1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月十六日(水曜日)
午前十一時二十九分開議
出席委員
委員長 吉川 久衛君
理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君
理事 永田 亮一君 理事 丹羽 兵助君
理事 本名 武君 理事 角屋堅次郎君
理事 芳賀 貢君
今井 耕君 金子 岩三君
倉成 正君 坂田 英一君
笹山茂太郎君 田邉 國男君
高石幸三郎君 野原 正勝君
松岡嘉兵衛君 松田 鐵藏君
八木 徹雄君 保岡 武久君
赤路 友藏君 茜ケ久保重光君
中澤 茂一君 松浦 定義君
神田 大作君 中村 時雄君
出席政府委員
大蔵政務次官 奧村又十郎君
農林政務次官 小枝 一雄君
農林事務官
(大臣官房長) 齋藤 誠君
農林事務官
(農林経済局
長) 坂村 吉正君
水産庁長官 西村健次郎君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁財政局
理財課長) 佐々木喜久治君
大蔵事務官
(主計官) 相沢 英之君
大蔵事務官
(理財局地方資
金課長) 高柳 忠夫君
農林事務官
(農林経済局金
融課長) 太田 康二君
農林事務官
(農地局総務課
長) 日比野健児君
農 林 技 官
(農地局建設部
災害復旧課長) 中村 武夫君
農林事務官
(水産庁漁政部
長) 林田悠紀夫君
農 林 技 官
(水産庁漁政部
漁船保険課長) 杉田 隆治君
専 門 員 岩隈 博君
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三月十六日
委員中村時雄君辞任につき、その補欠として受
田新吉君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
漁船損害補償法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四三号)
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第四四号)
農林漁業災害に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/0
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001・吉川久衛
○吉川委員長 これより会議を開きます。
漁船損害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がございませんので、本案に対する質疑はこれにて終了いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/1
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002・吉川久衛
○吉川委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もないようでありますから、直ちに採決に入ります。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/2
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003・吉川久衛
○吉川委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/3
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004・吉川久衛
○吉川委員長 ただいま可決いたしました法律案につきまして、赤路友藏君より、自民、社会及び民社共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
この際提出者よりその趣旨説明を求めます。赤路友藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/4
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005・赤路友藏
○赤路委員 自由民主党、民主社会党並びに日本社会党を代表いたしまして、私より、漁船損害補償法の一部を改正する法律案に附帯決議を付すべしとの動議について、その趣旨を御説明いたします。
案文を朗読いたします。
漁船損害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は改正法による漁船損害補償制度の円滑な運営を図るため左記の各項目について遺憾のない措置を講ずべきである。
記
一、漁業経営の実態等にかんがみ、保険料の分納を必要とする漁船に対しては、一定の条件の下に再保険料の分割払制度を実施することができるよう所要の法的措置を講ずることについて、速かに調査に着手すること。
二、前項の趣旨に沿い再保険料の分割払制度が実現するまでの間、再保険料の延滞金については、現行の遅延利息の割合と系統金融機関における現行最高預金金利との平均利率を勘案して、適切にこれを定めること。
三、漁船損害の発生を未然に防止し、漁業経営の安定に資するため、漁船保険振興基金の如き一連の積極対策を確立し、政府が強力な援助を行なうことができるよう所要の法的措置を講ずるよう検討すること。
右決議する。
昭和三十五年三月十六日
衆議院農林水産委員会
以上でございますが、この趣旨につきましては、すでに本案審議の過程において委員各位の御了承の通りでございますので、何とぞ皆さん方の御賛同をお願いいたしまして、私の趣旨の説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/5
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006・吉川久衛
○吉川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
これより、自民、社会及び民社共同提案の附帯決議を付すべしとの動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/6
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007・吉川久衛
○吉川委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/7
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008・吉川久衛
○吉川委員長 次にお諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/8
