って押しつけるというふうな、半分この土地収用法を適用するという場合も多いと思いますけれども、その関係を明らかにしてかかっていくべきだと思うので、それは事実上すぐ調べられるはずですから御報告してもらいたいと思うのです。
そこで建設省の考えは、土地収用法をなるたけ適用しない方向に運営しているのか、あるいはできるだけ土地収用法を適用して、そして第三者の入った公正な収用委員会の裁定によって、憲法二十九条に保障されている正当なる補償というものを結論づけようと努力されてきているか、これの今までの運営の方針を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/62
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063・關盛吉雄
○關盛政府委員 最初に資料の要求のことでございますが、これはなかなか困難な比較の御質問でございまして、土地等の場所によりましてもそれぞれ条件が違っております。また銘柄等におきましても一般の商品と違っておりますので、どの取得方法によった場合が、収用もしくは土地等を提供することとなる人々にとって有利か不利かということの見きわめは、資料的にお出しすることは、これは御要望ではございますけれども、きわめて困難でございます。ただ収用法におきまして、はっきり法律上確保せられておりますことは、要するに補償の基準といたしまして、この金額を算定する基礎、あるいはまた残地が出ましたときには、被収用者が残地を買い上げすべきことの法律上の請求もできます。あるいは収用委員会が第三者という立場におきまして、公正な判断をいたしまして収用の金額を決定する。さらにそれについて権利者として異議のある場合は、訴訟の方式までできているわけでございますので、この収用法のルールによりまして、いわゆる私有財産と公共の利益の増進というものの調整がはかられる、こういうことになっておりますことは御承知の通りでございます。従って建設省におきましても、土地収用法が新法として、昭和二十六年に旧法の時代のものが根本的に改正されましたので、起業者が事業を執行する場合に用地取得の見きわめをあらかじめ十分つけまして、この土地収用法によって事業認定を受け、この正規の手続に従って計画を達成するように指導をいたしております。その結果だんだんと土地収用法によりまする事業認定件数が、昨今増加して参ってきているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/63
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064・山中吾郎
○山中(吾)委員 だから土地収用法をできるだけ適用するように指導されておられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/64
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065・關盛吉雄
○關盛政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/65
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066・山中吾郎
○山中(吾)委員 実際はなるたけ土地収用法を適用させないで、いわゆる伝家の宝刀で話をして、聞かなければ、土地収用法にかけるぞという昔からの権力主義の思想があって、そういう関係から何か土地収用に恐怖を感じておるようないわゆる国民の心理というようなものがあって、それがこの土地収用法が人権保護の法律であるはずでありますけれども、なかなか適用されていないということを聞いているのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/66
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067・關盛吉雄
○關盛政府委員 土地収用法を伝家の宝刀というふうな考え方が、一般に行なわれているということでありますれば、これは土地収用法の精神と法律の内容についてのわれわれのPRが足りないわけでございます。この点は再々関係の都道府県並びに収用委員会の事務局を通じまして、機会あるごとに申し上げておるのでございますが、建設省といたしましては、この土地収用法を所管をいたしておりますと同時に、道路、河川等の公共事業も実施いたしておりますので、建設省所管の事業はもとより、また建設省を通じまして関係各省に対しましても、特に土地収用法による事業執行ということを、あらかじめこの事業認定の手続を受けて、これを活用してやるということを強く指導をいたしております。公共の利益の増進と私有財産の調整をはかる規定でございますからして、お話のようにそういう方針で指導をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/67
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068・山中吾郎
○山中(吾)委員 土地収用法を大体読んでみましたら、なかなかいい法律なので、欠点は発見できないのです。もしありとすれば、補償が現金主義というのを、これは現物補償というようなものをもっと取り入れるとか、補償のところにもっと、憲法に規定する正当なる補償という点から、一部改正をしたらなおいいという感じがあるのです。私はずっと読んでみますと、そのほかには欠点がない。そして二十六年から設定をされまして、まだ十年もたっていない。そして土地収用法の適用数が認定事業の五分の一にも達していない。そのときにまたこの土地収用法を事業家の立場から、事業を推進するためにという観点から、これを改正しようとするならば、改悪になるのじゃないか。そして事業が進捗しないというのは、今別な原因があるのじゃないかということを私は思うのであります。その辺、ほんとうの腹の底を運営の立場に立っておる局長、ここではっきりお答えできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/68
