1. 会議録本文
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000・会議録情報
本国会召集日(昭和三十四年十二月二十九日)(
火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次
の通りである。
委員長 瀬戸山三男君
理事 鍛冶 良作君 理事 小島 徹三君
理事 小林かなえ君 理事 田中伊三次君
理事 福井 盛太君 理事 井伊 誠一君
理事 菊地養之輔君 理事 黒田 寿男君
綾部健太郎君 一萬田尚登君
犬養 健君 河野 一郎君
櫻内 義雄君 薄田 美朝君
世耕 弘一君 竹山祐太郎君
中村 梅吉君 南條 徳男君
馬場 元治君 濱田 正信君
淺沼稻次郎君 猪俣 浩三君
久保田 豊君 鈴木茂三郎君
三宅 正一君 中村 高一君
水谷長三郎君 志賀 義雄君
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昭和三十五年二月九日(火曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 瀬戸山三男君
理事 鍛冶 良作君 理事 小島 徹三君
理事 小林かなえ君 理事 田中伊三次君
理事 菊地養之輔君
一萬田尚登君 世耕 弘一君
馬場 元治君 南條 徳男君
濱田 正信君 阿部 五郎君
上林與市郎君 田中幾三郎君
志賀 義雄君
出席政府委員
法務政務次官 中村 寅太君
検 事
(大臣官房経理
部長) 大澤 一郎君
委員外の出席者
判 事
(最高裁判所事
務総局経理局
長) 栗本 一夫君
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一月三十日
委員中村高一君辞任につき、その補欠として正
木清君が議長の指名で委員に選任された。
二月三日
委員櫻内義雄君辞任につき、その補欠として吉
田茂君が議長の指名で委員に選任された。
同月四日
委員淺沼稻次郎君、久保田豊君、黒田寿男君、
鈴木茂三郎君、正木清君及び、水谷長三郎君辞
任につき、その補欠として阿部五郎君、上林與
市郎君、坂本泰良君、伊藤卯四郎君、吉川兼光
君及び田中幾三郎君が議長の指名で委員に選任
された。
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二月八日
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第二五号)
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第二六号)
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国政調査承認要求に関する件
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出岸第二五号)
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第二六号)
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二七号)
法務省及び裁判所関係の予算に関して説明聴取
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/0
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001・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 これより会議を開きます。
まず国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。すなわち、裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政等の適正を期するため、本会期中において、裁判所の司法行政に関する事項、法務行政及び検察行政に関する事項、国内治安及び人権擁護に関する事項、以上の各事項につきまして、小委員会の設置、関係各方面より説明聴取及び資料の要求等の方法によりまして国政調査を実施することとし、規則の定めるところにより書面をもって委員長から議長に対しその承認を求めることといたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/1
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002・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/2
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003・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 次に、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/3
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004・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 各案について順次提案理由の説明を聴取することといたします。中村法務政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/4
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005・中村寅太
○中村政府委員 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して説明いたします。
政府は、人事院勧告の趣旨にかんがみ、一般の政府職員の給与の改定を行なうこととし、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出し、御審議を仰いでおりますことは、御承知の通りであります。この裁判官の報酬及び検察官の俸給に関する両法律案は、一般の政府職員の給与の改定に伴い、一部の裁判官及び検察官の報酬または俸給の各月額を改正しようとするものであります。以下改正の要点を説明いたします。
