1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月二十日(水曜日)
午前十一時十分開議
出席委員
委員長 吉川 久衛君
理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君
理事 丹羽 兵助君 理事 本名 武君
理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀 貢君
理事 小平 忠君
今井 耕君 金丸 信君
坂田 英一君 高石幸三郎君
野原 正勝君 松岡嘉兵衛君
松田 鐵藏君 保岡 武久君
赤路 友藏君 足鹿 覺君
石田 宥全君 中澤 茂一君
西村 関一君 松浦 定義君
神田 大作君 小松信太郎君
中村 時雄君
出席政府委員
農林政務次官 小枝 一雄君
農林事務官
(農地局長) 伊東 正義君
委員外の出席者
農林事務官
(農地局参事
官) 庄野五一郎君
専 門 員 岩隈 博君
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本日の会議に付した案件
参考人の出頭要求に関する件
開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第七三号)
開拓者資金融通法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一〇五号)
開拓者資金融通法による政府の貸付金の償還条
件の緩和等に関する特別措置法案(内閣提出第
一〇六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/0
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001・吉川久衛
○吉川委員長 これより会議を開きます。
この際、参考人招致に関する件についてお諮りいたします。甘味資源に関する件、及び韓国抑留漁民の問題について、それぞれ参考人の出頭を求めその意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/1
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002・吉川久衛
○吉川委員長 御異議なしと認め、さう決定いたします。
なお、参考人の人選及び出頭の日時等については委員長に御任願いたいと存じます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/2
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003・吉川久衛
○吉川委員長 次に、開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案、開拓者資金融通法の一部を改正する法律案及び開拓者資金融通法による政府の貸付金の償還条件の緩和等に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行ないます。松浦定義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/3
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004・松浦定義
○松浦(定)委員 ただいま議題になっておりまする開拓三法案の審議につきましては、連日非常に熱心な討議が行なわれております。与党の諸君は特に御出席もいいし、非常に御熱心である。この三法案の終局的な目的というものについて、私は昨日も参考人の意見を聞いたわけでありますが、昨日の参考人の意見は政府としては相当尊重すべきであると私は思うのです。少なくとも終戦後の新しいケースとして開拓行政というものが出て参りまして、日本農業の行き方について、国内の地上・地下資源を中心とした農業行政に対する新しい方針が出されたと思うわけでありますが、その当時から今日まで営々として奥地にあるいは僻地に非常な苦労をしながらこの政府の示した開拓行政によって農業をやり、それぞれの中心になって苦い経験を持っておる方々の意見を聞いた昨日の意見の中では、だれ一人として現在の開拓行政はこれで十分だというような御意見は私どもは聞かなかったのであります。それについてどうかと言えば、政府としてもその通りだというような御発言が今日まで各委員の質問に対して行なわれておるのでありますが、少なくとも終戦後士五年になりますので、農業はもちろん、全体の日本のいろいろ政策的なものが安定をしてこなければな、らぬにもかかわらず、この農業行政はむしろ不安定な方向に向かいつつある。そして、いろいろの御意見の中にありましたように、今の貿易の自由化等が進められまする場合において、一方残されておる農林行政の中で特に開拓行政が行き詰まっておるという一つの考え方から今度の法案の一部改正が出たと私は思うのでありますが、今までの質疑の中から聞いておりましても、どうも、私どもは、開拓行政と一般農業行政というものの関係について、目的は同じであるけれども、その進め方について必ずしもその方向へ向かっていくような問題が出て参らぬ、かように考えておるのであります。戦後の食糧増産のための生産農民といったような立場と、今日ではまた最低の人間生活をするために農民でおれといったような形にしか受け取れないような気がしてならないのであります。少なくともこういう二つの立場というものを今日の農業政策の中からすっきりしたものにするには機械的な法案であってはならないのでありますが、昨日の参考人の御意見をいろいろ政府も直接あるいは間接にお聞きになっておると思うのでありますが、この御意見を聞いて、今日の気持を政務次官並びに農地局長からお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/4
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005・小枝一雄
○小枝政府委員 私は不幸にして昨日の参考人の御意見を聞く機会を得なかったのでありますが、ただいま松浦委員お話しのように、今日のわが国の開拓関係の営農は、入植した時期にもよりますが、一部においては非常に困難な状況にあるということは、われわれも認めておるところであります。また、そういう実情にあることも承知いたしておるのであります。従いまして、これらの問題につきましては、お説のように、農業としての営農に必要なる基本条件をすみやかに整備いたしていきますことも必要でありますし、同時にまた、それらの環境を整備いたしまして、いわゆる生活の上に明るい光明を見出すことのできるような方向に進めなければならぬということは、これはわれわれも全く同感なのであります。従いまして、昨日参考人の方がお述べになりましたことは事務当局でよく伺っておると思いますが、われわれといたしましては、こういう実際に関係のある人たちの声は、これを真剣に聞き、でき得る限りこれを実現するような方向に進めていくべきだと、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/5
