1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十五年三月三十一日(木曜日)
午前十時五十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長 平島 敏夫君
理事
天埜 良吉君
江藤 智君
村上 春藏君
小酒井義男君
委員
金丸 冨夫君
佐野 廣君
鳥畠徳次郎君
三木與吉郎君
村松 久義君
相澤 重明君
大倉 精一君
重盛 壽治君
中村 順造君
中村 正雄君
松浦 清一君
白木義一郎君
加賀山之雄君
国務大臣
運 輸 大 臣 楢橋 渡君
政府委員
運輸政務次官 前田 郁君
運輸大臣官房長 細田 吉藏君
運輸省海運局長 朝田 静夫君
運輸省海運局次
長 若狭 得治君
運輸省船舶局長 水品 政雄君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
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本日の会議に付した案件
○外航船舶建造融資利子補給及び損失
補償法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
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001・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) ただいまより委員会を開会いたします。
まず、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
念のため申し上げますが、本案は昨日衆議院において可決され送付されました。
これより質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/1
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002・大倉精一
○大倉精一君 質疑の前に、議事進行についてお願いをしたいのですけれども、資料要求をした資料に基づいて一応の説明を願いたいと思います。私の場合は企業合理化に関する説明ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/2
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003・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) きのう御要求がありまして、本日配付されました資料についてなるべく簡単に、要領よく御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/3
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004・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 昨日御要求のございました資料につきまして簡単に御説明を申し上げます。
まず、最初の表は、御要求のありました鉄鉱石、石炭の輸入量及び邦船輸送状況でございますが、鉄鉱石はそこにございますように、マラヤ、インド、ゴア、比島、アメリカ、カナダ、韓国、その他ということで、三十三年度では輸入量の合計が七百八十八万八千トン、そのうち日本船が積み取りましたのは五百六十九万三千トンでございまして、積み取りの比率は七二・二%、外国用船で運びましたものが八十一万四千トンでございます。三十四年度の上期におきましては、この積取比率は、そこでごらんになりますように、低下いたしておるのでございまして、六九・三%となっております。石炭は同様にアメリカ、豪州、ベトナム、ソ連領アジア、その他、こういうようなことになりまして、三十三年度は、日本船は六四・二%、三十四年度の上半期は五五・九%、こういう数字になっておりまして、三十四年度は三十三年度に比して積取比率が下がって参りますのは、三十三年度は非常に輸入量が低かった、少なかったと、こういうようなことで、消極的に日本船の積取比率は上がった、こういうことになるのでございます。
その次の表は、鉱石車用船とバルクキャリヤーの保有船腹であります。鉱石専用船は、就航中のものが八隻、八万七千トンあるわけでありますが、それで運びました数量が、鉱石輸入量として出ておりますように、三十四年度上期におきましては十七万二千トン、許可建造中というものがそこにございますが、これが六隻、八万九千トン、計画中のものが五隻程度ございます。
それからその次のバルクキャリャーでございますが、これは石炭とか鉱石とか、あるいは時には小麦を輸送いたします大量貨物の輸送に適当な船であります。主として鉱石を運んでおるものが多いのでございますが、これが現在十隻、十万二千トン、鉄鉱石の輸入量の積取比率は、三十一年度は八百二十九万一千トンの輸入量で、日本船で四百三十五万八千トン、五二・六%、三十二年度が五〇・五先、三十三年度は先ほど申し上げましたように、輸入量が激減いたしておりますので、年間におきまして、私の記憶では六百万トンばかり減少しておった年であります。それが、従いまして日本船の船腹量をフルに活用いたしました結果、七二・二%という消極的なバランスがよくなってきたというようなことでございます。三十四年度の上半期は六九・三%。
そこで御要求のありました鉄鉱石の専用船なり石炭の専用船は一体どれだけ必要か、こういうことでございますが、先ほど申し上げましたような数字で、今後の見通しの問題でございますが、鉄鉱石の輸入量は、ここに資料がございませんが、三十三年度は、先ほど申し上げましたように、七百四十三万トンでありますが、三十七年度には今の見通しでは千五百三十八万トンと大幅に増加する見込みになっておるのでございます。このために十四次、十五次計画造船におきまして八隻の専用船を建造いたしまして、専用船は年間を通じまして常時この輸送に従事しなければ、その効果が上がらないわけでありまするために鉄鋼各社の積荷共同保証という形をとってきておるのであります。八幡とか富士とかいうような個々の会社でなしに、鉄鋼各社の積荷を各社におきまして共同して積荷を保証するというようなことでありまして、今後の専用船の所要量は、大体われわれの見通し、通産省あるいは鉄鋼会社の見当と全部総合いたしまして、四十二年度までに大体十六隻の専用船が要るというふうに予定されるわけでございます。それはマレー方面におきまして、ズングンでございますが、一万トン型の鉱石専用船が四隻、インド方面のゴアでございますが、二万五千重量トン型が六隻、ヴィザガパタムというインドの積み港がありますが、これが四万五千トン型が六隻、合計いたしまして十六隻と大体見込まれるのではないかという、今の段階ではそういうふうな見通しでございます。このほかに今申し上げました鉄鋼各社でなしに、一社々々が長期の荷物を保証いたしまして、単独で積み荷保証をするという形が専用船として考えられておるのでございますが、山元と内地の港湾事情あるいは長期の購入計画によって左右されますので、輸入量の増加とともに絶対必要となると思いますが、今のところ、専用船を各社が一社ごとにどれだけというような計画はいまだはっきりしたものはございません。共同して積荷保証をするというのが四十二年までに十六隻というような見通しでございます。
その次の資料でございますが、昨日の御要求のありました海運造船合理化審議会の要望によって企業の合理化努力をどういう程度にしておるかという資料でございますが、一昨年の九月以来、そういった海運企業基盤強化方策というものが合理化審議会から答申がございまして、経費の節減と企業間の協調態勢の確立について企業が自主的に努力を払うべきであるということになりましたので、運輸大臣から船主協会並びに近海汽船協会の会長にあてての通達が最初のページについておるわけでございます。それから、それをいただきました要綱が、経費節減措置要綱というものがついておるわけでございます。これは運輸事務次官から各社長にあてて昭和三十三年九月に出しておるのであります。
その次のページの一般管理費におきましては、役員報酬、従業員給与及び減価償却費を除く費目について、全体として少なくとも三十二年度下期の実績——これを基準期とわれわれは申しておるのでありますが、三十二年度の下期の実績に比して支出額において一〇%程度の節約をやってもらいたい。特に接待費、儀礼的贈答費、式典費用、つきあい的広告費、不急不用の出張旅費、高級自動車の使用に伴う費用、その他これに類似する費用の全廃、または徹底的節約をはかること。なお一般管理費の節減に関連し、海外の支店、出張所、駐在は最小限にとどめるものとする。それから人件費につきましては、役員及び高級社員の減員、減給を検討し、実情に応じた対策を実施するとともに、海、陸の従業員に対して実情を訴え、労使協力のもとにある程度の減員、減給の措置等をも考慮し、人件費の徹底的節約を行なってもらいたい。特に船員費につきましては、労働協約で定められました基準定員を上回る乗組員の下船措置、あるいは共同使用等によって保有予備員率を必要最小限度にとどめるように措置してもらいたい。そこで海運会社は相協力して乗組定員の減員についても労働組合の協力を得るように努力してもらいたい。運航費については、貨物費、燃料費、港費等、おのおのの費目について創意工夫をはかって、全体の基準期よりも五%程度の節約を行なうべきであること、船員費を除きました船費はやはり五%程度、稼働重量トン当たり五%程度の節約をやってもらいたい。それから借船料率の決定につきましては、明らかに赤字が出るというようなことはコマーシャル・ベースで考えて非常に不合理であるので、そういった借船料率の合理化をはかりたいということでございまして、その次の表は、昨年の九月期におきますととろの、いわゆる三十四年度上期の実績表、前にこういった経費使用計画を提出させまして、まだ足りないところは行政指導いたしておるのであります。そうしてその認められた計画を実行をする段にあたって、私どもはそれを各社ごとにチェックしておるのでございます。
運航費におきましては、実績は九一・一%ということでありまして、船費は九二・五%、船員費は八二・九%というふうに、一般管理費は八八・一%、これは先ほど申し上げましたように一〇%でございますが、船費は五%、それ以上のいずれも目標以上の実績が上がっておるわけでございます。役員報酬が九四・七%に引き下げられておるのであります。陸員給与も九四・三、こういうようなことで、借船料はもちろん市況に応じて上下するものでございますけれども、基準期に比べまして五七・一%というような非常に大幅に値下がりをしておるわけでありまして、このしわは主としてオーナーにしわ寄せをされておるような状況であります。オーナーは非常に一般管理費等においても節減の上に弾力性のないような企業の実態でございますので、相当の苦しみを訴えておるのは、こういうような状況からでございます。合計いたしますというと、絶対額において八十億の節減をはかっておる。大部分は用船料でありますけれども、従来はともすればそういった合理的に割り切ったような用船料の設定において問題がございました。こういうような使用実績を徴し、あるいは計画を見て、そういう合理化の方向に努力をしていただいておるような次第でございます。金利は設備融資がふえて参りますので、絶対額としては非常に大きくなってくるのはやむを得ないのであります。従いまして、金利のふえた分を差し引きますというと、一番最後の欄にありますように四十六億八千五百万というものの経費節減でございます。この際基準期よりもこの期におきまして保有船腹において九十万トン稼働船腹において八十万トンからの船腹の増があるわけであります。それだけ船がふえれば港費、燃料費は絶対額として非常にふえてくるわけでありますが、一般管理費等においてそうふえないといたしましても、それだけのかかる経費は絶対額としては非常にふえて参っておるのでありますが、トン当たりの輸送コストというものは相当一割程度下がっておるというふうな状況でございます。その点が詳しくここには、今申し上げましたようなことがその説明書に書いてございます。
それで省略をいたしまして、それから企業間の協調態勢の問題でありますが、これは不定期船におきますところのカルテルの強化ということであります。そこにございまするように、輸入石炭、穀物、塩、木材、鉄鉱石、こういう五つの大きな大宗輸入貨物についての方面別にこれが組織されている。共同引き受け、共同で運賃の折衝をやるというようなことで、過当競争にならないようにというような配慮をいたしまして、こういった世界的に見ましても、不定期船のカルテルというようなことが、なかなか各国においてそんな例はないのでありますが、わが国の合理化への要請の非常に強い世論というようなものも十分考えまして、これは私どもは不定期船のカルテルというようなことに相当力を入れて指導して参っているような次第でございます。
それからその次の派ページは、東南アジアにおきまする配船量と輸送量、それらの御要望がございましたのでありますが、三十三年度は就航船腹が百四万四千五百重量トン、輸送量が千百万トンであります。三十四年度の上期は七百五十万トンでございますから、これは大体倍にいたしますと、千五百万トンということで、三十四年度はふえて参っております。三十五年度の見通しは千七百万トン、これも逐次増加しつつある。大体こういう比率で、毎年成長率といいますか、伸び率といいますか、そういったものに対応してふえて参るように考えるわけでございますが、それで日本船で積み取っているものは、三十三年度には七四%、三十四年度の上期が七六%、三十五年度の見通しは六二%、こういうようなことで、輸入量がふえればふえるほど船腹の伸びがそれに対応してついて参れませんので、積み取り比率は悪くなる、こういうようなことでございます。
その次の御要望の資料は、各国別の賠償船舶の認証状況であります。それはフィリピンが最初に出ておりますが、合計貨物船が十四隻、九万四千九百トン、旅客船一隻、二千二百トン——これは大統領のヨットというようなことで世上話題になりましたものであります。漁船が二十九隻、二千九百三十五トン、その他冷凍運搬船、タグ・ボート、難船というようなことになっております。そこで問題になりますのは、貨物船のお話のように承りましたので、貨物船の一覧表もそこにつけてございます。そこで、大体航海速力というところをごらんいただきますというと、十一ノット、十二ノット、十四ノットから十六ノット半、十七ノット二というところまでの間が航海速力でございます。高速優秀船の経済協力で輸出いたしました十八ノット半というものは賠償には入っていないのでありまして、主としてこれは不定期船でございますので、就航区域も一定いたしておりませんが、十六ノット半とか十七ノットというようなものは対米貿易、フィリピンとアメリカとの貿易に使われているように考えられるのでございます。そのほかのものは大体不定期船で、就航区域が一定していないのでございますが、アメリカ航路に就航している不定期船が多いというように考えて差しつかえないと思うのでございます。
