1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月十四日(木曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 吉川 久衛君
理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君
理事 永田 亮一君 理事 丹羽 兵助君
理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀 貢君
理事 小平 忠君
金子 岩三君 金丸 信君
倉成 正君 笹山茂太郎君
田邉 國男君 高石幸三郎君
野原 正勝君 松田 鐵藏君
八木 徹雄君 保岡 武久君
赤路 友藏君 茜ケ久保重光君
石田 宥全君 中澤 茂一君
西村 関一君 日野 吉夫君
松浦 定義君 神田 大作君
小松信太郎君 中村 時雄君
出席政府委員
農林政務次官 小枝 一雄君
農林事務官
(農地局長) 伊東 正義君
委員外の出席者
農林事務官
(農地局管理部
長) 庄野五一郎君
専 門 員 岩隈 博君
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四月十三日
北洋近海安全操業に対する国家補償に関する請
願(芳賀貢君外八名紹介)(第二三五三号)
農業災害補償制度改正に関する請願(廣瀬正雄
君紹介)(第二三五四号)
同外一件(松平忠久君紹介)(第二三五五号)
農地法の一部改正に関する請願(田中彰治君紹
介)(第二三七二号)
治山事業特別会計制度創設に関する請願(井出
一太郎君紹介)(第二四〇一号)
国立水産利用研究所設置に関する請願(赤路友
藏君紹介)(第二五〇四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第七三号)
開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一〇五号)
開拓者資金融通法による政府の貸付金の償還条
件の緩和等に関する特別措置法案(内閣提出第
一〇六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/0
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001・吉川久衛
○吉川委員長 これより会議を開きます。
開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案及び開拓者資金融通法による政府の貸付金の償還条件の緩和等に関する特別措置法案を議題とし、前日に引き続き質疑を行ないます。西村関一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/1
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002・西村関一
○西村(関)委員 この開拓地の問題は戦後日本の生んだ奇形児ともいうような存在であり、全く戦後のどさくさの中に行なわれました農林行政の貧困の犠牲になっておりまするところの開拓地の問題につきまして今回法律の改正案等が出されて、この点、幾らかでもそのひずみを直していこうという意図はくみ取ることができると思うのでございますけれども、私は、まず根本的な開拓政策に対する政府の見解をお伺いいたしたいと思うのであります。
すでに示されておりますように、これまでに入植いたしました二十万六千戸のうち五万七千余戸が離農せざるを得ない状態になった、いわゆる脱落せざるを得ない状態になったというようなこと、また、さらに現在入植いたしておりますところの十四万九千戸のうちの七割までが不振開拓農家である、さらに、今日の政府の施策の中にも見えておりまするように、これらの既存の開拓地に入っておりまする開拓農家から、その営農状態を改善いたしまするために過剰農家を間引きしなければならないというような現状、こういったようなことはいずれもこれは政府の施策の貧困の現われであるということを言わなければならぬと思うのであります。これは、入植いたしました農家の責任ではなくて、むしろ施策の貧困から来た結果であるということを言わなければならぬと思うのであります。こういうような現実に対しまして、政府はいろいろな施策を掲げておられますけれども、私から言わしめるならば、根本的な、総合的な、科学的な、基本的な長期開拓計画というものが一向に示されていないというところに一つの根本的な大きな問題かあると思うのでございます。そのような長期計画のもとに、国策として樹立せられました開拓計画という基本的な計画のもとに予算が組まれなければならない。ただ今までの政策のひずみを手直ししていくというような、あとから弥縫的に手直しをしていくといったようなことだけでは、とうていこの問題を解決することはできないと思うのでございますが、こういったようなことにつきまして、まず小枝政務次官に、国の基本的な開拓政策についてどういうお考えを持っておられるか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/2
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003・小枝一雄
○小枝政府委員 国の基本的な開拓計画でございますが、これは、ただいまおっしゃったように、戦後わが国の食糧不足、また、当時の産業・経済その他いろいろな情勢にかんがみまして、国としては、でき得る限り開墾可能な地を利用いたしまして、そこに入植をして、多数の入植者を育てていこうという計画でやったのでございますが、
〔委員長退席、田口委員長代理着席]
自来、この開拓計画が必ずしもすべて悪かったという意味ではないと私は考えるのでありまするけれども、いろいろ労働の条件の問題、つまり労働の過重の問題、あるいはその他生活環境の問題、その他生活水準の問題、いろいろな問題が関係をいたしまして、経営の困難などと相待って、開拓入植者の間にいろいろ問題が累積してきたと思うのであります。そういう意味におきまして、漸次離農する、開拓地を放棄いたしまして他の職業に転ずる人もでき、いろいろな問題が起こって参ったのでありますが、これまた、一面においては、政策におきましても十分とは私どもも考えておりませんが、そういういろいろな情勢のもとにおいて、戦後のこの開拓に対するところの処置におきましては思うにまかせない点が非常に多かったのでありまして、現在入植されておる方々にも大へん御迷惑をかけておると私どもも考えております。
従いまして、今後わが国の開拓政策を完全に遂行いたしますためには、こういういろいろな基本となるべき法律の整備、国のこれに対するところの保護の政策を的確に打ち出すということも必要でございますし、同時に、これらの問題と相待って、一面におきましては環境の整備をはかって、大体において世間並みの生活をし得るところの基本的な条件というものを整備していく必要があろうかと思うのであります。入植いたしましても、飲料水にも事を欠く、電気もない、また、生活の上においても文化生活に恵まれず非常に原始的な生活に甘んじなければならないというようなことではいけませんので、この環境の整備ということについても大いに考えなければならぬと思いまして、政府といたしましては、無電灯地区の解消あるいは用水の問題、道路の問題等もあわせて推進していくことを考えましてそういう準備もいたし、また、現にやりつつある問題もあるのでございます。さらに、経済的な問題も一つでございまして、先日来しばしば局長からもお答えいたしておりますように、畑作物だけで水田がない、そうして畑作の安い物を作って、高い米を買って食べなければ生活ができないというような、こういう特異な条件のもとにおいては、開拓というものもまた思うようにいかないのでございますから、そういう点も整備いたしまして、でき得る限り水田の可能なところに持っていきましては水田を作るような処置をとる、そういう点も考えなければならぬと考えておるのでありますが、いずれにいたしましても、これは、ただ単に開拓政策のみならず、一般の農業政策と相関連するものも多いのでございますが、しかしながら、すべての条件において劣っておりますところのこの開拓地に対しましては、特別の処置をもって、そういう環境の整備、経済的ないろいろな問題を整備いたしまして、開拓地に入植される諸君が安心して入植して農耕に従事するような条件に置かなければならぬと考えておるのであります。そういう一環といたしまして、現在のところでは既入植者のいろいろな整備の問題を優先的に考えまして、根本的に一つ現在置かれておるところの環境というものを打開していくということに重点を置いておるわけでございます。今日、わが国の農業の状態から申し上げますならば、昨日来もお答えいたしておりますように、ただ単に現在の既入植者に対する問題を解決していくというにとどまらず、将来の入植計画ということもやはり考えていかなければなりませんので、まず、優先的に現在の既入植者の問題を打開していく、次には将来の入植に対するところの計画を立てていくということが、今日政府として考えておる大体の方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/3
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004・西村関一
○西村(関)委員 ただいま政務次官のお答えの中に、今までの開拓政策の誤まりを是正して参りまするために、全部が全部悪かったというわけではないけれどもとおっしゃいましたが、環境を改善するということ、また、農家の経済面を改善していくということなどについて話がございましたが、農林省におきましては、各農地事務局ごとにその管内の開拓地の基本的な調査というものをしておられると思うのでありますが、そういう調査に基づいて、どの地区の開拓地についてはどのような環境の改善をやらなければならないか、また、どのような営農の改善をやらなければならないかというような基本的な計画が個々に立てられなければならぬと思うのでございますが、そういったような事柄についていまだかつてお示しを受けたことがないのでございます。その点について、もし今ここでお示しいただけるならば、そういう計画があるならばある、ないならばない、今計画をしておるならしておるのだというような点を具体的にお答えを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/4
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005・伊東正義
○伊東政府委員 今、営農の問題、環境改善の問題を中心に御質問でございますが、私の方で調査をいたしておりますのは、開拓地の開拓営農経済調査、それから、これは全部にわたります実績調査というような、開拓地の開拓農家につきましての調査をやっております。そのほかには、きのうから問題になっております開拓者が自分で作りました営農改善計画、それに基づきます振興計画というものが出て参っております。たとえば、環境改善の問題でございますが、これで特に問題になりますのは、道路の問題、あるいは水の問題、あるいは電気の問題でありますとか、住宅の問題でありますとか、そういうことが問題になるわけでございます。それから、営農の問題について言いますれば、これは大体振興計画等を中心にいたして考えておりますが、たとえば、こういう地帯は水田を加味して酪農をやったらいいじゃないか、あるいは西の方でありますならば果樹を中心にした経営をやったらどうかというような、いろいろな振興計画を中心にした営農の計画というものを実は開拓者個々の人が作っております。それを承認いたしまして、それに基づきましていろいろな施策をするというようなことが実は中心になっております。
それで、営農の問題について申し上げますれば、今申し上げましたような振興計画に基づきまして、たとえば酪農を中心にしてやることがいいという地帯にありましては、酪農に、乳牛に、その他草地改良に要しますところの追加投資をしますとか、あるいはまた、道路を直していきますとかいうようなことが振興計画に実は結びついて出ておるわけでございます。
実は、要振興地区につきましては、振興計画に乗りましたものを中心にしまして、そこでは建設工事がどのくらい、建設工事の中でも、道路がどうだ、水路がどうだ、あるいはまた、この中に入ってきますところの問題で水の問題がどうだとかいう、要振興地区におきましては振興計画を集計しましたものをもとにしまして施策をやっております。それから、振興計画に乗っておらぬ地区につきましては、事務局ごとに、どの地区につきましてはどういう建設工事が残っておるという調べをいたしておりますので、それに基づきまして、たとえば代行地区以上でありますれば、一地区々々々——これは全国で五百三十くらいの地区がございます。それから国営でありますればたしか北海道を入れて四十足らずの地区がございますが、建設工事につきましては地区別に今後やるものを実は考えております。これを土台にいたしまして、その中で振興計画に乗っておるものを優先というとおかしいのでございますが、農林省の方針としましては、地区別にある中から要振興地区を抜き出しまして、そこに重点を置いて建設工事をやるというような形で実はやっております。それから、営農の問題につきましては、基本営農類型というものを実は一応作って、これは七類型作ったのでありますが、その地帯々々にそれでぴっしゃり当てはまるというわけにもいきませんが、それを中心にいたしまして、西の方でありますれば果樹でありますとかいうものを中心にやっていく、北の方でありますれば酪農というものを中心にやっていく、あるいはそれを混合したようなもの、そういう類型を一応作っておりますので、ある地帯におきましては、新規のものについてはそういう類型を中心に考えていくというようなことで、事務局別といいますか、それを集計すれば事務局別になりますが、農家個々の経済調査のほかに、振興計画、それからわれわれの方では地区別に作りました建設工事の計画を土台にいたしまして、予算の要求をし事業を実施していくというような段取りでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/5
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006・西村関一
○西村(関)委員 私の伺いたいと思っておりますことは、もちろん農家自体の振興計画に基づいて各般の計画が立てられるということが大事であることは申すまでもないと思うのでございますが、農家の自主性、創造性というものが無視されるような天下り式な指導というものは排除しなければならぬと思うのでございますけれども、この種の開拓事業につきましては、何と申しましても、今まで放置されておりました不毛の地に開拓のくわを入れた人たちでありまして、しかも国の施策の十分でなかったところからいろいろな犠牲を背負って困難な営農に従事している開拓農家に対しましては、国の責任において重点的な助成をしていくことが必要であることは言うまでもないのでございますが、指導育成という面から申しましても、もう少しく強力な指導が各地区別に類型別になされるということが望ましいのじゃないか、それでなく、ただ自主的な振興計画を立てさせるということだけに待っていくというのでは十分な成果をあげることはできないじゃないかということを思うのであります。ただいま局長は、各事務局ごとに建設事業計画が立てられておるということを言われたのでございますが、ただに建設事業計画だけでなくて、営農計画についても、もう少しく国が責任を持って指導育成をはかっていくというような方面に力を入れていただくというお考えがあるかないか、その点もお伺いいたしたいと思うのであります。
それから、環境改善の問題につきまして、現在開拓地の無灯地区がどのくらい残っておるか、また、飲料水に事欠いている地区がどれくらいあるか、あるいは、道路が不完全だというようなところがどのくらい残っておるかというような点を、あらかたでもお示しをいただきたいと思うのであります。
それから、もう一つは、今までこの開拓行政が行なわれましてから、現在まで国の財政投融資の面において総額どのくらいのものがこれに投入されたか、その点も一つお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/6
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007・伊東正義
○伊東政府委員 数点ございますが、順序不同になって恐縮でございますが、財政投融資の点でございますが、二十年から三十四年度までに一般会計から、いわゆる公共事業費、それから非公共事業費もございますが、そういうものを含めまして六百八十億、七百億足らずのものが投資と言いますか工事その他に使われております。それから、国の融資でございますが、これは二百三十五億ほどの融資が三十四年度までに総計においてなされているわけでございます。
それから、御指摘のありました営農の問題でございますが、これは実は御指摘の通りでございまして、政府におきましても営農指導員というものを実は県に七百三十名くらいでございますが置きまして営農の指導をやっておりますが、途中は人数を減らすというようなことが実はございました。現在は大体当初の人数まで戻して営農の指導をやっておりますが、これにつきましては、三十三年度からは実は先ほど申しましたような基本営農類型というような考え方を打ち出しまして、なるべく新しいものにつきましてはそういう方針でやっていくということで今やっておりますが、御承知のように、過去に入りました人につきましても、さっきちょっと申し上げましたが、非常に畑作物中心でございまして、御承知の冷害のような場合にはほとんど全滅してしまうというようなことがございまして、特に北の方でございますが、そういう経営ではまずいんじゃなかろうか、やはりこれは冷害等の場合にもかなり耐え得るような農業経営でなければいかぬじゃないかというようなことで、だいぶ酪農という方に大転換をしていくというようなことを実はいたしました。一戸当たりにしてみますと、既存の農家よりも開拓地の農家の方が乳牛の数等も多うございます。乳牛、豚等につきましては、開拓者の方が一戸当たりにしますとよけい頭数を持っております。そういうふうに、寒い地帯におきましては、酪農にかなり大幅に切りかえていくという指導も実はいたし、振興片面等におきましても、追加投資の大きい部分がそういう方に向けられておるというような状態でございます。また、西の方に行きますと、将来の所得弾性値から考えました農作物の需要という面から考えまして、果樹等が相当伸びてくるだろうというような考え方からいたしまして、いわゆる基本営農類型地区というようなものには果樹栽培を入れていくというような形で指導もいたしておるわけでございまして、先生御指摘になりましたように、今までは不十分ではありますが建設工事が中心であったが、今後は営農についてもっと力を入れるべきだというようなお話は、私どもごもっともだと思います。実は、開拓者の方の人々からも、営農の振興についても今までの協議会等がございますが、実は十分でなかったので、三十五年度からはもっと熱心にやりたいというような申し入れも実は受けているような次第でございまして、これにつきましては今後とも努力したい、かように考えております。
それから、無灯地区の問題でございますが、今われわれのところでは、大体十四万戸のうちに四万五千戸くらいが無灯地区ということになっております。三十五年度の予算におきましては、昨年よりも約五割増しくらいの予算を計上いたしたのでございますが、そのうちの五千戸くらいを解消するようなプランを立てております。
それから、水の問題につきましては、これも、今後三十五年度以降残りますのは、これはおもに水路を掘ってやりますものと、深井戸のものと両方ございますが、残っておりますのは、深井戸地区等においては約五千カ所くらいまだ掘るものが残っている。今までにやりましたものが七千カ所くらいございますが、まだ四割くらいのものは残っておるという形になっております。
道路等につきましても、案は、酪農が発達して参りますと、道路の問題は非常に問題として残りますので、この前先生からも御指摘がありましたが、道路等につきましては四千万くらいでありましたものを来年の予算では七千万ふやす。大体道路関係の予算は五割くらい増しまして、何とか道路の方に力を注いでいきたいというような考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/7
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008・西村関一
○西村(関)委員 ただいまの道路、無灯地区、それから水の問題につきましては、政府においても努力をしておられる点は認めるのでございますが、大体あと何年くらいで既存の開拓農地に対しましてこれらの問題が解決されるという見通しでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/8
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009・伊東正義
○伊東政府委員 建設工事関係は、残っておりますのは、現在の予算量でいきますれば、国営でありますとか代行の大規模の水路でありますとか道路とかいうような基幹的になりますものは、大体残年量はあと五年くらいございます。これはことしの予算をベースにして五年でございますので、私の方としましてはもう少し何とかこれは早く片づけたいというようなつもりでおります。電気は、一応またそれと歩調を合わせたように、今の予算でいきますれば五年くらいの計画で解消したい。水は、もう一年くらい早めるというような計画は一応作っておりますが、今の予算でいきますと大体五年くらいのベースでありますが、これにつきましては、やはり環境整備というような意味でもう少し予算をふやしまして早く解決したいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/9
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010・西村関一
○西村(関)委員 政務次官も言われましたように、環境の改善につきましては農家のためにぜひとも可及的すみやかに完成するよう努力をしていただきたいと希望いたしておきます。
それから、今年の計画の中に過剰入植地の間引きが約六百戸、七千万円の予算が計上されておりますが、これは一体今までの既入植地におきまするいわゆる過剰入植地と考えられるものから何戸くらいやれば適正な規模になるというふうに考えておられますか、そういう計画を一つお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/10
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011・伊東正義
○伊東政府委員 過剰入植の問題でございますが、これは基本的には振興計画に自分のところは過剰入植であるので増地がほしいというようなものにつながったものとして考えていきたいというふうに思っております。振興計画の不振原因の原因別の調査でございますが、これは実は三十四年度の三月に締め切りをしましたので、まだ原因別にははっきりは出ておりません。今集計中でございますが、過剰入植といいましても、これは経営規模が幾らぐらいでいいかということは、なかなか、経営規模論としましては、フィックスして考えるか、あるいは面積だけでなくて集約的にこれを使っていくというようなことになりますと、面積だけでありますからこれは適正経営規模ということが判断できませんので、いろいろ総体的な問題になればむずかしい問題でございますが、たとえば、北海道でありますれば、道東なり道北は五町歩以上持たなければいかぬ、あるいはそれ以外は三町歩まで、あるいは東北でありますれば、一町五反、この地区は一町というような仮定を置いてやっていきますと、大体一万戸、九千くらいのものがそれに該当するかもしれぬというような一応の数字が出ます。しかし、私どもは、ただそれだけではなくて、やはり、振興計画をもう少し検討いたしまして、その上で振興計画の最終的な検討を待ちまして何戸ということはきめていきたいと思っております。これは、予算をやりましたときに頭に置きました一応の積算をやってみますと、そういうような数字が一応出ております。それで、三十五年度でございますが、これは六百戸という数は非常に少ない数でございます。私どもとしましては、三十五年度は、テスト・ケースとして、実際やればどういうケースが出てくるかということでやってみまして、計画的には何年計画で片づけるかということは、それを見ました上で、また振興計画の集計ができました上で、三十六年度からの計画ではっきりやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/11
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012・西村関一
○西村(関)委員 この問題につきましては、私がさきに指摘いたしましたように、戦後すでに十数年たっておる今日、この開拓政策が十分な反省と検討の上に立って新しい前進をしなければならない、そういう段階でありますのに、まだ振興計画を検討した上でなければ的確な数字をあげることはできないというようなことでは、基本的な開拓政策というものがまだ樹立されておらない証拠だというふうに私は考えざるを得ないのであります。もちろん、その面積だけでもって適正規模というものをきめることができないということは言うまでもないわかり切ったことなんでありますけれども、先ほど指摘いたしましたように、各地区ごとに類型別の営農計画というものが立てられるならば、そして、どういう最終の目標に向かって指導をしていかなければならないかという国の基本的な方針がきまるならば、これに従ってただいまの過剰入植の問題もおのずから基本的な数字が出てくるはずだと思うのでございます。ただ振興計画が出た上で、これを検討した上で国の計画を立てるというのでは、全くこれは国としての計画が極端に言うならばめくらめっぽうだというふうにも考えられるのでありまして、もう少し大局的な基本的な計画を立てて前進してもらわなければならぬと思うのでありますが、一応この一万戸というような目安を置くということも、どこに基準を置いておられるのか、そういう点も一つ明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/12
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013・伊東正義
○伊東政府委員 今申し上げましたように、九千という数が出たといいますのは、北海道でありますれば五町くらいは持ったらいいであろうというような一応の積算をして出した数字でございます。ただ、これは、先生の御指摘になりましたように、農林省は基本営農類型というものを出しており、それがたとえば所得でいきますれば三十五万くらいの農業所得があればいいというような目標を立てており、そしておのおの面積を一応つけております。これに合うように、あるいは間引きといいますか再配分といいますか、そういうことをするということになりますと、これはそれだけでもえらい仕事であり、今までの開拓を全部——全部といっては語弊がありますが、相当部分をやりかえるというようなことにも実はなるのでございます。それで、きのうも御指摘がありましたように、開拓営農振興臨時措置法の根本的改正の問題が実はいろいろ議論もございまして、そういうものに合わせた基本的な改正をすべきじゃないかというお話もございましたが、これにつきましては、今の振興計画というものと、基本営農類型として新規なものとして考えましたもの、あるいは御承知のような北海道の根釧地区あるいは青森県の上北のような問題もございますので、こういう過去の開拓地をどうしていくかという基本的な問題につきましては、はなはだ遺憾ではございますが私どもといたしましては三十五年度に行政として予算を計上して根本的な問題としてやっていくということまでにはできかねるのでありまして、これにつきましては、やはり審議会でもう少し議論してもらいまして、そして三十六年度以降の問題として考えたいというような措置をとった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/13
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014・西村関一
