1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十五年五月十七日(火曜日)
午前十時四十九分開会
—————————————
委員の異動
五月十日委員佐野廣君辞任につき、そ
の補欠として鈴木万平君を議長におい
て指名した。
本日委員谷口慶吉君辞任につき、その
補欠として堀木鎌三君を議長において
指名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 平島 敏夫君
理事
天埜 良吉君
江藤 智君
村上 春藏君
委員
金丸 冨夫君
重宗 雄三君
堀木 鎌三君
三木與吉郎君
大倉 精一君
重盛 壽治君
中村 順造君
白木義一郎君
国務大臣
運 輸 大 臣 楢橋 渡君
国 務 大 臣 赤城 宗徳君
政府委員
防衛政務次官 小幡 治和君
防衛庁教育局長 小幡 久男君
運輸政務次官 前田 郁君
運輸大臣官房長 細田 吉藏君
運輸省鉄道監督
局長 山内 公猷君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 廣瀬 真一君
運輸省航空局長 辻 章男君
気象庁長官 和達 清夫君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
説明員
気象庁予報部長 肥沼 寛一君
—————————————
本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○航空法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○国有鉄道運賃法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/0
-
001・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) ただいまより委員会を開会いたします。
まず、理事の補欠互選についてお諮りいたします。先般、理事村上春藏君が委員を辞任され、去る十二日、本委員会の委員に選任されました。従って理事が欠員となっておりますので、この際、補欠互選を行ないます。互選は先例により、委員長において指名することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/1
-
002・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 御異議ないと認め、理事に村上春藏君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/2
-
003・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 委員変更について御報告申し上げます。本日、谷口慶吉君が辞任され、堀木鎌三君が選任されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/3
-
004・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) それでは、これより航空法の一部を改正する法律案を議題といたします。本日は、政府側より赤城防衛庁長官が出席されております。
これより前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/4
-
005・中村順造
○中村順造君 航空法の一部を改正する法律案の前に、前から本委員会で問題になっておりました小牧空港の事故の責任の所在でありますが、防衛庁長官も見えておられますので、長官にお尋ねいたしたいと思います。
いろいろ本委員会では、この問題につきまして質問がされました。内容についても調査団を派遣する等いたしまして、事故の真相の究明ということを行なって参ったのでありますが、その中で、いろいろ事故の原因については、大体三つくらいあるということが言われております。
私はこの際、このよく言われている官制官の措置が適切でなかったということと合わせて、ジェット機のいわゆる操縦士、これは衝突でありますから、私が申し上げるまでもなく一つだけでは衝突にならないわけでありまして、二つおったから衝突になった。そういたしますと、衝突をした方の側と、衝突をされた方の側とあるわけですが、衝突をしたということは、すなわち防衛庁のジェット機の操縦士の問題であります。かなり高速度で離陸をする。しかも相当大型の旅客機が四百メートル前方にあった。この点を当時の実情から見て、防衛庁の教育局長が二回本委員会に出席されまして、私どもの質問に答えられました。しかしどうもそれがあいまいで、ジェット機の操縦士に責任があるということを明確にされておらないのですが、長官は、どういうふうにお考えになっておりますか。今までいろいろ報告もなされておったと思いますが、この際、私からお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/5
-
006・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 小牧の衝突事件は、まことに遺憾であり、なくなられた方等に対しましても、心からおくやみを申し上げなければならぬ立場にあります。まことに遺憾に存じております。そこで、その原因等につきまして、いろいろな方面から究明をいたしておるのであります。今お話のように、民間機がバックしてくるところに、自衛隊の平野パイロットのジェット機が滑走しまして、左の方に避けたのでありますが、向こうの尾翼にひっかかりまして事故を起こしたわけでございます。この責任について、どうであるか、こういうお尋ねでございます。私ども、この自衛隊のパイロットといたしまして、離陸の指令があり、そりあとからも続々と離陸するようになっておりますので、離陸の指示に代ってそれを信じて離陸をした、こういうことでありますけれども、やはり前方を相当注視する必要があったのじゃないか。しかしそのときの事情からいたしますならば、前方に工事等もあって、夜間でありますので、前灯等がまぎらわしかった。その他操縦席から前方をよく見ることが非常に困難な事情にあった。こういうふうに報告を受けております。
でありますので、その指令に従って、指令を信じて飛び立った、こういうことでありますので、私は法律的に責任かあるとかどうとかいうことはないように考えられます。ただしやはり相当り注意をしていなかったというような点は、これは考えさせられる面でありますので、そういう点におきまして、もっと注意をすべきものじゃないかという点は感じておる、そういう点において、責任といいますか、感じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/6
-
007・中村順造
○中村順造君 長官のお答え、私は納得できないのですが、この前教育局長も、やはり同じようなことを答弁されている。これは法律的な責任があるとかないとかということは、もちろん大切なことであろうと思う。それから当時の事故の起きた状況から判断をいたしまして、その自衛隊の操縦士の方の側に不利な条件があったということも、委員会では明らかにされておるわけです。しかし、これは情においてしのびないということでありまして、その責任の所在が、そのためになくなるという性格のものではないと思います。これは全くその天候のかげんとかなんとかいう不可抗力的な事故ではないわけです。
本委員会で論議されたのは、旅客機が二十分おくれておった、それから一つには、管制官が判断を誤った指示をした、それから一つには、やはり私が先ほど申し上げましたように、自衛隊の操縦士の側が、やはり前方の条件が悪かったにしても、明らかに旅客機のつけておった灯を、これを誤認しておった、こういうことが明らかになっているわけです。法律的な責任があるとかないとか言われますけれども、この際、それは総合的に管制官の側にも落ち度かあった。しかし、明らかにこれは軍人でありますから、これはこの際、軍人かどうかということは問題であるかもしれませんけれども、仕事の内容から見て、やはり責任の所在は明確にするということでなくしては、その人たちの責任は、日常の仕事はできないと思うのです。
この際、私はその他の問題もまだお尋ねしたいと思いますけれども、明確に管制官の側にも落ち度かあった、それから操縦士の側も、何といっても四百メートル前方にあれだけ大型のものがあって、しかも有視界飛行で、気象庁発表では二十マイル前方の物体が見えるという状況にあった。これは、前の委員会においても、教育局長も誤認ということを言われている。誤認ということは、誤って認めたことでありまして、これは明らかに私は平野空佐のその責任はあったということを、長官は全体のやはり締めくくりをされる立場から、責任はあったのならあった。その度合いについては、当時の条件からして酌量する余地があるといたしましても、全然責任がなかったということは、私は問題があろうと思います。
この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/7
-
008・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 責任という言葉にもよろうと思いますが、御承知のようにテイクオフ・クリアランスが出る、そのうしろに後続機が出ておる、そういう場合に、その指示に従わないで、いろいろ勝手に自由裁量をしていくということになりまするというと、飛び立つことにつきまして非常な混乱をきたし、あるいは事故を生するということもあることは御了解願えると思います。
そういう事態でありますので、平野空佐といたしましては、この指示を信じて、そうして飛び立つ用意をした。しかしながら初めには、その指示に従いました。途中において、前に民間機があるということでありますので、急速これを、左の方へかじを回わしてこれを避けた、こういうことであります。でありまするから、自由に、その指示に従わないで自分の自由裁量で、これをとめるとかなんとかいうことであるとするならば、飛び立つ計画そのものが非常に混乱して、かえって事故を起こさないとは限らないと思います。
そういう点におきまして、飛び立って、すぐ近くに行きましてそれを発見いたしまして、これを左にかじを切って、そうして正面衝突というような形を避けたということでありまするから、私は、相当の注意は払った。しかしその指示に反したことは、これはできない、こういう立場にあるのでありますから、私はいわゆる何といいますか、法律的の責任というようなことを言いまするというと、いろいろ御意見もあり、そういう問題を聞いているのじゃない、こういうふうにおっしゃられるのでありますが、私は、原則としてその指示に従わざるを得ないのだ、こういうことが一つ。また指示に従って、飛び立ったのだけれども、近くにいって、前の民間機がバックしてきて、こういうことを気が付きまして、かじを左にとったということでありまするから、私は最初に、それを見なかったんじゃないかということで責任を問うのは無理であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/8
-
009・中村順造
○中村順造君 長官の今のような答弁をずっと繰り返される限りにおきましては、私は、ここで私の質問自体が無意味だと思うのです。やはり指示だとか、あるいは指令があったとか、こういうことも言われておりますし、いろいろ条件も悪かったということは、これはもうこの本委員会では、言い尽くされた問題なんです。それを重ねて根拠にしてお答えをされるということは、これはいつまでいったってその点の結論は出ないと思うのです。
しかし私は、その点につきましては、非常に遺憾の意を表せざるを得ないのですが、たとえ誤った指示があっても、そこに高速度な、いわゆるジェット機のようなものを離陸をするという場合に、操縦者は、操縦桿を握る人は、前方注視の義務があるかどうかということは、これはだれもが言い尽くされた問題でありまして、必ずそういう立場の人は、それだけの高速度のものを操縦する場合には、前方を見なければならぬと書いてある。部内規則にもあるし、防衛庁でお使いになっておる教科書にもあるのですが、前方を見なくてもよろしい——しかもその時は、有視界飛行だ、計器で飛行せいという時じゃなかった。有視界飛行で、前方を見なければ、離陸できないのは、これは操縦者の立場なんです。いろいろ条件が悪かったとか、誤った指令を出したというのは、これは根拠にならない。これは長官が、今もってそういう考え方で答弁をされる限りにおいては、前の二回、三回と同じようなお答えでありまして、私は、まことにその辺が、この点の法律的な責任があるとか、ないとかということでなく、事故を中心に判断した場合には、やはり操縦者にも責任がある。一方の管制官に落度があるというならば、操縦者にも重ねて責任がある。法律的だとか何とかということは、これは検察庁の問題もありますから、そのことを私尋ねておるわけじゃない。
この点は、私はまことに遺憾で、そういうお答えを繰り返されるということは、あっさり責任を——私は長官としての全体の責任はあると考えておりますけれども、それはない、こういうことをまた繰り返されるわけなんですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/9
-
010・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 私が申し上げているのは、責任がないというわけじゃなくて、ああいう事態を起こしましたのに対しては、まことに遺憾である、こういう意味におきましては、責任を感じているわけであります。
ただ法律とか、あるいは航空管制上の規則、こういう点に違反した問題ではない。そういうふうに法的にこまかく言うならば、それに違反したものじゃない。しかし、全体から見まして、ああいう事故を起こしたという道義的責任といいますか、社会的責任といいますか、そういうものに対しましては、責任を私も感じておりますし、パイロットとしても感じておる、こういうふうに申し上げておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/10
