1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月十七日(木曜日)
午後二時四十九分開議
出席委員
委員長 吉川 久衛君
理事 田口長治郎君 理事 永田 亮一君
理事 丹羽 兵助君 理事 本名 武君
理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀 貢君
金丸 信君 倉成 正君
坂田 英一君 田邉 國男君
高石幸三郎君 松田 鐵藏君
八木 徹雄君 保岡 武久君
中澤 茂一君 松浦 定義君
山田 長司君 神田 大作君
小松信太郎君 中村 時雄君
出席政府委員
農林政務次官 小枝 一雄君
農林事務官
(農林経済局
長) 坂村 吉正君
委員外の出席者
農林事務官
(農林経済局金
融課長) 太田 康二君
農林漁業金融公
庫総裁 清井 正君
三月十七日
委員田邉國男君及び受田新吉君辞任につき、そ
の補欠として早川崇君及び中村時雄君が議長の
指名で委員に選任された。
同日
委員早川崇君辞任につき、その補欠として田邉
國男君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
参考人の出頭要求に関する件
農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(
内閣提出第四四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/0
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001・吉川久衛
○吉川委員長 これより会議を開きます。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。土地改良問題について、参考人の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/1
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002・吉川久衛
○吉川委員長 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、参考人の人選及び出頭の日時等については委員長に御一任願いたいと存じます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/2
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003・吉川久衛
○吉川委員長 次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。丹羽兵助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/3
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004・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 ただいま議題となりました案件につきまして、きわめて簡単に数点にわたって質問をさしていただきたいと思います。
去る伊勢湾台風で大きな被害を受け、特に本委員会と関係の深い農村地帯におきましては、その立ち上がりのために公庫のお金を借りまして、いわゆる公庫の融資なるものが非常に役立ったわけであります。政府の政策のうち、最も農民に感謝され、立ち上がりの力になったのは、この公庫の融資と申し上げてもいいと思います。そういう点をも考えまするときに、このたびの公庫法の一部改正で、政府は出資金を増額なさるということ、またその他二点にわたって改正の内容が事こまかに前回も補足的に政務次官から御説明いただいたのでありますが、その三つに分けられた一つに関係するのですが、金を借りるのに、借りる方にも便宜を与えていただくように。その金を返済することについても特別改正していこう、こういう説明をいただいて、非常に感謝にたえないのであります。そこで、ここまで返す方を御配慮願って、今までは複雑な返し方なんですが、今度は法の改正をしてきわめて簡単に返せる。私のお尋ねしたいのは、今申し上げたように、借りさえすれば非常に助かる金であり、喜ばれる金でありますけれども、その金を借りるのに非常にむずかしい。この法案とは全然関係ないように思われるかもしれませんが、この政務次官の改正の補足説明、今申し上げたように三点から考えるときに、当然こういうことはお尋ねしておきたいし、また御配慮になっておかなくちゃならぬと思って言うのですが、返すときの便宜を考えていただくよりも、まず、助かる金を借りるに非常にむずかしいのですよ。この金は、中金は自分の金を貸すようなことを言うし、農業団体は農業団体で公庫の金でありながら農協の金を貸すようなむずかしいことを言う。また、市役所、町村役場なんかへ参りますれば、よくわかっておりませんけれども、これもむずかしいことを言う。災害復旧のときなんかでも、ここに角屋さんもおいでになりますけれども、われわれが非常にやかましく言ってきた。とにかく、農民で金を借りる立場にある者ができ得るだけの書類にしてほしい、こう言っておるのに、一向改正されていない。この点、せっかく返す方の心配までいただくならば、今度借りる方ももう少し便利になるように、特に支店なんかを地方にたくさんお作りいただいて、公庫そのものと中金あるいは農協系統団体との関係、これもはっきりしていただければありがたいことですけれども、そういう個々に借り受ける立場の者の気持になってどの程度まで御配慮願えるか、それを一つ承らせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/4
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005・坂村吉正
○坂村政府委員 ただいまの御質問の御趣旨でございますが、ごもっともでございまして、実際農民が金を借ります場合に手続が煩瑣であるというようなことは、せっかくいろいろ金融制度を考えましても、これは実際問題として余り喜ばれない、あるいはスムーズに行かないというような問題があろうと思うのであります。特に、お話のように、災害のときなどにおきましては、そういう点やはり十分考えなければいかぬだろうというふうに考えておるのでございますが、公庫の貸し出しにつきましても、そういう点を十分配慮してやっていかなければいかぬということは私ども常々考えておるわけでございます。たとえば、自創資金等につきましても、手続が非常に煩瑣でありまして、実際借りる面から言いますと大へんだということで、この前の伊勢湾台風のときでも思い切ってその簡素化をしましたし、また、その後もいろいろ貸付の方途につきましても公庫等に研究していただいておることにかんがみまして、だんだん一つ実情に合いますように簡素にしていくという考え方でやっていきたいというふうに思っております。
また、中金とかあるいは農業協同組合というような面におきましても、やはり、これは、金を貸す立場でございますので、ある程度支度しました金については責任もございますので、貸す立場としていろいろなことを言う場合も当然だろうと思いますが、そういう点も、お話のように、農民ができるだけ楽に簡単に借りられるように、そういう気持でいろいろな手続等につきましても検討を加えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/5
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006・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 言葉じりを拾うわけではありませんが、ただいま局長のお答えで、農協が金を貸す立場に立って言うのだから、煩瑣なことも言うだろうし、まためんどうなこまかいことも言うだろう、こういうお話なんですが、その問題はあとでお聞かせを願うとしてとにかく、公庫が金を出していただくのに、想像のつかぬほどむずかしいのです。むずかしくて、好きで借りるわけではありませんが、あなた方が考えてみるほどではなく、もっともっとむずかしいのですから、もっと具体的に研究していただくようにお願いしておきます。
次に、決して今の言葉じりを拾うわけではありませんが、農協というか、系統金融機関と公庫との関係、私は聞かずにおこうと思っておりましたが、そういう言葉が出たから聞きますが、中金から農協を通して貸すので、農協の系統機関と同様な扱いをするわけなんですが、きのうでありますか、茜ケ久保さんからも指摘されたように、弱い農民というか、返すのに困難な農民には現実には借りられない、実際そういったような状態なんです。茜ケ久保さんは、少々無理して、危険を冒してと、ああいう言葉が適切かどうかわかりませんが、もう少しめんどうを見ていただけば立ち直れる農家にも貸し付けられるようにすることがこういう農林金融の特性ではないか、こう思うのです。今日の農協が農民から——これは言葉が過激になるかわかりませんが、遊離しつつある。今日の農協そのものが、農民からある程度離れる、遊離していく傾向にある。農民のものであるべき農業団体が、農民が自分たちのものとして考えられないようになって、実際農民のものであるべき農協が自分たちのものと考えられない。自分たちのものでないように農協自身を農民が見ておる。そのいい例が一つある。私は二、三日前に選挙区へ帰りましたが、農協が非常に心配しておったのは、米の集荷登録を農協へ持っていかず、卸売業者ですか、全然農協と関係のない第三者の業者が熱心に登録をやっておる。片一方は商売ですから情熱を持ってやる。農業協同組合というのは、おざなりで、農民が出すんだからおれのところへ登録するのは当然だといったように、非常に誠意がない。そういう点もありましょうが、百姓自身がもっと農協というものは自分の団体だということを認識し、農民の手によるものだということを認識するならば、私はそういう米の登録なんかはそう心配しなくてもいいと思うけれども、そうではなくて、米の登録が農協以外のものになされておる、こういう一例を見ても、農協に何か欠陥があるように私は思うのです。実際これは一例なんですよ。そういうことを考えると、農協のめんどうを見ていただく坂村経済局長は、一体今の農協の行き方でいいと思うかどうか。何か農協それ自体を考えなくちゃならぬ。大臣の言葉をかりて言うならば、農協自身のあり方も曲がりかどに来たのじゃないか。そこまで極端なことでないにしても、あなたは、現在の農協そのものをながめられて、これでいいとお考えになっておるか、担当しておられる局長として、ある程度考えを及ぼしていかなくちゃならないと気がついておられるか、率直にお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/6
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007・坂村吉正
○坂村政府委員 現在の農協の状況につきましては、私も率直に申し上げまして、農民の組織として十分に活動しているというふうには考えられないと感じておるのでございます。これは、戦争中農業会というような一本の組織が農村の組織としてございましたのを、終戦後新しい民主主義の農業協同組合組織に切りかえまして、それが、どちらかと申し上げますと、一応形は変わりましたが、内容につきましてはそう大きな変わり方なしに、形だけが変わってきたということが現状じゃないか。その後いろいろの経済変動に会いまして農協自体も非常に経済的な苦しみをなめました。あるいはその間におきまして再建整備であるとか整備促進であるとかいうようなことで経済的な農協の立ち直りをやらなきゃならぬというような時代を経て参っておるのでございまして、まあ、大体、最近におきまして、経済情勢の落ちつき、そういうような点から見まして、農協の組織もある程度経済的に安定をしつつあるというような状況にあるというふうに考えておるのでありますが、農政の動きあるいは世界の経済の動きに応じまして、農協そのものがやはり農民のためにほんとうに動く、そういう団体にならなければならぬということ、先ほどお話しのように曲がりかどに来ているというような感じで今の農協を考えていいのじゃないかというふうに考えておるのでございます。従いまして、三十五年度の予算におきましても、とにかく、農協の組織とか活動とか、そういうものを、ほんとうに実際に合うように、農民の要望に沿うように、そういう方向に持っていかなきゃいかんということで、新規の予算といたしまして農業協同組合の組織整備というような経費を要求いたしました。そして、そういう考え方のもとに実行していこうということを考えておるのでございます。できるだけ今の状態を実質的に直していくような方向でやっていかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/7
