1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月一日(金曜日)
午前十一時四十二分開議
出席委員
内閣委員会
委員長 福田 一君
理事 淺香 忠雄君 理事 岡崎 英城君
理事 高橋 禎一君 理事 高橋 等君
理事 前田 正男君 理事 石橋 政嗣君
理事 石山 權作君 理事 田万 廣文君
池田 清志君 内海 安吉君
鍛冶 良作君 鴨田 宗一君
久野 忠治君 小金 義照君
始関 伊平君 谷川 和穗君
富田 健治君 橋本 正之君
八田 貞義君 保科善四郎君
山口 好一君 飛鳥田一雄君
久保田 豊君 杉山元治郎君
中原 健次君 中村 時雄君
農林水産委員会
委員長 吉川 久衛君
理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君
理事 丹羽 兵助君 理事 本名 武君
理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀 貢君
理事 小平 忠君
安倍晋太郎君 天野 光晴君
今井 耕君 倉成 正君
中馬 辰猪君 綱島 正興君
野原 正勝君 八木 徹雄君
保岡 武久君 茜ケ久保重光君
神田 大作君 小松信太郎君
中村 時雄君
出席国務大臣
農 林 大 臣 福田 赳夫君
出席政府委員
総理府総務長官 福田 篤泰君
総理府総務副長
官 佐藤 朝生君
内閣審議官
(内閣総理大臣
官房審議室長) 大島 寛一君
農林事務官
(大臣官房長) 齋藤 誠君
農林事務官
(農地局長) 伊東 正義君
委員外の出席者
専 門 員 安倍 三郎君
専 門 員 岩隈 博君
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本日の会議に付した案件
農地被買収者問題調査会設置法案(内閣提出第
一号)
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〔福田内閣委員長、委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/0
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001・福田一
○福田委員長 これより内閣委員会、農林水産委員会連合審査会を開会します。
私が法案を所管する委員会の委員長でありますので、先例により委員長の職務を行ないます。
農地被買収者問題調査会設置法案を議題とし、質疑を許します。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/1
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002・芳賀貢
○芳賀委員 本来ならば総理大臣に質問を行ないたいのでありますが、出席がありませんので、農林大臣並びに福田総務長官にお尋ねいたします。
第一にお尋ねしたい点は、政府が本案を提案することに決定された経緯は、昭和三十四年一月九日の閣議においてこれを決定になったわけでありますが、その当時の閣議の内容をわれわれが承知しておる限りにおいては、特に、農地関係の主管大臣である三浦農林大臣、あるいはまた佐藤大蔵大臣等は、相当強い反対を示した。特に三浦農林大臣のごときは、このような調査会の設置を行なうような場合においては、表面は農地改革の成果を認め、これを維持するという方針をとりながら、一方において旧地主の補償を行なうごとき性格を持ったこの調査会というものが、将来発展した場合における諸般の事情等について、反対の意向を明らかにしたことは、われわれも承知しまして、その趣旨は了としておったのでありまするが、結果的には岸総理が裁断を下して、一千万円の予算を計上して調査会を設置する、所要の法律を出すということにきまったわけであります。そういう経緯から考えてみても、歴代の農林大臣は、この問題については非常に慎重な態度で、しかも農地改革の成果を維持するという基本的な方針を守るために、これらの問題については一貫して反対を示してきた。ところが今回の場合においては福田農林大臣はこれに賛成の態度を示して、本法案の成立に努力をしているという点に対しては、われわれとしては了承できないのでありまするが、まずその点に対する所信をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/2
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003・福田赳夫
○福田国務大臣 農地被買収者の処置につきまして、政府部内、また自由民主党の中でいろいろ論議が戦わされたということについては、これは率直に申しましてさようなことがあったのは当然のことでございます。でありまするけれども、いろいろ検討の結果、調査会を設置するということにつきましては、これは政府与党におきまして何らの異議もなく、一致いたしまして決定されたところの結論でございます。私ももとより終戦後の農地解放と申しますか、農地制度の改革措置は、当時の社会安定のためにも非常な貢献があり、また農業生産の新しい体制を整えるという意味におきまして、大きな影響を及ぼしておるというふうに存じておる次第でございます。しかしながら一面におきまして、当時父祖伝来の農地を解放しなければならないという立場に立ちました人の心情というものも、お察ししなければならないというふうに存ずる次第でございます。農地被買収者から、おれたちのその後の状態はこうなっているのだという訴えもあります。それに対しまして私どもは、農林省で局部的に調査したというようなことはありまするが、政府全体としてまだ確固たる状態を把握していない。とにかくそういう措置の及ぼしました被買収者を中心とする社会的影響につきまして、調査しておく必要があろうということで、今回調査会を設けることにいたしたわけでございますが、その先の措置につきましては何らまだ具体的なことを考えておりません。ただとにかく調査をしておこう。はっきり申し上げ得られることは、当時の農地解放ということは、これはその事実を尊重し、またその価格等につきましても最高裁の判決がある次第でございまして、これをあらためて補償するというようなことは考えておりません。また同時に、農地改革以後の農政の基本になっておりますところの自作農主義を盛り込んだ農地法の精神をいささかも変えるという考え方はないわけです。こういうことだけははっきりと申し上げることができる、かように存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/3
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004・芳賀貢
○芳賀委員 ただいまのような政府の態度であるとすれば、この調査会法案というものは、単に調査だけを目的とした調査会に終わるということになるのです。調査会を設けるということは、やはり一つの事態というものを想定して、この調査を通じて問題の処理に当たるとか、実現に当たるという意図がなければ、ただ単にその調査会の設置だけを目的にした法案を作るということは、全く無意味だと思う。しかも戦後における農地改革というものは全く適法に行なわれておる。ですから、農地に対する補償を行なうという今後の政府の態度というものは、これは毛頭ないのだということが明らかになっておるわけなんですからして、そうなると、政府が示された被買収者に対する社会的問題の調査ということになるわけでありまするが、そういうことになればこれは単に被買収者だけを対象にした調査ということはできないと思うのです。たとえば農地改革後の農村における社会構造の変革というものは、単に農村におけるかつての旧地主だけを摘出して調査しても、何らの意味はないわけです。こういう点は農林大臣もおわかりになると思うのです。改革以前の農村の社会構造というものは、地主あるいは小作人のこのような階層がずっと長く対立の形で続いたのですが、今日においてはそういう自作、小作のような階級対立というものは全然ないわけです。しかし現在の農村の内部の事情というものは、変わった形で階層分化というものが生じておることは、農林大臣も御認識の通りなんです。ですから、今日のたとえば農村内部の社会環境の中において、かつての旧地主がどのような状態に置かれておるかということをもし調査するという場合においては、農村全体の社会的な問題とか構造を対象にして調査しなければ、調査というものは適正に行なわれないと思うのです。ただ単に限られた問題だけの調査ということになれば、これは農林省あるいは厚生省、労働省等の所管、あるいは総理府等が持っておる調査機関を動員すれば、それぞれの分野における局限された問題の調査というものは当然できるわけです。そういうことを考えた場合に、このような法律を作るということは全く意味がないとわれわれは考えておる。しかも農地の賠償は今後行なわないということが鉄則としてきめられておる場合、被買収者に対する補償を行なわないということであって、それでは何のためにこの調査を行なうのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/4
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005・福田赳夫
○福田国務大臣 私どもといたしましては、農地の買収を受けました方々から、おれたちの状態がどうなっておるのか、一体政府は知っておるのかというふうに聞かれた場合に、これに対して、あなた方の状況を私どもはこういうふうに理解しております、こういうふうに判断しておりますということを、的確にお答えすることができないのです。さようなことから、とにかく調査をしてみよう、こういうことでございまして、その調査の段階、過程においていろいろ問題が提起されることは、当然そういうことがあるわけでありましょうが、私どもといたしましては、調査が主体でありまして他意はない、かように御了承願いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/5