まず第一に、一般の政府職員については、中級職員の給与の改善を行なうことといたしておりますので、月額三万円以下の報酬または俸給を受ける裁判官及び検察官につきましても、これに準じてその報酬または俸給の各月額を増額しようとするものであります。
第二に、判事、判事補及び簡易裁判所判事並びに検事及び副検事につきましては、さきの改正によりまして暫定手当の一定の額が報酬または俸給の各月額に繰り入れられ、百円未満の端数を生じておるのでありますが、今回、一般の政府職員について俸給表を整備し端数の整理等を行なうことといたしておりますので、これに準じて右に述べました裁判官及び検察官の報酬または俸給の各月額について百円未満の端数を切り上げる等の措置を講じようとするものであります。
この改正は、一般の政府職員の場合と同様、昭和三十五年四月一日から施行しようとするものであります。
以上が裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
…………………………………
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。
この法律案の改正点の第一は、第一審特に地方裁判所における訴訟の適正迅速な処理をはかる等のため、下級裁判所の裁判官の員数を改めることにした点であります。
政府におきましても、つとに第一審の充実強化のため種々努力を重ねて参り、その第一歩といたしまして、去る昭和三十二年以来、判事補の職権の特例等に関する法律の一部改正及び前後二回にわたる裁判所職員定員法の一部改正により、第一審における裁判官の充実のための措置をとりましたことは、すでに御承知の通りであります。このたびの改正は、この第一審充実強化方策の一環といたしまして、特に裁判官の負担が過重となっている地方裁判所における訴訟の適正迅速な処理をはかるとともに、この際地方裁判所と簡易裁判所との間の事件負担の均衡、裁判官の欠員の状況等を勘案して、裁判官の定員構成を実情に即したものとするため、さしあたり人員確保の見通し等を考慮した上、判事の員数を五十人増加するとともに、簡易裁判所判事の員数を三十人減少しようとするものであります。
改正点の第二は、裁判所における事件数の増加、諸設備の拡充、整備等による事務量の増大に伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を改めることにした点であります。家庭裁判所におきましては、去る昭和三十一年以来、家庭に関する事件の審判または調停で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対してその義務の履行を勧告し、または命令する等の制度が実施されるようになったこと、並びに近年少年の保護事件がますます増加の傾向にあること等に伴いまして、これらの事件の処理に必要な調査等の事務をつかさどる家庭裁判所調査官の事務量が署しく増大して参りましたので、その数を増加する必要があるものと考えられるのであります。また、地方裁判所及び家庭裁判所における諸設備の拡充、整備に伴いまして、諸般の労務等に従事する用人の数を増加する必要が生じました。このたびの改正は、これらの必要に応ずるため、裁判官以外の裁判所の職員の員数を八十三人増加しようとするものであります。
以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/5
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006・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 この際、国会法第七十二条の規定による最高裁判所の長官またはその指定する代理者の出席説明に関する件についてお諮りいたします。
今会期中におきまして、本委員会の審査または調査に関し、最高裁判所の長官またはその指定する代理者から出席説明の要求がありましたとき、その承認に関する決定につきましては、そのつど委員会に諮ることなく、その取り扱いを委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/6
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007・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/7
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008・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 これより法務省及び裁判所関係予算につきまして、当局より説明を聴取することといたします。
まず第一に、法務省関係予算について、大澤経理部長より説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/8
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009・大澤一郎
○大澤政府委員 例によりまして、昭和三十五年度法務省所管予算の内容につきまして、その概要を御説明申し上げたいと思います。
昭和三十五年度の法務省所管の予定経費の要求額は二百八十六億九千七十九万三千円でありまして、これを前年度の予算額二百六十五億四千百三十一万一千円に比較しますと二十一億四千九百四十八万二千円の増額となっております。増額分の内訳を大別いたしますと、第一は、人件費関係の十七億五千五百三十七万二千円でございます。第二は、営繕施設費の一億三千八百十八万八千円でございます。第三は、その他一般事務費としての二億五千六百二万二千円となっております。
この増減の詳細につきましては、別途御手元に差し上げてあります資料「昭和三十五年度予算査定額主要科目別分類概要」に基づきまして御説明申し上げたいと思います。
