1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月三日(木曜日)
午前十一時二分開議
出席委員
委員長 瀬戸山 三男君
理事 鍛冶 良作君 理事 小島 徹三君
理事 田中伊三次君 理事 福井 盛太君
理事 菊地養之輔君 理事 坂本 泰良君
理事 田中幾三郎君
綾部健太郎君 薄田 美朝君
世耕 弘一君 高橋 禎一君
竹山祐太郎君 中村 梅吉君
南條 徳男君 馬場 元治君
濱田 正信君 阿部 五郎君
井伊 誠一君
出席政府委員
検 事
(刑事局長) 竹内 壽平君
検 事
(民事局長) 平賀 健太君
委員外の出席者
検 事
(民事局第三課
長心得) 香川 保一君
専 門 員 小木 貞一君
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三月三日
委員神近市子君辞任につき、その補欠として猪
俣浩三君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二日
調停委員の待遇改善等に関する陳情書
(第一九四号)
商法の一部改正に関する陳情書
(第二八六号)
公務員の不法行為による被害者の入院費国庫負
担に関する陳情書
(第三六四号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第二五号)
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第二六号)
不動産登記法の一部を改正する等の法律案(内
閣提出第四九号)
刑法の一部を改正する法律案(内閣提出第八〇
号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/0
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001・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 これより会議を開きます。
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、この両案を一括して議題といたします。
御質疑はございませんか。——御質疑がなければ、両案の質疑を終局いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/1
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002・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/2
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003・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 不動産登記法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
質疑を継続いたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。田中幾三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/3
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004・田中幾三郎
○田中(幾)委員 まず最初にこの登記制度の一元化の問題ですが、ここに今度の台帳のひな型があります。これによりますと、表題部、土地家屋、付属建物、それから所有権の甲区、乙区とありますが、これが一体をなして今度の登記簿を形作るのかどうか。これが一冊で登記簿か、いわゆる不動産登記簿というものの内容は、これが全部で一つになるのかどうかということを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/4
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005・平賀健太
○平賀政府委員 お手元にございます表題部、甲区、乙区、その用紙が一個の不動産について設けられまして、これを幾つか集めまして、一冊の登記簿ができることになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/5
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006・田中幾三郎
○田中(幾)委員 今ちょっと聞きそこなったのですが、これが一つの帳簿をなすのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/6
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007・平賀健太
○平賀政府委員 さようでございます。表題部と甲区、乙区の用紙が一個の不動産について設けられまして、その登記用紙を幾つか集めまして一冊の帳簿になる、これが登記簿というふうになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/7
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008・田中幾三郎
○田中(幾)委員 そうしますると、今度の法律の改正によりまして新たに表題部の登記というものができるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/8
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009・平賀健太
○平賀政府委員 現在の登記簿にも表題部があるわけでございますけれども、これは土地台帳、家屋台帳は別個になっております。今度の改正案では、その表題部が従来土地台帳、家屋台帳の形で果たしておった役割を果たすことになるわけでございます。従いまして、従来とは同じ表題部でございますけれども、機能が違ってくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/9
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010・田中幾三郎
○田中(幾)委員 そうしますると、わが国の登記制度からいえば、登記法の定めるところに従って登記をしなければ、いわゆる第三者に対する対抗力はない、こういうことになるのですが、今度のこの改正によって、登記がさらに一つふえて、いわゆる家屋台帳、土地台帳の作用をなすところの機能を持ったこの表題部の登記、それから従来の所有権並びにその移動を明らかにする登記——そうしますると、この表題部の登記によりましても所有者が明らかになる。表題部のところにやはり所在と所有者という欄がありますから、これで一応台帳的機能を果たすところの帳簿にも所有者が書かれる。これもやはり今度の登記法による一つの登記でありますから、そうしますと、民法の第百七十七条によりまして、この登記によってもやはり所有者としての対抗力があるのかどうか。特に所有権の登記を特に重ねて所有者としての甲区の方にしなければ対抗力がないのか。もしそうでないと、同じ登記法上の登記でありますから、民法の規定をそのままに解釈するならば、表題部の登記によっても対抗力があるというふうに解釈できると思うのですが、どういうふうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/10
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011・平賀健太
○平賀政府委員 表題部にあります所有者の表示は、これはあたかも現行制度の土地台帳、家屋台帳に所有者を表示するのと同じでございまして、これは民法百七十七条による所有権の登記ということにはならないという建前でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/11
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012・田中幾三郎
○田中(幾)委員 しかし、この百七十七条をそのまま読めば、そうとのみ解釈できないと思うのです。われわれはやはり所有権の登記という従来の観念がありますから、そうなりますけれども、「不動産ニ関スル物権ノ得喪及ヒ変更ハ登記法ノ定ムル所ニ従ヒ其登記ヲ為スニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス」、これをすなおに読めば、今度の表題部の登記も、登録とか何とか書いてあれば別問題ですけれども、やはり表題部の登記という言葉が書いてあると、しかも所有者がそれによってはっきりする以上は、またこれが一体をなして登記簿であるということになりますと、その表題部の所有者の登記、所有権者としての登記、こう二重にしなくても、最初の表題部のいわゆる登録に匹敵するような登記ででも対外的に効力があるように解釈できると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/12
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013・平賀健太
○平賀政府委員 改正法におきましては、表題部には不動産の表示をする、不動産の同一性を明らかにするための表示をするというだけのことでございます。特に所有権の登記は新法の百条以下におきまして、別に規定を設けてございますので、この点問題が生ずることはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/13
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014・田中幾三郎
○田中(幾)委員 これはやはり登記自由主義といいますか、本人の任意的な申請がなければ登記しないという大原則によって、所有権の表示というものを新たに別にやるということになる。ところが今度の規定によりますと、表題部の登記は登記官吏でも職権でできるわけでしょう。ですから、その点を法律自体によってはっきりしておかないと、私の疑問のように、やはり登記簿上の登記だということになって、表題部の登記も、これは本人の意思に基づいた登記であるということで、謄本を取ったときに第三者ではわからぬでしょう。説明をするからわかるけれども、しろうとが見たときに、登記簿の謄本をとったところが、これは登記をしておった所有者は何のだれだれだということになれば、これは登記簿上の所有権の登記と解されるのでありますから、今度の表題部に対する登記ということは非常に重大性を持ってくると私は思うのです。ですからその点を、表題部の登記は、登記簿上の民法にいう登記でないという、そういう本質といいますか、効果といいますか、それをはっきりと法律の上に表わしておかなければならぬのではないですか。たとえば登記法上の所有権の登記は明らかに登記という言葉を使う。それから台帳的性質を有する登記簿の表題部の登記というものは、これは登録、載せるということですから、所有権を維持するのではない。単に登記簿の上へ所有権の客体を明らかにするだけですから、登記と言ってはおかしいのじゃないですか。ただ載せるだけでいいじゃないですか。聞くところによると、今度は移記もしくは転記という言葉を使っている。帳簿に移すなら転記ですから、やはり登録とかなんとかいう言葉を使わないと、本来の登記簿上の登記と混同されて、しかもその登記された結果に対する公信力といいますか、効果といいますか、それが大きくなってくるのですから、そこを区別をしておかなければ間違いが起こりやすいのではないかということを心配するわけですが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/14
