1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月二十七日(水曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 福田 一君
理事 淺香 忠雄君 理事 高橋 禎一君
理事 高橋 等君 理事 前田 正男君
理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君
理事 田万 廣文君
今松 治郎君 小金 義照君
橋本 正之君 保科善四郎君
杉山元治郎君 中原 健次君
門司 亮君
出席国務大臣
国 務 大 臣 石原幹市郎君
出席政府委員
内閣官房長官 椎名悦三郎君
自治政務次官 丹羽喬四郎君
総理府事務官
(自治庁長官官
房長) 柴田 護君
委員外の出席者
専 門 員 安倍 三郎君
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四月二十六日
靖国神社の国家護持に関する請願(天野光晴君
紹介)(第二八三七号)
同(齋藤邦吉君紹介)(第二八三八号)
労働省定員外職員の定員化に関する
請願外十四件(齋藤邦吉君紹介)(第二八三九
号)
同外二件(寺島隆太郎君紹介)(第二八四〇
号)
同外三十八件(平野三郎君紹介)(第二八四一
号)
同外九十一件(三田村武夫君紹介)(第二八四
二号)
同(赤松勇君紹介)(第二八六六号)
同(井手以誠君紹介)(第二八六七号)
同外五件(石村英雄君紹介)(第二八六八号)
同外一件(小川豊明君紹介)(第二八六九号)
同外四件(河野密君紹介)(第二八七〇号)
同外一件(田中稔男君紹介)(第二八七一号)
同(高田富之君紹介)(第二八七二号)
同外六件(三鍋義三君紹介)(第二八七三号)
同外六十七件(山本幸一君紹介)(第二八七四
号)
同外一件(板川正吾君紹介)(第二八八六号)
同(加藤勘十君紹介)(第二八八七号)
同外一件(柏正男君紹介)(第二八八八号)
同外三十五件(勝澤芳雄君紹介)(第二八八九
号)
同外二件(小林正美君紹介)(第二八九〇号)
同外五件(佐野憲治君紹介)(第二八九一号)
同外四件(島上善五郎君紹介)(第二八九二
号)
同外二件(鈴木茂三郎君紹介)(第二八九三
号)
同外四十四件(楯兼次郎君紹介)(第二八九四
号)
同外十一件(原彪君紹介)(第二八九五号)
同(穗積七郎君紹介)(第二八九六号)
同外一件(森島守人君紹介)(第二八九七号)
同外三十二件(河野正君紹介)(第三〇三七
号)
建設省定員外職員の定員化に関する請願(小坂
善太郎君紹介)(第二八四三号)
傷病恩給の是正に関する請願(小平久雄君紹
介)第二八六四号)
同(山本猛夫君紹介)(第二八六五号)
同(淺香忠雄君紹介)(第二八九九号)
同(遠藤三郎君紹介)(第二九〇〇号)
同(大野市郎君紹介)(第二九〇一号)
同(木村俊夫君紹介)(第二九〇二号)
同(小坂善太郎君紹介)(第二九〇三号)
同(田村元君紹介)(第二九〇四号)
同(進藤一馬君紹介)(第二九〇五号)
同(瀬戸山三男君紹介)(第二九〇六号)
同(高瀬傳君紹介)(第二九〇七号)
同(中村三之丞君紹介)(第二九〇八号)
同(原健三郎君紹介)(第二九〇九号)
同(平野三郎君紹介)(第二九一〇号)
同(福家俊一君紹介)(第二九一一号)
同(森下國雄君紹介)(第二九一二号)
同(池田清志君紹介)(第二九八六号)
同(加藤鐐五郎君紹介)(第二九八七号)
同(高橋禎一君紹介)(第二九八八号)
同(中島茂喜君紹介)(第二九八九号)
同(逢澤寛君紹介)(第三〇三一号)
同(大島秀一君紹介)(第三〇三二号)
同(岡本隆一君紹介)(第三〇二三号)
同(簡牛凡夫君紹介)(第三〇二四号)
同(中村梅吉君紹介)(第三〇三五号)
建国記念日制定に関する請願(重政誠之君紹
介)(第二八八二号)
同外百九十三件(世耕弘一君紹介)(第二八八
三号)
同(田中龍夫君紹介)(第二八八四号)
同(高橋禎一君紹介)(第二九五三号)
同外二十一件(高橋禎一君紹介)(第二九八四
号)
同(高橋等君紹介)(第二九八五号)
同外二件(田中龍夫君紹介)(第三〇三〇号)
旧軍人恩給の加算制復元に関する請願(重政誠
之君紹介)(第二八八五号)
同(瀬戸山三男君紹介)(第二九五四号)
建設省、北海道開発局及び運輸省港湾建設局定
員外職員の定員化に関する請願外一件(上林與
市郎君紹介)(第二八九八号)
行政機関定員外職員の全員定員化に関する請願
(河野正君紹介)(第三〇三六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
自治庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第九九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03319600427/0
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001・高橋禎一
○高橋(禎)委員長代理 これより会議を開きます。
委員長所用のため不在でありますので、委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。
自治庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を許します。門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03319600427/1