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006・伊東正義
○伊東政府委員 私も、農業法人問題かございまして、どうしてもこの話は聞けませんでしたが、あとで課長から話は聞いております。今まで私どもか予算をやります際あるいは法律をやります際に開拓者の方と話し合いましたこととだいぶ重複いたしておるのでありますが、私どもとしましても、今まで諸先生方の御質問が出ました点と、開拓者の方あるいはその他の参考人の方々が述べられた点に大体一致しております。私どもとしましても、最善の努力をしまして開拓者の営農安定ということに努力めたいという気持には実は変わりないわけであります。ただ、ある許された財政のワク内その他で考えることでございますので、今御審議願っておりますことで開拓地の問題が全部解決できるとは考えておりません。これにつきましては、前々お答え申し上げておりますように、やはり基本的な問題がございますので、審議会等で十分御審議願って、三十六年度以降また十分考えたらどうかという考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/6
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007・松浦定義
○松浦(定)委員 ただいまの御発言ですと、毎回予算のたびにいろいろ協議をしながらやっているけれどもというお話でありますが、これは、例にたとえて申しますならば、農民の立場からいけば、古い機械を入れてもらって、それが故障するたびにわずかな予算をもらって故障を直してやっているというようなことで、そういうようなやり方ではいけない。目標に近いような能率を上げたり生産が上がるというようなことは全然考えられないと思うのです。でありますから、そういう古い機械はこの際投げて、新しい機械を入れるといったような考え方がこの開拓行政の中に出てこなければ、今毎年御苦労になっているようなことが実現できないと思うのです。従って、今度は審議会等も作っていろいろ研究し、今までの営農類型の型もさらに一歩前進したようなものを作るというお考え方だと思いますので、その点については非常な努力を私ども期待いたしておるわけであります。
そこで、きのうも意見が出ましたし、参考人に対して石田同僚委員からの御質問がありましたが、この三法の中にはいろいろ問題がありますが、やはり、とにかく農業をやろうということで決意をして入ったけれども、その農業に従事することができないという、こういう追い詰められた問題というものは、私は、何としてもこれは一番最初に取り上げなければならない問題だと思うわけです。それが間引きの問題ということで出て参っておるのでありますが、ちょうど今から四年くらい前に私どもがこの問題を党としても取り上げあるいは道としても取り上げました理由が、今日まで依然としてまだ未解決に近い状態でおるわけなんです。北海道は、御承知の通りに相当集団的な入植もいたしております。しかし、集団でない地帯もあるわけでありますが、大樹町というところに晩成というところがありますが、この晩成に約六十戸くらい集団入植をしたものがあったわけです。これに対していろいろ調査をしてみますと、六十戸でもって一戸平均の生産その他のあれが、ひどいものは十勝の平均農家の五分の一、いいものでも三分の一くらいの状態にしか置かれておらない。従って、六十何戸であるけれども、大体十五戸ないし二十戸程度のものの生活にひとしい収入の中でやっておるという状態なんです。これではいかぬということでこの間引きの問題を取り上げてやったのですが、さて行くということになりますといろいろ問題が出てくるわけです。きのうもお話がいろいろありましたように、今まで持っておった負債をどうするとか、あるいはその行き先をどうするとか、そういう問題があるわけです。これは、やはり、もうすでに事ここまで来ております場合には、そういう点については明確な方針が出されておるだろうと思うわけなんです。従いまして、きょうお聞きしたいことは、そういう間引きをする場合に、過去の負債の問題等をどう処置するかということ。これは、ひどいものはやはり六十万も七十万もあるでありましょう。平均して約二十万ないし三十万もありますけれども、低位生産地の二十万は、今申し上げましたような中央部におきまする農民の生活での約百五十万くらいに匹敵すると私は思うのです。でありますから、そういう負債をそのままにしておいて今後この間引きの問題を解決しようとしましても、続々として跡を絶たないような結果が出てくると私は思いますので、各委員からもお話がありましたが、この機会に、間引きをする場合は優先的に取り扱って、しかも、過去の負債についてどうといったような考え方を持たないで、その人間が他に行った場合にどういう生活をさせるべきであるという点に目標を置かなければならぬと私は思うのです。でありますから、その過去の負債の整理の仕方あるいは移転先、さらに、整理する場合のあとを引き受ける者に対して、その土地をどういう形で引き受けさすかというような点について、いま一度一つはっきりした御方針を承りたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/7
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008・伊東正義
○伊東政府委員 間引きの問題でございますが、三十五年度から始めますのが六百戸というようなことになっております。これは実は試験的にやりまして、その成果を見た上で、計画的には三十六年度以降からやりたいと思っております。それで、間引きでありますが、出て行く人につきましては、離農——全然農業から離れるという人につきましても考えてもいいのじゃないか。あるいは移民する人、あるいはほかに再入植したいというような、おそらく三種の人が出てくるだろうと思います。先生もおっしゃいましたように、移転先と申しますとおそらく再入植の問題だと思うのでございますが、これは全然新規ということの取り扱いにいたしまして、たとえば二十軒集まっておるところが全部出て行くというような場合もありましょう。これは例外的かもしれませんが、あるいは五、六戸固まって出て行くとか、いろいろありましょう。この移転先につきましては、一つ県あるいは道とよく相談をしまして、再びそういうことのないように、なるべく、基本営農数型地区でございますとか、そういうところに入れてあげるということを考えたらどうか。これは県とよく相談をするつもりでございます。扱いとしましても、これは新規入植の扱いにする、また、基本営農資金から考えていくというようなやり方をしていくつもりでございます。
