1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月十二日(火曜日)
午前十時四十五分開議
出席委員
委員長 吉川 久衛君
理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君
理事 永田 亮一君 理事 丹羽 兵助君
理事 本名 武君 理事 角屋堅次郎君
理事 芳賀 貢君 理事 小平 忠君
金丸 信君 高石幸三郎君
中馬 辰猪君 松岡嘉兵衛君
松田 鐵藏君 保岡 武久君
赤路 友藏君 石田 宥全君
中澤 茂一君 西村 関一君
小松信太郎君 中村 時雄君
出席政府委員
農林政務次官 小枝 一雄君
農林事務官
(農地局長) 伊東 正義君
委員外の出席者
農林事務官
(農地局管理部 庄野五一郎君
長)
専 門 員 岩隈 博君
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四月十二日
委員中崎敏君辞任につき、その補欠として中村
時雄君が議長の指名で委員に選任された。
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四月七日
農地法の一部改正に関する請願(永田亮一君紹
介)(第一九八七号)
茶業振興法制定に関する請願外二件(足立篤郎
君紹介)(第二一三三号)
同(相川勝六君紹介)(第二一七二号)
同外二件(金子岩三君紹介)(第二二二七号)
同外二件(保利茂君紹介)(第二二二八号)
国産大豆集荷業者を調整機関に指定の請願(小
坂善太郎君紹介)(第二一七一号)
同外一件(床次徳二君紹介)(第二二二六号)
寺院の旧所有農地に関する請願(藤本捨助君紹
介)(第二二三一号)
は本委員会に付託された。
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四月八日
沿岸漁業振興対策確立に関する陳情書
(第五九二号)
農林漁業政策の確立等に関する陳情書
(第五九三号)
甘しよ糖価格の安定対策確立に関する陳情書
(第五九四号)
貿易自由化に伴う農産物価格維持対策の確立に
関する陳情書
(第五九六号)
農作物価格安定法による価格算定内容の再検討
等に関する陳情書
(第六五五号)
未墾地買収価格の引上げに関する陳情書
(第六五六号)
融資造林の適用範囲拡大に関する陳情書
(第六五七号)
林業生産基盤の強化に関する陳情書
(第六五八号)
農業の法人化促進に関する陳情書
(第六
八六号)
貿易自由化に伴う農業対策の確立に関する陳情
書
(第六八九号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第七三号)
開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一〇五号)
開拓者資金融通法による政府の貸付金の償還条
件の緩和等に関する特別措置法案(内閣提出第
一〇六号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02019600412/0
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001・吉川久衛
○吉川委員長 これより会議を開きます。
開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案及び開拓者資金融通法による政府の貸付金の償還条件の緩和等に関する特別措置法案を議題として、まず政府の三法案についての詳細なる説明を求めます。伊東農地局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02019600412/1
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002・伊東正義
○伊東政府委員 御提出いたしております三法案につきまして若干補足説明を申し上げます。開拓につきましては、戦後から入植いたしまして、約五万七千の離農その他がございましたが、今開拓者で残っておりますのは十四万七千戸くらいでございます。今までに開墾を完了いたしました面積は約三十三万町歩でございますが、そのほかに十五万町歩くらいの既存の農家の増反という面積もございます。また、家畜の保有頭数も、大家畜に換算いたしますと二十万頭くらいになりまして、既存の農家の一戸当たりに比較しましても、この開拓地の特に乳牛等の導入は多くなっているような状態でございます。
しかしながら、御承知のように、三十二年度に開拓営農振興臨時措置法を制定いたしたのでございますが、総戸数の約七割、九万四千戸くらいが要振興農家ということになっておりまして、今まで緊急開拓以来相当の努力をいたしましたにもかかわりませず、まだ七割くらいの農家が要振興農家になっておるというのが現状でございます。