それから次のNDC向貨物船一覧表でございますが、これが要するに昨年の年初問題になりました十二隻の高速定期船でございます。大体速力は十八ノット半、十八ノット二五となっておりますが、これが現在わが国で計画造船として作られております最も優秀なものと同様の船でございます。これがこの秋から、この十二隻の高速船が一挙にニューヨーク航路に投入されるということになりますというと、ただでさえニューヨーク航路の今の不安定な現象を示しておりますさなかに、さらに拍車をかげるようなことになりやしないかと憂慮しておるようなわけでございます。
それから次のものはインドネシや向賠償船舶の認証状況、これは貨物船がトン数としては非常に少ないわけであります。小型のものが多いのであります。
それからビルマの賠償の船であります。貨客船と漁船、雑船ということでございます。
それから最後に、利子補給によりまして、過去において業績が上ったときに国家に返納をした実績を出せという御要求でございましたので、これで返納いたしました額、返納いたしました月日をそこにしるしてある資料をごらんいただけばいいかと思うのでありますが、合計いたしますというと、返納額の合計は二枚目の一番最後の返納額計というところで三億七千六百七十九万七千円ということになっておるのであります。十六社で、十二条、十三条の現行法の規定によりまして、昨日お答え申し上げましたように、十二条は一定の利益率、現在は政令で一割ということにいたしておりますが、この一割の利益率、配当はそれより下回るわけでありますが、一割の利益率をあげました場合は、その期の利子補給は返納させる。一割五分以上になりました場合には、その期の利子補給はもちろんでありますが、過去にさかのぼって返納させるということでありまして、十二条と十三条の返納額はそういうことで、合計いたしますと約三億七千六百万円ということになっておる次第でございます。
以上が資料の説明でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/4
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005・古谷善亮
○専門員(古谷善亮君) 最後の表でございますが、経済再建懇談会に対する献金でございまして、これは自治庁について調べました数字を印刷いたしましたのでございます。それで、船主協会と造船工業会の一括したものをここに表わしましたので、時間の関係で内容のこまかい点は、なお時間を要しますので、この程度で一つ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/5
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006・相澤重明
○相澤重明君 昨日の資料要求について、今資料の御説明をいただいたわけであります。非常によくできておると思います。そこでお尋ねをしておきたいのは、今回のこの法律に基づいて利子補給をするものは、三十二年度から建造されたものにもさかのぼって支給をするということでありますが、そこで暦年度、三十二年度に建造した総額は幾らでありますか、三十二年度、これを一つお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/6
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007・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 三十二年度、いわゆる十三次の計画造船の利子補給の対象にいたしておりまする隻数、トン数は三十八隻、三十八万七千六百八十一トンでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/7
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008・相澤重明
○相澤重明君 それで私の御質問しているのは、その隻数、トン数に対する単価、総額は幾らか、建造費用。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/8
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009・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 三十二年度に建造いたしました中で、中型のいわゆる二千トン以上四千五百トン未満の中型船が入っておりますから、それを入れますというと四十六隻、四十一万四千六百七十五トンでありまして、これの契約船価は六百三十二億五千五百四十二万円であります。一総トン当たりの契約船価は十五万二千五百四十円、こういうようなことになっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/9
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010・相澤重明
○相澤重明君 この中型の二千から四千五百のトン数を除いたのは幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/10
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011・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 八隻の二万六千六百トンでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/11
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012・相澤重明
○相澤重明君 次に三十三年、十四次、今のように御説明いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/12
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013・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 十四次船は、二十五隻の二十五万七千二百三十トンでございまして、契約船価は二百七十一億一千百十二万円になっております。船価が非常に下って参りまして、一総トン当たりの契約船価は十万五千四百円になっております。
ついでに、三十四年度の十五次船についてお答えいたしますと、十九隻の十八万二百八十五トン。契約船価は百九十八億九千百三十一万九千円。一総トン当たりの契約船価は十一万三百三十円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/13
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014・相澤重明
○相澤重明君 この十四次、十五次の中には、中型船は何隻含まれておりますか、年次別に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/14
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015・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 十四次船におきます中型船は六隻、一万八千二百十トンであります。十五次船は、三十四年度は二隻、八千トンであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/15
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016・相澤重明
○相澤重明君 そこで三十二年度から三十四年度、いわゆる十五次船までの今のトン数が出たわけでありますが、そうしますと、これに要する利子補給は幾らぐらいになって計算されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/16
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017・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 十三次、十四次、十五次別に申し上げますというと、これに対しまする利子補給金額の、三十五年度の予算に計上いたしておりますものは九億五千万円のものでございますが、十三次につきましては四億三千八百五十万円、十四次は一億八百二十六万六千円、十五次は六千六百一万一千円ということになっておりまして、市中の九分四厘九毛を七分五厘に下げる、その差額を計上しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/17
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018・相澤重明
○相澤重明君 そういたしますと、今の御説明ですと、約六億がこの十三次から十五次までの差額利子補給、こういうふうになると思うのです。そうしてこの三十五年度のいわゆる十六次造船に対するものが約三億五千万、こういう計算になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/18
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019・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) それはそういうことではないのでございまして、既契約の分が十次、十一次、十二次がございまして、それが三億三千百四十五万三千円でございます。これは御承知のように、一度契約をいたしまして、スエズ・ブームが現出いたしました際に利子補給を停止したわけでありまして、形は金融機関からの辞退というような形をとっておりますけれども、実際はこういう好況に恵まれたのだからといっても、むしろ政府からの強い要請があったのが真相であります。利子補給契約をその際に停止をいたしたのでありますが、これが従来より既得権の侵害だとか何とか、いろいろ問題があったわけでありまして、そこで今度復活いたします際に、それの残りがあるわけでありますが、それは今までぶち切ったものを遡及してやるわけじございませんで、残っておるものだけ、一度契約して残っておるものだけを計上いたしておりまして、これがもとの契約通りの条件に復活しなければならぬ。道義的責任というふうに大蔵大臣も言っておられますが、そういうものが、今後の分だけについて計上いたしましたものが三億三千百四十五万三千円でございます。十六次はごく金額的にはわずかでありまして、一千四万円であります。約一千万円ということであります。そこで合計いたしますというと九億五千四百二十七万円、こう予算に計上いたしました額に相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/19
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020・相澤重明
○相澤重明君 そういたしますと、ここでやはり私どもが疑問に思うのは、道義的責任で、十次、十一次、十二次のいわゆる計画造船に対する既契約、残っておったものに対する利子補給、こういうのが三億三千百四十五万何がしということになりますと、スエズ動乱の際に景気がよかった、こういうことで実は減価償却に回して、そうしてこの当時の海運界を自主的に再建をしようとした意思と、それでもなおかつできなかったいわゆる既契約を、できるだけ借金をしないで、金ができたら作ろう、こういうことでやっておったものとの差が私はここに出てくるんじゃないか、こういう点について運輸省としてはどういうふうに考えておったのか。今の大蔵大臣の言う道義的責任というだけでは、この法律適用の問題として、非常にあとに禍根が残るのではないか、私はこう思うのですが、担当者としての海運局長はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/20
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021・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) その際に、十次、十一次、十二次につきましては、利子補給契約を先ほど申し上げましたようにいたしておったわけでありますが、それを停止いたしまして、その後不況になれば復活するんだというような覚書の交換をしてあったわけであります。そこで、今まで停止しておった期間の分についてまで利子補給をすることをいたしておりません。今後の、残っている部分だけは契約が存続いたしておりますので、また不況になれば復活するんだという運用をいたしておりましたために、これを単に復活するわけでありますが、これも先ほど申し上げましたような、トン数としても相当多い、十三次、十四次、十五次あるいは十次から十二次のものが現在、昨日も申し上げましたように、ニューヨーク航路あるいは欧州航路というような、きわめて国際競争の激しい定期航路に従事しております優秀商船隊の中核をなしているものでありますから、国際競争力の上から見ても、あるいは企業基盤の強化の上から見ても、これに適用いたしまして、私どもの所期いたしております国際競争力を強化して参りたい。こういうふうに考えているわけでありまして、ブーム時代に減価償却その他についても相当の努力をいたしております。また、特別償却等についても、十分税法上認められる限度になるまで相当の努力をしたのでありますが、当時輸入量も増大いたしておりましたし、運賃が今の三倍もしておった時期でありますので、国際収支の上から見ても、なお船舶はその当時増強して参らなければならぬ、そういうような状況であったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/21
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022・相澤重明
○相澤重明君 今の御説明によると、不況になった際には、この利子補給は復活をするという覚書を交換をしておるということでありますが、それは何年何月何日、それから、だれとだれの名前になっているのか、内容はどうか、それを一つ御発表をいただきたい。