○西村(関)委員 このたびの開拓関係法律改正についての政府の方針を聞きましても、私の感じますことは、ただわずかに開墾、建設工事の残工事を促進せしめるということと、既往の災害資金の返済を長期化するために役立たせるところの法律改正、それに今も局長のお話にございました開拓営農振興審議会を設置する、このくらいのものにしかならないと思うのでございます。もちろんこれらのことはいずれも大事なことでありまして、私はこれらの法律改正に対して反対するものではもちろんございませんし、これはそれぞれ大事な法律の改正であり、やらなければならぬことではありますけれども、これだけでは、私は、今までの政策のひずみをただ弥縫していくというような、小手先の行政と言ってははなはだ言い過ぎかもわかりませんけれども、そういうことに終わってしまうのではないかということを感ずるのであります。さきにも申し述べましたように、総合的な基本的な科学的な長期開拓政策というものの樹立についての政府の意見というものが、今回提案しておられまするそれぞれの法律の改正の中に見られないばかりでなく、政府当局の今までの答弁、今まで表明せられた所信の中においてもこれを見ることができないのは、私ははなはだ遺憾に思うのであります。もちろん、この開拓営農振興審議会を設置するということは、これは関係団体の要望でもあり、われわれもこういうものが一日も早く設けられるということが望ましいということを考えて参ったのでございますが、この審議会ができたから一つ審議会で何もかも検討してもらうのだということで、この審議会を隠れみのとして、政府の政策の貧困とその責任をそちらに転嫁するというようなことがあってはならないと思うのであります。審議会は審議会として、あくまでもこれは諮問機関であって、政府が責任を持って重点的にこの開拓政策を推進していくという気がまえがなければ、この審議会を作った意義がないと思うのであります。こういう点につきましては、私は小枝政務次官の所信をあらためて承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/14
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015・小枝一雄
○小枝政府委員 いろいろ西村委員から御指摘のありましたように、今日の開拓に対する施策は根本的にすみやかに樹立しなければならぬ段階に参っておると思うのであります。先ほどからお述べになりました間引き政策のごときも、農林省当局といたしましては、せっかく入植をして今日まで努力をせられた入植者に対しては、間引きせずにどこまでもこれを育てていきたいというのは、みな考えておるところであったのでありまするが、今日のいろいろな情勢を考えまして、これは、残る人のためにも、あるいは他に転業をせられるような人に対しても、双方のためになるまいという結論に達しまして、これは一つ抜本的な方向で進める必要があろうというようなことを考えておるようなわけでございますが、ここに今回この法律案を御審議をお願いいたしまして、審議会を設置することにいたしましたのも、ただ無計画でこの審議会に依存いたしまして、すべてをこれにまかせてしまうという考え方ではございませんので、当委員会におきましても従来しばしば御論議になりましたように、今日のわが国の開拓行政というものは、抜本的にこれを検討いたしまして、すみやかにその万全の処置を講ずることが最も必要な時期に迫られておるのでございまして、農林省当局といたしましても、先ほどから局長からもお答えをいたしておりますように、いろいろな計画を立てまして、その計画を中心といたしまして、審議会を設置し、その審議会にお諮りをいたしまして、なお足らざるところは、この審議会においていろいろと衆知を集めまして、将来この抜本的な対策を講ずる基礎にいたしたい、かように考えておる次第でございまして、西村委員お説のごとく、農林当局といたしましても、これを活用いたしまして、従来の経験、事実、いろいろな情勢に即応いたしまして、将来急速に一つ基本的な施策を講じていきたい、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/15
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016・西村関一
○西村(関)委員 政府は、開拓地に対しまして、窮極の目標としてどういう営農形態、開拓地の地域コミュニティと申しますか、新した農村計画と申しますか、そういったものを目標として持っておられるか。三十三年でございましたか、新農村計画というものが開拓地において立てられたと思うのでございますが、その内容についてまだ十分に伺っておりませんが、今日もなおそういう計画のもとに開拓地の指導育成をはかろうというお考えであるのか、どういう内容を持っておられるのか、あるいはまた、従来の農家経営、従来の農村地域社会と変わらないようなものをまた別に開拓地に作ろうというようなことを目ざしておられるのか。あるいはまた、そこに別個な、今までの日本農業の問題点としていろいろあげられて参りました点を根本的に改めて新しい農業形態、新しい農村形態というものを打ち立て、そこに一つの大きな希望を持たしめて、将来その方向に向かってあらゆる施策を集中していくのだというようなお考えがあるのかないのか、その点だけお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/16
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017・伊東正義
○伊東政府委員 開拓地の将来の営農の問題でございますが、われわれが開拓をやる上に考えておりますことは、一つは、国土の高度利用という問題からいたしまして上地資源を活用していくということであります。それから、もう一つは、既存の農家をどうしていくかという場合に、現在の既存の農家におきましては、やはり先生が先ほどおっしゃいましたような経営規模の問題がございます。これは基本問題調査会におきましても大体中間的な意見として出ておりますが、家族労働三人くらいで経営していく、そして農業だけでやっていくというのが中心になって考えられるのじゃないかというような一つの考え方を出しております。私どもとしましては、そういう既存の農家をどうしていくかということにつながりまして、そうして、将来の問題としては国土の高度利用と既存農家対策として開拓ということを考えてやったらどうだろうか。その場合、既存農家対策といいますのは、これは既存農家の間引きというような考えになります。それから、既存の農家の経営規模も大きくしていくと同時に、開拓地へ入ります二、三男、あるいは一家をあげて入る者につきましては、やはり、大体農業所得で生活ができる、また拡大再生産していくことができるということを実は頭に置いて営農というものを考えていくべきじゃないかというふうにわれわれは思っております。それで、三十三年に基本営農類型というものを出したわけでありますが、これは実は七類型を出しております。北海道で三類型、内地に四類型というような類型を作りまして、そうして、これでは御承知のようにやはり農業所得だけで生活を維持していく、農業としてやっていくというような類型を考えたわけでございます。それで、大体北海道、東北等では酪農というものを大きく取り上げていく。今までは畑作ということを中心にやっておりましたけれども、酪農というものがだいぶ中心に入っております。それから、先ほど申し上げましたように、西の方になりますれば、果樹でありますとか、そういうものを中に入れまして経営をやっていくということで、農業所得といたしまして三十五万くらい上げれば大体行けるのじゃなかろうかというような一応の目標を作りまして、新しく入る人につきましてはそれをそのままぴしゃり当てはめるわけには参りませんが、なるべくそういう考えを中心としてやっていったらどうかということで、今まで入りました人につきましては携行資金等もあまり要っておりませんでしたが、これはある程度の金は持ってきてよい、たとえば二十万円初めに持って入ってほしい、あるいは国の基本の営農資金につきましても、従来は約十八万円くらいであったのでありますが、類型地区につきましては四十五万円くらいの基本営農資金を考えるというようなことにいたしまして、従来よりも国の資金もよけい考える。また、営農の内容も、今申し上げましたようなことを内容といたしまして、新しく入る人につきましてはそういう考えでやっていきたいというふうに思っております。問題は、過去に入った人の問題でございますが、すでにもう土地の配分もし、その地帯々々である程度先ほど申しました酪農等に大きく移り変わって参りましたが、これを今言いましたようなところにどういうふうにして将来考えていくのかということにつきましては、これは、先生が御指摘になりました間引きといいますか、再配分の問題等もありまして、そういうふうに踏み切りますのには、これは相当大事業になります。そういうことがございますので、先ほど申しましたように、過去に入りました分につきましては振興計画を中心に今やっておりますが、将来の問題等につきましても、この審議会で論議していただきたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/17
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018・西村関一
○西村(関)委員 七つの営農類型を立てて、新規入植の人たちに対してはなるべく実情に即した適用を考えていくようにしたいということでございますが、すでに入植しておるところの農家に対しましては、この営農類型の基準を目安といたしまして開拓者の作成するところの営農改善計画というものを基準として、そこに営農の改善をはかっていくというようなお考えはお持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/18
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019・伊東正義
○伊東政府委員 先ほど申し上げましたが、新しい地区の問題でございますが、今までに入った人は、今御指摘になりましたように、営農改善計画というものを作りまして、それが組合単位の振興計画ということになって出てきておるわけでございます。それで、この改善計画は知事の承認を受けておるわけでございますが、その改善計画をこれからやっていきます心がまえといたしましては、やはり、その地帯で新しい基本営農類型で考えているようなこととどうしても逆行するというようなことがありますれば、これはやはり指導をいたしまして、そういう地帯では、なるべく前のことにとらわれぬで、そのできる範囲で新しい考えの営農の方に持っていくということは、私は当然すべきだと思います。それで、改善計画に出ておりますものは、先ほど申し上げましたように、酪農その他に切りかわっていこうという、大体新しい方向にマッチしたものが非常に多く出てきておりまして、それに基づきまして追加投資をやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/19
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020・西村関一
○西村(関)委員 この開拓営農振興組合というものが、ただ単に都道府県知事の認定、承認にとどまらずして、農林大臣が指定するところのものにする、そういうようなお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/20
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021・伊東正義
○伊東政府委員 これは法律そのものの問題になって参ります。今、知事だけが認定するのではなくて、さらにこれを国が認定といいますか認可といいますか指定といいますか、そういうふうにする考えはないかという御質問でございますが、これは、私どもの方としましては、今はそこまでの法律改正は考えておりません。ただし、知事の承認しました振興計画に極力沿いまして実は予算要求その他をいたしておるわけでございます。これはほとんど財政的なことが実は中心になっておりますので、政府が一個々々のものについて承認してといいますと、これは財政の制約も受けるわけでございましてなかなかむずかしい問題でございますが、農林省といたしましては、知事の承認しました振興計画を中心にしまして予算の要求等をいたしておるということで、実質上それに近い形で運営をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/21
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022・西村関一
○西村(関)委員 農林省におきましては、都道府県知事におきましてその管内の開拓地の振興計画の事業成績を徴しましてこれに基づいた翌年度の事業計画を立てさせて、これを国に提出させる、そういうものに基づいて国が指導育成をはかるというような、そういう方針を立てるというお考えはございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/22
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023・伊東正義
○伊東政府委員 実は、営農の実績調査というものを個々の農家についてやっておりますが、これは、もちろん、将来といいますか、いろいろな施策をする場合の大きな参考にしていることは当然でございますが、すぐ次年度の予算要求にそれが間に合いますということには、実はだいぶ時間がかかるので、現状では相なっておりません。それから、もう一つ、県別に、知事が認可いたしましたものの実績をとって、それを参考にしてという御意見でございますが、実は、これも、今までのところは、はなはだ申しわけないのでございますが、各県から実績をとるというようなことは、実は毎年毎年はいたしておりません。私どもの方としましては、営農の実績の調査を農家個々にやっております。そういうものを参考にしてやっておりますが、計画をしまして実績について若干うといじゃないかという批判を実は受けております。これにつきましては、どういうふうにしまして実績というものをとりますか、その辺のところはもう少し検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/23
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024・西村関一
○西村(関)委員 この振興計画の実績検討につきましては、県でまとめてこれを国に提出して国で検討するというようなことはやっていないということでございますが、しかし、国として、農林省としては振興計画の実績検討というものをやっておられると思うのであります。これに対する資料がありますれば一つこの委員会に提出を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/24
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025・伊東正義
○伊東政府委員 実績といいましても、実は、計画と毎年の予算とを比較しましてどのくらい進んでおるかということをやっているのでございますが、若干の、あれは百戸ぐらいについて調べましたものがございますので、これは資料としましてなるべく早い機会に出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/25
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026・西村関一
○西村(関)委員 政府が提出せられておりまするところの法律の改正についてでございますが、まず、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案の振興対策資金の貸付条件の変更の件でございますが、原案では北海道の振興組合にのみ限定しておりますが、内地の振興組合も同様の取り扱いをすべきではないかと思う。これは、やはり、そうしないとどうしても理まが合わないというふうに思うのでございます。昨日も角屋委員の質問に対して局長は御答弁になっておられましたが、私もあらためてこの点についてお伺いをいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/26
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027・伊東正義
○伊東政府委員 御指摘のように、三年据え置きを含みまして償還期間十二年というのを、五年・十五年の二十年というふうに直しましたのは北海道だけでございます。これは実はきのうも一言御答弁いたしましたが、寒冷地の畑作営農改善の資金の貸付条件がそういうふうになっておりますので、それと均衡をとるという意味でそういうふうに条件を有利にしたのでございますが、先生の御指摘の点もございますので、これにつきましては、実は今度の改正には実現はできなかったのでございますが、将来の問題として検討したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/27
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028・西村関一
○西村(関)委員 次に、開拓者資金融通法による政府の貸付金の償還条件の緩和等に関する特別措置法案についてでございますが、まず第一点は、契約変更時の未納利子及び延滞金の件ですが、原案におきましては、これを元加いたしまして、新契約の元金となるようになっておりますが、この延滞金というものは免除してしかるべきものではないかと思うのでございます。その点につきましてはどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/28
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029・伊東正義
○伊東政府委員 延滞金、未収利子等の問題でございますが、これも議論になりました点でございます。結論的には、今度やります条件緩和というものは今までに比較しますと相当の緩和措置でございまして、本来は一時的に払うものをまた十五年なり二十年にこれを割りまして払うということでやりますので、これについては一つ払ってもらうというふうに結論的になったわけでございます。また、もう一つは、やはり、今までの過去の例から申しまして、返した人と返さぬ人とにつきまして、実はいろいろ事情もございましょうが、その間の均衡等の問題も種々ございます。そういうような理由からいたしまして、これはやはり元本に加えまして十五年なり二十年に割って払ってもらうというふうにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/29
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030・西村関一
○西村(関)委員 昨日、角屋委員の質問に対しまして、局長は、延滞金が約八億、未納利子につきましては約九千万というふうにお答えになったと思うのでございますが、これの算出の基礎というものは一体どういうところに置いておられますか。算定の基礎数字をお示しいただきたい。元金を幾らと計算しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/30
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031・伊東正義
○伊東政府委員 調定済みになりましたもので今まで未収になっておりますのが二十三億ございます。そのうちで利息は八億ぐらいというふうにきのう申し上げたわけでございます。残りの十五億というものが元金でなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/31
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032・西村関一
○西村(関)委員 もう一度言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/32
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033・伊東正義
○伊東政府委員 実は調定をいたしまして残っておりますのが二十三億ございます。二十三億の中で、利息は八億、元金はおそらく十五億というふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/33
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034・西村関一
○西村(関)委員 第二点でありますが、据置期間中の利子の免除についてでございます。償還条件を緩和しなければならないような不振開拓農家というものは、見方によりましては新規入植者よりも経済的にひどい状態にあり、新規入植者並みに無利子にしてもいいんじゃないか、むしろそうしなければ立ち上がることができないじゃないかというふうに考えられるのでございますが、据置期間中の利子を免除するというような考えを将来においてお持ちになっておられますか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/34
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035・伊東正義
○伊東政府委員 きのうもお答えいたしましたように、相当有利な条件緩和でございますので、据置中の利子につきましては支払ってもらうということが前提になりまして一般会計から特別会計への繰り入れも実はできているようなことでございますので、この問題はやはり利子を支払ってもらうということで予算もそういうふうに組みまして一般会計からの繰り入れをしているわけでございます。
〔田口委員長代理退席、委員長着
席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/35
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036・西村関一
○西村(関)委員 将来もですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/36
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037・伊東正義
○伊東政府委員 三十六年度以降の問題につきましては、ちょっと今ここで何ともお答えいたしかねるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/37
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038・西村関一
○西村(関)委員 次に、開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
まず第一は、五条の二の被災開拓者に対するところの災害資金の貸付につきましては、天災融資法のように経営資金の性格を明示すべきではないかと思いますが、その点についてはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/38
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039・伊東正義
○伊東政府委員 今度やりました災害資金につきましては、実は天災融資法は経営資金でございます。それで、私どもの考え方としましては、経営資金は天災融資法で参りますので、天災融資法で考えられません施設資金につきまして、これを中心にして考えたらどうだろうということで、天災融資法の補完といいますか、そういう意味で施設資金を中心に考えているわけでございます。ただ、例外がございまして、きのう政令の案をお配りいたしまして、まだ最終的ではございませんが、施設と作物両方やられまして、その開拓者の年間の粗収入の百分の百をこえるというような場合、また、施設はやられませんでも農作物だけの災害があったという場合には、やはり先生のおっしゃいました経営資金も例外的に出していこうというふうに考えておりますが、中心は実は施設資金が中心でございます。しかし、場合によりましては経営資金も天災融資法とはダブりますけれども出していくというふうな、二つの資金が出せるというふうな考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/39
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040・西村関一
○西村(関)委員 第二点でございますが、災害資金の貸付の対象者は振興農家に限定されておりますが、償還条件の緩和に関するところの法律におきましては、いわゆる谷間農家、災害によるところの転落農家、実質振興対象農家等を含めた対策となっておりますのに、なぜここでは振興農家にだけ限定されておるのか、この点終始一貫してないというふうに考えられますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/40
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041・伊東正義
○伊東政府委員 開拓営農振興臨時措置法は、これはまさに要振興農家だけに限定してものを考えていくという法律でございます。それで、その改正をいたしました関係上、災害を受けまして振興計画が達成できぬ農家というふうに限定いたしておりますが、実は、大蔵省との話し合いにおきましては、三十四年度で伊勢湾の大災害がございましたときには振興農家以外にも実は貸しておりまして、それで、非常な災害の場合には振興展家以外にも予算的措置として貸していいということで実は話し合いをつけております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/41
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042・西村関一
○西村(関)委員 災害資金から改善資金に乗りかえさせて五年間だけ利子補給をするということでありますが、五年間というのは、もう来年以降は利子補給がつかないということになると思いますが、その点、来年以降につきましては利子補給の問題をどのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/42
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043・庄野五一郎
○庄野説明員 今までの過去の天災法によりまして借りました天災経営資金につきまして、ことし一ぱいにこれを改善資金に借りかえる措置を講ずるようにいたしております。借りかえたものから逐次利子補給をやっておるわけでございまして、その借りかえをいたしました分につきましては、あとの契約期間だけは利子補給を続けることにいたしております。大体年間一億四千万円程度の利子補給を来年以降においても続けるように相なると思います。手続は、ことし一ぱいに切りかえるようにいたしたいということで、促進いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/43
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044・西村関一
○西村(関)委員 それは全体のどのくらいを見込んでおられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/44
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045・庄野五一郎
○庄野説明員 大体改善資金の元金といたしましては四十一億程度が改善資金に切りかわるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/45
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046・西村関一
○西村(関)委員 まだいろいろ伺いたいのですが、先を急ぎますから次に移りたいと思います。
第三点は、書類提出期限の延長の問題でございますが、谷間農家、転落農家、書類未提出農家等、実質的に振興農家として取り上げなければならないところの不振開拓農家をそのままにいたしておきましては、あとからあとから、そのつどそのつど必要に迫られるのでありまして、こういう農家を追加して振興対策を立てるということが必要でないかと思うのでありますが、現行法の三十四年三月三十一日をもう一年延長をして、これらの農家をもひっくるめるというような親心、そういうものをお持ちになることはできないかどうか、書類提出期限の延長につきまして政府の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/46
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047・伊東正義
○伊東政府委員 振興計画の提出期限の問題でございますが、われわれ、今度の法律では、今御指摘がありました災害の場合、あるいは償還条件緩和の場合に、災害でそういう救わなければならぬというものにつきましては例外的に救うということをしたのでございますが、一般的に三十一年以降入った人の問題につきましては、これは今の法律自体がもう三十四年三月三十一日に出した人だけというふうに限定して考えておりますし、また、きのうもるる申し上げましたが、それまでに出した人々の計画の実績というものが、自作農資金では大体三十五年度までに満度にいくと思いますが、そのほかの資金等、あるいは建設工事等におきましては、約五割ぐらいしか進んでおりません。そういう状態でございます。まずこの振興計画を出した人につきましてこの計画を達成するという考え方をとりましたので、今先生のおっしゃいましたような人々の問題をどうするかということは、臨時措置を——その点だけでなくて、先般から御指摘のありました基本営農類型、そういう問題と関連しまして、全部基本的な問題じゃないかということで、これは審議会その他でもう一度議論してもらうというようなことで、改正しなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/47