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069・關盛吉雄
○關盛政府委員 土地収用法の改正ということについての要望の問題点は、御披露申し上げました通りでございます。今回の公共用地の取得の調査会の設置をお願いいたしておりますのは、いわゆる公共用地の取得問題というのは、総合的に解決すべき問題として取り上げなければならない。従ってこのような要望に関する土地収用法のプロパーの問題としての要望もありますけれども、これらはやはり公共用地というものにどういうふうに取っ組んで、その対策を総合的に進めるかということの一環として考えるべきだというわれわれの態度でございます。従ってお話の出ました収用法の補償の方式、これが金銭補償を建前といたしておりますことと、現実の用地あるいは宅地の値上がり等の関係から、合理的な解決もなかなか——問題が諸所に起こるおそれも今後ありますので、従って被補償者の生活再建対策あるいは用地取得の合理化の計画ということも一緒に、この公共用地の取得制度調査会の問題として慎重に検討をしてもらう、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/69
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070・山中吾郎
○山中(吾)委員 もう少し具体的に聞きますが、事業を早く進めるという立場から、補償額が決定しない前に、起業側が事業を進めることができるという方向に改めようとすることは、私は絶対にいけないと思うので、住民の方からいって、補償額がきまっていない前に事業に着手することができるような法改悪をすれば、再びこの土地収用法は収奪法になってくると思うのです。その点についてはそういう今までの実績から考えて、そういう改正は必要があると思っておられるのか、その点はっきり——局長に荷が重いなら、次官でけっこうですが、その点はっきりお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/70
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071・大沢雄一
○大沢(雄)政府委員 私は公益のための土地の収用、使用の点と、そうしてまた私有財産権の保護、この二つの調整をはかっております重要な土地収用法というものが完全に実行されておりまして、起業者の立場から申しますれば、その完全な収用制度があることによりまして、たとい公益事業、公共事業でありましても、十分に被収用者に対する補償なり、さらに進んでは生活の再建対策なりというものが講ぜられなければ、この収用、使用ができないのであるということが十分認識をされまして、また被収用者側からは、たとい憲法によって保障された私有財産権でありましても、公益のためにはある場合におきましては、十分な補償を得たその暁において、収用、使用に応じなければならない。この両者が完全な土地収用制度の制定によりまして、そこに十分認識を徹底いたしまして、やはりこの法律があるがために、できれば収用という強制手段によらずに、お互いに納得をし、満足して、そうしてこの問題が解決されていくということが、やはり一面においては願わしいのではなかろうか。この制度を完全にするということは、何もかもこの収用法にかけてやっていくということばかりではなくて、これは双方に納得のできる合理的な解決をはかっていく一つの保障の制度になる、かように考えておるような次第でございまして、ただいまおあげになりましたいわゆる従来の緊急使用の拡大ということも、ただいたずらにかようなことをすべきものでないということは、申すまでもないと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/71
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072・田万廣文
○田万委員 ちょっと関連して。山中さんがいろいろお尋ねになっておることに関連してお尋ねしたいのですが、現在の土地収用法でも、一般の民間人の受ける印象というものは気持のいいものではないのです。中身はきれいですけれども、警察が好かぬのと同じように、土地収用というものもあまり好かぬ、きらいだからして、そこに強制が自然に行なわれてきておるというのが実態なんです。次官は十分御存じであるかどうか知らぬけれども、それをさらに今考えておられるように補償の額が決定しない前に、公共の利益という名に隠れて、そうしてどんどん取り上げていけるということになれば、今日の土地収用法でさえも脅威を感じておる国民が、どういう印象を受けるかということを私は非常に心配するわけです。ここで局長なり次官なりが言っておられることは、きわめてきれいな話です。理屈通りの話なんです。一足す一は二という話ばかりなんです。現実に末端における国民の土地収用法に対する気持というものは、あなたたちが考えているのとは天と地なんです。警察はこわくない、人権を守るところだと言うけれども、警察は悪いことをしない人でも好かぬのですよ。それと同じような不愉快なものが、土地収用法に対する国民の印象の中にある。それをさらに公共の利益のためにというきれいな言葉で包んで、オブラートに包んでこれを飲まそうというあなたたちの計画しておることは、国民感情とは全く反対の法律案を提案しているように私は思う。この点に対して、国民の感情というものをあなたは実態調査したことがございますか。次官答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/72
