1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月二十二日(火曜日)
午後零時九分開議
出席委員
委員長代理 理事 臼井 莊一君
理事 稻葉 修君 理事 木村 武雄君
理事 高見 三郎君 理事 西村 力弥君
理事 長谷川 保君 理事 小牧 次生君
木村 守江君 坂田 道太君
竹下 登君 谷川 和穗君
濱野 清吾君 八木 徹雄君
金丸 徳重君 山崎 始男君
出席政府委員
法制局参事官
(第一部長) 山内 一夫君
総理府事務官
(自治庁行政局
長) 藤井 貞夫君
文部政務次官 宮澤 喜一君
文部事務官
(大臣官房会計
課長) 安嶋 彌君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 内藤譽三郎君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁行政局
行政課長) 岸 昌君
専 門 員 石井 勗君
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三月十九日
義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律案
(金丸徳重君外七名提出、衆法第一九号)
同日
昭和三十五年度公立文教施設予算に関する請願
(池田清志君紹介)(第一二三三号)
高等学校の授業における生徒の編成及び教職員
配置の基準法制化に関する請願(永井勝次郎君
紹介)(第一四四六号)
は本委員会に付託された。
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三月十八日
公立高等学校舎の建築費助成に関する陳情書
(第四〇〇
号)
理科教育振興に関する陳情書
(第四〇一号)
史蹟老蘇森の保存に関する陳情書
(第四〇二
号)
義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部改正等
に関する陳情書
(第四五一
号)
公立小学校屋内運動場建築費及び校地購入費の
二分の一国庫負担の立法化に関する陳情書
(第四五二号)
公立文教施設に対する国庫負担率引上げに関す
る陳情書(第四五
三号)
公立高等学校の増設に関する陳情書
(第四五四号)
公民館施設整備に対する財源付与に関する陳情
書
(第四五五号)
中学校就学生徒の急増に伴う校舎の整備に関す
る陳情書(
第四五六号)
松島タワー建設許可に関する陳情書
(第四八八号)
学校図書館に専任学校司書等の配置に関する陳
情書
(第四八九号)
義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部改正に
関する陳情書(第
五二一号)
学校給食用牛乳の補助単価復元に関する陳情書
(第五四五
号)
義務教育施設の整備充実等に関する陳情書
(第五四六号)
義務教育の推進に関する陳情書
(第五四七号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一
部を改正する法律案(内閣提出第七五号)
学校教育に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/0
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001・臼井莊一
○臼井委員長代理 これより会議を開きます。
委員長が所用のため出席できませんので、その指名により、理事の私が委員長の職務を代行いたします。
まず、高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
本案に対する質疑を終局いたします。
討論の通告がございます。長谷川保君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/1
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002・長谷川保
○長谷川(保)委員 ただいま上程せられておりまする高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案において、今回の改正がここに非常な労苦をいたしまして、約六十万人の勤労学生諸君のために働いておりまする教育者に対しまして、給与の七%程度に対する手当が支給されるようになりますことは、従来から見まして一段の進歩でありまして、私どもはこれに深く賛意を表するのでありますけれども、ただこの定時制学校、通信教育等の現場の実情を見ますと、なおこれだけでは足りないのではないかということを強く思うのであります。
たとえば同じようにこの学校で働いておりまする、政令に定める実習助手のワク外にあります諸君が、実は高等学校を卒業して実習助手となりましても、六年間はなおこの手当がつかないのであります。現場で一番よく働いてくれておりますそれらの諸君に対して、このワクがあることは道理にかなわないと思うのであります。そこでわれわれとしましては、何としてでもこのワクをとっていくべきであるというように深く考えるのでございます。
また事務職員の諸君等におきましても、同じ教育の現場で働いておるこの学生諸君は、勤労のかたわら勉学しているという経済的に非常に恵まれない、またいろいろな事情において勉学の道が非常に困難な諸君でございまして、この諸君が経済的な問題や家庭の問題その他についていろいろ事務職員に相談をし、事務職員がその相談に乗っておる。そのためにまた勤務量が非常に多くなっておるというのも実情であります。しかるに事務職員諸君に対しては、教育職員でないという理由で、一応超勤手当等がつけられることにはなっておりますけれども、その実情を見ますと、東京都のような財政的に豊かなところにおきましても年間五千円程度のワクがきめられておって、それ以上のものは実際に働きましても超勤手当が与えられないということであります。また地方の府県に参りますと、大体三・六%くらいしかっけられておりません。しかるに地方のそれらの県におきましても、県職員には五%くらいのワクがついておるのであります。ひとりこの定時制教育に従っております事務職員諸君だけが不当な扱いを受けておるということがわかるのでありまして、これらの点につきましても将来すみやかに改善の措置が講ぜらるべきであると思うのであります。
用務員諸君におきましても同様、夜間等におきまして、家庭生活を犠牲にしても勤務しておるのでありまして、これらの諸君につきましてもまた考慮すべきであると思うのであります。
従いまして、社会党といたしましては、ぜひとも将来すみやかに、この実習助手の政令によるというワクを取りはずすこと、またここで働いております、不当な取り扱いを受けております事務職員諸君の給与等につきましても十分に検討をして、すみやかに改善をする、こういうことを強く要望いたしたいのであります。