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048・西村関一
○西村(関)委員 次に、先ほどもいささか触れたのでございますが、既入植者の到達目標でございますが、農地行政白書によりますと、所得三十五万農家というものを、一応五カ年を完成時の目標として立てておられるようでございますが、所得三十五万ということになりますと、粗収入七十万農家というものに一応限定されるのではないかと思うのでございます。そうなりますと、振興対象農家以外につきましては、農林省で言っておられますところのいわゆる卒業生、これは不完全卒業生と言わなければならぬと思うのでございますが、そういう人たちに対しましてはどのような政策のもとに到達目標に達せしめようとしておられるのであるか、そのお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/48
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049・伊東正義
○伊東政府委員 振興農家以外の人は卒業生ということをよく言うのでございますが、その中には、実は振興計画を立てるまでに達しないような人も入っておると思います。両方ございます。それで、先生がおっしゃいました所得三十五万ということは、今の振興計画を立てている人から見ましても、だいぶ高くなっております。それから、振興計画を立てぬ人の大部分から見ましても、これは高いものだと思います。それで、三十五万という問題でございますが、振興計画を立てている人につきましても、振興計画が終わったらそれじゃみんな三十五万になるかということになりますと、これは非常に問題があると思います。振興計画は、たとえば一町歩なら粗収入二十三万というような、一応の面積から出しました基準と、あるいは償還が収入の一割に該当するというような人を基準にとりまして、この人々が黒字になって拡大再生産できる転機にまで持っていくのだというような考え方をしておりまして、三十五万とはまだぴっしゃりとくっついておらぬような状態でございます。それで、三十五万まで持っていくということにつきましては、私は、振興計画を立てた人あるいは立てない人通じまして非常に問題があろうと思います。それから、先ほどから申し上げております基本営農類型から、過去に入った全部の人、まあ若干所得の高い人は別にしまして、これをどうするかということが問題になろうと思います。それで、三十五万という問題につきましては、先ほど先生が御指摘になりましたような間引きといいますか、再配分の問題も考えなければなりませんでしょうし、今まで入りました人につきましての営農というものにももっとさらに追加投資を必要とするかもしれませんし、全般的にその水準に引き上げていくということにつきましては、やはり相当大転換といいますかをするような施策をやらなければいかぬじゃないかというように実は考えております。
それで、先生は振興計画を立てた以外の者についてどう考えるかというようなお話でございましたが、これは、私どもといたしましては、立てた人、立てない人を問わず、基本営農類型のねらいましたところとの調整ということについてはよほど抜本的なことをする必要があるだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/49
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050・西村関一
○西村(関)委員 次に、金融制度の一元化についてお伺いをいたしたいと思います。政府資金、公庫資金、中金資金等、それぞれ違った資金を利用いたしておりますために、あるいは査定等を受けて必要な資金が借り入れできないということが不振の原因にもなっておると思うのでございますが、これらの点を勘案いたしまして、金融制度を一元化する、政府資金に準拠した制度を立てて資金供給に万全を期するということが開拓政策の一つの大事な柱ではないかと思うのでございますが、その点、政府のお考えはいかがでございましょうか。また、従来政府資金で供給された額が全体の何%、民同資金で供給されたものが何%、それをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/50
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051・伊東正義
○伊東政府委員 金融の一元化の問題でございますが、御承知のように、中金、まあ系統金融、それから公庫資金、政府資金というふうに出ております。それで、特に経営資金等短期のものにつきましてはほとんど系統金融から出ておるわけでございます。もう一つ、公庫資金の中では、共同施設に出ます金と、自作農資金という性質の若干違ったものもございますが、この二つが出ておる。政府からは大体施設資金が出ておる。かように、おのおのそれぞれの特殊な性格を持った金融をいたしております。実は、今度災害資金の中で経営資金を政府から出すということにつきまして大蔵省当局とだいぶやり合いましたときに、そういう資金を政府がめんどうを見ることは金融の体系をこわすのじゃないかということでだいぶ議論が出ましたが、災害の場合だけということで、災害の場合には特別会計からも経営資金を若干出すということで、実は、新しく一つの制度と言っては何でございますが、新しい分野を開いたわけでございますが、大体、そのほかの考え方としましては、ごく短期資金の経営資金その他まで全部国が出す、特別会計でやるということにはまだ考えておりませんで、やはり現在の三つの体系でよいのではなかろうかというふうに今は考えております。
それから、どういう資金を借りているかというお話でございますが、きのうちょっと申し上げましたが、今借りております残高は三百十五億ぐらいの見当になっておりますが、その中で開拓者資金融通特別会計から出ておりますのが百九十三億でございますから、六十何%が特別会計から出ております。それから、公庫からは、施設資金が三十八億と自作農資金が三十五億、両方で七十三億ぐらい出ておりますので、これも二十数%というふうなことになりまして、政府と公庫が実は大部分でございます。それから、あとは、中金が、例の災害の場合の経営資金、借りかえますれば営農改善資金と申しますが、両方合わせまして四十六億ぐらい中金から出て、今残っておるということでございまして、あとは、御承知の短期の営農資金その他は保証協会が保証して出しているというふうな形になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/51
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052・西村関一
○西村(関)委員 ただいまの数字においても明らかでありますように、まだ十分に政府資金以外の特に中金資金等が活用されていない。また、活用しようにもいろいろな隘路があるということが物語られておると思うのでありまして、現在政府におきましては金融制度の一元化をはかるということは考えていないという御答弁でございますが、将来におきましてぜひ開拓政策の一つの大事な問題点としてこの問題を取り上げて十分検討していただきたい。借りやすくなれるように、十分に活用できるような工合に、政府におきましても法律の改正を試みるなりいたしまして、ぜひこの点について格段の御配慮を願いたいと思うのでございます。
最後に、私は、総括的に自分の意見を申し述べて、政府当局の所信を承りたいと思うのでございます。
私は一九五三年にイスラエル共和国を視察いたしました。そして、また昨年欧米旅行の帰り道に再びイスラエル共和国を七年ぶりに訪問したのであります。そして感じましたことは、あのわが四国にも及ばないくらいの狭い国土、しかもアラブ諸国との間にいろいろな紛争をかかえておる、いろいろな問題点を持っておりますところのユダヤ人の建てました新しいイスラエル共和国が、国土の三分の一以上も砂漠であり、不毛の地であり、立地条件に恵まれない国土でありまするにかかわらず、いまだ世界のどの国も試みなかったと言ってもいい斬新な国土開発計画を行ないまして、着々開拓の成績をあげておる。一々私はその具体的な事例を今ここで申し述べようとは思いませんが、七年前すでに相当な成績をあげておる。特にその営農形態におきましても、キブツ、モシャヴィブという、兵有村あるいは協同組合村といったようなものを類型的に建てまして非常な成果をあげておるその実態をつぶさに見まして、さらに、昨年再度訪問いたしましたときに、私が七年前に訪問をいたしましたそれぞれの開拓村の成果が七年の間に目ざましい進展を遂げておるその実態をこの目で見て来たのであります。それにひき比べまして、わが国の開拓政策というものがいかに貧困であるかということを私は思わざるを得なかったのであります。これは、今回の法律の改正におきまして、政府当局の苦心の存するところ、また漸進的に今日までの開拓政策のひずみを改めていこうとする努力は認められると思うのでございますけれども、冒頭から触れて参りましたように、基本的な、根本的な、総合的な、しかも科学的な長期開拓政策というものの樹立がいまだ不十分であるということが今日の開拓農家の非常な苦境を来たしておる原因ではないかと思うのでございます。戦後、あのどさくさの中に、めくら行政と言ってははなはだ言い過ぎであるかもしれませんけれども、めくらめっぽうに入植させたと言っても言い過ぎでないと思われるようなそういう形で入植をさせられた開拓農家が、日夜営々として困難な条件の中に開拓に努力をしておる、この努力に対して、政府は、国の責任においてこれを根本的に救済をし、また振興をし前進せしめるという政策の面におけるところの気魄がなけらねば、この問題の解決はとうていおぼつかないと思うのでございます。私は、先ほど触れました点についてもう少し掘り下げていろいろ伺いたい点もあるのでございますが、営農規模の問題のみならず、開拓村の形態、これを、今日論ぜられておりまするような、またすでに実施の段階に入っておりまするような共同化の問題と結びつけるとか、あるいはまた法人化の問題と関連せしめるとかいうような、究極の基本的な開拓地の目標を立てて、これに向かって総合的な施策のもとにこれを予算化していく、逐次総合的な長期的な計画に乗せていく、こういう努力が政府においてなされるということが最も願わしいことではないかと思うのでございまして、今日十四万戸十五万戸に及ぶところのこの開拓農家の非常な苦境を救うために、またこれをして将来日本の新しい国土計画の一環として大きな希望を持ってもらうために、私は政府当局の猛省を促したいと思うのであります。最後に小枝政務次官の所信を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/52
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053・小枝一雄
○小枝政府委員 ただいま西村委員から、イスラエルの開拓に関する例を引用せられまして、まことに今日の開拓行政に対して貴重な御意見を拝聴できました。この開拓をいかにして振興し、今日十四万戸、十五万戸の開拓家の諸君のほんとうに安住の地とし、合理的なしかも理想的な農村の一環としてその樹立をやっていくかということが今日のわが国の農政に課せられた非常に重大な問題の一つであると私どもも考えるのであります。従いまして、ただいま提案いたしておりまする法律の問題はともかくといたしまして、むろんこれによって一歩の前進を見るわけでございますけれども、これにとどまらず、将来審議会等ができましたならば、一そう計画を十分にいたしまして、先ほどから御議論になっておりますように類型別あるいは地区別にこれを整備いたしまして、さらに内容の強化を行ない、あるいは協同組合的な一つの組織を強化するなり、あるいは将来できるであろうと予想せられるところの農業法人等にもいろいろ思いをいたしまして、この開拓行政の抜本的な刷新、進展をはかりたいという考えを持っておるのであります。御承知のように、政府におきましても、農業基本問題調査会もすでに本年度をもって結了するつもりでございます。これには、開拓の問題も、この土地をいかに利用するか、今日の日本の営農の状態をどうして合理化していくかということも根本の問題になるだろうと私ども期待をいたしております。いずれにいたしましても、今日の開拓の問題はこのままではならないのでありまして、抜本的にこれを改善し向上いたしまして、十分今後検討いたしましてそういう方向にこれを強く推進していくというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/53
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054・吉川久衛
○吉川委員長 午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。
午後零時十一分休憩
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午後二時六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/54
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055・吉川久衛
○吉川委員長 休憩前に引き続き開拓三法案の質疑を続行いたします。神田大作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/55
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056・神田大作
○神田委員 今度の開拓営農振興臨時措置法の改正については、農民並びに開拓者諸君が非常な期待を持って長い間この営農振興法の改正を要望しておったのでありますけれども、
〔委員長退席、丹羽(兵)委員長代
理着席〕
ここに法案として出たものを見ますると、単に審議会を作ることと、それから災害資金の問題というように、開拓者にとりましてはきわめて失望を禁じ得ない改正案でありますが、一体、この数年にわたる長い間開拓農民が要望したこの振興措置について、局長はどのような考えを持っておられるか。今政務次官が来ましたなら政務次官にもお尋ね申し上げますが、まず局長からこの点について御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/56
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057・伊東正義
○伊東政府委員 今御指摘の点でございますが、開拓営農振興臨時措置法ができましたのは三十二年でございます。ことしが三十五年でございますから、四年目ということでございまして、振興の臨時措置法ができましてからそう長い期間がたっているわけでなくて、振興計画が今出そろいました段階でありますので、実は、この振興計画の達成がまず第一番の問題ではなかろうか。それから始めていくのが順序ではなかろうかというような判断に立ちまして、臨時措置法を全面的に改正するといいますか、さらに新しく法律を作るといいますか、そういうことはいたしませんで、振興計画をまず達成したいということ、それに関連いたしまして、臨時措置法のほかに、今御審議願っておりますような条件緩和というような措置もとりまして、この際は第一段階としてやっていきたい。先生のおっしゃいます抜本的改正と申しますか、全然新しい法律を作りますか、いろいろ対策、手段はございましょうが、それにつきましてはもう少し議論をし十分検討した上でやりたいというようなことで、今のような審議会、災害の場合の融資ができるというような二つの改正をしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/57
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058・神田大作
○神田委員 この振興法ができてから間もないからして、抜本的な改正をするのには早過ぎるというような答弁のようでありますが、しかし、ここ三、四年の実績を見ますと、この開拓振興臨時措置法によって振興し、期付の持てるような開拓経営というものができているのかどうか。今、開拓者は、自分の営農経営をやっておるについて、いわゆる借金の償還、それから生産物の販売体制を確立して努力はしておりますけれども、いわゆる引き合わないような生産物を作っているようなわけで、開拓農民は非常な苦しみに陥っている。このままここ一、二年を過ぎると、日本の開拓農業というものは壊滅に瀕するような、そういう重大な段階に来ると私は思うのでありますけれども、そういうような開拓営農に非常な危機をはらんでいるときに、そんなのんきなことを政府当局が言っておったのでは、これはどうにもならぬと思うのでありますけれども、あなたたちが今まで進めてきた実績、振興臨時措置法施行以来におけるところの建設計画の進捗状況、あるいはまた借入金の償還の実績、そういうものはどういう状態になっているか、その点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/58
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059・伊東正義
○伊東政府委員 先ほど申し上げましたように、振興計画を作りましてだんだんそれにかかりましたのは、法律は三十二年でございますが、実際問題としますと三十三年、三十四年と二カ年でございます。実績でございますが、振興計画で考えましたいろいろな柱がございますけれども、国が開拓者の資金を大体百四十二億——集計しますと百四十二億くらいでございまして、その中で、三十五年度まで、これは一応予定が入りますが、三十五年度まで入れますと大体七十四億くらいが出て、五一%くらいになりはせぬかという考え方を今持っております。これは今先生がおっしゃいました償還の関係でまた若干動くことがあるかもしれませんが、そのくらいにはいきたいというのが実は今までの実績並びに三十五年度の金額を入れました見通しでございます。ただ、これは動くことがあるかもしれません。それから、金融公庫からの施設資金は九十億となっておりますが、これは三十五年度までで大体三一%くらいの実績になるだろうというふうに見ております。五割までいっておりません。それから、自作農資金でございますが、これは五十一億くらいの計画目標がございますが、これが大体四十九億といいますと、ほとんど百%近く出ております。そのくらい出しております。それから、営農改善資金の借りかえが約四十億ということになっておりますが、これも三十数億出ておりますので、大体これは借りかえが終わるじゃなかろうかというふうに見ております。ただ、おくれておりますのは先生がおっしゃいました中で建設工事等でございますが、建設工事は、大ざっぱに申し上げまして、三十五年度までの予算を入れまして、国営と代行では若干比率は違いますが、五〇%程度まではいく、また、建設工事の中でおくれておりますのは、非常に要望が強い開拓地改良といいまして、一応建設工事が終わりましたあとに、また、水が足りないとか、あるいは飲料水が足りないとか、あるいは畑灌をやりたいので用水が足りないとか、あるいは道路が足りぬというような、一応建設工事が終わったところにさらに追加していろいろ希望がございます。これは八十億ぐらいの要望があるのでございますが、これは九億五千万くらいでございますので、比率にしますと、一一%というように低い数字になっております。しかし、開拓地改良につきましては、今年度は三十四年度の倍くらいの四億四百万ばかり予算を計上しましたが、こういうことでは足りませんので、またこれには特段の力を注ぎたいというように考えております。それから、開墾作業でございますとか、あるいは土壌改良でございますとか、こういうものの関係は、これも三十五年度まで要望されている計画の二六%というような数字になっております。、自作農資金はほとんど満度にいくだろうというふうに思われます。これが一番高いのでございますが、建設工事その他はまだ半分くらいまでしかいっていないという実績になっております。
それから、償還の問題でございますが、これは実は年々減少して参りまして、たしか資料でも差し上げたと思うのでございますが、三十四年度は今のところ推定で約五億三千万くらい償還になっております。絶対額でございますが、これは出納閉鎖期間までにはもう五千万くらいあるという見通しをしておりますが、五億台でございます。三十三年度の実績は四億二千五百万でございます。それから、その前年の三十二年は六億、三十一年は七億というふうで、三十一年から七億台、六億台、四億台と下がりまして、今年度は五億台というようなことになっております。ただし、これは、収納すべき金額が毎年大きくなってきますので、絶対額は三十四年度は三十三年度よりはふえましたが、比率としましては落ちるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/59
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060・神田大作
○神田委員 今局長が言われた数字は、私の方でまた検討して、この問題については後刻質問したいと思いますが、要するに、政府が考えておるように償還金も償還されないし、特に一番大事な建設工事というようなものは非常におくれておる。開拓地の不振の最大原因であるところの道路とか、飲料水とか、開田とか、あるいはそのほかの建設工事というものは、あなた方が考えるようにとうてい進んでおらないわけでございますが、この問題を徹底的に振興させない限り開拓地の不振というものは解消されないと思うのであります。この問題について今後はどのような考えを持ってやるつもりであるか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/60
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061・伊東正義
○伊東政府委員 今申し上げましたように、建設工事関係はやはり五割前後でございます。さっき申し上げました開拓地改良等はおくれております。建設工事を今の予算のべースでやっていきますと、完成しますには大体五年くらいかかります。それで、私どもとしましては、なるべく、五年ということじゃなくて、先ほどお話のありました生活環境の改善ということも頭に置きながら、五年ではございますが、これをもう少し早く完成して、何とか営農の安定ということに役立たせたいというような考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/61
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062・神田大作
○神田委員 たとえば飲料水の建設工事を見ましても、現在遅延をしておる大きな原因は、現地は自己負担にたえられない、開拓地の皆さんが自己資金を出して飲料水を引くわけにはいかぬ、こういうことが原因になっておるようであります。これについて、国では飲料水を引くについて補助を出しておりますけれども、いわゆる末端支配制度というようなことでもって全部の飲料水を引く施設に対して、国が助成金を打ち切っているように私は聞いておるのでありますが、その問題についてはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/62
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063・伊東正義
○伊東政府委員 飲料水でございますとかあるいは電気の問題等につきまして、一つは補助率の関係、一つは先生のおっしゃいました末端、たとえば一軒々々までは引いていかぬ、ある五戸なら五戸までは持ってきて、あとは自力でやってほしいというやり方でやっている、その問題と補助率の問題と二つ問題がございます。私どもとしましては、これは三十五年度の予算では解決はできませんでしたが、末端支配の問題その他につきましては、これは少し将来何とか改善できるものは改善したいというふうに考えています。補助率は、御承知のように開拓地の改良であります場合は三分の二の補助でございますが、小団地その他でやったときは二分の一というようなことで、補助率についてはまだ十分でない点もございまして、電気等については特に三分の一というようなことになっておりますので、その他の点等につきましては、国だけでうまくいくか、あるいは、関係の市町村、そういうところにも応援を頼むかというような、なるべく開拓者の負担を少なくするという努力はいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/63
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064・神田大作
○神田委員 それは、実際問題として、努力をするというようなことではどうにもならぬことなので、今までとにかく開拓地に飲料水もない、電気もない、これに対して振興法に基づいて適切な計画のもとに推し進めていくわけでありますが、現地の開拓農民が自己負担にたえられないで、自分のところに一軒々々引く飲料水に対してはもちろん自己負担というようなことであろうが、いわゆる幹線水路について、たとえば二十戸のうち十戸まではやるが、途中でもって打ち切って、あとは今度は自己負担でやれというような不徹底な補助の仕方をしているからして、この開拓地の建設工事というものは進捗しないのじゃないかと思うのですが、その点はいかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/64
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065・伊東正義
○伊東政府委員 先生おっしゃっています末端支配、どこまでやるかという問題はございます。ただ、これは、国が国だけで全部これをやるのか、あるいは、もう少し国も県も市町村もそれから開拓者もというような、関係者がどこまで負担していくのかということが非常に問題であろうと思います。今先生のおっしゃっております末端支配は、三戸ないし五戸の分岐点までということで、それ以下は開拓者の方でやって下さいというような制度になっております。これは、単に末端支配ということの問題だけではなく、国、県、市町村、開拓者がどこまでどういうような負担をするかというような負担の問題その他につきましては、まだもう少し全般的に検討する問題があるのじゃなかろうか、末端支配ということだけで解決する問題じゃなくて、関係する者がどこまで負担をしていくかということの方もこれは大きな問題じゃなかろうかと私は思っております。実は、開拓につきまして大蔵省といろいろ予算の折衝をしております際に、現在は国営でありますとか代行開墾につきましては全額国が負担するという形になっておりまして、その中には、今度は、先生のおっしゃるように建設附帯でありますと五割でありますとか、電気は三分の一とか、土壌改良は二分の一とか、いろいろございますが、一体そういうもののままでいいのかということで、実は大蔵省からある考え方を出されまして、国が何も全額持たぬでもいいのじゃないか、もっと下の方まで国が手を入れてやって補助率も変えていくという新しい制度も考えるべきじゃないか、従来の開拓制度につきましてはもう少し再検討すべきじゃないかというようなことが、実は予算のときに大きな問題になりまして、これは私の方でも三十五年度、六年度の問題として開拓について大蔵省からも新しい示唆をされておりますし、どこまでを国がやったらいいか、また、国がやるにしても、全部国が金を出すのじゃなくて、一部は地元が負担するという形もいいのじゃないかというようなことで、実は検討をいたすことになっております。それで、こういう先生がおっしゃいましたような末端支配の問題につきましても、全般的に一つ検討はいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/65
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066・神田大作
○神田委員 開拓の問題は、もう終戦以来十数年、いろいろと問題があったのですが、こういうように建設工事それ自体にもまだ未解決の大きな問題が残っておる。そういうことではとても開拓地の振興はでき得ないと思うのでありますが、末端支配の問題につきましても、これは、普通の既存農家ならとにかく、資金の乏しい人たちが条件の悪いところへ入植して、そして道路、飲料水あるいは水路というような基本的な建設に入っていくときに、農家の自己負担によってこれらの基本工事を遂行しなければならぬというようなことを今もってやっておったのでは、どうにもならぬ問題だと思うのです。こういう基本的な問題については、やはり思い切って予算的措置をとって、これら基本的な建設工事というものは国の責任によってこれを完成するという基本的な態度をもっと早くちゃんときめて、それによって開拓地の振興の基礎を築かなくちゃならぬと思うのでありますが、この問題について非常にあやふやで、しかも何かどうも予算的にも非常におくれた処置をとっておるようでありますけれども、この点についてもっとはっきりとした考え方を述べてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/66