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002・門司亮
○門司委員 前回は憲法上の問題等についての解釈についていろいろ質問を申し上げたのでありますが、きょうは時間もございませんので率直にお尋ねをいたしますから、一つできるだけ簡単に、率直に、包み隠しのない御答弁を願いたいと思います。そのことは、憲法の問題を別にいたしましても、現在までの日本の行政機構の中にある地方の自治体に対する政府のとってきた処置についての考え方を、この際あらためて私は聞き直しておきたいと思うのであります。
一つは、この設置法の改正案の説明の要旨の中にも書いてありますように、今日の日本の予算の使用の分布状態は、国税、地方税を通じて、地方の自治団体が六割ないし六割五分の国民の税金というものを、いずれかの形で、地方の公共団体の権限、あるいは公共団体の施設に使っておる、これは大臣の説明書の中にもはっきり書いてあります。ところがこういう予算上の関係から見ましても、きわめて大きな額をこなしていかなければならない地方の自治体の行政事務を、一応サービス機関としての自治庁が見ておるわけでありますが、その地方財政計画に対して今日まで政府のとって参りました処置はきわめて冷淡であります。御承知のように現行法によりますと、地方自治体の持っております財政の規模については、国会に報告すればよろしいということに大体なっております。ところが予算を編成いたしますときには、この地方自治体の所要財源といっても差しつかえのないいろいろな財政計画その他については、ほとんど国がこれに触れておらない。ただ国の予算の関係だけしか考えられておらない。一体内閣はこれに対してどう考えておるか、まずその点を先にお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03319600427/2
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003・椎名悦三郎
○椎名政府委員 政府といたしましては、地方交付税法に基づきまして、翌年度の地方財政の歳出入見込み額を国会に提出いたしまして、地方財政の状況を国会において十分御審議を願うということにいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03319600427/3
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004・門司亮
○門司委員 今の御答弁は私には一向わからぬのです。私の聞いておりますのは、地方財政計画について政府は一体今日までどういう態度をおとりになっておるかということです。法律では御承知のように国会に報告をすればよろしいことになっております。しかし政府のその取り扱いはきわめて冷淡でしょう。内閣が地方財政計画を閣議で承認されて国会に報告されるのは、今年はいつでしたかね、今月に入ってからじゃありませんか。ほとんど予算審議が終わって後に初めて地方財政計画が閣議できめられて報告される。国民負担の六割以上を消費している地方自治体の財政計画、ことに、日本の福祉国家建設のためにという言葉をよく使っておりますが、地方自治体の仕事はすべて住民の福祉に関係する行政以外にないのであります。権力行政というものはないのであります。この国民の福祉行政に最も必要な地方財政計画が、予算が通ってから半月もあるいは一月もしてやっと閣議できまって、国会に報告されるというような不見識なことを現在政府がやっている。これについて政府は一体どう考えているか、それでよろしいかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03319600427/4
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005・椎名悦三郎
○椎名政府委員 今門司委員のお話のように、地方公共団体に対する国庫からの交付の問題については、予算の内容をなしておるのでありますから、これは事前に十分に御審議を願う。ただそれを受けて、地方公共団体の財政計画というものができるのでありますから、事実上予算と同時に報告することはできないのであります。だからといって、地方財政計画というものが大切ではないとか、これを軽んずるとかというような意味があるわけではございません。一方、地方自治団体の自主権というものを十分に尊重して、そうしてそこで民主的に計画がきめられるということを国家が期待いたしまして、国家の負担分については事務的にそれを通して地方財政というものに大きく関与するわけでございますが、地方財政そのものの全体としての吟味ということは、地方の自主性を認めるという意味からも、また事実上事前にこれを国会において審議するということはできない、こういう格好になっておるのでございまして、
〔高橋(禎)委員長代理退席、委員
長着席〕
このことが直ちに地方財政というものに対する国の関心を云々する尺度にはならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03319600427/5
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006・門司亮