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006・芳賀貢
○芳賀委員 今の答弁でありますが、それでは農林省が昭和三十年に臨時農業基本調査を行なったわけです。そのときに旧地主の実態調査というものが、九万数千戸を対象にして行なわれて、その結果というものは公表されておるわけです。これもやはりこの問題に関連した、被買収者の農村における今日の実態というものがどういうことになっておるかということを、正式に政府の機関で調査されて、それを発表されておるわけです。ですから、全然何もやっておらぬということは当を得ないと思うのです。もしそういう調査が今日まで少しも、長期にわたる保守党の政権下において行なわれていないということになれば、これは行政上の責任だと思うのです。ですから、この点については農林大臣として、農林省が責任のある正式な機関で調査された農村における旧地主の実態というものがどうなっておるかということを、あなたは御答弁できると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/6
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007・福田赳夫
○福田国務大臣 農林省で御承知の通り調査したことはありますが、これは農政上の見地から調べたものでございまして、しかも私どもはこれは完全なものだというふうには存じておらないわけでございます。中間的な調査である。しかしただいま申し上げましたように、社会的な問題といたしまして、どういう状態になっているのか、諸君は承知しておるかというふうに聞かれた場合に、私どもは答弁の資料を持たない。そこで社会的問題という角度から起こり得る被買収者を中心にした生活問題、また生業の問題、さらに経済上の諸問題というものを、あらためて調査してみたい。こういうような次第でございまして、おのずからその間に調査のねらいの違いというものがある次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/7
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008・芳賀貢
○芳賀委員 今の問題は後刻また質問しますが、それでは総務長官にお尋ねします。
この法律の中には、第二条によりますと調査の対象を明らかにしておるわけですね。これは旧自作農創設特別措置法の第三条一項または第五項一号から六号まで、農地法施行法の第二条第一項第一号に該当する被買収者の社会的問題調査ということになっていますが、これはおのずからこの調査内容に区分が設けられておる。それはたとえばこの旧自作農創設特別措置法の第三条第一項の場合においても、これは一、二、三の区分が設定されておるわけです。
その第一は、これはいわゆる不在地主ですね。自己の所在する町村以外に農地を所有しておった地主、これはもう全部買収対象になって所有地というものは残っていないわけです。第二の点は在村地主といいまして、自己の居住する町村内において土地を所有しておるが、みずから耕作はしておらない。これらの地主に対しましては、保有の制限がありまして、たとえば北海道におきましては四町歩以内、内地の府県においては平均して一町歩程度でありますが、主管大臣が府県別に保有限度を定めるというのが第二の該当ですね。第三の該当は、自己の居住する町村の中において農地を所有しておる。しかもそのうち一部はみずから耕作に供しておる、他の一部は貸し付けを行なっておるという、いわゆる耕作地主でありますが、これに対しましても自作地並びに小作地に対する保有の限度というものが示されて、北海道においては十二町歩以内、内地府県においては府県別にこれを定めるという、この三つの区分が行なわれておることは御承知の通りだと思います。
以下、そのようにこの法律の中でも、調査の対象になる被買収者の区分というものは明らかになっておるわけでありますが、ここでお尋ねしたいのは、これらの法律に示されたそれぞれの区分のもとにおける被買収者の当時の現況というものは、たとえば世帯の数等においてもどうなっておったかという、その点は明らかになっておると思いますが、その点をまず御説明願います。これは総務長官にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/8
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009・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御指摘の通り、地主にもいろいろの形態がある、その通りでございます。三十年の農林省の調査も、御存じの通り解放農地に関係のある約百七十万戸のうちの約七十万戸を対象としておやりになったわけでありますが、残りの百万戸いわゆる地主が土地を解放したあとで農業に従事しておらぬという点については、何らの調査ができておらないというような実情でありますので、これらのものを含めて調査対象にいたしたいと考えておるわけでございます。なお具体的な問題につきましては、農林省から説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/9
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010・伊東正義
○伊東政府委員 御質問の点でございますが、実は昭和三十年に農林省がやりました調査がございます。これは先生、一号から三号をお読みになりましたが、こういう区別ではなくて、当時農地を解放した農家の中で、解放もしたけれども解放を受けたものもございますので、差し引いて解放を受けた面積の方が多いものを対象にしまして実は調査をいたしましたのが、先生おっしゃいましたような数字でございまして、大体五分の一の抽出をやりまして、その集落では全農家を調査するという農家の調査をやりました中で出てきましたものが、今言いましたような解放農家の調査でございます。今後この調査会がどういう方法で調査するかということにつきましては、今先生がおっしゃいましたような一号から三号に区分して調査するのか、先ほど申しました農林省のようなやり方でやりますか、こういう点につきましては調査会で御相談願った上できめられることだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/10
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011・芳賀貢
○芳賀委員 私の尋ねておるのは、解放当時の現況というものは、この法律に示された区分によってどういうことになっているかということで、これは数字をあげて示してもらわぬと、せっかく法律を作っても根拠がなければ仕事はできないのですよ。ですからたとえば旧自創特別措置法の三条一項に該当ということであれば、一、二、三に分けて、不在地主、在村地主、耕作地主等の区分というものが、解放当時どういう現況に置かれておったということは、これは政府としても数字を持っておるわけです。その数字をあげてもらえばいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/11
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012・伊東正義
○伊東政府委員 不在地主として大体その当時の数字は、われわれの調査しましたのは三十六万というような数字が出ております。四十万足らずというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/12
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013・芳賀貢
○芳賀委員 次に在村地主は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/13
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014・伊東正義
○伊東政府委員 在村地主で全然耕作をしていなかった人、それから在村地主で耕作をしていた人の数字につきましては、今ちょっと資料を持ち合わせておりませんので、後刻調べまして御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/14
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015・芳賀貢
○芳賀委員 これは農林大臣としても農地局長としても、農地改革の成果が偉大であったということをたたえておるのですから、階層別にこれを区分した場合は、どのくらいの戸数があったかということくらいは頭に入れておいていただかぬと、行政は進まぬと思うのです。総体において百七十万戸ということはわかるわけですね。その中において法人地主が十四万戸くらいあるわけです。それを除いた以外が個人のいわゆる旧地主ということになる。ですから完全なる不在地主は三十六万戸であるとすれば、そのほかに耕作しておらなかった在村地主の被買収者の数、それから在村で耕作を行ない、また小作地も持っておったという旧地主の数、この程度のものはわかると思うのです。この点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/15
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016・伊東正義
○伊東政府委員 今御答弁いたしましたように、後刻調べまして申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/16