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067・伊東正義
○伊東政府委員 建設工事と今先生が御指摘になっている飲料水の問題等とは分けて考える必要があるかと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、幹線道路でありますとかあるいは水路という問題と、たとえば先生の御指摘になりました飲料水、一戸一戸水を引くという問題とで、どういうふうに国がどこまでタッチしていくべきかということにつきましては、これは実はいろいろ議論があろうと思います。今までの行き方というのは、国営開墾、代行開墾の建設工事は全額国が負担します。それから、それ以下につきましては、二分の一補助でありますとか三分の一補助ということで県が仕事をしますとかいうような補助工事をやっておるわけでございますが、これにつきまして、こういうふうな分け方でいいのか、あるいはまた、国がもっと末端まで世話をする、ただし、補助率については、もう少し、全額国が負担するというのではなくて、地元の負担、県の負担あるいは市町村の負担もある程度あっていいのじゃないかというようなことで、実は今までの制度をある程度変えたらどうかというようなことが大蔵省からもだいぶ言われておりまして、われわれとしましても、実はこれについては三十五年度において検討するということにいたしております。ただ、先生のおっしゃいましたように、建設工事が営農安定の基本になることはその通りでございますので、建設工事につきましては、先ほどから申し上げましたように、あと五年残っておるというようなことではございますが、五年という期間をもっと繰り上げまして、一つ何とか早く建設工事の方は終わるようにしたいというのがわれわれの基本的な考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/67
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068・神田大作
○神田委員 この問題は、一つ基本的な問題として、全国の開拓地の実情をよく調査して、そして、いわゆる未完成の建設工事が幾らある、それを五カ年なら五カ年に完成するというなら、それの詳細な計画等、処方せんというものを提出してもらわなければならぬと思う。今までのように、政府は答弁だけはするけれども、実際においては進捗してない。実行してない。予算もつけない。建設工事に対してやらなければならぬということだけは答弁するけれども、実際においてそれが予算の面においてあるいは実行の面において進んでいない。それが今日の開拓地の不振の大きな原因であるから、局長が五カ年間に完成すると言うならば、全国のこれらの未完成建設工事に対する詳細な検討と、それに対する計画、どういうふうにして五カ年のうちに完成するかというような問題をわれわれの手元まで一つ詳細な計画を提出してもらいたい。それに基づいてわれわれはまた質疑をしたい、こういうように考えておりますので、その点一つ御了承願いたいと思います。
次に、開拓者営農振興臨時措置法ができてから、いわゆる第二次建設計画というものを各府県において立てたと思うのでありますが、たとえば栃木県の場合は三億六千万ぐらいの第二次建設計画を立てたのですが、これの進捗状況は今一七%しか完成されてない。八三%というものは、計画は立てた、承認はされた。しかし、実際にこれが完成の域に達してない。そのままはうりっぱなしにされておる。こういうように、机上の計画でもっては開拓事業というものはどうにも発展しないのでありますが、この問題について、計画と実行とをどうして実現させるかというのが今後の開拓事業の一大問題たと私は思うのでありますが、この点に関してどういうように考えられるか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/68
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069・伊東正義
○伊東政府委員 今先生の御指摘になりましたように、建設工事、開拓地改良等でだいぶ追加になっております。開拓地改良と申しますものは全然これは追加でございます。八十億でございますが、これも追加、それから、従来の建設工手にからむものの追加工事がまたございます。こういうものを含めまして、開拓地改良は別でございますが、大体今まで進んでおりますのが五割から六割の間でありますけれども、午前中から問題になっておりますように、現在の振興計画に基づいてやっております工事自体が今申し上げましたような比率になっておりますので、計画と実行とどうやって達成するんだという御質問でございますが、先ほど先生が計画と実績がどんなようになっておるかという御質問をされましたときに、たとえば建設工事でありますとか融資の問題とか率を申し上げたのでございますが、これはまた資料で差し上げますが、私どもとしましては、まず今出ております振興計画に基づく建設工事なり融資なりを何とか早く達成するように予算的措置を講じたいということで、これは、一般会計であり財政投融資で、ほとんど国の金で、ほとんどが予算に制約されるというような形になっておりますので、この予算規模を開拓地に対してふやしていくという努力をもっと強く当然進めるべきであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/69
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070・神田大作
○神田委員 そういうような大きな問題が横たわっておるのであるからして、今度の開拓営農振興臨時措置法の改正は、ただ単に災害資金を貸し付けるとか、審議会を作るということで、こういうことも非常に大事なことでありますけれども、それ以上に、こういうような実際の内容を持ったものに改正しなくちゃならぬ。あるいはまた、この法律に基づく実行を保障しなくちゃならぬ。そういう点において、今度の開拓営農振興臨時措置法の改正は、どうも非常になまぬるいものであって、とうてい開拓者が納得するようなものじゃない。現実に非常に苦しみをしておる開拓者が、この程度の改正でもって事足りるものではとうていないのであります。既墾開拓者が十数年にわたって苦労を重ねておるにもかかわらず、今なお入植当時の小さなあばら家にどす黒い畳の上でただ人間として生きておるというような状態である。私は各所において開拓地の諸君と会いましたが、十数年そういう苦労をしながらなおかつ、生活火に追い回されてどうにもならない、残るのは借金と子供だけである、こういう状態になっておる。この日本の開拓事業の現状に対して、どうしてもここ一、二年のうちに抜本的な方針を立てて、これに希望を与えるような営農設計なり、あるいはこれに対する対策などを立てない限り、日本の開拓農家というものは特殊なものを除いてつぶれ去ってしまうのではないか。特に、貿易の自由化のあらしの前に立たされておるところの開拓農家の前途は、今のような状態でとうていこれは持ちこたえられるものではない。この点についてなぜもっと政府はこれらの営農振興のために予算の面におきましてもあるいは法的措置につきましても抜本的な改革をやろうとしないのか。もう国内の農産物なんかかまわないのだ、どんどん安い農産物がアメリカからでもカナダからでもあるいは東南アジアからでも入ってくるのだから、いわゆる日本の自給農業体制というものは捨て去るというのなら、またそこにわれわれとしても政府に対する大きな考え方がありますけれども、そうでなくて、この狭い土地においてこれだけの農民を農業でもって生活をさせる、あるいは日本の今日の食糧自給体制を確立するのだという観点に立つならば、もっと抜本的な対策を立てるべきであると私は思うのでありますけれども、この点に対して政務次官はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/70
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071・小枝一雄
○小枝政府委員 神田委員はこの開拓行政に対して抜本的な対策を講ずべきであるという見地から種々造詣の深い御所見を開陳になりまして、非常に激励をいただきますことは、まことにわれわれも感謝するところでございますが、日本の農業はあくまでもこれを保護しなければならぬのでありまして、貿易の自由化等がありましても、農作物についてはあくまでこれを保護するという立場でいくべきであると私どもも考えておるわけでございます。この開拓の問題で政府の熱意が足らないではないかというおしかりをいただくわけでありますが、私どもも、従来とって参りましたこの開拓に対する処置というものは決して満足すべきものではない、これは今日の開拓者の現状にかんがみまりして一日も早くこれを打開するということに全力をあげなければならぬということを考えておる次第でございます。御所見のごとく、この三法案の改正によりまして、これだけによって開拓の万全を期するということは私はむずかしいと考えておりますが、ただ、われわれは、熱意を持ちまして、まずこの法律を本国会で御審議を願い、そして、これが実現の暁にはまずここに一つの拠点を強化いたしまして、——お示しのように、審議会を作っても、審議会を作ったというだけではいけませんが、それに対しましては周到なる計画を立て十分な措置を設計いたしまして、そしてまたこれに衆知を加えて、あらゆる角度から、今日の開拓行政をいかにして振興すべきか、いかにして今日の窮境を打開するような措置を講ずるかということを、これを拠点として一つ至急に進めていきたい、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/71
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072・神田大作
○神田委員 政務次官はそういうような考え方を持っておって、けっこうでありますけれども、実際問題として、開拓者の実情というものをやはり詳細に調査して、そしてそれに対する綿密な振興計画というものを立てなければどうにもならぬというような問題について、開拓地の振興をはかるということは口先だけではだめなんです。だから、実情に対する調査というようなことについて、政府当局はどれだけの努力をしたか、また、今後しようとするのか、その点まず局長にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/72
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073・伊東正義
○伊東政府委員 実情調査の問題でございますが、これは、御承知のように、開拓農家につきまして経営経済調査でございますとか実績調査というものを取りまして、その上でいろいろ政策を考える参考にいたしておるわけでございます。ただ、先生のおっしゃいますように、もっと抜本的なことをやれというようなことにつきましては、私どもとしましても、これはもう少し調査をすべきことがあるのじゃなかろうかというふうに考えております。これにつきましては、午前中に、間引きの場合にどういう計画で間引きをするかという御質問がございまして、私が御答弁いたしたのでございますが、十分な調査がないのじゃないかというお話でございます。これなども、実は今振興計画の原因別の不振原因の集計等をやっておりますが、私どもとしましては、それが出ましたならば、もう少しその具体的なものにつきまして県と国と一緒になって、これは何もそう経費を使わぬでもできることがございますので、これに基づきましてある程度抜き取り調査をするとか何かしまして、たとえば間引きの再配分の問題等につきましても、もう少し年次別に計画を立てるとか、そういうようなことはやって参りたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/73
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074・神田大作
○神田委員 振興計画の点につきましても、単にこの振興計画を立てて都道府県用事がこれを承認するというような形で一応計画だけはできるが、実際において予算の裏づけや資金の裏づけがそれに伴わないために、この振興計画というものはいわゆる絵にかいたもちでどうにもならぬというのが実情なんです。だから、この問題は、振興計画を立てる、それを実質的にどう実行するかが問題です。今まで振興計画はずいぶん立てておるでしょう。しかし、これが実行されないところに問題がある。資金の融資の問題にしても、たとえばこれだけの資金が要るといっても、地域にいけば、そういうのはあなたには貸せない、いわゆる選別融資でもって断わられてくる。すると、その計画は途中で実行されない。あるいは農林漁業金融公庫からの資金が計画通りに流れてこない、そのために計画はおじゃんになっていくというようなことで、どんなにりっぱな振興計画を立てたところで、これを実行する資金の裏づけあるいは国の予算の裏づけがそれにぴったりと入ってこない限りにおいては、これはどうにもならない。この振興計画遂行に対する欠陥というものが今日の開拓行政の大きな不振の原因の一つだと思うのでありますが、この振興計画実行についての今までのいきさつ、今後の方針について一つ御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/74
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075・伊東正義
○伊東政府委員 別にいきさつといってございませんが、先生先ほど御質問になりましたように、実績がどうなっておるかというお話で、高いものにつきましては、自作農資金は三十五年で振興計画に盛られましたものほとんど満度にいく、これは一番高いものでございますが、低いものは、開拓者資金融通特別会計から出ますものは大体五割前後じゃなかろうか、また、公庫資金は三一%というようなことで申し上げたのでございますが、一番問題になりますのは、やはり建設工事、それから開拓者資金融通特別会計から出ます百二十数億という予定されたものとか、こういうものが振興計画の中心になってくるであろうというふうに考えております。それで、私どもとしましては、抜本的にまた振興計画をさらに変えるというような——変えたらどうかという要望も実は開拓者の方々から非常に強く言われたのでございますが、先生おっしゃいましたように、実行計画自身について実はまだ十分な達成率にもなっておりませんので、私どもとしましては、今申し上げましたような達成率を何とか早く高めまして、まずせっかくできました振興計画を予算面で達成していくということがわれわれのとっていく第一段の努力でなかろうかというような判断をいたしまして、今は振興計画の達成ということに全力をあげるのが開拓行政の中心ではないかというふうに考えまして、実は、新規入植等も少ないのじゃないかというおしかりは受けておりますが、先生がおっしゃったような点に重点を注いでここ一、二年はいくべきじゃないかというのがわれわれの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/75
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076・神田大作
○神田委員 この振興計画遂行に対する問題について、これは、地方の都道府県知事から承認して、農林大臣は何らこれに責任ある措置をとっておらない。これは午前中にも質問がありましたけれども、これもやはり、私は、こういうような開拓営農振興臨時措置法というような一つのちゃんとした法律に基づいて立てられる以上は、知事ももちろんこの振興計画を承認しこれが遂行の責任に当たると同時に、これは国の責任においてこれを遂行させなければならぬと思うのでありますけれども、これらの問題について、都道府県にまかせっきりで、農林大臣やあるいは国が、これらが実際に実行されようが実行されまいが、どうもさっぱり責任を持たぬというようなやり方では、これはほんとうに権威ある振興計画にはならぬと思うのでありますが、この点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/76
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077・伊東正義
○伊東政府委員 この法律の体系自身が、先生おっしゃいますように、知事が承認をしまして、国の承認ということになっておりません。これはその計画の達成のために国及び都道府県が援助をするという建前になっております。法律上はそういうことにてなっております。今農林省の振興計画に対します考え方というのは、毎々申し上げますように、何も農林大臣がこれを承認しておらぬのだから知らぬという態度ではございません。やはり、振興計画に盛られたものを何とかして達成したいということで、自作農資金等は振興計画に出ている通りに早くつけようじゃないかというようなこともやっているわけでございまして、承認のあるなしにかかわらず、われわれとしましては、振興計画中心主義といいますか、そういう態度で実はこのことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/77
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078・神田大作
○神田委員 あなたはそういうふうに言われますが、実際において振興計画通りに達成されておりますか。これは、実際においては、最後になれば国はそれに対して承認を与えていないんだというようなことでもって逃げる道をちゃんと作っているようにわれわれには考えられる。これが一番問題だと思う。振興計画を立てたならば、これは国の責任によって実行する、これさえやれば問題はないわけです。ところが、言いのがれの道を作っておって、振興計画が達成できないのは開拓者が悪いんだ、お前らがなまけているからだとか、あるいは立地条件が悪いからだと言う。そういうふうにして逃げていないで、振興計画に対して国が責任を持つということが不振開拓地の振興の一番のポイントなんです。この点についてもっとしっかりした考えを持つと同時に、この開拓営農振興臨時措置法においても、法的にもそういう点を整備しなければならぬと私は思うのです。法律を作った以上、この法律でもって振興計画を立てた以上、それを守ってやる裏づけをはっきりしないと、これはいつまでも水かけ論になってしまうのじゃなかろうかと考えるのでありますが、この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/78
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079・伊東正義
○伊東政府委員 だいぶおしかりでございますが、私ども、法律に書いてないから振興計画をどうというつもりは実は毛頭持っておりません。なるべく振興計画というものを尊重しましてやっていこう、たとえば建設工事等におきましても、実は開拓関係で七億くらいふえました中で、要振興地についてはたしか十一億くらいふやした予算になっていたと思うのでございますが、予算につきましてもなるべく重点的に振興地区にスポットを当てていこうというような考え方をもってやっておりますし、先ほどから申しますように、開拓者資本金から出ます資金も、また自作農資金等も、これは振興計画を一応そのまま計画の目標といたしましてやっているようなわけでございまして、法律改正をいたさぬでも、当然、国は、ことに農林省としましては、そういうことでやっていくべきだという態度でやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/79
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080・神田大作
○神田委員 あなたたちがそういう考えを持って実際にやれば何も文句はないのでありまして、やらないから、いわゆる机上の空論になっておるから、われわれはこれに対して追及するのであります。これは今度の開拓営農振興法の改正に対する一番大きな問題だと思います。
それから、振興計画そのものにもやはり大きな問題があるのじゃなかろうか。たとえば、営農類型をきめてあるようでありますけれども、この営農類型なるものをわれわれが見ますると、農林省当局が考えておるところの振興計画に入れる開拓農家の営農類型は非常に低いもののようであります。この営農類型なるものについて一つ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/80
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081・伊東正義
○伊東政府委員 振興計画を作りましたときの考え方といいますのは、ある一定の人につきまして、これは法令で規定しておるわけでございますが、そこまでまだ収入の上がっておらぬ人、あるいは償還が年々の収入の一割以上になっておるというような人々につきまして、何とかこれをそのレベルまで引き上げまして黒字に転換していく契機をつかみたいということで振興計画は作ったわけでございます。もう一つの基本営農類型と申しますのは、これは、この法律ができました後に、新規の開拓者につきましては過去のあやまちを繰り返すことのないようにということで、午前中も申し上げましたが、全国を七類型に区分いたしまして、北海道を三つ、内地四つというような一応の基準、モデルといいますか、そういうものを作りまして、三十五万円くらい所得をあげまして農業だけで生活ができる、再生産が可能だというような一応の基準を作ったわけでございます。そうして、新規に入る人については、なるべくそういう考え方を中心にしまして、やはりある程度これは企業として考えていく必要がありますので、携行資金等も持って入る、また、国も、従来より以上に特別会計から——従来は十八万というような金でございましたが、四十万ないし五十万くらいの融資もしていくというようなことによりまして、なるべく入りましてからも当年度から営農のできるというようなことを考えていくべきだということで、機械等を用いることも相当考え、北の方におきましては酪農中心、西の方では果樹を相当入れますとかいうようなことを考えまして、新しく入る人についてはなるべくそういうような営農の形にして安定をさせていくべきだということを、法律が通りましたあとに一応打ち出したわけであります。それから、振興計画でございますが、先生のおっしゃいますように、振興計画は、その点につきましては、これは黒字に転換して拡大再生産をする転機をつかむというような考えでやりましたので、すぐにぴったりは結びついておりません。おりませんが、御承知のように、振興計画に要します金自体も、今申し上げますように非常に膨大なものでございます。これは、やはり、政府の方の投資もでき、また開拓者の営農も進むということになれば、一応そこで黒字になっていくのではなかろうかというような考えで今やっておるわけでありまして、それに達しますまでには、やはり、実績は先ほど申し上げたようでございましてまだその段階には至っておらぬ、しかし、ここ一、二年にはそういうものになるべく早く達するようにして、その上でさらに開拓者につきましては再配分の問題とか基本的な問題とまた取り組んで、基本営農類型をどう考えていくかということにつきまして、開拓審議会においても十分議論してもらって、その上でまた大転換をする必要があれば大転換していくことにすべきではなかろうかというのがわれわれの考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/81
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082・神田大作
○神田委員 営農類型で二町歩以上二町五反歩までは粗収入二十七万、二町五反歩から四町歩までを粗収入三十万、これをいわゆる不振開拓農家と見ておるようにわれわれは聞いておりますけれども、この点は一体どういうふうな基準になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/82
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083・伊東正義
○伊東政府委員 今先生のおっしゃいましたのは開拓営農振興臨時措置法の施行規則でございまして、そこで、今先生がおっしゃいましたように、配分面積たとえば一町二反歩未満の開拓者につきましては二十三万、最高の八町歩以上の場合は五十万とかいうように規則で一応きめまして、そこへまだ達しておらぬような人を一応要振興農家といたしまして、振興計画を作って黒字に転換していくようにするというような考え方で、この臨時措置法は三十二年に作られたわけでございます。これは今先生のおっしゃいました通りでございまして、そういう考え方でこの法律はスタートいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/83
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084・神田大作
○神田委員 今でもこれに基づいて対象農家というものを選定し、これを基準にしてやっておるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/84
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085・伊東正義
○伊東政府委員 開拓営農振興臨時措置法に基づきます振興計画は、こういう人を対象にしましてやったわけでございます。これは承認を受けました戸数は九万四千戸ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/85
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086・神田大作
○神田委員 この基準によりますと、粗収入二十三万円の者あるいは二十五万、二十七万ということになると、大体収入は十二、三万、月一万円程度、それ以上の者は不振開拓農家ではないというように思われるのですが、これは非常に現在の実情に即していないと私は思うのであります。これは非常に低いものである。実際に月一万円くらいの収入で家族四人も五人もが一体食っていけるのか、再生産がはたしてできるのか。この点について、生活水準というものは一年々々向上しておるのでございますから、こういう低い線で押えておるということは非常に不合理だと思うのでありますが、その点どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/86
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087・伊東正義
○伊東政府委員 当時きめましたこの基準自身が高いものであるというふうには私は決して見ておりません。先生の御指摘になるような感じは持っております。ただ、これをやるのに要します計画の金が、先ほど申し上げましたように実は膨大な金になっております。それで、この計画自身を今かえまして、基本営農類型の方をまた非常に高いところへすぐ持っていくかどうかということにつきましては、実はまたいろいろな財政上の問題も出てくるであろうと思います。私どもとしましてはこれは決して高い計画とは思っておりません。高い計画とは思っておりませんが、まずここまで引き上げていくこと自身が非常に努力を要することじゃないかというようなことで、今これに基づきます振興計画を作ってもらっておるのでございますが、個々の問題になって参りますと、それはここまでいけばもうそれでいいかということになるとそうではなくて、これは今の振興計画を立てている人自身でも粗収入をもっと上げていくという努力がおそらくあの振興計画の中には入っているだろうと私は思っております。決してこれが高い数字だというふうには思っておりませんが、まずこれで、当時これにも入っていなかった人を引き上げていくということが第一段階じゃなかろうかというのが私の考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/87
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088・神田大作
○神田委員 これは局長も高いものではないと言われる。高いどころじゃない。こういう非常に低い開拓者だけを対象にしても九万幾らのいわゆる振興計画に乗せなければならぬ開拓者がいる、十四万戸の開拓者のうちこういうような低い基準の振興計画の中に入れなくちゃならぬ開拓者が九万からあるというところに、日本の開拓事業の大きな問題点がある。それは、こういうような非常に零細なしかも収入の低い九万からの開拓農家に対して、国は、非常に少ない予算でもって、この計画を遂行するために膨大な金が要る金が要ると言いながら、実際にはスズメの涙のような金しか出しておらないで、開拓者をだんだんと貧乏へ貧乏へと追い込んでいくようなこの問題を皆さんにじっくりと考えてもらって、予算的にも計画的にもこれを遂行しなくては、理屈ばかり言っておってはどうにも問題にならぬと思うのです。この現実を直視して、大体、一町二反歩で粗収入二十五万、二町歩で二十七万、二町五反歩で三十万、六町歩で四十四万、八町歩で五十万、これは粗収入ですから、これの半分とすれば、八町歩やっても二十五万、こういうような零細な苦しい開拓農家が九万戸もあるというこの現実を政務次官はどうお考えになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/88
