1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年四月十二日(火曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 瀬戸山三男君
理事 鍛冶 良作君 理事 小島 徹三君
理事 田中伊三次君 理事 菊地養之輔君
理事 坂本 泰良君 理事 大野 幸一君
綾部健太郎君 一萬田尚登君
薄田 美朝君 高橋 禎一君
馬場 元治君 濱田 正信君
阿部 五郎君 志賀 義雄君
出席国務大臣
法 務 大 臣 井野 碩哉君
出席政府委員
検 事
(大臣官房司法
法制調査部長) 津田 實君
検 事
(検事局長) 竹内 壽平君
委員外の出席者
検 事
(刑事局参事官) 高橋 勝好君
最高裁判所事務
総局事務次長 内藤 頼博君
判 事
(最高裁判所事
務総局総務局総
務課長) 長井 澄君
判 事
(最高裁判所事
務総局人事局
長) 守田 直君
専 門 員 小木 貞一君
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四月八日
保護司会及び調停協会等に対する国、県費の助
成措置強化に関する陳情書
(第五八九号)
法務省の登記簿、台帳一元化作業中止等に関す
る陳情書
(第六
二四号)
同
(第六二五号)
浦和地方家庭裁判所秩父支部及び秩父簡易裁判
所庁舎の改築促進に関する陳情書
(第六七九号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一〇七号)
下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出第一一二号)
参議院送付)
裁判官の災害補償に関する法律案(内閣提出第
一一四号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/0
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001・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 これより会議を開きます。
裁判所法の一部を改正する法律案、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案、裁判官の災害補償に関する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
質疑の通告がありますからこれを許します。坂本泰良君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/1
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002・坂本泰良
○坂本委員 裁判所法の一部を改正する法律案につきまして御質問いたしますが、まず最初に、この裁判所書記官は「裁判官の行なう法令及び判例の調査その他必要な事項の調査を補助する」とありますが、裁判官の行なう法令及び判例の調査を補助させるというのは、憲法上、裁判は裁判官がこれを行なうというこの規定に違反しはしないかというふうに考えられますが、その点についての御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/2
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003・津田實
○津田政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、裁判官が裁判を行なうにつきましては、もちろん裁判官の自主性をもって行なうわけでありますけれども、しかし補助官を使うことが憲法上禁止されておるわけではございません。ことに、すでに先例といたしまして、最高裁判所あるいは高等裁判所に置かれている調査官につきましては、事件の審理、裁判について必要な調査をするということになっております。もちろん裁判官がその調査官の調査の結果を採用するといなとは、全く裁判官の自由な判断によるわけでありますが、今回の改正案に盛られておりますところの書記官の調査の補助につきましても同じでありまして、その補助を受けた内容について、それを採用するかどうか、いかに判断するかということは、裁判官にまかされているわけでありますから、ただいま御指摘のような問題はないものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/3
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004・坂本泰良
○坂本委員 そういたしますと、大体どういうことをやらせるか、そのことを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/4
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005・津田實
○津田政府委員 まずこの法案の中に掲げておりますところの「裁判官の行なう法令及び判例の調査」でありますが、御承知のように、裁判官が事件に関して審理、裁判を行ないます場合には、いろいろ適用すべき法律でありますとか、あるいは関係判例でありますとかいうものを調査いたすわけであります。それにつきまして、その法律命令、規則あるいは告示の存否あるいは改廃の経過、制定の理由、それから裁判例の存否あるいは内容、あるいは学説の内容、あるいはその他参考の文献等につきまして調査をするのが裁判官の任務でありますが、それについていろいろ補助をさせる。それを抜き出してくるというようなこともいたしましょうし、あるいは場合によりますれば、いろいろ内容につきまして、その該当判例の存否というようなことの調査をいたす場合もありましょうが、それはいずれも裁判官の命を受けて、その命の内容に従って補助をする、こういうことになるわけであります。
「その他必要な事項の調査」として考えられますのは、参考文献の調査でありますとか、あるいは一件記録に基づきまして、訴訟手続が法令に従って行なわれているかどうかという点を調査する、あるいは記録中の書類が適式であるかどうかという点を調査する。あるいは裁判に必要ないろいろな複雑な計算がありますが、その計算を検算をしてみたり、あるいは犯罪表等につきまして、その犯罪表と始末書あるいは被害届け等と照らし合わせてみて、間違いがあるかどうかというような点を照らし合わせるというようなこと、そういうことをその他必要な事項の調査の補助というふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/5
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006・坂本泰良
○坂本委員 そういたしますと、今説明のあったようなことは、これはもちろん具体的事件についての問題に関連すると思うのですが、その具体的事件について今のような行為をなすのについては、これは書記官が独自の見解によってそういうことをやるのか、あるいは一々裁判官が、今言われたような、この判例を抜き出してくれとか、あるいはこれだけの計算をしてくれとかいうことに限定されるのか、その点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/6
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007・津田實
○津田政府委員 この法文によりますと、「裁判所の事件に関し、裁判官の命を受けて」「補助する」、こういうことになっております。従いまして、まず具体的の事件に関することであることはもちろんでありまして、抽象的な調査というようなものは、命ずる範囲ではありません。
それから「裁判官の命を受けて、」でありますが、この職務権限を発動し得るのは、裁判官の命があってから後のことであります。
しかも、その命は、その内容によるわけであります。命令の内容が非常に高度にと申しますか、非常に具体性をおびておるか、あるいは多少抽象的であるかというような違いはあり得ると思うのでありますけれども、たとえば具体的に、こういう種類の判例を摘出してもらいたいというような命令もあるかもしれません。あるいはこの問題に関連すると考えられる判例を一応探してみてくれというような場合もあり得ると思います。それは裁判官の命令によってその内容がきまると思うのでありますけれども、非常に抽象的な、非常に包括的な命令はこの範囲に入らないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/7
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008・坂本泰良
○坂本委員 そういうふうになりますと、私ども、刑事訴訟法上定められておる書記官の本来の職務と、今度の改正による裁判官の補助というこの職務との関係が不明瞭になる、従って書記官の職務の内容が不明瞭になる、こういうふうに考えられますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/8
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009・津田實
○津田政府委員 書記官の本来の職務は、現行法第六十条第二項がその規定の中心になっておるわけであります。従いまして、書記官の本来の職務は、その独立の権限として「事件に関する記録その他の書類の作成及び保管その他他の法律において定める」事項である。そこで、今度新たに加わろうといたします六十条の第三項は「裁判所書記官は、前項の事務を掌る外、」こういう表現になっております。そこで一応、裁判所書記官の本来の事務は、現行法第二項の事務ということを表わしておるわけであります。しかしながら、具体的事務として扱う場合におきましては、内容についてもちろん軽重、甲乙があるわけではございませんが、書記官の本来の職務権限としては、あくまでも第二項が主であるという考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/9
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010・坂本泰良
○坂本委員 それで、今度のは裁判官に従属する職務になるわけですね。だから、この職務と六十条二項の職務との関連が不明確になって、書記官の職務は何かということがぼけてきてわからないようになるじゃないか。それから、なお、これはあとで質問したいと思いますが、いわゆる勤務時間の延長その他にも関連してくるわけですが、そういう点についてはどういう御見解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/10
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011・津田實
○津田政府委員 ただいま申し上げましたように、現行法第六十条第二項の事務が書記官の本来の事務でありますが、その書記官の本来の事務を行なうにつきましては、現行法の第三項によりまして裁判官の命令に従うということになっております。ただ、第四項におきまして、自己の意見を書き添えることができるというような規定がありまして、第六十条第二項の書記官の本来の職務は書記官独自の権限であることは間違いないと思うのでありますが、独自の権限であるとはいえ、第三項において、職務を行なうについては裁判官の命令に従うことになる。今度新しく加わりますところの第三項におきましては、もちろん裁判官の行なう調査の補助事務でありますから、補助をするという意味において裁判官に従属する——従属するという言葉は適当かどうかわかりませんが、そういう考え方はあり得ると思います。しかしながら、これはあくまでもその事務に限って補助をするということなのでありまして、そのために現行法第六十条の事務の範囲が不明確になる、あるいは事務の内容について、言葉はいかがかと思いますが、裁判官に従属するというようなことは、もちろん法律上はあり得ないことであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/11
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012・坂本泰良
○坂本委員 そこで最高裁判所にお聞きしたいのですが、書記官に六十条二項のような固有の職務をやらせる、さらに裁判官に従属さした補助者としての職務をやらせる、そういうようなことをやらせることにすると、今度は訴訟関係人の立場から、どうも書記官の仕事については不明瞭な関係になる、こういうふうに思われるわけですが、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/12