〔委員長退席、理事天埜良吉君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/22
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023・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 正確に申し上げますというと、昭和三十二年でありますが、月日は後ほど調べまして御報告申し上げますが、正確に申し上げますというと、その際に、運輸大臣と利子補給を受けます金融機関との間の覚書であります。その覚書を大蔵大臣に協議をいたしておるのでありまして、三者ともそういうような趣旨で運用をしておったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/23
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024・相澤重明
○相澤重明君 これは当時の覚書を至急午後の会議の際にわかるように一つ配付をしてもらいたいと思うのですが、まず第一にここに問題になるのは、国会においてこの覚書交換というものが、法律的に認められておるかどうかということが、私はやはり相当問題だと思う。三十一年、三十二年、当時の国会の状態を振り返ってみますと、これは国会の予算審議の際に非常に問題になったことである。二十八年の造船汚職の問題について、とにかく国民の多くの疑惑を持っておるものについて、利子補給はすべきでない、こういうことを国会においては盛んに追及され、私どもも決算委員会の中でも、いわゆる利子補給の問題については強い批判を行なったことを思い出すわけであります。そこで、当時そういうものが国会に、閣議了解なら閣議了解として、国会に提案をされて、そうして予算の審議の中でこれが行なわれておるということであれば、私は了承するのでありますが、当時の私どもが決算をいたした中においてはそういうことは明らかにされておらない。また、予算審議の際にもそういう点については明らかになっておらなかったと私は記憶をしておる。従って、これは私の記憶が誤りであればいけないのでありますから、当時の予算議事録、それから決算審議録、これをあわせて私は御提示をいただきたい。それでないと審議が進まないわけです。これは国会に対する予算並びに決算のやはり重要な問題点になるわけでありますから、運輸大臣と大蔵大臣が協議をして、そちして金融機関に証文を入れたということであれば、その証文は当然国の財政支出に関する問題であります。従ってこれは当時の会議録を添えて一つ私どもに納得のいくように御説明をいただきたいと思う。この点、委員長から一つお諮りをいただきたいと思うのです。小酒井委員、今の私の言っているの聞いておいて下さい。それをやってもらわぬと、これは審議が進みませんよ、法律の問題だから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/24
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025・天埜良吉
○理事(天埜良吉君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/25
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026・天埜良吉
○理事(天埜良吉君) それでは速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/26
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027・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) ただいまの答弁は正しくありませんので訂正させていただきたいと思います。当時運輸大臣と市中金融機関との間に交換いたしました覚書は、辞退をするということでありまして、復活を不況になればするというようなことをうたってある覚書ではございません。この点訂正をいたします。その内容は、市況が堅調を持続し、約定利息を支払える間は辞退をし、利子補給をしない、こういうことでありまして、国会の予算並びに法案の審議を無視するような趣旨のものは盛り込んでおらないということを明らかにしておきたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/27
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028・相澤重明
○相澤重明君 ただいまの答弁でけっこうです。そこで、午後は今の局長の言う通りに関係の資料を御提出をいただいて皆さんに理解をしていただくようにしていただきたい。
そこで私は、いわゆる今次の利子補給の総額九億五千万円の内容についてお尋ねをして明確になったのでありますが、今後の計画造船、いわゆるこの十六次以降の、先ほども御説明をいただきました、たとえば四十二年を一応目標にした計画造船あるいは輸送状況というものを運輸省でも持っているはずであります。そこで、これらに対するところの利子補給は、計算をするとどのくらいになるのか、これはきわめて数学的に出ると思うのでありますから、そこで一つ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/28
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029・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 四十二年度までの建造計画の年度別計画というものがございませんのでありますが、今まで政府で決定をいたしておりますものにつきましては、御承知の通り、運輸省は昭和三十七年度末までに六百九十万トンの保有を目標に長期経済計画はしておるのであります。従いまして、毎年五十万トンずつ作っていかなければならないということでございますが、ことしの三十五年度の建造計画にいたしましても、十七万五千トンというようなことで、それを相当下回っております。一部自己建造を含めましても、なかなか五十万トンというところまでは達成しにくいかと存ずるのでございますが、利子補給をいたしまする対象は、御承知の通り、いわゆる計画造船に考えられているものだげでございます。その他のものについては利子補給をいたさないのでありますから、この毎年の建造量によって、相当こまかい利子補給金額の算定をしませんと、今直ちに何億というようなお答えはちょっとむずかしいのじゃないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/29
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030・相澤重明
○相澤重明君 これは少なくとも運輸省は、たとえば先ほども御説明をいただきました中に、鉱石、鉄鉱石等の専用船の場合でも、すでに計画はあるわけなんです。で、これに対してもどのくらいの費用が必要であるか、業界に対してはどういうふうに行政指導をするかということも、当然計画の中にあるわけなんです。それがたとえば四十二年度には専用船を十六隻ふやしていきたい、そしてその航路というものをどの方面に集合させるかということも持っているわけです。従って一般の三国間輸送にせよ、あるいはアメリカ航路にせよ、こういう問題については計画ができておるわけでありますから、そのことを計算をするのはそんなにむずかしい私は問題ではない。ただ、これが不況から脱却をできた場合にどうなるか、あるいは景気が特にはなはだしく悪くなったと、こういうことは、きのうも私申し上げたように、だれでもそう簡単に予測のできるものではない。しかし一応の計画造船を進めていき、日本の商船隊をふやす、そうして国際競争に負けないようにしていく、こういうことは、これはもう運輸省が当然やるべきことであって、その見通しを持たなくて、計画造船が必ずできるわけのものでもない。そういう意味で私は申し上げておるので、これはやはり午後でけっこうですから、そうむずかしい問題でございませんから、概略を一つ、四十二年度までのを作って、そうしてどれくらいの国家資金が必要であるかということを一つ御提示をいただきたいと思うのです。それは資料として御説明いただきたいのですが……。
いま一つお尋ねをしておかなければならぬのは、海運企業の合理化と企業間の協調態勢の確立について、これは永野運輸大臣のときに各株式会社の社長に呼びかけられたことであるし、事務次官名をもって具体化の通達を出されておるわけであります。そこで昨日、個々の企業の合理化というものはどの程度行なわれておるのか、こういうことについて先ほどの御説明をいただいたわけでありますが、そこで私は、運輸省のこの調査資料に基づく点については確かにわかりました。わかりましたが、この先ほど御説明をいただいた会社の中で、同系統、つまり同じ船会社が陸運関係あるいは航空関係、こういうものを経営をしておるものを一つあげていただきたいと思うのです。それでその会社はどういうような状態になっておるかということを一つ御説明を私はいただきたいと思う。そうでないと、せっかくここにこれだけのこまかい資料を調べていただいて御提示をいただいたけれども、私は昨日も申し上げた、同系統のいわゆる資本構成というものから考えていくと、配当ができる、できないという論拠というものは、きわめて算定はむずかしいであろう、こういう点を指摘をしているわけなんです。そこの、私の指摘していることが納得できぬように、せっかくこまかい資料をちょうだいしたわけでありますから、この会社の同系統のものを一つ、陸運あるいは航空等について経営をしておるものを一つおわかりになったならば御説明をいただきたいと思う。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/30
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031・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 大体御承知のように、海運企業は船舶の固定資産に非常に膨大な資金が要るわけでございますから、陸運とか航空輸送事業というものを兼営しておるようなところはほとんどありません。陸運事業が他のいろいろな関連事業を経営しておられる。私鉄が、これは別会社でありましょうが、デパートを経営するとか、ああいう似たような傾向はございませんので、従いまして、海運プロパーの個有の仕事に専念をしても、なお、なかなか国際競争に耐えていけないということでありますので、航空輸送事業などのごときはもちろんやっておりませんが、陸運事業におきましても、それは内航のことに幾分、栗林汽船のようなものが貨車の積みおろしの免許を得てやっておるようなことはありますけれども、国際海運に専念をいたしておるようなものについては、陸運事業を経営したり、航空輸送事業を経営したりしておるものはあまりないのであります。ほとんどないと言っていいと思います。ただ、航空の貨物運送で、この間問題になりましたが、これは代理店業務をやる、荷物を集めて、それのコミッションをもらうというような程度のことは、あるいは自分たちの荷物がどんどん航空輸送に移っていくんだからというようなことは、今後起こってくるんじゃないかと思いますが、そういう直結した荷物がどんどん航空輸送に奪われはしないかという事態ならば別でございますが、現在の段階では、今申し上げましたように、陸運事業や航空輸送事業を兼営しておるものはありません。
〔理事天埜良吉君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/31
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032・相澤重明
○相澤重明君 私がなぜそういう点を質問しておるかというと、前回の委員会でも私が申し上げたように、たとえばハッチぶた開閉の問題についてもやはり原因が出てくるわけです。これは船主あるいは港運業者並びに労働者と、こういう関係が出てくるわけです。それで実は船主に対する利子補給の問題を出して、そして国際競争に勝ってもらおうと思う、外貨獲得を大いにやってもらおうと思う。しかしそれにはやはり働く者にも正当な労働に対するところの報酬を支払わなければならぬ。そうしてまた、しかも船員中央労働委員会の考え方や、あるいはこの前申し上げたように、政令で明らかにされておらない部内についても、早急に運輸省としては監督官庁としてのやはり行政指導を明らかにすべきである。また扱い業務というものも明らかにしていかなければならぬ、こういうような問題が生まれてくる。しかも他系統の、実は国際競争には航空事業というものもこれからは欠くととのできない問題が出ておるわけです。だから海運必ずしも前進しておるから、それだけでいいというわけにはいかないわけです。こういうところで、実は積み荷の問題で、同じ会社ですでに手をつけておるところがあると私は思っておるのです。それを運輸省が全然やっておりませんということだけのごあいさつでは、ちょっと実情を把握していないじゃないかという心配をしたから、もしおわかりになっておったならば、一つどういうことがあったかと、先ほどの積荷の問題についても若干トラブルが起きたということも御承知のはずですから、そういう点について一つなお後刻お調べになって、これは実は外国船と日本船の競争というものは、いかに熾烈なものであるかということを頭に置いておかないと、そのことが出てこないのですよ。そういう意味で私は御質問申し上げておるわけです。その点をおわかりになったならば、後刻一つ御答弁をいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/32
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033・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) ただいま申し上げましたように、陸運事業あるいは航空輸送事業、といったようなものを兼営しておるところはございません。また私どもの方として実地監査を各会社についてやっておりますから、兼業の部門の事業の規模といったようなものも、それ以外において少々はありますが、そういう実態も私ども把握いたしておるつもりでおります。ただ、ただいま御指摘のように、国際競争の熾烈なとき、先ほどもちょっと触れましたが、航空貨物輸送といったようなものとも関連いたしまして、相当やはり考えていかなきゃならぬ問題があると存じます。