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017・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、そういう大事な点が明らかになるまで、この法案の審議は当委員会においてもなかなか進まないと思いますが、委員長としてはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/17
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018・福田一
○福田委員長 すぐ調査できて御答弁ができるそうですから、質問を続行願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/18
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019・芳賀貢
○芳賀委員 それでは若干の時間をおかしすることにします。
そういうことになりますと、被買収者の対象というものをどこに置くかということも問題だと思うのです。この内閣委員会の議事録等を拝見いたしましても、たとえば担当の総務長官の答弁を読んでみても、私が今指摘しました旧地主の三つの区分の、どの階層の被買収者を対象にした調査を進めるのかということが、少しも明確になっていないわけなのです。この点は総務長官から御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/19
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020・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 具体的には調査会が発足しまして、各専門の有識経験者が集まった上で最終的な対処の方法を持つことになるわけですが、目下のところは先ほど申す通り、全然手をつけていない百万、さらに一般に抽出調査でありますから、農地経営という面から農林省が一度調査したものを含めて、全体について対象にするのが正しいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/20
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021・芳賀貢
○芳賀委員 その百万というのは何を根拠にしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/21
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022・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 先ほどお話ししましたように、約七十万戸は昭和三十年度の農林省の調査でありますが、これは解放を受けた後も耕作に従事している、農業に従事している方々を対象としておるわけであります。百万戸は解放を受けた後に農業に関係のない方々をさしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/22
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023・芳賀貢
○芳賀委員 被買収者の世帯別を調べてみると、総数は法人を含めて百七十六万一千戸ということになっておりますね、農林省の調査ですが。そのうち在村の個人というのが百二十五万一千戸、それから不在村の個人が三十六万七千戸、在村及び不在村の法人地主が十四万二千戸ということになっておるわけです。これは先ほど私がお尋ねしました自創特別措置法の三条一項による区分とは調査の角度が違いますが、こういう内容の中で百万戸だけを対象にするということになっても、一体どれとどれで百万戸か見当がつかないわけです。総務長官だけ頭の中に入れておいても、一般の国民にも理解できないような調査の仕方というのは、全く見当がつかないと思うのです。もう少し合理的な答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/23
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024・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 先ほどお答えしました通り、最終的には調査会で決定されると思いますが、ただ先ほど申し上げたのは、七十万戸は農林省がすでにおやりになった。百万戸については全然調査をしていない対象であります。従って百万戸を抽出しまして、結局抽出調査でやる場合には、現在のところ百七十万戸全般を対象としての抽出調査が適当ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/24
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025・芳賀貢
○芳賀委員 七十万戸は農林省がやったから、それは除外する。ところが先ほど農林大臣は、今まで政府は旧地主関係の根拠ある責任の持てるような自信のある調査をやっておらぬ。——われわれやっておると見ておるのですが、農林大臣は、旧地主諸君に答弁のできるような調査が行なわれていないと言っておられるわけです。ところが総務長官は、農林省でやった、たとえば七十万戸はもう済んでおるから、それはやる必要はない、農林省でやっておらない百万戸だけをやるのだということになれば、この百七十万戸のうちの七十万戸分については、農林省がすでに行なった調査を信頼して、それを調査の結果とするという、そういう御意思で残り百万戸というふうに言っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/25
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026・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 百万戸を対象として、すでに農林省がやりました七十万戸を省くという意味ではございません。御承知の通り農林省の調査は、農業経営という観点から調査をせられたのであります。このたびの調査会の調査としましては、やはりこれも含めて全般的にやるのが正しいのではないか、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/26
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027・芳賀貢
○芳賀委員 それでは被買収者全部を対象にして調査を進めるということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/27
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028・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 最終的には調査会が決定しますが、現在のところ政府ではそれが正しいのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/28
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029・芳賀貢
○芳賀委員 いや、正しいとか正しくないということじゃない。調査の対象をどこに置くかということが一番問題になるわけです。特にそれは社会問題の調査ということになるわけですからね。従ってこれを区分すると、現在においても農村に現存して耕作に従事しておる被買収者と、あるいは農村には現存しておるけれども、農業以外の部面で農村の中で社会生活を営んでおる、そういう人たちもおるし、それからかつて土地を所有しておったが、その地域には最初から最後までおらないという不在地主の階層というもの、これもあるわけです。ですから農村に現存しておる被買収者を対象にして調査するということになれば、単に旧地主だけを抽出して調査するということは、なかなか困難なことになるのではないかと思うわけです。ですからそうなると、農村の内部における社会的、経済的な構造全体の中からこの調査を進めなければ、この旧地主のたとえば社会的な経済的な生活の水準であるとか、社会的な地位というものは、判断のめどがつかないのではないかと思うわけです。単に生活が楽であるか楽でないかだけの貧富の度合いとか、生活の困窮の度合いだけを調べてみても、これは意味をなさぬのではないかと思うわけです。ですから百七十万戸全体を対象にして調査するということになれば、この調査の目標とか構想というものは、最初から明らかになっていなければ、それはいけないのじゃないかと思うわけです。そういう点に対してもう少し責任のある御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/29
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030・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 調査の目標でありますが、これは提案説明並びに総理以下の御答弁にもありました通り、農地改革というものが非常に成果を上げたにしましても、重大な戦後の社会的変革であります。それに随伴したいろいろな問題が起こっておることも十分考えられるわけでありまして、そういう広範な各種の社会問題等も調査する、そういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/30
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031・芳賀貢
