1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月十七日(木曜日)
午前十一時四十五分開議
出席委員
委員長 瀬戸山三男君
理事 鍛冶 良作君 理事 小島 徹三君
理事 小林かなえ君 理事 田中伊三次君
理事 坂本 泰良君 理事 田中幾三郎君
綾部健太郎君 一萬田尚登君
薄田 美朝君 高橋 禎一君
竹山祐太郎君 中村 梅吉君
馬場 元治君 阿部 五郎君
井伊 誠一君
出席政府委員
検 事
(刑事局長) 竹内 壽平君
委員外の出席者
専 門 員 小木 貞一君
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本日の会議に付した案件
刑法の一部を改正する法律案(内閣提出第八〇
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/0
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001・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 これより会議を開きます。
刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑を継続いたします。質疑の通告がありますので、これを許します。高橋禎一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/1
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002・高橋禎一
○高橋(禎)委員 この刑法の一部を改正する法律案の提案の理由を見ますと、「最近における不動産、特に土地に対する不法侵害の実情にかんがみ、」云々といわれておりますが、この不動産、特に土地に対する不法侵害の実情は、一体どういうふうに見ておられるのであるか。特に「最近における」といわれておりますけれども、実はこの不動産に対する不法侵害というものの事態は、むしろ終戦の直後にはなはだしかったと見られるので、むしろ最近においてはやや社会一般の秩序の回復に伴うて、こういう問題も多少減少しつつあるのではないか、すでにこれを立法する理由というものは薄らぎつつあるのじゃないか、こういうふうな見方もあるわけでありますが、それについて法務当局はどういうふうな見解を持っていらっしゃいますか、その点をまずお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/2
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003・竹内壽平
○竹内政府委員 仰せのように、一部の見解をいたしまして、このような問題は終戦直後の混乱期に多く発生したものであって、秩序の回復とともにこういう事犯も漸減しておるのではないかということでございますが、私どもも、一般的な傾向としてはそういう経過をたどっておるのではないかと実は思っておるのでございます。ところが、これも調査をしてみますると、実際には終戦後十年も経過した昭和三十年代になりましてからも、相当多数の事犯があることが明らかになっておりますし、このことは終戦直後の不動産に対する保護が行き届かなかったことによって生じた法秩序に対する考え方がびまんしておることに基づくものと思われますが、たとえば、風水害等によりまして土地が一時監視の目を離れるというような事態になりますと、不法占拠が行なわれる。あるいは大火のあと、その焼け跡が未整理状態になっている間隙に乗じまして、やはりこの種の事犯が起こるということでございまして、依然としてこの種の事犯が跡を断たないということになっているのが現状でございます。
数字的に若干申し上げますと、神戸市の市有の土地で不法占拠されておりますものの統計によりますと、もちろん終戦直後には数百件の多きに上っておるのでございますが、昭和二十六年に四件、百四十坪、昭和二十七年に四件、八十坪、昭和二十九年には十八件、昭和三十年には十六件、昭和三十二年には四件、昭和三十三年には十五件というふうに数字は必ずしも減っておらないのでございます。それからさらに同じ神戸市における市長の管理する都市計画、その他道路法等による管理土地でございますが、これの不法占拠の状況を見ますと、昭和二十二年ごろは三十八件、二十三年には九十二件とふえて、多い数字が出ておりますが、昭和二十八年には五十四件、二十九年には五十件、三十年には十二件、三十一年には二十二件、三十二年には十四件、三十三年には十二件というふうに依然としてこの数は必ずしも減少しておらないというのが報告されております。なおそれのみならず、大阪特に関西にそういう傾向が強いようでございますが、大阪におきましては、不法占拠が放任されておりました結果と思われますけれども、この不法占拠をめぐりまして、あるいは業者、そのような悪質な不法占拠者、保険会社の代理人といったような人たちが相通謀いたしまして、保険金詐欺の不法占拠事犯というようなものも現実に検挙されておる状況でございます。すなわち不法占拠をいたしまして、そこへバラックを建て相当な価格で転売してもうけておる、そのような悪徳業者がいるわけでございますが、それがさらに一挙に巨利を博したいという考えから、それに保険金をつけまして——超過保険になりますが、それを火をつけて焼いて保険金を詐取する、そうして今度はさらに大きな資本をもって広い部分の不法占拠をして家をよけい建てる。それにまた保険金をつけて、また焼いて、さらに広くするといったような事犯が現実に上がっておりますし、なおまた一部のところではアパッチ部落というような名前もついているようでございますが、そこの住民の大部分、数千名の者が一挙に窃盗の集団犯罪者として検挙されるといったような事犯があります。これらはいずれも不法占拠ということを前提とした、それをめぐる犯罪現象ということになっておりまして、都市部におきましてはこの不法占拠ということが今や非常なガンになっておるというのが実情のようでございます。今日といえどもこの種の事犯が跡を断たないばかりでなく、今のような副産物的な悪い現象が多々現われておりまして、やはり不法侵奪罪の立法を必要とする、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/3