まず第一の、人件費の十七億五千五百万円でございますが、これは昨年七月の人事院勧告に基づきます夏季手当〇・一カ月分増額支給に伴います職員特別手当及び中級職員等の給与改善に伴う所要経費並びに昇給等に要する職員俸給等が増額されたものが大部分であります。
なお、人件費に関連いたしまして、三十五年度は定員職員二百名の増員がなされております。
その内訳について簡単に申し上げますと、第一に、法務局の百四十二名の増員でございます。これは法務局における主要事務の登記、台帳事件が逐年増加の一途をたどり、昭和三十四年度では登記、台帳事務の一人当たり処理件数が八千件を上回る状況で、もはや能力の限界を越えるものであり、よって実際には地方公共団体、農業委員会、司法書士会等の外部の応援によって辛うじてまかなわれている状態であります。今後事件数は上昇するとも下回ることは考えられない状況からいたしまして、職員の超過勤務による執務強化、事務の簡素化、機械化等による能率化をもってしても処理し得ない実情にありますので、かかる事態に対処し、登記事務の迅速化、適正化をはかるための増員であります。
第二に、検察庁における検事十名の増員でございます。
これは著しく当事者主義化した現行刑事訴訟法のもとにおいては、公判審理の促進は、検察官の立証活動の迅速化、活発化に負うところがきわめて大であります。しかるに、現在の検事の数をもってしては、裁判所の部の増設等に対応する十分な公判要員が得られない実情でありますので、公判準備に万全を期することができず、立証活動も必ずしも満足に行なわれているとは言いがたく、これを充実させるためには捜査事務を犠牲にする結果ともなりますので、これがため捜査能力の低下を来たしますときには、最近の犯罪情勢特に青少年犯罪の増加に対処し、適確な処理を行なうことがいよいよ困難となりますのみならず、捜査不十分による公判の紛糾、遅延を来たすという悪循環に陥ることになるので、かかる事態に対処し、公判審理の迅速化、充実化をはかり、あわせて捜査事務の弱体化を防止するための増員であります。
第三は、少年院の教官二十五名の増員でございます。最近における青少年の非行化の傾向は、少年院にあって被収容少年の人員の増加とその質の悪化という現象を呈しておりまして、これに対する教化活動はいよいよその重要性を増加しておりますにかかわらず、これら少年を教育する教官は、人員の不足から、この実情に対処する十分な教化活動を期待し得ない状況にあります。少年の反社会性を矯正するには、教官のしんぼう強い訓練に待たなければならないのであります。かかる事態を解決し、効果的な補導教化をはかるための増員であります。
第四は、東京入国管理事務所羽田空港出張所の事務量増加に伴う入国審査官十五名の増員であります。羽田空港における出入国者数は急激に増加しており、たとえば昭和三十年には一日平均三百五十三人でありましたのが、昭和三十三年には一日平均六百四十五人を数える状況であります。しかも各航空会社のジェット機使用により、この出入国者数は総体的に飛躍的に上昇するのみならず、一時点に集中することが推測されます。かかる事態に対処し、適確、迅速な出入国管理を行なうための増員であります。
第五は、人権擁護局における三名の増員であります。人権擁護局の定員は、現在局長以下十三名にすぎないため、調査事務に渋滞を来たしており、ひいては国民の人権に重大な影響を及ぼす結果ともなりかねないため、かかる事態に対処し、人権侵犯事件調査の迅速化、適正化をはかるための増員であります。
第六は、司法試験法改正と司法試験の事務量の増加に伴い司法試験の円滑適正な実施をはかるための五名の増員であります。
以上が増員の概要であります。
次に、一般事務費の増減の内容について御説明申し上げます。総体で二億五千六百万円の増額となっております。これは一言にして申し上げますと、主として事務量の増加等にスライドして増額されたものであります。内容的には、前年度予算編成方針と同様三%ないし五%の節約が標準予算経費を除きまして課せられましたため、前年度に比較し減額になっているものもございます。また、反対に新規に増額されたものもございます。そこで簡単に別紙資料の順序に従い、科目別にその増減の内訳について御説明申し上げてみたいと思います。
第一に、旅費関係でございます。総額としては一千二百三十六万六千円の減額となっております。しかし、増額となったものもございまして、三十四年度より実施いたしております現行の不動産登記制度と土地台帳及び家屋台帳の一元化作業にあわせ計量法施行法の規定による不動産登記法、土地台帳及び家屋台帳の面積の表示を書きかえる作業を三十五年度より本格的に実施するにあたりまして、それに要する関係旅費で一千三百六十万円、また、在日朝鮮人の北鮮帰還に伴う業務処理に要する旅費として五十万円等が新規に、それぞれ増額されますとともに、それに検察庁における直接検察活動に要する検察旅費、保護観察所における被観察者等を観察補導するに要する補導援護旅費、及び国籍関係調査旅費、人権擁護委員旅費等が事件数の増加に伴いそれぞれ増額されておりますが、それに対し、前年度限りの経費として計上されておりました参議院議員並びに地方議会議員選挙に対する選挙取り締まり旅費及び刑務所における収容予定人員の減に伴う護送旅費の減額及び先ほど申し上げました節約による減額等がありましたため、総体として一千二百万円の減少となったものであります。
第二に、庁費関係でありますが、これは総額で、一億二千三百三十六万六千円の増額となっております。増額のおもなものは、まず第一に、法務局における不動産登記制度と土地台帳及び家屋台帳制度の一元化等作業に要する用紙代等として五千九百万円、及び事務能率器具購入費として五百万円が増額されております。
第二に、刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院の収容者に対する処遇改善の一環といたしまして、収容者に給与いたしますところの日用品の単価の増額をはかりましたほか、少年院については一日収容予定人員で六百人、少年鑑別所で二百人の収容増加を見込んでおりますので、その人員増に伴います経費の増加分等を含みまして五千二百万円の増額がなされております。
第三が、在日朝鮮人の北鮮帰還業務処理に要する経費として三百万円が増額されております。
第四が、旅費関係と同様、事務量の増加に伴う分といたしまして、登記関係庁費その他が増額されており、その金額が六千九百万円ほどになっております。