○芳賀委員 そういう抽象的な答弁では全然必要がないのですが、そこで農林大臣にお尋ねしますが、この際この法案の審議を進める関係上も、それでは先ほど総務長官の言われた農林省が行なった七十万戸の耕作旧地主、現在耕作しておる地主の農村における実態というものは、どういう結果が現われたのか。その農村の内部の被買収者以外の農家とこれを比較した場合とか、農村の中の社会的な置かれた生活の水準と地位というものは、どういうふうになっているかという、この結果をこの際明らかにする必要がある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/31
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032・福田赳夫
○福田国務大臣 これはある程度平均的な資料ということになっておるわけでございます。さような調査から見ると、被買収者の実態は必ずしも悪いというふうな結論になっておりませんが、しかしそれは平均というか、総体から見た話でございますので、個々に見た場合におきましてどういう実態があろうか、こういうことも本調査会の重要なる調査対象ということになると思うのでございます。なお必要がありますれば農地局長から、当時の平均的に見ましたところの状態の調査の結果をお答えさせてもよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/32
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033・伊東正義
○伊東政府委員 大臣の御説明に補足させていただきます。当時調べました内地の比較でございますが、経営規模で見ますと、一戸当たり解放しました農家は大体一町、それ以外の農家が七反五畝というような数字が出ております。また経営規模の中でも、解放農家が一町以上を占める比率が四六ですから約五割くらい、一般農家の方は二七というふうに、経営規模は解放農家の方が大きいという数字が出ております。それから専業農家の割合でございますが、これも解放農家は約四六%、一般農家は三四%が専業というふうに、専業は解放農家の方が多いという数字が出ております。それから兼業の種類を調べてみましたが、解放農家の方の兼業が多いのは、あるいは村の助役でありますとか、あるいは農協の理事でありますとか、あるいは事務職員というふうな方の兼業が、社会的にどちらかといいますと知識、技術を要するというような兼業農家の数が、解放農家の方は高いという比率が出ております。ただ解放農家の中にも兼業で季節雇いの人夫でありますとか、あるいは日雇いに出ておる者が一割くらい、そういう人があるという数字も出ております。それから農村にありまして山林を経営しておる比率でございますが、解放農家の方が七〇%、一般農家が四六%というような数字になりまして、解放農家の方が山林を経営しておる比率は高いという数字が出ております。また一戸当たりの山林の経営面積にしましても、解放農家が四町、一般農家が一町六反というような数字が出ておりまして、これはどちらかというと解放農家の方が経済的にも、農業経営の面から見ますれば優位にあるという数字が一応出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/33
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034・芳賀貢
○芳賀委員 そういたしますと、結局現在農村にあって耕作しておる被買収者の諸君は、農村の内部におきましては、農業の専業の面においても兼業の面においても、あるいは山林経営の面においても、いずれもそれ以外の農家と比較した場合においては経済的の安定度も高いし、あるいは社会的の地位も、比較すればむしろ上位に置かれておる。そうしてこれはいかなる社会の中においても存在しておるところのごく貧窮な、生活困窮という気の毒な人たちの比率も、非常に少ないということが明らかになっておるわけです。ですからこれらの人たちは気の毒な面もあるが、戦後における農地改革が、日本の民主化を進める最大の基盤をなしたということに対するその人たちのその後の協力という姿に、このような状態として答えができておると私は考えるわけです。ですから、そうなると農村に関する限り被買収者諸君は、十分ではないとしても、この農地改革はそれらの人たちに対しても、致命的な犠牲や出血をしいたということにはなっておらないと判断できるわけでありますが、その点に対しては総務長官並びに農林大臣は、どのように判断されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/34
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035・福田赳夫
○福田国務大臣 ただいま農地局長から申し上げたのは、これはあくまでも平均しての話なのでございます。これを個々に見ますと、いろいろな社会問題が起きておるわけなんです。そういう状態も調べなければならぬ。また特に都市近辺なんかにおきましては、解放されました農地が非常に高い値で転売される。これは感情というか、さような面から見て旧地主に非常に複雑なものを投げかけておるというふうにも思うわけであります。いろいろな問題が起きておりますから、そういう状態を調べてみようというような次第でございまして、平均すれば私どもは農林省が調べました調査によりましても、ある程度安定した状態が見られるのでございますが、個々のそういう問題をよく調べてみよう、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/35
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036・芳賀貢
○芳賀委員 平均ということを言われるが、全部を平均したこれは答えじゃない。それを今度は階層別に分けてあるわけです。兼業とか専業とか、そういう大きな分類の中で、それをさらに階層別に分けてこの調査が行なわれておるわけです。また問題を変えて、もしこの調査会においてたとえば調査を行なおうとしても、これは百七十万戸全部を対象にして個々の調査を行なうということはできないと思うのです。この点は政府の説明によりましても、大体一万五千戸くらいを抽出して実際の調査対象にするということが、これは総務長官から述べられておるわけです。どのような調査機構を持つといっても、全国に散在しておる百七十万戸の被買収者個々に当たって、全部実態調査をするということはなかなか困難な問題でもあるし、そういうことまでする必要はないのじゃないかと思うわけです。ですから大臣の平均というのは、少し誤りがあるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/36
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037・福田赳夫
○福田国務大臣 今度一千万円の予算でございますが、それで全部の被買収者の調査を個々にやるということは、とうていできるものではないのであります。結局抜き取り調査式なものになると思いますが、しかし同時に被買収者の中で困窮状態の激しい者の状態なんか、どういうふうになっておるだろうかというものについて、個別的な実態も調査しておかなければならぬ、こういうことを申し上げておるわけであります。三十年の調査では一応の結論が出ておりますが、それはあくまでも平均としての話でありまして、その中の非常にひどいものの状態が、具体的にどうなっておるだろうというような調査は、まだないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/37
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038・芳賀貢
○芳賀委員 農地局長、資料は整ったですか、先ほど保留した問題は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/38
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039・伊東正義
○伊東政府委員 今照会しておりますので、もうちょっとお待ち下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/39
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040・芳賀貢
○芳賀委員 そこで農林大臣の御答弁は、何か一つの前提を設けて調査を進めようとしておるのじゃないかと思うのです。たとえば解放以前における農村の中の旧地主あるいは小作人というような、社会的地位の相違というものをまた復活させるような考え方、あくまでも旧地主は社会的に優位の地位を確保してやらなければならぬということで調査を進めることになれば、問題は全然別なことになると思うのですが、まさかそういう考え方は持っていないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/40
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041・福田赳夫
○福田国務大臣 さような考え方は毛頭持っておりません。現在の農地法の精神並びに自作農主義というものは、ますますこれを強化していかなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/41
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042・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、今回の法律の提案は、私どもが判断しても、あるいは国民一般がこれを判断しても、長期にわたって執拗に展開された旧地主団体の自民党あるいは政府に対する圧力といいますか、運動の成果といいますか、それが結局政府をしてこのような調査会の設置だけを目的にした法案を出したようなことになったと思いますが、この際旧地主団体と現在の与党自民党あるいは政府との関係というものは、どの程度の関係になっておるか、その点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/42