-
011・中村順造
○中村順造君 私はその点で、初めからそういうお話なら了承できるのです。私の質問の仕方も悪かったと思いますけれども、私は、そういうことを申し上げているわけです。
こまかくいえば、操縦士が前方注視の義務を怠ったとか、あるいは前方の灯を、飛行機の灯と工事の灯と誤認した、こういうことが具体的にはあるわけですが、これは法律的な責任が、所在が明確にされれば、その場合、それがわかるわけでありますから、ただこの種の事故に対して、やはり自衛隊側も責任がある、こういうことを言っているわけです。
これは長官がお認めになった、それで私は満足してもいいわけですが、もう一つ、非常に本委員会でも問題になったのですが、自衛隊と民間とが、一つの飛行場を共用する。この点は、今のところ、予算その他の関係があって、やむを得ないということは了承できるわけですが、しかし、将来の問題として、この小牧のような地理的な条件の場合、これを将来自衛隊と民間と分離するということについて、具体的な構想がおありになるかどうか、この点をお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/11
-
012・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) お話のように、自衛隊の飛行機あるいは民間飛行機が、同じ飛行場を共用するということは、好ましいことじゃないと思います。できることなら私どもも別々に、民間は民間側で飛行場を調達する。私の方は私の方で調達するというような形で行くのが、私は筋だと思います。またそれが適当だと思います。
しかし、これは私から申し上げるまでもなく、御承知のように、日本の国土も狭いところでありますし、飛行場の新設につきましては、御承知のように自衛隊といたしましても、非常に苦労をいたしているわけであります。一方、民間で、しからば民間だけの飛行場を新たに設けるということにつきましても、これは非常に経済的その他に困難があると思います。そういう意味におきまして、私どもも、この共用をなるべく避けたい、こういうふうな方針は持っています。しかしながら具体的に、それではどことどこをどういうふうにというような案を今持っているかというようなお尋ねでございますけれども、これはまだ具体的に、相当財政的にも、あるいは協議をしていく上におきましても、それがうまくまとまるというふうな見通しも非常に困難な状況にありますので、具体的に、共用をどことどこを避けるとか、どこの飛行場は、民間はどこへ持っていく、私どもの方はどこへ持っていくというような案は、まだできておりません。
しかし、共用を避けるような考え方で、いろいろ折衝したり検討していきたい、こういう方針は持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/12
-
013・中村順造
○中村順造君 将来の方針として、長官の、そういうお考えを持っておられるということは了承できるのですが、ただ小牧の場合を取り上げてみました場合に、飛行機の発着回数、それから共用に対する基本的なものの考え方、いわゆる自衛隊が小牧の飛行場については、優先これを使用するというような考え方があったということが、本委員会でも言われているわけです。その考え方は根本的に、共用だということで、どちらが優先するという考え方は、明らかに誤りだと思います。ただ、発着回数、使用度数、こういうものから考えまして、少なくとも共用ということが、一つの大きな事故の原因だと判断するならば、小牧の場合に限って、教育局長もおられますが、訓練の度数を減らすとか、あるいはそれを他の飛行場に、自衛隊の使う他の飛行場の方で任務を果たす。少なくとも共用がやめられるまで、そういう過渡的な臨時的な措置を講ずることができるかどうか、その点を一つ、お考えを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/13
-
014・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 教育局長から御答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/14
-
015・小幡久男
○政府委員(小幡久男君) ただいまの小牧につきましての、共用飛行場という前提のもとで、何らかの対策はないかという御質問に対しましては、訓練計画は現在のところ、民間機の発着と十分調整をいたしますれば、まず支障なくやっていけるのではないかと考えております。
それから先回申し上げました通り、誘導路へ民間機が着陸いたしまして入ったかどうかということを管制官が確認をするという点を、もう一つごめんどうでもとっていただく、これは運輸省で、すでに実施しておられるそうでございますが、そういった措置をとっていただくことによりましてたとい有視界飛行の状態のもとでも、実際に誘導路へ民間機が消えたかどうかという点を、念のために管制官からとってもらうという措置をとりますれば、今度のような事故は起こらなくなるのではないかというふうに考えております。
なお夜間標識等につきましても、申し上げました通り、アンテ・コリジョンをつけるというようなことを検討してもらうといったふうな措置も、あわせて考えてやりまして自衛隊としましても、十分訓練計画を民間機と調整し、さらに前方の注意の責任も喚起するというふうな、いろいろの手段をかね合わせましてやっていきますれば、両々相待ちまして、少なくとも今度のような事故は、未然に防げるという確信を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/15
-
016・中村順造
○中村順造君 教育局長の、今のあなたのお答えは、両々相待っておらぬわけです。
私の言っているのは、いわばその共用をやめたらどうか、長官は、なかなかの事情でやめられない、やめられなければ訓練をやめるということですが、訓練をやめるということも、なかなかあなたの方の御都合もあろうから、それは困難であろうということを私はしんしゃくして、そうしてその訓練のいわゆる度数を減らすとか、あるいはその調整をするとか、こういうことはできないかということをお尋ねしたわけです。それだけあなたはお答えすればよいのに、管制官が確認をするようにお願いするとかなんとか、またこの前のように、何か責任のなすり合いのような議論をされる、私は管制官のことを聞いているのじゃない。あなたの言われることを聞いておりますと、管制官が適切な判断さえ持って間違いさえなかったら、有視界飛行の場合でもジェット機は滑走路で盲目飛行をやってよい、こういう議論になるわけであります。そういうことをまた蒸し返したって仕方がない。
私の尋ねたことだけ率直に、訓練はやめられない、それからその度数も減らすことができない、もちろんほかに移動することもできないと、それならそれで私は、少なくとも事故があったというこの現実から判断をすれば、何かの、そこにただ確認するとか、よそにお願いするとか、そういう責任のないことでなくして、もっと責任ある措置をとる、具体的にとれるかどうかということでお尋ねしているわけです。その点は、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/16
-
017・小幡久男
○政府委員(小幡久男君) お答えいたします。
現在小牧では、約八十ソティ発着回数を自衛隊は持っております。これを将来はさらに十ソティぐらい増すかもしれませんが、それ以上は増さないつもりでおります。この程度の訓練計画でありますれば、十分事前に航空保安事務所長と調整いたしまして民間機の発着の前後の時間を考えまして、相当のゆとりを持って訓練計画を按配いたしますれば、飛行場の安全というものは決して損なうものではないと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/17
-
018・大倉精一
○大倉精一君 関連してお伺いしますけれども、今訓練の度数を減らす点について、中村君が質問したのですけれども、あなたは、減らすような減らさないような答弁ですが、源田空幕長ですか、この人がウィングという機関紙に言っておるところを見ますと、訓練は、ますます激しくしなければならぬ、こういうことを言っておられるのですね。
そうすると、政府とあなた方と違うじゃないかというような気がするのですが、これは、どうなのですか。ますます増加するとなれば、小牧じゃとても無理だ、従って小牧における民間の飛行機の発着度数もふえるであろうから、たとえば各務ケ原とか何か、そういうところへ航空自衛隊の訓練飛行場を持っていくということも考えなければならぬと思うのですが、その点は、どうなのですか、一体訓練は、これ以上ふやさない計画なのですか、あなたの方は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/18
-
019・小幡久男
○政府委員(小幡久男君) 先ほど申し上げました通り、小牧では、現在では八十ソティありますのを、あと十ソティぐらいはふえると思いますが、それ以上はふやす計画はございません。なお源田空幕長は、訓練をますます激しくすると申しましたのは、さらにほかの飛行場等も予定しておりまして、航空自衛隊全般といたしまして、だんだん射撃訓練とかあるいはスクランブルの練度を高めるということを一般的に申し上げたというふうに了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/19
-
020・大倉精一
○大倉精一君 ほかの飛行場という場合もおっしゃるのですけれども、先般現地へ行ったときに、現地の司令官は小牧の飛行場は、日本国内における最も優秀な飛行場である、訓練上においても、作戦上においても最も優秀な、有能な飛行場である、こういうようなことを言っておられたと思うのです。滑走路の長さも、一番長いか二番目ぐらいじゃないかと思います。こういうところの訓練をさておいて、ほかのところの訓練をふやすなんということは考えられないと思いますが、どうなんですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/20
-
021・小幡久男
○政府委員(小幡久男君) 先般防衛局長からも御答弁申し上げました通り、現在小牧におりますのは、F86Dの部隊でございます。部隊としましては百一、百二、百三の三つの部隊でございます。この定数が現在十分にまだ小牧では充足しておりませんので、若干の定数の充足はいたしますが、その充足いたしました暁には、このうちの一つの部隊が千歳に移動いたします。残りの二部隊でやることになっておりますので、現在のところは、先ほど私が申し上げました通り八十ソティから若干の定数はふえますが、それ以上はふやす意思は今のところ持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/21
-
022・大倉精一
○大倉精一君 これは関連質問ですから、最後に一つだけ長官にお伺いしておきたいのですが、小牧の飛行場に限らず、たとえば小牧の飛行場のごときは、これはすみやかに、民間と軍用ですか、これを分離をする方針を確立する必要があるのではないかと思います。これは小牧とはいいません、小牧のような飛行場ですね、日本にはたくさんあると思いますが、そういうような方針を確立して、着々そういう方向へ進んでいかないと、将来するからと言ってみたって、ただ絵にかいたもちであって、やはりこういうような事故を契機にして、民間機それから軍用機とを飛行場を分離をする、こういうことをこの際、方針を確立すべきじゃないかと思いますが、お考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/22
-
023・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) お話の通りに私ども考えまして、先ほども御答弁申し上げたのですが、できるだけ分離したいということで進めておるところもあるのでございますけれども、現実的に非常に困難な問題が相当あるのであります。
たとえば千歳等につきましても、私どもの方で使って運輸省の方では丘珠ですか、あそこへ飛行場を設けるというような話も、一時ありました。そういうようなことになれば分離されていいと思うのですが、地元の方から分離されては困る——これは事故のは問題とは別でございます。地元の要望から見ますると、事故とは別にして、分離しないで、両方で使ってもらいたいというような要望なんかもありまして、せっかくこれを分離できるような方向へわれわれ進みかけておったのですが、これは、一つの例でありますが、またもとへ戻るというような事態もございます。
方針といたしましては私はこれは今からでも、財政的ないろいろな問題もありましょうけれども、分離の方向へ進めていくということでいきたい、こういうふうに考えて、運輸当局とも話し合いを進めていくと、こういう方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/23
-
024・大倉精一
○大倉精一君 何か分離するようなしないような、ちょっとわからないような答弁なんですが、小牧空港を、両方一緒に使ってもらいたいという声があるというお話でございますけれども、はたしてそういう人がたくさんあるのかどうか、これは疑問ですね。私は現地において、小牧の空港は、将来国際空港にしてもらいたい、幸いあの付近には各務ケ原の飛行場もあるから、ぜひとも分離をして、国際空港としてやってもらいたい、特に貨物専用の国際空港にしてもらいたいという強い要望があったのですよ。
ですからああいう小牧のごとき空港は、これは軍事的にも非常に有能なのかもしれませんが、民間飛行場としても、非常に私は地理的にも有能な飛行場だと思うのです。ですから、ああいう所は、すみやかにやはり分離をするという、こういうような計画をお立てになるのが、ほんとうじゃないかと思いますが、その点、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/24