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008・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 お世話いただく局長がそういう気持なりそういう考えをもって御指導に当たっていただきますれば、何をか言わんやで、大へん農民にとって感謝にたえないところでありますが、しかし、先ほどもちょっとありましたように、局長もそう肯定した言葉ではないでしょうが、私の見る目から言うと、今日の農協のあり方、これからめんどうを見ていただいて性格は変わってくるでしょうし、農民に接する気持も変わってくるでしょうが、今日の農協の態度から言い、農協の行き方から考えまして、今お話の出ましたように、取り立てる義務があるのだから貸す方の立場に立ってというような考え方でやっておりまするから、せっかく政府の思いやりのある施策も十分これは受けるわけにいかない。だから、わかりやすく申しますならば、農協の金融というものは、これは高利貸しの金貸しとか一般金融機関ではないと私は思う。これはあくまでも農民に対する指導金融でなくてはならぬと思う。それと同時に、相互扶助の関係である農協はもっと愛情を持って組合員である農民に臨まなくちゃならないと思う。そうであるにかかわらず、今日のような状態では公庫の金も、今度の法の改正あるいは支店の増設等で幾らか変わってくるのではありましょうが、しかし全般的にどこにも支店が置かれ直接公庫が金を取り扱うわけではないので、その支店のふえるところだけはいいかもしれませんが、ほんとに山里の都会から離れたところではその恩恵を受けることはできない。そうなったときに、そういうところにおいては、今日の農協の態度から言い、取り扱いから言って極端なことを申しまするならば、この公庫の金を今日の態度の農協に取り扱わしていいかどうかということなんです。私は、全局長が一つ今後は変えていくと言われるから、それに大きな期待をかけ信頼もするものでありますが、今日のような農協の態度では、これは私は災害地でよく知っているのです、だれが何と言われても。だれが何と言われてもというのは失言かもしれませんが、よく知っておる。政府はそうでないと言うかもしれませんが、知っているのですから、態度を変えていけばよし、今日と同じような気持であるならば、公庫の金等を扱わせるのはどういうものか。だから、どうお思いなさるか、くどいようですけれども、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/8
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009・坂村吉正
○坂村政府委員 現存におきまする農協の状態から言いますると、先ほどあるいは失言かもしれませんが、やはり一応貸す立場で考えた場合には手続上もいろいろのことがあり得るだろうということは私も感ずるわけでございまするが、結局、問題は、農業金融というものは、公庫の金にしてもあるいは系統の金にいたしましても、ほんとに普通の金融でできないような農民に対する金融でございまするので、そういう点を十分理解いたしまして、そして、金を貸す場合にはそういう頭で貸していかなければいかぬというふうに私は痛感しておるのでございます。そこで、あるいは、現在の農協のうちには、非常にそういう理解がありませんで、十分農民が満足を得られないというようなものもあろうかと思います。しかし、それも、やはり農協の組織というものは農民の組織でございますから、役員あるいは職員にだけまかしておくのでなくて、農民自体が農協というものを改善していく、こういう気持をもって、真剣に一つ、農協の改善と、いいますか、よくしていくというふうなことを農民自体からも考えていっていただく必要があるんじゃないかというふうに考えておるわけでございますが、現状におきましては、いずれにいたしましても公庫が末端まで使って貸付をやっていくわけには参りませんので、一応農村に一番近い金融機関としては農協あるいは信連、それから中金というようなものを使うのが、あるいはほかの金融機関を使うよりもこの方がまだそれでも農民に対して理解があるんじゃないかというふうにも思いますので、そういう農協の面に貸すような場合にも、できるだけいろいろな指導を加えまして、そういう問題が起こらぬように一つ万全を期するようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/9
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010・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 くどいようでありますから、この問題はこの程度でやめたいと思いまするが、実際金を借りる者が借りようと思っても、そこに、金を貸す者なり、制度の上から仲に立つものが非常にむずかしいことを言って、あなたはそれはやむを得ないとおっしゃるかもしれませんが、実際は公庫の金を借りるのですし、また返すのも公庫なんですから、返させる方にばかり便利な方法を考えずに、借りる方の道をもっと開いていただいて、借りる者の立場を理解してやってくれるような農協にならなかったら、私はだめだと思うのです。だから、これを改善というか、考えをもう少し変えていくように、政府としても局長のおっしゃいましたようにもっと強く指導していただきたい、こう私は思うのです。で、今も、そうするには、ただ金ばかりじゃなくして、今後の農協というもののあり方についても、改善とまでは言われなかったが、改善に近い考えを持って進めたいと言われたのですけれども、一日も早く農協をあなたの考えていらっしゃるような農協に持っていくように。私に言わしてみたら、今日農協のボスが多過ぎるのです。われわれ保守党の者にしてみるとそういうことは言えないかもしれませんが、実際、社会党の方々がながめられたら、今日の農協のあり方については非常な遺憾の気持を持っておいでになると思う。われわれ保守党でも今日の農協のあり方というものについては大へんな不満を持っているんですよ。そうして、ひどいところになると、一坪の耕作地も持っていないような、ほんとうに一反の百姓もやっていないような者が農協ボスになって農民を食っているんですよ。農民にささえられ農民を犠牲にして彼らが農協を食いものにして、とまでは言わないけれども、利用し過ぎておる。ボスが多くてかなわぬ。ほんとうに今あなたがおっしゃったように、農協を農民の組織にし農民の団体にするような行き方に強化整備する方法を考えていただかなくてはならぬと思うのです。
昨日でありましたか、小枝さんの御説明のうちにもありましたように、今日、こういう公庫の方法がある、あるいは自分の預けた金が農協にある、それにもかかわらず、きのうのお話ですと、二四%ですか、自分の作っておる団体であり農民の団体でありながら、農協がむつかしくて、農協がもうどえらい権利を持って想像つかぬようなことをするから、やむを得ず高利貸しの金を二四%も借りなくちゃならない。幸いにして、政府はこういうことのないように三十六年度までにうんと公庫の方で一つ力を入れてみようということで、感謝にたえないところでありますけれども、この事実を見ても、今日の農協のあり方というものと農協の内容についてはもう少し経済局は考えていただかないと、これはもうとんでもないところに来てしまいます。ただ金を借りるのに仲に立ってむつかしく言うだけの農協じゃなく、この農協全体の将来についてはもっと政府は強化整備していく方針をお持ちになって、——持っていらっしゃると言ってはおいでになるのですけれども、私はこれ以上このことについては尋ねませんから、一つ政府というか経済局の今後農協をどのように指導していくかという所信を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/10
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011・坂村吉正
○坂村政府委員 率直に申し上げまして、御質問の御趣旨を認めざるを得ないじゃないかというふうに私も実は感ずるのでございますが、先ほど申し上げましたように、そういうふうに実情を認識いたしまして、三十五年度からは農協の組織整備という新しい事業を進める予算も計上いたしまして、そうして、新しい事態に応じて農協が経済活動も十分にやっていく、農民のための団体として十分な活動ができるような体制に持っていく端緒を作るようにということで、実は現在いろいろ準備をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/11
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012・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 次に、問題を変えましてお尋ねしたいと思いますが、公庫資金の中の造林資金ですが、昨年度もこれは問題になっておるわけなのですが、この説明にもありますように、七億円の造林資金のうち、三十五年度はその半額程度の三億五千万円が地方公共団体に造林資金として融資されるわけであるが、三十五年度から当分の間は、この造林資金は同公庫から直接の貸付を行なわず、公営企業金融公庫の窓口を通して行なうことになる模様である、こういうことでありまして、ずっとあとの方に参りまして、三十五年度の予算編成にあたりこの紛争は再燃した——これは途中を抜いたらいけませんけれども、結局、一方は公庫でこの金を貸すんだと言う。また、大蔵省、自治庁の方は、そうじゃなく、公営企業金融公庫の方からこの金は貸すべきであると言う。こういうようなことで、とにかく、昨年は一応公庫から出したけれども、三十五年度からは公営企業金融公庫の窓口を通して貸すという三大臣の間で話し合いができた、こういうのです。これはどうも私どもはふに落ちぬのです(「おかしい」と呼ぶ者あり)今こちらで盛んに声も出ておりますように、なぜこんなのを農林大臣が三大臣の間で話し合って譲ったのですか。これはどう考えてもおかしいのです。おかしいというお話が今出たのですが、ほんとうにおかしい。この七億の金自身どこから出た金ということはわかっておるでしょう。その金が、入れたものから一部とられて、七億はこちらに入ってきて、その七億が、半額はそっちへやって、半額は公営企業の方だというようなわけのわからぬ出し方は、どうしてもふに落ちない。なぜこんなものを農林大臣がお譲りになったのか。その点、自治庁が文句をつけたに違いないですけれども、これはふに落ちない。この点一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/12
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013・坂村吉正
○坂村政府委員 御承知のように、三十四年度におきましても、大体七億円の金を公営造林にということで公庫から貸付を見込んで今まで実行して参っておるのでございますが、その際にも、実際の扱いをどういう工合にするかという問題につきましては政府部内でいろいろ検討したわけでございます。三十五年度の場合におきましても、実行状況等を見まして、実際公有林造林として地方公共団体、市町村等が造林をいたします場合に、いずれにしても起債の許可が要るわけでありまして、その起債の許可等をもらう仕事、そういう面もございますので、そういう点をいろいろ考えてみますと、実際の実行問題としては一応そういう起債の許可等の事務もございますので、そういう点とからめて公営企業金融公庫の方に一応委託をいたしましてやっていくということが事務の円滑や何かから申しましてもスムーズにいくのではないかという感じもするので、いろいろいきさつもございましてそういうふうにしたのでございますが、それの実行をとにかくやってみまして、どちらが、どういう方法でいくのが一番円滑にいくかということをやはり考えていかなければいかぬので、とにかくこれで実行してみたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/13
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014・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 これは、事と次第によれば、農林大臣、大蔵大臣、自治庁長官にも出席を願って——そういう説明では私は行政的な邪道だと思う。そうでしょう。起債の許可を得なくちゃならぬから本質的なものまで向こうに譲るなんということは、弱肉強食ですよ。自治庁が起債の認可権を持っておるから、泣きの涙で当然のみずからのものもこの際譲るという形になっていくんです。そうならばこの七億という金を公庫に入れずに、公営企業金融公庫の方へも当然入れるべきなんだ。それをこちらへとって、これは林野庁との関係、国有林から出る利益金の関係でこうなりましょうけれども、そんな回りくどいことをしてこれは明らかにわれわれの農林関係の仕事の分野であるのに、自治庁が金を貸す権利を持っているからというのでそちらへ渡してしまうというのは、全く邪道だと私は考えざるを得ない。こんなことを譲った大臣はどうかしておみえになると私は思う。だから、この点はもう少し私も掘り下げて聞いたり意見を述べたりしたいと思うのですが、時間の都合もあるのでまた適当な機会にお尋ねしてみたいと思いますが、そうなりますと、簡易水道にしたって、土木事業、公共事業にしたって補助金をもらうでしょう。補助金をもらった残りは起債なんですよ。地方公共団体が起債の認可を受けるんですね。これは地方公共団体でなす事業なのです。補助金をもらって足らないだけは起債だ。それを全部この方式でいくならば、一切、厚生省関係も建設省関係も、みんな残りの起債を持っているのだから、自治庁へ渡すという方式になるのですよ、今の説明で了承するならば。それを一つ聞かして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/14
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015・坂村吉正
○坂村政府委員 これはいろいろ問題もございますが、とにかく、公営企業金融公庫に全部やらせるということじゃございませんで、その債権も全部こちらの要するに農林漁業金融公庫で持っておりますし、貸付の最終決定も農林漁業金融公庫がいたしますし、その後の管理その他においてもこれは責任を負うのであります。ただ、先ほど申し上げましたように、いろいろそういう起債その他の関係もございますし、仕事の連絡を密にするという意味で、貸付の事務の委託をするというようなことで実行してみよう、こういうようなことでございまするので、とにかく実行の結果を一つ十分検討してみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/15