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073・大沢雄一
○大沢(雄)政府委員 私もお考えの次第はよくわかります。私もそういう意味を心に置きましてお答えをいたしておるつもりでございます。従いましてただ何もかも収用法にかけて問題が解決されるようなことは望ましくない。やはりこの制度を完璧にいたしまして、そうして納得して話し合いができるということが望ましい姿である、打ち立てていかなければならないこの問題に対する政策の方向である、私はかように考えておる次第であります。現在の土地収用法が全面的に新憲法の精神によって改正されたとは申しましても、やはり実際は先ほども申し上げました通り、土地収用法の適用に対しては、被収用者の強い反対を非常に受けておりますこの事実が、やはり今お述べになりましたような国民感情を持っておられるということを示しておると私は思います。願わくはそういう感情がなくなるようなりっぱな収用制度がほしい、それをよくPRして徹底させたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/73
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074・田万廣文
○田万委員 PRする前に、今国民感情というものは、現在の土地収用法というものに対して非常に不愉快なものを感じておるということを率直に認められたわけですね。私も本職は弁護士の端くれでおる人間でございますが、いろいろ実態調査をやりましたけれども、なるべく土地収用法を強権発動せずに、円満に話がついておるという多くのケースは、土地収用法でやられたならば、もっと補償額が下がるだろうという心配をして、強く主張すべき立場の補償される、買収される側の人が後退して、協議上調停に応じた価格で不満足ながら話をつけておるというのが実際に多いのです。そういうことは次官はお認めになりますか。いかがです。土地収用法をなるべくかけないでやっておる協議上でなるべく話をつける、そういう場合が多かったということを今までおっしゃっておったように私は思うのですが、いかがですか。局長でもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/74
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075・關盛吉雄
○關盛政府委員 先ほどの土地収用法の場合における被補償者が受ける補償金の額と任意買収の額との比較についての山中委員の御質問にも関連する御質問でございますが、これは土地収用法におきまする一般の適用を受ける人たちの感覚の中には、何といっても自己の土地等を収用して一方的に最終的には所有権が起業者に帰属するわけでありますから、そこのところが問題であるということでございます。しかしながら公益のためにはやはり一定の土地が必要であるという場合には、緊急の国土保全に必要な事業の達成のためには、当該土地等は公益のために取得しないとこれまたいかないのでありまして、従ってそういう意味から取られること自体が問題であるということにつきましては、これは土地収用の問題とあわせて公共用地取得の対策として、新たにこの補償以外の再建対策というものを考えていかなければ総合的な対策にならない、こういうふうにわれわれは思っております。土地収用法の手法によりまして起業者が土地を取得する、その結果被補償者が任意買収の場合よりも損をするということは、現在の法律の建前から見て参ります。と、少なくとも第三者として、国からも独立であり、そういう機関が裁決をいたします限りにおきましては、正当な価格が保障せられておるということは確かでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/75
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076・山中吾郎
○山中(吾)委員 話が循環しておるのですが、実際問題として話し合いの方向に持っていくという努力、これは必ず行なわれておるわけです。従って土地収用法の適用というものは、これはなるたけ少なくするという事実が出ておるわけなんですが、この起業者の場合も、政府が直接行なう場合と電力会社がやる場合と二つ考えを変えて見なければならないと思うのですが、国の場合には常に予算に縛られておる。予算の額がきまっておるものですから、いわゆる正当なる補償という立場よりも、予算の範囲内ということで当然行政当局が拘束されてくるから、実際に話し合いの中でなるたけ安く予算の範囲内でやっていこうという考えが役人の中にある限り、そうしてできるだけ話し合いをしておるときには、収用法にかかると、しまいには収用法にかけるぞとおどかしながら交渉していくということになる。予算によって縛られておるから、従って話し合いによって予算の範囲内において起業の可能性のある場合においては努力を払い、そうして末端においては補償額に予定された予算額が超過をしても、幽霊人夫をちょっと水増しをして、いい意味においてごまかすのだと思いますが、あるいはその他の費目の関係をある程度融通をきかして、セメントなんか要ったのを少し大きくするというように、補償額を融通をきかすようなことをしてやらざるを得ないようなことになっておるのですが、毎年度の予算に縛られておりますから……。