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004・高橋禎一
○高橋(禎)委員 法務当局は社会の一般の情勢を見ながら必要な立法をしなければならない、そういう使命を帯びておられることは申し上げるまでもないところでありますが、終戦直後不動産特に土地等の不法侵害の実情を全国にわたって調査をして、その統計の示すところに従って適当な時期に適切な立法をして、それを取り締まっていくという態度が必要であったと思うのでありますが、今日まで全国的に、計画的に、組織的にこういう事態に関する調査をされたかどうか。ただいま神戸市の例あるいは大阪地方における実情を御説明になりましたが、法務当局の手にある資料は、そういうきわめて断片的なものであるのか、あるいは統一した全国的な、相当信用の置ける調査方法による調査の結果の数字を持っておられるのかどうかという点をお伺いいたします。
そして、今日までこの種の立法を考えられなかったというのは、一体理由はどこにあるのか。もうすでに終戦後十数年を経過した今日、しかも私どもの見ますところでは、若干その弊は減少しつつあるのではないかと、こういうふうに思えるときに、ことさらに新しい立法をされるということについて若干疑問があるわけです。今までは怠慢であったのか。それらについての御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/4
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005・竹内壽平
○竹内政府委員 不動産に関する争いは、終戦直後は実は問題が潜在的にあったと思うのでございますが、現実に民事訴訟の形において現われてくるというようなことはずっと後になってのことでございまして、昭和二十五年以後、特に三十年前後になって、秩序が回復されて、権利関係を明確にしていこうという機運が国民の中にほうはいとして起こってきたように思うのでございます。こういう情勢になって参りまして、一方においては地価の暴騰と相待って、この権利関係が非常に世の中に問題になってきた、こういうことから、各地から私どもの方に、不動産の民事訴訟が現実において行なわれておるが、権利の確保の適切な方法にはならないというようなことからして、刑事立法の要望がございます。これにつきまして、すでに数年前から私の方ではできるだけ実情の調査に当たってきたわけでございます。何と申しましても、個人の土地につきましての争いことというのは、刑事事件になって参ります場合もありますが、大部分は民事訴訟で争われるのでありまして、刑事事件に関する部分につきましては私どもの手元で可能な限り資料の収集をいたしました。それから民事事件につきましては、なかなか実態をつかむことができないのでございまして、わずかに司法統計等によりまして分析検討するにとどめたのでございますが、一方公有地に関しましては、お手元に資料として差し上げてございますように、私どもの方から昭和三十三年六月に、全国八十五の主要罹災都市の市長に対しまして、文書をもって不動産不法占拠の実情についての報告をお願いいたしまして、現在まで三十三都市からの回報に接したのでございますが、これらの回報の結果を取りまとめまして資料として差し上げてございますのが、不動産不法侵害関係資料三に記載してある通りでございます。そのほか、東京都知事その他から参考資料として、特に六大都市の公有地の不法占拠事件の具体例が報告されておりますので、そのうちおもなるものをその資料の末尾に付加してあるのでございます。この回報のありました三十三都市のうち水戸、足利、前橋、一宮、宮崎の五市からは該当事例がないと報告してきておるのでございますが、この点ははたしてこのような事案がないのかどうなのか、私どもの方でないということが言えるのかどうか若干の疑問を持っております。なお、各都市とも私有地につきましては調査が困難であるがという条件をつけまして、それでも可能なる限り調査の結果を報告するということで、川崎市からは日本鋼管株式会社川崎製鉄所の所有地約八千坪の不法占拠の事例を、また長崎市からは川南工業株式会社の所有地三百十坪、ソ連邦領事館所有地四百七十三坪等の不法占拠の状況等を回報してきております。さらに大阪市からはかなり切実な意見を付しまして、解決方法までも付しまして、具体的事例を報告してきております。
そういうことで、まずこの調査を基礎といたしまして、さらに各市の不動産を取り扱っております担当の方々に、直接私どもの方からこういう事例、ああいう事例といった類型的なものの報告をお願いいたしまして、そういう方面から資料を集めましたほかに、商工会議所方面におきましても、この点について業者からの関心が非常に集まってきておりますので、商工会議所にもできるだけ民間の人たちの土地に対する不法占拠の状況等の調査をお願いいたしまして、その方面からの資料も集めました。それからなお、私鉄経営者協会等からも調査の報告が参っておりまして、私どもといたしましては可能なる限り実態の調査に当たったわけでございます。
なお、検察庁を通じまして、不法占拠の罪には法律がありませんので当たりませんけれども、それに近い犯罪、あるいは不法侵入、あるいは暴行脅迫その他いろいろな不法占拠をめぐる刑事事件というようなものがどのように発生しているかということの事情も調査をいたしまして、これまたお手元に資料として配付申し上げておるところでございます。
かようなわけで調査は必ずしも完全無欠というふうには申しかねるのでございますが、私どもの手元で調べられる可能な限りの方法を尽くして調査をいたしました結果、先ほど申し上げましたような結論に到達しておる次第でございます。なお、私どもとしましては、このような立法が、実態という点から見ますともっと早く立法すべきではなかったかというような感じもしないわけではございませんが、なおおそ過ぎるものではないというような考えで、実は慎重を期しながらこの立法に当たった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/5
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006・高橋禎一
