1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年二月十六日(火曜日)各会派割当数
変更後の本委員は、次の通りである。
委員長 瀬戸山三男君
理事 鍛冶 良作君 理事 小島 徹三君
理事 小林かなえ君 理事 田中伊三次君
理事 福井 盛太君 理事 井伊 誠一君
理事 菊地養之輔君 理事 田中幾三郎君
綾部健太郎君 一萬田尚登君
犬養 健君 河野 一郎君
薄田 美朝君 世耕 弘一君
竹山祐太郎君 中村 梅吉君
南條 徳男君 馬場 元治君
濱田 正信君 吉田 茂君
阿部 五郎君 猪俣 浩三君
上林與市郎君 坂本 泰良君
三宅 正一君 吉川 兼光君
伊藤卯四郎君 志賀 義雄君
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昭和三十五年二月十六日(火曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 瀬戸山三男君
理事 小島 徹三君 理事 小林かなえ君
理事 田中伊三次君 理事 福井 盛太君
理事 井伊 誠一君 理事 田中幾三郎君
綾部健太郎君 高橋 禎一君
竹山祐太郎君 南條 徳男君
濱田 正信君 坂本 泰良君
伊藤卯四郎君 志賀 義雄君
出席国務大臣
法 務 大 臣 井野 碩哉君
出席政府委員
検 事
(民事局長) 平賀 健太君
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二月十六日
委員河野一郎君辞任につき、その補欠として高
橋禎一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事黒田寿男君同月四日委員辞任につき、その
補欠として田中幾三郎君が理事に当選した。
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二月十二日
不動産登記法の一部を改正する等の法律案(内
閣提出第四九号)
同日
鹿児島地方法務局喜入出張所存置に関する請願
(上林山榮吉君紹介)(第六八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
不動産登記法の一部を改正する等の法律案(内
閣提出第四九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00319600216/0
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001・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 これより会議を開きます。
この際お諮りいたします。現在理事が一名欠員になっておりますので、その補欠選任を行ないたいと存じます。
これは、先例によりまして委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00319600216/1
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002・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは田幾三郎君を理事に御指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00319600216/2
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003・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 次に、不動産登記法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00319600216/3
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004・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 まず国務大臣から提案理由の説明を聴取することといたします。井野法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00319600216/4
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005・井野碩哉
○井野国務大臣 ただいま議題となりました不動産登記法の一部を改正する等の法律案につきまして、提案の理由を説明いたします。
現行制度におきましては、不動産の権利関係を明確にする公簿すなわち登記簿と権利の客体である不動産自体の現況を明らかにする公簿すなわち土地台帳及び家屋台帳とが分離しておりますため、ひとしく登記所において所管いたしております登記制度と台帳制度がそれぞれ別個の制度になっているのであります。しかしながら、この二つの制度は、相互に密接不可分の関係にあるのでありまして、本来ならば不動産登記簿だけで不動産に関する権利関係のみならず、権利の客体である不動産の現況をも明確にすることができるような制度に改めることが望ましいのであります。
このように現行の登記制度及び台帳制度はそれぞれ別個のものとなっておりますため、これらの制度の利用者は、同一内容の台帳申告と登記申請とをしなければならないほか、台帳と登記簿の両者について閲覧、謄抄本の交付申請を必要とする等二重の手数と費用の負担を余儀なくされ、他面、登記所におきましても、不動産の現況に関する事項につきましては、台帳と登記簿の両者に同一内容の記載をする等、二重の手続をしなければならないため、これが一因となって登記所の事務負担を過重ならしめ、ひいては登記事務の適正迅速な処理に支障を来たしているのであります。
さらに、現行の不動産登記法は、明治三十二年の制定にかかるものでありまして、これまでも数次にわたって改正が行なわれたのでありますが、従来の運用の実績に照らし、規定の不備と思われる点がなお少なくなく、これらの規定を改めて登記手続を整備するとともに、その合理化及び簡素化をはかる必要があるのであります。
この法律案は、以上に述べましたような登記制度と台帳制度の二元的構成に伴う不便並びに現行登記手続の不備の点にかんがみ、不動産登記法に所要の改正を加えるとともに、土地台帳法及び家屋台帳法を廃止しようとするものであります。
以下この法律案の要点を申し上げます。
第一点は、登記制度(登記簿)と
台帳制度(土地台帳及び家屋台帳)
とを統合一元化し、登記簿をして土
地台帳又は家屋台帳の機能をも果た
させるため、不動産登記法に土地、
建物の現況を常時明確ならしめるた
めの登記手続に関する所要の規定を
加えると同時に、土地台帳法及び家