〔岡崎委員長代理退席、委員長着席〕
そうして最初話し合いに持っていって、しかも一年、二年話し合いがつかないと、今度は伝家の宝刀で、そこまで聞かないのなら、今度は収用法にかけるぞというような、昔の伝統的な日本の行政のあり方というものは否定できないと思うのです。それから民間の場合は、電源開発会社その他は起業の計算をして、これは早く、とにかく倍の補償額を出しても、計算をして有利であるということになると、いわゆる逆な意味において、正当の補償の何倍かのつり上げをしてきめていく。そのために今度はそれを見ならった一般の住民は不当に要求するという姿の中に、お互いに卵と鶏の関係になって、事業の進捗は逆になっておる。土地収用法というものをもっと一般的に明るいものにして、それに適用されるという行き方の方がずっと進むのじゃないか。土地収用法を改めて、補償額をきめない前に事業を進めるような起業者側からの要求にこたえて改悪をすれば、とんでもないことになると私は思うのです。その点で逆に考えているのです。むしろ土地収用法を全面的に適用していけば、二カ月くらいで最後の確定ができる。話し合いは一年も二年もかかるというふうな結果も出ているのじゃないかと思うので、その点の土地収用法の根本の考え方、思想を明らかにしてもらわないと、調査会設置についての一部改正に私はとうてい安心して賛成できない。それでお聞きしているのです。きょう何かあいまいにお答えされておるので同じことを聞くことになるのですが、次の機会まで十分お話しになってお答えいただくのなら、私は次にもう一回聞いてもよろしいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/76
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077・大沢雄一
○大沢(雄)政府委員 私はかように考えておるわけでございます。その趣旨から最初からお答えいたしております。現在までの土地収用法に対します運用の仕方が、あるいはただいま山中先生、また諸先生がおっしゃいましたような、誤まった運用の仕方がされておらなかったということはないということを私は申し上げる勇気はございませんが、しかし今まで先ほどからのお話にも出ておりましたが、土地収用法が起業者の側からの伝家の宝刀であるかのような感じ、これは私は正しい土地収用の制度、りっぱな土地収用制度ができますればそういう考え方はなくなる。その考え方は、同時にこれは被収用者の側からも伝家の宝刀でなければならない。そうあってこそ初めて私権の保護と、そしてまた公共用地使用の立場との調整ができる。現状は先ほど来申し上げております通り、被収用者側も非常にこの適用をおそれている。また起業者の側もできるだけ話し合いをつけて、そして収用法の適用をしないでやろうというようなことのために、非常におくれている部面もあると思うのでございます。でありますから、とにかくどこかに欠陥がある。最も大きい欠陥の一つとしては、現状では直接土地収用法の問題ではないと思いますが、先ほど来申し上げております通り被収用者の生活の再建等の問題、これが被収用者に対しましては一番大きい脅威ということになっているのではなかろうか。従いましてもっと完全な収用制度を作り上げたならば、私権もスムーズに保護されますし、公共事業の進展もはかれる、こういうことができるのではなかろうか、こういう考え方に立って私は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/77
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078・山中吾郎
○山中(吾)委員 私は国土開発という大きい事業の場合については、科学的にここが一番いいところだというところは、どんなことがあっても変えるべきじゃないと思う。政治的に位置を動かすということがいけないのであって、あらゆる角度から科学的に検討して、ここにダムを作るべきである、ここに何を作るべきであるということが決定したならば、これは遂行されるべきである。そうでなければいかぬと思うのです。それを前提として、そのために憲法に保障された正当な補償を国の責任において考えるべきでありますから、そのときどきの話し合いで、高くなったり低くなったり、あるいは伝家の宝刀でおどかして、大きいダムのような集団の力を持っておるときには相当の力になるけれども、山間僻地の二、三戸の百姓さんの場合には非常にみじめな補償になる、そういうものをなくさなければならぬ。そういう場合については、公共事業と認定されれば全面的に土地収用法が適用されるという方向に持っていった方が、案外割り切って解決されるのではないかと思います。この点、次官のお考えはだいぶ違うように思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/78
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079・大沢雄一
○大沢(雄)政府委員 私はある点におきましては、よくお考えの次第はわかります。しかし何もかもこの収用法にかけてこの問題を解決をしていくということになりますると、現在の公共事業の進められておりまする件数あるいは土地収用委員会の事務能力、いろいろの点から見まして、必ずしも早く公共事業が進捗をするというふうにばかりはいかないのではないかということを私はおそれております。その点についてはちょっと違いますが、しかしこの制度を完璧にいたしまして、被収用者の立場から見ましても、この収用法を適用するということがおどかしにならないような、こういう制度を作り上げるということになりますれば、かえって収用にかかるようなことなくして、合理な話し合いがついて、お互いに納得の上に問題が解決される、甘いかもしれませんが、私にはどうしてもそういうように考えられる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/79