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016・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 強奪された、追いはぎにあったようなもので、あなたは取られたのですね。気持ちよく渡したのじゃない。渡すべきものを渡したのじゃなくして、ほんとうに行政の邪道にも近いような奪い取りに、一つの起債の認可を持っているという、これに押えつけられて取られた。その取られた残念がってみえるあなたを私は責めるわけにはいかぬと思うのです。全くお互いこれは取られた方なんですから。いずれかの機会に、委員長のお許しを得て、奪い取り剥奪をしていったところの自治庁に一つ来ていただいて、またこれは委員長がお許しになるかどうか、これは後におきめをいただくことにして、取られたあなたをそう責めたって何もなりませんから、一つわれわれともども奪い返すように努力したいと思います。これは邪道なんですよ。こんなむちゃな話はない。起債のあれを持っているからおれの方へ渡せ、公営企業の方へ入れろ、これは自治庁の所管である、そういうことをやったら、先ほど申しましたように、補助金も全部それは自治庁まかせだ、こういうことになっちゃう。だから、これはこれ以上申しませんよ。われわれ農林関係としてはそういう考えを持っておる。そんな、あなたのように、取られたものじゃない、やった結果を見てくれということなら、やった結果というものはどうでも作文できるのですね。先ほど私は農協のことを非常に強くお願いしましたが、あれだって、金は貸しているのじゃないかと言えばそれだけのことです。しかし、借りる方では泣いて借りておる。これだってやってみたらやれるに違いありません。やれるには違いありませんが、結果的にはろくなものはできない。しかし、政府の役人は作文を上手にお作りになるから、ごまかせばどうにもできましょうけれども、それはごまかされたら実際泣く人ができるのですね。ほんとうのものはできませんから、取られたあなたは、これをくれぐれも言うようですけれども、責めるわけにはいきませんから、一つわれわれは奪い取るようにいたしますので、その考えに立っていろいろと御研究をしておいていただくように要望しておきます。
次に、今度はあなたの方の関係ですが、前のちょうど三十一国会のときの資料を私は一つ徹底的にお聞かせ願おうと思って持ってきたのですけれども、質問の中心をここに置こうと思ったのですけれども、先ほどちょっと見ますと、あなたの方は相当用意して見えて、これはとても種を見られてしまったから、これはもうあまり深くいきませんが、この公庫法の第四条第一項による資金となる第三十二条のあの金額、これは、当然入ってくる、資金になるものなんです。これは前の国会のときにも相当突っ込んでお尋ねしたのです。これは全部寄せまして現在どの程度残っているのですか。継承する金額で資金になるものは、こまかいことを言いませんが、どの程度今入ってくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/16
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017・坂村吉正
○坂村政府委員 現在残っておりますのは二十六億二千六百万円でございます。その内訳は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/17
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018・清井正
○清井説明員 ただいまの御質問について、私が資料を持っておりますので便宜かわってお答えをいたします。
御質問の点の承継債権でございますが、これは承継日には二十六億二千六百万円ございました。その後一部回収いたしまして、またごく一部につきましては消却いたしました。ただいま三十四年十二月末現在で残っております金額が七億六千二百万円になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/18
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019・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 差損金のような形で消却なさる、消却なさるには、公庫独断でもできませんし、農林省と大蔵省できわめて秘密のうちに協議の上御決定になるわけであります。それを前回は知らせてくれと言いましたけれども、きょうはその要求はいたしませんが、だんだん落としていくでしょう。落として参りますと、政府が最初消却を認めた額までいっていないですね。どれくらいまだ残っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/19
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020・清井正
○清井説明員 ただいまの御質問の点でございますが、復金関係の承継をいたしましたときに、将来の消却を認めまして、その財源といたしまして四億三千万円実は受けておるのでありますが、ただいままでに消却いたしました総計が、いわゆる承継だけで申しますと二億四千二百万円になっております。従いまして、なお財源といたしましては約二億程度のものがまだ消却財源として残っておる、こういう計算に相なるかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/20
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021・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 残っておる二十数億のものをこれから取り立てるのは大へんむずかしいですよ。今までもちろん期限が来てないのも一部あるかもしれませんが、相当困難なものが多い。まだ二十数億ある。そして政府の認めておる消却は二億何千万。それで足りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/21
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022・清井正
○清井説明員 現在残っておりますのは、先ほど御説明申し上げましたように七億六千万円、消却財源として残っておるのが約二億でございます。従って、七億六千万円のうちどれだけ消却しなければならないかということになるわけでございますが、むろん、七億六千万円の中にはいろいろなものがございまして、消却がやむを得ないと思われるもの、あるいはもう少し時期を待てば必ず入ってくると思われるものと、いろいろございます。従いまして、七億六千万のうちどれだけを消却しなければならないかという推定でございますが、これは非常にむずかしいのでございまして、われわれ金融機関の立場といたしましては、消却をするよりも、貸した金の償還につきましてはできるだけ努力いたしまして、どうしてもだめだ、どうしてもこれ以上はいたし方がないと思いましたものについてのみ大蔵省と協議して消却をいたす、こういうことになりますので、なかなか見込みといたしましてはむずかしいのでございますが、この四億三千万円という消却財源で一体足りるかどうかということになりますと、現在のところはこの点はなかなかむずかしいことになるのではないかというように想像いたしておりますので、はっきりここで足らないとか足りますということをお答えすることはちょっといたしかねます。私ども金融機関の立場といたしましては、残った債権につきましてはできるだけ手を尽くしまして債務者から返していただくように努力をいたすことに邁進しなければならぬと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/22
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023・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 簡単に終わりますから、もうほんの少し……。
なるほど、最初から四億そこそこの消却資金でやっているようでありますが、今までは、今もお話があったように割と取り立てが楽であった。しかもその中には相当落としているのですが、これからのはむずかしいですよ。一銭もそういう消却をなくして、全額利子を添えて返済しそれが公庫に納まることをわれわれは望んでおるが、そんなわけにもいかない。事実半分はいかないことになった。将来のことで見通しはつかぬと言われるけれども、万が一それで足らぬときはどうなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/23
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024・清井正
○清井説明員 万が一足らないというときのお答えはなかなかむずかしいのでありますが、私どもといたしましては、私どもの責任でない債権を引き受けてきているわけでありますから、できればこの消却財源の四億三千万円の中でこれが完全に消却し終わるというふうにできますれば、はなはだけっこうだと思っておるわけでございます。しかし、ただいま先生の御指摘の通り、実は残っている債権はなかなか大へんな債権が多いのでございまして、この四億三千万円で足りるかどうかということはちょっと言い切れないと思うのであります。万が一足りないという場合でございますが、そのときにどうするかということは、これからまだ二、三年たつと思いますから何とも申し上げられませんが、私どもといたしましては、公庫本来の消却財源が二十数億ございますから、それの問題もございますし、あるいはまた、詳しく考えて参りますと、あらためてこの際政府と相談いたしまして、本来公庫の責任でない債権の消却でございますから、この消却財源について新たに追加していただくということもあるわけであります。しかし、なかなかむずかしい問題でございまして、私ども政府と相談いたしましても、そういうようになるかどうか、ちょっと確信はいたしかねます。ただ、御承知おき願いたいことは、債権を引き受けましたけれども、その債権によって発生いたしました利息はその後収入になっておるわけであります。従って、公庫自体として、こういうめんどうな債権を引き受けることによってどれだけ損得があるかという計算をいたしますと、実は、債権の残りの計算だけでなく、その後公庫が引き受けて以来受け取った利息が相当ございますので、その利息と、債権を請求するときに使いました経費、この差引の問題が議論になってくるのではないかと思うのであります。詳しい数字はまだ責任を持って発表する段階でございませんけれども、こういう問題について相談をいたす場合には、やはりいろんな数字的な計算をいたした上で農林省なり大蔵省なりと相談をいたしていかなければならぬと思いますので、御指摘の点についてはっきりしたお答えはいたしかねますけれども、四億三千万円という消却財源がなくなりました節にあたっては、私ども、今まで申し上げましたようなことをよく相談して政府と協議していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/24
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025・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 ただいま清井総裁のきわめて御親切な考えを承りましたが、これは去年のあなたの答弁とだいぶ食い違っておる。速記録を読んで下さい。違っている。昨年御答弁なさったことは、社会党の赤路さんが、それは不都合だ、そういう処理の仕方は困ると言われたのに対して、今ちょっと言われたでしょう、公庫自体の消却資金というものはある、もしも払えないときにはそちらの方からでもというようなことを言われて、——それは去年の速記録を見るとはっきり言っておられる。だから、そういうことは社会党としては賛成できないし、私どもとしても賛成できない。利子をもらったから、計算上もうかっているんだからいいと言われるけれども、これは政府自身が作ったところの権利をあなたは受け継がれたわけです。そうして、それから生ずるところの損害は、農民の犠牲により、農民の負担によって得た利益から払うべき筋合いのものじゃないという考え方を私はしておる。それで、昨年、そういう御答弁は困るから直してほしい、考えて直すということをわれわれの質問に答えてこの委員会で言ってみえる。だから、去年の答弁とことしの答弁と違うのです。これ以上私は言いませんが、もう少し、こういうものの処理については、数年先のことであろうが、強く方針を立てていただきたい。昨年は、方針を立てておくと言われた。その方針が立っていないのです。まだ不安定なんですが、昨年のときのお考えとただいまの御答弁との食い違いのあることをはっきり私は認める。それじゃ、公庫の資金がこんなにあるとか、あるいはその上に毎年々々資金をふやしていくということも、これはどうかと思うのです。もっと一貫した方針のもとに、どうしていくのだということのお考えを定めておいていただきたい、こう思いますが、それについての御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/25
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026・清井正