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015・平賀健太
○平賀政府委員 先ほども申し上げましたように、表題部に所有者を登記いたしますのは、あくまで不動産を表示するということでやるのでございまして、所有権の登記ではないのでございます。所有権の登記は今度の改正案の第三節に「所有権ニ関スル登記手続」という規定が入っておるのでございますが、第百条におきまして「始メテ為ス所有権ノ登記ハ左ニ掲ゲタル者ヨリ之ヲ申請スルコトヲ得」というふうに規定しておりまして、こういう規定から見ましても、民法百七十七条による権利の変動の公示としての所有権の登記というのは、表題部にされた登記ではなくて、甲区になされる所有権の登記、従来で言いますと所有権の保存あるいは所有権の移転登記というものは、民法第百七十七条にいう権利変更に関する登記であろう、そういう考え方でございます。従いまして、この点に関しまして誤解を生することはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/15
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016・田中幾三郎
○田中(幾)委員 これは法案を作る経過の上において、そういう議論は何もなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/16
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017・平賀健太
○平賀政府委員 従来の台帳の機能が表題部に移行し、民法第百七十七条にいうところの権利関係の登記というのは甲区または乙区になされるものであるということなのでありまして、その点につきましては、立案の過程におきましても、これは当然なこととしてそうあるべきものだということでやってきた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/17
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018・田中幾三郎
○田中(幾)委員 それでは、この表題部の登記、これは別に従来の所有権の登記の登録税というものは何もかからないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/18
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019・平賀健太
○平賀政府委員 表題部の登記につきましては登録税はかからないわけでございます。現行法のもとにおきましては表題部の登記も登録税がかかるのでございますが、この改正案のもとにおいては登録税はかからない、そういう建前にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/19
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020・田中幾三郎
○田中(幾)委員 それは何か法律とか規定があればおのずからはっきりしますが、将来そうでなかったというようなことでかかると困るし、これは一体どんな根拠から登録税はかからないということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/20
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021・平賀健太
○平賀政府委員 附則の第十条におきまして、登録税法を改正いたしまして、変更登記につきましては、権利の登記だけについて登録税を取るというように改正いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/21
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022・田中幾三郎
○田中(幾)委員 そこでこの台帳、いわゆる表題部を作るのは、これは法務局、いわゆる登記所でやるのだと思うのですけれども、これは登記所にとっては新しく仕事がふえるので、非常に仕事の量がふえるということは明らかです。表題部を新しく作るのですから、それは大体どれくらいの量がふえるという見通しですか。全国的に見て、この表題部の移記といいますか、転記といいますか、これを作るために新しく生ずる仕事量というものはどれくらいの見通しになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/22
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023・平賀健太
○平賀政府委員 ただいま仰せの通り、台帳と登記簿を一本化しますにつきましては、表題部の書きかえということをやらなくてはならぬわけでございますが、確かに法務局、いわゆる登記所の事務負担がその間は若干ふえるのでございます。これを現在の事務量の何%という数量的にはっきり申し上げるわけにはちょっと参らぬのでございますが、私どもの考えでは、全国の登記所が必ずしも全部が全部一日中仕事に追われておるというわけではございませんで、地方のひまな登記所もございます。そういうところでは勤務時間中の余裕の時間に移記をやって、それから忙しい登記所におきましては賃金職員を入れまして作業をさせる。それから中程度の登記所でありますと一職員に一日三十分間の超過勤務をやってもらう。そういう建前でもって三十五年度も予算要求をいたしました。大体私どもの計画通りの予算が入る見込みでございまして、職員に対して非常に負担になるということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/23
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024・田中幾三郎
○田中(幾)委員 私の聞いておるところによりますと、最近事件が非常に増加しまして、年々現在のままの仕事が増加している。昭和二十七年ごろを基準にして考えますと、約三五%くらいの事件増加、これは表を調べてもらったらすぐわかると思う。それに引きかえて、昨年は人員を増加いたしましたけれども、増員ということは非常に少ない。今の年度を基準にして、今日では三%くらいしか人員がふえてない。事件は年々増加する一方であるにかかわらず、増員というものは非常に手薄である。現在のままでもそうなのですから、今度今の書きかえをやるという仕事がふえたら、それくらいのことではなかなかだめなのじゃないか。あなたの言う超過勤務は、一日三十分といいますと一週に約三時間ですね。それから余裕のあるところとないところとあると言いますけれども、一つの町内に役所が二つあるわけではないから、むろん手伝いに行くとか、交流はできない。ただそういう目の子算で、ここらは少し事務が少なかろうからこういう場所はできるであろうとか、そういうことでは私は労働の時間なり仕事の量をさばくわけにはいかないと思うのですが、もう少しこれを科学的に、仕事の量と人員の配置をよく考えてやらないと、これは実際携わる者を酷使することになりはしないかと思う。それがかえってまた反面において仕事の遅延を来たす。つまり謄本の申請をしても、登記をしても、すぐその日にできない。三日も五日も後に仕事をする。これも今日では仕事の能率が非常におくれておるということで、そういうことをお調べになっていますか。大てい登記をすると、二日、三日ないし五日くらいたたなければ、いわゆる権利済み書はもらえない。こういうことは現在における仕事の量に対して人員が少ないということを意味しておるのですよ。これは国家のサービスじゃないのですから、国家のやる仕事の義務ですから、商店に物を買いにいって、ないからちょっと待って下さいというのと違います。権利義務の変動であるし、もしそれができない間にまた裁判の処分によって権利を差し押えられるとかどうとかいうことになると、重大なことになるのですから、もう少し科学的に調べてやらないと、法律は通っても人を酷使しなければならぬということになりますから、そういう点に対する今のようなことをちゃんとお調べになっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/24
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025・平賀健太
○平賀政府委員 ただいま仰せの通り、近年登記事件が非常にふえたのに比べまして、増員がほとんど実現されておりません関係で、登記所の事務負担が非常にふえておるのでございます。しかしながら、これに対しましては、私どもの方といたしましては、従来増員をお願いいたし、幸い三十五年度におきましては約百四十人ほどの登記所職員の増員が可能になる見込みであります。そのほかになお事務の機械化その他の方法によって、この隘路を克服いたしたいと考えておる次第でございます。他方明治以来ずっとやってきております現在の登記制度そのものを根本的に合理化することによって、事件増による事務負担を解消する、登記の申請人に非常に御迷惑をかけておる、こういうことを克服しなくてはならないということから、実は登記台帳の一元化ということも生まれてきたわけであります。これはやはり登記事件の処理の渋滞によって生じます一般の申請人に対する迷惑、それから登記所職員の事務負担の過重ということを解消するための一つの大きな方法であると考えておる次第でございます。ただ一元化の仕事が完了しますまでの過程におきましては、ここ数年の間、若干余分の仕事がふえるわけでございますから、これは先ほど申し上げますように、超過勤務あるいは賃金職員、あるいは一元化の作業をやっていないで事務に少し余裕のある登記所からこの一元化の作業をやっておる登記所に事務応援をいたすというようなことでこの一元化の作業を遂行していこう、十分に綿密に計算をいたしまして、予算要求もいたした次第でございます。約一億四千万円ほどの予算が来年度において認められる見込みでございます。なお、実は昭和三十四年度におきまして全国約五十カ所くらいの登記所におきまして、モデル的に、実験的に移記の作業を実施いたしたのでございます。その実績に徴しましても、決して登記所の職員に非常に大きい事務負担をかけるということはないということが証明せられておりますので、三十五年度におきましても、この作業のために特に登記所職員に非常に大きな事務負担をかけるということにはならぬと確信しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/25