明年度につきましても、開拓問題に対しましては、主力は既入植の開拓者の振興ということに重点を置きまして、新規の入植等につきましては、基本営農類型地区であるとか、あるいは機械開墾地区でございますとか、そういうような、入りましても営農が確実に参るという見込みのあるところだけに限定しようじゃないかということで、約千戸という新規入植戸数を予定いたしておりますが、それ以外は既存の入植の開拓者の地位を引き上げて営農の安定をはかるということを重点に考えまして、新規の入植も今申し上げたように非常にしぼっております。
それで、三十五年度からは、今提出いたしております法案において御審議を願いますような、政府の融資金の条件の緩和でございますとか、あるいは災害対策資金の貸付、これは法律には規定はいたしておりませんが過剰入植地の移転対策でございますとかいうような新規の施策も加味いたしまして、今申し上げたようなところに重点を置きたいと考えておる次第でございます。
開拓に対しましていろいろ施薬はございますが、今申し上げましたように新しく政府提案でお願いいたしておりますのはおもに資金関係等が中心でございますが、そのほかにこれはどうしても基本的には開拓地の建設工事がおくれておるというものを取り戻していく、これを推進していくということは、法律には今度お願いはいたしておりませんが、予算的にはこれに十分重点を置きまして、振興計画にも盛られておりますような建設工事というものを頭に置きまして予算の御審議を願った通りでございます。来年度は、開拓関係では、建設工事で、総国費で九十一億、融資で六十六億というような経費を計上いたしております。そのうちでも、国費の六十二億、融資五十一億というような、大部分が振興農家を対象としております。振興対策の重点を国費の面から見ましても、その相当部分が振興対策農家が対象になっておるというような現状でございます。振興対策地区をとりましても、前年に比較しまして、建設工事全体では七億くらいしかふえておりませんが、振興農家の分は十一億ふやすというような、振興農家を対象としました分を重点的に取り上げているような次第であります。国営開墾、代行開墾につきましても、国営開墾は継続で北海道を含めまして六十八地区ございますが、このうち五十五地区が要振興地区になっております。また、代行は五百三十二地区のうちで四百十五地区が要振興地区というようなことで、建設工事の面から見ましても振興が非常によけいになっております。この残事業量を見ますと、国営では今まで約六割くらいが済み、まだ四〇%くらいが残っており、代行では約半分くらいが残っておるというようなことで、実は建設事業につきましてはかなりまだ残事業量がございます。現在の予算でありますと平均しましてまだ五年くらいの事業量が残っているというような現状でございますので、ものによりましては開拓地改良等昨年の倍くらいの予算をつけているものもございますが、建設工事につきましてはまだ相当力を入れていかなければならぬというような状態を認めざるを得ないような次第でございます。この建設工事につきましては、これは開拓の基本でございますので、引き続き重点的に行ないたいというふうに考えております。
それから、資金の面でございますが、これは、御承知のように、長期資金につきましては、政府から開拓者資金融通法で特別会計で融通をいたしておりますが、これにつきましても、昨年度は二十三億くらいでございましたが、今年度は二十六億、それから農林漁業金融公庫からも大体十億近くのものが振興農家に与えられておるというような状態でございます。この振興資金につきましては、特に北海道につきまして今度開拓者資金融通法の一部改正をお願いしたわけでございますが、これは寒冷地の畑作の対策資金との均衡もございまして、今年度からは、条件は今まで三年抑え置きの十二年ということでありましたが、これを、五年据え置き、二十年というように、北海道につきましては融資の条件を緩和していくというような対策をとった次第でございます。
それから、経営資金のうちで短期資金でございますが、これは、先般御審議をいただきました中央開拓融資保証協会に対します政府の出資金を増額いたしまして、これによりまして、肥料代でございますとかあるいは飼料代というような短期営農資金はこの保証制度を活用いたしましてやっていくということで、出資も昨年より増額いたしまして、先般御審議をいただきまして増資をしたような次第でございます。まだ十分ではございませんが、これで本年度は三十億くらいの保証をしたいというような考えでおります。実は、三十四年度と三十五年度を比較してみますと、現在までの保証の額は昨年度の倍以上実は保証をいたしておるような次第でございます。
それから、同じ資金の中で災害対策資金でございますが、これは従来天災法の関係で融資を受けていたわけでございます。しかし、これがなかなか天災融資法だけでは十分でありませんで、過去においても、だいぶ、ワクだけは来たが天災融資法の融資を受けられなかったというようなことがございまして、災害資金については何か根本的な対策がほしいということが特に開拓者の方からは言われていたわけでございますが、来年度は、これも十分ではございませんが、開拓者資金融通特別会計から一部の資金の融通ができますような法的な改正をいたしたいということで、御審議をお願いしておるわけでございます。金額は一億円、さらに必要があれば追加して一億円、二億円というようなことで実は話し合いをいたしておりますが、これは天災融資法の補完をなすということを考えておるわけでございます。実は、三十年の伊勢湾の災害の際にも同じようなことをやりまして、約一億を補正予算の際に計上いたしまして、設備資金、経営資金に充てるということを予算の措置としてやったのでございますが、今度は制度といたしましてこれを認めていこうというような考えでおるわけでございます。これは要振興開拓者を前提として本法案の御審議をお願いいたしておりますが、それ以外の一般の開拓者につきまして、同様な相当ひどい災害がありましたような場合には、これは予算的措置でまかなっていこうじゃないかというようなかね合いでその融資は考えておるような次第であります。