屋台帳法を廃止することとしたこと
であります。
おもな規定の内容は、次の通りで
あります。
1、不動産登記は、不動産に関
する権利関係を明らかにするのみ
ならず、不動産自体の現況をも明
確ならしめるものとする。
2、不動産の現況を明確にする
ための登記(不動産の表示に関す
る登記)は、不動産の所有者にその
申請義務を課するとともに、登記
官吏の実地調査権を認め、その調
査に基づき登記官吏が職権でする
ことができる。
3、不動産を特定し、これを明
確にするため、土地の区画、建物
の位置等を明らかにする地図及び
建物所在図を登記所に備える。
4、不動産の表示に関する登記
は、不動産の表示及びその変更並
びに不動産の滅失についてするも
のとし、不動産の表示の登記とし
ては、土地については、土地の所
在、地番、地目、地積、建物について
は、建物の所在、家屋番号、種類、
構造、床面積、付属建物を記載す
るほか、地方税法による土地また
は建物の固定資産税の関係から、
所有権の登記のされていない不動
産については、所有者の氏名及び
住所等を記載する。
5、土地の地番、地目及び地積
の定め方並びに建物の家屋番号、
種類、構造及び床面積の定め方は
政令で定める。
6、不動産に関する権利関係の
錯雑及び混乱を防止するため、不
動産の合併を制限する。
第二点は、不動産の権利に関する登記の手続を整備し、その合理化をはかるため、不動産登記法に所要の改正を加えることとしたことであります。
改正点のおもなものは、次の通りであります。
1、いわゆる保証書の制度の乱
用に伴う虚偽の登記を防止するた
め、保証書を提出してする登記申
請の場合には、登記義務者の登記
申請の真意を事前通知の方法によ
り確認する。
2、買い戻しの特約その他権利
の消滅に関する事項の登記を合理
化する。
3、共有の登記においては、必
ずその持ち分の登記をする。
4、登記済証の作成手続を簡易
化する。
5、土地収用による所有権の取
得及び所有権以外の権利の消滅の
登記の手続を整備する。
6、所有権に関する仮登記に基
づく本登記の手続を合理化する。
7、用益権に関する登記手続を
整備する。
8、遅延損害金に関する定めが
抵当権の登記事項であることを明
らかにすると同時に、民法第三百
七十五条の規定による抵当権の処
分の登記及び同法第三百九十三条
の規定による代位の登記の手続を
整備する。
9、所有権の登記のされていな
い不動産については、処分制限の
登記を除くほか、所有権以外の権
利に関する登記を認めないものと
する。
10、所有権の保存登記、仮登記
及び予告登記の抹消手続を整備す
る。
第三点は、不動産登記法の中に、
虚偽の保証書を作成した場合及び登
記官吏の実地調査を拒みまたは妨げ
た場合の刑事罰を設け、また、同法の
中に、不動産の表示に関する登記の
申請義務を懈怠した場合の民事罰を
設けることとしたことであります。
第四点は、以上申し上げました不
動産登記法の改正並びに土地台帳法
及び家屋台帳法の廃止に伴い、所要
の経過規定を設けるとともに、関係
法律の整理をすることとしたことで
あります。
以上がこの法律案の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されんことを希望いたします。
…………………………………発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00319600216/5
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006・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 次に、政府委員から逐条説明を聴取することといたします。平賀民事局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00319600216/6
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007・平賀健太
○平賀政府委員 法律案の逐条につきまして、御説明申し上げます。
まず目次の改正でございますが、これは不動産登記法中の章名もしくは節名の変更、または章、節もしくは款の追加、もしくは新設に伴う整理でございます。
第一章の関係でありますが、第一条の改正は、登記簿と土地台帳または家屋台帳との統合一元化によりまして、登記は、権利関係のみならず、不動産自体の状況を明確にするため不動産の表示のみについてもする必要がございますので、かかる登記も独立してすることができることを明らかにしたものであります。
次は第七条ノ二の新設でございますが、本条は、現行法の附則第百六十四条の規定を削除いたしまして第一章に移したものでございます。
次は第二章でございますが、第八条の改正は、本条第一項の改正は、第一条の改正に伴い、不動産の表示に関する登記のみの管轄をも明らかにしたものであり、本条第二項の改正は、数個の登記所の管轄区域にまたがる建物の表示の登記を登記官吏が職権でする場合もございますので、かかる登記についての管轄登記所を申請によらずに指定できることとしたものでございます。
次は第八条ノ二の改正でございますが、これは単に同条の条名を第九条としたにすぎないものでございます。
次に第九条の改正でありますつが、これは第十七条の改正によりまして、登記所に地図及び建物所在図を備えることとしたのに伴う整理でございまして、なお条名を第十条に改めたものでございます。
次に第十条及び第十一条の改正でございますが、これは単に第十条を第十一条としたものでございます。
次は第十一条ノ二から第十三条までの改正でございますが、これは第十一条ノ二を第十二条とし、第十二条を第十三条として条文を整理したものでございます。
次は第三章でございます。この第三章の章名を改正いたしましたのは、第十七条の改正規定によりまして、登記所に地図及び建物所在図を備えることとしたことに伴う整理でございます。
次は第十五条の改正でございます。主たる建物と付属建物がある場合にはこれを合わせて一個の建物とすることになりますので、現行法の一棟という字句は適当でございませんので、これを一箇に改めたものでございます。
次は第十六条の改正でございます。本条第一項の改正は、登記簿の表題部に表示番号欄及び表示欄の二つの欄を設ける必要が特にございませんので、登記手続の簡素化をはかりますために、このような欄を廃しますとともに、登記簿と台帳の一元化によりまして表題部に不動産の表示を登記するだけで足りる場合、すなわち所有権保存の登記をしない場合もございますので、このような場合には、乙区のみならず甲区をも設けることを要しないことにしたものでございます。本条第二項の改正は、第一項の改正による表示欄及び表示番号欄の廃止に伴う整理でございます。