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089・小枝一雄
○小枝政府委員 この九万戸というふうに零細なしかも最も経営困難な開拓者があるということは、はなはだ残念なことでありまして、それを一日も早く解消いたさなければならぬという考えを持っておりまして、実は本国会にもこういうふうに法律の改正とかいろいろな処置をお願いをいたしておるようなわけでございます。われわれ当局といたしましても、一日も早くこれを解消するということには全く異存のないところであり、熱意を持って努力をいたしたいと考えまして、今回、あるいは施設の問題にいたしましても、環境改善の問題にいたしましても、三割あるいは五割という大幅な増額をいたしまして、将来この問題を解決する一つの方針を打ち出しておることは、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/89
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090・神田大作
○神田委員 九万戸からの農家がこのような低い営農類型の中に充てはまっており、それにすれすれの開拓農家というものがたくさんあるわけでありますから、これが抜本的な解決のために、詳細な調査をして、開拓農家の詳細な調査に基づいてこの振興計画というものを立てて、振興計画を立てたならばこれを責任を持って遂行するということに対して、政務次官としてはっきりとした決意を示してもらいたいと私は思う。開拓者の諸君は実際において予算面においてもこの振興計画が実行されることを熱望いたしておりますので、このような低い営農類型に基づく振興計画さえも実行できないということは非常に残念なことであります。政務次官はどういうような決意のもとにこの振興をはかるつもりでありますか、重ねてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/90
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091・小枝一雄
○小枝政府委員 振興計画は、先ほど局長からもお答えいたしましたように、地方でそれぞれ計画を立てて知事がこれを承認いたすことになっておるのでございますけれども、この振興計画を立てるにあたりましては、農林省としての方針もあることでございますし、また、これに対してはそれぞれ指導もし、いろいろこれに関与いたしておるところでございまして、一たん振興計画ができましたならば、これを必ず遂行するという方針をもってその裏づけをして実行するのでないと、この重大な段階にある開拓問題を解決することは、神田委員の御指摘のように、私も全く困難な問題であると思いますので、これは今後示そう十分な調査をし準備をいたしまして早く抜本的な改正をやれるように努力をしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/91
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092・神田大作
○神田委員 次に、過剰入植の間引きの問題でありますが、これは予算で一戸十五万とかいうことで考えておるようでありますが、一体一戸十五万くらいの助成金をやって間引きができるものかどうか。実際これは自然淘汰で食えなくなってやむを得ず山を下ってくる。そういう状態で、借金は全部残っている。これは夜逃げ同様な間引きということになっていると思うのでありますが、この点についてはどのように考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/92
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093・伊東正義
○伊東政府委員 この再配分に関連した間引きの問題でございますが、おそらくこれは三つの場合が考えられるのではなかろうかと思います。先生のおっしゃいますような、全然農業をやめまして別な第二次なり第三次産業に出ていくという人もあるかもしれない。あるいは移民に出ていこうという方たちも出るかもしれない。また、再入植したいという入も出てくるかもしれません。これは、どういう形の人が多いかということにつきましては、実は、私どもとしましては、どういう人を中心に考えるということまできめてもおりませんで、今言いましたようなどちらの場合でもこれは考えていこうというつもりでおります。それで、間引きします場合には、やはりその開拓農協というものを単位にいたしまして、そこでみんなで相談してもらいまして、そういうことをすることによってあとに残った人の土地の再配分ができ営農に非常に役立つということでみんなの話し合いがつくというところからやっていこうというふうに考えております。人によりましては、元気のいい人が出ていくんじゃないかという見方をする人もおりますし、その辺のところは、ことしはテスト・ケースでやってみまして、次年度からは少し計画的にものを考えていきたいというのが今度の予算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/93
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094・神田大作
○神田委員 次に、開拓営農振興指導員の設置を開拓者は非常に要望しておるようでありますが、実際問題として振興計画を立てたりあるいは営農指導をする上において非常に大事な役割を果たすと思うのでありますけれども、この問題はどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/94
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095・伊東正義
○伊東政府委員 営農指導員につきましては、七百二十六名でございましたか、今各県に置いてございます。私どもとしましては、この人たちを中心にしまして営農の指導をやってもらうということで、実は、県等におきましては事務所等に勤めている人も若干中にあるということがございますので、そういうことは一切ないようにということを県にも慫慂し、この人たちを中心にして営農の指導をやっていきたいというふうに考えております。実は、三十五年度は、一つ中央においても営農指導員の講習会というようなこともやりまして、今度いろいろ御審議願っております法律の問題もございますし、振興計画等の取り扱いの問題、いろいろございますが、近年そういうことを一切やっておりませんので、営農指導員に中央に集まってもらいまして、少し講習もし、もう一回熱を入れ直すと言っちゃ語弊がありますが、また心を新たにして営農指導ができますような講習会も現実にやろうということで考えておりまして、この人たちを中心に営農指導をやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/95
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096・神田大作
○神田委員 現実の問題として、第一線に働く指導員の待遇の改善、それの技術の充実、それから指導員の数の増加、こういう問題について、開拓営農を振興させる中心的人物でありますので、ぜひこれの充実をはかってもらいたいと考えております。
最後に、今開拓地で非常に困っている問題として、電気の導入とともに、当時なかなか電気の導入ができないので小水力発電工事をやった、ところが、これをやった開拓地の者はほとんど全部という全部が借金の返済に非常な苦労をしておると同時に、設備が老朽をしまして、これが維持管理のために大きな負担をこうむって、このために開拓農家の振興が非常に阻害されておる、そういうところが全国にたくさんありまして、これらの小水力発電工事の施設について、早くこれを電力会社にそっくり移譲して身軽になりたいという希望をたくさんの開拓者が持っておるのでありますけれども、この問題についてはどういう考えを持っておられるか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/96
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097・伊東正義
○伊東政府委員 御質問の点でございますが、実は、電灯の問題で私の方で力を注いでおりますのは、まだ四万戸を数えるような無電灯戸数がございますので、これの解消ということに全力を注いでおるような次第でございまして、先生のおっしゃいました問題が実はあることを私も聞いておりますが、率直に申し上げまして、農林省といたしましてまだ電気会社と直接交渉してこれを解決するというところまでに至っておりません。開拓行政の中であるいはまだ力の抜けている部分かとも思いますが、今の段階ではそこまで手を尽くしておらぬというのが現状でございます。ただ、開拓者の方が電力会社と自主的に交渉しているところもあると聞いておりますので、役所としても、どういう形でこれを応援いたしますか、何とか検討はしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/97
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098・神田大作
○神田委員 小水力発電は、これを設置することに対して農林省は当時非常に積極的で、これを奨励して作らせた。しかし、三年、四年、五年とやっておるうちに、小資本によるこういう施設は、維持管理費に食われる、施設が老朽化してくる、また、それを設置したときの借金も返さなくちゃならぬというようなことで、そのために一戸で一年に十九万円も払わなければならぬところもあると聞いております。これは開拓農家にとっては死命を制せられておる問題です。この電気を維持するために非常な財政的負担をしておるわけだし、しまいには、どうにもならぬから捨ててしまえということで、借金も施設もみなそのまま捨ててしまう、残るところは、それに対する融資をした農林中金とかあるいは農林漁業金融公庫とか、結局はそういうところにしわ寄せが来ることになり、しまいには開拓者がその土地を捨ててほかへ転業しなくちゃならぬ、こういう破局にも追い込まれる重大な問題であると思う。これはやはり最初農林省が小水力発電をやれといって奨励したその責任もあるわけです。だから、これは一つ、電力会社へ個人々々が交渉したところでどうにもならぬことであるから、農林省自体がこの問題を詳細に検討をして、そうしてこれが解決に乗り出してもらいたいとわれわれは考えるのでありますが、その点についてお考えをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/98
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099・伊東正義
○伊東政府委員 先ほど申し上げましたように、はなはだ申しわけないのでございますが、今までその努力を直接やりませんでした。問題があることも御指摘の通りでありますから、私どもの方としましても、どうやったら一番いいかということについては検討させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/99
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100・神田大作
○神田委員 いろいろそのほかに質問したいこともありますが、時間も経過しておるようでありますし、あとで参考人等を呼んだときにまたあらためて質問することにいたしまして、私の本日の質問はこれで終わりとします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/100
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101・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員長代理 次に、芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/101
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102・芳賀貢
○芳賀委員 ただいままでの同僚委員各位からいろいろ御質問がありましたが、三法案について一つずつ順序を追って問題点についてお尋ねしたいと思います。
まず、小枝次官にお尋ねしますが、今回の改正法案あるいは条件緩和法等を見ると、従来当委員会においていろいろ指摘した、どうしてもこれはやらなければならぬというような核心に触れるような問題についてはそこからずれて、形式的にこの際何とか格好をつけるということに苦心されたんじゃないかと私たちは見ておるわけでありますが、この際お尋ねしたい点は、既存開拓者の諸政策については、少なくとも今回の法案審議を機会にしてこれで一応締めくくりをつけるというような政府としてもかたい決意の上に立って臨まれないと、この点はことしはこの程度でも来年以降にまた考えますということではいけないと思うのです。何のためにことしの新規入植者を極端に圧縮してやっておるかということになると、結局、既存入植者対策をこの際締めくくりをつけるということに重点があると思うし、それはわれわれとしても了承しておる点です。それで、第一の点としては、開拓営農振興法の根本改正の問題について、これは、昨年あたりも、たとえば福田農林大臣にしても、あるいは小枝さんにしても、伊東農地局長にしても、世間に出てはあらゆる機会に、この際営農振興法の根本改正をやりますと自発的に積極的に言っていることは事実なんです。では、その当時の言明の内容というものが今回の改正の内容と同じであるかどうかという点についてわれわれはお尋ねしておきたいのですが、どうなんですか、この程度のことをやるというのでああいう大がかりなことを言われたのか、その点をお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/102
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103・小枝一雄
○小枝政府委員 この法案の改正は、昨年以来当委員会におきましても御論議のありましたように、今日のわが国の開拓の現状は決して等閑視することを許さない実情になって参っておりまして、従いまして、福田農林大臣も、私どもも、その他当局におきましても、しばしばこの委員会におきまして、抜本的にこれを改正し開拓の現状を打開したいという熱意を披瀝したのでございます。これにつきまして、この四法案の中に盛られておるところの改正は、ただ当面の問題を糊塗していくという考えであってはならない、抜本的に改正するところの決意のもとにこれを出しておるかどうかという芳賀委員の御質問と考えますが、われわれといたしましては、なるほどこの法案の中に一々具体的に示すことができないという問題もあるのでありますが、先ほど他の委員の皆さんにもお答えいたしましたように、まず今回の改正を一つの拠点といたしまして、芳賀委員先ほどもお述べになりましたように、われわれも開拓者の間引き政策までやるということに考えをいたしましたゆえんのものは、要するに、抜本的な対策に対してスタートしなければならぬという決意のもとにそういう施策をやっておるわけでありまして、御不満もあるかと考えますけれども、審議会等をここに設けたいと考えまするのも、その考え方があるからでございまして、今後、先ほど来いろいろ申し述べましたように、調査、計画その他これに関係する一般の広い知識も取り入れまして早急に対策を立てて、所期の目的を貫徹するようにいたしたいという決意のもとにこの法律案を提案しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/103
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104・芳賀貢
○芳賀委員 営農振興法の中で、この法律が当初審議されたときの第一振興計画の問題等については、これは地域的な地帯別の営農類型という基本をきめて、たとえば都道府県知事がその都道府県の地域内の開拓農家地帯における営農類型の基準を示して、その基準に基づいて計画を立ててもらう、その計画というものは、当然下から盛り上がって、これを都道府県知事が認定して、そうして最終的にはやはり国の認定が必要になるであろう、それをぜひやらなければいけない、そして、国が認定した振興計画というものはそれが実施計画という性格で、また末端の開拓者諸君もその計画達成のために努力してもらう、もちろん個人の努力も大切だけれども、それに対しては国あるいは地方団体ができるだけ行政を通じて強力にこれを支援する、そういう態勢は最初から必要であるということをわれわれは指摘しておった。だから、少なくとも、今度の改正にあたってはその前段にこのことをぜひ打ち出す必要があったと思うが、これについては全然触れてない。そういうことで、今後完全に振興計画の内容を充実して、その計画の達成が既存開拓者の停頓しておるいろいろな悪条件を解決することになるというてこ入れにする必要があったと思う。どうしてそういうことをおやりにならないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/104
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105・小枝一雄
○小枝政府委員 ごもっともな御質問だと私も考えますが、各府県で承認いたしまして出されましたものは、この法律案に示しておりますように審議会を開いてそこにそれらの計画を総合してこれを承認する、これをもって政府の一つの振興計画になるものだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/105
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106・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、都道府県知事が承認した計画は農林省に上がってきて、農林省としては、この法律で今度設置することになる審議会にそれをかけて、審議会の意見を尊重してそれを承認するという手順になるのですか。それであれば一応方法としては悪くはないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/106
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107・小枝一雄
○小枝政府委員 審議会は大体基本的な問題を決定するのだと思いますが、この方法につきましては局長から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/107
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108・伊東正義
○伊東政府委員 私から政務次官の御説明に補足させていただきます。
今芳賀先生おっしゃいました振興計画の国の承認の問題でございますが、この法律の建前はやはりくずしておりませんので、承認はあくまで知事が承認をする、その承認された振興計画を尊重して国はやっていくという考え方でございます。審議会につきましては、政務次官がおっしゃいましたように、この開拓営農振興臨時措置法でやりましたこういう考え方で立てた振興計画の批判、あるいは既入植者対策の基本的な問題、あるいは将来にわたる開拓を一体どう考えたらいいかというような基本にわたったことを審議していただきまして、その御結論を得ればまたわれわれとしては基本的なものを与えたいというようなつもりでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/108
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109・芳賀貢
○芳賀委員 結局、振興計画についても行政的な最終の責任というのはやはり国にあるという態度をはっきりしておく必要があると思うのです。都道府県の知事が承認すればそれでいいということではなくて、都道府県知事に委任してあることも最終的にはなお国がその振興計画を確認するというところまで一歩進める必要があると思うのです。それをやるとやらないとで、国としてはどれだけの実害があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/109
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110・伊東正義
○伊東政府委員 実害と言われますと問題なんでございますが、おそらく、この振興計画に要する資金の大部分というものは、国の一般会計、つまり公共有業費でありますとか、あるいは財政投融資でございますが、こういうものにつきまして、実は財政当局も入れまして全部でこれを承認していくという形のものが、現実の問題として、実はいろいろな審議会等で将来の行政投資等をやる場合がございますが、なかなかむずかしい問題がございます。それより一般的に地帯別にやりますような財政投融資でやる問題がございますが、これは個々の農家についての計画でございますので、これにつきましてまた財政当局を縛っていくということがどの程度できるかということも現実の問題としては出てくると思います。私どもとしましては、ここに出ております県が承認しました振興計画というものは、法律にもありますように、国と県はそれを達成するように援助するという建前でございますので、前々から申しますように、この振興計画は知事の承認でございますが、農林省としましてはこれを尊重して考えていくのだということで、先ほど例として自作農資金を申し上げたのでございますが、これは振興計画に乗ってきたものは全部出す、三十五年度に全部出そうじゃないか。実は追加がその後ございます。若干追加はおくれたものはございますが、今までの振興計画に乗っていたものは、集計したものは全部三十五年度で出しております。そういうように、この計画は知事の承認でございますが、農林省としてはこれを大いに尊重していくということは変わりないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/110
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111・芳賀貢
○芳賀委員 今述べた点がこの法案の問題点の大事なところだと思うのです。われわれとしては、あくまでも、今度の改正については、計画というものを国が認定して、そうして妥当なものを当然出してもらって、これによって計画が達成されるように、計画もやはり国の手元にそれを引き寄せてやるということにしなければいかぬと思う。これは審議の発展によってこの点を修正してそうするということにもしなければいかぬと思うのです。
その次には、これは臨時国会においても当委員会において指摘した点なんですが、従来現行の制度に基づいて出された振興計画の内容においても、いつも言うようですが、最初の第一年度に出したのと三年目に出てきた計画との間に相当の開きがある。これは局長も率直な説明が当時ありましたが、この是正というものは当然やらなければならぬのですね。ですから、どう見ても、最初出た計画というものは、何か政府の指導によると思うのですが、一応最初からワクへ入れてしまって、一町五反とか二町歩とか、十八万とか二十万のワクの中で計画を立てなければいかぬというように、最初からゆがんだワクを作って、そのワクの中で計画を作らなければいかぬということで指導したような関係で、最初出てきたのは非常に萎縮したようなものが出てきた。その後政府としてもいろいろ欠陥を認めて、そうして、三年目あたりに出てきた計画というものは、比較してみると、同じ地区内においても非常に相違があるのです。それで、当時も、それでは最初に出した萎縮したような計画の修正というものはどういう形でやるかという点については、計画の修正というものはこれは認める、そういうふうに局長通達で指導するというような御説明があった。従って、この計画の適正なる是正というものはその後順調に行なわれておると思いますが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/111
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112・伊東正義
○伊東政府委員 計画変更の問題でございますが、この法律には御承知のように何も規定はございません。それで、実は、今度御審議をいただいております法律等がもしも通りまして、たとえば条件緩和の問題でございますとかいうものが出てきますれば、ほんとうは従来の計画変更になりますから当然返すような計画ができておりましたのを、ある程度返さぬでさらに追加投資の方に回すというようなことになりますので、計画自体としては私はその程度のことは変わってくると思います。また、災害の場合も、若干変えて、たとえば仙台の事務局あたりにはだいぶそういう関係のものがたしか出ておるはずでございますが、先ほど申し上げました自作農資金等も実は追加がございます。私どもは、この計画につきまして、一銭一厘違ってはいかぬというような考えは毛頭持っておりません。これはある程度の振れがあっていいものだ。一応、実施計画と見るかあるいはこれはプランニングというような考えで見るかということにはいろいろ議論があるかもしれませんが、私は、一銭一厘違っても計画を変えるというようなことではなくて、この計画を中心にしまして、今出し上げましたような自作農資金の追加もすでにございますし、そういうものは現実の問題として認めていくという弾力性のある運用をしていくべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/112
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113・芳賀貢
○芳賀委員 ですから、今回のこの改正によって、たとえば災害融資の問題にしても、特別会計からの融資の条件緩和にしても、あるいはまた過剰入植の整理を行なう整備組合、振興組合の場合においても、これらは新しい分野から振興計画の中に入ってこなければいかぬと思うのです。そうなると、今度の法律の改正点が相当積極的に行なわれれば、従来の計画は当然内容の変更というものが大部分起きてくると思うのです。ですから、そういうことになれば、非常に消極的な形でこそこそやるような形で修正をさせるか、あるいは、一定の期間とか、もう少ししっかりとこの振興計画の作成の基準等についても政府は積極的な指導を行なって、もちろん現実性のある計画でなければいかぬが、そういうものをやはり再提出する、これは修正の形でもいいですが、そういう機会というものは今後当然予測しなければいかぬと思うのですが、どういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/113
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114・伊東正義
○伊東政府委員 今先生おっしゃいましたように、過剰入植を間引きするという場合でも、おそらく今までの計画とは内容が理論的に変わるということになろうかと思います。私どもの考え方は、先ほど条件緩和でも申し上げたのでございますが、そういうものにつきましては、一々目標をまた変えていくとか、そういうような大げさな変更とか、そういうことではなくて、現実の問題として、先生がおっしゃいました初年度と二年度が違う問題でありますとか、あるいは災害が出てきまして今まで借りた分が返せなくなったのでさらに災害資金を貸してほしいというような場合には、若干の修正をして県に出すというような形をやっております。そういうことでやって差しつかえないのではなかろうか。振興計画を全面的に変更していくということではなくて、そういう意味の部分的な修正といいますか、そういうものは一つ弾力的にやっていったらいいんじゃないか。また、かりにめんどうだから修正がないとしましても、やはり、たとえば初年度には十万しか出していなかった、次年度は二十万あったという場合には、十万の人にはまたもう少しよけい貸してやるというようなことも運営で当然やっていくというような弾力的な考え方でこの計画を運用していくということで目的を達するんじゃなかろうか。全面的に振興計画を変更する、あるいはまた、それの承認手続をするというようなことをしませんでも、今言いましたようなことでやっていってさしつかえないのではないか、現実の問題としてやれるのではないかというふうに実は考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/114
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115・芳賀貢