それから、同じく資金で問題になっておりますのは、過去の開拓農家の負債の重圧ということが、これから営農振興、拡大再生産をはかっていきます上に非常に障害になっておるというので、これにつきましては、いろいろな過去の資金の中で、政府資金、中金から出ております災害資金あるいは公庫資金というのがございますが、今年度手をつけましたのは、政府の融資金の償還条件の緩和ということをお願いいたしておるわけでございまして、災害資金につきまして、これは開拓営農振興臨時措置法によりまして営農改善資金への借りかえという手を適宜打っておりますので、これはこれといたしまして、今回は、政府から過去に貸しております資金につきまして条件緩和をはかっていこうということで、法案の御審議をお願いしておるわけでございます。従来は、国の債権の管理等に関する法律ということでこれをやっていたのでございますが、これは国の債権一般に関することでございまして、開拓者を対象といたしました場合には若干不十分な点がございますので、今度新たに特別立法いたしまして、三十五、三十六年の二カ年にわたりまして、ある一定の開拓者につきましては、政府から貸しております債権につきましては条件の緩和をはかっていきたいということで、審議をお願いしておるような次第でございます。
そのほかに、中金資金につきましては、先ほど申し上げましたように、借りかえの措置を講じておりまして、約三十五億を改善資金に借りかえるというようなことをやっておる次第でございます。また、過去の負債の中で、系統資金以外の相当高利なものを借りている分もございます。これにつきましては自作農資金で肩がわりをしていくということを従来やっておりまして、来年度も約十五億を開拓者分としてすでに割当を終わった次第でございます。これで大体今まで五十一億くらい自作農資金を開拓者に肩がわり資金としまして出しまして、過去の高利債の借りかえは大部分はこれで終わるんではなかろうかというふうに見ておりまするが、過去の負債の重圧を軽減する手段の一斑としまして、自作農資金の融通もいたしているわけでございます。
そのほかに、営農条件なり生活環境の改善というようなことで、この前御審議を願いました予算でも、開墾作業費でございますとか、あるいはトラクターの導入でございますとか、あるいは電気の導入でございますとか、いろいろなことを考えているわけでございます。
それから、一つ新しい予算といたしまして、これも先般予算のとき御説明いたしましたが、三十五年度はテスト・ケースといいますか、三十五年はおそらく試験的なやり方になると思うのでございますが、過去に入りました開拓者が非常に過剰入植をしているという地区につきましては、その開拓者があるいは移民をしたい、あるいは全然離農をしてしまいたい、あるいはどこかに再入植をしたいというような希望がありますれば、残りました開拓者の経営面積等につきましてさらに経営規模を拡大していくという目的から、今言いましたような出ていきます開拓者につきましてはそのあっせん等もいたすというほかに、大体一戸当たり奨励金としまして十五万円程度のものを交付する、移民の場合はさらに五万円追加しようというようなことを考えておりますが、そういうこともやりまして、開拓地の経営が過剰状態から営農不振に陥っているということに対しましては、ある程度の手を打っていきたい。これは、三十五年度は、先ほど申し上げましたように、約七千万程度の予算でございますので試験的なものでございますが、その成果を見まして、この制度はさらに拡大をしていきたいというふうに考えている次第でございます。
そのほかに、営農指導員でございますとか、あるいは、弱小といいますか、開拓農協の組織は非常に貧弱でございますので、一つ、モデル的に、弱小組合につきましては統合した事務所を設けまして、一県一つでございますが、統合した事務所を設けまして、組合事務の統合をはかってみようじゃないかというようなことも、モデル的に一つ三十五年度からやっていこうというような考え方をいたしているような次第でございます。
大体、本年度の予算につきましては、今申し上げましたようなことを重点といたしまして今後の開拓政策を進めて参りたいというようなつもりでおるわけでございます。