○高橋(禎)委員 今あげられました資料だけによっては、私どもは終戦後今日まで全国的に起こっておるいわゆる不動産の、特に土地の不法侵害に対する信用できる数字をとらえることはできないわけなんです。大体法務当局においては、終戦後今日まで全国でこの不動産不法侵害という件数が幾らぐらいあるというふうに見ておられるのかということであります。大体日本の統計というものは非常に実態にそぐわないという非難を浴びておりますし、しかも調べ方によりますと実態とは非常にかけ離れた結果が出るのでありますが、ただいまの御説明等から見ましても、私はそこに現われたものが全国に起こっておる不動産に対する不法侵害の数字だというふうには思えないのであります。なぜ私がこの点を特に重要視するかといいますと、この法案がかりに成立いたしましても、終戦後今日までの間に不法侵害をされたその被害者を一体どうするのかという疑問があるわけです。それを救済することができるのかできないのか。私のこの法案を見たところから感じますところでは、それを救済することができないのじゃないか。日本国内にあるその被害の数が非常に多いということでありまして、この法律でそれを救済することができないということであれば、一体それをそのまま放置しておいていいのかどうか。何か立法によってこれを救済する方法があるならば、今でもおそくはないからそれを救済すべきじゃないかという議論が出てくると思うのであります。それはやはり数の問題であって、被害者という言葉を使いますと、その被害者の数が非常に多くて、しかもそれをそのまま放置しておいてはならない。社会の一般治安の上にも、また将来の取り締まり等の上からも、また国民感情の上からも放置を許されないということであれば、考えなければならないのです。従って、その被害者の数というものと、そしてこの法律によってその被害を受けた者を救済されるのかされないのか、それはそのまま泣き寝入りになってしまうのかどうか、そういう点を明らかにいたしたいと思いますからお尋ねをしておるわけでありまして、それについてどういうふうなお考えでございますか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/6
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007・竹内壽平
○竹内政府委員 お手元に資料として差し上げましたものは、おそらく実態をそのまま表わしていないので、私どものわからない面において相当この種の不法な占拠というようなものが世の中にあるのだろうというふうに私どもも思っておるのでございます。それにつきまして、ただいま仰せのように、この法律施行後において施行前に起こった不法占拠の状態が救済されないのではないかという点でございますが、この点の御心配は私どもも各方面から聞いておりますし、法制審議会におきましても相当議論になったところでございます。仰せのように、私どもの解釈といたしましては、本法施行前にさかのぼって不法事犯がこの法律によって解決されるということにはならない建前になっております。しからば過去において不法に占拠してしまったこの事態は、どうやって救済されるのかということにつきましての考え方を申し上げますと、もしこの法律なくば、依然としてこれらの不法な状態は民事訴訟によって解決するほかないわけでございます。この法律ができたから民事訴訟がなくなるというものじゃなくて、やはり過去におきましても将来におきましても、民事訴訟の介入する範囲というものは、依然としてあるわけでありまして、この違法な状態は、今後民事訴訟によって解決していくということになると思います。ただ不法侵奪罪の規定が設けられますと、過去におけるそのような行為に対する刑事責任を追及する方法はございませんが、民事訴訟の場面におきまして、その実体が審理の過程において明らかになりますと、もし本法施行後にこれが行なわれたとすれば、当然犯罪となるべきような事案であるということになりますれば、当事者間の紛争もおのずから筋の通ったものとして審理が進められ、かつ審理も今よりははるかに促進されて、民事裁判の訴訟の進行によい影響を与えるということが、私ども民事訴訟の遅延の状況に対しまして、一つの教訓的な意味を持ってくるんじゃないかというふうに実は考えております。
それから、今各地から報告されております不法の占拠の中には、いわゆる侵奪に当たらない不法占拠、つまり領得の意思のない使用侵奪的な、窃盗で申せば使用窃盗的な侵奪、不完全な侵奪と申しますか、不完全な状態の不法占拠が多々あると思うのでございます。これらの不法占拠が、新たに家を建てるとかいうようなことによりまして、不法領得の意思が外部に発現されるというような新たなる行為がここで起こって参りますならば、そのときをもって不法侵奪が成り立つということも、法律論的に考えられる事柄でございまして、若干の部分はそういう形で救われるということも考えられるのでございます。
今仰せのように、そういう放任されておる不法占拠をどうやって救済するか、なお新たなる立法によって救済する必要はないかという御意見につきましては、私どもの考えは、提案理由あるいは趣旨説明の際にも若干触れたと思いますが、刑法の不遡及の原則を貫いて参ります、これは立法政策の問題でございますが、そういう観点から不遡及、これが不法占拠という形でとらえますと、継続犯というふうに法律解釈上なりますので、そうなりますと過去のものにまで及んでくる、これは不遡及の原則にも反しますから、継続犯という形で類型をとらえないで、窃盗と同じような即時犯というような侵奪罪という形をとって、過去にさかのぼって適用するということの起こらないような配慮を実はいたしたのでございますが、この点は過去のものが放任されておっていいという意味ではなくて、むしろ刑事立法の立法政策の立場から、さような態度をとったわけでございます。この点御不満の点もあろうかと思いますけれども、刑法の持っております一般社会の効果といいますか、これを刑法において宣言することによって及んで参りますいろいろな好影響というようなものも私どもとしましては考えて、あえてこの程度のしぼられた形の類型でこの犯罪を取り上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/7