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013・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 お尋ねの点でございますが、現行法の第六十条第二項に定めております書記官の権限、これは、御承知のように、法律において定められた権限を書記官が行なうのでございまして、そういう意味におきまして、書記官の独自の権限、書記官のみが行ない得る権限というふうに解せられるのであります。しかし、裁判所書記官には、従来、この権限に付随いたしまして、あるいはこれと密接に関連のございます事務がございます。それを書記官事務あるいは訟廷事務などと一般的に呼んでおりますけれども、それに付随する事務があるわけであります。そういった独自の権限にせよ、あるいはまたそういった付随的な事務にせよ、いわゆる書記官事務につきまして、書記官がその職務を行なうについては、裁判官の命令に従うという現行法第六十条第三項の規定によりまして、裁判官の命令に従わなければならないということは、ただいま法務省の当局からお答えした通りであります。そこで、裁判所を裁判機関と見ました場合に、裁判所書記官のそういった書記官事務というものは、いわゆる補助機関というふうにもいわれているわけであります。法律上独自の権限で書記官の行ないます職務のほかに、そういった付随的事務がありまして、これは裁判機関については補助機関というふうに呼ばれておるわけであります。ですから、そういう意味におきましては、書記官の事務が補助的であることは従来もいわれていたわけであります。今回加わります新しい職務は、今度は調査については裁判官を補佐するわけでありまして、そういう意味におきまして、分野においては全く新しい職務でありますけれども、職務の態様におきましては、特に従来と変わった異質なものを持ち込んだというふうには考えられないのであります。こういった性格の事務は、従来の書記官の事務の中にも職務態様としては存在しておったと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/13
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014・坂本泰良
○坂本委員 先般裁判書の浄書が問題になりましたが、裁判官のやる仕事をほとんど、略式命令などは書記官がやって、裁判官はただめくら判を押すだけだ、そういうことで略式命令自身についても非常に間違ったようなことが起こる場合と、さらに書記官の方では職務が過重になるというので、浄書拒否の問題が起きて、これは現在免職になったりあるいは停職になったりした処分が行われておるわけです。そこでお聞きしたいのは、書記官本来の職務がおろそかになって裁判官の補助職務の方がふえる、本末転倒するような傾向になりはしないかという点が一つと、この法律の改正によって非常に問題になりました裁判書きの判決の浄書の問題を正当化する傾向になりはしないか、そういう結果になりはしないかという点をおそれるわけでありますが、この点についての御見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/14
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015・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 ただいまの御質問の点でありますが、今回の改正は、従来の書記官の職務に何ら影響するものはございませんで、従来の書記官事務はそのまま従来通り書記官の職務としてあるわけであります。従いまして、御質問のございました、たとえば略式命令などに関する書記官の事務は全く従来のままでございまして、新しい権限が今回加わりますのにつきまして、それについて何らの変更はないわけでございます。ただいま御質問もございましたけれども、略式命令といったような定型的な裁判書につきまして、いわゆる不動文字の用紙を使いまして、それに書記官が記入をいたしまして、それを略式命令書、すなわち裁判書といたしまして裁判官が使いますことは、何ら差しつかえないというふうに考えるわけでございます。これは浄書された裁判書を裁判官が検討いたしまして、裁判官の責任においてこれに署名し、捺印するわけでありまして、何ら差しつかえないというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/15
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016・坂本泰良
○坂本委員 まだいろいろありますが、時間がないから先に進みます。
書記官にこういう職務をやらせることになると、これは書記官だけではなくて、書記官補も自然とやはり同じ仕事をやっておりますから職務をやることになる。さらに書記官がこういう職務をやると、時間の延長の問題があるわけですが、書記官だけが時間の延長というわけにはいかぬし、やはり書記官補もこれに付随して事務をとらなければならぬようになる、こういう関係が起きますから、書記官に対していわゆる八%の時間の過長による俸給をやることになる。ところが同じような仕事を付随的に自然とやらなければならぬ書記官補に対する何らのものもない、こういう関係が起こるのですが、この二点について承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/16
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017・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 今回改正されます規定によりまして、新たに書記官の職務とされますのは、いわば法律的に高度の職務になるわけであります。法律に関する事項の調査の補助ということで高度の仕事になるわけでありまして、そういう意味におきまして、今回の新しい職務はいわゆる書記官だけに行なわせることにいたすことになっております。従いまして、この職務は書記官補は行なうことはいたしません。ただ書記官補は書記官の事務を補佐することになっておりますので、その面で補佐の仕事はできるわけでございますけれども、しかし、今度の新しい仕事は、書記官の行なう仕事は裁判官の行なう調査の補助でございますので、その仕事の性質上、書記官補がさらにそれを補佐するという面は非常に少ないだろうというふうに考えております。
勤務時間の延長の問題でございますが、これは全く現在の裁判所の実務の実際からきていることでございまして、御承知のように、裁判所の事件がふえまして、裁判官の負担は非常に大きくなって今日のような訴訟の遅延というような現象が生じまして、この解決についてはいろいろの対策を練っておりますけれども、容易に解決し得ないで今日に至っておるわけでございます。この訴訟の適正、迅速ということにつきまして、今回の書記官のそういった権限も考えられたわけでありますが、現在の裁判所の執務の実情から申しますると、裁判官の勤務時間というものが実は非常に実際問題として長くなっているわけであります。ほとんど日夜を分かたずと言っていいくらい裁判官が事務に忙殺されているわけでございますが、その調査の補助ということになりますと、やはりどうしても勤務時間が、現在の勤務時間では十分に参らない。従いまして、この調査の補助を行なう書記官に限り、勤務時間を通常の一週四十四時間を五十二時間に延ばさざるを得ないというふうに私どもは考えているわけでございます。これは全く裁判所の現在の執務の実情からやむを得ないことと存じているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/17
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018・坂本泰良
○坂本委員 裁判官は一日おきに出勤して、一日は在宅調査になっているわけですね。そういうふうな関係になっているのに、実際上の問題としまして、書記官が補助をする。判例並びに法令の調査その他の補助をするという関係はどういうわけですか。時間の延長というのはどういうふうに考えて裁判官の補助の事務との関連を考えておられるか、そこを承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/18
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019・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 御指摘のように、ただいま大都会の裁判所におきましては裁判官に宅調制度がございまして、一日おきに法廷を開くということになっているわけであります。この書記官の調査は、必ずしも裁判官が法廷を開く日に限ったわけではございません。先ほど法務省からもお答え申し上げたように、裁判官から命ぜられた調査の補助を、開廷日であっても宅調日であっても、書記官としては行なうことになると思います。しかしながら、やはり実際問題としては、裁判官の宅調の日はそれだけ仕事が少ないということもあろうかと存じます。そういった実際の時間のあんばいは実情に応じてきめるほかはないと存じますが、裁判官が宅調しておりましても、やはり裁判官から命ぜられた調査の補助ということはあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/19
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020・坂本泰良
○坂本委員 そこで、一部会のことを言われましたが、いなかでは一週間に二回ぐらいしか裁判官は出てこずに、裁判はやらぬわけですね。そのほかは簡易裁判所の判事を兼ねてそこにやるとか、あるいはいなかの支部の填補判事として行くわけなんですね。そういうような場合と、書記官が毎日執務をして、そうして時間の延長をするという点が合理的にいくかどうか、合理的にいくならそういう点はどういうふうにしてやられるか、単に抽象的に時間の延長だけではおさまらぬじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/20
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021・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 それぞれ地方々々の実情に応じて今の裁判官のそういった執務がなされていると存じます。ある場合には填補に行きますし、そういった場合にあるいは書記官が一緒についていくという場合も起こり得るわけであります。そういった裁判官の執務の実情はいろいろございますが、しかし、いずれにしても、やはり裁判官がそういった調査をする仕事は常にあるわけでございますし、その補助ということもあるわけでございまして、裁判官が填補にかりに行っておるという間におきまして、書記官にそういった調査の補助の命令はし得るわけだと存じます。そういったことは、ただいまのように法律の種類が非常に多く、また改廃が激しい今日、あるいはまた事件の内容が複雑になりました今日におきまして、非常にそういった面の多くの仕事があるわけでございます。実際問題としてそういうふうに調査を補助させるべき仕事があるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/21
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022・坂本泰良
○坂本委員 それは、補助させる仕事が大いにあるから時間の延長をされるわけですね。その時間の延長のあんばいをどういうふうにされるか、合理的にそれができるかどうかという点についての具体的の問題をお聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/22
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023・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 結局その勤務時間の延長、一週八時間の延長ということは、今度の新しい職務すなわち裁判官の調査の補助という仕事に向けられるわけでございますので、これはやはり各裁判所のそのときどきの状態に応じまして実施するほかはないと存じます。ただいま一般的なことを申せば、大体これは裁判所が法廷を開くときは、どうしてもおそくなるだろうということも言われますけれども、しかし、それぞれそのときの事件の事情あるいは審理の実情等に応じてきめていくほかはないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/23
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024・坂本泰良