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026・田中幾三郎
○田中(幾)委員 今法務局の出張所、いわゆる登記所ですか、全国に大体千八百と聞いておりますが、それに対して百四十人の増員では——大体いなかへ行って見てみると、所長のほかに一人くらいおるだけです。二人、三人というところは多いところじゃないかと私は思うのですが、どうもそれだけの多い役所に対して百四十名の増員では、一体どこをどういうふうにしたか知らぬけれども、これでは私はとうてい今度の事務の増加に伴う労働強化を緩和することはできないと思うのでありまして、先ほど申しましたように、よく統計もとり、これは単に数字からくる統計だけでなしに、個々の役所についてその事務の状況を具体的に調査して、親切にやはり仕事のできるようにしないと、扱うところは重大な権利を扱っておる、一字書き違ってもこれは非常に困ったことになるのですから、私はそういう御配慮をお願いしたい、かように思うのであります。それから、この仕事が完了しましたなら、存外あとの事務の方は簡素化されると思うのです。そこで、聞くところによると、あなたの方はこの台帳の転記というものができ上がったあとでは仕事の量が減るから、そうすれば法務局の職員を減らしてもいいというようなことを、まあ約束はしないでしょうけれども、言質のようなものを大蔵省に与えておるやに——そんなばかなことはないと思うのですが、その点をちょっとうわさに聞いておるのでどうかという点と、これが簡素化されたからといって人員を減らすような意図があるのかどうか、その点を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/26
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027・平賀健太
○平賀政府委員 この一元化が完了いたしました暁におきまして登記所の事務が非常に合理化される、それによって人員に余裕ができる、行政整理というものができるような事態になることは、国家財政全体の見地から見たら非常に好ましいことだと思うものでございますけれども、実は現状は必ずしもそうは相ならぬのでございまして、一元化が完了するまでには、現在の趨勢をもってしますと登記事件はさらにふえるでございましょうし、それから現在は手不足のために不動産の実地検査が所期の通りには必ずしも実行できていないうらみもございますので、一元化が完了しました暁におきましては、この実地検査を法律の精神通りに実施したい、そいううことも考えております関係で、一元化が実現しまして合理化ができましても、遺憾ながら登記所の職員を減員するなどということは思いもよらぬことであると私ども考えております。そういう次第でございますので、大蔵省に対しまして減員をいたしますというようなことを約束するはずはないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/27
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028・田中幾三郎
○田中(幾)委員 それから、この登記官吏に与えた実地調査権、それから不動産の表示の登記をする権利も与えてあるわけですが、これは今の日本の民法並びに登記法によっても、従来は本人の意思によってそういうことがなされてきたわけです。これは私権ですから、個人の財産ですから、登記するやいなやということは本人の意思にまかせてきたわけです。またそれでいいわけです。これが課税台帳の役を即時になすのなら公の性質を持ってきますけれども、単にこれは個人の財産権を表示する帳簿であり、権利を保持する帳簿なんでありますから、これはどこまでも本人主義でいいのじゃないか。そうしないということは、何か本人のこういう権利を認めて強制的に登記するということは、そういう今の法律の精神に反するのではないかということを考えるのであります。というのは、本人が登記する意思も何もないというのに調査して、それは表題部に登記された。それが今の百条の規定によって初めて所有権の登記をする場合、表題部にあるのですから、これはすぐ登記に移行していくということですね。ですから、また登記官吏の調査が正確であればいいけれども、こうだという認定によってやられた場合には、ほんとうの私権とその主体者とが一致すればいいですが、間違ったようなこともないとも限らぬですね。ですから、どうしてもこういう権利を認める必要があるのか、またこの登記法の関係からいって、税に関係なしに私権をただ表示しておくという点からいって、こういう強制の調査権がなぜ必要になってきたのか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/28
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029・平賀健太
○平賀政府委員 表題部の登記は、権利の客体でありますところの不動産を特定するという機能を営むもので、現在の台帳と全くその点は同じでございます。台帳がやはり職権調査主義に基づいてできるのでございまして、その点が全く今度の新しい案のもとにおける表題部にそのまま移行したと考えればいいのでございます。仰せの民法にいう不動産物権の変動を公示する手段としての権利の登記は、先ほども申し上げましたように、登記簿の登記用紙の中の甲区と乙区にされるわけでございます。甲区と乙区の登記におきましては、あくまで申請主義を建前にいたしておるわけでございます。本人の権利者の申請がなければこれを登記しないという建前でございますので、権利関係の公示の手段としての登記の申請主義は、この改正法のもとにおきましても全然変更を受けていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/29
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030・田中幾三郎
○田中(幾)委員 これは台帳の表題部の登記であっても、私はやはり所有者のある程度の自由主義を認めなければならぬと思う。たとえば家を新築してよそへ転売するというような場合に、これは正しくいえば自分で建築したのですから、本登記なりして税金を納めるのが普通かもしれぬけれども、しかし業者のようなものが建ててかりに内々に月賦販売のような契約をしてあるような場合に、これはやはりほんとうの所有者がきまってから表題部の登記もしたいということもありましょうし、それを政府がことさらに横から行って表題部に登記してしまうというようなことは、これは本人の財産権の所持に対して第三者がえらいおせっかいなことをするようなことにも当たりはしないか。ですから、私は本人が希望しないのに職権で登記するような必要がどこから出てきたのであるかということを承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/30
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031・平賀健太
○平賀政府委員 ただいま仰せのような場合は、現行法のもとにおきましても、それは家屋の新築でございますので、家屋台帳にやはり登録されるわけでございまして、普通だったら本人の申告に基づいて登録しますけれども、本人の申告がなければ、登記所が職権でもって家屋台帳に登録いたすことになるわけでございまして、その台帳の関係がそのまま登記の表題部に移っただけで、本質的には全然変更はないわけでございます。現在と同じことでございます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/31
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032・田中幾三郎
○田中(幾)委員 私は、所有権と所有権に対する本人の自由というものがあるのですから、その点を一ぺん考慮すべき問題ではないかということの問題点として、ここで一つ提示をしておくことにとどめます。
それから登記済証のない場合の保証書代用の登記の点ですが、これは今度の法律によって、いわゆる登記義務者に事前通知をするという規定が設けられたわけです。これはやはり権利擁護の点から、何らかの処置が必要かと私ども思うのです。けれども、登記所へ登記に行って書類ができて、いざ登記をするときに、事前通知をして三週間の期間を置いての事前通知ということはどうであろうか。不動産はもちろん動産と違いますから、そう取引の迅速ということは動産ほどにはないかもしれませんけれども、しかし売買に限らず、抵当権の設定でも、これは経済的活用をする点におきましては、やはり迅速を尊ぶ場合が多かろうと思うのです。ですから、これに対しての三週間、二十一日間の事前予告の期間というものは相当検討されたと思うのですけれども、どういう点から割り出して三週間という期間がきまったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/32
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033・平賀健太
○平賀政府委員 これは登記の申請が出まして、登記所がその登記簿に表示されております登記義務者の住所にあてて通知をしまして、それから向こうから返事が返ってくる間の余裕を見まして、やはり最低三週間くらいの余裕は置いた方が筋ではなかろうかということで、三週間という余裕を置くことにしたのでございますが、実際問題として考えますと、取引の当事者間にお互いに信頼関係がございますれば、たとい登記がされますのは三週間後になりましても、取引はその場でやりましても間違いが生ずるおそれはございません。そういう関係で当事者に特に不便を与えるということもないのではないかと考えるのでございます。ところが、相手がよく知らぬ人であると、どうもはたしてほんとうの登記義務者であるかわからないという懸念がありますれば、やはり慎重の上にも慎重に手を尽くしておきませんと、もしそれが間違いがありますと、登記を受けることができないことになる。登記を受けましても、それが虚偽の登記ということで抹消されるというようなことで非常に迷惑をこうむるわけでございます。それを考えますと、三週間の期間がありましても、これまた登記の申請人に不利益——無権利者から権利の譲渡を受けるというような損害がございますのと比べれば、まだましではないかということで、こういう改正案にしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/33
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034・田中幾三郎
○田中(幾)委員 この点は登記義務者の方へ通知がいけば、これは考慮する余地がない、考えてどうということはないのですから、届いて返事をする期間があればいい。むしろ通知を出す方法に私は問題がありはしないかと思う。この規定によりますと、ただ通知を発してから三週間という期間に、これは発信主義をとっているようですけれども、登記義務者の方に発して届けば、自分の重大な権利に関することですから、これは打っちゃっておくことはありませんよ。ですから、むしろその通知の方法を確実にできる措置を、たとえば内容証明を出すとか、あるいは確定日付のある本人の承諾書を持ってくるとか、単に一片の通知をぽんと出して、二十一日たったらこれでよろしいということでは、政府の方で考えた御配慮が万全ではないのではないか、むしろ本人の意思を明らかにする方法があれば、通知を出さなくとも、本人の承諾書を持ってくればいいのですし、それから通知を一ぺん出して届いたか届かなかったか、たとえば逓信職員のストなんかが起こって届かぬ場合にも、二十一日間たって返事がこなかったからやってしまえというようなことでは工合が悪いから、むしろこの点は確実に相手の意思を確かめる方法を規定された方がいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/34