以上の増額に対しまして、参議院議員等選挙取り締まり庁費、及び昨年行なわれた外国人登録証明書の大量切りかえに要しました経費がそれぞれ前年度限りの経費として減額されたほか、節約等による減額がありましたため、差し引き総体として一億二千万円が増額になったという次第であります。
第三に、その他といたしまして、取り扱い件数の増加にスライドしまして、保護司実費弁償金、刑務作業原材料費、収容者作業賞与金及び都道府県警察実費弁償金等がそれぞれ増額になっております。また、最近の公安情勢を考慮いたしまして、公安関係の調査活動費が増額されております。これらを合計しまして一億四千五百万円の増額と相なるわけであります。
第四といたしまして、営繕費の一億三千八百十八万八千円の増額がございます。営繕費についてはこのほか官庁営繕費といたしまして建設省所管に三億三千三百四万八千円が計上されております。これも前年度に比較いたしまして、七千五百六十六万円の増額となっております。
以上簡単ながら増加額の内容について概略申し上げて参りました。
次に、三十五年度予算におきまして新規に予算の計上を見ました事項について御説明申し上げたいと存じます。
第一に、非行青少年対策の一環といたしまして、本省刑事局に青少年課を新設するとともに、前に申し上げました検事及び少年院教官の増員等によりまして、その機能の強化、充実をはかることになっております。
それにあわせまして、保護会に収容保護するにあたっての更生保護委託費のうち、食事つき宿泊費の単価を三円五十銭増の八十五円に改訂いたし、その内容の充実化をはかるとともに、新たに全国百四十五カ所に青少年担当保護司を一カ所に二名ずつ配置することによりまして、青少年の補導援護の強化を期することになりました。それに要する特殊勤務保護司の実費弁償金といたしまして一日三百円、月五日、合計五百二十二万円が新たに計上されておるのであります。
なお、このほか青少年対策の経費といたしまして、検察庁関係においては、対策資料作成費及び精神鑑定謝金等として二百二十万円ほどの増額がなされております。また少年院においては、日用品単価の増、施設管理維持経費の増額を行なうとともに、映画演劇等教育謝金の増額によりその処遇教化面の改善、充実化をはかっております。
第二に、本年五月東京において開催を予定されております刑法における人権擁護に関するアジア地域ゼミナール会議の運営に要する経費といたしまして、二百十三万七千円が新たに増額されております。
以上、法務省所管歳出予算について概略御説明申し上げました。
なお、このほか名古屋刑務所及び福岡刑務所の移転に伴う施設取得にかかる総額十五億五千万円の国庫債務負担行為を要求いたしております。
終わりに当省主管歳入予算について、一書御説明申し上げておきたいと思います。昭和三十五年度法務省主管歳入予算額は六十四億六千八十六万五千円でございまして、前年度予算額六十億四千百二十一万六千円比較いたしますと、四億一千九百六十四万九千円の増額となっております。その増額のおもなものは、罰金及び没収金並びに刑務所作業収入でございまして、過去の実績等を基礎として算出されたものでございます。
以上をもって法務省所管昭和三十五年度予算についての説明を終わります。よろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。
…………………………………発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/9
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010・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 次に、裁判所の予算につきまして、最高裁判所栗本経理局長より説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/10
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011・栗本一夫
○栗本最高裁判所長官代理者 昭和三十五年度裁判所所管の予算につきまして御説明申し上げます。
第一に、昭和三十五年度裁判所所管予定経費要求額の総額は百三十八億三千三百九十三万円余りでありまして、これを前年度予算総額百二十三億九千五百万円余りに比較いたしますと、差し引き十四億三千八百六十四万円余りの増加になっております。この増加額の内訳を大別して申し上げますと、まず人件費において十億三千六百万円、それから裁判所庁舎の新営補修等の経費において二億五千万円、裁判に直接必要な経費、つまり裁判費において一億百万円その他、一般司法行政事務を行なうために必要な旅費、庁費等におきまして五千七十万円となっているのでありまして、この合計が前述の増加額となるのであります。
次に、昭和三十五年度予定経費要求額のうち、おもな事項について御説明申し上げます。
まず営繕費でございますが、これは裁判所庁金の継続工事二十二庁、新規工事十五庁の新営工事費として十億五千万円が計上され、そのうち東京地方裁判所刑事部庁舎の新営工事費分といたしまして、五億五千万円であります。その他法廷の増築、裁判所庁舎の補修等の施設整備費として一億三千万円、営繕費として二千四百三十一万円、合計十二億四百三十一万二千円が計上されました。
なお、このほかに、実質上の営繕費として、裁判所書記官研修所施設取得のため四億五千万円を限り、昭和三十六年度において国庫の負担となる契約を昭和三十五年度に結ぶことが認められました。
次に、訴訟の迅速適正な処理に必要な経費でございますが、第一審の裁判を強化し、裁判の適正と事務能率の向上をはかるための経費として、まず判事二十人を増員するために必要な人件費二千七百万円余り、訴訟促進協議会出席旅費等として五百二十一万円余り、書記官等の超過勤務手当として九百八十八万円余り、自動車二十台の購入費として千五百万円余り、事務能率器具、図書及び資料印刷費等といたしまして、一億三千九百万円余り、合計一億九千六百九十二万円余りが計上されました。
なおこのほか、簡易裁判所判事から判事へ三十名の組みかえが認められました。