○芳賀委員 その点は、先ほど私が言った通り、最初の振興計画というものも全く現状のままの中で計画を立てるということなんです。だから、発展性というものは何もないわけです。今ありのままの生きている姿の中で計画を立てなさいという、そういう振興計画というものはないと思うのです。今度は法律の改正という一つの機会がありますから、経営規模の問題等についても、ある地区においては間引き対策によって現在の経営がもう少し適正の方へ発展する余地も出てくるし、あるいはまた、今政府が考えておる、自作農創設法によって政府が買収した未墾地とかあるいは林野庁所管の国有地を開拓財産に移管がえをした、そういうまだ手をつけていない未処理の農用地等についてもこれを元へ戻すというようなことを今考えておるのですから、そういう場合においては、振興計画を立てる組合の地域内にそういう放置された未利用地があるとすれば、やはりこれを増反の形とかあるいは共同耕作でこれを高度に使うとか、振興組合自身の中におけるそういう未墾地の活用の方針を当然今度の振興計画の中に盛り込んで進める必要がある。そういう計画を立ててもどうしてもこの未墾地は必要がないという場合には、しかも農用地に適しないという場合にはこれは引き揚げることがあるかもしれませんが、農耕適地でも何でも全部引き揚げるというような考え方は根本的に間違っておると思うのです。ですから、そういう点についてもやはり現地の振興計画の樹立の中に取り入れていくということになれば、相当根本的な計画の修正というものも必要になってくると思うのです。ただ、問題は、振興計画の提出期限は、これは昨年度の三月三十一日でもうすでに終わっているわけです。だから、修正してもいいとか再提出さすといっても、二年経過後の処理ということになると、なかなかこれは大幅にいかないですよ。従って、これを今局長が言ったように行なうんだということであれば、やはり必要な期間だけの延長というものは、私は事務処理上からもどうしても必要になってくると思うのです。もう三十四年度はこの三月で終っちゃったから、今後一年ないし二年というものは振興計画の内容を十分充実する、しっかりしたものを出してもらうという、そういう修正の意味においても、やはり期限というものを延長して、その期限内にこれを完全にやってもらいたいということで進めるのが順当だと思いますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/115
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116・伊東正義
○伊東政府委員 先生と私で少し食い違いがあるのじゃないかという気がします。それは、修正という言葉を私ども使っておるのですが、その修正の幅の問題ではなかろうかという実は感じがいたします。私、先ほど言いましたのは、条件緩和でありますとか、あるいは災害でありますとか、間引きの場合は実は、振興計画で土地が狭い、それで営農不振であるから増反してほしいというような、振興計画にあるところを優先していこうと考えておるわけでございます。やはり、振興計画優先という形で、今できております振興計画を何とか達成していきたいという、それに基づきます技術的といっては何ですが、そういう意味の修正ということを申し上げたのでございますが、先生の御質問の点は、これはまた別な角度から、今の振興計画が当初のものはあまり前向きではなかった、非常に萎縮した計画で前進性のないものだという前提に立たれたところの御議論のようでございまして、私ども、その点になりますと、振興計画というものがはたしてそういう先生のおっしゃいますようなものであるかどうかということにつきましては若干疑問を持つのでございますが、私の申し上げておりますのは、今できております振興計画というものを中心にしまして、その後この法律で条件緩和とか何かをやりますればその部分は当然技術的に変わるわけでございますが、そういうようなものは当然しゃくし定木的にならずに毎年考えていったらいい、また、先生のおっしゃいました初年度と次年度とで資金が違うという問題は、これは、指導の誤りでありますれば、そういうものは当然次年度の拡大したもので対象として追加して資金も考えるというようなことを考えたらどうだろうか、これが私の先ほどからの御答弁するところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/116
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117・芳賀貢
○芳賀委員 とにかく、振興計画の内容あるいはそれが順調に進捗しなかったということも理由になって、今度また条件緩和とかいろいろなことをやる計画になっているが、これは、当〜完全なものができていて、これを中心にして対策を十分進めるということであれば、あるいはこういうような条件緩和なんていうものは今ごろ持ち出さぬでもよかったかもしれません。この法律が生まれるときから、われわれは、これはもうだめだということを言っておったのです。最初から病人でこれはだめだと言うのを、政府の方では、今までカンフル注射でようやく生かしてきたが、やはり健康にならなかったわけです。今度は、ほんとうに健康体にするには、われわれがお医者の立場で、これはこういう点が悪いからだめなんだという、そういう療治をさせなければいかぬと思う。その点が第二点です。
それから、第三点は、今度の改正の中で、いわゆる災害融資をやるという試みが出てきていることです。これもはっきりしないのです。振興組合については災害融資は対象にするということが一応書いてあるのです。これも、それでは現在ある天災融資法の内容を全部営農振興法の方に移して、開拓者資金融通法の方から全面的に災害融資を行なうということであれば、一応また納得できるが、この内容は必ずしもそうではないのですね。そうなると、全体の天災法に掲げた融資のいろいろな種類のうちのある部分は開拓営農振興法の方から出す、ある部分については天災融資法から出すというような二元的なやり方が振興組合についても行なわれるのじゃないかと懸念されるのですが、そういうことはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/117
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118・伊東正義
○伊東政府委員 御指摘のように、災害関係の規定を設けましたが、これは開拓者に対します災害制度全般の解決では全然ございません。その点は御指摘の通りでございます。これを入れました理由は、特に振興計画の達成上災害というものが非常に大きな支障になるということで、振興計画を達成するために、天災融資法もございますが、それの補完的役割として、振興農家に対しまして、天災融資法では出ませんような施設資金というものを中心に補完をしたらどうだろうかというのが考え方でございまして、ただ、政令では書いてございませんが、予算的には、振興農家以外の人でも非常に痛手をこうむったという人には三十四年度の災害と同じようなことで融資をするということは大蔵省と話をいたしておりますが、基本的には、振興計画を立てました振興農家が災害のために振興計画が達成できないようでは困るということで、天災融資法の補完として実は出したわけでございまして、臨時的といいますか、そういう考え方がございますので、開拓者に対します全般的な災害対策という意味のものでないことは御指摘の通りでございます。それで、これは施設資金が中心でございますので、あるいは、振興農家のうちで、経営資金は天災融資法で借りられる、施設資金も借りたいのだが、これは天災融資法では借りられないからこっちで借りるという人が中には出てくるかもしれませんが、大体は天災融資法でいける人と、どうも天災融資法に乗らぬという人がこっちに来るのじゃないかという見通しはいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/118
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119・芳賀貢
○芳賀委員 この点は、振興法の対象になる開拓の災害農家と、ならない農家という、この区分もあるわけですね。それから、もう一つは、対象になる開拓者であっても、この制度からの災害資金を借りて、なおそれ以外に天災融資法に基づく資金も借りる、そういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/119
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120・伊東正義
○伊東政府委員 この政令の案をきのう差し上げてありますので御説明いたしますと、まあ、どういう災害に貸すかということで、施設だけの被害が五〇%以上あったというような人には、施設資金を一つ貸しましょう、それから、施設の被害が五〇%以上あり、そのほかに作物災害の被害も加わりまして、百分の百以上になる人には、施設資金のほかに経営資金も例外としてお貸ししましょう、それから、施設被害がなくて作物だけの被害が百分の七十以上あった場合には、これは経営資金だけお貸ししましょうというような、三段階に実は分けてございます。でございまして、先生のおっしゃったような例、たとえば第二番目の、施設が五〇%以上の被害があり、作物災害の被害もあって、加えて百分の百以上になる場合は経営資金も借りられますが、施設は五〇%も被害はない、あるいは農作物と施設と合わせて百分の百以上にならぬという場合がありますと、この災害資金からは出ませんで、そういう人につきましては、あるいは天災資金から経営資金を借りる、それから、経営資金はそちらから借りまして、施設だけで五〇%以上になるから施設資金を貸してくれという人には、これはあまり例がないかもしれませんが、こっちで施設資金が出る場合もある。経営資金と施設資金が両方から出る場合も、場合としては予想されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/120
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121・芳賀貢
○芳賀委員 だから、そういう点がおかしいですね。せっかく開拓の資金の一本化をやる、整理をやると言いながら、これはまた複雑になるんですよ。だから、はっきりして、開拓者の、特に営農振興組合を中心とする被害開拓者の場合は、たとえば開拓者資金融通法から一本に出すなら出す、これははっきりした方がいいですよ。一部は天災融資法から出して、また一部は特別会計から出すというようなことになると、これは非常に複雑怪奇なものになると思うんです。この政令で、災害の度合いとかいうものでこの開拓者の中で一、二、三に区分するなんて言ったって、これは容易でないですね。だから、これは、やるのであれば、むしろ災害資金というものは一番条件の有利な国の特別会計からこれを貸付をするというふうに、すっきりした方がいいのじゃないかと思うのですが、これは、政務次官、どうお考えになりますか。私の言っている方がいいのじゃないかと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/121
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122・小枝一雄
○小枝政府委員 芳賀委員の御指摘の点は、開拓に対する融資の一元化という点から言えばごもっともだと思うのでありますが、何と申しましても、天災については天災融資が中心になっておりますので、この方法は一つの補完ということでございまして、従いまして、天災法によって一般の天災に対する融資を行ない、なおそれで足らないところの施設に対しての融資を特別に開拓者に対して行なおうとするものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/122
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123・芳賀貢
○芳賀委員 これが災害融資の問題点ですが、もう一つは、同じ災害融資の天災融資法の場合は、もちろんこれは中金の融資ですが、これには利子補給、損失補償の制度があります。まあ利子補給は系統資金の金利が高いから国と都道府県が負担するのですが、損失補償の措置というのがある。これは、信用度が非常に低くても、災害の度合いの多かったことによって経営上に大きな損失が出たのだから、信用がないからあなたには金を貸さぬというふうなわけにいかない、やはり災害の度合いに応じて経営資金の貸し出しを行なうというのが、これは天災融資法の本旨です。だから、その信用を対象にしないのですから、結局回収という面には不安がある。従って、それによって損失補償の措置というものがあるのですが、今度のこの営農振興法の中の災害融資は、それは年限とか金利等については有利な点も見られますが、この損失に対する補償措置というのは何にもないのです。これは全く直貸しにして本人が払わなければやむを得ぬということで終わるのかどうか。条件緩和法では、法人を通じて貸したものを今度は個人にこれを置きかえて、個人対象に貸し付けるけれども、法人が保証しなさいということになっているが、この災害融資の場合においてはそういう保証関係というようなものはどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/123
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124・伊東正義
○伊東政府委員 これは、御指摘の通り、政府が直貸しをするということになりますので、災害を受けた人に直接国が貸すという、開拓者資金融通の金の貸し方と同じような金融の仕方でございます。でありますので、保証関係等も、ほかの国の開拓者資金融通特別会計から出しておりますのと全然同じような形で今度は個人に直貸ししておるというような形になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/124
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125・芳賀貢
○芳賀委員 それと、回収は国が直接やるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/125
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126・伊東正義
○伊東政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/126
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127・芳賀貢
○芳賀委員 組合なんかは何も関係しないのですね。取れなければやむを得ぬということになる……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/127
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128・伊東正義
○伊東政府委員 これはあくまで国が個人に貸すということになりますので、保証の問題は、これはそのほかの、いわゆる損失補償じゃなくて、保証人を立てるとかどうとかという問題はございますが、今先生がおっしゃいますように、天災融資法的な、中金が組合に貸し、組合がさらに個人に貸していくという形とは全然違った金融の仕方になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/128
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129・芳賀貢
○芳賀委員 保証の点ですけれども、個人だけに契約して国が貸すのなら、これは方法として認めるとしても、それじゃ、今度は、組合が保証しなさいとか、何人かの連帯保証にしなさいとか、そういう条件がつくとすれば、これは問題だと思うのです。天災融資法の場合は、これは損失補償の措置があるからして、その当該組合が善意な努力をしても回収できない場合においては、これは国が損失の補償をするということになるが、これにはそういう損失の出た場合補償措置がないですからね。そういう補償措置のないものを、組合に保証せいとか、あるいは何人かの保証人をつけなければ災害資金を貸さぬということになると、これは悪法になるわけです。不可抗力の災害によって国が資金を貸すわけですから、これは本人には罪がないのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/129
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130・伊東正義
○伊東政府委員 この法律の中では、実は、例の債務引き受けの場合には組合の保証をとるような——従来貸しておりました債務につきましては、組合の保証をしてもらうということで、債務引き受けを個人にしてもらって、条件緩和をするというようなことにしておりますが、この災害資金につきましては、組合の保証ということでなくて、今国から貸しております自作農資金等におきましては若干の個人保証を立ててやっております。これと大体同じような形、組合という関係ではなくて、個人保証という自作農と同じような形で行ったらどうかというふうに考えております。最後に欠損が出ました場合は、これは特別会計の欠損ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/130
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131・芳賀貢
○芳賀委員 その関係を明らかにしてもらう必要があるのです。自創法の場合は、個人の保証も形式的につけるが、実体はこれは農地担保ですからね。自創資金を貸す場合は農地を担保に供与させることができる。だから、対人的な信用よりも農地を信用して、そして抵当金融でやっているわけで、災害の場合には、担保をとるとか何とかいう条件は、これはつけるわけにはいかないのですよ。ですから、そういう場合にはやはり自創法の場合の保証人を要するという場合と意味が非常に違ってくると思うのです。これは非常に議論のある点ですから、今でなくてもいいが、実際にこれをやる場合には、直貸しというものはどういう形でやるかということを、後刻資料で出してもらいたいと思います。
その次にお尋ねしたい点は、今度の改正点であります審議会の設置なんですが、政府から示された資料によっても、まだ審議会については何をやるかということも考えておらぬ、——考えれおらぬわけじゃないが、方針がきまっていないというのです。一体、方針のきまっておらぬ審議会なんかを法律の中でわざわざ作ってみても意味がないと思うのです。しかも、先ほどの答弁によると、振興計画認定の問題についてもこれは審議会では扱わないということになれば、何も必要ないのじゃないですか。各委員が指摘したように、ただ困ったときに審議会でこれを十分検討してもらうというあなた方の逃げ場所、ポケットを一つ作るだけで、何もこれは意味がないとわれわれは考えておるのですが、何か目的があればここで明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/131
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132・伊東正義
○伊東政府委員 御指摘でございますが、ここの法律には、「開拓者の営農の改善に関する対策その他開拓営農の振興に関する重要事項」、こう書いてございます。それで、今大体予定いたしておりますのは、きのうから御指摘がありますような基本営農類型と過去の振興計画の問題とか、あるいはもう一つ振興計画そのものに対する考え方の問題であります。ですから、振興計画を作られました既入植者の問題で、きのうからそれじゃまだ不十分ではないかと言われている問題がございますので、そういう問題について抜本的な対策ということであれば、私どもが打ち出しました営農類型その他の問題と関連してどういうふうに考えていったらいいか、どうしたら一番既入植者対策としていいかということを一つ大きな問題として取り上げていただくことと、もう一つは、将来の開拓の形という問題、きのうも御指摘のありました農地法でやっております未墾地買収のこういう形でやっていく開拓の問題、また、いろいろ議論が出ております土地改良形式でやるのが一番時勢に合うのじゃないかという議論も実は言われておりますが、こういう将来の開拓の問題をどう考えるかということ、これが二つの大きな柱になってここで議論していただくのであろう、その上、その結論をなるべく早く出していただきまして、将来の問題に全然新しい法律を作ってやっていくのか、どういうふうにしたらいいかというようなことを考えていきたいというのが、私どもの審議会に対する期待でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/132
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133・芳賀貢
○芳賀委員 これは調査会とはまた違うのですからね。結局、政府の方策を諮問して答申を求めるとか、あるいは審議会自身が政府に建議するとか、普通の審議会というのは大体そういう性格のものだと思うのですが、そういうことでやろうというのですか。調査でなくて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/133
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134・伊東正義
○伊東政府委員 ここに、「諮問に応じ、」「調査審議する。」とございますが、今申し上げましたように、やり方は、将来の問題でございますので、今確定的なことは申せませんが、私の方から考え方を出して御批判を仰ぐという形をとりますか、そうでなくて、問題だけを提起いたしまして、その問題についてはこういうことが一番いいじゃないかというような建議といいますか結論を出していただきますか、やり方につきましてはまたこれができましてからいろいろ議論をしましたあとでやっていきたいと思いますが、議題は、私どもとしては、さっき申し上げましたようなことがこの審議会に期待している問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/134
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135・芳賀貢
○芳賀委員 ですから、さっき言った通り、振興計画の認定に関する問題だとか、あるいは地帯別基本営農類型をいかにするかという基本的な問題、あるいは開拓の実施計画を長期的、年次的にどうするかというような政策とか行政の水準に関係のあるような基本的具体的なものをそこへ諮問するとか建議させるとかということであればまだ意味があるが、そういう大事なことはそこに何も問わないのでしょう。大体やる気がないのだから。だから、この審議会の必要、こういうことをやるから必要だということを実証してもらわぬと、何か目新しいものを一つこしらえたからがまんしてくれというのでは納まらない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/135
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136・伊東正義
○伊東政府委員 やる気は実は大いにあるのでございまして、先生おっしゃいましたような問題、過去の振興計画をどう考えていくか、それが既入植者の対策とどういうふうにつながるかという問題、——私は、先ほど、うしろ向きと申しますか既入植者の問題と、新規の開拓政策の問題と、二つ言いましたけれども、既入植者の問題の中におきましては、先生のおっしゃいましたような振興計画の取り扱いの問題とか、あるいは、おっしゃいました中で、基本営農類型というのを地帯別に一応作っているわけでありますが、そういうものとの関係をどう取り扱っていったらいいかというようなことは、当然議題といいますか審議してもらってけっこうな大きな問題の中の一つじゃなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/136
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137・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、参考までに、それじゃ十名の審議会を設けるわけでありますが、どういう顔ぶれで審議会を構成する考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/137
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138・伊東正義
○伊東政府委員 まだ具体的にどうということは考えておりませんが、おそらく、関係していただくのは、現実に開拓をやっておられる人、あるいは開拓関係の団体の人でありますとか、あるいはここに一番関係のあります系統金融関係の人、あるいは一般の学識経験者の方、そういうような人が中心になってやってもらうのじゃなかろうかと今は思っておりますが、まだ最終的にどうということまではきめておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/138
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139・芳賀貢
○芳賀委員 そうすると、開拓農協の連合会とか開拓農協関係の代表とか、あるいはまた開拓の農政活動等をやっている組織の代表であるとか、あるいはまた開拓関係の金融機関の代表であるとか、あるいは開拓の政策とか行政に通暁しているような経験者、そういう人を予定するわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/139
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140・伊東正義
○伊東政府委員 大体現在はそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/140
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141・芳賀貢
○芳賀委員 審議会の場合は、たとえば学識経験者の中に国会議員等を数名加えて構成している審議会が農林関係にも幾多あるわけです。この場合、強力な開拓政策を推進するようなそういう機能をこの審議会に期待するとすれば、別にわれわれが希望するわけではないが、一体、学識経験者の中に政治性を加味したそういう経験者が加わることに対しては、政府としては今どういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/141
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142・伊東正義
○伊東政府委員 学識経験者の範囲の中に先生方も入っていただくかどうかという問題でございますが、今は先生のおっしゃるのとは別に考えております。ただ、これは、学識経験者の中では、片寄らず、——いろいろ批判的な人もあるかもしれませんし、強力に推進すべしという人もあるかもしれませんし、各方面の意見が聞けるようにということで、人選等につきましては、法律が通りますれば、十分考えてやっていきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/142
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143・芳賀貢
○芳賀委員 小枝さん、あなたは議員の立場として、たとえば国会議員が入っておる審議会と入っていない審議会の力関係といえばおかしいですが、非常に無気力な政府の開拓行政を推進するような場合には、一体いずれが利点があるか、これは小枝次官から率直にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/143
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144・小枝一雄
○小枝政府委員 芳賀委員の御指摘のように、政治的な力から言いますと、政治家が参加していただいた方がいいと考えられますが、しかし、この審議会の性格から考えまして、よく事務当局とも相談をいたしまして、研究いたしたいと思います。また、政治力については、他のいろいろな機会に御相談していくべきことであろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/144
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145・芳賀貢
○芳賀委員 これについてはいろいろ議論が分かれると思いますが、たとえば、米価審議会にしても肥料審議会にしても、学識経験者という形で国会議員が数名出ておりますが、長短いずれにあるとしても、政府がせっかく法律改正の機会にこういう審議会を設けて、そして強力に今後開拓行政を政策的にも進めるということであれば、やはり政治と行政の関連ということも大事だと思う。私は問題として一応指摘しておきたいと思います。これは、開拓営農振興法の場合、問題点の要点です。
その次に、条件緩和法の問題についてお尋ねしたいのです。