これらの要望をいたしまして本法案に賛成の意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/2
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003・臼井莊一
○臼井委員長代理 小牧次生君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/3
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004・小牧次生
○小牧委員 ただいま長谷川委員からいろいろ御意見の開陳がありましたが、今回の定時制及び通信教育振興法の一部改正法案は、長谷川委員も申されました通り、現状を改正して前進するという意味において私も心からその趣旨に賛意を表するものであります。
しかし、内容を見ますとまだまだこれでは不十分な点が多々あると考えるわけでありまして、これらの点につきましては、これまでの委員会等におきまして、いろいろ当局にも御質問申し上げ、ただいま長谷川委員からもおもなる点についてお話がございましたが、この実習助手を政令の定める範囲内に限定するということについて、私も非常な不満があるわけであります。というのは、実習助手は、文部省がたびたび答弁もされるように、教員に準ずるということではっきり規定をされておる。これは明らかな規定でございます。にもかかわらず、ここに特別の措置をいたしまして、政令の定める範囲内ということで限定をいたしておることは、私は非常な不合理だと考えまして今朝来の理事会におきましても、その限定を撤廃すべきであるということを強く主張をいたしたのであります。今日産業界の待遇その他等を比較考慮いたしましても、またその仕事の内容についても、私はこれは当然の要求であると信じておりまして、近い将来にこういう制限がすみやかに撤廃されまして、実質上教員に準ずるということになっておりますから、そういう待遇が受けられるように、文部省としても措置すべきである。特にこの問題については、産業教育手当の際には人事院の意見を回かなければならないということもある。これははっきりそうなっておるわけであります。こういう点等も考慮いたしまして、今申し上げたことを私は重ねて主張いたしたい。
また、今もお話がございましたが、この法案の中に事務職員がはっきりと除外をされておる。この点については論争はいたしませんが、この法律は明らかに定時制教育と通信教育という二つに限定されておるわけでありまして何もそれ以外に直ちに事務職員の問題に波及することはないと私は思う。事務職員は教育職員とは違うという建前を従来文部省がとっておられることはよく知っておりますが、同じ職場において働いておる同じ勤労者が、一方には手当がついて片方にはつかないということは、その職場の平和その他についても非常な不合理が生まれてくるであろうと思う。私は、こういう点等からも、別途に考えて、ただ単に狭い教育ということにとらわれないで、広い意味の教育に従事しておる事務職員を、定時制と通信教育という仕事に従事しておることに限定をして、他の教職員と同様にこの法律の適用をすべきである、かように考えて、これも先ほどの理事会で強く主張をいたしましたが、自民党の皆さんのいれるところとなりません。この点きわめて遺憾にたえないところでありますが、しかしいろいろ内容を見まして、現状よりはこれは前進するという建前において、私もこの法案には賛成をいたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/4
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005・臼井莊一
○臼井委員長代理 これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/5
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006・臼井莊一
○臼井委員長代理 これより採決いたします。
本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/6
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007・臼井莊一
○臼井委員長代理 起立総員。よって本案は原案の通り可決するに決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/7
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008・臼井莊一
○臼井委員長代理 この際八木徹雄君より発言を求められております。これを許します。八木徹雄君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/8
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009・八木徹雄
○八木(徹)委員 この際、ただいま可決されました高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案に対しまして附帯決議を提出いたします。
その案文を朗読いたします。
附帯決議(案)
定時制通信教育手当について、実習助手に関する政令を定めるに際しては、その任務の重要性と産業界における待遇との均衡にかんがみ、特段の考慮を払うべきである。
以上でございます。委員の皆さんの御賛成をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/9
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010・臼井莊一
○臼井委員長代理 ただいまの八木君の提案に対し御発言がございませんか。——稻葉修君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/10
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011・稻葉修
○稻葉委員 ただいま八木委員から提案されました附帯決議に賛成するものであります。今回の法改正によりまして、わが国の勤労青年教育が物的裏づけをもって一段と前進をいたしましたことは同慶の至りでありますが、本法の改正にあたって、実習助手に関する政令を定めて、これの手当を限定するという趣旨が盛られておりまするが、限定があまり強くなりませんように、なるべく私どもは広い範囲で手当が支給されることを熱望いたすものでありますから、この附帯決議には全面的に賛成をいたします。