○門司委員 私はもし内閣がそういう議論だとすれば、もう少し時間をかけて議論をする必要があると思う。一体内閣では地方財政計画というものがどういうものであるかということを御存じですか。今日の法律による地方財政計画というものがどういう性質のものかということ、交付税法による交付金なんというものは、こんなものは法律でちゃんときまっているのです。三税をことしは〇・三をふやしましても二八・八にしかならない。こんなものは法律できまっておる。どこにも差しつかえない。この金がふえるとか減るということはほとんど考えられない。予算をきめるときにそういうことは同時に考慮されるはずである。地方に仕事を国がいろいろ委託しておりますが、これらについて、その総額のワクは大体各省の予算決定と同時にきまっているはずです、予算が出されているのですから。各省が地方にこの事業に幾ら補助金を出す、この事業に幾ら補助金を出すとちゃんときまっているのですよ、国の予算をきめるときに。きまっていないとは言えますまい。そうするならば、地方財政計画というものも、大体財政計画なんですから予算と違います。予算は数字のつじつまが合わなければ予算になりませんが、片方は財政計画ですから、予算のようにつじつまを合わせろということは私は申し上げないが、地方財政計画とその年度における決算を見てごらんなさい。いずれも数字は一千億から二千億違っておる。私どもはそれを云々してはいない。しかし、さっきから申し上げておりますように、国民の税負担の六割五分以上というものが地方の自治体で使われているのです。国民の負担からいえば、国で使う金であろうと、地方で使う金であろうと、その金の行き先がどういう工合に使われるかというようなことくらいは、国民に当然知らすべきことなんです。御存じのように、財政計画を内閣できめるのが非常におくれておると同時に——きょうは時間がございませんから率直に端折って申し上げておきますが、たとえば国会で総理大臣が施政演説をなさる。そのときに大蔵大臣が財政演説をされる。外務大臣が外交方針を演説される。その次には、同じ国務大臣である経済企画庁長官が演説をしているでしょう。これは省の大臣じゃありません。いわゆる内閣総理大臣に所属している経済企画庁の長官なんです。これは日本の経済機構というものをどうするかということを、大蔵大臣の財政演説と並べて国は重要視している。国民の六割五分以上の税金を使う計画を持つ自治庁の大臣は、財政計画の演説をなさらないでしょう。これが地方の自治体を非常に軽んじているということなんです。国民から言わしてごらんなさい。自分たちの納める税金、国税、地方税を合わせて六割五分以上を使っておる、その財政計画を立てるものが、国会を通じて国民の前に明らかにならない、私はこういうことでよろしいかと言っておるのです。あなたの方ではよろしいというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03319600427/6
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007・椎名悦三郎
○椎名政府委員 地方財政計画は直接国民の経済生活に深甚なる影響を持つものでございますから、われわれも国民の実生活から見ますと、国家の予算と同じくらいの程度に、あるいはそれ以上に国民の個人生活には大きな影響を持つものでございますから、これは非常に重要視すべきものであると考えます。ただ国の予算が確定して初めて地方財政計画というものができ上がるのでありますから、予算と財政計画とは必ずしも観念は同じではございませんが、しかし予算にあまり遠ざかった財政計画というものも考えられぬのでありまして、時間的にどうしてもそこにズレが出て参ります。しかしそれを国会において国民に親しく知らせる、また国会の論議の中心題目とするということにつきましては、もちろん深い関心を持って検討すべきものであると考えます。そういう意味において、御趣旨の点はよく了解できるのでありまして、その方向でなお検討したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03319600427/7
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008・門司亮
○門司委員 その方向でと言われるが、今までそういうことはあなた方やらなかったのですか。こういうことは何も省にならなくたってやれるのですよ。省になったからそうしなければならない、省にならないからやれないという理屈はどこにもない。内閣で幾らでもやれる。同じ国務大臣である経企長官はちゃんと演説をしておる。しかも地方財政計画は国の六割五分を使っておるというが、そのうちの三分の二は国の税金です。だから国家予算がきまると同時にちゃんときまっておるのです。予算折衝をする場合にも、自治庁はそういうものを頭に置いて財政計画をちゃんと立てておるのです。仕事はあとからくっついておるのです。だから何もあなたのお話のように地方財政がわかるとかわからぬとかいうのではない。地方財政の三分の二は、国家財政がきまると同時にちゃんときまっておる。これはうそではありますまい。数字までちゃんとできておる。地方の独自の財源というものは三分の一しかないのです。だからそういうことを考えてきますと、国家財政のきまるときに地方財政計画というものはできるはずです。できなければならぬのです。またわれわれの手元にそういうものが始終きておるのです。閣議できめて、印刷して私どもの手元にその書類が配付される一月も前に、ちゃんと私の方の委員会では地方財政計画の議論が盛んにやられておるのです。また自治庁も同じような書類を出しておる。できてなければならぬはずです。またできることなんです。