○清井説明員 昨年の答弁と違っているという先生の御指摘を受けたのでありますが、もう一度申し上げさしていただきますと、四億三千万円という金額を消却財源としていただいたときは、私ども公庫といたしましても、実は開銀あるいは政府と相談いたしまして、この程度の金額であれば十分消却できますということで、四億三千万円いただいておるのであります。従って、義理合いと申しますか、そのときの見込みが甘かったということになるかと思いますけれども、実際上そこに問題が起こっているわけでございます。ただ、御指摘のように、本来公庫の責任でない赤字を、公庫の仕事によって生じた消却財源で消却するのはおかしいじゃないかという話はごもっともだと思います。この点は昨年もお話があったところであります。しかし、そうかといって、であるから必ずその差額の四億三千万円でできなかった分は一般会計なり公庫以外の金からいただくということを私どもはっきり申し上げる立場ではございませんので、お話の御趣旨はよくわかるけれども、少し先の問題であるから、お話の趣旨を私どもよくかみしめまして、御趣旨の点を十分了解いたしまして、私どもの方でも案を作り、農林省の方とも御相談をいたして措置いたしたいというふうに思いまして、ただいまのようなお答えを申し上げたわけなのであります。
いずれにいたしましても、この問題は、よそから見ますると、公庫は四億三千万円でそのときよろしいと言ったじゃないか、だからそれ以上ふやす必要はないじゃないかということも言われるのじゃないかと私は思うのでありまれす。しかし、ただいま御指摘のような点も理論的には正しと思います。しかし、余裕がまだあるわけでありますから、そのときまでに、ただいま私の申し上げた通り、政府とも相談いたしまして、実際問題としてそういう時期にぶつかったときにどうするかということを相談いたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/26
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027・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員 追加の御発言でほぼわかりましたが、なるほど、小さな問題ですけれども、筋を通していけということなんです。あなたの方が政府のものを引き受けられ、四億数千万円で消却というか損金をお引き受けになった。これも承諾して引き受けたのだから、それ以上のものが出たときには公庫の経営利益の中から払っていけということも、これは世間でやることなんです。一般的にはそれは通ずることかもしれません。しかし、消却というか、損金を公庫自身がこれを損金に認めるとか、この償還はとてもできないから切るかどうかということが、公庫なり農林省自身の内輪で自主的にきまるものなら、四億数千万円は責任があるのでそれで解決をし、また足らなかったところは公庫自身の金で決済なさっていいと思う。しかし、何度も言われましたように、また私も何度も申し上げましたように、大蔵省が入っているのでしょう。大蔵省と協議の上おきめになるのですから、向こうにも責任があるのです。公庫だけでなく大蔵省も責任があるのですから、やはり大蔵省にも責任を負ってもらう。から手形をもらった、基金をこれだけもらったといって、取り立てのできぬ金がこれだけたくさんあって、足らぬところは公庫の金をもって阻めましたというようなことは筋道が通らないと思う。わずかな金ですから問題ないでしょうが、筋の通らないことをなさらずに、総裁としては今強くそういうことを大蔵省に言えないかもしれませんが、しかし、去年もそういうお考えであったから、それではいけないということで、強く今のうちに当たってきめておいていただきたい、こういうことだったのです。しかし、また本年もそれを言ってみえるから、なお一年たってもはっきりしないのかということを私は追及しているだけのことであります。来年また同じことを聞きますから、しっかりした方針、筋を立てた処理の方法を考えていただきたい、これをお願いして、質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/27
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028・吉川久衛
○吉川委員長 芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/28
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029・芳賀貢
○芳賀委員 第一にお尋ねしたい点は、これは農林大臣に尋ねる問題だと思いますが、一応政務次官が来ておられるから尋ねしますが、昨年のちょうど三月ごろの当委員会において、御承知の寒冷地農業振興法あるいは農家負債整理法等の審議、行なったとき、それに付帯して、この際政府は農林金融の全面的な検討を行なって、特に制度金融であるところの公庫の運営等についてもこの際根本的な検討を下すべきであるという意見も積極的に実は出たわけであります。その目標とするところは、結局、公庫の資金調達の内容というものをいかに改善するかという点と、もう一つは公庫全体の資金コストの引き下げを行なって、そうして貸付金利を低利なものにしなければいかぬというような点が重点であったわけであります。これに対するその後の政府部内の検討が行なわれておれば、その経緯等について御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/29
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030・小枝一雄
○小枝政府委員 ただいま芳賀委員お話しのように、ちょうど去年の委員会においてこういう決議をされまして、福田農林大臣も御承知のように金融問題については特に熱意を持っておりまして、最近における農林漁業関係の融資について特に検討する必要があるということで、実は、昨年の七月災害がありましてから後、特にこの問題を取り上げまして、農林省部内といたしまして検討いたしておるのであります。ことに、この問題につきまして問題になりますのは、農林漁業金融公庫の問題と同時に、これに関連いたします農林中金の資金、系統資金等、こういう問題につきまして一連の問題として解決していく必要があるということで、この三十五年度中には何らかの結論を出そうということで検討を進めておる次第であります。御期待に沿うよう極力努力するつもりでやっておるのであります。
〔委員長退席、本名雇員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/30
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031・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、第一の、公庫の資金運用の内容、公庫が設立されて以来の経緯をたどってみても、毎年のように資金構成の状態というものが悪くなっておるのです。特に、三十五年度の場合は、公庫の予算を見ると、政府からの出資と各借入金との比率を見ると、大体全体の総資金額に対して出資の持つ比率が三九・五%ということになっておるのです。これは公庫ができて以来最悪の比率ということに当然なるわけですが、このように毎年々々資金の構成状態が借入金依存という方向に向いていくと、これは早晩運営が非常に悪化するのじゃないかというふうに考えられますが、この点についてはどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/31
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032・坂村吉正
○坂村政府委員 御指摘のように、公庫の出資金と借入金との比率はだんだん逆になって参りまして、これが実際問題といたしましては公庫の採算にも非常に影響しておるということはいなめない事実でございます。従いまして、できるだけ公庫に対しましては資金源といたしましては出資金を多くするという考え方が、低利を建前といたしまする公庫の建前からいたしまして最も必要なことだろうというふうに考えておるのでございまして、三十五年度の予算編成にあたりましても、そういう考え方でいろいろ政府部内でも努力をいたしたわけでございます。実際の産業投資特別会計の方の資金状態、そういうようなものも必ずしもだんだんふえてくるという状況じゃございませんで、むしろ絶対量は減ってくるというような状況でございます。三十四年度の場合には産投の出費は三百八十億でございましたが、三十五年度の場合には二百六十億というようなことで、総額も実は減って参っておるようなわけでございます。しかしながら、その中におきましても、農林漁業金融公庫に対する出資は、非常な努力をいたしまして、産投から七十億、それから一般会計から七億というようなことで、七十七億の出資を一応確保いたしてきたわけでございまして、その他の産投の出資を見ましても、これだけの多額のものを確保しておるものはほかにはほとんどないのでございます。たとえば、住宅公団に対しまして七十億、あとは住宅金融公庫に対して五十億というようなものがせいぜいでございまして、あとはせいぜい十億とかいうようなことになっておるようでございます。そういうようなことで、非常に努力をいたしたのでございますが、しかしながら、全体としては、やはりそういう点で公庫の採算等にも今後とも相当影響が来るのではないかということを心配しておるのでございます。こういうことで、根本的には、先ほど政務次官も御答弁いたしましたように、農林金融の問題を、公庫とそれから系統金融というようなものをからめまして、一つ根本的に検討いたしまして、交通整理といいますか、合理化といいますか、そういうようなことをやっていかなければならぬ。公庫においては資金の需要というのはどんどんふえるのでございますが、一面、農業協同組合系統におきましては、余裕金が毎年非常にふえて、貸さないでたまっていくというような状況にもあるのでございまして、こういう点を十分検討いたしまして、全体として農業金融が円滑にいくような、そういう根本的な対策を一つ考えようというようなことで、いろいろ検討いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/32
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033・芳賀貢
○芳賀委員 とにかく、三十五年度の財政投融資計画は、御承知の通り四千九百億を上回っておるわけですから、その中における農林漁業関係の財政投融資額というのは非常に少ないと思うのです。この点は政府においても、お認めになると思いますが、しかし、現況は、今局長の言った通り、農林漁業者あるいは団体からの公庫融資に対する需要は非常に増大しておるわけですから、これに対応する資金対策というものが当然政策的にも行政的にも講ぜられる要があると思うのです。それで、たとえば三十五年度の資金コストは、この状態でいくと大体どのくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/33
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034・坂村吉正
○坂村政府委員 三十四年度は五分五厘三毛でございましたが、三十五年度は幾らか下がりまして五分五厘というふうに計算いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/34
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035・芳賀貢
○芳賀委員 次に、政務次官も言われましたが、たとえば農林中金の一千億をこえるような余裕金の活用の問題とか、あるいは農協がやっておるところの共済事業の準備金、積立金等の活用についても、大体八百億をこえて一千億に近づこうとしておるわけですから、こういうのはやはり制度的にこれに着目して何らかの手を打つ必要があるのじゃないかということはみな言っている点なんですが、たとえば、今進められておる中金法の改正等の場合においては、どのような構想で案を立てておるか、その点を御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/35
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036・坂村吉正
○坂村政府委員 農業協同組合系統におきまして余裕金が相当あるということは事案でございまして、その半面、先ほど申し上げましたように、農林漁業金融公庫の方の資金需要だんだんとふえてきておるということでありまして、そういう点を根本的に考え直さないと、農業金融をそのままの姿でおくわけにいかぬのじゃないかというふうに考えておるのであります。
そこで、私たちが今一応検討いたしております問題点といたしましては、第一に、農林漁業金融公庫で貸付の対象にしておりますところの、たとえば共同利用施設であるとか、そのほか主務大臣指定施設等というようなものがございまして、当然、こういうものは、ものによっては農業協同組合の系統で扱うべきもので、系統事業として金融を考えていいのじゃないかというようなものは、これは本来的な姿に戻して系統の内部で金融をつけるというような筋を考えて、そうして農林漁業金融公庫と組合系統との事業の調整をやったらどうかということが第一点でございます。