また、ハッチの問題につきましても、ただいまの御指摘の通り、また過般来この委員会でしばしば相澤先生の御指摘の通りの考え方は、正当な労働に対する対価というものは、私どもはやはり支払うべきである、五十年間払っていなかったからといって、今後とも支払わないとかあるいは不当に料金等について負けろ、こういうようなことはさせる意思はないのでありまして、まあいろいろ御議論もございましょうが、過日運輸大臣が勧告いたしました趣旨も、従来の伝統を破って正当な労働に対する対価は支払わなきゃならぬ、こういうことで、バースタームも船主負担であるべきものは支払え、こういうことで進んでおります。なお政令等についての船舶の設備の問題でありますが、これは過日船舶局長から御答弁申し上げた通りでありまして、十分その御趣旨を体して行政の上に措置していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/33
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034・相澤重明
○相澤重明君 午前中の質問を終りたいと思うのですが、いま一つだけ運輸省の態度をお尋ねしておきたいと思うのですが、このニューヨーク航路のいわゆる運賃減願の問題を契機に、実は非常に業界自体も苦悩をしておると思う。また私ども日本の収入というものも減っておるわけですね。この前松浦委員から戦前と戦後の収入の対比並びになぜ戦後減ったか、こういう御質問もあったように、現実には非常に大きな問題を投げかけておるわけです。そこで、盟外船に対しては運輸省はどういう考え方を持っておるか、これは私ども日本の労働階級が非常に重要な今問題に当面をしておるわけです。従って、そういう輸送業界等を混乱させる大きなファクターというものをどうして排除するか、これは運輸省の行政指導の上にとって重要な私は役割を果たすものだ、こう思いますので、運輸省の一つの見解をお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/34
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035・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 私どもの盟外船に対しまする態度は、どちらかといいますと非常に同盟中心主義で航路の安定をはかって参りたい、こういうふうに考えておるのでございまして、対外的にいろいろ発言が相当微妙な影響を持つと思いますが、少なくとも航路の安定ということから考えますと、過去長い間にわたって、国際慣行として確立されて参りました、国際的なカルテルという海運同盟というものを中心に航路の安定ははかっていくべきだ、こう思うのでありまして、アウトサイダーがいつでもそれは不公正な競争であるときめつけられない場合もございますけれども、われわれの海運政策の中心は、同盟中心主義で定期航路については進めていきたいというふうに考えておるのでございます。従いまして、一昨年海上運送法の改正で国会にお願いをいたしました改正法案の趣旨も、運輸大臣に、航路の紛争が起こるおそれがある場合には、事態の調整権、勧告権を付与していただいたのもそういう趣旨が背後にあるわけでありまして、アウトサイダーは不公正な競争だと初めからきめつける趣旨ではありませんが、海運政策の基調は定期航路について同盟中心主義で参りたい、こういうふうにお答えをした方がいいかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/35
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036・相澤重明
○相澤重明君 私もそれでやや満足の意を表するわけですが、そこで盟外船のいわゆる航路撹乱問題が起きた場合に、日本の労働階級がもしその荷扱いについて拒否をすると、こういうような問題が起きた場合にはどういたしますか。あなたの方の行政指導としてはどういうふうに打開をするお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/36
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037・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) この問題につきましては、政府は関与しないという態度で参りたいと思うのでありまして、荷役拒否というものがいろいろな理由で行なわれると思うのでありますが、航路の安定が阻害されれば、両端の港のチャージよりも低い、太平洋を航行してもその運賃が、両端の荷役賃よりも低いというような、過去において、昭和二十八年当時起こりましたような混乱がもし起こるとするならば、それは港で働く人たちの労働条件の問題になってくるわけでありましょうから、労働問題として起こって参ったよらなケースについては、政府がそれに直接関与しないということで参りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/37
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038・相澤重明
○相澤重明君 きわめて重要な発言になって参りました。私は今からその警告を発しておきたいと思う。もしこの国内における重要港湾で、これらの盟外船に対する態度を明らかにしないと、日本の労働階級は防衛闘争に入りますよ。その場合に運輸省が、いや、あれは労働者のことだから、こういう形だけで、はたしてこの港の秩序あるいは国際競争にどう出ていくかということが、私は示達できないようでは非常に問題点が残るだろうと、こう思うのです。今から私は警告を発しておきますから、そういう事態が起こらぬように、また起きた場合には少なくともこの関係省庁とも協議をすみやかにして、そうしてそういう事態の円満な解決に進むようにしなきゃならぬ。そのためにはこの労働階級の防衛闘争をやはり支援する形が、私は日本の立場としては当然だと思う。日本はやはり同盟を中心にこの正常な国際競争をやろうとしているのでありますから、その正常な競争を乱すものがあれば、これはやはり労働階級は防衛をしなきゃならぬ。こういうことは当然な私は形だと思う。そういうことで、今から予測されることでありますから一つその点についての政府の正しい把握と、それからそういう事態を惹起しないような措置をとってもらいたい。こういうように思うのです。それを一つ私は今から申し上げておきますが。
いま一つは本年五月以降についに解決を延ばされてしまった船主の負担の問題でありますが、少なくとも外国の船主は二千三百円のハッチぶた開閉についての手数料を出しておるにもかかわらず、日本は運輸省と船主との話し合いの中で、ついに五月まで延ばしてしまったということは、港運業者の不満、労働者の不満、こういうものをあわせて考えた場合、早急に私は態度をやはりきめべきだと思う。何も五月がこなければこれは解決できないというようなことであっては私はいかぬと思う。こういうやはりハッチぶた開閉の問題についても船主側の持つ負担、またこれから利子補給をした後のいわゆる海運界の自主態勢、こういうものとの関連はもちろんありますが、経理状況の問題ですから、まず私は、少なくともこの航運業者や労働者が主張しておる正しさというものを船主も認めるべきである。こういうふうに理解をするのでありますが、この点も運輸省がただ漫然と五月まで日を延ばしていくのではなくて、早目に解決をすべきであると思うが、海運局長の見解を一つ尋ねておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/38
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039・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 五月末日までに延ばしましたのは、船主の負担について延ばしておるのではないのでございまして、船主の負担分につきましては遡及して二月一日から払う、こういうことにしておるのであります。荷主負担の分については、船主が協力して港運業者とともに事情を説明して、荷主からその分を払ってもらうものが五月三十一日までということになっておるわけでありまして、その点で船主の責任に属するものについては、二月一日にさかのぼって支払うことを確約いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/39
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040・小酒井義男
○小酒井義男君 休憩後にまたいろいろお尋ねしたいと思うんですが、相澤委員の質問に関連して一点だけお尋ねしたいのですが、造船の建造の利子補給をするわけですね。しかしその会社が利益を上げるか上げぬかということは、それ以外の船舶を作った会社の経営のプールの中において会社の成績が上がるわけですね。そういうことは一体利子補給をする上にかえってプラスになるかマイナスになるのか。このほかに、船舶が黒字を出して経営にプラスになっておるのか。この建造の利子補給の対象になった船舶だけでやっておった方が、あるいは会社の経理というものがいいのかどうか。そういう点はどうなんでしょう。検討されたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/40
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041・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) まことにポイントをつかれた御質問で、むずかしい問題だと思うのでございますが、大体におきまして、利子補給対象会社の保有いたしております船舶は、大部分計画造船で作られておるというようなことでございまするので、その船だけをとって見て、ちょうど航路補助をやるような形で見た場合と、そうでない場合とがプラスになるかマイナスになるかということでございますが、そのときの船価なり配船状況なり、定期航路の状況なり、いろいろ要素がまざって参りますが、大体において利子補給対象会社の保有している大部分の船舶は、計画造船で作ったものでございます。従いまして、会社全体をながめた場合は、むしろこの制度の運用でいいのではないか、というふうに今のところは考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/41
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042・小酒井義男
○小酒井義男君 私はよし悪しを言うのではなしに、現状においてどういうことになっているんだろうかということを実はお尋ねしたかったのです。きょうわからなければ、また後に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/42
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043・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/43
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044・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 速記を始めて。
それではこれで休憩いたします。
午後零時十六分休憩
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午後三時五十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/44
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045・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) ただいまより委員会を再開いたします。
午前に引き続き質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/45
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046・相澤重明
○相澤重明君 先ほどの海運局長からの答弁に基づく資料を提供していただきましたが、よくわかりました。これについては運輸大臣並びに大蔵大臣の協議事項、そして運輸大臣と各金融機関との特約、こういう点が明らかになりましたので、私はまあ了解をいたしますが、しかし今後もあることでありますから、こういう法律に関して、そうしてこの一般の民間との契約をする場合の方式なんでありますが、これはやはりあくまでも政府を代表する者が取りきめを行なうべきではないか。そうしてそれに対するところの事務上の手続としては、この様式例というものは私はよくわかるのでありますが、いわゆる最高の政府を代表する各省の大臣がそういう点を明らかにしておく必要があるだろう。こういう点は今後の問題もありますから、私の希望を申し上げておきたいと思うのですが、海運局長としてはこういう点どのように理解されておるか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/46
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047・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) お尋ねの趣旨は、法律の施行にあたって、こういった契約については、運輸大臣と金融機関ということであるべきじゃないか、というような御趣旨にも拝聴したのでありますが、これは各種の契約をやりますのは、大臣官房の会計課長というものがそういった契約の担当者になっておりますので、会計法上もそういったことでやっておるわけでございます。従いまして政策の実施について、こういうことの方針につきましては、運輸大臣と大蔵大臣が協議をいたしまして、実際上の利子補給契約自身も、大臣官房会計課長がその衝にあたっておるということで、運輸省を代表して契約の当事者になっておる、こういうことでございます。従いましてその方針の問題といたしましては、運輸大臣から大蔵大臣へ協議をいたしておるような形式をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/47
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048・相澤重明