それから、残った人の土地の引き受けでございますが、これは、残りました人が経営規模を拡大するという振興計画をおそらく立てましょうから、それに基づきましてそういう配分をしたい。あるいはそういう場合に土地取得という意味で自作農資金等の世話をしてもいいのじゃなかろうかというふうにも考えて、おります。
また、借財の問題でございますが、これは、おそらくそういう人につきましては補助金を出しまして、あるいはそのほかに土地を売り家屋を売って返せる人は返してもらいますが、そうでない分につきましては、これはおそらく条件緩和の対象になるような人が多いと思いますので、今度の新しい条件の緩和というような方法をとったらいいのではなかろうか。また、離農する人につきましては、これは和解でもいたしまして、長い問猶予期間でもつけていくというようなやり方でやったらどうだろうかというふうに再入植の問題については考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/8
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009・松浦定義
○松浦(定)委員 お話を承っておりますと、なるほどそういう方向に行きそうなふうにも考えられるのですが、実際にその対象になる農家は、今のようなお話ではどうにもならぬということでこういう形になってしまったのです。でありますから、私どもは、やはり、一般の既存農家あるいは開拓者の今日までの者に対して、そういう前例がないとかあるいはまた影響があるとかということにこだわっておられるような御意見もちょいちょいお聞きしたのですが、そういうことにこだわって将来再びそういう人をまた作るようなことになって問題を起こすよりも、多少そういう者には済まないというような気がありながらも、将来そういうものを起こさないということが、そういう人に対するほんとうの考え方だと私は思うわけなんです。
[委員長退席、秋山委員長代理着席〕
でありますから、ただ法案の内容の説明だけでありますと、そういう答弁しか生まれないのでありますけれども、実際現地へ行きまして、やはり、道路もないところ、橋もないところ、掘立小屋に近いようなところでやっておる人のことを見たら、これはもう議論外なんです。でありますから、そういうことも一つ今後はこの改正をするにあたりまして十分運営の面でも考えてもらわなければならないと思うわけなんです。
そこで、私は、この間引きの問題で今回非常に感じたことがあるのです。たとえば北海道庁でそのことを実はどんどんと進めておるわけなんです。先ほど奨励金とかなんとかの形で十万ないし十五万の金を何とかという話だけれども、もう金ではないのです。十万やったから、十五万やったからそれで充実ができるというものじゃないのです。やはり、営農をする、再び新しい地帯に行ってやるという、そういう金にかえられないようなあたたかい施策というものを打ち出していただかないと、十万や十五万の金は今日の段階では半年もしたらなくなってしまうのです。やはり、永遠に残るものをこの機会に与えてもらうということが私は必要だと思うのです。既存農家の非常に苦しい立場はありますけれども、私どもは、やはり、再び既存農家のような苦しい目を開拓者にさせてはいかぬというような考え方から、法改正の中には盛れないが、しかし、盛られなければならないという施策を特段にこの際やってもらいたい、こういうように考えるわけなんです。
そこで、先般私はこれは新聞で見たのですかり、あまりはっきりわかりませんが、たとえば北海道の根室原野でパイロット・ファームを、昭和二十七年からですか、いろいろやっております、あれについては、一戸平均、政府資金並びに自己資金、負債等を含めまして約五百万くらいのものが投資されておるわけなんですが、ちょうど私は参議院におるときにあの法案が出まして、そのときの審議に携わった経験を持っておるわけなんです。当時大坪さんが局長たったのですが、私どもの質問に答えては、これは将来こういう地帯においてこういうケースでやらなければ、日本農業、特に開拓行政というものの見通しはつかないんだ、だから世銀の金を借りてもやるのだ、こういうお話でした。その当時、やはり私は、従来五十年、六十年前から入植しておる、道路を一つ隔てたその区域外の牛を一頭も持たないような農家との均衡をどうするかというようなことをずいぶん話したのです。そういうものがあるからやるんだ、この成積いかんによってはそういうものは出さないようにするんだ、こういう強いあれでもってここに進められておる。ところが、私どもの今聞いておる範囲内では、いよいよ償還期限に入りますと、一年に約二十万以上のものを元利合計で返さなければならぬというような計画になりつつあるという状況を見ましたときに、あの地帯でそういうことは私はとうてい不可能であるというふうに実は考えるわけなんです。でありますから、それだけ金をかけてもそんな結果でありますから、既存の農家は推して知るべきであります。今日この開拓三法を改正するにあたりまして、あのパイロット・ファームというものを全然参考にしないで、あれは別だというような考え方でこの法案の一部修正をおやりになるならば、これは、先ほど申し上げましたような、法案以外の政策に対する農民の不信というものは、これはもう開拓者ばかりでなく、一般既存農家にも当然大きな問題として出てくると思うのですが、この機会に、北海道の根室あるいは青森、岩手にもあるわけですけれども、その実態について概略でよろしいからお聞かせを願い、さらに、それと今申し上げました今後の開拓行政との関係はどういうふうになっていくかということについてお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/9
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010・伊東正義