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008・高橋禎一
○高橋(禎)委員 今の刑事局長の御答弁では、どうも満足できないのです。今までの侵害行為に対しては、第一に民事訴訟において好影響を与えるであろうということ、第二には、これから不法領得の意思でもできれば、今までのいわゆる占拠ということと結びつけて犯罪になるから取り締まれる、こういう二つの点がある。だからこの法律を設けないよりは、従来侵害されている被害者を救済といいますか、被害者の利益になるのではないかとおっしゃられるのですが、私はこれは理由にならないと思うのです。大体新しい刑事立法をして、今までの民事訴訟のやり方を促進されるとかなんとかいうようなことは、私どもとても民事訴訟の実情から見て信用できない。私はこの点をこうお尋ねするというのは、一般被害者に対して今度新しくできた法律はいささかも従来の不法侵害というものを救済することはできない。これは民事訴訟でやる以外にないのだということをはっきりさせれば、民事訴訟でもって解決をつけるであろう。そしてその被害者がもし訴訟を起こす資力がなければ、こういう種類の事件については、特に訴訟救助の範囲を広めるとか、あるいはまたこの種の事件については訴訟促進の方法を法制の上で考える。すなわち民事訴訟法に手を加えるとか、こうしてやることがいいと思います。ところが今度新しく立法をされたから何か救済されるのではないかというような気持でもって、民事訴訟法にたよるわけでもない、それかといって取り締まりもされないということになると、ただ新しい立法の趣旨が徹底しないままに、被害者ははっきりした態度をとらないことによって、じんぜん日を送ることによって、かえって救うことのできないような事態に追いやられることは私は不親切だと思う。救済されるならされるという根拠を示し、されないのならされない理由を明らかにして、他にこういう道がある、そしてその道は今までよりはたやすく進み得るのだ、こういうふうにやってやると、今まで立法しなかったということによる怠慢といいますか、時期のおくれたことに対して国民に申しわけは立つ、こう思う。従って、そこのところをお尋ねしておるわけでありまして、今お話になったような趣旨でもって新しい法律は何らの効果はないと私は思う。だから私は数の上から見ますと、新しい刑事立法が必要ではないかと考えられます。もしそれがいろいろの事情で適当でないということであれば、この法律ができるまでの被害者というものは、民事訴訟法によって解決をつけなければならぬ。それには民事訴訟促進のこういう方途を講ずるということを示してやるべきが妥当な、親切なやり方だと思います。私は従来の被害者を救済する何らの効果も本法によっては認められないと思いますから、そういう趣旨において、民事訴訟による場合に、それを促進するとか、その他特別に便宜を与えてやるべきだというようなお考えが法務当局にあるのかないのか、それを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/8
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009・竹内壽平
○竹内政府委員 性格上、刑事立法の必要な現象がここに起こってくるから、刑事立法をいたすわけでありますが、立法した場合に、立法以前の行為にまでさかのぼって適用するということは、これはもう高橋先生御承知のように、原則としてないわけでございまして、このことはこの立法をいたします当然なことだと思います。しかし、仰せのように、過去のものが放任されておるというような状況は、いかに刑事立法の本質からくることとはいえ、まことにかゆいところに手の届かない感じがいたすわけでありまして、この点につきまして、実は民事法規との関連性においても考えてみたいと思いまして、刑事局ともこの点につきましてはいろいろ立法の過程において検討してみたわけでありますが、刑事立法と民事の新しい立法、しかもその両者が相関連を持つということになりますと、一つの体系の上に、特にこの不動産の不法占拠の問題だけを特別な民事手続で扱うというようなことは、これまた適当でないというのが、民事局の見解でございまして、これもごもっともな御意見だということになりまして、ついに民事関係の新たな立法と切り離しまして、刑事立法だけでやるということになったわけでございます。この点につきましては、私どもは、御審議の過程において議論がありましたことは、できるだけ、関係者にはもちろんのこと、世間一般にもよくその趣旨の徹底をはかるようにし、あらゆる機会を利用いたしまして、宣伝と申しますか、趣旨の徹底をはかっていく、そして権利の上に眠ることなく、またやるべきことはやり、今申しましたように、訴訟救助の制度も現にありますので、そういうものもできるだけ活用いたしまして、貧困者に対しましては、その救済の法規を適用して参りたいと思います。
なお、法の執行につきましては、これまた運用の指針等を明らかにいたしまして、本法が曲がって運用されることなく、しかもその目的に沿って運用されますように、遺憾のない処置を期して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/9
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010・高橋禎一