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035・平賀健太
○平賀政府委員 御意見まことにごもっともな点があるのでございまして、本人であることを確かめるもっといい確実な方法があればこれは非常にいいのでございますが、面識のある人ならばこれは間違いないとだれでも思うわけでございますが、面識のない人が来て、自分は何がしであると言われましても、はたしてそうであるかどうか確認するということは、実際問題として非常に困難であるわけでございます。私どもとしてもいろいろ考えたのでございますが、この改正案にあるような方法が一番実行可能な現実的な案ではなかろうかということで、こういうことにいたしたわけでございます。ただ実際問題といたしましては、登記義務者といたしましては、たとえば不動産を売って金にしなければいけない、代金を早く得なければいけない、あるいは抵当権を設定して、金を借りて、早く現金を入手しなければならないという必要に迫られておりますので、ほんとうに登記義務者に登記の意思があるならば、三週間も待たずに即日にでも返事を出すでございましょうし、問題は三週間たっても返事が来ないときであります。その場合はやはりほんとうの権利者でないものが権利者のような顔をして保証書を作ってもらって登記をして、他人の不動産を勝手に無権限で処分するというような事例になるわけでありまして、この規定で三週間というのは、そういうわけで、返事が来ない場合のことがねらいで、登記義務者に登記する意思がございますれば、さっそく返事がくるということになると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/35
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036・田中幾三郎
○田中(幾)委員 それからもう一つは保存年限の短縮の問題ですが、これはそう長く保存する必要がなかろうということで三十年の年限を二十年に短縮したわけですか。これはあまり長いと保存する場所がないという理由でもなければ、権利関係に関する書類ですから、長く保存していただいた方が私はいいと思います。実は私個人としても、ある問題で困ったことがあったのであります。明治四十年ごろの町村の財産区の合併のときにやった書類を調べる必要があって行ったところ、書類が一切ない。せめて登記の申請書類でもないかというので調べたところ、これも十年で廃棄してしまってないということで実に困ったことがある。めったにないかもしれませんが、やはり財産の権利関係の歴史でありますから、なるべく保存期間を長くした方がいいのではないか、あわせて登記申請の書類は十年になっておりますが、これはむしろ長くしてもらった方がいいのではないかと思うくらいなんですが、三十年を二十年に短縮した、そのいきさつを承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/36
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037・平賀健太
○平賀政府委員 ただいま仰せの登記の申請書類は現行法でも十年間保存することになっておりまして、これは本改正でも改めておりません。三十年を二十年に改めましたのは閉鎖登記簿の保存期間でございまして、たとえば土地が滅失したとか、あるいは建物が焼けてなくなって滅失してしまったというときに、その登記用紙を閉鎖するわけでございます。それは三十年も保存する必要はないだろう、二十年で十分ではないかということでございます。実は登記所のこういう書類が非常に膨大になりまして、倉庫がだんだん狭くなって参りますので、余分の帳簿、書類は現実に必要がなければできるだけ早く廃棄するのが望ましいのでございまして、これもその一助でありまして、閉鎖登記簿などは三十年も保存する必要はない、二十年で十分だということで二十四条の二でこの点を短縮したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/37
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038・田中幾三郎
○田中(幾)委員 それから先ほどの登記官吏の職権調査にからんで、その調査に基づいてやった表題部の登記とうものは、これは登記官吏の処分行為となりますか。というのは、もし間違って登記をした場合に、処分行為ならば異議の申し立ての方法があるわけですね。処分行為でないということになると、これに対する、たとえば間違った場合の異議訂正の規定がどこかにありますか。これは処分行為だとすると、処分行為に対する異議の申し立て方法がありますから、これはどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/38
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039・平賀健太
○平賀政府委員 不動産登記法の建前といたしまして、登記をするということは、異議の申し立ての対象としての処分とは考えられていないのでございます。職権登記あるいは申請によってした場合も同じでございますが、間違った登記がされたという場合には、更正登記の申請ができることになっておりまして、登記官吏が、その更正登記の申請を真実に合致していないというので、却下いたしますと、その却下処分に対して異議の申し立てができるという建前になっております。不動産登記はそういう構成をいたしておるわけで、この点は新法におきましても同じことになると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/39
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040・田中幾三郎
○田中(幾)委員 乙の所有のものを甲の所有に登記をしたという場合に、これは間違っておりますから、更正決定を出しますということで直りますか。そんなに所有権の所属を簡単に一片の更正決定くらいで直されるのですか。やはり裁判所の判決でも得て、これは間違っておったという手続でもとらなければならなくなるのじゃないですか。今調べてみて、これは間違っておったから更正決定で直しますなんて、簡単にそういうことだけで訂正されたのでは、それこそ大へんなことになりますから、その点の救済方法を私は伺っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/40
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041・平賀健太
○平賀政府委員 たとえば、ある不動産のほんとうの所有者は乙であるのに、登記所が間違って職権で登記をしまして、甲を所有者と表示をしたという場合を考えますと、実際問題としてはそういうことは万ないと思いますけれども、かりにそういうことがあるとしますと、真実の所有者であります乙から登記の更正の申請ができることになっております。乙が自分の所有権を証する書面を添えまして、登記所に所有者甲とあるのを乙と訂正してくれと、こういう更正登記の申請をいたすわけでございます。登記所がそれを調べまして、なるほど乙がほんとうの所有者である、甲は間違いであったと認めますれば、登記所がその記載を訂正いたします。それから登記所がそれを調べて、やはりどうも間違っていない、甲が所有者だ、こう認定いたしたとしますと、その場合には乙の登記の申請を却下をいたすわけでございます。この申請は真実に合致していないというので却下をいたします。これは処分になりますから、その却下処分に対しては異議の申し立てができる、そういうことになるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/41
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042・田中幾三郎
○田中(幾)委員 それは争いのないものであって、乙が、それを申請し、甲も乙のものであることを認めたのならいいかもしれぬ。しかし物権自体に争いのある場合があるかもしれませんよ。そうしますると、争いのある物権に対して甲のものと登録したところが、そこに異議が出てきたという場合に、甲が自分で私のものでないと認めた場合はいいけれども、他にも所有権を主張する者があった場合には、これは表題部の所有者になっておるものしか登記所に対しての異議なりあるいは更正決定なりの申し立ての権限がないわけです。表題部に名前のない第三者がやってきても、それは受けつけるわけにはいきませんね。そうしますと、職権によって登記をしたがために、所有権不存在の確認の訴えを乙からしなければならない。そういう間違いをやった場合には、これは大へんな問題になると思うんですよ。損害賠償の問題も起こるかもしれぬ。自分の所有権を勝手に登記所が他人のものにしてしまったのですから、そういう点はやはり判決でも持ってこなければ訂正する方法がないのじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/42
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043・平賀健太
○平賀政府委員 ただいま仰せの場合でありますと、たとえば表題部には所有者甲と表示してある。ところが乙という者がございまして、自分がほんとうの所有者であると主張する場合でありますと、乙は自己の所有権を証する書面を添えまして登記所に所有権の記載の訂正を申請することになるわけです。でありますから、場合によりましては、甲乙間に所有権について争いがあって、乙は裁判所に甲を相手に所有権確認の訴えを起こしまして、その判決をもらってこなければならぬ場合も生ずるかと思います。確定判決をもらいますと、自己の所有権を証する書面ということになりますから、その判決を添えまして、訂正の申し立てを登記所にするということになるわけでございます。登記所は、判決でございますので、これなら大丈夫だということで、甲の記載を乙の記載に訂正する、そういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/43
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044・田中幾三郎