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009・吉川久衛
○吉川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
なお、この際、ただいまの附帯決議に対して政府の所見を求めます。小枝政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/9
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010・小枝一雄
○小枝政府委員 ただいま満場一致をもって御決定になりました漁船損害補償法の一部を改正する法律案に対する御決議の趣旨につきましては、政府といたしましては、極力これを尊重いたしまして善処をいたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/10
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011・吉川久衛
○吉川委員長 奧村政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/11
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012・奧村又十郎
○奧村政府委員 この漁船掛香補償法に基づいて、漁船保険組合、また政府の漁船再保険特別会計が順調に育って参りましたことは、まことにけっこうなことと存じます。今回また一部改正の法律案を満場一致で議決をいただきまして、それに附帯する決議案をこれまた満場一致で議決をいただきました。大蔵省といたしましても、当委員会で慎重御審議の結果この決議案をおきめになったのでありますから、御趣旨を十分体して、実現するように努力をいたしたいと存じます。ただ、三の項目につきましては、御承知の通り、すでに本年度の予算編成の際において予算措置で一部実施することにいたしておりますので、なおその上に法的措置を講ずべきかどうかということについては、一つこれから御趣旨を体してよく研究してやって参りたい、善処いたしたい、かように存じますから、御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/12
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013・吉川久衛
○吉川委員長 午後は正一時より再開することとし、暫時休憩いたします。
午前十一時三十七分休憩
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午後一時三十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/13
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014・吉川久衛
○吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、政府に本法案の詳細なる説明を求めます。坂村経済局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/14
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015・坂村吉正
○坂村政府委員 ただいま御審議をいただいております農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきましては、先般提案理由の御説明を申し上げてあるのでございますが、それに補足をいたしまして御説明を申し上げたいと思います。
まず、第一点の、資本金の増額に関しまして申し上げますと、昭和三十五年度におきまする公庫の貸付予定計画額は、土地改良資金百七十三億六千万円、このうち三分五厘資金が九十一億円でございます。これは、小団地のものが九十億円、それから、新たに牧野を加えまして、この牧野の分が一億円でございます。それから、自作農資金が百三十億円、林業が四十三億八千万円、漁業が四十一億九千万円、共同利用施設が三十一億五千万円等、総額といたしまして五百十七億円でありまして、これを前年度の四百三十二億円に比較いたしますると、八十五億円の増加と相なっておるのでございます。増額いたしましたおもなものは、土地改良資金三十一億二千二百万円、そのうち三分五厘資金は二十八億円でございます。それから、自作農資金が三十億円、さらに、三十五年度から新たに貸し付けられることと相なりました果樹園造成資金の五億円等でございます。
三十五年度において総額五百十七億円の貸付を行ないますための原資といたしましては、まず政府からの出資金か七十七億円、これは前年と同じでございまするが、資金運用部等からの借入金が二百五十八億円、これは前年よりも四十三億円の増でございます。それから、回収金等が百五十四億円、これは前年に比べまして三十四億円の増でございます。合計四百八十九億円と相なっております。出資金七十七億円のうち七十億円は産投会計からの出資
金でありまするが、残りの七億円は、国
有林野特別会計の剰余金のうち一般会計に繰り入れられましたものの一部をさらに一般会計から公庫に出資をされるものでありまして、公庫の造林卒業のための貸付の原資に充てられるものであります。
以上の通り、政府が一般会計及び産投会計から七十七億円を出資することになっておりますので、現行資本金に関する第四条の規定を改正することといたしたのであります。
次に、第二点の、貸付金の回収等業務の円滑化をはかりまするための郵便振替貯金または農林中央金庫もしくは銀行への預金について申し上げます。
農林漁業金融公庫は、三十三年度以来着々支店の設置を行なって参りましたが、三十五年度における三支店の新設を含めまして、全国に八カ所の支店——札幌、仙台、京都、岡山、福岡と前記の三支店、及び一営業部、これは東京でございますがを持つに至ったのであります。このような支店の設置に伴いまして、その貸付も、従来の委託貸付から順次、公庫支店を通ずる直接貸しに切りかえて参っておるのであります。ところが、このようにいたしまして公庫が直接貸し付けた資金の回収方法は、現行公庫法によりますと、日銀またはその代理店、これは全国で約五百五十店ございまするが、この日銀またはその代理店を通じて回収するほかには道がないのでありまして、著しく業務上不便であるばかりでなく、借入者に対しましても非常な不便をおかけしておるのであります。この点を考慮いたしまして、ほかの公庫の例にもならいまして、新たに郵便振替貯金による返済の道を開きまするほかに、同様の趣旨から農林中金または銀行に預金口座を設けまして、借入者がこれらの農林中金または銀行の預金口座に払い込むことによって公庫に返済する道を開く、こういうことにいたしたいというふうに考えておるのであります。