これは、法律の名前は条件緩和といって、いかにも緩和してくれるかと思うと、何も緩和されていないのです。端的に申し上げると、戦争以前は、農家が肥料代とかいろいろな借金をしても、なかなか経済の状態が裕福にならぬ、ほとんどの農家は元金が払えないから、結局その年の利子を元金に加算して証書を書きかえて、そうしてまたそれを毎年々々繰り返すということがあった。今度の法律のいわゆる元加方式というのは、今まで払えなかった元金と、それから金利並びに延滞金は全部証書に書きかえて、そうしてこれによって今度は年賦償還でやりなさいというのが条件緩和の一つの内容なのです。今までに元金さえも払えないで、未償還金が残ったとか、それで利子も残っておるとか、当然期限内に支払いしないから延滞金も残っておるという実情なんだが、この緩和というのは払えるようにしてやるというのが条件緩和だと思うのですよ。それを、今度は利子も証書に加算する、延滞金も加算するということになれば、戦争以前のように高利貸し的な思想というものがこの条件緩和法に出ておるのです。これは農林省の考えではないと思うのです。しかし、せっかく開拓問題を一つ解決するための条件緩和であるとすれば、利子や延滞金を元金に加算して証書を作らせるというようなやり方は、冷血きわまるものじゃないかと思うのですが、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/145
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146・伊東正義
○伊東政府委員 これは考え方の問題でございますが、条件緩和をいたします方法で、実は二つ作ったわけでございます。五年据置・十五年、据置期間を置かないで十五年、どういう人が十五年であり、どういう人が二十年になるかということは、政令で一定の方式を作りまして、それで十五年で返せる人は据置期間を置かぬというような、方式を二つ作ったわけでございます。それで、私どもの考え方としましては、先生がおっしゃいました従来調定をしまして未収になっております元金でありますとか金利というようなものは当然一時に払うべきものでございますが、今申し上げましたように、十五年なり二十年なりに延ばして払うということにつきましては、やはりある程度条件緩和と考えていいのじゃなかろうかという考え方に立ちまして、元加方式ということをしたわけでございます。これを免除とかいろいろございますが、今の法律体系からいきまして、免除という問題は非常にむずかしい問題でもございますし、また、従来まじめに返していた人と均衡の問題等もございますので、私どもとしましては、今申し上げましたような元加をしまして十五年なり二十年に割って払っていくということがやはり条件緩和であろうという考え方に立ちまして、今度の法律案を作ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/146
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147・芳賀貢
○芳賀委員 その点は、たとえば前の振興計画を出す場合も、振興組合については、たとえば政府の資金については国の債権管理法に基づいてこの段階で条件の緩和というものをやる必要があった。これは幾分はやったが、国の債権管理法のもとにおける条件緩和というものは、ほとんど消極的で、行なわれていないと言ってもいいのです。ですから、今度は法律で緩和法を作るという場合においては、その前の段階において、やはり国の債権管理の制度の中において利子の減免をやるとか、あるいは延滞金の切り捨てをやるというような、そういう措置を講じて、そうして今度は条件の変更のような、この緩和法の方へは元金だけを持ち込んで、ここで据置期間とか返済年限の延長というものを講じてやるというのが手順だと思うわけです。そういうことを全然やらなくて、いきなりこの条件緩和法に利子も延滞金も持ち込む。先ほどの説明では、利息が八億円、延滞金が九千万円ということで、そうなるとこれは九億円になるでしょう。この九億円が元金になるわけです。これに利子がつくのですよ。今までは利子に利子はつかなかったが、今度は利子に利子がつくということになる。ですから、これは、この法律に移す前に、当然国の債権に対する管理法の中において、やはり政策的に切り捨てとか緩和ということを一応努力してやる必要がある。たとえば、この間成立した漁業協同組合の整備促進法の問題等においても、その組合の再建とか振興の場合においては、こういう金融関係の面におけるこげつきというものは、やはり、金利の切り捨てとか、あるいは元金の一部の切り捨てとか、そういう徹底した減免措置をやらなければこの整備計画が立たぬというようなことで、つい先日あの法律を通したんですよ。だから、漁業協同組合の方ではそういうことを政府が指導してやらすようにして、今度は開拓の方ではそういうことをしないでよいかどうか。その相違点は、漁業協同組合の方は国との債権、債務の関係の条件緩和というのはあまりやらないようにしてあった。国の債権に対しては、あくまでも過酷な態度で債権の確保を行なって、いささかも利子の減免とか条件の実際の緩和というものはやらない、そういう考え方というものはこの際捨てる必要がある。大蔵省の圧力があるということはわかっても、ここらでやはり農林省というものががんばってもらわなければいかぬと思うのです。どうですか、この点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/147
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148・伊東正義
○伊東政府委員 御指摘の点でございますが、今の法体系のもとで減免ということは非常にむずかしくなっております。国の債権につきましては、あくまでもこれは税金であるから確保するのだという建前が、今の財政法なり会計法の原則になっております。それで、債権管理法等におきましても、無所得者でありますとか、そういう者については、向こう十年延期しまして、さらにその場合にも同じであるという場合に初めてこれを行なうというような考え方の建前になっております。それで、私どもの方としましては、この条件緩和法でいきますか、あるいは、自分はそれはいやだ、国の債権の管理に関する法律がございますが、その規定の適用を受けたいという人はまたそちらでというように、どちらかという形をとっておるのでございますが、今申し上げましたように、減免ということにつきましては今の法体系のもとでは非常にむずかしいということになっておりますし、先ほども申し上げましたように、また均衡の問題も実はございますし、私どもとしましては、大蔵省に圧迫されたとかそういう意味でございませんで、やはり、こういう形で、非常に困っている人につきましては当然五年据置・二十年というようなことになるのでございますから、今までよりはだいぶ条件の緩和になるのじゃなかろうかという判断をいたしまして、法律の提案をしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/148
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149・芳賀貢
○芳賀委員 この点については、農林大臣も不在であるし、確信がないようですから、次の機会に大蔵大臣の出席を求めて、大蔵大臣に十分この点をただしたいと思います。その点は委員長において十分考慮してもらいたいと思います。
その次に、局長は、前に払った人との均衡と言いましたが、今までは十分履行ができなかったので、だから履行しやすいようにするために条件を変更するのですから、前の仲間が苦しんだのだからあとの仲間も全部同じように苦しめということになれば、これは政治でも何でもないと思う。おやじが百姓で貧乏したから、せがれも孫も同じように貧乏しなければ均衡がとれないなんという農政はないと思う。だから、その点は考えを改めてもらいたい。前の仲間が苦しんだから、これからは苦しまないようにしてやりたいというのが親心だと思うのです。みんな同じように苦しめなんということではいけないと思うのです。これは思想上の問題だと思うのです。
その次の問題は、今までは特別会計からの融資は組合を通じて個人に配分していたが、今度は旧債権についても直貸しにするというふうに改めるということになったのですが、これは方法としてはいいと思うのです。しかし、改めた後の体制においても、個人に債務の持分を一応分配すれば、国の個人の債権・債務の関係についてはやはりその当該組合が当然保証しなければならぬというように政令案等においても書いてある。そうすると、大体同じようなことになるのではないですか。個人に一応分けてみたが、今度はその保証の責任が組合にある、最終的にはその組合が追及されるということになると、当然義務があるということにもなると思うのです。これは先ほどの災害融資と同じようなことになるのですが、組合の保証というのをどの程度のものとして考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/149
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150・伊東正義
○伊東政府委員 保証の問題でございますが、保証するのであれば従来と同じようなものじゃないかというお話でございますが、これは法律的にはだいぶ違ってくるというふうに私ども思っております。従来国が組合に貸しておりましても、組合と個人の関係等におきましては、先生も御承知と思うのでございますが、不突合の問題が出てきはせぬかということを心配しております。組合と個人との関係ではおれは返したのであるが、組合と国との関係では伊東なら伊東という者が返しておらぬという形のものが中には相当ありはせぬかということも考えられるわけでございます。しかし、そういう場合でも、やはり国と組合の関係で返っておらなければ、組合も責任がありますし、組合全部が責任があるという形になるのでありますが、その点は、個人に切りかえるということになりますれば、今度は債務は個人でございまして、自分が債務者であるということがわかり、幾ら返したということも国との関係でははっきりいたします。組合に保証してもらいたいということを言いまして、われわれは法律上要求はいたしておりますが、やはり債務の中心は個人でございますので、従来とその点はかなり性格が違ってくるのではないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/150
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151・芳賀貢
○芳賀委員 この場合も最終的な締めくくりをどこに置くかということは十分配慮していく必要があると思う。
それから、もう一つ、この個人を対象にするという場合、前回の説明がありましたが、行方不明者がずいぶんあって、債権の追及もなかなかできないし、確保もできない。これらの個人に対してはその関係の当該組合としても何ともできない。これらはどうするか。これは、行方不明で債権の確保ができないと認定されたものは全部切り捨てることになっておりますか。そういう措置はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/151
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152・伊東正義
○伊東政府委員 御質問の行方不明の場合でございますが、従来は国が組合に貸しておるという形でございますから、あくまで理論的には組合の借金として残るわけでございます。個人の方は割るわけにいきませんので、三十五年、三十六年でそういう経路をはっきりいたしまして、はっきりいたしましたあとで、そういうことについてどうするかということは再検討をするというように、これはもう一段階置いて考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/152
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153・芳賀貢
○芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。今度は法人に貸したものを個人に直接貸しにするわけですから、だれだれということは全部わかるわけです。そうなると、何のだれ兵衛に何万円貸してあるが、これは行方不明でわからぬという場合は、だれだれが何万円ということがわかれば、もう組合としてはいいのじゃないですか。ですから、その分だけは三十五年、三十六年にどうするかということを検討するというのも奇怪な話だと思うのです。そうじゃないですか。今度は全部個人貸しに直すというのですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/153
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154・伊東正義
○伊東政府委員 今の行方不明の場合は、実は直したくても直せぬ部分として残るわけでございます。今までは組合一本で貸しておりまして、十人組合員があったとすれば、九人が残っておる、そうして九人が組合からどういうふうに借りて幾ら元金を払い幾ら利子を払いましたということは理論的にわかるはずでございます。そこで、残っているのは幾らだということで九人については割り振りますが、一人については、どこに行っているかわからぬ、割り振るにも割り振りができぬということになりますので、これは従来は国が組合に貸していたのでございますから、その分はやはり組合が借りているという形に整理をしていく。そういうものをどういうふうにするかということにつきましてはもう少し検討したいというのが今の私どもの気持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/154
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155・芳賀貢
○芳賀委員 構想はここで聞かせてもらわぬと、先に行ってどうなるかわからぬというのでは困る。それはこうなるということだけは言ってもらわなければ、法案の審議はできぬじゃないですか。かんじんなところですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/155
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156・伊東正義
○伊東政府委員 理論的に言いますれば、これは組合の借金でございます。理屈そのまま通せば組合が国に負う借金でございますから、組合として国に返すということになろうと思います。ただ、そういう形でいいかどうかということにつきましては、今の三十五年度予算をやる段階ではまだ十分議論ができません。解決もしなかった問題でございますから、将来の問題として検討したい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/156
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157・芳賀貢
○芳賀委員 そうじゃないのです。今までは組合の借金なんです。組合に貸したのだから、行方不明が中にあってもなくても、方針としてやむを得ないのです。今度はそれが個人にみんな分けてしまうわけだ。だれが幾ら使っているのだから幾らというふうに全部個人別の内訳を明らかして、そしてその明らかになったものが今度は国と個人との債権・債務の関係ということになるわけです。組合としては個人の内容を明らかにする義務は当然あるのです。それが今度の条件緩和の一つのみそでしょう。そして、残ってわからぬ分だけは組合の責任だということになれば、今までと何も違わない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/157
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158・庄野五一郎
○庄野説明員 御質問の点でございますが、債権の緩和は、法人貸しの場合は、国と、組合と、それから組合から転借ししております開拓者、三者の契約で引き受け契約をやる、そして個人債務に切りかえていく、そして、法人から個人に対する債務は消えて、国から開拓者に対する直接貸しの形になる。それで、行方不明の分でございますが、その割りました個人の債務を引き受ける者が行方不明になりまして、今のところは引き受け契約ができないわけです。それで、やむを得ず、その分だけは、行方不明になった名前だけはわかっておりますが、その分として組合に残っているわけであります。それは、今局長から説明がありましたように、この場合には処理ができませんから、一応組合の何々、行方不明何々の分として残しておいて、そして、三十五年、三十六年で一切整理がつきましたあとにおいてこの問題について処理をいたしたい、こういうふうな考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/158
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159・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、あとで何とかするというのですね。そこら大体のことを言っておいてもらわないと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/159
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160・伊東正義
○伊東政府委員 その点は先ほどから申し上げておる通りでございます。今管理部長が言いましたが、これは、「三者間の契約をもって」と法律に書いてありますので、三者間の契約ができませんと個人に割当ができないわけであります。従来通り組合の負債として残るわけでございますが、これにつきましては、先ほどから言いましたように、現在まだ解決する段階に至っておりませんので、将来の問題として検討したいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/160
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161・芳賀貢
○芳賀委員 これは、結局、本人が行方不明でいない場合は、やはり国が行方不明者の代理行為をやってそこで片をつけるのが当然だと思うのです。そこまでいかないと、今度残った組合員が金を使いもしないのに行方不明者の分をみんなで分担しなければならぬということになると筋が通らない。やはり、行方不明者の分については、今はっきりできないという気持もわかりますが、それは当然国がそのかわりになってやればいいのです。そういうことでいくべきだと思います。
それから、もう一つ、条件緩和の中で理解できないのは、金利別、年限別にまた区分してあるのです。資金融通法から考えるならば、条件緩和の場合は全部一本にした方がいいのです。何も金利別、年限別にして、しかも加重平均にしてやるということではなくて、とにかく、今残っている特別会計関係の融資金については全部一括して、そうして新しい条件で五年据置・十五年償還なら十五年償還ということにやっていくべきだと思うのです。それがやられていないわけですね。この一本化の点についてはどうお考えですか。
もう一つは、支払い金の終期をそろえるという理由をつけて、一年目が六年、二年目が五年、三年目が四年据置ということで、平均すれば五年で今までと同じで何も有利になっていないということになるのですが、それは、ほんとうに据置期間とか返済年限を緩和して有利にするということになれば、やはり実質的にその償還年限とか据置期間というものを考慮すべきじゃないかと思うのです。この点についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/161
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162・伊東正義
○伊東政府委員 条件緩和をいたしますものは、五年据置・十五年ということで、期限は一本になります。また、十五年というのは、据置期間を置かぬ十五年で、一本になるわけであります。ただし、金利につきましては三分六厘五毛と五分五厘というものがございますので、その点は二本建、しかし、終期につきましては一本でございます。それから、条件緩和をしませんで、ただ口数が非常に多くなっているというものをなるべく簡素化しようということでやったわけでございますが、これは金利は三分六厘五毛と五分五厘と分かれますけれども、期限につきましては加重平均をいたしますので一本でございます。年限別にはなりません。金利別に三分六厘五毛と五分五厘というふうにして残存期間を加重平均しましたので、年限については一緒ということでございます。たとえば、加重平均すれば六年ということになったりあるいは八年ということになったりはしますが、年限でばらばらになるということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/162
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163・芳賀貢
○芳賀委員 終期期間が三色になっているというのは今度の開拓者資金融通法の改正の方です。これは訂正しておきますが、条件緩和の分については金利も年限もやはり一本にしてやっていくべきだと思う。有利な条件の方の三分六厘五毛というふうに統一してやった方がいいのじゃないですか。元金をまけるというわけにはいかないでしょうから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/163
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164・伊東正義
○伊東政府委員 条件緩和の方は年限は一緒でございますが、先生おっしゃいますように、金利は一本になっておりません。おそらく金利まで三分六厘五毛に統一しろというお考えだと思うのでございますが、私どもとしましてもそこまでは考えておりませんので、金利につきましては従来の金利で簡素化していくという建前を考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/164
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165・芳賀貢
○芳賀委員 とにかく、条件緩和法を見ると、非常に長い文章ばかり書きつづって、中身は何にもないのです。今までにちょっと珍しい法律だと思う。あれだけ長文の法律を作って、中身になると、利子と延滞金を元金に加算して払え、それから、貸付金も金利と年限と同じような種類のものだけを一本にまとめる、これで終わっているわけですね。それと個人貸しに切りかえる。そのくらいなら、もう少し簡単な法律ができなかったのですか。どうしてああ長々と書くのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/165
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166・伊東正義
○伊東政府委員 私も若干先生と同じような感じを持つのでございます。実は、農林省の原案で出しましたときは、なるべく法律は簡単にしたいということで、もっと簡単なもので持ち出したのでございますが、いろいろ関係当局と打ち合わせて参ります際に、非常にむずかしい法律論の問題がございまして、はなはだ長い条文になりましたことは申しわけないのでございますが、私どもも、実は、感じといたしましては、もう少し簡単に書けるものならということで簡単に出しましたが、いろいろ法律技術的な問題からこういうことになったようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/166
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167・芳賀貢
○芳賀委員 次に、事務的な問題ですが、法人貸しを個人別に仕分けるという問題とか、金利、年限等の同種類の資金を今度統一化するという考え方は、加重平均の計算をやるということになると、今の振興組合ではなかなかできないと思うのです。これについては事務費の補助金として七千万くらい用意してあるという説明があったが、その程度のことで一体やれるかどうかという問題と、もう一つは、そういう完全な事務処理をやれる職員の適任者がその組合等に現存しておるかどうかという点について、どう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/167
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168・伊東正義
○伊東政府委員 これをやりますのは、実は、組合が主体ということでなくて、国と県とが中心になって仕事を進めていくというつもりでおります。それで、きのう申し上げましたように、事務同等に機械を入れるとか何かいたしまして、なるべく組合には迷惑をかけないようにというようなつもりで、国、県が中心になってやっていきたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/168
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169・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、その統合事務所というのは、各開拓組合は関係の書類を全部そこに集めて、そこで国と都道府県の一切の責任のもとに、証書の作成とか書類の作成というのはやるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/169
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170・伊東正義
○伊東政府委員 組合の統合事務所を作るといいますのは、これは全然目的が別でございます。これは、二十五年度から試験的に、一つ、弱小組合と言ってはなんでございますが、そういう組合の事務所の統合をやって組合活動を活発化していこうということで考えたのでございまして、債権の条件緩和等の関係でこれを考えておるわけではございません。やり方は、これは県の職員、国の職員が組合に出張っていってやるということに実はなろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/170
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171・芳賀貢
○芳賀委員 結局、これを進める場合には、やはり開拓農協の内容の整備強化というものが当然伴ってくると思う。これに対する特別な配慮というものはどういうように考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/171
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172・伊東正義
○伊東政府委員 この条件緩和に関連しまして組合の整備統合あるいは強化ということは実は考えておりませんで、条件緩和をしますれば、むしろ、組合としましては、従来そういう事務が相当繁雑になっておりましたのが、県なり国なりに肩がわりするというようなことになりますので、私は、組合としましては、従来よりはこれが終わりますれば手がすくのじゃなかろうかというように考えております。
開拓農協の整備統合でありますとか、あるいは強化の問題、これにつきましては、実は昨日も御答弁申し上げましたが、総合農協との関係その他もう少し検討いたしまして、これは将来対策を立てたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/172
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173・芳賀貢
○芳賀委員 最後に、開拓者資金融通法の改正点については先ほどもちょっと触れましたが、据置期間を六年、五年に、利率を平均にするということで一応終わっているのですが、もう少し前進的に、実際条件が有利になる方法というものは考えられぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/173
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174・伊東正義
○伊東政府委員 開拓者資金融通法の関係では、御承知の通り、北海道だけにつきまして寒冷地対策資金と均衡をとったという条件の緩和をいたしましたが、全般的な問題としましては、三分六厘五毛をどうするとか、五分五厘をどうするとか、あるいは年限をもっと延ばすとかというようなことは実は考えませんで、基本営農資金につきましては、私はやはり二十年というような期間は一応いいのじゃなかろうかというような考えをとりまして、特に開拓者から要望のありました簡素化、一本化ということだけに実はとどめたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/174
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175・芳賀貢