次は第十七条の改正でありますが、登記制度としましては、登記簿のみならず、土地または建物を特定し、その状況を明確にする必要から地図及び建物所在図を設ける必要がありますので、このような地図及び建物所在図の制度を新設したものでございます。
次は第十八条でありますが、これは前条の改正規定によりまして、登記所に備える地図及び建物所在図の内容を明らかにしたものでございます。
次は第二十条の改正であります。第一項の改正は、第十七条の改正規定による地図及び建物所在図の保存期間を規定したものであります。第二項の改正は、登記所の書庫の狭溢にかんがみ、不動産に関する権利関係の登記の申請書のみの保存期間を十年としたものであります。なお、他の申請書その他付属書類の保存期間は、法務省令で定める予定でございます。
次は第二十一条の改正でありますが、第十七条の改正規定による地図または建物所在図の写しの交付及び閲覧の請求を認めることとしたものでございます。
次は第二十二条の改正でございますが、第十七条の改正規定による地図及び建物所在図も原則として登記所外に持ち出すことを禁止し、なお第二十条第二項を改めたことに伴う字句の整理をしたものでございます。
次は第二十四条の改正でございます。第十七条の規定による地図及び建物所在図の滅失のおそれある場合の措置をも追加して規定したものでございます。
次は第二十四条ノ二でございますが、本条第二項の改正は、実際上の必要にかんがみ、登記所の書庫の狭溢を緩和するため、閉鎖登記用紙の保存期間を三十年から二十年に短縮したものでございます。
次は第四章の「登記手続」の関係でございます。
第一節の「通則」におきましては、第二十五条の二の規定を新設いたしましたが、本条は土地台帳及び家屋台帳の登録の場合と同様に、不動産の表示に関する登記は、登記官吏が職権でできることを規定したものでございます。
次は第二十六条の改正でございますが、本条に第二項を追加しましたのは、不動産の表示に関する登記は、権利関係の変動に関するものではなく、性質上申請人が登記所に出頭して申請することを必ずしも必要としませんので、申請人の便宜を図りますために、申請人が登記所に出頭することを必要としないことを明らかにしたものでございます。
次は第二十八条ノ三でございますが、これは第五十条及び第六十三条ノ三の条名を改めたことに伴う整理でございます。
次は第三十二条及び第三十三条の改正正の関係でございますが、登記手続を円滑にしますため、仮処分命令による仮登記を、裁判所の嘱託によらず、仮登記権利者の申請によることとし、なお、これに伴う条文の整理をしたものでございます。
次は第三十六条の改正でございますが、第三十六条と第三十七条とを一ヵ条にまとめ、登記申請書の記載事項を明確にしたものでございます。
次は第三十七条でございますが、現行法第三十八条のように、買い戻しの特約を単に売買による所有権移転の登記の登記事項としておりますことは、買い戻し権の公示の方法として適当でなく、取引の安全を害するおそれがございますので、買い戻しの特約の登記の存することを登記簿上明確にするため、これを独立の登記として申請することとし、さらに買い戻し権の内容として重要な売買代金、契約の費用及び買い戻しの期間を登記事項として取引の安全をはかろうとするものでございます。
次は第三十八条の関係でございますが、これは買い戻しの特約の登記を第三十七条に規定することとしたのに伴う整理でございます。
次は第三十九条の改正でありますが、不動産またはその権利が共有または準共有であります場合には、その公示上持ち分を常に明らかにすることが妥当でありますので、持ち分を登記申請書の必要記載事項としたものでございます。
次は第三十九条の二の改正でございますが、現行法の第三十九条の二は登記簿と台帳の一元化により不要となりますので、そのかわりに現行の第七十八条が所有権の一部移転の登記の場合のみを規定しているのを整備しまして、すべての権利の一部移転の登記の場合にその移転部分、すなわち持ち分を申請書に記載することとして、これを本条に規定したものでございます。
次は第四十四条の二の新設規定でございますが、これは第四十四条の規定によるいわゆる保証書の制度の乱用にとよりまして、登記義務者の不知の間にされる虚偽の登記を防止しますために保証書を提出してする登記申請の場合に、事前に登記義務者の登記申請の真否を確かめた上で登記をすることとしたものでございます。
次は第四十九条の改正でございますが、第三号の改正は、第二十六条第二項の新設に伴う整理でございます。第十号の改正は、登記簿と台張の一元化により現行の第十号が不必要となります反面、不動産の表示に関する登記の申請が第五十条の改正規定による登記官吏の実地調査の結果と符合しない場合、申請を却下する必要がありますので、このことを第十号で明らかにしたものであります。第十一号の改正は現行の第十一号が登記簿と台帳の一元化によりまして現行の第四十九条の二の規定が不必要となりますので、同号も必要がなくなります反面、第四十四条の二の規定の新設に伴い、同条第一項の通知による登記義務者の申し出のない場合に登記申請を却下することをこの第十一号において明らかにしたものであります。
次は第四十九条の二の規定を削除したのでありますが、登記簿と台帳の一元化によりまして本条を存置する必要がなくなったからであります。
次は第五十条の規定の新設でございますが、これは不動産の現況を明確にしますために、従来の台帳の機能を果たす登記簿の表題部になすべき不動産の表示に関する登記をする場合に、登記官吏に実地調査権を与える必要がございますので、この実地調査権に関して規定を設けたものでございます。
次は第五十一条の改正でございますが、これは現行の第五十条を第五十一条として条文を整理しますと同時に、第十六条の改正及び第二十五条の二の新設に伴いまして字句を整理し、かつ不動産の現況を明確にするためと不動産の表示に関する登記の登記原因、その日付及び登記の年月日を記載することとしたものであります。
次は第五十二条の改正でありますが、第十六条の改正によりまして表題部の表示欄及び表示番号欄を廃止しましたことに伴う字句の整理であります。
次に、第五十九条の二を新設いたしましたのは、第三十七条におきまして買い戻しの特約の登記の申請手続を改めたことに関連しまして、買い戻しの特約の登記を独立の登記としてこれを明確にし、さらに、買い戻し権の行使による登記をしました場合には、買い戻しの特約の登記を存置する必要がなく、むしろこれを存置することは適当でありませんので、これを職権で抹消することとしますと同時に、第三十八条の改正規定による権利の消滅に関する事項の定めの登記も買い戻しの特約の登記と同様の取り扱いをすることとしたものであります。
次は第六十条の改正でございますが、本条の第一項の改正は、登記済み証の作成の手数を軽減しますために、後日登記義務者の権利に関する登記済み証として利用することのない登記済み証につきましては、単に登記済みの旨を記載すれば足りるものとしたものであります。第二項の改正は、申請書に添付される登記済み証または保証書にする記載事項中、不要のものを削りまして、これを簡素化したものであります。