それから、その場合におきます余裕金がどんどんたまってきて、農業の中に農業金融としてなかなか還元されないといいます実情はどういうところにあるかといいますと、やはり系統内部における金利が広いということが一つの問題だろうと思います。それと同時に、その組合員なり農民に貸し出す場合のたとえば保証の問題であるとか、そういうような問題が十分果たされていないのじゃないか、そういうような機能が十分ないのじゃないかという点があるのでございます。金利の問題につきましては、先ほど御指摘のように、たとえば農業共済の準備金というようなものをある程度活用することによって金利を下げていくというような問題もございましょうし、また、どうしても必要な場合には利子補給をするというような問題をある程度検討しなければいかぬのじゃないかというふうな感じもいたしておりますが、いろいろそういう解決の方法があろうかというふうに考えておるのであります。また、この保証とかそういうような問題につきましては、今の農業協同組合の系統におきます実際の体制が、ほんとうに金を貸すような体制になっておるかどうかということが一番問題じゃないだろうか。そうして、先ほども丹羽委員の御質問にありましたように、農協の内部に出します場合にはある程度貸し倒れも出るというようなものが非常にあるのでございますから、そういう点も、体制としては、少しくらいの貸し倒れが出ても組合として十分カバーできるのだというような体制を作っていく必要があるのではないか。そういうようなためには、組合の内部の体制を、やはり財政的な体制も財務的な体制もきちんと立てていくということが第一の先決要件であろうと思います。あるいは、自分ではどうしてもだめな場合には債務保証というような問題も別に外からの力でこれは考えていくというような点もあるんじやなかろうかというふうに考えておるのでございまして、一応大きな問題としては、そういうようなことを中心の課題にして検討いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/36
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037・芳賀貢
○芳賀委員 今の御説明の中で、たとえば具体的に中金法の改正をやる場合、そういう局長の述べられた幾つかの事項のどれを採用してやるつもりでおるのか。一説には、ただ中金の理事長の選挙方式を変えるくらいで終わるんじゃないかというような話もあるんです。それでは何の意味をなさぬと思う。根本的に中金の今の姿というものを十分解剖して、ほんとうに民主的な系統金融の頂点としての役割を果たす中金にする、それから、系統金融と公庫のような制度金融との結合というものをこの機会にどうやるかというようなことが中金法の制度改正の中で現われてこないと、これは何ら期待に沿わぬと思うのです。率直でいいですから、今どんなふうに中金法の改正を作業しておるのかを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/37
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038・坂村吉正
○坂村政府委員 中金法の改正の問題については、これは数年前から実は問題になっておりまして、農林中金の民主化というような問題で問題が取り上げられてきておるのでございますが、一番言われております問題点は、結局、現在の信連と中金とがつながりがないのではないかというような点が一つの大きな問題だろうと思います。そこで、そういう意味からいたしまして、今の中金の役員を民主的に選べるというような制度が必要じゃないかというようなことが強く要望されてきたわけでございます。私たちも、もちろんその役員の任免の制度を改めるということだけで農業金融の民主化ができるとは思っておらないのでございまして、もちろんそういう点も必要であろうと思いまするが、農業金融の中身の制度をやはりきちんと立てるということがぜひ必要だというふうに考えておるのであります。そういう点もいろいろ検討いたしつつ、第一歩といたしましては、役員の改選の問題を中心といたしまして現在の農林中央金庫法が法律の条文も非常に古い条文でございまして現在いろいろ整理をしなければならぬような点もございまするので、そういう点を改正いたしたらどうかというようなことでいろいろ検討中でございます。ですから、具体的にどの点をどういう工合に直していくというような段階までは至っておらない状況でございます。政府部内でいろいろ検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/38
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039・芳賀貢
○芳賀委員 では、結論は今国会中に出ますか。小枝さん、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/39
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040・小枝一雄
○小枝政府委員 大体ただいま経済局長が申しましたような線で一応出したいと考えております。そこで、率直に経済局長も申し上げたようでございますが、つまりこの系統資金をどう活用するかというような問題につきましても、それぞれの機関の考え方も一つ十分検討する必要があると考えております。そこで、われわれの方でも実はまだこれをどうしたらいよいよいいかという思想統一も完全にできておらぬ段階でございまして、たとえば農業施設のごときものは農業協同組合以外の関係でもこれを許すかどうかという問題も問題点としてただいま検討はいたしておるのであります。そこで、先ほど私が申し上げましたように、この系統資金の問題、中金、農林漁業金融公庫等の金融全般についての検討の結論を一つ三十五年度中に出したいと思っておりますので、大体はそういう総合的な結論を得なければなかなかむずかしいのじゃなかろうかと考えます。いずれにいたしましても、そういう取りあえず解決のできるという問題については一つこの国会になるべく間に合わせるようにやろうという方針で今検討を進めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/40
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041・芳賀貢
○芳賀委員 とにかく、現況は、系統金融等を見ても、それが正常に末端に還流されていないのですよ。農林漁業から生産を通じて蓄積された資金が関係外の方に大量に流れておるという形は正常でないと思うのです。ですから、こういう点については十分検討する必要があると思うのです。
その点はこの次の機会に譲りますが、もう一つは、先ほど申した農協の共済事案の準備金の活用の問題ですが、これもやはり政府として方針を明らかにしてその方向に進める必要があると思うのです。この点についても具体的な検討をしておるのであればこの際述べてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/41
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042・坂村吉正
○坂村政府委員 先ほど申し上げましたように、農協の共済の準備金はだんだんたまって参りました。今おそらく六百億をこえておるのではないかと考えておるのでございますが、これは非常にコストも普通の資金に比べまして安い、しかも性格としては長期のものでございますので、いわゆる長期低利の農業融資という面でやはり相当活用の面を考えなければいかぬというふうに考えております。今言いましたように、公庫資金をどうするか、それから系統の金融をどういう工合に持っていくか、そういうようなものとからみ合わせまして、系統内部で貸していきます場合につきましても、たとえばそういう資金を使っていくということによってある程度の金利の引き下げというようなことにもこれは使えましょうし、あるいは場合によっては相当長期なもので扱えるというような場合も出て参りましょうし、そういう点をいろいろ総合的にあわせて検討しておる実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/42
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043・芳賀貢
○芳賀委員 共済準備金の問題にしても、その前提としてもう一段共済事業の内容の強化と充実をはかるということも大事だと思うのです。たとえば、去年の十四号、十五号台風、いわゆる伊勢湾台風の場合も、この農協の共済事業というのは、北海道以外の都府県においては風水害を共済事業から除いておるのですね。これは理想としてはそういう自然災害というか風水害による事故もやはり共済事業で認めて適用できるようなところまで引き上げていくということは当然大事なことなんですから、そういう点についても政府として速急に未解決の問題が解決するように努力して、そうして、正常な共済事業の発展の中で用意された準備金等はやはり農業関係の公共的、公益的な、また農業の発展のために使えるようなことを明確にすれば、公庫金融とあわせて有効ではないかというふうに考えるわけですが、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/43
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044・小枝一雄
○小枝政府委員 これは、芳賀委員のお話のように、私どもといたしましても、農民あるいは農業関係の相当巨額な金が中央にまとまって、それがしかも農村以外に使われるということは、はなはだ残念なことでありまして、でき得る限り農村の金は農村に還元をし、しかもこれが農村発展のために有効に使われるということが望ましいことでございまして、ただいま私ども芳賀委員のお考えについて全く同感であり、また、その線に沿って努力をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/44
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045・芳賀貢
○芳賀委員 次に、貸付の予定計画の問題についてちょっと触れたいと思います。最近、公庫の運営の方針として、いろいろ貸付対象の項目がありますが、どれにも十分ということにはいかぬと思いますが、この中でどの貸し出し項目に重点を置いてやろうとしているか、その点については農林省並びに公庫の総裁からもお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/45
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046・坂村吉正
○坂村政府委員 貸付予定計画といたしましては、土地改良、林業、漁業、塩業、共同利用施設、小団地、その他いろいろ項目があるのでありまして、これらに対しまして十分一つ需要をまかない得るようにというようなことで、三十五年度の予算も三十四年度に比べまして八十五億という貸付額の増加をいたしまして、五百十七億という大幅な増加をいたしたわけでございます。全体が農業の振興のために非常に役立っておるのでございまして、そうどれに重点を置かなければいかぬというような考え方で貸付対象に特別の差をつけることはかえってどうかと思うのでございますけれども、しいて申し上げますれば、やはり農業生産基盤の整備というようなことを非常に強く考えておるのでございまして、そういうような点からいたしますと、土地改良というようなものに相当力を入れなければならぬというふうに考えてもいいのじゃなかろうかというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/46
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047・芳賀貢
○芳賀委員 総花的ということになれば、それも一つの方法だと思います。ただこの中で目立っておるのは、やはり自作農創設維持資金が毎年のようにふえておる。これはやはり理由があって自創資金のワクを拡大しなければならぬということでやっておると思うのです。この点については一体、今の農村の自創資金をどうしても必要とする事情とか理由というものはどの程度深刻になっているか、調査を進められたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/47
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048・坂村吉正
○坂村政府委員 いろいろ経済情勢の変動に応じまして、農家の特に自作農創設維持資金に対します需要が非常に強いのでございまして、これは実態調査をしてどうこうというような資料を持っているわけではございませんけれども、この資金が低利であってしかも長期であるというような点もございましょうし、特にこの金を借りて特定のこういう事業をやらなければならぬという拘束もございませんから、結局農家の立ち直りのための資金というようなことになりますので、そういう意味から言って非常に需要も強いのではないかというふうにも考えております。特に、災害特等におきましても非常にこれに対する需要も強いし、また、最近農家のいろいろな負債整理というような問題等も、現在根本的な対策を立てますためにはいろいろ調査をしなければならぬということで三十五年度には調査を美行することにしておりますけれども、とりあえずの問題としては負債整理等の問題もこの自創資金を運用することによって考えていったらどうかというふうにも考えておるのでございまして、そういう意味から言いまして自創資金の需要が非常に強いものですから、自創資金の増額は昨年に比べまして非常に大幅になっておるというような実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/48
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049・芳賀貢