先ほどのこの法案の討論の際に、社会党、民主社会党を代表されまして、事務職員についても何らか別途考慮を必要とするという御趣旨に私も賛成をいたすものであります。ただ教育公務員に対する手当であって、事務職員は教育公務員でないという建前をとっておられる文部省としては、別途考慮すると申しましても、この法案についての手当として考慮のしようはないかと思いますが、この法案本来の趣旨が、夜勤手当であるとかあるいは超勤手当であるとかあるいは僻地手当であるとか、そういうものではなくて、勤労青年教育という特殊な困難性と複雑性を伴う教育に関する教職員の手当という一本の柱を現実として立てたという意味であるならば、このときに過重勤務を伴う教育に付随する事務を行なう職員につきましても、別途何らかの方法で、現状における長谷川委員の述べられた不満を打開していく方法をわれわれも講じて参りたい、こう思うのでありますが、この法案についての手当としてはどうしようもありませんので、私どもはその点については附帯決議からは除いたわけでありまして、実習助手に関する手当についてはこの附帯決議を全面的に支持するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/11
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012・臼井莊一
○臼井委員長代理 他に御発言がなければ、お諮りいたします。
八木君の提案に賛成の諸君の起立を願います。
[賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/12
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013・臼井莊一
○臼井委員長代理 起立総員。よって高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案は附帯決議を付するに決しました。
なお、本案決議に伴う委員会報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/13
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014・臼井莊一
○臼井委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/14
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015・臼井莊一
○臼井委員長代理 次に学校教育に関する件について調査を進めます。
質疑の通告があります。順次これを許します。稻葉修君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/15
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016・稻葉修
○稻葉委員 国家公務員、特に特別職の国家公務員について任命をいたす場合、国会の同意を必要とするということが法律上しばしば規定されてありますが、その任命について国会がこれに同意をしなかったという場合には、任命行為の効力はどうなりますか。有効なのか、無効なのか、その点だけをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/16
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017・山内一夫
○山内(一)政府委員 稻葉委員の仰せられた通り、特別職の任命について国会の同意を要するという規定が法律上しばしばございます。これにつきましては、私今全部その規定が記憶にあるわけではございませんが、規定の仕方によって若干取り扱いは異なる場合もあると思いますが、原則としては、私どもの記憶では、国会の同意が得られなかった場合には、当該の任命を取り消すと申しますか、それを罷免をするという規定が自動的にできておるように思っております。ですから、同意がないから直ちに無効というふうにはならないで、その同意がなかったという事実に基づいて、内閣と申しますか、任免権者がそれに拘束されまして、それを罷免をするというふうな、現行法はそういう規定になっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/17
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018・稻葉修
○稻葉委員 そういたしますと、任命行為は国会の同意を条件とする任命行為であって、国会の同意のまだ不存在の場合、国会で議決されない以前の任命行為は、停止条件付任命行為として有効に存続するのか。そうして国会にかけて同意を得られなかった、否決されたという場合に、これを取り消し得べき行政行為なのか。国会の不同意という事実によって無効になるのか。どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/18
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019・山内一夫
○山内(一)政府委員 制度としては、国会の同意を得て任命するという場合と、国会がないときには一応任命しておいて、次の国会に同意を求めるという場合と、制度としては二つ考えられるわけでありますが、前者の場合では、当然無効ということに相なると思います。それから後者の場合におきましても、同意がないということからいきまして、一応形式的には、公務員関係というものを消滅させるために罷免という行為を任命権者としては直ちになすべき責めを負う、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/19
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020・稻葉修
○稻葉委員 ただいまの答弁では、国会の同意を得て任命するという法文の場合には、同意を得ない任命は当然無効、こういうことでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/20
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021・山内一夫
○山内(一)政府委員 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/21
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022・稻葉修