なお、この点に関しましては、本法律案の附則第二項で郵便振替貯金法の一部を改正いたしまして、郵便振替貯金における公庫への償還金の取り扱いを公金並みの取り扱い、たとえば取り扱い料金について言えば金額の多少にかかわらず一件当り十五万円というふうにすることといたしております。これは一般の場合には金額によって手数料の額が違うのでございまするが、この場合におきましては、公金と同じように扱いまして、金額のいかんを問わず一件当たり十五円というふうに、非常に安い手数料で扱うというふうにしたいと考えておるのでございます。
最後に、第三点の、土地改良資金の据置期間の延長について申し上げますと、現在、据置期間は公庫法上最長五年というふうにきめられております。しかし、公庫の土地改良資金のうち都道府県営の土地改良事業に対して補助残融資として貸し付けられる資金につきましては、現在、都道府県営の土地改良事業の完成が補助金の交付状況などからいたしまして着工後平均約七年かかっておるにもかかわらず、その据置期間は五年というふうにきめられております関係上、まだ工事が完成しない前に公庫からの借入金を返済しなければならないというような事態も発生することになっているのであります。以上のような実情から、据置期間はこれをさらに二年間延長いたしまして七年とする必要があるというふうに考えておるのでございます。
以上が大体この改正法律案のおもなる内容でございます。
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016・吉川久衛
○吉川委員長 これより質疑に入ります。
質疑の通告があります。これを許します。茜ケ久保重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/16
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017・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 この法案に別に異論があったりするわけじゃないのですが、この際少しお伺いをしておきたいと思う点が、二、三ありますので、一つ経済局長にお尋ねするのであります。まあ、私ども農村を回りまして常に感じますことは、どなたも御承知でありますが、金融面で非常に農民が苦しんでいるという点であります。政府が出資をしまして農林中央金庫あるいはこの農林漁業金融公庫等がありますけれども、どうも実際、これはほとんど組合等を対象にしております関係で、一般の特に小さい経営体である農民の諸君が金融機関から締め出しを食いましてどうにもならぬという実態があるのであります。経済局長は、現在の農村のそういった実態に対して、はたしてどういうふうな形で一般の耕作農民が金融をやっておるか、また、金融のその恩恵に浴しておるか、こういう点で、いわゆる全国的な趨勢と申しますか、現状をいかように理解され、いかような所見を持っておるか、ちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/17
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018・坂村吉正
○坂村政府委員 農業におきます金融問題は、御承知のように、補助金等をできるだけ金融に切りかえようというような考え方を数年前からだんだんと続けて参りまして、そうして、経済的な意味で農夫を育てていくというような方向に農業政策を立てるというようなことで参りました関係上、金融のウェートというものは非常に大きくなっておると思うのでございます。現在の農業金融で一番問題になりますのは、ほかの産業と違いまして、資金の効率も事業の能率もいいわけではないのでございまするので、非常に長期を要する、それから、金利が非常に安くなければならぬというような問題が重点であろうと思うのでございまして、現在の農業金融制度といたしましては、一般には、御承知のように、農業協同組合系統金融というようなものが大体その中核をなしておるのでございますけれども、これは、どちらかと申し上げますれば、いわゆる短期の経営資金というようなものが大体中心になって今まで動いてきておるのでございまして、そこで、長期の低利のものをどうするかというその面を解決するために、御承知のように農林漁業金融公庫というようなものが政府出資で設立をされておるというような状況でございます。そのほかに、あるいは農業改良資金であるとか、あるいは有毒営農資金であるとか、そういうようないろいろのいわゆる制度金融と申しまするか、というようなものがございまして、これは、原資としては協同組合系統の内部にあります金を使いまして、これに対しまして政府が利子補給をする、あるいは債務保証をするというふうな形で農業金融の欠陥を政府の力で補って農業金融を円滑にしていくというようなことが行なわれておるのでございます。大体大ざっぱに申し上げますとそういうような三本建で動いておるのじゃないかと考えております。
最近の状況で農民がどういうところからどういう金を借りておるかということを大ざっぱに当たってみますると、大体、農協系統から借り入れておりますものが四五%、それから、そのほかにいわゆる長期の低利資金というものが大体一三・四%ございます。そういう状況でありますにもかかわらず、まだ現在でもいわゆる個人金融というのが非常に多いのでございまして、個人金融が全体のうち二四%ございます。ですから、いろいろ金融の制度を政府としても整備いたしておりますにもかかわらず、やはり実際問題としては現実に末端では個人金融というものが二四%もあるといいますことは、まだまだ金融の制度自体にも相当欠陥があるのじゃないかというふうな感じがしておるのでございまして、こういう点は、農業金融を実質的に改善いたしまして、農業に合うような、農業が利用できるような金融を実質的に固めるというようなことが非常に大切なことじゃないかというふうに考えておるのでございます。
そういう問題は現在いろいろ検討中でございますけれども、なるたけ早く、少なくともこの次の三十六年度の予算編成までには私たちの農業金融の実態を少しはっきり固めるようにして、農民かほんとうに利用できるような金融の組織を整備したいといいますか、合理化したいという気持で今いろいろ検討しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/18