次は第六十一条及び第六十二条の改正でありますが、第四十四条の二の規定の新設に伴いまして現行の第六十一条を存置する必要がないのでこれを削りまして、現行第六十二条を第六十一条に繰り上げたものであります。
次は第六十二条の規定の新設でありますが、登記官吏が申請により、または職権で不動産の表示に関する登記——これは改正後の第四章第二節に関係がございますが、職権で不動産の表示に関する登記をした場合に、関係人の便宜のためにその旨を申請人以外の関係人に通知する必要がありますので、その旨を規定したものでございます。
次は第六十三条の改正でありますが、本条の改正は、不動産の表示に関する登記が職権でできますことから、不動産の表示の登記について錯誤または遺漏があった場合には、本条に規定する通知の手続を必要としないので、このことを明らかにしたものであります。
次は第六十三条の二から第六十八条までの改正でありますが、これは、条名の整理をしますと同時に、現行第六十四条の規定は、不動産の表示に関する登記手続には適用しないこととしたものであります。
次は第七十一条の改正でありますが、登記簿の滅失の場合に表題部に不動産の表示をしますのは、滅失回復の登記の申請によるのではなく——この滅失回復の登記は、権利の登記についてのみするのであります。この表題部の登記は職権ですることになりますので、そのための整理をしたものであります。
次は第七十二条の改正でありますが、本条第一項の規定による手続は、不動産の表示に関する新登記の申請の場合にはする必要がなく、もっぱら権利に関する新登記の申請の場合にすれば足りるので、このことを明らかにしたものであります。
次は第七十三条の改正でありますが、本条に引用されている第六十二条を第六十一条として、条文の数を繰り上げたことによる規定であります。
次は第七十四条の改正でありますが、第七十二条の改正に伴う整理であります。
次は第七十六条の改正でありますが、第二項を改正しましたのは、第十六条の改正により表題部の表示欄が廃止されたことに伴う整理であります。第四項を新設しましたのは、表題部または各区の枚数が過多となった場合には、現行のように登記用紙の全部にわたって登記を移記することなく、表題部または各区のみの登記の移記をするものとしまして、手続を簡易にしようとするものであります。第五項を新設しましたのは、第四項の規定により登記を移記した用紙を閉鎖した登記用紙と見なして、閉鎖した登記用紙に関する規定、これは第二十四条の二の規定でございますが、この規定を適用しようとするものであります。
次は第二節の「不動産ノ表示ニ関スル登記手続」であります。
第一款、「土地ノ表示ニ関スル登記手続」でありますが、第二節の節名の改正及び第一款の新設をいたしましたのは、第一条の改正により不動産の権利関係の登記と独立しまして不動産の表示に関する登記をすることとしたのに伴い、不動産の表示に関する登記手続の新しい節を設け、その第一款を土地の表示に関する登記手続としたものでございます。
まず第七十八条の改正でございますが、本条は、土地の表示の登記において登記すべき事項を規定したものであります。所有権の登記のされていない土地についてその所有者の表示及び共有の場合の持ち分を記載しますのは所有権保存登記の申請適格者を明かにしますと同時に、これは第百条第一号でこのことを規定しておりますが、地方税法による土地の固定資産税の納税義務者を明らかにするためであります。附則第十六条の規定による改正後の地方税法第三百四十三条第一項及び第二項にその旨が明らかになっております。なお現行の第七十八条に規定しております事項は、第三十九条の二に規定されております。
次は第七十九条の改正でございます。本条は、地番、地目及び地積の定め方を規定したもであります。
次は第八十条の改正でございます。本条は、公有水面の埋め立てなどにより新たに土地を生じました場合の所有者の土地の表示の登記の申請義務並びに申請書に添付すべき書類及び図面について規定したものであります。
次は第八十条の二の規定の削除であります。登記簿と台帳の一元化によりまして、本条を存置する必要がないので、これを削ることとしたのであります。
次は第八十一条の改正であります。これは地目または地積が変更した場合における所有者の土地の表示の変更登記の申請義務並びにその申請書の記載事項及び添付図面について規定したものであります。なお、現行の第八十一条は、抵当証券が発行されている場合に、これを提出しなければ土地の表示の変更の登記の申請ができないこととしておりますが、これは土地の表示の性質上不合理でありますので、これを廃止したのであります。
次は第八十一条の二の規定の新設であります。第一項及び第二項は、土地の分筆または合筆の登記の手続並びにその申請書の記載事項及び添付図面を規定し、第三項は、登記官吏が職権で分筆すべき場合を規定したものであります。
次は第八十一条の三の規定の新設であります。合併後の土地の一部につき権利に関する登記がされるような合併は、権利の目的たる土地の部分が不明確となり、権利関係を錯雑ないし混乱させるおそれがあり、また、所有権の登記のされている土地と所有権の登記のされていない土地の合併は、合併後の土地の一部について所有権の登記がされているという不合理な結果になるので、このような合併を制限したものであります。ただ地役権だけは一筆の土地の一部にも設定することができますので、地役権の登記がある土地の合併だけは認めることとしたのでございます。この点は第百十三条にも関連がございます。
次は第八十一条の四の規定の新設でございます。一筆の土地の一部、承役地でございますが、これに地役権の登記がされている場合に、その土地を分割したときの地役権の存続部分を明確ならしめるために、申請書にその部分を記載し、かつその部分を明らかにした図面を添付すべきことを規定したものであります。
次は第八十一条の五の規定の新設であります。地積または地目の更正の登記の申請書には、更正後の地積または地目を記載し、地積の測量図を添付する必要がありますし、また、表題部に記載した所有者の表示の変更または更正の登記の申請書には、変更または更正を証する書面を添付する必要がありますので、所要の規定を準用することとしたものであります。
次は第八十一条の六の新設であります。表題部に記載した所有者またはその持分の変更、所有権またはその持ち分の移転がありました場合には、不動産の表示の変更の登記をするのではなく、旧所有者名義で所有権保存の登記をした上、所有権またはその持ち分の移転の登記をするか、または第百条第二号もしくは第三号の規定によりまして新所有者名義に所有権保存の登記をしなければならないことを明らかにしたものでございます。
