1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月三十日(水曜日)
午前十時十二分開議
出席委員
委員長 吉川 久衛君
理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君
理事 永田 亮一君 理事 丹羽 兵助君
理事 本名 武君 理事 角屋堅次郎君
理事 芳賀 貢君 理事 小平 忠君
今井 耕君 倉成 正君
坂田 英一君 高石幸三郎君
綱島 正興君 松田 鐵藏君
保岡 武久君 赤路 友藏君
足鹿 覺君 石田 宥全君
中澤 茂一君 西村 関一君
中村 時雄君
出席政府委員
農林政務次官 小枝 一雄君
農林事務官
(農林経済局
長) 坂村 吉正君
農林事務官
(農地局長) 伊東 正義君
委員外の出席者
農林事務官
(農林経済局農
業保険課長) 中野 和仁君
農林事務官
(農地局参事
官) 正井 保之君
農林事務官
(農地局管理部
長) 庄野五一郎君
専 門 員 岩隈 博君
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本日の会議に付した案件
開拓融資保証法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四六号)
小委員長より報告聴取
農業災害補償制度の抜本改正に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/0
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001・吉川久衛
○吉川委員長 これより会議を開きます。
この際、農業共済問題について、農業共済に関する調査小委員長に報告を求めます。坂田英一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/1
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002・坂田英一
○坂田(英)委員 農業共済に関する調査小委員会の小委員長報告を申し上げます。
農業共済に関する調査小委員会におきましては、再度にわたり農業共済制度の基本的な問題について調査検討を加えて参ったのでありますが、昨日、各派の賛同を得まして次のごとき小委員会の結論を得た次第であります。本委員会におきましても、お手元に配付いたしてあります通りの小委員長報告に御賛同下さり、本委員会の決議としてその立法化の促進に御協力を賜わりまするようお願いいたし、以下案文の朗読をいたす次第でございます。
農業災害補償制度の抜本改正に関する件
農業災害補償制度は、昭和二十二年農業災害補償法制定以来十余年を経過し、年々百余億円の国庫負担と、ほぼそれと同額の農家負担とをもって運営され、逐年その改善が図られてきたにもかかわらず、この制度に対し農家から種々の面について不平不満が絶えない。これがため、昭和三十二年第二十六国会において、一筆石建制の採用、農家負担の軽減、共済事業の市町村移譲の特例等の改正が行なわれたのであるが、最近における農業生産基盤の整備、耕種技術の改善、病虫害防除の進歩等による生産の安定化傾向等、本制度をめぐる諸条件の変化により、制度の内容は、農業災害および農業生産の実態からますます乖離し、農業共済組合の解散、事業休止等、農家の本制度に対する不満は依然として絶えず、すみやかに制度の抜本改正を行なうべく要請されている実情である。
かかる現状は、本制度が(一)最近の農業災害および農業生産の実態に合致しないこと、(二)掛金も高いが、賦課金が相対的に増嵩するとの非難に加え、低被害地においては、無事戻制度は徹底を欠き、掛金の掛捨となることが多く、全般的に農家負担が過重であるばかりでなく、災害時においては充分にその機能を果さない、すなわち基準反収が農家の考えている平年反収よりも遙かに低いこと、損害評価が手数と経費を要するにかかわらず、災害の実態に即応していないとの非難があること、支払共済金が実情に対し著しくすくないこと。(三)病虫害が発生しても農薬および防除技術の進歩によって減収という災害発生とはならないで、防除のために多額の労力および費用を要するという損害に変ってきているにもかかわらず、防除の労力、費用の増嵩に対しては共済金が支払われないこと、(四)制度が画一的であるとともに複雑であること、(五)農村の実情および農民感情と遊離していること等によるものである。以上の実態にかんがみ、政府は左記の点を考慮し、農業災害補償制度協議会の結論を得て、農業災害補償法改正法律案をすみやかに今国会に提出すべきである。
記
一、前文に掲げる諸欠陥を是正し、災害を受けた農家の農業所得の損失を十分に 補償しうる制度とすること。
二、制度の設計に当っては、最近の被害発生の態様と農業生産、農業経営の実態 に即応せしめること。
三、農家負担については、大幅にこれを軽減するものとし、特に基幹的な事務費 は国の負担とし、その合理化を図ること。
四、従来の画一的強制加入の制度を再検討するとともに、基準収量の設定、損害 評価等については、農家の自主性の尊重を図るよう考慮すること。
五、実施機構については、その責任の明確化を図るとともに、制度の簡素化を図 ること。
六、災害金融との調整を図り、災害対策の総合的効果を期すること。
七、制度改正後の予算については、現在の予算規模以上を確保すること。
八、建物の任意共済事業については、この際根本的な解決を図ること。
九、農業共済団体の職員の身分安定については、十分な配慮を加えること。
右決議する。
昭和三十五年三月三十日
衆議院農林水産委員会
かようなことで、別に説明するほどのこともなかろうと思いますが、要するに、全般の仕組みその他なかなか複雑なものでありまするので、ここに一々われわれはその点を指摘することを避けまして、特に欠陥のあるところについて政府において十分検討を加えまして、協議会において結論を得、これらの欠陥をすみやかに補正するという線に向かい、また、極力抜本的改正に向かってすみやかなる案を得られまして今国会に提出されることを促進することを大きな意義といたしておる次第でございまするので、何とぞ皆様の御賛同を得たいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/2
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003・吉川久衛
○吉川委員長 小委員長の報告は以上の通りであります。
この際本委員会といたしましても小委員長報告の通りその案文を本委員会の決議といたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/3
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004・吉川久衛
○吉川委員長 御異議なしと認め、小委員長報告の案文を本委員会の決議といたします。
ただいまの決議に関しまして政府の所見を求めます。小枝農林政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/4
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005・小枝一雄
○小枝政府委員 ただいま全会一致をもちまして農業災害補償制度の抜本改正に関する御決議を決定せられまして、われわれ農林当局といたしましても誠意をもってこの御決議にこたえるつもりであります。
御承知のように、農業災害補償制度の改正は昭和三十二年にやりまして、自来各方面からこれに対する不満の声も出ておるわけでありまして、この制度を存続し、農民の災害を補償していくということは、将来のわが国の農政の上に非常に重大な問題でございまして、われわれは誠意をもってこの解決をはかる決意をいたしておるわけでございます。従いまして、この改正につきましては、御承知のように、四十名からなるところの農業災害補償制度協議会を作ることにいたしておりまして、四月一日から発足するつもりでございます。従いまして、この補償制度協議会において結論が得られまするならば、私どもとしては、今国会にもこれを提案いたしまして、皆さんの十分なる御検討をお願いいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/5