○田中(幾)委員 それは所有者の主体を変えるわけでありますから、判決が要るわけですけれども、職権によって調査して間違ったということになれば、一たん登記したものは外部に対して効力を持ちますから、自分で抹消する権限を与えておかなければならない。ただ勝手に登録しておいてまた勝手に抹消するということをやり出したら、登記官吏に対する信用問題になりますが、しかし登記官吏が間違ってやったがために、訴訟まで起こして所有証明を持ってこなければならぬようでは、むしろそういうことをしてもらわない方がよかったということになる、要らないことをやったということになる。ですから、そういう場合には、登記官吏が自分で抹消して、私権の争いはそちらへ回しておけばいい、登記台帳だけを片づければいいという、何かそこに規定でもありますか。そこまで読んでないから何ですけれども、どういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/44
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045・平賀健太
○平賀政府委員 今お話しの問題は、現在の台帳についても起こることと思うのでございますが、登記官吏が故意または過失によって間違った表題部の記載をした。そのために第三者に損害を与えたということになりますと、これは国家賠償法によりまして国が損害賠償責任を負うという問題も、場合によっては生じ得ると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/45
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046・田中幾三郎
○田中(幾)委員 その点はこまかくなりますから、一ぺん御研究を願い、われわれも研究することにいたします。
最後に、登記事務を扱う庁舎と保存倉庫の問題であります。私五年くらい前の法務委員会だったと思いますが、法務局の庁舎が非常に古くて、事務をとる能率も上がらぬというので、府中と八王子の東京管内の法務局を調査に法務委員会から正式に参ったことがあります。ところが、まずい庁舎で、ほかのところと比べてお話にならない、しかも全国調べてみますると、大ていこれは借家であって、安い賃金で借りているという。従って修繕も自由にならぬというのが多い。それで、どうかといいますると、大切なところの権利関係の書類を保存しておく倉庫の設備というものが非常によろしくない。そこで私は、この問題について今度は不動産の客体を明らかにする台帳の機能等をやるような重要な書類をやるのですから、今すぐとは考えませんけれども、ここ十年か十五年ぐらいの計画で、全国の法務庁舎の完備ということをしなければ、万一これが焼けてなくなるというようなことがあれば、非常に混乱すると思うのです。なければそれでいいけれども、もしあるならばこれは困るのです。私はこれは相当の長い年月でもよろしいと思う。前に調査したときから見ると、五年もたっているのですから、十年計画なら半分はやっておるわけです。ですからこの点は大蔵省との関係もありましょうけれども、事はきわめて重大でありますから、私はその点を当局に要望をいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/46
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047・平賀健太
○平賀政府委員 ただいまの御意見非常にごもっともでございまして、私どもとしましても、これまで登記所の施設の整備改善に努力いたして参りましたが、今後さらに極力庁舎の改善ということに努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/47
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048・鍛冶良作
○鍛冶委員 関連してちょっと伺いたいのですが、先ほどから聞いておってちょっと疑問に思ったから明確にしておきたい。台帳のかわりに登記簿上の表題部ということになるのですね。これも登記の一部ですな。これは間違いないでしょうね。——そうすると、権利の移転の際は、表題部に異動はないけれども、その表題部がなかったら異動の登記はできないことになりますか。先ほど聞いておると、移転の際には登記するだけで表題部は関係ないのだと言われるが、それは動かすことは要らぬかもしれないが、表題部とくっついた一つのものが権利移転になったのじゃないか。それとも、表題部はそのままだが権利移転だけはしたんだという観念に聞こえたのですが、そうじゃなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/48
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049・平賀健太
○平賀政府委員 権利の移転と申しましても、たとえば甲の所有が乙の所有に変わるという場合がございます。それは甲区にその記載がされるわけでございます。乙が所有者として登記されることによって権利の移転がそれで公示されることになるわけでございます。表題部の方は、所有者の欄はすでに所有権の登記がされておりますので、所有者の欄に記載された表示を消してしまうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/49
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050・鍛冶良作
○鍛冶委員 それならなおさらですが、先ほど聞いておりますと、表題部というものは、表題だけであって権利の移転には何の関係もないのだ、こう言われるのですが、これは観念上の争いのようですけれども、私の言うのは登記と表題部と一体になっているのですから、権利が移転したということは登記が変わったということだ。移転したために表題部も変わったという観念だろうと思う。表題部は変わらないのだ、これだけ変わったのだということではなかろうと思う。一体だということでしょう。一体なのか一体なのかということになる。一体ならば一体のものが変わったのだ、こう言わなければ理論は通らぬと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/50
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051・平賀健太
○平賀政府委員 これは仰せの通りでありまして、表題部、甲区、乙区は一体をなしておりまして、甲から乙に所有権が移転するということは表題部に記載してある不動産が乙に移転したということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/51
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052・鍛冶良作
○鍛冶委員 そうすると、逐条説明の第一章総則第一条に書いてあります「登記簿と土地台帳又は家屋台帳との統合一元化により、登記は、権利関係のみならず、不動産自体の状況を明確にするため不動産の表示のみについてもする必要があるので、かかる登記も独立してすることができる」、これはちょっとわからないので、表題部だけを独立してどういうことをするのですか。私は二つで一体になるものならば、離れるという観念が出てこないと思うのだが、これはどういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/52
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053・平賀健太
○平賀政府委員 たとえば、例をあげて申しますと、建物を新築いたしますと、登記の関係で建物の所有権の保存登記をいたします。保存登記をいたしますと、その保存登記の申請によりまして、同時に表題部の記載をするわけでございます。つまり表題部の登記というものは現在独立してすることを認めていないわけでございます。ところが、この改正案になりますと、所有権の登記はしたくない、登録税もかかることだから保存登記はしたくない。しかし、今の台帳の登記と同じことで義務が課されておるので、表題部だけの登記はしておかなくてはならぬということで、表題部だけの建物の新築の登記の申請をするわけでございます。その場合には表題部だけができるわけで甲区、乙区には何も記載がない、そういうことになるわけでございます。それで、たとえばその建物を抵当に金を借りたい、あるいは人に売りたいという場合には、今度は保存登記をする必要が生じます。そこで初めて所有権の登記の申請をする。そうして、甲区の記載がされる。こういうことになってくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/53
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054・鍛冶良作
○鍛冶委員 なるほど表題部だけを変更するという観念のようですが、その保存登記をする場合、保存登記をするなら、何十何坪の家を建てたからということで表題部に何十何坪と書く、そして自分の名前を書くのですね。私なら私の名前を書く。こっちの方には所有者鍛冶良作とこう書くのでしょう。それが保存登記ですね。そこで、それを今度建て増ししましたら、建て増しをやるときにはなるほど表題部だけ変えることになるかもしれないが、そこですでに所有者鍛冶良作と書いてありますね。そうすると、所有者が今まで三十坪の家を持っておったものが、建て増しして五十坪の家を建てたら、五十坪の家を所有したということに変わることになる、これで表題部だけと言われますか。私はそういう観念が出てこないと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/54
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055・平賀健太
○平賀政府委員 それは仰せの通りでございまして、表題部だけが何か独立した存在を持っておるという意味では決してないわけでございます。甲区、乙区に所有権その他の権利者の記載がされるわけでございますから、その権利はあくまで表題部に記載されている不動産について持っておるというわけで、たとえば甲区に所有者鍛冶先生の名前が書いてありますと、鍛冶先生がこの表題部に記載されている不動産の所有者だということを公示しておることになるわけであります。そういう関係で、やはり表題部と甲区、乙区は一体だ、こう申さなければならぬと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/55
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056・鍛冶良作
○鍛冶委員 それを明確にしておけばいいので、理論上の争いかもしれませんが、離れてもいいのだというふうに聞こえるから、私はそういうことはなかろう、登記の場合には表題部がなかったら登記にならないのじゃないですかと言うのです。そうして見ると、登記が変わるということは、表題部と一緒のものが変わっていくんだ、こういう観念でなければならぬと思うわけですが、その点を明確にして下さい。それに間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/56
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057・平賀健太
○平賀政府委員 その点、仰せの通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/57