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043・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 これは民主政治のもとで同じ考えを持った者が集まって一つの行動をやる、あるいは運動をすることは当然でございます。従って旧地主の方々が集まって団体を結成する、また与党の中にも共鳴する者もある、私はこれは今の政治のあり方として当然認められていい形ではないかと考えております。ただ政府がこういう法律案を出し、あるいは提案をする場合には、独自の立場でやるべきでありまして、これは今日の午前中の総理の答弁でも明かでありますように、たとえば地主団体の方々が補償すべきである、こう主張したところで、補償することは法的に見ても適当でないと、政府側としては明確にお答えした通りであります。政府の提案としては、あくまでも独自の判断でやるべきであり、またそうしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/43
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044・芳賀貢
○芳賀委員 これは今までの地主団体の運動の経過を見ると、そういう簡単なものではない。たとえば全国的な組織が結成されるまでにも変遷がありますし、また長期的な運動を継続するものですから、旧地主から相当多額の無理な負担金を全国的に徴収しておるということも御存じの通りであります。それをまた政治的に解決しなければならぬという名目のもとで、たとえば衆議院の解散、総選挙等につきましては、与党の相当有力な議員諸君の推薦を行なうとか、あるいは選挙資金の一部を献金するとか、そういう密着した行為というものが繰り返し繰り返し行なわれておるわけです。しかしわれわれが判断した場合には、現在旧地主団体を指導しておる、あるいは運動の中核になっておる諸君というものは、はたして全国の百七十万戸に及ばんとする被買収者諸君の真意を、ほんとうに代弁しておるかどうかという点に対しては、多分の疑いを持つわけです。今農村に残ってみずから耕作しておるような被買収者諸君は、国の大きな変革に進んで協力した人が大部分でありますし、その後変革され、民主化された農村内部において、やはりお互いが一体となって社会的な協力体制の中で生活を営んでおる。こういう人たちは、当時の農地改革というものは、これが行き過ぎであったとか、そういうような怨恨というものは全然持っていないわけです。ただ一部の団体の中心になって音頭をとっておる諸君が、農地改革というものは行き過ぎであり、不当である、だから当然の権利として補償の要求をしなければならぬというような、そういう中心のスローガンを掲げて、そうして全国的な結集を今日まではかってきておる。ですから一般の被買収者諸君と運動の音頭をとっておる諸君の思想とか行動というものは、相当の懸隔があるとわれわれは考えておるわけです。ですからそういう点をやはり政府としても、与党におかれましても、十分内容の分析をして、この農地改革の成果というものは、いかに農村における、あるいは日本の全体を通じて、民主化の土台になっておるかというこの偉大な成果というものを、それらの人たちにも十分理解してもらうような政治、あるいは運動団体に対する説得というものが必要であったと思いますが、そういうことをやっておらぬというところに、このような問題が持続されておると私は思うわけです。ですから、もう少し信念的にそれらの人たちの説得に当たるということも大事だと思いますが、必要を認めておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/44
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045・福田赳夫
○福田国務大臣 ただいま総務長官から申し上げましたように、被買収者の間に運動があることは事実でありますし、またそういうことはやむを得ないと思います。しかし政府がとっておるこの法案に対する態度というものは、それとは全く別の問題なんです。被買収者の間におきましては、補償というような考え方が当初から出ておるわけでありますが、政府はしばしば申し上げておるように、そういう考え方はいたしておらないのでございます。ただ被買収者の社会的実情というものにつきましては調査する必要がある。それはともかく戦後の社会安定のための大改革でございますので、その改革のあとの状況がどうなっておるか、被買収者からいろいろ政府は問われますが、それに的確なお答えをいたす資料を持っておらないわけでございます。ともかくそういうことをお答えできる状態にしなければならぬ、そういうようなことから、今度調査会を設置するというふうに相なった次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/45
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046・伊東正義
○伊東政府委員 先ほどのお尋ねでございますが、三十六万戸は不在であります。その残りが在村でありまして、大体耕作が六十三万戸くらい、不耕作が七十七万戸くらいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/46
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047・芳賀貢
○芳賀委員 私はこの地主の運動について見ると、これは今福田さんが言ったようなものじゃなくて、やはり与党としても積極的にこの運動を助長したという気配は確かにあるわけです。これは内閣委員会においても同僚の委員諸君から指摘された点でありますが、たとえば現在の岸総理がかつて幹事長時代等には、相当地主団体の運動に対しては激励を与えておるわけです。本来はきょう総理に出席していただいて、総理の真意をただしたいというのが主目的であったが、出席しておりませんが、一応この点を申し上げますと、昭和三十一年の七月七日に、山形県において旧地主団体の大会があったことは御承知の通りです。そのときに団体の本部顧問と称する佐藤貞なる人が、この大会の席上で述べた一節にこういう言葉がある。これは記録に残っておるわけです。「五月三十日の午前八時、渋谷の岸幹事長邸をたずねたところ、岸さんは御親切にも、「佐藤さん、必ず御期待に沿うよう努力いたしますから、足並みだけをくずさないようにしていて下さい。」また岸さんは二カ月ほど前私の故郷」——佐藤という人は福島県でありますが、「故郷に来られたとき、青年団の質問に対し、あの問題は、すでに三千万円の調査費を予算でとっており、関係方面で実態調査もやっています。また五十数名に上る代議士が調査会を作り、常任委員まで選出してあるから、近い将来必ずあなた方の念願は達成されます。決してあせらずにもう少ししんぼうして下さいと言われ、さらに、わが党は、国民に約束しておきながら実行できない問題が二つある。海外引き揚げと、あなた方の地主団体の要求です。この二つはぜひ実現して、一日も早く皆さんに安心してもらいたいと日夜努力しています。」こういうことが地主団体の大会において堂々と報告されておるわけです。ですからこれを通じてわれわれが判断しても、当時の自民党の岸幹事長時代に、こういう地主補償問題というものが党の内部において取り上げられて、そうして今日に至っておるということは明らかであります。ですから、こういうふうに農地改革の成果は認めながら、農地の補償は適切であったということを一方においては言いながら、一方においてはこれを批判して、これに反抗するような被買収者団体の激励をやっておるというような、二面的なこういう陰性な性格というものが今日の岸総理の性格であって、こういうような陰性な性格の指導者というものが中心になっておる党並びに政府が、こういう反動的な法律を出すという場合には、単に調査会の設置とか、調査だけが目的の法律ですから心配はありませんということに対して、われわれとしても国民としても、まじめに信頼して、そうですかということにはならないわけです。ですからこの点はもう少しまじめに、この地主問題に対する政府の基本的な考え方をこの機会に再度明らかにしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/47
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048・福田赳夫
○福田国務大臣 岸総理のために一席弁じますが、この問題に対する自由民主党並びに内閣の考え方は、再補償はいたさないということであります。また農地改革の精神、農地法の精神、自作農主義というものはいささかも変更しない、こういうことでございまして、これは総理大臣みずからがそういう結論を下しておるわけでございます。ただいま何か言動についていろいろお読み上げがございましたが、私はいろいろこの問題の経緯から考えまして、総理大臣がそういうふうな言動をしたというふうにはとうてい想像し得ないわけであります。あくまでも政府の考え方は、ただいま申し上げた二つの考え方が基本であり、同時にその考え方を中心的に持ち出しておるのは岸総理その人である、さように御理解を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/48
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049・福田一
○福田委員長 簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/49
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050・芳賀貢