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019・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 答弁がだいぶ先のところまでいったんでございますが、けっこうです。農林中金にしても、今問題になっておる農林漁業の金融公庫にしましてもけっこうですが、やはり、先ほど提案説明にもありましたように、かなりの金が出ながら、これが特殊な方向に重点的に流れるという傾向があるわけですね。これも、もちろん、趣旨といい、実態といい、けっこうでありますけれども、今経済局長も指摘されましたように、統計の上では二四%が個人金融でありますけれども、これは統計に出ない面がかなりたくさんあると思うのです。従いまして、実態として、私は、個人金融というか、またこの高利金融といいますか、かなり高利の金融があると思うのです。そのウェートを、私は、二四%ではなくてさらに上回っておると思うのでありますか、これがやはりそれでなくても零細企業で非常に困難な状態にある日本の農業経営に大きな暗影を投げかけておると思うのです。従いまして、ここで一点問題にしたいのは、これは金融の上からなかなか容易でないことはわかります。一応、金を貸す立場に立つと、第一に返済能力というものを問題にしますし、さらに、これがこげついた場合のことを問題にしますから、なかなか容易でないと思うけれども、しかし、少なくとも、一般の金融機関でない、国が責任を持った金融機関であり、特に現在日本の農業の経営実態から見たいわゆる零細農民に対しては、ある程度回収能力が不安であったりあるいはこげつくという危険性かあっても、ほんとうに現在の日本の農業経営というものを合理化していくためには、私はあえてその危険を冒す決意がなければならぬと思うのです。ところが農林中金にしましても、この公庫にしましても、依然としてそういった一般金融の形態が強く出ておるので、やはり、何といっても回収が先に考えられるし、回収できなかったときの責任問題とかが強く作用して、私ども今指摘しているほんとうに金を借りなければどうにもならぬ階層に金か行かないで、むしろ自家資金ででもできるような諸君のところへ、一般金融でもそうですが、資金かより多く流れるという実態は否定できないのです。私がくどいことを言う必要はないのですが、指摘したいのは、何とか一つ、これは今ここですぐに中金の法律とかあるいは公庫の法律を改正しろということは言えないにしても、やつぱり農林省の経済局当局はそういった方向へこれを持っていく努力は必要だと私は思うのです。経済局長、聰明に過ぎて、先の三十六年のことをおっしゃったけれども、しかし、今あなたのおっしゃった三十六年度に実現したいという気持はわかるけれども、ただ単にそれだけでは、私は非常に困難な問題が解決できぬと思う。私どもこれは協力します。この委員会はおそらく与野党を通じてこの問題解決にはだれも異存がないと思う。従って、ぜひ農林中金なり——農林中金がむずかしければ、農林漁業金融公庫の組織あるいは法律を変えて、国が責任を持って、今言った零細農民にこの金融が及ぶようにしなければならぬ。これは大きな金ではないと思うのです。一戸当たりおそらく数万から数十万程度だと思うのですが、これも数が多ければ莫大な金になりますが、しかしながら、それをしなければ、先般指摘した、せっかく農業法人を認めてやっていただいても、これは、やっぱり実効があがってこないと思うのです。従いまして、くどいことは申しませんが、一つ、農林漁業金融公庫の法を改正して、そういった零細農民に直接資金を貸し付け得るような方向へ持っていけるものかどうか。私どもはぜひ持っていってもらいたい。あなた方の立場からするといろいろな規制もありましょうが、そういうような努力がもし当局でできますならば、農林委員会はおそらく全会一致でこれに協力すると思うのでありますが、先ほどおっしゃった三十六年度から抽象的に何かしたいということでなくて、そこまでいわゆる零細農民が直接こういう金を利用できるような方向へ持っていけるだけの確信なり御努力ができるかどうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/19
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020・坂村吉正
○坂村政府委員 御趣旨は非常にごもっともでございまして、現在の中金を中核といたしますところの協同組合系統金融と、それから農林漁業金融公庫と、二つの大きな筋があるのでございますが、農林漁業金融公庫におきましては、法律の第一条にもございますように、農林漁業協同組合その他農業について一般の金融機関で貸せないもの、そういうようなものを大体農林漁業金融公庫で片づけよう、こういうようなつもりであの公庫制度かできたわけでございまして、公庫におきましては代替償却等もできるだけ見て、ある程度貸し倒れができても、これは政府の金でありますから、ある程度のところはしようがないのだ、もちろん金融機関でございますから回収ということは前提になるのが建前でございますけれども、農業金融の特性からいたしまして、ある程度の貸し倒れ等は政府かめんどうを見なければならぬというような体制で現在も動いておるわけでございまして、代替償却のための積立金等も現在十分持っておるというようなことで、どうしても回収できないものは償却していくようなところでそういう体制をとっておるわけでございます。
いわゆる公庫の場合には長期低利のものでございますが、一般の組合系統金融の場合におきましても、やはりその問題は当然考えなければいけない問題であろうと思うのであります。今農業協同組合系統の中に余裕金が自に余るほど余っておって、そうしてこれが農業に還元されないというところはどこにあるかということをいろいろ考えてみますと、やはり、金利の問題と、それから、今言いましたような、農業金融というようなものに対する認識がまだ十分できていないのじゃなかろうかというような感じがするのでございまして、金融の問題はいろいろ検討しなければならぬ問題もございます。しかし、農協の内部におきましては、農業金融の本質に返りまして、ある程度、組合員に対する貸付の中では、場合によったら貸し倒れぐらいできても、これは組合としてきちんとめんどうを見られるような体制をやはり組合が作らなければいかぬというふうに考えておるのでございまして、農協の内部において、そういういわゆる貸し倒れに対して、農業金融の特性を生かしたような自己体制を作り上げなければならぬ、これがまっ先の問題ではないかというふうに考えておるわけであります。