○芳賀委員 今北海道を見るという話がありましたが、この点もやはり問題があると思う。開拓営農振興法の改正の中にも、災害資金の北海道分には別な条件がついておるのです。それから、開拓者資金融通法の改正の中でも、それぞれ北海道分については条件が有利になっている。これはいいのです。しかし、北海道の地域だけをそういう条件地域にするということには問題があると思うのです。災害の場合なんかは、設備資金とか経営資金等については、内地の農業規模と北海道の農業規模がおのずから違いますから、資金量というものも違ってくると思うし、従来も資金量の点については天災融資法にも北海道の方は特別の条件がついておったが、今度のようにやはり特別会計から出すような資金については、北海道の地域だけというのには問題がある。その開拓の不振状態というものは、北へいくほどはなはだしいというのははっきりしておるが、しかし、内地府県の中にも、この振興組合も相当数ありますし、振興組合の中にも特別の配慮を要する開拓者の諸君も相当数多いわけであります。だから、今度は個人を対象にして貸し付けるということになるわけですが、日本の国内でどこに住んでおっても、やはり苦しい程度は同じだという場合においては、これはやはり同一条件で政府資金を貸し付けるということは必要じゃないかと思うのですが、地域的にそういう限定を置くと同時に、やはり、国内における不振組合の中において、特に政令や省令で、これははなはだしいと認めるような階層に対しては、北海道と同じような条件で貸し出しできるという弾力性は、やはり運用の中でできるようにすべきだと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/175
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176・伊東正義
○伊東政府委員 これは、おっしゃいますように、理論的には問題はあろうと思います。北海道だけ直しましたのは、実は寒冷地対策資金との均衡の問題として実はやったのでございますが、理論的に言いますと、先生のおっしゃいますように、北海道の中でも条件を緩和しなくてもいい人もいるかもしれない、あるいは内地でも条件を緩和する必要がある人がいるかもしれない。これは、実は、所得で考えますか、何かそちらで考えるのがほんとうは理論的には一番正しいと思います。ただ、これを理論的に貫いていきますには、所得別にきめるとかということになりますと、またかなり精細にやらなければならぬ問題もできましょうし、妥協と言っちゃ何でございますが、とりあえず北海道だけを均衡的に直したわけでございまして、内地の同じような問題につきましては、これは先生おっしゃいますように問題もございますので、将来の問題として検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/176
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177・芳賀貢
○芳賀委員 これは問題があるのですよ。小枝さんも御承知のように、去年の寒地農業振興法審議のときに、農林省はこぞって、この寒地農業振興法の大幅修正を阻止するために、開拓者を動員したと言っては大げさですが、北海道の寒地農業より開拓の金融体系を先に改善する必要があるじゃないかということをけしかけたような実例も実はあるわけなんです。ですから、そういうことを思い起こした場合に、北海道の寒地農業を五年据置、二十年償還で五分五厘の融資条件にするということは当然であるけれども、去年のああいう建前から言っても、やはり開拓者の融資については北海道の寒地農業の融資条件というものをもう最低の条件として考えるということをやらぬと、非常に不信を招くと思うのです。こういう点は政務次官、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/177
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178・小枝一雄
○小枝政府委員 この問題は、先ほど局長からもお答えいたしましたように、芳賀委員のおっしゃるように、何か北海道であるがゆえにそういう措置をするということには、私も、異論のある問題だと思います。従いまして、この問題は、この際は間に合わぬといたしましても、今後の問題といたしましては十分検討をする必要があると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/178
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179・芳賀貢
○芳賀委員 以上で、私はこの三法案の問題になる点だけを指摘してお尋ねしたわけです。これは、今後審議の進行状態によって、このままでは済まされないことだと思います。ですから、この点については、一つ答弁のしっぱなしだけで一応答弁ができたからいいというのではない。これがこの法案審議の問題点なんです。これが何とか片づかなければ、なかなか事態がうまくいかぬと思うのです。ですから、それは委員会で修正も当然できるが、先日来当委員会における審議の過程で各同僚委員諸君が指摘した点を大体集約すればこの点だと思うので、政府としても、せっかく三つ法案をお出しになったのですから、もう少し中身のあるようなものにこの機会にしないと、毎年毎年手直しはできないと思う。今私が申しました主要な問題点等については十分政府の立場で掘り下げて検討してもらって、次の機会にもう少し誠実さのある、中身が期待に沿うような見解を披瀝してもらいたいと思います。どうでしょうか、小枝さんにお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/179
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180・小枝一雄
○小枝政府委員 誠意は持っておるつもりなのでございますが、いろいろ委員の皆さんから実情に即した御質問がありました点につきましては、政府といたしましては、可能な範囲におきまして極力検討いたしてやっていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/180
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181・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員長代理 茜ヶ久保君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/181
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182・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 なるべく簡単にいたします。
今まで三法案についての各委員の質問を聞き、さらに政府側の答弁を聞いておりまして私端的に感じますことは、もちろん、今度の三法案、特に条件緩和の法案等を見ると、前よりはいいわけです。けれども、これで現在以上にいろいろな面で苦境に立っておる開拓者がいかほどでも将来に明るい希望を持てることになるかというと、とてもそういうことはできないと思う。答弁を聞いても、農林省としてもこれでいいとは思っていないようでありますけれども、私に言わせると、いいどころか、こういうことでもしも政府が現在を当面の開拓者の苦境に対して糊塗するようなことがあっては大へんだと思う。従いまして、端的にお伺いいたしますが、ここに出されました三法案はほんとの急場のぎりぎりの点であって、今後これに引き続いて現在の既開拓者の現状を何か思い切った対策で救助する、——救助という言葉が当たらなければ、明るい見通しの持てるような施策をやられる決意があるのか。先ほどから聞いていると、何か新しく作られる審議会、農地局長は審議会々々々と言って責任を転嫁されておるようでありますが、芳賀君が言ったように、審議会は作っても、おそらく、今まで政府が作った数多くの審議会で、審議会ができたから問題が解決したということはないわけです。むしろ、それで問題の解決を先へずらして、そして、いつの間にか対象者がくたびれてもう文句を言わないようになったときに審議会が何かやったというようなことになるのが実態です。ところが、ほかの問題はもちろんそれぞれ重要でありますけれども、開拓者の問題だけはそれでは済まぬと思うのです。私はずいぶんあちこち回りましたけれども、今の開拓者の実態というものは、私はたびたびこの席で言っておったのですが、ひどいところになると、残念ながら人間の生活ではないと思うのです。これでよく人間の生活と言えると思うような実態が多いのです。現在の東京あたりの生活を見てみると、私どもは政治家として開拓地に足を入れることができないような責任を感じます。これはただ単に農林省だけの責任ではなくわれわれ政治家の責任だと思う。そういう実態であって、この法案では解決できないと思うが、これはこれとして、一つ政府としてはこの際思い切って抜本的な開拓行政、すなわち今瀕死の状態にあるような、不振というか、どうにもならぬ開拓地に対して、次の段階において、これは一つ世人がさすがにと思うような策を講ずる意思があるのかどうか、この点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/182
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183・小枝一雄
○小枝政府委員 先ほどから委員の皆さんからも御指摘のありましたように、この開拓者の現状は容易でない問題だと私ども痛感いたしております。しばしば申し上げましたように、これが現状を打開して明るい見通しのつくような状態に持っていかなければならぬ、こういう熱意に実は燃えておるわけでございますが、何と申しましても、戦後長い間のこういう問題が累積をいたしまして、いろいろな生活の問題あるいは施設その他の問題を通じて借金の累積し、あるいは現在におきましても所得が伴わないという非常に困難な問題が積み重なっておるわけでございますので、これを一つ一つ解明いたしましてこの問題を解決をしていくということは容易ならざるものでございます。御指摘のように、ただこの三法案を改正し、またそれに対して審議会を設けるというような簡単なことでこれが解決のつくものではないと私どもも考えております。これにつきましては、政府といたしましてはどこまでも熱意を持ってこの目的を貫徹するよう努力をすることが必要でございますが、さしあたり、今回の改正をもって私ども今茜ケ久保委員御指摘のように足れりと考えておるわけではないのでありまして、これは一つの拠点である、端緒であるというつもりで、将来全力を注いで、こういうむずかしい問題でございますけれども解決をしていく方向に努力を進めたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/183
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184・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 努力とおっしゃいますが、開拓者の実情の苦しいことは今に始まったことではないと思うのです。それに、おそらく、緊急開拓の諸君なんか、入った当初から苦しいのです。十何年もの長い間そういう状態に置かれておる。しかも、それが全然改善されないままに、むしろ悪くなる一方の状態なんです。政府は、総理はかわりましたけれども、長い自民党の政治の中にあるわけですが、ほんとうに政府にそれをやるだけ決意と努力があったら、今までに何とかなっていなくてはならぬと思うのですが、依然としてそのままなんだ。私たちは、ここに小枝政務次官の努力しますというだけではやっぱり承知できない。しかも、瀕死の状態で、思い切った処置がなければどうにもならぬ。
それで、農地局長にお聞きするのですが、農地局長はきのう角屋君の質問に対して、不振の原因は立地条件とかあるいは資金とかいろいろな御答弁をされたようですが、もちろん立地条件の悪いところもありましょうし、金のないところもありましょう。しかし、私は、せんじ詰めてみれば、開拓行政というものは政府の責任が非常に大きいと思う。私は、政府の無策無能、しかも無慈悲な処置が今日日本の開拓農業をこのような状態に陥れた一番大きな原因だと思うのです。農業全般に対してそうであります。私は、まことに自民党には申しわけないが、自民党の中には実際農政はないと思っている。農業全般に対する無気力、無施策、その最もひどいのが開拓農地なんです。そこで、私は、もうこまかいことは申しませんが、これはもう何をおいても、融資法もいろいろありましょうけれども、思い切って何十億か何百億かの金を一つぽんと出して、それこそ今まであなた方が考えることのできなかったような対策を講ずる以外にはないと思うのです。緩和法なんか見ても、先ほど芳賀君も指摘したけれども、利息を元金に振り入れるとか、延滞金を元金に振り入れるとか、こんなけちなことをやっていては開拓農民は実際浮かばれませんよ。私は、この際、ああいうものは政府が責任を持って貸したのだから、もちろん中には不良な者もありましょうし惰農もありましょうけれども、多くの諸君は、まじめに真剣にやっているけれども、いわゆる立地条件も悪いし、金もなかったし、裸一貫で満州あたりから引き揚げて帰ってこられて、ほんとうに苦しい実態からやむを得ず当時の政府の指導によって入っていかれたので、従って、むしろ、この緩和法は、緩和するというなら、利息も切り捨て、もちろん延滞金も切り捨てて、できれば元金までも切り捨てるべきだと思うけれども、やはり今まで払った人もありましょうし、その他のこともありましょうから、これは言えぬとしても、この際、利息も切り捨て、もちろん延滞金も切り捨ててやってやれば、幾らかこの緩和法の精神が生かされてくると思うのです。私は、このままでは、この緩和法なんというものは全然緩和にならないと思う。それなら、むしろ、私の責任において、現地へ行って、こんなものは払うな、こんな金は払う必要はないから払わぬでおきなさいと言った方が親切だと思う。そうもできませんから、私どもはやはり、法を守る立場から、こういう法律でも何とか通して開拓者の現状に寄与したいと思っているわけですが、これは私がここで言っても農地局長はそういたしますという答弁はできないことは承知している。しかし、先ほど私が小枝政務次官に申し上げたような思い切った処置というのは、金がないからできないのか、ここで金が幾らかあればできるのか。——残念ながら与党の諸君があまり来ておりません。まじめな倉成君と笹山君しか見えておりませんが、こういうことこそ、与党の諸君が全部集まってこの開拓者の窮状を救うために政府を鞭撻してやるならば、二百億や五百億の金は出てくると思う。そこに私は一つの問題があると思う。これは政府だけ責めても始まらぬ、与党の諸君にうんと責任を持ってもらわなければならぬ、そう思うのだが、現実はいないから仕方がない。これほど真剣な、何十万の農民の人たちの生死の問題を討議している中で、全然与党の諸君がいないということは非常に残念であります。これがやはり政府に誠意のない原因なのか、与党の諸君がほんとうに一致団結して政府を鞭撻すれば、三百人もおる大自民党ができないことはない。こうなるとあまり農地局長に文句は言えぬけれども、しかし、農地局長はやはり答弁する責任がある。その意味で端的にお聞きするが、あなたは農地局長としてそうわれわれほどにはものは言えぬとしても、あなたの考えとして、ここで今この苦しい開拓者に対してどういうことをしたら一番いいと思っているか、決してけちなことではなくて、どういう施策をしたら一番起死回生のりっぱな施策になると思うか、あなたの所見をお聞きしたい。はっきり言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/184
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185・伊東正義
○伊東政府委員 御意見を述べられました中で、だんだん開拓農民が悪くなってくるというお話がございましたが、この点は、われわれがせっかく金をつぎ込みましても全然だめだということではなくて、やはり生産等も上がっておりますので、これはせっかく金を使っておるのでございますから何とか上向きにしたいというふうに考えておりますし、実は若干生産等も上がっております。ただ、現在はちょうど追加投資をしましたような関係のものの負債等が非常に重圧になっておりますし、過去の重圧等も多いのでなかなか苦しいのでございますが、私どもはやはり将来に明るい希望を持って開拓をやっていきたいというふうに思っております。
それで、先生のおっしゃいました、お前どうやったら一番いいと思うかということでございますが、やはり、基本的には、今緊急開拓をやりましたあとで、あの当時は要するに入って自分だけ食えればいいというような形のものでありましたので、これに伴いますところの建設工事等が非常におくれております。たとえば、ここは水田にするのだということで面積をすぐ配分して、水田なら面積が少なくてもいいだろうというようなことでやっておりますところが、なかなか水田ができない、暫定畑でやっているので食えぬというようなところも実は多分にございます。また、最近は非常に酪農等に切りかえて参りましたが、死命を制します道路の問題等につきましてもまだだいぶおくれております。私は、開拓地の営農を安定する大きな一つの柱としましては、やはり建設工事、道路なり水路なりというような問題をもっと積極的に政府としても今後力を入れるべきだというふうに考えます。それから、もう一つの問題としましては、今盛んに、酪農に切りかえますとか、あるいは果樹に切りかえますとか、いろいろなことをやっているわけでございますが、やはり、これに要する追加投資はなるべく計画に沿ってやるということにも努力をしていくべきだろうと思いますが、もう一つ基本的には、間引きの問題がだいぶ出ましたけれども、これなどにつきましても、立地条件の非常に悪いところに入った人もございます。こういう問題になりますと、全部どこかへ出るという問題もございましょう。また、そうでなくても、過去に配分しましたような面積等から考えまして、やはりある程度の再配分というものは必要じゃなかろうか。将来の営農形態との関連でそういうことも必要だろうと思います。ただ、よくするといいましても、とっぴな政策というものは私はそうないのだろうと思います。やはり、今やっておりますことをじみちに、しかしなるべく早くやってやる、計画を達成するように財政投融資なりあるいは公共事業費なりをつけてやるということが一つの大きな問題ではなかろうかと思います。あと、生産物の価格の安定とかいうことは、当然既存の農家と同様の問題でございまして、開拓地なるがゆえにそういうことを考えるという必要もないかと思います。そういう問題にも当然留意しなければなりませんが、先ほど申しましたように営農基盤を作ってあげるということがやはり一番大きな道であろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/185
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186・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 そういうことだと思うのです。そこで、せっかく農地局長はそういうりっぱな構想を持っておられる。私どももその通りだと思う。それができない原因はどこにあるか。これはあなたに個人的にこういうことを言って追い打ちをかけるのはまことに何だけれども、やはり、この問題を解決するためには、今あなたのおっしゃったようなことをやる必要があると思う。そこで、あなたもおそらくそういうことをやりたいとお考えでしょうけれども、具体的には現在できてないわけですね。あなたのそうした構想をやるために、現実にできてないのですからネックがある。そのネックはどこにあるか、あなたがそういうことをやろうとなさったができない理由がどこにあるか、この点お答えができたら聞かしてもらいたい。もしあなたにその答弁が無理ならばあえて聞きませんが、お答えになるあれがあったらお答えをしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/186
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187・伊東正義
○伊東政府委員 方法としては先ほど申し上げた通りだろうと思います。そういう方法に向かって今やっておるわけでございますが、実は、過去におきましてだいぶ入植者の工事その他ができませんうちに人を入れたというようなことがございますので、最近においてもそういう情勢がありますが、私の方としましては、一つ新規のものはなるべく少なくしまして、既入植者の対策に重点をそそぐということで考えているわけでございます。十分でない理由は何だという御質問になりますれば、これはやはり、国の財政全般の問題として、その中で土地改良はどういう分野を占めるか、開拓はどういう分野を占めているのかということから来ているのではなかろうか。これは国全般の問題としましてどこに重点を置いてやっていくかという問題につながる問題でございまして、その辺は先生よく御存じだと思いますので、これ以上答弁しましても同じだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/187
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188・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 そこで、私は、先ほど指摘したように、現在の政治は政党政治でありますから、政党が一つの政策を持ってそれを強力に推進するという場合には、これは政府といえども政党のそうしたものに対しては当然聞くべきものであるし、また、政党即政府でありますから、そこで、やはり——私は農林委員会という委員会に今回出まして、非常に与野党の議員諸君が力を合わして農業の政策に対して非常に親切な行政をやっていることを感じるのですが、それにしましても、与党の皆さん方がさらに力を入れていただけば、その財政的なネックを解決する道が出ると思うのです。これはわれわれの方の問題だと思いますが、きょうここに終始出ていらっしゃる倉成先生あるいは笹山先生に御協力を願って、ぜひ与党の諸君の今後の御協力を願いたいと思う。
そこで、先ほど私が指摘したように、ここで特に緩和法によって利息や延滞金までも含めてやるわけですが、農地局長は、今までですら払えなかった諸君がこの緩和法によって今後スムーズに返還というか支払いができるというふうにお考えであるかどうか、この点一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/188
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189・伊東正義
○伊東政府委員 今まで払えなかった人がこの法律だけで払えるかという御質問でございますが、これは、この法律だけでそういう効果を期待するということは無理だろう、払ってもらえるような条件を作っていくということがこれの大前提なんでございますから、そのほかの建設工事でございますとか、あるいは追加投資というものを従来より以上にやっていきまして、基礎を作っていくことが前提だろうと思うのであります。ただ、従来は、組合単位になっておりましたので、実は開拓者の人々が一体自分は幾ら借りているのかということがどうもはっきりしない。現実に地方へ行って話を聞きますと、そういうことが往々あるので、実は驚くようなことがございます。自分の組合との債権・債務関係は一体どうなっているのかわからぬというようなことを聞くことが往々にしてございます。また、組合へ行きますと、どうも自分はまじめに払っているんだが、ある人はどうも払う余裕があるように思うのに払ってない、であるから自分が払うのはばからしいということを言う人も実はございます。これは事例でございますが、そういうのは組合単位に金融をしていたことの弊害じゃなかろうか。今度は個人々々に債務を分けてみますと、自分の債権・債務の関係もはっきりしますので、その点は若干改善されることはあろうかと思いますが、この法律だけで十分払えるのだということにはならぬで、総合的な施策と相待って初めてそういう効果を得られるだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/189
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190・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 おそらく、今まで払うことのできなかった条件の人がこれで幾らか条件を緩和した、——私どもから言わせるとあまり緩和したとは思いませんが、まあ年限が長くなったとか、あるいは据置期間を置いたとかいうことから幾らか緩和したようにも感じますが、しかし、私は、依然として、今まで支払い不能の諸君が今度のこの法案によって払えるとは限らないと思う。そこで、問題は、今局長が指摘されたように、支払いができるような条件を作ることが大事だと思うのですよ。そこで、とりあえず、前段におっしゃった土木工事ですが、私の見ました開拓地でも、全然四輪車が入ることができないところがあるわけです。聞いてみると、病人ができても、医者が自動車で来ても、えらい下の方でとまって、あとはのこのこ歩いて来るという状態、あるいは病人を下におろす場合でも非常に苦労する、病人が出た場合にはどうにもならぬためにみすみす見殺しにするという実態もあるということを聞くのです。さらに、学校の通学、あるいは農耕についてもですが、一つこういうようないわゆる土木工事等をやはり起こして、一方においては開拓者の農耕あるいは通学その他近くの村落との文通等の便をはかるとともに、一方においては、それによって開拓者の諸君に現金収入の道を与えて、そういうことがひいては政府資金の返済に役立たせるということが、私はさしあたり一番簡単にしかも手っとり早いと思うのですよ。農林省がこれだけの予算と施策をしなければならないのですが、今農林省は開拓地に対してそういうふうな施策をやる具体策があるのかどうか、この点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/190
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191・伊東正義
○伊東政府委員 今先生御指摘の点は、実は農林省で開拓をやっております中で国営開墾地区あるいは代行開墾地区というのがございます。この代行というのは五百数十ございますが、国営開墾地区の中ではどういう工事、代行開墾地区においてはどういう工事というように、地区別にやるべき工事をきめております。先生のおっしゃいますように、開拓の一番大きい問題は道路でございます。その地区別の工事の中でも道路が一番大きいウエートを占めるわけでございます。水田を作ります場合には、もちろん水路、ダムの問題がございますが、そのほかになりますと、ほとんどは道路でございます。開拓の公共事業関係の予算をふやしていくということは、大体そういう水路なり道路なりに使われる予算だというふうにお考えになっていいんじゃなかろうか。ですから、総額をふやしていくということが先生のおっしゃいますようなところに向かっていくというふうにわれわれ考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/191
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192・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 三十五年度予算で開拓地にいくそういった予算は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/192
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193・伊東正義
○伊東政府委員 開拓関係の予算でございますが、公共事業関係では昨年が七十一億使いまして、今年は七十九億になっております。これはそのうちの大部分が開墾建設工事でございまして、先ほど申し上げました国営開墾地区でございますとかあるいは代行開墾地区、あるいはその地区外の開拓道路の問題というような金が大部分でございます。そのほかには融資でありますとかいうようなことをやっておりますが、大部分は、今申し上げましたような、水路を作ったり道路を作ったりあるいは開墾をしたりというのがその金の大部分のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/193
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194・茜ケ久保重光
○茜ケ久保委員 幾らも質問はあるのですが、だいぶ農地局長は苦しいようですから、一応これできょうはやめまして、この次に保留いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/194
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195・丹羽兵助
○丹羽(兵)委員長代理 次会は公報をもってお知らせをすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02219600414/195
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