それで、今御審議をお願いいたしております法律でございますが、三本ございまして、第一は、開拓営農振興臨時措置法の一部改正の法律でございます。これは、もう御承知のように、案の内容は二つございまして、一つは、災害対策資金を制度として設けたいということと、もう一つは、開拓営農振興審議会を設置するという二つの内容でございます。それで、第一番の災害対策資金でございますが、これは、先ほど申し上げましたように、三十四年度には予算措置としていたしましたが、来年度からは法律を改正いたしまして制度としてやっていく。どういう災害であるかということ、あるいはどういう内容の融資をするかということにつきましては政令に譲ってございまして、実は今大蔵省と話し合いをいたしております。まだ最終的にはまとまっておりませんが、大体の構想といたしましては、どういう災害かという場合は、大体、天災融資法の発動がありますような場合には、その中で特に開拓地に被害があるというような天災融資法の指定がありました場合、そのうちのまた開拓地を抜き出しましてやるような場合も一つ考えられますし、もう一つは、天災融資法というのは国民経済に影響があるというような大規模のものでございますので、そういう天災融資法の発動がございませんでも、局地的に開拓地がひどくやられたというような場合にも一つこれは指定をいたしまして、天災融資法の指定のあった場合だけでなくて、天災融資法の指定がなくても開拓地に被害があったという場合にはその天災を指定したらどうだろうというふうに考えております。それから、また、この資金は、天災融資法の補完をなすというふうに考えておりますので、天災融資法につきましては、これは経営資金が出るわけでございますが、こちらは経営資金というよりもむしろ施設資金というものを重点に考えましてこれを融資したらどうだろうかということで、いろいろ段階を分けまして、たとえば農作物の被害はほとんどなくても施設が五割以上やられた場合でありますとか、あるいは施設と農作物につきまして被害を受けまして、これがその開拓農家の年々の収入の百分の百に匹敵するような場合には、施設資金のほかに経営資金も考える、あるいは、施設が被害がありませんでも、特に農作物に非常に甚大な被害がありました場合には例外としまして経営資金も考えていくというような、三段階に分けまして、そして融資を考えたらどうだろうか。これにつきましては、御承知のように、法律に、金利は五分五厘、政令で定めます場合には三分六厘五毛、期限も、三年据置・十二年、政令で定めます場合には五年据置・二十年というようなことがございますので、今申し上げました大体三つの段階に区切りまして、今の金利、償還条件等を組み合わして作っていきたいということで今大蔵省と交渉中でございます。最終的にはまだきまっておりませんが、大体の構想としましては今申し上げたようなことが政令の内容になっております。
それから、もう一つの法律の、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案でございますが、これはかなり技術的な問題が多うございます。これの改正の趣旨も実は二つございまして、一つは、先ほど申し上げましたように、北海道に対します振興対策資金につきましては、これは償還条件を緩和しまして、寒冷地畑作の資金と大体同じような条件で貸していこうというのが一点でございます。それから、もう一点は、開拓者に新規に貸し付けます場合に、従来は基本営農資金は三年間で貸しておるということになりますと、償還の始期も終期もばらばらになる、——振興資金につきましても同じでございます。それで、今までも口数がたくさんになるということを言われておりまして、これは開拓者の側からも非常に不便であり、また、国の債権の完了するという面からいきましても非常に不便がございますので、大体据置期間と償還期間を一年延長することによりまして、その中で操作をする。
〔委員長退席、丹羽(兵)委員長代
理着席〕
たとえば、三年間で貸す基本営農の資金につきましては、今まで五年据置といいましたのを六年以内としておりますが、最初の年は六年、二年目は据置五年、三年目は四年、六、五、四というふうにしますと、償還の始期が一本になるということで、実質一本化ということをねらいといたしまして、新規の貸付につきましてどちらかといいますと技術的な改正のお願いをいたしているわけでございます。ただ、北海道につきましては、先ほど申し上げましたように、実質的に変わる、償還条件が有利になる、緩和されるというような結果になっておるわけでございます。
それから、もう一つ、最後の開拓者資金融通法による政府の貸付金の償還条件の緩和等に関する特別措置法案でございますが、これは全然新しい立法でございます。内容といたしておりますことは、大別いたしまして、過去に貸しました政府の債権の条件の緩和をいたしていこうということが一点でございます。条件の緩和の中には二つございまして、実はこれも政令で規定をすることになっておりますが、ある開拓者につきましては、五年据置・十五年というふうに、全部で二十年でございますが、契約の変更をして償還条件の緩和をはかっていく。また、それ以外の開拓者で、ある程度の条件緩和をする必要があるという開拓者につきましては、据置期間は置かなくてもある一定の算定方式によりますれば返せるという人につきましては、償還条件を、据置期間を置きませんで約十五年に延長だけをいたすというような条件の緩和をしていこうというのが一つの大きなねらいでございます。これは、技術的な問題としまして、実は、毎年の償還の期日を、今まで三月でございましたのを十二月三十一日というふうに繰り上げました関係上、五年といっておりますのを四年九カ月というようなことはございますが、大体の考え方といたしましては、今申し上げましたような、条件緩和を行なうものにつきましては二つございまして、据置期間を置いてやる分と、そうでない分というような条件緩和を考えております。