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058・坂本泰良
○坂本委員 関連してちょっと。——先ほどの田中委員の質問の際の登記簿の書きかえの問題ですが、この際にひまな法務局の出張所は合い間にやる。中ぐらいのところは一日三十分の超勤でやる。忙しいところは賃金職員でやる。その賃金職員は予算額では百四十人の増員を予定しておる。こういう御説明でしたから、百四十人ではたしてできるかどうか、つまり百四十人の増員をされた場合、忙しい登記所にどういうふうに配置されるか、これは民事局の方で資料があるかどうか、あらたらこの資料を出してもらいたい。それから、そういうようなことでモデル実績がある、こういうお話ですが、そのモデルの実績についての資料を出してもらいたいと思う。と申しますのは田中委員の御質問にもありましたが、現在登記所は非常に多忙で、ここ二、三年事件はふえているが、人員はふえていない、非常な過重になっている。この登記簿の書きかえになればさらに過重になる。だから、こういうことではもう少し資料によって検討しなければ、はたしてこの法律案によって登記事務が円滑にいくかどうか非常にわれわれは疑問であります。特にこの登記は不動産の権利義務に重要な関係があるものですから、その点について万遺憾ない措置がとられるためには、十分な見通しがなければならぬと思います。そのために今の資料をお願いしたいと思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/58
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059・平賀健太
○平賀政府委員 先ほど百四十二名の増員と申しましたが、これは一元化の作業というよりもむしろ一般事件が非常にふえましたので、それに対応するための増員でございまして、一元化の作業をさせるための百四十二人ということではないのでございます。賃金は、また別途に雇い入れまして働いてもらうわけでございますが、三十五年度におきましては、賃金予算が約千七百万円入っておりまして、これを延べ人員に直しますと、約十二万人の数になるわけでございます。そういう関係で、この百四十二名ということとは別個でございます。なおこの百四十二名を一体全国の法務局にどういうふうに配分するかということにつきましては、私ども目下検討中でございますが、重点的に事務多忙をきわめておるところに配置をする、そういう考えでございます。
それから、先ほども申し上げましたように、昭和三十四年度中におきまして、全国の土地、建物の約五%につきまして移記の作業をやったわけでございます。実施の対象になりました登記所の数は約五十カ所でありますが、この五十カ所におきましても、もう早いところは去年の暮れまでに仕事を終わっておるところもございます。おそいところでも一月あるいは二月中に終わる。少なくとも三月一ぱいには終わる。大体私どもの予定しておりました通りの成績で終わっておりまして、来年度の予算におきましても、一人当たりの事務量というものは昨年よりもむしろゆるやかになっておる計算でございますので、去年の実績から見ましても、職員の負担が過重になるというおそれはないと確信いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/59
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060・坂本泰良
○坂本委員 資料の点は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/60
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061・平賀健太
○平賀政府委員 それでは昨年度実施いたしました一元化の作業の実績につきまして資料を提出することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/61
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062・坂本泰良
○坂本委員 今の私の質問に対する御答弁に、昨年度十二万人というのでしたか、数字は忘れましたが、とにかく十二万人の賃金職員を入れたという意味に聞いたのですが、これは定員との関係のない賃金職員ですか。どういう職員ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/62
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063・平賀健太
○平賀政府委員 十二万人というのは、これは延べ人員でございますが、これは一元化の作業のために雇い入れる賃金職員でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/63
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064・坂本泰良
○坂本委員 一元化のために雇い入れる職員ですと、法務局の定員には関係のない臨時職員という意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/64
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065・平賀健太
○平賀政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/65
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066・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 次に、刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑を継続いたします。質疑の通告がありますので、これを許します。田中幾三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/66
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067・田中幾三郎
○田中(幾)委員 先日の刑事局長の御説明によって、窃取という観念のうちには、不動産は含まない。窃取という観念は、物が動くというところから窃取するということなんで、不動産は別に侵奪という言葉を使って、不動産のいわゆる窃盗罪を規定したものだという御説でありました。そこで内容はすでに提案の説明書にもあります通り、不法に占有関係を自己の権力の中におさめるということだというので、実質は変わらないのだということでありました。そこで私はそういうことならば、別に一条を立てて、窃盗罪のほかに、客体が違うからといって、不動産の窃盗罪を侵奪罪として設ける必要があるのかどうかということについて疑問を持たざるを得ないのです。と申しまするのは、不動産のいわゆる強盗、強奪は二百三十六条の二項の規定でまかなえる、こういうお答えでしたね。そこで単純の不動産の窃盗は、一条を設けて別個の罪としてこれを作る。それから不動産の強盗罪は、あらためて作らぬでも、二百三十六条の二項でできる。私はそこに非常に一つの罪を——強盗も単純窃盗も手段が違うだけであって、本質は一つであると思うのに、手段が暴行脅迫ということによって、単純の窃盗となり強盗となるのですから、それで不動産の窃盗罪、いわゆる侵奪罪を設けて、不動産の強盗罪の規定を作らずに、ほかの規定を借りてきてこれにおさめてしまうというお考え方でしょう。私は犯罪の本質と罪数——罪を作る数、罪数の上からいって、これは一本にこの規定をまかなえないものかというふうに考える。そこでこういうふうに一条を立てて単純の不動産の窃盗罪を作らずに、二百三十五条の窃盗罪の中へこれを盛り込んだらいいじゃないか。そうすれば別条で罪質が違ったようなものを二つ作らぬでも、不動産と動産という客体だけが違うだけで罪質の一つのものを一条におさめてしまうことはできたのではないかというふうに考えるのであります。そこで、この法条を一つ立てずに、二百三十五条を「他人ノ不動産又ハ動産其他ノ財物ヲ窃取又ハ侵奪シタル者ハ十年以下ノ懲役ニ処ス」とこう直して、窃盗罪は、不動産であろうと動産であろうと、客体が違っておっても一つの罪質だということにまとめてしまった方がいいのではないかというふうに考えるのですが、刑事局長はどうお考えになりますか。またこの審議の過程においてそういう論議がなかったのか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/67
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068・竹内壽平
○竹内政府委員 ただいま御質疑のございました点は、立法技術上の問題でございます。本質といたしましては、二百三十五条の中に不動産をも含める改正をすることが立法技術上妥当であるかどうかという点にかかるわけでございまして、立案の過程におきまして十分検討をいたした点でございます。ただそれを、御質疑のように二百三十五条それ自身に改正を加えないで別条を設けましたことと、それから二百三十六条の一項に相当する不動産の強奪罪のような規定を特に置かなかったという点につきまして、前会にも若干は触れたつもりでございますが、なおその点をもう少しこまかく申し上げますと、まず二百三十五条の財物という観念でございますが、この財物という用語あるいは財という字がついていないで、ただ物というふうに書いた条文もございますが、二百三十五条だけでなく、二百三十六条にもありますし、二百四十六条、二百四十九条、二百五十二条、二百六十一条等にそれぞれこういう用語が使ってございます。この財物という解釈は、動産も不動産も含むということは、もう一般に異論のないところでございます。そこで今仰せのような規定の仕方を一応例にとりまして考えてみますと、動産、不動産、その他の財物とこういうふうになりますと、二百三十五条に関しまする限り、財物の中には動産、不動産を含まない、そういう財物がここへ一つ法律上できてくるわけでございまして、それでは先ほど申しました二百三十六条、二百四十二条以下の諸条文の財物と二百三十五条の財物とは異なる概念のものになってくるという、立法技術上解釈に大きな影響を持ってくる事項になります。そういう点で、今回は一部改正でございますので、できるだけ既存の条文の法律解釈、あるいはお互にそのために他に新たなる解釈を生むような疑問を生ぜしめるようなことを極力避けて参りたいという配慮から、この点の改正は適当でないということに相なったわけでございます。それでは二百三十六条との関係はどうかということでございます。なるほどこれも立法技術的にもずいぶん検討した条文でございますが、二百三十五条は、今申しますように、窃取ということの照り返しと申しますか、はね返しと申しますか、そういうことからして、おのずからその財物の中には不動産が入ってこないという解釈になるわけでございますが、二百三十六条の第一項はまさしくこの財物を強取というので、これは窃取と同じように、この中には不動産が入らないことは二百三十五条の解釈と同様でございます。