-
025・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 私が先ほど申し上げましたのは、小牧の問題じゃないのでございます。全国的に、分離の方向をするかと言うから、分離の方向で、実は話し合った問題も一つあると、その一つの例といたしまして、北海道の千歳でございます、北海道の千歳で、分離して千歳は自衛隊で使う、それから新たに丘球ですか、札幌の近くに民間の飛行場を作ると、こういう話で一度進めたことがあると、ところが今度、事故の問題とは別にいたしまして、地元の千歳から分離されては困るので、まあこれを区画してやればいいんだから、両方で使ってもらいたいと、こういう話があって、方針は、そういうことに進めたが、なかなか困難な例もあるということを申し上げたのであります。
そのために、分離するかしないかということにちゅうちょをしておるということじゃなくて、方針といたしましては、共用を上ないようなことに運輸省と相談をいたしたいと、こういうことを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/25
-
026・大倉精一
○大倉精一君 小牧飛行場は、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/26
-
027・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 小牧の飛行場につきましては、今のお話のように各務ケ原に行ったらいいんじゃないかという意向もありまして、そういうことを地元からも聞いております。
しかし自衛隊として、小牧の飛行場は非常にこの純度を増す上におきましても必要なことでありまするので、これをほかに私の方で移るというような今計画を持っておりません。飛行場の共用については、二つの考え方があると思うのです。私は、自衛隊が、そこを離れるということもありますし、民間が、ほかに飛行場を作るということも、これは考えていいことじゃないかと思います。そういうことで、自衛隊がそこを離れるもの、あるいは民間で別に飛行場を見つけるというような二つの面から考えなくちゃならぬ問題じゃないかと思います。
そういう点から考えまして、小牧の点につきましては、自衛隊が、あそこを捨ててほかへ移るということは、現在非常に困難な事情にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/27
-
028・中村順造
○中村順造君 いろいろ小牧の事故を中心にして、自衛隊の方の考えも、大体わかったわけなんですが……。私はこの質問を打ち切りますが、今までの論議の中から判断をいたしますと、やはり長官は、その責任を感じている、こういうことでありますが、きょう初めて、それが明らかになった。やはりあなたの方のお考え方からするなら、自衛隊は、やはり国を守る責任ということを強調しておられると思うのです。それ以外には、私は設置の目的はないと思うのですが、そういたしますと、やはり国を守る責任ということであるならば、実際の責任態勢、あるいは個人の責任ということも、きわめて私は大切だと思う。今回の事故を中心にして論議を重ねた中では、そういうふうな、小さくは直接ジェット機を操縦した平野空佐の責任、あるいは自衛隊の責任、こういうことが、やはり明確にされておらないために、不必要に長く議論をしなければならぬという現実もあったわけでありまして、私は要望としてはやはり、その設置された趣旨からみても、小さい責任といえども、これをみずからその責任は責任としてとるところに、明確な国防態勢と申しますか、あなたの方のお考えにも沿うと思う。この点、私は将来とも、小さい責任から始めて、大きな責任を果たすためには、やはりやっていかなければならぬと思う。
それから、もう一つの点は、今議論されましたように、可能な限りにおいては、共用ということを避ける。おのずから、それぞれの飛行場の使用目的が違うわけでありますから、使用目的の違うものが、一つのものを使っているということは、これは、ただ単に交通事故だけでなくして、将来の国防態勢と申しますか、そういうようなものから見ましても、多くの問題がある。だからこれは、いろいろ予算面その他もあるように、今長官のお話がございましたけれども、この際、特にそういう点には、力をおいてやっていただきたい。
それからもう一つは、共用でありますから、やはりそれぞれの施設なりあるいは運用、これらの面につきましても、十分運輸省と自衛隊との間で、この点も、今までの論議の中では、必ずしも密接な連携が保たれておったようではないようです。だから将来の問題としては、やはり一つの飛行場を共用する限りにおいては、運用なりあるいは施設の問題、設備の問題等の十分密接な連携のもとに、特に巷間言われておるように、自衛隊は豊富な予算もあるようでありますから、一つこの際は、そういう面からも協力をされるということを私は要望いたしまして、この点の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/28
-
029・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 御趣旨、ごもっともでございます。小さいことにつきましても、自衛隊全体として国を守る責任から派生するいろいろな問題につきましても、民間あるいは国民に疑いとか、あるいは不信の念を抱かせないように、十分注意いたしたいと思います。
また、運輸関係との連絡協調は、一そう密にいたしまして、こういう事故が起こらないように、また、適切なる航空の運営ができるように、私ども一段と協力するといいますか、連絡を密にするということにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/29
-
030・大倉精一
○大倉精一君 先ほどの長官の説明で、小牧の飛行場の民間との分離についてのお考えが明らかになったのですが、この問題については、運輸大臣が出席されましたら、運輸大臣からも一つお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/30
-
031・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 速記をとめて。
午前十一時二十七分速記中止
—————・—————
午前十一時五十四分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/31
-
032・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/32
-
033・大倉精一
○大倉精一君 運輸大臣にお伺いしたいのですけれども、ただいま防衛庁長官に、飛行場の軍民分離についてお尋ねをしたのですが、なかんずく小牧の飛行場についてお尋ねをして、あそこはむしろ将来は国際空港にして、そうして自衛隊とは分離すべきじゃないか、幸いに各務ケ原というようなものがありますから、そういう方針がいいんじゃないかというようなことをお伺いしたのですが、運輸大臣の小牧空港に対する将来の方針、お考えについて、この際お話を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/33
-
034・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) 小牧空港の将来をどうするかという問題ですが、運輸省の立場から申し上げますと、やはりできれば、財政上許されれば、分離するということでいきたいということを先般も申し述べたような次第でありますが、この点、やはり将来の方針としては、そういうふうにすることが自衛隊のためにもあるいは防衛庁のためにも、あるいは民間航空のためにもいいんじゃないか、これは防衛庁長官ともしばしば事故の後において、いろいろとその後のジェット機及び民間航空等のああいう非常なスピードの違うものが、同じ滑走路を活用することについての技術上の問題等をいろいろ相談をしておる次第であります。
一方、名古屋は御承知のような非常に大きな発展をし、かつまた日本の工業の中心地として、一方に非常に大きなヒンターランドを持っておりますし、運輸省といたしましても、港湾の埋め立てその他についても膨大な計画を持っておるのであって、非常に今産業面からいきましても、大阪を凌駕するような将来性を持っている所でありますので、国際的な人々の出入りも非常に多いのでありますから、将来はやはり国際空港としてあそこをもっていきたいという考え方は持っておるのでありますが、現在大阪を国際空港として指定しましたのですが、なかなかその後、態勢を整えるのに非常に骨を折っておるような状況でありますので、将来は名古屋の小牧の空港というものは、国際性を持たすべきであるという考え方をもって進んでいく、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/34
-
035・大倉精一
○大倉精一君 そこで、まあ先ほどの防衛庁長官のお話によりますと、現在のところ小牧空港は分離の考え方は持っていない、こういうようなお考えの発表があったわけなんです。従って、今の大臣のお考えによりますと、名古屋のいろいろな立地条件からいって、当然これは国際空港として考えるべきである、計画すべきである、こういうようなお話でございますけれども、航空自衛隊があそこをどかないと、その計画がだめになるわけなんです。従って、私は非常に、先ほど防衛庁長官の答弁の中で気にかかったのは、防衛庁が一方的にあそこを……、そういう方針はないのだ、考え方はないのだ、こういうことを一方的に言っておられるということについて、非常に疑問を持ったわけなんです。かねがね空港については民間優先ということが言われておりますけれども、空港の使用計画あるいは将来の計画についても、やはり民間の計画が優先をして、そうして、それに防衛庁の問題は追従すべきものである、こういう工合に考えておるのですけれども、運輸大臣の今の御答弁によりますと、あそこは国際空港にするのだ、将来分離をするのだ、こういいうお話でございますので、この際防衛庁とも十分に連絡をとっていただいて、この考えのもとに、この機会に、そういう計画を確立する必要があると思うのですけれども、もう一回、一つ運輸大臣並びに防衛庁長官から、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/35
-
036・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 先ほど申し上げたことに、幾分誤解があるのじゃないかと感じます。私は全国的に見まして分離の方向に持っていくべきで、具体的の問題につきましては、なお運輸大臣と協議をいたしまして、その方向に持っていきたい、こういうことを申し上げたわけであります。たまたま小牧の問題が出まして小牧ではしからばどうかということでございますが、小牧につきましても、将来において分離するという方針において私は賛成でございます。ただ現在直ちにこれが退去するというか、自衛隊がそこから出ていくというような方法があるかというと、各務ケ原等につきましても四国の状況、山岳等がありまして、そこに今移るというようなことは困難でありますので、方針は将来において分離するということにおいて変わりありません。現在、じゃすぐ出るかというと、それは出るのには非常に困難がある、こういうふうに申し上げたので、その点御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/36
-
037・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) それでいいじゃないですか、今ので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/37
-
038・大倉精一
○大倉精一君 それで運輸大臣、一つ要望を申し上げて、あわせて考え方も承っておきたいと思うのですけれども、今度の小牧の事件はたまたま滑走路に起こった事件でありますけれども、専門家の話によりますと、この滑走路の事件というのは非常にまれに起こる事件である。むしろ危険なのは、この空港の上空に滞空をしている間におけるところの事故発生の可能性、というものが非常に大きいのではないか、こういうところから将来ますます自衛隊があそこにおける訓練の頻度が増してくれば、そういう面におけるところの危険というのは非常にふえる。こういう面においてもあそこはすみやかに分離する必要がある。
もう一つは、大都市の中心にああいう飛行場があるということは、これは少し矛盾をしておると思うのです。しかも初めは地元の方ではあそこに航空自衛隊が来るときにはこれは訓練用だけだ、こういうお話であったようでありますけれども、最近はそうじゃなくてやはり戦闘作戦用の重要な位置にある。こういうようなことでありますから、地元の方においてはどうも一ぱい食ったというような感じが非常に強いらしいというのです。こういうことを彼此総合してみますと、ますますあそこの小牧空港をすみやかに分離する、こういう方向に運輸省が主導権を持ってどんどん計画を進めていかなければならないと思うのですが、これは強く要望しておきます。さらに運輸大臣のもう一回御所見を承って質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/38
-
039・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) 大倉委員の御趣旨よく……、私も原則的には賛成でありますけれども、具体的にどういうふうに持っていくかというようなことにつきましては財政その他の面もありますけれども、大体そういう方針で航空行政をやっていきたいとこういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/39