○伊東政府委員 パイロット・ファームと今度の法律改正の問題等についての御質問でございますが、一般でございますと、前から問題になっておりますものは十八万くらいしか出しておらぬ、最近の基本営農類型地区におきましても二十五万くらいということでやっておりますが、先生御指摘のパイロット・ファームは百五十万あるいは二百三十万というような特別会計からの融資をいたしております。これにつきまして、私どもの考え方は、パイロット・ファームの行き方は、こういうふうに資金を投ずればこういう営農の形態ができるという意味の、ほんとうに文字通りのパイロット・ファームでございまして、今過去の入植の人々みんなをそこの線まで上げていこうということ、あるいはもう一つその間に基本営農類型地区というものがございますが、そこまで上げるということにつきましては、実はいろいろな議論があるところでありまして、今度の三法の立て方としましては、実は、先生のおっしゃいましたパイロット・ファーム、基本営農類型地区との関連でございますが、これは、そのもう一つ前の振興計画を立てているという段階がございまして、その振興計画を達成するという建前で三法をやりましたので、まだ基本営農類型あるいはパイロット・ファームとのつながりまでにはこの三法の考え方では直接には結びついておりません。その結びつきの問題につきましては、これは、先生のおっしゃいますように、いろいろ将来の問題がございますので、私どもは、今御指摘の。パイロット・ファーム、基本営農類型地区と振興計画という問題につきましては、この審議会でどういうふうに考えたらいいかということを十分御議論していただきたいという考え方でございます。
パイロット・ファームの実情でございますが、これはたしかまだ償還期限に入っておりませんので、今のところは所期の目的を達成して、入りました年からかなりの開墾が進みまして、ジャージーも相当入れておりまして、かなりの開墾進度を示しており、私どもは、企業として開拓を考えた場合には、やはりああいう形でいくのが一番いいのじゃなかろうかというふうに思っております。ただ、これが償還期限の問題になりますと、先生のおっしゃいましたように、当初はやはりある程度苦しい期間が続くのではなかろうかというふうに私どもも心配いたしておりますが、しかし、将来の開拓の形としては、ああいうものも当然企業として考えていく必要があるだろうというふうに考えておりますが、はなはだ遺憾ではございますけれども、今度の三法では、そこの段階までいくのにはまだ道は遠いということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/10
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011・松浦定義
○松浦(定)委員 直ちにそれを右へならえでやれるというようなことは実は考えないのです。今の御説明のように、金をかければこういうことができるのだというためにあれをやっているのだということでありますと、それはもう、現在の日本の農業の実態からいきまして、そんなゆうちょうなことは言っておれぬと思うのです。当時にも言いましたように、あれがやはり三億、五億というような金が投資されるのですから、むしろその金を全体の既存農家に充てる、あるいは開拓農家に充てるということの方が先ではないかということを、終戦直後数年の問題でありましたから、そういうことを申し上げておったのです。ところが、十五年たっても二十年たっても今のような形で並行していくならば、あそこへ入った入植者だけは非常にいいのです。それはもうお殿様のような生活をしてやっておるけれども、既存の農家のみじめさというものは一そう酷になってくる。ああいうものがあそこになければ、これはもう住めば都という格言もありますからがまんすると思うのです、仕方がないから。ところが、ああいう近代的なものがあのへんぴなところにできておって、そうして、既存農家の一番苦しい立場にあるというものと対照しまして、それが今の開拓行政の中に何年たってもちっとも入ってこないというやり方で法案を審議して、それでどうだということについては、私どもは賛成ができないわけなのです。もしそうだとするならば、入植者の中へも、この開拓の中で相当苦しんだ、先ほど申し上げました間引きをせざるを得ないような人が優先的にそういうところに入れるなら、私はそれを認める。ところが、御承知の通りに、農業を全然やったことのない人が、三十万の金があることによって、どういう手続きか知らぬけれども入っていった。その次の年から既存農家よりもぐっといい生活をしている。建物にしても、いろいろの立場で優遇されているわけなんです。そうしますと、そこへ入る資格というものは、ただ単なる政府が考えた三十万の金がある人、あるいは府県、町村の申請のあった人、こういうようなことだけでは私はいかないと思うのです。そういう点について、本年の入植の状態の中で私はちょっと聞いたのですが、間引の対象になるような人が相当これへ希望を出したところが、一割も許可にならないということで、これは新聞で見たのですから確実な情報ではないと思いますけれども、それに対して非常に不満の意を表しておる、こういう意見が実はあるわけなんです。それはどういうわけだというと、先ほど申し上げましたように、出ていくには過去の借金がどうにもならない、その整理ができないから三十万という金ができない、それを保証する人もない、従ってその希望がかなえられないといったような、そういう条件下にある人が私は相当多いだろうと思うのです。私が今お尋ねしたいことは、先ほど申し上げましたように、今すぐにそういう地帯のケースをほかへ適用することはできないけれども、将来もそういうどこまでも平行線でいって金さえかければこれでいいのだといったようなケースがそこに進められる限り、私どもはこの制度には賛成できないわけなんです。今千五百か二千人足らずの人たちが入っておる。十数万の開拓者が非常に苦しんでおる中に、依然としてそういう施設を国も認めておるということ自体すらおかしいと思うくらいです。今日の事態としてはやむを得ぬとしても、この間引きの対象になる人に対しては、金の三十万、二十万というようなことは、これはもう選定する場合における条件から言ったら問題でないと思うのです。それは、特例をもって、どういう形ででも、将来この金については負担はするとしても、今それを条件としてその申請に対して討議をしないというような考え方でないようにするべきだ、こういうふうに考えるわけなんです。そういう点が私は一つでもこの法律の中へ盛られたということになるならば、私はこの法律の改正もあえて無意味ではないと思うのですが、そういうことも依然としてできないのでは、先ほど申し上げましたような、古い機械を毎年修理しておるといったようなことになるのであって、そういう法の改正であってはならぬと思うのですが、そういう点について、何か今日までお聞きになったような問題があり、あるいはまた今後もしそういう問題が起こったときにはどういうふうにしようかというような御意見がありましたら、この際お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/11
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012・伊東正義