○坂本委員 そこで時間の延長の問題ですが、一日八時間、一週四十八時間の労働の原則に対して、一週八時間の延長は、労働基準法四十条違反になりはしないか、こういうふうに考えるのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/24
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025・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 公務員につきましては、一般職の職員の給与に関する法律におきまして、第十四条の三項と存じますが、これによりまして、特殊の職務にあるものにつきましては、別の定めができるようになっております。裁判所の書記官につきましては、最高裁判所がそういう特殊の定めをするわけでございます。なお、これは直接適用はございませんけれども、労働基準法につきましても、やはり同様に特殊の必要あるものについてはそういった例外の定めをできるようになっているわけであります。ただいま申し上げましたような裁判所の書記官の今度の新しい職務でございますが、先ほど申し上げましたような裁判所の今日における事件処理の実情に照らしまして、全く特殊な職務といわざるを得ないので、そういった特別の措置をするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/25
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026・坂本泰良
○坂本委員 その点が非常に疑問なのですが、今おっしゃいました特殊の職務には私はこの裁判所の書記官は入らない、こういうふうに思うのですが、この特殊の職務に入るという御見解ならば、どういう根拠で入るか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/26
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027・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 御承知のように、裁判所には終戦後非常に事件がふえております。今日まで年々増加いたしまして、今後もやはり増加の趨勢をたどるだろうということを私ども予測するわけでございますが、そういった戦後のいろいろの事情に応じまして、裁判官の増員ということが実際問題としてできないのでございます。それは弁護士会の方でもいろいろ裁判官の増員については御協力いただいているのでありますけれども、実際問題としてなかなか弁護士から裁判官になる方もございませんし、その増員が容易でない。やっと今日に至って、十年を経てようやく欠員の補充ということの格好がどうやらつくというようなのが実情でございます。そういった実情から申しまして、どうしてもやはり訴訟の適正、迅速という要請から、書記官に新たな権限を付与することになるわけでございます。それはまた一面に、終戦後書記官制度についてその改正がいろいろ検討されておりまして、書記官の学識能力が向上いたしますことに即応する措置でございますけれども、書記官に新たな権限を付与してこれに対処していこうと考えるわけでございます。そういった裁判所の実際の現状から申しまして、直接事件を扱っております裁判所の書記官ないし家庭裁判所調査官といったようなものは、この法律に定めるところの特殊な職務というふうに私どもは解釈するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/27
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028・坂本泰良
○坂本委員 その点は私はそうはいかぬと思うのです。従来でも、ここにデータがありますように、裁判所書記官の定員には六百十四名の欠員があるわけなんですね。さらに今度こういうような職務をやらせることにすれば、定員をふやさなければならぬわけです。こういうな特殊な仕事、いわゆる裁判官の補助をさせるならば、定員をふやしてやるべきであって、公務員法によるところの特殊の職務というので時間の延長はできないと思う。これは私の考えが間違っておるかもわかりませんが、特殊の職務というのは、警察とか消防とかあるいは脳病、いわゆる気違い病院の看護婦、こういうものであって、実際上の事件がたまっておるとかあるいは遅帯をするとか、こういうような場合は人間をふやして、そしてそれを打開すべきである。従って、特殊の職務だからといって、これに裁判所書記官を入れるということは、本質上できないものである、こういうふうに考えますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/28
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029・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 裁判所の事件の増加に応じまして書記官をそれだけ増員すべきであるという御意見は、まことにごもっともと存じます。しかし、裁判所の実情を若干申し上げますと、昭和二十四年以来、裁判所書記官につきまして、書記官制度調査委員会というのを最高裁判所に置きまして、書記官制度について検討して参っておるのであります。その間に書記官の任命資格あるいは研修制度等を確立いたしまして、従来裁判所書記といわれておりました書記官の実体を、私どもから言わせれば、法制上、実質において一新させまして、新しい書記官制度というものを打ち立てることを念願として参ったわけであります。今度の新しい書記官制度のもとにおきまして、書記官というものは資格が非常に高くなっているわけでございます。大学を卒業いたしまして、実務の経験を積みまして、さらに一定の期間の研修を受けておるのでございます。そういった高度の職務ということを書記官に期待しているわけでありまして、そういった書紀官を、一、二年ですぐに事件の増加に応じて増員するということはなかなか期待できないのが実情でございます。私どもといたしましては、新しい書記官制度を確立するために全くやむを得ない手段として今度のような措置を講じているわけでございます。ただいま御指摘のように、六百余名の欠員がございます。これは現在書記官補をもって充てているわけでございますけれども、これはやはり書記官の昇任ということがなかなか追いつきませんので、こういった欠員をかかえておるわけでございます。しかし、この欠員の補充につきましては、私どもも早急に措置をしなければならないというふうに考えております。まずこの欠員を補充いたしまして、ただいま申し上げましたような新しい職務の書記官に書記官の職務の範囲を広げまして、裁判の適正、迅速な処理を実施させるわけでございます。しかし、どうしてもやはり事件の増加に見合うだけの書記官の増員ができないというのは、新しい書記官制度のもとにおける書記官を得ることに相当の期間がかかるわけでありまして、これは年々解決されていく問題でございます。昨年も相当数の書記官が任命されまして欠員を補充したのでありますが、今年もやはり相当数は昇任して書記官の欠員を埋めていくものと私どもも考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/29
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030・坂本泰良
○坂本委員 これは、法案の提案者である法務当局にお聞きしたいと思うのですが、労働基準法は、新憲法に基づいて、基本的人権によって、労働者に対する今までの過重労働をなくさなければならぬ、労働者もその他の者もやはり健康にして文化的な生活をしなければならぬ、特に旧憲法時代においては労働者は非常な過重労働で、世界の労働者に比べると非常な過重労働をしている。従って、日本人が早く死ぬとかあるいは早く能力を喪失する、こういうような関係で、基本的人権を認めて、その上に立っていわゆる労働三法としての労働基準法ができたと思う。この労働基準法はあくまでも基本的人権の立場から定められているものである。たださっき私が申しましたように、仕事の性質上警察とか消防とかは——消防なんかは、火事が昼だけにあるとは限らないので、そういう関係で、仕事の性質上、特殊な職務に関係する、こういうものについて例外を認めたのであって、あくまでも労働基準法の精神は守っていかなければならぬ。それを今度のこの改正によって書記官の時間を延長するということは、何と申しても基本的人権、さらにはそれに基づくところの労働基準法の精神に違反する、こういうふうに考えるわけです。この点についての御見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/30
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031・津田實
○津田政府委員 今回の裁判所法第六十条に加わる規定によります書記官の職務につきましては、これは勤務時間の延長とは直接関係はございません。書記官にそのような権限を与えることによりまして、裁判の促進をはかる、あるいは裁判の質の向上をはかるというような意味でありまして、その意味においてまことに相当な改正だということでございます。従いまして、事務を行なうにつきまして、裁判所が書記官の勤務時間をいかにきめるかは、司法行政の最高の責任者である最高裁判所が独自に定めるべきであり、この法案とは直接関係はないわけでございます。しかしながら新たに加えられました権限を十二分に活用して訴訟の促進をはかり、あるいは関係者の人権の擁護に忠実になるためには、書記官の勤務時間を延長するということも当然考えるべきことだというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても勤務時間の問題は司法行政の範囲内で自主的に最高裁判所がきめる事柄であり、この法案とは直接関係がないものであると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/31
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032・坂本泰良
○坂本委員 今の説明を聞いて、とんでもないことだと思うわけです。あなたの方は法律を作るだけとおっしゃるけれども、その法律ができたらそれを運用しなければならぬ。運用しなければ、法律は作らぬでもいいわけです。またできたならばそれをよく運用しなければならぬ。そうするためには、先ほど来内藤次長が言われたように、やはり時間の延長をしなければならぬでしょう。法務省は、法律を起案される場合に、そこは考えずに、ただ訴訟の促進をはかるということだけでこの法律の改正案を出されたのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/32
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033・津田實
○津田政府委員 現在の書記官の勤務時間内において、この新しく加わりますところの権限を行使することももちろん可能でありますし、あるいは現在の勤務体制をある程度差し繰りすることによってこの権限を行なうことも可能であります。従いまして、この法律は、不可能なことを前提にしているわけではむろんございません。ただし、先ほども申し上げましたように、この法律の権限を十二分に活用いたしまして、訴訟の促進をはかるのには、ある程度勤務時間の延長が必要であるかもしれないということは十分考えられるところであります。従いまして、それによりまして、勤務時間を延長して訴訟の促進をはかり、人権の擁護を全うするということにつきましては、最高裁判所が独自の判断によってきめる事柄でありますので、この法案自体とは直接関係がないということを先ほど申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/33
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034・坂本泰良