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080・山中吾郎
○山中(吾)委員 次官のは制度ではなくて、運営の問題だと思うのです。それで今までの行き方を考えると、やはり全面的に科学的な基礎に基づいた補償決定という考え方をとらなければ、解決しないのではないかと私は思う。今のような事務陣容その他でできないというならば、もっと予算を拡大してもっと明るくオープンに土地収用法が全面的に活用される方向に持っていかない限りはだめじゃないか、私もそういうように今の実情を見ますと思うのです。そうでない限りは、民間会社が起業の立場で事業の認定を受ける場合においては、個々の会社の計画の規模の大きさ、その他の関係によって不当に高い補償をつける、あるいは不当に力関係で安くするということは目に見えて明らかであると思う。そういう中から住民は十年前、あるいはある地域の場合と比較して、三分の一しか自分の補償はなかった、向こうは三倍あったというところから、あるいは国民には、絶えず正当な補償というよりも、とにかくできるだけ多くという競争意識しか上ってこない。これは次官の言うようなことは不可能だと思う。科学的に一つの公共事業の計画を立てて、それを必ずやらなければならぬという立場に立ったならば、私はだれでも信頼のできるような、科学的な基礎に基づいた補償がきまるような制度をとるような方法がいいと思います。それでこの点についていま一度お聞きしたいと思う。
その次は、土地収用法にかけた方が計画的に早くなるのではないかと私は思う。大体裁定にかける手続というようなものを計算すると、これは百日なら百日、百五十日なら百五十日でできるのです。何日でできるかということはほとんど見通しがつくのです。話し合いというものは、中には三年も延び、それから二年で終わるもの、あるいは半年で終わるものもあるが、計画が立たない。それで国家的なこういう事業をする場合については、一年後までに補償額がきまり、そうして着手は何年後というふうにきっちり事業計画を立てていくというふうなことを考える場合には、むしろ常に一つの公正な立場の中に憲法の保障する正当な補償額を決定する機関が作らるべきではないかと思うのです。それの方が敏速にしかも正確にいくと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/80
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081・大沢雄一
○大沢(雄)政府委員 前段の問題でございまするが、収用の手続につきましても、また補償その他の対策につきましても、今御趣旨に述べられました通り被収用者の立場から十分な保護、補償が得られますような制度を作りたい、そういう念願のもとにいろいろ問題になっております点をあげまして、公正な第三者の十分慎重な審議をお願いしたい、これがこの提案の趣旨でございますので、御趣旨の通りと存ずる次第でございます。
後段の問題につきましては、私は御趣旨はよくわかります。お話しになっておりますような土地収用制度を作り上げたい、このことについては同様でございまするが、ただ一つのケースだけをとってみますれば、確かに収用委員会にかけましてやりました方が、必要以上にと申しまするか、いろいろな立場から協議を長引かせておるような現状よりは早く事業が進むと私は思います。しかしこれを全体の問題として見た場合に、いかに合理化され完全な委員会でありましても、全部の件数をそれに一々かけてやるということになりますると、私は大へんな件数ではないかと思うのであります。でありまするから、完全な制度を求め、それを作り上げるということは同じでございまするが、こういうものがあるのだということが起業者の立場からも被収用者の立場からもよくわかりまして、お互いに無理は通らない、お互いに合理的な結果を得て協調するというか、妥協しなければならぬのだということにいきました方が、私は全般の制度として見た場合に、事業の進捗も早くいき、補償される立場からも早く生活の転換その他ができるということになるのではないか、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/81
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082・山中吾郎
○山中(吾)委員 次官がそういう考えでこの調査会を発足されるについては、私は非常に危険を感ずるので、確かめないと賛成できないのでお聞きするのですが、先ほど局長からの話もありましたように、二十六年にこの法が発足して認定した事業は六百三十三件ですか、一年六十件ぐらいだと思うのです。全部土地収用委員会にかけたって大したことはありませんよ。それでほんとうに人間というのは欲が出ますから、話し合いによって——しかも民間起業という性格をお考えにならないと、自分の計算によってでたらめな補償を多くやる会社もありますし、これは無原則になることは起業の立場で明らかじゃないか。そうして多く補償が取れたものが今度は話し合いをしてさらに多く要求するというのが人間の心理ですから、公共事業というものを前提にする限りにおいては科学的な基礎に基づいた補償額というものをきめるべきだ。ことに現在農林省の補償の基準、建設省関係の補償の基準、通産省、違うでしょう。同じ国でも違う。補償要綱が別にある。国も三筋、四筋ありまして、住民の正当な要求を越えたせり合いの気分を作っておる。そして土地収用法に欠陥があるから、補償額を決定しない前に事業に着工することを多くするような、そんな考え方はとるべきでない。そういう考えがちょっとでもあってこの調査会を進められるなら、私は賛成できないのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/82