○伊東政府委員 今、たとえばパイロット・ファームに間引きの対象の人を入れるか入れねかというような御質問でございますが、これは、法律といいますより、運用の問題として解決していったらいいんじゃなかろうかと私は思います。今先生の御指摘になりましたように、営農も何もしておらぬ人を入れるということではなくて、私ども承知しておりますのは、やはりあそこに入る人は大体北海道の人が中心になっておりますが、私行って参りましたときも、営農をしておる人たちがたしか入っておりました。単に金があるというだけでなくて、やはり営農に経験のある、しっかりした人を入れるという方針でやっているつもりでございます。道庁等へも先生御指摘の点は十分注意をいたします。
それから、間引きの人を入れるか入れぬかの問題でございますが、これからの開拓というものは、国もある程度のめんどうを見るが、自分でも携行資金をある程度持ってきてもらいたい。これは、現金ということではなくて、現物で持っていく人もおります。肥料で持っていくとか、そういう人もございます。しかし、当初のねらいは、何とか収入がなくてもある程度食べられるくらいのことは考えておかなければいかぬということで、携行資金の制度も考えておるわけでございますが、先生がおっしゃいましたような、間引きの人に門を閉ざすということでは、これはまたおかしいことになりますから、先生のおっしゃいました注意は十分注意しまして、実際問題の取り扱いに当たります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/12
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013・松浦定義
○松浦(定)委員 ぜひ一つそういうことにしていただきたいと思います。
それから、次に、きのうの参考人の意見にも特にありましたし、角屋委員からの質問の中でも回答があったのですが、この開拓者と既存農家との関係をいつまで続けられるのか、あるいはまた続けねばならないのか。一言で申し上げますならば、開拓者と既存農家とが一本化するといったような方向に向けるために、今の法律の改正、あるいは、たとえば営農類型の樹立につきましてもお考えになっておるのかどうかということが、私どもとしては明確でないわけなんです。終戦直後あるいはその前後の経緯からして、こういう処置をしなければならぬ問題が出てきたことは、これはもうわれわれは認めなければならぬと思うのです。しかし、既存農家と開拓農家とがいつまでたってもこういう機構的にもいろいろな面で対立をしておるといったような、そういう形でやること自体がこの問題をかえって阻害しておるのではないかということでありますので、きのうの参考人の御意見も、できるだけ早く一つ統一合併といったような線にいきたい、しかし、今の形のままでしてくれといっても無理なんだ、負債もあるし、いろいろの力の関係もあろうから無理なんだ、わけても、経済行為をやらないような地帯、あるいはまたやっておる地帯といったようなことで非常に問題があるから、これは何とか政治的に解決をしてもらわなければならぬということはるる説明があったわけです。そういう形からいきますならば、やはり、この開拓者と既存農家というものが、終局的には、目的は農業をもって自分の生活を守るということなのですから、別にその立場をどうこうということではないのですから、こういう点をもうそろそろ政府の方針としても出してもいいんじゃないか。たとえば、町村合併がどういう形で行なわれたかということについては、目的があるわけです。ずいぶん反対はあります。反対はありますけれども、その目的に向かってはやはりだんだんと成果をあげてきつつあるわけです。町村合併の結果は、やはり当然この既存農協の一本化ということも、すでに農林省は御指示をされておりまして、ずいぶんやっておるわけです。私どもは、一町村一組合といったような現在の農協のあ、り方というものは、だんだんと農業がいろいろな意味で圧迫を加えられれば加えられるほど結集をするべきであるというようなことから賛成をしておるわけですが、特に、その機会に、やはり前にやらなければならぬことは、開拓行政と一般農業行政とのこの目的を一つにするための機構の改革といいますか、開協と農協の一体化ということは当然行なわれなければならぬと思うわけです。こういう点について、現在の政府としてはどういうふうなお考えでおられますか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/13
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014・伊東正義
○伊東政府委員 その点は、おっしゃいましたように、開拓といいますと、何か特別な観念を持って、特に既存農家あるいは農協という形との対立というようなことがありますことは、私は非常にまずいと思っております。同じ開拓といいましても、これはやはり農地局だけの問題ではなくて農林省が全部で考えるべき問題でございますし、広くはまた農林省だけではなくて厚生省なり文部省なりにもやってもらうことがございますので、何でも開拓のことは開拓というからの中で解決するのだというやり方は、私も実は反対でございます。過去の歩みを見ておりますと、何か農林省の中にも従来そういう空気があったのではないか。開拓というものは特殊なものである、市町村からも離れていく、市町村の中の異分子だというふうな空気さえ実はあるところもございます。私は、実はそういう行き方には反対でございます。実は、最近は、市町村当局が開拓をやりたいということで申し出のあるものだけについて、市町村開発をやっていくというような方針もとっております。過去のものにつきましては、なるべく早い機会に、できますならば、経済的な問題として既存の農家と融和してやっていけるようなところにつきましては、農協等についても統一をいたしますとか、あるいは開拓農協として農協の傘下に入っていくとか、あるいは開拓農協が既存の農協をリードしておるようなところは、これはまたそれで、開拓農協の名前はなにでありますが、既存の農家を抱きかかえていくというようなやり方で、私どもとしては、一日も早く、既存農家のある程度高いレベルまで、すなわち農業所得だけである程度の生活ができるというところまでには持っていきたいというふうに考えておりますので、特に農協問題等につきましては、これは審議会でも御審議願いますけれども、私どもといたしましても常に気をつけておる問題といたしまして、なるべくそういう先生のおっしゃいましたような対立その他をなくして、経済的に融和してやっていける、また、その方がベターだというようなところにつきましては、なるべくそういう方向に持っていこうと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/14
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015・松浦定義