次に、裁判費でございますが、これは、裁判に直接必要な経費でありまして、国選弁護人の報酬、証人、鑑定人、調停委員等の旅費、日当、その他裁判に直接必要な旅費、庁費等として十四億九千二百万円余りが計上されました。
次に、裁判官等の待遇改善費でございますが、これはまず裁判官の管理職手当は前年度三百八十二人のほかに新たに百二十七人が増加いたしました。合計五百九人分が認められるとともに、このうち八十七人につきましては、支給率が一二%から一八%に増額されました。その経費として六千九十四万円余りでございます。
次に、裁判所書記官及び家庭裁判所調査官の俸給の調整を、現行の八%から一六%に増額するための経費といたしまして、一億九百万円余りがそれぞれ計上されました。
次に、家庭裁判所の整備充実に必要な経費でございますが、これは家庭裁判所の事件の処理の適正円滑をはかるため、家庭裁判所調査官二十人の増員及び家庭裁判所調査官補から家庭裁判所調査官への三十人の組みかえが認められました。この費用は合計千五百七十六万円余りとなっております。
次に、調停制度の充実強化に必要な経費でございますが、これは調停委員の日当が現在四百四十円でございますのを四百八十円に増額され、これに必要な経費は二千八百六十一万円余りとなっております。
それから、調停制度及びその運営に関する研究、調停委員の知識の向上、調停制度の普及徹底等を目的とする日本調停協会連合会の事業を助成奨励するための補助金として六百七十九万円が計上されました。
以上が昭和三十五年度裁判所所管予定経費要求額の大要でございます。何とぞ慎重御審議のほどお願いいたしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/11
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012・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 質疑がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/12
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013・志賀義雄
○志賀(義)委員 質問ではありませんが、法務省に伺います。先ほどの御説明の中で、特に法律に規定された名称がありますね。たとえば破壊活動防止法というのがありますね。それに対する調査費用というものは——この資料の四枚目の二の項目の中に反民主主義活動対策経費というのがあります。反民主主義というのは法律のどこに根拠を置かれてこういうことを書かれたのですか。破壊活動防止法の中にはそういう文句はありませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/13
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014・大澤一郎
○大澤政府委員 ただいま御指摘のように、反民主主義活動というのは法律的用語ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/14
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015・志賀義雄
○志賀(義)委員 ないのをなぜここにお書きになったのですか。予算というものは法律に基づいて要求しなければならないものでしょう、これはどこから持ってこられたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/15
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016・大澤一郎
○大澤政府委員 通常の言葉で使用したのでありまして、法律の各科目の中ではさような言葉は使っておらないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/16
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017・志賀義雄
○志賀(義)委員 それをどうしてここで使われたのですか。あなた方法務省の間の通用語ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/17
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018・大澤一郎
○大澤政府委員 この資料の主要事項の予算についての御質問と思いますが、一の青少年非行防止経費というのも法律上の言葉ではございません。これにつきましては補導援護に伴う旅費、庁費というのは予算上の言葉でございまして、通常青少年関係の非行、犯罪関係に要する経費というものを青少年非行防止経費というような形で慣用しておりますので、その意味で使いましたので、他意はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/18
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019・志賀義雄
○志賀(義)委員 きょうは別にここで質疑応答をやろうというのじゃないのです。説明を伺っておくのですから、本舞台はこの次からになりますけれども、非行というのはよく新聞なんかにも出て、非行少年とかいってこれは今の社会通念でも通る言葉です。反民主主義というのは、マッカーシズムの関係で非常に微妙な言葉でしょう。そういうものをそのままこういうところに書かれると困るのですよ。帰って一つ相談して、この次説明できるようにしておいて下さい。きょうはそれだけ申しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/19
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020・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00119600209/20
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