○芳賀委員 これは農林大臣あるいは政府、自民党の諸君もそうですが、御説を聞くと、施策のよろしきを得て日本農業も漸次発展の方向を示しておる、前年度の農業生産の成長は五%くらい期待できたというようなそういう宣伝も行なわれておる中において、一方においては農村から貧困とか窮乏を理由にして自創資金の需要が非常に強い。そういうことは一つの内部的な矛盾があるのではないかと思います。こういう内部矛盾をどういうふうに農林省としては把握しておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/49
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050・坂村吉正
○坂村政府委員 非常に零細農が多い日本の農業の実情でございますので、いろいろ、全体としての動きと、それから個々の内部における動きとはまた違った面もあるのでございまして、そういう矛盾をはらんでおるのが現在の日本の農業の姿ではあるまいかというふうな感じもいたしておるのでございます。これらの実際の状況等につきましては十分また今後とも調査をいたしまして、一つ矛盾をなくすような形に持っていくように努力していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/50
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051・芳賀貢
○芳賀委員 自創資金の問題についてはあとでもう一度触れたいと思いますが、もう一つ共同利用施設、いわゆる農村工業と称するものもこれに包括されると思いますが、最近における農村の共同施設あるいは工業化というものは、ここ数年の間に非常に様相が変わってきておると思うのです。戦後よく言われたような規模の小さな農村工業的なものは全部影を失って、近代的な資本によるところの企業が十分可能であるというような、そういう規模に拡大されておるわけなんです。そうなると、公庫融資の中にも共同利用施設というものの解釈とか概念はやはり適切に修正する必要があるのではないかと思うのですが、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/51
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052・坂村吉正
○坂村政府委員 公庫の融資は、御承知のように、長期かつ低利の農業融資を大体建前にしておるのでございまして、いろいろ農業の内部におきますところの施設その他のものが近代化して大規模になってくるというような趨勢にはございますが、それらの問題にいたしましても、やはり主体は、農協の共同利用施設、そういう農民の共同利用という形で進んでいくのが非常に多いのではないかというふうに私は考えておるのでございまして、どうしても施設といたしましては主体はそういうところに重点がかけられていくのではないか。それからまた、農村の今後の方向を考えまして、あるいは法人の問題等もございますが、生産共同までやっていこうというような考え方にもなってきておるのでございましてそういう意味から言いましても、やはり共同利用あるいは共同作業というようなところを推進しますことは、農業の合理化あるいは近代化というような面からいきましても非常にやはりとるべき方向ではないだろうかというふうに考えておるのでございます。そのほか、特に個人の施設といたしましても主務大臣指定施設というような項目がございまして、これによって個人の施設のいわゆる機械化というようなものについても大体まかなっていくという考え方をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/52
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053・芳賀貢
○芳賀委員 結局、数年前から比べると、この共同利用施設の貸し出しを見ても一件当たりの資金の要求というものは高まってきておると思うのです。総金額の中において、それはどうしても件数が減ってむしろ一件当たりの金額がふえるというような傾向になるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/53
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054・坂村吉正
○坂村政府委員 実際お話のような傾向をとっておると思うのでございまして、農林漁業金融公庫から貸し出します場合におきましても、共同利用施設につきましては青天井でございまして、上の方の金額の制限がございません。ということは、やはり機械化も大規模になってくるというようなことをある程度頭に置いて考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/54
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055・芳賀貢
○芳賀委員 結局、農協単位とかあるいは部落の共同施設とかもあるし、また、上の方へいけば、御承知の通り、たとえばビート工場とかバレイショの合理化工場とか、いろいろ新しい面に農協出資のそういう事業体の共同利用的な設備というものができておるわけです。また、その方向というものはだんだん拡大されると思うのです。ですから、やはり、これらの資金計画というものは今後は相当大幅にふやさなければならぬということになると思いますが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/55
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056・坂村吉正
○坂村政府委員 三十五年度の共同利用施設の欄には、共同利用施設及び新規用途事業ということで、今お話のありましたような考え方からいたしまして、三十五年度はとりあえず結晶ブドウ糖に対する融資を考えておるようなわけでございます。そういうようなことで、そういう分野におきましてどんどんこれからもやはり農民あるいは農協等が出資しまして進出をしてくるというようなものもあろうと思うのでございまして、そういう点は、現在は、大体農協の資本が九割であるところの九割会社といいますか、そういうものに対しては公庫から資金の融通ができるというような建前をとっておるのでございます。そういうようなことにつきましては今後もやはり情勢に応じまして検討していかなければならぬだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/56
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057・芳賀貢
○芳賀委員 九割会社の場合もあるし、それから、十八条の二の、いわゆる農産物価格安定法の対象品目を確保して新しい用途を開拓するためには九割会社でなくても貸せるという特例も改正の中で設けておる。現在澱粉の政府買い上げ数量というものは毎年ふえて膨大な数字に上っておることは御承知の通りですが、ブドウ糖の企業化を進めるということになれば、他の金融よりも公庫金融の方が比較すれば有利ですから、これの要請も強いと思うのですが、内訳としては、ブドウ糖工業とか、それから、たとえば澱粉の合理化工場とか、類似の施設に対してどのくらい充てる計画ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/57
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058・坂村吉正
○坂村政府委員 一応共同利用施設に対する資金貸付ワク二十八億のうち、五億三千万円を結晶ブドウ糖に対する貸付予定というふうに考えておるのでございまして、そのほか農村工業としての澱粉に対しましては大体二億六千万円くらいのものを一応の予定にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/58
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059・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしておきたいのは、酪農振興基金法を成立さしたとき当委員会で附帯決議をつけたのです。これは局長も小枝さんも御承知の通りですが、その附帯決議の内容は、乳業施設に対しても公庫融資の道を開くように検討すべきであるというような内容の決議だったと思うのです。もうあれから二、三年たっておるわけですが、農林省としてはこの委員会の決議の趣旨をどのように理解して検討をされたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/59
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060・坂村吉正
○坂村政府委員 衆議院、参議院におきまして乳業施設に対する融資の問題についての附帯決議がございまして、その附帯決議の御趣旨に沿いまして、三十五年度の予算の編成にあたりましては乳業に対する長期低利の融資の道を確保するということを非常に強く考えたわけでございます。附帯決議の御趣旨は、農林漁業金融公庫、日本開発銀行等からの長期低利の融資をというような御趣旨でございまして、そういう御趣旨にそのまま沿いまして、日本開発銀行かあるいは農林漁業金融公庫か、どちらからかとにかく金融の道をはっきりさせるようにしようというようなことでいろいろ検討いたしたのでございますが、日本開発銀行、東北開発公庫というようなところで本気になって一つ乳業の施設に対しては取っ組んでいこう、こういう態勢でございますので、三十正年度におきましては日本開発銀行においてこの乳業関係の融資を責任を持って実行してもらうということで決定をいたしまして、従いまして、農林漁業金融公庫の方ではその予定はいたしていないという実情でございます。御趣旨に沿いまして万全の措置をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/60
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061・芳賀貢
○芳賀委員 ちょっとおかしいですよ。御趣旨というのは、昭和三十三年四月四日に酪農振興基金法の附帯決議が行なわれておって、項目は六項目にわたっておるのですが、その一つに、「政府は、生乳の増産に伴い必要となる処理加工施設の改良、造成又は取得に要する資金についても農林漁業金融公庫等からの融資の途を拓くよう検討すること。」ということがあるのです。これが局長の言う御趣旨なんですがね。この決議から言うと、農林漁業金融公庫から貸し出す道が開かれるかどうかという検討をまずやってもらわなければいかぬわけなんです。それを、御趣旨に沿って開銀から出すことにしましたというのは、この御趣旨に半ば反するのじゃないかと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/61
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062・坂村吉正
○坂村政府委員 酪農振興法の一部改正のときの決議は、農林漁業金融公庫、日本開発銀行等という御決議でございますので、いろいろ検討をいたしました結果、日本開発銀行で責任を持ってそういう態勢をとるということでございまして、そういうことにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/62
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063・芳賀貢
○芳賀委員 これは争うわけではないですが、私の言うのは昭和三十三年四月四日、酪農振興共金法の附帯決議の趣旨を言っておるわけです。もし内容に疑点があれば、これは当時の速記録を取り寄せて調べればわかるのですか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/63
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064・坂村吉正
○坂村政府委員 私が申し上げております国会の御決議といいますのは、三十四年のときの酪農振興法の一部改正のときに衆議院並びに参議院両院でそういう御決議をいただいておりまして、その前の御決議とちょっと矛盾するような感じがいたしまするが、新しい方をとりましてそういうことにいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/64
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065・芳賀貢