○坂本委員 これは、法務大臣に一つ来てもらわないと困りますが、大体この訴訟の遅延を来たすのは、裁判官の不足と、それから書記官の不足なんでしょう。(「怠けておるのもある」と呼ぶ者あり)それは人間ですから、例外もあるでしょう。判事、書記官はこれは大ぜいですから、たまには人間だから、おるだろうけれども、これはここではそう言いたくない。これはあなたが刑事弁護でもするときには、それを言うたらいい。——しかし、今の御説明によると、この法律は訴訟の促進をやる、こういうことでしょう。だから、訴訟の促進をやるのには、もう少し裁判官の月給をふやして裁判官をふやし、さらに書記官、書記官補の増員をして、そうしてやる。そうするのには、まず予算をやらなければならぬでしょう。これはやはり最高裁判所が起案するだろうけれども、法務大臣が予算は取らなければならぬわけでしょう。そういうことをせずに、ただ法律をこんなふうにして改正したのじゃ、裁判所の書記官にしろ、裁判官にしろ、基本的人権を侵害される。基本的人権を侵害されるのでは、決していい裁判はできない。いい裁判ができないということは、やはり国民全体の利益を阻害する、こういうことになるわけでしょう。ですから、法務大臣にこれは聞かなければならぬですが(「裁判所が取っているのだ」と呼ぶ者あり)裁判所は、やはり法務大臣を通じて取ることになっているでしょう。そういうことは、あなたは御存じないですか。——それは、制度の問題としては、最高裁判所の事務総長が閣議に列席をして、そうして主張をできればいいけれども、今はただ予算を起案するだけで、そうしてやはり閣議には法務大臣を通じてやらなければならない。従って、法務省の予算は、これも他の官庁に比すれば少ないけれども、さらにこの裁判所関係の予算が少なくなる。だから裁判は遅延を来たす。こういうことが、私は一般の考えとして間違っていない、こういうふうに思うのです。従って、法律を出される場合に、やはりそこまで考えなければ、私は法律をやたら出すわけにはいかぬと思う。そういう意味において、法務大臣は、訴訟の遅延をなくするために、ただ書記官制度のこういう改正をする。その前に予算をもっと裁判所に取ってやって、そしていい裁判官の数もふやし、書記官もふやし、書記官補もふやして、国民の権利を守るために訴訟の遅延をなくする、こうしなければならぬですが、そういうような点は、法務当局は考えられなかったかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/34
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035・津田實
○津田政府委員 これのみをもちまして訴訟の促進をはかるということではございません。これは訴訟の促進をはかるという面におきましては、そう重要な結果をもたらすかどうかという点は、私どもも疑問でございますけれども、それ自体は、それは一歩を進めるものであることは間違いないと思います。訴訟促進等につきまして必要な事項としまして、裁判官の増員でありますとかあるいは裁判所職員の増員もむろん必要でありますが、すでに御承知のように、裁判官の増員につきましてはいろいろな隘路がございますし、書記官の増員につきましても、六百数名の欠員がありながら、補充し得るに適当な人が少ないというような点もあると思われます。それはまあ、裁判官にいたしましても書記官にいたしましても、待遇を画期的に上げるとかいうようなことによってあるいは改善し得るかもしれませんけれども、それらの点につきましては、やはり法曹一元とか、いろいろな司法制度全般の改革の問題とからんでおりますので、法務省といたしましても、十分検討をいたしておる次第でありますが、この問題は、それと切り離して、取りあえずという意味において立案されたわけでございます。なお、裁判所の予算につきましては、これは裁判所当局と大蔵省当局との直接折衝によって行なわれるものでありまして、法務省自体としては、裁判所予算には全然、何らの権限を持っておりません。この法律案は、従いまして、予算とは無関係に提出されておるわけでございます。裁判所の職員の増員等につきましては、裁判所が直接大蔵省に折衝いたしまして、その裁判所と大蔵省との間に意見の一致した増員分について、法務省が連絡を受けて法律案を立案する、こういうことになっておるわけなんでありまして、予算の内容には、法務省としては何らの権限がないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/35
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036・坂本泰良
○坂本委員 この点は、法務大臣に次会に出てもらって確かめて、やはりこういう法律案を出す以上は、まずその前提として、裁判官の俸給を上げて増員をし、さらに書記官、書記官補も増員して、そしてこの訴訟の遅延を防止して、国民の権利を守らなければならぬ、こういう点について、今後、予算措置についても努力をするかどうかというような所信を法務大臣に聞く機会をこの次に与えてもらうことをお願いして、留保しておきまして、先に進みたいと思います。
この時間延長と、それからそれに対して一億何千万円かの予算が通過しておる、こういうようなことを聞きますが、根本的の問題として、号俸の調整ですね。書記官、あるいは書記官補もそうなると思うのですが、この号俸の調整は、やはりこういう時間延長その他でなくて、公務員の仕事の性質及び技量によって区分をせなければならぬ、こういうふうに考えるわけですが、今度のこの書記官の補助事務によって、時間の延長と、それに対する八%の給料の値上げですか、この点はちょっと矛盾するように考えられますが、その点についての御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/36
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037・守田直
○守田最高裁判所長官代理者 俸給額の八%の調整というのは、これは書記官に新しい権限が付加されるということと、勤務時間の延長というこの勤労条件の変更によりまして、一般職の職員の給与に関する法律第十条の規定に基づきまして八%の調整を行なうということになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/37
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038・坂本泰良
○坂本委員 そこで、この八%の調整は永久的なものですか。私はやはりこれは先ほど申しましたように、仕事の性質及び技量の区分等によって、この号俸の調整はすべきものである、従ってやはりこれは暫定的であって、将来は時間の延長をなくして本俸に繰り入れてやるべきだ、そういうふうに思うわけですが、その点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/38
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039・守田直
○守田最高裁判所長官代理者 俸給額の調整と申しますのは、いわゆる本俸でございます。本俸が八%だけふえるということになるわけでございまして、その点が超過勤務手当とは異なるわけでございます。本俸八%の増加といいますと、それが基準になりまして、勤勉手当、期末手当、その他の給与にすべてはね返ってくる基礎となる増額ということになるわけでございます。裁判所書記官の勤務条件がある程度恒久的なものになりますために、それを例外的な超過勤務手当でまかなっていくということは、これは給与の性質上相当でない、本俸自体にしなければいけないという考えのもとに、本俸額の八%、合計一六%の調整が行なわれるというわけでございます。
で、将来の問題でございますけれども、これは裁判所書記官の権限や職務内容をどうすべきかという問題と関連するのでありまして、現在裁判所書記官の職務内容につきまして、裁判所書記官制度調査委員会というものが最高裁判所に設けられまして、引き続き、審議いたしておるわけでございます。今回の改正はその第一段階をまずこの程度のところで改正をお願いしているわけでございまして、裁判所書記官の職務内容が確定いたしますれば、私どもの念願といたしましては、裁判所書記官あるいは裁判所調査官に勤務時間なども十分取り入れましたそういう特別の給与体系を作り得れば、非常に幸いだというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/39
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040・坂本泰良
○坂本委員 この点はもう少し聞きたいのですが、時間がないから……。
もう一つ聞きたいのは労働基準法、これがやはり基本的人権の問題で出てきているから、簡単に、特殊の職務を行なうから時間の延長をするというだけでは、どうも納得できないと思うんですよ。何かそのほかに最高裁判所としては考えられておるかどうか。また別に、その基本的な現在の基準法に、そういう基礎的な基本となるような規定があるかどうか、その点を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/40
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041・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 労働基準法は新しい憲法のもとにきわめて重要な法律であり、その精神が守られなければならぬことは、まことに御指摘の通りでございます。私どもそれに決していなやがあるわけではございません。ただ先ほど来申し上げましたような、裁判所の中でも特殊な職務に従事しております者については、やはり今日の実情におきまして特別の定めをせざるを得ないのでございます。これは労働基準法四十条におきましても、やはりそういう特殊の定めができることを定めているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/41
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042・坂本泰良
○坂本委員 そうすると、やはりあくまでも労働基準法四十条と、それに基づく労働基準法施行規則、それでやられるというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/42
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043・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 労働基準法にもそういう規定があるということを申し上げたわけでございまして、国家公務員につきましては、労働基準法ではなくて、一般職の職員の給与に関する法律第十四条第三項に規定があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/43
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044・坂本泰良
○坂本委員 十四条三項の点についてはもう少し質問をしたいのですが、この点はもう少し前置きの質問をしないと質問ができぬわけでありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/44
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045・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 坂本委員に申し上げますが、そういう問題は前の委員会でもう詳細に質疑応答がなされておるので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/45
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046・坂本泰良
○坂本委員 速記録を見たのですけれどもはっきりしないものだから、その隘路を私はやっておるつもりだけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/46
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047・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 ではその隘路だけをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/47
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048・坂本泰良
○坂本委員 そこで最高裁判所にお聞きしますが、この法律の改正があれば、最高裁判所の規則か何かを改正されるか、改正というのは新しく作るということも含まれるわけですが、この点についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/48
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049・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 その法律の改正によりまして、新しい裁判所の書記官の職務の範囲、内容というものは具体的に規定されていくと存じます。しかしながら、その実施によりまして、具体的に最高裁判所の規則なり規定なり、そういったもので若干の定めをする必要があることは十分に存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/49