○相澤重明君 それから、この昭和三十二年三月三十日付の大蔵大臣、運輸大臣の文書の交換の問題でございますが、これについては私ども社会党としては、やはり少なくとも外航船舶建造融資利子補給、あるいは損失補償というようなものは、国民のやはり税金である、これを特に規定をしておるわけでありますから、予算、決算の中には当然こういうものを提議していただかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。今まで私もこの点について、決算委員会等を通じていろいろお尋ねをしたこともありますが、この点が明らかになっておらなかったので、今後の問題としてはやはり予算、決算に必要なものは、憲法の条章に従って、国会に提議をしていただきたい、こういうことは政府がみずから行なうべきである。こう思うのでありますが、その点について運輸省の所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/48
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049・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) ごもっと承な御意見でございますので、今後そういうことに留意いたしまして取り運びたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/49
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050・相澤重明
○相澤重明君 次にお尋ねをいたしておきたいのは、先ほど経済再建懇談会に献金等の問題がございましたが、これ以外に造船界あるいはまた船主協会、こういうところが政治献金なるものを行なったということを運輸省は聞いておるかどうか、これはいわゆる政治資金規制法の立場がありますから、自治庁に届け出たものについてはその通りだと思うのでありますが、その点について、もし知らないなら知らないでけっこうでありますが、聞いておれば聞いておったということを、お答えをいただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/50
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051・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 私の方といたしましては、そういう正式に届け出のあるものは、自治庁に連絡して聞くよりほかに方法がないのでありまして、今御質問になりましたようなものを、私どもとしては特に具体的に聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/51
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052・相澤重明
○相澤重明君 いずれあとで私どもの他の委員から、大臣にそれらについてはお尋ねをすることになっておりますので、私はその点は深く追及はいたしません。
そこで一つ今度は別な角度からお尋ねをしたいのは、前回も申し上げましたように、ニューヨーク定期航路の運賃収入というものは、日本の海運界の三分の一の収入の源であるわけであります。これは日本の外航船舶にとっては非常に重要な意義をなすものでありますから、過日運輸大臣が、この問題について、若干の運賃料金の減額をして国際競争に参加すると、こういうことを言われたのでありますが、一体それで収入はどのくらい今年度減少する見込みであるか、こういう点について、過日の通達も出されておったと思うのでありますが、そのことをあわせて御報告いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/52
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053・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 今お話のような、同盟でとりましたアウトサイダーに対する対抗策として、運賃の割引をして、同盟以外の船に四ヵ月間積まなければ、九・五%の割り戻しをするということで、盟外船対策を同盟が決定したのでございますが、これによりまして、運賃がどれだけ減収になるかということはきわめてむずかしい、見通しにつきましては非常にむずかしいのでありまして、それに対する額はどれだけかということについて、今直ちに出てこないのでございますが、今申し上げますようなことで、盟外船に四ヵ月積まなければ九・五%の割り戻しをするという個々のケースが出て参りまして、それを集計してみないと、ちょっと見通しについてはわからないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/53
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054・相澤重明
○相澤重明君 運輸省が、少なくとも割引の問題について、国際競争にとにかく落伍しないような方針を講じたのが、この盟外対策をしたのが今の問題なんです。従ってこれらの同盟に参加している日本の海運界の立場としては、やはり戦前と戦後を比較してみて、なお戦後海運界がかなり努力をしておっても、一億ドル以上の減収になっておる。しかもその上に盟外対策のために運賃の割引をしなければならぬ、こういうことになると、私は利子補給を現在船主にしても、なおかつ足りない点があるのではないか、こういう点を実は心配をしているわけなんです。そこで、その心配が当たらなければ私は幸いだと思う。しかし、もし九億五千万の利子補給をしても、なおかつ現状の国際競争の中でうまくいかぬ、こういうことになると、せっかくの運輸省が努力をしたことも水泡に帰するのではないかという点を心配をしましたので、そういう点についての見通しというものは、これは監督官庁としての特に重要な役割ではないか、こら考えておったわけでありますが、今の見通しが立たないということはまことに残念だと思うのですが、そこで、それならば今後の国際収支の中で重要な役割を持つこの航路について、南米、アメリカ、それから東南アジア、こういうものと対比して、どこに重点を置くのか、またそれはどの程度の就航をお考えになっておるのか、これも一つ、今までいろいろ検討された資料があると思いますので、この機会に御発表願っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/54
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055・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 来年度、三十五年度の国際収支の見通しを私ども立てたのでございますが、今の定期航路の実勢からいいますと、ニューヨーク航路はただいま御指摘の通り、日本の対米通商、あるいはそれの国内におきまする生産業者等の及ぼす影響から見て、非常に重大でありますし、全定期航路の運賃から眺めましても、非常な大きなウエートをこの航路について持っているわけでございます。従いまして、ニューヨーク航路の占める比重ということに、今申し上げましたような理由で非常に大きな重点をおいて、私どもは考えておるわけでございます。
その次には、非常に歴史的な伝統と航権という上からいきまして、欧州航路というものが相当そのニューヨーク航路についで重要な大きなウエートを持って参りまするし、世界一周及び中南米、中近東、アフリカこういったよらな航路についてもそれについで重要性を持っているものでございますから、私どもの定期航路に対する考え方も、そういった意味におきまして順位等についても今申し上げたようなことを考えておるわけでございます。航海数におきましても、ニューヨーク航路が現在で三十八年度の大体の配船の予定量として、貿易並びに海運の国際競争場裏におきます航権の点からいたしまして、私どもは大体ニューヨーク航路が三十八年度あたりになりますと十六航海、世界一周が三航海、欧州航路が二航海、月の航海数でございますが、中近東が一航海半、中南米、ガルフが七航海、西アフリカが三航海、豪州が五航海半、それからこれもアメリカ航路にニューヨーク航路と一体に考えられるべきものでございますが、北太平洋航路が十航海半、極東、アメリカを二航海、それから太平洋、ガルフを一航海、地中海を一航海、その他南米等の南米西岸をおのおの二航海、インド、パキスタン航路三航海、こういうような計画で船腹整備を考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/55
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056・相澤重明
○相澤重明君 今の御答弁でもはっきりするように、ニューヨーク航路を頂点として南米あるいは北米関係が、非常に日本の海運界の重要な資金稼ぎの場所だと私は思う。そこでいわゆる同盟の参加をしておるものについても、米国は自分独自の見解をもっておる。従って米国の国会においてもこの運賃等の問題は、独占禁止法の関係ともにらみ合わせて、国会に外国の船主をも召喚をする、こういうようなことも現実に行なっておるわけであります。日本はこういう中で、どういう対抗手段でこの重要拠点を今後維持していくかということは、非常に大きな命題ではないかと思うのです。そこで一番問題になるのはまず何といっても運賃だと思う。その運賃というものは今どの程度にお考えになっておるのか。現在の一トン当たりの単価、それから今後の、その今のアメリカの国会に呼ばれて、そうして今後積み取りをする場合の非常に困難な様相も考えられるので、こういう点に対する見通しを、わかったならば一つ御報告願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/56
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057・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 大体ニューヨーク航路の運賃は平均をいたしまして、これは御承知のように、雑貨の種類によっていろいろ各品目ごとに、タリフと言っております運賃率がみなあるわけでございますから、これの平均運賃が大体におきまして、少し詳しく申し上げますと、ニューヨーク揚げで昭和三十三年の六月におきましては、陶器が二十五ドル、機械が三十六ドル五十セント、綿製品が四十二ドル、おもちゃが二十八ドル五十セント。ロスアンゼルス揚げは陶器が二十ドル、機械が二十八ドル五十セント、綿製品は三十四ドル、おもちゃが二十三ドル、こういうようなことで運賃率が設定されて、昭和二十八年当時は大体これの半分以下になっておる、あるいは三分の一くらいになっておる。昭和二十八年の四月は陶器が八ドル、機械が八ドル、おもちゃが八ドルというようなことで、これが両端の荷役よりも運賃の方が安いというような事態も起こしたわけでございますが、こういったようなことによりまして、今あらゆる方策を講じて、ここ数年間ニューヨーク航路の安定を今日まで努力して、内外船主が海運同盟を中心にいたしまして努力をして参ったのでございます。従いましてこういった品目のものが、今後同盟の脱退者が出たりあるいはアウトサイダーが跳梁したりいたしますと、非常に混乱のきざしがあるというのは、こういう意味からであるわけでございます。
それから第二のお尋ねのアメリカの独禁法的色彩が濃い国情におきまして、今ワシントンの裁判所に、日本船主十一社が召喚されておるが、これに対して政府の考え方なり対策というのはどうかという御質問でございますが、これにつきましては日本ばかりでございませんで、こういう疑いがあるので調査をするということの対象になっておりますのは、世界の船会社に七十一社召喚状を発せられておるわけであります。日本船のみにとどまらないのでございますが、いずれにしましても、そういう米国内における司法権の行使は、私どもといたしまして、国情がどうあろうとその司法権の行使は否定するわけには参りませんのでありますが、ここに問題になっておりますのは、各国の内地の文書も持参の上出頭せよという召喚状が国際的に問題になっておるわけであります。ヨーロッパの数カ国及びフィリピン等におきましてもそれに対する強い拒否の態度をとっているようでございますが、私どもといたしまして、国際法の原則からいいまして、米国の司法権が日本の国内にまで及ぶということは、原則上考えられないことであり、不当であるということで、これに対する影響は実に大きいので、そういう趣旨のことを在米日本大使館から米国政府当局に、外務大臣から朝海大使に対して訓令が出て、そういう申し入れを行なっているようなわけであります。米国内におきまする裁判所に召喚をされるということ自体は、米国の司法権の行使でございますのでこれに対してとやかくは言いませんが、日本国内の文書まで持って出頭するということについての異論は申し伝えているようなわけでございます。今後の対策は実に御指摘の通りむずかしいのでありまして、アメリカの海運政策の方向というものは、欧州並びに日本を含めまして、世界の慣行と違っているような独禁法的色彩の濃い国情でありますので、この点は今後のアメリカ海運政策の転換をその他の国々において希望いたしているわけでありますから、これがかつて当委員会で御指摘になりましたような外交折衝、あるいは海運会談というような形、あるいは国連に提起すべきであるという御高見もありましたが、何らかの形でわれわれといたしましては米国の海運政策同盟の強化という、国際慣行に合う形で転換をしてもらいたいというふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/57
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058・相澤重明
○相澤重明君 そこで先ほど運賃率が述べられたわけでありますが、この第十六次造船も計画を政府がしている中で、果してこの現在のような状況でニューヨーク航路というものが安定をするかという点を、先ほど心配をして申し上げたわけでありますが、政府としてはこの地帯におけるコストをどのくらいに見ているのか。それはひいて私が御質問をしたいのは、もしこの不安定な中に輸送をいたしますと、そのしわ寄せは結局は従業員に、船員に転嫁をされるおそれがあるわけです。各国の船員の給与状況あるいは厚生施設状況というものと、日本の船員に対する待遇あるいは厚生施設の状況を見ますと、非常に私はやはり劣っていると率直に申し上げなければならぬと思うのであります。もっとやはり船員に対するところの待遇改善、あるいは厚生施設の充実ということを考えていかなければならぬ。しかし今年度の予算の中で政府が考えておるのは、約一千万の厚生施設の費用だと思うのですが、各国から比較した場合に非常に少ないわけでございます。そういうことと比較をすると、不安定の上にますます船員の待遇は劣悪下におかれるのではないかと、こういう点を心配するのでありますが、この点は現状からやはり各国にかなり追いつく給与状況、あるいは厚生施設関係というものを今後作っていく自信の上に、この運賃率というものをお考えになっているかどうか、こういう点を一つおわかりになっておったならば御説明いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/58