そのほかに、あるいは外部からのいろいろてこ入れが要るというようなことでありますれば、場合によりましたら、国からある程度援助をいたして、そうして債務保証をするとか、損失補償をするとかいうような問題も、同時に外部の力として考えていくということが必要じゃないかというように考えておるのでございますが、やはり、根本はどうしても農業協同組合がもっと本気になって農業経営の本質に立ち返った金融をしていくという体制を作る決心をしていく、そういう体制を自分で作っていくということが一番必要であろうというふうに考えておるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、三十六年度と言いましたのは非常に先の話になりますが、どうせ金融の問題でございますから、そう急激に変動を与えるというわけにも参りませんので、なるべくそのくらいの目標で、今言いましたような方向でこの問題を本質的に片づけていくようにしたいと考えておるわけであります。現況を見ますと、御承知のように、たとえば預金がだいぶ集まってきておりまして、実際問題としては貸付金はほとんど出ていないわけ、ただ上級機関に預金をして金利をもらっておるというような体制では、農業金融というものはどうもほんとうのものじゃないのじゃないかというような感じがいたしております。また、いろいろ新聞紙上等で問題になりますような、たとえば貸付債権がこげついて問題を起こしたというようなものもございますが、こういうようなものを見ましても、大体において員外貸付等でそういう問題が起こっておって、員内の組合員に対する貸付はこげつきが起こったというようなことでいろいろ問題を起こすというようなものは、割合に少ない、ほとんど聞いたことがないというような状況で、むしろ、非常に極端な言い方をすれば、組合員に対する金融においては少しぐらいこげつきがあってもいいぐらいのつもりで貸していくという体制を農業協同組合が作らなければいかぬというふうな感じがいたしておるのでありまして、そういう考え方でできるだけ早く片づけていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/20
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021・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 大へんけっこうな御意見だし、お考えですが、ただ、その場合、やはり組合としても、幾ら員内のものでありましても、こげつきができてどうにもならぬ、——これは一件、二件ならまだ別として、組合の内部におけるかなりの数になりますと、組合も局長の申しましたようなわけにはいかぬだろうと思うのです。その場合、ある程度この貸付が決して不合理ではない、ほんとうに組合員の困った諸君に対する正当な貸付であるという実態に即して、その組合に対して、系統機関を通じてなり、国がある程度責任をとってやるという形、たとえば金融公庫なり農林中金なりが肩がわりができるというものでなければ、私は、今局長のおっしゃったことも、これは一応概念的にはできますけれども、具体的にはなかなかできぬと思いますが、そういう場合、金融公庫なり農林中金が肩がわりをするというようなことまで踏み切っていけるあれがあるかどうか。これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/21
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022・坂村吉正
○坂村政府委員 御趣旨のような考え方で、できるだけいろいろ困難な問題を踏み切って農業金融の筋道をつけるように努力したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/22
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023・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 現在は農地法その他の関係もあってでしょうが、昔は各県に農工銀行というのがあったのです。これは勧銀に合併されましたが……。この農工銀行はいわゆる不動産を抵当にして農民に金を貸したわけです。その結果、いわゆる土地の収奪と申しますか、いわゆる自作農が自分の土地を抵当にして、結局取られて小作人に転落したという例もたくさんありますけれども、あの時代にはこれは問題はありましたけれども、一般農民に対する金融が割によかったのです。現在は不動産担保というものがないものですから、その点は苦しいのです。そこで、これのいい悪いは別として、昔のような形態、——これは農林中金が主になってもいいのですが、この農民の不動庁抵当の金融ということに対しては、何か研究というか対策というものをお考えだと思うのですが、これに対してどのようなお考えをお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/23
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024・坂村吉正
○坂村政府委員 ただいま御質問のように、戦争前は不動産抵当の金融というものが勧銀、農工銀行等で行なわれておったのでありますが、終戦後、農地改革をやりまして、日本の農業においては農地を持った自作農が中心になるというような形になりまして、以後、いろいろと、金融の問題等からいたしまして、不動産抵当の金融の制度を作ったらどうかというような問題も数年前に検討されたわけでございます。しかし、今言いましたように、土地を持った自作農を中心に、それを育成するための金融の方途を考えることによってその問題を解決したらどうかというので、公庫から貸しております自作農創設の資金というものが大体中心になりまして、これは、簡単に申し上げますれば、大体土地担保の金融というものに見合うような金融の一つの部門にならっておりますから、自作農の転落を防止するためにああいうふうに公庫から金を貸すという制度ができておるわけであります。そのほか、必要な経費等につきましても、今言われましたように、できる限り組合系統金融というものを中心にいたしまして融資をしていく。そのほか、特別の部門につきましては、先ほど申し上げたような制度金融を拡充して、そうして何とか自作農を育成するための努力をいたしておるわけであります。現在はそういうことで運用しておるというふうに御了承願えばいいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/24