-
040・大倉精一
○大倉精一君 小牧の問題はこれでいいのですが、あと航空法の一部改正に関連して質問をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/40
-
041・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/41
-
042・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/42
-
043・大倉精一
○大倉精一君 航空法に関連をしましてお尋ねしたいのですけれども、先般来高層気象観測のためにU2という黒い飛行機が日本にもあるということが非常に問題になっているのですけれども、日本では今気象観測用の飛行機はみずから持っていないはずです。そこでアメリカ軍による高層気流観測はどういう機種で、どこを基地にして、どういう行動をしておるかということをこの際一つ説明をしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/43
-
044・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) お話の通り、日本では高空気象観測用の飛行機は持っていません。昨年の伊勢湾台風のあとにおきましても運輸大臣、科学技術庁長官などと私ども話し合いまして、アメリカが持っている高高度気象観測機を日本に譲り受けて日本でやろうじゃないかというような話し合いがありまして、私といたしましても、アメリカ大使館その他アメリカから議員などが来まして、そういう人と交渉をしたのでありまして、しかし非常に金がかかるというようなこと、それから相当広域にわたるというようなこと等から、日本で持つということはむずかしいということで取りやめにいたしておるわけでございます。
そこで、U2機の性能等につきましてのこまかい資料は持っていませんが、どこにおるかということでございますけれども、これは御承知のようにアメリカの航空宇宙局の所属の飛行機であります。世界に現在におきましては八機持っておる。こういうことでその飛行機の写真がアメリカの航空年鑑等にも載っております。そこで、どこにおるかということでありますが、初めは西独その他等にもおったようであります。今おりますのは世界においてトルコとアメリカのカリフォルニア、それから日本、この三カ所にあります、日本には三機厚木の飛行場に来ております。そうして厚木には気象観測中隊といいますか——気象観測中隊があります。そこで油とか修理とか、そういう補給をして、そうして気象の観測を日本周辺においてしておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/44
-
045・大倉精一
○大倉精一君 私の質問が悪かったのか、ちょっと要旨が違うのですけれども、現在毎日横田の飛行場あたりから、アメリカ軍の飛行機によって高層気流観測が実施をされておると私は思うのです。そういう米軍の飛行機の毎日の高層気流観測の機種なり、あるいはその計画、行動計画なりというものを説明してもらいたい。どういう工合に観測するかあるいは観測してないのか。これは運輸大臣の所管じゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/45
-
046・肥沼寛一
○説明員(肥沼寛一君) ただいま私ども米軍の方からもらっております気象の資料は、行政協定の八条によりまして、こちらからこれこれのものをやる、それから向うから主として飛行機の観測をもらうということでございます。その内容は、御承知の、台風の観測、それからこれは毎日ではないと記憶しておりますが、ほとんど毎日に近い偵察飛行、これは西日本の方を大体三角形に観測し、それから東の方をやっております。それからそのほかにごく臨時に、昨年ごろですか、非常に高いところの資料がごくまれに入っております。で、こういうものをもらうということでその機種がどういうことであるかということは、われわれ全然承知しないのでございます。ただ台風観測などにつきましてはいろいろ問題で、私ども見学に参りまして、あれがWB50というので観測しておるというのは、そういう関係で承知しておりますが、向うから正式に知らされた機種は何にも存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/46
-
047・大倉精一
○大倉精一君 航空局長はおわかりにならぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/47
-
048・辻章男
○政府委員(辻章男君) これは航空局の立場で、どういう飛行機が飛んでいるかということがわかりますのは、管制本部で、いわゆる定期飛行状態の許可を求める際にある程度わかると思いますが、気象観測用の、今問題になっておりますのはU2のような飛行機が、定期飛行状態で飛んだことはないようでございます。管制本部で調べたのでございますが、そういう許可を出した記憶はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/48
-
049・大倉精一
○大倉精一君 これは少なくとも日本の上空あるいは日本周辺の上空の高度飛行をやっておるアメリカ軍の飛行機の状態を、しかも日本に非常に関係のある気象観測の飛行機の行動状態を、もう少し詳しく説明できないものかどうか。日本の政府はそういうものについて説明ができないような格好になっておるかどうか、非常に疑問ですね、これは。少なくともこれは、たとえば東京新聞あたりにも書いてあるのですけれども、もう少しこの委員会あたりで、国会においては現在日本の上空並びにその周辺の高層気象については、米軍の飛行機がこういうような行動によって観測をしているのだ、そのデータはこういう工合にもらっているのだという、もう少し親切な詳しい説明ができそうなものですが、いかがなものですか。防衛庁の所管か、あるいは運輸省所管か、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/49
-
050・辻章男
○政府委員(辻章男君) 先ほど申し上げましたように、航空関係といたしましては、有視界飛行で飛んでおる場合にはその詳細はわからないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/50
-
051・大倉精一
○大倉精一君 それでは今現実にアメリカの飛行機によって高層気流観測を実施しているのですね。しておりますかどうか、どうですか。していないのですか。どこですか、所管は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/51
-
052・肥沼寛一
○説明員(肥沼寛一君) 観測をしているのは承知しております。で、これは、先ほど申し上げましたのは、正式にはそういうことは報告されておりませんので、どういう機種で観測をしているということは知らされていないだけで、見学などに行きまして、こういうので実際飛んでいるということは私ども個人的には承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/52
-
053・大倉精一
○大倉精一君 気象庁は知っているわけですが、両大臣はいかがですか。もう少し詳しく説明ができませんか。どういう行動をしてどういうような要領で気象観測をやっておるかということですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/53
-
054・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 先ほど申し上げましたように、厚木に気象観測連隊といいますか中隊といいますか、こういうアメリカの気象観測の隊が駐留しておるわけであります。でありますのでその気象観測隊が日本の周囲及び上空等において気象観測をいたしております。それにつきましてその気象状況についてのいろいろな資料等は、私の方でも日本政府としても受け取っておるわけであります。ただ、今気象庁から申しましたように、どの飛行機でどういう観測をしているかという内容、どの飛行機によってどうというような内容は通告を受けていませんが、観測したものについて、日本に必要なるものは全体として報告を受けている、こういう事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/54
-
055・大倉精一
○大倉精一君 航空法の改正に関連をすると、私申しましたのは、航空法の第百二十六条を見ますと、「外国の公共団体又はこれに準ずるものの使用する」飛行機については、これは運輸大臣の許可を受けなくてもいい、こうなっているのですけれども、この「外国の公共団体又はこれに準ずるものの使用」ということだけで、そうであれば日本の運輸大臣であろうが、総理大臣であろうが、防衛庁長官、外務大臣、一切何もわからぬというような状態に置かれるかどうかですね。これは許可をしなれても少なくとも日本の政府がそういう状態について知っておく必要があると思うのですね。それも知らされることはできないのですか。これは許可などは受けなくてもいいのですが、そういう重大なる、日本の気象なりその他に関連するものを、米軍の飛行機の行動について、全然日本の政府が知らされぬということになると、この条文も問題になるわけです。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/55
-
056・辻章男
○政府委員(辻章男君) 日本とアメリカとの間におきましては、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律、非常に名前が長ったらしいのでございますが、今読み上げましたこの法律——われわれ俗に航空法の特例法と申しておりますが、この法律によりまして、「合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に、公の目的で運行される航空機」につきましては、航空法の適用が除外されておりますし、一般の軍用機等もこの法律で除外されるわけでございますが、アメリカの軍用機と同様の扱いをいたすことに相なっておりますので、法律上の問題といたしましては、出入国等につきましては、運輸大臣は航空法上知り得ないという立場にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/56
-
057・大倉精一
○大倉精一君 私はそういうことを聞いているのじゃなくて、少なくとも非常に高度の機密を要することは別ですけれども、日本には飛行機をもって気象観測をする手段がないのだから、アメリカの飛行機によってのみ高層気象観測をやる。それ以外の手段がないのだから、そういうことをやっておる飛行機の行動なり、あるいは観測実施要領なりということを、日本の政府が全然知らされないし、知らないということは、これはどうも日本の国民として納得できないのじゃないか。法律の問題じゃないのです、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/57
-
058・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) 今申したように、こちらから資料を要求すれば資料を提供するということになっておるそうでありますが、今ちょっと常識から考えれば、気象の観測をやっておる飛行機が、どういうものが飛んでおるか、あるいはどういう高度で飛んでいるかということを知らないのは疑問がある……、今、行政協定等の問題があるからなんですけれども、これは日本側としても、気象の観測の飛行機でありますから、わが方にもまたアメリカの方にも、ともにこの気象の問題というものは共通的な立場で一つのこれは、軍事的な意味でなくて、むしろ民族的な福祉を与える問題でありますから、これは何かの方法で、理屈なしに向こうとの間に話し合いでもして、そういうことについてはやはり情報をもらうということは、これはできるのじゃないかと私は思うのだが、どんなもんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/58
-
059・大倉精一
○大倉精一君 これは、私は、意外な答弁を聞きますが、話し合いをしてできるのじゃないかと、今そういうことを大臣はおっしゃるけれども、私はどうも不可解なんです、これは。さっきも繰り返して言っておるように、日本には高層気象を観測する手段がないのですよ、これは。しかし日本の気象の観測といいますか、これは高層気象のデータなしにはものが言えないと私は思うのです。それを要求すれば資料をくれる、要求しなければ資料はくれない、そういう格好になっておるのですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/59
-
060・肥沼寛一
○説明員(肥沼寛一君) 資料は、こちらから何々を向こうへ送るということと、向こうからどういうものをもらうということはさまっておりますが、実際にはそういうのがなかなかうまくいかないこともありますので、あとは話し合いで、それ以上のものをもらうこともありますし、また約束したものをもらっていない場合もありますが、これは現場の話し合いでやっております。規定されたものはさまっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/60
-
061・大倉精一
○大倉精一君 そこで、私は技術者じゃないからわかりませんが、そういう資料、データをお互いに交換をするということになれば、どういう範囲の行動において、どういう高度で、あるいはどういう方法で観測するか、こういうことも知らないと、私はどうも工合が悪いのじゃないかと思うのですが、肥沼さん、どうですか、全然それわかりませんか、あなたの方で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/61