ところが、二百三十六条には第二項を設けておりまして、「前項ノ方法ヲ以テ財産上不法ノ利益ヲ得又ハ他人ヲシテ之ヲ得セシメタル者」、こういうことで、これは一応二項強盗と呼んでおりますが、構成要件は一項の場合とは違って、非常に「財産上不法ノ利益ヲ得」ということになりますので、範囲は実は広いわけなんです。もちろんこの一項をも含んでおります。それから一項に当たらない場合でありましても、もう少し範囲の広いものが二項の財産上不法の利益を得たということが認められます限りは、二項強盗に当たるわけで、強盗々々というふうに呼びますものですから、いささか観念の混雑を来たすわけでございますけれども、二項はそういうふうに広い規定になっております。そこで前会にもちょっと触れたのでございますが、二百三十五条について、不動産が入らないのだという強い解釈を出しております泉二博士の意見さえも、この第二項につきましては「暴力ヲ用イテ住居者ヲ一時放逐シ自ラ之ヲ占拠シタルトキハ住居侵入罪ノ外財産上ノ犯罪ヲ構成スルコトナキカ若シ代価ヲ供給スルコトナクシテ其使用ヲ継続スルトキハ財産上不法ノ利益ヲ得ル罪トシテ刑法二百三十六条第二項ノ適用ヲ受クルコトハ想像ニ難カラス」というような意見も同じ本に出ているくらいでございまして、この「財産上不法ノ利益ヲ得」ということで、今のような侵奪に至らないものまでも、財産上不法な利益を得れば、この二項強盗になるわけで、いわんや侵奪罪は、侵奪になったような場合は、もちろん入るということからいたしまして、これは立法政策の問題になりますが、刑罰法令でございますので、最小限度の改正にとどめたいという要請と相待って、この二百三十六条は改正をしなくても、第二項でまかなえるということに法制審議会でも意見が一致したような次第でございます。そういうわけで、二百三十五条はやむを得ず一条を設けまして、不動産侵奪の規定を設け、二百三十六条は改正をせずして、不動産侵奪の場合の強盗的な行為は二項で受ける、こういう考えでございます。従いまして、二百三十五条を直して不動産をも含めるというふうに書きますことは非常に困難でございます。書いて書けないことはありませんが、書きました結果として、従来の法律解釈とあるいは財物の概念が条文によって違ってくるといったような悪い影響が出て参りますので、その辺を考慮いたしました結果、こういう規定の改正形式をとりました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/68
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069・田中幾三郎
○田中(幾)委員 これは鍛冶委員からも、今の二項強盗についての質問があったように思います。今御説明もありましたが、しかし、この不動産の窃盗罪、すなわち侵奪罪がなかったから不動産強盗の場合だけはこの今の二百三十六条でまかなえたわけですね。しかし、ここに不動産の侵奪罪というはっきりした犯罪の成立と構成を認めたのですから、まかなえたらそれの方へ追い込んでその網にひっかけるというようなことでなしに、不動産の侵奪罪がここに別個にできたのですから、手段を暴行脅迫でもってやった場合には不動産の強盗罪ができるとずばりと言った方が、これは検挙する上からも、判決を下す上からも、はっきりとものさしがきちっときまることができたのじゃないか。無理にということは当たらぬかもしれぬけれども、この二百三十六条でまかなえるというような政策的なことでなしに、侵奪罪が一つできたのだから、手段がこれに加われば強盗だとずばりとやった方が、一項を設けるならばその方がすっきりとして、取り締まりの上にもはっきりとできたのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/69
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070・竹内壽平
○竹内政府委員 確かに一つの考え方でございまして、私どもこれを軽視するものでは決してございません。先ほど申しましたように、立法政策上最少限度にとどめたいという気持からにほかならないのでございます。
それから前会もこれまた鍛冶委員の御質問にお答えをした点に重複いたしますが、現実にこういう強盗的な形態の不動産侵奪というものがあったのじゃないか、それを適用を見てない点について疑問があるというお言葉でございました。私どもも、何かいい適例がないであろうか、もしあるならばこれを国会で御披露申し上げるのが私どもの責務だというふうに感じまして、いろいろ調査をしてみたのでございますが、検察官の考え方としましては、適用ができぬから適用を控えておるのではない。その点は不動産窃盗の場合と考え方において異るのでございます。しかし今までやっていない、実例がないところを見ると、いい例がなかったのだというふうにお答えをせざるを得ないというのが、これも全部の検察庁について調査したわけではございませんが、大体そういう意見が多数の意見でございますが、なお鍛冶委員も御疑念を抱かれましたように、やはり不動産窃盗というものが適用ができないということの心理的な影響で、不動産強盗ということもできないのだと思い込んで運用をしていなかったのじゃないかという面もないとは申しがたいと思いますけれども、しかし、不動産窃盗の場合については、そういう解釈で従来五十年間ずっとやってきておりますが、事後強盗の方につきましては、規定の上から申しましても、あれば適用し得るのであり、またしようともしておるのでございまして、これは法律解釈が突如として変わるという性質のものではないわけです。この点の法律生活の安定性を害するということにはならないのではあるまいかというような考えでございます。なおこの点につきまして、もう少し責任のある御答弁をいたしたいと思って、ただいまさらに調査をいたしておるような事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/70
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071・田中幾三郎
○田中(幾)委員 これは窃盗の客体が動産であれば、自分の手中におさめるとか、あるいは占有の範囲内に置くということによって、所有権を領得するという意思がはっきりするわけです。ところが不動産になりますと、不動産の経済的効果を自分の占有のうちにおさめるということと、いわゆる不動産の効用だけをおさめるという場合がある。それから、不動産は登記によって所有権を表示するのですから、そんなに強い所有権を取るという意味ではないということがある。その限界が不動産の場合ははっきりしないと思う。単に不動産の経済的効果を侵してそこを自分の支配下に置いたとしても、別に自分は所有権を取るつもりはないのだというような場合には、不法侵入だということと侵奪との間の内容的な限界というものは非常に判断がむずかしいのじゃないか。これを言いかえれば、不動産に対する不法侵入があった場合、単なる不動産の占有があった場合に、ことさらにそれを不動産の侵奪だと言って乱用されると、非常にいろいろなところへ影響が大きくなってくるわけです。場合によっては、反対に人権を束縛するような、加害者と見込まれる者の行為を束縛するというようなことがないとも限らぬ。限界が明らかでないとそうなる。そのけじめは一体どういうところでつけるか。これはもちろん具体的な事件が起らなければ判断は下せぬでしょうけれども、解釈論としては一応その限界にめどをつけておく必要がありはしないか、かように思いますが、その点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/71
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072・竹内壽平
○竹内政府委員 仰せの通りそこはきわめて大切なところでございまして、刑事立法におきましては、そこのところをはっきりさせるように書き表わさなければならぬと思うのでございますが、この侵奪の場合に、不法領得の意思を持って権利者の占有、まあ事実上の占有所持、これを排除いたしまして自分の支配下に移す。だから他人の所持を排して自分の支配下に移しましても、不法領得の意思に基づかないものは侵奪にならない。これも窃盗にならないのと同じでございます。そこで動産の場合には、仰せのように、権利者の占有の喪失と犯人の占有の取得が同時に行なわれる。しかも完全な姿で行なわれます。従って、その点はきわめて明白だと思うのでございますが、これに反しまして不動産の場合には、世間で不法占拠と言われているものがすべて侵奪であるかどうかというと、そうは言えないのは今仰せの通りと思うのでございます。そこで、完全な侵奪というからには不法領得の意思を持ってやらなければいけませんが、不法領得の意思に基づいてやったと見られるような不法占拠とはいかなるものであるか。そこに限界ということがきわめて問題になってくるわけでございます。これは個々の具体的事件についてそれぞれ判例等で積み重ねる問題だとは思いますが、解釈論として申し上げますならば、その占拠されました状態が侵奪と認められるためには、占拠の手段、方法、占拠の態様、占拠者の占有の意思の強さ弱さ、占有期間の長短——これは即時犯とは言いながら、態様自体からこれは相当長く占有しているのだということがわからなければうまくないと思いますが、こういうものを総合的に考えて、言いのがれみたいな言い方でございますけれども、社会通念に照らして適用するというようなことになろうかと思うのでございます。抽象的に申し上げますとそういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/72
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073・鍛冶良作
○鍛冶委員 関連して。——今の問題ですが、これは研究するとおっしゃるから、私はきょうは質問せぬつもりでありました。もっと深く研究してもらいたいと思います。私はないことはないと思うのです。一番いい例は、このやろう、だれに断わってここにおるのだ、また期限が来てここにおるのは何ごとかと言って、暴力団を使って追っ払ってやる。そして入るのですから、これはりっぱな強奪です。ところがそれが第二項強盗としては起訴されておりません。そこがやっぱり観念が違うのじゃないか。私も考えてみたのですが、そういう場合は家宅侵入罪と暴行罪くらいでやっておって、第二項強盗としてやらぬという観念だろうと思うのです。そこに問題がある。あなた方が今考えておられるのと今までの実際とは違うと思われる。そうすると、あなた方はそういう考えで二項でまかなわれると思っておこしらえになっても、検察、捜査当局において前と同じような考えを持っておるとするならば何にもならぬことになりますから、これはもっと実務及び検察当局等でやらなかった理由をよく調べてもらいたい。これは必ずあると思いますが、そういうことがないものかどうか、この点をまず一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/73
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074・竹内壽平