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025・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 私は、きょうあまり資料も持ち合わせがありませんし、研究もしないので、確信も持っておりません。そこで、具体的な問題を中心にもっと検討して、あらためて別途お伺いもし、こちらの意見も申し上げたいと思うのですが、せっかくこういうりっぱな組織がありながら、ほんとうに金がなくて困っている農民諸君が利用できないで、むしろ、先ほども指摘したように、金を借りなくてもやれるような諸君が多く利用しているという現実があるわけです。これは一般金融もそうです。国民金融公庫というまことにりっぱな名目のものがありますけれども、ほんとうに市中で金が二方、三万あれば何とかなるという諸君は、やはりはみ出されて利用できないという実態もあります。農林金融においてもそうであります。これは私ども協力するにやぶさかでありませんので、ぜひ当局ではそういうような点を十分に勘案されて、そういったことが一日も早く実現するような方向に努力と精進をお続け願いたいことを要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/25
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026・吉川久衛
○吉川委員長 本法案に対する質疑は本日はこの程度にいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/26
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027・吉川久衛
○吉川委員長 次に、農林漁業災害に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/27
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028・角屋堅次郎
○角屋委員 私は、この機会に、昨年度の伊勢湾台風を初め、六、七号以来の累次の災害に対する小災害の起債の問題について、それぞれ農林省初め自治庁、大蔵省等にお伺いをいたしたいと思います。
御承知のように、昨年度の災害は累次に上りまして、特に臨時国会においては特別委員会も設置せられて、与野党超党派的に災害復旧のためにお互いに真剣に論議決定をして、この問題については処理して参ったわけでございますが、ただ、公共土木あるいは農地・農業用施設あるいは林道その他各般の問題にわたって参りますと、その後の災害復旧の経過から見ましていろいろ不十分な点等もありますけれども、この間各省においていろいろ御尽力を願った点については感謝申し上げなければならぬと思います。特別委員会の中でも論議された問題でございますし、従来から災害が起こるたびに問題になりますのは、一つには、農地・農業用施設あるいは林道等の問題については、いわゆる小災害の問題に対してどう処理するかということであったことは御承知の通りでございます。この問題については、昭和二十八年の十三号台風等の災害処理といたしましては、三万円以上十万円のものについて九割の助成ということに相なりましたけれども、これは査定事務能力の問題あるいはその他実際の処理の結果等について批判がございまして、これは小災害については起債に切りかえた方がよろしい、こういう経過になりまして、昨年度の災害につきましてもそういう処理の仕方をしたわけでございます。つまり、法律案といたしましては、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地方公共団体の起債の特例等に関する法律、こういうことで処理をいたしまして、農地・農業用施設等の小災害につきましては第三条でこの処理がきまっておることは私どもも承知しておるわけでございますが、最近この起債の決定の最終段階に来ております経過等から見まして、この機会に関係各省からいろいろ従来の経過あるいは当面におけるこれからの処理の問題等についてお伺いする必要が起こって参ったわけでございます。
と申しますのは、この小災害の起債の問題について、昭和三十五年度予算の決定段階においては、まだすべての災害地区の査定が終わっておらない段階において新年度予算をきめなければならぬ、こういうことから、実際に大蔵省で予定をいたしました起債額と、現実に査定が済みまして所要の起債額か出て参る過程において、当然そこにずれが起こって参る。これは、単に小災害の起債のみならず、過般私が本委員会において取り上げました、伊勢湾等高潮対策事業の二月に行なわれます再調査等の問題についても同様な立場から問題を指摘したのでございますけれどもそのことはやはり、今日小災害の舞台においても起こってきておる。こういうことを考えさせられるのでございます。
そこで、小災害の起債の今日における処理の問題について、農林省、大蔵省並びに自治庁等から、今日の段階における事情についてまず簡単にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/28
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029・日比野健児
○日比野説明員 農林省といたしましては、県その他を通じまして起債の要請額をとっておりますが、大体三十億ちょっと出たところの数字が出ております。それで、当初予算のときと申しますかに自治庁の方と大蔵省と相談しましてきわめたワクは十七億かございますが、その間に数字が違っておりますので、目下自治庁と大蔵省とその調整について相談中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/29
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030・高柳忠夫
○高柳説明員 ただいま農林省からお話のありましたように、総額につきましては、私の方の下部機関でございます財務局財務部を通じまして具体的な申請書を受け付けておるわけでございます。その受け付けた申請書の大部分がようやく本省に到着しておるような状況でございます。それの処理につきましては、今お話のありましたようにかれこれ三十億近い申請がございますが、ワクと申しますのは、地方債計画を、三十四年度の当初計画に対しまして、昨年の災害に伴いまして復旧の関係の起債を百六十億追加して計画を訂正したわけでございます。その百六十億の中に農地等の小災害に充てようとする額を一応十七億と予定してあるわけでございまして、これは予算とは違いまして大部分が政府資金でございますので、政府資金の割当準備と申しますか、そういったものとして地方債計画の中に小災害として十七億を準備してあるわけでございます。従いまして、今お話の申請の総額が、法律で定められた適法な手続に従ってそれだけの資金を市町村が必要としたということがはっきりいたしますれば、政府の資金としてはそれを追加するかどうかというその資金の手持ちの余裕の問題を預金部資金の中で検討いたしまして対処したいと思っております。ただ、もう一つ、これは私の所管ではございませんが、大蔵省といたしましては一応十七億という地方債のワクで元利補給を二年据え置きの十年償還という形ですることになっておりますが、将来の財政負担として一応十七億を目途に財政当局としては考えておる。それについて約倍近くも増額をするということになりますと、これは大蔵省内部でも主計局の方とも相談した上でないと、元利補給の問題がからんでおりますので、そういった点を考慮いたしまして今作業を進めております。やはり、年度末のことでございますので、今毎日超過勤務を課の者にもお願いして作業を鋭意進捗さしておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/30