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083・福田一
○福田委員長 委員長から政府委員の方に一言申し上げてみたいと思うのだが、私は今の発言はなかなかおもしろい一つの考え方だと思うのです。従来はあまり公共性ということを主張しない。むしろ民間の立場を非常に主張されておる。山中委員の質問は公共性ということをよく考えて、そしてもっと明朗に、通産省とか建設省とか、方々のところによって違うというようなやり方ではなくしたらいいという考えは、なかなかおもしろい考えではないかと思うので、そういう意見こそは調査会において当然取り上げられるべき問題の一つであると思います。だから政府委員はそこをよく理解して山中委員に答弁されたらいいと思いますので、注意しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/83
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084・大沢雄一
○大沢(雄)政府委員 ただいまの山中先生の御意見、まことにその通りであると思います。収用につきましては科学的な補償基準を定めまして、ことに現状のように各省まちまちであるというようなことは、まことに遺憾なことであると思っておる次第でございますので、こういう点はぜひやはりこの制度の調査審議にあたりましては十分お願いをいたしまして、補償の点あるいは手続の点、合理的な、そして被収用者の保護に欠くるところのないような基準等を作り上げていきたい、かような趣旨で私どももこの調査会の設置を提案いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/84
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085・山中吾郎
○山中(吾)委員 今委員長のお話もあったが、次官は同じ考えでお答えになったと認めてよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/85
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086・大沢雄一
○大沢(雄)政府委員 最初からそのつもりで答えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/86
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087・山中吾郎
○山中(吾)委員 そこで補償についての思想を聞きたいのです。最近天災地変という原因によって災害を受けた者については、農業補償にしても、あるいは水害その他の場合、非常に手厚い補償があるのですね。それと比較をして、国が国土開発のためにダムを建設する、道路を拡張するという、明らかに国の事業が原因であるその住民に対する補償に片手落ちな点があるのではないか、天災地変に基づいた罹災者に対しては非常に厚く補償すべきであるという思想が一方にあって、公共事業のために犠牲になる人に対しては非常に補償を出し渋る思想がある。不思議でならないのです。そうして一方に、公共事業のためであるから文句を言うな、土地はただでも出すべきじゃないかという思想がどこかに流れておる。戦争で人殺しをした人に金鵄勲章をやり、年金をやるくらいでしたら、この国土開発のために貢献をした住民に平和の戦士として年金をやり、金鵄勲章をやるべきだと私は思う。そういう基本的な平和に対する思想が非常に封建的であるので、そういう思想をはっきりと切りかえて、建設省にしても、農林省の行政庁にしてもそういう思想に立って調査会を出発させるかどうか、これをはっきり私は確認をしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/87
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088・大沢雄一
○大沢(雄)政府委員 ただいま御意見の通り、確かに従来までの考え方と申しまするか、この点につきましては収用法改正前の、いわば旧憲法時代の考え方、公益のためには私権というものは保護されなくても仕方がないというような考え方に基づいて、知らず知らずやはりそういうふうな誤った運営といいますか、そういうふうな傾きがないでもないのではないかということは私も同感でございます。しかしながら現在におきましては私権の保護ということが、御承知の通り憲法の二十九条で保障されております最も重要な国民の基本的権利でございます。従いましてこの間の調整ということがきわめて重大な問題であるわけでございまして、先ほどもお話がありましたが、今まで一般の公共事業につきまして予算等に縛られるということが、おのずから運営について土地収用の精神に沿わないようなにおいがするということになったかも知れぬと存じます。この点は私も同様に感ずる次第でございます。災害の場合等におきましては特別に予算措置がされますので、十分に補償がいくというお話もありましたが、その通りであると思う次第でございます。収用委員会にかけまして、裁決がありますれば、これはもう予算に縛られないのでございます。これは収用委員会にかけますことが、この予算等に縛られない補償額が出得るのでありますから、その点だけ見ますれば、私はそういうことがいいと思います。しかし完全な制度ができまして、そうして委員会の裁決に付したと全く同じ保護が、お互いの納得のもとに裁決を求めないでも出るということが、私は理想ではないかと思いまして、そういう観点から申し上げておるような次第でございまして、ただいまお話しいただきましたような精神でもとより私どもは考えております次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/88