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059・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) 船員の労働条件の問題につきましては、私どももなお改善をしなければならないし、改善の余地がある問題であると思うのでございますが、これが私ども運賃をどのように設定すべきであるか、それを基本にいたしまして運賃をきめていくというような方法は、国際海運界できめておりますような運賃に直接関連を持たせて、原価計算をしてこうだというようなことできまっておるのではないのでございます。従いまして国際マーケットにおいてきめるべき運賃のもとにおいて、企業者と労働者である船員との間でどういうような労働条件で労働協約を通してきめていくかという問題になるのでございまして、これをスタートとして運賃をきめていくというような形になっておらないのであります。従いまして企業の業績の中で労働条件というものを考えていく、ということにならざるを得ないのであります。ただこの点では各国の船員の給与水準というようなもの等から考えまして、なお改善の余地があるというふうに考えられますが、一方におきまして乗組員と予備員とに分けて、やはり考える必要があるのでございまして、雇用形態なりあるいは予備員制度というようなものもあわせて考えて参らなければなりませんので、戦前においてチープ・レーバーというようなことで日本海運が伸びていったというような時代は過ぎ去って、現在においては相当上回った、国際労働協約のもとにおいて船員法もできておりまするし、各国にないような電波法のもとで通信士を三人乗せておる、ドクターについても国際条約、あるいは各国のものよりも上回っておるというようなことから考えまして、やはり総合的にその点は考えて参らなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/59
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060・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/60
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061・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 速記を始めて。
それでは五十分まで休憩いたします。
午後四時二十九分休憩
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午後四時五十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/61
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062・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) ただいまより委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/62
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063・中村順造
○中村順造君 大臣がお見えになったようですから、大臣にお尋ねしますが、この法律案が本委員会にかかりまして、いろいろ大臣からも、質疑の過程でお話がございましたが、その中で、大臣の言葉では、企業の体質改善、こういうことが言われております。それから言葉は違いますけれども、海運局長の方では、企業みずからの努力だ、あるいは企業者の責任等を考慮して、企業内容については厳重な規制をする、こういう表現が使われておるわけです。
この点につきまして、まず企業の体質改善、あるいは企業みずからの努力をさして、厳重な規制をする、こういうことでございましたので、もう少し具体的に、どういうことかということにつきましてお尋ねをしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/63
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064・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) 海運企業の合理化という点をやはり相当に強く推進しなければ、利子補給というような問題を持ち出す以上は、少なくとも船会社の方においても、その点について、相当の企業努力をする必要がある。
そこで、一番大事なことは、やはり経費の節減をはかっていかなければならない、こういうことで、三十三年に運輸大臣から指令を出しまして、その結果、三十四年度の上半期の実績を見ますると、運航費及び船費につきましては、当初の計画の五%を上回りまして、それぞれ八・九%、それから一三・四%となっております。たとえば船費については一三・四%だけ節約し、一般管理費におきましても、予定の一〇%を上回りまして一一・九%の実績をあげておって、その他、人件費におきましても、役員報酬につきましても一二・一%とか、船員費におきましても一七・一%、陸上のものにつきましても七・二%というような節減が行なわれたのであります。このような経費の節減の努力の結果約八十億円の経費及び支出の減少が行なわれたのでありますが、その点について、十分に業界としても政府の趣旨を体しまして努力を続けておるような次第であります。
なお、船体あるいは主機換装等によって体質を改善するというようなことにつきましても、極力努力をさせておるような次第でありまするけれども、何しろしばしば申し上げましたように、相手が国際競争という建前に立ち、その国際競争をなすべき相手方の各国がとっておりまする保護政策等からみますると、日本側におきましては、どうしてもこれと対抗せしめて、しこうして、貿易外の収入を上げ、日本の経済の発展の上に寄与するという意味からいって、やはりこれを強化して、対抗的にする必要がある。こういう趣旨で、実は利子補給の問題を今回折衝して、ここへ到達した次第であります。
私たちは、これで十分とは思っておりませんが、一面に中村委員がおっしゃいますように、やはり経営の合理化という点は厳粛に考える必要があると、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/64
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065・中村順造
○中村順造君 私も、今大臣がお話しになりましたように、このわが国の海運が、国際競争下におきまして、しかも、それが非常に国策上重要であるということは、十分認識をいたしております。それからまあ、いろいろ今日までの質疑の過程におきましてわが国海運は、言われておる五千億の戦時補償を打ち切られる、あるいは三千億の赤字を持っておる、こういうことも、いろいろ質疑の過程におきまして、私もよくわかっておるわけです。
ただ昨日も、ちょっと話に出ましたけれども、との九億四千万という赤字でなしに利子補給の問題でありますが、これは、やはり国民の血税からこのことがなされるということであります。従いまして、私どもは国民の前に、なぜ国民の血税でまかなわなければならんかということも十分認識をさせなければならんと思っておりますが、その意味から、一点だけ非常に私どもが不愉快と申しますか、不潔な感じのする事項があるわけであります。この意味におきまして、昨日資料を求めたわけでありますが、言われておる政治献金の問題であります。この資料を昨日お願いをいたしましたところ、経済再建懇談会に対する献金として、本日資料が出されております。これは、どちらの方で作られたか知りませんけれども、これ以外に、献金はあるかないかということを、との資料を調達された側から、一つ御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/65
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066・古谷善亮
○専門員(古谷善亮君) 政治献金の問題につきましては、昨日事務局の方で資料を取りそろえろというお言葉でありましたので、とりあえず私のところで、自治庁の調査によりまして、資料を作成いたした次第であります。
従いまして、私どもの仕事といたしましては、わきに、どういう政治献金があるかということをもちろん存じませんし、知らないのが、これは当然でございまして、役所の筋を通して調べるよりほか手がございませんものですから、ごらんに入れました資料以外のものは、ちょっとお見せする方法がなかった次第でありますから、御了承をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/66
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067・中村順造
○中村順造君 私の聞き及ぶところでは、これ以外にも、若干の政治献金がなされておるということになっておる。これはほとんど、やはり国会で答弁された中から求めた資料でありまして間違いないと思いますが、私が、なぜこういうことを申し上げるかといいますと、やはりこの膨大な政治献金、これは全体の数から見まするならば、わずかということも言われるかもしれませんけれども、少なくとも利子補給をする九億四千万の金額から見ますならば、この政治献金された金額は、決して少ない金額とは言われないわけです。まあ、私の杞憂かもしれませんけれども、従来あった例から申しますと、やはり造船疑獄だとか、あるいは指揮権発動だとか、非常に国民の側からいたしましても不愉快な、この件につきましては印象を持っておるわけでありますが、先ほど大臣が説明されましたように、なるほど経費の節減に努力をさした、それから企業内容についても、厳重な規制をさしておる、こういうお話でございましたけれども、その内容は、やはり人件費を節減するとか、あるいは船員費を節減するとか、こういうことで、これもまあ必要ならば、全体から見まするならば、決して必要のない措置とは言えませんけれども、それ以外に、もう少し筋を通したものの考え方をいたしますならば、やはりその金相の多寡によらず、政治献金によって、ややもすればこれは合法的でありますけれども、利権につながり、しかもこれが利子補給という国民の血税でまかなうという姿にかえることがどうかということに、問題があると思う。大臣一つ、この際この企業の内容について、十分検討させ、そして合理的にさせると、こういうことでありますけれども、私は、役員費だとかあるいは船員費、こういうことでなくして、もっと筋の通った話としては、政治献金について多少の、私は今日まで関心があってもよかったのではないかという感じがいたしますが、この点につきまして、お考えを聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/67
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068・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) 中村委員のおっしゃしましたことは、もっともでありまして、かような、少なくとも利子補給を国民に求めるような会社にして、政治献金を一方においてやっておる。三十年、三十一年、三十二年、三十三年というようなふうに、表も出ておりますが、その他にも、政治献金があったということは、衆議院の予算委員会等におきましても、私ども、これを知った次第でありまして、従って会社に対しましても、こういう問題に対しましては、十分に自己の立場を考えて、自粛自戒するように、その後において、警告をしておるのでありまして、今後におきましては、今おっしゃいましたような趣旨に沿いまして、また当然の、これは私は運輸大臣としての責任でもありますので、こういう点は、十分に会社に処置させたいと、こういうように考える次第であります。
〔委員長退席、理事江藤智君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/68
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069・中村順造
○中村順造君 それでは、最後にもう一点だけお伺いいたしますが、私は、やはりこういう制度に問題があろうかと思います。どうしてもこの目的を達するためには、合法的とは言いながら、こういう制度がある限りにおきましては、これは悪循環の形として、今後も、私はないという保障はできないと思います。
従いまして、私は今日、日本のこの、先ほど申しましたように、海運業界における非常に重大な意義を持っておるという認識の上に立ち、さらに関連をいたしまして日本のこの造船能力と申しますか造船技術、これらのものも、世界のいわゆる第一位の立場にある。こういうようなことも率直に言われておるし、私も、またそのことは認められると思います。
こういう情勢の中で、昨日相澤委員からもお話がございましたが、やはりこういう制度でなく、ほんとうに九億四千万円という微々たる、こういう利子補給という形でなく、全体的に、一つ日本の海運業界を考えた場合に、やはりそれほど重要なという前提に立ちまして、政府の強力な施策、まあ公団という表現もなされておりますが、こういう考え方が、将来とも持たれないのかどうか。この点だけを一点お尋ねをいたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/69
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070・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) お尋ねの件、ごもっともでありまして、日本の海運界もさりながら、造船界等におきましても、非常に前途を見ますれば、憂うべき段階にあるのでありまして、かつて三百万トンから二百四十万トン持っておったのが、来年、再来年になりますと、七十万トンくらいに船の受注も減るという状態で、船台も非常に遊ぶ、しこうして、それから関連産業等、推定いたしましても二百万近くの人間が、失業と申しますか、非常に重大な段階に達するというような事態でありますので、先般私は、造船界の人々を寄ってもらいまして、今後日本の造船というものは、一体経営を維持していくのに、どうあるべきかという問題につきまして、約五点ばかりの問題について、いろいろと協議をして、その対策等を実は立てておるのであります。