○松浦(定)委員 そういうお考えについては私も全然同感でありますが、やはり、同じ目的を持って農業をやっておるということになりますと、上から見られるよりも、むしろ下から内部から見た方が非常に矛盾を感ずるわけです。おそらく、開拓者としていろいろ入植された人がどうしてもその土地におれないというような事情は、むしろ集団で入ったところよりも部落に点在して入ったところの人の方が多いと思います。部落に点在して入ったところの人は、その部落で一番いい土地を持っておる。たとえば、北海道あたりでは、耕地防風林というような、従来からだれも手をつけられなかったような残された土地に対して開拓者に入植を許可しておるわけです。そういう土地に入ったら決してその部落の人よりもおくれるようなはずはないわけですが、耕地面積が狭いとかあるいはいろいろな形の中で生産意欲というものが減退して、他の一般既存農家から見たならば、ああいうりっぱな土地を持っておりながらなぜかというような、そういう目をもって見られながら、おることができなかったということは、制度の上から相当欠陥があると私は思います。部落の中で二、三軒点在して入っておりますと、いろいろ会合その他の点についても、やはり別な指令が参りますから、それに対しては別行動をとらなければならぬ。それがやはり一つの経営のいろいろな指導をし合う場合においても支障になるわけです。そういうことで、実際の結果から見ますと、そういう農家が離農をされたあとを付近の二、三男なり力のある農家が持った場合、その生産というものは非常に増大されておる。でありますから、今私の申し上げることは一部の開拓者の成功している人から見るならばこれは当たらないかもしれぬけれども、全体として考えるならば、今局長のお話しになりましたように、こういうこまかい法律をいじるよりは、やはり、農協と開協を一本化するということを町村合併をするような形で政府が打ち出したならば、間引き農家の負債の問題とか、そういうこまかいことは、これは政府の責任か、あるいは合併したところの組合の責任かということで、個人の負担にならないで解決ができるのではないか、私はこう思うわけです。そういう点で、少なくとも町村合併をするといったような、そういう大きな事業が政府でできるのに、農林省の中でこういう問題をかかえて、今局長の言われるように内部の中でも決して、異議はないのではないというような御不満があるならば、今日なお依然としてこういう一部改正をやらなければならぬという状態の中でいつまでもこれを放任すべきものじゃないと思うのです。やはり、今度の農業基本問題の調査の中でいろいろこういう問題にも触れて、そうして早くそういう困った農家の犠牲のないところで大きいワクの中でこれを解決するということになりますならば、必ず既存農家たりとも、その開拓者に対してどういう優遇的な処置をされても、それに対しては何ら異議をはさむところはないわけです。今の形の中でそれをおやりになりますと、やはり、既存農家だって、先ほど申しましたように、パイロット・ファームの周辺における農家はあの制度に対してはどちらかといえば内心は不満を唱えつつあるわけです。そういう形で、これから法案をある程度修正するところもおそらく出てこようかと思いますけれども、この法律の中では今申し上げましたそういう問題は取り上げられぬとしても、考え方としては、この際、さらにまた次の年に一部改正、一部改正といったようなことを繰り返さないで大きな見地からおやりになって、将来農家政策の中で開拓者が今日まで十五年間苦労されたことが一人の犠牲者も出さずして効果があがるという方向でいくことの方がいいのではないか、私はこのように実は考えるわけでありますが、政務次官から、もう一度だけ、こういう方針について今後努力される御用意があるかということだけ一つお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/15
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016・小枝一雄
○小枝政府委員 松浦委員から開拓行政に対しましていろいろ造詣の深い御議論を承りましたが、われわれ農林省当局といたしましても、今日の開拓者の方々を既存農家と同じようなレベルに持っていく、同時にまた、一日も早く一般既存農家と同じような取り扱いのできるようにいたしたいということは、われわれの今日の目標の一つでございます。従いまして、この法案によって審議会も設置していただき、十分、その方法、手段あるいは財政、法律、いろいろな角度からこれを検討いたしまして、ただいまの御所見のごとく、われわれといたしましても一日も早くそういう処置を講ずるようにいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/16
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017・松浦定義
○松浦(定)委員 時間が相当あれでありますから、私は以上で法案審議外の意見として申し上げたわけでありますが、ただ、この三法案につきまして今後最終的な結論を出す場合におきましても、十分そういうことを加味いたしまして、最終的にはどういう形になりますか、いずれ相当大幅な修正も必要であろうかと思いますので、その機会には与野党一本になって開拓者の将来のために少しずつでも前進するような形でこの法案が成立のできることを私どもも意図いたしまして、部内においても努力いたしておりまするので、そういう意味で、今後政府としても十分御協力をしていただきたい、こう考えております。
以上をもちまして私の質疑を終わることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/17
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018・秋山利恭
○秋山委員長代理 石田宥全君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/18
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019・石田宥全
○石田(宥)委員 開拓三法案の審議にあたりましては、同僚各委員からいろいろな角度からもはや質疑はおよそ出尽くしたようでありますが、しかし、なお、間引き対策と営農類型の問題等、根本的な問題がたくさん残されておると思うのであります。要するに、今度の改正案というものは、多年開拓行政について抜本的な対策が主張されてきたにもかわらず、またもや同じようなことを繰り返すことに終わるのではなかろうか。金融対策のごときはまことに高利貸しのような態度で、貸し付けたものをただ先に追い送って、結局は開拓農民からしぼり上げるといったような政策にほかならないと考えられるのであります。おそらく一両年を出ずして再びまたこれが改正案を出さざるを得ないであろうということを私ども憂うるのであります。しかし、今この段階でこの法案をどう修正いたしましても、根本的な対策を変えるというわけには参らないと思いますので、できる限りの修正その他でいくよりほかはなかろうと思います。この法案の内容についてもいろいろ問題点がありますけれども、時間の関係もございまするし、また、法案の修正等についていろいろ懇談の機会もあろうかと思いますので、この際ただ一点だけ伺っておきたいと思います。