また、そのほかに、条件緩和はしませんでも、先ほど開拓者資金融通法の改正の場合に技術的なということを申し上げましたが、これは従来言われました債権の一本化、多い人は二十数日にもなっているというようなことが言われておるわけでございますが、こういう人々につきましては、条件の緩和はいたさぬが、契約の変更をいたしまして、同じ金利のもの別に、三分六厘五毛のものは三分六厘五毛、五分五厘のものは五分五厘というふうに二本立にいたしまして、残りました今までの償還期限がありますればこれを加重平均しまして債権の一本化をしていくというような、実質的な債権の一本化をはかるというようなことをねらっております。これは、条件緩和のほかに、先ほど申し上げました技術的な問題と関連しました債権の一本化でございます。
それから、もう一つの大きな点は、過去におきましてはほとんどが組合貸しであるというようなことで、組合からさらに開拓者に転貸をするという形がございまして、開拓者と開拓農協の間、それから開拓農協と国の間の債権・債務の関係が明確を欠くきらいがございました。たとえば、開拓者は、自分は元本のつもりで返したのであるが、組合から国に返す場合にはこれが金利の分になるというようなことになりますと、開拓者と組合、組合と国の関係はいろいろ違ったような債権・債務の関係が出てくるわけでございます。そこで、今度の法律は、その関係を一つはっきりいたすことにしまして、開拓者と国とまっすぐ結びついた方が、債権・債務の関係もはっきりし、今後もこの特別会計の運営がすっきりしてくるんじゃなかろうかというような考え方からいたしまして、個人貸しということを原則的に考えますし、また、過去の債務につきましても、個人が開拓農協から借りている金につきまして債務の引き受けをしている、そういうものについて従来の開拓農協も保証するというような場合は、国と開拓者と直結するという、過去の債務につきましてもそういう形をとりまして、債権・債務の関係をはっきりしていこうじゃないかというようなことが今度の改正の骨子になっております。
そのほか、技術的な問題としましては、三十五年、三十六年度に契約の変更をいたします場合の延滞金の問題でございますとか、あるいは納付の期日十二月十二日以降のものはどうするとか、若干技術的な規定は置いておりますが、大きなねらいは、今申し上げました条件の緩和、債権の一本化、個人貸しというような点がこの法律のおもな点でございます。
それで、政令の問題でございますが、これにつきましても現在大蔵省と交渉いたしております。大体の考え方といたしましては、従来、国の債権の管理に関する法律というようなことで、ある基準を設けまして、個々の開拓者について、これはどう、これはどうということでやってきたわけでございますが、今度も、振興農家からの申告によりまして、粗収入の申告を受け、あるいは農外所得の申告を受けまして、それから、公租公課でありますとか、あるいは家計黄でありますとか、優先債務でありますとか、こういうものを差っ引きまして、そういう差し引きましたものが年々国に返す償還額よりも少ない、手元に残るものが少ないというような者につきましてはこの条件の緩和をはかっていこうという考えでございまして、従来の債権管理に関する条件よりもその点をだいぶ緩和したいというのが農林省の考え方でございます。まだ最終的に大蔵省との間できまっておりませんが、たとえば、優先債務という範囲の中には、従来は公庫資金、系統の長期資金とかそういうものは入っておりませんでしたが、こういうものを含めますとか、あるいは、家計費につきましては、従来は生活保護法の関係の一・七倍というようなことを言っておりましたが、私どもとしましては、約一・九倍くらいのものが適当でなかろうかというようなことで、開拓者にとりましては今までよりはいろいろ有利になりますような条件のもとで、なるべく多数の要振興農家がこの条件緩和の規定の適用を受けるようにということで、今大蔵省と交渉中でございます。不日、災害資金の政令につきましては確定いたしまして、また御報告いたしたいというふうに考えております。
以上、簡単でございますが、この前政務次官から御説明がありました提案理由の補足的な説明といたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02019600412/2
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003・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員長代理 これにて政府の補足説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02019600412/3