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089・山中吾郎
○山中(吾)委員 建設大臣以下建設省の思想が、私の申し上げる思想であるということを私は確認したいので、お聞きしておるのですが、大沢次官は知事もされたのですが、県庁の文書の習慣の中にも、公共事業の場合には敷地まで寄付すべきであるという思想がずっとあるわけです。そして学校を建てる場合その他の場合に、寄付するときの文書は寄付採納願という形でやる。また寄付するのに許可するという文書はまだ残っておるのです。そういう行政運営の中に、土地収用法も住民から伝家の宝刀としておっかないものであり、そしてお上の事業であるからそれに対して文句は言えない。一方そのかわりに集団を組んで、この機会だという反撥心がある。私は住民を責めるわけにいかない。そういう行政思想の中に寄付採納を許可するという思想があって、そういう中にこの土地収用法の関係もうまくいかない、事業も進捗しないという根本原因があると思うのです。そういう昔の思想そのままで調査会の発足については私はどうしても賛成できないので、次官なり大臣なり提案者の責任ある思想を確認せなければいかぬのですが、次官のお話も明確にお答えになっていない。それをお聞きして一応きょうはそのままやめておきますが、その思想だけはっきりとお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/89
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090・大沢雄一
○大沢(雄)政府委員 私全く同様な考えで、たびたび申し上げておりますが、言葉が回りませずまことに自分でももどかしく感ずを次第でございますが、私どもも全く同様な考え方でありますことを重ねて申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/90
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091・久保田豊
○久保田(豊)委員 当局に質問の能率化をはかるために、資料を一つお願いしておきます。それは戦後における起業者別の、いわゆる任意買収の場合も含めて、それから事業認定をしてやった場合、さらに土地収用法にかけた場合、こう三つに分れると思いますが、そういう場合の件数ないし面積、特にその中で都会地と都会地でないもの、それから種類別に宅地とか農地とか建物とかあるわけですが、そういうものがどうなっているか、またどのくらいの件数になっているかという点。
それからこれはなかなかむずかしいと思いますが、いわゆる任意協議であった場合に、大体協議の整う場合の時間、長い場合でどのくらい、短い場合でのどのくらい、また一般的にはどのくらいかかるか。事業認定をして土地収用法の手続をとって、そして最後に土地収用法の適用にならなかった場合、それから土地収用法を適用した場合、大体期間がどのくらいかかっておるかということの調査資料を出していただきたい。全部が困難ならば、河川、道路、住宅、その他いろいろ建設省関係のものだけでもいいから出していただきたい。
もう一つ、起業体別によって実際には補償の考え方、基準の違う場合が多い。たとえば私はせんだって県に問い合わせてみると、県ではちゃんとこういうものを作ってやっておる。これは法律にはありますし、これを具体化したものはどこにでもある。少なくとも県以上にはある。従って建設省関係あるいは運輸省関係あるいはその他、こういうところにはみな具体的な基準があるはずですから、これを一つ参考資料として出していただきたい。
これは大へんめんどうな資料要求で、今までの内閣委員会では、そういうめんどうな資料要求はありませんでしたが、これは特に今後重大な問題になろうと思いますので、少なくとも建設省としても、こういう提案をされる以上は、その程度の資料整備くらいはされて出されるのが当然であろうと思います。ぜひ一つ以上の資料を御提出願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/91
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092・關盛吉雄
○關盛政府委員 ただいまの資料は非常に膨大なものでございますが、できるだけわれわれの手元で調製できますものを整えまして御提出申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/92
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093・福田一
○福田委員長 次会は明後三十一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X02119600329/93
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