それは、せんだって私が資料の要求をいたしましたこの問題について、開拓財産の利用状況という表が配付されました。聞くところによると、政府はこの財産の不要地処分というようなことで処分をされるということでありますが、地方におきましてはこれはなかなか重大な政治問題になっておるようであります。たとえば、私が先般も回ったある地方のごときは、二百町歩ほどの水田と畑が完全にできるという未墾地があるにもかかわらず、旧地主団体が結束いたしまして、農業委員会に圧力をかけて、これを不要地として元地主に扱い戻そうという策謀が行なわれておる。それがために、その地方は非常に貧村であり貧村でありますが、どうにも手が出ない、そういう現地を見て参ったのでありますが、おそらくそういう状態のところが全国各地に散見するのではなかろうか。そういう場合に、なおそれを不要地なりとして元地主に返すというようなことが行なわれるとするならば、これはとんでもないうしろ向きの行政になると思われるのであります。
そこで、この表について若干お伺いしたいのでありますが、ここで総面積五十万七千九百町歩、配分済み四万四千四百九十町歩、この配分済みというものはどういうことでありますか。売り渡しの決定をした分ということですか、あるいは、まだ売り渡しはしないが、配分の予定をしたということでありますか。この点ちょっとはっきりいたしませんのでお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/19
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020・伊東正義
○伊東政府委員 これは、配分計画に従いまして配分はいたしておりますが、まだ売り渡しは終わっておらぬという土地でございまして、これは大体個人にもはっきりわかっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/20
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021・石田宥全
○石田(宥)委員 そういうところが非常に私は危険性がある地域だと思われるのであります。それから、未配分の部分がやはり相当ございまして、未配分の分か合計で四十六万町歩以上になるわけでありますが、その中で八万町歩というものが不要地ということになっておる。未配分というところは、そうすると今のように配分の計画も立たないというわけでありますが、不要地の八万町歩というものが大体どういう性質のところであるか、おわかりになりましたらちょっと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/21
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022・伊東正義
○伊東政府委員 ここに不要地と書いてございますのは、農地法の施行令の十六条でございまして、ここに農林大臣が農地として使用しないといって認定をします場合の規定がございますが、これは、施行令の四条、五条にいろいろ気温でございますとか傾斜とか土性とか土層というような自然条件を規定いたしております。これに該当しない土地は農耕地としてはおそらく不要なところというような認定をいたしておるところでございます。それがこの八万町歩でございまして、実はこういうものの中から年々不要地としまして売り渡しを、今でも過去においてもやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/22
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023・石田宥全
○石田(宥)委員 この不要地と称するそういう標準がございますけれども、これらの点も、農業土木の技術がだいぶ変わってきておるのと、それから、牧草地、牧野としての活用にあたっても、やはりかつての標準を修正して十分利用し得る地域が方々見受けられるわけでございます。そういう点も、むしろ実情に合わせるように、過剰入植の対策や営農類型の確立等との関連において活用すべきであると考えられるのでありますが、ただ、その法律にそういう一定の基準があって、何度以上の傾斜は開墾不適地であるというようしゃくし定木によってこれを不要地として処分をされるということは、私が先ほど指摘いたしましたように、どうしても、農地被買収者問題調査会というようなものが今度設立されることになりますと、旧地主の圧力を特に山村ほど強く受けるわけでありまして、そういうところにおいては、さっき私が指摘したような何百町歩というようなところでりっぱな水田にもなり畑にもなるというところにおいてすら、地方の農業委員会等が踏み切れない、あるいは県もまた強力な指導をやっておらないというな実情にかんがみまするときに、こういうところを法文をしゃくし定木に適用して不要処分にするということは、私は賢明な策ではなかろうと思うのであります。そういう点を再検討せられまして、従来のようなただ法律や施行令に基づいて処分をするというようなことについては、これは慎重を期していただかなければならないと思うのです。そういう点については今までもいろいろな事例があると思うのですが、やはり、従来通りに不要処分をおやりになる御計画ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/23
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024・伊東正義
○伊東政府委員 この点は、先生のおっしゃいましたように、現在は主観的土地条件だけになっておりまして社会経済的な問題等の判断をいれる余地がないのは、私はある程度欠点じゃなかろうかと思っております。この問題につきましては、また、不用地の認定そのものの問題、それから終戦直後に買いましたものの中でまだ全然手をつけておらぬということに対する影響、これがまた新規の開拓をやります場合に新しい土地を取得することが困難になっておる一つの理由にもなっております。われわれとしましては、今先生がおっしゃいましたように、開拓者に使える土地につきましては、これは規定もありますので、もちろんそういうところに分けていくということは考えられますが、それ以外のものにつきましては、ある程度不要地につきましては従来通りの方針で売り払いをしていっていいのではなかろうかというふうな考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/24