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004・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員長代理 石田宥全君から資料要求の発言を求められております。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02019600412/4
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005・石田宥全
○石田(宥)委員 資料をちょっと要求したいと思うのですが、最近いわゆる開拓者の中に脱落者が相当出ておるわけです。この脱落者と称する、開拓地を離れて他の産業に従事したり、中には海外に移住するような者も出ておるわけでございますが、そういう人たちの状況、特に貸付金の処理状況を伺いたい。
それから、次に、政府は、従来買い上げておった土地、——これは大部分農地でありまして未懇地が多いと思うでありますけれども、約五十万町歩程度の不用地を処分しようとしておるようでありますが、これは地方によりましては開懇適地であって、当然それは開懇されなければならないのですが、あるいは水田にもなり畑にも十分なり得るようなところであっても、諸般の事情でこれの売り渡しが行なわれないでおるような地域が相当見受けられるわけです。最近、特に農地被買収者問題調査会設置法の運動等の関連において、地方における保守勢力が強化しまして、それが農業委員会に圧力をかけたりいろいろいたしておるところが相当あるわけでありまして、この五十万町歩のそういった種別の資料、これを提出していただきたい。
この二つの資料を要求します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02019600412/5
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006・伊東正義
○伊東政府委員 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02019600412/6
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007・芳賀貢
○芳賀委員 資料要求をします。
第一は、この三法案に関する政令、省令案をぜひ出してもらいたい。それは、この法案だけ見ると非常に抽象的な面が多くて理解に苦しむ点がありますから、この審議にあたってはやはりすみやかに政令あるいは省令案を出してもらわぬと、審議は進まないと思います。それが一点です。
第二点は、これは昨年の暮れも農地局長から方針が示されましたが、間引対策についてその要綱等がまだ出ていないようでありますが、間引対策の政府の要綱をお出し願いたいと思います。
第三点は、今石田委員からもお話がありましたが、開拓財産に移管がえの未墾地を、たとえば国有地関係についてはまたそれを林野庁に返還するとか、そういう問題が各地において出ておりますので、この開拓財産に移管がえになっておった未墾地の都道府県別の内訳、それから、それが国有地、民有地等にも区分されておりますが、どういうような方針でこれを返還するように進めるのか。それは都道府県知事等には相当具体的な連絡が行っておるようでありますが、その内容等に関して詳細なものを出していただきたい。
それだけきょうは要求しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02019600412/7
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008・伊東正義
○伊東政府委員 資料要求の中で、政令、省令案でございますが、私、口頭で今農林省の考え方を御説明いたしましたが、実は、大蔵省とまだ最終的な話し合いがついておりません。それで、あるいはお出しするものはまだ農林省だけの考えという未定稿的なものがあるかと思いますが、その点は御了承願いたいと思います。
それから、未墾地の都道府県別のものは、今私ちょっと考えまして、もしありませんでしたら、たとえば内地と北海道別くらいでも、もし間に合いませんでしたらごかんべん願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02019600412/8
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009・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員長代理 開拓三法案に対する質疑は明日より行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02019600412/9
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