なお今まで地方行政というものについては、そういうものをほとんど考えないで、そのままになっておる。私はこの省にするということによって、決して地方自治体の問題が中央で大きく取り上げられるとはどうしても考えられない。まず私は、政府が誠意を持っておるならば、今の自治庁のままで——この前の委員会で申し上げましたように日本の憲法は、国の干渉、国のいろいろな監督権限というようなものをできるだけ排除しておるのが、今日の憲法の趣旨であります。いわゆる地方の自主性を認め、住民自治を認めている。同時に団体自治がこれに加味されている。団体自治と住民自治の上に成り立って 一切の権力行政を廃止した日本の今日の憲法のもとに、地方の自治体に臨む国の態度というものは、私は権力官庁のごとき印象を与えるものであってはいけないと考える。どこまでもサービス機関としての一つの印象を持って、しかもその内容はやはり国が十分これを尊重していくという態度が望ましいのである。今は実際逆なんです。だから今のお話のように、地方の自治体の財政その他は非常に大事だからこれを大事にするということなら、まず現行の制度でそれを一つやってごらんなさい。こういうことが一体やれるかどうかということです。現行制度のもとではそういうことがやれない、省にすればそういうことがやれる、こういうお考えですか。私はまさかそういうお考えではないと思うけれども、念のために一応聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03319600427/8
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009・椎名悦三郎
○椎名政府委員 お説のごとき行政機構の問題と、地方財政の問題をどういうふうに取り扱うかというその事柄とは、それは別個の問題でございますから、自治庁だからそういうことがやれない、省にすればやれるというようなことは、私ども毛頭考えておりません。ただ別個の問題ではありますけれども、責任大臣を設けて、その責任を明らかにするということが、御趣旨の点を実行する上においてはやりやすい、機構としてはその方がやりやすいのではないか。しかし現在においてそんなことはできないというようなことを申し上げているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03319600427/9
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010・門司亮
○門司委員 私どもにはその点の了解がどうしてもできないのです。そこに私ども一面の疑いを持つのです。政府がほんとうに誠意があって、そうして自治庁というものを、地方のたくさんの役所——一番番世話のやけるのは自治庁なんです。ほかの役所はみんな仕事をする役所なんです。建設省にいたしましても、あるいは通産省にいたしましても、さらに厚生省、労働省のような役所にしましても、サービス省である。自治庁というような三千数百、約四千に上るおのおの異なった自治体の行政事務をどういうことにしていくかという行政上の立場は、きわめてむずかしい。ほかの役所のように仕事をさしておけばよろしいというのではない。自治庁自身で仕事をする予算というものは幾らもありはしない。国の六割五分以上の財源を使う地方の自治体が、ほんとうに憲法に沿ったように、地方住民の納得し得る民主行政を行なわせていこうとする自治庁の仕事というものは、非常に気骨が折れる仕事なんです。権力はちっとも持っておらない。他の官庁は、いずれも官庁の性格からいえば、明らかに権力官庁であるといっても差しつかえないと思う。あるいは企画官庁であります。企画と権力を持って仕事をしている。自治庁はそうではないのであります。実際の仕事をしていかなければならない。そうしてこれに命令、監督するという権限を持っておらない。非常にむずかしい行政上の役所なんです。そういう役所が、機構を変えればそれでそういう行政事務が円滑にいくというようなものの考え方自身に、私は誤りがあると思う。再び権力行政に戻る一つの大きな要素をそこに備えてきはしないか。そうだとすれば、日本国憲法の趣旨に非常に大きく反対する行き方にならざるを得ない。私は、きょうはちょうど約束の時間が来ておりますから、これ以上申し上げるとお差しつかえがあろうと思いますので申し上げませんが、私どもの考えといたしましては、結論的にはそういうことが言えるのであります。今日の自治庁ぐらいやりにくい役所はないと思います。権力を持っていない、企画を持っていない、仕事をする役所でない、あくまでもサービスをする役所である。しかも四千に余る日本の個々別々の自治体の実態というものを知って、その上でこれを指導していかなければならない。そうして国民の税負担の大部分というものを個々に有効に使用していくことのアドバイスをしてやらなければならないという自治庁というものは、内閣においては特に民主主義の政治を行なおうとされるならば、いずれの省よりも——機構こそ私は省であってはならない、庁でよろしいと考えておるが、内閣の機構内における取り扱いというものは、いずれの省よりもこれを重要視して、そうして民主政治の徹底と福祉国家の建設をするということが、私は今日の日本の最も重大なことだと考える。それを内閣においてはそでにするというと語弊がありますが、これは伴食大臣のような扱いで、どうも十分な閣内の発言も困難だ。それは上に総理大臣がいるから、総理大臣の代理で発言すれば同じことなんです。何も総理大臣がいて、何か外様のような形を私はとってもらいたくないと思うのです。これは内閣自身の機構の中で、これを尊重しようという意思がないからなんです。何もそういう意思がなくてこれをいたずらに省にして——いたずらにという言葉は行き過ぎかもしれませんが、省にして、そうして権限だけを与えようということは、やがて閣内における権限よりも、むしろ地方の公共団体に対する権限の方が強くなる危険性を持っておると私は思う。ことに今の内閣ではそういうことが非常に強く考えられる。しかしそういうことが絶対にありませんということが、この際はっきり御言明できるならば、一つ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03319600427/10