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050・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 志賀義雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/50
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051・志賀義雄
○志賀(義)委員 この前事務次長に伺いましたが、今度の法案について同意書を取られた、一部にそういうものがあるという事実はお認めになりましたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/51
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052・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 この改正につきまして書記官の意向を徴したということはございます。しかし、同意書を取ったというような意味ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/52
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053・志賀義雄
○志賀(義)委員 この前の議事録を見るとそうなってないのですよ。全部がそうではないが、一部にはそういうものもある。——じゃ例を申し上げましょうか。秋田の家庭裁判所の例でありますが、これは上申書になっているのですね。「私は、書記官、調査官に対する一六%調整に賛成します。」それから福島の家裁の例を申しますと、「私は一六%の調整を受けることを希望します。」これは官職、氏名、捺印があります。東京高裁管内の例では、「書記官の一六%調整の実現について、意見、賛成、不賛成、どちらかにしるしをつけ、記名して提出するよう説明して用紙をくばる。」ところが宇都宮地裁並びに福岡高裁管内の例を申しますと、「同意書、裁判所書記官の職務内容の高度化に伴い、裁判所書記官の号俸調整一六%実現について賛成します。」それから宇都宮家裁の例でも、「同意書、調整増額一六%に賛成します。」広島地裁の例、「同意書、次の条件で現行の八%調整を一六%に増加することに同意する。一、勤務時間一週四十四時間を五十二時間に延長すること、一、裁判官の事務補助をすること、昭和三十五年一月、広島地方裁判所、裁判所書記官、氏名、捺印。」山口地裁の例でも、「同意書、勤務時間を一週五十二時間内とし、裁判官の事務について補助することの条件により、俸給額について一六%の調整を受けることを同意します。」これもやはり年月日、裁判所書記官、氏名、捺印。それから山口家裁の例も、右と同じ書式でもって氏名、捺印がしてあります。こういうふうにあるでしょう。その同意書があるということは、あなた方も一部にはそういうものがあるということをこの前言われたのですよ。そしてきょうになると、そういうものはないというようなことを言われる。どちらがほんとうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/53
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054・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 意向を徴した結果、同意書という書面の形でもって意向が提出されたものもございますということを申し上げたのです。同意書を提出させたということではございませんということを申し上げたのです。意向を徴した結果、同意書という書面でその意見が出たということはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/54
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055・志賀義雄
○志賀(義)委員 そこのところは、この前私も言ったでしょう。同意書というものは、これはどうだというものを出して、相手がそれに同意しますというものでしょう。こちらから出さなくて、どうして同意書という何になりますか。同意書というものはそういう性質のものでしょう。そのことはこの前も申し上げたのです。同意書というものは、あなた方の方から、これはどうだというので同意を求めなければ、出るはずないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/55
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056・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 前回申し上げましたように、各高等裁判所の首席書記官に、今度の改正について伝えまして、書記官の意向を徴したのであります。徴した結果、同意といいあるいは賛成といい、いろいろ言葉は出るわけでありますが、そういう意味の同意でございまして、実はこれに同意しろというような意味で同意書を徴したというようなことはございません。意見を徴した結果が同意という言葉になり、あるいは賛成という言葉になったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/56
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057・志賀義雄
○志賀(義)委員 そんなごまかしを言ったってだめです。同意書というものは今のような形でもって成立することは、あなた法律の専門家でしょう。
そこで、この問題については、法案として今度出たのに、それに先だってどうしてそういう同意書を取ったのですか。法律に従ってなら、それを施行すればいい。まだ法案として今度の国会に初めて出たようなものについて、法律にもならないものについて、どうしてそんなことをされるのです。一番法律を守らなければならない最高裁の事務総長の方で、そういうことをされちゃ困るじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/57
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058・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 いろいろな法律の改正なりあるいは立法につきまして、裁判所のそういった内部で、裁判官なりその他の職員なりの意見を徴することは、決して今回に限ったことではございません。そういうことはあることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/58
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059・志賀義雄
○志賀(義)委員 ところが、その同意書について、これは公の性質のものでないから、私がここで発表を求めたときにあなたは出せないとおっしゃいましたね。すると、最高裁では何ですか、公にできないようなものを職員から取っていいということがあるのでございますか。そこのところを一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/59
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060・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 そういうふうに職員から出ました書面そのものをここに出すことはいかがかということを実は私の意見として申し上げておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/60
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061・志賀義雄
○志賀(義)委員 ところが、これは裁判所の裁判についてのことではない、行政上のことですね。あなたここに出したくないと言われている。私と大野委員とが質問した結果、何か最高裁に、そういうものを出したくないと言えば、行政上の審査の件についても出さないという特権があるかということを伺ったときに、あなたはその特権はないと言われましたね。議事録では確かにそうなっておりますね。そこをもう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/61
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062・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 この前お答え申し上げましたことは、そういう書面をこの席に持ち出すことはいかがかという私の意見を申し上げましたことと、それから、そういう場合に拒絶する特権かあるということを申したのではないということを申したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/62
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063・志賀義雄
○志賀(義)委員 拒絶する特権がないとすれば、お出しになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/63
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064・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 拒絶する特権かあるということは申さなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/64
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065・志賀義雄
○志賀(義)委員 それでは、こちらから提出を求めたときには出されますか。それを伺っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/65
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066・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 委員会の正式の御決定がありました上で考えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/66
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067・志賀義雄
○志賀(義)委員 委員会の決定があったら考えるも考えないもないじゃないですか。行政審査の対象になることをあなた方かその場になって考えたって、どうにもなるものじゃありませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/67
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068・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 私の意見は先ほど申し上げたことに尽きているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/68
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069・志賀義雄
○志賀(義)委員 そうすると、あなたは何かここに出せないようなよくないことをしているというようなあれがあるのですか、どうですか。堂々とお出しになったらどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/69
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070・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 決してよくないことをしているわけではございませんで、ただ書面の性質上、そういうことを申し上げているだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/70
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071・志賀義雄
○志賀(義)委員 その提出のことについては、法務委員会の方でいずれやりましょう。(「必要なし」「僕らの方にもいろいろ手紙が来ているんだ」と呼ぶ者あり)君は政府の役人じゃないよ、弁護士で代議士だから。おれは今政府の役人に聞いているんだ。役人は行政審査の対象になるが、君はならないよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/71