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006・吉川久衛
○吉川委員長 なお、お諮りいたします。ただいまの決議の関係方面への参考送付等に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/6
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007・吉川久衛
○吉川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/7
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008・吉川久衛
○吉川委員長 次に、開拓融資保正法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、これを許します。石田宥全君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/8
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009・石田宥全
○石田(宥)委員 農地局長に伺いますが、ただいま春肥の購入期に入っておるわけでございますが、営農資金の手当が例年の通り開拓者にはきわめて困難を来たしておることは御承知の通りでございます。開拓者に対する営農資金の融通については、建前が組合単位に行なわれておりまして、一部の組合員が償還をいたしましても、組合全体が償還いたしませんと、次の融資ができない、こういう建前になっておるわけでございます。従って、東北地方等においては多くの開拓民が無肥料で耕作を開始せざるを得ないような困窮の状態にあるわけでございますが、個人的に償還を終わった農家に対しては、何らか特別の措置をもって、無肥料耕作をせざるを得ないところに追い込まないような措置がとられなければならないと思うのでありますが、これに対する所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/9
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010・伊東正義
○伊東政府委員 御質問でございますが、春肥その他につきまして今保証協会その他で保証いたしております。昨年の倍まではいきませんが、昨年よりは本年は若干順調に進んでおります。今先生御指摘の点は、そういう事情のところもございまして、代位弁済にかかった組合でありますとか、あるいは延滞している組合とかにつきましては、原則としまして先生がおっしゃったようなことになっております。これは、保証の建前から組合を単位にして考えるということでそういうことにはなっておりますが、われわれとしましても、全部一律にそれで押し切ってしまって一切そういう組合には保証もしたいということでは、先生のおっしゃったようなこと出て参りますので、これは、ある程度償還の見通しが組合としてつくというようなところには延期を認めますとか、あるいは、代位弁済いたしましたところでも、はっきり償還計画が立つという組合にはなるべく便宜をはかりまして、先生がおっしゃいましたようなことをなるべく少なくしていきたいという態度で臨みたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/10
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011・石田宥全
○石田(宥)委員 そのように一つなお銀行方面に督励をしていただきたいと思います。
もう一点伺いたいのでありますが、これは前の安田局長の際に私から質問をし、要望申し上げておったわけでありますが、開拓者の方で中央信用基金協会に対して保証金として一億か九千万円ほど出資をしておるわけでありますが、これを取りくずしをいたしまして地方の信用保証資金に回す、開拓者の方へ地方関係で一億出す、かりにそういたしますれば、県が一億、国が二億出すということになると、四億の五〇%で二億、今およそ二億くらいの融資がこれ以上できるということになると、相当開拓者の融資という点が緩和されると考えるのでありますが、これについてはその後そのような取り扱いについての準備が進められておりますかどうか。進められておらないとするならば、今後やはりこの資金もそのように取り扱いを考慮すべきではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/11
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012・伊東正義
○伊東政府委員 これは、言いおくれましたが、九千五百万円出資になっております。これは、現在の制度ができます当時、発生的にこれが基本になりまして制度ができて参ったわけでありまして、これを地方に戻すということにつきましては、われわれとしましては、これはやはり発生的に出て参ってきたものであり、開拓者がこういう制度を作っていこうという中心になったものでもありますし、当時の決議もこれは出資をするということになっておりますので、これを引き揚げるということでなくて、開拓者は開拓者として一つ増資ということをはかってもらいたいという態度であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/12
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013・石田宥全
○石田(宥)委員 この問題はいろいろ議論のあるところであろうと思いますので、今後なお別の機会にいろいろ御相談申し上げたいと思いますが、なお局長の方でもこれについては再検討していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/13
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014・吉川久衛
○吉川委員長 他に御質疑がなければ、本案に対する質疑はこれにて終了いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/14
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015・吉川久衛
○吉川委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もないようでありますから、直ちに採決に入ります。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/15
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016・吉川久衛
○吉川委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
次にお諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/16
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017・吉川久衛
○吉川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X01619600330/17
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