○高橋(禎)委員 法務大臣でもいらっしゃると一番いいと思いますが、今いらっしゃらないから、刑事局長からよく話しておいていただいて、将来の法務省における一つの方針としてやっていただきたいと思うのですが、この立法なるものは、実際は、私は率直に申し上げますと、やや時期を失しておる、おくれておると思うのです。最近に至って、いわゆる国民の声といいますか、それが起こってきた、それまではどこにどうという救済の方法も講じないで右往左往しておったような事態ではないかと思うのです。そうすると、私は国民の声があるなしにかかわらず、やはり法務省としては社会に新しい顕著なる悪というものが生まれた、芽を出した場合には、それを全国的に調査して、そうして正確な統計の上に立法ということを考えるべきだ、こう思うのであります。将来はそういうふうに一つやっていただきたい、こう思うのです。これなんか終戦後から起こった事態を昭和三十五年になってこういうことをやるなんということは、ちょっと私ども納得がいかないわけであります。そこへ持って参りまして、事態はすでに相当数になっておると思います。その数は正確には言われませんですけれども、こういうことも、ほんとうに資料が十分でない、調査が十分でない。ところが、刑事法規は過去にさかのぼらないなんというようなことで、十何年放置しておったその間における事態はもう救済できない、それはそのままであるということになりますと、ある面においては、今までいわゆる不法侵奪をやっておった人たちも、心の中に若干の不安があって、むしろそれが事態を解決するのに若干役立っていたかもしれませんが、今度はもうこの新しい法律ができて、従来のいわゆるこの法律でいえば不法侵奪罪に該当するようなものも処罰される心配はないのだというので、すっかり安心してあぐらをかいて、残るところは民事訴訟だけだ、こういうふうなことになってしまう。しかもその民事訴訟について何ら制度としてこれの被害者側の救済を促進する方途も講じないというようなことでは、やや無責任な感じがいたしてならないのであります。これについては、われわれも研究いたしますが、法務当局としても、なお、今申し上げた従来の不法侵奪をそのままに放置すべきであるかどうであるか、またそれに必要な制裁法規を新しく設けるべきじゃないか、そしてそれらに関係した民事訴訟においては特に被害者の立場を考慮して、先ほど申し上げた訴訟上の救助であるとか訴訟の促進方法であるとかいうものを考えるべきかどうかというような点について、まだまだこの法案審議に若干の時間もあるわけでありますから、十分検討していただきたいと思うのであります。そういたしませんと、どうも、時期のおくれた立法、そして過去の事態はそのまま放置されて、ということでは、被害者の気持、それから一般社会の人たちの考えが、穏やかならざるものがあるのじゃないかと考えるわけであります。
そこで、時間もありませんからおもなる点をお尋ねして参りますが、ところが、この立法をみますと、いわゆる窃盗罪については、それに対応する不動産の侵奪罪というのがここに二百三十五条の二として取り上げられておるにもかかわらず、二百三十六条の強盗罪に当たる罪については何らの措置が講ぜられておらない。それは第二百三十六条の第二項で、暴行、脅迫によって不動産を侵奪といいますか奪取、強取といいますか、不正に領得したものについては取り締まりができる、こういうお考えのようでありますが、窃盗罪についてはそれに対応するものを新しく設け、強盗罪には二項があるからそれでいいのだという見解について、私はそこに若干の疑問がありますから、もう一度刑事局長から御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/10
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011・竹内壽平
○竹内政府委員 不動産の強奪のようなものは、実際問題として私どもも想像いたしておるのでございますが、その場合に、そういう事犯は、二百三十六条の二項で、二項強盗として処理できるという解釈をいたしておるのでございます。この解釈は、窃盗の場合に不動産が入るか入らないかという解釈とは異なりまして——窃盗の場合に財物の中に不動産が入るという考え方は、この前も申し上げましたように牧野英一博士が明治四十一年ごろ唱え、その後引き続いて今日までそういう説をとっておられますが、大部分の学者並びに判例はこれを否定しておるのでございまして、過去五十年間この中に入らぬという解釈で終始いたしておると私は考えております。これに反しまして、二百三十六条の二項につきましては、窃盗については不動産が入らぬという反対の考えをとっておる学者も、古くから暴行脅迫をもってするそういう形態の不動産を奪取する行為はまさしく二項に該当するという解釈をとっておるのでございまして、解釈につきましてはいささかも過去において争いがなかったわけでございます。そこで、この解釈がすでに行なわれた解釈であるといたしますならば、二百三十六条の二に相当する二百三十五条の二のようなものを特に規定しなくても、二百三十六条の二項でまかない得るというのが私どもの立場でございます。すなわち、一項は「財物ヲ強取シ」ということになっておりまして、これは二百三十五条の場合と同じように動産だけに限られると考えておりますが、これに対しまして二項は一項をも含めた広い規定でございます。従って、この中には動産に限らず不動産の場合もありますし、侵奪罪に当たらない不法利益を得た場合をも、この二百三十六条の二項は含むと解されるのでございます。そこで、もし二百三十六条の二のような規定を設けて不動産の強奪罪を新たに規定しますと、二百三十六条二項のこれまでの解釈は、そういう侵奪罪のようなものは含まないということで非常に狭い解釈になるのでございます。この点は従来の考え方と著しく違ったものになるのでございます。刑法の一部改正という立法技術の点から考えてみますと、従来の法律解釈に変更を生ずるようなものはなるべく避けていきたいという考えでございまして、二百三十六条二項で侵奪あるいは侵奪に至らない程度のものをも含めて十分まかなえるならば、あえてそこに規定を設けることによって現在の二項の解釈に変更を来たさない方が、法律上も立法制度上も当を得たということでございまして、この点につきましては法制審議会で議論をいたしましたが、多数の方はこの点につきましてはほとんど異論なく政府案を承認していただいたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/11
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012・高橋禎一