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031・佐々木喜久治
○佐々木説明員 私どもの方といたしましては、府県を通じまして農林関係の小災害分の資料をとりまとめておるのでございますが、この資料中に若干土地改良等が施行する分も混在しておるのでございますが、現在市町村の施行いたすべき事業費として申請して参りました数字は、おおむね三十億程度というふうに予想いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/31
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032・角屋堅次郎
○角屋委員 ただいま関係各省からそれぞれお話がございましたが、私どもお伺いをしておるところでは、大体小災害の起債額として市町村等から出て参っておる数字というのは約三十三億程度、それに対して、いわば、大蔵省といいますか自治庁といいますか、とにかく予定をしておる起債額の予定というのが大体二十八億程度、そういう二十八億程度の前提に立って昭和三十四年度に十七億の割り振りをやろう、こういうふうにお伺いをしているわけですが、その辺のところはもう少し御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/32
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033・高柳忠夫
○高柳説明員 先ほども申し上げましたように、二十八億がいいか三十億がいいのか、または十七億でいいのかという問題につきましては、目下事務を進めておりまして、結論が出ておりません。従いまして、本年度十七億、来年度十一億で二十八億という総額の両年度間の割り振りというようなこともただいまは考えておらないわけでございます。もし十七億で足りないというふうな結果が出まして、預金部資金といたしまして当該年度に処置できるというようになれば、何も二年度にわたる必要もないと思いますが、これはなお全体の数字を見た上で裁量の方を考えたいと思っております。
〔委員長退席、丹羽(兵)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/33
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034・角屋堅次郎
○角屋委員 私ども、たとえば、伊勢湾台風の非常に被害の激甚地区であった愛知県、三重県、岐阜県、こういう三県のうちで、三重県の本問題に対する例を見て参りますと、農林の小災害の起債の査定状況として、県の事業費に対する査定額として四億六千五百五十七万円、実際に法律に基づいて、被害激甚地の地区については九割、あるいは、被害激甚地区でない地区については、農地については五割、農業用施設については六割五分、あるいは林道についても六割五分、こういうふうないろいろな計算をやりまして集積をした起債許可予定額が四億百六十万円、こういうことに相なって参りまして、それに基づいて、昭和三十四年度の配付予定額が二億三百六十万円、昭和三十五年度の配付予定額が一億九千八百万円、こういうふうに、県の方あるいは市町村の力としても、大体こういうことで来るであろう、自治庁の第一次査定も大体そういうことで認められた、こういうふうに考えておったところが、その後農林省の方と自治庁の方の災害の突合を、それぞれ農地局長あるいは財政局長等でいろいろやりまして、その段階ではまだ特に伊勢湾等の中心であった三県については査定が進行中でございましたけれども、ほぼこの程度でいいのではないかという農林省の推計等に基づいて突合が行なわれて、大体この程度だという話になったのが、総額において起債の許可矛定額が三億二千九百六十万円、三十四年度の予算配付額として一億八千三百九十万円、三十五年度は一億四千五百七十万円、こういうふうな考え方のもとにおいて、自治庁、大蔵省の話し合いが行なわれるというようなことが伝わって参る。そこで、これは大きな問題だということになったわけでございます。
農林省にお伺いしたいのでございますけれども、承りますと、京都の農地事務局管内においては これは査定の結果と見合って手直しをやったが、京都農地事務局以外のところにおいては、査定の結果と見合っての手直しがいまだなされてないという。これは、やはり、実際に手直しをやって、具体的に申しまするならば、農林省の農地局長の力からその手直しに基づいて財政局長の方に要請をして、必要額の起債相当額をきめる、こういうふうにすべきであろうと思うのですが、その辺のところが必ずしも十分行なわれてない、こういうふうに承っておるわけでございます。この間の経過について少しくお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/34
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035・日比野健児
○日比野説明員 ただいまの先生のお話で、京都管内は査定の結果を照合し、その他の事務局はやってないということでございますが、査定も大体終わりましたので、大体全部突合ができると思います。それが済んで、事務的には内々に自治庁とその調整の問題については話しておりますけれども、まだ局長から局長に正式にどうこうという申し入ればやっておりません。従って、まだ事務的な段階でございますので、そのように御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/35
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036・角屋堅次郎