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011・椎名悦三郎
○椎名政府委員 あくまで地方自治の行政を民主的に運営してこれを育てていくという憲法の趣旨に沿うて、これを育成するということにつきましては、全く同感でございまして、権力的にこれを引き回すという考え方で、省の昇格をわらっているのではございません。御趣旨の通りその線に沿うていきたい、こういうふうに考えておるのであります、。
現在の自治庁をそのままにしておきますことは、総理府の一外局の立場において地方自治に関する事務を処理するということになりまして、形式上は内閣総理大臣の権限であるものを自治庁長官がそれを補佐する、こういうような格好になっておるのであります。自治庁の仕事は、御承知の通り各省大臣の仕事にまた非常に密接に関係いたしておりまして、その間の調整等も自治庁の仕事の非常に大きな部門をなしておる。その間の矛盾撞着、そういったようなものをうまく調整していくということが自治庁長官の役割になっておりますが、そういったようなことを考えましても、責任大臣としてもう少し大幅の、独自の立場でこれらの問題について処理するという自費を与えますことが、調整の問題につきましても円滑にいく。すべて補佐の立場においてやるということは非常にやりにくい場合もあるのでございまして、一事が万事、そういったような問題が多々あるのであります。省の昇格を機会に、今まで以上の権力的な立場から地方行政の民主的運営というものを、あるいは憲法のねらう線からはずれてこれを統制するというような考え方は少しもございませんで、むしろ本来の姿においてこれを強化育成するということにあるのでありますからして、御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03319600427/11
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012・門司亮
○門司委員 私は希望だけ申し上げて、あとは他の委員からおそらくもう少しこまかい質疑があろうかと思います。財政の問題、それから行政の機構の問題についても、実はもう少し聞きたいのでありますが、時間もありませんから、ただ考えていただきたいのは、権力を持つ座にすわることは、結局どこかにその権力のはけ口が出て参ります。その権力のはけ口をどこに求めるかということは、やはり弱いところに出てくる、私はこう考えております。そうなりますと主管大臣がどうしてもいなければならないというようなことは、今の自治行政ではないはずであります。幾らでもできるのであります。言いかえますならば、他の大臣諸公は自分の仕事というものについてあまりわがまま過ぎる。そうしてその仕事の末端は全部地方自治体がやるのですよ。今日の厚生省の仕事にしても、建設省の仕事にしても、国自身で独自でおやりになっている仕事はどれだけありますか。いずれの仕事でも地方の自治体の理解と協力なくしてできる国政はないはずです。国が地方の公共団体の理解と協力なくしてやれる仕事があるならやってごらんなさい。絶対にできないはずです。そういう建前を持っておりますこの自治庁の仕事というものは、あくまでも機構自身は民主的でなければならないはずなのです。そうしてその民主的である機構というものを内閣が尊重していくという態度こそ望ましいのである。これに各省の大臣と同じような権限を与えるということになってみたところで、内閣にその気持がなければ何にもならない。そうすれば、その権力のはけ口がどこに出てくるかというと、地方自治体にいわゆる干渉してくる。あるいは監督の権限を強めるということ以外にないでしょう。これは役人の一つのものの考え方です。世の中はそういうふうにちゃんとできておるのですから。だからどこまでも今のような御答弁であるとするならば、やはりむしろ現状のままにして、閣内においてどうしても協力を求めなければならぬ各省の大臣が、地方の仕事を十分考えて、そうして自治庁の大臣の意見を尊重するという建前こそ、今日の行政機構のほんとうの民主的な運営に必要なことであると考えております。これだけを申し上げておきまして、きょうの私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03319600427/12
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013・福田一
○福田委員長 次会は明二十八日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404889X03319600427/13
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