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072・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 私語を禁じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/72
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073・志賀義雄
○志賀(義)委員 そこで伺いますが、いさぎよくお出しになった方がいいかと思いますね、こちらできまった場合には。ことにこれは予算に関連することですが、予算が審議されないうちに調整増額がきまったことのようにその同意書を求めるなんということは、これはとんでもない越権行為ですよ。それを一つ申し上げておいて次に入ります。
三月三日の参議院法務委員会において、最高裁判所守田局長は、裁判所が待遇改善費として大蔵省に予算要求をしたときに、時間を週四十四時間から五十二時間に延長する条件を裁判所側からつけたように話をされているが、最高裁が全司法労働組合と話し合ったときには、勤務時間の延長は政府、つまり大蔵省がつけた条件だ、こういうふうに言われているようですが、どちらがほんとうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/73
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074・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 前会御説明申し上げておりますように、今度の新しい職務を行なうのにつきまして、裁判所の実務の実情から申しまして、勤務時間を延長せざるを得ないというのが最高裁判所の意向でありまして、それによりまして予算の折衝をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/74
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075・志賀義雄
○志賀(義)委員 この前の、大蔵省から大原委員の質問のときに来ていただきましたときに、守田局長が言われたようなことではなかった。相談の結果そういうことになった。そうすると、全司法の労働組合に守田局長はうそをついていることになる。そうでしょう。ところで今度のことについては、一般職の職員の給与に関する法律の第十四条三項の「職務の性質により第一項に規定する勤務時間」、すなわち「休憩時間を除き、一週間について四十時間を下らず四十八時間をこえない範囲内において、人事院規則で定める。」、その「勤務時間の最高限をこえて勤務することを必要とし、」云々ということになっておりますが、この人事院できめられたものについては、どういうものが人事院の承認を得て一週四十四時間をこえて勤務する職員なのでしょうか。これは参考としてお調べになったでしょうが、どういうものがございますか。先ほど坂本君がその一部をあげましたけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/75
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076・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 現在四十八時間をこえる勤務時間が定められている公務員の例でございますが、検察事務官あるいは公安調査官、その他があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/76
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077・志賀義雄
○志賀(義)委員 私どもの方の調べたところによりますと、今あげられた検察事務官、これは五十二時間になっておりますね。それから公安調査官のことを今あげられておるのですが、そのほかに、船員が、航海中五十六時間、停泊中四十八時間、これは海事職俸給表によっております。それから警察官が四十四時間ないし五十四時間、これは公安職の第一表です。それから海上保安官が五十二時間ないし五十六時間、公安職の第二表によっております。それから刑務所の看守が五十一時間ないし五十四時間、これは公安職の第一表によっております。それから入国管理官か五十一時間ないし五十四時間、これは公安職第一表、それからなお看護婦が四十八時間、これは医療職俸給表の第三によっておるものでありますが、こういうふうに見てきますと、航海中休むわけにいかないとか、あるいはまた海上保安官のように、夜昼となく警戒しなければならないとか、警察官なんかもそうです。それから警察から連絡があった場合の検察事務官、あるいは刑務所、入国管理官、それから看護婦という特別の事態に対処する者だけに限られております。この中には仕事が山積するから、人員が少ないから、それでもって時間を延長するという事例は一つもありません。ところが、最高裁の職員の場合には、人事院総裁にかわって最高裁判所長官が人事院総裁と同じような仕事をするということになると、その権限を利用して、本来人事院規則でもこういう特別の場合をあげているのに、仕事が多いから、定員が足りないから、しかもその定員はにわかに養成しがたい、適当な人が得られないからという理由で、法律を最も厳格に守り、それに従って行動しなければならない最高裁だけがなぜこういうことをされるのですか、何か特別の理由がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/77
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078・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 その点もやはり再々申し上げておりますように、今回加わります書記官の新しい職務の性質から来ることでございまして、その職務の性質は、先ほど申し上げましたように、裁判官の現在の仕事の実際のとり方、執務の実情から来るわけでございます。これはただいま例で御指摘のございましたようなものとは、その性質を異にいたしますけれども、いろいろの状況におきまして、やはり裁判官の今の執務の実情から申しまして、やむを得ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/78
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079・志賀義雄
○志賀(義)委員 だから一般職の職員の給与に関する法律では「職務の性質により」といったのは、今私どもが事例をあげたようなことですね、これなんですよ。裁判所の職員の場合に適用すべきものではないのです。ところが、伺ってみると、内藤さんの御意見も守田さんの御意見も、この第十四条第三項をただ一つの根拠としていられるでしょう。これは全然別のことを都合よく引っぱっておられることになりはしませんか。だから、第十四条第三項を引き合いに出されることはおやめになった方がよろしい、正しくないと言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/79
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080・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 今度の新しい書記官の職務につきましては、先ほど来申し上げますように、やはり、裁判官の調査の補助ということから特殊の性質を持っておるわけでございます。そういう意味におきまして、第十四条の三項によります特殊の定めを私どもは正しいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/80
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081・志賀義雄
○志賀(義)委員 それは、「職務の性質により」という特殊のものの性質が違うと言うのですよ。これまでのここで答弁なさったこと、参議院の方でもそうでありますけれども、第十四条第三項、こればかりを引き合いに出されるのでしょう。私が最高裁に参りまして、横田事務総長にお会いしたとき、守田局長が出られたときに、法律的根拠は何ですかと言ったときにも、この一般職の職員の給与に関する法律の第十四条三項を引き合いに出されたのです。私の伺っておるのは、特殊の性質というものは、第十四条三項の場合は違う。それなのに、あなた方はただそれだけを引き合いに出される。裁判所の職員の職務が特殊であるからといって、そんなことを言えば、どこだって特殊でないものはありませんよ。大蔵省が裁判ずるわけじゃなし、警察が裁判するわけではない。みんなおのおの職務は川特殊ですよ。だから、その特殊ということは言いわけにならないと言うのですよ。ことにこの十四条第三項を引き合いに出されることはね。そうだとすれば、裁判所の職務は特殊であるということで、積極的にあなた方の今度の法案を提出されたことが肯定されるべき理由が法律上あるならば、そのほかに出してごらんなさい、こう言うわけなんですよ。仕事の多い少ないということは、先ほど坂本委員も申しましたように、定員増加のこともありましょう。なぜこの十四条三項という全然当てはまらないものだけ持ち出されるのか、そのほかのものを出して下さい、こう言うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/81
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082・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 裁判所の職員の職務がすべて特殊だと申しておるわけではありません。裁判所の職員の職務は通常の勤務時間でまかなえるわけでありまして、決して特殊と申しておるわけではありませんが、しかし、私の申し上げますのは、書記官に新しく課されます職務、その職務を特殊と申しておるのであります。その特殊はどこから来るかと申しますれば、先ほどから申し上げますように、今日の裁判官の執務の実情から来る、そういった特殊性を言うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/82
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083・志賀義雄
○志賀(義)委員 今あげた特殊の仕事というもの、これは別として、私がなぜ一見小さいことのように見えるこの法案に反対するか、今八時間労働というものが労働基準法できめられて、日本でもそれが実施されておる状況です。それをどしどしこわされていく。世界の趨勢は、資本主義の発達した国では、製造業一つとってみても、日本が一番労働時間が長いのです。実働八時間労働日というものは事実こわされていく。今言った特殊のものを除いては、それがまだ守られている。これは官庁ですから、法律を出した以上、それに基づかなければならないのです。それを裁判所の書記官についてこういう規定をすれば、ほかの国家公務員、地方公務員、これにも全部波及していくのです。労働者の権利の問題で一番重要な問題です。それを何だって法律を一番守らなければならない最高裁判所が、率先して八時間労働日ということをぶち破っていかれるのか、問題はそういう根本問題にかかわる。その突破口を最高裁判所から作っていくということになっては困ります。それで私が申し上げているのです。この前、例として申し上げて、きょうは法務大臣いらっしゃるのですが、裁判官の俸給の問題についても、この前の国会でも私が反対いたしました。今度も結局私一人が反対して、ほかの党派の諸君、みなお立ちにならなければならなかったようなことになっています。裁判官の中によくないのもおります。その例としてあげました、これは裁判所のことですから、あなたから別にどうこうということをお返事を求めるわけじゃありませんが、参考までに申し上げます。たとえば、最高裁の大法廷において下飯坂という判事、これは松川事件なんかで一番とっぴな判決の意見を出しているわけですが、大法廷では年がら年じゅうはでな格好で居眠りしているのです。何にも聞かずにやっているのです。中にはそういう者もいますけれども、全体の問題として、裁判官の俸給、検察官の俸給の問題について、原則として通すべきところは通さなければならないから、私もがんばった、こういうわけです。今の問題にしても、そういうふうに八時間労働日をこわすことを、なぜ最高裁判所が率先してやるのか、こういう重大な問題にも関係している。その点をお考えになったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/83