○竹内政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、あるいは鍛冶委員の仰せのように、そういう考えが検察庁の内部の一部あるいは相当広い部分にあるかどうか、私どもの今まで調査しましたのは、あるいは部分的でございましたので、もう少し深く広く調査いたしましてそういう点を明らかにいたしたいと思いますが、ただその規定を置くかどうかということにつきましては、立法技術の面から、あるいは法律解釈の面から、あるいは立法政策の面から、あるいは運用の面から、いろいろな角度から実は研究いたしまして、今運用の面だけを取り上げて申し上げますと、とにかく侵奪罪というのは十年以下の懲役でございますし、今の暴行、脅迫の行為がありますと、集団でやれば暴力行為等処罰に関する法律の適用を受ける。それと侵奪罪とが一緒になりますか、二つの罪が成立する。そうすれば重きに従ってこの侵奪罪で処断されるということになりますと、刑を量定するという面からいえば実務の上では住居侵入で今までまかなう以外に方法がなかったというものに比べますと、はるかに不動産侵害に対する保護があつくなるというふうに思いますが、しかしこれは運用の問題でございますので、理論としてもう少し突き詰めてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/74
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075・鍛冶良作
○鍛冶委員 もう一つ根本があります。やらなかった根本は、大ていその裏には民事の争いがくっついています。だからそんなことは民事でやって下さい、こっちでやりません、この頭も非常にあると思うのです。そうだったとすれば、いつ行ったって必ずあるものです。不動産には、ほとんど民事の争いのない侵奪というものはありません。それは必ずあると思うのです。その点も一つ考えていただきたいと思います。それからあなたは法務省の刑事部を代表しておられるから、あなたの答弁を聞けばそれで刑事部全体の意思としてもいいようですが、どうも今までの何から見ますと、検察当局でもやらなかった。警察でも捜査としてやらなかった。そこであなたは今度やられるなどと言っても、私にとっては、はたしてあなたの答えで検察及び警察がそのままでその通りでいくかどうか、あなたに対してははなはだ失礼か知らぬが、疑問なからざるを得ないのです。しかし、それでもここできまればあなたの答弁がみんなに浸透してその通り実行できるという保証がございましょうか。いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/75
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076・竹内壽平
○竹内政府委員 保証があるかというお言葉でございますが、私どもとしましては、この法律が通りますれば、従来二百三十六条二項の解釈についての注意を喚起するとともに、今のような事態につきましては二百三十六条の適用を見るべき関係については、これによって実態に即した適正な適用をすべきであるという、この施行に関する通牒を私どもとしては正式に流したいと思います。もちろん警察当局にも趣旨の説明をいたしたいと思います。過般の暴力立法のときに際しましても、国会の御審議の御意見等も組み入れまして、立法趣旨を明記した通牒も流し、説明会もいたしましてその趣旨を正確に伝えました。それから先は執行官の認識に待たなければなりません。その点の保証ということになりますと、ここでお約束はできませんけれども、それだけの手段は尽くします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/76
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077・鍛冶良作
○鍛冶委員 この間質問した中であとから私考えますと、暴行脅迫でおる者を追っ払ってやったのは今申しましたが、そのほか、この間出した例で、まだすっかりでき上がらぬうちに、家主が入れぬと言っておるものだから、暴力団を伴って入ってしまうのです。人のおらぬときに入って、朝になって家主が来て、お前困るじゃないか、出ていけと言っても、何をこかすと言ってそこで威嚇を用いる、こういう例がたくさんある。あなたはこの間の御答弁では、それは侵奪のときには暴力がなかったのだから強奪にならぬとおっしゃったが、どうも私は納得がいかない。居直り強盗というものは初めおとなしく入っておって——どろぼうに入ったんですよ。そこで被害者が目をさまして出ていけと言ったときに、やろうと言って刃物を出すとか脅迫するとかする。これはりっぱな強盗です。いわゆる居直り強盗になる。これは初め物を取ったときはおとなしく取ったのです。今出ていこうとするときに見つけられた。侵奪は、それこそ窃取はもうやったあとで、この間の議論からいうと、それならば強盗にならぬ、占有をしたときにはおとなしかったのだからという議論になるが、どうもこれはおかしいと思うのです。この点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/77
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078・竹内壽平
○竹内政府委員 ただいまお示しになりました例示について申し上げますと、前日建てかけの家に侵入して、建物の建っております地面ぐるみ侵奪が行なわれたといたしまして、それを所有者が知って、翌日押しかけていって、困るじゃないかと言い、それに対して暴行脅迫のような事実があったといたします。そういたしますと、この問題は二百三十八条のいわゆる事後強盗に当たるかどうかということでございますが、二百三十八条は「窃盗財物ヲ得テ」とありまして、二百三十八条は改正いたしておりませんから、この規定はもちろんそういう場合に適用になりませんが、実態として申し上げますと、今のような場合には、事後強盗は「窃盗財物ヲ得テ」というのは、窃盗の現に行なわれておるか、あるいはそれに接着して、そういう機会に「其取還ヲ拒キ又ハ逮捕ヲ免レ」云々ということが行なわれた場合にこれを事後強盗とするのであります。即時犯という考えでございますので、前夜すでに侵奪が行なわれて既遂になってしまって、一晩たってから押しかけていって今のようなことになれば、これはまさしく準強盗じゃなくて、別の罪であるというふうに解せられるわけであります。もちろん準強盗に相当するような実態がないとは私も申さない、あるかもしれぬという感じがするのでございますが、しかしながらこれも二百三十六条二項を特に改正しなかったと同じ理由で、刑罰法規の一部改正でございますので、最小限度にとどめたい、あまりそういう事例がないものをぎょうぎょうしい法律を作ることはなるべく避けたいという考え方から、二百三十八条の中に「二百三十五条ノ二」を加えることをあえていたさなかったわけでありまして、その趣旨の説明を法制審議会でもいたしたのでございますが、審議会の委員の各位も政府側の答弁には満足をされて、賛意を表していただいたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/78
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079・鍛冶良作
○鍛冶委員 あともう一ぺん研究してもらうが、一ぺん侵奪しまして帰っていったあとでまた来てけんかをやるのなら、それはあなたの議論はなにしますが、侵奪した者がそのまま残っているのですよ。これはだいぶ違うと思うのです。侵奪が継続しているのだから。そこへ来てお前出ていけとこう言う。それともう一つは、夜中に来てやるのだから、相手が知ろうといったって知るわけがないので、知ったときに初めて暴行が行なわれるのですから、そんなことをいっておると、侵奪だけでやればいいといえばそれで終わるか知れませんが、常識から考えてそれではどうも足りません。間に遮断せられるなにがあるならば、これはあなたの言われることが考えられますが、遮断せないのです。それ以上今ここで討論してみたってしようがないからなんですが、そのほかまたそれに続けて似たような疑問を持っておるので、一つこの次に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/79
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080・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 坂本泰良君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/80
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081・坂本泰良
○坂本委員 先ほど占拠が侵奪と認められるものについて抽象的な例を四つ、五つあげられましたが、不法領得の意思に基づく侵奪というのが非常に問題です。しかしここの条文にはただ侵奪だけですから、いかなる場合に不法領得の意思があるかどうかという点がまた非常に疑問になってくると思うのです。ですから、法制審議会等で審議された際に、この侵奪の問題、それから特に占拠が侵奪となる場合の、先ほど御説明の抽象的の問題でなくて、具体的の問題が必ずあったはずだと思うのです。その点なんかを一つ、次に私も質問しますから、準備をしてもらいたいと思うのです。
それから二百三十六条の二項、強盗の問題ですが、これは不動産についてはやれるはずだけれども実例はないというさっきの御答弁でしたですね。これは不動産の先ほど鍛冶委員があげられましたような例は、二百三十六条の二項にもっていけば、これは五年以上の非常な重刑だから、やはり今までの取り扱いとしては二百三十八条の事後強盗にはとてももっていけないのだ。やはりそういうような場合には裏には必ず民事問題もありますから、家宅侵入とか暴行、脅迫とかでこれは検察庁も取り調べているし、裁判になった場合も有罪、無罪がそういう点で論議されておると思うのです。ですから、先ほどの御答弁のように実例がないというのでなくて、今度設けられる不動産侵奪罪に関連するような実例はたくさんあると思うのです。だからその点までもう少し検討していただかないと、われわれはこの法にはまだ結論を申し上げるのは早いですが、こういう無鉄砲な刑法の改正はないと思っておるわけです。反対するにしても、やはりもっと具体的に突っ込んだ審議をした上でないとできないと思います。これは重大なる問題で、少なくともこの二百三十六条の二項の問題なんかとひっかけると、五年以上の懲役なんというのは刑法上一番重大な刑罰規定になるのですから、慎重にやりたいと思いますので、そういう点についてもせっかくこういう法律を出された責任上一つ検討して、この委員会に出してもらいたい。この点をお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/81
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082・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 これにて暫時休憩いたします。
午後零時五十六分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X00619600303/82
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