-
062・肥沼寛一
○説明員(肥沼寛一君) 私どもの方のもらっておる資料がきまりましたのは、最初、命令で実施されたものがずっと続いておりまして、それが平和条約が締結になりましてからそのままで行政協定の形になりまして、それは大筋は変更されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/62
-
063・大倉精一
○大倉精一君 どうもこういう大事なことを政府が答弁できないということは私は残念に思いますが、事のついでにお伺いするのですけれども、確かに伊勢湾台風から防衛庁の方で気象観測用の飛行機十二機の譲渡の交渉をなさっておったはずです。私は特別、委員会でこれを質問したことがあります。長官は何もひもはついていない、これは今交渉中でありますと、こういうお話であった。これはただ費用の点だけでだめになったのですか、そのほかの理由がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/63
-
064・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 費用の点とそれから分野の点もあります。そういう協定がなかなかむずかしい。それから広い範囲において観測する場合、日本の、かりに自衛隊が持つということになりますると、非常に日本の領域外を相当遠くまで飛ばなければ気象観測の目的が達し得ない。たとえば南方の方の相当な所まで台風を迫っていくということなどの点も、相当これは問題があります。それからアメリカ自体もこれは自分の方の費用でやった方が、資料は出すのだから得策じゃないかというような話もありました。そういう関係から、日本で持つということは財政上の負担が主でありますけれども、こういうものを持つということは不適当だという結論に達したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/64
-
065・大倉精一
○大倉精一君 それならなぜ十二機の譲渡を交渉したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/65
-
066・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) それは十二機を交渉したわけじゃございません。私が交渉したのは、こういうものを持ちたいのだがどうかということで話したのであります。十二機とか何とかいう数はありません。ただ、日本でも台風を予知する必要がありまするし、伊勢湾台風のようなことを早くわかっておれば、日本自体もこれを未然に防げる方法もあるだろうということで、こういう台風の機会に、アメリカの持っておるものを譲り受けるか、日本で作るか、そういうようなことも考えなければならぬ、それにはアメリカから譲り受けた方がいいじゃないかと、レーダー・サイトを譲り受けた格好で譲り受ける交渉をしてみようということで話を進めてみたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/66
-
067・大倉精一
○大倉精一君 これはあの当時私もちょっと質問をしたのですけれども、中曽根長官、岸総理を初め、日本には気象観測用の飛行機がぜひ必要だと、こういうことを主張されておったようです。ところが長官はまあ非常に消極的であって、防衛庁はとてもそこまでは手が回らぬのだというようなことをおっしゃったとかおっしゃらぬとか新聞に出ておりました。それで費用がかかると言いますけれども、これはわれわれの立場から言うならば、ロッキードの戦闘機を少しこっちに回せば費用の問題は解消すると思います。ですからこれは運輸大臣どうですか、日本は観測用の飛行機を持つ必要はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/67
-
068・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) それは持つ必要はあるけれども、やっぱり財政その他の関係もあるから、その点は相当慎重に研究しなければならぬ。ぜひ気象観測の飛行機が持てたら持ちたいと思いますが、今アメリカとの間にもそういうようなまあ協定といいますか、なにがあって、今防衛庁長官が答えられるように、いろいろな当方の財政上の立場もあってこういうことになっておると思いますが、将来気象に関する飛行機はぜひ持ちたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/68
-
069・大倉精一
○大倉精一君 大体、気象のことになると、台風が来るというと大臣はなかなかいいことを言われる。気象を重点に置くのだと、こう言われますけれども、だんだんさめてくると、金がないのだとか何だとか言って非常に冷淡だ。しかもアメリカ軍に観測してもらっておる飛行機による観測の状態さえも説明ができない、わからない。これはまことに私は不思議な現象だと思っております。
そこでさらに質問をしますけれども、現在アメリカ軍の行なっておる飛行観測で——日本の気象データは十分に間に合っておるのかどうか、こういうことをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/69
-
070・肥沼寛一
○説明員(肥沼寛一君) 昨年の十四号台風というのが函館でいろいろ問題になりました。こういうことで、台風の場合は日本の南に接近するときには大体どうやら間に合っておりますが、日本海に入ったときに非常に困っております。その点に関しまして、向こうと折衝して、日本海も今後できるだけ観測をしようという約束にはなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/70
-
071・大倉精一
○大倉精一君 そこで、大体米軍の現在使っている飛行機による観測によって、高層気象観測というものは大体間に合っておる。そこでU2という飛行機が出てくるのでありますけれども、このU2という飛行機、どういう性能があるかどうか明らかになっておりませんけれども、相当優秀な飛行機らしい。こういう飛行機を使わなければ高層気象の観測ができないというような、そういう事情があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/71
-
072・肥沼寛一
○説明員(肥沼寛一君) U2という飛行機が飛んで観測をしているということは、これは米国の気象学会の雑誌にもすでに一昨年載っておりましたので私ども承知しておりましたが、その性能は、ただ、五万フィート前後から台風の写真をとるという程度のことで、それ以外のことは何も知っておりませんでした。昨年黒い飛行機という名前が新聞に載りましたとき、あれがそうであるということはあとで承知したわけであります。今の気象は——これはここで詳しいことをお話ししますと講義のようになるのでやめますが、ああいう飛行機だけでは間に合わない。ラジオ・ゾンデによる非常に広い範囲のさらに高い所の観測をしなければいけないだろうと思っております。これは各国だんだん整備しております。日本でも漸次整備の途中であります。今、完全とは申しませんが整備の途中にございます。飛行機のようなものが今後気象観測にどう寄与してくるかということは、これは今後の問題だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/72
-
073・大倉精一
○大倉精一君 そこで私はかねがね自分で疑問に思っておったのですけれども、衆議院におけるところの答弁によりますと、U2は中国の海岸線あるいは沿海州の海岸線から三十キロ以内の向こうにはいかない、こういう答弁があるわけですね。それでもっぱら気象観測用にだけ使っている。そうしますと、今使っている米軍の飛行機では十分な観測ができないようなそういう欠陥があるのかどうか。特殊の観測用の飛行機というものが要るのかどうか。これはあなたその高層気象観測の専門家として、そういうようなことを御存じになっていると思うのですけれども、何か特殊性能のある飛行機が要るのですか、高層気象観測に、今米軍のやっている飛行機で間に合わないものがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/73
-
074・肥沼寛一
○説明員(肥沼寛一君) 存来観測を行なっておりましたのは、われわれ五百ミリバールと申しますか、これは約六千メーターの高さでございます。この辺の所で台風の中の台風の目その他の観測をしておりました。それ以上のことは、知りたいという希望は持っておりましたが、それはできないものと考えていたのでありますが、先ほど申し上げましたように、一昨年、米国の雑誌に五万フィート、これは二万メーターぐらいと思いますが、そこからとった写真が載っておりましたので、これは非常にいい写真がとれるようになったと思っただけでございまして、その飛行機の性能その他については一切私存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/74
-
075・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 今私資料を持っていませんが、性能等につきましては今のお話でありまするが、構造等につきましては詳しく年鑑に出ておりまするし、私の方でも承知しています。たとえば高度一万六千メーター、それから速力は〇・七五マッハ、航続時間は、これは私の方で調べたのとはそこがちょっと違うところですが、四時間と、こう言っておりますが、一般には七時間から八時間の航続。それから重量その他、翼の長さとか、そういう構造についてはわかっています。どれだけの機能を持っているかということにつきましては、私どもも十分承知をいたしませんが、高層、高高度の気象観測をするために、アメリカにおきまして特にそういう飛行機を作ったわけであります。気象観測に一番適する飛行機ということで、初め民間で、ロッキードの方でやろうというものを、大統領の直轄の航空宇宙局においてそれの所属を持ちまして、そうしてNACAという名前で表示されておったのでありますが、今NASAという名前になっておる。こういう構造等につきましては一応私承知しております。その機能はどういうことであるかということは専門的なことで、私ども承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/75
-
076・大倉精一
○大倉精一君 そこで今の御答弁によっても私どもどうも納得がいかないところがある。というのは、たとえば、これはまあ一万何千メーター、二万メーター、三万メーターといいましても、今の戦闘機にしろ何にしろ、二万メーター、三万メーター上がって飛んでいるんですよ、これは。それから翼が特に長い、あるいは航続距離が長いというものにつきましては、日本にある飛行機が、一体そんなに長い航続距離を持たなければならぬという理由がどこにあるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/76
-
077・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) これは私も専門家でありませんが、台風、その他高層のこれは気象観測として航続距離を相当持っておりますことは、これは必要だと——専門的にどういうふうにこれが論点になるかということにつきましては、私ども承知しておりませんが、航続距離が相当あるということは、これは私は気象観測上必要だ、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/77
-
078・大倉精一
○大倉精一君 そこで肥沼さんにもう一ぺん聞きたいのですが、現在アメリカ軍が、さっきもお尋ねしたように、何機持っているか知りませんけれども、毎日あるいは隔日に上空を飛んで、高高度を飛んで観測をしておる、これは今までずっと間に合っておったと思うのです。それがさらに、航続距離の長い飛行機が、何も日本海を渡って、中国の沿岸から三十キロ以上行きませんと——そういう短い航続距離でいいわけなんです。北の方はアリューシャンから、南の方は台湾海峡の南の方まで行く、これでいい。こんなべらぼうな長い航続距離の飛行機は日本に要らないと思う。どうですか、これは、そういう飛行機がなければ高層観測はできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/78
-
079・肥沼寛一
○説明員(肥沼寛一君) 今のお尋ねは、私何とお答えしていいかわからない問題なのでございますが、気象の観測は、一番広いところのものは各国で担当してラジオ・ゾンデでやっております。飛行機のことは今アメリカが一番よけいやっているのでございまして、それを要るか要らないか、ちょっと私お答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/79
-
080・大倉精一
○大倉精一君 全くこれは日本の政府は一体ロボットかと言わなければならぬな。こういうものに対して、私はこの委員会を通じて国民の疑惑を解くように少しでもと思って質問をしておるのですけれども、説明もできなければ、それはわからぬ、それはどうやら、こうやら……、こんなことじゃ私はどうもこの日本政府はこの条項に関する限りはロボットですよ。こんな航空法の一部改正なんといってやってみても、全く肝心の日本の空が開放じゃ日本政府の関知するところではない、こう言いたいと私は思う。私はこの際、ああいうU2なんという飛行機が日本にいること自体が国際的に大へん不利だと思う。気象観測にあれがいなければならぬということは、そういうことはどうも今の答弁からいって納得できない。気象庁の方ではあのU2の飛行機から何か気象資料をもらいましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/80
-
081・肥沼寛一