○高橋(禎)委員 そういうことでありますと、政府はこの立法をしても、暴行脅迫によって土地、建物を不法に侵害した者は従来の法律によっても取り締まりはできるという見解に立っておるのであるから、今そういう事態を発見すれば、時効にかかっておらない限り、古い事案に対しても取り締まりをするのだという決意をお持ちなのかどうかということであります。それから終戦後から今日まで不動産強盗罪で検挙、処罰された件数がどのくらいあるかということ。これはこの法案の提案理由説明書にもありますように、暴力その他の不法手段が用いられ、しばしば暴力が不動産の侵害に用いられておるわけであります。しかもそういう場合に権利者の側では、民事的な手段によって早急な解決が困難であるなどの理由等が立法の理由になっておるようでありますが、この暴力によって不法侵奪が行なわれたということは法務当局も認められ、またそれだから今まで検挙なさっておるであろうその検挙に対するやり方、それから将来立法までの間において一体そういう事犯を検挙できる見通しかどうか。私がこれをお尋ねするのは、終戦後から今日まで相当多数の不動産侵害について暴行脅迫が行なわれたであろうと思うのです。ところが案外警察にしても検察当局にしてもそれを検挙しておらない。それがかえってこの種事犯を多からしめた原因になっておるのではないかということを心配いたします。しかもこの法案によって新しいものがそこに加えられるわけではないのですから、従来通りのことはなおやっても差しつかえないと思われてはいけない。もちろん窃盗罪と本質を同じくする不動産侵奪罪ができるから、それによって処罰はされるかもしれないが、従来の暴行脅迫によって不法侵害をした者にも単純の不動産侵奪罪と同じように問題はないのだというふうになってしまうと大へんなことになると思うのであります。ですから、重ねて申し上げますが、法務当局としては、従来の暴行脅迫によって不法に侵害した者についてはこれを処罰し得るんだということを明らかにして、そうして現実に事犯を発見した場合には、それを検挙処罰するんだということでないといかぬと思うのですが、それについての御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/12
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013・竹内壽平
○竹内政府委員 ただいま申しましたような解釈をとっておりますので、二項強盗に該当するような事犯が発生いたしますれば、いささかもちゅうちょすることなく、二項強盗で検挙いたしたい方針でありますし、そういう決意をいたしております。仰せのように、提案理由の中にも申しましたように、この種の事犯が暴力的に行なわれておることを申しております。これはその通りでありますが、しかし、これは暴力団が介入したり、集団的に不法占拠が行なわれたりする社会現象をとらえて、私ども単純暴力犯罪の一環とも見られるような性格を持っておるという趣旨において、提案理由等にもそういう説明をいたしておるのでございますが、それと強盗罪になるかどうかということ、構成要件に該当するかどうかということは別問題でありまして、構成要件に該当する事例というのは比較的少ない、ほとんどそういう事例がない。ために強盗罪を適用した事例がないのではないかと考える旨をこの前御答弁した記憶があるわけです。これに対しまして鍛冶委員から、そんなはずはない、検察庁はやはり法律解釈を、不動産窃盗がないと同じように不動産強盗というものはないのだという考えで、法律の適用をちゅうちょしておるのではないかということも考えられるので、その点を一つ調査してみてほしいという要望がございました。当時私もその点をさらに調査するということでお約束を申し上げたのでございます。その結果がただいま高橋委員の御質問にお答えする分にも相当すると思いますので、この際披露させていただきたいと思います。
過去数年間の受理事件の中で、いわゆる二項強盗——不動産の強盗罪をもって捜査または処理した事件があるかないかという点につきましては、全国の地方検察庁からはないという回答に接しております。それから不動産強盗事件がないという回答の場合に、それではこういう事例は、実際上存しないために、ないのであるか、あるいは先ほど申しましたように、判例、学説が不動産窃盗について認めていないので、それと同じような意味において二百三十六条の二項にも不動産強盗というものは相当しないというような法律解釈に立って、ないという報告をしておるのであるか。さらには第三に、それは法律解釈としては二項強盗に当たるという解釈をとっておるけれども、民事の問題あるいは刑事政策的あるいは量刑の建前からいいまして、その他の罪で十分まかなえるというような刑事政策的な配慮から、あえて強盗罪の適用をしなかったのであるかという点につきましての意見を求めたのでございますが、この種の事例は実際上なかったのだという回答が二十五庁からの意見として報告されております。それから今の法律解釈に若干疑義があったので、——私は疑義がないと申し上げておるのでございますが、現場の検察庁においてはやはり不動産窃盗と同じように疑義があるというふうに解釈したために、実際にはそういう場合にかりにあったとしても、適用しなかったであろうという意見を述べておりますのが、十の検察庁からそういう報告がございます。それから、そうではなくて、刑事政策的な考慮に基づいてあえて二百三十六条二項の強盗罪を適用するまでの必要はないという考え方のために、もしそういう事件があれば、単なる暴力行為等処罰に関する法律あるいは脅迫あるいは恐喝というような罪で処理をいたしますという考えを持っておるので、法律解釈についてはいささかの疑念も持っていないという報告をしておりますのが十五庁、その他特に意見なしという庁が五庁、こういう結果になっております。