○芳賀委員 時間の制限の御注意がありましたので結論を急ぎたいと思いますが、最初に戻りますが、福田総務長官からは百万戸を対象にというお話がございました。結局その後百七十万戸全部を対象にして調査を進めるということでありますが、この際これに関連して政府として十分思いを新たにしてもらいたい点は、農地改革の成果で、当時の小作人諸君の約四百万戸が農地改革の恩恵に浴しておるわけです。ところが現在の農村における六百万戸の農家の実情というものは、どうなっておるかということもあわせて考える必要があると思う。旧地主以外の、かつての小作人諸君が、それではこの農地改革によって、社会的にもあるいは人間的な生活の上においても、どれだけ恵まれておるかというと、決してそうではないと思います。農林大臣もしばしば国会等においても、今日の農村の実情というものは、国内の経済あるいは産業構造全体の分野からこれをながめた場合においても、非常に劣悪な状態に置かれておる、しかも農村の内部においても貧富の差がだんだん拡大されて、そうして階層の分化が激しくなっておるということをみずから言われておるのです。しかも今日、この農地の所有というものを分析してみても、六百万戸の農家の中で五反歩以下の所有農家というものは実に二百万戸に及んでおるわけです。六百万戸の三分の一の農家というものの所有面積は五反歩以下です。五反歩から一町歩までの間が二百万戸、一町歩から一町五反歩の間が百五十万戸、一町五反歩以上の所有農家が五十万戸ということに大体区分されておるわけです。従って現存する被買収者七十万戸をかりに除いたあとの五百三十万戸の農家の生活実態というものは、これは農業だけでは生活することができない階層というものが大体六五%も占めて、ようやく三五%くらいが専業農家という形で生活を維持しているにすぎない。従って農地改革に関連して旧地主だけが大きな犠牲を受けたということだけでは、これは尽きないと思うのです。農地改革の恩恵を受けたといわれる当時の小作人諸君も、今日の政治のもとにおいてどのように窮乏した生活を営んでおるかということを十分認識しなければ、この問題の解明というものは絶対にできないと思うのです。従ってもしこの調査を進めるということであれば、農村全体の問題、あるいは社会全体の中における農業とか、あるいは被買収者の社会的な問題というものをどのように把握されるかということは、われわれとしてもこれは一応必要であるとは思いますが、こういう法律をわざわざ設けなければならぬ理由というものは全然ないと思うのです。従ってこれはこのような法律を設けて内閣に直属させるということでなくて、やはりそれぞれの農林省であるとか、あるいは生活上の問題については厚生省であるとか、あるいは労働省であるとか、総理府の直属の調査機関であるとか、それらをすべて総合的に動員して広範な総合的な調査を進めるということであれば、あるいはそれは意味はあるかもしれませんが、被買収者だけを対象にした調査会の設置等については、われわれとしては絶対に了解できないし、今までの政府の答弁では何人をも納得させることはできないと思う。ですからこの際十分再考されて、このようなむちゃくちゃな法律案はやはり撤回するとか、始末するという挙に出られた方がいいのじゃないかということを私は申し上げるものでありますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/50
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051・福田赳夫
○福田国務大臣 日本の農業問題の最も困難な点は、御承知の通り農地の零細性という点にあるのでございまして、そういう点を克服いたしましていかに農村を安定させるかということが、農政の基本問題であるというふうに考えております。農林省の扱う予算というものは、ほとんど全部があげてそういう方面に使われておる次第でございまして、ただ局部的に問題になってきておりますこの土地改革に伴う被買収者の問題は、農政という角度でなくて、社会的な角度ということで、農林省でなく内閣においてその状態を調査してみたい、こういうことなんです。だから見方が違うわけでありまして、農林省は全体としてお話のようなことを一生懸命やっております。これは御安心願いたいと思うのであります。ただこの問題につきましては別の角度から内閣の方で調査する、こういうふうに御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/51
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052・福田一
○福田委員長 次に角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/52
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053・角屋堅次郎
○角屋委員 農地被買収者問題調査会の件につきまして、福田農林大臣初め関係の方々に御質問申し上げたいと思います。本問題については、すでに内閣委員会におきましてそれぞれ関係委員から詳細にいろいろな点から質問がなされておりますし、同時に本法案はすでに三度目の法案でございますから、前々から本件に対するいろいろな問題が討議されてきておる経緯等もございまして、この際、重要な点についてはすでに質問済みの点が多いのでございますが、簡単にお伺いしたいと思います。
たまたま今度の国会における農地被買収者問題調査会の関係者というものは、偶然の一致か知りませんけれども、農林大臣も福田さんであれば、総務長官も福田さん、内閣委員長も福田さん、いわば三福対と申しますか、三度目のこの法案の提出にあたって、たまたま三福田氏がそろう。おそらくそういう意味では、農地被買収者からは福の神になるのではないかと考えられていると思いますが、しかしそういう問題は抜きにして、すべて国政上の問題は、いろいろな問題が前向きで考えられるものであるか、あるいはうしろ向きの考え方でなされるものであるかということが、やはり基本的に重要な問題だと思う。戦後第一次、第二次の農地改革がなされまして、約二百万町歩の、いわゆる地主の保有しておる小作地が解放されたわけでございますけれども、農林大臣はしばしば農地改革の成果は、これは堅持するのだ、あるいはまた昭和二十八年十二月二十三日の最高裁の判決というものは尊重しなければならぬ。従って被買収者農地に対する国家補償というものは絶対にやらないのだ、こういうふうなことを機会あるごとに言っておられるわけでありますけれども、しかしそれならばなぜ農地被買収者問題調査会というようなものを設置することになるのかという点が、やはり問題だろうと思う。国家補償をやらないと言いながら、なおかつ必要があれば適当な措置を講ずるというふうに、提案理由の説明でもなされておる。そうなると必要なる措置という措置というものは、国家補償をやらないということと一体どういう関係になるのかということが一つ問題になる。それから同時に農地改革の成果はあくまで堅持すると言われるのであるけれども、農地改革の成果を堅持すると言われる場合は、やはり成果を堅持するばかりでなく、これを発展させなければならぬということになる。たまたまこういうような農地被買収者問題調査会というものが何回か出てくる経過の中で、さらに積極的にやらなければならぬ農地改革というものが、これで非常にブレーキをかけられるということがありはせぬかという感じが、率直に言ってするわけであります。たとえば今日在村地主の持っておる保有小作地というものは、未来永劫こういう形でいくべきものであるか、あるいはやはり耕地というものは原則として耕作者が所有し、耕作していくという建前に立つのであるか、これは農地法の自作農主義の建前からいっても、在村地主の保有しておる小作地というものはこういう形で将来も継続していくのであるか、あるいは自作農主義の本来の姿にのっとって、なるべく早い機会にいわゆる耕作者に渡す、こういう考え方にいくべきものであるかということも、やはり農政上の一つの問題であろうと思う。同時に今日かりに在村地主が保有しておる小作地の問題についても、小作料等の問題についていろいろ論議が出てきているわけです。これがやはり耕作者擁護の立場と、あるいは保有しておる地主の立場と、いずれのものを勘案して調整するかということが一つ問題になる。かりにこういう調査会ができ、地主団体がここ数年来続いてきているという力の組織を持った形から考えると、各地で数年来土地取り上げの問題等があって、農地改革の成果というものが後退するという方向にいくのではないか。これは前向きの姿勢をとるべき農政の立場から見ると、大きな問題だと思う。
そこでこの際農林大臣にお伺いしたいのは、今日転換期にきておる農政の姿の中で、単に旧来の農地改革の成果を堅持するばかりではなしに、これを維持発展させるという観点からいくならば、たとえば国土の総合開発あるいは国土の総合的な利用という面から見て、山林、原野等においてもなおかつやはり国民的な立場からこれを利用拡大しなければならぬ。こういうような問題についても、たまたまこういう問題が出てきたために、それが非常に後退した考え方になりはせぬかということもあろうと思う。そこで農政の立場から見て、農地改革の成果を堅持するのみならず、これを維持発展させるという立場から見て、今申しましたような諸問題について、農林大臣が具体的にどう考えておられるかという点をまず明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/53
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054・福田赳夫
○福田国務大臣 農地改革の成果というものは、御意見がございましたが、私はこれを安定させようという考え方でございます。なるべく耕作する人がその土地を持つという形が望ましいと考えるのです。しかしそれを法的、強制的にするということはなかなか重大問題でございますので、農政の運営上あるいは自作農創設資金というような問題もありますが、いろいろな農政の運用においてそういうことを実現していきたい、こういう考え方でございます。ただお話のありました山林でございますが、これは農地と非常に性質が違っていると思うのです。その性質上経営を大規模にやっていかないと、どうしても生産性を維持し、向上するという点において十分でないというか、欠陥があるわけでございます。さようなことで、山林に対しましてこれを農地と同様解放するという考え方はただいま毛頭持っておりませんが、しかし農地につきましては、ただいま申しましたように、農地法の精神をますます拡大していきたい、そういうふうな考え方をしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/54