一方に海運も、今るると、昨日から海運局長が御説明申し上げましたような、やはり段階にあり、一方には、相当にフィリピンその他の高速船が出て来れば、ニューヨーク航路その他についても、相当の脅威を受ける。なかなか同盟等をめぐりましても、先般来御説明申し上げておりますように多事多難であるのであります。
従いまして、やはり何か抜本的な一つ、海運に対する長期的な対策を立てなければならん。こういう考え方でこの点をいろいろと、今研究せしめておるのでありまして、これは世界経済等にもつながり、また各国との関係等もありますので、何らか利子補給というような形でなくて、やはりすっきりした姿において、海運政策というものを、長期な見通しを立てて、健全になすべき道はないか、こういうことで、いろいろと苦心をしているような次第でありまして、今おっしゃいましたような趣旨に沿いまして、やはり海運の問題、造船の問題等に対しまして、抜本的な政策を村立したいと思って、今日、当局にもいろいろと研究せしめておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/70
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071・大倉精一
○大倉精一君 私はこの際、参考のために、今の抜本的な政策に関連をしてお伺いをしておきたいのですが、これは、いわゆる貿易為替の自由化に伴って、日本の貿易ルートも、相当に変化があるのじゃないか。特にアメリカの輸入市場に対するウエートが、相当大きくなって、東南アジアに対するものが、やはり相当ウエートが低くなるのではないかという見通しもあるようでありまするが、そういう点について、貿易為替の自由化に伴う海運界の将来の変化について、あるいは影響について、どういう工合に考えておるか、これに対する根本対策というものがありましたら、この際、聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/71
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072・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) これは、貿易の自由化によりまして、相当貨物の変動等を来たすことは間違いないと思うのでありまして、特に、また運賃等におきましても、貿易の自由化からくる現象を、どういうふうに調和していくかというような諸問題がありまして、懇談会等におきましても、その問題をいろいろと討議しておるような次第でございますが、やはり東南アジア地区方面におきましても、日本の貿易が、国際的な一つの市場にさらされると申しますか、今まで保護的政策といいますか、温室に入っておったものが、寒風吹きすさぶといいますか、ほんとうの世界の舞台の中に出てくるということから、こういう方面における大きな経済的な変化がくることは間違いないのでありまするけれども、貿易の自由化は、やはり世界の経済の中に、日本がほんとうに力強く占めて、そうして発展していく上においては、どうしても通らなければならない一つの道でありますので、従って、経営の合理化その他諸問題について、大きな今変革が、おそらく金解禁以上の変革がこの間にきつつあるのでありまするが、この点について、急激な刺激を与えないような漸進的な方向等も、通産省その他はとっておるような次第でございます。
従いまして、海運界におきましても、おそらく東南アジア地区における貿易が、その関係から、どういうふうになってくるだろうかということは、やはり東南アジア地区における自由競争の立場から、日本の商品が相当に、その方面に伸び得るという見通しが、大体においてつけば、これは、海運の方も問題はありませんが、少なくと本日本の自由化からくる商品が、国際市場において、どういう伸びをするかということによって、この問題は決せられると思うのであります。
しかし、日本といたしましては、御存じのように、やはり後進国と申しますか、これらの未開発の国に対しまして、相当積極的な経済的な援助なり、あるいはまた貿易面についても、新しく打開しようという考えでやっておるのでありますから、こういう方面においても、海運政策として、やはり一つの経済的見通しについて、確固たる案を立てなければならぬと、こういうふうに実は思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/72
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073・大倉精一
○大倉精一君 まあ、ちょっと今の御説明では、いいようになるやら、悪いようになるやらわからぬのですが、私は、まあいろいろ専門家に聞きますと、自由化によって、定期路線を持っておる航路は、非常に有利になるのではないか、半面において、全体として貿易量がふえるが、東南アジア、未開発地に対する貿易というものは、後退するのではないか、こういうことを聞いております。
そこで私は心配をするのは、そういうような見通しを持たないというと、国家の利子補給という形でもって、そういうところへつぎ込んでも、回収不可能になる部面がたくさん出てくるのではないか、こういうことを心配するのでありますけれども、それに対する見解、見通しはどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/73
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074・朝田静夫
○政府委員(朝田静夫君) お説のごとく、貿易自由化が促進されれば、東南アジア地域におきますところの輸出の伸びが非常に低下するのじゃないかということは一般にいわれております。その通りだとも私どもも考えるわけでありますが、他面におきまして、むしろ自由化に伴ってコスト・ダウンをし、輸出も、地域的な転換はございましても、ふえていくという面も半面にあると思うのでございます。年々東南アジアにおきまするところの購買力の不足によりまして低下をしておるのが実情でございます。
しかしながら今申し上げましたように、半面において、貿易自由化によって、輸出入量が増加するという面がございます。ただ海運におきましては、そういったものの流れが、地域的買付け市場の転換によりまして、相当変化があるように私ども考えるのでございますが、海運自体の面からいいましても、先日来、鉄鋼会社において建造されるような、石炭専用船というようなものによって、運賃用船料という、貿易外予算の自由化が促進されますというと、ますます烈しい国際競争にたえていかなければならぬというふうに考えますので、利子補給の問題につきましては、今後、ますます激化する国際競争に立ち向かっていくためにも、われわれは必要である、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/74
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075・大倉精一
○大倉精一君 私の聞いておるのは、必要である、必要でないということでなくて、貿易・為替の自由化という、非常に大きな行政の変化というものが出てきておりますので、国家の施策として利子補給をやるについても、こういうような新しい事態に即応する見通しなり、考え方なりをもって、利子補給の政策を考える必要があるのではないか、従って、ここ数年前の政府当局の答弁と、今日とは違っていかなければならぬのではないかと思う。
ですから、私の心配するのは、あるいはお聞きするのは、国家において、貿易量は総体的にふえても、企業によっては、いろいろなアンバランスが出てくる。航路の較差が出てくる。そういうことで、たださえ国際競争力の弱い日本の海運界が、さらに企業基盤が弱くなっていくのではないか、そうすれば、こういうところに、いわゆる利子補給という、昔と同じような千編一律の政策をとって、はたして妥当であるかどうか、その補給したものが、返ってくる一体見通しがあるのかどうか、こういうところに、大きな関心を見せてもらわないというと、利子補給の政策、いい悪いは別にしましても、現実の問題として、工合が悪いのじゃないか、そういうことを心配するので聞いておりますので、どうも今の御答弁では、見通しもまだはっきりしていない、こう考えるのですが、大臣どうです。もう少し、われわれ安心してオーケーというようなわけにいきませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/75
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076・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) お説、ごもっともでありまして、やはり貿易の自由化から、大きな変化がくるととは、これは間違いないのでありますので、従って、この利子補給の問題を考えたときからみますると、この貿易自由化に踏み切りました現段階においては、相当その点を加味した政策を新しく立てる必要がある。たとえば場合によっては、航路補助の問題等も、いろいろ起こってくるでしょうし、また現実に、自由化の線に沿うて、先般来非常な大きな海運界並びに造船界に衝動を与えておりまする専用船の問題、こういうような問題も起こってき、運輸省の中における造船輸出の一つの考え方と、海運の保護政策の間にも、矛盾撞着が暴露したといいますか、露呈したというような状態になっておるので、根本的に、日本の海運というものを一体どう持っていくか、ことに、今回の製鉄業者等が国際的な自由競争に耐えるために、船賃の安いものを使うという意味から、日本の輸銀の金を利用して、しかもああいう船員法、税金等の規制を受けないような第三国の船籍をもって、これらの連中に発注せしめて、これを長期契約によって利用するというようなことを、国内自身といいますか、足元から鳥が立つような問題が、すでに起こってきておるというようなことから考えてみましても、今、大倉さんからの御指摘のように、この一点からとらえましても、やはり根本的に日本の海運政策というものを、どうするかということを掘り下げて、これは一つやらなければならぬということで、通産大臣、あるいは大蔵大臣、私、経済企画庁長官等においても、それぞれのあの専用船等をめぐりましての意見の調整等が、まだきまらないという段階でありますけれども、私は、これを契機として、やはり根本的に海運政策というものを、国際情勢の変化、ことに日本の政策転換に基づいて、一つ樹立したいということで考えておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/76
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077・大倉精一
○大倉精一君 私は、この造船利子補給政策が、必らずしも悪い——反対するとは考えていないのですけれども、今のように貿易・為替の自由化という大きな日本全体の政策の変換の転機にあたって、その見通しも方針も立てずに、これからその方針を考えるのだ、そういうような状態で、やはり千編一律、漫然と旧態依然たる利子補給さえすればいいのだと、こういうことには、私はどうも賛成しかねるのです。
この際、私は何も、一年くらい、これを延ばしても差しつかえないと思う、貿易・為替の自由化という世界的な国際的な大きな変化に対する見通しを持ち、計画造船に対する考え方、政策も、根本的に一つ検討を加え、そして日本の海運政策というものを、抜本的に一つ再検討を加えて、その上に立って、利子補給政策を講ずべきである、こうくるなら、われわれも反対する余地は私はないと思う。ところがどうも、私自身としては、何か極端な言い方をするならば、漫然としたマンネリズム的に利子補給をする、こういう印象を受けてしょうがない。
ですから政府は、こういう重大な時期に際して、ほんとうに抜本的に、さっき運輸大臣のおっしゃったようなほんとうの意味の抜本的な根本政策を打ち立てるという、こういう心がまえ、気がまえが必要だと思うのですが、それがないような気がする。どうですか運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/77
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078・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) この利子補給の問題は、すでに御存じのように、昨年来各方面の意見も徴し、各界等の結論が、これに達しまして、これ以外にないということを、海運の対策としては取り上げて、実はやったのでありますが、これをやりまして今大倉さんが指摘になりましたような大きな変動からきました一つの例として、先ほど申し上げました専用船の問題から掘り下げて考えてみましても、私は利子補給という問題ということよりも、むしろ根本的に、国際水準に金利を下げた日本の商船隊を作るということを国家が保護政策を樹立しなければ、この問題は打開できないということを、実は強く考えておるのでありまして、その点について、やはりどうしても、これは政府において根本的に、そういう計画を立てる段階に追い込まれ、かつまた、そういう一つの大きな契機が出たということを考えておるような次第でありまして、従って、この利子補給の問題も、一つ御了解を願い、一歩前進して、国際競争に耐え得る態勢というものを、もっとすっきりした姿において、一つ作るということをぜひ樹立したいということを考えておりますので、一つ、御協力をお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/78
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079・大倉精一
○大倉精一君 これは、何回言ってもしょうがない。私は、端的に申し上げて、今度のこういう貿易・為替自由化によって、日本の海運事情が、すっかり変わってくると思うのです。それと、東南アジアに対する航路というものは、私は不採算航路になるということは必至だと思うのです。そういうものに、対策もなしに、ただ造船利子補給さえやればいいんだ、コストさえ安くして、国際競争力に勝たせるのだと、作文みたいなことを言ってもしょうがないと思う。