次は第八十一条の七の規定の新設であります。表題部に記載されましたが、所有者またはその持ち分に誤りがある場合にこれを実体に合致させるための所有者またはその持ち分の登記の更正の手続を規定したものであります。
次は第八十一条の八の規定の新設であります。土地が滅失した場合の滅失の登記の申請義務を規定したものであります。
次は第八十一条の九の規定の新設でございます。不動産の表示の変更または更正の登記の記載手続を定めたものであります。現行の第八十八条または第八十九条などにおいては、表示事項の一を変更または更正するときは、従前の表示事項の全部を朱抹して変更または更正後の表示事項の全部を登記することとされているのでありますが、登記手続を簡素化するために本条を設けたのであります。
次は第八十二条の改正であります。土地の分割が登記によって効力を生ずることを明らかにしますとともに、第十六条の改正に伴う字句の整理をしたものであります。
次は第八十三条の改正であります。第三項の改正は、現行の同項中「其旨」の字句がございますが、今日は適当でないのでこれを改めたものであります。同条に第四項の追加をしましたのは、現行の第八十四条を整理して本条に挿入したものであります。現行の第八十四条第一項は、登記官吏が「乙地ノミガ所有権以外ノ権利ノ目的タル」ことを職権で知り得るがごとき規定になっておりますが、このようなことはあり得ないのでありまして、むしろ甲地について権利の消滅を証する書面を提出して、抹消登記を省略する簡便な方法を認めることとしたのであります。また、第五項及び第六項は、本条第三項または第四項の場合にその消滅を承諾した権利を目的とする権利がある場合、その権利者を保護するために追加した規定であります。
次は第八十四条の改正であります。第八十一条の四の規定の新設に伴いまして、その登記手続を規定したものであります。
次は第八十五条の改正でございます。第一項の改正は、土地の合併が登記によりその効力を生ずることを明らかにしますとともに、第十六条の改正規定により表題部の表示欄及び表示番号欄がなくなったことに伴う字句の整理をしたものであります。第二項及び第四項の改正並びに第三項の削除は、第八十一条の三の規定の新設により、所有権の登記以外の所有権に関する登記及び承役地についてする地役権の登記以外の権利に関する登記のされている土地の合併を制限したことに伴い、規定の整理をしたものであります。第五項の改正は第八十三条及び第八十四条の改正に伴う整理であります。
次は第八十六条の改正であります。土地の合併がその登記により効力を生ずることを明らかにしますとともに、第十六条の改正規定により、表題部の表示欄及び表示番号欄がなくなったことに伴う字句の整理をしたものであります。
次は第八十七条の改正であります。第八十一条の三の規定による土地の合併の制限並びに第八十三条及び第八十五条の改正に伴い、規定を整理したものであります。
次は第八十八条の改正であります。現行の第百一条の規定、これは不動産滅失の登記手続を規定しておりますが、これを第八十八条として土地の表示に関する登記手続の款に移したものであります。なお、現行の第百一条の「滅失ノ原因」は登記原因として表題部に記載されることになるわけでありますが、この点は改正後の第五十一条第一項が明らかにしております。
次は第八十九条の改正でありますが、現行の第百二条の規定を第八十九条として、土地の表示に関する登記手続の款に移したものであります。なお、現行第八十八条及び第八十九条に規定されています事項は、さきに述べました改正後の第八十一条の九に規定されています。
次は第九十条の改正でありますが、現行の第百二条の三及び第百三条の二の規定を第九十条として土地の表示に関する登記手続の款に移したものであります。現行の第九十条は、台帳の廃止に伴い不要となったものであります。
次は第二款、「建物ノ表示ニ関スル登記手続」でありますが、この第二款を新設いたしましたのは不動産の表示に関する登記を独立の登記としたことに伴いまして、建物の表示に関する登記手続について新しい款を設けたものであります。
次は第九十一条の改正でありますが、これは建物の表示の登記において登記すべき事項を規定したものでありまして、土地に関する第七十八条の改正規定と同趣旨のものであります。なお、現行の第九十一条に規定されております事項は、改正後の第九十三条の二、第九十三条の三、第九十三条の六で規定されております。
次は第九十二条の改正でありますが、建物の家屋番号、種類、構造及び床面積の定め方を規定したものであります。なお、現行の第九十二条に規定されている事項は、改正後の第九十三条の二、第二項に規定されております。
次は第九十二条の二の規定の削除でございますが、これはいわゆる併用申告に関する規定でございますが、これも登記簿と台帳の一元化により必要がなくなったので、これを削除することにいたしたのであります。
第九十三条の削除でございますが、抵当証券が発行されております場合に、これを提出しなければ、建物の表示の変更の登記の申請ができないことは不合理でありますので、さきに述べました土地の場合と同様にこの規定を削除したものであります。
次は第九十三条の新設でございますが、建物を新築した場合の建物の表示の登記の申請義務並びに申請書に添付すべき書類及び図面につきまして規定したものであります。
次は第九十三条の二の規定の新設でありますが、建物の所在、種類、構造、床面積、建物の番号または付属建物に変更が生じました場合の建物の表示の変更の登記の申請義務並びに申請書に添付すべき書類及び図面について規定したものであります。
次は第九十三条の三の規定の新設でありますが、これは建物の分割、区分または合併の登記の手続並びに申請書の記載事項及び添付図面について規定したものであります。
次は第九十三条の四の規定の新設でありますが、土地に関する第八十一条の三の規定と同趣旨で、建物の合併を制限したものであります。
次は第九十三条の五の規定の新設でありますが、建物の表示の更正、表題部に記載した所有者の表示の変更または更正及び表題部に記載した所有者またはその持ち分の変更または更正の登記の申請手続を土地の場合に準じて規定したものであります。
次は第九十三条の六の規定の新設でありますが、建物の滅失の登記の申請義務を本条で規定したものであります。
次は第九十三条の七の規定の新設でありますが、建物の表示の変更または更正、表題部に記載した所有者の表示の変更または更正及び表題部に記載した所有者またはその持ち分の更正の登記の記載手続を規定したものであります。
第九十三条の八の規定の新設でありますが、附属建物の新築の登記の記載手続を規定したものであります。
次は第九十四条の改正でございますが、建物の分割及び区分の場合を明確にしますとともに、第十六条第一項の改正によりまして、表題部の表示欄及び表示番号欄が廃止されたことに伴う整理をしたものであります。