○説明員(肥沼寛一君) 昨年実は黒い飛行機が不時着をしたという、あのあとでそういう資料が入っておるか調べました。羽田の飛行場で、非常に高いところからの今までなかった資料が数回入ったということがあります。それから伊勢湾台風のときに、これも三万九千フィートの観測が一部入ってきております。しかしそれが何で観測されたか、当時私は知らなかったのであります。U2で観測したというのは、この今お見せしました雑誌に書いてあること、それから台風の写真がそれでとられているということだけを承知しただけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/81
-
082・大倉精一
○大倉精一君 これはこれ以上私は質問しませんが、国際的に非常に大きな疑惑を——との飛行機は国境を越えて他国へ入っていっていろいろな行動をしているのじゃないかという疑惑に包まれている。そういう飛行機が日本にいるわけです。しかも気象関係の専門家のあなた方に聞いてもわからない。一体だれに聞いたらわかるということになる。一体日本のだれに聞いたらわかる。だれも知った者はいない。こういうことを私は非常に疑問に思う。私は一運輸委員として航空担当委員会としてこれは黙っているわけにいかぬと思う。運輸大臣もこの雑誌を見てこんな雑誌で、写真とったって別に差しつかえあるものは出ておりませんよね。別の行動をしたことは何も出てない。そういう疑惑がたくさん非常に大きな疑惑として国際的に広がっている。これが今日本に三機いる。これはいなければならぬという理由はない。しかもアメリカ軍の方では、気象観測以外には何もやりませんということを言っている。ところが、これはやはり真偽のほどはわかりませんが、五月十日の朝日新聞には、アメリカの政府からの指令で日本からも飛ぶのだ、こういうことをアメリカの記者が語っているのですね。うそかほんとうか知りませんが、少なくとも一流新聞の一面に出ている。ですから、こういう問題をここで聞いてみても、それは答弁できないのか、ほんとうに知らないのか、わかりませんけれども、この空に関して何も詳しい説明が国会議員にしてもらえない、これは問題ですよ。ですからこの第百二十六条も、外国の公共団体並びにこれに準ずるものが使用する飛行機は、これは運輸大臣の許可を得なくてもいい、それはそれでいいですよ。しかし許可を得ないからといって、何も知らなくてもいいということは、これは別ものだと思う。運輸大臣、この法律でそういう点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/82
-
083・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) 今申されました点ですが、行政協定があるからそういう問題も起こってくるのでありますが、今予報部長の説明によりますと、やはり今までの一つの常識としては、そう高いところは観測ができなかったというのが、ここにありまする五万フィートで観測しておると、しかもその中にも、今のU2によって観測したということの記事がいろいろ出ているのでありまして、従って今U2がスパイ行為をやっているかどうかということは私は知りませんが、少なくともこういうような気象観測について一つの大きな役割をやっているということは、どことどこでもってU2の飛行機がこれをしたということを発表しているような状態でありますので、この点は私は肯定ができると思うのであります。従ってさいぜんから予報部長が申し上げますように、こちらから要求すれば、気象に関する資料は向こうは提供する。日本は現在の経済、その他の情勢からいってそういうような完璧なものをまだ持つだけの段階になっていないから、アメリカとの間の協力を得て気象のことをもって災害の予防、その他について現在やっておるという状態なのでありまして、まあ日本の空が全く開放されて、だれでも勝手に、アメリカあたりにじゅうりんされておるというように言うわけには私はやはりいかないと思います。行政協定その他におきましても。ただわが方としましては、今問題になっているような、これが軍事的な目的とか、あるいは他の国に対して日本を基地としてそういうことを、少なくとも今問題になっているような行動をするということは、厳重にやはりアメリカに向かって、これはそういうことはなさないように警告すべきことであって、従って気象に関する限りは、今申し上げたような建前においてやることが、現段階においてはやむを得ないのじゃないか、こう思うのでありまして、まあでき得べくんば、やはりその飛行機がどういう飛行機でどういうような役に立っているかということを知ることは、私もやはりこれは努めて努力しなければならぬことだと思います。それだけ答弁しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/83
-
084・大倉精一
○大倉精一君 何か大臣の答弁を聞いておりますと、アメリカを擁護しているように思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/84
-
085・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) いや、別に擁護していない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/85
-
086・大倉精一
○大倉精一君 私はそう思う。むしろ日本の大臣としては、一つわれわれが持つ疑問と同じような疑問を持つべきだと思う。私は思う。ひょっとするとアメリカが日本の領空も侵犯しておるんじゃないか。ひょっとするとこういうことがあるんじゃないかということを国民にかわって心配をしなければならぬと私は思う。それはそんなことはないと言う。そんなことはないなら、去年藤沢に不時着した黒い飛行機に対して警官や何かが行ったときに、日本の役人が行ったときに、拳銃をもってこれを追っ払ったということはどういうわけです。そういう事実が理屈外の事実なんです。それをあなた方何の疑問を差しはさまぬというようなことは、これは日本の大臣としてはどうかしておると私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/86
-
087・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 行政協定によって向こうの飛行機の入ってくることは許されておるわけであります。でありまするから、そういうものでなくて領空侵犯すれば、領空侵犯に対する措置を当然とることになっておるわけであります。そこでU2機につきましては、今運輸大臣からもお話がありましたように、これが国際的に問題になりまして、いろいろ情報収集のために領空侵犯というようなことをするおそれがないとしない。ソ連にそういう事態ができました。でありまするから、そういうことを許すということでありまするならば、これは日本に対して非常な害といいますか、が出てくるわけであります。そういうことをわれわれはおそれまして、われわれの従来の調査におきましては、気象の観測という航空宇宙局の機構に属しておるものは武装をしていないし、機能からいっても、特に気象観測のために作られておるということでありまするから、そのままでおったのですが、今お話しのように、ソ連の撃墜事件ということがありましたから、アメリカ政府に対してその保障を求めたわけです。その保障を求めた結果が、気象の観測本来の目的外に全然これを使用するということは、今までもございませんが、これからも絶対にやらぬ、こういうような保障、それから先ほどお話がありましたようにこれは高高度を飛ぶ気象の観測でありますから、広範囲にわたって気象の観測をするけれども、他国のたとえば中国あるいはソ連、こういう近くに行くことがあるといたしましても、領界から二十マイル、三十二キロ離れた、それ以上離れたところを飛ぶように、厳にこれは警戒命令をしておるし、そういう保障をする、こういうようなアメリカ政府の正式の回答に接しておるわけであります。でありまするので、現在の段階におきましては、そういう政府としての正式の保障がありまする以上、そういう目的に使用しておるということでありますならば、これは退去といいますか、させるというような段階ではない。こういうふうに私ども承知しておるのであります。
それから小さいことでありますが、昨年の藤沢に着陸したときにピストルでもっておどかしたというように新聞等にも出ていました。私どもの方の防衛大学の助教授もそこにおりまして、グライダーの練習をしておったわけでございます。それから調達庁からも付近の畑等を荒しましたので、かけつけたわけであります。そのときの状況等を本人等を呼びましてよく調べましたところ、近づかないようにしておったということはありますが、ピストルを向けて……。そこへ向うのヘリコプターが二機きたわけです。かけつけてきたわけですが、そういうものがピストルで何といいますか、近づけないというような、威嚇といいますか、そういうことはしていないということです。ただその搭乗者が降りてきたときに、ピストルを持っておったか持っていなかったかということはわからぬけれども、あとからヘリコプターで二機救援というか、かけつけた者等においてこういうようなピストルで威嚇したというようなことはないということでございます。その後その現場で落ちたときの状況等を向こうの人が聞きたいということで、私の方の防衛大学の助教授ともう一人の人が、現場において落ちたときの状況などを話しておるようであります。でありますから、私はピストルをもって追っ払ったというようなことには承知していないわけであります。なおその点につきましては調査をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/87
-
088・大倉精一
○大倉精一君 まあ、これは何回聞いても要領を得ませんが、私の感ずる限りにおいては、まあチンプンカンプンといいますか、つじつまが合っていない。たとえば今武装をしていない、なるほど武装していない。機関銃なんか持っていないが、ソ連から写真でもって発表されたところによると、自殺用の針さえも持っている。いろいろそういうような七つ道具を持っているというようなことも新聞にちゃんと出ているのですね。さらにまた、いろいろな疑惑があるのですが、どうですか、防衛庁の方ではその飛行機を台湾なりフィリピンなりに移動してもらいたい、そういう交渉をお始めになったか、あるいはおやりになる意思はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/88
-
089・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 私はチンプンカンプンでなくて、私どもの方の筋が非常に通っていると思うのです。アメリカの航空宇宙局の所属で、それが気象観測をして、そうしてその機能、構造等からいっても、高高度の気象観測をする目的に適したような飛行機の機種である。こういうことで行政協定に基づいて日本にも来ておる。それについて特に秘密の機種ではない。こういうことでありますから、私は決して筋が通っていないと思いません。チンプンカンプンだとは思っていないのです。ただ今のお話のように、ソ連の撃墜事件がありました。その疑いは私も大倉さんと同じように持っております。もしもそういうことであるとすれば、これは非常に日本に重大な問題が起こりますから、関心を持つわけであります。でありますが、何といいますか、その疑いは持つとしても、機構その他の機能及び動き方から見て、これは気象観測用に使うというアメリカの政府の保障です。あるいはまた沿岸、領界から三十二キロ離れたところを飛ぶものだ。その他はこの気象観測ということに適した機種でありますから、疑いはありますが、それだけの保障がアメリカ政府としてあるならば、私はそれは一応政府としては、私どもの立場としても認めるべきだと思います。しかし、そういう保障を与えているにもかかわらず、情報活動を他国の上を、領土等に入ってやるというようなおそれとか、あるいはそういうことがある、あった、こういうことでありますならば、私どもは厳重な抗議——その抗議の中にはもちろん移動をさすというか、してもらうということも当然だと思います。しかし、今の段階におきましては、政府が、アメリカ政府がそういうような保障をしておるのに、それでもまだ移動してというところまでは、私は申し上げる——申し上げるというか、そういう段階でない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/89
-
090・大倉精一
○大倉精一君 私は今度の安保条約にいたしましても、政府は盛んに自主性あるいは対等ということを言われておりますけれども、もう少し日本の為政者が外国に向かって自主性を持たなければならぬじゃないかと思うのです。確かに日本におる黒い飛行機は今まではそういうことをやっておりません、これからもやりません、こう言っておるようでありますけれども、今までやっていたか、やっていなかったかわからない。これは見つかっていない。やったことが見つかっていなければ、やっていませんで通ってしまうわけです。これから先もやりません。一体どこまでそれで信用していいのかどうか。ただ単なる口約束だけでこういうような重大な問題を日本の大臣諸君がああそうですが、ごもっともでございますからどうぞやって下さ。ところが、ソ連はおどかしか何か知りませんけれども、そういう基地を貸している国も同罪であるからして、報復する、こう言っている。これはすぐやるようなことはないでしょうけれども、そういう不安が日本の国民の中にあるのですから、ですから日本の政府としてはもう少し自主性を持って、アメリカの政府と、そうあなた方おっしゃるけれども、日本の国民感情はこうでございます、ああでございますから、台湾なりフィリピンなりへと、こういう交渉をおやりになってもいいと思う。そこで先ほど航続距離ということをおっしゃったけれども、それほど長い航続距離を持っておる飛行機ならば、台湾、フィリピンに行ったって何も差しつかえない。日本にいなければならないという理屈はないんですよ。そういうところがどうも私はつじつまが合わぬと思う。なぜ日本にいなきゃならぬかということですね。しかも向こうの方でも、何か新聞でちらっと見ましたけれども、フィリピンの方へ移動するようなことも考えておるということも言っておるようでありまするが、だとするならば、日本の政府が自主的にそういう交渉をなさる方がこれは至当じゃないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/90