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025・石田宥全
○石田(宥)委員 そういうことで一つおやりを願いたいと思うのです。
それから、未墾地質収その他については、法律はそのままになっておるのだが、実は、いろいろな社会情勢で未墾地の買収というものがなかなか行なわれがたい、また、政府が買い上げをしたところであって開墾適地であっても、開墾に手をつけられないというような実情にあるわけでありますが、これに対しては、市町村の農業委員会などは、旧地主勢力の強いところはとうていやれない。二、三年前までは県段階まではかなりその法律を忠実に守っておったようでありますけれども、これもだんだんと後退をして参る。せめて私どもは農林省の農地局関係の諸君に法律を忠実に守るように実は期待しておるわけであります。
次に、開墾適地であるかどうかというような疑問があったりいたしますると、これは地主の方からは訴願が出たり訴訟が出たりしている。ところが、それがなかなか片づかないのです。昭和二十六年ごろの問題がまだ残っているような状況で、私はこれをだいぶやかましく言っているのですけれども、係官が非常に手不足で、ほとんど進行しない。一つの事案が片づくと、それが判例のようなことになってばたばたと片がつくんですけれども、実際なかなか進まないというような状況になっておる。これは人件費の関係や何かも一つの問題かもしれぬけれども、農地局で二年ばかり前は係官が一人しかいない。今度一人半か二人ということになっておるのですけれども、これでは片づかない。何か意識的にその処理をおくらしておるような状況なんです。これはすみやかに対策を考えていただきたい。
もう一つは、今申し上げたようなことで、せめて農林省の農地局にこの法律を忠実に守ってもらわなければならぬのでありますが、府県または市町村に対してややもするとこの法律の趣旨をまげて処理をされておったりいたしまして、私のところなどにも何件か来ているんですが、開墾適地があるにもかかわらず政府はその売り渡しをしてくれないというのがたくさんあるのです。そういうことがせめてなくなるような指導的な対策がこの開墾開拓行政に合わせて立てられなければならない重大な問題だと私は思うのでありまして、その点については、いつも申し上げておるんだけれども、特に早急な対策をお願いしたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/25
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026・伊東正義
○伊東政府委員 今いろいろ問題が出ましたが、訴願の問題につきましては、実は、私も、就任しましてから、先生のおっしゃいますように非常に訴願がたまっておりますので、督励いたさせております。特に香川の土地取り上げ等につきましては最近数十件棄却なり却下しましたというようなことで、これが実は残っております大部分の数を占めております。だんだんそういうふうにやり始めましたが、これにつきましては私も先生と全然同意見でございまして、実は、今度の定員法の改正でも、訴願関係の定員は若干ふやしてもらうというようなことを大蔵省とも話しましたし、現実に、私になりましてから事務局からも人をとりまして、その他いろいろな人の応援を得ましてやっておりますが、おっしゃいますようにまだかなりたまっております。私もなるべくこれは早く片づけるようにいたしたいと思っております。
それから、買収の問題でございますが、私は、価格の問題等についてもやはり検討することがあるのじゃなかろうかと思います。未墾地の価格等につきましても、あまり近傍類地の価格と違っておるということになりますとやはり問題にもなりますし、価格の検討等も実はあわせ考えまして、何とか先生のおっしゃいましたようにうまく事が運ぶようにいたしたい。実は、未墾地買収につきまして訴願等もかなり出て参っております。これは価格の関係につきましても実はかなりございます。それでありますので、価格等も含めて考えまして、先生のおっしゃいましたような未墾地買収なりあるいはまた売り渡し自身も厳正に励行できますように、私なりの努力をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/26
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027・石田宥全
○石田(宥)委員 先ほども申し上げましたように、あとでまたこの法案についての審議の特別の会合もありますし、今度は審議会も発足することになるようでありますから、そういう機会にさらに検討を加えることにいたしまして、きょうのところは、私の質問は以上で終わりにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/27
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028・秋山利恭
○秋山委員長代理 中澤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/28
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029・中澤茂一
○中澤委員 実は、社会党では部会を開いてこの問題を二、三回検討したわけでありまして、相当強い修正意見が出てきておる。政府側の見解として、そういう修正意見に応ずる御意思があるかないかということを政務次官にちょっと御参考までにお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/29
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030・小枝一雄
○小枝政府委員 まだ、私も、どういう点がいよいよ修正されるかというようなことについても検討いたしておらないのでございますが、われわれは、でき得る限りにおいて当委員会の皆さんの御意見は極力尊重いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/30
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031・秋山利恭
○秋山委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405007X02419600420/31
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