○芳賀委員 これはまじめに検討したかどうかということを聞いておるのです。たまたま私の質問してないときの決議案等にそういうことがあったことに便乗してやったんじゃ、これはうまくないと思うんです。別にわれわれは大きな乳業資本の利益擁護のために考えておるのではないですよ。たとえば、振興基金法を審議した場合も、当時の酪農事情というものは、小枝次官も御承知の通り、非常に悪化した時代なんです。それで、これを改善するためには、基金制度というものを設けて、その基金の裏づけをもって乳業の設備等に対してもそれが活用されるような道も開く必要があるのです。しかし一方においては設備資金というものはやはり政府の公庫融資からもこの際検討してみる必要があるのではないかということが本旨で、もしそういう道が開かれて従来よりも安い金利の設備資金というものが入って乳業施設が拡大していけば、自然これはコストの引き下げということになると思う。われわれとしては決してそれを乳業資本の利益に回せというのではないのです。そういう設備の合理化とか近代化というものをどんどん進めていかなければ、これは非常にコストの高い乳製品になるのではないか、市乳に比べて非常に乳製品がコスト高でこの消流が困難であるというような事態もわれわれは認めて、そして、公庫の貸し出しの道を開くべきだ、道が開けたらこれはまたこれに必要な資金というものは公庫の予算の中で獲得してもらわなければ、現在ある資金操作によって大幅にこれを回せなんていうことはできませんが、貸し出しすることができる結果、先ほどのブドウ糖と同じような方法をとればこれはやってやれぬことはないと思う。ですから、こういう点に対してはもう少しまじめに考えて、開銀から貸し出しの道があるとか、あるいは北海道東北開発公庫から貸せば貸せるということだけでは、これは済まないと思います。同一の金利で貸付条件も同じであるとすれば、それは場合によってはどちらから借りてもいいことになるかもしれぬが、やはり条件が違うんですからね。こういう点に対しては政府としても—殿と積極的な検討をする必要があると思うのです。毎国会こういう決議だけしなければならぬという必要もありません。設備資金のコスト低下が生産者の乳価の引き上げに役立つというようなはっきりした事例が出れば、当然これはやるべきじゃないかとわれわれは考えておるのですが、それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/65
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066・小枝一雄
○小枝政府委員 この問題は、もう決議の文句にいろいろこだわるとかいうことではなしに、当農林委員会におきましても特に先生方の熱心な御意見をしばしば承っておるところであります。ことに、将来、日本の乳業と申しますか酪農を大いに奨励いたしまして農民の所得を増大するためには、どうしても一貫した設備の必要性があるのでありまして、そういう意味からいろいろ検討いたしたのでございますが、今考えておりますのは、先ほども申し上げましたように、公庫の融資の問題あるいは利率の問題、特に系統金融の問題等がありまして、とりあえず三十丘年度中に根本的に結論を出すという方針で参っておるのであります。御決議の御趣旨もあり、常にそういうお考え方のあることもわれわれ承知し、また、それを実行することも必要であるという考えのもとに、いずれかで一つそういう端緒を開いてやろうということでいろいろ考えました結果、とりあえず開発銀行にそういう道を開く。そうして、ただ、この問題につきましては、御承知のように、農林漁業金融公庫が取り扱うおけに参らないのでありまして、どうしてもこれは大きいところへ主として回る、——かゆいところへ手が届くというような金融行政というものはむずかしいと考えまして、そういう問題について十分総合的な極付をやっていきたい、こういうふうに考えております。決してわれわれなおざりにする考えを持っておりませんので、一つ十分検討いたしまして、ことに三十五年度においてこれを貸し付けていきますと仕事の手ごたえもあろうかと考えますので、そういう必要な方向に対して十分な配慮を加えて検討して参るつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/66
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067・芳賀貢
○芳賀委員 以前はクロバー乳業なんか九割会社ですから、過去においては公庫から設備資金を借り入れておった。それが雪印乳業と統一したことによってその資格というものを失ってしまった。中には大きな乳業会社の重役で参議院選挙に出るので一億円も二億円もかけて出たなんという事例があるから、乳業の設備資金を公庫から出す道を検討するなんということも、そういう不当な金があれば何も心配ないじゃないかということにもなるが、そういうことでなくて、まじめに今後の日本の酪農の将来とか—番の隘路はどこにあるかということを考えると、やはり、市乳は非常に高いが、乳製品の価格というものはコスト高でなかなか運営が楽でない、特に乳製品地帯におる生産者は結局乳製品の原料乳にほとんど売らなければならぬということで、都市周辺の市乳生産者農民に比べると、原料乳提供の農民の方が乳価の画で非常に不利益をこうむるということは御承知の通りであります。一升について五円ないし十円くらい違いますからね。こういう点はやはり乳製品を中心に乳業を行なっているような会社等の経営に対しても内容の調査等を十分に行なって、そして設備資金の金利というものは経営者にもかなりのウエートを持っておるということは、これは私が言うまでもないことなんです。こういう点に対しても、今後もう少し積極的に横付を加えて、とにかく、二年前にきめた国会の意思というものを何ら尊重されていないのですから、この点については農林大臣によく伝えて十分な検討をしてもらいたいと思うわけです。方法としては私よりも政府の方がわきまえておられると思いますが、たとえば、先ほど申しました農産物安定法の対象品目に対してはこれは新例を開いて、九割会社でなくとも貸せるという道も開いてあるし、ですから、乳業の場合においても、たとえば酪農振興法というものがあって、特に高度集約地区の指定ということが法律を根拠にして行なわれておって、この集約地区の中においてはやはり当然集中的にコスト引き下げのために乳業設備を設けるということになっておるのですが、平面的に何でもかんでも乳業施設に資金を貸すということは、これは容易なことじゃない。やはり、国の施策の中で設定された地域等にその目的を達成するために新しい施設を設けるような場合においては、その分についてはたとえば公庫の融資の道を開くとかということは可能じゃないかと思うわけです。きょうは畜産局長も来ておりませんが、十分関係省の門で御相談されて、すみやかに方向を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/67
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068・小枝一雄
○小枝政府委員 ただいまお話しの点は、われわれも全く同感でございますし、今後日本の酪農というものは伸ばさなければならず、ここまで来た以上、さらに飛躍させるということがわれわれの考えておる政策でもございますし、お話しのような点、酪農を振興し、安定させる上に最も重要な問題でございますので、大臣にもこの点はよく相談いたしますし、事務当局、さらに関係方面ともよく相談いたしまして、十分検討を進めて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/68
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069・芳賀貢
○芳賀委員 最後に、もう一度自創資金の問題に移りますが、政府が三十四年度に北海道に割り当てた資金の中で、五億円と思いますが、これは負債整理用という別ワクで流されたわけであります。この点について、われわれの承知しておるところでは、負債整理のための自創資金については、農業協同組合において条件緩和の措置を講じてから貸し付けるようにする、そういう条件がついておったように聞いております。その点について少し具体的に内容を説明してもらいたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/69
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070・坂村吉正
○坂村政府委員 三十四年度におきまして、五億という金を負債整理のためにということで自創資金として特別に北海道に対して割り当てたわけでございます。北海道の現在の負債の状況を見ますと、私も北海道に参りまして伺ったこともあるのでございますが、実は非常に多くの部分が系統金融の負債になっておるのでございます。その金利等を見ましても、たとえば非常に金利が高い。内地の金利等に比べますと非常に高額の金利であります。場合によっては元金よりも金利の方がどんどんかさんでいくというような情勢もあるのでございまして、これは、農協の内部の問題からいたしましても、先ほどもいろいろ御質問がございましたように、農協としてはもっと積極的に農民のめんどうを見るという体制をとるべきじゃないかという点も考えられるのでございまして、そういう点からいたしまして、農協がとにかく別に今までの負債に対して条件緩和をまず先にやって、それによってそういうようなものに対して負債整理の実行をしていったらどうかというようなことで指導をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/70
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071・芳賀貢
○芳賀委員 それはいいのですが、ただ、問題は、固定負債をよけい背負っておる地域の農民が組合員になっておるその当該農協だけに、系統融資だからお前の組合の内部で条件緩和をやれということが実際問題として効果的にいくかどうかという点を私は尋ねておるので、負債の多い農家、農業地帯というものは生産の条件が非常に悪いわけです。従って、それらの組合員で形成されておる農業協同組合ですから、貯金も少ないですから、資金面については、自己資金というものは少なくて、ほとんど借入金、他給資金でまかなっておるということになりますれば、この貯金等が多くて自己資金が豊富の組合の信用事業の場合と、貯金も少なくて全部他からの資金に依存をしなければならぬという場合の組合の信用事業というものとは、内容が非常に違うと思うのです。ですから、そういう非常に力のない、信用力も経済力もない農協の内部でこの条件緩和をやるということの結果はどうなるかということは、これは専門家の皆さん方が御承知と思います。その点がどうかということを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/71
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072・坂村吉正
○坂村政府委員 もちろん、農協には、その資産の内容等につきましても十分でないようなものもございまして、たとえば農協に対して非常にこげつきの負債を持っておる者が多い農協の場合には資産の十分充実していないようなものも多いのではないかというようなことも考えられないことはないのでございますが、一応、農家の負債の実態等につきましては三十五年度新しく予算を取りまして実態調査をやりまして、その上でそれらの問題についての根本対策を考えよう、こういうことに考えておるのでございまして、三十四年度におきまして五億の自創資金を既往負債整理に充てるようにということで考えました場合には、とにかく自分の内部でも努力をして、そうして政府の力を借りて暫定的に片づけていこう、こういうような考え方でこれは実行いたしておるのでございまして、そういう意味で、とにかく暫定的な一つの処置でございますので、その場合には、農協の内部におきましても、あるいは信連においても、できるだけ自分でも努力する、こういう努力を払ってもらおう、こういうつもりでやりました措置でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/72
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073・芳賀貢
○芳賀委員 その措置については北海道の農民も非常に喜んでいる。しかし、実際問題としてはそういう条件がついて、しかも、お前の農協だけでやれということになるので、これはなかなかやりづらいというのです。条件緩和したしわはまた全体の組合員に及ぶという結果にもなるわけですから。だから、もう少し考えを進めて、たとえば北海道の信連なら信連の段階でこれを調整しろということになれば、これは私はできると思う。災害のときの天災融資法にしても、すべての系統資金とかあるいは制度的な金融が流れる場合も、中金とか信連段階においては何も出血もしわ寄せも受けないで、災害があればかえって運営が楽になるというような、そういう変な現象さえ生まれておるわけです。だから、農林省として、もう少し、系統内部において条件緩和をやって系統内部における農民のこげついた償金の整理をやるという場合においては、もう、一段上の段階の、たとえば信連であるとかあるいは中金の段階等においても、組合員である農民の免れることのできないようなこげついた負債の整理等についてはある程度の助力とか負担というものがされても、それこそ本来の農協の姿だと思うのです。そういうことをやれと言わないで、一番貧乏な農協に、お前の仲間内の問題だからお前のところだけでやれというようなやり方というものは、ちょっと農林省としても先ほどの局長や次官の御高説に反するんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/73
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074・坂村吉正
○坂村政府委員 もちろん、第一次的には農協にしわが寄る場合があろうと思いますが、その場合におきましては、当然、信連等に金を借りるというような、これを信連に援助を頼むというような問題も起こって参ると思うのであります。これは実際問題といたしましては農協の内部の問題でございまして、いずれにいたしましても、農民に対するいろいろの過酷な条件は、これはとにかく農協の負債であるからできるだけめんどうを見てやったらどうか、こういうようなことで、これはいずれにしても暫定処置でございますので、いろいろのしわ寄せはあちこちに起こるんじゃないかと思います。それらの状況等も見ますし、また、三十五年度の実態調査の結果等も見まして、今後の対策は、十分考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/74