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055・角屋堅次郎
○角屋委員 本問題が国会において論議される過程の中で、当初第二十六国会ごろから第二十八国会ごろまでは、時の総理大臣その他関係の大臣は、この問題に対しては非常にきぜんたる態度でもって臨んでこられたわけですけれども、その後だんだん答弁の内容等を調べて参りますと、変化をして参りまして今日に及んでいるわけでありますが、その根本的な要因は、いわゆる農地被買収者の生活状態、生業状態という、いわば社会問題というものが深刻化したという前提に立っておるのであるか、それとも深刻化はしないのであるけれども、しかしそういう団体側の非常に強い運動というものに押されて、そういうふうな考え方を変えざるを得ないという事態にきたのであるか、その辺のところを一つ明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/55
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056・福田赳夫
○福田国務大臣 農地被買収者から、いろいろ陳情というか、訴えがあるわけでございまして、そういう訴えに対しましては——これは農地被買収者ばかりではありません、全国津々浦々からあるわけでございますが、そのすべてに対しまして耳を傾けなければならぬということは、これは政府といたしましても、政党といたしましても当然だろうと思うのです。しかしそれを全部聞くというわけではありませんで、それを整理いたしまして、そして国の政策に乗せ得るもの、乗せ得ないものと選別し、乗せ得るものはこれを乗せていくというふうにすることが、政治が国民と直結し、地についたものになる基礎であるというふうに考えるわけであります。私どもは、お話が前々からありましたが、農地団体の圧力に屈したとか、あるいはそういう影響でこういう措置をとっているとかいうことは毛頭ないのでございまして、ただそういう訴えを聞きまして、われわれが被買収者の実態がどういうふうになっているかということをお答えできないような状態でもありますので、一応とにかく調査をしてみたい。その被買収者の生活状態が前よりひどくなったか、ならないかというようなことは、これは調査してみなければまだわからない問題でございまして、さような悪くなったからどうというような前提で、この調査会を設置するというわけではないわけでございます。調査してみなければそれはわからぬ、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/56
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057・角屋堅次郎
○角屋委員 この調査会法案につきましては、しばしば農林大臣その他の答弁を聞いておっても、調査が当法案の生命になっている。すべてのものは調査をし、またいろいろ答申を待って考えるのだという立場をとっておられる。これは微妙な点でございますから、そういう答弁をしていると言ってもいいのかもしれませんが、しかし調査が生命であるということになりますと、わずか一千万円くらいの調査会法案の予算、しかも直接に使うのは、三百八十八万円を中央調査社に委託して調査するという、こういう経費でもって、いわゆる百万戸の在村していない地主を対象にして一万五千戸を抽出調査をして、それでもって全体を推計してみよう、こういう方法であろうと私は思う。この場合に、一つは昭和三十年に農林省のやった臨時農業基本調査というものについては、これは七十万戸を対象に抽出調査して推計がなされているわけですけれども、これはいろいろ検討する場合には、このことについてはそのまま活用されて、そうして他の百万戸については中央調査社に委託をする。一万五千戸の抽出調査からの推計、こういうものを基礎にして両々相待って農地被買収者の実態はどうか、こういう立場に立たれるのか、あるいはそうでなくて、やはり在村地主等の問題についても、すでに昭和三十年に臨時農業センサスの調査はあるけれども、さらに補完的な調査もやりながら、主として重点は不在地主の方に置いてやられる、こういう立場をとられるのかどうかということが、一つはやはり問題になろうと思う。冒頭に申し上げましたように、農地被買収者問題調査会というのは、非常に実態が明らかになってないから、実態を明らかにするのだという前提に立つ場合には、一千万円の調査費でもってやる、こういうお粗末な調査でもって、はたして実態が明らかになるかどうかということは、一つ大きな問題である。いわばこれは調査ということで当面を切り抜けなければならぬということでもって、形式的に調査ということであって、実際はその次がほんとうの気持なんだろうという点も、いささかわれわれとしてはさらに奥深く判断をしてみなければならぬという気持になるわけですけれども、調査の方法と、実際にこういう調査を通じて十分な資料が得られるかどうかという問題について、これは総務長官の方かどうかわかりませんが、お答え願いたいと思います。どちらでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/57
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058・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 御指摘の通り、予算は確かに十分なものではございませんが、相当権威のある調査機関に委託いたしますから、調査が十分行なわれて参るものと考えております。
〔委員長退席、岡崎委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/58
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059・角屋堅次郎
○角屋委員 福田農林大臣が欠けられるということになりますと、農林委員会からの連合審査という立場から申しますと、大へん残念な姿でありますけれども、やむを得ない要件であるというふうに承っておりますので、この際了解をいたしまして審議を進めて参りたいと思います。従って農林省関係については、農地局長もおいでのようですから、かわって御答弁を願いたいと思います。
この調査に基づいて必要がありますれば適当な措置をとるという考え方の場合に、適当な措置とは、これは農地を解放した百七十六万戸というものを一律に考えた前提に立って適当な措置を考えるという立場であるのが、あるいはまたそうでなくて、社会問題という以上は、そこには生活の問題、生業の問題ということでございましょうから、そういう立場で見て真に窮迫をしておる、悪条件下にある人々に対して、調査の結果必要があれば適当な措置をとろう、こういう考え方であるのかという点が、将来の問題としても、かりにこの調査会法案が通るという場合には非常に大きな問題になろうと私は思う。いわゆる百七十六万戸を全体一律に処理されるというふうな考え方に前提を置いておられるのか。そうでなくて、社会問題という以上は、そのうちの社会問題として当然やはりその後の経緯から配慮を払わなければならぬという点に力点を置いてやろうという考え方を、政府はこの法案を出すにあたっての基本的な考えとして持っておられるのか、この辺のところを一つ明らかにしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/59
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060・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 この問題は前にもこの委員会でお答えしたわけでありますが、調査会が設置されまして一体どういう結果が生まれ、またそれによって処置が必要かどうかという点も出てくるわけでありますが、こういう二次的な処置の問題につきましてもまだ全然見通しが立たないわけでございます。こういう段階ではこれについてはお答えするのは適当でないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/60
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061・角屋堅次郎
○角屋委員 私はそこがこの法案を出される場合の政府の考え方として、明らかにしておかなければならぬ一つの問題であろうと思う。すべて調査会の答申待ちということで逃げられまするけれども、私はその辺のところが、社会問題という以上は、かりに調査会法案が通るという前提に立つ場合には、大きな問題であろうと思う。私どもは解放されたあとの農地被買収者の生活の実態について、農林省の臨時農業センサスの結果を見ても、あるいは自民党の諸君の調査をされた——内容そのものにはいろいろ問題がありまするけれども、そういうものからある程度判断をいたしましても、お気の毒な人々は五%にしろ、あるいはそれ以上にしろ、あるというふうなことは判断しておるわけです。そういうものを力点に置いて本調査会というものの調査が進められる、こういう考え方であるのか、そうでなくて、それはこの問題を出すにあたってのいわば説明として必要だから言うのであろうけれども、実際は百七十六万戸全体にわたって一律主義でやっていくというところにほんとうのねらいがあるのかということが、私はこの調査会法案を提案されるにあたっての重要なポイントであろうと思う。この点はもう少し端的に明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/61