そこで、実例といたしまして、東京地方検察庁から報告されております事例をちょっと申し上げますと、昭和三十三年の二月十七日の夜に港区の強盗殺人、死体遺棄、詐欺事件というものがありますが、これは老婆一人が住んでおりました家へ強盗に入りまして、その老婆を絞め殺したあとその家に居ってしまった。そこにありました品物を売り飛ばし、ついに売るものがなくなりましたときに、約二カ月ばかりそこにいて、今度は登記の権利証を使ってこれを第三者に売却してしまった。こういう事件が起こっております。この事件の処理としましては、強盗殺人とそれから死体遺棄、詐欺、つまり二十万円でその家を売っておりますので、その売った点につきましては詐欺だということで起訴をされて、三十三年には死刑の判決が出ております。これはただいま控訴中でございます。この事件をちょっと見ますると、人も殺し、家ぐるみ取ってしまったのでございまして、何か不動産強奪罪つまり強盗罪の二項等をも適用して処理し得そうな案件のように考えられるのでございますが、しさいにこの調書の内容などを見ますると、この犯人は、家を取ろうという考えはなくて、物取りに、いわゆる強盗に入ったのでございますが、この老婆に騒がれましたので、強盗の機会にこれを殺してしまったということであります。あとになって、ひとり者のお婆さんだということから、そこへ親戚のような顔をして居ついてしまった。その辺から侵奪罪にはなると思いますが、もう強盗が済んでから後のことだというふうな法律解釈で、つまり事実が二項強盗に該当しないという考えから、この事案をいわゆる二項強盗に持っていかなかったということでございます。こういう実例もあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/13
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014・高橋禎一
○高橋(禎)委員 従来十数年間、強盗に当たる罪は地方の検察庁から全然ないという報告が来ている。これは私どもとしては、事実がなかったというよりは、検挙しなかったのじゃないかという感じがする。もちろん正確に調べてのことではありませんが、大体不動産を、土地にしても家屋にしても、占拠する場合に、暴行、脅迫というものがなくてやるという場合は非常に少ないのじゃないかと常識的に思いますし、しかもその中の強盗に該当するほどの暴行、脅迫ではないんだといっても、相当数は相手を全く抗拒不能に陥れてそこを占拠するものもあるように思えてならないのであります。これは統計を持ちませんからどうにもならないが、私どもの見るところでは、何か検察取り締まり当局の力の足りないところとでも申しましょうか、十分徹底した取り締まりができないために、それはいかにも法の不備であるかのごとくいわれて、次々に法律を改正していこうとする傾向も絶無とは言えないと思うのです。そういうことでありますと、せっかく法律を作ってもそれが守れない、取り締まりができないということになると、一つのそういう風習ができれば、一般国民の順法精神というものはだんだん薄れてしまうという弊害があると思う。私は、法律を設けた以上、はっきりと取り締まるべきものは取り締まるという態度でないといかぬと思う。取り締まり当局の力の足りないところはまた別な意味で補えばいいのでありまして、法律が悪いんだからどうにもならないんだと法律にけちをつけて、新しい立法々々ということでは相ならぬと考えるのであります。私が特にこの際希望いたしますのは、本日の質問の前半においては、今度の立法でいいますと二百三十五条の二に当たる単純な不動産侵奪罪に関していろいろなことをお尋ねしたわけですが、暴行、脅迫によって不動産を不法に占拠しているものは、これはこの立法をしてから後でなく、過去のものにおいても十分取り締まり得るんだという態度をゆるめないようにし、事実あれば、これを検挙し、処罰するという方針でやっていただきたいし、やるんだということを国民に徹底さす必要がある、こう私は思うわけです。
時間もありませんから、法文についてのこまかい点は次会に質問したいと思いますが、本日ただ一点お伺いしておきたいと思いますのは、不動産を侵奪した者は十年以下の懲役に処すというこの不動産侵奪罪は、たとえば労働運動とか一般大衆運動というようなときに、相当多数の人が他人の土地を相当時間不法に占拠するような場合があることは御承知の通りでございますが、この罰条は、侵奪行為の時間的関係とでもいいますか、あるいはまたそれに関連しての意思、範囲というもの等から見て、処罰対象になる場合が相当あるかどうか。これは国民一般としては相当関心の深い点だと思うのです。大衆的な行動の場合においてこの罰条が働く場合は、一体どういうときであるか等を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/14
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015・竹内壽平
○竹内政府委員 労働運動あるいは大衆運動等におきましていわゆるすわり込み、シット・ダウンということがあるわけでございまして、それと本法との関係につきましては十分私どもも検討いたしておるのでございますが、そのような場合には、この侵奪罪の適用を見る場合は全くなかろうというふうに考えております。と申しますのは、これを不法占拠という類型でとらえますと、そういうシット・ダウンがそれに該当する場合が起こってくると考えられますけれども、侵奪といういわゆる窃盗行為のような類型でとらえておりますので、不法領得の意思をもってしなければなりません。ところが、これはいろいろ形態がございますが、考えられますいろいろな形態を考えてみましても、労働運動として合法的なものはもちろん犯罪にならないのでございますが、労働運動としては、かりに違法なる労働運動と見られる場合におきましても、不法領得の意思をもってする占拠というようなものは私ども労働運動としては考えられないのでございまして、そういうものに本法の適用を見るということはほとんどあり得ないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/15
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016・高橋禎一
○高橋(禎)委員 きょうは時間もありませんから質問を留保して、その他こまかい点は後日に質問いたしたいと思いますので、本日は、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/16
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017・坂本泰良
○坂本委員 あとで質問をいたす関係でちょっとお聞きしておきたいのですが、この法案は法制審議会で何回くらい審議になって作成されたか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/17
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018・竹内壽平