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075・芳賀貢
○芳賀委員 では、これは早急にお考えを願います。ひとり北海道の信連だけではないですけれども、系統の金利の引き下げなんかやる場合においては、やはり、上は中金から信連、単協に至るまで、この各段階の系統の信用事業の実態というものを十分調査して、——これは欠点が確かにあると思うのです。そういう点を農林省で把握して今後の対策に資した方がいいと思うのです。ですから、農林省でやれなければ、たとえば、当委員会において、中金や信連の当事者を呼んで、系統内部における負債整理等に対してそれらの機関が協力的であるかどうかということを国会として調査してもいいと思うのです。あなたの方で積極的にやるとすれば無理にやる必要もないのですが、これは、政務次官、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/75
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076・小枝一雄
○小枝政府委員 この千億の資金の問題でございますが、これを通じまして、御説のように、これは貧弱な組合を擁しておるところの弱体な農協もありましょうし、資金が回りましても十分の効果を発揮できぬところもあろうかと考えます。これは、要するに、先ほどもお述べになりましたように、各系統機関が知恵をしぼって力を合わせて協力してくれるということは最も望ましいことであり、必要な問題であろうと思います。従いまして、この問題につきましては、事務当局にもよく話を詰めて、これは十分農林省として指導していかなければならぬ、これにつきましては十分努力をし善処していかなければならぬ、かように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/76
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077・芳賀貢
○芳賀委員 これに関連して農林大臣に尋ねたいのですが、昨年の国会からずっと審議を続けておる社会党提案の農家負債整理法というのが今国会でも継続審議中なんです。この内容は御存じの通りです。それから、もう一つは、政府がお出しになった北海道寒冷地畑作営農改善資金融通法、これは社会党、自民党共同提案で修正して成立させたのですが、そのとき両党から付帯決議が出ております。第一の点は、この際、政府としては、速急に農家の固定化負債の現況の調査を行なって、すみやかに農家負債の特別措置を講ずべきであるということですが、この特別措置というのは制度的に措置をすべきであるということなんです。もう点は、現在の公庫融資の中の自創資金は自創法に基いて出しておるのですが、運営の実態を見ると、貸付の最高限度が一戸当たりっ二十万で抑えられており、これは法律の規定でなくて業務方法書で二十万というふうに抑えられておりますが、これは実情に沿わないから、少なくとも最高五千万円までに限度の引き上げを行なって、その引き上げに伴ってふえる資金ワクというものを当然確保すべきであるということ。まだほかにも項目がありますが、負債問題についてはこの二点の指摘をわれわれは行なっておるのです。これに対しては現在まで何ら政府としては熱意を示していないのですが、この立法措置の問題と限度の引き上げ問題についてはどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/77
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078・坂村吉正
○坂村政府委員 当院の御決議の御趣旨に沿いまして、そのままの形であるいは特別の法律を作るというような段階にはまだ至っておりませんけれども、実はそういう御趣旨目もございますので、三十四年度におきましては、自創資金の運用によって負債整理対策を考えたらどうかというようなことで、特別に北海道に対する自創資金の割当をいたしたわけでございます。三十五年度におきましては、新しく北海道の負債整理の実態調査の予算を要求いたしておりまして、これによって実態を調査いたしまして、その結果に基づいて根本的な対策を講ずるようにしたいというふうに考えておるわけでございます。
なお、条件の問題等につきましては、御承知のように、現在の自創資金の条件等についていろいろ御意見のあるところでございますけれども、とりあえず三十五年度におきましては暫定措置として自創資金の運用で北海道の負債整理の問題もできるだけ片づけるようにというようなことで一つ努力をしようと考えておりますので、条件等につきましては今のままでとにかく暫定的にはやりまして、そうして実態調査の結果根本対策を講ずる際に条件等についても一つ十分実情に沿うように再検討しよう、こういうことを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/78
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079・芳賀貢
○芳賀委員 この負債整理はひとり北海道だけには限らぬと思うのです。事情から言うと北海道が一番大きいかもしれませんが、やはり、固定負債のある地域を十分調査を進めて——去年から始めれば調査を終わっておったと思うのですが、三十五年ということになるから一年調査がおくれるわけです。そういうことで調査を進めるといえば別ですが、われわれが法律を出したのは、調査の結果に基づいて、これは負債整理法という措置が必要であると認めて法律を出しておるのですから、われわれのは十分な調査を行なって必要ありと認めておるわけであります。ですから、政府あるいは与党の諸君が御不審があれば、社会党提案の法案の審議に協力してくれば、いかような調査の資料もわれわれは提供して十分納得のできるような説明ができるのですが、残念ながら全然審議に応じないというようなことで、これが遅々として進まないわけであります。局長の話ではもう一年暫定的に自創法の運用の中でやるということでありますが、貸付限度の引き上げというものは、昨年の秋の当委員会における災害対策の小委員会等においても、どうしても自創資金の貸出限度の引き上げは行なうべきであるという結論も実は出ておるのです。ですから、これは方法書の改訂でやれば別に国会の議決等は要らぬが、それをおやりになるかどうか、いかがですか。
〔本名委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/79
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080・小枝一雄
○小枝政府委員 これは重要な問題ですから、いろいろ御意見もあり、また御要望もあることを承知しておるのでございますが、この貸付限度の引き上げの問題につきましては、御承知のように、先年十二万でありましたのを二十万に引き上げた、こういう状態になっておりますが、今なお私どももこれをもって足れりとは考えておりませんので、この問題につきましては目下いろいろと検討はいたしております。けれども、とりあえず三十五年度予算を作りました当時の考え方といたしましては、できるだけ金額の範囲内において多くの人々に供給するようにしたい、こういうつもりでやっておりますので、これを、ただいまお話しのように業務方法書の改訂によりまして何らかの処置もできるわけでありますから、十分検討しなければならぬ。
それから、負債整理の考え方でありますが、これは、お説のように、ただひとり北海道の問題ではなくして、全国農民、漁民一切、農林漁業の所得が他産業に比べて少ないということは一貫した問題でございまして、私どもの考えといたしましては、これも御承知のように、ただいま局長から申し上げましたように、北海道につきましては特別な調査をいたしたい、国全体といたしましてもそういう調査を十分いたすつもりでありまして、ことに農林漁業基本問題調査会も三十五年度をもって一応結論が出るわけでありまして、そういう問題もあわせてこれが調査をいたすはずであります。従いまして、三十五年度に間に合うというわけには参りませんけれども、十分熱意を持ってこの問題には取り組んで参る予定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/80
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081・芳賀貢
○芳賀委員 今の限度の問題、これは政務次官も御承知の通り、自創資金というものは、単に負債が累増して所有地を売らなければならぬというような事態にも借りることができるが、やはり、主目的は、たとえば農地法の中に認められたその限度の最高なら最高に達するまでの間、農用地の取得とか拡大をやるということも、これはあの法律の精神の中には大事なことなんです。ところが、実情は、北海道等においても今日農地の取引価格が大体水田で一反歩十万円くらいは通例の価格になっております。本州方面では上田になれば二十万円は十分すると思うのですね。そうすれば、一反歩しか農地の取得が水田の場合にはできないのですよ。そういうことでは実情に沿わないのですね。農地の取得をやろうとしても、二十万が最高限度ということになればその以内しか借りることができないのですよ。だから、限度というものはやはり妥当な線に引き上げておいて、そうしてその範囲内において実情に沿った貸し出しをするということで初めて運用の妙が発揮できると思うのですがね。そのくらいのことはやれそうなものだと思うのですがね。でなければこれは自創法の改正で法律の中で限度を明記することもできるのですよ。われわれは政府を信用しておるから業務方法書で適切におやりなさいと言っているんですが、これは総裁はどうですか、そういう必要は認めないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/81
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082・清井正
○清井説明員 先ほど来のお話をいろいろ承っておりましたが、私ども実際上貸付を担当いたしておる者といたしましては、北海道だけではございませんけれども、ことに北海道の農家の被災状況等をたびたび現地から承っておるのであります。従いまして、自作農資金の今後の増大とその運用につきましては、私ども、できるだけ金額を丸やし、同時にその運用につきましても今後注意して参らなければならぬというふうに考えております。たびたび政府の経済局初め皆さんと相談をして参ってきておるわけでございます。五億円の分につきましては先ほど御答弁があった次第でございますが、この限度の引き上げの問題につきましては、なるほど実情といたしましてはただいま芳賀委員のおっしゃった通りだろうと思います。ただ、私とも実際上考えて参りまして、ある一定限度を引き上げておいて実際貸し付ける場合はどうか。実情に応じて貸し付けるというふうにすればいいではないかというお話でございますが、そういうふうにいたすということは、正しく理論的に考えますと確かにそういうことが言えるのであります。現にそういうような運営をいたしておる場合もあるのでございますがただいま先生のおっしゃった通り、非常にこの自作農維持資金につきましては希望が多くございまして、これが野放図と申しますか制限なしに希望者を募りましたならばどのくらい一体希望者が出てくるかわからないという状況であるように聞いておるのであります。そういう際に、ただいまおっしゃったように一定の限度引き上げて実際の運営は実情に応じてやるというふうにいたしましても、なかなか実際問題としては多くの御希望の方に対して適切な措置をとっていくことが非常に困難ではないかというような気がいたしております。やはり、なるべく多くの方をこの資金の恩恵に浴させるというような建前から考えましても、私ども、現実の状況といたしましては確かに実情に沿わない点があるけれども、やはりこの二十万円という限度はそう簡単には動かし得ないのではないか。お話の通り、限度を引き上げて総額をふやすということができますれば、まことにその通りでございますけれども、私ども責任者といたしまして、皆さんの需要に応ずるだけの金額をふやし得るということは今直ちにここで申し上げかねる状況にもありますので、現在の状況では、二十万円という金額につきまして、実情には沿わない点があるとは思いながらも、やむを得ないのではないかという感じがいたしておるのであります。さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/82
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083・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、きょうはこの程度にして、ただいまの問題については、これは非常に重大な点ですから、政府並びに公庫においても内部的に打ち合わせをされて、いずれこの法案審議の過程に農林大臣の出席を求めて、責任のある大臣の答弁をそのとき期待しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/83
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084・吉川久衛
○吉川委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。午後五時子分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01319600317/84
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