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062・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 その点は先ほどお答えした通り、百七十万戸を対象とした問題であろうと考えます。
〔岡崎委員長代理退席、委員長着席〕
ただかりに一つの答申案が出ましても、政府のとるべき態度はあくまで社会的通念と申しますか、だれが見ても筋が通ったことをやるのが当然でございますので、今のところどういう結果が出るか全然わかりませんので、具体的な点につきましては答弁いたしかねる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/62
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063・角屋堅次郎
○角屋委員 調査の対象になる在村地主の七十万戸の問題、あるいは現在地元におらない百万戸の地主の問題、こういう二つの形で調査が進められていくわけです。しかも後者の問題については、必ずしも実態が明らかでないという前提に立っておるわけですけれども、大体政府の判断として、この在村地主七十万戸あるいは在村していない百万戸のいずれが、経済的に見て非常に困難な事情にあるというふうに判断しておられるか。これは調査の結果を見なければわからぬということであるいは逃げられるかもしれませんけれども、今日農地改革をやってからすでに十年近くを経過しようという段階の中で、それは調査をしてみなければわからぬということでは、先ほども芳賀委員が指摘をされたように、政府も無責任だということになると思うのですが、この両者のいずれが全般の趨勢として困難な悪条件にあるか、どういうふうに判断しておるか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/63
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064・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 それは今御指摘の通りで、調査の結果を見ませんとわからないわけでございます。むしろ政府がこれをもっと早く、たとえば農林省がやりましたのがもうすでに数年前でございます。もっと早くやればよかったのでありますが、まだ手がつかないために、そういう点も的確につかめておらないのが今日の状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/64
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065・角屋堅次郎
○角屋委員 農地局長にお伺いをしたいと思うのですけれども、在村地主の実態については、三十年の臨時農業センサスである程度明らかになったと思うのですが、調査の結果に基づいて必要があれば適当な措置をとらなければならぬという考え方に立っておりまするけれども、本調査会の調査の対象というものは、在村していない農家に対して主として行なわれて、在村のものについては既調査を活用していくという前提に立って考えます場合には、その中で実際適当な措置が必要であろうというその対象というものは、農林省の判断として具体的にどういうふうに考えておられるか。また適当な措置をとるという場合においては、どういう措置をとったらいいかという点についても御意見があれば、率直にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/65
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066・伊東正義
○伊東政府委員 御質問でございますが、農林省がやりましたのは、三十年の統計調査部の調査でございます。この調査の結果は、一般的には解放農家の方が経営その他から考えて優位にあるというような結論が出ております。ただその中に、農業専従の方で約一〇%ございますが、季節的雇いとか日雇い労働に出るというような比率も若干ございます。こういう人が対象になりますかどうか、比率からいきますればそういう一応のパーセンテージが出たという結論でございます。調査会が調査の結果、どういう人が対象になるのかというようなことにつきましては、今のところではまだ調査の結果を待ちませんと、在村の地主にしても、どういう人をどう考えるかということにつきましては、この段階ではお答えいたしかねるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/66
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067・角屋堅次郎
○角屋委員 昭和二十八年に最高裁の判決が出て、なおかつ本調査会の調査の答申に基づいて必要な措置をとらなければならぬという事態が出たという場合の見解というものは、一体どういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/67
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068・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 先ほども答弁いたしました通り、必要な措置の具体的な内容につきましては、まだ調査の結果が出ませんのでお答えできませんが、農林大臣もはっきり答えておりますように、いわゆる二十八年の最高裁の判決にもとるような措置は当然とるべきでない、これははっきりしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/68
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069・角屋堅次郎
○角屋委員 財源等の問題に関連して、本委員会においても大蔵大臣、農林大臣あるいは総務長官等から、巷間伝えられておる農地転用税というふうな、一部のものを対象にした新規の税金の徴収によってやるということは、かりに将来必要な措置を講ずるような場合でも、そういうような形はとらない、これは考え方としては一般財源でやるのだ、こういう考え方を明らかにされておると私は思う。ただしかし従来の委員会の審議の経過、答弁等から、私どもがいろいろ判断して参りますと、被買収者から解放を受けた農地でなくして、都市における土地あるいは農村における耕地、こういうもの全般を含めての土地に対する課税という問題全般については、これは税制調査会等を中心にして検討しなければならぬ段階にきておる、こういうふうに言っておられるのではないかと私は思う。そこで、これはあくまでも本調査会法案が通った場合の前提でございますけれども、本調査会法案が通った場合の財源として、政府は一般財源でこれを充てるという決定した方針であるのか、あるいはそれぞれの大臣がまだ今日の段階における個人的見解として述べられておる段階であるのか、その辺のところを、将来の問題として一つ明らかにしておいていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/69
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070・福田篤泰
○福田(篤)政府委員 必要な処置の中に財政的支出が必要であるかどうかという問題自体が問題でありますが、ただ、今まで当委員会において、関係の大蔵大臣から答弁いたしております点ではっきりいたしておりますことは、いわゆる目的税的なものは設けたくない。御指摘の通り、土地全部を含めての日本経済その他に関連して高騰を押える何らかの手段はないか、これは税制の一連の問題として政府が検討しておることは御承知の通りであります。転用あるいは転売の場合には、すでに譲渡所得税あるいは固定資産再評価税を払っておるものでありまするから、それだけを対象とした目的税は適当でないというのが大蔵当局の見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/70
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071・角屋堅次郎
○角屋委員 非常に重要な最終段階の審議に、農林水産委員会の立場から申しますと、農林大臣がおられれば、やはり農地改革の成果あるいはこれからの農政の展望の上に立っての本調査会の持つ影響、あるいはそういうものの価値判断というものを、私は真剣にやらなければならぬと思うのですけれども、総務長官しかおられない今日の状況の中で、さらに質問を継続するということは、——これは総務長官に尋ねる場合には、やはり本調査会中心で考えていかなければならぬ。われわれ農林水産委員会の立場としては、これが将来かりに通過した場合の農政上に及ぼす影響はどうか、前向きに考える場合にはどういうふうにすべきであるか、あるいはこれが後退する可能性を持つとすればどういうふうな措置を講じなければならないか、これがやはり私は重要な問題であろうと思う。しかし大臣もやんごとない事情でございましたから、私はせっかくの機会でありましたけれども、この程度で質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/71
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072・福田一
○福田委員長 これにて本連合審査会は散会いたします。
午後一時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103404945X00119600401/72
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