-
091・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 日本の政府としても自主的に動かなくちゃならぬということはお説の通りであります。で、こういう事件がありましたから、日本としても黙っているわけではありません。向こうにまあ半ば抗議的なことで照会をし、抗議的な申し入れをしたわけであります。ところが、これは個人的な約束とは違いまして、アメリカ政府が日本政府に保障するという約束でございます。でありまするから、私は国を立てている以上、向こうの政府の約束であるということであるならば、これはそれを不信だというようなことまでは、私は政府としても今不適当だ、こういうふうに考えております。しかしお話の趣旨はよく私はわからぬわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/91
-
092・大倉精一
○大倉精一君 何か時間をお急ぎになっておるようだが、重大な問題だから、もう少し聞きたいと思うのだが、私はU2という飛行機を見たことはありませんが、いろいろ報道されておるところにより、あるいはまた新聞写真等によってしろうとなりに判断をしますというと、これはいわゆる高高度から偵察をするのに最も都合のいい飛行機だということが大体常識でわかるだろうと私は思う。そこでアメリカがそういうことはやりませんと、こう言っておっても、もし万一この国際状態緊迫したときにおいて、それじゃこの黒い飛行機は日本の厚木にぽこんとおって、決して向こうに参りませんということで済むかどうか、これは常識ですよ。私は一つの常識として、あるいはしろうと考えとしても、この飛行機は高層上空において、この地球上におけるあらゆる事態に対して偵察をするのに最も都合のいい飛行機にできておると私は思う。そういうものをあなたの方で、一片の政府の約束だ、個人じゃない、政府が大丈夫だといっておるから大丈夫でしょうということだけでは済まぬと思うのです。で、これでフィリピン、台湾へ移動して、そして気象観測ができないというんなら、これは問題はあるかもしれませんが、さっきも言ったように、非常に長い航続距離を持っておるんですからして、フィリピンからアリューシャンまで行けます、この飛行機は。ですからそういう点からいっても、気象観測だけである、これがほんとうだとするならば、そういうような交渉をなさっても何も差しつかえない。それによって、かえってますますアメリカと日本との間がスムーズにいくんじゃないですか。国民の疑惑のままに、ああいうものがちょこんと日本の中におる、何か気味の悪いものがおる。で、こういうようなことは、ますますもって外交問題としてもうまくないんじゃないか。しかも衆議院におけるところの外務大臣等の答弁を見てみますというと、何かわからぬからアメリカの方にお伺いをして、そして答弁します。次のときには、アメリカヘお伺いしましたところが、アメリカはこうこう言っておりました。これが答弁、これは答弁じゃなくて報告ですよ。何も自主性も何もないことなんです。ですからこの際、私は防衛庁長官として、あの黒いジェット機は、日本の領域外に移動してもらうように話し合いをして交渉じゃない、話し合いでいいですよ、了解を取りつけるべきだ、こう思うのですが、再度一つお考えをお述べ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/92
-
093・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 繰り返して申し上げるようですが、大倉さんのような疑いは国民の疑いでもありますので、私どもとしてはアメリカの正式の保障を求めたわけであります。その保障のことは、先ほど申し上げたような事情であります。将来において、いろいろ考えることはありましょうけれども、現在におきまして、私はアメリカ政府の保障というもので、まあ国民の心配というものも一応除きたい、こういう考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/93
-
094・大倉精一
○大倉精一君 それじゃ将来もしこの黒い飛行機が、フィリピンなり台湾なりに移動した場合に、これは日本政府の関知するところじゃなくて、アメリカが自発的に向こうへ行ったものと考えていいのですね。日本は何もそれに発言もしなかったと考えてもいいのですね。向こうでさえそういうことも考えられると言っているのですから、当然これは相談すべきじゃないですか、アメリカと。あなたはこれでもって日本国民の不安を除きたいとおっしゃる。決して除かれません、これは。除かれませんよ。今度のパリにおける首脳会談によっても、第一発がこの問題じゃないですか。その世界的な、国際的な大きな問題になっている、ガンになっているものが、三機日本にちゃんとがんばっている。なぜこれを日本に置いておく必要があるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/94
-
095・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) これは二つに分けて考えなくちゃならぬと思います。ソ連の領空侵犯、これは情報活動もするということは、軍として当然のことであります。情報をとらなくては軍の在存はないと思います。ただ情報活動をすることが、違法な形において、ことに気象観測用の飛行機をもって、領空を侵犯して情報をとる、これは私は確かに国際的にも違法であり、またソ連の国内法からいってもそういうことは許すべからざるものだと私は考えます。しかし本来の目的が気象観測であり、日本において使用しているのも、そういうこと以外に使用はしていないと、また使用しないと、領空侵犯ということにつきましても、そういうおそれのないように厳に命じているし、そういう行動をとっている、こういう保障があるのでありまするから、それ以上にこの情報問題で領空を侵犯するおそれがあるからということだけで、私は退去を命ずるといいますか、そういうことは少しまだ早いと思います。そういう疑いがあるから、私どもといたしましても、アメリカ政府の保障を得たわけであります。今の段階におきましては、繰り返して申し上げるようでありますが、その保障の限度にとどめているということが適当であろうと思います。しかし向こうで退去するということでありまするならば、これは私ども何もこれを拒否することもありませんし、またそういう事態が出るか出ないかということの予想は今はっきりわかりません。そういう場合に、別に拒否する理由は一つもないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/95
-
096・大倉精一
○大倉精一君 くどいようですけれども、さらに今の御答弁の中からお伺いしたいのですけれども、軍の活動として情勢収集はこれは当然だ、これはやはり情報がなければ、戦争あるいは作戦はできぬと思います。そこで今度の問題に対して、アメリカにおいても、この越境情報活動というものは、むしろそこで向こうもやっているから、こっちもやるのはあたりまえだ、世界どこの国でもやっているのだ。だからこちらではやるのは別に不当じゃないというような、そういう意味の発言をしておられますが、それに対して長官、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/96
-
097・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 私はあのアイクの発言を、今お話のようにとっておりません。情報活動をお互いにするということは、これはお互いにしていることで、何も変わったことじゃないという原則的なことを、私は言ったのだろうと思います。しかしその情報活動をとることが、違法な行為によって、すなわち外国——相手国の領空を侵犯して、そうしてその情報活動をする、こういうことがこれは悪いということは、私はアメリカ政府でも認めていると思います。率直に。ただ一般的にいって、情報活動を合法的な形で、国際条約に違反しない形でとるということは、これはお互いどこの国でもやっているのじゃないか、こういうことだと思います。だから情報活動をするために、領空侵犯を犯してそうしていいのだということは、私は決して言ってないと思います。これは国際法から見ても、あるいはそれぞれの国内法からいっても違法であります。それまでしてやっていいとは言っていない。こういうふうに私は解しているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/97
-
098・大倉精一
○大倉精一君 これはどうしても私は納得できないのですが、将来もこの黒い飛行機が情報収集活動をしないとアメリカ側が言ったから、それでいいんだということは、私はどうしてもそれは信用できない。なぜかといえば、あなたは防衛庁長官として、昔でいうなら軍司令官、一朝事があった場合には戦争しなければならぬのです。これは情報収集活動をしなければ作戦なんてできるはずないです。戦争になって、風雲急を告げてから情報収集をしょうなんて、そんなばかげたことありませんよ。平生あらゆる手段を尽くしてスパイ活動をやるのです。これは戦争というものの現実としては当然なんです。それをあなたは、アメリカが、そういうスパイ活動をやらない、そう言ったのだから大丈夫だ、これは私は、どんなしろうとでも、そうかといって安心できるものじゃないと思う。ですから、私はこの黒い飛行機が、あるいは領空を侵犯して高高度からスパイ活動をすると思う。見つかったら見つかったときで、またいろいろな口実を設けるでしょう。おそらく見つからなければ、それはほおかぶりだ。しかし、ソ連でああいう事件が起こったから、当分鳴りを静めて、当面は行かぬでしょう。行かぬでしょうが、あの黒い飛行機が行かなければ、また変わったもので行くかもしれませんし、とにかく、戦争というものを前提にすれば、平生から、当然領空を越えるなり、あるいは秘密に上陸するなり、あるいは大使館その他のいろいろなものを通じてスパイ活動をし、情報を整備し収集する。一朝事があった場合には直ちに役に立つ情報活動をする。これはあたりまえですよ。それをあなたは、あれは情報活動しない、だから大丈夫だということを、これはまさか本気で言っておられるのじゃないと私は思いますが、非常に危険ですよ。ですから私はこれ以上質問はしません。しませんけれども、あの黒い飛行機は、言うところの気象観測だけであるならば、台湾、朝鮮あるいはフィリピンからでもちっともさしつかえありません。向こうの方から気象観測をやってもらうように、当然これは交渉なさるように私は強く要望します。国民もおそらくそれを要望すると思います。いかがですか、全然そういうことはできませんか、今の段階では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/98
-
099・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) できないということじゃありません。現段階におきましては、アメリカの政府の正式な保障がありますから、これをフィリピンに行ってくれとかなんとかということは、交渉する段階ではない、現在そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/99
-
100・大倉精一
○大倉精一君 運輸大臣に最後にお伺いし、また要望するんですけれども、この第百二十何条によって、外国の公共団体に属する飛行機ですか、これは許可は要らぬのですが、将来においてもこういう問題が出ると思います。それは日本の上空は、これはもう外国の飛行機、特にアメリカの飛行機が相当の活動をやっておると思うのですから、そういう飛行機に対して、これは許可は要しなくても、このような重要な事項については、やはりその行動の内容なり何なりは絶対お知りになっておる。それでわれわれが委会員でお尋ねすれば、それはちゃんとお答えしてもらえる。こういう工合にやってもらいたいと思うのです。こういう重大な問題を、今ここで運輸大臣にお尋ねしても、さっぱりわからぬ。これからまあ一つ聞いておこう、こういうことでは非常に不安です。ですから今後もこういう問題については、アメリカ軍と、日本の行政大臣として自主的にいろいろタッチして、その情勢を知っておいてもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/100
-
101・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) 今おっしゃったことはごもっともでありまして、やはり日本の航空行政の上からいっても、できるだけアメリカとの間にも、そういうような場合において情報を提供してもらい、こちらからもインフォーメーションを出した場合に一つ答えてもらうようなことに持っていきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/101
-
102・大倉精一
○大倉精一君 関連して防衛庁長官にお伺いしますが、今、アメリカからそういうことはしないという約束があったと言うが、これは協定かなんか、文書によって、お互いに効力があるような方法によって約束し合うという、そういう御意思があるのですか。ただ文書回答だけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/102
-
103・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) 大使館を通じて、アメリカ本国から保障を求めたわけでありますが、アメリカ大使館から文書をもって、そういうことを保障する、こういう書類が外務省にきておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/103