○稻葉委員 そういたしますと、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、これは国家公務員ではなく、地方公務員の任命のことでございますが、第四条に「委員は、」「地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。」こうなっておるのであって、先ほどのあなたの御答弁から推定いたしますと、この場合、議会の同意を得ていない長の任命は、議会の同意の不存在の場合、また明確に不同意という議決の存在する場合も同様に当然無効なのか、どうでしょうか。
〔臼井委員長代理退席、小牧委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/22
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023・山内一夫
○山内(一)政府委員 地方教育行政組織法の場合におきましては、先ほど申し上げた制度のうち同意を求めてから任命するという形式になっておりまするから、同意がない場合には原則としてその当該の罷免行為、この場合に申しますれば、罷免行為につきましては、無効というふうに相なると思います。ただ地方公共団体の長につきましては、国の場合と違いまして、御承知のような専決処分の制度が別個になって残っておりますので、この専決処分に該当する場合があり得るとすれば、その限りにおいて一応有効な罷免もなし得る場合が例外的にないとは申しませんが、問題はその専決処分としてなし得る事態であるかどうかが問題になるだろうと思います。専決処分に該当する事態がなければ、今稻葉委員おっしゃるように、無効ということに相なるのではないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/23
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024・稻葉修
○稻葉委員 長の専決処分に該当するかどうかということの前に、長が専決で罷免をするという法的な根拠は地方自治法の何条なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/24
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025・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 地方自治法の百七十九条であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/25
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026・稻葉修
○稻葉委員 自治庁にお尋ねいたします。百七十九条は長が議会の議決を経て行なうべき権限を持っているあらゆる場合に、議会を招集しても招集に応じないとか、あるいは招集するいとまがない緊急の状態であるとか、そういう場合に同意を得ないで専決する、そういうことができる。その専決した後にもし議会が招集に応じて長の専決処分に同意を与えなかったという場合には、同意を与えない議決が成立したときから前にやった長の専決処分という行政行為は有効に存続しないことになって、無効に帰するのか、あるいは長が取り消さなければ、そのまま有効として存続するのか、どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/26
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027・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 初めの点でございますが、長の専決処分が許されます条件につきましては、ここにそれぞれ要件が列記されてございます。この要件に該当しない場合におきましては、これはやはり違法の問題が起きてくると思います。たとえば議会が成立しない、あるいは再度招集をかけて、なお議会を開くことができない。さらに議会を招集するいとまがない、こういう条件に限定をいたしておりますので、この条件に該当しないという場合に、専決処分で教育委員の選任なり、あるいは罷免なりいたしますると、そこにやはり違法の問題が生じて参ると思います。まだ具体的に問題の御提示がございませんので、私も具体的にお答えいたしませんが、一般的にこういうふうに申し上げておきたいと思います。
もう一つの点でありますが、専決処分をやれば、次の会議においてこれを議会に報告をして、その承認を求めなければならぬということに相なっております。承認を得られないという場合において、その専決処分の効力いかんということは、学者の間にいろいろ議論は一応あるところではございます。一応ありますが、この点につきましては、従来自治庁といたしましては、長きにわたって承認を得られない場合におきましても、その専決処分自体の効力には影響ない。いわゆる有効に専決処分をやった場合においては、承認が得られなくてもその処分には影響をいたさないという解釈で従来きておるのです。この点は実は立法の趣旨といたしましては、たとえば地方団体の長がある種の契約をする、その場合に議会の承認を経なければならないということになっておりますから、それが招集のいとまがないその他のことで専決をやったというような場合に、それに基づいて契約を締結をいたしておりますと、その後になって不承認ということになりますと、相手方、第三者に不測の不利益をこうむらしめるというようなことで、取引の安全性も害されるというような点もございます。そういうような点を排除いたしましたのと、もう一つは、それでは承認を求めるということが無意味ではないかという議論もあると思います。それはそういうことではございませんで、たとえば長におきましては議会にこういう意思が明示されたわけでありますから、その後の行政措置としては、自分のやったことをあらためてそれを改正する、あるいはやり直しをするとか、そういう反省の機会を与えるという大きな意味があるわけであります。さらに長においてそれらの補正の処分をやらない、訂正の措置を講じないというような場合には、議会の意思に反した行為が行なわれたわけでありますから、議会の方で不信任決議を出すとか、そういうようないわゆる政治的な方法、手段というものも講じられていく。それらによっておのずから是正の道が講じられていくことを期待をいたしまして従来の立法の趣旨はそういうふうに相なっており、また私たちの行政指導も従来そういう方針で参っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/27
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028・稻葉修