この際、計画造船そのものも、再検討を加える必要があると思っているのです。私はどうも、了承ができないのです。どうしても、了承できない。もら少し国民自体が納得できるようなことでないと、しかも、先ほど中村君も言っておりますけれども、大体、これは一つの、非常にいまわしい過去を持っておりますので、国民が素朴に、そういうものの実態をちゃんと国民の前に出して、であるから、こうだということでないと、なかなか国民は承知しないと思うのです。海運局長盛んに頭をかしげておりますけれども、そういうことになるのです。でありますから、たとえば、こういうことをやったことを、国民は、まだ忘れていませんよ、あれを、造船利子補給か、あっそうか、指揮権発動か、犬養健さんだ、佐藤榮作さんだということになって、現に、佐藤ざんが大蔵大臣ということになって、国民というのは、そういう感情を持つのです。ですから、私はあまりこの問題は、国民に、こうこうだから、とらだという現実的なものを示して出さないというと、なかなか、私は承知しないだろうと思います。私の方は、社会党は反対でございますけれども、私自身も、やはりもう少しこの事態に立って、はっきりした海運政策を立てて、その上に立って、こうだというものがないというと、なかなか了承しかねる問題があるのではないか、先ほども中村君の言ったように、国民の税金を、私企業に、営利事業に補給をしておきながら、もらっておる会社が、額のいかんにかかわらず政治献金をする、これは、非常に不謹慎だと思う、こういうのを何の勧告もせずに、だまって放任しておいて、そして景気のいいときは配当までしましょうか、お願いしますと言ってきたらしいのでありますけれども、景気が悪くなると、国家から金をやろうか——それでは、私はほんとうの意味の抜本的な対策にはならぬじゃないかと思います。
私は、いわゆるかわいい子には旅をさせろという、こういう格言もありますけれども、ほんとうに、もう少し体質改善なり、この企業努力なり、そういうことを、はっきりもっと確立して、政府においても、こういう大きな国際情勢の変化に対して、確固たる政策を持って、その上に立って、こういう国民の金を使う、こうなってこなければならぬと思うのです。私は、これだけ意見だけを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/79
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080・小酒井義男
○小酒井義男君 最後に、今も大倉委員から言われたことですね、中村委員も、先ほど言っておったですが、利子補給と政治献金の問題で、やはりこういうことは好ましいことではないからという大臣の御答弁があったのです。私はやはり、ただ造船船主協会とか造船工業界だけではなしに、日本の財界といいますか、経済再建懇談会自体が、こういうところにまで呼びかけて、金を集めるという、そういう感覚に、やはり一つの問題があると思うのです。
それと同時に、そういうところから集まってくる金を受ける側の方もやはり私は、問題があると思うのです。ただ、そういう各方面が、やはり真剣に国税の使い方については考えなければ、ただ出すのが悪いからといって、一方だけを責めるわけにいかぬと思うのです。そういう点について、これは将来、今までのことを繰り返しても仕方がないのですが、今後大臣として、こういう方面を指導せられる信念をお持ちになっておれば承ってみたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/80
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081・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) 小酒井さんのお話は、ごもっともでありまして、これは、船会社等もおそらく政党から、端的に言えば献金を要望されれば、いやとは言えないような立場にもあると私は思うのです——率直なことを言って。従って、やはりこれは出せと言う方も、やはりこういうような国民の何によって、利子補給するというところから献金を受けることは、慎しむべきであるということは同感でありますので、私からも、両党に対して申し入れをしていきたいと思います。慎しんでもらいたいということを。これは、単に自民党だけではない、社会党におきましても、何しているのは、同じですから——政党は。小酒井ざんの言われるような警告をしておきたいと思います。ほんとうに、まじめなお話ですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/81
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082・江藤智
○理事(江藤智君) ちょっと、やめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/82
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083・江藤智
○理事(江藤智君) 速記を始めて。
他に御質疑もなければ、これをもって質疑を終局し、討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにして御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/83
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084・相澤重明
○相澤重明君 私は、日本社会党を代表いたしまして、残念ながら今回のこの法律案に反対をするものであります。
もちろんわが日本社会党は、海運の助成策については、積極的にこれを推進をする意思であります。しかるに、今回のこの利子補給に対しましては、まず第一に、貿易外の収入増に対するところの政府の施策が、積極的でない。しかも貿易・為替の自由化による国際的な大波を、いかにわが国が受けるかということは、これは非常に、日本の政治経済の中に大きな問題点を投げるのであります。しかるにもかかわらず、これらの対策というものが不十分である、こういうことは指摘をしなければならぬことだと思うのであります。
第二の問題は、経営合理化の推進の問題であります。少なくとも昭和二十八年度に、海運の利子補給を行ないまして、当時いわゆる指揮権発動までをして国民の白眼視を受け、大きな批判を受けたことは、これは私は免れない現実の事実であると思うのであります。この国民の冷厳なる事実の中に、いわゆる業者諸君も、積極的ないわゆる自己のこの業務を伸ばすと同時に、また国際収支改善のためにも、大きな役割を果たす、そのこと自体が、実際には、わずかしか私は改善がされておらない。しかも今日、この保有船の中においても、十万トン以上に及ぶところの実は不稼動の船舶を保有するということは、私は非常に残念だと思うのであります。そうして少なくとも、今日経営合理化で浮かした四十六億なるものの実績を考えても、まだまだ再検討をすべき要素というものは、たくさんある、こういう点を、率直に指摘をしなければならぬと思うのであります。
しかも今後、日本の商船隊の国際競争の中で占める位置というものは、およそ二千万トン以上の私はいわゆる隻数、トン数というものを必要とするであろう。そうでなければ、日本がいわゆる国際競争の中における主導権を確立することはできない、こういうふうに思うのであります。
第三の問題としては、そうした中に、単に一部の企業者、一人の独占企業者に対して、国民の血税をまかすわけには参りません。そこで、わが日本社会党は、少なくとも政府が、この積極政策を進めるためには、共有船方式なり、あるいは公団方式をもって、国のいわゆる財政投融資なり、利子補給に対する根本政策を樹立をしなければならぬ、こう思うのであります。本日も衆議院の議場において、私ども衆参両院議員が、ここでアデナウアー西独首相のお話を承ったのでありまするが、やはり西独におけるところの積極政策というものは、今日世界海運界の中において大きく評価されておると思う。このことを、私は他山の石として、やはり日本海運界に対するところの政府の政策というものも、私はもっと積極政策でなくてはならない、こう思うのであります。
そういう意味から、全くヘビのなま殺しのような形の、単に九億五千万円くらいのいわゆるこの利子補給をもって足れりとする政府の政策というものは全く無能に等しい、こういうふうに私どもは考えておるのであります。そうしたことで、私どもはまず、今後やるとすれば、日本の国を背負って立つ船が外国に行く場合には、日本の国を象徴するものである、こういう基本的な考え方に立つ私どもは、この政策というものを樹立すべきであるということであります。
第四といたしまして、造船疑獄を私どもは振り返って見なければなりません。これは国民感情として、造船に利子補給をする、船主に利子補給をするというと、ああまた、それが政治献金されるのではないか、それが、また待合政治に使われるのではないか、こうすぐ直観をされる、こういうことを私は国民の諸君は、思い浮かべると思います。しかし私どもは、このことは非常に悲しむべきことと思う。少なくとも今日のいわゆる造船界、あるいは海運界の事情を知るもとしては、もっと積極政策というものを立てることが必要であるということを、私は強調いたします。にもかかわらず、今の利子補給の中から三十年度以降いわゆるこの船主協会の諸君が、政界に献金したものは、およそ一億三千万円からになるのであります。この一億三千万円からの政治献金というものは、決して国民諸君が、この内容を知った場合には、私は国民の純真なる立場で考えた場合には、賛成をしないと思う。そういう意味で、やはりこの政界に対するところの政治献金なるものも、もっと明朗にし、ほんとうにこれは、だれが見ても心配がないという形をとることが、私も最も必要であろう、こういうことを、率直に私は強調をして置きたいと思うのであります。
第五の問題点は、ILOの中におきましても、特に国際海運の中で、船員諸君のいわゆる労働条件の向上、あるいはまた、それらの諸君に対するところの厚生施設、定員の増加、こういうような点については強く批判をされているところであります。確かに運輸省におきましても、努力のあとは、私は十分これは認めております。しかしまだまだ、私どもは老齢なるがゆえに、いわゆる年を取っているがゆえに、直ちに馘首をされ、あるいはまた経験者を必要とするところの航路関係において、こういう人たちが、十分に手腕を発揮することができないような形をとるということは、まことに残念だと思う。従って船員の労働条件の向上、安定化こそ、私ども日本社会党として、最も必要とするところである。それらの方策というものが不十分である。こういうことは、今までの質疑の過程、あるいは私どもが今日までの労働事情というものを聴取した場合に、明らかであると思う。
以上のような問題点をとらえて参りますと、残念ながら九億五千万円の利子補給をもって、当面を糊塗していく、こういうふうなことでは、私どもは賛成をすることができない、もっと、やるならば積極的に、国策として日本の国を背負って立つ海運政策というものを樹立し、しかも、このもとに働く労働階級に対するところの条件を向上させることが必要である。この意味において、今回の政府提案であるところの本法案については、日本社会党は反対をいたします。
以上をもって、私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/84
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085・松浦清一
○松浦清一君 私は、本法案について賛成をいたします。
本案の審議の経過を通して、ただいま反対討論されました相澤委員のお説を承りましても、九億五千万円の利子補給では、今の日本の海運の力を強化して、外国海運との競争にたえ得ない。根本的に、積極的な助成強化策を講ずべきである、こういうのが本旨のように承ったのであります。
私もまた、しばしば運輸大臣から説明をされましたように、今の日本の海運が背負っておりますいろいろの問題をしさいに検討してみましても、さらに積極的な強化策を講ずることが必要であると考えます。今回の場合は、不足ではありますけれども、九億五千万円の利子補給をやむなしとして賛成をいたしますが、来年度の予算編成期に至りますまでには、各委員から開陳されました意見を、十分そしゃくをされまして、積極的な、世間の納得のできるような強化策を立てられんことを希望いたしまして、賛成の討論といたします。
なお、この件に関しましては、いろいろと意見を述べたいところでございまするけれども、予算委員会の討論を、今行ってみましたところが、まだ原稿用紙二枚読むところがあるので来たわけです。どうか一つ、よろしくお願いいたします。
以上をもちまして、賛成の討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/85
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086・江藤智
○理事(江藤智君) 他に御発言もなければ、これをもって討論を終局し、採決を行ないます。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/86
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087・江藤智
○理事(江藤智君) 多数と認めます。
よって本案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願います。
運輸大臣より発言を求められました。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/87
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088・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) この法案に対しまして、御審議を賜わりましてありがとうございました。討論の御趣旨を十分に体しまして、その趣旨に沿うように善処いたしたいと思いますから、どうぞよろしく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/88
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089・江藤智
○理事(江藤智君) これにて、散会いたします。
午後五時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01219600331/89
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