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084・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 その点につきましては、私どももいろいろの面から検討して、十分に考えておるわけでございますが、裁判所の実情真にやむを得ない範囲におきまして、今回のような勤務時間の延長をせざるを得ないということになったわけでございます。裁判所の中におきましても、決してこれか、ただいま御指摘のように、他に波及するというようなことのおそれのないように、そこは全く特殊な職務に服する者だけに限って勤務時間の延長をさせるということで、決して裁判所の中においてその他の職員にそれが波及するようなことがないことは、私どもとしては固く明言できるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/84
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085・志賀義雄
○志賀(義)委員 固く明言できるとは言いましたね。あなた方が明言したところで、最高裁でこういうことを特殊の仕事だからやった、そうするとほかの方でも、自分のところも特殊な仕事だからやった、こういうことになります。最高裁判所が行政官庁全体にわたって、これは自分のところだけは司法機関だから特殊なものだ、あなた方はこれをまねてはいけないということを、この法案の中のどこに書いてあります。一つも書いてない。またそのことはできないでしょう。そんなこと一つも書いてないです。それを明言するとは、少し言い過ぎじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/85
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086・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げましたのは、裁判所の他の職員にそういうことが波及することはないということを申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/86
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087・志賀義雄
○志賀(義)委員 裁判所の他の職員にも影響します。それはこの前私が言ったとき、そういうことはないつもりですとあなたは言われたけれども、書記官が残って仕事をするでしょう。そうすればタイピストだとか交換手だとか、廷吏だとか庁婦、こういう人たちもみな残らなきゃならない。あなた方、そういうことはなくて、ときには若干超過することもあるけれども、書記官の場合にだけきめたんだと言っても、事実上検察事務官の場合を見てごらんなさい、あそこのタイピストだの交換手だの、どうなっております。私は時間がきたからはいさようなら、というわけにいかないのです。そういう実情をお調べになりましたか。そうしますと、あなたのこの前のお答えによると、タイピストや交換手、廷吏、庁婦、こういう人たちはもう法律によって保護する必要はない、書記官がやったら、自動的にもう時間延長になっても、それはしようがない、その場合の俸給の問題なんかは書記官の場合ほど考慮しない、こういうことに事実上なります。あなた方は下級の勤労者ということについては、書記官だけきめれば、あとはそれにならえばいい、そういう者までもわれわれは考えてないのだ、こういうお考えに出発しなければ、この前のような答弁はできないはずですね。もう少し実情をつかんでごらんなさい。検察事務官の場合にどういうことになっているか、その点をお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/87
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088・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 今度の書記官の仕事が裁判官の調査の補助という内容でございますので、そのことのために当然にタイピストその他が残らなければならないというふうには考えていないわけであります。ただ、場合によりまして、それは残る必要が生ずるかと存じます。その場合には、当然に超過勤務ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/88
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089・志賀義雄
○志賀(義)委員 今度の改正される第六十条に新たに挿入される部分は、「裁判所書記官は、前項の事務を掌る外、裁判所の事件に関し、裁判官の命を受けて、裁判官の行なう法令及び判例の調査その他必要な事項の調査を補助する。」となっているでしょう。判事が在宅で仕事をしている場合、電話をかけてきて、この仕事をやれと言った場合、交換手はどうなります。それがいなかったら、法律に書いてあることができないじゃありませんか。そうでしょう。いろんなことで今度は裁判所から問い合わせをやるために一々行きますか。まあ警察というところも近ごろテレスコープというものまでも使ってやっている。何か特別の機械でもあって、判事の方と連絡されればともかく、そんなものはまさか最高裁判所にはないでしょう。いずれこの法務委員会では、そういう警察のことはいろいろと実際の資料を出してお目にかけますけれども、あなた方のところにそういう特別の道具はないはずだ。この新たに改正しようという案は事実上そういうことになるじゃありませんか。その点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/89
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090・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 交換手に居残りを命ずる場合には、やはりそれだけの命令を出しまして居残らせるわけでありまして、たとえばきょう調査の仕事があるからといってある裁判官から居残れというようなことは、実際問題としてあり得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/90
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091・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 志賀委員に申し上げますが、お約束の時間が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/91
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092・志賀義雄
○志賀(義)委員 五分余してくれと言ったけれども、大野君が何か関連質問があるそうですから、きょうはこれだけにしておきますが、これで審議打ち切りなどと言ってはだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/92
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093・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 関連して大野幸一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/93
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094・大野幸一
○大野(幸)委員 今の裁判官の居眠り事件というのがある。実にわれわれは若いころから裁判官の居眠りというものは苦にしたものです。それをこっちが皮肉ると感情的に来る。これは厳に慎しまなければならぬと思うが、さてその居眠りの原因なんですね。これを調べてみると、どうも昔は私立大学に講師で行かれる人が多かった。私立大学の講師をして、アルバイトでかせぎつつ、そうして書記官には調査させるというようなことは、はなはだよくないことだと思う。そこで聞きたいことは、今は私立大学の判事の講師の状況はどうなっているかということを聞きたい、計数的に、統計的に。そのくらいのことを調査せずしてこの職務を補助させることはよくないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/94
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095・守田直
○守田最高裁判所長官代理者 現在、裁判官で講師に行っている人の数は、資料を持ち合わせませんが、とにかく、一週間に二時間以上は許さないという制限を設けて、二時間をこえるあれはないと思います。ですから、私立大学に講師に行ったから居眠りするというようなことはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/95
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096・大野幸一
○大野(幸)委員 一人につき二時間は許してあるというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/96
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097・守田直
○守田最高裁判所長官代理者 そうではありません。できるだけ制限をいたしておりますけれども、学校等の非常な熱望によりまして、どうしてもぜひという事態が生ずるわけでございます。その場合に、一週二時間に制限してやっているということでございます。非常に少ない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/97
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098・大野幸一
○大野(幸)委員 今聞いているのは、何人ぐらいが今講師として働いているかということです。一人につき二時間ということじゃなくて。どうですか。そんな統計までとらないで、どうして事務が繁忙だから補助させるというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/98
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099・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 御指摘の点でございますけれども、ずっと以前に、そういう相当多くの講師を引き受けて弊害があるということが何人かの裁判官について言われたことがございます。しかし、今日そういった実情は、ただいま人事局長が申し上げたように、全然ございません。一々最高裁判所の許可を受けまして講師を引き受けております関係上、そういった弊害はなくなっております。
それから人数でございますけれども、これもただいま数字を持ち合わせておりませんけれども、私どもざっと考えました範囲内におきましても、裁判官全体から申せば、決して多くの人がそういうことをしているわけではございません。たとえば東京あたり多くの裁判官がおります中で、何人かがそういう学校の講師を引き受けております。地方へ参りますれば、学校もそうございませんので、そういったことは非常に少ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/99
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100・大野幸一
○大野(幸)委員 統計も何もとってないということなんですか、それじゃ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/100
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101・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 調べればその数字はもちろん出ます。ただ、ただいま持ち合わせていないと申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/101
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102・大野幸一