○稻葉委員 それでは具体的に事案を申し上げまして、百七十九条の専決処分をやるにふさわしい、この条文の要求しておる条件がこの場合には整っていると思われるか、いないと思われるかお尋ねしたいと思います。
事案はすでに御承知かと思いますが、新潟県の北蒲原郡紫雲寺町におきまして学校統合という問題にからんで、町長の意見と教育委員会の意見とが対立をした。町長は途中からかわったのですが、前の町長のときには統合するという教育委員会の議決があり意思がきまって、それから議会も町長もその通り可決をして統合を進めてきたのだけれども、藤塚浜の分校の方で生徒を通わせないということになって、三年来争ってきております。途中で町長がかわりまして、そちらの分校存置の方へよろめいたものですから、教育委員に分校をある程度の期間、三年間ですか、存置をするということにしたいという申し入れをしたのだけれども、教育委員の方では、それはいつ統合されるかわからぬじゃないか、そういう妥協案ではどうも応じられない、こういったら、後任の教育委員のうち三人、一人は教育長ですが、この三人を罷免して、議会を招集いたしましたところが、二十人くらいの議員ですが、五人しか集まらなかった。再度招集をすれば集まったかもしれない。現にその後集まって否決したのですが、集まったかもしれない。ところが一度集めてみて、米なかった。しかも来ないときに、われわれはどうも町長の意見に従いかねるから、私は当分欠席する、こういう個々の申し入れを町長にしたそうですが、町長は、それはいい。否決されてはかなわぬから、欠席してもいいというので、欠席さしておいて、五人上か集まらない、再度招集したって、また集まらないのだ。これは百七十九条に該当するということで、そこで専決処分をやって三人を罷免した。そして罷免した三人の補充を任命する、こういう地方教育行政の組織及び運営に関する法律の四条、七条の「議会の同意を得て」ということの条件を満たさずに百七十九条の専決処分をやったのですが、その専決処分は、ここに書いてある「地方公共団体の議会が成立しないとき、第百十三条但書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会を招集する暇がないと認めるとき、」認めるときというのは客観的な条件が備わらなければいかぬと思うのです。主観的に、長がただそう思ったというだけではいけないと思う。「又は議会において議決すべき事件を議決しないとき」、集まっているけれども議決しないとき、こういうときをいうのであって、ただいま申し上げました具体的な事例については、百七十九条の条件は、どこから見ても整っていないように私は思う。従ってその専決処分は条件が整わざる専決処分であって、無効であると私は思うのですけれども、自治庁の御見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/28
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029・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 今お話のありました具体的な事件のあらましは、なお私たちの方で一応問題もございましたので、県当局を通じて報告を聴取いたしました。その報告事項の概要というものから判断をいたしました場合に、断定的な結論は私どもとしては下しておりませんが、一応大体の考え方を申しますと、これは先生の御指摘になりましたように、この案件の場合は議会が成立しておらないという状況じゃございません。議員さんはみんないるわけですから、議会が成立していない状況にない。さらに再度招集をかけておりません。そういたしますと、これに該当し得ると思われるのは、その次の「招集する暇がない」という場合だけだと思います。しかしこの場合におきましては、諸般の事情から見まして議会を招集するいとまがなかったとは、客観的に見ました場合にどうしても考えられないのではないかという気が強くいたします。従って違法、適法と申しますならば、違法性がきわめて強いのじゃないか。先刻申し上げましたように、もう少しわれわれとしても具体的に調べてみたいと思っておりまして、ここで今これは違法であるというふうに断定いたしますことは、ちょっともう少し時間をかしていただきたいと思いますが、ただ客観的にいろいろ報告を聴取したところから判断をいたしますならば、この専決処分の規定にどうも違反している疑いが非常に濃いのではないかという感じを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/29
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030・稻葉修
○稻葉委員 自治庁にも文部省にも特に御考慮を願いたいのは、事案をよく調べなければ、軽々に、——事実を調べもしないでその専決処分が無効だとか有効だとか、違法だとか適法だとかということをきめるわけにいきませんけれども、一つ御勉強になって——これは児童に卒業証書を出せるか出せないかという問題にも関係してくるのです。去年は出したのです。それは教育委員会と県の教育長と相談の結果、ことし限り出す、来年は必ず統合して正常な教育を受けるようにする。これは正常な教育じゃないのです。その部落で先生を雇って、法的には学校でないところで教育しているようなものですから、卒業証書を出せなかったのですが、去年はそれはあまりひどいからというので、来年必ず統合することを条件にして出すということで出したのです。そういうことがありますから、町長がいくら存置すると言っても、教育委員が去年県との間にそういう申し合わせもあるので、ことしはどうしても統合してもらわなければ困る、こういうことです。ことしももう卒業期が迫って、その辺をどういうふうに打開するか。これは文部省としても、こういう事案が起きましたら、やはり地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十二条の規定に基づきまして、一つ親切に、卒業期を控えまして解決をはかってもらいたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/30
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031・小牧次生
○小牧委員長代理 本日はこの程度として、次会は来たる二十五日午後一時より開会いたします。
これにて散会いたします。
午後零時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405077X00919600322/31
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