次は第九十五条の改正でありますが、建物を分割または区分して他の建物に合併する場合を明確にするとともに、前条と同様に第十六条第一項の改正に伴う整理をしたものであります。
次は第九十六条の改正でありますが、現行の第八十四条を削除しまして、第八十三条を改正したことに伴う整理であります。
次は第九十七条の改正でありますが、これは第八十五条の改正に伴う整理であります。
第九十八条を改正しましたのは、現行の規定には、甲建物を乙建物の付属建物とする場合の手続が欠けておりますので、これを追加しますとともに、第十六条の改正による表題部の表示番号欄の廃止に伴う整理をしたものであります。
次は第九十九条の改正でありますが、これは建物の滅失の登記の手続を規定したものであります。なお、現行の第九十九条に規定する登記手続は、改正後の第九十三条の七及び第九十三条の八に規定されております。
次は第三節、「所有権ニ関スル登記手続」の節でありますが、第百条の改正であります。本条は、現行の第百五条及び第百六条と同様に所有権保存の登記の申請適格者を規定したものでありますが、本条第三号の規定は、収用により所有権を取得した場合には、現行法では土地台帳法第四十三条の二または家屋台帳法第二十二条の規定によりまして、土地台帳または家屋台帳に登録された所有者を収用により所有権を取得した者(起業者)に修正する登録をした上、現行の不動産登記法第百五条第一号または第百六条第一号の規定により所有権保存の登記をすることとなっているのでありますが、これを改めまして、直接起業者から所有権保存の登記をすることとしたものであります。なお、現行の第百条に規定します登記手続は、改正後の第九十三条の七に規定されております。
次は第百条の二の規定の削除でございますが、登記簿と台帳の一元化によりまして、地番または家屋番号の変更、これは現行制度では、土地台帳または家屋台帳の変更登録によってされるのでありますが、これはその登記をすることによってされることになるので、本条を存置する必要がないからであります。
次は第百一条の改正でありますが、本条の改正は、所有権保存の登記の申請書の記載及びその添付書類を規定したもので、現行の第百七条と同趣旨であります。なお、現行の第百一条に規定しております登記手続は、改正後の第八十八条及び第九十九条に規定されております。
次は第百二条の改正でありますが、不動産の表示の登記のない不動産について第百条第二号または第三号の規定により所有権保存の登記の申請または嘱託がされることがあり得ますので、その場合の表題部になすべき登記手続を規定したものであります。この場合には、申請書または嘱託書に記載された通りに不動産の表示の登記をし、その後に実地調査をすることになります。なお、現行の第百二条に規定する登記手続は、改正後の第八十九条及び第九十九条に規定されております。
次は第百二条の二の削除でありますが、これは登記簿と台帳の一元化により本条を存置する必要がなくなったので、これを削除することにしたのであります。
次は第百二条の三の削除であります。本条と同趣旨の規定を改正後の第九十条において設けたことによる整理であります。
次は百三条の改正でありますが、所有権の登記をした場合には、表題部に所有者を記載しておく必要がなくなりますので、この記載を朱抹することとしたものであります。なお、現行の第百三条に相当する規定は、改正後の第百六条に規定されております。
次は第百三条の二の削除でありますが、これは土地が河川の敷地となった場合の本条による代位登記の手続が改正死後の第九十条第三項に設けられ、また、土地収用の場合の代位登記は、その規定を待つまでもなく、第四十六条の二の規定によりすることができますので、本条を存置する必要がなくなったからであります。
次は第百四条の改正でありますが、所有権の登記のされていない不動産及び不動産の表示の登記のされていない不動産についての処分の制限の登記、すなわち差押、仮差押、仮処分等の登記でありますが、これを認めることとし、その場合の職権による所有権保存登記及び、不動産の表示の登記の手続を規定したものであります。
次は、第百四条の二から第百四条の士五までの改正でありますが、これは条文の数の整理をするとともに、現行法には信託法第二十七条の規定による信託財産の復旧の場合の所要の登記手続の規定が欠けておりますので、これを改正後の第百十条の二、これは現行の第百四条の五に相当しますが、これにつけ加えたものであります。
次は第百五条から第百十条までの削除でございますが、現行の第百五条から第百七条までの規定、これは所有権保存の登記申請手続に関する規定でありますが、改正後の第百条及び第百一条に設けられましたので、これを存置する必要がないのであります。現行の第百七条の二及び第百八条の規定、これは建物の新築の場合の併用申告に関する規定であります。これは家屋台帳法の廃止及び併用申告にかわるべき併用申請、建物の新築の場合の建物の表示の登記申請と所有権保存の登記の申請を一緒にするのでありますが、この併用申請が合理的でありませんので、これを削除することとしたものであります。現行の第百九条の規定は、その必要部分が改正後の第百四条に設けられましたので、これを存置する必要がないのであります。それから現行の第百十条の規定は官公署の所有不動産についても改正後の不動産登記法中不動産の表示に関する登記の規定、現行の土地台帳法及び家屋台帳法に相当するものが適用されまして、かつ、官公署の所有不動産について本条のような例外を認めるのは妥当でありませんので、これを削除することとしたものであります。
次は第百五条の規定の新設でございますが、現行法におきましては、たとえば、甲から乙に所有権移転の仮登記がされ、次いで甲から丙に所有権移転の登記がされました場合に、丙の所有権の登記を抹消しなくても、右の乙の仮登記に基づく本登記がされますため、同一の不動産について乙、丙の所有権の登記が併存する結果となります。また、たとえば、右の仮登記後に甲を設定者としてなされた抵当権が登記が乙の仮登記に基づく本登記がされることにより本来は無効となるにもかかわらず、なお存続することとなるわけであります。現行法のもとでは、このような不都合な結果を生じますので、仮登記に基づく本登記を申請する場合には、その本登記と両立しないか、または本登記がされることによって無効となる登記の名義人の承諾を証する書面を申請書に添付しなければならないこととするとともに、本登記がされました場合には、右の両立しないか、または無効となる第三者の権利の登記を職権で抹消することとしたものであります。
次は第百六条の規定の新設でございますが、これは土地収用法に基づく収用による所有権移転の登記手続を規定した現行の第百三条を整備したものであります。
次は第百七条の新設であります。本条は、現行の第百四十九条に相当するものでありますが、土地の収用の場合には、収用によって消滅しないで存続を認められる権利もございますので、この関係は土地収用法第百一条第一項ただし書きにしてございますが、収用による所有権移転の登記の申請または嘱託の手続において収用によって消滅した権利を明示させることにしたものであります。