○大野(幸)委員 そうすると、裁判官がこの調査を書記官をしてやらしめるという根拠が出てこない。統計もとらないで、何人かもわからない、ただ一週間二時間は許してあるという程度では……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/102
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103・守田直
○守田最高裁判所長官代理者 現在大学の講師に行っておる、その行く場合におきましては、全国のどこにおっても、最高裁判所に許可申請をしてくるわけでございます。それを最高裁判所で、どうしてもやむを得ないというものだけを見はからいまして許可するという状況でございますから、数はその許可した数を調べれはすぐ出てくるのですけれども、ただここに資料がございませんのでわからない。しかし、非常に少ないものでございますということは、もうはっきり言えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/103
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104・大野幸一
○大野(幸)委員 最高裁判所では十五人だから、だれとだれが講師になっていらっしゃるか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/104
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105・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 最高裁判所裁判官はだれも講師を引き受けておりません。
それから、もう一つつけ加えて申し上げますけれども、すべて最高裁判所が許可をいたします場合には、裁判の実務には影響のない時間の講師を許可しているのでございまして、そういう意味で、数から申しましても、また執務に影響する点から申しましても、全く御心配ない程度のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/105
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106・大野幸一
○大野(幸)委員 実際に大学に行って講師をするくらいの人は、裁判も優秀なのです。それは認める。しかしながら、優秀だからといって居眠りすることはよくないことである。私はそういう意味で言ったのであります。だから大いに大学の講師くらいすることはいいことだ。近ごろの裁判官は非常に勉強が足りないと思う点があるのです。実際そういうところがあるのです。特に地方に至っては、これは書記に全部まかせきりにしてしまいはせぬかという懸念があります。こういうことについて今後自重を要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/106
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107・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 田中伊三次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/107
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108・田中伊三次
○田中(伊)委員 裁判所にちょっと伺っておきたい。裁判官の災害補償は、従来は何らの規定もないのですね。そこで従来の扱いはどうしておられたのか。それから裁判官の災害補償の一つのわかりやすい実例をあげてみて下さい。なるべく普遍的なものを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/108
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109・守田直
○守田最高裁判所長官代理者 裁判官の公務災害補償の点は、これは労働基準法等の施行に伴う政府職員に係る給与の応急措置に関する法律というのがございまして、他の特別職と同様これによって処理されておるわけであります。その実例を申し上げますと、今まで公務災害だとして認定されました例が三件でございます。まず一件は、脳出血による死亡でございますが、これは福岡地方裁判所八女支部の判事でございまして、昭和二十九年三月五日に発生した事実でございます。これは法廷審理終了後、判事室におきまして判決原稿執筆中過労のため脳出血を起こして死亡したという件でございまして、これに対しましては遺族扶助料及び葬祭補償が行なわれております。なお有名な事件に関連するものとしてもう一つ申し上げますと、いわゆる洞爺丸事故による死亡でございます。これは札幌高等裁判所の判事でありますが、最高裁判所へ出張の途中青函連絡船洞爺丸の海難事故によって死亡したものでございます。これには遺族補償及び葬祭補償が行なわれております。そのほか一件あります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/109
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110・田中伊三次
○田中(伊)委員 この労働基準法等の施行に伴う政府職員に係る給与の応急措置法の中を見ると、裁判官の災害補償に関連をして聞きたいのですが、福祉施設というものは全然規定がありませんね。裁判官の災害補償を行なうことは非常に大事なことですが、同時に福祉に関する施設についても考えを持ってみたいということを考えるわけです。裁判官の福祉についてはどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/110
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111・守田直
○守田最高裁判所長官代理者 従来は御説の通り福祉に関するいろいろな措置がなかったわけでございますが、その関係で、今回の改正によりまして、一般の国家公務員に適用されまする災害補償に関する法律を援用することによりまして、その福祉施設を十分に利用できるようにいたしたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/111
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112・田中伊三次
○田中(伊)委員 それから話は別論になりますが、特別職の場合を考えると、現在内閣委員会で取り扱っておる特別職の職員の給与に関する法律の改正を行なって、その中に災害補償を織り込んでおるという事情ですね。官吏の災害補償というものをどう扱うかの一つの行き方ですね。そこで本件の場合についても、裁判官の報酬に関する法律を改正して、その中にこの災害補償を織り込んでいくということも一つの方法ではないか、こう考える。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/112
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113・津田實
○津田政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、本来災害補償制度と給与制度とはその本質が異なるわけでございまして、一般職の国家公務員につきましては給与法のほかに災害補償法が設けられておることは御承知の通りでございます。ところが、特別職につきましては、今回特別職の給与法を改正いたしましてこの災害補償を考えるということになったわけでありますが、これは特別職の給与体系についての特殊事情によることでありまして、本質的にはやはり災害補償と給与制度とは別個であるということでありますので、裁判官につきましてはその本来の精神を貫いたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/113
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114・田中伊三次
○田中(伊)委員 この補償の予算措置はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/114
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115・津田實
○津田政府委員 法務省におきまして調査いたしましたところによりますと、裁判官を含む裁判所全職員の公務災害補償に要する費用といたしましては、昭和三十五年度は九百七十二万円が計上されております。その内訳は、公務災害補償費と公務災害福祉費とに分かれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/115
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116・田中伊三次
○田中(伊)委員 もう一つ、簡易裁判所の管轄区域を変更する結果は、やはり人件費の上にも事務の量の上にも相当増減があるんじゃないか、これはどういう予算措置になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/116
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117・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 今回の簡易裁判所の管轄区域の変更でございますが、それは多く行政区域の変更に伴う変更でございまして、実質的な管轄区域が動くというのはそう大してないのでございます。ですから、実質的には管轄区域が変わってないのが大部分でございまして、特に人件費の増減について手当をしなければならないということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/117
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118・田中伊三次
○田中(伊)委員 簡裁は、全国的に、運用の状況を見ると、未開庁のものが多少ございますね。この未開庁の処理はどうされる考えでございますか。それからこういう未開庁のものも今日あるというような点から考えてみて、簡裁全体についての一つ処理方針をお考えになる必要があるのではないか、それはどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/118
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119・内藤頼博
○内藤最高裁判所長官代理者 未開庁の簡裁は、御指摘の通り、現在まだなお未開庁が何カ所かあるのでございますが、いずれも設置以来適当な敷地が得られなかったりなどして未開庁のままでいるわけでございますが、ただいまのところ、事務移転によりまして、特段の支障を生じておりませんので、未開庁のままに事務移転で他の簡易裁判所で事件を処理しているわけでございます。この今後の処理でございますが、簡易裁判所全体にわたりましてただいま御指摘のございましたように、あるいは整備等も考えなければならぬかと存じます。法務省当局におきましてもいろいろ検討されておりまして、書高裁判所と私どもの方と十分にこれを検討いたしまして、その結論を得たいというふうに措置されているようでございますが、私の方といたしましても各高裁あるいは地裁の十分な調査を待ちましてその結論を得たいと存じております。いずれにせよ、米開庁の問題は、簡易裁判所全体がそういった処理を一緒に考えなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/119
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120・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 この際お諮りいたします。開会前の理事会の申し合わせによりまして、三案に対する質疑を終局いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/120
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121・瀬戸山三男
○瀬戸山委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
三案に対する採決は次会にいたします。
本日はこの程度で散会いたします。
午後零時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103405206X02019600412/121
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