○竹内政府委員 法制審議会におきましては、総会二回、部会二回、合計四回の審議をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/18
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019・坂本泰良
○坂本委員 法制審議会で審議の際に参考にせられたものは、本委員会に出ております「窃盗罪及び境界毀損罪に関する立法例」、「各都市における不動産不法侵害の実情について」、「不動産不法侵害関係刑事々件統計」、この三つだけなのかどうか、そのほかにも資料はあったかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/19
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020・竹内壽平
○竹内政府委員 当委員会にお配りしております資料はもちろん出しておりますが、そのほかに大阪商工会議所、東京商工会議所等から調査の資料——ここに持ってきておりますが、こういう資料をいただいておりましたので、ちょうど委員の方にお配りするだけの部数をいただけましたので、これを参考資料としてお配りするようにいたしております。そのほか不動産不法侵害関係の刑事事件事件例、これは侵奪に当たる行為ではないのでございますけれども、これに関連して起こっておる各種の刑事事件の事例を集めました資料でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/20
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021・坂本泰良
○坂本委員 今おっしゃったのはまだ出ていないわけですか。これですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/21
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022・竹内壽平
○竹内政府委員 それとは違うのでございますが、刑事事件事件例というのでございまして、これは現在捜査中の事件等もありまして、内容を知っていただくのはよろしいのでございますが、名前等がなまのままで印刷されておりましたので、ちょっとここへお出しするのもいかがかと思いまして控えておりますが、もし御必要でございますれば、名前を仮名にする等の方法によりまして提出させていただいてもけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/22
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023・坂本泰良
○坂本委員 私たちは、この法律案はわずか二カ条でございますが、国民の生活関係に関する重要なる法律案と思う。従って、今お示しのような資料くらいで法制審議会が総会二回、部会二回くらいできめたという点については、これは法制審議会もどういう方がやられたか知りませんが、まことにずさんじゃないかと思う。だからこの法律案は、当委員会でもっと徹底的に審議を進めなければならぬと思うわけです。
そこで私は、不動産侵害について、民事事件の不動産の仮処分事件、それから民事事件の明け渡しの訴訟事件、この資料を集めてもらいたいと思うのですが、その点いかがですか。と申しますのは、民事事件を刑事問題で解決するというおそれが非常にあると思うのです。われわれはまた別な考えで、このような法律を作らなくとも、ほんとうに侵害を受けた不動産の所有者は、その権利を確保するために、現在の民事訴訟法の運用によって訴訟をやったならば、できないことはないと思うのです。これはもちろん訴訟遅延の問題もありますが、その訴訟の遅延は単に侵害者だけでない、やはり権利の上に眠っておる所有者自身にもある。だから私も二十数年弁護士ですが、事件を受けて、不動産の刑事問題にもなるような事件ならば、これは六カ月か一年くらいで解決できると思うのです。それをできないからというので、ことに公共の土地なんかはどんどんやれるのをやらずにほったらかしておいて、そうしてこの際になって刑法を改正してやるというのは、これは犯罪人を作ることになる。また民事事件を刑事事件で解決する、こういうようなことにもなりますから、そういう意味で全国の不動産の仮処分事件、土地明け渡し事件について、やはり資料を集めて調査する必要があるので、そういう関係でお願いするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/23
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024・竹内壽平
○竹内政府委員 先ほどもちょっとお答えの中に触れたのでございますが、司法統計年報によりまして、民事第一審の通常訴訟の新受事件の種類別件数の表は、現に私ども持っておりますので直ちに提出いたしたいと思いますが、個々の事件の内容につきましては、私の方ではちょっとわかりかねるのでございます。
それから、この立法が民事であればということでございますが、もちろんその通りでございまして、この刑事立法が民事の方に介入していくというようなことの起こりませんように十分配慮をいたしておるのでございまして、そのために取り締まりとしては若干ゆるいようなこともそのために起こってきておるのでございます。その点は御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/24
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025・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 次会は今月二十二日午前十時より開会することとし、本日は、この程度で散会いたします。
午後一時散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X01219600317/25
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