次は、第四節の「所有権以外ノ権利ニ関スル登記手続」であります。第三節の改正でありますが、第三節を第四節としたのは、節の整理にすぎません。
次は第百十一条の改正でございますが、地上権の設定の範囲を明確にしますため、一筆の土地の一部についての地上権の設定登記を認めないこととしますとともに、第百三十四条の新設規定により地上権の移転の登記を付記によってすることに改めたことに伴いまして、地上権の登記の申請手続を改めたものであります。
次は第百十二条の改正でございますが、第百三十四条の新設規定により、永小作権の移転の登記を付記によってすることとしたのに伴いまして、永小作権の登記の申請手続を改めたものであります。
次は第百十二条の二の規定の新設でありますが、地役権が要役地の所有権の従たる権利であることから、要役地にも地役権を公示する必要があるためであります。
次は第百十三条の改正でありますが、第二項を追加しましたのは、承役地の一部に地役権の設定の登記をする場合の地役権の設定の範囲を明らかにするためであります。また第三項を追加しましたのは、第百十二条の二の規定の新設に伴い、要役地が他の登記所の管轄に属する場合に要役地について所有権の登記がされていること及び地役権者が要役地の所有権の登記名義人であることを明らかにするためであります。
次は策百十三条の二の規定の新設でございますが、地役権は、要役地の所有権の移転に伴い、当然その所有者に移転するものでありますから、要役地の所有権の移転の登記のほかに、地役権の移転の登記をすることを要しないことといたしまして手続の簡素化をはかるため、地役権の設定登記においては地役権者を記載することを要しないものとしたのであります。
次は第百十四条の二の規定の新設でありますが、本条前段は、第百十三条第二項の新設に伴い地役権設定の範囲を変更した場合の変更後の範囲を明確ならしめるための規定であり、本条後段は、第百十三条の二の規定の新設により、地役権の設定登記においては地役権者を記載しないこととしたのに伴い、地役権の変更または消滅の登記の申請人たる地役権者を明らかにするための規定であります。
次は第百十七条の改正でありますが、民法第三百七十四条第二項の規定の趣旨から、債務不履行の場合の損害金に関する定めを抵当権の設定登記において登記できるものとし、また、元利金の支払い場所の定めの登記は抵当証券の発行の場合にのみ必要でありますので、そのことを明らかにしたものであります。
次は第百十九条の改正でありますが、現行規定では、担保権の設定の登記を申請します場合に、設定者が債務者でありますときは、申請書に債務者の表示をすることを要しないことになっておりますが、担保権の公示をします上の便宜のため、担保権の登記においては常に債務者を表示することとしたものであります。なお、現行の本条第二項の規定は、解釈上疑義がございますので、第百十九条の二及び第百十九条の三の新規定及び現行の第百二十三条の規定と相待って、規定を合理化するため、これを削除することとしたものであります。
次は第百十九条の二の改正でありますが、民法第三百七十五条第一項の規定による転抵当並びに抵当権の譲渡及び放棄の登記の手続が明確でありませんので、これを明確にしたものであります。なお、現行の第百十九条の二の規定は、第百十九条の改正によって不要となったものであります。
次は第百十九条の三の新設でありますが、これは民法第三百九十三条の規定による共同抵当権に対する後順位抵当権者の代位、これは民法第三百九十二条第二項後段でありますが、その登記の手続が明確でありませんので、これを明確にしたものであります。
次は第百十九条の四の新設でありますが、不動産質権についても民法第三百七十五条及び第三百九十二条の規定が準用されるので、これは民法範三百六十一条に規定がございますが、不動産質権について改正後の第百十九条の二及び第百十九条の三の規定を準用することとしたものであります。
次は第百二十一条の改正でありますが、外国の通貨をもって債権額を指定した債権、民法第四百三条の規定でありますが、その債権のための担保権の設定の登記において、日本の通貨をもって表示した担保限度額を登記することとして、取引の安全をはかったものであります。なお、現行の第百二十一条は、身元保証のための抵当制度が現在存在しませんので、存置する必要がありませんから、これを削除したのであります。
次は第百二十二条の改正でありますが、現行の第百二十二条に第百二十二条の二を加えたものでありまして、第百二十二条から第百三十五条までの条文の整理のためのものであります。
次は第百二十二条の二の削除であります。本条と同趣旨の規定を第百二十二条第二項及び第三項としたことに伴う整理であります。
次は第百二十八条から第百三十五条までの削除でありますが、これは登記されていない権利を目的とする他の権利の登記を認めますことは合理的でなく、実際上もこれらの規定はほとんど利用されていませんので、これを廃止したものであります。
次は第百二十七条の三の改正でありますが、所有権以外の権利の収用の場合には、その権利が移転することなく、消滅するものとされておりますので、これは土地収用法第百三十八条第二項の規定でありますが、第百四十八条の規定を新設することとして、本条を整理したものであります。
次は第百三十四条の新設でありますが、所有権以外の権利の移転の登記は、これを附記登記によってすることが権利の順位の関係から合理的でありますので、このことを規定したものであります。
次は第百二十七条の二の改正でありますが、これは抵当権に関する第百十一条の改正と同趣旨で、一筆の土地の一部に採石権の設定の登記を認めないこととすると同時に、採石権の移転の登記の申請書の記載を簡略にしたものであります。
次は第百二十六条の三から第百二十七条までの改正でありますが、これは単に条文の番号の整理であります。
次は第百二十六条の二の削除及び第百二十六条の改正、これは現行第百二十六条の二の規定を現行第百二十六条の第二項として挿入し、かつ条文の番号を整理したものであります。
次は第百二十五条の削除でありますが、これは改正後の第百三十四条の規定の新設によって不要となったからであります。
次は第百二十四条から第百二十四条の四までの改正、これは現行の第百二十四条の二を第百二十四条の第二項とするとともに、条文の番号を整理したものであります。
次は第百三十六条から第百三十九条までの改正でありますが、これは第百三十六条から第百三十九条までの改正で、条文の字句の整理であります。
次は第百四十条の改正でありますが、これは第十六条第一項の改正により表題部の表示欄及び表示番号欄が廃止されたこと、及び登記簿と台帳の一元化により建物の表示の登記または付属建物の新築の登記を職権でする場合であることに伴う整理であります。