-
104・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/104
-
105・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 速記をつけ
て。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/105
-
106・大倉精一
○大倉精一君 そこで法案の内容について一、二質問するのですけれども、今度は、航空灯をつける責任、義務を建物の所有者に負わせることになるのですが、その所有者が航空灯をつける能力がないというような場合、これはあるかどうかわかりませんが、そういう場合どうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/106
-
107・辻章男
○政府委員(辻章男君) 航空灯をつけなければならないような者がつけない場合には、国がつけまして、これをいわゆる代執行いたしまして、費用を国から責任者に請求するというふうな手続をとるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/107
-
108・大倉精一
○大倉精一君 それから、防衛庁に航空管制を移管をするということがあるのですけれども、それは条文がありますが、この移管をしない飛行場の管制はどういう工合になるのですか。防衛庁の使っておる飛行場で政令で定めるものとなっておりますね。防衛庁の使っておる飛行場で、航空管制を防衛庁に移管しない飛行場の管制、これはどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/108
-
109・辻章男
○政府委員(辻章男君) これは管制をしなければならない飛行場でありまして、防衛庁に移管しないものにつきましては、運輸大臣がやっていくという建前になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/109
-
110・大倉精一
○大倉精一君 それからもう一点お伺いするのですが、今度は修理工場等について、運輸大臣が認定をし、この認定した工場のやったものは無条件にと、こうなるんですね、そこでその工場の修理したもの、あるいはその手にかかったものが事故を起こした場合、どうなんですか、賠償責任はどこにあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/110
-
111・辻章男
○政府委員(辻章男君) これは個々のケースについて違うと思うのでございますが、少なくとも運輸大臣が認定をした工場のものが原因になりましてある事故が起こったという場合には、やはりその製品に瑕疵があれば、その製品を作ったところに責任があることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/111
-
112・大倉精一
○大倉精一君 そこで認定した工場が修理なり、その他の取り扱いが不十分であった。欠陥があって、それが原因で事故が起こった、こういう場合には工場に賠償責任がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/112
-
113・辻章男
○政府委員(辻章男君) やはり民事上の責任はあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/113
-
114・大倉精一
○大倉精一君 そういう点は、私はちょっと気がついたのでお尋ねしたわけですが、これは運輸大臣が認定するのですから、相当責任を持った体制がとられないと、事故が起こった、あるいはその他の場合において非常に不明瞭なものになるのじゃないか、こういうことを非常に心配するのですが、これはやはり工場がその責任を持ちますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/114
-
115・辻章男
○政府委員(辻章男君) やはりその工場に責任があると思います。ただ、そういうふうな工場を認定したことに、認定することがわれわれの方の運輸省関係におきまして瑕疵がありますれば、そういう行政的な責任はあるいはとるかもしれません。これはちょうど、たとえば今は一品々々検査をしておるのでございますが、あるAという備品を予備に、いわゆる予備品証明でよろしいということで、それを使ったところが、その検査に過失がありまして、その品物の瑕疵を発見し得なかったがために、ある事故を起こしたというふうな場合と同じであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/115
-
116・大倉精一
○大倉精一君 一応これで終わりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/116
-
117・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 他に御質疑はございませんか。——御質疑もないようでございますから、質疑を終局し、討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明かにしてお述べ願います。なお、附帯決議案につきましても討論中にお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/117
-
118・中村順造
○中村順造君 私は日本社会党を代表いたしまして、本法案に対しまして附帯決議をつけて賛成をしたい。
附帯決議の内容につきまして、ここで読み上げます。
最近の航空交通の実情は、ジェット機等大型高速機も加わり航空交通量は著しく増大される傾向にある。しかるに航空交通管制施設には極めて不備のものもあり、管制官の処遇も高度の技術を有する他の職種に比し不均衡と認められ、加えて自衛隊との共同使用の飛行場については、その運営上改善を要する余地の多いことを認める。かかる現状では航空の安全に万全を期し難い。
よって政府は、本法施行に際し速かに左記の措置を講ずべきである。
記
一、自衛隊との共同使用の飛行場については、これを分離する方針を確立しその実現に努めること。
一、航空交通の現状に即するよう管制諸施設の整備拡充を図ること。
一、航空交通管制官の責任体制を確立するとともに、その待遇改善に努めること。
右決議する。
この附帯決議をつけまして、特にこの際重ねて要望いたしますが、従来の附帯決議でありますと——ただ附帯決議として終わることなく、誠意をもってこの決議の内容を実施されることを要望いたしまして私は本案に対する賛成をするものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/118
-
119・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 他に御発言もなければ、討論を終局し、採決を行ないます。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/119
-
120・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
次に、先ほどの討論中に述べられました附帯決議案について採決を行ないます。
本決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/120
-
121・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 全会一致と認めます。よって本決議案は全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。
なお、議長に提出する報告書の作成案につきましては、委員長に御一任願いたいと思います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/121
-
122・楢橋渡
○国務大臣(楢橋渡君) ただいま航空法の一部を改正する法律案につきまして、満場一致御決定を願いましたことは、まことに感謝にたえません。なお、附帯決議の点につきましては、十分にその趣旨を尊重して、実現に努力する覚悟であります。
なお、本委員会を通じまして、いろいろと航空行政等についてまた、その他の問題につきまして有益なる御質疑をいただきましたことは、深く感謝を申し上げ、そのいろいろの御議論等を尊重いたしまして運輸行政の万全を期したいと思う次第であります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/122
-
123・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/123
-
124・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/124
-
125・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 次に、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより本案の補足説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/125
-
126・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案の内容につきまして、逐条的に御説明申し上げます。
まず、第二条関係について申し上げます。
本条の改正は、旅客運賃の等級についてであります。現在旅客運賃の等級は、一、二、三等の三等級制となっております。しかし、現実には、一等車は特急「つばめ」、「はと」の二往復に連結されているにすぎません。しかもこれらの特急も本年六月には電車化され、新しい設備になりますので、この際、旅客運賃の等級を二等級制にすることにいたしました。
なお、この場合の呼称でありますが、従来通り一等、二等と呼ぶこととし、現在の二等を一等に、三等を二等に改めることといたしました。
次に、第三条関係について申し上げます。
本条の改正は、普通旅客運賃の賃率についてであります。現在、普通旅客運賃の三等賃率は、営業キロ一キロメートルごとに百五十キロメートルまでは二円四十銭、百五十キロメートルをこえ五百キロメートルまでは一円六十五銭、五百キロメートルをこえ一千キロメートルまでは八十五銭、一千キロメートルをこえる部分は五十五銭の四地帯制となっており、相当大幅な遠距離逓減制を採用しております。このため、たとえば東京—鹿児島の運賃は東京—沼津の運賃に比較してキロ当たり約五割五分も割引されている結果となっております。従ってこの際、このような大幅な遠距離逓減制を原価主義によってある程度修正し、運賃負担の公平をはかることといたしました。すなわち、営業キロ一キロメートルごとに三百キロメートルまでの部分については二円四十銭、三百キロメートルをこえる部分については一円二十銭の二地帯制といたしました。
なお、改訂一等の賃率は従来通り改訂二等の賃率の二倍といたしました。なお、この改正に伴なう遠距離旅客の負担増は、急行等の料金の引き下げによって緩和し、従来とほとんど変わらないよう措置する方針であります。
次に、第五条関係について申し上げます。
本条第二項の改正は、先に申し上げたような旅客運賃等級の改正に伴なって三等を二等と改めたものであります。
次に、第六条並びに第九条の二関係について申し上げます。
第六条並びに第九条の二の改正は、これまて法定事項であった特別急行料金、急行料金及び準急行料金を運輸大臣の認可事項とすることについてであります。近年わが国の国内輸送の分野におきましては、自動車、航空機の発達が著しく、国鉄としてもこの情勢に対処していくためには、輸送の実情に応じた弾力性を持ったサービスを向上させる必要がありますので、これらの料金は本来、付帯料金のことでもあり、この際、運輸大臣の認可事項といたした次第であります。
なお、急行等の料金は、これを引き下げて、急行列車を利用しやすくするとともに、遠距離逓減制の是正による旅客の負担増を緩和し、旅客の負担においては従来とほとんど変わらないよう措置する方針であります。
次に、第七条関係について申し上げます。
本条第二項の改正は、貨物等級制度の改訂に伴う法律別表の改正についてであります。
現在の貨物の普通等級は十二等級に分かれておりますが、高度の負担力主義を採用している結果、等級の最も高い貨物に対しては、等級の最も低い貨物に比べて二・六倍の高い賃率が適用されております。このため、高級貨物は、続々他の輸送機関に転移し、国鉄には割安な貨物だけが集中し、国鉄の収支は年々悪化しております。そこでこの際、普通等級の数を現行の十二等級から十等級に圧縮して、現在の負担力に重点を置く貨物等級に原価主義を加味しようとしたものであります。
最後に附則関係についてであります。
附則の改正は、さきに申し上げたような旅客運賃等級の改正に伴って民事訴訟費用法、刑事訴訟費用法、通行税法、公職選挙法及び国家公務員等の旅費に関する法律中に規定された「三等」を「二等」に、「二等」を「一等」に改めたものであります。
以上が本法律案の内容であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/126
-
127・平島敏夫
○委員長(平島敏夫君) 本案に対する質疑は後日に譲り、本日はこれをもって散会いたします。
午後一時二十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103413830X01919600517/127
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。