○角屋委員 自治庁の方に行っていろいろお伺いをしてみますと、農地局長から手直しの要請が正式に財政局長の方にあれは、それに基づいて考慮をしたい、こう言っておるように承っておるわけでございますが、やはり、実際に査定の済む時期と、当初予定した農林省の見込み額との間にはズレがあるわけですから、これは当然直してもらわなければならぬ。先ほどお話がございましたように、当年度の十七億という起債額については必ずしもこの額に拘泥をしない、法律に基づいて当然出さなければならぬ必要額については手直しをする、ただ、その場合に、元利補給その他の今後の財政全般の問題もあるので、その辺の配慮は必要であるけれども、原則としてはやはり法律に基づいて出てくる小災害の起債相当額というものについては当然やらなければならぬ、こういう御見解の発表もありましたので、これは、ぜひ一つ農林省の方から、それぞれ査定のでき上がった数字に基づいて、関係各省との協議、そして妥当な決定、こういうことにいたしてもらいたいと思いますが、せっかく政務次官もおいででございますので、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/36
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037・小枝一雄
○小枝政府委員 ただいま角屋委員御質疑の点は、小災害を完成する上に非常に重要な問題でありますので、御趣旨に沿うように、各省間の調整を早くとりまして、十分仕事が進捗するように配慮いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/37
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038・角屋堅次郎
○角屋委員 これは特に全国的に関係のある問題でございますけれども、特に愛知、三重、岐阜等の伊勢湾台風の被害の中心になったところは、御承知のように一月の末まで査定がずっとおくれておったわけでございます。従いまして、見込み額と実際の査定の結果出てくる額との間にはやはり相当なズレができる。これは当然の経過であろうかと思う。そこで、自治庁の方からあらかた三十四年度配付額あるいは三十五年度の配付予定額として内示されたものについては、それぞれ県下の関係市町村では、そういうものがおりるものだという期待に基づいて仕事を準備しているわけです。それが、今言ったように、起債の全体の予定総額というものとの関連において、正当に出されてきたものが予算の関係で圧縮されたということになると——特に、小災害の性格から見て、非常に小規模なものが多数の個所にわたってある、そのいずれもやはり無視することはできない。そのことがやはり再度の災害防止の観点から見ても無視できないのでありまして、小災害の復旧という問題についてはややもすれば軽視されがちな問題であるけれども、個々の農家に関係してくると、御承知のように、これが一番真剣な、ぜひやってもらわなければならぬ問題にもなってこようかと思う。そういう意味において、私はこの際、ここで結論というわけにいきませんけれども、質問の中で経過を申し上げておりますように、今最終段階において農林省、自治庁、大蔵省で話し合いの進められておる農地等の小災害の起債問題については、査定の結果に基礎を置いて必要な手直しをやるということについて農林省としても十分努力してもらいたいと思いますし、また自治庁あるいは大蔵省等においても、小災害の復旧の重要性から見て、ぜひ一つその線で善処を願いたいと思いますが、もう一度その点について特に自治庁関係あるいは大蔵省関係の御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/38
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039・高柳忠夫
○高柳説明員 お話の御趣旨に沿いましてせっかく努力して参るつもりでおりますが、一つ、査定の確実な根拠が、なかなかわれわれ大蔵省の側から申しますとつかみにくい点がございます。ことに実情を申し上げますと、私の方の県に所在しております財務部でこういう融資の事務をもっぱらやっておるわけでございまして、災害の査定の専門官がほとんどと言っていいかと思いますが、いないわけでございます。従いまして、この数字を突き合わせる際には、農地・農業施設の補助災害の力の災害査定官が農林省から派遣されておりますので、その補助災害から落ちた分で三万円以上十万円という小災害の分はどのくらいあるかというのを一番よく御存じなのはおそらく農林省の災害査定官ではなかろうかと思います。市町村の申請と、それを実地に見ましたところの農林省の災害査定官の報告の総合した数字が一番手近なものとして信頼できる数字になるかと思いますので、農林省の方でその点を十分御検討願って、われわれ財政当局の方に回していただくということをお願いしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/39
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040・佐々木喜久治
○佐々木説明員 自治庁といたしましても、ただいま大蔵省の高柳地方資金課長から申し上げました通りでございますが、私どもの方の数字は、結局各府県のそれぞれの担当のところで調査いたしましたものを取り上げておるわけでございます。さらにその点は農林省等の数字とも突き合わせまして適正な事業費を出して参りたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/40
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041・角屋堅次郎
○角屋委員 先ほど来申しておりますように、各府県別の起債の配付予定額については、三月十二日に自治庁から大蔵省に提出をいたしまして、現在内議中であって、近く決定する予定である。その場合に、先ほど三重県の例をとったような低い数字でこれが出ておる。その原因は先ほど指摘した通りでありますが、そういう経過等から見て、単にこれは三重県のみならず、特に伊勢湾台風の関係県はその通りであろうと思うし、その他全国にそういう関係のところもあろうかと思いますけれども、最後に農林省の方に希望しておきたいと思いますが、自治庁としては、農地局長から財政局長にそういう点について手直しの要請があれば十分配慮する、こういうふうに言っておる経過等もありますので、やはりそういう前提に立って農林省の方では今後大いに努力をしてもらいたい、こういうことを要請申し上げまして、本問題に対しては私の質問を終わらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/41
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042・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01219600316/42
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