次は第五節「抹消ニ関スル登記手続」でございますが、第四節の改正は、第四節を第五節に改めたもので、節の整理をしたわけでございます。
まず、第百四十三条の改正でございますが、所有権の保存の登記の抹消について虚偽の申請を防止するためのものであります。
次は第百四十四条の改正でございますが、仮登記名義人がなし得る仮登記の抹消について虚偽の申請を防止するための新しい規定であります。
次は第百四十五条の改正でございますが、予告登記の抹消についての現行法の規定の不備を補ったものであります。
次は第百四十八条の改正でございますが、収用により消滅した所有権以外の権利の登記の抹消手続を整備したものであります。
次は第百四十九条から第百五十七条までの改正でございますが、これは単に条文の番号を整理したものであります。
次は第六章「罰則」であります。これは第六章の新設、本章の新設は、登記制度の信用を保持し、登記簿と台帳の一元化による登記制度の充実をはかるために所要の罰則を設けるためであります。
まず第百五十八条の新設でございます。これはいわゆる保証書、先ほど申しました不動産登記法第四十四条に規定がございますが、その乱用による虚偽の登記を防止するためであります。
次は第百五十九条の新設でございます。これは土地台帳法第四十五条及び家屋台帳法第二十五条と同趣旨の規定であって、不動産の表示に関する登記の正確を期するため登記官吏に実地調査権を認めたことに伴うものであります。
次は第百五十九条の二の新設でございます。これは土地台帳法第四十七条及び家屋台帳法第二十六条と同趣旨の規定であって、不動産の表示に関する登記の申請義務を課したことに伴うものであります。
以上が不動産登記法の改正関係でございます。
第二に、土地台帳法及び家屋台帳法の廃止を規定いたしております。これは、登記簿と土地台帳及び家屋台帳とを統合するため、土地台帳法及び家屋台帳法の所要の規定を不動産登記法に設けたことによりまして、土地台帳法及び家屋台帳法を存置する必要がないからであります。
次に附則について御説明申し上げます。
第一条は、この法律の施行期日を定めたものであります。
次は第二条、これは登記簿と台帳の統合一元化のために必要な登記簿の新表題部、これは現行の台帳の機能をも果たすものでございますが、その改製及び新設について規定したものであります。この新表題部の改製及び新設は、予算の範囲内において登記所ごとに実施する予定でございます。
次は第三条でございますが、第一号及び第二号は、第二条による新表題部の改製及び新設の完了しない登記所、言いかえますと、登記簿と台帳がまだ一元化されていない登記所でありますが、この登記所については、改正後の不動産登記法の規定中登記簿と台帳の一元化に関係あるものを適用しませんで、これらの規定に対応する改正前の不動産登記法の規定及び登記簿と台台帳の一元化に関係のない改正後の不動産登記法の規定を適用することとしたものであります。
次に第三号は、右の登記所については、廃止前の土地台帳法及び家屋台帳法の適用があるものといたしましたが、ただ、改正後の不動産登記法第八十一条の三及び第九十三条の四の新規定の同一の趣旨で、不動産の合併を制限することとしたものであります。
次に第四号は、登記簿と台帳の一元化の完了していない登記所については、この附則により改正された関係法律で適用することができないものについて、改正前のこれらの法律を適用する旨を明らかにしたものであります。
次は第四条でございますが、登記簿と台帳の一元化に関係のない不動産登記法の改正規定の施行に伴う経過措置を規定したものであります。
次は第五条でございますが、その第一項は改正後の不動産登記法の規定による不動産の表示に関する登記の申請義務を課さない例外を規定したものであります。
第二項は、右の申請義務の遡及適用に関し規定したものであります。
次は第六条でありますが、廃止される土地台帳法及び家屋台帳法による登記所から市町村長への通知及びこの通知に基づく固定資産税の課税台帳の記載の経過措置を規定したものであります。
次は第七条でありますが、土地台帳法及び家屋台帳法の規定による罰則の経過措置を規定したものであります。
次は第八条でありますが、不動産登記法の改正並びに土地台帳法及び家屋台帳法の廃止に伴う手続的な細目の経過措置を法務省令に委任したものであります。
次は第九条でありますが、第一項は、不動産登記法の改正に伴い、工場抵当法を整理し、工場財団を個々のものとして競売した場合の登記手続を整備したものであります。
第三項は、不動産登記法の改正に伴い「立木ニ関スル法律」を整理したものであります。
第三項から第五項までは、右の工場抵当法及び「立木ニ関スル法律」の改正に伴う経過措置を規定したものであります。
次は第十条でありますが、これは登記簿と台帳の一元化に伴う登録税法の改正をしたものでありまして、床面積の増加の登記、これは現行登録税法第二条第三項の規定でございますが、この規定以外の不動産の表示に関する登記については、登録税を課さないこととしたものであります。
次は第十一条でありますが、これは不動産登記法の改正に伴い、非訟事件手続法の整理をしたものであります。
第十二条は、公有水面埋立法の整理をしたものであります。
第十三条は、抵当証券法の整理をしたものであります。
第十四条も、法務省設置法を整理しまして、所要の経過規定を設けたものであります。
第十五条も、同趣旨によりまして、土地改良法の整理をしたものであります。
第十六条も同じく地方税法の整理をしまして、所要の経過規定を設けたものであります。
第十七条は、同じ趣旨をもちまして、土地家屋調査士法の整理をしますと同時に、測量士、測量士補または建築士が土地家屋調査士となるためには、不動産の表示に関する登記の申請手続についての試験に合格することを要することとしまして、所要の経過規定を設けたものであります。
次は第十八条でありますが、これは採石法の関係規定を整理したものであります。
第十九条は、国土調査法の整理をしたものであります。
第二十条は、道路交通事業抵当法の整理をしたものであります。
第二十一条は、農地法を整理したものであります。
第二十二条は、土地区画整理法の整理をしたものであります。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00319600216/7
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008・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 本日はこの程度で散会いたします。
午前十一時五十五分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00319600216/8
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